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汚染水問題の経緯と方向 - 原子力資料情報室(CNIC)
汚染水問題の経緯と方向 2013年10月18日 プラント技術者の会 筒井哲郎 13.10.18 プラント技術者の会 1 目次 汚染水漏れの経緯/港湾付近の汚染の変化 水バランス/フローシート 地下水の淵源 (1)地形図 (2)地質構造図 (3)断面 (4)地下水分布図 タンク群 建屋周りの空間線量 地下水対策立案の経緯 技術提案の募集 実施体制 (1)政府 (2)東電 (3)あるべき組織体制 今後の方向 (1)優先事項 (2)遮水壁 (3)タンク (4)空冷化と石棺化 13.10.18 プラント技術者の会 2 汚染水漏れの経緯 2011年3月 1・3・4号機の建屋爆発。1・2・3号機の炉心溶融 4月 2号機の護岸近くから高濃度汚染水が海に流出 低濃度汚染水約1万トンを海に放出 事故評価を「レベル7」と発表 5月 3号機の護岸近くで高濃度汚染水が海に流出 6月 汚染水処理システムの運用が始まる 12月 野田首相(当時)が事故の収束を宣言 2012年8月 1∼3号機の原子炉冷却水量が1時的に低下 2013年3月 仮設配電盤にネズミが侵入、ショートして冷却が停止 4月 地下水槽から汚染水漏れ 6月 護岸付近の地下水から放射性物質を検出したと東電が発表 7月 トレンチからの汚染水の海洋流出を東電が発表 8月 貯蔵タンクからの汚染水300トンガ漏れる。政府が「レベル3」と発表 9月 安倍首相が「汚染水はコントロールされていることを保証する」と演説 10月 汚染水タンクからの流出を繰り返す 『読売新聞』2013年9月11日に加筆 13.10.18 プラント技術者の会 3 港湾付近の汚染水の変化(1) 『読売新聞』2013年9月11日 トピックの詳細な説明 トピックをサポートする情報や具体例 トピックと出席者との関連 13.10.18 プラント技術者の会 4 港湾付近の汚染の変化(2) 13.10.18 プラント技術者の会 5 水バランス 13.10.18 プラント技術者の会 6 フローシート 13.10.18 プラント技術者の会 7 地下水の淵源(1)地形図 発電所の敷地は、南北を川に挟まれた海抜35m程度の台地であり、海側を掘削し 海抜約10mの地盤に、発電所建屋を設置している。 13.10.18 プラント技術者の会 8 地下水の淵源 (2)地質構造 13.10.18 プラント技術者の会 9 地下水の淵源 (3)地質断面図 13.10.18 プラント技術者の会 10 地下水の淵源 (4)不圧地下水分布図 4m盤 { 約100孔の観測孔 における水位観測 の結果から地下水 位分布を推定して いる。 地下水は山側か ら海側へ向かって 流れるが、建屋山 側では若干北側へ 偏向している。 10m盤 ➾ 35m盤 13.10.18 プラント技術者の会 11 タンク群 13.10.18 プラント技術者の会 12 建屋周りの空間線量 13.10.18 プラント技術者の会 13 地下水対策立案の経緯 事故以前には、850t/d汲み上げていた 事故直後に、スラリーウォールを建屋まわりに計画し、設計 を開始した(馬淵首相補佐官=当時) 汚染水処理対策委員会が、凍土壁(鹿島建設)、粘土壁(大 成建設)、グラベル連続壁(安藤ハザマ)を比較検討している (2013年5月30日報告書)。しかし、問題点を提起するだけで 結論を出していない。 13.10.18 プラント技術者の会 14 国際廃炉研究開発機構‐東電による技術提案募集 2013年10月02日に、国際廃炉研究開発機構と東電による 技術提案の募集が行われた。提出期限は10月23日、年内 に結論を出すという。テーマは以下の6項目。 1)汚染水タンク貯蔵(タンク等) 2)汚染水処理(トリチウム等) 3)港湾内の海水の浄化(海水中の放射性物質の除去等) 4)建屋内の汚染水管理(建屋内止水、地盤改良等) 5)地下水流入抑制の敷地管理(遮水壁、フェーシング等) 6)地下水等の挙動解析(地下水に係わるデータ収集の手法、 水質の分析技術等) 13.10.18 プラント技術者の会 15 いまだ機能しない東芝ALPS(Advanced Liquid Processing System) そもそも既存設備の性能についての報告がない(アレバ凝集沈殿、キュリオン セシウム吸着、東芝サリー第二セシウム吸着、RO淡水化の各装置) 昨年(2012年)末からの稼働予定がまだ試運転中、しかもトラブル(つまり、腐 食等)が続いている。 そもそもALPSの導入には、低濃度汚染水の海洋放出を行いたいという政府・ 東電の思惑が見え隠れしている。 ・62種類の報射影物質を除去 ・放射能濃度は100万分の1? ・但し、トリチウムは除去できない 告示濃度(規制値):6 x 104 Bq/l ALPS処理水:5 x 106 Bq/l 海洋投棄は許されない。トリチウ ムの半減期は12.3年。少なくと も、必要期間は保管による減衰 が必要 更に気になる・・・ ・性能責任は? ・価格は?誰が負担? 13.10.18 プラント技術者の会 16 16 実施体制 (1)政府組織 13.10.18 プラント技術者の会 17 実施体制 (2)東電組織 2013年8月26日に「レベル3」評価を受けて改訂 13.10.18 プラント技術者の会 18 実施体制 (3a)あるべき組織体制 ■ プログラムマネジメントとは? 相互に関連する複数のプロジェクト群の上位に位置し、組織戦略に 対応した統合マネジメント手法 リソースの配分等、個々のプロジェクトの成功基盤を提供 ■ プロジェク&プログラムマネジメント(P2M)の概念 19 (日本プロジェクトマネジメント協会資料より) 13.10.18 プラント技術者の会 19 実施体制 (3b)あるべきプロジェクト管理組織 13.10.18 プラント技術者の会 20 今後の方向 技術上の優先事項 遮水壁 10万トン級汚染水タンク デブリ空冷化 石棺化 13.10.18 プラント技術者の会 21 技術上の優先事項 目下の事故収束作業における優先順位は、下記であるべき である。 1)被ばく労働が最小であること 2)最短納期であることー現在継続中の放射性物質の放出を 一日も早く止める 3)小出しの対策ではなくて、抜本的な対策を採用すること 13.10.18 プラント技術者の会 22 遮水壁 1)施工位置 建屋周辺の被ばく線量が高い現状においては、タンク群の 上流側に既存の工法で速やかに着工すべきである。被ばく が少なければ、熟練労働者と重機を動員して、並行作業が できる。 2)工法 ‐工期およびコストは鋼矢板‐粘土壁‐凍土壁の順に早く 安い。 ‐冷却循環量400t/d±数%の誤差があっても実質上の問題 はない。 ‐フェーシングとサブドレイン(井戸)汲み上げを併用。 ‐鋼矢板で良い。 13.10.18 プラント技術者の会 23 タンク群の上流に遮水壁を設ける案 注:囲ったエリアにはフェーシングを併せて行う。 13.10.18 プラント技術者の会 24 鋼矢板の例 日本基礎工業URLから 13.10.18 プラント技術者の会 25 10万トン級汚染水タンク 実績は十分 1年半でできる 耐用年数10年以上 7・8号炉建設予定地を 想定 水封で放出なし 13.10.18 プラント技術者の会 26 汚染水タンク High Point Vent Process Flow Diagram 淡水 PC Vacuum Breaker 空気 LC 処理水 Seal Filter RO FC LI 払出し Dome Roof型Tank 13.10.18 プラント技術者の会 27 デブリ取り出しに対する代案 現行案への懸念 デブリ取り出しには被ばく労働が莫大 開発項目が山積 費用莫大 代案:ドライ化→石棺化を追求すべき チェルノブイリのように原子力技術の失敗のモニュメ ントが残ることを恐れている 13.10.18 プラント技術者の会 28 デブリの空冷化に向けて デブリの冷却を空冷化することが出来れば、冷却注水による新たな汚染源 を絶つことが出来る。 右図は、福島1号機の出力停止以降の 崩壊熱の時間変化を示している(JAEA Data)。5年後以降は、大きな変化はな い。 デブリの形状と位置にもよるが、事故後 5年で、空冷にした場合、デブリの内部 温度は約1,500℃、表面温度は約 110℃になる見込み。 鉛冷却は、鉛粒子をスラリー上に供給 してデブリ表面に沈着する工程が難し い。 29 13.10.18 プラント技術者の会 29 ありがとうございました。 13.10.18 プラント技術者の会 30