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中間評価資料 - 日本学術振興会
日本学術振興会拠点大学方式による学術交流事業中間報告書 (中間評価資料) プラズマ・核融合分野 「先進核融合炉の炉心と炉工学に関する研究」 平成 17 年 11 月 自然科学研究機構 核融合科学研究所 領域・分野:物理系科学(プラズマ科学)、 工学系科学(材料工学、プロセス工学) 相手国: 中華人民共和国 テーマ: プラズマ・核融合分野 研究課題: 「先進核融合炉の炉心と炉工学に関する研究」 日本側拠点大学:自然科学研究機構 中国側拠点大学:中国科学院 核融合科学研究所 等離子体物理研究所 目 次 評価資料の要約 評価資料の要約(英語) 1 事業の目標 2 これまでの実施状況 2-1 事業の全体的な体制 2-2 共同研究の体制 2-3 セミナーの実施状況 2-4 研究者交流など、その他の交流の状況 2-5 事業に対する相手国拠点大学、対応機関の協力の状況 3 これまでの交流を通じての成果 3-1 交流による学術的な影響 3-2 共同研究を通じて発表された研究業績 3-3 セミナーの成果 3-4 若手研究者の交流に関する成果 3-5 交流を通じての相手国からの貢献 3-6 交流を通じての相手国への貢献 3-7 成果の社会への還元 3-8 予期しなかった成果 3-9 課題・反省点 4 今後の計画 4-1 事業の組織 4-2 事業の枠組み 4-3 共同研究、セミナー、研究者交流の計画 5 今後の交流で見込まれる成果 6 参考資料 評価資料の要約 拠点事業「先進核融合炉の炉心と炉工学に関する研究」は日本及び中国の実験施設および人 的資源を活用して先進的核融合炉の開発に貢献することを目指している。拠点事業が開始され た 2001 年、日本は世界の核融合研究を先導する立場にあり、中国は急速な経済成長とともに国 際協力の舞台で同研究分野における重要な寄与を与えはじめた。緊張ある環境と両国研究者の 熱意のもとに、順調な滑り出しと成果を収めたといえる。共同実験には、拠点校である核融合 科学研究所の LHD 装置と等離子体物理研究所の HT-7 装置をはじめとして、日中の協力大学・ 研究所の装置が有効利用された。 拠点事業の主要課題として、I) 炉心プラズマ、II) 核融合炉工学基礎研究、III) 理論シミュレー ションによる炉心プラズマ挙動の研究、を掲げている。それぞれの課題における成果は以下の ように要約される。 I) 炉心プラズマ:プラズマの加熱に関しては、1)加熱実験及び加熱技術に関する共同研究 が行われた。2)中国において行われたイオンバーンスタイン波加熱実験においては「プラズ マ閉じ込め改善」に関して知見が得られた。3)プラズマ計測においては3次元分布計測にお いて中国への技術移転がなされ、本格的な研究の基礎が作られた。4)第一壁材料に関しては 中国側開発の素材を日本の試験機を用いて試験する形で共同研究が行われた。5)原子分子に 関しては特に高電離イオンの原子過程の研究に関して実験及び理論の両面で成果が上がった 6)慣性核融合に関しては、超高密度プラズマの生成と関連する物理の理解において共同研究 が行われ成果が生まれた。 II) 核融合炉工学基礎研究:1)低放射化材料の開発、2)複合炭素繊維素材の開発 3)核 データの評価による炉設計の信頼性向上、において成果があった。 III) 理論シミュレーションによる炉心プラズマ挙動の研究:炉心プラズマの性能を支配する と思われるイオン温度勾配型ドリフト波、及び、電子温度勾配型ドリフト波の安定性に関して 電場及び磁場のシアが及ぼす影響が調べられた。また、ダイバーターの挙動を調べるためのコ ード開発が行われ、具体的な運転領域設定のために使われた。ここに挙げられた成果は 3-1~3-3 節において更に詳細に記述される。 当拠点事業ではアカデミックレポートを毎年編纂することにより、交流が単なる人的交流・ 啓発に終わる事をさけ、学術的成果として結晶するよう努力した。その結果として、学術雑誌 への発表 137 件、国際会議への発表 126 件が生まれた。前期 5 年を経て、中国においては HT-7 装置の研究水準は飛躍的上がり、新たに HL-2A 装置の実験が開始され、超伝導トカマク EAST の建設もほぼ完成に近づいた。このような、中国の急速な発展に立ち会い貢献できたことは幸 運なことであった。後期5年においては、これらの中国のトカマク装置と日本の大型ヘリカル 装置 LHD を活用して、環状系閉じ込め装置を統合する理解がさらに深められると期待される。 また、核融合実験炉の建設を目指した世界的機運のなかで先進核融合炉を目指した炉工学基礎 の研究がより具体的な寄与をなすことが予測される。理論・シミュレーションにおいては多重 スケールの物理現象を含む非平衡プラズマ物理の解明に向けて深化した研究が遂行される。 i Executive Summary The core university program in the field of nuclear fusion "The Core plasma and Technologies in Advanced Fusion Reactor" aims at contributing to conceptual development of advanced fusion reactors as well as to the successful demonstration of an experimental reactor. Japan was one of the leaders in nuclear fusion research when this program was started and China emerged as a distinct Asian partner and international ally in nuclear fusion research. The early five years of the core university program was thus supported by focus on the mission by researchers in both two countries. Three primary goals and themes of this program are shown below with the major achievements made during the past five years: I) Improvement of core plasma properties:1) ICRF heating technologies were developed in collaboration. 2) Ion Bernstein wave heating was investigated, experimentally clarifying its impact on energy confinement time. 3) Three dimensional plasma diagnostics were developed for future collaborations devoted to the clarification of the mechanism determining energy confinement. 4) As to the plasma wall interaction, the materials developed in China were studied in the Japanese facilities. 5) Atomic and Molecular processes of especially highly ionized ions were studied experimentally and theoretically. II) Development of fundamental reactor technologies:1) Vanadium alloy developed in Japan was tested in collaboration. 2) Carbon-Carbon composite material was developed in Japan by using the Chinese carbon powder quality controlled. 3) Qualifications of nuclear data were made, through which the design of fusion reactors acquired more precision. III) Theory and Simulation:Ion- and electron- temperature gradient modes were studied, which are supposed to be the causes of degradation in energy confinement. Developed new global code facilitates predictions of the roles of the shears in the radial electric field and confining magnetic field. During the five years of collaboration, experimental quality of the HT-7 device improved, the HL-2A device became available, and the EAST tokamak became close to completion. These devices, newly joined the program, will be used in the later 5 years to further comprehensive understanding of toroidal systems. On the good opportunity of construction of International Experimental Reactor, development of reactor technology will be given higher priority including its applications to advance fusion reactors. Theory and simulation will continue to be the most fundamental subject with recognition that the plasmas of reactor cores essentially involve multi-scaled physics of non-equilibrium matter. ii 第1章 事業の目標 核融合はエネルギー問題を解決する有力なエネルギー源として世界的規模で研究されている。 エネルギー問題は、資源の少ない日本及び、13 億の人口を抱えた中国においては特に重要である。 中国では現在超伝導プラズマ実験装置 HT-7(トカマク型)が稼働中であり、さらに新型超伝導プ ラズマ実験装置 EAST(旧名称 HT-7U,トカマク型)を建設中である。日本においては、我が国 に置いて開発されたヘリオトロン方式による大型ヘリカル装置 LHD が核融合科学研究所におい て稼働中である。トカマク型としては JT-60U 装置(日本原子力開発機構)、TRIAM-1M 装置(九 州大学)がある。 近年核融合研究は飛躍的に進歩し、実験炉建設の提案が具体化される段階に来ている。しかし ながら、実験炉の先にある原型炉や実用炉を展望するとき、なお、時間と技術的開発を要する事 情を考えれば、経済性のある先進炉の開発とエネルギー閉じ込めに関する物理の解明を並行して 進めることが核融合科学分野における当面の重要課題であるといえる。核融合科学研究所は中国 科学院等離子体物理研究所(合肥)との研究交流協定をもとに、10 年にわたる共同研究を推し進 めてきた。これまで積み上げてきた共同研究の実績をベースに、西南物理研究院、北京の清華大 学、物理研究所、合肥の中国科学技術大学その他の研究所等に交流の範囲を拡大するとともに、 研究協力の分野としても新たに、核融合炉のための材料工学を含む核融合炉工学と理論シミュレ ーションを強化して核融合の総合的共同研究の拠点とネットワークを築くことを目的に平成 13 年度に本拠点大学交流事業を開始した。 核融合は、世界的規模でその研究・開発が進められているにもかかわらず未だ実用化には至っ ていないことが示すように今後の研究・開発を通じて解決しなければならない課題も多く、本事 業においてそのすべてを網羅的に漠然と推進することは不可能であり、本事業にとってもっとも 適切な課題を選択する必要がある。日本と中国の各拠点大学及び協力大学の持つ実験装置、研究 施設及び人材を結集し、両拠点で研究方向を明確に見定めつつ相補的に研究を遂行することによ り、先進的炉心の最終的選択に必要な学術的な知見を得ることが出来る。 本事業における共同研究は、I 炉心プラズマ、II 核融合炉工学基礎研究、III 理論・シミュ レーションによる炉心プラズマ挙動の研究、に大別され、更に「I 炉心プラズマ」の課題に関し ては、 「炉心プラズマ性能の改善」、 「プラズマ・壁相互作用」、 「原子・分子過程」 、 「プラズマの工 業応用」、「超高密度プラズマ(慣性核融合)」に分けて共同研究を進めている。 それぞれの課題は、大きく、広い分野を包含してはいるが本事業においてすべてを網羅的に採 りあげることは不可能であり、先にも述べた通り、先進的炉心の最終的選択に必要な学術的な知 見を得るという本事業の目標に出来るだけ大きくかつ効率的に寄与するために、日本と中国の各 拠点大学及び協力大学の持つ実験装置、研究施設及び人材を結集し、相補的研究を遂行する観点 から、具体的研究テーマが設定されている。 今後重要となる炉工学に関しては材料開発に関して組織化された開発研究が行われるとともに、 共同設計活動に基づき新概念を育成することができる。核融合研究は学際的研究であり、特に炉 心の研究においてはプラズマ物理の理解が極めて重要であった。理論シミュレーションの果たす 役割は大きく、今後プラズマ・核融合学を形成する非平衡の熱力学あるいは複雑系の科学の分野 において学術的寄与さらには実験研究への的確な指針をあたえる事が期待されている。核融合プ 1 ラズマの研究において原子分子過程がプラズマの特性と強く関与しており重要な研究課題である。 ここで得られた知見は高温プラズマ計測やプラズマモデリングの研究分野において重要な寄与を なす。核融合の周辺プラズマは工業応用プラズマと共通点を持ち、この分野の知見の交換は社会 経済的波及効果がある。慣性核融合は核融合研究の中では特殊な位置を占めるが、今後超高密度 プラズマの物理として新しい物理分野を切り開く可能性がある。 以上、日中双方が共通して関心を持つ課題、相補的に互いの得意分野や得意な技術を出し合っ て進めることが出来る課題を適切に選択し、両国におけるこの分野の研究を活性化させ、先進的 核融合炉心の最終的選択に当たって必要とされる学術的な知見の取得に寄与することが目標と設 定された。 2 第2章 事業の実施状況 本拠点事業は自然科学研究機構核融合科学研究所を日本側拠点大学とし、中国科学院 等離子体物理研究所(合肥、ASIPP)を中国側拠点大学として 2001(平成 13)年度に開始 された。研究領域は「プラズマ・核融合」であり、研究課題としては「先進核融合炉の炉 心と炉工学に関する研究」である。また、個々の具体的研究テーマについては、本事業発 足当時に今後 10 年間を見通して、日中双方が互いに関心を共有しかつ日中両国の研究者が 協力・共同することにより両国のみならず世界の核融合研究にもっとも大きく寄与できる 課題を設定した。その後、中国の、西南物理研究院では、HL-2A 装置が 2002 年末に建設さ れ、ダイバータに関する実験研究が開始された。2002 年には中国が国際的なビッグプロジ ェクトである ITER に参加することが認められた。核融合科学研究所(NIFS)では磁場コイ ルすべてが超伝導で作られた世界最大の大型ヘリカル装置 LHD を用いた閉じ込め実験が軌 道に乗り、拠点事業としても多数の中国人研究者を迎えた共同研究が行われた。中国科学 院等離子体物理研究所では、超伝導コイルをベースとした EAST 装置の建設が急ピッチで 進んでおり、超伝導技術を含んだ総合システムに関する技術交換が新たに重要性を増して いる。過去4年間、日本から中国へ派遣した研究者は総数で 238 人(1,559 人・日)、逆に中 国から受け入れた研究者数は 186 人(3,095 人・日)、日中双方向では 424 人(4,654 人・日)を 数える。以下に、この学術交流の主要テーマに関する学術的研究成果をはじめ、これまで に本拠点事業を通じて得られた諸成果を記述する。 2-1 事業の全体的な体制 本拠点事業は核融合科学研究所を日本側拠点大学とし、等離子体物理研究所を中国側 拠点大学として実施されている。また、日本側からは、以下に示す 36 大学(研究所)が協 力校として事業に参加し、中国側からは 21 大学(研究所)が協力校として事業に参加して いる。 計画立案は、まず 2-2 に述べる課題毎に配置された日中双方のキーパーソン間の協議に より提案が作成される。その提案は、日本側で言えば拠点大学である核融合科学研究所に おかれた本事業推進のための国内委員会において審議され、その結論をベースに日中のコ ーディネーターが調整し、かつ通常年2回開催されるコーディネーター会議で決定される。 コーディネーター会議においては、当該年度の共同研究の進捗状況の報告を受け、点検を した上で次年度の計画承認を行っている。通常、年度末に我が国において開催する会議で は、当該年度の進捗状況の報告と次年度の計画立案を行なう。年度の前半に中国において 開催される会議では、当該年度の計画の確認及び若干の修正などを行い年度が改まったこ とによる(人事異動などによる)必要な修正などを行ってきた。これまでに開催されたコ ーディネーター会議は以下の表にまとめた通りである。また、コーディネーター会議には 3 日本学術振興会および中国科学院の代表者が参加できるよう配慮し、対応機関による必要 な指示などが直接双方のコーディネーターに伝わるようにした。 上述の国内委員会は、各課題のキーパーソンを中心に組織されているが、キーパーソ ンには拠点大学である核融合科学研究所に所属する研究者だけでなく、ほぼすべての課題 に対して拠点大学以外の協力校からの研究者を委員として委嘱し、関係研究者に開かれた 事業となるよう配慮し、広く日本全国のこの分野の活性化を図っている(参考資料5の「国 内委員会要項」参照)。 また、核融合科学研究所内の国際交流委員会に対しても定期的に活動報告を行い、所 内第三者からの意見などを十分に取り入れるよう配慮している。 第三者によるいわゆる外部評価としては、平成 14 年度に大学評価・学位授与機構が行 う大学評価の一環として、核融合科学研究所の「国際的な連携及び交流活動」に対する評 価が行われた。この資料は、第 6 章の参考資料4として関係部分を添付するが、実施体制 (実施体制の整備・機能、活動目標の周知・公表、改善システムの整備・機能) 、活動の内 容及び方法(活動計画・内容、活動の方法)及び活動の実績及び効果(活動の実績、活動 の効果)すべての観点について「目標に照らして優れている」との評価を得ている。 本事業における研究目標、計画などの全体像、さらには申請書はじめ各種の必要書類 の様式に至るまでが核融合科学研究所のホームページを通じて閲覧・ダウンロードするこ とができ、関係研究者の便宜を図ると共に、この事業の社会に対する説明責任の役割を果 たしている。 学術的研究成果は、当然ながら研究論文の形で多くの学術雑誌に掲載され、また国際 会議などの学術的会合で発表されているが、本事業の全体像を把握するためその学術的実 績を毎年「Academic Report」(註 1、参考資料1)としてまとめ、日中両国の関係研究者に 配布している。また、核融合科学研究所が毎年出版している英文年報(Annual Report)にも 研究所の国際交流活動の一環として年度ごとの成果概要が紹介され、国内のみならず広く 海外にも本事業の活動と成果概要が紹介されている。 【註 1】 1. “Academic Report of JSPS-CAS Core-University Program on Plasma and Nuclear Fusion FY2001” 2. “Academic Report of JSPS-CAS Core-University Program on Plasma and Nuclear Fusion FY2002” 3. “Academic Report of JSPS-CAS Core-University Program on Plasma and Nuclear Fusion FY2003” 4. “Academic Report of JSPS-CAS Core-University Program on Plasma and Nuclear Fusion FY2004” 【実施組織】 日本側実施組織 拠点大学:核融合科学研究所 4 実施組織代表者:本島 修・核融合科学研究所長(FY2003~) 藤原正巳・(前)核融合科学研究所長(FY2001~FY2002) コーディネーター:渡利徹夫・核融合科学研究所・教授 サブコーディネーター:難波忠清・核融合科学研究所・客員助教授 足立圭三・(前)核融合科学研究所・助教授(FY2001) 協力大学:北海道大学、室蘭工業大学、岩手大学、東北大学、新潟大学、筑波 大学、東京大学、東京工業大学、電気通信大学、富山大学、信州大 学、岐阜大学、静岡大学、名古屋大学、三重大学、京都大学、大阪 大学、広島大学、山口大学、九州大学、長野工業高等専門学校、東 京都立大学、大阪府立大学、兵庫県立大学、日本原子力研究所(現 日本原子力研究開発機構)、慶応大学、上智大学、中央大学、神奈川 大学、東邦大学、中部大学、三重中京大学、大阪工業大学、摂南大 学、産業技術総合研究所 事務組織:核融合科学研究所 管理部研究連携課 相手国側実施組織(拠点大学名・協力大学名は、和英併記) 拠点大学:(英文)Institute of Plasma Physics, CAS (和文)中国科学院等離子体物理研究所 実施組織代表者:(英文)Li Jiangang・等離子体物理研究所長(FY2002~) Wang Shaohu・(前)等離子体物理研究所長(FY2001) コーディネーター:(英文)Wang Kongjia・等離子体物理研究所・所長助理 サブコーディネーター:(英文)Zhao Junyu・等離子体物理研究所・教授 協力大学:(英文)University of Science and Technology Of China(USTC)、Institute of Modern Physics、Southwestern Institute of Physics(SWIP)、Dept. of Material Science and engineering, University of Science and Technology of Beijing、China Institute of Atomic Energy、Shanghai Institute of Ceramics、Institute of Applied Physics and Computational Mathematics(IAPCM)、National Laser Physics Laboratory、Institute of Coal Chemistry、Tsinghua University、Northwest Normal University、Fudan University、 Peking University、Shanghai Jiaotong University、Research Center for Laser Fusion, China Academy of Engineering Physics、Institute of Physics, Chinese Academy of Sciences、Shanghai Inst. Of Opt. and Fine Mech.、Purple Mountain Observatory、South Western Institute Nuclear Physics and Chemistry, CAEP 、 Dalian University of Technology、Huazhong University (和文)中国科学技術大学、近代物理研究所、西南物理研究院、北京 科学技術大学、中国原子能科学研究院、上海セラミックス研究所、 5 応用物理計算数学研究所、高効率激光物理国家実験室、山西煤炭化 学研究所、清華大学、西北師範大学、復旦大学、北京大学、上海交 通大学、レーザー核融合研究センター、物理研究所、上海光学精密 機械研究所(上海研究所)、紫金山天文台、四川材料技術研究所、 大連理工大学、華中大学 6 2-2 共同研究の体制 本事業における共同研究の課題は、以下の表にまとめられている通り、 I 炉心プラズマ II 核融合炉工学基礎研究 III 理論・シミュレーションによる炉心プラズマ挙動の研究 に大別され、更に「I 炉心プラズマ」の課題に関しては、「炉心プラズマ性能の改善」、「プラズ マ・壁相互作用」、 「原子・分子過程」、 「プラズマの工業応用」、 「超高密度プラズマ(慣性核融合)」 に分けて共同研究を進めている。 それぞれの課題は、大きく、広い分野を包含してはいるが本事業においてすべてを網羅的に 採りあげることは不可能であり、先にも述べた通り、先進的炉心の最終的選択に必要な学術的な 知見を得るという本事業の目標に出来るだけ大きくかつ効率的に寄与するために、日本と中国の 各拠点大学及び協力大学の持つ実験装置、研究施設及び人材を結集し、両拠点で研究方向を明確 に見定めつつ相補的に研究を遂行する観点から、具体的研究テーマが設定されている。 設定された個別の共同研究の意義、これまでに得られた研究成果などについては、次章以下 に詳述されるので、本章においては個別の研究テーマの進め方など、共通の事項について述べる。 各課題について、担当のキーパーソンを配置し、研究現場に密着した計画の推進を図ってい る。また、キーパーソンを委嘱するに当たっては、拠点大学である核融合科学研究所の研究者の みならず、広く日本全国から当該分野の適任者をキーパーソンにお願いし、国内の学界全体の支 援の下、また学界全体に貢献できるよう配慮した。 課題別キーパーソン一覧(日本側、中国側) 炉心プラズマ性能の改善(Improvement of Core Plasma Property) 【日本側】 東井和夫(TOI Kazuo) 核融合科学研究所 花田和明(HANADA Kazuaki) 九州大学応用力学研究所炉心理工学研究センター 【中国側】 謝 紀康(XIE Jikang) Hefei Branch Chinese Academy of Sciences (CAS) 高 翔(GAO Xiang) Institute of Plasma Physics,Chinese Academy of Sciences プラズマ・壁相互作用研究(Plasma and Wall Interaction (PWI)) 【日本側】 野田信明(NODA Nobuaki) 核融合科学研究所 田中 知(TANAKA Satoru) 東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻 【中国側】 李 建剛(LI Jiangang) Institute of Plasma Physics,Chinese Academy of Sciences 郭 全貴(GUO Quangui) Institute of Coal Chemistry, CAS 原子・分子過程(Atomic and Molecular Processes) 【日本側】 加藤隆子(KATO Takako) 核融合科学研究所 大谷俊介(OHTANI Shunsuke) 電気通信大学レーザー新世代研究センター 【中国側】 万 宝年(WAN Baonian) Institute of Plasma Physics,Chinese Academy of Sciences プラズマの工業応用(Plasma Industrial Application) 【日本側】 佐藤元泰(SATO Motoyasu) 核融合科学研究所 畠山力三(HATAKEYAMA Rikizo) 東北大学大学院工学研究科電子工学専攻 7 菅井秀郎(SUGAI Hideo) 名古屋大学大学院工学研究科電子情報システム専攻 【中国側】 梁 榮慶(LIANG Rongqing) Institute of Plasma Physics Chinese Academy of Sciences 孟月東(MENG Yuedong) Institute of Plasma Physics Chinese Academy of Sciences 超高密度プラズマ(慣性核融合) (Superdense Plasma (Inertia Nuclear Fusion)) 【日本側】 田中和夫(TANAKA Kazuo) 大阪大学大学院工学研究科 三間圀興(MIMA Kunioki) 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター 【中国側】 林 尊琪 (LIN Zunqi) National Laser Physics Laboratory 朱 少平(Zhu Shaoping) Institute of Applied Physics and Computational Mathematics, CAS 盛 政明(Sheng Zhengming) Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Sciences 核融合炉工学基礎研究(Basic Research of Nuclear Fusion Reactor Engineering) 【日本側】 室賀健夫(MUROGA Takeo) 核融合科学研究所 高橋平七郎(TAKAHASHI Heishichiro) 北海道大学エネルギー変換マテリアル研究センター 田中 知(TANAKA Satoru) 東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻 【中国側】 翁 佩徳(WENG Peide) Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Sciences 武 松涛(WU Songtao) Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Sciences 理論・シミュレーションによる炉心プラズマ挙動の研究 【日本側】 (Theory and Simulation -- Core-plasma Behavior Research) 佐貫平二(SANUKI Heiji) 核融合科学研究所 三間圀興(MIMA Kunioki) 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター 【中国側】 虞 清泉(YU Qingquan) Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Sciences 王 少杰(WANG Shaojie) Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Sciences 各課題における研究テーマは、以下の表にまとめた通りである。これらのテーマ設定に当た ってはこれまでの日中の研究交流の経験からもっとも双方に関心の高いものを選んだ。 今後重要となる炉工学に関しては材料開発に関して組織化された開発研究が行われるととも に、共同設計活動に基づき新しいアイディアの誕生に寄与することが期待されている。核融合研 究は学際的研究であり、特に炉心の研究においてはプラズマ物理の理解が極めて重要であった。 理論シミュレーションの果たす役割は大きく、今後プラズマ・核融合学を形成する非平衡の熱力 学あるいは複雑系の科学の分野において学術的寄与をあたえる事ができる。核融合プラズマの研 究において原子分子過程がプラズマの特性と強く関与しており重要な研究課題である。ここで得 られた知見は高温プラズマ計測やプラズマモデリングの研究分野において重要な寄与をなす。核 融合の周辺プラズマは工業応用プラズマと共通点を持ち、この分野の知見の交換は社会経済的波 及効果がある。しかし、「プラズマの工業応用」は新しい分野であり、若干の試行錯誤的に開始 され、相手側との協議に基づき具体的テーマを早期に修正したものもある。慣性核融合は核融合 研究の中では特殊な位置を占めるが、今後超高密度プラズマの物理として新しい物理分野を切り 開く可能性がある。 上述のような観点から設定されたのが下の表にまとめた課題(共同研究テーマ)である。 8 日中拠点大学交流事業共同研究等課題一覧 課題 番号 代表者等 [日本側] 研究課題名 高性能炉心プラズマ閉じ込めのための高度加熱法の開発 11A Development of Advanced Plasma Heating for High-Performance 渡利徹夫 Plasma Confinement 高性能炉心プラズマ閉じ込めのための計測及び制御法の開発 11B Development of Diagnostic and Control Methods for 東井和夫 High-Performance Plasma Confinement 核融合炉におけるプラズマ・壁相互作用と対向材料研究 野田信明 12A Study on Plasma-Surface Interactions and Plasma Facing Materials プラズマ中の原子分子過程 加藤隆子 13A Atomic and molecular processes in plasma プラズマプロセスを用いた低熱抵抗セラミック/金属の接合 14A (FY2001~FY2003) 佐藤元泰 Metallized Ceramics for low thermal resistance by plasma process プラズマ気相成長法によるダイアモンド薄膜の成長 (FY2001) 菅井秀郎 14B Growth of diamond films by plasma chemical vapour deposition 環境応用と表面工学のための高圧力プラズマ源の開発 Development of High Pressure Plasmas for Environmental 畠山力三 14C (菅井秀郎) Application and Materials Processing 鉄鋼スラグからのマイクロ波によるチタン抽出技術 (FY2004~) 吉川 昇 14D Heating Behavior of Blast Furnace Slag Bearing High Ti Under (谷口尚司) Microwave 超高密度プラズマ(慣性核融合)に関する研究 田中和夫 15A Study of Ultrahigh Density Plasma (Inertial Confinement Fusion) 慣性核融合プラズマの理論・シミュレーション 三間圀興 15B Theory and simulation on Inertial Fusion Plasmas 核融合炉用低放射化構造材料に関する研究 香山 晃 20A Study on Reduced Activation Materials for Fusion 核融合炉ブランケット・トリチウム研究 田中 知 20B Study on CTR Blanket and Tritium 先進核融合炉の設計統合と要素工学の実証 20C Design integration of advanced reactors and key technology 室賀健夫 evaluation 先進核融合炉に必要な超伝導要素技術の開発研究 (FY2004~) 20D Development of superconducting key technology for advanced fusion 山田修一 reactor プラズマの MHD 及び微視的不安定性解析理論の研究 30A Study on Theoretical Analysis of MHD and Microinstabilities in 佐貫平二 Plasmas トーラスプラズマの輸送理論・数値解析コードの開発及び閉じ込め改善 モードの研究 30B 伊藤公孝 Study on Transport Theory・Code Development of Numerical Analysis and 代表者等 [中国側] Xie Jikang Gao Xiang Xie Jikang Gao Xiang Li Jiangang Wan Baonian Yang Si-ze Liang Rongqing Liang Rongqing Meng Yuedong Bai Chenguang Lin Zunqi Zhu Shaoping Yu Jinnan Xu Zengyu Wu Yican Songtao Wu Weng Peide Yu Qingquan Wang Shaojie Yu Qingquan Wang Shaojie Confinment Improved Mode in Torus Plasmas 複雑性プラズマにおける自己組織化の物理 堀内利得 Physics of self-organization in Complex plasmas 周辺・ダイバータプラズマのモデリング及び不純物、リサイクリング粒 子のコントロール 冨田幸博 30D Modeling of edge and divertor plasma and control of impurities and ricycling particles 30C Zhu Shaoping Zhu Sizheng 共同研究実施に当たっては、実質的な研究が行えるよう、限られた財政的リソースを有効に 活かして研究成果を効果的に上げることが求められる。そのため、双方のコーディネーターが協 9 議し、特に共同研究のために相手国研究者を受け入れるに際しては、若干受け入れ研究者数を犠 牲にしても、極力一人あたりの滞在日数(派遣日数)を増やし、じっくりと腰を据えて研究でき る環境を整えることを心がけた。交流に関する派遣研究者数などは、以下の表にまとめた通りで ある。 派遣・受入研究者数 年 度 日本 → 中国 中国 → 日本 合 計 人(人・日) 人(人・日) 人(人・日) 平成 13(2001)年度 47(329) 38(810) 85(1,139) 平成 14(2002)年度 56(366) 55(843) 111(1,209) 平成 15(2003)年度 66(443) 41(664) 107(1,107) 平成 16(2004)年度 69(421) 52(778) 121(1,199) 派遣・受入研究者の平均滞在日数 年 度 日本 → 中国 中国 → 日本 合 計 平成 13(2001)年度 7.0 21.3 13.4 平成 14(2002)年度 6.5 15.3 10.8 平成 15(2003)年度 6.7 16.1 10.3 平成 16(2004)年度 6.1 14.9 9.9 なお、各研究課題毎の統計資料は、参考資料(3)にまとめた。 10 2-3 セミナー実施状況 本事業におけるセミナーは、以下の表に示す通り、事業開始以来 4 回開催した。初年度である、 平成 13 年度には開催せず、次年度以降課題を変えて毎年1回の開催であった。 セミナー開催に当たっての基本方針として、コーディネーター間で核融合一般を取り上げるよう な総花的、漠然としたものではなく、セミナーにおいては本事業の個別の課題に密着したトピックス を採りあげることで合意した。この合意に基づき組織されたセミナーは、それぞれ本事業における個 別のテーマを採りあげ専門的な討論を十分に保障できるよう配慮した。 毎回のセミナーのプロシーディングスは、それぞれ既に出版されている。プロシーディングス自 身は、ページ数も多いため添付していないが、その表紙写真を第6章 参考資料(1)に示した。ま た、各セミナーの具体的成果については、3-3 章に詳述する。 平成 14 年度 セミナー名 核融合炉材料と炉工学に関する日中セミナー CAS-JSPS Core University Program Seminar on Fusion Materials and Engineering 責任者 Genming JIN, Institute of Modern Physics,CAS,China 開催場所 中国・蘭州 参加者数 中国側 18 名 室賀健夫, 核融合科学研究所 日本側 21 名 プロシーディングス:MATERIALS FOR ADVANCED ENERGY SYSTEMS AND FISSION & FUSION ENGINEERING Proceedings of the Seventh China-Japan Symposium ,World Scientific Publishing Co.Pte.Ltd, 2003 セミナー名 開催場所 平成 15 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 プラズマ中の原子・分子過程に関する日中セミナー 中国・蘭州 JSPS-CAS Core University Program Seminar on Atomic and Molecular Processes in Plasma 責任者 参加者数 Chenzhong Dong, Northwest Normal University,China 中国側 10 名 小池文博, 北里大学 日本側 17 名 プロシーディングス:JSPS-CAS Core University Program Seminar Proceedings of Japan-China Joint Seminar on Atomic and Molecular Processes in Plasma, NIFS-PROC-59, 2005 セミナー名 開催場所 レーザー核融合と高エネルギー密度プラズマ科学シンポジウム 中国・三亜 JSPS-CAS Core University Program Seminar on Laser Fusion Science and High Energy Density Plasma Physics 責任者 参加者数 Shao-Ping Zhu, Institute of Applied Physics and Computational 中国側 26 名 Mathematics,China 三間圀興, 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター 日本側 19 名 プロシーディングス:JSPS-CAS Core University Program Seminar on Laser Fusion Science and High Energy Density Plasma Physics (Proceedings, CD-ROM) セミナー名 開催場所 JSPS-CAS 拠点大学交流事業セミナー∼磁気閉じ込め装置における高性 能プラズマ生成と定常保持∼ 中国・合肥 JSPS-CAS Core University Program Seminar on Production and Steady State confinement of high performance plasmas in magnetic confinement systems 責任者 参加者数 Jikang Xie, Institute of Plasma Physics,CAS,China 中国側 23 名 東井和夫, 自然科学研究機構核融合科学研究所 日本側 21 名 プロシーディングス:Proceedings JSPS-CAS Core University Program Seminar on Production and Steady State Confinement of High Performance Plasmas in Magnetic Confinement Systems, NIFS-PROC-60, 2005 11 2-4 研究者交流等、その他の交流の状況 本拠点事業においては、いわゆる「研究者交流」枠を活用してコーディネーター会議 の開催し、本事業の運営を行っている。 これまでに開催されたコーディネーター会議は、下記の通り、概ね年に2回、日中交互 に開催している。このコーディネーター会議においては、当該年度の共同研究の進捗状況 の報告を受け、点検をした上で次年度の計画承認を行っている。通常年度末に我が国にお いて開催する会議では、当該年度の進捗状況の報告と次年度の計画立案を行い、年度の前 半に中国において開催される会議では、当該年度の計画の確認及び若干の修正などを行い 年度が改まったことによる必要な修正などを行ってきた。また、可能な限り日中それぞれ の対応機関の代表者にも参加を要請し、本事業の趣旨その他大きな枠組みについて適切な 指示を受けるよう配慮した。 H13.8.15 開催地=中国・合肥 出席者: (中国側) Jiangang Li、Kongjia Wang、Junyu Zhao、Shaohua Dong、Lijian Qiu、Baonian Wan、 Jikang Xie、Songtao Wu(以上、中国科学院等離子体物理研究所) (日本側) 渡利(コーディネーター) 、難波(サブコーディネーター) 、水野(研究協力課) H14.3.13 開催地=日本・NIFS 出席者: (中国側) Li Jiangang、Wang Kongjia、He Youzhen(以上、中国科学院等離子体物理研究所)、Lijian Qiu、Li Xiang(以上、中国科学院) (日本側) 藤原(所長) 、渡利(コーディネーター)、難波(サブコーディネーター)、東井、野田、 加藤、佐藤元、佐貫(以上、NIFS)、田中和(阪大)、高橋(北大)、水内(研究協力課) 、 水野(研究協力課) H14.6.7 開催地=中国・合肥 出席者: (中国側) Li Jiangang、Wang Kongjia、Junyu Zhao、Xie Jikang, Wan Baonian, Wu, sungtao、Shaohua Dong(以上、中国科学院等離子体物理研究所) (日本側) 渡利(コーディネーター) 、難波(サブコーディネーター) 、渡邉(研究協力課) 12 H15.2.25 開催地=日本・NIFS 出席者: (中国側) Xie Jikang、Wang Kongjia、Zhao Junyu、Dong Shaohua(以上、中国科学院等離子体物理 研究所)、Zha Lianfang、Shao Liming(以上、中国科学院) (日本側) 藤原(所長)、渡利(コーディネーター)、難波(サブコーディネーター)、東井、加 藤、佐藤元、室賀、佐貫(以上、NIFS)、田中和(阪大)、三間(阪大)、二宮(原研) 、 水内(研究協力課)、水野(研究協力課)、渡邉(研究協力課)、榎本地域交流課長、 金子地域交流課係員(以上、日本学術振興会) H15.10.14 開催地=中国・杭州 出席者: (中国側) Xie Jikang、Li Jiangang、Wang Kongjia、Weng Peide、Wan Baonian、Zhao Junyu、Zhu Shaoping, Gao Xiang、Wang Shaojie、Dong Shaohua(以上、中国科学院等離子体物理研究所) (日本側) 本島(所長) 、渡利(コーディネーター)、難波(サブコーディネーター)、佐貫、東井、 室賀、相良(以上、NIFS)、三間(阪大)、高橋(北大)、三宅(研究協力課)、太田(施設 課) H16.2.16 開催地=日本・NIFS 出席者: (中国側) Li Jiangang、Wang Kongjia、Dong Shaohua(以上、中国科学院等離子体物理研究所)、 Qiao Runlong(以上、中国科学院)、Guo Quangui (山西煤炭科学研究所) (日本側) 本島(所長)、渡利(コーディネーター)、難波(サブコーディネーター)、東井、野 田、加藤(隆)、佐藤(元)、室賀、佐貫、相良、山田(修)、岡本、小森(以上、NIFS)、 田中、三間(以上、阪大)、吉川(東北大=谷口の代理)、榎本、金子(以上、日本学 術振興会)、石代、三宅、武内、渡邊(以上、研究協力課) トピックス:榎本氏(学振)から参加者に本事業関連機関の改革について紹介があっ た。またアカウンタビリティーが新しい構造ではより重要となり、同様にそれは生産 的な事業計画がより奨励される旨の報告があった。 H16.7.22 開催地=中国・合肥 出席者: (中国側) Li Jiangang、Xie Jikang,、Wang Kongjia、Zhao Junyu、Dong Shaohua(以上、中国科学院 13 等離子体物理研究所) (日本側) 本島(所長) 、渡利(コーディネーター)、難波(サブコーディネーター)、松浦(研究 連携課)、松原(財務課) H17.2.23 開催地=日本・NIFS 出席者: (中国側) Wang Kongjia、Wan Baonian、Zhao Junyu、Dong Shaohua(以上、中国科学院等離子体物 理研究所)、Liu Liman(中国科学院) (日本側) 須藤(副所長)、渡利(コーディネーター) 、難波(サブコーディネーター) 、東井、野 田、加藤(隆)、佐藤(元) 、室賀、佐貫、相良、小森(以上、NIFS)、田中(和)、三 間(以上、阪大)、小池(北里大)、二宮(原研)、遠藤、高橋(以上、日本学術振興会)、 三宅、加藤(以上、研究連携課) トピックス:遠藤氏(学振)から参加者にアジア諸国等との学術交流事業について紹 介があった。また、平成17年度に実施される中間評価について説明し、日程や報告 書の様式についての質問に答えた。 さらに、この研究者交流の枠組みを使い本事業によるセミナー開催の準備のための打 ち合わせも行った。具体的には、日本側の関係研究者を中国へ派遣し中国側の担当者と打 ち合わせを行うと共に現地の会場視察その他必要な準備を行い、セミナーの運営に万全を 期すよう努めた。 中国側からも、この研究者交流の枠組みにより共同研究とは別途研究者を招聘し中国 側の研究事情などを一層日本側研究者に周知する努力を行っている。例えば、本年 11 月末 には、中国科学院等離子体物理研究所の EAST プロジェクトを率いる Xie Jikang 教授(中国 科学院合肥分院)を招聘し、我が国のプラズマ・核融合学会年会で “China’s Fusion Energy Program”と題する国際招待講演を行って頂くことにしている。この講演の中では、最近の中 国における核融合研究事情と共に本拠点事業による成果についても言及されることになっ ている。 14 2-5 事業に対する相手国拠点大学、対応機関との協力の状況 相手国拠点大学は中国においてこの分野で研究の活性度が高い中国科学院等離子体物 理研究所である。同研究所と日本の拠点大学である核融合科学研究所とは本拠点事業開始 以前から大学間協定に基づく 6 年以上の協力関係があり意思疎通には問題がない。 毎年の交流計画策定は、両国の課題毎のキーパーソンにおいて第一次案を作りそれぞ れの国のコーディネーターに集約し、コーディネーター会議において審議の後、拠点事業 として最終決定する。この第一次案の作成において中国の拠点大学は中国内の希望をよく 取りまとめており、交流計画の決定は順調に行われている。この決定プロセスは、両国の 各課題キーパーソンが互いに熟知しており、計画の整合性を事前に勘案・調整しているこ とにより可能となっている。年度の途中にやむをえない理由により研究交流計画の変更が 生じた場合は、コーディネーター間の電子メール交換と電話による迅速な説明と合意の表 明によって認可・決定が行われる。当拠点事業では、両国キーパーソンの編集により、毎 年 academic report を編纂して拠点事業の成果を纏めている。その中で必要とされる出版 論文の調査に関しても中国側拠点大学は迅速な対応を見せている。 核融合の研究分野では、日本のプラズマ・核融合学会、中国の、韓国の、インドの核 融合コミュニティーを傘下とする APFA(アジアプラズマ・核融合学会)がある。特に 2003 年に中国浙江省の杭州で開催された第4回 APFA 会議は相手側拠点大学である等離子体物 理研究所が現地組織委員会を勤めた。この会議では、中国側の計らいにより、拠点事業の 成果に関して8件の招待講演が割り当てられた。同時開催された拠点事業コーディネータ ー会議は同会合のプログラムの一部として組み込まれるなど特別の待遇をうけた。 また、拠点事業による第4回セミナーに関する発表論文に関しては、相手国拠点校の 努力により中国学術雑誌 Plasma Science and Technology に特集号を設けることとなった。 本拠点事業会に前の 1999 年、JSPS-CAS の協定成立 20 周年祝典において本拠点事業 の日本側拠点大学代表者(当時)が祝辞を述べるなど、中国側対応機関である CAS とも良 好な関係にある。 通常の拠点事業運営に関する要望は中国側コーディネーターを通じての会話により十 分伝達されている。また、日本において開催されるコーディネーター会議には CAS より1 ∼2名の出席者があり研究の進展を把握するとともに日本人キーパーソンの意見を聞いて いる。この会議には JSPS からの出席もあり意見交換が行われている。 最後に、この報告書を書くにあたり相手国拠点大学のコーディネーターから送られた 感謝を込めた中国側拠点大学の立場から見た交流のレヴューを添付する(参考資料6)。 15 第3章 これまでの交流を通じての成果 3-1 交流による学術的影響 拠点事業の主要課題として、 (I) 炉心プラズマ、 (II) 核融合炉工学基礎研究、 (III) 理論・ シミュレーションによる炉心プラズマの挙動の研究、を掲げている。それぞれの課題にお ける学術的な成果は以下のように要約される。 (I) 炉心プラズマについては、プラズマ加熱技術の周到な準備と機器の共同開発により 両国において長時間放電の記録が生まれた。さらには広範な条件でのプラズマ加熱の共同 実験を通じて中国の HT-7 トカマクにおいて行われたイオンバーンスタイン波加熱実験に おいては「プラズマ閉じ込め改善」状態を実現した。これは高周波によって誘起された帯 状流によるプラズマ乱流安定化のモデルとの関連から世界的に注目される成果となった。 また、低閉じ込め(L)状態から高閉じ込め(H)状態への LH 遷移がトカマクだけでな く LHD のヘリカルプラズマで観測されその機構の理解と実現の条件の共同研究が進展し た。この成果は、LH 遷移と乱流輸送低減のモデルとの関連、そして国際熱核融合炉 ITER の運転シナリオにも密接に絡むも重要なもので学術的意義は大きい。また、プラズマ近傍 に設置した磁気センサーを用いないトカマクプラズマ位置制御法の原理実証ができた。こ れは装置工学的側面が強いが自動制御理論の見地から意義が大きい。高温プラズマ計測法 は、レーザー、マイクロ波、放射線、イメージセンサーや IT 関連など多くの最先端の技術 を絶えず取り込んで発展しており、それ自体、学術的インパクトは大きい。たとえば、200 点以上空間点での YAG レーザートムソン散乱装置や高速 C-MOS カメラと連動させた2次 元や 3 次元分布計測などがその例で共同開発研究により実際の高温プラズマ実験に適用さ れ始めている。また、このようなイメージ計測や長時間プラズマ生成は膨大なデータ収集 装置の開発を促し、その方面の学術に強い刺激を与えている。一方、プラズと第一壁材料 との相互作用は高性能プラズマ生成を左右する重要な因子であり、第一壁の洗浄やコーテ ィング法について高周波を利用した新しい手法が本共同研究で生み出されてきた。これは 将来の超伝導コイルで構成される核融合炉へも適用可能な優れた方法である。また、この ような低温・弱電離プラズマを利用した炉壁の洗浄やコーティングにはプラズマ応用分野 との大きな接点があり学術的・工業的にも極めて重要である。慣性核融合に関しては、超 高密度プラズマの生成と関連する物理の理解において共同研究が行われ成果が生まれた。 固体の粒子密度の数百倍以上の超高密度プラズマは強結合プラズマという新たな学問領域 を切り拓いている。 (II) 炉工学基礎については、低放射化材料の開発、複合炭素繊維素材の開発、核デー タの評価による炉設計の信頼性向上、に関する共同研究が進展し、学術意義が大きい。具 体的には以下の 5 点に要約できる。①両国の低放射化材料製造技術の比較評価を行い、双 方の技術の組み合わせにより試作材料の高度化を達成させることができた。②中国で製作 した材料を日本の技術用いて照射効果を中心に評価分析することにより、材料試作の一層 16 の高度化に寄与するとともに、評価データベースの拡張をおこなった。③日中の核データ を比較し、不足した情報を補うことにより材料・ブランケットの精度の高い放射化評価を 可能とした。また、ブランケットの燃料挙動解析を進めた。④両国のブランケット製作技 術、超伝導マグネット製作技術の比較により、今後の高度化指針を明らかにした。⑤炉設 計、炉開発戦略の相互比較により、今後の重点共通課題とその効果的な研究推進のための 指針を明らかにした。 (III) 理論・シミューションについては、複雑な炉心プラズマの挙動を支配するイオ ン温度勾配型ドリフト波、及び、電子温度勾配型ドリフト波不安定性によるプラズマ乱流 に関して共同研究の成果が上がっている。世界で競って研究が進められている電場及び磁 場のシアのプラズマ乱流への影響が調べられている。この分野の世界の研究の一翼を担っ ている。また、本共同研究でダイバーターの挙動を調べるための数値計算コードの開発が 進展しトカマクばかりでなくヘリカルプラズマへの拡張も進み世界をリードしつつある。 17 3-2 これまでの交流を通じて得られた成果 全体の成果の論文リストは参考資料として巻末にまとめて記載しているが各課題ごと に参考論文も交えて記載した。 I. 炉心プラズマ I-1 炉心プラズマ性能の改善 トカマクやヘリカル磁場配位の先進的核融合炉では「高閉じ込め」で且つ「高ベータ 値(=プラズマ圧力の閉じ込め磁場圧力に対する比)」の高性能プラズマの生成と「長時間 維持」が不可欠である。閉じ込めの良いプラズマの性能は、多くのトカマクプラズマの実 験で得られたエネルギー閉じ込め時間に関するデータの回帰分析から導出された経験則に 対してどの程度向上したかという指標(H 因子とよばれる)で評価される。このような理由 から「改善閉じ込め」という表現が使われる。上記の先進核融合炉心プラズマの 3 要素の 同時達成が最終の目標である。これに向けて、第 1 段階は各要素の実現、第 2 段階は「高 閉じ込めで高ベータ」プラズマの実現など 2 要素の同時達成であり、それに基づき最終段 階を目指す。本拠点事業による共同研究においても、まずは各要素の実現をプラズマ加熱 法関連課題とプラズマ計測及び制御法関連の課題を解決しながら進めてきた。 11A. 高性能炉心プラズマ閉じ込めのための高度加熱法の開発 プラズマ加熱は電力を注入して核融合反応が継続して起こる1億度程度までプラズマ の温度を高めることを目標としている。過去 20 年においては手法の確立を含めてプラズマ の加熱は核融合の研究における重要課題として研究されてきた。拠点事業に基づく日中研 究交流においても両国研究者の合意によりこの課題は特に中心的に行われてきた。ここで は、以下に示す拠点事業における主要成果を4項目に分類して報告する。すなわち、(1) 加熱物理の解明研究における協力研究、(2)イオンバーンスタイン波加熱に関する研究協 力、(3)定常加熱に関する研究協力、(4)その他、高周波技術に関する研究協力、であ る。 (1) 加熱物理の研究においての協力の成果 プラズマ加熱はプラズマの温度を高めることを目的とする。プラズマ中の波動伝播を 利用して電力をプラズマ中に送り込み熱化させる手法がとられる。これを波動加熱と呼ぶ が、中国の HT-7 トカマク装置、日本の大型ヘリカル装置(LHD)の両装置においてイオ ンサイクロトロン加熱が研究されてきた経緯により、特にイオンサイクロトロン加熱は交 流の中心となった。LHDはヘリカル型閉じ込め装置であり、同型装置でのイオンサイク ロトロン加熱は困難であることが世界的に意識されていた。拠点事業の開始は、LHDで の実験が磁気軸シフトなどの工夫により活路を見出した時期と一致し、高エネルギー粒子 の閉じ込めと結びついた詳細なデータの取得とプラズマ加熱の解析が拠点事業の中でも共 18 同研究の対象となった。この研究のなかで日中研究者の連名になる9編の論文が発表され ている。この節の終わりにはそのうち 5 編([1]~[5])の代表的論文を引用しておく。 プラズマを高温に保つ条件としては、プラズマ中への電力を効率的に注入することが 必要であることは論を待たないが、プラズマ中の熱が熱伝導などにより失われないことも 必須の条件である。別の言葉で言えば「エネルギー閉じ込め」の良いプラズマを実現する ことが必要である。 「エネルギー閉じ込め」の良否は核融合実験装置に固有のものであるが、 プラズマの運転領域などによっても最適化できることが知られている。 「エネルギー閉じ込 め」改善を目指した研究は、むしろ次節の中心課題であるが、本課題プラズマ加熱におい ても加熱電力密度分布の制御を通じて、学術的な寄与をすることができた。 研究の内容は、イオンサイクロトロン加熱の加熱電力を変調した時のプラズマ温度及 1 加熱効率の測定、及び○ 2 プラズマ中のエネルギー輸送の研究を可能に び密度の応答から○ したことである。図 I1-1は中国等離子体物理研究所の Zhao Yanping の設計による加熱電 力変調装置のブロックダイアグラムである。同氏は LabVIEW を用いた制御装置を設計し 核融合科学研究所LHDの実験に大きな寄与を残した。(また、同装置は任意の加熱電力波 形を発生させることができるので次節に述べる定常実験においても利用された。 図 I1-1.拠点事業により開発された電力変調装置:LabVIEW を 用いた制御装置で任意の波形を生成することが出来る。 図 I1-2は、この変調装置を用いて核融合科学研究所の LHD を用いて行った実験の結 果である。エネルギー閉じ込め時間はプラズマパラメーターに依存するものであるが、過 去における電力変調を利用した研究においてこの依存性を無視した解析が行われていた。 拠点事業を通じた研究交流においてプラズマパラメーターの依存性に関して以下に示す仮 説を置き実験結果と比較することにより、プラズマの閉じ込めに関する知見を引き出すこ 1 プラズマのエネルギー閉じ込めの劣化はプラズマの温度による。○ 2 とができた[6]。仮説:○ 19 3 一定値を保つ。また、加熱効 プラズマのエネルギー閉じ込めの劣化は加熱電力による。○ 1 一定値を保つ。○ 2 イオンの温度に依存する。という2つの仮定を 率に関しても、仮説:○ 置く。エネルギー閉じ込めも加熱効率もイオン温度に依存すると仮定した場合に実験結果 の統一的理解が得られることが分かった。 この共同研究のなかで電力変調器を設計した Zhao Yonping 氏は等離子体物理研究所 の HT-7 装置のイオンサイクロトロン加熱実験に際してこれを更に改良した電力変調器を 設計製作し同装置における実験において成果を挙げている[7, 8]。 (2)イオンバーンスタイン波加熱を通じた研究交流 イオンバーンスタイン波加熱の研究は核融合科学研究所において先駆的な研究がおこ なわれて研究の蓄積があった。等離子体物理研究所においてもこの加熱手法を採用し HT-7 装置を用いた加熱実験が行われた。 図 I1-3左は核融合研究所のトカマク装置 JIPP-TIIU 装 置において使われていた名古屋 type-III コイルとよばれるイオンバーンスタイン波用アン テナである。 100 2 p W (kJ) -3 19 60 1 P 40 ant 20 0.5 0 1 0 (MW) e 1.5 p ant n (10 m ) W P 80 0.8 0.6 0.4 0.2 P rad (kW) 0 300 200 100 Hα/HeI (a.u.) 0 4 3 2 1 0 0 1 2 3 4 time (sec) 5 6 図 I1-2: 変調装置を用いて核融合科学研究所の LHD 装置を用いて行った実験の 結果である。一番上のコラムに示される加熱電力の波形に応じてプラズマのパラメ ーターにも振動が見られる。この応答の様子から、プラズマ中の輸送が測定される。 20 図 II-3.イオンバーンスタイン波用アンテナの進化 左図は、核融合科学研究所において開発し実験に使われた名古屋 type-III コイル、右図 は等離子体物理研究所において拠点事業の中で使われた IBW アンテナ、ファラデイシー ルドと呼ばれる部分に Si-C コーティングを施し、不純物の流入を抑えた。 核融合科学研究所における過去のアクティヴィティーは参考文献[9] に詳しく書かれ ている。図 I1-3右に示す HT-7 用 IBW アンテナは名古屋 type-III コイルに改良を加えた もので、アンテナ表面のコーティングや実験のための放電洗浄などにおいて進化した実験 が行われた。図 I1-4は、実験条件を示すプラズマの放電波形で 3 段目のコラムに示すイオ ンバーンスタイン波の入射とよもに Hα光が減少し2段目に示す密度の上昇が示されてい て粒子閉じ込め改善がおこっていることを示す。また、図 I1-5 は密度空間分布の時間的発 展を示すもので中心部の粒子閉じ込め改良を示す尖頭的な密度分布が得られている[10-13]。 図 I1-4 イオンバーンスタイン波加 図 I1-5 イオンバーンスタイン波加熱時 熱時の放電波形。加熱時の粒子閉じ のプラズマ密度の空間分布及び時間発展。 込め改善と蓄積エネルギーの増大が 見られる。 21 HT-7 における研究の進展は、特に高周波の周波数を変えることによりイオンバーンス タイン波の吸収が起こるイオンサイクロトロン共鳴層位置を変える実験まで進化させたこ とである。図 I1-6には同実験でえられたプラズマ圧力の空間分布を示す。イオンサイクロ トロン共鳴層の位置の変化により輸送障壁の位置も変化していることがわかる。輸送障壁 の位置はプラズマの特性に影響をあたえるので、これを制御できることを示したこの実験 の意義は大きい。図 I1-7は、イオンバーンスタイン波加熱によるプラズマ中心の電子温度 の加熱電力への依存性を示す。実験では加熱電力が 145kW を超えるとき温度上昇が顕著に なることが示されている。エネルギー閉じ込めの改善を引き起こす機構は Biglari 等により レイノルズ応力という観点から説明されている[14,15]がこの説に従えば加熱電力に閾値が あり、実験結果はこれに対応するものあることが示唆された。 図 I1-6:サイクロトロン共鳴層を変化させたときのプラズマ圧力の空間分布の変化 圧力勾配の変化により輸送障壁位置が異なることが分かる。 22 図 I1-7: 加熱電力による中心電子温 度の変化。加熱電力が 145kW を超える と電子温度上昇が大きいことが示され ている。 これらの日中共同研究の成果に基づき、Heliotron-J と EAST 装置の実験計画としてイオ ンバーンスタイン加熱による閉じ込め改善の検討がなされた。この結果は、拠点事業セミ ナー枠による日中ワークショップ「production and steady state confinement of High Performance Plasmas in Magnetic Confinement Systems」において報告された(論文[16] 参照)。この論文は、実験結果を基礎にエネルギー閉じ込め改善のためにイオンバーンスタ イン波によるプラズマ流を駆動することを提案し、プラズマ流を理論的に計算したもので ある。Heliotron-J 装置において行った参考論文[17]の拡張となっている。ヘリカル系への 光線追跡法に関する共同研究は論文[18]として公表されている。トカマク型閉じ込め装置と ヘリカル型閉じ込め装置はいずれも環状閉じ込め装置であるが、環状型閉じ込め装置の物 理を統一的に理解することは拠点事業においても一つの目標であった。この目標に対して も寄与があった。 (3)定常実験を通じての協力 核融合研究の進展に伴い、炉心プラズマに近いプラズマが達成されるに及び、これを 定常的に維持するいわゆる定常加熱が研究のなかの重要課題として取り上げられるにいた った。HT-7 装置はトカマク型装置でるため、プラズマの定常的維持は電流駆動が必要であ る。HT-7 装置では、低域混成波を用いた電流駆動を行い4分の長時間放電を実現した[19]。 電流駆動においても、プラズマ中の不純物を減らすことが必要であるが、HT-7 装置に置い ては高周波を用いた放電洗浄の手法が開発研究され、さらに高周波を用いたボロニゼーシ ョンが成功した。これらの研究は次節の PWI の中心課題であるが長時間放電の実現にも深 い影響を与えたことを記しておく。2004 年に行われた HT-7 実験においては拠点事業を通 じて日本の研究者を派遣し、ボロニゼーションの適用から長時間放電に続く一連の実験を 23 おこなった。図 I1-8は 2004 年 HT-7 装置で行われた長時間放電実験の一例である。 図 I1-8:2004 年 HT-7 装置で行われた長時間(4分)放電実験の一例である。 低域混成波電流駆動電力 200kW を用いて、プラズマ電流A.電子温度 0.5keV, 中心プラズマ密度 0.5~1x1019 m-3 のプラズマを240秒維持することに成功 した 核融合科学研究所においては主力装置である超伝導コイルを持つ大型ヘリカル装置 LHD があってヘリカル型閉じ込め装置の研究を世界的にリードしている。トカマク型閉じ 込め装置はプラズマの閉じ込めに必要な磁場の回転変換を維持するためにプラズマ中に電 流を流さなければならない。従来誘導電場による電流の駆動が行われてきたが、定常的な プラズマの維持には非誘導電流駆動の確立が必要である。上記、HT-7 における実験は非誘 導電流駆動を開発しながらの成果である。困難ではあるが価値ある実験でもある。 一方 LHD 装置ではプラズマ外部のヘリカルコイルが作り出す磁場が回転変換をもっているので電流 を駆動する必要が無い。このようなヘリカル系の特徴をいかして、LHD では30分の長時 間放電が達成され、中国の研究者は共同研究者としてこの実験に参加した(図 I1-9)[20, 21]。 この長時間放電は時間が長いばかりではなく入射した加熱電力が 1.3GJを超え世界的な 記録となった。共同研究として行われた上記の定常実験はトカマク・ヘリカル装置の持つ 特殊性を超えて相互に刺激を与えつつ遂行されたものである。 24 1 ne 0.5 PICH,ECH,NBI(kW) Prad(a.u.) Ti0 ,TeECE(keV) ne (1019m-3) ne&Prad53776 1 0.5 Prad 0 0 LTi&Te53776 4 Ti0 2 0 600 TeECEat ρ=0.14 LPE,N&I53776 400 PICH 200 PNBI PECH 0 LRax,Tdiv53776 3.7 3.65 0 300 Tdiv-4.5UI Tdiv-3IU Tdiv(oC) Rax(m) 3.75 150 Rax 500 1000 Time(s) 1500 0 2000 図 I1-9.2004 年 LHD 装置で行われた長時間放電実験の一例である。 イオンサイクロトロン波加熱 400kW を用いて、イオン温度 2keV,中心 プラズマ密度 0.7 のプラズマを30分維持することに成功した。 (4)加熱技術に関する交流: ○イオンサイクロトロン加熱用アンテナ 上記の実験における成果は大規模に行われた技術的交流の成果として位置付けられる。 イオンサイクロトロン共鳴加熱の重要な要素であるアンテナに関しても技術的な交流が行 われた。イオンバーンスタイン波加熱用アンテナに関しては先に記述したので、ここでは 速波を利用した加熱用のアンテナ(ICRF アンテナ)に関する開発の成果について述べる。 図 I1-10 は LHD 用に開発された ICRF アンテナである。先に述べた定常実験を目的として いるためファラデイシールドを水冷しており、定常化を目指す世界のアンテナ技術に先鞭 をつけるものとなった(参考論文[22])。拠点事業のなかではこのアンテナを利用したイオ ンサイクロトロン加熱の物理実験が行われ、また、次節に述べる核融合炉の燃料回収模擬 実験に関しても使われた。このアンテナの一部に使われるフィードスルー、DC カット と 呼ばれる部品に関しても交流が行われ、プラズマの耐圧をあげるエージングと呼ばれる運 転も共同で行われた。図 I1-11 は中国等離子体物理研究所の HT-7 装置用に開発された ICRF アンテナである。HT-7 装置では、同研究所で開発されたシリコンをドープした炭素材料を 使用し、不純物混入を抑える工夫がされている。このアンテナに関しては、フィードスル ーの改良が今後の交流のスケジュールの中に組み込まれている。DC カット に関する検討 は論文[23]として出版されている。 25 図 I1-10 LHDイオンサイクロ 図 I1-11 トロン波加熱用に開発されたア HT-7 装置ないに組み込まれたイオン ンテナ。真空容器内の写真。 サイクロトロン加熱用アンテナ。 中国等離子体物理研究所 ○イオンサイクロトロン加熱用液体スタブチューナー イオンサイクロトロン加熱においては、先に述べたアンテナとともに高周波回路のイ ンピーダンスを発信機のインピーダンスと適合させるインピーダンス整合器が必要である。 この部分には、大電力高周波が定在波として存在するので高圧高電流が発生する。従来整 合器には機械的接触による摺動型スタブチューナーが使われていたが、核融合科学研究所 独自の開発で液体の誘電率を利用した液体スタブチューナーが開発された(図 I1-12)[24]。 拠点事業の中でもこの技術に着目し、反射波の位相から整合に必要な液面高計算するコー ドの作成など開発の共同研究をおこなった[25]。 26 図 I1-12 核融合科学研究所 LHD 装置 のイオンサイクロトロン加熱用に設 図 I1-13 等離子体物理研究所 HT-7 装置 計製作された液体スタブチューナー。 用に開発された液体スタブチューナー。 定常プラズマ加熱を目的として特殊 液体輸送の微調整機構などに関して改 なオイルの誘電率の空気との違いを 良がなされた。 利用している。 拠点事業のなかでは、液体スタブチューナーを HT-7 装置及び建設中の EAST 装置に適用 するため、共同設計を行った。図 I1-13 は等離子体物理研究所に建設された液体スタブチュ ーナーである。液面高の微調整などに関して改良がなされた[26]。 ○その他、技術開発の側面 拠点事業を通じて行われた共同研究のまとめ、イオンバーンスタイン波加熱は核融合 科学研究所では、折りたたみ型アンテナとの組み合わせで行われた。折りたたみ型アンテ ナは、通常のループ型アンテナに比べて構造が単純であり、核融合炉の環境でもたえる設 計が可能とされている。LHD を使った実験では、アンテナ挿入の装置内空間にも制限があ り、プラズマ生成に使われた。この結果は中国研究者との連名の論文として出版されてい る[27]。また、速波による ICRF アンテナの進化を目指した共同研究としてはコムライン(櫛 型)アンテナの開発がある。このアンテナは LHD の電流駆動による特性改善を目標として 開発され、静的電気特性の測定により原理証明がなされた。連名の論文が書かれている [28]。 11B. 高性能炉心プラズマ閉じ込めのための計測および制御法の開発 (1)改善閉じ込めプラズマの生成に関する協力 ○LH遷移による閉じ込め改善プラズマ(Hモード) トカマク方式と異なる LHD では ICRF 加熱により長パルスが実現されているが、高性能 プラズマの定常維持のためには改善閉じ込めモードの実現と特性解明が不可欠である。LHD でも数年来の NBI 加熱入力の増大に伴いトカマクで観測されている LH 遷移(低閉じ込めの 27 L 状態から高閉じ込め状態の H 状態への遷移)を伴った H モードが実現されるようになった (図 I1-14)[29]。LH 遷移の実現にはプラズマ加熱電力が閾値を超える必要があるが、LHD の結果はトカマクプラズマで作られた閾値電力に対する ITER 経験則と極めて近いものとな っている(図 I1-15)。ただ、高ベータプラズマでの H モードの閉じ込め改善度は周辺部の MHD 不安定性で規定されており、まだ大きな改善が得られていない[30]。周辺の MHD 安定性 とエネルギー閉じ込めの更なる改善を目指して研究が進められている。たとえば、共鳴摂 動磁場の印加や逆方向プラズマ電流による周辺 MHD 安定性の改善が試みられている。本共 同研究は、K. Toi(核融合科学研究所), J. Li (以上中国科学院等離子体物理研究所)及 び X. Ding, L. Yan (以上、西南物理研究院)と共に LHD(核融合科学研究所)で行われた。 (a) (b) Te(eV)_1756ms Te(eV)_1856ms ne_1756m s ne_1856m s 1500 400 6 1.6 #54167 1.4 350 <n > e 1.2 <β 5 dia 1000 250 4 1 Hα 0.8 300 H > 200 3 0.6 150 500 2 100 0.4 n L e 1 0.2 50 0 2500 0 0 1.6 1.8 2 2.2 tim e (s) 2.4 3000 3500 4000 4500 0 R(mm ) 図 I1-14(a) LHD の LH 遷移を伴う改善閉じ込めプラズマ(H モード)の放電波形。(b)遷移前後 の電子温度と電子密度分布 図 I1-15 LHD で H モードを実現し たときの加熱電力と ITER 経験則と の比較 28 ○イオンバーンスタイン波加熱による閉じ込め改善 HT-7 トカマクでは 24MHzから 30MHz の高周波を 300kW まで入射して種々の条件で名 古屋タイプ III アンテナを用いてイオンバーンスタイン波加熱実験が行われ、磁場と周波 数に応じてイオン加熱だけでなく電子加熱も効率よく実現できることを確認した。これに ついては 11A.(2)で述べたがここではプラズマ輸送制御の観点からその成果を述べる。 30MHz の高周波入射時に Hα光の減少と電子密度の上昇が観測され粒子閉じ込めの明確な改 善が観測された(図 I1-16)。また、電子熱拡散係数の低減、すなわちエネルギー閉じ込め の改善も実現された。これは 1990 年ごろ名古屋大学プラズマ研究所の JIPP T-IIU トカマ クで試みられた結果を再現するものであり、その手法を 10 年以上にわたる日中協力 図 I1-16 HT-7 における IBW 加熱時に観測された改善閉じ込めモードと電子熱拡 散係数の IBW 存性。 を通して継承、さらに発展させたものといえる。このように HT-7 では改善閉じ込めの長パ ルスかに向けて新たな手法での閉じ込め改善の研究も進めている。この共同研究は、Y. Zhao(中国科学院等離子体物理研究所)、T. Watari,R. Kumazawa,T.Seki, K. Saito(以上、 核融合科学研究所)と共に実施された[11]。 (2)プラズマ粒子輸送や揺動制御に関する共同研究 ○電子密度変調による粒子拡散係数とピンチ速度計測 燃料補給に使われるガスパフ量を交流変調し、それに対する電子密度分布の応答測定 から粒子拡散係数及び粒子の対流速度を実験的に導出する実験が多くトカマクで行われて いる。LHD ではこのような密度変調実験を共同研究として進めてきた[31]。磁場が低いほど、 また大電力加熱になるほどプラズマ中心から外に向かう対流が大きくなり中心で凹の密度 分布となる。一方、HT-7 トカマクのオーミック加熱プラズマでは LHD と異なり内向きの粒 子束も観測された[32]。今後、両装置でさらに共同研究を推進し、JT-60U や HL-2A トカマ クとヘリカル装置 Heliotron-J(京都大学)の結果も取り入れて、トーラスプラズマの粒子閉 29 じ込めに関してさらに詳細な比較研究を行なう予定である。 ○超音速分子ビーム入射による高密度プラズマ生成 超音速分子ビーム入射は高密度トカマクプラズマを得るため西南物理研究所で 1995 年 ごろに開発され HL-1M トカマクに導入された。通常のガスパフ(ガス入射)に比べプラズ マ内部まで燃料ガスが浸透し中心に尖頭化した密度分布となり粒子閉じ込めが改善される ことが示された。この手法は、本協力事業として派遣された M. Matsuoka(三重大)により LHD へ導入され、現在高密度実験でアイスペレット入射とともに通常的に使用されている。 高密度化のためばかりでなく HL-2A トカマクでは超音速分子ビーム入射によりガス導入量 を変調し、そのプラズマ応答を第2及び第3高調波の電子サイクロトロン放射により測定 している。これにより電子温度と電子密度の変化の同時測定を試みている。超音速分子ビ ーム入射実験は HT-7 でも開始され、R. Sakamoto, K. Tanaka(以上、核融合科学研究所) が共同実験に参加した。 ○帯状流の検出と径電場シアの制御実験 HT-7 プラズマの極周辺部において静電プローブにより帯状流(ZF)の測定が行われ、 ZF と思われる電位揺動を観測した[33]。T. Watari(核融合科学研究所)によって拡張され たトカマクとヘリカルプラズマにおける帯状流の減速機構の理論と比較検討が行われた [34]。径電場シアの揺動への効果を見るため径方向にわずかにずらした位置に挿入した2 電極によるバイアス実験が小型トカマク KT-5C で行われている。 (3)MHD平衡及び安定性と高ベータプラズマの生成に関する共同研究 高性能プラズマの生成と定常維持のためにはプラズマ輸送ばかりでなく MHD 平衡と 安定性、さらには高ベータプラズマ生成に関する研究も重要である。高性能プラズマでは プラズマ圧力が急激に増大し安定限界に近づくので MHD 安定性研究とその制御は必須で ある。 ○磁気センサーなしのプラズマ位置フィードバック制御 トカマクではプラズマの位置や形状をプラズマのすぐそばの真空容器内に設置した磁 気コイルや磁束ループなどのセンサー信号を用いてフィードバック制御する必要がある。 しかし、核融合炉ではこれらの磁気センサーはきわめて高い中性子や放射線に曝され、さ らに数百度の高温の厳しい環境に設置され、多くの損傷を受けやすく、しかも交換はきわ めて困難である。したがって、制御系としてはかならずしもロバストとはいえない。この ような制御を、これらの磁気センサー信号に頼らないコイル電源の電圧・電流のみを使用 して行おうとする試みが K. Nakamura (九大)により TRIAM-1M で始められ、ついで HT-7 に 応用された。このような制御のもうひとつのメリットは磁気センサー信号の時間積分が不 要であり、積分回路のドリフトの問題も回避できる。HT-7 ではプラズマ位置のみの制御が 30 行われたが、水平位置がプラズマ小半径の 2%以内に精度よく制御された[35,36]。この共同 研究は、K. Nakamura と Z.S. Ji, J.R. Luo(中国科学院等離子体物理研究所)が中心にな って進められ、成果をあげ、世界初の超伝導トカマク EAST への適用が検討されている。さ らにこの方式による形状制御も計画されている[37]。 ○MHD不安定性測定 MHD 不安定性はプラズマに巨視的な大きな変形をもたらすので種々の計測機器によっ て計測されている。最近注目されている高速度軟X線接線カメラにより MHD モードの構造 の測定法が LHD で開発された。最近、TEXTOR トカマク(ドイツ)にも適用し TEXTOR ト カマクに適用し、動的エルゴデッィクダイバータ磁場の印加時に発生する磁気島構造の時 間発展を計測した。S. Ohdachi(核融合科学研究所)と Y. Liu(西南物理研究院)との協力に よりLHDの 軟X線 2 次元像からの放射強度及びその揺動分布をトモグラフィー法にて導 出した。 ○球状トカマクによる新しい平衡配位と制御 球状トカマクは高ベータプラズマを実現でき、しかもオーミックコイルであるセンタ ーソレノイドなしでの運転が可能であり簡素化された先進核融合炉につながる可能性があ る。LATE 装置(京大)を用いた球状トカマクプラズマ生成に関する共同研究が進展してき ている。LATE では電子バーンシュタイン波によるプラズマ加熱と電流駆動のみで球状トカ マク配位を実現した(図 I1-17 )[38, 39]。また、SUNIST(清華大学)の設計、製作には LATE 建設の経験とアイデアが活かされた。また、SUNIST はまずオーミック加熱により球状トカ マクを実現したが、さらに LATE で行われているマイクロ波のみによる球状トカマク配位の 形成の実験を開始した[40]。LATE 及び SUNIST の共同研究は、T. Maekawa(京都大学)と Y. He(清華大学)を中心に進められた。 図 I1-17 LATE において 2.45GHz マイクロ波のみによって立ち上げ れたプラズマ電流と予想される球状トカマク配位。 31 (4)周辺プラズマ制御とダイバータ特性に関する共同研究 ダイバータの構造と機能、またスクレープオフ層(SOL)プラズマの特性は、高性能プラ ズマの生成と定常維持に深くかかわっている要素である。HL-2A はポロイダルダイバータ を有するトカマクであり、また EAST(中国科学院等離子体物理研究所)はポロイダルダイバ ータを有する超伝導トカマクである。このため、HL-2A 及び EAST の研究メンバーが LHD でのダイバータ実験の共同研究に参加している。LHD はトカマクと異なるヘリカルダイバ ータや局所磁気島ダイバータ(LID)を有しているがダイバータプラズマ特性研究の手法に は類似点が多く有効な共同研究が進展しつつある(図 I1-18)[41]。 図 I1-18 LHD のヘリカルダイバータと LID ダイバータヘッドの構造図。 (5) 高性能プラズマのための先進計測法の開発に関する共同研究 信頼性が高く高度の性能を有するプラズマ診断法の開発は、先進核融合炉実現に向け て必須である。高時間、高空間分解能を有し、2次元、3 次元の計測法の開発が進んでいる。 ダイバータや SOL プラズマの分光計測、さらには主プラズマの不純物計測は高性能プラズ マを得るためには不可欠である。LHD では各種分光計測法が開発されプラズマ中心部や周辺 部の不純物輸送実験に活用されてきた[42, 43]。これらの各種分光計測法の HT-7 や HL-2A への適用に向けての共同研究が行われた。これらの手法はトカマクへもそのまま適用でき るものである。この課題についてはまだ日本側からの指導という局面が強いが、上記の稼 働中のトカマク実験を通じて急速なレべルアップが期待される。 3.今後の課題と期待される成果 これまで5年間の協力研究の進展の状況と今後の具体的な問題点が明らかとなった。 これによる今後の本拠点大学方式協力の効率よい進展が期待できる。具体的には、 JT-60U,HT-7, HL-2A、LHD、H-J、LATE、SUNIST などのトーラスを用いた実験に加え、来年 32 から稼動予定のトカマク EAST での協力研究が可能となる。このような状況を考慮すると、 下記の課題の研究が大幅に進展するものと期待される。すなわち、 (1)高閉じ込めに必要な輸送障壁形成に対する回転変換分布、磁気シア、磁気島、エル ゴデッィク層などの磁場構造の依存性の明確化とその最適制御法の確立、 (2)先進的な加熱・電流駆動法ならびにプラズマ計測法を駆使したプラズマ圧力・流速 及び電流分布制御によるプラズマの MHD 安定性向上による高閉じ込め・高ベータプ ラズマ生成の手法の確立、 (3)ダイバータ形状、燃料補給法や第一壁コンデショニングの最適化による粒子・熱流 の制御により高性能プラズマの長時間保持に対するシナリオの確立、 などが主要課題である。過去 5 年間の本拠点事業は、(1)から(3)の必須課題をくまな く取り込んでいるが今後はこれらの課題で残された重要な課題に取り組むと共に、総合性 能に優れたプラズマ生成を目指す。このような試みは、JT-60U(日本原子力研究所、現日 本原子力研究開発機構)にて実験が開始され、一部が共同研究で進展している。 JT-60U では ITER や DEMO 炉に向けた高性能トカマク(AT)運転シナリオの確立を目 指して研究を進めている。これには高性能のプラズマの定常化が必要であり、高規格化ベ ータ値βN と高いブートストラップ電流比率 fBS の実現が不可欠である。JT-60U では 2 種類 の内部輸送障壁を有する改善閉じ込めプラズマ、すなわち通常の正あるいは弱磁気シア配 位で実現される「高βp プラズマ」と通常のトカマク配位と異なる「負磁気シアプラズマ」 を実現し、プラズマ圧力及び電流分布(あるいは安全係数分布)制御などを駆使して性能 の総合的改善と長パルス保持を目指している。プラズマ圧力と電流分布制御によってβN=3 の放電は磁場配位の変化の特徴的時間(τR)の 4 倍以上維持することに成功した。また、弱磁 気シアプラズマでは fBS=45%をτR の 3 倍維持した。負磁気シアプラズマでは fBS=75%をτR の 3 倍維持した。ただし、βN と fBS が共に高い放電をτR に対して十分長く維持することは まだ実現できていない。JT-60U では ITER の標準運転である周辺輸送障壁を有する H モー 図 I1-19 JT-60U における長パルス H モードにおける粒子リサイクリングの影 ドの長時間維持の研究も進めている。本年度開催したセミナーにおいて、30 秒に達する長 33 パルス H モードが実現されたことが報告された(図 I1-19)[44]。しかしながら、放電の後 半から第1壁との粒子リサイクリングが増大し(Dα信号の放電後半に向かっての連続的増 加)、閉じ込め性能の低下に至った。この結果はダイバーと性能の改善による粒子リサイク リング制御の重要性を示唆している。本事業の共同研究における今後の最重要課題のひと つである。 34 論文リスト [1] T.Watari, T.Mutoh, R.Kumazawa, Y.Zhao, et al., "The performance of ICRF Heated Plasma in LHD"、Nuclear Fusion, 41(2001)325. [2] R.Kumazawa, K.Saito, Y.Torii, Y.Zhao, et al., " Confinement characteristics of high Energy Ions Produced by ICRF Heating on the Large Helical Device", Plasma Physics and Controlled Fusion, 45(2003)1037.. [3] T.Mutoh, R.Kumazawa, T.Seki, Y.Zhao, et al., " Ion Cyclotron Range of Frequencies Heating and High-Energy Particle Production in the Large Helical device", Nuclear Fusion, 43(2003)738 [4] T.Seki, R.Kumazawa, T.Mutoh, A.Fukuyama, et al.," Three dimentional Calculation Analysis of ICRF Heating in LHD", Journal of Plasma and Fusion Research, SERIES, Vol., 6(2004)655. [5] K.Saito, R.Kumazawa, T,. Mutoh, Y. Zhao, et al., "Ion and Electron Heating in ICRF Heating Experiment on the LHD", Nuclear fusion, 41(2001)1021. [6] Y. Torii, T. Watari, R. Kumazawa, K. Saito, T. Mutoh, Zhao Yanping, et al., "Derivation of energy confinement time and ICRF power absorption in LHD by power modulation", Plasma Physics and Controlled Fusion, 43 (2001) 1191-1210. [7] ZHAO.Yanping, et al., "Ion Bernstein Wave Heating Experiments in HT-7 Superconducting Tokamak", in proc. 18th IAEA Fusion Energy Conference, 2000, EXP4/30. [8] Zhao.Yanping.et al., "Heating and Active Control of Profiles and Transport by IBW in the HT-7 Tokamak", in proc. 19th Fusion Energy Conference, EX/P3-21. [9] (参考)T. Seki, R. Kumazawa, T. Watari, et al., "High Frequncy Ion Bernstein Wave Heating Experiment on the JIPP T-2U Tokamak", Nucl. Fusion, 32 (1992) 2189. [10] Y. P. Zhao, J. Li, J. R. Luo, et al., “Electron heating by ion Bernstein wave in the HT-7 tokamak”, Plasma Phys. Control. Fusion, 43 (2001) 343 [11] Y.Zhao, et al., "Ion Bernstein wave Heating experiments in HT-7 superconducting tokamak" in proceedings of JSPS-CAS Core University Program Seminar on Production and Steady State Confinement of High Performance Plasmas in Magnetic Confinement Systems, Hefei, 2005, to be published in Plasma Science and Technology, [12] Baonian Wang, Yanping Zhao, Jiangang Li, T.Watari, T.Seki et al., "Control of profiles and transport by ion Bernstein waves in Hefei Tokamak-7", Physics of Plasmas, 10(2003)3707. [13] Baonian Wang, Yuejiang Shi, Guosheng Xu, T.Watari, T.Seki. et al., "Recent progress on Steady State high performance plasma research" Physics of Plasmas, 11(2004)2543. [14] (参考)M. Ono, “ Ion Bernstein wave heating research”, Phys. Fluids B, 5 (1993) 241 [15] (参考)B. LeBlanc, S. Batha, R. Bell, et al.,” Active core profile and transport modification 35 by application of ion Bernstein wave power in the Princeton Beta Experiment”, Phys. Plasmas, 2 (1995) 741 [16] Y.Torii, T.Watari, H.Kitagawa, et al., "Assesment of flow drive by use of ion Bernstein wave on Heliotron J and EAST Device", to be published in Plasma Science and Technology(2005). [17] (参考)Yuki Torii, Masayuki Yokoyama2, Yasuhiro Suzuki2, et al., "Study of a poloidal flow driven by ion Bernstein waves in a non-Axisymmetric configuration", submitted to Nuclear Fusion(2005). [18] Y.Torii, R.Kumazawa, T.Watari, Zhao Yanping et al., "The propagation of ion Bernstein wave in torsatron/heliotron magnetic configurations", Physics of Plasmas, 10(2003)3692-3702. [19] Baonian Wan, Jiarong Luo, Jiangang Li, T.Watari, T.Seki, S.Morita, K.Toi, K.Tanaka, et al., " Overview of the latest HT-7 experiments", Nucl.Fusion, 45(2005)S132-141 [20] R.Kumazawa, T.Mutoh, K.Saito, T.Seki, T.Watari, Y.Zhao et al., "Long-Pulse Plasma Discharge on the Large Helical Device", to be published in Nuclear Fusion (2005). [21] T.Mutoh, S.Masuzaki, R.Kumazawa, T.Seki, K.Saito, T.Watari, Y.Zhao et al., "Thirty Minute Plasma Sustainment by Real Time Magnetic Axis Swing for Effective Divertor Load Dispersion in the Large Helical Device", to be published in Physics of Plasmas. [22] ( 参 考 ) T.Mutoh, R.Kumazawa, T.Seki, F.Shimpo, G.Nomura, T.Ido, T.Watari, J.-M.Noterdaeme, Y.Zhao, "Steady State Tests of High Voltage Ceramic Feedthrough and Co-Axial Transmission Line of ICRF Heating System for the Large Helical Device", Fusion Technology, Vol.35, No.5(1999), pp.297-304. [23] Li Guochao, Zhao Yanping, Maoyu Zhou, Ding JaYi, XueDiYe, T.Watari, R.Kumazawa, "Design of hign power DC-Break For ICRF of EAST", Plasma Science and Technology, Vol. 2, 2005. [24] (参考) R. Kumazawa, T. Mutoh, T. Seki, Y.Zhao et al., ""Liquid stub tuner for ion cyclotron heating", Review of Scientific Instruments, 70 (1999)2665, [25] K.Saito, Y.Torii, R.Kumazawa, Y.Zhao et al., " Liquid impedance matching system for Ion cyclotron heating". Review of Scientific Instruments, 71(2001)2015. [26] Pan. Yaping, Wang. Lei, Y.Zhao, Qin Chenmin, R.Kumazawa, T.Seki, et al., "Design and realization of liquid stub tuner control system", Plasma Science and Technology, 6(2004) 2532. [27] Y. Torii, R. Kumazawa, T. Seki T. Mutoh, T. Watari, Y.Zhao, et al. "Plasma production experiments using a folded waveguide antenna on LHD" Nuclear Fusion, 42(2002)679-688. 36 [28] N.Takeuchi, T.Seki, Y.Torii, Y.Zhao, et al, "Studies on the Electric Properties of LHD combline antenna", to be published in Fusion Science and Technology(2005). [29] Toi, S. Ohdachi, S. Yamamoto, N. Nakajima, S. Sakakibara, X. Ding, J. Li et al., Nucl. Fusion 44 (2004) 217-225. [30] [31] K. Toi, S. Ohdachi, F. Watanabe, K. Narihara, T. Morisaki, X. Gao, L. Yan et al., “Formation of Edge Transport Barrier by LH Transition and Large Reversed Plasma Current on LHD”, submitted to Plasma Science and Technology (2005). K. Tanaka, C. Michael, K. Kawanata, T. Tokuzawa, M. Shoji, K. Toi, X.Gao,Y.X.Jie and HT7 experimental group and LHD experimental group, “Density Modulation Experiment in HT7 and LHD”, submitted to Plasma Science and Technology (2005). [32] K.Tanaka1), X.Gao2),Y.X.Jie2), R.Sakamoto1), K.Toi1) and HT7 group, “Density modulation experiments on HT7 tokamak ”, Chinese Physics Letters 21 (2004) 2458-2460. [33] G.S.Xu and B.N.Wan, “Measurement of Zonal Flows in a Tokamak using Langmuir Probe Array”, submitted to Plasma Science and Technology (2005). [34] T. Watari, Y. Hamada, A. Fijisawa, K. Toi and K. Itoh, “Extension of geodesic mode theory to helical systems”, Phys. Plasmas 12 (2005) 062304-1~8. [35] K. Nakamura, Z.S. Ji, B. Shun, P.Q. Qin, S. Itoh et al., “Sensorless sensing of plasma horizontal position on HT-7”, Fusion Eng. and Design 66-68 (2003) 771-777. [36] . K. Nakamura, Z.S. Ji, B. Shen et al., “Magnetic Sensorless Sensing of Plasma Position in the Superconducting Tokamak HT-7”, Plasma Science and Technology 6 (2004) 2559-2563. [37] K. Nakamura, J. R. Luo, H. Z. Wang, Z. S. Ji, H. Wang et al., “Magnetic Sensorless Control of Plasma Position and Shape in a Tokamak”, submitted to Plasma Science and Technology (2005). [38] T. Maekawa, H. Tanaka, M. Uchida, H. Igami et al., “Formation of ST Plasmas by ECH on LATE”, presented at 4th General Science Assebly of Asia Plasma & Fusion Association on New Development of Plasma Physics and Fusion Technology, 13-17 Oct., 2004, Hangzhou, China, Paper No. MCE-09 (poster). [39] T. Maekawa, H. Tanaka, M. Uchida, H. Igami et al.,”Formation of Low Aspect Ratio Tokamak Equilibrium by ECH in the LATE Device”, submitted to Plasma Science and Technology (2005). [40] Y. He, L. Zhang, C. Feng, H. Fu et al., “Preliminary experiment of plasma current startup by ECR wave on SUNIST spherical tokamak”, submitted to Plasma Science and Technology (2005). [41] T. Morisaki and LHD experimental group, “Review of Divertor Study in LHD “, submitted to Plasma Science and Technology (2005). [42] S. Morita, M. Goto et al., “Effect of Neon Glow Discharge on Ion Density Control in LHD”, Plasma Science and Technology 6 (2004) 2269-2272. 37 [43] S. Morita, M. Goto, S. Muto, X. Gong, J. Li, B. Wan, Z. Cui et al., “Spectroscopic Studies on Impurity Transport of Core and Edge Plasmas in LHD”, submitted to Plasma Science and Science (2005). [44] S. Ide et al., “Long pulse operation of high performance plasmas in JT-60U”, submitted to Plasma Science and Technology (2005). 38 I-2 プラズマ・壁相互作用研究 1.研究の目的,意義,課題 磁気閉じ込め方式核融合炉では,磁場により高温の炉心プラズマを固体容器壁から離して保持する。 しかし,プラズマの周辺部から流出する粒子と熱はダイバータ,第一壁と呼ばれる固体壁と相互作用する。 その相互作用の理解・制御は核融合炉の成立にとって重要な研究課題となっている。目標は壁表面から発 生する不純物の混入を抑制し,プラズマ性能改善を図ること,プラズマによる壁表面の損傷,損耗を抑え, 長時間運転に耐える長寿命の壁を実現することである。具体的には(1)プラズマからの熱・粒子束に耐 える対向壁材料の開発, (2)熱・粒子照射による壁材料表面の損傷,損耗評価, (3)実機プラズマ実験 装置におけるプラズマ・壁相互作用の理解,(4)対向壁中の水素蓄積抑制,表面状態制御などの課題を とりあげ,本共同研究で実験を進めてきている。以下に主要な成果をまとめる。 2.研究の成果 対向壁材料として,混入によって引き起こされるプラズマ特性劣化が比較的制御しやすいとされる低原 子番号(低 Z)材料,損耗が小さく,長時間運転で長寿命が将来期待される高 Z 材料の 2 つのアプローチ があり,日中それぞれで開発が進められている。本共同研究では中国で開発中の不純物添加黒鉛(低 Z), 日本で開発中のタングステン(高 Z)を主に取り上げ,評価実験を実施した。また,中国で運転中の超伝 導トカマク実験装置 HT-7 の対向壁損傷,損耗の評価,HT-7 で実績のある高周波による壁調整法の大型ヘ リカル装置(LHD)適用,関連する基礎研究などの共同実験が進展した。 (1) 不純物添加黒鉛 (doped-graphite) の評価実験 1800 黒鉛はこれまで多くのトカマクで対向壁材として では化学スパッタリングによる損耗が懸念されてお り,不純物添加によってこれを抑える試みがされてい 12 10 1200 8 1000 800 6 600 4 400 2 る。中国では,合肥の等離子体物理研究所で間もなく 1400 HEAT FLUX(MW/M ) 実績がある。しかし,将来の長時間,高温壁運転条件 Surface temperature(oC) 使用され,プラズマ性能を劣化させないという点での 14 Heat Flux CX-2002U Doped graphite BSTDG IG-430U Pure graphite 1600 2 実験開始される EAST トカマク装置 (HT-7U) の長 200 0 0 時間プラズマへの適用を想定し,ボロン,シリコン, チタンを添加した黒鉛材料(doped-graphite)の開発, 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 Elapsed time(second) Fig. 4 Thermal response of carbon based materials at surface to heat flux 最適化を目指す研究を太原の煤炭化学研究所と共同 図 I2-1: 黒鉛試料等の熱負荷試験結 で進めている。本共同研究ではその研究を中心になって進 めている煤炭化学研究所の Guo 氏が数回にわたって核融 合科学研究所を訪れ,電子ビーム試験装置 SUT を用いた 熱負荷実験を実施した[1]。表面温度測定の典型的な結果 が図 I2-1に示されている。添加不純物 1%B, 2.5%Si, 7.5%Ti の黒鉛(BSTDG)に対し,熱負荷を 0.5 MW/m2 か ら 8 MW/m2 まで段階的に上げた実験の例で,この熱負荷 まで材料は損傷なく使用できることが確認された。6 MW/m2 から 8 MW/m2 に負荷をあげたところで,表面温 度の非線形な上昇が見られるが,この温度領域での添加物 39 図 I2-2 熱 伝導率の温 度依存 挙動に起因するものと理解されている。比較として日本製の等方性黒鉛 IG-430U,CC 複合材 CX-2002U の結果が示されている。図 I2-2はこれらの材料の熱伝導率を本共同研究の実験結果に基づいて比較,評 価した結果である[1]。doped graphite (BSTDG)の熱伝導率温度依存が他に比較し小さいことを示してい る。核融合科学研究所で実施した昇温脱離実験により,1400 ℃のプリベーキングで吸蔵残留ガスを一桁 以上減少できることも確認した。これらにより,中国製のコストパフォーマンスのよい材料が将来の装置 で使用できる展望が開け,対向壁材料の選択肢拡大とデータベース拡充を図ることができた。 (2) タングステン被覆黒鉛の評価実験 プラズマ粒子による損耗を抑え,長寿命の対向壁を実現するひとつの可能性は,損耗に強いタングステ ン等の重金属元素を採用することである。日本では黒鉛,CFC 複合材にタングステンをプラズマスプレイ 法で被覆する研究を進めてきた。ひとつの問題は,高温条件下で炭素がタングステン被覆層に拡散し,炭 化物を形成して脆化することを如何に抑えるか,という課 題で,拡散障壁としてレニウム中間層を挿入することが試 みられている。そこで試作された材料評価する研究を計画 し,西南物理研究院の Liu 氏が2度にわたって九大に滞在 し実験を行った[2-5]。目的はレニウム中間層の機能の確認 と,材料の使用限界を調べることであった。試料は CFC 複 合材表面に 0.5 mm 厚のタングステン被覆を施したもので, 中間に 20 µm のレニウム層を3層コーティングしている。 熱負荷試験前の作成直後の試料では,3層のうち,基板に もっとも近い層が一部炭化しており,この層が障壁となっ てそれ以上炭化が進行しないことが確かめられていた。炭 化の進展を推測する指標として,断面のビッカース硬度を 測定した結果[5]の一例を図 I2-3に示す。熱負荷をかけて それぞれの温度で1時間保持した後の結果であるが,硬度 が中間層で上昇していることが示されている。温度が高い ほど拡散が早く,炭化層の厚みは増大している。顕微鏡に よる断面観察で見た 結果が図 I2-4である 図 I2-3 タングステン被覆 CFC 界面 の熱負荷試験後のビッカース硬度 [5] 温度(a) 1800 ℃ (b) 2000 ℃ [5]。図 I2-3の結果と よい対応が確認でき る。このような実験を 系統的に行うことに より,レニウム中間層 を越えて炭素の拡散 が 始 ま る 温 度 は 1300℃であることが 図 I2-4 わかり,許容限界温度 よる構造変化[5]。(a) 1600 ℃, (b) 1800 ℃, (c) 2000 ℃, それぞれ1時間保持 レニウム中間層のあるタングステンコーティング境界層の熱負荷に のひとつはこれで決 まることが明らかになった。 40 一方,表面の再結晶化により,高温で結晶粒 径が変化する様子を示した結果が図 I2-5であ る[3]。粒径の増加に伴ってマイクロクラックが 形成され,それが損耗率,水素等のガス吸蔵量 の増大につながることが確認され,粒径増大が 使用限界を決めるもうひとつの要因となること が明らかになった。図からわかるように,こち らも 1300℃が限界温度となることを示してい る。 以上の結果により,プラズマスプレイ法コー ティング材料の使用限界およびそれを決定する 要因が明確になった。 図 I2-5 再結晶化による結晶粒径の変化 (3) バナジウム合金へのヘリウム照射実験 ブランケット構造材料として有望視されているバ ナジウム合金(V-4Ti, 中国製)へのヘリウムプラズ マ照射実験を,西南物理研究院の Liu 氏が北大に滞 在し ECR プラズマ装置を用いて行った。冷間圧延 後の材料,及びそれを 1223K で熱処理した材料につ いて実験した。照射イオン積分量は 1 ~ 8 x 1017/cm2, エネルギーは ~ 5 keV,照射時温度は室温であった。 この条件で,径 0.1 µm 程度のブリスター生成が観 測され,その密度は照射量と正の相関を持つことが 顕微鏡観察によって確認された。一方,ヘリウムの 蓄積量は昇温脱離法(TDS)で調べられ,図 I2-6の 結果が得られた[6]。蓄積量は 2.5 x 1017/cm2 で飽和 図 I2-6 バナジウム合金へのヘリウムプラ ズマ照射によるヘリウム蓄積量 [6] していることが認められた。この値は他の材料と比較して 特に多い量ではない。ヘリウム蓄積量という観点だけから は,ブランケット表面に特別の保護層を必要とせず,バナ ジウムを直接核融合プラズマにさらすことも可能であると 結論される。 (4) HT-7 トカマクでプラズマ照射された対向壁材料表面 合肥の等離子体物理研究所では,現在 HT-7 という超伝 導トカマク装置による炉心プラズマ実験が進行中である。 また,来年 EAST (HT-7U) トカマク実験開始が予定されて おり,EAST の長時間運転を想定したプラズマ対向壁開発, 図 I2-7 HT-7 のトロイダルリミタ プラズマ・壁相互作用研究が進められている。 等離子体物理研究所の Hu 氏により,HT-7 トカマクでの対向壁(リミター)の損耗,堆積の状況を核融 合研の分析装置等を用いて詳しく調べる実験が行われた。図 I2-7は装置内のトロイダルリミターの写真 41 である。トーラス上下に,写真のようなタイルを設置し,トロイダル一周のリミターとして使用している。 運転中,プラズマ端部はタイル列のほぼ中央に接している。前述の doped-graphite に,CVD 法によって 50 ~ 100 µm 厚のシリコンコーティングを施した材料を用いている。Si は,酸素と強く化合してプラズマ 中への酸素混入を抑える働きをすることが HT-7 の実験でわかっており,その効果を強化する目的でコー ティングされた。目視では,磁場リップルに起因すると見られる堆積不均一が観察されているが,広い面 積 に わ た っ て Si 被 覆 層 が 残 留 し て い る こ と が 推 察 さ れ た 。 そ の こ と を 核 融 合 研 で の EDS (Energy-Dispersive X-ray Spectroscopy), XPS (X-ray Photoelectron Spectroscopy)分析実験で確認した。図 I2-8(b), (c) は EDS によるタイル表面2次元観察結果であり,シリコン,および基板からなんらかの原 因で表面に移動したと見られる炭素の分布が得られている。このように薄い層であるにもかかわらず,運 転中に完全に消失せず,不均一ながら保持されていることがわかった。結果をまとめた論文は,Hu 氏に より第32回ヨーロッパプラズマ物理ヨーロッパ会議で発表され [7],現在 Plasma Physics and Controlled Fusion 誌に投稿中である。 図 I2-8 リミター表面の堆積層 (a) 顕微鏡写真,(b) EDS 分析による Si 分布,(c) 同じく炭素分布 [7] (5) 高周波による強磁場中での壁コンディショニング実験 超伝導装置では,強磁場が存在するために従来標準的に用いられているグロー放電洗浄法が使用できな い。そこで,ショット間に高周波放電を適用し,ボロンその場コーティング(ボロニゼーション)や蓄積 水素同位体除去の試みが行われている。HT-7 では高周波コンディショニング法の研究で実績を持ってお り,LHD に適用する実験が従来から提案されていた。平成16年度に,等離子体物理研究所から Hu Jiansheng 氏と Zhao Yanping 氏が参加し,高周波放電洗浄実験を初めて LHD で実施した。中国側提案 の最終目標は高周波ボロニゼーションであるが,今回の実験では,ヘリウムガスによる放電条件,及び放 電中の壁からの水素除去確認を目標とすることとした。 LHD のボロニゼーションではジボランガス中 のグロー放電を磁場なしの状態で行っており,一方,HT-7 では磁場中でのボロニゼーションがルーティ ン化している。真空容器リーク時の大気による汚染からの復旧が格段に早くなると報告されており,中国 側からは熱心な提案が行われている。しかし,LHD のジボランガス供給システムと高周波システムの同 時適用のために一部装置改造が必要なため,今回は見送ることとなった。はじめにプラズマ点火確認のた めの実験を行い,高周波放電は充填ヘリウム圧力及び高周波入力パワーの広い範囲で可能であることがま 42 ず確認された。水素除去実験は,磁場強度 2.75T ,2本のアンテナを使い,高周波パワー3 秒(on)+2 秒(off)の連続モジュレーション条件に設定して行った。 -2 -3 ガス圧スキャン範囲は 2 x10 ∼ 2 x10 Pa,パワースキャンは 8∼149 kW (net power) であった。そ のときの全圧,ヘリウム分圧,水素分圧などの時間的変化を図 I2-9に示す。高周波パワーを投入し,プ ラズマが発生すると水素分圧は 0.02 Pa から 0.04 Pa に上昇し,放電によって水素が除去されているこ とがわかる。 時刻 10:40 付近で 7.5U アンテナからの入力を追加し,パワーを増加させている。わずか ではあるが,水素分圧の上昇が観測されている。この実験で,強磁場中のヘリウム高周波放電洗浄による 水素除去の可能性が示唆されたが,最適条件,定量的な評価のためには今後さらに実験を行う必要がある。 グロー放電ができない,という問題は超伝導核融合実験装置に共通する問題であるため,本研究はITER グループからも関心をもたれており,ITPA活動とも連携して実施された。本実験結果はEPS会議の後タ ラゴナで開催されたITPA/IEA ミーティングで芦川より報告された[8]。 3. おわりに 全圧力 (Pa) 第2節で報告した実験 の準備,打ち合わせ,また 結果の討論のため,日中間 で研究者の相互派遣が毎 年数件実施され,共同研究 高周波印 加 の推進,充実に重要な役割 前のレベル を果たした。また,日中の プラズマ・壁相互作用研究 全般の水準を高める目的 で,中国で開催される国際 会議に双方の研究者が参 加し,交流する機会をもつ 水素分圧上昇 時刻 高周波パワー on ことを積極的に進めてき た [9,10]。 図 I2-9 高周波コンディショニング時の水素分圧変化 共同実験研究では,上述 のように,プラズマからの熱・粒子束に耐える対向壁材料の開発,熱・粒子照射による壁材料表面の損傷, 損耗評価,実機プラズマ装置によるプラズマ・壁相互作用の理解などの課題で具体的な成果があがり,対 向壁中の水素蓄積,表面状態制御などについても平成16年度末から17年度にかけて進行中である。静 岡大,富山大グループが参加し,16年度から第一壁中のトリチウム蓄積研究も開始された。平成18年 には合肥において第17回プラズマ・表面相互作用国際会議開催が予定されており,本共同研究成果の発 表,本分野におけるより広い交流を推進していく。 (論文リスト) [1] Q. G. Guo, J. G. Li, N. Noda, Y. Kubota c, J. L. Chen, Zh.J. Liu, L. Liu, J. R. Song, “Selection of candidate doped graphite materials as plasma facing components for HT-7U device”, Journal of Nuclear Materials 313–316 (2003) 144. [2] X. Liu, N. Yoshida, N. Noda, F. Zhang, Z. Xu, Y. Liu, “Erosion and erosion products of tungsten and carbon-based materials irradiated by a high 43 energy electron beam” Journal of Nuclear Materials 313–316 (2003) 399. [3] X. Liu, S. Tamura, K. Tokunaga, N. Yoshida, N. Noda, L. Yang, Z. Xu, “High heat flux properties of pure tungsten and plasma sprayed tungsten coatings”, Journal of Nuclear Materials 329-333 (2004) 687. [4] S. Tamura, X. Liu , K. Tokunaga , Y. Tsunekawa , M. Okumiya , N. Noda , N. Yoshida, “High-temperature properties of joint interface of VPS-tungsten coated CFC”, Journal of Nuclear Materials 329-333 (2004) 711. [5] X. Liu, L. Yang, S. Tamura, K. Tokunaga, N. Yoshida, N. Noda, Z. Xu, “Thermal response of plasma sprayed tungsten coating to high heat flux”, Fusion Engineering and Design, Vol.70 (4) (2004) 341. [6] X. Liu, T. Yamada, Y. Yamauchi, Y. Hirohata, T. Hino and N. Noda, “Helium retention of vanadium alloy after energetic helium ion irradiation, Fusion Engineering and Design, Vol.70 (4) (2004) 329. [7] J. S. Hu, N. Ashikawa, J. G. Li, X. D. Zhang, N. Noda., “Erosion/deposition of doped graphite tile with SiC coating under a Long Term plasma operation HT-7”, A poster contribution P4.001 in 32nd EPS Plasma Physics Conference, Tarragona. [8] N. Ashikawa, J. S. Hu, Y. P. Zhao, T. Mutoh, T. Seki et al., “ICRF H/D removal in LHD”, presented in 6th ITPA/IEA meeting on SOL/divertor physics, July 4-7, 2005, Tarragona. [9] 第7回炉材料シンポジウム(2002年7月,蘭州)への参加,発表(5件) N. Noda, “Plasma Facing Materials in LHD and Collaboration Activities with China” N. Yoshida, “Effect of Helium Plasma on Material Properties and PWI” T. Hino, “Plasma surface interactions on low activation materials” X. Liu, S. Tamura, K. Tokunaga, N. Yoshida, N. Noda, “Microstructure change of plasma spraying tungsten coatings on CFC after different temperature annealing” (平成 13 年度 X. Liu 氏が九大に滞在し、行った実験をまとめたもの) J. L. Chen, J. G. Li, M. Y. Ye, D. M. Yao, N. Noda, Y. Kubota, Q. G. Guo, N. Yoshida, K. Tokunaga, “Development of Candidate Plasma Facing Materials for Steady State Operation of the HT-7U Superconducting Tokamak” (平成 13 年度 J. L. Chen 氏が NIFS に滞在し行った実験結果を含む) [10] 第4回アジアプラズマ核融合学会(APFA2003, Oct. 2003, Hangzhou)への参加,発表(2件) T. Hino, “Deuterium Retention and Physical Sputtering of Low Activation Ferritic Steel” N. Yoshida, “Microscopic Damage and Helium Behavior in Metal Exposed to He Glow Discharge Cleaning in LHD” 44 I-3 原子・分子過程 核融合プラズマに於いては、炉心プラズマはもとより周辺及びダイバータープラズマ も含め、高温から低温プラズマまでの広い領域に渡り原子過程(電離、励起、放射再結合、 二電子性再結合、電荷移行など)はプラズマ性能の評価及び改善に対して必要不可欠であ る。特にプラズマ物理の進展に見合う新計測法を開発するために、これを支える原子分子 過程の基礎データを充実する必要性が急務である。又原子分子過程を用いて新しい計測法 を開発することも求められている。ダイバーター等での不純物による放射が炉心プラズマ に与える影響も実験的に行われつつあるが、不純物放射のプラズマ閉じ込め性能に対する 役割は不純物輸送を含めまだ解明されていない。これらの問題を解明するためには不純物 イオンからの放射に関する詳細な原子分子データ及びプラズマ密度及び温度に対する放射 の依存性を調べる必要がある。又周辺及びダイバータープラズマでも壁から放出された分 子がどのようにプラズマ中で解離し電離するか、放出された分子及び原子がどのような励 起状態にあるか等まだ未解決な問題が多い。これらの問題の解決には原子衝突実験及び理 論の発展が不可欠である。本研究により日本及び中国の研究者がこれらの問題の解決に向 けて共同研究を推進してきた。 テーマとしては次のようなものが検討された。 1) プラズマ診断及び不純物輸送のための原子分子過程 2) ダイバータプラズマでの原子分子過程に関する電子・分子衝突実験 3) プラズマからの放射損失に関する原子過程 4) 高温プラズマ中の多価イオン衝突および中性原子分子に関する原子衝突実験 5) 原子分子データベース 初年度(13 年度)は中国においては合肥等離子体物理研究所、清華大学、復旦大学を中心 として、日本においては核融合科学研究所と電気通信大学を中心として、人物交流による 具体的な共同研究の推進と相互訪問による研究課題検討打ち合わせを行った。中国科学技 術大学では電子衝突実験を共同研究として行った。また合肥等離子体物理研究所で測定し た分光スペクトルについての解析を日本の核融合科学研究所で行った。 14 年度は合肥等離子体物理研究所に対してはプラズマ中の不純物輸送に関する研究のため の原子データの提供とプラズマ分光、北京の応用物理計算数学研究所とは原子データ生産、 収集・評価に関して共同研究、清華大学に対してはプラズマ中で必要となる電子・イオン 衝突に関する電離、励起、二電子性再結合などに関する基礎的な理論及び実験の研究、復 45 旦大学に関しては多価イオンに関する電子・イオン衝突実験及び原子構造理論、中国科学 技術大学に関しては電子衝突実験が共同研究として行われた。 15 年度及び 16 年度は 14 年度の共同研究テーマに加え、復旦大学に関しては EBIT を用い た多価イオンに関する電子・イオン衝突実験及び原子構造理論、西北師範大学とはプラズ マ中の多電子イオンからのスペクトル線の理論研究についてお互いに交流を行い共同研究 の基礎をつくった。 以下に主な研究成果について報告する。 (1)多価イオンの生成と物理 電気通信大学レーザー新世代研究センター 大谷俊介、中村信行 復旦大学近代物理研究所 Zou Yaming 中国科学院上海応用物理研究所 Zhu Xikai 原子に束縛されている電子を取り去り、高度に電離したイオンのことを多価イオンと呼ぶ。 多価イオンは高温プラズマ中には一般的に存在する粒子であり、その挙動はプラズマの性 質を大きく左右する。 慣性核融合の実現には必然的に重元素多価イオンの放射や粒子ビームを利用する。磁場 閉じ込めの高温プラズマ中にも壁から重元素が混入し多価イオンとなり重大な影響を及ぼ す。太陽などの天体プラズマ中でも核融合反応がたえずくり返され、重元素が創られる多 価イオンとして存在し光り輝いている。 したがって、高温プラズマの理解には多 図 I3-1. Shanghai EBIT の模式図 図 I3-2. Shanghai EBIT 中心部 46 価イオンの知見は必須であり、その原子物理学的な基礎研究の重要性は極めて高い。 近年、多価イオンの研究は隆盛であるが、その中にあって電気通信大学に設置されてい る多価イオン生成、閉じ込め、引き出し実験装置は Tokyo EBIT と呼ばれ、世界最高性能の 装置として稼働中である。Tokyo EBIT では、これまで多価イオンの分光学的および物質と の相互作用の研究において数多くの成果を積み上げてきたが、全体的な知見としては依然 不十分な量である。最近、中国科学院が多価イオンの研究を重点領域として採り上げ、そ の実験装置を建設する計画を立案した。そして、Tokyo EBIT をモデルとして相似の装置を 復旦大学に設置するべく、上海応用物理研究所(旧原子核研究所)が設計、製作を担当す ることになった。そこで、日中共同研究として Shanghai EBIT と呼ばれる多価イオン実験 装置の設計がはじまった。約2年の設計、製作の作業を経て昨年(2004 年)末に完成した Shanghai EBIT の模式図を図 I3-1 に示す。装置は 4 階建ての建物に設置され、各階が固有 の機能を有している。多価イオンを生成するための電子ビームは 1 階から出射し 2 階天井 部で吸収される。2 階にはイオントラップ中で生成され閉じ込められた多価イオンの観測部 があり、生成された多価イオンを引き出し、いろいろな衝突実験を行う場所が 3、4 階に用 意されている。 1 階には絶縁ガスに囲まれた電子ビーム発生制御用電源とその収納真空タンク、電極冷却 用油の循環冷却装置、安定化 1 次電源系が置かれ、2 階に超電導コイルも含めた運転制御室 がある。2 階部分の多価イオントラップとその観測窓の配置の写真を図 I3-2 に示す。それ ぞれの窓、真空ポートはガス導入系や分光器に接続可能な構造となっている。 多価イオン分光用計測器としては Si(Li),Ge 固体 X 線検出器(SSD)、2 種の波長領域をカ バーする X 線結晶分光器、可視から真空紫外域をカバーする回折格子 4 個が交換可能な直 入射、斜入射分光器が用意されている。図 I3-3 には GeSSD で観測した Shanghai EBIT から の最初の X 線スペクトルを示す。実験パラメータ−は図中に示されている、イオントラップ 図 I3-3. Shanghai EBIT からの最初の X 線スペクトル 47 に閉じ込められた W,Ba,Kr の H 様から Ne 様までの多価イオンからの発光が検出されている (Ref.1)。 Shanghai EBIT は高エネルギー電子ビーム運転が可能な世界でも数少ない EBIT 装置であ り、そこで生成観測される多価イオンは電子温度が数 KeV から 50KeV 以上のプラズマ中に 存在するイオン種に対応しており、これからの系統的な成果の蓄積に期待したい。 (2) 電子・分子衝突実験 電子衝突による希ガス元素や他の原子・分子の励起過程の研究を電子線エネルギー損失分 光法により行った。実験装置は中国科学技術大学と電気通信大学で運転され、それぞれ相 補的な関係にあり、双方でこの研究を進めることは意義深い。 東北大 宇田川康夫、 中国科学技術大学 東邦大学 酒井康弘 Chen Xiangjun 中国科学技術大学の装置は2組の電子アナライザーを使うので角度分解能に優れ、東北大 のものは二次元検出器を備えており感度が数桁良い。日中互いの相互交流の後CF4の電子 運動量分光の測定を行った。 CF 4は高いTdの対称性を持つ分子で あり、化学結合は一種類しかなく、電子運 動量分布に所謂 “bond oscillation” が現れ ることが期待されるがその観測には広いダ イナミックレンジに亘って S/N の良い測定 が要求される。 電子分光実験で常に障害となる空間電荷 の蓄積による測定時間のロスなどもあり、 充分な時間をかけることができなかったが、 それでも図 I3-4 のような結果を得ること ができ、予備実験としては充分な成果を得 運動量(a.u.) 図 I3-4 ることができた。 CF4のいくつかの軌道の電子運動量分布 48 (3)多価イオンの理論的研究 北里大学 小池文博、核融合科学研究所 北西師範大学 加藤隆子 Chenzhong Dong 多価イオンについての原子過程は 1)に述べられているように、磁場閉じこめ核融合、慣性 核融合などに於いて非常に重要である。特に多電子の高 Z イオンについては、配位相関な ど未知の部分があり研究の進展が望まれる。理論研究についてはお互いの相互交流を行い 以下のような共同研究を行った。 i) Ne 様イオンの 3d ‒ 2p 遷移と異重項間遷移線との強度比について 2p5 3d 1P1 ‒ 2p6 1S0 と 2p53d 3D1 ‒ 2p6 1S0 との強度比を FeXVII, GeXXIII, Se XXV イオ ンについて理論データを実験データと比較を行った (Ref. 1)。 ii) Fe グループのイオンに対する 3s3p3d 配位に対する寿命と分岐比について iii) ネオンの内殻励起による二電子励起状態からの崩壊過程 iv) He 様 Al イオンの二電子性再結合と高励起状態からの二電子性サチライト線 (図 I3-5)。 図 I3-5. He 様 Al イオンの二電子性サチライト線 (Ref. 5) 平成 16 年 3 月 6 日∼11 日に中国蘭州の西北師範大学で開かれた「プラズマ中の原子・ 分子過程に関する日中拠点学術交流セミナー(JSPS-CAS Core University Program Seminar on Atomic and Molecular Processes in Plasma)をひとつのきっかけとして、西北師範大学教授 Chenzhong Dong 氏と北里大学助教授 小池文博 との共同研究を開始した。両者は前記セ ミナーの世話人としてセミナーを準備する過程で共同研究の可能性についても意見の交換 49 を進めてきた。セミナーの後も意見交換を続けたが、とりわけ、平成 16 年 10 月の「土岐 コ ン フ ァ レ ン ス & ICAMDATA 」 を 機 に 日 中 拠 点 大 学 交 流 事 業 に よ っ て 来 日 さ れ た Chenzhong Dong 教授の北里大学への短期滞在を得て、共通の課題についての議論を深め ることができた。 プラズマ中の多電子原子や多電子原子の多価イオンの電子状態、輻射遷移過程につい ての振動子強度や自然放射強度、無輻射遷移過程の遷移強度(オージェー(Auger)レート) の相対論的な精密な計算を、GRASP92 (General purpose Relativistic Atomic Structure Program 92) コ ー ド と RATIP (Relativistic Atomic Transition and Ionization Properties) コードを組み合わせて行い、原子データの供給によって日中拠点大学交流事業 に寄与したいということで意見の一致を得た。さらに、とりわけ、双方で計算環境の整備 が課題になっていた、無輻射遷移の理論計算による共同研究に力を注ぐこととし、当面は、 プロトタイプとして、Ne 原子の内殻 2 重励起を取り上げこれからの無輻射カスケード遷 移について中国側で計算を進めることとした。 北里大学における小池文博と Chenzhong Dong 教授との議論は多岐に亘ったが、この 議論の成果は、翌年 3 月に中国海南省で開かれた国際会議:PEARL2005 での小池文博の招 待講演およびそのプロシーディングズに纏められ、共著論文として Journal of Physics B に 掲載の予定である。 Ne 原子の計算については、 Chenzhong Dong 教授の研究室の努力の結果、殆どのカス ケードパスについての数値計算を終了することができ、現在、日中双方で結果の検討中で ある。本年度(平成 17 年度)末までには、共著論文としてまとめ適当な雑誌に投稿できる と考えている。 Ne 原子の計算の終了後は現実の核融合プラズマの中に含まれる原子種を取り上げて 計算を進めたい。Chenzhong Dong 教授の研究室は博士、修士を合わせて 30 人弱の大学院 生を擁する、理論としては、大きな研究室なので、今後、Chenzhong Dong 教授と小池文博 との間の検討により、「計算可能な課題」を多く見つけ出すことが共同研究の発展にとって 鍵になる。日中の、プラズマおよび原子分子研究のコミュニティの協力を得て成功裏に進 めたいと考えている。 (4)原子分子データベース及びデータ評価 核融合科学研究所 加藤隆子、村上泉、Richard More 応用物理計算数学研究所 Yan Jun, Wang Jian-Guo プラズマ分光による診断、プラズマからの放射損失などのために多くの原子分子データが 必要である。核融合科学研究所では長年にわたり世界から利用できる原子分子数値データ 50 ベースを提供しているが応用物理計算数学研究所でも原子分子データベース作成に大変熱 心である。主にレーザー生成プラズマのためのデータであるが、最近は工業プラズマに対 するデータについても関心を持っている。データベース作成についても今後共同研究が期 待できる。 お互いの交流の後、原子分子データ評価を共同研究で行った。今回はプラズマ診断に用 いられる Li ビームのために Li イオンのデータを選んだ。Li イオンと基底状態及び励起状 態の水素との衝突による励起、電離、電荷移行過程に対する実験及び理論データの収集を 行い、その中から推奨データを選び、適当な関数にフィットする事即ちデータ評価を行っ た。図 I3-6 にその例を示す。 図 I3-6. H(1s)の Li3+衝突による電離断面積データ評価 (Ref.8) 参考文献 (1) Zhu Xikai, Jiang Dikui, Guo Panlin, Sheng Shugang, Yan Heping, Gong, Peirong, Wang Naxiu, Shi Weiguo, Chen Yonglin, Xu Xiangyi, Feng Shuqing and Zhou Tuantuan, Shanghai electron beam ion trap: design and current status, J. Phys. B: Conf. Ser. 2 (2004) 65 References (2) C.Z. Dong, L.Y. Xie, S. Fritzsche, T. Kato,NIMB B 205 (2003) 87–92; (3) C.Z. Dong, S. Fritzsche, T. Kato, submitted to MNRA(2005); 51 (4) C.Z. Dong,X.B. Ding,F. Koike,Abstract Book of the 37th Conference of the European Group for Atomic Spectroscopy, Dublin City University, Aug. 3rd - 6th, 2005; (5) Y. B. Fu,C Z.Dong and T. Kato, Chin. Phys. Lett., in preparing; (6) F. Koike, C. Z. Dong,Proceeding of the international workshop on Physics at EBIT/S and Advanced Research Light Sources PEARL2005, Sanya, 2005,in printing; (7) F. Koike, C. Z. Dong,Proceeding of the the China-Japan Joint Seminar on Atomic and Molecular Processes in Plasma, NIFS, 2005. (8) I. Murakami, J. Yan, H. Sato, M. Kimura, R.K. Janev, T. Kato, NIFS-DATA-86 (2004) “Collision Processes of Li3+ with Atomic Hydrogen: Cross Section Database 52 I-4 プラズマの工業応用 1.基本指針 本交流事業は、プラズマ・核融合に関する拠点大学相互の交流を基礎としている。その コアになる拠点大学が、どのような分野における産学連携活動を望んでいるか、また可能 であるか、2001年の事業開始時点では、明確に見えてはいなかった。一方、日本企業 は工業分野において中国へ怒濤の進出を進めていた。その結果、日本のノウハウを含め極 めて多くの生産技術が移植されてゆく過程にあった。このような与件のもと、核融合研究 者が果たす日中産業技術交流は如何にあるべきか検討した。その基準を ・ 学術成果の産業応用への萌芽的研究の発掘 ・ 産業応用への可能性ある課題 ・ 両国の国益に合致した産業基盤の育成へ寄与する課題 においた。初年度は、研究者交流によって萌芽の発掘を行い、次年度からその萌芽を元に した可能性研究を実施した。2∼3カ年を目途に中間評価を行った。誕生した技術シーズ は実用化を目指す研究に引き継ぐことになる。 プラズマ・核融合研究は、学術としてプラズマ物理学が柱となっており、超伝導コイル や真空、マイクロ波・高周波加熱などの装置技術などがこれを支えている。これらは、広 範な産業応用のポテンシャルを有している。研究の発散を防ぐために、このうちからプロ セスプラズマの応用に焦点を絞って共同研究を選定した。 第一表は、平成13年度∼16年度に実施された、研究課題名、交流研究者氏名・所属お よび結論である。 課題番号 実施期間 課題名 日本側参加 中国側参加 備考 I- 4AJR01 13~15 年度 プロセスプラズマを用いた低 山口作太郎 Yang Si-zi 完了(事業化 熱抵抗セラミック・金属接合 佐藤元泰 プラズマ気相成長法による 菅井秀郎 Ling Rongquing ダイアモンド薄膜の成長 豊田浩孝 Shu Xingsheng 環境応用と表面工学のための 水野彰 Ling Rongquing 環境を中心 高圧力プラズマ源の開発 小駒益弘 同上 課題に 継続 菅井秀郎 Ji Tiam-Ren 畠山力三 Meng Yuedong 吉川昇 Bai-Chenguang 1-4ACR01 I-4BJR01,02 I-4CJR01 13 年度 14 年度∼ 1-4CCR03 I-4CCR04 I-4DJR01 16 年度∼ 鉄鋼スラグからのマイクロ波 によるチタン抽出技術 2.成果概要 53 希望) 調査 継続 (1)プロセスプラズマを用いた低熱抵抗セラミック・金属接合(平成 12~15 年度実施) この共同研究は将来の核融合炉から直接に電力を取り出す方法の一つである熱電変換 の研究をもとにしている。熱電変換は、すでに産業応用を目指す研究が各国で盛んに行わ れている。この変換器の基幹となる部分は、ゼーベック素子と言われる半導体である。こ の素子の効率は、高温及び低温側を隔てるセラミックスと N-P 素子の接合面の抵抗によっ て大きく変動する。 この接合面の処理に関し、日本の山口作太郎、中部大学・教授は独自に研究開発を進 めていた。一方、中国の Yang Si-Ze, 中国科学院物理研究所・教授は、同軸型プラズマ銃を 用いてイオンの打ち込む方法で、セラミックスなどの表面改質方法を研究し、ゼーベック 素子などの接合への応用を研究していた。同軸ガンは、日本でも盛んに用いられた時期は あったが、核融合装置の大型化に伴い忘れ去られようとしていた。核融合実験への使命は 終わっているが、簡単な装置で、エネルギーの高いプラズマを発射できるため、産業への 応用には将来性が高い。 人的交流の後、中国側から提供された熱電材料(BiTe)を中部大学で評価した。温度が常温 から 500K までで、電気抵抗率、ゼーベック係数、熱伝導率の測定を行った。下記に p-type のサンプルの電気抵抗率の結果と参考比較のために、同様に中部大学で行った2個の日本 製のサンプルデータを添付した。 共に、金属的な振る舞いを示すが、中国のサンプルはほかの日本の代表的な材料に比べて 4 10 3.5 10 3 10 m) Ω El 2.5 10 -5 China Jap an-1 Jap an-2 -5 -5 -5 ect 2 10 ric al 1.5 10 -5 -5 Re sis 1 10 5 10 -5 -6 0 50 100 150 200 250 T (K) 54 300 抵抗率が高かった。しかし、性能指数は、日本のサンプルに比べてそれほど大きな差はな く、改善の余地はある。この後、Yang 氏は別途開発資金の提供を受け事業化へ繋げようと している。 さらに、同軸型のプラズマ中の技術を、パイプなどの長尺物の内部を改質する技術へ応用 することを考えた。Yang 氏は、2つの方法でイオンを金属やセラミックスに打ち込んでい る。以下に最近の彼の結果を示す。表面にイオンを打ち込んで表面改質する。特に、パイ プの内部への応用は、石油掘削で利用するパイプに大きな需要がある。このようなアスペ クト比が大きなパイプへの応用のため、Yang 氏は特別のイオン源を用意してアスペクト比 Plasma Density (n0 /n ) 1.1 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 Without Auxiliary Electrode With Auxiliary Electrode New Configuration 0.5 0.4 -4/3L -L -2/3L -1/3L 0 1/3L 2/3L L 4/3L Axial Distance が大きなパイプでも密度の一様なプラズマを得た。このため、彼は米国政府からも予算を 得た。この研究を日本の企業に紹介するなどの、新しい産学連携の道を開く可能性がある。 Yang 教授̶山口教授の研究は、技術に関し日本側からの輸出超過になっていると言われる 現状を改善してゆく方向を示している。比較的ローテクである同軸型プラズマ銃の技術を 再生させ、これを最先端の製造技術に組み入れてゆくものである。学術としての可能性研 究の段階は、成功裏に完了したと判断できる。今後、外国為替および外国貿易法に基づく 輸出管理規則との整合性に注意を払いながら、日中の産学連携を進めてゆく必要がある。 (2)プラズマ気相成長法によるダイアモンド薄膜の成長(13年度) ダイヤモンド薄膜は熱伝導が金属より高く、絶縁性がよいので高周波特性の優れた半導 体の基板として注目されている。また、NC 用の刃物としての用途も大きい。この製造に、 プラズマ気相成長法によるダイアモンド薄膜の成長を使うことは、各国で研究されている。 55 中国でも独自にこの研究を行っているとの情報に基づいて、その技術レベルに関する調 査・研究を行った。人的交流を通じ、中国側の熱意と人材の厚さは十分に評価すべきであ るとの認識を得た。しかし、製造技術として共同研究を開始するには時期尚早であるとの 結論に達した。プラズマプロセスとして広く基礎から積み上げる必要有りと判断し、次に 示す環境応用と表面工学のための高圧力プラズマ源の開発を先行課題として選定した。 (3)環境応用と表面工学のための高圧力プラズマ源の開発 (平成14年度∼) 近年、環境浄化や材料プロセスのために、大気圧程度の圧力の高いプラズマを利用する 技術が国内外、特に中国において注目されている。このような背景から本プロジェクトは、 環境浄化と材料プロセスのためのプラズマ技術を日中の研究者が共同して開発を進めるこ とを目的として、平成 14 年度から活動を開始している。 環境浄化と表面処理に向けたプラズマ技術の高スループット化と低コスト化にむけて日本 と中国の研究者が交流しながら高圧力・非平衡プラズマの開発を進めてきた結果、実用化 の基盤となる成果が着実に積み重ねられてきている。 この間、日中間の研究者のネットワークが次第に拡大してきているのみならず、研究分 野もプラズマ源、環境技術への応用、表面・材料プロセス、ナノ工学に関するプロセスへ と広がってきている。さらに最近では、日本においてのみならず中国においても、ナノ科 学技術に関する関心が高まってきている。 平成14、15年度に引き続いて、平成16年度においても、日本側と中国側の研究者 の相互交流をはかり、情報交換・研究討論を進めている。日本側からは大気圧プラズマの 開発と応用でよく知られている小駒益弘 上智大学・教授が平成16年 12 月 12 日から 8 日 間にわたって中国を訪れた。彼は初年度に来日した中国側研究者の訪問を受けており、今 回は逆に中国の研究者を訪れて、直接、研究施設を目にしながら情報交換を行った。訪問 先の3つの大 学(東華、復旦、大連)において、それぞれ 2-4 時間の大気圧関連の講演と 質疑応答を行い、大変好評を博した。その後に研究室見学などをして、中国には多くの大 学に大気圧プラズマ関連の研究者がいることに驚きを感じた。また、何よりも講演や指導 に際してのプラズマ研究者、特に大学院学生の熱心さに感じ入り、メールアドレスを交換 し、今後の情報交換・ 技術指導なども継続することで合意した。 また、東北大の畠山教授は精力的に3つの大学・研究所(Taiyuan University of Technology、 Tsighua University、中国科学アカデミー 物理研究所)を訪問し、中国側のプラズマ技術 研究の現状を調査した。初年度訪中した際に日程の関係で訪問できなかった Taiyuan University of Technology の LIU Xuguang 教授のもとを訪問し、炭素系新規材料のプラズ マによる創製という共通のテーマについて討論と情報交換を行った。また、逆に LIU 教授 56 が畠山教授のもとに滞在するという相互訪問を実施した。 以上の経過と実績の下に、平成17年度から19年度までの3年間を目処に、 「高圧力プ ラズマプロセスの環境・ナノ表面工学への応用」の拠点大学交流事業・共同研究を新たに 開始する。ここでは第一に、上述の第一期の成果を発展させ、高圧力プラズマプロセスを 用いる環境技術実用化の確固たる基盤を確立すること、第二に、1Torr 台から大気圧に亘 る広範囲の高圧力プラズマを活用するナノ表面工学の基盤を築くことを目的とする。後者 においては、ナノサイズの新機能性物質・材料創製及びナノスケールの物質構造制御を可 能にする高圧力プラズマプロセス法を開発すると共に、それらのナノ構造、物質・材料の 環境技術等への応用を模索する。 (4) 鉄鋼スラグからのマイクロ波によるチタン抽出技術 (平成16年度∼) 日中では、環境問題への対応が重要視されてきている。日中拠点大学交流における産業 応用として、核融合関連技術を使い環境問題の解決に貢献する。 急速な経済発展が生じている中国においては、同様の勢いで環境問題の発生が生じてい る。 特に内陸部においては、環境問題が深刻であると言われている。本プロジェクトは、中 国南西部産の溶鉱炉スラグの処理、有用物の分離回収、ダイオキシン問題に対するマイク ロ波技術の応用を目的としてスタートしている。 中国南西部産鉄鉱石から排出される鉄鋼スラグは、高濃度のチタンを含有しており、セメ ント原料としての一般的な再利用が期待できない。これは Ti の含有量の増加によりセメン トの水和性が劣化するためである。東北大学では、スラグに含まれる Ti は利用価値の高い 資源であるため、このスラグからの Ti 源抽出を目的として、共同研究を行ってきた。核融 合のプラズマ加熱に使用する大電力マイクロ波技術を、この分野に応用することが考えら れる。 この目的のために、高炉スラグにマイクロ波を照射し、 1、 Ti 含有相である CaTiO3(ペロブスカイト)相を増大させ、 2、 同相をスラグから分離回収を行うため、マイクロ波をサイクリックに印加し、ク ラックを導入し粉砕分離を容易にすることを試みた。 以上の研究結果に関して、吉川が訪中し、重慶大学、安徽工業大学を訪問し、進行状況の 説明を行うとともに、内容に関する討論を中国側との間で行った。 また、中国における鉄鋼、非鉄金属鉱業が関係する環境問題について情報収集を行うと ともに、それらに対するマイクロ波応用技術に関する検討を行った。 57 平成 16 年度までの研究結果によりスラクのマイクロ波処理による CaTiO3 結晶相の優先的な 粗大化とクラック導入により同相の破砕分離が容易になることを実証した。 これからの段階として、研究を行うべき重要なポイントは、大量に発生するスラグや、環 境汚染廃棄物を大量に処理する目的から、マイクロ波による連続処理技術の応用であると 考えられる。この技術は既に、核融合研を中心に開発が進んでおり、実用化の段階に入っ ている。 中国スラグの現状問題への摘要性を検討することが平成 17 年度以降の課題である。中国に おける廃棄物サンプル、もしくは日本で模擬サンプルを作成・準備し、これを用いて連続 処理の適応性について検討する等、着実に研究を前進させている。 以上のように、白紙の状態から開始された産業応用は、大気圧プラズマ・マイクロ波を使 った新技術、特に環境問題の改善に資する方向性を打ち出すことができた。当初に立てた ポリシー、学術成果の産業応用への萌芽的研究の発掘、産業応用への可能性ある課題、両 国の国益に合致した産業基盤の育成へ寄与する課題に適材適所の研究者・研究機関の参加 を得た。後半5年間で、産業界だけでは不可能な環境問題の取り組みにさらに力を注ぐべ きであると考える。 58 I-5 超高密度プラズマ(慣性核融合) 過去に、複数の研究協力が、慣性核融合分野において実施されてきた。さらに、科学 の進歩とともに、研究協力や共同研究の必要性が増しており、これまで個別に実施されて きた共同研究などは、その効率の点で、劣っておりさらなる体制強化が求められていた。 本プロジェクトにより日本と中国においてしっかりとした枠組みの中で、情報交換、共同 研究、研究協力を進めることができるようになった。両国の情報交換体制は、非常にしっ かりした状態となり、日常的にメール、電話などを使った連絡が取られており、此までと は格段に共同研究体制が強化された。過去4年間の実績では、相互にワークショップが 5 回開催され、総計 11 人(日本側)の研究者が中国の拠点研究所等を訪問、ワークショップ 参加、セミナー、共同研究に参加し、同様に 12 人(中国側)の研究者が日本の研究拠点を 中心に、参加した。共同研究は、此までのプラズマを中心とした研究はもとより、レーザ ー技術開発、材料開発をはじめ、生物医学(中国東南大学)と新材料開発(大阪大学)と いうまったく新しい取り組みも産みだしており、活発な交流が実施されてきた。 【共同研究】 (1)日中研究協力に於いてレーザープラズマ実験の高速電子スペクトルに関する研究で は、超高強度レーザーを使ったプラズマ相互作用が集中的に研究されてきた。Zheng 教授 (Chinese University of China Science and Technology)は、2001年に日本側が、中国に置 いて実施したワークショップに参加した事が契機となり、2001年より2年間日本学術 振興会外国人招聘研究者として来日し、多くの共同実験を大阪大学に於いて実施した。使 用レーザー装置は、大阪大学の 20 TW 及び、PW レーザー装置であった。超高強度レーザー を固体ターゲットに集光強度 1019 W/cm2 以上で照射した際発生する高速電子のエネルギース ペクトル、発生数、相電流量などは、未解明の課題であった。これら特性を詳細に知るこ とは、高速点火核融合の研究進展に取って非常に重要な要素であった。Zheng 教授と田中(大 阪大学)等は、電子が固体ターゲットから真空に放射される際に発生する、遷移放射に着 目し、この理論モデルを2編(Phys.Plasmas02,03)とモデル結果を実験にて検証した成果 (Phys.Rev.Lett.04)を論文として発表した。理論モデルでは、ボルツマン分布する電子から の遷移放射を扱い、そのスペクトルが incoherent と coherent の二つの成分からなることを示 した。また温度と電子数の情報は、incoherent 成分から、電子バンチの揺動波数は、coherent 成分から得られることを示した。実験では、モデルを使って実験設計を行い、当初のもく ろみ通り、高速電子のスペクトルを推定することに成功した。 (2)レーザープラズマ実験の高速電子発生に関する研究では、P偏光したレーザー光で ターゲットを照射した際に発生する高速電子では、発生方向がターゲットに垂直方向から レーザー軸方向に強度が上がるに連れてシフトすることが観測された。S偏光の場合は、 59 主にレーザー軸方向に電子が発生した。この共同研究は、北京物理研究所と大阪大学との 共同研究実験として、大阪大学の20TW レーザー装置を用いて実施された。相対論強度(集 光強度 1018 W/cm2 以上)での電子スペクトルは、単一のスロープを示したが、これ以下の強 度で照射した際には、スペクトルは二温度分布を示した。一次元 PIC シミュレーションは、 こうした実験結果をすべて再現した(Phys. Rev. E.04)。また、高速点火検証実験に使用 した金コーンにおける高速電子の発生を平板のターゲットと比較した実験では、金コーン の方が2倍程度多く高速電子を発生させることを計測し、金コーンを高速点火実験に使用 する利点を明確にした(Phys.Rev.E, 05) (3)Zheng 教授(Chinese University of China Science and Technology)との共同研究では、 電子サイクロトロン運動から発生する高調波のスペクトルから、超高強度レーザー照射し た際の電子電流周囲に発生する超高磁場の強度を推定する理論モデルを構築した。2倍高 調波のサイドバンドの間隔が、もとの周波数の 1-4%程度であれば、磁場の強さが1−10 メ ガガウス程度であることを示している。PIC シミュレーションによりこうしたサイドバンド が発生することを確認し、レーザー強度 2x1019 W/cm2 では、臨界密度を超えた部分で 160 MGauss、臨界密度以下の部分では、33MGauss の磁場が出来うることを示した。PIC で観測 されたサイドバンドの間隔は 5%程度であり、導いた理論モデルを使うと 27 MGauss に相当 する。これは、PIC シミュレーションで観測された 33 MGauss とほぼ同レベルであり、この サイドバンドの理論モデル手法が実験で使えることを示している(Phys. Plasmas 02)。 (4)Zheng 教授(Chinese University of China Science and Technology)との共同研究では、 高速電子が発生するチャレンコフ放射を初めて理論モデルとして取り上げた。Coherent チャ レンコフ放射の角度分布は、電子ビームの横方向のバンチにより決まっており、incoherent なチャレンコフ放射の強度は、電子ビームの速度分布に比例することを示した。これを実 験に適用すると coherent チャレンコフ放射の角度分布を観測することで電子ビームの横方 向の広がりを検出でき、incoherent チャレンコフ放射のスペクトル強度を観測すると電子ビ ームの速度広がりを知ることが出来る事を示唆した(Phys. Plasmas 05) (5)Z. Chen 研究員(Institute of Physics)との共同研究では、超高強度レーザーを照射し て発生する高速電子を金コーンの先端に取り付けた直径5ミクロン、長さ1mm の炭素ファ イバーに沿って流すことに成功した。これは、ファイバーの角度を自由にでき、設定した 方向に電子を流すことができることを確認した。ここで流す電流は、100MA を越えており、 極限状態でのプラズマフォトニクスデバイスという新しい概念を生んだ(Nature 04) (6)Z.Z.Gu 教授(東南大学)との共同研究では、レーザー核融合用ターゲット開発が進 められた。東南大学では、生物医学用に、微粒子をカプセルに内包して体内に送り込むバ イオセンサー研究が進められている。この方式を用いるとレーザープラズマ実験で、要求 60 されているスズを含有するミリメートルサイズのプラスチックカプセルの製造が可能とな る。日本側から中国を訪問した際、プラスチックカプセルを持参し、スズ内包の実験をお こなった。今後中国側で、パラメータを変化させ、実験を継続することになっている。 (7)Z.M. Sheng 教授( IOP, 北京)等と相対論レーザープラズマ相互作用に関する理論の 共同研究を行った。“Electron acceleration with two intense laser pulses in underdense plasmas” に 関する研究の発展が見られた。また、多重レーザーパルスによる電子プラズマ波ウェーク の増幅に関する研究を行った。その結果、複数のレーザービームの電子加速に及ぼす効果 に関する論文がまとめられた。さらに、レーザーの Wakefield におけるモード変換によっ て高強度テラヘルツの発生することが理論、シミュレーションによって示された(Physical Review E)。 (8)Wei Yu 教授 (SIOFM, 上海)との共同研究では、レーザー照射による Thomson Scattering で生成する高エネルギー電子、およびイオンについて計測の可能性について理論的な検討 を行った。また超高強度レーザーをターゲットに照射した場合、ターゲット裏面からコヒ ーレントな制動放射が起こることが予測され、その検討も併せて行った。 (9)Wenhua Ye 教授(IAPCM)との共同研究では、大阪大学でレーザーアブレーション面 でのレーリー・テーラー不安定性の大規模2次元数値シミュレーション解析を行った。そ の結果、非線形成長領域では擾乱の波長ごとにスパイク、ジェットのダイナミクスが異な ることが明らかになった。現在、さらなるデータ解析を進めており、まとまり次第論文投 稿する予定である。 (10)Wang Wei 助教授 (IOP)との共同研究では、レーザープラズマにおける輻射輸送と天体 のオパシティの輻射輸送への影響の関連性について検討が行われ、具体的な数値解析、実 験解析への取り組みが開始され、日本学術振興会の研究員として2年間滞在して共同研究 を行うことになった。 【ワークショップ】 (1) 期間:平成14年1月13−18日 タイトル:C-J Core University Program Plasma and Nuclear Fusion 場所:綿陽 Institute of Engineering Physics, Center for Laser Fusion Research 上海 Shanghai Institute of Optics Fine Mechanics 北京 Institute of Physics 参加(日本) :中塚、山中、田中、三間、高部、長友 (中国):X. He, S. Wang, J. Zhang, S. Zhu, Y. Ding, W. Yei, Y Jun et al. 双方から、最新のレーザー核融合実験及び、理論シミュレーションに関する報告を行 い、現状を確認した。中国では、レーザー核融合研究が国家プロジェクトに指定され 61 た数年前から研究所の再編、新設が行われ世代交代が実施された結果、30−40歳代 の所長などが生まれている。また、上記3カ所の研究所長は頻繁に打ち合わせを行い、 大型レーザー「神光 III」を綿陽に建設中である。これは、1モジュール8ビームの 合計64ビーム50kJ のレーザー装置であり、2006年に完成予定であることが報 告された。中国は、レーザー光学素子などを自作しており、そうしたハイテク産業の 育成も行いながらの建設であり、相当大変ではあるが、中国の成長を感じさせる。こ のワークショップでは、実験、理論に関して共同研究、人物交流の意見が非常に積極 的に交換され、今後の見通しは、明るいという印象であった。 (2) 平成13年9月8日̶15日 タイトル:International Fusion and Sciences Applications 国際会議招聘 場所:京都 参加(中国) :X. He, S. Wang, J. Zhang, Y. Ding (日本側):田中、三間、山中ら100名以上。 大阪大学の主催する標記会議は、500人規模のレーザー核融合に関する国際会議で ある。この会議に、中国側研究者を招聘し、世界の最新の情報を吸収してもらい、同 時に、会期中中国と、日本、世界との情報交換をしてもらう目的で会議への招聘を実 施した。これは、実質的にはワークショップ以上の成果があり、中国側の発表内容は、 会議プロシーディングに納められている。特に、この会議では、中国の国家プロジェ クトが初めて世界に発表されて、注目された。核融合点火を可能にするような国家プ ロジェクトは、既に米国とフランスでスタートしているが、50 kJ レベルの国家プロ ジェクトが中国でも可能になったことは、中国の技術開発の進歩を裏付けるものであ った。 (3) 平成16年1月11日̶16日 タイトル:C-J Collaboration Program on Study of Ultra-high Density Plasma Workshop on Laser Fusion Physics and Driver Development 場所:綿陽 Institute of Engineering Physics, Center for Laser Fusion Research 上海 Shanghai Institute of Optics Fine Mechanics 北京 Institute of Physics 参加(日本) :田中、實野、藤田、近藤 (中国)Z. Lin, J. Zheng 中国は、日本の高速点火核融合の予備実験の成功を受けて、超短パルスの超高強度レ ーザーシステムの建設にも乗り出すことを発表した。このシステム建設には、大型(1 m級)の回折格子の製作が鍵を握るが、Prof. Lifeng Li(Tsinghua University)は、米国 62 アリゾナ大学で光学の PhD を取り、中国に於ける大型回折格子の指揮をとっており、 将来自作が可能であるとの見解を示した。また、中国側から、回折格子は、数枚の大 型回折格子をタイル状に組み合わせたセグメント化が必要であり、大阪大学がこうし た技術では、先行しているので、密な情報交換を希望した。また、中国側から若手研 究者を日本側に滞在させ、回折格子のセグメント化の技術開発に携わらせる旨の共同 研究提案が合意された。 (4) 平成16年4月25日−29日 タイトル:7th workshop on Fast Ignition and High Field Physics 場所:京都 参加(日本) :田中、兒玉、近藤等80名 (中国)Li Yutong, Z. Sheng, Y. Ding 第7回の高速点火核融合に関するワークショップと併催の形式でワークショップを実 施した。これは、高速点火に絞った超高強度レーザーと物質の相互作用の国際ワーク ショップであり、総計で100名を越える参加者が世界から集まった。形式は、議論 の時間を十部に取ったワークショップ形式で、中国の最新研究成果(日本との共同研 究)が発表され注目を集めた。特に、このワークショップでは、実験を実施するのに 必要なレーザーシステムの技術開発のセッションを特別に設けており、米国、フラン ス、イギリス、中国、日本の超高強度レーザーシステム技術開発の最新情報が交換さ れた。 (5) 平成17年11月28日̶12月2日 タイトル:C-J Collaboration Program on Fast Igniton and High Energy Density Physics 場所:東京 プラズマ核融合学会年会 参加(日本) :田中等20名 (中国):Y. Ding, Li Yuton, X Zhang プラズマ核融合学会年会に中国側を招聘し、その前後に大阪大学に於いてワークショ ップ開催の予定である。年会では、特別に欧州、米国、中国の核融合研究を発表する セッションを設けておりワークショップと同等以上の情報交換が可能としている。さ らにワークショップでは、現在の中国の国家プロジェクトの進行状況、大阪大学の超 高強度レーザー建設の状況などをお互いに報告する予定である。特に、大形回折格子 に関しては、中国側から Xu 研究員が大阪大学のPDとして滞在し、セグメント化の技 術開発に従事し、研究成果を出しておりその状況も報告する。 (6) 平成14年12月3日−5日 63 タイトル:China-Japan Workshop on Laser Plasma Theory and Simulation 場所:中国科学院物理学研究所(北京)(IOP) 参加(日本) :三間、高部、長友、畦地、城崎(以上阪大)、中尾(九大)、坂上(姫工 大) (中国)J. Zhang、Z.M. Sheng(以上 IOP)Z. Shaoping(IAPCM)ら約 20 名 中国側からは、相対論レーザープラズマにおける電磁現象や相対論電子の発生機構に 関する実験・シミュレーションの研究など 10 件の発表があった。一方、日本からは超 高強度レーザープラズマ相互作用のシミュレーション、超高強度レーザープラズマ相 互作用統合シミュレーションシステムの開発研究や高速点火核融合研究の計画と現状 が紹介された。このワークショップにより、PIC シミュレーションでは、レーザープ ラズマの非線形現象について共通する課題に関する日中の研究成果が比較され、物理 機構やシミュレーションモデルについて新しい知見が得られた。また、高密度プラズ マの原子過程・輻射過程を含む流体力学についてもシミュレーション結果が日中双方 から示され、実験結果との比較が今後必要であることを合意した。実験結果について は、畦地から紹介があり、今後、理論シミュレーションと研究協力をおこなうことに なった。このように双方の研究内容を紹介することによって翌年以降の共同研究のテ ーマが具体化された。 【論文リスト】 (1) “Spectrum of transition radiation from hot electrons generated in ultra-intense laser plasma interaction” Jian Zheng, K.A. Tanaka, T. Miyakoshi, Y. Kitagawa, R. Kodama, T. Kurahashi, and T. Yamanaka, Physics of Plasmas, Volume9, 3610, 2002. (2) “Harmonic emission with cyclotron satellite structure due to strong magnetic fields produced by ultra-intense laser-plasma interaction” Jian Zheng, K.A. Tanaka, Y. Sentoku, A.A. Offenberger, Y. Kitagawa, R. Kodama, T. Kurahashi, K. Mima, and T. Yamanaka, Physics of Plasmas, Volume9, 3193, 2002. (3) “Theoretical study of transition radiation from hot electrons generated in the laser-solid interaction” Jian Zheng, K.A. Tanaka, T. Miyakoshi, Y. Kitagawa, R. Kodama, T. Kurahashi, and T. Yamanaka, Physics of Plasmas, Volume10, 2994, 2003. (4) “Study of Hot Electrons by Measurement of Optical Emission from the Rear Surface of a Metallic Foil Irradiated with Ultraintense Laser Pulse” Jian Zheng, K.A. Tanaka, T. Sato, T. Yabuuchi, T. Kurahashi, Y. Kitagawa, R. Kodama, T. Norimatsu, and T. Yamanaka, Physical 64 Review Letters, Volume92, 165001-1, 2004. (5) “High-energy electrons produced in subpicosecond laser-plasma interactions from subrelativistic laser intensities to relativistic intensities” Y.T. Li, J. Zhnag, Z.M. Sheng, J. Zheng, Z.L. Chen, R. Kodama, T. Matsuoka, M. Tampo, K.A. Tanaka, T. Tsutsumi, and T. Yabuuchi, Physical Review E 69, 036405-1, 2004. (6) “Plasma devices to guide and collimate a high density of MeV electrons” R. Kodama, Y. Sentoku, Z.L. Chen, G.R. Kumar, S.P. Hatchett, Y. Toyama, T.E. Cowan, R.R Freeman, J. Fuchs, Y. Izawa, M.H. Key, Y. Kitagawa, K. Kondo, T. Matsuoka, H. Nakamura, M. Nakatsutsumi, P.A. Norreys, T. Norimatsu, R.A. Snavely, R.B. Stephens, M. Tampo, K.A. Tanaka, and T. Yabuuchi, Nature, Volume432, 1005, 2004. (7) “Enhancement of energetic electrons and protons by cone guiding of laser light” Z.L. Chen, R. Kodama, M. Nakatsutsumi, H. Nakamura, M. Tampo, K.A. Tanaka, Y. Toyama, T. Tsutsumi, and T. Yabuuchi, Physical Review E71, 036403-1, 2005 (8) “Cherenkov radiation generated by a beam of electrons revisited”, Jian Zheng, C.X. Yu, Z.J. Zheng, and K.A. Tanaka, Physics of Plasmas 12, 093105-1, 2005 (9) “Fabrication of Photo-Encoded Beads for Bioanalysis”, Han Yang, Keiji Nagai, Xiangwei Zhao, Haihua Chen, Zhong-Ze Gu, J Nanosci. Nanotechnol, 2005 in press (10) “Manipulation of radiation divergence of extreme ultraviolet emitted from laser plasma generated by nanostructure-controlled low-density SnO2 targets” Keiji Nagai, QinCui Gu, ZhongZe Gu, et al., Applied Physics Letters, 2005 in press (11) “Stochastic Heating and Acceleration of electron in colliding laser fields in plasma” Z.M.Sheng, K.Mima, et al., Physical Review Letters, Vol.88, 2002, 055004-1~4. (12) “High-energy ion generation in interaction of short laser pulse with high-density plasma”, Y.Sentoku, K.Mima, Z.M. Sheng, et al., Appl.Phys., B74, 207-215, 2002. (13) Three-dimensional particle-in-cell simulation of energetic electron generation and transport with relativistic laser pulses in overdense plasmas, Y.Sentoku, K.Mima, Z.M. Sheng, et al., Physical Review E,vol.65, 046408, 2002. (14) “Time and space resolved Measurement of a gas puff laser- plsama X-ray source”, M.Suzuki, H.Daido, Il Woo Choi, Wei Yu, K.Mima, et al., Physics of Plasmas, 10,227, 2003. (15) “Efficient Acceleration of Electron with counter propagating intense laser pulses in Vacuum and underdense plasma”, Z.M. Sheng, et al., Phys, Rev.E 69,0164071, 2004. 【特許】 出願済み 2 件。 65 II. 核融合炉工学基礎研究 共同研究を通じて発表された研究業績 (1) 材料製造技術の比較評価 NITE-SiC/SiC 複合材料の研究開発 [1]-[9] 本共同研究では、SiC/SiC 複合材料のマトリックス特性の改善に焦点を当てた研究を行った。 日本では NITE プロセス(Nano-Infiltration Transient Eutectic Phase Process)の発明により、 研究室レベルでは、極めて結晶性の高い高品位で高密度な材料を安価に作製可能であることが示 された。しかし、図 II-1のように NITE-SiC/SiC 複合材料作製に欠かせない SiC ナノパウダーの 特性は一定ではなく、原料粉末における粒子の形状やサイズ分布にはバラツキが大きく、形成さ れる SiC マトリックスの特性に影響を及ぼす。NITE プロセスを工業的に成立させるためには、 安定した SiC ナノパウダーの供給プロセスの改善が強く求められており、ナノパウダーを含む作 製プロセスの改善により、材料の更なる改善が見込める。ナノパウダー供給プロセス改善のため に、中国上海セラミックス研究所及び SiC ナノサイズ粉末製造工場と密接な研究交流を行った。 NITE プロセスの最適化のために、原料のナノパウダーの、微細組織、組成分析、表面改質など を実施し、パウダー自身の最適化も行った。 N12 100nm 図 II-1 本研究に用いられた SiC ナノパウダーの SEM 写真 (a) ナノパウダーの表面化学特性 本研究で用いられた SiC ナノパウダーの公称化学組成及び結晶構造は純度の高いβ-SiC であり、 XRD 分析では SiC ナノパウダーにおける違いは判別できない。本研究では SiC ナノ粉末の表面 化学組成に注目し、X 線光電子分光分析(XPS)を用いて、SiC 粒子の極表面近傍での化学組成 66 分析を行った。図 II-2 にそれぞれの SiC ナノパウダーにおける XPS 分析結果を示す。 XPS 分析結果によるとそれぞれの SiC ナノパウダーの表面には遊離炭素又は酸素が存在してお り、その結合状態も粉末によって Si-C、C-C、C-O、Si-O、Si-C-O などの異なる構造を持ってい ることが判明した。 図 II-2 本研究で用いられた SiC ナノパウダーの XPS 分析結果 (b)NITE プロセスの最適化 SiC 超微粒子の基本特性を詳細に分析した結果を元に,SiC 超微粒子とプロセス添加剤の焼結プ ロセス中の挙動や、添加剤起因残存物の物性・形態、そして SiC 多結晶体の構造・強度特性との 相関について調べ,焼結プロセスの最適化を検討した。さらに、NITE プロセスにとって,高温で の組織安定性(不均一性の改善)の観点から、添加剤の選択および SiC 超微粒子の粉末表面特性 を改善させ、用いるプロセス添加剤量自体の更なる軽減を行い、以下の知見を得た。 ① SiC 超微粒子の影響: 1800℃以下の“低温”で緻密化を行うには,ナノレベルの SiC 超微粒子の 使用が効果的であり,1780℃x1hr/20MPa という条件では,粒径が細かく,粉末表面の遊離炭 素を含んだ粉末が,緻密性および強度特性の上で有効であることが明らかになった。 ② プロセス添加剤の影響: 新たな添加剤として SiO2 を添加することは,SiO2(s,l) + 3C(s) =SiC(s) + 2CO(g)の反応により,SiC 濃度が増し,モノリシック SiC の焼結性(緻密性・組織の均一性) 及び強度的向上には効果的に働くことが明らかになった。しかしながら,多量な SiO2 添加は 逆に SiC(s)+SiO2(s,l)=SiO2(s,l) + SiC(s) = 3SiO(g) + CO(g)の反応に起因した気孔を多く作り, 密度低下の原因となることも分かった。それ故,添加する SiO2 量には,粉末表面の遊離炭素 量に依存した適量を選択すべきであるという指針を得た。 ③ 表面改質効果 : 大気中,800℃,2hr の熱処理で遊離 C 相が除去され,SiC 相と SiO2 相のみ の表面組成が得られ,その後,混酸で酸洗処理を施すことで粉末表面に遊離相の存在しない Pure SiC 粉末表面を形成できることが明らかになった。Pure SiC 粉末を用いると密度は助剤 SiO2 を添加しない場合が最高となり,SiO2 を微量(1wt%)添加のときに強度が最高となり, 67 緻密化および機械的特性向上を行なうための添加剤(特に SiO2)の削減が可能であることが 明らかになった。また,このことから,粉末表面の遊離炭素量に応じた SiO2 添加に関する確 認が出来,緻密性および機械的特性を向上させるための素材による制御が可能であることが 明らかになった。 低放射化バナジウム合金の研究開発 [10-16] 低放射化バナジウム合金は、NIFS で製作した V-4Cr-4Ti (NIFS-HEAT)が共通材料として広く 使 わ れ て い る が 、 中 国 西 南 物 理 研 究 院 で は 、 独 自 に 不 純 物 濃 度 の 異 な る V-4Cr-4Ti 合 金 (SWIP-HEAT)、Cr, Ti の濃度の異なる合金、Cr を用いない、あるいは Cr の変わりにタングス テンを用いる合金を製作し、NIFS-HEAT との比較を行ってきた。図 II-3に日中で作製した合金 を示す。 (mm) 1.9t 26t 1.0t 6.6t 0.5t 4.0t 0.25t 2d 8d 図 II-3 核融合科学研究所で作製した V-4Cr-4Ti 合金(NIFS-HEAT) 理研究院で作製した V-4Cr-4Ti (SWIP-HEAT), V-Ti, V-W-Ti 合金 V-4Cr-4Ti 合金については、水素脆化 が大きく減少する。NIFS-HEAT は酸素 濃度を 150ppm まで減らしたのに対し、 SWIP-HEAT では 800ppm ほど含んでい Total elongation Uniform elongation 30 Elongation (%) て SWIP-HEAT では少量の水素で延び (右) 35 特性を評価した。図 II-4に水素添加量と 延びの関係を示す。NIFS-HEAT に比べ (左) と中国西南物 25 NIFS-HEAT-2 20 15 10 る。酸素が溶質チタンと結びつき、チタ 5 ン本来の水素吸着効果を損ねたためこの Total elongation SWIP Heat 0 ような差が生じたものと解釈される。そ 0 50 100 150 200 250 300 350 Hydrogen Concentration ((wppm) massppm) の後 SWIP-HEAT の高度化が進み、現在 酸素濃度は∼300ppm まで低減された。 図 II-4 NIFS-HEAT と SWIP-HEAT の水素注入 による延びの低下 68 次 に 、 NIFS-HEAT と (a) 260 硬化とその応用を調べた。図 II- 240 Vick's hardness (Hv) SWIP-HEAT の冷間加工による 5(a) に示すように、冷間加工度 と硬さの関係は合金によらずほ ぼ一定である。次に同じ 20%加 工を、溶体化処理(SA:1100℃ で熱処理し、析出物を溶解させ 220 200 V-4Cr-4Ti 180 160 o SWIP-Heat, 1000 C/1 hr o NIFS-Heat 2, 950 C/1 hr NIFS-Heat 2, after forging 140 120 100 る)、微細析出処理(FP:SA の 0 20 あと 700℃で処理し、高密度で 40 60 80 100 Amount of CW (%) 微細な析出を発生させる)、粗大 析出処理(CP:SA のあと 1000℃ (b) で熱処理し、析出を最大限に発 生させる)を行って、アニーリ NIFS-Heat-2 240 Vicker's hardness (Hv) ング後の硬さを調べた。結果を (b) に示す。 FP や CP 処理により硬度が上 がり、700℃まではそれが保たれ、 また 800℃においても、SA の 700℃程度の硬度を維持してい 220 200 180 160 140 SA+20%CW CP+20%CW FP+20%CW 120 100 る。以上により、熱処理条件と 0 200 冷間加工を組み合わせることに 400 600 800 1000 1200 Annealing temperature (oC) より、使用上限温度を上げるこ とができるとともに、硬度が上 図 II-5(a) 冷間加工による NIFS-HEAT, SWIP-HEAT の 昇することから、部材の肉厚を 硬さ上昇、(b)各加工、熱処理材のアニーリング温度と硬さの 下げることができることがわか 変化 った。 低放射化フェライト鋼の研究開発[17-21] 低放射化フェライ ト鋼の研究は、日本で 製作した候補材の評 価に中国側が参加し、 表 II-1 C Si Mn P S Cr W N B JLF-1 0.10 0.05 0.45 <0.005 <0.005 9.00 2.00 0.025 <0.0010 JLF-OD ODS12-E1-1 0.080 0.120 0.08 0.02 0.41 0.036 0.001 0.003 0.002 0.004 8.94 8.99 1.97 1.94 0.079 0.010 0.0001 - Al V Ta Ni Ti Y2O3 O free O Ar JLF-1 - 0.20 0.080 - - - - - - JLF-OD ODS12-E1-1 0.002 - 0.19 - 0.11 - 0.022 0.20 0.28 0.35 0.209 - 0.150 0.06 0.0033 その経験を元に、中国 のブランケット構想 化学組成および熱処理条件 に基づいた独自の候 補材候補税の設計を進めた。 69 (a) 酸化物分散強化型フェライト鋼の開発 本共同研究では、従来の低放射化フェライト鋼・JLF-1 鋼をベースとした酸化物分散強化型 (ODS : Oxide Dispersion Strengthened)鋼 JLF-OD を試作し、高温環境における基本的な性能検証を 実施した。ここでは、JLF-ODS 鋼の高温硬度と組織との相関を調べることを目的としている。参 照材として JLF-1、核燃料サイクル開発機構の開発した ODS 鋼 ODS12-E1-1 を用いた。化学組成 および熱処理条件を表 II-1に示す。 3 鋼種とも Fe-9Cr-2W の基本組成をとっている。低放射化フェライト鋼は、焼入れ+焼戻しに 伴う熱処理により調整された焼戻しマルテンサイト組織を有している。また、熱処理時に導入さ れる転位組織および粒界・母相に存在する析出物により強化された組織を持つ低放射化鉄鋼材料 である。一方、ODS 鋼は母相中に Y2O3 粒子を微細分散させ、酸化物粒子の分散強化を意図した 鉄鋼材料である。ここでは、熱間押出し後の熱処理条件の最適化を図った。JLF-OD、ODS12-E1-1 においてはフェライト組織、マルテンサイト組織の 2 種類の組織を得る事を意図し、それぞれの 鋼種に 2 種類の熱処理を施した。1050℃、1 時間焼入れ後、5℃/h の冷却速度で 600℃まで炉冷し、 その後室温まで空冷したものを A 材とした。また、1050℃、1 時間の焼入れ後、空冷し、750℃に て 30 分焼戻し処理を行い空冷したものを B 材とした。A 材および B 材は、それぞれフェライト 組織およびマルテンサイト組織の形成を図った熱処理である。熱処理後、透過電子顕微鏡による 微細組織観察を実施し、高温ビッカース硬度試験を実施した。高温ビッカース試験は、同一試料 で昇温−保持−硬度試験のサイクルで行った。昇温は 10℃ / min で行い目標温度到達後試料が均 一温度になるまで 10 分保持後、試験を実施した。 図 II-6 に JLF-ODS 鋼の熱処理後の微細組織観察結果を示す。JLF-ODS(炉冷材)は、フェライ ト組織であった。また、JLF-ODS(N/T 材)では、JLF-1 鋼の焼入れ+焼戻しと同一の熱処理をし たものの、JLF-1 鋼で観察されるようなマルテンサイトラス構造は観察されず、フェライト組織で あった。酸化物粒子の分散状況に注目した結果、炉冷材では、N/T 材に見られるような微細分散 は確認できず、Y2O3 が凝集していた。これは、焼入れ後の長時間の時効過程における酸化物粒子 の界面エネルギーの低下によるもの と考えられる。しかしながら、 ODS12-E1-1 については、母相におけ る酸化物粒子の分散状況について熱 処理の違いによる明確な変化は見ら れず、JLF-ODS(N/T 材)と同等の 数密度を示した。これは、Ti の微量 添 加 に よ り 、 Ti の 効 果 で あ る Y2O3-TiO2 を生成し、酸化物粒子が母 相に微細分散されたことによると考 えられる。これらの結果から、 9Cr-2W 系 ODS 鋼の焼入れ+焼戻し に伴う酸化物の安定性が示された。 図 II-6 70 JLF-ODS の微細組織 (b) 低放射化フェライト鋼の開発:強度特性に及ぼす MX 系析出物の影響 低放射化フェライト鋼のクリープ強度のタンタル添加量増加に伴う変化を評価した。そして、 そのタンタル添加量増加に伴う TaX 系粒子の析出・分散状況の変化に注目し、そのクリープ強度 特性への影響を機構論的に明らかにする事を試みた。 クリープ破断試験結果より、タンタル添加量を増加させる事によってクリープ強度特性は、低 下した(図 II-7)。これは、タンタル添加量の増加に伴う定常クリープ領域の縮小化、つまり、加 速クリープ領域への移行が助長された事が原因であった。これは、高温環境下におけるミクロ組 織の不安定性がタンタル添加量の 増加によって、助長された事を意 味する。そこで、この原因を、ミ クロ組織観察の観察より検討した。 先ず、タンタル添加量の増加によ って旧γ粒サイズが微細化した。こ の組織変化は、非時間依存性型強 度特性、つまり、焼入れ+焼戻し状 態の組織が、支配的に影響する強 度特性(引張特性、シャルピー衝 撃特性)に、影響は与えなかった。 図 II-7 クリープ強度特性に多大な影響を クリープ破断試験結果 (650ºC) 及ぼす母相中のタンタル添加量増 加に伴う TaX 系粒子の析出・ 分散状況変化に注目したとこ ろ、その添加量増加による明確 な変化は見られなかった(図 II-8)。 これより、クリープ強度特性 の強化効果は得られないこと が、ミクロ組織観察からも確認 された。クリープ破断試験で認 められたタンタル添加量の増 加に伴うクリープ強度特性の 低下は、クリープ変形挙動(軟 化)に対して、旧γ粒界近傍の 優先回復を助長して、マルテン サイトラス構造の崩壊、サブグ レイン化を助長するために、組 織不安定性を助長したと推察 できた。また、クリープ破壊挙 図 II-8 71 転位組織と母相中 TaX 系析出粒子 動に対して、破面近傍組組織の観察結果より、クリープキャビティは、M23C6 の析出サイトに起 点を有し、その旧γ粒微細化に伴うクリープキャビティの発生・成長の助長現象が、破面観察、及 び、破面近傍組織の観察より明らかとなった。これより、クリープ強度特性の強化効果は得られ ないことが、ミクロ組織観察よりも確認された。クリープ破断試験で認められたタンタル添加量 の増加に伴うクリープ強度特性の低下は、クリープ変形挙動(軟化)に対して、旧γ粒界近傍の優 先回復を助長して、マルテンサイトラス構造の崩壊、サブグレイン化を助長するために、組織不 安定性を助長したと推察できた。また、クリープ破壊挙動に対して、破面近傍組組織の観察結果 より、クリープキャビティは、M23C6 の析出サイトに起点を有し、その旧γ粒微細化に伴うクリー プキャビティの発生・成長の助長現象が、破面観察及び破面近傍組織の観察より明らかとなった。 これより、単純なタンタル添加量増加では、母相中の TaX 系粒子のより微細な析出・分散は達 成されず、クリープ強度 特性の強化効果は望め ない。焼入れ時のγ粒界 上に析出する TaX 粒子 が、旧γ粒の成長を抑制 し、旧γ粒を微細化する 効果が認められた。これ は、クリープ変形挙動に 対して、旧γ粒界近傍の 優先組織回復を助長し、 また、クリープ破壊挙動 (a) JLF-1 LN+B (b) JLF-1 LN+BTa 図 II-9 タンタル添加量増加による MX 粒子の析出状況の変化 に対しては、クリープキャビティの発生サイトとなる旧γ粒界上の M23C6 の析出の助長を招き(図 II-9)、これらが総合して、定常クリープ領域の縮小化、つまり、クリープ強度特性の低下を招い たものと解釈される。現行の焼入れ温度条件では、タンタル添加量の増加は、旧γ粒界上の TaX 系 粒子の粗大化を助長するのみである。このため、母相中の TaX 系粒子による微細析出・分散強化 を活用する場合は、焼入れ温度を上昇させ、未固溶 TaX 粒子を、焼入れ熱処理時に、完全固溶さ せることが必要である。 (c) 中国独自の候補材(CLAM)の設計 [22] 以上の研究成果に基づき、日本側と中国側の議論を通じで、中国独自の低放射化フェライト候 補材 (CLAM : Chinese LowaActivation Martensitic) が設計された。これは、現在の中国のブランケ ット設計 (固体増殖あるいは Li-Pb 増殖) 表 II-2 思想に基づいて設計されたものである。そ の組成表を表 II-2 に示す。いくつかの小規 Cr 模ヒートが製作され、現在日本の候補材と の比較評価が行われている。 CLAM 72 CLAM の主要元素濃度 W C Mn V Ta 8.91 1.44 0.12 0.49 0.20 0.15 (2)中国で試作した材料の照射効果の評価 [23-25] 中国で製作した材料を、日本の照射試験装置や高分解 能電子顕微鏡を用いで評価した。図 II-10 は中国製原子力用 304 ステンレス鋼の電子線照射組織を示す。 (a) は電子線 のみの照射によりはじき出し損傷を与えたもの、(b) は電 子線と同時にヘリウムイオンを注入し、核融合炉の(nα) 反応によるヘリウム発生を模擬したものである。ヘリウム の発生により、サイズは小さくなるが密度の高いボイドが 発生していることがわかる。 図 II-11 はSiCのヘリウムイオン照射による照射組 織発達の観察であり、一部は中国でヘリウム注入し、日本 の高分解能電子顕微鏡を用いて観察を行った。SiCは強 い結晶異方性を有することから C 軸面間に He バブルが形 成し、照射条件によってはナノ He ガスキャビティがアレ イを構成することが明らかになった。核融合条件における 核変換 He の挙動が明らかになっただけでなく、ナノドッ トを構成することから SiC のエレクトロニクスデバイスへ の応用へも期待される結果が得られた。左:C 軸に垂直断 面観察、白い横長の模様が He キャビティ、右上:同領域 の高分解能増、右下 C 軸に平行な平面観察、He キャビティ は板状であることが明らかになった。 図 II-10 中国製 304 ステンレス 鋼の電子線照射、および電子線・ ヘリウムイオン同時照射による ボイドの形成 図 II-11 ヘリウムイオン照射SiCの微細組織 800℃ 30 分熱処理 73 左:照射後 900℃ 30 分熱処理、右:照射後 (3)日中共同による放射化評価とブランケットトリチウム挙動計算 [26-33] 誘導放射能のための核データを日中で比較、補充し、共同で誘導放射能の評価を行った。特 に、種々の低放射化バナジウム合金を用いたブランケットの炉停止後の誘導放射能の比較評価を 行い、再利用の可能性を検討した。図 II-12 は、共同で評価した純 V-4Cr-4Ti 合金および日本(N IFS),アメリカ(US),中国(SWIP)で製作した V-4Cr-4Ti 合金の炉停止後の誘導放射能 の変化である。低放射化の基準として、遠隔操作で再利用ができる基準と、直接操作で再利用が できる規準がある。計算により、アメリカの合金はかろうじて遠隔操作による再利用が見込める が、日中の合金は、それよりも 2 桁低く、あと一桁の低減で直接再利用が可能になることが示さ れた。これは主に、日中の合金ではNb不純物の低減に成功したことに基づくものである。 Remote Handling Recycle Limit Hands-on Recycle Limit 図 II-12 V-4Cr-4Ti 構造材料の核融合炉停止後の誘導放射能計算 日本においてブランケット材料中のトリチウム挙動について実験研究を行い、日中共同で量 子化学計算による挙動解析を行った。酸化リチウム(Li2O)を試料として、3keV 重水素イオン照射 を行い、フーリエ赤外分光法(FT-IR)により O-D 結合の生成過程を明らかにした。また、量子化 学計算では、Li2O 中での水素の安定性について評価し、LiOD 相の生成メカニズムについて検討 した。また、欠陥近傍での欠陥と水素同位体との相互作用についても検討を行った。図 II-13 に FTIR における OD 伸縮振動スペクトルを示す。この結果より、3つの赤外吸収ピークが見られ た。これらはそれぞれ、 2710cm-1:LiOD 相を形成する O-D 2660cm-1:表面に密集して存在する O-D 2605cm-1:欠陥の影響を受けて存在する O-D と考えられる。重水素イオンフルーエンスを変えた際のピークの消長から、照射開始直後は欠 74 O-H site O defect site F0 (with 2 e) F+ (with 1 e) F2+ (O vac.) 図 II-13 フーリエ赤外分光法による Li2O 中の O-D 伸縮振動測定 陥密度が低い状態では試料内 に導入された D+は格子間型 動し、表面の活性サイトに到 達した D+は表面 O-D を形成 すると考えられる。フルーエ ンスが増加するに従って、欠 陥密度が高くなり、置換型 D+ として存在する水素同位体が 増え、バルク内に保持される 水素同位体の割合が増える。 1 Energy difference / eV D+ として試料中を容易に移 0 -1 -2 2+ F ( O vac. ) F+ ( O vac. with 1 e ) F0 ( O vac. with 2 e ) -3 -4 0.0 O defect 0.2 0.4 0.6 0.8 Configuration / a.u. 1.0 O-H さらに照射量が増えると、試 料内の水素同位体密度が増加 し、-OD の集合により LiOD 図 II-14 酸素空孔近傍での水素同位体捕捉状態 相が形成されると考えられる。 一方、量子化学計算においても LiOD 相の形成について検討した。その結果、LiOD 相に単 独の O-D が吸収されていく場合と、独立した O-D が結合して LiOD 相を形成する場合の2種類 の可能性が考えられる。DFT を用いた計算の結果から、単独の O-D どうしが結合して LiOD 相 を形成する場合でも約 0.3eV 安定化されることが明らかとなり、LiOD 相は O-D の密度が低くも 形成可能であることが示された。 酸素空孔と水素との相互作用についても検討した。図 II-14 に示すように、酸素空孔としては F0,F+,F2+ center について安定性を計算した結果、F0 center は約 2.9eV 安定化され、最も安定な トラッピングサイトになることが示された。 75 (4)その他 ブランケットに関しては、日本の大学は先進液体ブランケットを中心に要素研究を中心に行 っている。中国側は最近まで核融合―核分裂ハイブリッド炉、あるいは使用済み核燃料の核変換 処理の機能を伴うブランケットを構想し、核計算や熱構造計算を進めてきた。ハイブリッド炉で 用いる溶融塩技術と核融合炉で用いる溶融塩技術は共通性が高く、使用条件や材料との両立性、 熱流動特性などについての議論が進められた[34]。中国においては、液体金属ブランケットの研 究も長く行われていて、MHD圧力損失に及ぼす絶縁壁の効果に関する検討もおこなわれた。最 近では Li-Pb を増殖材に用いたブランケットを構想中であり、トリチウム挙動、両立性、熱流動 特性などの議論がおこなわれた。 また、中国では超伝導トカマク EAST の建設が最終段階に入っており、 超伝導技術に関して、 NIFS の LHD グループ及び大学の関連研究者との情報意見交換が行われた[35]。 研究業績 [1] J.Y. Yan, C.W. Chen, P.C. Fang, K.M. Yin, F.R. Chen, Y. Katoh, A. Kohyama and J.J. Kai, “The investigation of crack mechanism for Tyranno-SA SiC/SiC composites with ESI method,” Journal of Nuclear Materials, Vol. 329-338, 513−517, 2004. [2] T.S. Duh, K.M. Yin, J.Y. Yan, P.C. Fang, C.W. Chen, J.J. Kai, F.R. Chen, Y. Katoh and A. Kohyama, “Study of helium bubble formation in SiCf/PyC/-SiC composites by dual-beam irradiation,” Journal of Nuclear Materials, Vol. 329-339, 518-523, 2004. [3] W. Yang, H. Araki, A. Kohyama, Y. Katoh, Q. Hu, H. Suzuki and T. Noda, “Tyranno-SA/SiC composite with SiC nanowires in the matrix by CVI process,” Journal of Nuclear Materials, Vol. 329-341, 539-543, 2004. [4] J.S. Park, Y. Katoh, A. Kohyama, J.K. Lee, J.J. Sha and H.K. Yoon, “Tailoring the microstructure of hot-pressed SiC by heat treatment,” Journal of Nuclear Materials, Vol. 329-344, 558-561, 2004. [5] Y. Katoh, A. Kohyama, T. Nozawa and M. Sato, “SiC/SiC composites through transient eutectic-phase route for fusion applications,” Journal of Nuclear Materials, Vol. 329-346, 587-591, 2004. [6] J.J. Sha, T. Nozawa, J.S. Park, Y. Katoh and A. Kohyama, “Effect of heat treatment on the tensile strength and creep resistance of advanced SiC fibers,” Journal of Nuclear Materials, Vol. 329-347, 592-596, 2004. [7] Akira Kohyama, “Advanced SiC/SiC Composite Materials for Fourth Generation Gas Cooled Fast Reactors,” Key Engineering Materials, Vol.287, 16-21, May, 2005. [8] Wen Yang, Hiroshi Araki, Somsri Thaveethavorn, Akira Kohyama, “Advanced CVI- SiC/SiC Composite with In-Situ Growth of SiC Nanowires in the Matrix as Additional Reinforcements,” Materials Science Forum, Vol.475-479, 1009-1012, May, 2005. [9] J.J. Sha, J.S. Park, T. Hinoki, A. Kohyama and J. Yu, “Tensile Properties and Creep Behavior of SiC-Based Fibers under Various Oxygen Partial Pressures,” Materials Science Forum, Vol.475-479, 76 1333-1336, May, 2005. [10] J.Chen, T. Muroga, T. Nagasaka, Y.Xu and S. Qiu The recovery and recrystallization of cold rolled V-W-Ti alloys” Journal of Nuclear Materials 322 (2003) 73-79. [11] T. Muroga, T. Nagasaka, K. Abe, V.M. Chernov, H. Matsui, D.L. Smith, Z. –Y. Xu and S.J. Zinkle, Vanadium alloys – overview and recent results” Journal of Nuclear Materials, Vol. 307-311 (2002) pp.547~554. [12] J. Chen, T. Muroga, S. Qiu, Y. Xu, Y. Den and Z. Xu Hydrogen embrittlement of V4Cr4Ti alloy evaluated by different test methods” Journal of Nuclear Materials 325 (2004) 79-86 [13] J. M. Chen, S. Y. Qiu, T. Muroga, Y. Xu, T. Nagasaka, Y. Chen, Y. Deng and Z. Y. Xu hydrogen-induced ductility loss and strengthening of V-base alloys” The Journal of Nuclear Materials, Volume 334, Issues 2-3, 1 September 2004, Pages 143-148 [14] J.M. Chen, T. Muroga, T. Nagasaka, Y. Xu, C. Li, S.Y. Qiu and Y. 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Shinozuka, Relation between Rupture Strength and Sub Structure of Heat Resistant Steel , ISIJ international 42, 1444-1451, 2002. [19] H. Sakasegawa, M. Tamura, Y. Kohno, Y. Katoh, A. Kohyama and A. Kimura, Improvement of High Temperature Mechanical Property by Precipitation Hardening of Reduced Activation Ferritic/Martensitic Steels , Fusion Science and Technology, Vol. 44, 196-200, 2003. [20] M. Tamura, H. Sakasegawa, A. Kohyama, H. Esaka and K. Shinozuka, Effect of MX type particles on creep strength of ferritic steel , Journal of Nuclear Materials, Volume 321, 288-293, 2003. [21] H. Sakasegawa, M. Tamura, Y. Kohno, Y. Katoh, A. Kohyama and A. Kimura, Improvement of High Temperature Mechanical Property by Precipitation Hardening of Reduced Activation Ferritic/Martensitic Steels , Fusion Science and Technology, Vol. 44, 196-200, 2003. [22] F. Zhao, K. Wan, F. Wan, Y. Long, Y. Xu and Q. Huang, The structure and properties of low activation ferritic/martensitic steels” Materials Science Forum 475-479 (2005) 1383-1386. [23] H. Kinoshita, Hu Benfu and H. Takahashi, Effect of helium and aging treatment on radiation damage behavior in low activation Fe-Cr-Mn(W,V) alloy” Materials Science Forum 475-479 (2005) 1455-1458. [24] Hu Benfu, H. Kinoshita, T. Shibayama and H. Takahashi, 77 Damage behavior of electron/helium dual-beam irradiation on Fe-Cr-Mn(W,V) alloy” Materials Science Forum 475-479 (2005) 1463-1466. [25] C. H. Zhang, S. E. Donnelly, V. M. Vishnyakov, J. H. Evans, T. Shibayama and Y. Sun, “A study of the formation of nanometer-scale cavities in helium-implanted 4H-SiC” Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B: Beam Interactions with Materials and Atoms, B218 (2004) 53-60 [26] Y. Wu, T. Muroga, Q. Huang, Y. Chen, T. Nagasaka and A. 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Kodama, M. Sasaki, H. Kimura, K. Munakata, M. Okada, K. Kawamoto, H. Moriyama, M. Nishikawa and K. Okuno, Correlation Between Annihilation of Radiation Defects and Tritium Release in Li2TiO3, Fusion Eng. Des., in press. [32] M. Oyaidzu, Y. Morimoto, H. Kodama, M. Sasaki, H. Kimura, K. Munakata, M. Nishikawa, M. Okada, K. Kawamoto, H. Moriyama, and K. Okuno, The Correlation between the Annihilation Process of Radiation Defects and Tritium Release Process in in Li2TiO3, J. Nucl. Mater.,329-333 (2004) 1313-1317. [33] M. Oyaidzu, Y. Morimoto, M. Sasaki, H. Kimura, K. Okuno, . Nishikawa, K. Munakata, H. Moriyama, K. Kawamoto, and M. Okada, ESR Study on Annihilation Process of Radiation Defects Induced by Neutron Irradiation, Phys. Scripta., T108 (2004) 42-45 [34] A.Sagara, T. Kunugi, Y.Wu, H. Matsui, O. Mitarai, S. Satake, T. Terai, S. Fukada, Studies on flibe blanket design in helical reactor FFHR, Fusion Technology 39 (2001) 753-757. [35] 石郷岡、他「中国の超伝導研究・開発の現状視察報告」電気学会超電導研究会資料--資料番 号ASC−05−43(全6頁) 78 III. 理論・シミュレーションによる炉心プラズマ挙動の研究 研究計画立案時に掲げた理論検討研究課題は、トーラスプラズマの磁気流体(MHD)及 び微視的不安定性の解析理論、輸送理論(新古典輸送、異常輸送)及び数値解析コードの 研究、閉じ込め改善モードの研究、高エネルギー粒子の物理、核融合プラズマの非線形過 程及び複雑性プラズマ物理の数理、そして、プラズマ周辺部及びダイバータープラズマに 関連する研究テーマなど広範囲に及ぶ研究テーマであった。理論研究の実施母体としては、 日本側拠点として核融合科学研究所(NIFS)を中心に、多くの大学研究グループ(東京大、九 大、京都大、山口大、中央大、慶応大など)及び研究機関(原研、電力中央研等)の協力 を得つつ、中国側も、合肥の等離子体物理研究所(ASIPP)を中国側の拠点として、西南物理 研究院(SWIP),応用物理計算数学研究所(IAPCM),物理研究所(ASIP)などの研究機関および 清華大学や中国科学技術大学(USTC) 等の大学と密接な協力体制を取りながら、掲げた研究 課題について日中双方が有機的に議論や意見交換を行い計画の立案及び実施を行ってきた。 具体的には以下の4研究テーマ、(1)プラズマの MHD 及び微視的不安定性解析理論 の研究、 (2)トーラスプラズマの輸送理論・数値解析コードの開発及び改善モードの研究、 (3)複雑性プラズマにおける自己組織化の物理、及び(4)周辺・ダイバータープラズ マのモデリング及び不純物、リサイクリング粒子のコントロール、にテーマを絞り、テー マ(1)佐貫、テーマ(2)伊藤(公)、テーマ(3)堀内、テーマ(4)冨田、がそれぞ れ責任分担者となり協力研究を遂行した。これらの協力研究で得られた研究成果は20編 以上の論文として既に発表されもしくは発表予定であり、IAEA などの国際会議などでも報 告されている。(Appendix の論文リストを参考のこと) 他に特筆すべきは、当事業計画立案当初から参加した中国側若手理論研究者が5年を 経てそれぞれ研究実績をあげ、研究グループのリーダーとしてまた中心的な研究者として 活躍していることは当事業を通じてなし得た重要な成果とも言える。以下それぞれのテー マの成果について報告する。 1) プラズマの MHD 及び微視的不安定性解析理論の研究 日本側分担者:佐貫平二 中国側分担者:J. Q. Dong(SWIP),Shaojie Wang(ASIPP), Zhe Gao(Tsinghua Univ.) 磁場閉じ込めプラズマにおける粒子及びエネルギー輸送は新古典輸送で予想される値 79 よりもかなり大きいこと(一桁程度)が最近の実験結果から分かっている。このような異 常輸送を理解し制御することは核融合研究の重要なテーマである。また、此の異常輸送が プラズマ中の密度や温度勾配により誘起されるミクロサイズの乱流の挙動に密接に関係し ていることを示す実験的データも蓄積されつつある。1970年代から1990年代にか けて多くの理論モデルが提案され、実験的にも検討されてきた。最近になり、線形及び非 線形イオン温度勾配型不安定性がイオンの異常輸送を説明する上で重要な役割を果たして いることが明らかになり、内部輸送障壁(ITB)の伴うトカマク装置では輸送が新古典輸送の レベルまで軽減できることが指摘されている。しかしながら、電子の輸送は、ITB の形成さ れている場合でも依然として異常輸送性を示しており、どのように説明するのかは重要課 題の一つである。他方、当研究所の CHS 装置では、プラズマ周辺部ではなくコアの領域で ITB の形成が観測されており、観測される電子温度勾配型不安定性等の低周波数揺らぎ と の関連性も興味あるテーマである。このような問題を検討する場合には、対象となるモー ドの空間構造や安定性の非局所解析が不可欠である。このような研究分野では、名古屋大 学プラズマ研究所にあったバンピートーラスでの低周波数モードの佐貫等による非局所安 定性解析法の実績、中国側代表者の一人、J. Q. Dong がテキサス大で検討した積分方程式に 基づく固有モード解析法の経験がある。 当研究テーマの一つである MHD 不安定性に関しては、ASIPP にある HT-7,EAST 装置の実 験計画立案に関連して垂直変位不安定性解析及びその制御に関する共同研究を遂行してき た。高エネルギー粒子による運動論的効果を取り入れた安定性解析についても意見交換を 行い、今年度(平成17年度)日本側から内藤(山口大)が中国を訪問し、最近検討して いる運動論的 MHD シミュレーション結果について説明し、実りある議論ができた。今後の 進展が期待される。 当研究計画立案の段階で、中国側の研究者と綿密な打ち合わせを行い、これまでの経 験と実績のもとに非局所解析法の整備及び異常輸送の構造解明を共同研究の重要課題とし た。その後、中国側の清華大学の若手の研究者、Zhe Gao が加わり、有限ベータ効果、磁気 シェアー効果、プラスマの回転の効果等について検討し、併せてパラメーター依存性につ いても詳しく調べた。これらの研究成果は論文としてまとめられ、国際会議でも報告され ている。以下成果の幾つかについて報告する。 まず最初の議論は、電子温度勾配型不安定性の非局所安定性解析で、シェアースラブ 配位での運動論的積分方程式、 ∞ ⎛ T k 2 Ω 2⎞ dk ' K(k, k ′)φˆ (k ′) = 0 , ⎜1+ e + ⊥ e2 ⎟φˆ (k) + ∫ T 2 Ω 2 π ⎝ i i ⎠ −∞ 80 (1) に基づき解析した。この積分方程式の積分核 K(k、k )の具体的な式は論文1)参照のこ と。此の積分方程式(1)の解法としては、後に述べる WKB 法に基づく解法と直接数値的 に解く方法が検討されているが、ここでは数値的に解く方法を採用した。具体的検討テー マとしては、不安定性に体する 電子の遮蔽効果、 E × B 速度シ ェアー効果、磁気シェアー効果 を調べ、奇数及び偶数のパリテ ィーを持つ6種類の不安定モ ードの存在とその性質が理論 的に予言された。このような不 安定性の性質は非局所解析を 行わなければ分からない結果 で、以下に一例として、速度シ ェアーによる安定効果につい ての結果を示す。図 III-1(a) 図 III-1成長率、輸送係数と速度シェアーの関係 は規格化された成長率を速度シ ェアーの関数として表した結果 で、図 III-1(b)は所謂 mixing length theory により輸送係数を評価した結果である。シェア ーの小さい領域では、不安定になり、更にシェアーが大きくなると局所的に最大となり、 シェアーの更に大きな領域では安定化される。輸送係数は、成長率と、モードの構造に依 存するので、非局所解析の有効性を示す一例である。 引き続き、西南物理研究院のメンバー(Aike Wang et al.)との協力研究として、Braginskii MHD model に基づいて、イオン勾配型不安定性に対する電流密度による電子の熱流の効果につい て検討し、その成果は Nuclear Fusion などの数編の論文にまとめら、同時に土岐会議やアメ リカの San Diego で開催された H-mode Workshop などの国際会議で報告されている。これら の研究は、流体方程式に基づいて解析されている為、先に述べた積分方程式による解析結 果のような運動論的効果について詳しい議論はできないが、流れの効果や捕捉粒子の影響 等についての議論も可能であり、此の点についても論文で論じられている。更に、西南物 理研究院(J.Q. Dong et al.)及び清華大学(Zhe Gao)との 協力研究として検討されたテーマは、 積分方程式に基づく解析法の有限ベータ系への拡張であり、トロイダルプラズマ系での温 度勾配型不安定性の解析である。特に、短波長領域における温度勾配型不安定性について 詳しく検討した。具体的には、局所スラブ短波長イオン温度勾配不安定性(SWITG) モード、 非局所 SWITG モード及び ETG モードの固有モード構造解析を行い、これらの不安定性 81 に対する有限ベータ効果、磁気シェアー効果、更に速度シェアー効果等について詳細に調 べた。昨年度と今年度は、非局所トロイダル SWITG モードについて解析し、負磁気シェア ーパラメータ領域でも、非局所トロイダル SWITG モードの基本波は安定化が難しいと言う 従来の結果と異なる新たな結果が理論的に予言される等、今後実験的な検証の待たれる結 果が得られている。 これらの多くの成果の中から、幾つかのトピックスについて簡単に報告する。最初の 例は、sheared slab SWITG mode に対する有限ベータ効果についての解析結果である。通常 0.6 0 .0 3 (a) 0.4 γL /v ti 0 .0 2 n S W IT G S 1 ← ETG → 0.2 0 .0 1 ← S W IT G S 0 0 .0 0 0 .0 0 0 .0 1 0 .0 2 0 .0 3 0 .0 4 0 .0 5 0.0 0 .0 6 βe 図 III-2:SWITG mode に対する有限ベータ効果 議論されている低ベータモデルではなく、full betamodel (3×3メトリックス積分核を持つ 積分方程式に基づく固有モード解析)の解析結果である。図 III-2に示されているように、 βの増加に伴い SWITGS0(基本モード)及び SWITGS1(第1高調波)の成長率が減少する 0.03 SW TG β e=0 β e=0.005 γLn/vti β e=0.05 0.02 0.01 0.00 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 L n V E '/v ti 図 III-3:SWITG の成長率と速度シェアー効果 図 III-4:トロイダル SWITG に対す る断熱電子の運動論的効果 82 が、更にβが増えると基本モードは安定化されることなく不安定な領域が現れる。此の結 果は、低ベータモデルでは議論することができず、full beta model の解析で初めて得られ た理論予測結果である。(Physics Plasmas 10(2003)2831) 次の例は有限ベータプラズマにおける SWITG に対する速度シェアー効果についての解 析結果である。異なるβ値に対する成長率の変化が図 III-3 に示されている。 図 III-3から分かるように、有限ベータの場合には速度シェアー効果で安定化されるが、 ゼロベーターの場合には安定化の傾向を示すが強いシェアーが必要なこと、成長率に局所 最大値が存在するなど新しい幾つかの知見が得られた。図 III-4には、SWITG に対する非 断熱電子解析結果と電子を断熱近似を仮定して解析した場合の結果の比較が示してある。 高調波に関しては著しい違いはないが、基本波について効果が大きく、非断熱電子の効果 により成長率が短波長領域で特に大きくなることが結論される。非断熱電子の効果を取り 入れた場合にはモード構造に、電子のラーマー半径で特徴づけられる短波長の構造があり、 精密な計算上の難しさがあり、此の点にも数値計算上の工夫がされている点に注意する。 その他の多くの成果については今回詳しい報告はできないが、次に報告する輸送関連の報 告の最後に一緒に成果論文リストを添付する。 2) トーラスプラズマの輸送理論・数値解析コードの開発 及び改善モードの研究 日本側分担者:伊藤公孝 中国側分担者:Shaojie Wang(ASIPP),J. Q. Dong(SWIP), Zhe Gao(Tsinghua Univ.) 此のテーマは、1)で報告した安定性の検討課題と密接な連携を取りつつ検討された。 両国の分担者も併任している分担者が多く、従って、論文や国際会議等の成果については 此の報告の最後に1)及び2)まとめてリストアップする。 トーラスプラズマの新古典輸送と電場、微視的不安定性等による異常輸送の軽減化の問 題は、磁場閉じ込め装置の閉じ込め性能を決める重要な研究課題である。これらの二つの 関連するテーマを中心課題として計画を立案し、共同研究を実施した。以下に得られた研 究成果を報告する。最初に手がけた研究テーマは、ヘリカルプラズマ中の新古典輸送理論 拡張の為の新しい方向性を模索するための理論の議論である。プリンストン滞在中に高エ ネルギー粒子の輸送について検討しつつあった Shaojie Wang(ASIPP)と佐貫及び洲鎌(NIFS) が中心となり検討した。5次元のドリフト方程式に基づきヘリカルプラズマの超低衝突周 波数領域での新古典輸送を記述する 3 次元ドリフト方程式を導出した。此の方程式導出の 83 ポイントは、どのような運動の恒量を基本量にするかであり、理論を構築する為の新たな 知見が得られた。此のドリフト方程式の新しい可能性は、ヘリカルプラズマ中の高速イオ ン等の新古典輸送等を計算するシミュレーション手法に新たな展開が期待できる点である。 得られた成果は、Physics Plasmas 7(2001)963 に報告されている。具体的に此のドリフト方程 式をどのように解くかについては、今後の継続的な検討課題であるが、此の研究課題につ いては引き続き検討が行われ、ヘリカルトーラスの有限バナナ幅の効果を取り入れた新古 典輸送理論についての議論が展開された。その成果の一部は中国昆明で開催された日中ワ ークショップで報告され、土岐会議の論文としてもまとめられた。(文献3:J.Plasma Fusion Res. SERIES(2002)) 新しい結果としては、輸送フラックスが通常の簡単な微分形式ではな く、積分系で表現される点であり、極めて低衝突周波数領域または大きな衝突周波数領域 では簡単な形式への変形も近似解として導出可能だが、中間衝突周波数領域では非局所的 な積分系で表現される点である。他の特筆すべき点は、衝突周波数が小さいパラメーター 領域では、既存の計算コードでは輸送係数の計算時間が大きすぎてパラメータサーベイが 困難であるが、ここで開発された計算コードは、可変メッシュの工夫により計算時間が大 幅に改善され、より厳密で精度の良い検討が可能となった点である。 次に報告するテーマは、電子の異常輸送係数に関するスケーリング則に関する最近の 重要課題についての検討成果である。近年の理論モデルの精密化及び空間的時間的精度の いい計測法の進展により理論予測結果と実験観測結果の詳細な比較検討が可能になりつつ ある。最近の実験観測結果、例えば、DIII-D や TFTR トカマクでは、Internal Transport Barrier(ITB)形成時でも、イオン温度勾配型不安定性に依存する乱流は電場のシェアー効果 で抑制され、イオンは新古典輸送の振る舞いをするが、電子の輸送は電子温度勾配型不安 定性に伴う乱流が誘起する異常輸送性を示している。従って、ETG 不安定性と関連する電 子の異常輸送の解明は最近の重要課題の一つになっている。また、ASDEX-Upgrade,Tore Supra トカマクの観測結果、更に昨年報告された JET トカマクでのデータは、輸送係数に温 度勾配の特徴的スケール、R LTe に分岐現象があること、電子とイオンの温度比に結果が強 く依存する傾向を実験的に示している。これらの現象を理論的に説明する為の理論モデル について検討した。 最初のテーマは、トロイダルプラズマの電子温度勾配(ETG)不安定性と輸送係数の評価 である。(Physics Plasmas 9(2002)4699) 低β近似のもとで、電子のトロイダルドリフト、有 限ベータ効果などの運動論的効果を取り入れて解析理論及び計算コードを拡張し、トロイ ダルプラズマの ETG 不安定性を解析し、その結果を用い輸送係数の評価を行った。時間積 分に関する新しい工夫により(NIFS の洲鎌との議論が参考になった)、従来計算が困難であ った成長モードと減衰モードの同時解析が可能となり、安定不安定性境界のパラメ-ター依 84 存性が詳しく評価できた。実験観測結果を検討において、特に電子熱輸送係数に対するト ロイダル依存性及び温度比依存性について詳しい検討を行った。得られたスケーリング則 は次式で与えられる。 c⎤ ⎡ DB c ⎢ 1 ⎛ 1 ⎞⎥ χ e, ≈ × − ⎜ ⎟ F(εn , sˆ,q) 0.0173τ i 2 + 1.95τ i + 1.17 ω pe ⎢⎣ LTe ⎝ LTe ⎠ ⎥⎦ ここで、 DB = cTe eB はボーム拡散係数で、F( )はトロイダル依存性、磁気シェアー、安全 係数等で決まる関数である。R LTe に対する具体的な表式は上記の文献の図9及び図12で 与えられているが、ASDEX-Upgrade,Tore Supra トカマクの観測結果を定性的に説明できる。 より詳細なスケーリング則およびパラメーター依存性について検討し、得られた成果は IAEA 招待講演として報告され、論文としてまとめられている。(Nuclear Fusion 43(2003)1-8) 更にトロイダルプラズマの短波長イオン温度勾配(SWITG)不安定性の安定性に対する勾配 長のパラメーター依存性について詳しい解析を行い、特に温度比依存性についてのスケー リング則を評価した。研究成果については今年の7月に奈良で開催された 19th ICNSP&第7 回 APPTC 国際会議で報告された。 6 γ1=0 γ0=0 mode l=0 mode l=1 (ηic1,ηe) 3 (ηi,ηe01) 2 γ0=γ1 ηic 4 ηe 4 (b) τ=2 2 0 (ηic0,ηe) or (ηc,ηec0) 1 -2 1 2 3 4 5 1 ηi 2 3 4 5 τ 図 III-5:イオン電子温度勾配長スペース 図 III-6:臨界温度勾配長の温度比 での基本波及び第一高調波の 依存性 安定不安定境界 但し、図 III-5 及び図 III-6 に示したように今回評価できたのは温度勾配長の臨界値であ り、電子の熱輸送係数のスケーリングの総合的評価や zonal flow 等の効果を考慮した非線形 85 解析なども必要であり、今後の研究課題と考えている。 その他の成果としては、電場シェアーによる微視的モードの安定化効果の物理機構、 異常輸送の軽減化、実験観測結果との比較検討についても総括し、昨年(平成16年)中 国で開催された APFA 国際会議で報告された。 (文献8) また、分担者伊藤が中心となり、進めている輸送理論、電場分岐理論、乱流理論な どの総合的な検討は、単に従来の現象の解明だけでなく、新しい物理課題の重要課題を提 示しており、中国での講演及び議論により多くの研究者が注目しており、日中双方の協力 により更なる研究の進展が期待される。 最後に、成果に関する文献リストを添付する。文献リスト14)はレーザー関連の論 文であるが、関連する物理的議論は此のカテゴリーで実施されたので、研究成果論文をこ こでリストに加えた。 テーマ1)及びテーマ2)関連成果論文 1) J.Q.Dong, H.Sanuki and K.Itoh , Physics Plasmas 8 (2001)3635-3644. 2) J.Q.Dong, H.Sanuki, K.Itoh and L.Chen,Physis Plasmas 9 (2003)914. 3) J.Todoroki, H. Sanuki and K.Itoh, J.Plasma Fusion Res. Series 5(2002) 616-619. 4) A.K.Wang, J.Q.Dong, H.Sanuki and K.Itoh, Niclear Fusion 43(2003)579. 5) Zhe Gao, H.Sanuki, K.Itoh and J.Q.Dong, Physis Plasmas 10(2003)92831. 6) J.Q.Dong, G.D.Jian, A.K.Wang, H.Sanuki and K.Itoh, Nuclear Fusion 43 (2003)1-8. 7) A.K.Wang, H.Sanuki,J.Q.Dong and F.Zonca and K.Itoh, Chinese Physics Letter, 21(2004)1575. 8) H.Sanuki, K.Itoh, A.Fujisawa and J.Q.Dong, Plasma Science and Technology 7(2005)2610. 9) Zhe Gao, H.Sanuki, K.Itoh and J.Q.Dong, to be published in Plasma Science and Technology(5th APFA conference). 10) A.K.Wang, H.Sanuki, J.Q.Dong, F.Zonca and K.Itoh, J.Plasma Fusion Res. Series 6 (2004)237. 11) Zhe Gao, J.Q.Dong and H.Sanuki, Physics Plasmas, 11 (2004)3053. 12) Zhe Gao, H.Sanuki, K.Itoh and J.Q.Dong, Physics Plasmas, 12(2005)22502. 13) Zhe Gao, H.Sanuki, K.Itoh and J.Q.Dong, Physics Plasmas, 12(2005)22503. 14) Zheng-Ming,Kunioki Mima,Jie Zhang and Heiji Sanuki, PRL 94(2005) 95003. 86 3) 複雑性プラズマにおける自己組織化の物理 日本側代表者:堀内利得(NIFS) 中国側代表者:朱 少平(IAPCM) 核融合プラズマをはじめとする複雑性プラズマは、非線形、非定常性、開放性で特徴 付けられ、そのダイナミカルな振る舞いは、系内の非線形物理過程ばかりでなく、系外から のエネルギーや質量の流出入より支配されているため、非定常で、非常に複雑となってい る。共同研究では、日本側で開発してきたシミュレーション技法や自己組織化の研究成果 と中国側でのレーザープラズマに関する研究成果を研究交流の題材として、複雑性プラズ マで発生する自己組織化現象の重要な物理課題である、1)エネルギーの印加過程と自己 組織化過程の関係、2)系内部に存在するミクロおよびマクロ物理過程と開放性の関係、 および、3)エントロピー(不要物)の排出過程と自己組織化過程の関係に関する解析を 共同で行ってきた。 まず、日本側を中心として行ってきたシミュレーション研究では、様々な複雑性プラズ マで発生する構造形成、構造維持・遷移過程などの自己組織化現象の解析を理論及び計算 機シミュレーションを用いて行い、共同研究を通じて多くの重要な知見を得ている。例え ば、外界からのエネルギー供給の仕方により、系の構造遷移が階段状に起こる場合と間欠 的に起こる場合があること[1,2,3]。これらの結果は単に、高温プラズマでの現象に適応で きるのみならず、高分子から成る複雑液体にも適応できることが分子シミュレーションを 用いて確かめられている。また、構造形成で発生した不要物(エントロピー)を系外に排 出する機構の存在によっても構造形成に大きな差が生まれることも、粒子シミュレーショ ンを用いた解析によって明らかにされた。 一方、中国側を中心とする研究では、外界からのエネルギー供給のある系で発生する ミクロ自己組織化現象の例として、超強レーザーとプラズマの相互作用の問題を取り上げ、 粒子シミュレーション手法を用いた解析を行った。外界から与えるレーザー強度により、 以下の報告にあるような非常に興味あるミクロ自己組織化現象が存在すること明らかにさ れた[4,5,6]。また、この現象は系の開放性と構造形成が深く関わっているなどマクロ自己 組織化現象との多くの共通点が存在することが議論の中で明らかにされた。以下ではその 主な成果の具体例を紹介する。 まず、磁化プラズマ中の自己組織化過程を支配している磁気リコネクションに関する研 究について報告する[1,2,3]。磁気リコネクションは、プラズマ中に電気抵抗を生み出すミ 87 クロスケールの物理過程と磁場閉じ込め配位の変化やプラズマ輸送等のマクロスケールの 物理を結びつける重要な物理過程である。この共同研究では、複雑プラズマの重要な特性 である開放性と無衝突磁気リコネクションのダイナミックスの関係に注目して研究を進め た。境界を通じて自由にプラズマが出入りすることのできる開放系粒子シミュレーション モデルを用いて、上流境界から流入するプラズマ流と系のダイナミックスの関係を調べた。 ある小さな空間スケールで定常的にプラズマが流れ込むと、シミュレーション領域の中 央に1つのリコネクション点が存在する定常磁気リコネクションが実現する。このリコネ クション点の近傍にはイオンの空間スケールを持つ発達した電流層が形成され、ミクロな 粒子運動論効果を通じて電気抵抗が発生する。即ち、定常磁気リコネクションでは、リコ ネクション点から離れた場所では磁気流体時間スケールでプラズマ流入を引き起こすマク ロな物理過程に、リコネクション点近傍ではイオンの時間スケールで起こるミクロな物理 過程に支配されている。このように、全く異なる2つの時間・空間スケールを持った物理 過程に支配されているにも関わらず、定常リコネクションが実現したということは、磁気 リコネクションに直接関係するミクロ粒子系での物理状態が系を取り t=572 t=0 0.0000E+000 t=1431.3000E+000 1.2900E+001 t=7762.3600E+001 0.0000E+000 t=2256.5000E+000 1.8100E+001 t=8983.1800E+001 1.0000E-001 t=306 9.7000E+000 1.8200E+001 t=9593.6700E+001 1.0000E-001 t=4291.3000E+001 3.0200E+001 t=10203.9100E+001 8.2000E+000 1.7900E+001 3.3900E+001 4.1600E+001 図 III-7.入力空間スケールが大きな場合に発生する間欠的無衝突リコネクシ 囲んでいる環境(マクロな物理状態)に自らを適合させる自己調節機能を有していると いうことを意味する。 プラズマ流入の空間スケールがある閾値を越えると、図 III-7 に示したような電流層の 88 中心に磁気島が不規則的に次から次へと発生する、 「間欠的磁気リコネクション」の状態へ と遷移する。ここで、図 III-7 は2次元空間における磁場構造の時間発展を示している。 この結果は、プラズマ流入の空間スケールが大きい場合、マクロな磁気流体系の物理状態 に対しミクロな粒子系の自己調節機能がうまく働かなくなることを示唆している。別の言 い方をすると、プラズマ流入が増加すると、イオンの時間スケールで支配されるミクロな 物理過程だけでは対処できずに、電子の運動論効果が関与した物理過程(磁気島の生成) が非定常的に誘発される。このように、プラズマ流入というマクロ物理過程に起因した開 放性の存在が、ミクロ粒子系の応答に非定常性を生み出すことが明らかとなった。 次に、超強レーザーとプラズマの相互作用を通じて発生する自己組織化現象の研究結果 を報告する[4,5,6]。真空中に置かれた臨界密度 ncr の 1/100 の小さな密度を持った一様プ ラズマに超強レーザーを入射した時のダイナミックスを1次元粒子シミュレーション手法 により解析した。規格化されたレーザー強度β=eE0/meω0c~1 の場合、次に挙げる2つの 加速機構を通じて、非常に高品位の良く集光された相対論的電子ビームが形成されること が明らかとなった。まず、プラズマ中に入射したレーザーにより、前方誘導ラーマン散乱 不安定性が発生し、その結果、レーザーの入射方向(x軸方向)に進行する電子プラズマ 波が励起される。電子プラズマ波の成長に伴い、電子プラズマ波に補足された電子が静電 場の作用により波の進行方向に非常に高いエネルギーレベルまでに加速される。真空境界 に到達した加速された電子は、シース電場を境界近傍に形成しながら真空領域へと進行し ていく。真空領域を進む電子は形成されたシース電場により次第に減速され、真空のある 場所で停止し、その後はレーザーの進行方向とは逆向きに加速される。図 III-8 に示した ように、再びプラズマ領域に突入した相対論的電子ビームは位相空間(x, vx)の非常に狭い 領域にピークを持つ集中した配位をとるようになる。また、この集光成分の解析から、 (1) この成分は、初期のマックスウェル分布の内、正の vx を持った成分から構成されているこ と、また、 (2)電子は圧倒的にx方向に加速を受けており、縦波(静電場)モードが重要 な働きをしていることが明らかとなった。即ち、前方誘導ラーマン散乱により加速された 電子ビームと境界で発生したシース電場の相互変調作用を通じて高品位集光電子ビームが 形成されたものと結論される。別の言い方をすると、エネルギー開放系においてβ~1 の超 強レーザーをプラズマ中に入射した結果、非線形相互作用を通じてこのミクロ自己組織化 現象が発生したものと言える。しかしながら、この系には、構造形成過程において生み出 されたエントロピーを排出する機構が存在しないため、時間の経過とともに、集光成分が 加熱され、自己組織化構造は消滅していく。 89 図 III-8.β=1 の場合の電子位相空間分布の時間発展 テーマ3関連成果論文 1) W. Pei, R. Horiuchi and T. Sato, Phys. Plasmas, Vol. 8 (2001), pp. 3251-3257. 2) W. Pei, R. Horiuchi and T. Sato, Physical Review Letters, Vol. 87, No. 23, 235003 (2001). 3) R. Horiuchi, W.B. Pei, and T. Sato, AIP Conference Proceedings, 669, Issue 1, (2003), pp. 769-772. 4) S. Ishiguro, Lj. Nikolic, M. M. Skoric, B. Li, and T. Sato, JPFR Series Vol. 6, (2004) 279-282. 5) Li Baiwen, S. Ishiguro, M. M. Skoric, and H. Takamaru, JPFR Series Vol. 6, (2004) pp. 275-278 6) Li Baiwen, S. Ishiguro, M. M. Skoric, H. Takamaru, and T. Sato, Laser and Particle Beams, Vol. 22, Issue 3, (2004) pp. 307-314, 4) 周辺・ダイバータプラズマのモデリング及び不純物、 リサイクリング粒子のコントロール 日本側代表者:冨田幸博(NIFS) 中国側代表者:Sizhen Zhu(IAPCM) 90 本研究課題では、これまでに大きく分けて二つの研究テーマで共同研究を遂行してきた。 一つは、「簡易 Core-SOL-Divertor モデルによる EAST プラズマの稼働可能領域」に関する 研究であり、もう一つは「境界層プラズマ中において微粒子の振る舞い」である。これら の成果内容を以下に記述する。 1)「簡易 Core-SOL-Divertor モデルによる EAST プラズマの稼働可能領域」1,2) 核融合プラズマでは、材料の寿命の観点からダイバータ板への熱負荷には上限がある。 閉じこめプラズマ(コアプラズマ:Core plasma)からの熱流束スクレープオフ層(Scrape-Off Layer: SOL)を経て、ダイバータ部(Divertor)に達する。本研究では、ダイバータ板への熱負 荷とコアプラズマの物理量の関係を調べるために、これらの領域を連結する簡易 Core-SOL-Divertor モデルを構築した。中国科学院・等離子体物理研究所では超伝導トカマ ク EAST (HT-7)の建設が進んでいるが、初期は低域混在波(Lower Hybrid Wave) による電流 駆動が計画されている。しかしながら、低域混在波による電流駆動はプラズマ密度が高く なると、その効率が悪化する。さらに、閉じこめプラズマが低密度の場合ダイバータ部も 低密度で高温プラズマになり、非接触プラズマ状態が形成されにくく、ダイバータ板へは 高熱負荷となる。このような状況の基に、この研究では、簡易 Core-SOL-Divertor モデルを 用いて、超伝導トカマク EAST (HT-7) のプラズマ稼働領域を調べた。具体的には、1)低 域混在波電流駆動の必要な入射電力、2)ダイバータ板への許容熱負荷、3)閉じこめプ ラズマの定常パワーバランスを維持するための加熱入力、4)L−H遷移の閾値入力、であ る。 簡易 Core-SOL-Divertor モデルでは、閉じこめプラズマは ITER 設計のガイドラインに 従い、L−H遷移も含まれた0次元である。また、SOL-ダイバータプラズマは、閉じこめプ ラズマと境界を接する部分と、ダイバータ板前面の2点モデルを用いた。このような簡易 モデルを、日本原子力研究所のトカマク型プラズマ閉じこめ装置 JT-60U のLモード実験に 対する周辺プラズマ輸送コード B2-EIRENE のシミュレーション結果と比較した。その結 果、定性的によく一致しており、簡易モデルの有効性が確かめられた。 超伝導トカマク EAST (HT-7) において計画されているプラズマパラメータでの結果(閉 じこめプラズマからSOL部への熱入力 Qin と粒子束 Φin の関係)を図 III-9 に示した。 2 この図で、ダイバータ部への熱負荷(qdiv)が 3.5 MW/m 以下となる領域が実線より左側、 低域混在波電流駆動入力(PLHCD)が 3.5 MW 以下となるのが一点鎖線より下側になる。さ らに、点線より下の領域でL−H遷移閾値入力(Pthr)が熱入力より小さくなり、破線より下 側で低域混在波電流駆動入力が熱入力より小さくなる。これらの制限条件の結果、図 III-9 の影の領域がプラズマ稼働可能な領域である。以上のようなプラズマ条件では、稼働可能 な領域は狭いが、ガスパフ、または不純物入射をすれば稼働可能領域が拡がる(図 21 III-10(a,b))。図 III-10(a)は中性粒子入射率を 1.0×10 /s(全中性粒子の 5% )にした 場合で、粒子束が小さい領域でも稼働可能な領域が現れている。図 III-10(b)は、閉じこめ プラズマからの熱流束の内、輻射で損失する割合を 0.3 から 0.6 に増やした場合であり、 熱入力、粒子束で共に稼働可能領域が拡がっていることがわかる。 以上のような簡易 Core-SOL-Divertor モデルによって、中国科学院・等離子体物理研究所 91 では超伝導トカマク EAST (HT-7)のプラズマ稼働可能な領域を調べた。その結果、ガスパフ や不純物入射によってプラズマ稼働可能な領域が拡がることが明らかになり、実際のプラ ズマ実験の重要な指針になると思われる。 図 III-9. EAST 装置のプラズマ稼働可能な領域 (a) (b) 図 III-10. ガスパフを行った場合 (a)と不純物入射を行った場合の EAST 装置のプラズマ稼働可能な領域。 92 2)「境界層プラズマ中において微粒子の振る舞い」 中国科学院・等離子体物理研究所の超伝導トカマク EAST(HT-7)では長時間のプラズマ維 持が期待されている。このような核融合実験プラズマの長時間維持に伴ってダイバータ板 や周辺金属壁等から金属や炭化水素系の微粒子(ダスト粒子:サイズは数ミクロンm 程度 以下)の発生が観測され始めている。このような微粒子はプラズマイオン,電子の附着に よって様々な電荷状態(〜103 e)及び質量を持っているために,プラズマ中に例え少量で も存在するとその多電荷のために電位形成などのプラズマ現象に大きな影響を及ぼすと考 えられる。実際、材料プロセス・プラズマの分野ではこのような微粒子が良質薄膜形成に 障害をもたらすなどの影響を及ぼしている。 本共同研究では、最初に、一次元運動論的理論解析によって壁の前面に一様に分布して いる動かない微粒子に対してプラズマが入射する場合の電位形成に関する研究を行った 3)。 通常、プラズマ中の微粒子は、軽い電子が微粒子に到達しやすいために負に帯電している。 解析の結果、壁前面の電位形成に関して微粒子密度に閾値が存在することを見いだした。 微粒子密度が低い場合、通常のシース形成と同様に電位は壁に向かって単調に減少する。 しかし、微粒子密度が閾値を越えると電位が振動することが明らかになった。微粒子密度 の閾値は、プラズマ密度が 1018 m-3、プラズマ温度が 10eV で、微粒子半径が 1µm の場 合、4.0×1013 m-3 である。振動の波長 λwave と微粒子密度 nd 、微粒子半径 Rd の関係を図 III-11 に示した。ここで、λDes は電子デバイ長である。この振動の波長はデバイ長程度で、 dust ion-acoustic wave (DIAW)であることを確かめた。 λ wave / λ Des 20 15 10 5 threshold = 0.022 0 0.02 0.04 0.06 0.08 2 n d R d λ Des 0.1 0.12 図 III-11.振動の波長 λwave と微粒子密度 nd 、微粒子半径 Rd の関係 次に、プラズマに接する金属壁上にある発生した球状微粒子が壁から離脱する条件を調べ た 4)。核融合プラズマでの微粒子密度は前述の閾値ほど高くはなく、微粒子の集団的運動の 効果は非常に小さいために、微粒子の運動は個別粒子として扱える。壁上にある微粒子に 働く力の内で微粒子を壁に押しつける力として、プラズマイオンのクーロン散乱による力、 吸収による力、及び影像粒子による力があり、微粒子を壁から離す力としては微粒子と壁 が共に負に帯電しているために生ずる静電力がある。一次元理論解析によって、微粒子が 壁から離れるためには壁の電位に閾値があることを新たに示した。そして、閾値より深い 93 電位の場合に、微粒子が壁から離脱するためには微粒子半径に閾値が存在することを明ら かにした。この結果は、各々の力の微粒子半径依存性から来ており、大きな粒子はプラズ マイオンによる壁に押しつける力が強くて離れることができない。一方、小さな粒子は静 電反発力が大きくなって離脱することができる。重力が壁方向(微粒子を壁に押しつける 方向)に働く場合は、当然のことながら、半径の閾値が小さくなる(図 III-12)。ここで、 ρ d (g / cc) δ gg nse,19 nse,19 T e,eV は、微粒子の重力を表すパラメータでρd は質量密度、nse,19 は 1019 m-3 単位の電子密度、 Te,eV は eV 単位の電子温度である。また、重力が壁から離れる方向に働いている場合には、閾 値電位より浅い電位においても、壁から離脱可能な微粒子が存在する(図 III-13)。このよ うに、壁電位、プラズマ温度、プラズマ密度を調節することにより、壁から離脱する微粒 子の大きさをコントロールすることができる可能性があることを明らかにした。 critical radius R dc / λ Dse 2 1.5 δ gg = 0 10 1 2 0.5 10 3 10 4 0 0 5 1.697 10 wall potential - 15 e φ w 20 / Te 図 III-12.重力が壁方向(微粒子を壁に押しつける方向)に 働く場合の離脱微粒子半径の壁電位依存性。 dc / 10 critical radius R λ Dse 100 1 離脱 0.1 0.01 0.1 1 wall potential - 10 eφ w 100 / Te 図 III-13.重力が壁から離れる方向に働く場合の離脱微粒子半径の壁電位依存性 94 研究成果 [1] R. Hiwatari, Y. Kuzuyama, A. Hatayama, K. Okano, Y. Asaoka, S.Zhu, Y. Tomita, "Simple Core-SOL-Divertor Model to Investigate Plasma Operation Space", Contributions to Plasma Physics, vol. 44, no. 1-3 (2004) 76 - 82. [2] R. Hiwatari, A. Hatayama, T.Takizuka, S.Zhu, and Y. Tomita, “Overall feature of EAST operation space by using simple Core-SOL-Divertor model”, to be appeared in Plasma Science and Technology, 2005 [3] Y. Tomita, R. Smirnov, and S. Zhu, "Stationary Potential Formation and Oscillations in Plasma with Immovable Dust Particles", Plasma Science and Technology, Vol. 7, No. 1 (2005) 2657 - 2659 [4] Y. Tomita, R. Smirnov, S. Zhu, “Induced Charge of Spherical Dust Particle on Plasma-Facing Wall in Non-uniform Electric field”, to be appeared in Plasma Science and Technology (2005). 95 3-3 セミナーの成果 本事業におけるセミナーは、以下の通り事業開始以来 4 回開催した。 平成 14 年度 核融合炉材料と炉工学に関する日中セミナー(中国・蘭州) 平成 15 年度 プラズマ中の原子・分子過程に関する日中セミナー(中国・蘭州) 平成 16 年度 レーザー核融合と高エネルギー密度プラズマ科学シンポジウム(中国・三亜) 平成 17 年度 JSPS-CAS 拠点大学交流事業セミナー∼磁気閉じ込め装置における高性能プラズマ生成と 定常保持∼(中国・合肥) 本事業で組織されたセミナーは、 「核融合全般を取り上げるような総花的、漠然としたものではな く、本事業の個別の課題に密着したトピックスを採りあげる」との基本方針に基づきそれぞれ本事業 における個別のテーマを採りあげ専門的な討論を十分に保障できるよう配慮した。 毎回のセミナーのプロシーディングスは、それぞれ既に出版されている。 以下に、各セミナー責任者による個別の成果などについて詳述する。 96 平成14年度実施、核融合炉材料と炉工学に関する日中セミナー “CAS-JSPS Core University Program Seminar on Fusion Materials and Engineering” 平成 14 年 7 月 29 日(月)∼8 月 2 日(金)蘭州、敦煌 1.セミナーの概要 標記セミナーは、7 月 29 日(月)∼8 月 2 日(金) 中国甘粛省の蘭州、敦煌において開かれた。 同セミナーは、約 2 年に1回日中交互に開かれている、 「先進エネルギーシステム材料と核分裂・ 核融合炉工学」日中シンポジウムの第 6 回と共同開催とし、蘭州にある中国科学院近代物理研究 所 (IMP) がホストを務めた。前年度開始した日中拠点大学学術交流プログラム(先進核融合の炉 心と炉工学に関する研究)の炉工学分野(核融合炉材料と炉工学)共同研究の成果の発表や計画 立案、および関連分野の研究発表、質疑応答を行った。 主会場の蘭州市は、豊かで速い流れを絶やさない黄河流域に長く延びた都市であり、周囲の 黄土高原の荒涼とした山肌と相俟って中国中央部の雰囲気を強く漂わせていた。近代物理研究所 は、加速器核物理研究の中核として整備が進められている、中国科学院の拠点研究所の一つであ り、イオンビームによる核融合炉材料の照射試験も積極的に進めている。最後の2日間の議論は、 更に奥地の古都、敦煌に会場を移した。 日本からの出席者は計 29 名(4 人の学生を含む)であり、中国側からの登録人数は現地協力 者も含め、約 50 名であった。その他、アメリカより 2 名、ヨーロッパから 4 名の参加があった。 会議の基調講演は、初日午前と3日目午後に行なわれた。初日は挨拶と近代物理研究所所長 W.L. Zhan による研究所紹介のあと、J.G. Li (等離子体物理研究所 IPP, 代理発表 Y.C. Wu) による 中国の核融合炉開発へ向けた研究開発計画、山脇(東大)による日本の先進核燃料開発研究、松 田(原研)による ITER 工学設計への日本の貢献、D.K. Sze(UCSD)による APEX 研究の最近の進 展、C.C. Ge (北京科技大) によるプラズマ対向傾斜機能材料の講演があった。また、3日目午後 には、藤原(NIFS)による日本の核融合研究のオーバービュー、Y. Liu (西南物理研究院 SWIP) による、SWIP の核融合研究の紹介、M. Victoria (スイス PSI)の、ヘリウムを含む核融合炉材 料の特性、C.H. Zhang (IMP) による核融合炉材料のヘリウム挙動、R. Faulkner (Loughborough 大 学) による原子炉圧力容器の脆化機構の講演があった。一般講演は2会場に分かれ、計58件の 講 演が 行なわ れた 。引き 続き 敦煌に おい て、「 Fission and Fusion Materials」「Radiation Effects」「Tritium, Blanket and First Wall」「System and Design」の4テーマでグループ議論 が行なわれた。また、2日目午後からは、近代物理研究所のラボツアーが行われた。 セミナーをまとめると、 「先進エネルギーシステム材料と核分裂・核融合炉工学」シンポジウ ムと共催としたことにより参加者が増えたとともに、核融合関係の発表以外にも先進エネルギー システム材料や核分裂炉工学の発表も含まれることになり、核分裂と核融合の炉工学を併せて議 論できるという特徴あるセミナーとなった。 以下に、テーマ毎にセミナーを要約する。 97 2.核分裂・核融合炉材料 核分裂・核融合炉材料 と 照射効果 は双方にまたがる講演が多く、合わせて 29 件の発表と議 論が 3 日間に渡り行われた。核分裂・核融合炉材料 に関しては、1,2日目には、核融合炉構 造材料として注目されている SiC/SiC 複合材料に関する研究と、実用化に向けて国際協力研究が 進められている鉄鋼材料などに関する研究発表があった。鉄鋼材に関しては、中国側からはオー ステナイト鋼に関する発表が比較的多かった。対象となる材料は、熱処理や化学組成など工学的 因子により大きく組織が変化することから報告され、特に日本側からその対象材料の定義につい て注意が促された。いずれの材料も核融合炉構造材料として使用した場合に問題となる He 効果や 照射下における組織安定性等の研究が多かったが、鉄鋼材料に関しては溶接やクリープ等に関す る研究発表も多かったことからガスタービンや超々臨界圧プラント材料として研究しているグル ープからの聴講者も見受けられた。日中協力研究として、低放射化材料 Fe-Cr-Mn 合金の溶接部の He と照射効果を検討した結果が報告され、溶接 HAZ 部で優先的な He 効果が得られた。50MeV の C イオン照射を316鋼に行い、表面での粒界クラックを検討した結果が報告された。結晶粒それ ぞれの結晶学的異方性や拡散の違いの観点から説明したが、種々の議論があった。サイクロトロ ン照射した 304 鋼の腐食挙動についての報告では、SART 試験によると照射により腐食量は確実に 増加する。IASCC の評価として SART が適当かの検討の要望も出された。日本側から 316 鋼のイン ビームクリープの新測定装置の紹介があり、軽水炉条件でのクリープへの転位密度の効果につい て報告した。SIPA モデルとの比較から、転位密度の重要性を指摘した。日本側からフェライト鋼 と ODS(酸化物分散強化)鋼からのヘリウム放出挙動が報告され、電子顕微鏡観察の結果も ODS 鋼で放出挙動が高温にずれることを示した。フェライト鋼のインビーム疲労のクラック進展挙動 の解析にレーザー顕微鏡を適用した結果が報告され、連続的に形成する欠陥クラスターと可動転 位の相互作用が重要であることを指摘した。ヨーロッパの参加者からスポーレーション中性子源 で照射した 9Cr-1Mo や F82H の機械的性質の結果が報告され、 1100ppm にも上る He の効果により、 顕著な DBTT(延性−脆性遷移温度)の上昇が認められた。フェライト鋼は熱処理等により挙動が 大きく異なるため、材料を特定して議論してほしいとの要望があった。 3 日目は、バナジウム合金に関する研究発表を中心に、中国で進められている超伝導マグネッ ト型トカマクプラズマ実験装置 HT-7U のプラズマ対向材料に関する研究発表などがあった。バナ ジウム合金は、侵入型不純物元素を低減した V-4Cr-4Ti 合金にターゲットを絞り系統的な研究が 日中間でも進められていることが報告された。また、モデル合金をベースに微量元素を添加し機 械的特性や照射特性を改良する試みも報告された。その他、各種酸化物セラミックスの核分裂生 成物による非晶質化について、高エネルギーでは電子励起が重要であることを指摘した報告や、 高熱流束材料としての Cu 合金の挙動について、合金元素、分散粒子などによる熱伝導性や組織の 変化に着目して検討した結果が欧米の参加者から発表された。 材料分野の議論においては、日中だけでなく日韓においても拠点大学交流が行われていること から、来年韓国で開催される日韓金属学会シンポジウムに中国から関係者を招き日中韓のシンポ ジウムにしてはどうかという提案が行われ、両者とも積極的に検討することとした。また、日中 拠点大学交流で日本派遣が決まっている研究者と日本滞在中に行う研究に関する打ち合わせや今 後日本で研究する希望のある研究者の相談を受けるなど、今まで電子メイルやファックスで数回 98 に渡り打ち合わせしてきたことがその場で解決するなど、直接あって交流するこの様な機会の有 効性が改めて認識された。 3.照射効果 照射効果の基礎研究においては、中国の研究アクティビティーは高く、特にイオンビームを活 用した研究に力が注がれている。初日には、照射欠陥の基礎研究に関しては加速器や超高圧電子 顕微鏡を用いた系統的な研究とポジトロンによるナノスケールの点欠陥に関する研究発表などが 発表された。イオン照射による Fe-Ni-Cr 合金のカスケード損傷の高分解能電顕によるその場観察 の結果の報告があり、原子構造像の直接観察のほか、Ni の偏析をも検出した。カスケード欠陥か ら SFT への変換過程についての議論がなされた。70-80MeV の C や F のイオン照射による 316 鋼の 欠陥形成を陽電子消滅と電子顕微鏡で検討した結果が報告され、中性子照射に相当した結果を得 ている。いずれの研究発表も実験的アプローチだけでなく計算科学を駆使し実験的には観察する ことの出来ない非常に短い時間の変化や材料の寿命を外挿し予測する研究に応用されていたこと は興味深い。特に、カスケードダメージの構造をイオン照射と電子線照射の組み合わせによる組 織発達の実験と計算機シミュレーションから明らかにしようとする新しい試みや従来の純金属か ら実用材料である F82H フェライト鋼や機能性材料である NiTi 形状記憶合金を対象にした興味深 い研究が日中双方から報告された。NiTi 合金の相変態に及ぼす電子線照射効果を報告では、マル テンサイト変態・逆変態が電子線照射により促進されることを報告したが、局部的温度上昇によ るものか、格子欠陥形成によるものかは意見の分かれた。また、実験的に捕らえられる点欠陥の 高速現象はそろそろ限界に近づいていることが示唆され新しいツールの開発が望まれた。また、 従来の TEM やポジトロンに加え STM によるカスケードトラックの解析に関する研究も報告された。 中性子減速材や第一壁材料としてのグラファイトの照射効果を検討するために、MeV-GeV の重 イオン照射、導波管材料である LiNbO3 の低エネルギー水素イオン照射研究が中国側から報告され た。C や Cu イオン照射した Cu 中の欠陥形成を加速器結合型 TEM による観察では、クラウディオ ンの急速な動きを確認し、これが格子間原子の移動と捕獲によることなどを推定した。Fe 中の Cu の析出過程の陽電子消滅法による検討により、フェルミ面と分子動力学計算から、Cu-V の結合が 重要な役割を果たすことを指摘した。カスケードに起因する照射効果の基礎的検討のために、変 形中の小転位ループの変化について MD 計算を行った。サイズが 2nm を境として変形に伴う転位ル ープの挙動は異なる。316 鋼に IVa 族と Va 族の微量添加を行い、照射による照射硬化の検討を行 った発表では、IVa 族の微量添加は機械的性質の劣化に対して有効な改良策であり、スエリング 等も抑制されることが示された。 グループディスカッションでは、照射効果関係では、この分野の研究がエネルギーシステムご とに専門化されつつあり、広範な議論の場が少なくなったことが問題点として上げられた。これ は基礎と応用研究の進展という観点では問題であり、今後の課題である。特に中国の場合は現実 的なエネルギー源として軽水炉の増設が見込まれているため、この分野での日本の研究協力は重 要である。 99 4.トリチウム、ブランケット、第一壁 トリチウム、ブランケット、第一壁 関連の講演は全講演の 1/4 程度の16件で、日本側から は約半分の9件、中国側から6件、その他が1件であった。このような講演件数のうち、トリチ ウム関連は3件、ブランケット関連は6件、第一壁関連が7件であった。 トリチウム関連の講演は全て日本側からのものであり、中国側からの発表がなかったのは、実 験的な制約に原因があるのかもしれないが、相互交流の観点からは非常に残念であり、今後は本 領域にも中国側からの参加が期待される。講演内容としては、トリチウム汚染に対する除染、液 体 Li-Sn 中でのトリチウム挙動及びトリチウムを含む Ni-基合金材料中のトリチウム量と分布の BIXS 測定に関する話題が提供された。 次にブランケット関係は日中双方からの講演があり、殆どの講演内容が液体ブランケットに関 するもので、他は固体ブランケットに関する基礎的な研究であった。次世代の先進核融合炉にお ける液体ブランケットの優位性及び今後の課題等が議論され、Li-Pb 系での冷却性能、温度分布 計算及びトリチウム増殖性能等に関する計算コードを用いた解析結果が報告された。また固体ブ ランケット材料とトリチウムとの相互作用に関して、トリチウムの捕獲サイトになり得るOH及 び格子欠陥等のサイトに対する振動分光学的な検討が計算コードを用いてなされ、その結果が報 告された。 第一壁関連は日中双方から最近の成果について講演があり幅広い議論がなされた。先ず、LH Dにおける最近のプラズマ閉じ込め性能の状況、酸素不純物の低減のためのボロニゼーションの 効果及び今後の計画としてダイバーターへのタングステンの導入等に関して報告がなされた。低 放射化材料としての候補材である F82H,V-4Cr-4Ti 及び SiC/SiC 複合材と重水素との相互作用及 びヘリウムの透過能に関する検討結果では SiC/SiC 複合材も有望な第一壁候補材になり得ること が報告された。また、ダイバーター部へのタングステンの適用に関して、W/Re/CFC 材の熱的性質 では高温で表面の微細構造が変化し、炭化タングステンが生成することが確認された。また W と Cu との HIP 接合に対する検討が電子ビームによる熱負荷(3-9MW/m2)によって調べられ、その安定 性が示された。また外部応力場での材料破断に関する粒子線照射の影響が FRASTA 法によって調べ られ、可動性転位と照射誘起欠陥クラスターとの相互作用が疲労亀裂の進行に対する重要な機構 であることが報告された。更に、タングステン、モリブデン及び銅等へのヘリウム照射に伴う水 素捕獲及びリサイクリング等への影響に関して透過電子顕微鏡及び昇温脱離法による検討結果が 報告された。ヘリウムイオン照射により、多量の転位ループ及び微小のバブルが形成されるが、 荷電交換した中性のヘリウムの照射でも同様の現象が観測され、ヘリウムバブルが水素捕獲に大 きな役割を果たすことが示された。 5.システム及びデザイン システム及びデザイン に関する発表は16件であり、中国13、日本2、米国1、であっ た。内容としては、炉設計関連7、ブランケット遮蔽関連6、マグネット関連2、自由液体表面 関連1、であった。日本からはLHD超伝導マグネット技術の高度化とヘリカル炉設計での課題 について、米国からは高出力密度炉への課題解決・評価活動として進行のAPEXについて、そ 100 れぞれ発表があり、中国側から高い関心が示された。 他方、中国の特徴は、初日の Y. WU(ASIPP の J. LI の代理)によるキー・ノートで代表され るように、既に始まっている急速な経済発展に必要な電気エネルギー(1200∼1500GW)を、環境 を考慮して原子力(核分裂と核融合)で供給するという、明確な基本計画にある。2050年に は原子力∼30%を目指して、既に Chinese Experimental Fast Reactor (CEFR) が建設中であ る。課題は、分裂炉燃料確保と使用済燃料処理である。そこで核融合炉の 14MeV 中性子を利用し つつ、エネルギー増倍効果で実効Q値を上げて核融合の早期実現も図る、即ち、核分裂/核融合 ハイブリッド炉を中期目標とし、最終的に核融合炉を目指す、と言う国家的な独自路線が軸とな っている。ロードマップとしては、間もなく稼働の ASIPP の HT-7U および SWIP の HL-2A の次に Burning Device、次に Hybrid Test Reactor を2025年となっている。従って、ブランケット 構造材に保守的な SS316 を用いる設計が基軸になっており、この点の合理性に対して日本及び米 国などの炉設計研究者から繰り返し疑問が投げかけられ、重要な論点として残った。 具 体 的 な 発 表 と し て は ハ イ ブ リ ッ ド 炉 の 全 体 概 念 設 計 ( Fusion-Driven Sub-critical System : FDS)およびトカマク模擬コードによる炉心設計、ST炉、Pb-17Li/He/SS316 の Dual Cooled Waste Transmutation Blanket (DWTB)や放射化に関するブランケット設計、遮蔽設計と模 擬体系実験、自由表面液体 Li の MHD、核設計用3次元モンテカルロコード MCNP の入力支援コー ド Auto-Modeling (MCAM)、およびその他学生の積極的な発表もあった。個々の研究では諸外国の 動向を迅速且つ積極的に取り入れる傾向が強すぎる印象を受けたが、国全体としての取り組み方 は比較的はっきりしており、国際共同研究等による今後の展開は大いに重要であり期待される。 グループ討議では、SWIP 西南物理研究院の Prof. DENG Xiwen、Prof. FENG Kaiming、 ASIPP プラズマ物理研究所の Prof. WU Yican、UCSD の Prof. SZE Dai-Kai らと、中国のエネルギー戦略 における再生可能エネルギー(太陽光発電など)と核分裂/核融合ハイブリッド型トカマク路線 およびITERとの関わりについて討議し、今後の国際協力について打ち合わせを行った。 6.共同研究の打ち合わせ これまでの拠点プログラムの成果については、各セッションにおける発表において議論が行 われた。今後の進め方については、中国側キーパーソンの Farong Wan (J. Yu 代理、北京科学技 術大学)、Z.Y. Xu(西南物理研究院) 、Y.C. Wu (等離子体物理研究所)と日本側キーパーソン 室 賀(NIFS)、香山(京大) 、田中(東大)により行われた。主な打ち合わせ内容は以下のとおりで ある。 (1) 近代物理研究所(IMP)と材料照射の基礎研究についての共同研究を発展させる (2) SiC/SiC 複合材料の試作評価を重点テーマとする (3) 中国側の低放射化材料研究 (Fe-Cr-Mn, フェライト鋼、バナジウム合金)との協力を 一層大きくする。 (4) 中国のブランケット開発研究(核変換ブランケット、MA 消滅用ブランケット)と日本 のトリチウム増殖ブランケットとの共通技術の共同研究を進める (5) 材料の低放射化特性の評価など中性子工学的な共同研究を進める。 (6) 今後、超伝導分野のタスクを開始することを検討する。 101 以上の方針を元に、この後の派遣計画、招聘計画の具体案について話し合った。 7.ラボツアーの概要 2 つのサイクロトロンとシングルエンド加速器などを見学した。研究所内に設けられている 技術部の高い真空装置製作技術に注目が集まった。日本と同様に研究成果の社会還元事業も積極 的に行っており食品の真空凍結乾燥装置の製作や放射線照射による植物の改良事業も行っていた。 また、研究所内にあるマシンショップにて新しく建設を進めている加速器のアッセンブリーの様 子を見学した。いくつかのユニットに分割しリークテストやベイキングを行っていたがサブリメ ーションポンプを除き日欧の真空機器を使用していた。ビームラインの溶接や仕上げの品質管理 は非常に高かった。 近代物理研究所(蘭州)正面にて (平成 14 年 7 月 31 日) 102 プログラム Monday, 29th July (Place: Auditorium in Building 6, 3rd floor) 08:30-09:00 Chair: Jin G.M. Opening Session and introduction to IMP 09:00-10:20 Chair: Liu Y. 09:00 Li J.G. (key-note): Research Activities towards Testing Reactor 09:40 Yamawaki M. 10:20-10:40 Coffee break 10:40-12:40 Chair: 10:40 Matsuda S. (key-note): Japanese Contribution to the ITER Engineering Design (key-note): Advanced Nuclear Fuel Development in Japan Kohyama, A. Activities and Preparation for the ITER Construction Phase 11:20 Sze Dai-Kai (key-note): Recent Progress in APEX Study 12:00 Ge C. C. (key-note): Research on SiC/C Plasma-Facing Functionally Graded Materials (FGM) in China 12:40-14:00 Lunch Monday, 29th July(14:00-18:30) Parallel Session A (Place: Room 6-611) (System & Design, Blanket & First Wall Technology) 14:00-16:05 Chair: Tanaka S. 14:00 Feng K.M.: Activation Calculations for a Fusion Engineering Breeder Experimental Outline Design, FEB-E 14:25 Nishimura A.: Safety Design of Support Structure and Requirements for Cryogenic Structural Materials in Fusion Magnet System 14:50 Sagara A.: Design Studies on Flibe Blanket System in Helical Reactor FFHR 15:15 Wu Y. C.: Studies on Multifunctional Blanket in the Fusion-Driven Sub-critical System 15:40 Qian J.P.: Nuclear Power R&D Strategy and Fusion Engineering Research in China 16:05-16:25 Coffee break 16:25-18:30 Chair: 16:25 Tanaka S.: Quantum Chemical Calculation on the Interaction of Hydrogen Isotopes Li J.G. with Materials for Energy System 16:50 Noda N.: Plasma Facing Materials in LHD and Collaboration Activities with China 17:15 Huang J.H.: High Power Density Blanket Design Study for Fusion Reactors 17:40 He K. H.: Conceptual Design of ST-based Tritium Production Fusion Reactor 103 18:05 Xu Z. Y. : A Theoretical Analysis of Liquid Metal Jet Flow Magneto-hydrodynamic Stabilities in a Non-uniform Magnetic Field 18:30 Beef noodle 20:00 Evening show Monday, 29th July(14:00-18:30) Parallel Session B (Place: Room 6-607) (Fission & Fusion Materials, Radiation Effects) 14:00-16:05 Chair: Jin Y. F. 14:00 Takahashi H.: Behaviors of Cascade Damage Structure under Electron Irradiation and Annealing 14:25 Wan F. R.: Phase Transformation of TiNi Shape Memory Alloy under Electron Irradiation 14:50 Zhu S. Y.: Dependence of Radiation Damage in Stainless Steel on Irradiation Temperature and Dose 15:15 15:40 Liu J.: Graphite Surface Damage Induced by Swift Heavy Ions Lu F.: Damage Profile in LiNbO3 by Low Energy H+ Implantation 16:05-16:25 Coffee break 16:25-18:30 Chair: 16:25 Abe H.: In-situ TEM Observations of Defect Cluster Diffusion in Copper under Muroga, T. Irradiations with C+ and Cu+ Ions 16:50 Tang Z.: Cu Precipitates in Dilute Fe-Cu Alloys: Formation Dynamics and Electronic Structure 17:15 Wang Z. G.: MeV C-ion induced Grain Boundary Crack at 316L SS Surface 17:40 Dai Y.: Mechanical properties and microstructure in martensitic steels 9Cr-1Mo and F82H irradiated up to 12dpa and 1100appm He in a proton and neutron mixed spectrum 18:05 Abe K.: Study on IASCC of SUS304 Stainless Steel Using Light Ion Irradiation 18:30 Beef noodle 20:00 Evening show Tuesday, 30th July Parallel Session A (Place: Room 6-611) (System & Design, Blanket & First Wall Technology) 08:30-10:35 Chair: Noda N. 08:30 Nishikawa M.: Tritium Decontamination from various Materials 08:55 Kang Y.: In-reactor Tritium Release Behavior from Molten Li-Sn Alloy as a Liquid Metal Breeder 104 09:20 Hino T.: Plasma Surface Interaction Studies on Low Activation Materials 09:45 Matsuyama M.: Nondestructive Measuring Technique of Tritium Retained on/in Plasma-Facing Materials 10:10 Huang Q. Y.: Analysis of the Shield Design of HT-7U Tokamak 10:35- 10:55 Coffee break 10:55-13:00 Chair: 10:55 Feng M. Q.: Research on Irradiation Effects of Nuclear Fuel and Materials in HFETR 11:20 Huo X. D.: Study on the Utilization of Spent PWR Fuel - Advanced Nuclear Fuel Wu Y. C. Cycle of PWR/CANDU Synergism 11:45 Wang H. Y.: Analysis of MHD Pressure Drop in the Packed Pebble Bed-based Blanket for the FDS 12.10 Narui M.: Fission Reactor Irradiation Tests of Bolometer 12:35 Xiao B.J.: Thermal Performance of TF Coils in HT-7U in the Case of Plasma Disruption 13:00-14:30 Lunch 14:30-15:30 Visit IMP 15:30-18:00 Museum 19:30 Banquet at Ningwozhuang Hotel Tuesday, 30th July Parallel Session B (Place: Room 6-607) (Fission & Fusion Materials, Radiation Effects) 08:30-10:35 Chair: Wan F. R. 08:30 Kohyama A.: Advances in Silicon Carbide Composite Materials Research and Engineering Applications 08:55 Shibayama T.: Effects of Applied Stress on Microstructural Evolution in Highly Crystalline SiC Fiber 09:20 Yang W.: Interfacial Shear Strength and Its Effects on the Mechanical Properties of Hi-Nicalon/CVI-SiC Matrix Composites 09:45 Noda T.: Formation and Annihilation of 26 Al in SiC Composites in Fusion Neutron Environment 10:10 Araki H.: Studies on the Space Homogeneity and Flexural Strength of Several SiC Fibers-Reinforced CVI-SiC Matrix Composites 10:35-10:55 Coffee break 10:55-13:00 Chair: Nishikawa M. 10:55 Kimura A.: Thermal Helium Desorption Behavior in Reduced Activation Ferritic 105 Steels and Advanced ODS Steels 11:20 Murase Y.: Creep Response of a Reduced Activation Martensitic Steel 9Cr3WVTaB against Hot Helium Implantation 11:45 Kodama H.: Study on Retention and Chemical States of Implanted Deuterium into Boron Thin Film 12:10 Oya Y.: Hydrogen Behavior on the Surface of SUS304 and Fe for Cooling Pipe 12:35 Hu B.F.: Effect of Helium on the Irradiation Damage Behaviour in HAZ of Low Activation Fe-Cr-Mn(W,V) Alloy with Higher Performance 13:00-14:30 Lunch 14:30-15:30 Visit IMP 15:30-18:00 Museum 19:30 Banquet at Ningwozhuang Hotel Wednesday, 31th July Parallel Session A (Place: Room 6-611) (System & Design, Blanket & First Wall Technology) 08:30-10:10 Chair: Qian S.J. 08:30 Liu X.: Microstructure changes of plasma spraying tungsten coatings on CFC after different temperature annealing 08:55 Ke Y.: High Power Density Effects on the Key Component Design in Dual-cooled Transmutation Blanket for the FDS 09:20 Wu B.: Tokamak Physics Design in the Fusion Driven Sub-critical System 09:45 Liu X.P.: Development & Application of MCNP Auto-Modeling Tool : MCAM 2.0 10:10-10:30 Coffee break 10:30-12:10 Chair: Sze Dai-Kai 10:30 Chen Y.: 10:55 Zhang F.: Thermal Fatigue Study of W/Cu Alloy Joint 11:20 Murase Y.: Laser Confocal Microscope Measurement of the In-Beam Fatigue Fracture Leakage Rate of Combined Hemispherical Shells with D-T Neutrons Surface for F82H Steel 11:45 Hu G.: Flow Analyses of Liquid Metal first wall 12:10 Yoshida N.: Effects of Helium Plasma on Material Properties and PWI 12:35-14:00 Lunch Wednesday, 31th July Parallel Session B (Place: Room 6-607) (Fission & Fusion Materials, Radiation Effects) 08:30-10:10 Chair: Takahashi H. 106 08:30 Ueno K.: Effect of Dislocation Density on the Irradiation Creep of SUS 316L 08:55 Yang Y. M. Evolution of small dislocation loop during deformation 09:20 Nagasaka T: Improvement of low-activation property by impurity reduction from Japanese and Chinese V-4Cr-4Ti alloys for fusion reactor 09:45 Chen J. L.: Development of Candidate Plasma Facing Materials for Steady State Operation of the HT-7U Superconducting Tokamak 10:10-10:30 Coffee break 10:30-12:10 Chair: Victoria M. 10:30 Szenes G.: Amorphization in Ceramic Materials under Fission Fragment Bombardment 10:55 Stubbins J.: Performance of Copper Alloys for High Heat Flux Applications in Fusion Systems 11:20 Ohnuki S.: Improvement of Mechanical Property and Microstructure by Addition of IVa and Va Elements in Neutron-Irradiated 316 Stainless Steel 11:45 Chen J. M.: Hydrogen Embrittlement of a V4Cr4Ti Alloy 12:10 Abe K. : Development of modified V-Cr-Ti type alloys for fusion application 12:35-14:00 Lunch Wednesday, 31th July (Place: Auditorium in Building 6, 3rd floor) 14:00-16:00 Chair: Abe K. 14:00 Fujiwara M. (key-note): 14:40 Liu Y. (key-note): Status of the Fusion Research Activities at SWIP 15:20 Victoria M. (key-note): The Mechanical Properties of He Containing Fusion Materials 16:00- 16:30 Coffee break, Photo taking 16:30-17:50 Chair: 16:30 Zhang C. H. (key-note): A Study of Helium Behavior in some Candidate Materials for Overview of Fusion Research in Japan Ge C. C. Fusion Reactors 17:10 Faulkner R. (key-note): Non-Hardening Embrittlement of Reactor Pressure Vessel Steels 17:50-18:20 Summary and Closing talk 107 Thursday, 1st August Group Discussion (Place: Place: Sun Hotel, Dunhuang) Research summary and remaining issues Fission and Fusion Materials Radiation Effects Tritium, Blanket and First Wall System and Design Friday, 2nd August (Place: Place: Sun Hotel, Dunhuang) Group Discussion Future collaboration Fission and Fusion Materials Radiation Effects Tritium, Blanket and First Wall System and Design Discussion summary 108 参加者 〔日本 氏名 ・計 25 名〕 阿部勝憲 高橋平七郎 大貫惣明 西村 新 西川正史 松山政夫 大矢恭久 難波忠清 室賀健夫 藤原正巳 福田重美 香山 晃 木村晃彦 鳴井 実 田中 知 奥野健二 相良明男 長坂琢也 野田信明 日野友明 吉田直亮 山脇道夫 松田慎三郎 村瀬義治 荒木弘 〔中国 氏名 ・計 職名 所属機関・学部 教授 教授 教授 教授 教授 教授 助手 助教授 教授 所長 係長 教授 教授 助手 教授 教授 助教授 助手 教授 教授 教授 教授 所長 主任研究員 研究員 東北大・工 北大・先端センター 北大・工 核融合研・大型ヘリカル研究部 九大・総理工 富山大・水素センター 東大・RI センター 核融合研・研企情報センター 核融合研・炉工学センター 核融合研 核融合研 京大・エネ研 京大・エネ研 東北大・金研 東大・工 静岡大・理 核融合研・大型ヘリカル研究部 核融合研・炉工学センター 核融合研・大型ヘリカル研究部 北大・工 九大・応力研 東大・工 原研那珂研 物材機構 物材機構 18 名〕 職 所属機関・学部 Farong WANG Prof Benfu HU Prof Shengyun ZHU Prof Kaihui HE PhD Gang HU Dr Jinhua HUANG Prof Kaiming FENG Prof Xiaodong HUO PhD Yuan CHEN Prof Jiapu QIAN Prof Zhenyu XU Prof Yican WU Prof Yunfan JIN Prof Zhiguang WANG Dr Zhiyong ZHU Dr Chonghong ZHANG Dr Youmei SUN Dr Fei LU Dr その他、日本側から学生 4 名が参加。中国側から ヨーロッパから 4 名の参加があった 109 University of Science and Technology Beijing University of Science and Technology Beijing China Institute of Atomic Energy, Beijing Southwestern institute of Physics Southwestern institute of Physics, SWIP Southwestern institute of Physics, SWIP Southwestern institute of Physics, SWIP Xi’an Jiao Tong University, Xian CAEP, Inst. nuclear physics and chemistry Institute of Plasma Physics, CAS, Heifei Southwestern institute of Physics, SWIP Institute of Plasma Physics, CAS, Heifei Institute of Modern Physics, CAS, Lanzhou Institute of Modern Physics, CAS, Lanzhou Institute of Modern Physics, CAS, Lanzhou Institute of Modern Physics, CAS, Lanzhou Institute of Modern Physics, CAS, Lanzhou Department of Physics, Shandong University IMP 約 30 名が現地協力。アメリカより 2 名、 平成15年度実施、プラズマ中の原子・分子過程に関する日中拠点大学交流セミナー “JSPS-CAS Core University Program Seminar on Atomic and Molecular Processes in Plasma” 開催期間: 平成 16 年 3 月 6 日 − 平成 16 年 3 月 11 日(6日間) 開催日程: 3 月 6 日、 2004 年: Welcome 3 月 7日、 2004 年: Opening Remarks and Sessions 1 - 4 3 月 8 日、2004 年: Session 5 - 8 3 月 9 日、2004 年: Session 9 - 12 3 月 10 日、2004 年:Visit the Ta'er Monastery (Kumbum Monastery) 3 月 11 日、2004 年:Sightseeing through Lanzhou city and Closing Remarks 開催地: 中国、蘭州、西北師範大学 (China, Lanzhou, Northwest Normal University) 日本側責任者: 小池文博(北里大学、助教授) 中国側責任者: 董晨鐘(西北師範大学・教授) (Dong ChenZhong (Northwest Normal University, Professor)) セミナーの概要と成果: 標記のとおり「プラズマ中の原子・分子過程に関する日中拠点大学交流セミナー」が開かれ た。日本側からは標記責任者に加えて宇宙科学研究機構(JAXA)の市村淳氏が世話役として加わ りセミナーが計画された。後出のリストのとおり、日本から17名、中国から11名、ドイツから2 名の参加を得、さらに西北師範大学の大学院生・学生が多数聴講した。このセミナーは当初、年 度中期に計画されていたが、新型肺炎流行等の影響で平成15年度末に計画を変更しての開催とな った。会場となった西北師範大学(中国甘粛省蘭州市)は1902年創立で50学科を擁する大きな大 学で、中国側代表の Dong Chenzhong 教授は、ドイツのカッセル大学で原子物理学の研究で学位 を取られ、現在、「西北師範大学物理与電子工程学院」の学院長としてプラズマ物理学を含めた 物理学研究の体制の整備拡充に努力されている。 セミナーは次の 5 つの分野: (1) プラズマにおける原子・イオンのスペクトル特性 (2) プラズマ中の原子イオンと電子の衝突 (3) プラズマ診断 (4) 原子分子データー収集とデータベース化 (5) プラズマ中の分子過程 からの講演で構成され、核融合プラズマとその周辺を広くカバーするものとなり、講演内容は 110 NIFS レポートとして纏められた。 核融合プラズマにおいては、高温から低温までの広い領域に亘り様々な原子過程が引き起こ されるが、これらについての知識はプラズマ性能の評価や改善に対して必要不可欠である。今回 の会議はこれらについての知識を得るための国際的な枠組みによる活動の一環をなすもので、中 国における専門グループとの共同の検討が行われた。とりわけ、蘭州の西北師範大学とはプラズ マ中の多電子イオンからのスペクトル線の研究が共同研究の中心課題となっているが、今回のセ ミナーはこれらの研究活動に指針を与え、意見交流を活発に行う上で端緒となった。同年度を含 め、並行して実施された共同研究「プラズマ中の原子分子過程(日本側代表者:核融合研、加藤 隆子氏)」においては、平成 15 年度の計画として、合肥プラズマ物理研究所とのプラズマ分光と 不純物輸送の研究、等が掲げられているが、今回実施の日中セミナーはこれらの研究活動に指針 を与え、意見交流をスムーズにかつ活発に行う上で大変大きな意義があった。さらに、今回、日 中セミナーを西北師範大学で開催したことにより、当該の大学やその周辺の研究機関における若 い研究者の参加を容易にすることが出来、若い研究者に対する研究分野の紹介と彼らの長期滞在 研究に向けてのガイドラインを提供することが出来た。このことは、中国におけるこの分野の研 究の裾野を広げる事を意味し、日中双方にとって大きな利益となったと考えられる。とりわけ、 蘭州の西北師範大学において日中セミナーを開催したことにより、プラズマ診断に不可欠な、高 温プラズマ、高密度プラズマ中のイオンのスペクトロスコピーに関する研究拠点の構築に向けて の強力な支援になったと考えられる。 セミナーにおける講演の内容は後出の「プログラム」および プロシーディングス(NIFS レ ポート、2005 年 2 月)の通りであるが、この内、いくつかの内容を下に紹介する。 (1) プラズマ中の多価イオンのスペクトロスコピーに関連した研究 核融合プラズマの診断法の一つとして高原子番号の原子をプラズマ中にドープしたり、ある いはプラズマ中の不純物として高原子番号の原子が入ったりすることがある。これらの原子はプ ラズマ中で高電離イオンになり、原子種毎に異なる特徴的な波長の X 線を放射あるいは吸収す る。これらの X 線を観測することによりプラズマパラメータを抽出したりすることができる可 能性があり、プラズマ診断の重要な手段の一つとなっている。また、X 線はプラズマ中で透過性 が高く、輻射輸送(Radiation Transport) によるエネルギー移動に大きな役割を果たし、プラズマ のエネルギーバランスに大きな影響を与える可能性がある。いずれの場合にも多価イオンのダイ アグラム線 (diagram line) のみならず種々の衛星線 (satellite line) も重要な役割を果たすので、 衛星線 (satellite line) も含めて多価イオンの遷移についての詳細な知見が得られるのが望まし い。後出のプログラム中の講演番号 1∼4 の講演はこれらについての理論的可能性を探るもの である。 111 S. Fritsche(カッセル大)は原子の電子状態に関する過程についての彼の相対論的計算コー ド:RATIP (Relativistic Atomic Transition and Ionization Properties) の紹介と、コードの可能 性についての展望を語った。引き続き、C. Dong (西北師範大) と F. Koike (北里大) は、このコ ードを利用した計算のいくつかの事例を紹介し、核融合プラズマの解析への利用についての実績 と可能性を示した。Qu Yizhi (Graduate School of the Chinese Academy of Sciences)は原子遷移 の多チャネルの相対論的取り扱いによるコードの開発について講演した。 (2) プラズマ中の電子、原子、原子イオンや、分子の衝突過程についての研究 電子、原子、原子イオンや、分子の衝突励起、イオン化や解離等の無輻射的原子過程につい ての散乱断面積やレート係数などのデータは、核融合プラズマシミュレーションにおいて粒子コ ードの精密化を図る上で欠かせない。また、診断や過熱の目的で原子や(陰)イオンを打ち込む 際には、衝突によるイオン化や中性化の断面積のデータが広範囲の衝突エネルギーに対して必要 とされる。水素分子のダイバーター付近での解離過程についての知見は周辺プラズマを理解する うえで必須である。後出のプログラム中の講演番号 10~12, 17, 20~23, 26~28 の講演はこれらに ついての原子分子物理学分野からの寄与の可能性を探るものである。 Y. Kanai (理研)、H. Tanuma (首都大学東京)、H. Sakaue (NIFS)、 そして、Wang Jianguo (Institute of Applied Physics and Computational Mathematics, Beijing)は、原子イオンと原子、 分子、表面との衝突による電荷移行過程について詳細に論じた。Zhu Linfan (University of Science and Technology of China)、Y. Sakai (東邦大)、Zhong Zhiping (Graduate School of the Chinese Academy of Sciences)、Ma Xinwen(Institute if Modern Physics, Chinese Academy of Sciences, Lanzhou)、M. Takahashi(分子研)、そして、 Y. Kajuria(分子研)によって電子と 原子分子の衝突における種々の過程の実験的、理論的取り扱いが紹介された。H. Takagi(北里大) はダイバータ付近における電子と分子イオンの衝突過程について最近の理論計算の結果を紹介し た。 (3) 高密度プラズマやプラズマと強光度レーザー場との相互作用に関する研究 磁場閉じ込めプラズマに留まらず、慣性閉じ込めプラズマの中の原子過程にも関連を持ちえ る研究の紹介もあった。T. Sako(東大)、Zhou Xiaoxin (Northwest Normal University)、 および、A. Ichimura(JAXA)等による講演は強光度レーザー場の中での原子分子の振る舞いを論 ずるもので本セミナーが興味とする分野の拡がりを示すものであった。 (4) 原子分子データの収集とデータベースの構築に関する研究 信頼性の高い原子分子データのデータベースの整備構築は、核融合プラズマ研究にとって必 須であり極めて重要な課題である。このテーマに関して、中国側から、Yan Jun (Institute of Applied Physics and Computational Mathematics, Beijing)、日本側から T. Kato (NIFS) が講 演を行い、取り組みについての現状の報告と将来についての課題の提示が行われた。 112 上記のカテゴリーに属する講演以外にも、プラズマのモデリングや炉壁表面における原子過 程についての研究の紹介が行われ、本セミナーがカバーする分野の拡がりが示された。 通常の短時間の学会発表では話せない詳細な研究内容の発表とこれに対する十分な討議時間 を保証するために、発表者の全員に質疑応答を含めて 40 分の講演時間を設定した。この措置も 一因となって、セミナーのスケジュールは、連日、朝 9 時から夕方までの強行日程になってしま った。しかし、会場では活発な質疑応答が交わされて、予定時間を超えることもしばしばであっ た。セミナーで特に印象に残ったことがいくつかあった。ひとつは日本側のみならず、とりわけ、 中国側参加者のプレゼンテーションの充実である。日本側からの参加者にとって大変意義のある 会議となった。二つ目は Dong Chenzhong 先生を先頭とした西北師範大学の皆さんの国際的な 交流に向けての熱い意気込みである。今後の日中共同研究の進展に良い効果をもたらすと期待し ている。 113 ○セミナー開会の風景: ○参加者全員の集合写真 114 ○参加者リスト 経費負担の別: A:セミナー経費より負担。 B:共同研究・研究者交流経費より負担。 C:拠点事業経費からは負担しない。 区 分 氏名 所属 B Goto, Motoshi National Institute for Fusion Science C Burkhard Fricke Kassel University, Kassel, Germany C Dong Chenzhong Northwest Normal University, Lanzhou B Ichimura, Institute for Space and Aeroneutical Science A Iwamae, A Kanai, Yasuyuki RIKEN B Kato, Daiji National Institute for Fusion Science B Kato, Takako National Institute for Fusion Science A Khajuria, Yugal Institute for Molecular Science A Koike, Fumihiro Kitasato University C Ma Xinwen Institute of Modern Physics, Chinese Academy of Sciences, Lanzhou B More, Richard National Institute for Fusion Science C Qu Yizhi Graduate School of the Chinese Academy of Sciences, Beijing B Sakai, Yasuhiro Toho University B Sakaue, Hiroyuki National Institute for Fusion Science A Sakou, Tokuei Tokyo University C Stephan Fritzsche Kassel University, Kassel, Germany A Suno, Hiroya Yamaguchi University A Takagi, Hidekazu Kitasato University A Takahashi, Masahiko Institute for Molecular Science A Tanuma, Hajime Tokyo Metropolitan University C Wang Jianguo Institute of Applied Physics and Computational Mathematics, Beijing A Yamaguti, Tomoko Tokyo Metropolitan College of Technology C Yan Jun Institute of Applied Physics and Computational Mathematics, Beijing C Yuan, Jianming National University of Defense Technology, Changsha C Zhang Shudong Northwest Normal University, Lanzhou C Zhong Zhiping Graduate School of the Chinese Academy of C Zhou Xiaoxin Northwest Normal University, Lanzhou C Zhu Linfan University of Science and Technology of China, Hefei Atsushi Atsushi Kyoto University 115 Sciences セミナープログラム: Saturday, March 6: Welcome 08:30 – 18:00 Arrival 18:00 – 19:30 Welcome Reception Sunday, March 7: and Registration Sessions 1 - 4 07:00 – 08:10 Breakfast 08:10 – 08:30 Leave the hotel for NWNU 08:30 – 09:10 Opening Remarks (Chair: T. Kato ) i. T. Kato, NIFS ii Deng Hualin, Vice-President of NWNU iii Li Jiaming, Academician of Chinese Academy of Sciences, Tsinghua University iv Taking a Photo for all participants 09:20 – 10:40 1. Session 1 (Chair: F. Koike ) Relativistic calculations for multiple and highly charged ions S. Fritzsche, Kassel University 2. Energy−crossing and its effects on spectra of the neon-like ions Dong Chenzhong , Northwest Normal University 3. 10:40 – 11:00 Coffee break 11:00 – 12:20 Session 2 (Chair: S. Fritzsche ) The need of precise atomic structure calculations for the study of plasma processes F. Koike, Kitasato University 4. Relativistic muti-channel treatment of radiative transition process Qu Yizhi, Graduate School of the Chinese Academy of Sciences, Beijing 5. 12:20 – 14:10 Lunch Break 14:10 – 14:30 Leave the hotel for NWNU 14:30 – 16:30 Session 3 (Chair: R. More ) undetermined T. Kato, NIFS 6. Formation Mechanism and Emission Spectrum of AlO Radicals in Reaction of Laser-ablated Al atom and Oxygen. Zhang Shudong, Northwest Normal University 7. Plasma spectroscopy of hydrogen ice pellets in the Large Helical Device M. Goto, NIFS 16:30 – 16:50 16:50 – 18:10 8. Coffee break Session 4 (Chair: Wang Jianguo ) Influence of the detailed line treatment on the calculated opacity of hot plasmas 116 Yuan Jianming, National University of Defense Technology, Changsha 9. Emission of excited hydrogen atoms from metal surfaces in plasma-wall interaction D. Kato, NIFS 18:10 – 20:00 Conference Banquet by the NWNU Monday, March 8: 07:00 – 8:10 Breakfast 08:10 – 08:30 Leave the hotel for NWNU 08:30 – 10:30 10. Session 5 - 7 Session 5 (Chair: H. Takagi ) Spectroscopic Study of Ions transmitted from Microcapillary Tube Y. Kanai, Riken 11. Spectroscopic study of charge transfer in collisions of multicharged ions H. Tanuma, Tokyo Metropolitan University 12. Electron Transfer and Decay Processes of Highly Charged Iodine Ions H. Sakaue, NIFS 10:30 – 10:50 Coffee break 10:50 – 12:10 13. Session 6 (Chair: M. Takahashi ) P lasma-impurity molecule collisions in divertor regions. M. Kimura, Yamaguchi University 14. undetermined R. More, NIFS 15. 12:10 – 14:10 Lunch Break 14:10 – 14:30 Leave the hotel for NWNU 14:30 – 16:30 Session 7 (Chair: Yuan Jianming ) Recent progress of atomic & molecular database Yan Jun, Institute of Applied Physics and Computational Mathematics, Beijing 16. Polarization Plasma Spectroscopy A. Iwamae, Kyoto University 17. Dynamical Correlation in Double Excitations of Helium Studied by Fast Electron Impact Zhu Linfan, 17:10 – 20:00 Going out for dinner with local dishes 20:00 – 22:00 Enjoying the dance drama “The Silk Road dotted with flower” .Tuesday, March 9: 07:00 – 08:10 18. University of Science and Technology of China, Hefei Session 8 – 11 Breakfast 08:10 – 08:30 Leave the hotel for NWNU 08:30 – 10:30 Session8 (Chair: A. Ichimura ) Improved density functional calculations for atoms and small molecules 117 Burkhard Fricke, Kassel University 19. Electronic structure of atoms in laser plasma: the Debye shielding model T. Sako, Tokyo University 20. Electron and molecular ion collisions relevant to diverter plasma. H. Takagi, Kitasato University 10:30 – 10:50 10:50 – 12:10 21. Coffee break Session 9 (Chair: Ma Xinwen ) Generalized Oscillator strengths of nitric oxide for the valence shell excitations Y. Sakai, Toho University 22. The study on molecular superexcited states by angle-resolved electron-energy-loss spectroscopy Zhong Zhiping, Graduate School of the Chinese Academy of 23. 12:10 – 14:10 Lunch Break 14:10 – 14:30 Leave the hotel for NWNU 14:30 – 16:30 Session 10 (Chair: B.Fricke Sciences ) Theoretical Study of Vibrationally Selective Charge Transfer Cross Section Wang Jianguo, Institute of Applied Physics and Computational Mathematics, Beijing 24. Above-threshold ionization spectrum of a model Atom in Intense Laser Field Zhou Xiaoxin, Northwest Normal University 25. Multiple ionization dynamics of molecules in intense fields. A. Ichimura, and T. Yamaguti, ISAS, and Tokyo Metropolitan College of Technology 16:30 – 16:50 16:50 – 18:50 Coffee break Session 11 (Chair: Yan Jun ) 26. Dielectronic recombination in highly charged heavy ion-electron collision Ma Xinwen, Institute if Modern Physics, Chinese Academy of Sciences, Lanzhou 27. (e,2e) Spectroscopy for the Study of Electronic Structures and Electron Collision Dynamics M. Takahashi, Institute for Molecular Science 28. Geometry Effects on the (e,2e) Cross Sections of Ionic Targets Y. Kajuria, Institute for Molecular Science 18:50 – 20:00 Conference Banquet by the Organizer Committeee of the Symposium Wednesday, March 10 Conference Tourism 118 Thursday , March 11: Session 13 14:30 – 16:30 Sightseeing tour through the city of Lanzhou 16:30 – 18:30 Visiting the museum of the NWNU 18:30 – 18:40 Closing Remarks i. F. Koike, Kitasato University ii. Dong Chenzhong, Northwest Normal University 18:40 – 20:00 Dinner Adjourn 119 平成16年度実施、レーザー核融合と高エネルギー密度プラズマ科学シンポジウム “JSPS-CAS Core University Program Seminar on Laser Fusion Science and High Energy Density Plasma Physics" 1.セミナーの概要 レーザー核融合科学と高エネルギー密度科学に関する上記セミナーは2004年12月1 日から4日まで、中国海南島三亜市 THE INTERNATIONAL ASIA PACIFIC CONVENTION CENTER において開催された。このセミナーは大阪大学の三間圀興と北京応用物理計算数 学研究所の Zhu Shao Ping 教授が共同議長となり開催されたものである。日本側からは添 付されているように19名が参加し、中国側からは26名が参加し、活発な議論が戦わさ れた。 2001 年以来、大阪大学レーザーエネルギー学研究センターを中心とする日本のレーザー プラズマおよびレーザー核融合の研究グループは中国の応用物理計算数学研究所、北京物 理研究所、綿陽レーザー核融合研究センター、上海光机所等と研究交流を進めており、理 論実験の両面で研究者交流や共同研究が活発に進められて来た。このセミナーでは、過去 3年間の研究交流の実績や日中双方の研究成果のレヴュ−および今後の研究計画の検討を する事で一層の研究協力の発展を図った。セミナーは以下の4分野で構成した。1)核融 合プラズマの理論シミュレーションでは、超高強度レーザーによる高密度プラズマの加熱 の物理とシミュレーション手法の開発と爆縮の輻射流体力学に関する理論及びシミュレー ションコード開発に関する議論を行った。2)レーザープラズマ実験では、北京物理研究 所、綿陽レーザー核融合研究センター、および上海光机所のグループとの共同実験や実験 データの解析および計測手法の開発につき討論を行った。3)炉用レーザー開発およびレ ーザー炉工学研究では、高平均出力レーザーの技術開発やレーザー核融合炉設計と炉技術 に関する研究討論が行われた。4)高強度レーザープラズマに関係する天体物理、レーザ ー加速器、極端紫外線の産業応用など、レーザー核融合研究の関連分野に関する研究討論 を行った。 2. 開催の成果 このセミナーにより、過去3年間の研究交流の成果を確認するとともに、より一層レーザ ープラズマ及びレーザー核融合分野の研究者間の理解を深める事ができた。この結果、い くつかの共同実験、シミュレーション共同研究が開始されることになるなど、今後より広 範な研究交流を進める展望が拓かれた。具体的には、中国では上海および綿陽のレーザー 核融合研究センターにおいて大型の次期装置が建設中であり、レーザー建設に関わる各種 120 の情報交換が行われ、技術交流の可能性が開かれた。レーザー核融合の理論・シミュレー ション研究においては、放射流体力学のシミュレーションの比較検討、超高強度レーザー プラズマ相互作用に関する共同研究の成果の交換、今後の課題を明らかにする事で今後の 研究協力が打ち合わせられた。放射流体の研究では爆縮のシミュレーションだけでなく、 極端紫外線光源や天体物理のシミュレーションについても議論された。また、超高強度レ ーザーとプラズマとの相互作用では日中の粒子シミュレーション、ハイブリッドシミュレ ーション、ホッカープランクシミュレーションによる結果の比較と実験データの解析につ いての討論が行われた。 実験については、日中の共同実験や実験データの解析及び計測器開発に関する研究の状 況を総括し最終年度の取りまとめに関する方針を議論した。 高出力レーザー技術に関しては、現在建設中の高エネルギーペタワットレーザー (FIREX-I)と神光-III に関し情報交換を行うとともに、高平均出力レーザーについても討 論され、炉用レーザーに関する研究開発についての情報交換を行った。 このセミナーを通じて、日中の研究のレベルが近づきかみ合った議論により、レーザー核 融合研究の世界の先進地域として東アジアが成長する感触を得たことは大変な収穫であっ た。ここの研究発表のハイライトは以下の通り。 1)中国における高出力レーザー開発の進展 National High-Tech IF Commttee Chair Weiyang Zhang より中国における高エネルギー高 出力レーザーに関する報告が有った。特に、15kJ—20kJ/3ns/波長 0.35µm の SG—III-Prototype レーザーがレーザー核融合実験用の大型レーザーSG—III(神光3号)の プロトタイプとして四川省綿陽のレーザー核融合研究所において建設されていることが注 目された。図1のモジュールが完成し、プラズマ実験を開始している。2008年までに は60kJ の爆縮用レーザーが完成する予定である。SG-III レーザーの完成は2010年を 予定しており、64ビームエネルギー150kJ の計画である。これが完成するとアジア最 大のレーザーとなる。さらに次期計画として SG-VI レーザー(MJ 級)の建設を2020年 までには完成させるとしている。 121 図1 SG-III prototype(8ビーム/15kJ)の増幅器 綿陽 レーザー核融合研究所で建設中 また、Z.Lin の報告で、上海光机所(Shanghai Institute of Optics and Fine Mechanics)におい て、SG-II レーザーによるプラズマ実験が3kJ/0.35ミクロンで進められていることが 報告された。ここでは、1990年代より X 線レーザーや流体不安定性、状態方程式など の研究が進んでいる。最近、高速点火の研究も視野に入れて、ペタワットレーザー建設に 向けた技術開発も進んでいる。図2は1.5kJ/2ps のレーザー建設の現状を示す。この レーザーは2007年までに完成予定である。 一方、大阪大学では10kJ 級のピコ秒のレーザーによる FIREX-I プロジェクトが進行中 である。このプロジェクトは2008年のレーザーの完成を目指している。この装置と激 光 XII レーザーを同期して運転し爆縮プラズマを 5keV 以上に加熱することで高速点火の実 証をしようとしている。このプロジェクト進捗状況が井澤、宮永より報告された。 122 図2 上海の SIOFM におけるペタワットレーザーの建設の現状 2)輻射流体力学の研究の現状 X 線駆動による爆縮の研究が実験とシミュレーションにより進んでいる。 X 線駆動爆縮では図3の上段のような重金属でできた空洞に左右よりレーザーを入射し空 洞内面に温度が200∼300eV の黒体輻射を発生しその軟 X 線 により燃料球を爆縮する。図は照射条件により爆縮の対称性が壊れる様子を実験とシミュ レーションの結果を比較することで明らかにしたものである。中段はシミュレーションの 密度の分布を示したものであり、照射領域が中心に集中しすぎると側面からの X 線が強く なりシガー上の爆縮形状になることを示している。下段左は対応する実験の X 線イメージ を示したものである。左側は照射領域が両端に集中しているため、左右からの X 線の照射 が強くパンケーキ状に密度が分布することを示している。中央が最も球対称に近い爆縮に なることを示している。 図4は X 線の波長毎の時々刻々変化する高温高密度プラズマのオパシティーを実験で観測 しとものと対応するシミュレーションの結果を比較したものである。フォトンエネルギー が 210eV(黒線), 840eV(赤線)に対しプラスチックのプラズマを透過してきた X 線強度 の時間変化を破線(シミュレーション)と実線(実験)で示している。比較的よい一致が 得られたことで国際的に高い評価が得られている。 一方、日本からは爆縮のシミュレーションやレーリーテーラー不安定性のシミュレーシ ョンが長友より報告された。特に爆縮に伴うレーリーテーラー不安定性を解像度よくシミ ュレーションするための新手法に関する講演が話題となった。また、高速点火に関連しコ 123 ーンシェルターゲットのシミュレーションが紹介され、高速点火研究の現状が長友、三間、 坂上より報告された。 H −L − Si 図3 X 線駆動間接照射爆縮のレーザー照射配位(上段)シミュレーションのメッシュの形 状(中段)実験での X 線のイメージ 1.00 Normalized Flux Normalized X-ray flux 0.75 0.50 210eV, exp. 840eV, exp. 210eV 840eV 0.25 0.00 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 t (ns) 図4 透過 X 線の時間変化の実験(実線)とシミュレーション(破線)を示す。 3)超高強度レーザープラズマ相互作用の研究 中国では北京の物理学研究所の Jie Zhang 教授のグループと上海のグループが超短パルス 高強度レーザーの実験を行っており、大阪大学と密接に研究交流を行っている。シミュレ ーション研究については、北京の応用物理計算数学研究所と物理学研究所、日本の大阪大 124 学、核融合科学研究所、摂南大学から報告が有った。 図5は北京の物理研究所のグループが行った、フェムト秒のレーザーを液滴に照射した 実験に対応する2次元粒子シミュレーションの結果を示したものである。 図5 直径5ミクロンの液的と超短パルスレーザーとの相互作用に関する2次元粒子シミ ュレーション。 (a)電子密度分布、(b)電子の運動量分布 (c) イオンの密度分布、(d)電界分布 125 ○運営組織と参加者リスト <A:セミナー経費より負担。B:共同研究・研究者交流経費より負担。C:拠点事業経費 からは負担しない。> 運営組織 日本側責任者; 三間圀興 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター 教授 中国側責任者 Zhu Shao Ping Institute of Applied Physics and Computational Mathematics, Beijing,, Director, Professor 運営委員;(日本)井澤靖和、田中和夫、大和田野芳郎、大道博行、堀内利得 (中国)Z. Lin, X.He, J.Zhang, Z.M.Sheng, Weiyan Zhang 日本側参加者 A: セミナー経費より負担 1 三間 圀興 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 教授 2 井澤 靖和 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター センター長 3 宮永 憲明 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 教授 4 河仲 準二 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 助教授 5 長井 圭治 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 助手 6 羽原 英明 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 助手 7 藤岡 慎介 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 助手 8 堀内 利得 核融合科学研究所 9 加道 雅孝 日本原子力研究所 10 植田 憲一 電気通信大学 教授 教授 B: 共同研究・研究者交流経費より負担 11 西原 功修 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 教授 12 高部 英明 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 教授 13 長友 英夫 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 助手 14 城崎 智至 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 特任研究員 15 岸本 泰明 京都大学大学院エネルギー科学研究科 16 田島 輝彦 核融合科学研究所 教授 連携研究推進センター 126 助教授 C:拠点事業経費からは負担しない 17 田口 俊弘 摂南大 教授 18 坂上 仁志 兵庫県立大学 19 砂原 淳 レーザー技術総合研究所 助教授 研究員 中国側参加者 Weiyang Zhang, ; National High-Tech Inertial Fusion Committee of China Shao-ping Zhu; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Xiantu He; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Wenhua Ye; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Chunyang Zheng; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Yan Xu; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Yaoming Gao; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Wudi Zheng; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Wenbin Pei; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Jinghong Li; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Baiwen Li; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Chunfu Ye; Institute of Applied Physics and Computational Mathematics Hansheng Peng; China Academy of Engineering Physics Weiyong Miao; Research Center of Laser Fusion, CAEP Feng Jing; Research Center of Laser Fusion, CAEP Xiuguang Huang; National Laboratory of High Power Laser and Physics, Shanghai Institute of Laser Plasma Cheng Wang; National Laboratory of High Power Laser and Physics, Shanghai Institute of Laser Plasma Yaping Dai; National Laboratory of High Power Laser and Physics, Shanghai Institute of Laser Plasma Jie Zhang; Institute of Physics, CAS Zheng Ming Sheng; Institute of Physics , CAS Yanyun Ma; Zunqui Lin; Institute of Physics , CAS Shanghai Institute of Optics and Fine Mechanics, CAS Shensheng han; Shanghai Institute of Optics and Fine Mechanics, CAS 127 Baifei Shen; Shanghai Institute of Optics and Fine Mechanics, CAS Ding Li; Laboratory of Plasma Physics, University of Science and Technology of China Xiuzhang Tang; China Institute of atomic Energy 3 プログラム 12月1日 9:00 am オープニング 9:30am plenary 2;00pm-5:00pm Oral 7:00pm-9:00pm Oral 12月2日 9:00am-12:pm Oral 2:00pm-5:00pm Oral 7:00pm-9:00pm バンケット 12月3日 9:00am-12:00pm free discussion 2:00pm summary 会議参加者の集合写真(会場の庭園にて) 128 平成17年度実施、磁気閉じ込め装置における高性能プラズマ生成と定常維持に関する JSPS-CAS 拠点大学事業セミナー “JSPS-CAS Core University Program Seminar on Production and Steady State confinement of high performance plasma in magnetic confinement system” 1.セミナーの目的 先進核融合炉実現するためには高閉じ込めで且つ高ベータの高性能プラズマの生成と定常維持 が不可欠である。本拠点大学方式による日中協力ではこの目標に向けてコアプラズマ特性改善の研究 カテゴリーにおいて 4 年間の研究交流を実施してきた。これまでに当初に設定した研究課題にかなり 近づく成果をあげた課題がある一方で、進展がやや遅い課題もある。すなわち、良好な閉じ込めモー ドや高ベータプラズマの得られる条件がかなり明らかとなりそれが実現されるようになってきた。一 方、高閉じ込めで且つ高ベータといった総合性能に優れたプラズマの生成と長時間保持についてはま だ克服すべき課題が多く残っている。 そこで、本セミナーにおいてこれまでの成果を総括し、問題点をさらに明確化し進展を加速する 方策をさぐると共に、進展の早い部分についてはさらに高度の目標設定を行う。本セミナーで対象と するトピックスは、高性能のコアプラズマ生成と長時間保持に向けた「プラズマ閉じ込め」、 「プラズ マ加熱・電流駆動」及び「プラズマ制御と計測」に密接に関連した下記の課題とする。すなわち、 1. 改善閉じ込めプラズマの生成と特性 2. 高ベータプラズマの生成とMHD安定性 3. 周辺プラズマ制御とダイバータ特性 4. 先進大電力プラズマ加熱法の確立 5. 核燃焼プラズマにむけた先進計測法の開発 6. 長時間プラズマ保持 である。なお、磁場閉じ込め方式についてはトカマクやヘリカル装置ばかりでなく球状ト−ラスやタ ンデムミラーなどのプラズマも対象とした。これにより異なる視点から課題の解決をはかることを意 図した。 2.発表の概要 セミナーは、日本側から提案し中国科学院等離子体物理研究所(以後、ASIPP と記す)との 協議を経て、ASIPP にて 2005 年 7 月 27 日から 29 日の 3 日間の日程で開催した。本セミナーの議長 は WAN Baonian 教授(ASIPP)と東井(核融合研)が努めた。セミナーの 2 日間で 32 件の招待講演が行 われた。発表は討論 5 分を含めすべて 30 分とした。日本からの発表は 17 件、中国側は 15 件であっ た。なお、日本からの参加者は、日本原子力研究所、核融合科学研究所、京都大学、九州大学、筑波 大学及び電力中央研究所から 18 名、中国側は中国科学院等離子体物理研究所、西南物理研究所、清 華大学及び中国科学技術大学から約 30 名の参加があった。セミナー最終日は、2 日間のセミナーで の発表を受けて少人数の作業グループ会合に当て、これまでの成果と今後の協力研究の課題について 討論した。 主な発表のタイトルと発表者(所属)及びその概要を以下に示す。 2.1 閉じ込め改善プラズマの生成と長時間維持に関するトピックス トカマクやヘリカル装置において高性能プラズマとその長時間維持に向け、多くの実験研究が進行中 である。先進核融合炉では高ベータ、高閉じ込め、且つ定常維持など総合性能で優れた特徴を持って いること要求されるが、現状では必要項目の一部に優れたプラズマが得られているにすぎない。総合 129 性能で優れたプラズマをいかに生成、維持するかに向けて努力が続けられている。 ○Long pulse operation of high performance plasmas in JT-60U by S. Ide (JAERI) JT-60U では ITER や DEMO 炉に向けた高性能トカマク(AT)運転シナリオの確立を目指して研 究を進めている。これには高性能のプラズマの定常化が必要であり、高規格化ベータ値βN と高いブ ートストラップ電流比率 fBS の実現が不可欠である。高性能核融合炉では少なくともβN∼4、fBS∼75% の実現が要求されるであろう。JT-60U では 2 種類の内部輸送障壁を有する改善閉じ込めプラズマ、 すなわち通常の正あるいは弱磁気シア配位で実現される「高βp プラズマ」と通常のトカマク配位と 異なる「負磁気シアプラズマ」を実現し、プラズマ圧力及び電流分布(あるいは安全係数分布)制御 などを駆使して性能の総合的改善と長パルス保持を目指している。弱磁気シア配位における高βN プ ラズマの実現の障害は新古典ティアリングモードの発生である。分布制御によってβN=3 の放電は 磁場配位の変化の特徴的時間(τR)の 4 倍以上維持することに成功した。βN=2.3 のプラズマではτR の 13 倍まで保持された。また、弱磁気シアプラズマでは fBS=45%をτR の 3 倍維持した。負磁気シアプ ラズマでは fBS=75%をτR の 3 倍維持した。ただし、βN と fBS が共に高い放電をτR に対して十分長く 維持することはまだ実現できていない。JT-60U では ITER の標準運転である周辺輸送障壁を有する H モードの長時間維持の研究も進めている。最近、30 秒に達する長パルス H モードが実現された(図 1)。しかしながら、放電の後半から第1壁との粒子リサイクリングが増大し(Dα信号の放電後半に 図1 JT-60U における長パルス H モードにおける粒子リサイクリングの影響 向かっての連続的増加) 、閉じ込め性能の低下に至った。この結果はダイバーと性能の改善による粒 子リサイクリング制御の重要性を示唆しており、今後の重要課題として注目される。 ○HT-7 long pulse experiments by Junyu Zhao (ASIPP) 超伝導トカマクである HT-7 では低域混成波電流駆動(LHCD)により長時間のプラズマ保持の 研究を進めている。また、LHCD とイオンバーンシュタイン波(IBW)との相乗効果による高性能プ ラズマの定常保持の研究も進めている。リミター配位のプラズマであり且つ導波管やアンテナがプラ ズマに接近している状況での長パルスプラズマを目指すため、熱と粒子束の制御とプラズマと固体材 料との相互作用による不純物流入、粒子リサイクリングの増大、固体材料からの大量の放出ガスなど が問題となっていた。これらの問題を、精度の高いプラズマ位置制御により材料の局所加熱の回避、 水冷のカーボンリミターと大排気量のクライオンプの設置による粒子制御の向上、さらにフェライト 鋼の容器内設置による高速粒子の局所損失の回避、SiC ファラデーシールドと TiN コーティングした アンテナ導体による不純物放出量の低減、さらには ICRF 波を利用した容器内壁へのボロン、シリコ ンあるいはリチウムのコーティングによる壁からの不純物流入束やリサイクリング粒子の低減等に より大幅に改善できた。これにより、4 分の長パルスプラズマ生成に成功した(図2)。LHCD と IBW の相乗効果を利用して高性能プラズマに向けた実験も行われ、プラズマ閉じ込め改善度とβN の積が 2 130 図2 HT-7 の 4 分を越える長パルスプラズマ。 以上のプラズマをエネルギー閉じ込め時間の 200 倍、磁場配位の変化の特徴的時間(τR)の 10 倍近く 保持することに成功した。これらの成果は現在建設中で 2006 年初頭からの実験開始を狙っているダ イバータトカマク EAST へつながるものである。 ○Long pulse ICRF discharges in LHD by R. Kumazawa (NIFS) LHD では約 0.5MW の ICRF 加熱により中心電子温度が∼2keV で線平均電子密度が∼0.7x1019 m-3 のプラズマを 30 分以上にわたって維持することに成功した(図 3)。ダイバータ板への熱流束の局所 的集中を避けるため、磁気軸位置を放電中、0.01Hz でスイングした。これにより長パルスが容易に 得られるようになった。今後はさらに高加熱電力の条件での高密度プラズマでの実現が望まれる。 図 3 LHD における ICRF 加熱により保持された長パルスプラズマ。 ○IBW and ICRF experiment in HT-7 tokamak by Yanping Zhao (ASIPP) HT-7 トカマクでは 24MHzから 30MHz の高周波を 300kW まで入射して種々の条件で名古屋タイプ III アンテナを用いてイオンバーンシュタイン波加熱実験が行われ、磁場と周波数に応じてイオン加 熱だけでなく電子加熱も効率よく実現できることを確認した。さらに、30MHzの高周波では Hα光の 減少と電子密度の上昇が観測され粒子閉じ込めの明確な改善が観測された(図 4)。また、電子熱拡 131 散係数の低減、すなわちエネルギー閉じ込めの改善も実現された。このように HT-7 では改善閉じ込 図 4 HT-7 における IBW 加熱時に観測された改善閉じ込めモード。 めの長パルス化に向けて新たな手法での閉じ込め改善の研究も進めている。 ○Formation of edge transport barrier by LH transition and large reversed plasma current on LHD by K. Toi (NIFS) トカマク方式と異なる LHD では ICRF 加熱により長パルスが実現されているが、高性能プラズマ の定常維持のためには改善閉じ込めモードの実現と特性解明が不可欠である。LHD でも数年来の NBI 加熱入力の増大に伴いトカマクで観測されている LH 遷移を伴った H モードが実現されるようになっ た(図5)。H モード実現にはプラズマ加熱電力が閾値を超える必要があるが、LHD の結果はトカマク プラズマで作られた閾値電力に対する ITER 経験則と極めて近いものとなっている(図6)。ただ、高 ベータプラズマでの H モードの閉じ込め改善度は周辺部の MHD 不安定性で規定されており、まだ大き な改善が得られていない。周辺の MHD 安定性とエネルギー閉じ込めの更なる改善を目指して研究が進 められている。たとえば、共鳴摂動磁場の印加や逆方向プラズマ電流による周辺 MHD 安定性の改善が 試みられている。 図 5 LHD の LH 遷移を伴う H モードの放電波形。 図 6 LHD で H モードを実現したときの加熱電力 と ITER 経験則との比較。 ○High Power Neutral Beam Injection in LHD by K. Tsumori (NIFS) 132 将来の高性能プラズマの長時間保持には信頼性が高く、高出力で定常のプラズマ加熱源の開発が 不可欠である。中性粒子入射(NBI)加熱はもっとも標準的なプラズマ加熱法である。LHD で開発中 の高加速エネルギー(水素で 180keV)NBI はビームの中性化効率の向上のため負イオン源を用いてい る。ビーム加速電極の改良により大幅に入射可能電力が向上し、LHD での高加熱電力でのプラズマ閉 じ込め実験が可能となった。 2.2 プラズマ輸送の基礎研究に関するトピックス 上記の高性能プラズマの定常維持に向けたプラズマ実験ならびに大電力プラズマ加熱源の開発とと もに、プラズマ閉じ込めに関する基本的な物理機構の解明が不可欠である。このため、これを狙って 着実に実験研究が進められている。 ○Density modulation experiments on HT-7 and LHD by K. Tanaka (NIFS) 燃料補給に使われるガスパフ量を交流変調し、それに対する電子密度分布の応答測定から粒子拡 散係数及び粒子の対流速度の実験的導出が多くトカマクで行われている。LHD では磁場が低いほど、 大電力加熱になるほどプラズマ中心から外に向かう対流が大きくなり中心で凹の密度分布となる。 HT-7 トカマクのオーミック加熱プラズマでは LHD と異なり内向きの対流も観測される。今後、トカ マクとヘリカル装置プラズマでの粒子閉じ込めに関してさらに詳細な比較研究が行われる予定であ る。 ○Experiment observation of the pulse high pressure gas puffing on HL-2A by Zhongbing Shi (SWIP) HL-2A トカマクでは超音速分子ビーム入射によりガス導入量を変調し、そのプラズマ応答を第2 及び第3高調波の電子サイクロトロン放射により測定している。これにより電子温度と電子密度の変 化の同時測定を試みている。今後、他計測機器を動員して研究を推進する。 ○Measurement of zonal flow in HT-7 tokamak by Guosheng Xu (ASIPP) HT-7 プラズマの極周辺部において静電プローブにより帯状流(ZF)の測定が行われ、ZF と思わ れる電位揺動を観測した。また、この研究に適したピラミッド型静電プローブが提案され HT-7 にお いてその適用可能性が調べられている。 ○Dual-electrode Biasing Experiment in A Toroidal Plasma by Yi YU (USTC) 径電場シアの揺動への効果を見るため径方向にわずかにずらした位置に挿入した2電極による バイアス実験が小型トカマク KT-5C で行われている。これまでの実験では、1 電極によるバイアス実 験との差異は観測されていないが興味深い試みである。 ○Low Frequency Instability in Magnetized Plasma Column by Jin-lin XIE (USTC) 直線磁場装置を用いてドリフト波などの低周波揺動の基礎研究が進められている。 ○ICRF Experiments and Potential Formation on the GAMMA 10 Tandem Mirror by M. Ichimura (Tsukuba Univ.) タンデムミラー装置 GAMMA-10 装置でのプラズマ電位による閉じ込め実験の結果が紹介された。 この研究はトーラスプラズマでの径電場の役割の理解を深めることに寄与するものと期待される。 2.3 プラズマ乱流と乱流制御の理論 2.2 で述べたようにプラズマ閉じ込めの基礎実験は高性能プラズマ生成のためにきわめて重要であ る。さらにその理論の進展も不可欠である。特に、最近は帯状流などのプラズマ流の生成機構とそれ らのプラズマ乱流への影響の研究に関心が集まっている。 ○Dynamics of secondary large-scale structures in ETG turbulence simulation by Jiquan Li (SWIP) トカマクなどで観測されている電子内部輸送障壁の形成に電子温度勾配乱流(ETG)による帯状 流生成が関与している可能性がある。これをジャイロ流体 ETG 乱流シミュレーションにより説明を 試みている。磁気シア分布の特徴により、乱流輸送を低減する帯状流か逆に輸送を増大させる対流渦 133 (ストリーマー)かのいずれかに空間的遷移を起こすことが明らかにされた。 ○MHD flow layer formation at boundaries of magnetic islands in tokamak plasmas by Jiaqi Dong (SWIP) 電子粘性が考慮されたダブルティアリングモードの非線形発展により MHD 流が磁気島の境界部 に生成される。これは強い速度シアを有するヘリカル流であり微視的乱流の低減に寄与する可能性が ある。 ○Theory of zonal flow in tokamak and helical plasmas by T. Watari (NIFS) プラズマの乱流輸送に重要な役割を持っているのではないかと期待される帯状流(ZF)の 1 種、測 地線音波モード(GAM)の理論はトカマクプラズマに対して構築されていた。これをヘリカルプラズマ にまで拡張し、その減衰率の解析式を導出した。その結果によれば、ヘリカル装置 CHS や JIPPT-IIU トカマクにおける GAM や ZF の特徴が定性的に説明できた。さらに、GAM には複数の周波数帯の固有 モードが存在しうることを明らかにした。 ○Assessments of flow drive by use of Ion Bernstein Wave on Heliotron-J and EAST devices by Y. Torii (Kyoto Univ.) イオンバーンシュタイン波(IBW)による RF 駆動帯状流形成の可能性が、ヘリカル装置 H-J 及び EAST トカマクにおける IBW の伝播特性と RF 駆動運動量を計算することにより検討された。両装置に おいて同様の結果が得られ、磁力線方向に狭い波数スペクトルを持つ IBW 入射により強いポロイダル シア流が形成される可能性がある。 2.4 MHD 安定性と制御 高性能プラズマの生成と定常維持のためにはプラズマ輸送ばかりでなく MHD 安定性の研究も重要 である。特に、高性能プラズマは安定限界の近傍で維持されるので MHD 安定性とその制御は今後ま すます重要となる。 ○Suppression of neoclassical tearing modes towards stationary high-beta plasmas in JT-60U by A. Isayama (JAERI) JT-60U の高βN プラズマで発生する m/n=3/2 のモード構造の新古典ティアリングモード(NTM) を、その磁気島中心部に電子サイクロトロン電流駆動(ECCD)を行うことにより安定化できること を実証した。放電中、磁気島位置と磁気島幅が時々刻々変化するが、それをフィードバック制御手法 で追跡し、効果的に安定化した。この手法は、ITER などへも適用できる可能性を持っている。今後、 さらに安定化が困難な m/n=2/1 の NTM の安定化実験が計画されている。 ○Magnetic islands observed by a fast-framing tangentially viewing soft X-ray camera on LHD and TEXTOR by S. Ohdachi (NIFS) MHD 安定性研究では磁気島の構造と時間変化の観測は重要である。LHD で開発された高速度接線 軟 X 線カメラを TEXTOR トカマクに適用し、動的エルゴデッィクダイバータ磁場の印加時に発生する 磁気島構造の時間発展をした。 ○Tomographic analysis of central MHD activities and radiation losses on the HL-2A and LHD by Yi Liu (SWIP) 2.5 ダイバータとスクレイプ・オフ層プラズマ関連研究 ダイバータの構造と機能さらにスクレープオフ層(SOL)プラズマの特性は高性能プラズマの生成と 定常維持に深くかかわっている要素である。ダイバータや真空容器壁でのトリチウムの吸蔵や真空容 器内でのダスト形成は今後重要となる課題である。 ○Divertor study in JT-60U by H. Kubo (JAERI) 高性能プラズマの定常維持にはダイバータによる粒子制御が重要である。ダイバータの排気能力 134 が十分でなければ放電中次第に粒子リサイクリングが増加し、プラズマ性能が低下する(たとえば図 1)。JT-60U では長パルスプラズマ生成の後、第一壁に吸蔵される燃料粒子の振る舞いをくわしく調 べている。吸蔵された粒子は、次のプラズマ生成で 10s程度の時間スケールでプラズマ中へ再流入 してくる。ダイバータの弱磁場側ダイバータ中性化板は主として損耗し、強磁場側のダイバータ中性 化板に再堆積することが明らかとなった(図7)。強磁場側のダイバータ中性化板へ向かう SOL プラ 図7 JT-60U でのダイバータ板の損耗と再堆積。 ズマ流が観測され、この流れが材料の再堆積に寄与するものと予想されている。ダイバータ板付近で の水素分子のスペクトル線が観測された。このようなデータはダイバータでの粒子や熱流制御の基礎 過程の理解に重要である。 ○Poloidal divertor experiment in HL-2A by X. R. Duan (SWIP) HL-2A トカマクは、旧 ASDEX 装置であるが、オーミックプラズマにおいてダブルヌルダイバータ 配位の実現を実験的に確認した。今後は、追加熱プラズマでの確認と H モードの実現へ向けての努力 が続けられる。 ○Review of divertor study on LHD by T. Morisaki (NIFS) LHD はトカマクと異なりトーラスをヘリカル状にうねったダイバータ構造を持つ。さらに m/n=1/1 のヘリカル摂動磁場の印加によりプラズマ周辺部に大きな磁気島を生成し、そこへダイバー タヘッドを挿入しダイバータ機能を持たせる局所磁気島ダイバータ(LID)によるプラズマ制御も試 みられている。図 8 に LHD のヘリカルダイバータと LID ダイバータヘッド等の構造を示す。 図8 LHD のヘリカルダイバータ(左図)と LID ダイバータヘッド(右図)の構造図。 135 ○Divertor design for EAST by Shizeng Zhu (ASIPP) ○Overall feature of EAST operation space by using simple Core-SOL-Divertor model by Y. Hiwatari (CRIEPI) 上記の 2 件の発表では EAST トカマクのダイバータプラズマのパラメータと低域混成波電流駆動 をベースとした運転領域の予測解析を行っている。 ○Dust particle behaviors in boundary plasma of a fusion device by Y. Tomita (NIFS) 核融合装置でのダストはトリチウムを吸蔵しており安全性と燃料回収の点から最近特に注目さ れている。本発表はダストの生成要因と回収方法についての理論解析結果を示した。 2.6 新しい平衡配位と制御 トカマクプラズマではプラズマパラメータの時間変化に応じてプラズマ位置のフィードバック制御 が必要である。また、先進核融合炉に向けてトカマクの交流運転時の平衡維持、トカマク中心のオー ミック電場を発生させる中心ソレノイドを必要としない球状とカマクの形成の基礎研究も本協力事 業の中に取り込まれ順調に発展してきている。 ○Advanced Tokamak Equilirium Theory by Shaojie Wang (ASIPP) Grad-Shafranov 方程式を用いて回転変換がゼロあるいはプラズマ中で反転するような交流トカ マクに関連した MHD 平衡の存在が示された。 ○Magnetic sensorless control of plasma position and shape in a tokamak by K. Nakamura (Kyusyu Univ.) トカマクではプラズマの位置や形状をプラズマのすぐそばの真空容器内に設置した磁気コイル や磁束ループなどのセンサー信号を用いてフィードバック制御する必要がある。しかし、センサーは 設置環境が厳しく損傷を受けやすく、しかも交換はきわめて困難である。したがって、制御系として はかならずしもロバストとはいえない。このような制御を、そのようなセンサー信号に頼らないコイ ル電源の電圧・電流のみを使用して行おうとする試みが TRIAM-1M で始められ、ついで HT-7 に応用さ れた。このような制御のもうひとつのメリットは磁気センサー信号の時間積分が不要であり、積分回 路のドリフトの問題も回避できる。HT-7 ではプラズマ位置のみの制御が行われたが、水平位置がプ ラズマ小半径の 2%以内に精度よく制御された。EAST トカマクではこの方式による形状制御も計画さ れている。 ○Formation of low aspect ratio torus equilibria by ECH by T. Maekawa (Kyoto Univ.) 球状トカマクは高ベータプラズマを実現でき、しかもオーミックコイルであるセンターソレノイ ドなしでの運転が可能であり簡素化された核融合炉につながる可能性がある。LATE 装置では、電子 バーンシュタイン波によるプラズマ加熱と電流駆動のみで球状トカマクを実現した。 ○Preliminary experiment of plasma current startup by ECR wave on SUNIST spherical tokamak by Yexi He (Tsinghua Univ.) 2.7 高度プラズマ診断法 信頼性が高く高度の性能を有するプラズマ診断法の開発は、先進核融合炉実現に向けて必須である。 高時間、高空間分解能を有し、2次元、3 次元の計測法の開発が進んでいる。 ○Spectroscopic study on impurity transport of core and edge plasmas in LHD by S. Morita (NIFS) ダイバータや SOL プラズマの分光計測、さらには主プラズマの不純物計測の重要性が述べられ、 136 LHD で開発され実験に活用されているいくつかの分光計測法が紹介された。これらの手法はトカマク へもそのまま適用できるものである。 ○Impurity Measurement and Study on HL-2A divertor tokamak by Z. Y. Cui (SWIP) HL-2A での分光計測機器の準備状況と今後の計画について報告された。 ○Development of A New ECE Imaging System for Core by Jun WANG (USTC) ECE 計測は、高時間・高空間分解での電子温度とその揺動計測が可能である。その 2 次元計測を 狙った ECE イメージング法が開発中である。HT-7 に取り付け改良が進められている。 3.期待される効果 これまで 4 年間の協力研究の進展の状況と今後の具体的な問題点が明らかとなった。これによる今後 の本拠点大学方式協力の効率よい進展が期待できる。具体的には、JT-60U,HT-7, HL-2A、LHD、H-J、 LATE、SUNIST などのトーラスを用いた実験に加え、来年から稼動予定のトカマク EAST での協力研究 が可能となる。このような状況を考慮すると、下記の課題の研究が大幅に進展するものと期待される。 すなわち、 (1)高閉じ込めに必要な輸送障壁形成に対する回転変換分布、磁気シア、磁気井戸、磁場リップル、 磁気島、エルゴデッィク層などの磁場構造の依存性の明確化とその最適制御法の確立、 (2)先進的な加熱・電流駆動法ならびにプラズマ計測法を駆使したプラズマ圧力・流速及び電流分 布制御によるプラズマの高性能化の手法の確立、 (3)ダイバータ形状、燃料補給法や第一壁コンデショニングの最適化による粒子・熱流の制御によ り高性能プラズマの長時間保持に対するシナリオの確立、 などが主要課題である。 137 付録1.セミナープログラム 138 139 付録2 参加者リスト Zhengying CUI Southwestern Institute of Physics P.O. Box 432, Chengdu, Sichuan, 610041, P. R.China Jiaqi DONG Southwestern Institute of Physics P.O. Box 432, Chengdu, Sichuan, 610041, P. R.China Xuru DUAN Southwestern Institute of Physics P.O.Box 432, Chengdu, 610041 Chengdu, P.R.China Yexi HE Department of Engineering Physics, Tsinghua University, Beijing 100084, P. R. China Ryouji HIWATARI Nuclear Techonolgy Research Laboratory, Central Research Institute of Electric Power Industry, 2-11-1, Iwado Kita, Komae-shi, Tokyo 201-8511 JAPAN Makoto ICHIMURA Plasma Research Center, University of Tsukuba 1-1-1 Tennoudai, Tsukuba, Ibaraki 305-8577, JAPAN Shunsuke IDE Large Tokamak Experiment and Diagnostics Division, Naka Fusion Research Establishment, JAERI, 801-1 Mukouyama, Naka, Ibaraki, 311-0193 JAPAN Satoshi IDOH Department of Administration National Institute for Fusion Science 322-6 Oroshi-cho, Toki 509-5292, Japan Ryuhei KUMAZAWA National Institute for Fusion Science 322-6 Oroshi-cho, Toki 509-5292 Japan Jiangang LI Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China Jiquan LI Southwestern Institute of Physics P.O. Box 432, Chengdu, Sichuan, 610041, P. R.China Yi LIU Southwestern Institute of Physics P.O. Box 432, Chengdu, Sichuan, 610041, P. R.China Takashi MAEKAWA Faculty of Energy Science Kyoto University, Kyoto 606-8501, Japan Tomohiro MORISAKI National Institute for Fusion Science 322-6 Oroshi-cho, Toki 509-5292 Japan Shigeru MORITA National Institute for Fusion Science 322-6, Oroshi-cho,Toki, 509-5292, Japan Kazuo NAKAMURA Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University, 6-1 Kasuga-koen, Kasuga City, Fukuoka, 816-8580 Japan Chusei NAMBA National Institute for Fusion Science 322-6, Oroshi-cho,Toki, 509-5292, Japan Akihiko ISAYAMA Naka Fusion Research Establishment Japan Atomic Energy Research Institute 801-1, Mukoyama, Naka, Ibaraki, 311-0193 Japan Akiko KATO National Institute for Fusion Science 322-6 Oroshi-cho, Toki 509-5292 Japan Hirotaka KUBO Naka Fusion Research Establishment Japan Atomic Energy Research Institute, 801-01 Mukoyama, Naka-shi, Ibaraki-ken, 311-0193 Japan 140 Satoshi OHDACHI National Institute for Fusion Science 322-6, Oroshi-cho,Toki, 509-5292, Japan Huasheng QIU Bureau of International Cooperation, Chinese Academy of Science 52, Sanlihe Road, Beijing, 100864, P. R. China Zhongbin SHI Southwestern Institute of Physics P.O. Box 432, Chengdu, Sichuan, 610041, P. R.China Kenji TANAKA National Institute for Fusion Science 322-6 Oroshi-cho, Toki-shi 509-5292, Japan Jikang XIE Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China Jinlin XIE CAS Key Laboratory of Plasma Physics Department of Modern Physics University of Science and Technology of China, Hefei 230026, China Kazuo TOI National Institute for Fusion Science 322-6 Oroshi-cho, Toki-shi 509-5292, Japan Yukihiro TOMITA Theory and Computer Simulation Center National Institute for Fusion Science 322-6 Oroshi-cho, Toki 509-5292 Japan Guosheng XU Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China. Yuki TORII Institute of Advanced Energy, Kyoto University 611-0011, Gokasho, Uji, Kyoto, Japan Hideyuki YAMAGUCHI Beijing Office, Japan Society for the Promotion of Science, 616, Library of Chinese Academy of Sciences, 33 Beisihuan Xilu, Zhongguancun, Beijing 100080, P. R. China Katsuyoshi TSUMORI Particle Beam Heated Research Div National Institute for Fusion Science 322-6 Oroshi Toki, Gifu 509-5292, Japan Yi YU CAS Key Laboratory of Plasma Physics, Department of Modern Physics, University of Science and Technology of China, Hefei 230026, China Baonian WAN Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China Jun WANG CAS Key Laboratory of Plasma Physics Department of Modern Physics University of Science and Technology of China, Hefei 230026, China Junyu ZHAO Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China Yanping ZHAO Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China Kongjia WANG Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China Sizheng ZHU Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China Shaojie WANG Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China Testuo WATARI National Institute for Fusion Science 322-6 Oroshi-cho, Toki-shi 509-5292, Japan Liqun HU Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China Yizhi WEN Department of Modern Physics University of Science and Technology of China, Hefei 230026, China Shaohua DONG Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Science, P.O. Box 1126, Hefei, Anhui 230031, P.R. China. 141 付録3 集合写真 会議風景 142 3-4 若手研究者の交流に関する成果 一般的に中国の研究者は若く、若手研究者養成という観点は本拠点事業を開始当初から常に心 がけてきたが、共同研究など各交流の場面が若手研究者養成の現場となった。 若手研究者の交流に関しては、1)日本の研究者が中国の大学・研究所を訪問し本拠点事業に 基づく共同研究などを繰り広げるなかで、中国の若手を発掘、日本で教育を受けられる機会を作 ったケース、2)本拠点事業に関連して共同研究やセミナーなどの中で若手研究者と学術的なつ ながりを持ち、我が国の大学・研究所において客員研究員として、または日本学術振興会事業等 を通して招聘し連携して研究を深めているケースなどがある。 これらの若手研究者の交流に関する成果は、以下の表に示すように既に具体的な形として現れ ている。 一方、我が国の若手研究者については、彼らが中国の大学(大学院)で学ぶと言った形はなか ったが、拠点事業を組織するに当たっては当初より若手研究者を多く派遣できるよう意識的に努 めた。結果として、助手クラスの若手研究者(博士研究員(Post doctor fellow)、COE 研究員を含む) をこの間、延べ 37 名中国へ派遣し、共同研究に従事した。これら日本の若手研究者が、これらの 交流を通じて国際的感覚を身につけ、将来、歴史・習慣・文化をことにする海外の研究者と共同 して研究を進める基盤形成に役だったと考える。 1.日本の研究者が中国の大学・研究所を訪問し本拠点事業に基づく共同研究を繰り広げるなか で、多数の中国の若手を発掘し、日本で教育を受けられる機会を作った。学生として来日し た中国人を表に示す。 氏 名 Wang Feng Li Yueming Yan Chen Yao Zhenyu Li Huailin 中国での所属 日本での所属 等離子体物理研究 所 北京応用数学・計 算物理研究所 九州大学 在学中(D2) 電気通信大学 理学博士(平成14年[2002]3月、 電気通信大学) "Electron Interaction with Highly Charged Ions in an Electron Beam Ion Trap" (EBIT内で の電子と多価イオンとの相互作用) なおこの仕事で 2001 年 12 月に「中 国人留学生研究奨励賞、(野上茂吉 郎記念賞)」を受賞した。 東北大学大学院在学中 受入担当者 (指導教官等) 専門分野 大谷俊介 コンピュータ ー応用 原子物理学 重慶大学材料科学 佐藤元泰 工程学院 中国原子能科学研 総合研究大学院大学、物理科学研究 室賀健夫 科、核融合科学専攻(H17 工学博士 究院 マイクロ波材 料 核融合炉ブラ ンケット工学 中国原子能科学研 究院 "Development of Insulating Coating on Vanadium Alloys for Liquid Lithium Blanket of Fusion Reactors") 総合研究大学院大学、物理科学研究 科、核融合科学専攻 中村一男 室賀健夫 核融合炉材料 工学 室賀健夫 核融合炉中性 子工学 永津雅章、 菅井秀郎 プラズマ応用 「大学推薦による国費外国人留 学生の拠点大学特別枠」 Li Zaixin 西南物理研究院 総合研究大学院大学、物理科学研究 科、核融合科学専攻 「大学推薦による国費外国人留 学生の拠点大学特別枠」 Xu Lei 中国科学技術大学 静岡大学電子科学研究科 平成16年4月入学で現在博士課程 143 Liu Ming-Hai 華中科学技術大学 Liang Yunfeng 等離子体物理研究 所 Li Baiwen 応用物理計算数学 研究所 Pei Wenbing 応用物理計算数学 研究所 応用物理計算数学 研究所 Li Jinghong の2年生です。 予定ですが、来年秋に 2.5 年で学位 を申請する予定。 名古屋大学大学院工学研究科研究 留学生 中国政府派遣の国費留学生として 名大が直接受入れた。 学位は取得していない。 総合研究大学院大学、数物科学研究 科、核融合科学専攻(H12 学術博士 "Soft X-ray Imagining with CCD Camera for Magnetically Confined High Temperature Plasma") 総合研究大学院大学、物理科学研究 科、核融合科学専攻(H16 理学博士 "The Complexities on Ultra-Intense Laser Interaction with Plasma") 総合研究大学院大学、数物科学研究 科、核融合科学専攻 総合研究大学院大学、数物科学研究 科、核融合科学専攻(H13 学術博士 "Repeated and Sudden Reversals of Dipole Field Generated by A Spherical Dynamo Action") 総合研究大学院大学、数物科学研究 科、核融合科学専攻(H16 理学博士 "Collision Processes o f Low Charge Ions with Atoms in Fusion Plasma") 菅井秀郎 プラズマ応用 居田克巳 プラズマ計測 石黒静児 核融合シミュ レーション 佐貫平二 核融合理論 石黒静児 核融合シミュ レーション 加藤隆子 原子物理学 Zou Shiyang 遼寧大学 Xu Qi 中国核動力研究設 総合研究大学院大学物理科学研 室賀健夫 計院 アシスタン 究科核融合科学専攻(在学中) トエンジニア 「大学推薦による国費外国人留 学生の拠点大学特別枠」 核融合炉工学 2.本拠点事業に関連して研究を進める中で若手研究者と学術的交流を深め、大学・研究所の客 員研究員、学振事業等を通して招聘し連携して研究を進めている。具体例を以下の表に示す。 氏 名 中国での所属 日本での所属 受入担当者 専門分野 Wang Huazhong 等離子体物理 研究所 九州大学 花田和明 プラズマ制御 Zhao Li-Bo 北京航空宇宙 大学 村上泉 原子物理学 Chen Min 物理研究所 核融合科学研究所、外 国人客員教授 (H13.6/1~8/31) 大阪大学・レーザー研 三間圀興 レーザープラズマ 物理 Chen Jiming 西南物理研究 院 Ma Xinwen 近代物理研究 所 Zhou Ding 等離子体物理 研究所 核融合科学研究所、外 国人客員助教授 (H15.7/1~10/31) 核融合科学研究所、外 国人客員助教授 (H14.2/15~5/24) JSPS、外国人研究員、 核融合科学研究所 144 室賀健夫 核融合炉材料工学 難波忠清 原子物理学 佐貫平二 洲鎌英雄 核融合理論 Gao Zhe 清華大学 Heo Nam-jin 核融合科学研 究所 Hu Yemin 等離子体物理 研究所 西南物理研究 院 Dong Jiaqi Yang Si-Ze 物理研究所 Yu Wei 上海光学精密 機械研究所 核融合科学研究所、外 国人客員助教授 (H16.4/13~7/16) 北海道大学エネルギ ー先端工学研究セン ター 核融合科学研究所 佐貫平二 核融合理論 室賀健夫 高橋平七郎 核融合炉材料工学 佐貫平二 核融合理論 核融合科学研究所、外 国人客員教授 (H13.9/1~12/3) 核融合科学研究所、外 国人客員助教授 (H13.5/1~7/31) 核融合科学研究所、外 国人客員教授 (H16.9/1~12/28) 佐貫平二 核融合理論 佐藤国憲 原子物理学 岡本正雄 核融合理論 3.プラズマ・核融合の分野での日中の交流は、本拠点事業開始前は科研費「国際学術」により 進められてきた。この時の諸活動が本拠点事業を生み出す母体ともなった。その当時、若手 として日中の学術交流の中で育った多くの研究者が、現在中国の第一線で活躍している。若 手∼中堅を含み、特に活躍の目覚しい中国人研究者のリストを示す。 氏 名 Wang Shaojie Zhu Shaoping 現在の中国 での所属 等離子体物理 研究所 応用物理計算 数学研究所 核融合科学研究所 日本原子力研究所 大阪大学 (総合研究大学院大学、核融合 科学専攻 H7 学術博士 "Relaxation and Self-Organization of an MHD Plasma") 核融合科学研究所 核融合理論 当時の受入担当 者等(指導教官等) 佐貫平二 シミュレーション 佐藤哲也 核融合理論 佐貫平二 福井大学 佐藤元泰 日本での活動の場所。 専門分野 Xu Cuiling 西南物理研究 院 武漢大学 Sheng ZhengMing 物理研究所 大阪大学 電氣化学・ダスティ プラズマ プラズマ物理 Gao Xiang 等離子体物理 研究所 等離子体物理 研究所 近代物理研究 所 応用物理計算 数学研究所 核融合科学研究所 プラズマ実験 東井和夫 核融合科学研究所 プラズマ実験 渡利徹夫 北海道大学エネルギー先端 工学研究センター 核融合科学研究所 (総合研究大学院大学、核融合 科学専攻 H8 学術博士 "Monte Carlo Simulation on the Scrape-off Layer Plasma") 核融合科学研究所 (総合研究大学院大学、核融合 科学専攻 H10 学術博士 "Global Mode Analysis of Ideal MHD Modes in Heliotron System") 核融合科学研究所 核融合材料 プラズマ理論 高橋平七郎 室賀健夫 岡本正雄 プラズマ理論 岡本正雄 核融合理論 佐貫平二 Wang Aike Zhao Yanping Zhang Chonghong Wang Weixing Chen Jing 応用物理計算 数学研究所 Li Ding 中国科学技術 大学副学長 145 三間圀興 3-5 交流を通じての相手国からの貢献 拠点事業は日本及び中国の研究装置及び人的資源を適用して世界の核融合研究に資するこ とを目的としている。従って、共同研究による拠点事業の成果はすべて相互の貢献である からどちらの国の貢献であるか分類するのは実は難しい。ここでは、研究の進展の状況等 に応じてやや割り切った分類をし、3-4、及び 3-5、に区別した記述を行った。 I 炉心プラズマ性能の改善 1)イオンサイクロトロン加熱 第3−2節においてイオンバーンスタイン波の研究における成果についてのべたが、イオ ンバーンスタイン波、この研究は核融合科学研究所が過去に草分け的な分野であり、当然 相手国への貢献も多大である。このことについては次節3−6においても述べる。 拠点事業のなかで相手国のはたした役割は、核融合科学研究所で見出した「イオンバーン スタイン波による閉じ込めの改善」をより発展させことであろう。HT-7 においては周波数 の変更によりイオンサイクロトロン共鳴層を制御し、輸送障壁が生成される位置を制御す ることが出来た。イオンバーンスタイン波の加熱は一方で「不純物の発生」などの欠点も もっているので上記の成果は、HT-7 において開発された高周波による放電洗浄、ボロニゼ ーションなどの技術的進歩に負うところも多大であった。 2)加熱電力変調によるエネルギー閉じ込め研究 第3−2節において学術的成果として既に記述したが、等離子体物理研究所 Zhao Yanping 氏による電力変調実験の設計製作は大きな寄与を残した。LHD ではこれを用いた実験によ り閉じ込め時間のプラズマ諸元による依存性を考慮した解析を行うことを可能となった。 また、LHD で提出された電力変調実験の手法は、Zhao Yanping 氏帰国の後中国等離子体 物理研究所の HT-7 実験においても改良使用され連盟の2件の論文が出されている。 3) 定常実験トカマクにおける4分放電の実現 プラズマの定常加熱は核融合の技術的側面に分類されるが、どうしても乗り越えなければ ならない課題である。この分野において協力があった。等離子体物理研究所の HT-7 装置は トカマク型閉じ込め装置であるために、非誘導電流駆動を必要とし定常実験には不利な面 がある。HT-7 装置における実験はこの困難を乗り越え、低域混成波を用いて 4 分の放電を 実現した。この実験はは拠点事業により派遣された日本人研究者も参加し、中国において 開発されたボロニゼーションによる壁処理を実証した後得られたものであり拠点事業によ る中国側の貢献と考えられる。定常実験は核融合研究所において得られた30分放電と密 な連携を持つものであり、相互に研究を活性化するという効果もあった。 4) 分子ビーム入射 拠点事業を通じて、西南物理研究院を訪問し MBI の手法とその技術的ノウハウを取得した。 146 その知見は核融合科学研究所の研究者により継続発展され、LHD においては高速がガスパ フとして定着することとなった。粒子補給は閉じ込め装置のエネルギー閉じ込めに影響を あたえる重要手法でありその後の LHD におけるプラズマ特性改善の研究において大きな 影響をあたえることになった。 5) 長時間放電への実時間データ処理システムの開発 九州大学は TRIAM-1M トカマクを用い、低域混成波電流駆動による長時間放電を実現して いる。中国もこの実験から学ぶところが大きく研究交流が行われていた。拠点事業におい ては、中国研究者が九州大学を訪問して TRIAM-1M の長時間放電実験に参加し、中国にお いて開発された実時間長時間データ収集システムを導入して実験を成功させた。長時間放 電実験におけるデータ処理は、過去に行われてきた短パルス実験とは全くことなる構成が 必要あるが、中国において開発したデータ処理システムを九大実験適用しその有効性を実 証した。 I−2. プラズマ壁相互作用: HT-7 装置は小型トカマクではあるがプラズマ壁相互作用の観点からから斬新な提案を試み ている。リミター材料としては核融合科学研究所から高 Z 材リミターの提案があった。HT-7 装置においてこの提案に基づく実験を行い,プラズマ表面相互作用国際会議での準招待講 演となった。そのことを契機とし,中国の当該国際会議への継続的,積極的参加と貢献, 中国における当該分野の研究進展と国際的評価の向上,平成18年5月の当該国際会議の 中国主催による開催というようにこの分野の中国の貢献増大に結びついている。低 Z 材の 強化材料としてシリコンをドープした炭素新素材を開発し実験によりその特性を調べた。 高周波放電を利用した、真空容器の洗浄、ボロンによる真空容器洗浄を開発して上述した 長時間放電への基礎を作った。 I-3 原子分子: 次節において、実験において日本から相手国への寄与が記述されるが、原子分子各過程の エネルギー準位、放射遷移確率、反応断面積の計算等の理論において中国はかなり実力を もっている。中国の研究者と日本の研究者の共同研究によりデータ生産、収集及びデータ 評価が行われた。一方、日本の核融合科学研究所には原子分子のデータベースがあり、世 界的に評価されている。中国において計算された反応断面積が日中両国の研究者による評 価の後、データベースに組み入れられている。データ評価の結果は論文になっている。こ れは、中国側が日本に与えた貢献である。また中国科学技術大学ではエネルギー分解能の 良い電子衝突実験装置があり、日本の研究者が訪問し中国の装置を使い実験を行った。実 験結果は論文として発表されている。 147 I-4. 工業応用 1) 低熱抵抗セラミック・金属接合 この研究は核融合炉の熱出力を直接電気かえる、いわゆる直接発電を志向した研究である。 共同研究は、日本及び中国が独自に開発した低熱伝導素子の接合について開発する形で行 われた、中国は中国で開発された素子を提供することにより貢献した。 2) 鉄鋼スラグからのマイクロ波によるチタン抽出 中国では、鉄鋼路の残滓(スラグ)をセメント材料として利用しているが、スラグのなか にはチタンが含まれておりセメント材料として品質を劣化させている。チタンは高価な材 料であり、これを分離取り出す研究が行われた。好ましい結果が出始めている。分析すべ きスラグを提供し具体的な試験を始めたのが貢献である。 I−5 慣性核融合 慣性核融合における高速点火は大阪大学から出された新概念であり世界的な注目を集めて いる。中国においても急速にこの分野の研究を開始しておりワークショップなどを通じた 研究交流により実質的な成果が生まれている。 1)基礎実験 中国においては、特に、放射 x-線の解析から電子温度、電子バンチ揺動周波数を導出する ための理論モデルの形成に貢献した。また、中国側の実験で、高速電子発生に関する非常 に広いパラメータレンジ(レーザー強度、レーザー光偏光、ターゲット材質など)をカバ ーした結果は、それぞれの条件においてどのようなメカニズムで高速電子が発生するのか をケーススタディーしたことになっており、重要な結果のまとめとなっている。この結果 は、高速点火実験を設計する際に有効なデータベースとなりうる。 2)理論シミュレーション 中国側は、PIC シミュレーションを使った“Electron acceleration with two intense laser pulses in underdense plasmas” に関する研究の発展が見られた。また、多重レーザーパル スによる電子プラズマ波ウェークの増幅に関する研究を行った。その結果、複数のレーザ ービームの電子加速に及ぼす効果に関する理解が深められ、レーザーの Wakefield におけ るモード変換によって高強度テラヘルツの発生することがこの成果によって示された II 核融合炉工学基礎研究 1) 先進炉材料:ヴァナジウム合金 先進炉材料の分野においては、核融合科学研究所においてヴァナジウム合金が開発され、 国際協力による評価が進められている。これは IEA 協力を通じた世界的な共同研究の一環 148 でもあるが、拠点事業においては、日本、米国、中国の試作材の比較評価を行った。中国 側研究者を中心として行った実験により、それぞれの合金の熱的、機械的特性が明らかに なった。とくにこの研究においては核融合科学研究所の試作材料が水素存在下での耐性お いて優れていることが結論付けられた。日本のヴァナジウム合金の高度化に向けた指針を 与えたという点で、相手国から日本への貢献である。 2)照射環境下における炉構造材料の変化に関する基礎研究 協力校である北海道大学は優れた性能を持つ照射用高分解能電子顕微鏡を有しており拠点 事業においては、中国の試料試作に経験のある若手研究者を受け入れることにより研究を 活性化させた。特に、ヘリウムをあらかじめ入射したステンレス材料、シリコン系材料の ボイド生成と成長を詳細に調べ、ヘリウムの集合形態、照射欠陥とヘリウムの相互作用に 関して基礎的な知見を与えたという点で、相手国から日本への貢献である。 3) 先進炉材料:SiC/SiC 複合材料の研究 拠点事業において材料の提供という意味で大きな貢献をしている。SiC は核融合炉の構成 材料として低放射化と耐熱という観点において優れた材料であるが、破壊への耐性を高め るため SiC 繊維を SiC バインダーで高温焼結することが必要である。このバインダーとし ては適切な粒子形状をたもった材料が必要であるが、拠点事業を通じて中国内の企業との 連携により SiC 粉を開発し日本での SiC/SiC 複合材料の質を改善することに貢献があった。 4). 核融合炉システムの研究 1) 中国の炉工学は Fusion-Fission Hybrid(核融合・核分裂混成炉) を目標に研究を進めて いた。(この路線は純粋な核融合炉をめざした世界の核融合研究とは異なった路線で、次第 に国際核融合実験炉 ITER を重視した方向に主力をうつしている。)拠点事業の中で Hybrid 炉および日本で検討している先進炉に共通の「液体増殖ブランケット」を目指した炉シス テム設計も行われ、次節で述べる各データの再評価と結びつき炉設計の精度をあげたとい う意味で日本の研究に貢献した。 III 理論シミュレーションによる炉心プラズマの挙動の研究 1) イオン及び電子勾配型ドリフト波の研究 西南物理研究院 の Dong Jiaqi, Wang Aike, Gao Zhe を核融合科学研究所に迎えて行った 研究では非局所安定性解析が行われ、有限ベータ効果、磁気シアー効果、プラズマ回転効 果などが取り入れられた。不安定性の大域的な取り扱いに関して、解析的な手法は日本側 にあるが、これを数値計算コードとして具体的な結果を出す部分は中国において行われた。 中国の果たした貢献である。近年得られた短波長領域での温度勾配型モードに関する研究 は評価されている。 149 2)実験に密接した理論的予言 電子の以上輸送係数に関するスケーリングを提出することにより貢献した。トロイダルプ ラズマの電子温度勾配型不安定性と輸送係数のプラズマパラメーターへの依存性を明らか にした。ASDEX upgrade, Toresupra, JET 等に観測される温度勾配により輸送係数に分岐 現象があることを説明し、注目されている。 3)複雑性プラズマの研究 自己組織化現象のシミュレーション研究は中国においても急速に立ち上がりつつある研究 分野でもある。中国における研究では超高密度プラズマの研究が行われ、品位の高い相対 論的ビームが自己組織化として起こることが明らかにされた。 150 3-6 交流を通じての相手国への貢献 核融合の研究を世界の研究の視点から見れば、国際熱核融合炉 ITER が提案されている。 従来 ITER 計画は提案及び国際的な設計活動の合意以来10年余の月日が経過している。 ITER は当初、米国、ヨーロッパ、ソ連、及び日本の四極による主導的な運営を前提として 出発したが、その後の世界的な経済その他の地盤の変化に伴いソ連はやや後退した状況に ある。変わりに、中国及び韓国が ITER への参加を希望し、それぞれの科学的経済的な実 力が問われる時代であった。中国は3−2に述べたごとく、拠点事業を通じて実験の手法、 計測技術、理論、炉工学基礎研究のすべての分野において日本との交流から学び実力を高 めており、ITER 参加国として名乗りを上げる実力をつけたというえる。中国は国際的なボ ードによる評価を受け 2002 年に ITER への参加が認められることになった。以下に示す個 別的な貢献とは別に「共同研究を通じて行われた中国研究の底上げ」も大きな貢献であっ た。 I 炉心プラズマ特性の改善: 1)定常実験への寄与: 1.前節において中国における長パルス実験における4分放電について記述した。定常実験は 相互の連携をとって行われており、核融合科学研究所においては中国の研究者をむかえて イオンサイクロトロン加熱を用いた定常加熱実験を行い30分放電が実現された。定常を 目指した実験としては世界をリードするものであり特筆すべき貢献であると思われる。 プラズマ加熱は特に前期5年の重要課題であった。そのため、加熱技術開発における日本 の貢献は非常に大きく、1)アンテナ設計、2)大電力高周波源、3)液体スタブチュー ナー、等、多般にわたる。中国の研究者を迎えて行われた日本における開発研究と日本の アドバイスにより中国機器専用に開発された機器に関して多数の共著論文が書かれている。 2)イオンバーンスタイン波加熱: 前節で述べたイオンバーンスタイン波の研究は日本が端緒をきったものであり、現在は中 断されているが蓄積された知見は大きい。特に名古屋 Type-III と呼ばれるアンテナの設計 に関するアドバイスは大きな影響をあたえた。HT-7 における実験に関しては連盟の論文が 書かれている(このことに関しては中国側の貢献として書かれている。)日本においては、 イオンバーンスタイン波加熱において起こる閉じ込め改良に関して理論的な検討を行い、 加熱入射波のレイノルズ応力の引き起こすプラズマ回転のシアの観点から説明した。また、 同原理に基づき、中国に建設中の超伝導トカマクのイオンバーンスタイン波によるプラズ マ回転のドライブに関して理論的予測を行った。 3)トカマク・ヘリカル物理の総合的理解 炉心閉じ込めに関しては、中国側はトカマク装置であり日本においてはヘリカル型装置が あることから、トーラスのエネルギー閉じ込めの総合的理解が一つの主要課題となった。 151 特に、中国研究者はヘリカル型装置の物理に関しては経験が少なく LHD 実験への参加は、 具体的な研究の現場においてトカマクからトーラスへの概念の拡大において一定の貢献が 出来た。一般に、核融合を目指した高温高密度プラズマはエネルギー閉じ込めの劣化がお こるが、加熱電力密度がある値をこえると改良閉じ込めモード(H-mode)へ一種の相転移 をすることが知られている。LHD装置においてもこの H-mode への相転移が観測され注 目されている。拠点事業を通じてこの相転移がおこる加熱電力の閾値のプラズマ諸元への 依存性が研究されトカマクにおける実験則と比較された。実験結果はほぼ同じ比例則に従 うことが示された。また、相転移がおこる空間的位置に関しても研究が進み貢献は大きい。 4) プラズマ計測に関する貢献 特に、現代の核融合実験は、プラズマの、電子温度、イオン温度、不純物量などの詳細な 分布測定が重要とされ、LHD の充実した計測器は中国側計測器に設計の基準となった。 5) ガスパフ量変調による研究手法の開発 日本人研究者田中謙治が等離子体物理研究所において行ったガスパフ量の変調から粒子輸 送係数を決定する実験及び解析手法は、中国側に与えた具体的貢献である。また、この実 験は HT-7 装置の提案に対するる賛同と速やかな準備により可能となったもので、中国の日 本への貢献でもある。 6) 球状トカマク研究への貢献 球状トカマクは小型で高性能な先進核融合炉の炉心となる可能性があるのでかなりの数の 装置が建設され実験がなされている。日本では、京都大学に LATE 装置があり東京大学に は TST 装置があって特色あるテーマの選択により寄与している。中国精華大学にはあらた に球状トカマク SUNIST が建設され共同研究が開始された。建設にあたり技術的なアドバ イスにより貢献があった。また、実験に関しては、中国関係者拠点枠で招待し、非誘導電 流立ち上げの実証実験を行いそのモデル形成において貢献した。特に、平衡電流により電 流が期待されている初期プラズマから、電流の作り出す平衡への転移が計測により示され、 非誘導電流駆動によるプラズマ立ち上げの可能性が示された。 7) センサーレス計測・センサーレス制御の実験 九州大学は TRIAM-1M トカマクを用い 低域混成波電流駆動による長時間放電を実現し ている。中国もこの実験から学ぶところが大きい。拠点事業においては、中村一男らが HT-7 装置を用いてセンサーレス制御の実験を行い成功した。これは、長時間運転を行ううえで 重要な実証実験で、論文が書かれている。(同提案に賛同し、同装置のマシーンタイムを準 備してこの実験を可能とした意味で中国の貢献ともいえる。) I−2 プラズマ壁相互作用 研究の環境として、等離子体物理研究所と核融合科学研究所の間には大学間協定があって イオンサイクロトロン加熱に関して共同研究が部分的にあった。このなかで、プラズマ壁 相互作用は加熱を成功させるための重要な要素であり、真空容器、リミター材料などにす 152 る協力をおこなってきた。また、中国はこれに見合う独自の研究成果をあげる実力を身に つけてきた。拠点事業、はこれ等の進歩を引き継ぎより具体的な場面で発展させる機会を 与えたといえる。 前節で記述した、カーボンをドープした新しい素材に関しては日本の材料試験機器及び試 験方法が提供されより科学的な結論を引き出すことができた。その結果は HT-7 での実験や EAST の設計に活かされ手いる。これは本事業による日本側から中国への貢献の顕著な例の ひとつと考えている。 また、2004年核融合科学研究所で行われた吸蔵水素回収の実験も日本における実験機 器の提供により可能となった。 I−3.原子分子過程の研究 原子分子の研究に関しては,核融合科学研究所に原子分子データベースの拠点があり、世界 のデータセンターとしてのアクテヴィテーがある。中国の応用物理計算数学研究所でもデ ータベースを作成にも力を入れており、核融合研究所との共同研究が行われた。中国のデ ータベース作成に核融合科学研究所のデータベースは、参考になった。日本の研究者によ る原子過程を用いたプラズマ診断は中国での関心を引き、共同研究へ繋がる契機になった。 また電気通信大学には核融合プラズマの中心部に存在する高電離度の原子の衝突過程を研 究する Tokyo-EBIT 装置があって世界的な成果を出していた。これ等の高いアクテヴィテー に刺激されて中国にはこの分野に使う Shanhai-EBIT を建設する機運が高まり、H―16 年度 に 完 成 し た 。 こ の 建 設 に お い て Tokyo EBIT の グ ル ー プ は 広 範 な 技 術 指 導 を 行 い Shanhai-EBIT 建設に大きく貢献した。これに関連し中国の研究者が電気通信大学及び東邦 大学に滞在し原子衝突実験を行った。 I-4. 工業応用 1) 低熱抵抗セラミック・金属接合 この研究は核融合炉の熱出力を直接電気かえる、いわゆる直接発電を志向した研究である。 共同研究は、日本及び中国が独自に開発した低熱伝導素子の接合について開発する形で行 われた、日本は日本で開発された素子を提供することにより貢献した。 2) 鉄鋼スラグからのマイクロ波によるチタン抽出 中国の、鉄鋼残滓(スラグ)に含まれるチタンを分離取り出す研究については3−5にの べた。この研究において、核融合科学研究所におけるマイクロ波の技術蓄積を利用してス ラグの破砕によるチタン抽出を提案しを提供し成功させたのが貢献である。 I−5 慣性核融合 慣性核融合における高速点火は大阪大学から出された新概念であり世界的な注目を集めて いる。中国による日本への貢献については3−5において既に述べた。 153 日本においては高速点火の概念の提出自身が貢献であり、拠点事業としてはこのテーマの 研究に伴う理論、実験技術、の提供があった。特に、大阪大学の高速点火実験の有効性を 証明する実験成功により、上海光精密研究所及び、綿陽レーザー核融合研究所の二カ所に おいて、大型超高強度レーザー施設の建設が政府により決定された。これは、上海の超高 強度レーザーを使って、高速点火に関する基礎実験をおこなうためであり、綿陽のレーザ ー施設は、爆縮と高速加熱を使った積分型実験を指向するものである。また、こうした大 型超高強度レーザーシステムの要となる回折格子をタイル状に貼り合わせる超高精度光学 技術に関しても中国側に供与しており、中国側は大きなメリットを受けている。3−5に 述べた解析理論も大阪大学における共同実験において実証され、Physica Review Letters に結果が掲載された。 II 核融合炉工学基礎研究 1) 先進炉材料:ヴァナジウム合金 炉材料開発においては、核融合科学研究所は低放射化材料としてヴァナジウム合金を提案 しており、NIFS-HEAT というインゴットが製作されている。中国にも小規模ながら同様の ヴァナジウム合金の試作経験があり、水素同位体の存在下でのこれらの合金の特性を日中 合同で検討した。共同研究は日本の提案した材料の評価一環として位置づけられるが、日 本の高性能試験機器を使い研究の場を提供することによる、中国の材料開発研究への貢献 でもある。 2)照射環境下における炉構造材料の変化に関する基礎研究 さきに同テーマにおける中国側の寄与を書いたが、日本国内の北海道大学には、有数の高 分解能電子顕微鏡があり、中国の研究者を迎えて共同研究をおこない基礎的な重要な知見 が得られた。この知見とともに、この共同研究においては、高分解能電子顕微鏡など優れ た研究手段と同材料開発研究のなかでの利用方法を中国側研究者が習得したことが相手国 への貢献である。 3)先進炉材料:SiC/SiC 複合材料の研究 熱核融合炉の照射と熱に耐える低放射化 SiC/SiC 複合材の開発においてバインダーの提 供に関する中国側の貢献は3−5に記述したが、SiC/SiC 複合材料の開発は国内の一貫した 研究テーマであり SiC 繊維の高温焼結と関連した素材の試験は日本において行われた。必 要な粉体の高品質化を推進し、技術高度化という点で相手国への貢献であるとともに、日 中の産業を含めた連携研究を推進した貢献がある。 4)核融合炉システムの研究 核融合炉の設計に置いては、原子核の反応断面積の正確な値を使うことが大切である。拠 点事業においては、炉設計におけるコードを再評価し核融合断面積のデータを更新した。 このことにより、炉設計の信頼性があがった。日本側の相手国への貢献である。 154 III 核融合プラズマ理論・シミュレーション 1) ドリフト波の実験に及ぼすポテンシャルの影響及び非局所解析理論: エネルギー閉じ込め理論に関しては:プラズマ中のポテンシャル生成に関して核融合科学 研究所は先進的な役割を果たしてきた。拠点事業においてはこの分野の専門家を派遣して 講演を行うなど同分野の世界的な知見を共有することにより貢献があった。このような活 動は日本に中国研究者を向かえた研究会での学術的討議も加えて全体的な研究成果となり あらわれた。 先に記述した、イオン温度、及び、電子温度勾配型ドリフト波の理論研究においては、波 数空間での積分方程式に基づく固有地問題理論体系の構築において貢献があり研究を可能 にしたといえる。また、短波長温度勾配型不安定性の及ぼすプラズマ影響に関する研究は 日本の研究者による研究テーマ設定が主導的な役割をはつぃている。 2) ゾーナルフロー ・測地線振動の研究: プラズマのエネルギー輸送を決定する乱流は同時にレイノルズストレスと呼ばれる非線形 応力を発生させプラズマに回転をあたえることが理論的に知られている。核融合研究所で はこの理論のヘリカルシステムへの拡張を行った。GAM 振動はトカマク・ヘリカル両シス テムにおいて観測されており。トーラスの物理の統一的理解に貢献している。 3) 複雑性プラズマの研究: 複数の発展段階を持つ自己組織化現象の特に大型計算機を用いたシミュレーション研究は 核融合科学研究所のもつ特色でもある。日本における研究では磁気再結合過程の研究が行 われ、間欠的磁気結合など段階をもった自己組織化の構造が明らかにされた。 4) ダイバータ特性の特性の計算機コードによる解析: EAST 装置はダイバータをそなえた装置であり、ダイバータがプラズマ特性に及ぼす影響 にかんする研究が行われた。Core-SOL-Diverter モデル を使ったダイバータの振るまいの 解析など、具体的な解析において低域混成波を用いた EAST 装置の運転領域に関して検討 をすすめ。日本からの貢献として計算機コードを準備し定常運転を可能にするプラズマパ ラメーター領域を明らかにしたことがあげられる。 原子力研究所の寄与: 原子力研究所の拠点事業への寄与:2003 年、省庁統合により原子力研究所も拠点事業に参 加できることとなった。原子力研究所は、大型トカマク JT-60 を用いた実験研究において 世界を先導する立場にあって、実験上の知見の集積が大きい。原子力研究所は日中セミナ ーを開催しており本事業からも出席に関して協力することが出来た。共同実験への参加は 2003年度において試みに行われ、稼動始めた HL-2A 装置において、ダイバータの閉じ 込めへの効果を解析するなど研究が開始された。また、HT-7 装置に関して放電洗浄効果の 共有性の確認など実質てきな共同研究が開始された。 155 3-7 成果の社会への貢献 1) 核融合学が含む物理の理解が含む潜在的な社会への貢献: 核融合における炉心の研究は、物理的側面から言えば「非平衡プラズマの物性」といえる、 これを支えるためにプラズマ物理学あるいは核融合学と呼ぶにふさわしい体系を作り上げ てきた。1)拠点事業を通じた貢献はもちろん拠点事業の名において出版された論文の内 容によるわけでありその個別的貢献は 3-1 から 3-3 において詳述されている。また、2)核 融合実験装置建設をめぐって開発された限界設計は産業上に反映される可能性がある。3) 同様に超伝導コイルの製作もめぐる多くの実質的発案は産業上に影響を残すものと思われ る。これ等は、核融合の本流がのこす社会への還元であるが以下、意外性のある発展を示 したものに関して照会する。 2) 工業応用分野における、研究内容の展開 核融合研究は、炉心にプラズマを用いるため、一般のプラズマの工業応用とは距離がある と理解されている。拠点事業の立ち上げにあたり健全な核融合発展のために拠点事業には 関連分野として「工業応用;研究課題14」を組み込むこととなった。 従って、研究の展開は担当者の自由な発想に任せられたところがある。工業応用という分 野は直接経済をささえる産業への係わりがある分野であり、以外な分野への発展がみられ た。1)核融合に特に必要とされるマイクロ波技術は拠点校である核融合科学研究所にお いてとくに蓄積された技術がある。この基礎の上に、国内においては、マイクロ波焼成の 工業応用の技術が提案あれた。このような、核融合の枠を超えた工業応用は「鉄鋼スラグ からのチタン抽出技術」として産業応用の可能性が生まれた。また、 「プロセスプラズマを 用いた低熱抵抗素子セラミック・金属接合」は核融合炉の直接熱電変換を目指したもので あるが、セラミック・金属接合が成功すれば産業化への応用は広い。 3) 炉工学新素材の開発 3−2において述べた SiC/SiC 複合炉材料に関する開発の結果は、他の産業においても高 熱流授受材料の新素材として産業上の貢献する可能性がある。また、LHD をはじめ中国の HT-7 装置は超伝導コイルを用いた装置である。また、等離子体物理研究所においては、現 在 EAST 装置を建設中であり完成も近い。超伝導技術に関する交流は拠点事業の重要な部 分であった。ここで、得られた大型超伝導コイルの技術は、SMES などへの産業への応用 が期待できる。 4) 慣性核融合のカプセル開発と医学的適用 慣性核融合はレーザーをカプセル(燃料充填標的)に照射するものであるが、この標的の 製作技術は精度を要するものである。この技術を中国における医療用カプセルの開発に適 用する試みが両国の必要によって始まった。産業への貢献に繋がる可能性がある。 156 3-8 予期しなかった成果 第1章に記述したように、中国は日本との交流を通じて核融合研究を急速に立ち上げるこ とを目的としているので、研究にかかわるすべてのことに関して真摯な受け入れの姿勢を 示している。例えば、「実験開始前の打ち合わせ」「会議の運営の仕方」といった観点から も学ぶところがあった。研究からは幾らか遠い事柄であっても参考にする姿勢がみられる。 これらの、どちらかというと「文化」という部分においても共に学ぶという姿勢は、両国 の研究者・国民の理解を深める意味で有効であると思われる。また、中国は文化大革命の 影響で核融合研究者に空白がある、近年、核融合研究を担う若手研究者の育成に力を注い でいる。3−4節において示したように、多くの若手研究者が育ち、中国の核融合研究に おいて中核的役割をはたす人材を輩出している。歴史的な配偶がもたらした幸運な事情で あったが、これ等の研究の指導者と相互の理解と自由な意見の交換が可能になったことは 予期しなかった効果である。 核融合炉工学基礎研究分野・炉設計の協力に関して、中国側は核分裂−核融合ハイブリ ッド炉、日本側は純粋核融 合炉を志向しており、核データ評価などの協力に限られること を想定していた。しかし、中国側は、ハイブリッド炉の冷却材として、溶融塩 Flibe が最も 有望と評価選定し、その基礎データの蓄積を行っていた。溶融塩 Flibe は日本の大学で検討 している代表的なブランケット形式であり、核設計のみならず熱流体設計、構造設計など で協力研究を進めることができたのは、当初予期しなかった成果である。 また、中国製のバナジウム合金は、酸素不純物が多く、比較試験には適さないと考えら れてきた。しかし協力研究の初期に日本で用いた酸素低減加工法を中国製の合金に適用す ることにより、日本の合金と同じ程度まで酸素不純物濃度を下げることに成功した。中国 製バナジウム合金は、中国産の素材を使っている関係で、窒素不純物が日本の合金に比べ 低い特徴があった。結果として、少量ながら酸素、窒素濃度ともに低い合金の試験を行う ことができた。 アジアにおける核融合研究有機的な発展を図るために、アジアプラズマ核融合連合 (APFA)が結成されている。この組織の日本側担当者は本拠点事業の主要メンバーであり、 中国側では拠点校である等離子体物理研究所が中国側の窓口として機能している。つまり、 本拠点事業は期せずして、日中の橋渡しという重要な役割を担うこととなった。一例とし て、2005 年 11 月末から 12 月はじめにかけて開催される日本プラズマ・核融合学会の年会 ではアジアの研究交流について議論する特別セッションが計画されており、中国側キーパ ーソンを勤める Xie Jikang 氏が中国のアジアにおける研究交流について現状の報告をおこ ない、本拠点事業の日本側コーディネーターが拠点事業の現状に関して報告を行う。 2003 年度に「プラズマ中の原子・分子過程に関する日中セミナー」を本拠点事業のセミ ナーとして開催した。このセミナーは、当初 2003 年度の前半に開催すべく計画され、日本・ 中国ともに準備を進めていた。特に開催地の西北師範大学 (China, Lanzhou, Northwest 157 Normal University) Dong ChenZhong 教授は、会場の手配その他の準備を進めていたが、年 度初めに突如として流行したSARSに起因して、予定通りの時期での開催が不可能とな った。しかも、折悪しくこの年度は日本側の対応機関である日本学術振興会の独立行政法 人化の年度と重なり、年度前半から後半へずらすと言うことが予算管理上、一般の年度に 比べて困難と予想された。この事態に直面し、非常に早い段階で年度後半に開催時期を延 期することを決定し、日本学術振興会と協議しつつ、日本学術振興会のご理解・ご協力の 下、無事年度後半に開催できた。また、この間 SARS に関する諸情報を本拠点事業のホー ムページに掲載し、関係研究者等の注意を喚起するなど、拠点大学として必要な対応を行 った。中国側の拠点大学(等離子体物理研究所)からも必要な情報が提供されるなど日中 が協力して対応した。このことは、学術的な成果ではないが、拠点事業のような一つのプ ロジェクトを運営するに当たって要求される危機管理能力が予期せず現実の場面で試され、 適切に機能したと評価される。 3-9 課題・反省点 反省点というよりは苦労した点であるが、中国等離子体物理研究所における HT-7 装置と 日本の LHD のマシーンタイムが時期的に重なったことである。 拠点事業には独自の見識 を持つ研究者が選ばれているが、彼等は所属する研究機関において欠かせない重要人物で ある。そのため、交流日程の決定に心労することが多かった。一年のマシーンタイム決定 には多般の事情があるのでこれをずらすことは困難と思われる、従って今後も苦労する決 意でいる。 拠点事業は研究者交流に伴う旅費の形で支援されているので、研究の成果を実験器具の 挙動開発など可視化した成果として表現するのが難しい。また、キャッチオール規制など により、一般的学術的議論においても自己規制してしまうような弊害が一部にあった。後 期5年においても同様な問題があるが、具体的な問題に応じて解決していくつもりである。 核融合研究の国際化に伴い、こうした問題は日本全体の問題としての解決が望まれる。 158 第4章 今後の計画 本拠点大学協力事業は 10 年の核融合研究を見通し、次の3主要課題(I) 「炉心プラ ズマ」、(II) 「核融合炉工学基礎研究」、及び(III) 「理論・シミュレーションによる炉心 プラズマの挙動の研究」を定めた。研究課題の設定した当時、ブレークイーヴンを達成し たトカマクを中心とした研究の次のステップとして想定され、国際核融合実験炉(ITER)の 建設に関して国際的な合意がなされていた。しかし、ITER 建設地を巡って決定が得られず、 また残存する技術的課題の検討のため予算の執行を伴う具体的行動には時間を必要とした。 上記の拠点事業はいわば上記の国際共同研究出発の滞渋を見通し、アジアにおける研究の 潜在的対応能力を維持し高めることにあった。その意味で、中国との間で結ばれたプラズ マ・核融合分野の当拠点事業は時宜を得たものであった。中国における研究の水準は飛躍 的に上昇し、後半5年の拠点事業において重要な貢献を出来る状態に達したことは、2-5, 2-6 の成果報告から明らかであろう。 2005 年 ITER 建設地はフランスと決定されたが、ITER は国際共同研究として行われる 20 年を要する大計画であり、ITER 活動を通じて日中両国 の研究者は旧知の友とし使命を追求することが出来る。また、残存する技術的課題と称し た部分は、「核融合実験炉の確かなゴール達成」を目指した、物理、工学、理論 を含むす べてであり、国際的な懸案にかんして共同研究を進める素地が作られた。 前半 5 年の共同研究はこの当初の長期的計画に従い進められ、課題設定に関して大きな 変更の必要性は発生していない。従って、後半の 5 年においても、当初計画において設定 された目的達成に向けて共同研究を着実に推進あれるであろう。生まれてきた最新のトピ ックスに関する課題は柔軟に取り込み計画の充実がはかられる。 概略を示せば: (I)に関しては、炉心プラズマ性能の改善に向けて、①高周波加熱技術の進展と大電力 長パルス化、②高周波加熱・電流駆動による分布制御による高性能プラズマの生成、③プ ラズマ周辺部及びコア部に輸送障壁を有するプラズマ生成と揺動特性研究、④高ベータプ ラズマ生成、を中心に共同研究を進める。また、⑤球状トカマクといった新しい配位にお ける閉じ込め改善と高ベータ化研究、⑥ダイバータプラズマ特性研究。これらの研究を推 進する上でプラズマ・壁相互作用、原子分子過程の研究と密接な連携をとって進める。 (II)については、後半 5 年についても引き続き低放射化バナジューム合金の開発、複合 炭素繊維素材の開発、核データの評価による炉設計の信頼性向上、新概念に基づくブラン ケットの開発、に加えて核融合炉のための超伝導システムの研究も推進する。 (III)については複雑な炉心プラズマの挙動を支配するイオン温度勾配型ドリフト波、 及び、電子温度勾配型ドリフト波不安定性によるプラズマ乱流に関して共同研究を進める。 世界で注目されている、電場及び磁場のシアのプラズマ乱流への影響が調べられる。ダイ バータプラズマの特性の理論研究も進める。さらに燃焼プラズマの輸送を明らかにするた めの大規模な統合コードによる核燃焼プラズマのシミュレーションを進める。 159 ITER は現在の標準的トカマクの延長上に実験核融合炉を設計するものであるが、当 拠点事業はさらに、新しい概念に基づく先進核融合の概念開発をも目標としている。ITER に関連した言葉で「ブロードアップローチ」と呼ばれているこの研究方向は、拠点事業が 含んでいる先進核融合と同構造をもつものであり拠点事業の先見性を物語るものである。 従って、基礎的研究の占める位置は以前にも増して重要である。理論研究においては、 大型計算機の発達による computer experiment の実現をめざした研究も重要となるであろ う。 4-1 事業組織 拠点事業の組織は前半5年の運営を通じて完備され成果が上がっている。次世代核融 合の担い手である若手研究者育成のために、現担当者の定年や転出に関連した事情に応じ て適切な時期に適宜改変していく。これまでも配慮されていたが、各課題のキーパーソン は種々の研究機関や大学から広く人材を集めて構成するよう注意を払う。ホームページの 充実を図り、拠点校以外の研究者の理解を助け積極的な提案がしやすい環境を整備してい く。最近日本のプラズマ・核融合学界においてもアジアの共同研究に対して支援の姿勢を 示しているので、学会誌などを通じて拠点事業の活動を広報する。 4-2 事業の枠組み 本拠点大学協力事業の発足当初に各研究カテゴリーで掲げた研究課題は 10 年の見通し の上に立つ。前半5年の協力事業において初期の 2 年は主として相互の研究と動向と段階 の把握にあて、第 3 年次からは本カテゴリーの主要課題のうち日中での研究の進展の早い もの共同研究を開始した。拠点事業以前の科研費国際学術に基づく活動があり、前半5年 は想定以上の成果をあげることが出来た。後半の 5 年については、これ等の助走期間の間 に蓄積された潜在的能力の上に立ち、最近の研究に置いて進化した必須の課題を掘り下げ 共同研究を進める。すなわち、後半の 5 年はこれまでの準備投資を回収し成果をあげる収 穫期と位置づけられる。 4-3 共同研究、セミナー、研究者交流 的を絞った共同研究課題は各カテゴリーで実施されていくので、ここでは今後計画す べきセミナーの課題として、「ダイバータプラズマの特性と機能の最適化」、「閉じ込め改善 及び高ベータプラズマの生成と制御」、「プラズマ揺動計測と閉じ込め改善機構の研究」、 「高速粒子とアルファ粒子物理」、 「ダイバータプラズマ計測」、 「核燃焼プラズマ計測」、 「新 閉じ込め方式による閉じ込め改善と高ベータ化」などが有力候補であり、これらの課題の 160 研究は日中で急速に進展してきている。 第5章 今後の交流で見込まれる成果 前期5年の拠点事業を通じて中国側の潜在能力は非常に高まっている。中国側は、HT-7, HL-2A という中型トカマクの運転が軌道に乗り、さらに世界初のすべてのコイルが超伝導 コイルのトカマク EAST が 2006 年初めに竣工稼働の予定である。 一方、日本側は、大型トカマク JT-60U が 2007 年までで稼働を停止し、国内重点化トカマ ク(NCT)の建設へ移行していくものと思われる。設計活動そのものが研究活動ではある がこの間実験研究に資する国内のトカマク装置には空白が生じる。また、日米協力事業の この時期の状況が不透明であろうと思われ、中国への研究者派遣することによる共同研究 は重要性が高まる。ヘリカル装置の LHD ではプラズマ加熱、制御さらにはプラズマ計測な ど幅広い共同研究を受け入れる条件が整っており、前半5年と同様、広範な共同研究が行 われる。トーラス物理の総合的理解と言う観点から共同研究の成果があがるものと思われ る。 日本における大型トカマク実験はやや制限をうけるが、ヘリカル装置 H-J(京大)や球状 トーラス LATE(京大)での共同研究も順調に進んでおり後半の 5 年の共同研究から世界をリ ードする成果が期待できる。これらの装置は、軌道に乗り始めた SUNIST(清華大)の球 状トーラスと連携をとり効果的な共同研究が行われる。 以上、研究環境の変化に伴い、相互互恵型の研究形態に移行するものと思われる。 161 第6章 参考資料 参考資料一覧 1)Seminar-publications の表紙写真 Academic Reports の表紙写真 2)発表論文リスト 3)課題別交流日数・人日数 FY2001∼FY2004 4)「国際的な連携及び交流活動」評価報告書(平成14年度着手 全学テーマ別評価) ◇大学評価・学位授与機構が行う大学評価(pp.8-9) 全学テーマ別評価自己評価書(pp.57-72) 5)国内委員会要項 6)Review on the Core-University Program on Plasma and Nuclear Fusion (中国側コーディネーターより) 162 参考資料(1) Seminar-publication Academic Reports: 学術雑誌に出版された研究成果は、毎年 academic report として纏められている。 参考資料(2) Class 1 査読付学術雑誌論文 Category I-1 Improvement of Core Plasma Property 炉心プラズマ性能の改善 Authors Title K.Saito, Y.torii, R.Kumazawa, T.Mutoh, T.Seki, F.Shimpo, Liquid Impedance matching system for Ion Cyclotron G.Nomura, M.Yokota, T,Watari, G.Cattanei, Y. Zhao Heating Journal , Conference Review of Scientific Instruments, 72(2001)2015 T.Watari, T.Mutoh, R.Kumazawa, T.Seki, K.Saito, Y.Torii, Yan Ping Zhao, D.Hartmann, H.Idei, S.Kubo, K.Ohkubo, M.Sato, T.Shimozuma, Y.Yoshimura, K.Ikeda, O.Kaneko, Y.Oka, M.Osakabe, Y.Takeiri, K.Tsumori, N,Ashikawa, P.C.De Vries, M.Emoto, A.Fukuyama, H.Hunaba, M.Goto, K.Ida, S.Inagaki, N.Inoue, M.Isobe, K.Itoh, S.Kado, K.Kawahata, K.Khlopenkov, T.Kobuchi, A.Komori, A.V.Krasilnikov, Y.Liang, S.Masuzaki, K.Matsuoka, T.Minami, J.Miyazawa, T.Morisaki, S.Morita, Nuclear Fusion, The performance of ICRF Heated Plasma in LHD S.Murakami, S.Muto, Y.Nagayama, Y.Nakamura, 41(2001)325 H.Nakanishi, K.Narihara, K.Nishimura, N.Noda, A.T.Notake, S.Ohdachi, N.Ohyabu, H.Okada, M.Okamoto, T.Ozaki, R.O.Pavlichenko, B.J.Peterson, A.Sagara, S.Sakakibara, R.Sakamoto, H.Sasao, M.Sasao, K.Sato, S.Satoh, T.Satow, M.Shoji, S.Sudo, H.Suzuki, M.Takechi, N.Tamura, S.Tanahashi, K.Tanaka, K.Toi, T.Tokuzawa, K.Y.Watanabe, T.Watanabe, H.Yamada, I.Yamada, S.Yamaguchi, S.Yamamoto, K.Yamazaki, M.Yokoyama, Y.Hamada, O.Motojima, M.Fujiwara R.Kumazawa T.Mutoh, T.Seki, T.Watari, K.Saito, Y.Torii, F.Shimpo, G.Nomura, M.Yokota, A.Kato, D.A.Hartmann, Y.Zhao, A.Fukuyama, H.Okada, K.Ohkubo, M.Sato, S.Kubo, T.Shimozuma, H.Idei, Y.Yoshimura, T.Notake, Y.Takita, S.Kobayashi, S.Itoh, Y.Mizuno, O.Kaneko, Y.Takeiri, Y.Oka, K.Tsumori, M.Osakabe, K.Ikeda, S.Yamamoto, T.Kawamoto, E.Asano, N.Ohyabu, K.Kawahata, A.Komori, H.Yamada, K.Akaishi, N.Ashikawa, M.Emoto, H.Funaba, M.Goto, K.Ida, S.Inagaki, N.Inoue, M.Isobe, A.Krasilnikov, S.Masuzaki, Ion Cyclotron Range of Frequency Heating Experiments on Physics of Plasmas, the Large Helical Device and High Energy Ion Behavior 8(2001)2139 T.Minami, J.Miyazawa, T.Morisaki, S.Morita, S.Murakami, S.Muto, Y.Nakamura, Y.Nagayama, H.Nakanishi, K.Narihara, Y.Narushima, K.Nishimura, N.Noda, T.Kobuchi, S.Ohdachi, T.Ozaki, B.J.Peterson, A.Sagara, S.Sakakibara, R.Sakamoto, H.Sasao, M.Sasao, M.Shoji, H.Suzuki, K.Tanaka, K.Toi, T.Tokuzawa, I.Yamada, S.Yamaguchi, M.Yokoyama, K-Y.Watanabe, T.Watanabe, M.Matsuoka, K.Itoh, S.Sudo, K.Yamazaki, Y.Hamada, O.Motojima, M.Fujiwara, and the LHD Experimental Group K.Saito, R.Kumazawa T.Mutoh, T.Seki, T.Watari, Y.Torii, D.A.Hartmann, Y.Zhao, A.Fukuyama, F.Shimpo, G.Nomura, M.Yokota, M.Sasao, M.Isobe, M.Osakabe, T.Ozaki, K.Narihara, Y.Nagayama,S.Inagaki, K.Itoh, S.Morita, A.V.Krasilnikov, K.Ohkubo, M.Sato, S.Kubo, T.Shimozuma, H.Idei, Y.Yoshimura, O.Kaneko, Y.Takeiri, Y.Oka, K.Tsumori, K.Ikeda, A.Komori, H.Yamada, Nuclear Ion and Electron Heating in ICRF Heating Experiments on H.Funaba, K.Y.Watanabe, S.Sakakibara, M.Shoji, Fusion,41(2001)1021 R.Sakamoto, J.Miyazawa, K.Tanaka, B.J.Peterson, N.Ashikawa, S.Murakami, T.Minami, S.Ohdachi, S.Yamamoto, S.Kado, H.Sasao, H.Suzuki, K.Kawahata, P.de Vries, M.Emoto,H.Nakanishi, T.Kobuchi, N.Inoue, N.Ohyabu, Y.Nakamura,S.Masuzaki, S.Muto, K.Sato, T.Morisaki, M.Yokoyama, T.Watanabe, M.Goto, I.Yamada, K.Ida, T.Tokuzawa, N.Noda, S.Yamaguchi, K.Akaishi, Y.Torii, T.Watari, R.Kumazawa, K.Saito, T.Mutoh, T.Seki, F.Shimpo, G.Nomura, T.Watanabe, N.Takeushi, T.Yamamoto, Y.Zhao, D A Hartmann, H.Yamada, T.Ozaki, S.Masuzaki, K.Tanaka, M.Yokota, A.Katoh, K.Akaishi, N.Ashikawa, P de Vries, M.Emoto, H.Funba, M.Goto, K.Ida, H.Idei, K.Ikeda, S.Inagaki, N.Inoue, M.Isobe, K.Itoh, S.Kado, O.Kaneko, K.Kawahata, T.Kobuchi, A.Komori, A V Krasilnikov, S.Kubo, T.Minami, Derivation of Energy Confinement Time and ICRF absorption in LHD by Power Modulation J.Miyazaw, T.Morisaki, S.Morita, S.Murakami, S.Muto, Y.Nagayama, Y.Nakamura, H.Nakanishi, K.Narihara, K.Nishimura, N.Noda, S.Ohdachi, K.Ohkubo, N.Ohyabu, Y.Oka, M.Osakabe, B J Peterson, A.Sagara, S.Sakakibara, R.Sakamoto, H.Sasao, M.Sasao, K.Sato, M.Sato, T.Shimozuma, M.Shoji, S.Sudo, H.Suzuki, Y.Hamada, S.Yamaguchi, S.Yamamoto, k.Yamazaki, M.Yokoyama, Y.Yoshimura, O.Motojima and M.Fujiwara Nuclear Fusion,43(2001)1191 K.Toi, S.Ohdachi, S.Yamamoto, S.Sakakibara, H.Yamada, A.Weller, K..T.Watanabe, Y.Narushima, K.Tanaka, Characteristics of MHD Instabilities Excited in Edge and Iyamada, Tokuwzawa, S.Masuzaki, S.Morita, M.Goto, Core Regions of the LHD Plasmas J.Li, K.Kawahata, N.Ohyabu, and LHD Experimental Group 28th EPS conference onControlled fusion and Plasma Physics, Madeira,18-22, 2001, vol.25A, Session P4-050, p1517 Y. Torii, R. Kumazawa, T. Seki, T.Mutoh, T.Watari, K.Saito, T.Yamamoto, N.Takeuchi, Zhang Cheng, Yangping Zhao, F.Shimpo, G,Nomura, M.Yokota, A.Kato, K.Nishimura, T.S.Bigelow, D.A.Rasmussen, R.H.Goulding, Plasma production experiments using a folded waveguide M.D.Carter, H.Idei, K.Ikeda, O.Kaneko, K.Kawahata, antenna on LHD A.Komori, S.Kubo, J.Miyazawa, T.Morisaki, Y.Nakamura, T.Notake, K.Ohkubo, N.Ohyabu, Y.Oka, M.Osakabe, M.Sato, T.Shimozuma, Y.Takeiri, K.Tsumori, T.Watanabe, H.Yamada, and Y.Yoshimura Nuclear Fusion 42 (2002) 679-688 T.Yamamoto, T.Watari, T.Mutoh, R. Kumazawa, T. Seki, K.Saito, Y.Torii, N.Takeuti, H.Sasao, M.Isobe, A.Krasilnikov, T.Morisaki, H.Yamada, Y P Zhao, Z.Chen, H.Idei, S.Kubo, K.Ohkubo, M.Sato, T.Shimozuma, Y.Yoshimura, T.Notake, K.Ikeda, O.Kaneko, Y.Oka, M.Osakabe, Y.Takeiri, K.Tsumori, H.Funaba, M.Goto, K.Ida, S.Inagaki, K.Itoh, K.Kawahata, A.Komori, Y.Liang, Optimization of ICRF heating in terms of confining S.Masuzaki, J.Miyazawa, S.Morita, S.Murakami, S.Muto, magnetic field parameters in the LHD Y.Nagayama, Y.Nakamura, H.Nakanishi, K.Narihara, K.nishimura, N.Noda, S.Ohdachi, H.Ohyabu, T.Ozaki, B.J.Peterson, A.Sagara, S.Sakakibara, R.Sakamoto, K.Sato, M.Shoji, S.Sudo, H.Suzuki, K.Tanaka, K.Toi, T.Tokuzawa, K Y Watanabe, T.Watanabe, K.Yamazaki, M.Yokoyama and O.Motojima Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(2002)1543 H.Tanaka, K.Higaki, T.Yoshinaga, H.Igami, M.Uchida and Formation of ECH Spherical Tokamak on LATE T.Maekawa Proc. 29th EPS Conf. on Plasma Phys. and Contr. Fusion (2002) P-5.050. Stationary multifaceted asymmetric radiation from the X.Gao,J.K.Xie,Y.X.Wan,K.Ushigusa,B.N.Wan,S.Y.Zhang,J PHYSICAL REVIEW edge and improved confinement mode in a superconducting .Li,and G.L.Kuang E,VOLUME 65,017401 tokamak X Gao,S Ishida,T Fujita,Y Kamada,T Hatae,T Oikawa,H Shirai,Y Kishimoto,J K Xie,and K Ushigusa Evolution of ηi(r,t)in JT-60U reverse shear discharges R.Kumazawa, K.Saito, Y.Torii1, T.Mutoh, T.Seki, T.Watarai, M.Osakabe, S.Murakami, M.sasao, T.Watanabe, T.Yamamoto, T.notake, N.Takeuchi, T.Saida, F.Shimpo, G.Nomura, M.Yokota, A.Kato, Y.zao, H.Okaba, M.Isobe, T.Ozaki, K.Narihara, Y.nagayama, S.Inagaki, S.Morita, A.VKrasinikov, H.Idei, S.Kubo, K.Ohkubo, M.Sato, T.Shimozuma, Y.Yoshimura, K.Ikeda,K.nagaoka, Y.Oka, Y.Takeiri, K.Tsumori, N.ashikawa, M.Emoto, Confinement Characteristics of High Energy Ions H.Funaba, M.Goto, K..Ida, T.Kobuchi, Y.Liang, S.Masuzaki, T.Minami, J.Miyazawa, T.Morisaki, S.Muto, Produced by ICRF Heating on the Large Helical Device Y.Nakamura, H.Nakanishi, K.Nishimura, N.Noda, S.Ohdachi, B.J.Peterson, A.Sagara, S.Sakakibara, R.Sakamoto, K.Sato, M.Shoji, H.Suzuki, K.Tanaka, K.Toi, T.Tokuzawa, K.Y.Watanabe, I.Yamada, S.Yamamoto, M.Yoshinuma, M.Yokoyama, K-Y.Watanabe, O.Kaneko, K.Kawahata, A.Komori, N.Ohyabu, H.Yamada, K.Yamazaki, S.Sudo, K.Matsuoka, Y.Hamada, O Motojima M Fujiwara and the LHD Experimental Plasma Physics and Controlled Fusion, 43(2001)1759-1764 Plasma Physics of Controlled Fusion, 45(2003) pp.1037-1050 B.N.Wan, Y.P.Zhao, J.Li, J.Y.Zhao G.Xu , Mei.song, Yuejiang.Shi, Yinxian.Jie, Yubao.Zhu, Haiging.Liu, Yuchun.Xu, Liqun.Hu, Bili.Ling, K.Gentle, B.Rowan, P.Philliqe, H.Hang, T.Watarai, T.Seki, Control of profiles and transport by ion Bernstein waves in Physics of Plasmas, Vol.10 the Hefei Tokamak-7 No.9(2003) 3703-3711 H.Q.Liu, X.Gao, Y.X.Jie, K.Tanaka,T.Tokuzawa L.Gao, M.Asif, X.D.Tong, Y.F.Cheng Optimation and maximum output power of CW DCN laser T.Mutoh, R.Kumazawa, T.Seki, K.Saito, T.Watarai, Y.Torii, N.Takeuchi, T.Yamamoto, F.Shimpo, G.Nomura, M.Yokota, M.Osakabe, M.Sasao, S.Murakami, T.Ozaki, Y.P.Zhao, H.Okada, Y.Takase, A.Fukuyama, N.Ashikawa, N.Ashikawa, M.Emoto, H.Funaba, P.Goncharov, M.Goto,K.Ida, H.Idei, K.Ikeda, S.Inagaki, M.Isobe, O.Kaneko, K.Kawahata, K.Khlopenkov, T.Kobuchi, A.Komori, A.Kostrioukov, S.Kubo, Y.Liang, S.Masuzaki, Ion Cyclotron Range of Frequencies Heating and HighT.Minami, T.Mito, J.Miyazawa, T.Morisaki, S.Moreta, Energy Particle Product ion in the Large Helical Device S.Muto, Y.Nagayama, Y.Nakamura, H.Nakanishi, K.Narihara, Y.Narushima, K.Nishimura, N.Noda, T.Notake, S.Ohdachi, I.Ohtake, N.Ohyabu, Y.Oka, B.J.Peterson, A.Sagara, S.Sakakibara, R.Sakamoto, M.Sasao, K.sato, M.Sato, T.Shimozuma, M.Shoji, H.Suzuki, Y.Takeiri, N.Tamura, K.Tanaka, K.Toi, T.Tokuzawa, K.Tsumori, K.Y.Watanabe, Y.Xu, H.Yamada, S.Yamamoto, M.Yokoyama, Y.Yoshimura, M.Yoshinuma, K.Ohkubo, T.Satow, S.Sudo, T.Uda, K.Yamazaki, J.Li, B.N.Wan, J.R.Luo, G.L.Kuang, Y.P.Zhao, J.Y.Zhao, X.D.Zhang, X.N.Liu, P.Fu,J.K.Xie, C.Zhang, X.M.Gu,J.S.Mao, J.F.Shan, H.Y.Bai, HT-7team Long pulse enhanced confinement discharges in the HT-7 superconducting tokamak by ion bernstein wave heating and lower hybrid wave current drive International Journal of infrared and Millimeter Waves, Vol.25 No.4(2004)649-655 Nuclear Fusion, Vol. 43 (2003) pp738-743 Physics of Plasmas, Vol.10 No.5(2003) 1653-1658 S.Shiraiwa, S.Ide, S.Itoh, O.Mitarai, O.Naito, T.Ozaki, Y.Sakamoto, T.Suzuki, Y.takase, S.Tanaka, T.Taniguchi, Formation of Advanced Tokmak Plasmas without the Use Physical Review Letters, M.Aramasu, T.Fujita, T.Fukuda, X.Gao, M.Gryaznevich, of an Ohmic-Heating Solenoid Vol.92 No.3(2004)035001 K.Hanada, E.Jotaki, Y.kamada, T.Maekawa, Y.Miura, K.Nakamura, T.Nishi, H.Tanaka, K.Ushigusa, JT-60Team Y. 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Qin,伊藤智之,花田和明,坂 本瑞樹,上瀧恵里子,長谷川真,彌政敦洋,川昌二,中島寿年, HT-7におけるプラズマ水平位置のセンサーレス計測 第4回核融合エネルギー連 合講演会(平成14年6 月) R.Kumazawa, T.Mutoh,T.Seki, K.Saito, T.Watari, M.Osakabe, S.Murakami, M.Sasao, T.Watanabe, T.Yamamoto Y.Torii, T.Notake, N.Takeuchi, H.Matsushita, T.Saida, F.Shimpo, G.Nomura, M.Yokota, Zhao Yanping, H.Okada, M.Isobe, T.Ozaki, K.Narihara, Y.Nagayama, S.Inagaki, S.Morita, A.V.Krasilnikov, H.Idei, S.Kubo, K.Ohkubo, M.Sato, T.Shimozuma, Y.Yoshimura, K.Ikeda, Y.Oka, Y.Takeiri, K.Tsumori, Parameter Range of ICRF Heated Plasma on the Large K.Nagaoka, N.Ashikawa, M.Emoto, H.Funaba, M.Goto, Helical Device K.Ida, T.Kobuchi, Y.Liang, S.Masuzaki, T.Minami, J.Miyazawa, T.Morisaki, S.Muto, Y.Nakamura, H.Nakanishi, Y.Narushima, K.Nishimura, N.Noda, S.Ohdachi, B.J.Peterson, A.Sagara, S.Sakakibara, R.Sakamoto, K.Sato, M.Shoji, H.Suzuki, K.Tanaka, K.Toi, T.Tokuzawa, K.Y.Watanabe, I.Yamada, Y.Yoshinuma, K.Yamazaki, M.Yokoyama, K-Y.Watanabe, O.Kaneko, K.Kawahata, A.Komori, N.Ohyabu, H.Yamada, S.Sudo, Y.Hamada, O.Motojima, M.Fujiwara R.Kumazawa, T.Mutoh,T.Seki, K.Saito, T.Watari, Y.Torii, N.Takeuchi, T.Yamamoto, M.Osakabe, m.Sasao, S.Murakami, T.Ozaki, T.Saida, Y.P.Zhao, H.Okada, Y.Takase, A.Fukuyama, N.Ashikawa, M.Emoto, H.Funaba, P.Goncharov, M.Goto, K.Ida, H.Idei, K.Ikeda, S.Inagaki, M.Isobe, O.Kaneko, K.Kawahata, K.Khlopenkov, T.Kobuchi, A.Komori, A.Kostrioukov, S.Kubo, Y.Liang, S.Masuzaki, T.Minami, T.Mito, J.Miyazawa, T.Morisaki, S.Morita, S.Muto, Y.Ngayama, Y.Nakamura, H.Nakanishi, K.Narihara, Y.Narushima, K.Nishimura, N.Noda, T.Notake, S.Ohdachi, I.Otake, N.Ohyabu, Y.Oka, B.J.Peterson, A.Sagara, S.Sakakibara, R.Sakamoto, M.Masao, K.Sato, M.Sato, T.Shimozuma, M.Shoji, H.Suzuki, Y.Takeiri, N.Tamura, K.Tanaka, K.Toi, T.Tokuzawa, K.Tsumori, K.Y.Watanabe, Y.Xu, H.Yamada, I.Yamada, S.Yamamoto, M.Yokoyama, Y.Yoshimurta, M.Yoshimura, K.Itoh, K.Ohkubo, T.Satow, S.Sudo, T.Uda, K.Yamazaki, K.Matsuoka, O.Motojima, Y Hamada K. Nakamura, Z. S. Ji, B. Shun, P. Q. Qin, S. Itoh, K. Hanada, M. Sakamoto,E. Jotaki, M. Hasegawa, A. Iyomasa, S. Kawasaki, H. Nakashima K. Toi, S. Ohdachi, S. Yamamoto, N. Nakajima, S. Sakakibara, K.Y. Watanabe, S.Inagaki, Y.Nagayama, Y.Narushima, H.Yamada, K.Narihara, S.Morita, T.Akiyama, N.Ashikawa, X.Ding, M.Emoto, H.Funaba, M.Goto, K.Ikeda, H.Idei, T.Ido,K.Ikeda, S.Imagawa, M.Isobe, K.Itoh, O.Kaneko, K.Kawahata, T.Kobuchi, A.Komori, S.Kubo, R.Kumazawa, J.Li, Y.iang, S.Masuzaki, TT.Mito, J.Miyazawa, T.Morisaki, S.Murakami, S.Muto, T.Mutoh, .Nagaoka, Y.Nakamura, H.Nakanishi, K.Nishimura, A.Nishizawa, n.Noda, T.Notake, K.Ohkubo, I.Ohtake, N.Ohyabu, Y.Oka, S.Okumura, T.Ozaki, B.J.Peterson, A.Sagara, T.Saida, K.Saito, R.Sakamoto, M.Masao, K.Sato, M.Sato, T.Satow, T.Seki, T.Shimozuma, M.Shoji, S.Sudo, M.Y.Tanaka, N.Tamura, K.Tanaka, K.Tsumori, T.Uda, T.Watari, A.Weller, Y.Xu, I.Yamada, M.Yokoyama, S.Yoshimura, Y.Yoshimura, K.Yamazaki, K.Matsuoka, O.Motojima, Y Hamada M Fujiwara in proc. of 29th European Physical Society Conference on Plasma Physics and Conttolled Fusion, P-5.064. 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Zhao2), and LHD Experimental Bounce-averaged Fokker-Planck Equation on LHD Group. proceeding of 13th International Toki conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion R.Kumazawa, K.Saito, Y.Torii1, Zhao Yanping3, Y.Liang3, Confinement Characteristics of High Energy Ions et al. Produced by ICRF Heating on the Large Helical Device 29st European Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics, (2001) P5.064 T.Seki, R.Kumazawa, T.Mutoh, A.Fukuyama, K.Saito, Y.Torii, N.Takeuchi, T.Watari, Y.Zhao, and LHD Experimental Group. T.Seki, R.kumazawa, T.Mutoh, T.Watari, F.Shimpo, G.Nomura, A.Kato, M.Yokota, K.Saito, Y.Torii, T.Yamamoto, N.Takeuchi, Z.Cheng,LHD Experimental Group The 13th International Toki Conference on Plasma Physics and Controlled Three-Dimensional Calculation Analysis of ICRF Heating Nuclear Fusion, Progress in LHD in Plasma Theory and Understanding of Fusion Plasmas, December 9-12, 2003, Toki, Japan High Power ICRF Heating Experiment in LHD Topical Conference on RF power in plasma MHD Instabilities and Their Effects on Plasma Confinement in Large Helical Device Plasmas with Intense Neutral Beam Injection 4th Generak Scientific Assembly of Asia Plasma & Fusion Association on New Development of Plasma Physics and Fusion Technology, 13-17 Oct. 2004, Hangzhou, China, Paper No. O-12 (Oral) Magnetic Sensorless Sensing of Plasma Position in the Superconducting Tokamak HT-7 4th Generak Scientific Assembly of Asia Plasma & Fusion Association on New Development of Plasma Physics and Fusion Technology, 13-17 Oct. 2004, Hangzhou, China, Paper No. O-03 (Oral) T. 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Iwakiri, T. Fujiwara, S. Masuzaki, A. Komori Category I-3 Atomic and Molecular Processes 原子・分子過程 Authors Title T. Kato, M. Kato, R. More, S-Y Zou, M. Goto, S. Morita CIII emission lines in ionizing and recombining plasmas T. Kato M. Kato, R. More, S. Zou, M. Goto and S. Morita Atomic Data and Spectral Lines of C2+ ions measured in the Large Helical Device at NIFS C.Yamada, T.Kinugawa, S.Takahashi, S.Ohtani, B.E..Orourke,F.J.Currell. Dielectronic recombination in He-like and H-like krypton ions N.Nakamura Summary of Tokyo EBIT Project N.Nakamura,S.Ohtani, K.Daiji. 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Kato et al. D. Kato et al. th 15 International Workshop on Inelastic IonSurface Collisions(IISC-15) 12th International Observation of surface modification and secondary particle Conference on the Physics emission in HCI-surface of Highly Charged Ions th The 10 Internal Workshop on Desorption by DIET in highly charged ion interaction with surfaces Electronic Transitions(DIET-10) Joint Meeting of 14th Single Electron Capture by Back Scattered Protons from High-Melting Temperature Metals X-ray Spectral Analysis on Electron Interaction with Highly-Charged Ions in Tokyo-EBIT International Toki Conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion & 4th International Conference on Atomic and Molecular Data and Their Applications Joint Meeting(2004/10/5-8 of 14th International Toki Conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion & 4th International Conference on Atomic and Molecular Data and Their Applications (2004/10/5-8 Category I-4 Plasma Industrial Application プラズマの工業応用 Authors Title Journal , Conference Chen Yan, Etsuko Ishizuka, Noboru Yoshikawa, Shoji Taniguchi Grinding of Blast Furnace(BF) Slag Bearing High TiO2 Assisted by Microwave International Symposium on Microwave Science and Its Application to Related Fields (Microwave 2004) Chen Yan, Etsuko Ishizuka, Noboru Yoshikawa, Shoji Taniguchi Thermal Runaway during Microwave Heating of BF Slag bearing High TiO2 International Symposium on Microwave Science and Its Application to Related Fields (Microwave 2004) Category I-5 Superdense Plasma (Inertia Nuclear Fusion) 超高密度プラズマ(慣性核融合) Authors Title Xiang Liu , Naoaki Yoshida Nobuaki Noda, Fu Zhang, Zengyu Xu, Yong Liu Hot electron generation and propagation in subpicosecond IFSA2001 laser- plasma interaction J.Zhang,L.M.Chen,Q. L. Dong,H Teng,T. J. Liang,, L. Z. Zhao, and Z. Y. Wei Status of laser fusion research in China IFSA2001 X. T. He The Successful operation of the 3 omega 8 beam array SG – ll laser facility in Shanghai IFSA2001 Z.Lin, S.Wang,D.Fan, J.Q.Zhu J.Zhu ,Z.Zheng, and,Y. Yang Pellet Compression in Laser Indirect-driven Implosion by a IFSA2001 Two Dimensional Hydrodynamic Code Y.S.Li,S.K.Huang,S.W.Fu,S.B.Liu Simulation for Laser Direct-driven Implosion by a Two dimensional Hydrodynamic Code IFSA2001 W.H.Ye, X.T.He Growth of Short Wavelength Perturbation Modes Driven by X – ray Ablation IFSA2001 S.B.Liu,P.Q.Luo,Y.H.Zhu,and W.Y.Zhang S.P.Zhu,C.Y.Zheng and X.T.He Q.L.Dong,J.Zhang ShenShengHan,Yanqing Wu,Jing Cheng,Yuhui Tang,Cheng Wang,Changxue Zhang,Xiandong Li,and Zhizhan Xu Y.Z.Tao,Y.S.Shan,N.Y.Wang,Y.J.Li,X.Z.Tang,H.F. Zhang K.Lan,T.Feng,D.Lai,andY.Xu Journal , Conference Three-dimensional Optical Trajectory Tracing and Energy IFSA2001 Deposition of A Laser Beam in A Laser – driven Fusion Generation of slow- time- scale magnetic fields by a relativistic laser pulse in an underdense plasma: 3D IFSA2001 particle simulation Studies on electrons acceleration in femtosecond laser-plasmIFSA2001 Auxiliary Heating Scheme for ICF Ignition IFSA2001 Hard X-ray generation from intense femtosecond laser solidIFSA2001 A study on 2D Transfer of Radiative Heating Wave IFSA2001 K.X.Zheng,J.P.Lu;X.M.Zhang;X.F.Wei;J.G.Zheng;Y.Dong; Progress of Plasma Electric Pockeles Cell Research in P.R.CIFSA2001 B.Feng Y.S.Shan,N.Y.Wang,W.Y.Ma,D.W.Yang,X.J.Wang,J.L.Ma, Progess of ‘ Heaven – I’ high power KrF excimer laser K.Gong,X.D.Jiang,X.Z.Tan And Y.Z.Tao IFSA2001 X.F.Wei,F.Jing W.G.Zheng Zh.Sui Ch.Ma IFSA2001 Status of prototype for ‘‘Shenguang III’’ NaiyaWang,Yusheng ShanWeiyi Ma,Dawei Yang,Xiaojun Wang,Kun Gong,Jinglong Ma,Xiuzhang Tang,Xiangdong Overview of Research Programs at CIAE Jing and Huailin Gao IFSA2001 Xinglong Xie,Zunqi Lin,Yupu Liu,Meirong Li Propagation and Amplification Characteristics of Chirpped IFSA2001 Laser Pulses in High Power Laser System Yongjian Tang,ongming Zheng Xiaoming Lu Lin Zhang Weidong Wu ICF Target fabrication developments in China IFSA2001 Bo Li,ZhanwenZhang,Chang –Wang,Bo Lin,Qiaomei – Chu An Improved Approach for the Fabrication of PVA Gas – Barrier Shell IFSA2001 JianlunYang ,Shuhui Wen ,Hongqiong Yang , Yuzhi Guo ,Zhengyuan Tang,Genxing Wang,Zhijian Zheng, Zhongli Liu ,and Chuanfei Zhang The Application of Nuclear Emulsion and CR – 39in Ions Temperature and <rR > Diagnostic on SG – 2 Facility IFSA2001 H.Nishimura, T.Kawamura, Y.Ochi, R.Matsui,Y.Miao,S.Okihara. S.Sakabe, R.Kodama, K..A.Tanaka, Y.Kitagawa, Y.Sentoku, F.Koike, I.Ushmann, E..Forster, and K.Mima 2nd International X-ray Spectroscopy on Energy Transport and Deposition in Conference on Superstrong Fields in Plasmas, Ultra-intensity Laser Produced Plasmas Varenna, Italy, 27 Aug. 1 J. Zheng, B. Bai,W. D. Liu, C. X. Yu, X. H. Jiang,X. D. Yuan,W. H. Li, Z. J. Zheng, and K. A. Tanaka Thomson scattering measurement of gold plasmas produced with 0.351 micron laser light International Fusion Siences and its Applications 2001, Kyoto Japan Sept. 11-16, 2001. X.He, etal Spontaneous magnetic field and itユs collimation effect on electron beam in relativistic laser-plasma interaction C-J W.S. on Laser-Plasma Th. and Sim. Dec. 3-5, 2002, Beijing, H.Sakagami And K.Mima Integration of ALE Hydro and Collective PIC Codes for Fast Ignition Simulations C-J W.S. on Laser-Plasma Th. and Sim. Dec. 3-5, 2002, Beijing J.Zhang, Q.L.Dong, Y.T.Li, T.J.Liang, Z.L.Chen, H.Teng, Z.M.Sheng, Z.Y.Wei, X.W.Tang Hot electron generation and propagation in interaction of ultrashort laser pulses with solids C-J W.S. on Laser-Plasma Th. and Sim. Dec. 3-5, 2002, Beijin Y.Nakao, T.Yokota, H.Sumita, T.Johzaki, K.Mima Fokker-Planck Analysis of Core Plasma Heating by Relativistic Beam Electrons C-J W.S. on Laser-Plasma Th. and Sim. Dec. 3-5, 2002, Beijing Z.M.Sheng, J.Zhang, and D.Umstadter Deep plasma density modulations formed by intersecting laser pulses in underdense plasmas K. Mima and Fast Ignition Research group Cone Target interaction with ultra-intense lasers K.A. Tanaka, An le Lei, GR Kumar, R. Kodama et al. Fast Ignition and Related Relativisitic Laser Plasma Nonlinear Phenomena R. Kodama Plasma photonic devices for high energy density science Jian Zheng, K.A. Tanaka, T. Sato, T.abuuchi, T. Miyakoshi, T. Kurahashi, Y Kitagawa, R. Kodama, T. Norimatsu, and T. Yamanaka Coherent Transition Radiation from Hot Electrons Produced in Ultraintense Laser Matter Interaction Yuqiu Gu, Zhijian Zheng, Wenzhong, Dafeng Cai, Chunye Jiao, Weimin Zhou, Jlabin Chen, Tianshu Wen, Shutai Recent Superintense Laser - Solid Interaction Studies at Chunyu, Yonglu You, Guangchang Wang, Hao Chen, LFRC Hongjie Liu, Fangfang Ge and Wei Hong C-J W.S. on Laser-Plasma Th. and Sim. Dec. 3-5, 2002, Beijing C-J W.S. on Laser-Plasma Th. and Sim. Dec. 3-5, 2002, Beijing INTERNATIONAL KICKOFF WORKSHOPExtreme Field Science and Relativistic Engineering 第28回レーザーと物質との 相互作用に関するヨーロッ パ会議 International Workshop on Fast Ignition and High Fiedls Physics 2004 International Workshop on Fast Ignition and High Fiedls Physics 2004 Z.M.Sheng, H.C.Wu, K. Li, J.Zhang Terahertz Radiation from the Vacuum - Plasma Interface Driven by Ultra - Short Intense Laser Pulses International Workshop on Fast Ignition and High Fiedls Physics 2004 Y. T.Li, J Zhang, Z.M. Sheng, J.Zheng Dependence of Hot Electron Generation on Lase r Intensities International Workshop on Fast Ignition and High Fiedls Physics 2004 Z. M. Sheng JSPS – CAS Core University Program Emission of Powerful Electromagnetic Pulses from a Laser Seminar on Laser Fusion Wakefield and its Applications Science and High Density Plasma Physics Category II Basic Research of Nuclear Fusion Reactor Engineering 核融合炉工学基礎研究 Authors Title T. Nagasaka,T. Muroga,Y. Wu,Z. Xu andM. Imamura Low Activation Characteristics of Several Heats of V-4CrToki Conference 4Ti Ingot Journal , Conference Y. Wu,T. MurogaQ. Huang, T. Nagasaka A.Sagara C. Chen Effects of Impurities on Low Activation Characteristics of V-Cr-Ti Alloys S. P. Lee, J. S. Park, S. M. Dong, Y. Katoh, A.Kohyama and B.H. K. Yoon Microstructures and Strength Characteristics of Reaction Sintered Tyranno/SiC Composites th 10 International Conference on Fusion Reactor Materials, (Oct. 2001) 10th International Conference on Fusion Reactor Materials, Oct 1419, Barden-Barden The 7th Cjina-Japan Symposium on Materials for Advanced Energy Systems and Fission & Fusion Engineering, Lanzhou,China (2002) Hu Benfu, H.Kinoshita, H. Takahashi Effect of Helium on the Irradiation Damage Behavior in HAZ of Low Activation Fe-Cr-Mn(W,V) Alloy with Higher Performance S.Ohnuki, H.Takahashi, T.Kato, M.L.Hamilton, The 7th Cjina-Japan Symposium on Materials Improvement of Mechanical Properties and Microstructure for Advanced Energy by Addition of IVa andV Elements in Neutron-Irradiated Systems and Fission & 316 Stainless Steel Fusion Engineering, Lanzhou, China (2002) H.Takahashi,N.Sakaguchi, Y.Sueishi,T.Shibayaama, H.Kinoshita ,C.Namba H.Takahashi,N.Sakaguchi,T.Shibayama,H.Kinoshita The 7th Cjina-Japan Symposium on Materials Behaviors of Cascade Damage Structure under Electron for Advanced Energy Irradiation and Annealing Systems and Fission & Fusion Engineering, Lanzhou, China The 8th Joint Seminor between University of Dynamical Observation of Grain Boundary Migration Science and Technplogy during Electron Irradiation by a High Resolution HVEM Beijing and Hokkaido University, Beijing, China, (2002) T.Nagasaka,T Muroga,Y.C.Wu,and Z.Y.Xu A.Sagara,S Fukada,A Shimizu,Wu Yican,O Mitarai,T Kunugi,H Hashizume,S Toda,T Terai,S Tanaka,and SZE Dai-Kai N.Sakaguchi,S.Watanabe,H.Takahashi Y.Sueishi, N.Sakaguchi, H.Kinoshita, T.Shibayama, H.Takahashi 7th China-Japan Symposium on Materials for Advanced Energy Improvement of low-activation property by impurity System and Fisson & reduction from Japanese and Chinese V-4Cr-4Ti alloys for Fusion Engineering fusion reactor Institute of Modern Physics,Chinese Academy of Sciences Lanzhou,ChineJuly 29-31,2002 p.62 7th China-Japan Symposium on Materials for Advanced Energy System and Fisson & Design Studies on Flibe Blanket System in Helical Reactor Fusion Engineering FFHR Institute of Modern Physics,Chinese Academy of Sciences Lanzhou,ChineJuly 29-31,2002 p.70 ICFRM-11,Dec.7-12 Multi-Scale Approach to Radiation-Induced Segregation (2003) Kyoto, Japan around Various Grain Boundaries under Irradiation Evolution of Cascade Damage under Electron Irradiation ICFRM-11,Dec.7-12 (2003) Kyoto, Japan 11th International Conference on Fusion Reactor Materials, Dec.712 2003 Kyoto A TEM Study of microstructures in chlorine-implanted the REI-12 held in Brazil C. H. Zhang, T. Shibayama silicon in Sept. 2003 5th Pacific Rim Sang-Pill Lee, Jin-Kyung Lee, Dong-Su Bae, Jun-Young Microstructure and Mechanical Property of MoSi2 Based International Conference on Advanced Materials and Park and Gen Sasaki Composites Processing The Fifth Pacific Rim Tensile Properties and Creep Behavior of SiC-Based Fibers International Conference J.J.Sha,J.S.Park,T.Hinoki,,A. Kohyama and J. Yu under Various Oxygen Partial Pressures on Advanced Materials and Processing (PRICM) Asian Conf. 2004 Applied. A.Nishimura, Y.Hishinuma, T.Tanaka, T.Muroga, Irradiation Effect of 14 MeV Neutron on Superconductivity Supercond.and Cryogenics, S.Nishijima, Y.Shindo, T.Takeuchi, K.Ochiai, T.Nishitani, Dec. 12-14, Miyazaki, of Nb3Sn and Nb3Al Wires K.Okuno Japan Asian Conf. 2004 Applied. The Design of the Cryogenic System for 75 m /three-phase Supercond.and Cryogenics, Yufeng Fan, Linghui Gong, Laifeng Li, Liye Xiao Dec. 12-14, Miyazaki, AC HTS Cables Japan Asian Conf. 2004 Applied. Supercond.and Cryogenics, Developments in Reverse-Brayton Cycle Cryocooler in Yu Hou, Chunzheng L. Xiong, Minfeng Lin Dec. 12-14, Miyazaki, China Japan J.M. Chen, T. Muroga, S.Y. Qiu, T. Nagasaka, W.G. Huang, M.J. Tu, Y. Chen, Y. Xu, Z.Y. Xu The development of advanced vanadium alloys for fusion applications Category III Theory and Simulation---Core-plasma Behavior Research 理論・シミュレーションによる炉心プラズマ挙動の研究 Authors Title Journal , Conference Yukihiro Tomita, et al. Stable Sheath Formation in Magnetized Plasma J. Plsama Fusion Res. SERIES, Vol.4 (2001) 578 – 582. Yukihiro Tomita, et al. Stable Sheath Formation in Expanding Magnetic Field to Divertor Plate Contrib. Plasma Phys. 42 (2002) 2-4, 327 – 332. H. Sugama and T. Kuroda Ion Temperature Gradient Modes in Helical Systems The 4th China-Japan Workshop on Advanced Technology and Physics in Toroidal Devices Heiji Sanuki and Jiro Todoroki Neoclassical Transport in the Helical Torus The 4th China-Japan Workshop on J. Todoroki, H. Sanuki, and K. Itoh Effect of Finite Orbit Size of Ripple Trapped particles on Neoclassical Transport in Helical Torus Advanced Technology and Physics in Toroidal Devices Mitsuo Kono and Masayoshi Tanaka Spiral Structure in Magnetized Rotating Plasmas The 4th China-Japan Workshop on Advanced Technology and Physics in Toroidal Devices A. K. Wang, J. Q. Dong , H. Sanuki and K. Itoh Effect of the Safty Factor on Ion Temperature Gradient Modes IAEA(2002, Sept.) TH/P1-20 J. Q. Dong, G. D. Jian, A. K. Wang, H. Sanuki and K. Itoh Instabilities and Transport driven by an Electron Temperature Gradient Close to Critical IAEA(2002, Sept.) TH/1-6 D. Li, W.L. Zhang and Z. W. Wu Analytic Solution for the Nonlinear Rayleigh-Taylor Instability presented at ITC13( Dec.9Dec.12, 2003) and submitted to JPFR Series(2003) presented at ITC13( Dec.9- Zheng Chunyang and S. P. Zhu A. K. Wang, , H. Sanuki, J.Q. Dong, F. Zonca and K. Itoh Ritoku Horiuchi, Baiwen Li, and Seiji Ishiguro S. Ishiguro, Lj. Nikolic, M. M. Skoric, B. Li and T. Sato Li Baiwen, S. Ishiguro, M. M. Skoric, and H. Takamaru Generation of magnetic field and high harmonics in laser- Dec.12, 2003) and submitted to JPFR dense plasma Interaction Series(2003) presented at 9th technical meeting on H-mode and Magnetic field gradient and curvature driven drift modes transport barrier( 24-26, and associated transport in the toroidal plasmas Sept., 2003, San Diego, USA China-Japan Seminar on Laser Fusion Science and Complexity in Laser-Plasma Interaction High Energy Density Plasma Physics 13th International Toki Conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion Stimulated Roman Scattering, Cascade-into-Condensate 13th International Toki Conference on Plasma and Accelation of Large Relativistic Electromagnetic Solitons in Intense Laser Interaction with an Underdense Physics and Controlled Plasma Nuclear Fusion Intense Reflection of a Relativistic Laser Pulse in Subcritical Plasmas プラズマ科学シンポジウム 2005 S. Ishiguro and B Stimulated Li Electron-Acoustic Wave Scattering of Intense Laser in a Two-Electron-Temperature Plasma Zheng Chunyang,S.P.Zhu Generation of magnetic field and high harmonics in laser- to be published in JPFR dense plasma interactio and Transport in Plasmas Reries(2005). Zhe Gao,H. Sanuki,K.Itoh,J.Q.Dong A.K. Wang,H.Sanuki,J.Q.Dong,F.Zonca,K.Itoh H. Sanuki, K. Itoh, A. Fujisawa and J.Q.Dong T.Watari, H.Hamada, A.Fujisawa, K.Toi, K.Itoh Short wavelength temperature gradient driven ion modes and electron temperature gradient modes in sheared Slab Plasmas Interaction between the trapped electrons and magnetic field gradient and curvature-driven drift waves in the toroidal plasma Effect of sheared flow on microinstabilities and transport in plasmas Extension of GAM theory to Helical Systems To be published in Plasma Science and Technology( 2005). to be published in JPFR Reries(2005). 4th APFA Conference in Hangzhou(2003, Oct.) International Tokamak Physics Activity meeting,RISBON,2004 参考資料(3) 課題別交流日数・人日数 FY2001 J→ C C→J person (person-day) 4 (31) 2 (26) 6 (57) person (person-day) 5 (37) 9 (231) 14 (268) Study on Plasma-Surface Interactions and Plasma Facing Materials person (person-day) 2 (22) 4 (148) 6 (170) Atomic and molecular processes in plasma person (person-day) 4 (26) 2 (105) 6 (131) Metallized Ceramics for low thermal resistance by Plasma Process person (person-day) 1 (5) 0 (0) 1 (5) Growth of diamond films by plasma chemical vapour deposition person (person-day) 2 (12) 2 (27) 4 (39) Study of Ultrahigh Density Plasma (Inertial Confinement Fusion) person (person-day) 5 (32) 6 (48) 11 (80) Theory and simulation on Inertial Fusion Plasmas person (person-day) 3 (17) 2 (46) 5 (63) Study on Reduced Activation Materials for Fusion person (person-day) 3 (19) 3 (28) 6(47) Study on CTR Blanket and Tritium person (person-day) 3 (26) 1 (22) 4 (48) person (person-day) 3 (18) 1(20) 4 (38) person (person-day) 2 (24) 1 (42) 3 (66) person (person-day) 1 (12) 1 (43) 2 (55) person (person-day) 1 (12) 0 (0) 1 (12) person (person-day) 1 (10) 0 (0) 1 (10) Scientist Exchange person (person-day) 7 (26) 4 (24) 11 (50) Seminar person (person-day) 0 (0) 0 (0) 0 (0) person (person-day) 47 (329) 38 (810) 85 (1,139) Title I-1A I-1B I-2A I-3A I-4A I-4B I-5A I-5B II-A II-B II-C III-A III-B III-C III-D Development of Advanced Plasma Heating for High-Performance Plasma Confinement Development of Diagnostic and Control Methods for High-Performance Plasma Confinement Design integration of advanced reactors and key technology evaluation Study on Theoretical Analysis of MHD and Microinstabilities in Plasmas Study on Transport Theory: Code Development of Numerical Analysis and Confinment Improved Mode in Torus Plasmas Physics of self-organization in Complex plasmas Modeling of edge and divertor plasma and control of impurities and recycling particles Grand Total Total 課題別交流日数・人日数 FY2002 J→ C C→J person (person-day) 3 (18) 4 (81) 7 (99) person (person-day) 6 (43) 6 (82) 12 (125) Study on Plasma-Surface Interactions and Plasma Facing Materials person (person-day) 3 (22) 8 (133) 11 (155) Atomic and molecular processes in plasma person (person-day) 5 (34) 4 (89) 9 (123) Metallized Ceramics for low thermal resistance by Plasma Process person (person-day) 1 (5) 1 (9) 2 (14) person (person-day) 3 (22) 3 (43) 6 (65) Study of Ultrahigh Density Plasma (Inertial Confinement Fusion) person (person-day) 2 (6) 11 (85) 13 (91) Theory and simulation on Inertial Fusion Plasmas person (person-day) 4 (17) 3 (57) 7 (74) Study on Reduced Activation Materials for Fusion person (person-day) 3 (23) 4 (53) 7 (76) Study on CTR Blanket and Tritium person (person-day) 2 (11) 2 (40) 4 (51) person (person-day) 4 (27) 2 (44) 6 (71) person (person-day) 1 (11) 1 (43) 2 (54) person (person-day) 1 (8) 1 (42) 2 (50) person (person-day) 2 (10) 1 (14) 3 (24) person (person-day) 1 (7) 0 (0) 1 (7) person (person-day) 4 (17) 4 (28) 8 (45) Title I-1A I-1B I-2A I-3A I-4A I-4C I-5A I-5B II-A II-B II-C III-A III-B III-C III-D Development of Advanced Plasma Heating for High-Performance Plasma Confinement Development of Diagnostic and Control Methods for High-Performance Plasma Confinement Development of High Pressure Plasmas for Environmental Application and Materials Processing Design integration of advanced reactors and key technology evaluation Study on Theoretical Analysis of MHD and Microinstabilities in Plasmas Study on Transport Theory: Code Development of Numerical Analysis and Confinment Improved Mode in Torus Plasmas Physics of self-organization in Complex plasmas Modeling of edge and divertor plasma and control of impurities and recycling particles Scientist Exchange Seminar Grand Total Total person (person-day) 11 (85) 0 (0) 11 (85) person (person-day) 56 (366) 55 (843) 111 (1,209) 課題別交流日数・人日数 FY2003 J→ C C→J person (person-day) 7 (43) 2(26) 9(69) person (person-day) 5(33) 5(90) 10 (123) Study on Plasma-Surface Interactions and Plasma Facing Materials person (person-day) 2(14) 3(111) 5(125) Atomic and molecular processes in plasma person (person-day) 7(56) 3(45) 10(101) Metallized Ceramics for low thermal resistance by Plasma Process person (person-day) 1(6) 1 (16) 2 (22) person (person-day) 1(8) 2(27) 3(35) Study of Ultrahigh Density Plasma (Inertial Confinement Fusion) person (person-day) 7(40) 3(39) 10 (79) Theory and simulation on Inertial Fusion Plasmas person (person-day) 4 (24) 6(59) 10(83) Study on Reduced Activation Materials for Fusion person (person-day) 4(25) 4 (67) 8(92) Study on CTR Blanket and Tritium person (person-day) 0(0) 1(21) 1(21) person (person-day) 9(47) 3(71) 12(118) person (person-day) 1 (10) 1 (11) 2 (21) person (person-day) 1 (7) 1 (31) 2 (38) person (person-day) 1(8) 2 (22) 3 (30) person (person-day) 1 (7) 0 (0) 1 (7) person (person-day) 4 (21) 4 (28) 8 (49) Title I-1A I-1B I-2A I-3A I-4A I-4C I-5A I-5B II-A II-B II-C III-A III-B III-C III-D Development of Advanced Plasma Heating for High-Performance Plasma Confinement Development of Diagnostic and Control Methods for High-Performance Plasma Confinement Development of High Pressure Plasmas for Environmental Application and Materials Processing Design integration of advanced reactors and key technology evaluation Study on Theoretical Analysis of MHD and Microinstabilities in Plasmas Study on Transport Theory: Code Development of Numerical Analysis and Confinment Improved Mode in Torus Plasmas Physics of self-organization in Complex plasmas Modeling of edge and divertor plasma and control of impurities and recycling particles Scientist Exchange Seminar Grand Total Total person (person-day) 11 (94) 0 (0) 11 (94) person (person-day) 66(443) 41(664) 107 (1,107) 課題別交流日数・人日数 FY2004 J→ C C→J person (person-day) 4 (42) 5(79) 9(121) person (person-day) 5(31) 10(160) 15 (191) Study on Plasma-Surface Interactions and Plasma Facing Materials person (person-day) 5(23) 4(82) 9(105) Atomic and molecular processes in plasma person (person-day) 6(37) 2(78) 8(115) person (person-day) 2(18) 1(15) 3(33) person (person-day) 1(5) 0(0) 1(5) Study of Ultrahigh Density Plasma (Inertial Confinement Fusion) person (person-day) 2(18) 4(22) 6 (40) Theory and simulation on Inertial Fusion Plasmas person (person-day) 6 (29) 6(74) 12(103) Study on Reduced Activation Materials for Fusion person (person-day) 4(24) 3(45) 7(69) Study on CTR Blanket and Tritium person (person-day) 2(14) 2(32) 4(46) person (person-day) 5(28) 2(32) 7(60) person (person-day) 5(36) 4(50) 9(86) person (person-day) 2 (15) 1 (22) 3 (37) person (person-day) 1 (8) 1 (32) 2 (40) person (person-day) 2(6) 1 (10) 3 (26) person (person-day) 0 (0) 1 (15) 1 (15) Scientist Exchange person (person-day) 7 (29) 5 (30) 12 (59) Seminar person (person-day) 10 (58) 0 (0) 10 (58) person (person-day) 69(421) 52(778) 121 (1,199) Title I-1A I-1B I-2A I-3A I-4C I-4D I-5A I-5B II-A II-B II-C II-D III-A III-B III-C III-D Development of Advanced Plasma Heating for High-Performance Plasma Confinement Development of Diagnostic and Control Methods for High-Performance Plasma Confinement Development of High Pressure Plasmas for Environmental Application and Materials Processing Heating Behavior of Blast Furnace Slag Bearing High Ti Under Microwave Design integration of advanced reactors and key technology evaluation Development of Superconducting key technology for advanced fusion reactor Study on Theoretical Analysis of MHD and Microinstabilities in Plasmas Study on Transport Theory: Code Development of Numerical Analysis and Confinment Improved Mode in Torus Plasmas Physics of self-organization in Complex plasmas Modeling of edge and divertor plasma and control of impurities and recycling particles Grand Total Total 参考資料(4) 「国際的な連携及び交流活動」評価報告書 (平成14年度着手 全学テーマ別評価) 核融合科学研究所 ◇大学評価・学位授与機構が行う大学評価 (pp.8-9) 全学テーマ別自己評価書 「国際的な連携及び交流活動」 (平成14年度着手分) 平成15年7月 核融合科学研究所 (pp.57-72) 5.開発途上国等への国際協力 実 施 体 制 実施体制の整備・機能 開発途上国等との国際協力は,中国・韓国・ウクライナ・ユーゴスラビア・インド・ブラジル・イランの 7 研 究所となされているが,各国の実情は多様であるため,それぞれの実情に即した実施体制が取られている。多く の場合は,各国ごとに所内での責任者・担当者が所長により指名されていて,相手側の研究所と緊密な連絡を取 りながら国際協力を進めている。 以上から,この観点の状況は目標に照らして優れている。 活動目標の周知・公表 中国との「拠点方式国際交流の目標は提案書に書かれている。各年度のプログラムなど関連する情報は研究 所のホームページで公表されている。交流の内容は,学術振興会の事業報告書として各年度末に報告されてい る。中国以外の国々については,国際研究協力の目標・実績などの情報を,研究所ニュースなどに掲載し公表し ている。また,状況に応じて,ホームページ,電子メール,配布資料なども用いて広報している。 以上から,この観点の状況は目標に照らして優れている。 改善システムの整備・機能 中国・韓国・日本が中心となっている Asia P1asma Fusion Association (APFA)活動の一環として国際交流の改 善に取り組んでいる。中国との「拠点方式による国際交流」の活動内容は,当該研究所の国際交流委員会にお いて報告されており,この委員会で得られた議論をもとに改善の方策が立てられている。中国以外の国々につ いては概して,所長指名による少数の研究者が実施責任者を務める研究協力であり,報告書を国際交流委員会 に提出し,そこでの議論を基に改善が図られるようになっている。 以上から,この観点の状況は目標に照らして優れている。 活動計画の内容及び方法 活動計画・内容 中国との研究協力においては,研究計画の主要課題・サブテーマが明確に定められていて,これらの課題に関す る共同研究プログラムを通して,中国の核融合研究を急速に国際的レベルに引き上げることを目標とする一 方,日中の共同研究を通じて実質的な学術的寄与ができるよう計画されている。中国以外の各国との研究協力 においても,各国の実情に合わせた実行可能な計画を策定している。具体的には,共同研究・技術職員の派遣・ 研究者の派遣や受入れ・共同ワークショップの開催・海外若手研究者の教育支援などがある。 以上から,この観点の状況は目標に照らして優れている。 活動の方法 中国については,研究者の相互訪問による共同研究,小規模ワークショップ・研究会の開催,シンポジウム枠に よる国際会議の開催,日本及び中国が開催する国際会議への出席発表の支援などが行われている。拠点事業の 活動は中国及び日本の実験装置,人材を有機的に結びつけることにより,中国の研究水準の向上と日中共同研 究による核融合への学術的寄与を目指すものである。中国以外の各国との研究協力において,各国の実情に合 わせた活動方法を採用している。具体的には,共同研究・技術職員の派遣・研究者の派遣や受入れ・共同ワー クショップの開催・海外若手研究者の教育支援などがある。資金・資源は ODA 予算,文部科学省の各種制度 や科学研究費補助金などにより獲得している。文部科学省以外の政府機関への働きかけも行われている。ユ ーゴスラビアとの共同ワークショップ開催については,毎回,官民問わず,様々な組織に援助を要請している。 また,大学院生の受入れについても,財政的な支援を国際協力機構及び ODA にも働きかけている。 以上から,この観点の状況は目標に照らして優れている。 活動の実績及び効果 活動の実績 中国との研究協力は,平成 13 年度において,47 名(16 機関・329 人日)の日本人研究者を中国に派遣し,38 人(14 機関・810 人日)の中国人研究者を受け入れて共同研究を行っている。また,平成 14 年度には 56 人(15 機関・ 366 人日)の日本人研究者を中国に派遣し,55 人(14 機関・843 人日)の中国人研究者を受け入れて共同研究を行 っている。平成 13 年度には昆明において開かれた「トロイダル装置の先進的技術と物理に関する第 4 回ワー クショップ」において,45 人中 13 人の参加を支援している。その他にも複数の国際会議で参加支援が行われ ている。韓国との国際協力においても,日韓セミナーの開催,継続的な研究者交流,技術職員の派遣など活発な 交流実績を有している。その他,「計算機シミュレーション科学に関する日本・ユーゴスラビアワークショッ プ」(YUJW)の開催,平成 8 年に日本側 JSPS(日本学術振興会)の支持のもとで日本が主催して中国で実施され た Asian Science Seminar (アジア科学セミナー),インドとの研究者交流,イランヘの研究者派遣など非常に活 発な国際協力が見られる。実績の年次変化も増加傾向にある。 以上から,この観点の状況は目標に照らして優れている。 活動の効果 中国との研究協力により,中国の研究水準が急速に上がり,すでに多くの学術的成果を収めている。中国以外の 国との研究協力においても,共同研究として結実している例も多い。 以上から,この観点の状況は目標に照らして優れている。 機関名 核融合科学研究所 活 動 の 分 類:開発途上国等への国際協力 評 価 項 目:実施体制 観 点 実施体制の整備・機能 [取組状況] 観点ごとの 1. 中国 自己評価 平成13年度から,学術振興会「拠点方式による国際交流」に依拠して, 「先進核融合炉の 炉心と炉工学」なる課題を発足させた。この計画での重点研究課題は,1)炉心開発,2) ※「取組状況」,「判断結果の 炉工学,3)理論及びシミュレーションである。本共同研究は,拠点校である核融合科学研 根拠・理由」,「判断結果」を 究所(日本)と等離子体物理研究所(中国)にとどまらず,上記課題に関する共同研究を通 じて日中両国の研究を活性化することを目標としている。 必ず記載してください。 両研究所の所長を両国の代表者とし,両研究所にコーディネーター及びサブコーディネータ ーを,また,現場の研究者からの提案を受け取り企画するために,後に述べるサブテーマ毎 に複数のキーパーソンを置く実施体制としている。ここで立案された企画は,国内委員会を 開いて最終的にオーソライズされる(資料5̶ 1) 。平成14年度の例では,国内委員会は 6月と2月に行われた。中国側にも同様な組織があり,両国の代表者とコーディネーターに よるコーディネーター会議を年2回行う。平成13年度及び平成14年度の活動を通じて, 以上の運営システムがほぼ確立した。 資料5−1 日本学術振興会と中国科学院との拠点大学方式学術交流事業 プラズマ・核融合分野「先進核融合炉の炉心と炉工学に関する研究」 国内委員会要項 制定 平成13年6月12日 所長裁定 (設 置) 第 1 条 核融合科学研究所に日本学術振興会と中国科学院との拠点大学方式学術交流事 業プラズマ・核融合分野「先進核融合炉の炉心と炉工学に関する研究」国内委員会 (略称「日中拠点大学交流事業国内委員会」 。以下「委員会」という。 )を置く。 (任 務) 第 2 条 委員会は,日本学術振興会と中国科学院との拠点大学方式学術交流事業プラズ マ・核融合分野(先進核融合炉の炉心と炉工学に関する研究)に関する事業(以下「日 中拠点大学交流事業」という。 )を円滑に遂行することを目的とし,次の任務を行う。 ⑴ 日中拠点大学交流事業に参加する研究者を組織すること。 ⑵ 日中拠点大学交流事業の事業計画等に関する事項について審議すること。 ⑶ その他日中拠点大学交流事業の遂行に必要な事項を審議すること。 (組 第 3 ⑴ ⑵ ⑶ ⑷ ⑸ 織) 条 委員会は,次の各号に掲げる委員をもって組織する。 日中拠点大学交流事業における実施組織代表者(Representative) 日中拠点大学交流事業におけるコーディネーター(Coordinator ) 日中拠点大学交流事業におけるサブコーディネーター(Sub-coordinator ) 委員長が委嘱する日中拠点大学交流事業におけるキーパーソン 委員長が委嘱するその他学識経験者 若干名 (以下 略) 2 . 韓国 省略 3. ウクライナ 省略 4. ユーゴスラビア 省略 機関名 核融合科学研究所 5. インド 省略 6. ブラジル 省略 7. イラン 省略 [判断結果の根拠・理由] 発展途上国における当該研究分野の活動状況には幅広いものが ある。このため,それぞれの国の実情に対応した実施体制がバランスを取りながら組織され ている(着目点①,②) 。日本国内での責任分担ははっきりしており,円滑な運営が行われ ている(着目点③) 。 [判断結果] 優れている。 観 点 活動目標の周知・公表 [取組状況] 観点ごとの 1. 中国 自己評価 活動の目標は拠点方式国際交流の提案書に書かれている。目標や委員会メンバーを始め,各 年度のプログラムなど関連する情報は決定され次第,研究所のホームページ に掲載されて ※「取組状況」,「判断結果の いる。共同研究において得られた結果は,日本及び中国の国内の学会で発表されるとともに, 根拠・理由」,「判断結果」を 同事業が主催または支援する日中の国際会議,ワークショップなどで発表される。学術的価 値が高められた研究は査読つき論文として学術雑誌に投稿される。交流の内容は,学術振興 必ず記載してください。 会の事業報告書として各年度末に報告される。純粋な学術的成果を記録するために毎年度 Academic Report を出版する。 2. その他の国々 省略 [判断結果の根拠・理由] 活動の直接の担当者及び学外の関係者への活動目標の周知は, 活動の規模に応じた形で適切に行われている(着目点①,②) 。 [判断結果] 優れている。 機関名 観 点 観点ごとの 自己評価 核融合科学研究所 改善システムの整備・機能 [取組状況] 当研究所とアジアの研究所との間でより組織的な交流を実現するために,APFA 活動の一環 として取り組んでいる。即ち,APFA 国際会議の開催などを通じてアジアの国々をより積極 的かつ組織的な交流の場に参加させるよう努力している。 ※「取組状況」,「判断結果の 根拠・理由」,「判断結果」を 1. 中国 「拠点方式による国際交流」は,同事業の目的,研究テーマの募集などをホームページを通 必ず記載してください。 じて周知徹底させることにより,研究背景などの変化に即応できる態勢をとっている。 また,キーパーソンは両国の現場に熟知した研究者から選ばれており,常時,重要課題の発 掘を意識している。中国,及び日本の状況の変化に対応する実施体制は両国のコーディネー ター会議での自由な議論により決定されている。 同交流事業の活動内容は,核融合科学研究所の国際交流委員会において報告されており,こ の委員会で得られた議論をもとに改善の方策が立てられている。拠点事業は2年が経過し, 実行システムが完備した段階ではあるが,改善システムも平行して機能している。 2. その他の国々 省略 [判断結果の根拠・理由] アジアを対象とした APFA 活動によって,組織的な改善への取 り組みが行われている。国際交流委員会における議論を基に改善を図っている。日中のよう に研究協力の規模が大きい場合には,更に組織的な取り組みを行っている。 (着目点①,②) 。 [判断結果] 優れている。 なし 補足説明事項 評 価 項 目:活動の内容及び方法 観 点 活動計画・内容 [取組状況] 観点ごとの 1. 中国 計画の主旨は,ITER 等,核燃焼を志向する核融合研究の段階において,経済性のある先進 自己評価 的核融合炉の開発を目指し,日本と中国が共同研究を行うものである。 ※「取組状況」,「判断結果の 核融合研究は広範な関連分野を含みつつ進化を遂げている。新時代に即応するために,主要 根拠・理由」,「判断結果」を 課題として,I. 炉心特性の改善研究(関連サブテーマ8件), II. 炉工学の基礎研究(関 必ず記載してください。 連サブテーマ3件), III.理論シミュレーション研究(関連サブテーマ4件)を設定する。 以下に,これら関連サブテーマを示す(資料5̶ 2) 。 機関名 核融合科学研究所 資料5̶ 2 関連サブテーマ一覧表 Ⅰ-1A Ⅰ-1B Ⅰ-2A Ⅰ-3A Ⅰ-4A Ⅰ-4C Ⅰ-5A Ⅰ-5B Ⅱ- A Ⅱ- B Ⅱ- C Ⅲ- A Ⅲ- B 高性能炉心プラズマ閉じ込めのための高度加熱法の開発 高性能炉心プラズマ閉じ込めのための計測及び制御法の開発 核融合炉におけるプラズマ・壁相互作用と対向材料研究 プラズマ中の原子分子過程 プラズマプロセスを用いた低熱抵抗セラミック/金属の接合 環境応用と表面工学のための高圧力プラズマ源の開発 超高密度プラズマ(慣性核融合)に関する研究 慣性核融合プラズマの理論・シミュレーション 核融合炉用低放射化構造材料に関する研究 核融合炉ブランケット・トリチウム研究 先進核融合炉の設計統合と要素工学の実証 プラズマの MHD 及び微視的不安定性解析理論の研究 トーラスプラズマの輸送理論・数値解析コードの開発 及び閉じ込め改善モードの研究 Ⅲ- C 複雑性プラズマにおける自己組織化の物理 Ⅲ- D 周辺・ダイバータプラズマのモデリング及び不純物, リサイクリング粒子のコントロール これらの課題に関する共同研究プログラムを通して,中国の核融合研究を支援し,急速に国 際的レベルに引き上げることを目標とする一方,日中の共同研究を通じて実質的な学術的寄 与ができるよう計画されている。 2. 韓国 省略 3. ウクライナ 省略 4. ユーゴスラビア 省略 5. インド 省略 6. ブラジル 省略 7. イラン 省略 [判断結果の根拠・理由] 活動計画は,各開発途上国の実情に合わせ適切なテーマを選択 するとともに,実行可能なプログラムとなっている。相手国の希望を十分に考慮しており, 今後の発展が大いに期待できる内容となっている。 (着目点①,②) 。 [判断結果] 優れている。 機関名 核融合科学研究所 観 点 活動の方法 [取組の状況] 観点ごとの 1. 中国 自己評価 1)日本人研究者が中国研究施設を訪問し,実験参加による共同研究を推進する。 2)中国人研究者が日本国内研究施設を訪問し,実験参加による共同研究を推進する。 ※「取組状況」,「判断結果の 3)研究テーマを設定した小規模ワークショップ・研究会を行う。 根拠・理由」,「判断結果」を 4)シンポジウム枠による国際会議の開催を行う。 5)日本及び中国が開催する国際会議への出席発表の支援を行う。これらの会議において研 必ず記載してください。 究成果の周知を行う。 拠点活動においては,中国と日本に存在する核融合研究装置が資産である。炉心の最適化研 究においては,日本の超伝導ヘリカル装置,中国の超伝導トカマクを使った相補的な研究が ひとつの特徴である。また,ミラー型閉じ込め装置,慣性核融合,球状トカマクなどの研究 が行われており,広く核融合の新概念に目を向けることができる。炉工学に関しては,日本 は材料の開発,電子顕微鏡などによる解析手法に関して進んでおり,中国には中性子照射の 施設があり相補的な共同研究を行うことができる。理論・シミュレーションに関しては,相 互に研究所を訪問することにより,ワークショップを開き議論を行い物理の解明を行う形を 取る。 拠点事業の活動は中国及び日本の,実験装置,人材を有機的に結びつけることにより,中国 の研究水準の向上と日中共同研究による核融合への学術的寄与を目指すものであり,両国の 状況に適合した適切な活動方法と言える。日本の大学/研究所を代表するキーパーソンを中 心としたネットワークは有効に機能している。 拠点大学方式による国際交流は,ODA 予算であり開発途上国への研究協力としての任務を帯 びている。日本の核融合研究が一歩進んでいることもあり, 「先進核融合の炉心と炉工学」 と題する課題の選択は非常に適切であると言える。 2. 韓国 省略 3. ウクライナ 省略 4. ユーゴスラビア 省略 5. インド 省略 6. ブラジル 省略 7. イラン 省略 [判断結果の根拠・理由] 共同研究・研究協力の遂行のために適切な派遣及び招聘が行わ れている。そのための資金・資源は ODA 予算,文部科学省の各種制度や科学研究費補助金な どにより獲得している。文部科学省以外の政府機関への働きかけも行われている。 (着目点 ①,②) 。 [判断結果] 優れている。 機関名 補足説明事項 核融合科学研究所 なし 評 価 項 目:活動の実績及び効果 観 点 活動の実績 [実績の状況] 観点ごとの 1. 中国 自己評価 平成13年度には47人(16機関・329人日)の日本人研究者を中国に派遣し,38人 (14機関・810人日)の中国人研究者を受け入れて共同研究を行った。また,平成14 ※「実績や効果の状況」,「判 年度には56人(15機関・366人日)の日本人研究者を中国に派遣し,55人(14機 断結果の根拠・理由」,「判断 関・843人日)の中国人研究者を受け入れて共同研究を行った。資料5̶ 3は,両年度の 結果」を必ず記載してくださ 派遣研究者数を所属機関別に分類したものである。広範な交流を行っていることが分る。 資料5−3 平成13・14年度日中拠点大学交流事業 人・人日数一覧(所属機関別) い。 派遣 (J→C) 所属機関名 平成13年度 平成14年度 人数 日数 人数 日数 1 核融合科学研究所 20 138 25 168 2 京都大学 5 33 5 36 3 九州大学 2 19 3 16 4 筑波大学 1 8 0 0 5 三重大学 1 5 0 0 機関名 核融合科学研究所 6 東邦大学 1 10 1 8 7 上智大学 1 6 0 0 8 中部大学 1 5 1 5 9 静岡大学 1 8 2 16 10 東北大学 2 13 4 29 11 大阪大学 6 35 5 18 12 産業技術総合研究所 2 14 0 0 13 北海道大学 1 6 3 26 14 東京大学 1 9 2 11 15 東京工業大学 1 8 0 0 16 中央大学 1 12 0 0 17 電気通信大学 0 0 1 5 18 岩手大学 0 0 1 8 19 姫路工業大学 0 0 1 4 20 慶應義塾大学 0 0 1 7 21 富山大学 0 0 1 9 47 329 56 366 合 計 この他,平成13年度には昆明において開かれた「トロイダル装置の先進的技術と物理に関 する第4回ワークショップ」において,45人中13人の参加を支援した。発表内容は,拠 点事業の成果に基づくものである。平成14年度には「先進エネルギーと核融合工学に関す る第7回日中シンポジウム」を中国の敦煌にて開催した。参加者は70人であり拠点からは 15人の参加を支援した。日本で開かれた「制御核融合装置におけるプラズマ表面相互作用 に関する第15回国際会議」では4人の中国人研究者の支援を行った。また,平成14年夏 には, 「先進エネルギーシステムと核分裂・核融合工学のための材料」に関する第7回日中 シンポジウムが蘭州で開催された。 両国のコーディネーターによるコーディネーター会議も全体の組織を有機的に機能させ,プ ログラムを策定し,結果を評価するために重要な役割を果たした。活動の詳細は,日中拠点 事業報告書に記されている。学術的な実績は Academic Report として毎年出版される。 このように,平成13−14年度の2年間,大規模な組織化された共同研究が順調に進行し, 上記のような実績が挙がった。 2. 韓国 省略 3. ウクライナ 省略 4. ユーゴスラビア 省略 5. インド 省略 6. ブラジル 省略 7. イラン 省略 機関名 核融合科学研究所 [判断結果の根拠・理由] 最大の開発途上国である中国との研究協力は,成果から判断し て目標を十分に達成した。韓国においても同様である。その他の国についても協力の規模に 応じた実績が挙がり,目標を達成したと言える。 (着目点①) 。実績の年次変化の勾配は正で あり,適切に前進している(着目点②) 。投入資源から見て,効率の高い実績が得られた(着 目点③) 。 [判断結果] 優れている。 観 点 活動の効果 [効果の状況] 観点ごとの 1. 中国 自己評価 過去5年間に亘る物理・工学両面からの支援により,合肥の等離子体物理研究所では,超伝 導トカマク HT-7 が稼動し,長パルス実験に挑む段階になった。西南物理研究院では HL-2A ※「実績や効果の状況」,「判 を建設する実力を蓄えるに至った。特に,電源建設に関する協力は評価され,拠点代表者で 断結果の根拠・理由」,「判断 ある核融合研究所所長が竣工祝賀会に招待され祝辞を述べた。また,核融合科学研究所を訪 結果」を必ず記載してくださ 問した中国の研究者はヘリカル型閉じ込め装置を用いた相補的研究を行うなど,日本の核融 合研究装置と研究者を知り,日本の研究者は中国の核融合研究装置と研究者を知って,自由 い。 な討論と研究テーマの発案が可能となりつつあり,当該分野における日中両国の実力向上に 寄与している。 過去2年間の成果を基にし,活動の効果として以下の新しい研究活動が展開されている。 I-1. 炉心プラズマ特性改善の分野では,プラズマに関する計測に関して技術移転による近 代化が進み,また,閉じ込め改善モードなどの解析の手法に関して近代的視点が養われつつ ある。特に,重要共同研究テーマとなったイオンサイクロトロン加熱技術に関しては,HT-7 の実験における RF フィードスルーの技術的協力によりイオンバーンスタイン波加熱の大電 力化が可能となり,低域混成波との相乗効果が議論されるに至っている。LHD のイオンサイ クロトロン加熱実験では,中国の研究者が電力変調による輸送研究を可能にした。また,中 国西南物理研究院で開発された高速ガスパフの技術は日本に導入され,LHD の実験領域を広 機関名 核融合科学研究所 げている。 I-2. プラズマ壁相互作用の分野においては,中国において開発された Doped Graphite 材料 を日本の計測施設を用いて分析する共同研究が進み,プラズマ対向材料に関する共同研究が 進みつつある。 I-4. 原子分子に関しては,多荷イオンの断面積に関する研究において日中共著の論文が書 かれている。また,核融合科学研究所のデータベース構築における協力が発足し具体的な寄 与が出つつある。 1-5.超高密度プラズマに関してはシミュレーション手法の開発における共同研究が新しく 開始された。 II-1 炉工学に関しては,1)低放射化材料に関して日本で製作された炉用低放射化バナジ ウウム鋼の中国での水素胞化試験,2)中国でイオンビーム照射された炉材料の日本国内の 高精度顕微鏡による解析など,成果が挙がっている。 Ⅲ-A プラズマの MHD 及び微視的不安定性解析理論の研究に関しては,イオン温度勾配型 不安定性に関する研究が進展中である。 Ⅲ-D 周辺・ダイバータプラズマのモデリング及び不純物,リサイクリング粒子のコント ロールに関しては,西南物理研究院の HL-2A との解析の比較,HT-7U 装置でのダイバータ 技術など,協力が進んでいる。 これらの具体的共同研究を通じて,中国の核融合研究水準は急速に上がりつつあり,開発途 上国への研究支援という観点からは任務を十分に果たしていると言える。年度毎に作成され る Academic Report は,活動の効果を高める意味でも役立っている。平成13年度には, 15件の論文が査読つき論文として出版され,36件の論文が会議発表されており,学術的 成果としても評価できる状態となった。 2. 韓国 省略 3. ウクライナ 省略 4. ユーゴスラビア 省略 5. インド 省略 6. ブラジル 省略 7. イラン 省略 [判断結果の根拠・理由] 国際交流の結果,学術的な成果が挙がるとともに,開発途上国 の研究水準を向上させるという大きな効果を生み出しており,目標4「核融合研究分野にお いて比較的後発である国々における研究・技術水準の向上の支援」に大きく寄与している。 これらの効果は日本の研究水準の向上にも役立っている。相手国において新しい研究も立ち 上がるなど,双方の満足度は大きい(着目点①,③) 。 機関名 [判断結果] 優れている。 補足説明事項 なし 核融合科学研究所 評価の観点及び着目点: 参考資料(5) 日本学術振興会と中国科学院との拠点大学方式学術交流事業 プラズマ・核融合分野「先進核融合炉の炉心と炉工学に関する研究」 国内委員会要項 制定 (設 平成13年6月12日 所長裁定 置) 第 1 条 核融合科学研究所に日本学術振興会と中国科学院との拠点大学方式学術交流事 業プラズマ・核融合分野「先進核融合炉の炉心と炉工学に関する研究」国内委員会 (略称「日中拠点大学交流事業国内委員会」。以下「委員会」という。)を置く。 (任 務) 第 2 条 委員会は、日本学術振興会と中国科学院との拠点大学方式学術交流事業プラズ マ・核融合分野(先進核融合炉の炉心と炉工学に関する研究)に関する事業(以下「日 中拠点大学交流事業」という。)を円滑に遂行することを目的とし、次の任務を行う。 ⑴ 日中拠点大学交流事業に参加する研究者を組織すること。 ⑵ 日中拠点大学交流事業の事業計画等に関する事項について審議すること。 ⑶ その他日中拠点大学交流事業の遂行に必要な事項を審議すること。 (組 織) 第 3 条 委員会は、次の各号に掲げる委員をもって組織する。 ⑴ 日中拠点大学交流事業における実施組織代表者(Representative) ⑵ 日中拠点大学交流事業におけるコーディネーター(Coordinator ) ⑶ 日中拠点大学交流事業におけるサブコーディネーター(Sub-coordinator ) ⑷ 委員長が委嘱する日中拠点大学交流事業におけるキーパーソン ⑸ 委員長が委嘱するその他学識経験者 (任 期) 第 4 条 2 若干名 前条第 4 号及び第 5 号の委員の任期は、2 年とし、再任を妨げない。 前項の委員に欠員を生じたときは、必要に応じて補充する。この場合における委員 の任期は、前任者の残任期間とする。 (委員長) 第 5 条 委員会に委員長を置き、第 3 条第 1 号の委員をもって充てる。 2 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。 3 委員長に事故あるときは、あらかじめ委員長が指名する他の委員が、順次に委員長 の職務を代理する。 (専門委員会) 第 6 条 日中拠点大学交流事業の技術的事項を検討するために、専門委員会を置くこと ができる。 2 専門委員会の委員は、日中拠点大学交流事業に参加する研究者の中から委員会の委員 長が指名する。 3 専門委員会の委員長は、第 3 条第 2 号の委員をもって充てる。 (意見の聴取) 第 7 条 委員会は、必要に応じて、委員以外の者の出席を求め、その意見を聞くことが できる。 (庶 務) 第 8 条 (雑 委員会の庶務は、管理部研究協力課において処理する。 則) 第 9 条 この要項に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員会の議 を経て委員長が定める。 附 則 1 この要項は、平成13年6月12日から実施する。 2 この要項の実施後最初の委嘱に係る第 3 条第 4 号第 5 号の委員の任期は、 第 4 条第 1 項の規定にかかわらず、平成15年3月31日までとする。 参考資料6 Review on the Core-University Program on Plasma and Nuclear Fusion The Core-University Program on Plasma and Nuclear Fusion, signed by JSPS and CAS, is the first bilateral cooperation program in this area between China and Japan. Under the support and leadership of JSPS and CAS, this program has been successfully implemented for the past five years. National Institute for Fusion Science (NIFS) and Institute of Plasma Physics, Chinese Academy of Sciences (ASIPP), as the core institutes for the Program, have assisted the collaboration between universities and research institutions in two countries, and have undertaken a series of measures to ensure the fruitfulness and effectiveness of the program. 1. NIFS and ASIPP has efficiently played a “core” role in the Program Coordinator meetings are held biannually reviewing, evaluating and planning the annual program, the participants include representatives, coordinators and key persons. The Program has covered almost all subjects of plasma and fusion research, and NIFS and ASIPP have united almost every and each domestic university and institution with plasma and fusion related researches, and promoted scientific exchanges and cooperation between two sides, and pooled wisdom, creativity and manpower of these collaborators. So far, nearly 60 universities and institutions in two countries have been involved in the program with a 5800 person-day-exchange. 2. NIFS and ASIPP has built a effective cooperation channel At the outset, personal exchange is the main cooperation form, this is quite useful in building initial contacts, mutual understanding and comprehending each other’s research interest and needs. As time goes, the program become more and more topic-oriented, result-oriented. Different seminars and workshops are held to share experience and crack scientific hard nuts in specific topics; supported by the CUP program, researchers have participated in other influential international conferences and presented their jointly-made achievement; researchers would join the experiments at each other’s facilities, and some researchers have come up with a new experiment proposal and have their new ideas tested and many joint papers have been published. During the past five years, there are over 5700 man-day exchange of more than 520 researchers. Over 10 seminars or workshop were organized or attended, for example, China-Japan Workshop on Laser-Plasma Theory and Simulations in 2002, and the 4th Asia Plasma and Fusion Association Conference in 2003, and China-Japan Seminar on Laser Fusion Science and High Energy Density Plasma Physics in 2004, and Seminar on Production and Steady State Confinement of High Performance Plasma in Magnetic Confinement Systems in 2005 and so on. Joint experiments were conducted on all tokamak and fusion devices in two countries, e.g., LHD at NIFS, JT-60 in JEARI, Triam in Kyushu University, Japan, HT-7 at ASIPP and HL-IIA at Southwest Institute of Physics, China. 3. The Program has produced fruitful scientific results About 380 papers have been either published in journal or presented in international conferences. A number of joint papers have been published in world famous journal, for example: Nature, Physics Review Letter, etc. What is noteworthy is that the papers published are increasing year by year. 4. Fusion energy is one of the best solutions for world energy problem, and the Core-University Program on Plasma and Nuclear Fusion is promising Energy is a global problem, as it is central to economic development, climate and environment, and international stability and sustainability. Fusion is one of the very few options for large-scale sustainable energy generation and therefore must be developed as quickly as possible. China and Japan need fusion more urgently than many other countries and would like to develop fusion energy. This is why China and Japan join the ITER project. The Core-University Program on Plasma and Nuclear Fusion is a wise decision made by JSPS and CAS, the Program is promising as it meets people’s demands for clean inexhaustible energy, and serves two states’ long, sustainable economic development course. Among all the beneficiaries sponsored by the Program, about half are young and budding researchers. They not only become important participants of this program, but also major contributors of its academic achievements, and this momentum will gather with years to come. When visiting each other, these young researchers have also established friendship with their counterparts, which will surely promote understanding and trust between young generations in our two countries. Acknowledgement: ASIPP would like to take this opportunity to thank JSPS and CAS for their support to the Core-University Program on Plasma and Nuclear Fusion. ASIPP have worked very closely and effective with NIFS in making the Program productive and successful, and we strongly hope to continue this cooperation.