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SEMIの最近の活動から
先日自宅でTVを観ていたら、
「百年に一度の・・・・・チャンス」
というコマーシャルがありまし
た。その広告主は不動産販売会社で、確かに不景気は不動産価値を下げ、金利も低水準
なので、
「チャンス」に相違はないのですが、購買層の財布の紐も固くなっていることを承知し
ながらの勇気あるキャッチ・コピーに喝采を送りたい気分でした。
さて、今回ご報告すべきトップニュースは、第5回GFPC(Global FPD Partners Conference)
の成功です。今年は場所を千葉県舞浜のシェラトン・グランデ・トーキョーベイに移し、4月
9日・10日の2日の開催でした。市況を考慮して、参加者の多数を占める関東地区の方々への
利便性を優先し、さらに参加費用の特別価格を用意させていただきました。それでも、参加
者の大幅な減少はありましたが、講師の方々の多彩なトピックスには高い評価をいただきき
(本誌P2・3)
をご覧ください。
ました。詳細はGFPC委員のおひとりである北原様のレポート
SEMIジャパン 代表
中川 洋一
日本3回目となるHTU(ハイテク・ユニバーシティ)
が、今年は滋賀県に場所を移して3月25、
26日の2日間で開催されました。県内5つの高校から31名の生徒が集まり、大日本スクリ
ーン製造殿、NECセミコンダクターズ関西殿の2社のご協力をいただいての開催です。毎回、
多大なるご支援を頂戴しているHTU委員会の方々、遠方からお越しいただいている講師の
方々、この活動にご賛同いただきスポンサーとなっていただいている企業の皆様に、この場
をお借りして改めて御礼申し上げます。このHTUは、理科学離れが進む若者に半導体技術
のすばらしさを知ってもらうための活動ですが、教育界、半導体デバイスメーカー、装置メー
カーの3つの異なる団体の相互協力による1年近くにも及ぶ手作り作業の結晶です。しかし、
高校生たちが楽しみながら知識を吸収している様を見ると、関係者一同今までの苦労がす
べて吹き飛んでしまいます。今回は、新聞・雑誌関係者のほかに、地元TV局が3社、合計4台
のカメラが入るほどの注目を頂戴しましたが、これはHTU初の快挙です。
また、1月にはSEMICON Korea、3月にはSEMICON Chinaが開催されました。どちらも昨
それぞれの地域が支える熱い息吹を感じました。
年規模の20%を超える減少であったものの、
両展示会とも SEMI 単独で主催する PV 展示会“ SOLARCON ”との併設で、今後の急速な成
長が見込まれる分野への期待から、多くの来場者がありました。
SEMI News • 2009, No.2
Contribution Article
今回の不況の特徴と太陽電池産業
株式会社アルバック 代表取締役会長 中村 久三
今回の世界的な大不況は、
金
品と技術を開発していく必要があります。逆に言えば、独創的な
融機関の無責任な架空債権の
新商品や新技術の開発しか日本の製造業が生き延びていく道
投機に端を発していますが、その
はないと言っても良いと思います。
根底には、われわれ製造業にと
さて、上記で述べたように、電子デバイスやITソフトに代わっ
ってきわめて重大な構造的変
て製造業を引っ張っていくと考えられているエネルギー・環境
化があると思っています。したがって、今までの不況のように
分野の中で、太陽電池はわれわれ半導体や液晶関係の装置メ
じっと我慢していれば元に戻るというようなことが考えられま
ーカーにとっては希望の分野であります。しかし、本当に太陽電池
せん。
が製造業を牽引する産業になるのでしょうか。今後、各種の太陽
第一に、世界の経済、特に製造業の中心が、米国から中国
電池が開発され変換効率も改善されていくでしょうが、化石燃
へ移っていく構造変化の中で発生しているということです。
しかも、
料を使った電力にコスト的に勝るのはかなり困難であると思わ
米国が抱えた処理すべき不良債権の量が莫大で、
ドルや米国
れます。この点から、太陽電池産業は一過性で将来性がないと
国債の大暴落を伴う可能性があるという深刻さです。現在の状
いう意見もあります。確かに一般的な商品のように安くて良いも
況は、サブプライムローンなどの各種不良債権を米国国債に移し
のが売れるといういわゆる
「経済合理主義」
から見れば、太陽電
変えているに過ぎず、実体経済に合った状況にまで調整するに
池産業に対して非常に厳しい見方をすべきです。一方、今回の太
は更なる危機が予想されます。われわれはこのような構造変化
陽電池ブームに火をつけたフィードインタリフ制度のように、
と更なる危機に対応しなければなりません。
消費者がクリーンエネルギーであれば高い価格で電力を買って
第二に、世界の製造業を引っ張る分野が電子デバイスやITソ
も良いというコンセンサスがとれれば、太陽電池は非常に大き
フトからエネルギー・環境や資源・材料分野に変化していくとい
な産業になっていくと考えられます。液晶テレビや携帯電話な
うことです。もはやこれ以上、環境負荷を増大させながら成長す
どの生活を楽しく便利にしてくれる商品と同じように、きれい
ることが許されなくなってきました。この構造変化にも対応し
な空気を吸いたいとか地球環境を守りたいということを、本音で
なければなりません。
思う消費者が多数になるかどうかにかかっています。もしその
第三に、
今後製造業が急成長する中国、
インド、
中東、
ロシア等
ように考える消費者が多数になれば、太陽電池などのクリーン
では、製造業に必要な各種の技術やインフラが整っておらず、
し
エネルギー産業は、たとえば教育や医療、福祉、文化等と同じよ
たがって、装置、材料、プロセスなどを含むソリューションを提
うに、
「経済合理主義」
だけでは語れない文化的な生活を維持し
供することが必要であるということです。これは、われわれ装置
ていくために必要不可欠な、公共性のある産業になることを意
メーカーにとっては重大な構造変化であります。
味しています。このような産業は、きわめて規模も大きく長期にわ
以上のような大きな構造変化の中で、日本の製造業はどのよ
たって安定しており、全世界的に市場が形成されます。米国の
うにして生き残っていくことができるでしょうか。その答えは
オバマ大統領の発言でその方向の世論形成が進み始めてい
イノベーションであると思います。上記のような変化は、日本に
るように見えますが、今後の動向を注意深く見ていく必要があ
とって確かに危機ではありますが、しかしチャンスでもありま
ります。
す。日本は今や、製造業に必要なすべての技術やインフラが整っ
ITなど、
ている唯一の国になりました。
製造装置、
材料、
生産技術、
ほとんどの分野が存在しています。欧米ではすでにファブレス
SEMIの太陽光発電活動
SEMIは会員の太陽電池分野への関心の高まりを受け、取組
化している分野が沢山ありますし、韓国や台湾では装置や材料
みを強化してきました。日本において、太陽光発電に関する総合イ
といった分野は充分ではありません。したがって、日本は最先端
ベント
「PVJapan」
を太陽光発電協会と共同主催するほか、海外
の新しい独創的な技術や商品を開発し生産を立ち上げる最
主要市場でも、
「SOLARCON」等のイベントを開催し、皆様にグ
適地であるといえます。最もイノベーションを行うことができる国
ローバルなサービスを提供いたします。
であり、その意味で日本の技術者は世界中で最も恵まれた環境
にいます。日本の製造業はこの点を生かして、画期的な優れた商
No.2, 2009 • SEMI News
SEMIの太陽光発電活動の詳細は、
http://www.semi.org/jp/pv
をご覧ください。
1
GFPC 2009
GFPC開催報告:Green & Growthをテーマに舞浜で開催
−2015年に向けたディスプレイの世界を語り合う−
GFPC委員 / テック・アンド・ビズ株式会社 代表取締役 北原 洋明
GFPC 2009(第5回 Global FPD Partners Conference)が、去る
神を持つことによって、日本は活性
4月9日
(木)
・10日
(金)
の2日間、千葉県舞浜で開催された。今回の
化できる」
「未来は予測するもので
を
会議では、
「Green & Growth -Exploring the Frontiers of FPD-」
はない、自分で作りあげていくもの
テーマに掲げ、ディスプレイ産業における新しい機会と方向性を
である」
は、参加者の心に強く焼き
模索するための講演と討議が行われた。業界を牽引する企業の
付いた。
経営者やキーパーソンが集う本会議には、韓国、台湾、ヨーロッ
基調講演に立った堀場製作所最高顧
問堀場雅夫氏
パからの24名を含めた120名の参加を得て、FPD産業の将来を
見据えた内容の濃い議論が行われた。
■「豊かで夢のある次世代ライフスタイル」
を議論
慶應義塾大学大学院の特別招聘教授 夏野剛氏は、NTTド
を立ち上げてこられた経験を元に、
「ネットワークが
コモ
「iモード」
もたらすライフスタイルの変化」の様子を熱く語った。SF映画
の中に登場するさまざまなディスプレイを引き合いに出し、将
来のディスプレイが進化していく姿を目の当たりにするととも
に、目の前にあるディスプレイしか頭の中に描けない我々にと
って、刺激的な言葉がいくつも発せられた。
「物理的な画面サイ
ズと可視サイズは異なってくる」
「世の中にディスプレイが溢れ
てくればくるほど、邪魔な存在になる
(その存在を意識させない
業界のキーパーソンが集うGFPC2009の会場風景
会議テーマであるGreen & Growthを実現するために、FPDの
新技術や応用分野、さらには産業をとりまく事業環境など、広範
ようなディスプレイにしなければならないという意味)
」等々で
「人工知能」
「出
ある。これからの10年を占うキーワードとして、
入力」
「生体認証」
「電源」そして「すべてはフツーの人々のため
に」である、と締めくくった。
囲なテーマに焦点を当て、経営層に向けた多角的なテーマと議
夏野氏のスピーチを受けて、
「次世代の夢のある豊かなライフ
論の場が提供された。ライフスタイル、世界のマクロ経済の状況、
スタイル」に向けたさまざまなディスプレイの姿について、車、
FPDの世界を広げる新技術、アクセサビリティー、太陽電池、ポ
オフィス、家、携帯の視点でパネルディスカッションが行われた。
ストFPDテレビ、脳科学、医療用X線技術、等々の多方面にわた
車向けでは、BMWのRobert Isele氏が紹介する3次元形状の表
る講演やパネルディスカッションである。参加者にとって、視野
示クラスターが、未来の車のイメージを想像させた。オフィスでは、
を広げ、今後のビジネスを広げていくためのヒントとなる多く
内田洋行の村浩二氏が、ディスプレイを空間にとけ込ませるた
の情報が提供された。その中のいくつかを紹介する。
めのデザインを紹介。家では、大和ハウス工業の吉田博之氏が、
スマートハウスの進化について語った。携帯について語る夏野
■「起業家精神」
を思い起こさせたオープニング・キーノート
氏を加えたパネルディスカッションでは、今後の実現に向けた
はじめ
開会の挨拶では、名誉委員のNEC佐々木元取締役会長が、
「今回のGFPCでは、さまざまなディスプレイ技術とともに太陽電池
も取り上げ、将来に向けた環境やエネルギーという視点で、多く
議論がなされた。家の中のネットワークインフラ、車・家・オフィ
スを結ぶネットワークを構築し、携帯がその役割の中心となっ
ていく。
の内容が盛り込まれた大事な会議である」
と宣言された。
オープニング・キーノートでは、堀場製作所最高顧問の堀場雅
と業界の期待を担う太陽電池セッション
■“Green”
夫氏が講演された。学生ベンチャーの草分けとして会社を立ち
野村證券の和田木哲哉氏が、証券アナリストの視点で見た太
上げ、常に業界をリードしてこられた一方で、産業界での活動や
陽電池産業の展望を語った後のブレイクアウトセッションでは、
起業家の育成にも力を注いでこられた氏の言葉「ベンチャー精
モデレーターの太陽光発電技術研究組合理事長 桑野幸徳氏の
2
SEMI News • 2009, No.2
GFPC 2009
進行のもと、昭和シェルソーラー櫛屋勝巳氏、インドMoser Baer
FPD アソシエーツ
Photo VoltaicのG. Rajeswaran氏、台湾NexPower Technology
枅川正也氏による課
のSemi Wang氏、韓国TS CorporationのSe Wang Yoon氏の
題提起を受け、シャ
4名のパネラーが登壇し、アジア各国における太陽電池産業の状
ープ水嶋繁光氏、ソ
況やビジネス戦略を語った。
ニー占部哲夫氏、
太陽電池セッションは、昨年初めてGFPCに取り入れた。昨年
Samsung Electronics,
の桑野氏の講演には多くの人が感銘を受けたが、今年はその桑
Jun H. Souk氏、
パナ
野氏の進行によって、
太陽電池の技術、
市場と今後の方向性がわ
ソニック上野山雄氏、
かりやすく議論された。薄膜太陽電池を中心に据えた今回のセ
AU Optronics, Lai-Juh
ッションでは、FPD産業の次にくる大きな産業という期待とと
Chen氏の5名のパネ
もに、化石燃料を置き換えていくGreenな技術である太陽電池の
リストから、それぞれ
技術と将来像、そして課題などを、参加者の方々に理解していた
が考える2015年のデ
だくことができた。
ィスプレイの世界と参
太陽電池には、FPDと同様にさまざまな種類がある。それぞれ
加加者に向けたメッ
の技術的な特徴や設置場所でのニーズを活かして、今後もさま
ざまな太陽電池が製造され、使われていくことになる。
セージが発信された。
広がるFPDの世界を語り合う
Grand Finaleのパネラー
液晶の実用化から
30数年で巨大な産業
■ FPDに携わる者にとって目からウロコの落ちる内容が満載
に育ったFPD産業は、今、踊り場に来た感もある。そのような状況
GFPCは、FPDの特定の技術やアプリケーションを追求する会
の中で、アナログ完全停波となる2015年にディスプレイの技術、
議ではない。この産業に関わる者、特に経営層にいる者が、普段
産業はどうなっているか?という枅川氏の問いかけに対して、
の仕事から離れて視野を広げる絶好の機会を提供する場である。
パネラー全員の意見は、
「FPD産業はまだまだ成長していくこと
そのために、さまざまなテーマの講演やディカッションの場が
に疑いはない。液晶がまだ主流ではあるが、有機ELもセカンドテ
設けられている。
レビなどで広まっていく」
と力強いものであった。さらに、紙の
今回のGFPCでも、日本アイ・ビー・エム斉藤隆氏による、お年
文化を置き換える電子ペーパー、デジタル・インフォメーション・
寄りや障害者に対する使いやすさから解説した「人に優しいコ
ディスプレイ、臨場感溢れる超大型ディスプレイ、ヘッドマウント
ンピューター」
、東北大学の川島隆太教授による人間の活動に欠
ディスプレイ等に対する大いなる期待も出された。また、キラー
かせない前頭前野の働きを老人性認知症の症例をもとに解説し
アプリケーションとして、3Dテレビ、バーチャルリアリティー、イン
た
「脳科学と社会」
、島津製作所の鈴木悟氏よるTFT型X線セン
タラクティブなセンサーの搭載等によって、新しいディスプレイの
など、普段なかなか聞
サーを使った
「X線画像診断の最新技術」
世界がどんどん開けてくると力強く語るパネラーの言葉に、参
けない話に多くの人が聞き入り、我々が何気なく使い、眺めてい
加者は、FPDの未来に明るい希望を抱くことができた。
るディスプレイ画像に関してのさまざまな意味合いを理解する
とても良い機会であった。
■ 業界が再び力強く成長することを信じ、来年の再会を約束
また、GFPCで毎回行われているユニークなセッションにエグ
今回のプログラム委員会は、1年前から作業を開始したが、途
ゼクティブ・ラウンドテーブルがある。スピーカーを交えた参加
中で世界金融危機が起こり、FPD業界も大きく減速した。このた
者が小グループのテーブルに別れ、ひとつのテーマに対して互
め、直前になって開催場所を宮崎から変更し、イベントも実質的
いに自由なディスカッションを行う場である。結論を出すこと
な内容に絞った形で行われた。
を目的とせずに自由な議論を行うという主旨であるが、互いの
2日間の会議を振り返ってみると、現在FPD業界が直面してい
意見の中から得るものも多い。今回は、ライフスタイルとビジネ
る危機感が、
逆に将来の産業の継続的な発展に向けた結束を産
スマネージメントに関しての議論が行われた。
み出したように感じている。
現在の世界経済は、
まだ非常に厳しい状況にある一方で、
回復
■ 2015年のディスプレイの世界を熱く議論したグランドフィナーレ
の兆しも見え始めている。今回のGFPCが、世界的な経済危機を
2日間の会議を締めくくるグランドフィナーレは、今回の
乗り越えて、FPD産業が再び飛躍するきっかけとなることを願
GFPCを総括するにふさわしい内容であった。モデレーターの
No.2, 2009 • SEMI News
いつつ、来年の再会を約束し、参加者は舞浜を後にした。
3
High Tech U
高校生対象の教育プログラム「ハイテク・ユニバーシティin 滋賀」開催報告
−SEMIの次世代人材育成活動:若者に半導体業界を知ってもらうために−
去る3月25日
(水)
・26日
(木)
の2日間、滋賀県の大日本スクリ
ジのインド国籍である講師からの講義もあり、
「半導体が世界規
ーン製造(株)彦根地区事業所ならびにNECセミコンダクター
模で作られていることがよくわかった」
「情報社会と国際関係の
ズ関西
(株)
において、SEMIの教育プログラム
「ハイテク・ユニバ
つながりが深いということがわかった」
など、世界中と繋がる半
ーシティ」が開催されました。今回は、熊本、茨城での開催に続
導体を実感しました。普段使っているものに半導体が多く使わ
き、日本では3回目の開催となります。滋賀県立高校の2年生合
れ、そしてその半導体には、いろいろな国、企業、そして人の技術
わせて31名
(男子生徒24名、女子生徒7名)
が参加し、できるだ
が詰まっていることを理解した1日となりました。
け体験的に、
科学・技術の面白さ、
半導体産業の重要性を伝えよ
■ 2日目 会場:NECセミコンダクターズ関西(株)
うと工夫されたプログラムが提供されました。
「開発とは常識を破れ!」
こんなメッセージが午前の講義「世
■ 1日目 会場:大日本スクリーン製造(株)彦根地区事業所
界で羽ばたく半導体エンジニア」から発信され、生徒たちは「エ
ハイテク・ユニバーシティには次のルールがあり、その確認か
ンジニア」
「開発」
という硬いイメージが、自分も世界で活躍でき
ら始まります。
るんだという実感につながったようです。続いて、NECセミコン
・楽しくやろう!−明るく、楽しく、元気よく−
ダクターズ関西の製造現場を見学し、ロボットや多くの機械、そ
・何かをつかんで帰ろう。
してウェーハ工程が沢山あるのに驚いた様子でした。
・たくさん参加しよう。−一生懸命に聞く、考える、体験する、
質問する、議論する−
午後からは、
携帯電話を
“破壊”
し、
半導体を探し出し、
電子顕
微鏡で観察。さらに髪の毛も観察し、肉眼では見ることのできない
講師、スタッフ、生徒同士で「Good Job」
カード、
「Nice Try」
カ
「ミクロ、ナノの世界」
を体験し、歓声が沸きました。最後は、
「仕
ードを渡し合い、失敗を恐れず、積極的な発言、参加を奨励しま
事って何?」
「半導体業界での仕事は?」
をテーマにしたセッシ
す。このような働きかけもあり、生徒たちの緊張が和らぎ、他校
ョンで、4名のそれぞれ異なる職種に携わる先輩社員が登場し
の生徒とも打ち解けて自発的に発言する姿が見られました。
ました。
「どうして今の会社を選んだのか?」
「入社前の想像と
続いて、
「半導体とは?」
をテーマにした講義で、半導体が私た
実際に働いてみた現実とのギャップは?」など、次々に挙がる
ちの暮らしにどのように役立っているのかを学びました。
「人
具体的な生徒からの質問に対して、自らの体験を交えながらの
間コピー機」のセッションでは、大日本スクリーン製造の大型
先輩社員の話に、生徒たちは真剣に聞き入っていました。
コピー機を使い、実寸大の人間コピーを体験しました。グループ
2日間を通して生徒から、
「全く知識のなかった半導体が少し
ごとにさまざまなポーズを考えて、縦型、横型で撮影、それが綺
わかった」
「参加して新しいことに興味がもてた」
「やりたいこと
麗にカラーポスターとして印刷されました。お待ちかねのお昼
に対して、一生懸命さや失敗を恐れないことが必要だと思った」
は社員食堂で、社員同様に数種類のメニューから選ぶことがで
きました。
「進路を決めることにおいて参考になった」
「人見知りだと思っ
てたけど、全然知らない人の中でも結構やっていけると思った」
午後のセッション
「俺ッ、コンピュ
等の感想が寄せられました。
ータ !?!? (人間計算機体感ゲー
ム)
」
では、
半導体の基本要素である
今後、SEMIでは日本においても年に1、2回のペースで
「ハイテ
二進法、ゲートの動作を、体を使いゲ
ク・ユニバーシティ」
を各地で開催していく計画です。本プログ
ーム感覚で体験しました。また、工場
ラムは、趣旨にご賛同賜り、ご支援をいただけるスポンサーシッ
見学では、初めて着る無埃服に
「何
プによって支えられています。今回の開催にあたり協賛いただ
か変な感じ」
「息苦しい」等の声が挙
いた企業・団体に感謝申し上げるとともに、今後のご支援を募集
がっていましたが、
「エアシャワーが楽
いたしますので、ご検討をお願いいたします。
しかった」
「ものづくりは繊細だと思
った」等、製造現場を目の当たりにし
て感動した様子でした。
この日は「小さな半導体と大きな
仕事」
と題し、
(株)
ルネサステクノロ
「人間コピー機」
で実物大のコピーを体験
4
ハイテク・ユニバーシティ in 滋賀 協賛企業・団体
NECセミコンダクターズ関西 大日本スクリーン製造 アドバンテスト
荏原製作所 キヤノンマーケティングジャパン スズデン
電子情報技術産業協会 半導体部会 東京エレクトロン
日本半導体製造装置協会 日本マイクロニクス 畠山文化財団
半導体先端テクノロジーズ 日立化成工業
日立ハイテクノロジーズ 堀場製作所 ルネサス テクノロジ
SEMI News • 2009, No.2
Column
海外便り ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アンニョンハセヨ !! 韓国での一年、
『これが韓流!』
Hitachi High-Technologies Korea Co., Ltd. 柿井 秀夫
HTK(日立ハイテクノロジーズ コリア)は、日製産業と日立
次は料理編
計測器サービスの各々の韓国支店が統合して、2006年4月に現
韓国料理といえばキムチに焼肉でしょう。私も赴任直後から
地法人として統合してできた会社です。本社はソウル市鐘路区
(ソ
この連続でした。しかし、毎日毎日ですとやはりちょっと胃が重
ウルの旧市街のほぼ真ん中)
にあり、23階建てのモダンな高層ビ
くなり、別のものを食べたくなります。そこから私の韓国料理の
ルに入っています。現在、従業員は営業とエンジニアを合わせ約
冒険が始まりましたが、意外や意外、辛くなく美味しい料理も沢
170名、韓国内にソウルを含め6ヵ所拠点があります。主な業務
山あります。
は、半導体や液晶の製造・検査装置の営業ならびにサービスサ
サンゲタンに始まり、ダッカンマリにサムギョプサルやオー
ポート業務と、LSI、MCUといった半導体ICや各種デバイス
(LSI、
ギョプサル
(どちらも脂の乗った豚肉を焼いた料理)
、各種のホ
2次電池、光学エンジン他)
の営業です。
ルモン焼き
(素材を丸ごと焼きます)
、鴨肉、鴨鍋、うなぎの白焼
私がソウルに赴任したのは昨年の4月であり、ちょうど一年が
きに淡白なおかゆ、何と秋になると松茸は豪快にキログラム単
経つところです。右も左もわからない私が、この一年で感じた意
位で食べます。こうした店は観光案内の本には紹介されること
外な面を『これが韓流!』
と題しご紹介させていただきます。
がありませんので、多分皆さんもあまりご存知ないかと思いま
この記事を読んで、皆様が少しでも韓国に関心を持っていただ
す。野菜について言えば、見た目は不揃いですが、どれをとって
ければ幸いです。
も野菜独自の味とミネラルが豊富に入っており、とても美味し
これが韓流!まずはビジネス編
いです。
『牛肉以外の食材が豊富。これが韓流!』です。
昨年赴任直後、顧客にご挨拶に行こうと思って担当営業を通
じてアレンジをしました。しかし、なかなか日程が決まりません。
最後にゴルフ事情編
これは日本とは大きく違います。まずスタートを取るのがき
何故かな?と思い担当営業に聞いても、当初は日程調整に手間
わめて大変。メンバーであっても、期限までにスタート時間の申
取っているとしか言いません。しかし、1ヵ月過ぎても日程が決
込みをして、その後は連絡を待つだけです。予約が取れたとの連
まらないこともあるので、どうなったかと聞くと、顧客窓口の方
絡はスタート1週間前位が当たり前。取れた予約は、いかなるこ
が、挨拶だけなら移動も時間も大変でしょうから、今回は気にし
とがあろうともキャンセルしたらペナルティーが発生します。
なくてもいいと言っていると言い出します。内心なんてこっち
このペナルティーがきつく、通常はキャンセルでもしようもの
ゃ!と思います。それでも行きたいと言うと、挨拶だけなら来な
なら、その後4∼6週間は予約を受け付けてくれません。したがっ
くていいと、やっと顧客の本音が出てきます。
『挨拶は必要に応
て、雨が降ろうと風が吹こうと雪が降ろうと、プレーできそうに
じて、それより実利優先。これが韓流!』
なのです。
なくとも、コースがクローズまたはキャンセルに同意しない限
顧客幹部へ面談するのは本当にとても大変なことで、私は今
でも努力の真っ最中です。
次に気候編
り、文句を言わすにコースに行く必要があります。
『予約が取れ
たらコースに集合。これが韓流!』
です。
また、ゴルフ場で奇異に感じることは、キャディマスター室に
これは簡単に言えば、冬以外は日本より過ごしやすい所とい
はカードはない!スコアカードはキャディさんより1枚しか貰
うことです。大陸性のため、寒暖の差は大きいですが、東京より
えない、時には何で必要なんですかと質問がくる。皆のスコアは
は快適です。夏でも日中に茹だるような暑さはありません、何よ
キャディがキチンと記入するのが韓流です。さらに、ホールマッ
り湿気が少なく、4月∼11月までは概ね東京よりはずっと快適で
チで勝負が終わっているのに短いパットをしようものなら、何
す。ビジネス上でもネクタイを付ける習慣も一般的でなく、失礼
でパットなんかするのと言う目で見られ、パリパリジュセユ!
にもならないため、特に夏は助かります。
一方、冬はやはり寒い
(韓国語では
『チュヲヨ』
と言います)
(早くしてと言う意味です)
と声が飛んできます。また、キャデ
ィフィーはプレー終了後速やかにクラブハウス周辺で直接渡し
の一言。12月以降は急に冷え込み、氷点下10℃になった週が3
ます
(持ち合わせがないなんて言い訳は効きません)
。
『何事も、
∼4回ありましたが、この寒さになると外出するとか外を歩く
その場で精算。韓流!』
です。
(たとえ 5 分でも)
とかの気力もなくなるほど寒いものです。
これに風が加わると寒さは怖いほど体に侵入してきますし、頭
この記事をお読みになった方は是非今のうちに韓国にお越し
は芯まで凍りつきます。一度、会食の終わった後でタクシーを待
ください。昨年よりウォン安が続いていますが、実はここ10 年
っている数分に耐えられずに、またお店に戻って杯を重ね、暖を
( 1997年のIMF )
を見ても、最近は最もウォン安の水準ですの
とり、
結局はお店にタクシーを呼んで帰ったこともありました。
で、この時期に皆さんも韓国に来て、私の紹介した『これが韓
『冬の寒さは耐えられない。これが韓流!』です。
No.2, 2009 • SEMI News
流!』
を実体験してみてはいかがでしょうか。
5
SEMI Forum Japan 2009
SFJ 2009 プログラム委員長インタビュー
−半導体産業の次のビジネスチャンスを模索するプログラムづくり−
SEMIが2001年より大阪で毎年開催しているSFJ( SEMI
キーワードで括ることにしま
Forum Japan)が、今年も5月26日
(火)
と 27日
(水)の 2日間、
した。
「オーガニックエレクトロニ
グランキューブ大阪を会場に行われます。開催に先立ち、今回の
クスセミナー」
と名づけたこのプ
特徴や聴き所を、プログラム委員長のパナソニック株式会社
ログラムでは、有機EL、電子ペ
海外R&D推進センターグループマネージャー 小倉基次氏にお
ーパー、ブロック共重合体リソ
聞きしました。
グラフィ、色素増感型太陽電池、
有機薄膜太陽電池と、近未来か
第9回目の開催となるSFJですが、これまで関西地区で好評を
ら将来の可能性まで幅広く注
得ながら続いてきた理由はどこにあるとお考えですか。
目技術をカバーしており、業界
SEMI Forum Japanの特徴は、単に技術情報を提供するだけで
SFJプログラム委員長 小倉基次 氏
の発展を考える上で重要なキー
なく、半導体業界の次のビジネスチャンスを模索する場の提供を
ワードであることが改めて確認されました。企業と大学の最新研
目指したプログラムづくりにあると言えるでしょう。特に関西
究成果を知ることができる、聴きごたえのある内容となります。
は、新たなビジネスを創出する進取の気性に富んだところです。
常にビジネスマインドを大切にする理念を柱にして、第1回開催
市場の創出や拡大が大きく期待される分野としては、MEMSや
からフォーラムのキャッチフレーズとなっている「じっくり話
パワーデバイスもSFJでは取り上げてきていますね。
をしませんか」
という呼びかけは、SEMIの枠を超えて、応用物理
と
「パワーデバイスセミ
例年好評を得ている
「MEMSセミナー」
学会や日本半導体ベンチャー協会、半導体シニア協会を巻き込
ナー」も、技術とビジネスのバランスをとった内容となります。
んだ大きな広がりをつくりだしています。
「MEMSセミナー」は、今後期待されるアプリケーションとして、
無線端末への応用、マイクロエネルギーシステム、RF MEMSス
「基調講演」
は、パナソニック副社長の古池様をお迎えします
が、どのようなお話を期待されているでしょうか。
現在の半導体アプリケーションの中心はコンシューマエレク
イッチを取り上げるとともに、それを支える各種製造技術が発
表されます。また、省エネルギーのキーデバイス
「パワーデバイ
スセミナー」では、ワイドギャップ半導体を中心に、市場動向や、
トロニクスであり、パナソニックは、まさにこの分野でのリーデ
電力事業・自動車への応用、SiCおよびGaNパワーデバイスの開
ィングカンパニーです。パナソニックの歴史は、生活を改善する
発状況が発表されます。有機エレクトロニクスも含め、こうした
「More
電化製品を一般家庭でも買いやすい価格で提供するための、技
than Moore」分野の充実が今年の開催の特徴となりました。
術革新の歴史であったと感じます。1929年の世界恐慌の時代に
あって、
「企業は社会からの預かりものである。したがってその
事業を正しく経営して、社会の発展と人々の生活の向上に貢献
するのが当然の務めである。事業の利益は、社会に貢献した報酬
「メモリーセミナー」
が今年は再開されますが、どのような構想
で組まれたのでしょうか。
「More Moore」分野は
もちろん、CMOSの微細化を追求する
として与えられるものである」
という企業理念を定めています。
半導体技術の王道であり、SFJの大きなテーマでもあります。ま
現在の世界同時不況下にあって、パナソニックが社会貢献のた
ず、昨年はお休みした
「メモリーセミナー」
が満を侍して開催され
めに、さらには地球環境のためにどのような次世代半導体技術
ます。メモリーデバイスは、すでに私たちの生活とは不可分の技
を開発しようとしているのか、まさに今わたしたちが耳を傾け
術となっていますが、業界は価格低下に苦しみ再編が進む大き
るべきテーマではないでしょうか。
な転換期を迎えています。こうした状況から、今後発展に向けて
進むべき方向を、歴史的視点、市場的視点、技術的視点から多
今年から有機エレクトロニクスという切り口で、新しいプログ
角的に検討するプログラムを組みました。加えて、32nm/22nmをタ
ラムを加えられたそうですが。
ーゲットとした
「フロントエンドプロセスセミナー」
「微細化のブレ
新しい市場の創出や技術的なブレークスルーをもたらす可能
性があるさまざまな新技術を、
「有機エレクトロニクス」
という
6
イクスルーセミナー」
「多層配線技術セミナー」
を開催し、厚みの
ある情報提供を目指しました。
SEMI News • 2009, No.2
SEMI Forum Japan 2009
メモリーでは実装技術も大きなテーマとなりますが。
コンシューマエレクトロニクス化で重要性が高まり続けてい
最後に、どんな方に参加を勧めるかお聞かせください。
SFJは、最先端の技術動向、最新の市場動向や展望が語られ
で最新最先端技術情報
る実装技術についても、
「JISSOセミナー」
るセミナーに加え、
わかりやすく基礎を解説するSEMI Tutorialなど、
を提供します。携帯電話における実装技術を基点とした3次元
多種多様なセミナーが開催されます。SEMI Tutorialでは「半導
TSV技術、薄片化技術など、周辺技
実装技術と、
その接合技術、
体プロセス技術」や
「太陽光発電技術」のコースもありますので、
術について議論を深めていただきます。
業界を熟知しておられる方はもとより、他分野から新たに半導
体や太陽光発電の分野に移られた方、若手のエンジニアの方に
足元の経済不況から半導体産業が上昇に転じる時期につい
も興味を持っていただけることでしょう。多くの皆様のご参加
ても、情報提供はあるでしょうか。
を心よりお待ちしております。
SFJでは、私たちの技術力による業界の発展を話し合う場を提
供することになりますが、この不況からの出口はいつ見えてく
るのかという、回復のシナリオも一方で必要な情報です。ぜひ
で、ビジネス判断に必要な市場予測デ
「SEMIマーケットセミナー」
SFJ2009の詳細ならびにお申込みはWebサイトから承ります。
>>>http://www.semi.org/sfj
お問合せ先:SEMIジャパン イベント受付
Tel:03-3222-5993 e-mail:jeventinfo@semi.org
ータをご入手ください。業界が勇気づけられるような情報が得
られることを期待して止みません。
SFJ(SEMI Forum Japan)
プログラム紹介
5 月 26 日(火)
・基調講演 10:00-11:10
「パナソニックが目指す次世代技術開発の方向性∼半導体の
視点から∼」 パナソニック㈱ 代表取締役副社長 古池 進
・STEP/ SEMI S2 10:00-17:30
−半導体製造装置の環境、健康、安全に関するガイドライン−
・フロントエンドプロセスセミナー 11:30-18:20
−32nm/22nmノードに向けた最先端CMOSプロセス技術−
・JISSOセミナー 11:30-18:20
−進化を続ける3次元実装技術−
・メモリーセミナー 11:30-18:20
−メモリー技術の次世代への飛躍を目指して−
・微細化のブレイクスルーセミナー 11:30-18:25
−32nmのリソグラフィ技術の展望を探る−
・SEMIマーケットセミナー 13:00-17:00
−半導体市場回復のシナリオを探る−
・JASVA Day OSAKA 13:00-18:10
・MEMSセミナー 10:00-17:00
−MEMSの新たな発展に向けて−
・パワーデバイスセミナー 10:00-17:00
−Siを超えるエコデバイスがいよいよ市場に−
・オーガニックエレクトロニクスセミナー 10:00-17:00
−広がる有機エレクトロニクスの世界−
・第9回SSIS半導体シニア協会シンポジウム 10:00-17:30
主催:SSIS半導体シニア協会
・応用物理学会関西支部主催セミナー 13:00-16:30
−太陽電池セル・モジュールの特性評価法−
主催:応用物理学会関西支部
協賛:光産業技術振興協会、SEMIジャパン
5 月 26 日(火)
・27 日(水)両日
・SEMI Tutorial半導体プロセス技術
−半導体デバイス製造プロセスをわかりやすく解説−
全6コース:拡散・注入、多層配線
(1(
)2)
、
リソグラフィ
(1(
)2)
、
エッチング
−難局に立ち向かうベンチャー経営−
26日:9:30-12:30 13:20-15:20 15:50-18:20
主催:
(社)
日本半導体ベンチャー協会
(JASVA)
27日:9:30-12:00 12:50-15:20 15:50-18:20
・SFJフレンドシップパーティ 18:30-19:30
5 月 27 日(水)
・マニュファクチャリングサイエンスセミナー 10:00-16:50
−歩留り向上と信頼性確保−
・多層配線技術セミナー 10:00-17:00
−たゆまぬ微細化への挑戦と新たなアプリを目指して−
No.2, 2009 • SEMI News
・SEMI Tutorial太陽光発電技術
−太陽電池、PVシステムの基礎から最新動向まで−
全4コース:結晶シリコン太陽電池、化合物薄膜
(CIS)
太陽
電池、薄膜シリコン太陽電池、PVシステム
26日:10:00-12:30 13:30-16:00
27日:10:00-12:30 13:30-16:00
7
PVJapan 2009
太陽光発電の一大イベントPVJapan 2009 いよいよ開催
−6月24日
(水)
∼6月26日
(金)幕張メッセ4、5、6ホール、国際会議場−
PVJapanは、太陽光発電の普及活動を続けてきた太陽光発電
と、ハイテク産業の製造装置・材料の国際工業会
協会(JPEA)
SEMIが協力し、2008年に誕生した太陽光発電の総合イベント
です。
第2回目の開催となるPVJapan 2009は、太陽光発電を広範囲に
カバーする展示会とセミナーを柱に、太陽光発電に関するさま
ざまなイベントが企画されています。また、
「第5回太陽光発電研
」
究センター成果報告会(6月22日、23日開催 日本科学未来館)
(6月24日∼26日 幕張メッセ)
」
「第4回新エネルギー世界展示会
も開催され、太陽光発電を中心に、国内の新エネルギーと再生可
会場図
能エネルギーのイベントが集結します。
特別展示エリア
■ PVJapan 2009の特徴
・太陽電池の川上から川下まで幅広い新技術・製品の展示
・図解太陽電池製造プロセスコーナー
結晶シリコン系、薄膜シリコン系を中心に、太陽電池の製造工
・主要な太陽電池関連メーカーが勢ぞろい
程を図解します。
・豊富な後援、協賛団体による特別展示やイベントのサポート
・太陽光発電システムに関する産業情報、市場動向コーナー
・国や自治体の補助金制度等の情報提供、太陽光発電の普
太陽電池の普及状況、市場形態、国家政策、世界各国の市
及を推進
・特別展示等で、太陽電池の技術、ビジネス、普及関連情報を
豊富に提供
・市場情報、ビジネス、普及施策、技術、標準化などを幅広く
カバーする併催イベント
・
「新エネルギー世界展示会」の同時開催で、再生可能エネル
ギー全般の中での太陽光発電の位置づけを理解
・会場で利用する電力を太陽光発電によるグリーン電力で賄う
場動向などを紹介します。
・技術開発ロードマップコーナー
太陽光発電の技術開発に関するロードマップや情報を展示し
ます。
・普及施策コーナー
国や地方自治体の普及施策や補助金制度などの情報を展示
します。
・太陽光発電関連情報コーナー
太陽電池に関する情報を展示します。
■ PVJapan 2009展示会場での展示と特別企画
アカデミックアエリア
PVJapan 2009は、幕張メッセの展示棟4、5、6ホールと国際会議
大学・研究機関の研究内容や最新成果を概観でき、
産学連携
場を使用し、国内外の主要太陽電池、関連製品、製造装置、部
の機会を提供します。また、初日24日(水)の午後には、プレゼンテ
品・材料メーカーから、太陽電池インストーラー、さらには大学・研
ーションステージにて、
アカデミアリレートークが行われます。
究機関など、太陽光発電に関わる幅広い分野から多くの出展を
ソーラーパネル施工相談エリア
いただき、昨年の第1回開催を超える規模となります。
PVJapan 2009は、部品・材料関連、製造装置関連、検査・測定
関連、システム・施工関連、太陽電池・モジュール関連の5つの展
ソーラーパネルの施工関連の展示エリアです。施工に関する
ご相談も承ります。
プレゼンテーションステージ
示エリアに加え、
主催者による
「特別展示コーナー」
、
大学・研究機
展示会場内の特設ステージを設け、太陽光発電に関する新製
関からの技術展示が行われる「アカデミックエリア」
、出展社による
品・新技術・開発コンセプトなどの最新状況などがプレゼンされ
セッションが行われる「プレゼンテーションステージ」
、さらに
ます。
「新製品・新技術リリース」
「アカデミア リレートーク」
は国際会議場でのマーケットや技術、普及等に関する各種セミ
ナーなどで構成されます。
8
「プロダクト&テクノロジーアップデート」等、魅力的な20分単
位の連続セッションは、いずれも無料で聴講いただけます。
SEMI News • 2009, No.2
PVJapan 2009
■ 国際会議場で開催される講演、セミナー
各種太陽電池の基本構造や発電の仕組み、システム等の基
国際会議場では「再生可能エネルギー世界フェア」および
礎知識を、分かりやすく解説します。太陽光発電のすべてに
として、太陽光発電、その他再生可能エネルギ
「PVJapan 2009」
ついて、広く基礎を習得することができ、初心者や新規ビジ
ーに関するさまざまなプログラムが催されます。
・再生可能エネルギー世界フェア基調講演
ネス検討者に好評な講座です。
・
(独)
産業技術総合研究所 第5回太陽光発電研究センター
国内外のエネルギー政策や長期的展望について、
経済産業省、
成果報告会
デンマーク大使他より基調講演が行われます。詳細は、
「新エ
産業技術総合研究所 太陽光発電研究センターにおける2008
ネルギー世界展示会」公式Webサイトをご参照ください。
年度の活動と成果の概要について、結晶シリコン、薄膜シリコ
http://www.renewableenergy.jp/top.html
ン、
化合物薄膜、
有機材料を用いた太陽電池開発、
評価システ
・Executive Forum−グローバルリーダーがPVの潮流を語る−
ム技術開発、
産業化移転等が報告されます。
会場は日本科学未
太陽電池産業のリーディングカンパニーのトップに加え、
来館 みらい館ホールとなります。
NEDO、米国エネルギー省を講師に迎え、その戦略と将来展
・SEMIスタンダードワークショップ
望を語ります。急速に変化を遂げるPV業界の産業、政策、市
太陽光発電の製造においてもスタンダードの活用が検討され
場動向について、グローバルな視点から眺望し、今後の業界の
ています。本ワークショップでは、多結晶シリコン材料のテス
方向性を探ります。
ト方法、用語定義、スペック、薄膜装置の基板サイズや装置の
・世界の最新マーケット動向
各国の施策や経済状況によって激しく変化するPV産業の、最
新グローバルマーケット動向をお届けします。
・太陽光発電エネルギービジネスの最前線
コントロールソフト等について、標準化の現状と今後の方向
に焦点を当て、議論が行われます。
・SEMIスタンダードPV技術委員会
SEMI日本地区に新設される本委員会では、世界他地区での
メガソーラー発電所、PV産業に関わる流通、インストーラービ
標準化動向の紹介や国内での標準化活動の提案などが予定
ジネス等、太陽光発電ビジネスは多様化しています。急拡大
されています。
している新規市場とビジネスモデルの最新情報をお届けします。
・住宅用太陽光発電システムを導入するには
・その他、再生可能エネルギーに関するセミナー等
でも、国際会議
同時開催の
「第4回新エネルギー世界展示会」
住宅用の太陽光発電について、歴史、システム特長、国内外の
場において新エネルギーに関するセミナーが多数開催されま
動向や導入時の留意点、補助金制度等を説明し、導入検討
す。詳細はwww.renewableenergy.jpをご参照ください。
に役立つ情報を提供します。
・世界各国のPV技術開発の動向を探る
PV技術開発の先進地域である日本、米国、欧州、台湾の研
究機関の代表が、そのタスクと今後の方向性を語り、グローバ
ルな研究開発の動向を探ります。
展示会情報、出展社情報、展示会入場登録、セミナーの
お申込みはこちら>>> www.pvjapan.org
PVJapan 2009は、複合型イベント「再生可能エネルギ
ー世界フェア」の主要イベントとして開催されます。太陽
・グリッドパリティ実現に向けた結晶シリコン太陽電池の最新技術
光発電協会、SEMI、再生可能エネルギー協議会、(独)産
結晶系シリコン太陽電池について、太陽電池メーカーと製造・
業技術総合研究所の4団体による豊富なプログラムで構成
装置メーカーそれぞれの最新の技術開発状況を語ります。グ
されています。
リットパリティ実現に向けた高効率化、高信頼性化、コストダ
ウン等を切り口に議論します。
・台頭する薄膜系太陽電池の最新技術と挑戦
新規事業化やターンキービジネスなど、ここ数年でめざまし
い成長を遂げる薄膜系太陽電池。薄膜シリコンや化合物半導
など、各分野のリーディングカンパニーの第一人者
体(CIS)
を講師に迎え、薄膜系太陽電池の研究開発や量産化技術、
将来展望について議論します。
・SEMI Tutorial PV入門講座
太陽光発電について基礎から学びたい方へのTutorial講座です。
No.2, 2009 • SEMI News
9
Photovoltaic
住宅用太陽光発電補助制度とJ-PECの活動について
太陽光発電普及拡大センター
(J-PEC)
センター長 戸成 秀道
1. 再びか、
「始まり」
か
昨年の暑いころだった。ついこの間のことのようであるが、も
う半年以上も経過している。政府の平成21年度予算の概算要求
葉があるが、この法則に従うとすると、普及がブレイクスルーす
るまでには、まだ200万件以上の設置が必要となる。どうやって、
いつまでにこの壁を乗り越えようというのか?
に、
住宅用太陽光発電に対する補助の予算が盛り込まれた。
私自
J-PECの守備範囲は住宅用PVの補助執行に限定されるが、
の業界にいて、海外、特にヨーロッパ
身、太陽光発電
(以下PV)
現在、
政府機関を中心にさまざまな普及拡大策が検討されている。
市場におけるPVの活況を横目で羨ましく眺めながら、どうやっ
個人的には、
ドイツや欧州の各国が今のようなPV大国になる前、
1)
2)
て補助もFIT もない国内の低迷を打破しようかと、もがいてい
当時「アーヘンモデル」 として業界人や一部の専門家しかその
た矢先の驚愕であった。しかも、その後の平成20年度補正予算
存在を知らなかったころから、現在のFIT方式を支持してきた。
の審議においては、90億円の予算を前倒しして年度内に実施す
社会的に意味のあることは社会の構成員全員で平等に負担する
ることまで一気に決定された。
ことが、成熟した民主主義国家のあるべき姿とも考える。このた
兆候はあった。洞爺湖サミットを契機に、再生可能エネルギー、
び、経済産業省から日本版固定価格買取り制度が示されたこと
「福田ビジョン」では大きな数値
とりわけPVへの期待が高まり、
は非常に嬉しく、今後、補助制度との相乗効果により、普及のス
目標も掲げられていた。しかしながら、過去に一度終えたシンプ
ピードは加速すると信じる。
ルな
「設置補助」が再び予算化されることなど、誰も予想だにし
ていなかった。
さらには、PVを設置しようとする方、もしくはPVに興味を持
っている方たちが、設置の検討を身近なところで行える公的機
今回の経済産業省による
「住宅用太陽光発電導入支援対策
関の整備が、
普及を加速する上での重要課題だと考える。
住宅用
新エネル
費補助金」
は、
平成6年度から平成17年度まで12年間、
PVは、その多くが訪問販売によって市民に紹介されている。訪
ギー財団(NEF)により行われた補助政策とは根本的に異なる部
問販売の是非を云々するものではなく、現在の普及の下支えを
分がある。設置補助であることと、1kWあたりの補助単価が設定
しているのは訪問販売そのものであるのだが、市民に対する情
されていることは共通であるが、補助要件に価格の上限が明確
報量の不足が、一部の悪質な訪問販売業者の横行を許し、普
に設定されていることは初の試みだ。これは、
「PVの市場価格を
及にブレーキをかける新たな火種を植え付けていることは否めない。
半減する」
という政府の大きな方針が反映されたものである。
PVの
また、
各販売会社の訪問販売の営業員を維持するコストが、
その意味では、今回の補助は国内PVの普及が第2フェーズに入
コストを高止りさせているひとつの要因であることも確かである。
ったことを告げる
「新たな始まり」
と言える。
そうした中で、今回の国の補助制度は、各都道府県に受付・審査
平成21年度補助制度の詳細については、J-PECホームページ
の窓口団体を置いている。そして、国の補助に連動して、地方自
にあるのでご覧いただ
(http://www.j-pec.or.jp/index.html)
治体での上乗せ補助も多く予算化されつつある。各地域でこう
きたい。基本的には、
いった窓口団体が情報の一元化と情報発信を行うことにより、
①対象は電灯契約を結んでいる個人住宅
販売会社はより売りやすく、設置希望者はより適切な情報が得
②7万円/kWの補助
③70万円/kW以下で設置されるシステムが補助対象
等と、前年度の内容そのままでの継続となっている
が、今年度は約200億円の予算で導入目標を84,000
件としている。
2. 普及率10%を狙う
日本の戸建住宅は約2,600万戸と言われている。
その中でPVが設置された住宅は、昨年度上期まで
、現在のPV普及率はまだ2%に
で約43万戸(図1)
という言
満たない。家電業界には
「普及率10%の壁」
10
図1
SEMI News • 2009, No.2
Photovoltaic
られて検討しやすくなるであろう。その上、設置補助も、
「国・都道
4. 課題の根っこは深い
の達成もさることながら、
今年度の補助予定件数(84,000件)
府県・市区町村」のトリプル受給も可能となる。単純計算で恐
縮だが、日本版固定価格買取り制度と相まって、年率20%の伸び
数年にわたって補助を継続し、この補助の目的である普及と価
を10年以内には越えること
を示していけば、
「普及率10%の壁」
格低減の両立を達成するためには、各年度における適切な補助
が可能となりそうだ。福田ビジョンを実現するためにも、最低で
要件の策定が重要課題となる。
図3に、NEFによる補助が開始されて以来の価格の推移を示す
もこの程度の伸びは実現する必要がある。国が目指している補
が、平成11年度以降、補助金額を除いた設置者の自己負担金
助情報の「ワンストップサービス」
をぜひとも実現したい。
額にはほとんど変化がない。
3. J-PECの創設
となって
業界団体であるJPEAとして、ここ10年間「踊り場」
昨年の10月31日に、有限責任中間法人 太陽光発電協会(以
いる
「自己負担金額の低減」
という厳しい現実に、どのようにし
下JPEA)が、経済産業省資源エネルギー庁の公募に名乗りを上
て立ち向かっていくのか。困難な局面が待ち構えていることは
げ、
補助執行機関として決定された。
前述のごとく、
補助スタートへ
間違いないが、高い理念を掲げて臨んでまいりたい。
の期待は大きかったものの、予測を超えての急展開であったた
め十分な準備期間もないまま、協会の中に補助執行の専門部署
1)
FIT:フィードインタリフ
(feed-in tariff、固定価格買取制度)
の
」
を設立し、本年
として「太陽光発電普及拡大センター
(J-PEC)
略。再生可能エネルギーなど、コストの高いエネルギーの普
1月13日に、平成20年度内の受付開始を何とか実現した。補助
及や技術開発を促進するための助成策の一種。ドイツやス
開始までの紆余曲折は筆舌に尽くせないものがあるが、手前味
ペインなどで取り入れられ、PV設置の大幅拡大を実現した
噌になるため割愛する。
が、いくつかの課題も指摘されている。
J-PECは約50名の人員で構成されているが、初めてPVの業務
2)
アーヘンモデル:ドイツのアーヘン市で1995年に始められた、
現在のFIT制度の原型となったモデル。
に携わるものが多数を占め、今でも日々試行錯誤の連続である。
現在の組織は図2の通りとなっている。各グループの主たる
業務は以下の通りである。
①管理グループ:国からの補助金の受取りと、補助事業者に対
する支払い、ならびに補助システムの構築・メンテナンス
②受付グループ:全国からの補助金交付申請の受付・審査な
らびに交付決定通知書の発行
③審査グループ:全国からの実績報告の受付・審査ならびに補
助金交付の確定
④交付グループ:補助金交付額の確定ならびに交付額確定通
知書の発行
図2
⑤広報・調査グループ:補助金情報の広報、WEBサイトの管理
ならびに物件の調査
各都道府県内の受付等窓口団体は、JPEAによる
公募により決定されたが、各都道府県地球温暖化防
止活動推進センターと同じ団体に多く名乗りを上
—90
げていただいた。むろん、それ以外にも産業振興や
—85
住宅土地供給など、公益事業の経験豊富な団体に
—50
—34
—34
—33
携わっていただいている。今後とも何らかの形で元々
の活動内容との相乗効果が得られ、各地でのPV情
報の受発信基地となっていただくことを期待して
—110
—85
—70
—72
—73
—27
—12
—10
—9
—5
—2
—0
—0
—60.9 —57.4 —63.3 —61.0 —60.0 —63.0 —64.1 —68.3 —69.6
いる。
図3
No.2, 2009 • SEMI News
11
SEMI Standards
SEMIスタンダード利用のオンライン化
−新システム「SEMIViews」導入とCD-ROM版スタンダードの2009年内廃止のお知らせ−
SEMIスタンダードの利用が、新システム
「SEMIViews」
によっ
の発行形態
■ これからの
「SEMIスタンダード」
てオンライン化されます。利用者はいつでも最新のスタンダー
」
“せみ びゅーず”
と呼びます)
の登場
新システム
「SEMIViews(
ドにアクセスし、オンラインならではのさまざまな機能により、
により、今後は利用者がインターネット上に随時アクセスして、
一層の効率化を図れるようになります。新システム
「SEMIViews」
使用頻度の高い規格(群)
を閲覧・PDFダウンロード・検索・相
について、この導入に伴う影響とともにご紹介します。
互参照・脚注付記などする、といったカスタマイズ使用が可能と
に出
なります。また、従来のように言語ごと
(英語版/日本語版)
とは?
■「SEMIスタンダード」
ではマルチ言語対応
版されるスタイルとは異なり、
「SEMIViews」
SEMIスタンダードは、世界中の半導体やFPD製造において広
となります。たとえば、半導体製造装置の環境、健康、安全ガイ
く利用されている業界自主基準です。1973年に活動が始まって以
なら、
「SEMIViews」では英語、日本語、中
ドライン
「SEMI S2」
35年以上もの間、専門家から高い信頼と評価を得ており、その
来、
国語の3言語がまとめてご利用いただけます。このような特長を
準拠は今では業界に深く根付いています。SEMIスタンダードは
は、本年3月提供開始となり、今後さらなる
持つ
「SEMI Views」
典型的な『コンセンサス標準』であり、コンセンサスベース国際
機能向上が予定されています
(詳細後述)
。以上のような発行形
業界自主基準と言えます。しかも、部材メーカー、製造装置メー
態変遷のイメージについては、図1を参照ください。
カー、デバイス
(パネル)
メーカー、検査・評価機関、サービスプ
ロバイダー等々、エレクトロニクス製品製造の源流から最終消
費材に近い部分まで、広範囲な標準化対象をカバーしているこ
とが特色です。現在では、次表1のようなポートフォリオとなっ
ています。
(2009年3月現在)
表1 SEMIスタンダードのポートフォリオ
標準化対象分野
(12)
半導体製造
(ハードウェア、ソフトウェア、
設備、ガス、材料、リソグラフィ、パッケ
ージング、プロセスケミカル、EHS )
、
FPD製造、MEMS、PV
発行済規格数
約780規格
(約830名=38%)
登録委員数
(日本地区) 約2,200名
登録委員所在国/地域
米国、日本、韓国、台湾、中国、欧州 他
■ これまでの
「SEMIスタンダード」
の発行形態
は、正文が英語で各技術委員会により開
「SEMIスタンダード」
図1 「SEMIスタンダード」
出版物の変遷イメージ
■ CD-ROM版スタンダードの廃止スケジュールについて
です)
■(2009年は「移行期間」
(3月・7月・11月)
SEMI
発され、所定の承認過程を経たものが年3回
の導入に伴い、SEMIスタンダードの既存媒体の
「SEMIViews」
本部より出版されてきました。そして、SEMIジャパンでは、ほぼ
うち、CD-ROM版については言語を問わず全世界的に2009年一
全規格について和訳した「SEMIスタンダード日本語版」を約3
杯で廃止となります。本年はその移行期間にあたり、CD-ROM版
ヵ月遅れで発行しています。また、
「SEMIスタンダード」の発行
スタンダードの商品種別の販売終息予定は、表2のようになります。
媒体としては、全規格を収録したCD-ROM版、もしくは個別規
格PDFダウンロードが中心でした。つまり、電子媒体での発行で
はあるものの、固定された
(静的な)
情報の提供に留まっていた
■「SEMI Views」
の特長
充実したデータベース機能と最新のIT技術により、利用者は、
ため、スタンダード利用者には、膨大な量の規格(群)情報から
「いつでも」
「どこにいても」SEMIスタンダードを快適にご利用
自分に必要な情報を独力で抽出するという労力が求められてい
いただけます
(つまり、煩わしいCD-ROMの取扱いから解放さ
ました。
れるのです)
。
12
SEMI News • 2009, No.2
SEMI Standards
の販売終息予定
表2 「全規格収録CD-ROMスタンダード」
種
別
購入可能な最終版
購入可能期間
(いずれも2009年)
アップ
デート
2回付
」2008年 11
「1108(
月出版の英語版)
翻訳版を初回に配
送する商品
6月末まで
・アップデート1回目
・
(配送:7月)
・アップデート2回目
・
(配送:11月)
「1108」翻訳版
6月末まで
「0309」翻訳版
7∼11月まで
「0709」翻訳版
11∼12月末まで
「0309」英語版
6月末まで
・アップデート1回目
・
(配送:7月)
・アップデート2回目
・
(配送:11月)
言
語
日
本
語
版
英
語
版
アップ
デート
なし
アップ
デート
2回付
(Notes)
」
の例
図2 「脚注
¡単独規格もしくは全規格に関するライセンス契約形式(年単
位)
です。なお、分野別(たとえば安全分野、ソフトウェア分
野、材料分野など)
ライセンスについても取扱いを検討中です。
の例
図3 「リンク」
¡利用者のアクセス頻度の高い規格(群)
に即アクセスできま
す。
(図2参照)
¡単一規格、
規格群、
全規格のいずれからも高速検索可能です。
¡規格内のどのセンテンスにも利用者オリジナルの「脚注
(図2参照)
(Notes)」が付記できます。
¡同一規格内または複数規格間の相互参照リンクが設定できま
す(
。図3参照)
¡必要なトピック
(キーワード)
に関して記述を抽出し、
「コレ
クション」を作成できます。
(図4参照)
の例
図4 「コレクション」
¡規格ごとに英語以外の翻訳が参照でき、マルチ言語利用とな
ります(
。ほぼすべての規格に日本語訳があり、安全分野には中
国語訳もあります。
(
)図5参照)
¡ライセンス契約範囲内の規格については、
契約期間内に改版さ
れた場合は自動更新されます。一方、前版も参照可能です(
。図
6参照)
■「SEMIViews」
の機能拡張予定
図5 「マルチ言語
(日本語訳)
」
の例
システムは、今後も継続的に機能が充実されて
「SEMIViews」
いく見込みです。たとえば、規格利用だけでなく関連するオンラ
インセミナーの受講、規格の履歴参照、ワークグループ間での情
報共有、日英両言語の同一画面での並列使用といった機能強
化が検討されています。
SEMIスタンダードおよびSEMIViewsに関するお問合せ先:
SEMIジャパン スタンダード部
(奥田)
Email:kokuda@semi.org Tel:03.3222.5873
No.2, 2009 • SEMI News
図6 「バージョン指定」
の例
13
FPD Industry
エンジニアのダイナミズムについて思うこと
堀場製作所 半導体システム統括部 統括部長 佐竹 司
「パネルベイ」
と呼ばれる大阪湾沿岸には、FPDの重要な生産
トル)
を利用して、光が膜で反射するときの微妙に変化する特性
1995年の阪神・淡路大震災によっ
拠点が多く構築されつつある。
を検出して、光のスペクトルを数値演算することによって、膜厚
て多大な被害の生じたエリアである。地震のとき計画全長3,910
や膜質の情報に変換している。
メートルの明石海峡大橋は建設途上にあったが、地殻のズレに
図2は、測定法によって計測の守備範囲が異なる例を示してい
より約1メートルも橋脚間が広がってしまったそうであるが、エン
る。
光干渉式膜厚計は、
光が膜に進入し反射するときの干渉現象
ジニアは建設工事に補正をかけながら1998年に完成させた。
を計測しており、概ね厚い膜の計測に向いている。エリプソメト
本稿では、エンジニアリングに携わる者として、ダイナミズム
について記述してみたい。
は、膜に斜め方向から光を進入させ、縦方向と横方向
リー
(図3)
の光成分が反射によって変化する特性を検出して、数値解析を
通して膜の種類ごとに膜厚と膜質情報に変換しており、薄膜や
■ 自動薄膜測定機器
多層膜の測定に向いている。
堀場グループは計測機器メーカーとして、物質の三態
(液体・
光の干渉性の微妙な変化や、光の偏光特性を利用したその位
気体・固体)
を測ることから、物質の真理を科学的に探求し、豊か
相情報から、膜の特性情報を解析的に求めることが安定して実
な社会生活の発展に貢献することを追求している。FPD産業分
現されるためには、実はハードウェアが支えていることが少な
野では、特にガラス基板上の透明電極薄膜の膜の性質を計測す
くない。
る、自動ハンドリング装置対応付計測機器を提供させていただ
一般的に要求される測定の精密度は、0.01ナノメートルオーダ
いている。私たちのFPD分野への動きは、もともと半導体分野の
ーで、膜厚の概ね1%以下に相当する。FPDパネル生産において
シリコンウェハー上の薄膜計測を手がけていたので、その延長
は、この膜厚のばらつきが最終製品の特性に影響を及ぼすため、
線上で製品展開を想定して事業化した。
■ ダイナミックレンジに関連して
計測機器メーカーの人間が明石海峡大橋に投入された物材
量の数字を前にすると、感覚的に付いていくことがまったくでき
ない。使用されたコンクリート142万立方メートル、鋼材20万トン。
これで仕上がり全長3,911メートル、高さ297メートル。80メー
トル/秒の強風と、マグニチュード8.5の地震に耐える。しかも、天
災による1メートルもの異常な変動量を克服しての結果である。
FPD産業分野でお客様から注文をいただくたびに悩んできた
ことは、ガラス基板サイズの大型化であった。私たちはG4.5の時
代からスタートし、現在ではG8.5までのすべての世代の自動薄
図1 薄膜測定風景 G6基板
を提供させていただいている。シリコンウェ
膜測定装置(図1)
ーハ上の薄膜測定経験からシステムを転用しつつ、FPD産業に
ふさわしい装置まとめを実現させてきたとは言え、大橋梁に比
べると、そのスケールイメージはまったく比較にならないほど
の小さな構造体にすぎない。しかしながら、顧客の要求される薄
膜の測定性能を達成するには、設計の感性にとても大きなダイ
ナミックレンジが必要である。
計測対象となる膜の厚さはだいたい10ナノメートルから3マ
イクロメートルの範囲にあって、測定値の精密度が要求される。
この要求に対して私たちは、主に可視光
(波長400∼700ナノメー
14
図2 光干渉式膜厚計とエリプソメータの比較
SEMI News • 2009, No.2
FPD Industry
事業運営において最も大切にしていることは、顧客の真のニ
ーズは何かを本当に理解し、それにお応えしていくことである。
昨今では、半導体・FPD産業に加えてPV産業界からも計測装置
を本格的導入するニーズが高まっている。世界的なエネルギー
供給問題を解消する方向に向かって、太陽電池パネルの生産量
増大による総発電量を確保する動きはすでに始まっている。
私たちはこのトレンドに貢献するために、たとえば図5に示す
図3 エリプソメータの原理模式図
ような、ガントリー型の装置を提案し始めた。パネル生産ライン
で流れているパネルを、理想的にはその状態で計測することが
品質コントロールの重要な対象のひとつにされている。私たち
2∼8秒の測定
チャレンジ要素である。
従来の薄膜計測機器では、
計測機器メーカーは、この0.01ナノメートルを実現させるために、
時間をいただいた。しかしながら、膨大な太陽電池パネルの生産
製品移動ステージの堅牢性確保、X-Y-Z移動ステージ、オートフ
をするには、今度は測定時間を限りなく短くし、測定のために生
ォーカス機能、パターン認識機能を駆使しながら、ベストミック
産を止めることのない計測機器が必要と気づいている。エンジ
スの状態を生み出している。
ニアは、今度は測定時間のダイナミックレンジを2∼3桁上げて
パネルサイズG8では、長辺が2.46メートルあるので、エンジ
ニアが常に想起しなければならない寸法のダイナミックレンジ
総合
は、
要求される測定値の精密度の比から11桁にも拡大する。
仕事に取り組むことになる。
計測技術で社会貢献をするために、さまざまなダイナミズム
拡大に拍車をかけていかねばならないと感じている。
的に良い製品を生み出すには、製品を手がけているエンジニア
が、装置サイズの大小にあまりとらわれることなく、その製品目
的を達成するにふさわしいバランス感覚をもつことが大切であ
ると感じている。
FPD用パネルでは、これから比率が上昇するOLEDにおいて、
測定時の雰囲気も配慮しなければならなくなっている。OLED
の劣化特性を見つめると、
水蒸気や酸素の存在影響が大きい。
現
。生
在は封止されたパネルを、ガラス面から測定している
(図4)
図4 OLEDパネルの測定
産性向上に寄与するには、本来は封止前の状態で計測すると、
OLEDパネル生産の早い段階でフィードバックができるのだが、
まだ実現できる段階にない。エンジニアは、寸法に加えて今度は
測定空間の気相制御にチャレンジせねばならず、空気中に存在
する数パーセントの水蒸気と約21パーセントの酸素を、いかに
Mono Stage
限りなくゼロにするかが課題となる。現実的には、到達濃度をゼ
ロにすることは不可能であるのだが、仮に数ppmをターゲット
Sensor head
とすると、ダイナミックレンジで7桁のガス濃度を操作すること
となる。
Work transfer EQ. (USER)
Wo
rk
■ エンジニアリング力の養成について
Flo
w
FPDおよび半導体業界は、基板・ウェーハサイズの大型化かつ
プロセスの一応の微細化に基本路線が置かれている。
また、
パネ
ル・デバイスの製品性能向上のために、新材料開発とプロセス開
発が同時に実行されている。計測機器メーカーのエンジニアと
しては、これらの多様な変化に対応していくために業界で何が
PC
PSU and Stage controller
行われているかを、常に自らの感性で理解できるまで解析的に
知ることが、大変重要であると感じている。
No.2, 2009 • SEMI News
図5 PV向けガントリー型薄膜測定装置
15
STS Award
「第15回STS Award」
受賞論文紹介 6
受賞者:株式会社ザイキューブ 元吉 真
「イメージセンサー用単純TSVウェーハレベルCSP技術とその応用」
受賞論文の紹介にあたり
に技術は沸騰、市場は蒸発状態です。ですが、金融経済の綻び
STSプログラム委員会 前委員長(2006∼7年)
:株式会社荏原製作所
を縫う処方箋は技術革新しかありえません。STSの役割はますま
常務執行役員 精密・電子事業カンパニー 装置事業部長 辻村 学
2005年にパ
す重要度を増すことでしょう。
三次元実装に関しては、
SEMIニュースでは、会員の皆様の満足度向上の一貫として、
(45nm、45µm、45cmで技術パラダイムが大変化
ラダイムシフト45
2007年STSのAwardから厳選されたテクノロジーの感激を再度味
を起こすという仮説)
でも述べましたが、微細化と大口径化で逡
わっていただきたく、6人の受賞者の皆様に寄稿をお願いしてき
巡している今こそ3Dの出番です。TSVは①小型化 ②高性能化
ました。メモリの石綿様をトップバッターに、MEMSの高木様、
③多機能化を目的としていますが、いずれもコスト優先です。元吉
エッチングの田中様、テストの津本様、リソ&マスクの井上様と
さんは、現在のイメージセンサ用CSPから最先端の裏面照射型イ
続き、今回ラストを飾るのは、パッケージングから
(株)
ザイキュ
メージセンサまでわかりやすく説明してくださいました。5µピ
ーブの元吉様に、TSVウェーハレベルCSP技術を紹介していただ
ッチ、2µバンプを用いた事例はまさに近未来の3D実装を具現化
きます。この1年で業界市場は大きく変動しました。昨年は100
しており、圧巻です。さあ、STSから技術革新を掘り起こし、金融
年に一度の不況と言われ、今年は100年に二度目の大不況?まさ
経済に揺れる世界へパラダイムシフトです!
■ 概要
しても、厚さは1mm以下に抑えられ、従来のパッケージの中に入
(以後3D-LSIと呼ぶ)
が注目を浴び、各社で
近年、三次元LSI
の研究開発が加速してきました。
3D-LSIプロセス技術は、①LSIチップの表と裏を結ぶ貫通配線
れることができます。
3D-LSI技術の応用範囲は、メモリ積層型コンピュータチップ、
大容量メモリ、高性能イメージセンサ、医療用小型デバイス等、
の形成 ②チップ間を電気的に接続
(TSV:Through-Silicon Via)
多様です。数年後には、化合物半導体やMEMS等のシリコンLSI
するバンプの形成 ③薄厚チップ形成術 ④チップ間の位置合わ
以外のチップも、積層した多機能なデバイスや積層構造を有効
せ ⑤チップの接着の5つの基本技術からなります。本論文では
に使った新しいアーキテクチャーも出てくると予想されます。
3D-LSI技術の応用製品のうち、超小型のイメージセンサと高性
3D-LSIは、入力された電気エネルギーを効率よく使えるという
能イメージセンサの例を挙げながら、技術を紹介していきます。
点から、今後の半導体技術の中の主要な技術になると期待され
LSIの中では、記憶・演算・制御といった多くの処理が電気的にな
ています。
10cm角のLSIチップで全
されます。
近年のLSIでは微細化が進み、
■ 3D-LSI技術を用いたイメージセンサ用CSP
配線の長さは数キロメートルにも及びます。このような配線の
LSIは半導体チップ表面に回路が形成され、信号や電源を外
中を多くのデジタル信号が走りますが、この配線で消費される
部から取り入れるための出力電極が表面に出ています。
実装面積
電力と信号遅延は配線の微細化が進むにつれ、大きな問題にな
を抑えるには、LSIの回路面をプリント配線基板側に向けバンプ
ってきました。たとえば、あるマイクロプロセッサLSIでは、配線
を介してこの半導体チップの出力部と基板をつなぐ、フリップ
部分で全体の30%の電力を消費しているといった報告がありま
チップ接続という方法を取っています。
す。3D-LSI技術では従来、1つのLSIチップ内に二次元的に配置
イメージセンサの場合は、LSIの表面に形成された受光部は外
された種々の機能を持つ回路ブロックを分割し、積層して、チップ
側に向く必要があるため、このようなフリップチップ接続は難
間をTSVで接続します。いろいろな機能を持つ回路ブロックを三
しいですが、3D-LSI技術を使えば可能になります。LSIのチップ
次元的に並べることができると、レイアウトの自由度が大きく
とほぼ同じ大きさで、既存のパッケージにイメージセンサを入
なります。信号処理する回路ブロック間の距離を短縮でき、結果
れた構成と同じ機能をもつ、イメージセンサ用チップサイズパ
としてデータ処理速度が上がります。また、多数の信号線で回路
ッケージ(以降CSPと記す)が実現できます。図 1にCMOS
ブロック間を接続できるため、並列に高速に信号処理ができま
イメージセンサ(以降CISと呼ぶ)用のCSPの模式図を示しま
す。裏を返すと、同じ性能で、消費電力を下げることができます。2
す。断面図から分かるように、センサーLSIの受光素子の上面に
つ目の利点は小型化です。通常のMOS型のLSIは、半導体基
は、有機材料で形成されたカラーフィルターとマイクロレンズ
板のごく表面の電気的特性しか使っていないので、0.01mm以下
があります。その上に、空隙を介してカバーグラスが接着されて
まで薄くしても動作します。このような薄いLSIチップを数十層積層
います。チップ周辺の出力電極の裏面から電極をLSIチップ裏面
16
SEMI News • 2009, No.2
STS Award
図1
図3
図2
図4
まで約50µm径のTSVによって引き出し、裏面配線を介して、裏
き合わせにし、マイクロバンプによって電気的に接続されてい
面にアレイ状にバンプを配置しています。
ます。このような構造を用いることにより、画像信号を並列に処
図2に、本技術を用いて試作したCIS用CSP単体と、このCSP
理でき、裏面のほぼ全面をセンサとして使えるので、高速で高感
を評価用ボードに実装した写真を示します。パッケージは写真
度のイメージセンサが実現できます。このほかに、マイクロプロ
から分かるとおり、センサチップと同じサイズです。この例では、
セッサ、グラフィックプロセッサやFPGAとメモリを組み合わせ
130万画素のCISでサイズは約5mm x 5mmで、裏面には7 x 7
て使う場合にも有効です。
(49個)のバンプがアレイ上に配置されています。
■ 次世代3D-LSI技術を使ったイメージセンサ
■ まとめ
3D-LSI技術の利点は、半導体のエネルギー効率向上、小型
前述の例は、主として小型化を目指したものでした。三次元構
化、
並列信号処理に向いた構造、
異種デバイス混載可能というこ
造をとって高性能化を目指すためには、より径の小さいTSVと、
とにあります。本論文では、3D-LSI技術を使ったイメージセンサ用
バンプを使って多くの配線でチップ間を接続することが必要で
CSPを例にとって技術説明をしました。開発したプロセスを130
す。我々は、1cm角のチップで10万本以上の配線でチップ間を接
万画素のCMOSイメージセンサLSIに適用し、劣化のない画像特
続できる5µmピッチのTSVと、マイクロバンプ技術を作りまし
性を得ました。また、将来の3D-LSI技術のひとつとして、5µmピ
た。図3にマイクロバンプの試作例を示します。バンプサイズ
ッチのマイクロバンプの試作例を紹介しました。この応用例と
は2µm x 2µmです。このような微細ピッチのマイクロバンプと
して、裏面照射型センサーとロジックLSIをマイクロバンプで接
TSVを組み合わせることにより、非常に高性能の3D-LSIを作る
続することにより、高速で高感度のイメージセンサが実現でき
ことができます。図4は、裏面照射型イメージセンサとロジック
ます。また、イメージセンサ以外にも多くの応用が考えられ、今
LSIを組み合わせた例です。2つのチップはLSIデバイス面を向
後の半導体技術の中の主要な技術になると期待されています。
No.2, 2009 • SEMI News
17
Semiconductor Design
SiP技術が拓く世界(その4 医療機器用SiP化技術)
株式会社ルネサステクノロジ システムソリューション統括本部 SIP開発センタ センタ長 赤沢 隆
1. はじめに
が約30チャネル搭載されています。高級機種になると、実に
本ページでは、第1回目はデジタルカメラの例、2回目は携帯電
128/256チャネルが必要とされます。1枚のセット基板に搭載する
話の例、そして3回目は車載ナビゲーションの例を解説してきま
ことのできるディスクリートの部品数には限りがあるため、超
した。いずれの例も、デジタル化時代にあって大量に生産される
音波診断装置の筐体内に納められる基板の枚数も膨大なものと
物で、
小型化と高性能化を追求した製品郡でした。
今回は少し毛
り、筐体の小型化を阻む原因となっていました。さらには、複数
色の変わった医療機器への応用例のお話をしたいと思います。
の基板に対して遅延時間のバラツキをなくしたプローブからの
医療機器といってもいろいろな種類の装置がありますが、一般
アナログ信号を分配するために、セット設計にも苦労が多かっ
の方が医療施設で普段お世話になる装置として、X線透視撮影装
たようです。
(コンピュータ断層法:Computed Tomography)
、
置、X線CT装置
また、超音波診断装置の高機能化に伴い、ADCに要求される
超音波画像診断装置、電子内視鏡などがありますが、ここでは超
変換速度や分解能などの性能も高度なものが必要になってきてい
音波画像診断装置に応用されたSiP技術について解説します。
ました。
2. 医療機器の生産動向
4. 開発の背景
表1に平成16年および17年度の医療機器小分類の生産金額の
このような背景の中、某医療機器メーカーから、超音波画像診
10位までを示します。
汎用超音波画像診断装置は、
全身用X線CT
断装置用途として、小型化、高性能化を主な目的として、新規に
装置に次ぐ2位の生産規模があり、装置のニーズが高いことがわ
アナログ回路搭載のSoC開発の依頼がありました。開発費および
人の内臓の診断
かります。
また、
開発の話があった2001年当時は、
新規SoCの単価も比較的高く、ビジネスとして十分に成り立ちそ
用途や胎児の状態診断が一般的で、画像としては白黒が普通で
うな案件でした。しかしながら、医療機器の中では比較的生産台
したが、カラー化の開発も進んできており、人の内臓診断用途の
数も多い超音波画像診断装置ですが、通常のカスタムLSIの生産
みでなく、血管や血液の診断にも用途が広がりつつありました。
台数に比べると一桁から二桁も少ない1,000∼5,000個/月という
3. 超音波画像診断装置概要
生産数量であり、新規カスタムLSIを開発するほどの規模がない
はじめに装置の概要を説明します。
超音波画像診断装置は、
人
という問題がありました。また技術的な課題としても、当初の要
体に直接当てるプローブと呼ばれる部分から超音波を発生しま
求は12bit、100MHzの高速・高精度ADコンバータを8チャネルも
す。体内から帰ってくる超音波の反響を同じくプローブで受信
しくは16チャネル搭載したSoCという仕様であり、新規高速かつ
し、電気信号に変換します。そのアナログの電気信号をADC
低消費電力ADコンバータの開発やアナログ混載プロセスの開
(Analog Digital Converter)
でデジタル信号に変換し、後段のデジ
発など、解決しなければならない多くの壁に突き当たりました。
タル信号処理系へと受け渡しています。従来のお客様のセット
そこで登場したのがSiP技術でした。
では、ディスクリートのADCと信号処理のLSIによってシステム
SiP技術開発を始めてちょうど3年目にあたっており、すでに
が構成されています。
普及機種の超音波診断装置では、
このADC
SHマイコン+SDRAMのSiP製品の開発がほぼ終了し、量産化の
めどが立っていたころでした。しかし、アナログ搭載SiPはあまり
表1 医療機器小分類別生産金額
検討したことがなく、多くの問題が出てきました。
5. アナログ搭載SiP構造
12bit、100MHzの高速・高精度ADコンバータは、当時の社内で
(知的財産:Intellectual Property)がありませんで
は当てはまるIP
した。そのため新規に回路設計とアナログ混載プロセスの開発
が必要となり、膨大な開発費用と時間がかかることがわかり、他
社から調達することにしました。SiP製品はこのように自社内に
適当なIPがなくても、他社から調達してSiP構成にできることも
特長のひとつであります。
幸いA社のADCが今回のSiPに最適なIPであることが、医療機
器メーカーとの技術打合せの中で判明し、CSPパッケージ品とし
て購入し、SiPに搭載することにしました。テストに関しては詳細
18
SEMI News • 2009, No.2
Semiconductor Design
は省略しますが、他社からのADCを効率よくテストできるよう
ノイズも少ないので良いことずくめですが、カスタム性が強く、
に、新規SoCの中にテスト回路として組み込みました。
デジタル製品のように大量生産ができにくい製品となってしま
図1に開発した超音波画像診断装置用アナログ搭載SiPの実際
います。また設計段階でも、回路設計やシミュレーション精度の
BGAタ
の外形写真と特長を示します。
外形は31mm×31mm角で、
向上など設計的な課題も多く、良質な設計者も必要になるため、
イプのボールピッチは1mm、608PINとなっています。アナログ精
これらの環境整備をしていくことが、今後のアナログ搭載SiP製
度が重要な鍵となるため、ADCとSoCの配置には相当気を使い
品を増やしていくために重要と考えます。
ました。すなわち、ADCとSoCとのアナログ信号を8チャネル分
すべてができるだけ等長配線になるように、SoCをパッケージの
真ん中に配置し、ADCをその周りに配置しました。さらに、SoC
から見てアナログ信号を等長にするために、ADCを適宜回転配
置させています。また、消費電力が多く高発熱のADCを8個も搭
載するため、発熱が問題となりますので、A社に依頼して低消費
電力プロセスを採用したADCを開発していただき、量産品には
それを搭載しました。実際の動作周波数としては80MHzでも十
分な性能が出るので、消費電力を抑えるためにも80MHzでの仕
様としました。
(インターポーザ)
のパタ
設計的な注意点としては、SiPの基板
(Signal Integrity)
の検証
ン設計およびシミュレーションによるSI
を徹底して行うことにより、デジタル雑音のアナログ回路への
図1 超音波画像診断装置用SiP構造図
回込みを押さえることに成功しました。
図2に従来のディスクリートADC部品でのセット構成とアナ
ログ搭載SiPでの試作基板の構成を示します。試作基板では、工
数低減のために従来部品と同じサイズの基板を使用したために、
部品配置ががら空き状態となってしまいましたが、専用設計し
た基板を用いれば、従来に比べて1/4サイズまで小さくすること
が可能です。このSiPを使用することにより、1枚のセット基板上
に搭載したアナログのチャネル数を格段に向上させることがで
きます。また、筐体内に収納される基板枚数を低減することがで
きるため、セット全体の小型化を実現することが可能となりま
した。お客様の都合により量産開始が少し遅れましたが、2002年
秋から、
アナログ搭載SiP製品を使った超音波画像診断装置の量
産が開始されました。
図2 超音波画像診断装置への応用例
6. アナログ搭載SiPの特性評価
試作基板における詳細なアナログ特性評価結果は医療機器メ
ーカーから貰えていませんが、ADCとして12bit、80MHzの精度は
十分に出ているとの評価コメントをいただいています。また実
際の画像評価でも、従来に比べてより鮮明な画像が得られてい
(Electromagnetic
るとの評価結果も合わせていただきました。EMI
Interference)
は実際の製品基板では測定が難しいので、SH4マ
イコンを使った評価ボードでの実測データで説明します。図3にSH4
単品のボードとSiP化したボードでのEMI実測データを示します。
白黒写真でわかりにくいですが、SiP化した場合の方が約20db程
度EMIノイズが下がっているのが分かります。
7. 今後のアナログ搭載SiPの課題
前述したように、アナログ搭載SiPはアナログ特性が良くEMI
No.2, 2009 • SEMI News
図3 単品LSIとSiP化した場合のEMI測定結果
19
EHS
「欧州製品環境規制の動向と業界活動」
株式会社堀場製作所 ブラッセル駐在
(環境規制担当) 小山 師真
2004年から2005年夏にかけて、ベルギー国の首都ブリュッセ
ルへ赴任するまでの間、SEMIジャパンのICRC(International
Compliance and Regulatory Committee:国際規制適合委員
会)活動に参画させていただき、これが私にとって最初の業界活
業界全般をカバー
動となりました。
ベルギーへ赴任して間もなく4年、
するようになりましたが、まだまだ勉強の日々を送っています。
私の少ない経験の中からではありますが、欧州製品環境規制とそ
れに対する業界活動の重要性について紹介させていただきます。
■ 改正RoHS指令案を巡る動き
1
2008年12月3日に、欧州委員会は改正RoHS指令を公表 )し
ました。直ちに同改正案は欧州議会ならびに欧州理事会へ送付
に入って
され、現在は共同決定手続き
(Co-decision Procedure)
■ REACH規則、執行監視始まる
現在多くの企業は、REACH規則31条、33条に代表される情
います。
改正案についてはいくつか論点があります。まずラボ用計測・
報伝達・開示義務への対応に注力されていると思います。
一方、
昨
分析機器の扱いが難しくなっています。改正案で初めてカテゴ
年12月に終了した予備登録は、一部報道でもありましたとおり、
リー9に“Industrial Monitoring and Control Instruments”という
ベルギーの港で荷揚げ予定の化学物質に対して、予備登録を行
製品群が定義されました。しかし、ラボ用計測・分析機器がこの
った旨の証明を要求されたという事案が報告されています。
Industrial Monitoring and Control Instrumentsに分類されるの
認可につきましては、現在認可対象物質の候補として7物質が
か、Industrial以外のMonitoring and Control Instrumentsに分
公表されており、夏以降REACH規則付属書14の改定が実施さ
類されるのか、現時点ではさまざまな議論があります。いずれに分
れて、認可がスタートします。EU域外から輸入された成型品へ
類されるかによって施行年が3年も異なるため、できるだけ先延ば
は認可は適用されない見込みですが、認可対象物質を使用して
ししたい米国系団体では、ラボ用計測・分析機器はIndustrial
いる場合、EUの競合他社との関係で問題にならないかは、ビジ
Monitoring and Control Instrumentsに分類されると解釈してい
ネス側面での留意が必要です。
また、
本件はEU域内企業が不利
ますが、Industrialがそもそも生産ラインや工業を意味することから、
になるため、認可対象物質がより厳しい規制フェーズである
「制
は危険とする見
安易な解釈
(たとえば一概にB2Bと解釈するなど)
限」への移行が早まるとの見方もあります。
方もあり、それぞれの立場や思惑によってアプローチや考えが
指令
■ これからの大きなテーマ:EuP(エコデザイン)
EuP指令で注目すべき点は、適用製品の拡大(次ページ表参
違っています。
(Large-scale Stationary
次にカテゴリー6から除かれているLSIT
Industrial Tools)
は、引き続きRoHS指令から除外される提案とな
2)
3)
照)
と、もうひとつ「ボランタリー・アグリーメント
(業界自主規制
合意)
」の適用拡大が挙げられます。
(b)
の規定 が従来のWEEE指令第
っています 。改正案第2条
手続きにまだ不明瞭な点が多く、加えてEuP指令が施行されて
2条1項よりも狭くなっているため、制御機器等を単品で上市する
から適用されていなかったことから、未知の部分が多く存在しま
場合は従来よりも注意が必要になる恐れがあります。関係する
などで
すが、現在、欧州の画像診断用医療機器業界
(COCIR)
業界がどのように考えるかを含めて、全体的な流れを把握して
検討が始まっています。
おくことが重要になります。
法律による強制的な適用ではなく、自主規制ベースの適合で
さらに、RoHS指令がCEマーキング指令化されることも大き
要求を満たすことができる手法は歓迎できますが、EU域外企業
な論点です。特に問題となっているのは、10年間の保管が義務付
としては、欧州の産業団体主導で進む話に対してどの程度関与
けられるTechnical Documentationで必要となるTest reportの
できるのか分からないため、知らない間に勝手に「ルール」がで
扱いです。併せてこれから検討される整合規格も重要なポイントで
きあがってしまう懸念も同時に考えておく必要があります。
すが、今のところ欧州委員会の意向は、製品安全や EMC
■ 機器は違っても技術はオーバーラップしている
(Electromagnetic Compatibility)
指令等で実績のある製品群
ごとの規格化と言われています。
20
RoHS指令の適用を除外される用途として、ランプ類に含まれ
る水銀や鋼材中の鉛、高温はんだに含まれる鉛など、32項目が認
SEMI News • 2009, No.2
EHS
の対応に必要な時間は非常に長くなります。したがって、規制の
内容がはっきりしてからアクションを起こしても間に合わない
ことは、簡単に想像できます。
■ 世の中の流れを読み解く
ここまでで述べてきましたとおり、欧州製品環境規制は着実
に対象製品が拡大され、内容も強化されつつあります。直接規制
の適用を受けていなくとも、技術が共通している部分では影響
を受けることも考えられます。
私が所属する堀場製作所は、産業のマザーツールともいうべ
き分析・計測機器を製造するメーカーです。業界活動の主戦場は
それらに関連した産業界となりますが、一方で、どのような製品
環境規制が今後どのように影響してくるのか、先に規制を受け
められています。現在そのうち29項目について見直し作業が実
4)
る業界がどのような対応を考えているのか、どのようなブレー
施 されており、2009年度中には見直し結果を反映した改正指令
クスルーが試みられているのか、いずれも先行する業界の動き
が公布される見通しです。
に関心を持って情報収集に取り組んでいます。この取組みが、大
RoHS指令は、家電製品やICT
(Information and Communication Technology)
製品、事務機器や工具等、将来的には医
きな世の中の流れを読み解くためには重要であると考えてい
ます。
療機器や計測・分析機器に適用されますが、適用除外用途に代
特に製品環境規制については、
「こう対応をすれば正解」
とい
表される技術の話は、その技術を用いて構成されるRoHS指令対
った模範解答がありません。どの程度リスクを冒すか、どのよう
象外製品にも、その影響は少なからず波及すると考えられます。た
にリスクヘッジするかは、すべて企業の判断であり、同業であっ
とえば、前述の高温はんだに含まれる鉛は2013年に、125VAC/
ても企業体力やマーケットシェア、企業文化の違いから、全く同
250VDC未満の電子部品の誘電セラミック
(Dielectric ceramic)
じ対応ということは考えられません。結論的には、多くの非公式
に含まれる鉛は2012年に、それぞれ適用除外用途から削除
情報を広く集めて総合的に判断をしていく必要があります。
すべきとレポートされています。
現在の動向の特徴として、6物質は原則禁止であることから、
その中にあって、SEMIは大変有利な業界団体であると思いま
す。グローバルに展開されているので、リージョンごとの規制に
適用除外用途に対して相当厳しい視点での見直しが行われ、有
対する考え方を知りうる機会もあるため、それは大変有効と思
効期限も最大で4年、それ以降引き続き適用除外用途としたい場
います。
合は、再び技術的な見直しを4年ごとに実施する必要があります。
経済状況厳しい折ですが、規制の動きはこのような中でも確
RoHS指令への適用が必要な企業にとっては厳しい事態で、技
実に進んでいます。製品環境規制に関心を持って取り組まれる
術開発が追いつかなければ、頼りの適用除外用途が消滅するこ
ことで、半導体業界のさらなる発展につながることを願ってい
とで市場から締め出される可能性が考えられます。
ます。
RoHS指令の直接の適用を受けない企業でも、こういった動き
の影響で調達品の変更を迫られ、場合によっては設計変更を余
<参考資料>
儀なくされるケースも想定できるのではないでしょうか。また、
1)
Proposal for a revised directive placing restrictions on certain
EU規制がグローバル規制化していることに鑑みますと、中国な
hazardous substances in EEE:
どEU以外の国の動きも気になるところです。
1)
http://ec.europa.eu/environment/waste/weee/index_en.htm
■ 電機電子業界から産業機器業界へ
2)SEMIは、半導体製造装置がカテゴリー6から除かれている
製品環境規制の流れを辿ってみますと、当初は家電製品・ICT
製品や事務機器などの電機電子業界が規制の対象であっても、
LSIT(Large-scale Stationary Industrial Tools)に該当するとの
見解を公表している。
数年後、産業機器業界へ対象が拡大されていくケースが多くあ
3)
Article 2.(b)
equipment which is specifically designed as part of
ります。すでに経験されている企業も多いと思いますが、安全や
another type of equipment that does not fall within the scope of this
EMCなどの従来の規制とは異なり、製品環境規制は広くサプラ
Directive and can fulfill its function only if it is part of that equipment.
イチェーンを巻き込むだけではなく、製品寿命や製品開発サイ
4)
Review of existing exemptions and evaluation of new requests
クルとの関係で容易に設計変更を実施することがきわめて困難
であり、変更管理等の半導体業界特有の事情を加味しますと、そ
No.2, 2009 • SEMI News
for exemptions:
4)
http://ec.europa.eu/environment/waste/weee/studies_rohs1_en.htm
21
MEMS
光スキャナディスプレイ
Microvision, Inc. ビジネス開発コンサルタント 新澤 滋
1. はじめに
変え、その繰り返しで一画面(フレーム)
を構成し、さらにフレー
最近、ポケットに入るような小型のプロジェクターが発売さ
ムを60Hzでリフレッシュして画像を生成する。
れ話題をよんでいる。つい先日の携帯電話の展示会では、プロジ
ェクターが組み込まれた携帯電話まで登場している。これらは、
3. MEMSマイクロミラー
高速大容量なデータ通信が可能になり、文字通りユビキタスな
図2が二次元マイクロミラーの構造例であるが、Siウェーハを
モバイル環境が整いつつある中で、モバイル機器のディスプレ
を直交する
加工して製作される。中心のミラー
(直径1mm弱)
イが抱える「より小さな機器でより大きな画像を表示したい」
2軸で支えるジンバル構造をしており、各軸周りに捩り運動が可
というジレンマを解決する手段として大いに期待されている。
能になっている。さらに、この2軸の根元にはピエゾ素子による
その性能は、従来のオフィスやホームシアター用途のプロジェ
センサーが作り込まれており、各軸の捩れ角を高精度に検出で
クターとは比較すべくもないが、その特性を活かした使い方に
きるようになっている。
よって、今までにない新しいハードとソフトのマーケットを創
造する可能性を秘めている。
2. 光スキャナディスプレイの原理
これらの小型プロジェクターにはいくつか方式があるが、大
別して、
①LCOSあるいはDLPのような多画素パネル+バックライト
②二次元ミラー+レーザー
③ホログラム+レーザー
などが知られている。Microvision社では、②の方式をMEMS技
術による独自の二次元マイクロミラーを用いて実現している。
図2 MEMSマイクロミラー構造例
図1がこのMEMSマイクロミラーを用いたスキャナディスプ
レイの動作原理である。
光源にはレーザーを用いるが、フルカラーの場合はRGB各波
ミラーの駆動には静電、圧電などの方式があるが、今回のスキ
長のレーザービームをコリメートした後、プリズムで1本のビー
ャナには電磁方式を用いている。これはミラーの振れ角が比較
ムに合成する。そのビームを二次元に振動するミラーで反射さ
的大きく、そのための十分な駆動トルクを得ること、および駆動
せ、スクリーン上にCRTと同様のラスター走査線を描いていく。
電圧を低く抑えることによる。実際はこのMEMSマイクロミラ
この走査線上でビームスポットの位置(=ミラーの角度)
と同
ーをマグネットでサンドイッチにパッケージして磁界の中に置
期をとって、その位置で必要な色と輝度で各レーザーの出力を
き、コイルに通電することにより軸周りのトルクを発生させる。
ここで図を見ておわかりのように、通常2軸の駆動には2つ必要
な駆動コイルが1つしかない。実はこの1つのコイルで、周波数
の異なる2軸を駆動しているのである。
ミラー
仮に水平走査線数を480本、フレームレート60Hzとすると、
の水平方向周波数は480×60/2=14.4KHz、垂直方向周波数は
60Hzである。また、水平方向は共振周波数による正弦波振動、垂
直方向は鋸歯状波による強制駆動を行っている。この全く異な
る動きを1つのコイルで同時に実現しているのは、MEMSの構造
体自身である。コイルには垂直方向の鋸歯状波の電流が流れる
図1 スキャナディスプレイの動作原理
22
が、それに水平方向の高周波正弦波成分が重畳されている。
SEMI News • 2009, No.2
MEMS
表1 試作プロジェクター仕様
この電流を磁界に対して各軸を45°に配置したコイルに与えると、
MEMSの構造自体がメカニカルフィルターとして作用し、各軸
周りにそれぞれ必要なトルク成分を発生する。この巧妙な設計
により、ミラーの構造をシンプルなものとし、MEMSパッケージ
全体を小型化することに成功している。
4. 光スキャナディスプレイの特徴
以上のように、この方式は、解像度分の画素を必要とする他の
方式とは原理的に全く異なる。そして、非常にシンプルな構造に
加え、光源にレーザーを用いていることから、モバイル機器用デ
解像度
明るさ
アスペクト比
リフレッシュレート
色再現範囲
コントラスト比
画像サイズ
ビデオ入力
外形
重量
内蔵電池
レーザー出力
WVGA(848×480)
10ルーメン
16:9
60Hz
200%NTSC以上
5000:1以上
6∼100インチ
コンポジット、VGA(RGB)
118×60×14mm
122g(バッテリー含む)
充電式リチウムイオン
クラス2
ィスプレイとしてさまざまな優れた特徴を有している。
・部品点数が少ない → 小型、ローコスト
・光源を必要に応じて発光 → 低消費電力
・レーザー光をコリメート
→フォーカス調整が不要 → 部品点数減
→ 小型
(薄い)
→ 曲面や多面体への投影可
・広角スキャン → 同じサイズならより近く明るい画像
・RGBレーザー → 色再現範囲が広い
これらはいずれもモバイル機器用のディスプレイとして実用上
図4 試作スキャナモジュール
重要な特性である。
図3はこの方式により最近試作したプロジェクターの外観、表
1がその主な仕様、そして図4が実際にその内部に搭載されてい
るスキャナモジュールである。
5. おわりに
今後はより一層の小型化と低消費電力化を進め、プロジェク
このスキャナモジュールは厚さが7mmと薄く、携帯電話など
の小型モバイル機器にも十分内蔵可能なサイズを実現している。
また、将来の高解像度化に対しても、ミラーの駆動周波数とレー
ザーの変調周波数を変えることにより対応可能であり、それに
よってモジュールのサイズなどに影響することはない。
ターをはじめとするさまざまなアプリケーションに使えるモジ
ュールを開発していく計画である。
具体的には、
・車載用のヘッドアップディスプレイ:フロントガラス越しに情
報を表示し、
ドライバーの脇見運転を防止する。
・アイウェア:サングラス感覚の透過型パーソナルディスプ
レイ
などであるが、ディスプレイ用途のほかにも、このモジュールか
らの光の反射をセンサーで受光すれば、撮像デバイスとして使
図3 試作プロジェクター
用可能で、カメラやエリアセンサーなどの用途が見込まれる。
SEMIが開催するMEMS関連セミナー
MEMSは、アプリケーションも車載から民生・モバイル製品へと広がっており、便利な機能をもたらす技術として、身近なものとなって来
ています。SEMIでは、MEMS産業に携わる方々を対象に、今年も次のようにMEMS関連セミナーを開催します。
(木)グランキューブ大阪
(参加申込み受付中 www.semi.org/sfj)
・SEMI Forum Japan MEMSセミナー 2009年5月27日
(水)幕張メッセ 国際会議場
・STS SEMIテクノロジーシンポジウム セッション2:マイクロシステム/MEMSセッション 2009年12月2日
お問合せ先:SEMIジャパン プログラム Tel:03-3222-5993 Email:jeventinfo@semi.org
No.2, 2009 • SEMI News
23
Innovation Stories
開発秘話:NANDフラッシュメモリ
株式会社東芝 メモリー事業部長附 中根 正義
■ はじめに
セルは、
東芝研究所が1987年に学会発表した後、
高集積の特徴
半導体メモリは開発と実用化が1960年代後半から進み、イン
を活かして磁気メモリに対抗する大容量不揮発性メモリ製品化の
テル社の1KビットDRAMが大型コンピュータの主記憶装置に
検討が始まった。
使用されてから、その市場は飛躍的に発展した。
■ 4メガビット製品化失敗と世界標準化構想
その半導体メモリは、世代ごとの技術革新を重ねて大容量、低
学会発表したメモリセルは、4メガビットNANDフラッシュ
価格、高速、低電力を成し遂げ、さまざまな応用機器を生み出し
メモリとして1990年に製品化したが、書換えを重ねるたびに高
て産業に貢献してきたが、書換え可能な大容量の不揮発性メモ
電界による酸化膜の疲労劣化を引き起こし、さまざまな動作不
リの実現が死角にあった。それまでの不揮発性メモリは
良を発生させて、
市場からの戻入が続いた。
当時はその製品の応
EEPROMで代表されるように、容量と価格で磁気メモリに大き
用機器が限られ数量も少なかったが、独自で代替え品のない製
く後れをとり、またその差異を小さくする技術開発に苦戦をし
品が故に、大変な混乱を来し危機が訪れた。
ていて、莫大な磁気メモリ市場に参入することができなかった。
これらの動作不良は、物理現象に基づくこの種のデバイス特
この積年の夢を、NANDフラッシュメモリが磁気メモリとの
有の内容であるが、研究段階から推しては予想外に高い不良率
格差を一気に小さくして、半導体ストーレージ市場創造を実現
であり、テスト工程での除去や製造プロセス対策などあらゆる
してきた東芝の開発について述べる。
手段を試みたが、不良を低減する解決策は見出せずに製品の生
■ NANDフラッシュメモリのセル基本構造
産を断念した。
動作原理は従来のEEPROMと同じあるが、集積化するときに
この4メガビット製品の失敗は、実用の書換え回数の多さを把
余分な配線を省略できる回路構成にした技術が特徴である。従
握できてなかったため、それに伴う事象の分析や商品企画の未
来は1ビットごとにデータ入出力用の配線を有していたのに対
熟にあった。
数万、
数十万の書換えを可能にして且つ安定供給の
(16、32、・・・ビット)
ごとにデータ入出力用配
して、Nビット
ための高い歩留りを維持する製品にするには、従来のメモリ動
線を共有する回路構成であるために、メモリセルの占有面積は
作から脱皮した特別な動作システムに発想を変える必要があっ
DRAMやEEPROMの半分に縮小でき、大容量化と低価格化を
た。この失敗を教訓に、NANDメモリセルを活かすメモリ動作シ
可能にさせた。
ステムの研究を重ねたが、データ書込み時の酸化膜劣化は避け
またNANDフラッシュメモリセルへのデータ書込みは最適な
FNトンネルを使う方式をとり入れて、従来のホットエレクトロ
られず、辿り着く結論は不良を救済して使用するシステムにす
るというものであった。
ン注入方式に比べてきわめて小さい電力でデータ書込み可能に
しかしながら、コンピュータシステム知識と経験が不足して
(512、1,024・・・バイト)同時書込みの高速ペー
なり、Nバイト
いるメモリメーカーがCPUとのデータやりとりを考慮して仕様
ジプログラム方式を実現させた。このNANDフラッシュメモリ
を提案するのは技術的に困難で、しかもメモリ側からの一方的
な不良救済提案では使用者側に受け入れられるのは到底困難
で、再び失敗するであろうとの懸念があった。
この問題を解決するための結論は、CPUバスから離れた外部
記憶装置に決め付け、ファイル応用に特化したアプリケーショ
ンスぺシフィックメモリとするなら、メモリ側から提案できる
だろうということであった。
こうした新しいNANDフラッシュメモリの仕様案を内外のコ
ンピュータメーカーに提案し、議論を重ねて世界標準化メモリ
への構想を固めた。これまでのメモリ標準化は、DRAMで代表
されるようにすべて米国発であり、初めて日本メーカーが企画
設計した仕様で世界標準化をめざす目標を掲げて、1991年に16
メガ製品を開発着手し、再び磁気メモリ市場への参入に取り組
図1 メモリセル基本構造
24
んだ。
SEMI News • 2009, No.2
Innovation Stories
その仕様のコンセプト
1 酸化膜劣化不良を救済するメモリ構成と利用技術
2 NANDの長所活かすHDD互換のページプログラム
3 NANDの短所補うシリアルアクセス
4 将来のメデアカードを意識した最少ピン数のコマンドアドレス方式
これらの仕様は、16メガビット製品以降サムスン電子に開示
してセカンドソースを確保するとともに、現在のNANDフラッシ
ュメモリの基本仕様になっている。
■ 苦難の時代
ファイル応用に特化した新仕様の16メガ製品は生みの苦しみ
があった。1992年に岩手東芝で量産が開始されたがプロセス
図2 NANDフラッシュ市場規模推移
パラメーターの最適解をなかなか見い出せず、出荷は半年にわ
たりゼロで、その後も低歩留り状態が続き極端な供給不足に陥
った。このため新しく応用機器を開発した顧客では、NAND
立することが最重要であった。この目的でカメラメーカーなど
フラッシュメモリの採用断念が始まり、新規市場に急ブレーキ
と、NANDフラッシュメモリの使い方を画一化する標準化団体
がかかる状況に直面した。
のSSDCフォーラムを1996に設立して世界的な活動を始めたの
さらに、新規市場では懸念していた不良ビット救済の利用技
が功を奏して、デジタルカメラ、携帯音楽機器、PC周辺機器など
術が、従来のメモリ応用文化の中では細部にわたり理解が得ら
の応用が始まり、やがてはすべてのフラッシュカードがNAND
れず、システムトラブルを多分野で発生させて、折からの供給問
フラッシュを搭載することになった。
題とともに16メガNANDフラッシュメモリは死に体となり、次
の危機が訪れた。
もし、SDカードやメモリステックなどのNAND制御のコント
ローラLSIチップを搭載するカードが先に出現していたら、
この当時はDRAM事業が支配的で、お荷物状態のNANDフ
NAND不良救済などの利用技術は画一的に広まったかどうか疑
ラッシュメモリは、工場側では従来概念の不良品を製品とするテ
問である。SSFDCはNANDチップそのものであり、フォーラム
スト混乱、営業側では供給難、事業面でも撤退すべき内容。また
の仕様書とツールがNAND応用のバイブル的なものになり、ま
市場では、不良救済のフェールセーフシステムがなかなか理解
た内外100社を超える賛同会社の協力が大きな力で後押しして
されずにシステムトラブルが相次ぎ、まさに四面楚歌の状況が
くれて、新しいメモリ利用技術文化を築くことができ市場喚起
1994年まで続き、不揮発性メモリ事業から撤退が話題になっ
させた。その後は年2倍の大容量化を実現していくNANDフ
“ナンドやってもダメ
たが、I社とのSSD共同開発契約が残り、
ラッシュ微細化技術によって、この市場は一層拡大していくこと
と囁かれていた危機も首の皮一枚で生き延びた。
なNAND”
になった。
やがては命綱だったSSD共同開発も、HDDとの価格競争に
■ おわりに
追随できずに幕を閉じることになる。
世界標準化構想のアドバルーンは批判の的になり、半導体ス
DRAM事業が最盛のとき、雑草のごとく芽生えたNANDフラ
ッシュメモリは、いく度かの危機を乗り越えて困難な大容量化
トレージ市場創造は夢と終わる思いの苦しい時であった
を技術革新で達成してきたが、1兆円を超える市場を顕在化させ
■ デジタル家電の基幹部品として市場喚起
たパワーソースは多値技術の実現と導入である。
1995年には、32メガビット製品の量産から岩手東芝の歩留り
多値技術は、半導体の歴史の中で長らく研究室のテーマであ
が著しく向上して、供給体制確立と同時に、デジタルカメラなど
ったが、それの量産化を実現させ、
“大容量化なるが性能は後退
のデジタル家電でフラッシュカードを戦略部品として採り上げ
する”難問を解いたのは、小林
(現メモリ事業部長)
の慧眼と専
られる幸運の時がやってきた。この応用は、比較的小容量用途で
制的指導であろう。開発リーダーとしての彼は、反対意見を退け
小型・軽量が重視され、まさにNANDフラッシュメモリが待ち望
て多値NAND一辺倒の戦略でデジタル家電応用に適合させ、
んでたHDDと棲み分けできる分野だった。
画期的な大容量化と市場拡大の期間を大いに短縮させた。
またこのとき、超薄型カードパッケージに32メガ製品を組み
しかしながら、市場が成熟してきた昨今は応用機器も多様化
を開発して、デジタルカ
立てたSSFDC(のちのスマートメデア)
して、エンタープライズSSDのように性能重視のシステムでは、多
メラ応用の準備を始めたが、SSFDCを用いてNANDフラッシュ
値製品だけでは到底対応は困難になり、性能、価格、容量の
メモリの応用をこの業界で普及させるには、機器間の互換を確
バランスとれた製品ラインアップが必要になっている。
No.2, 2009 • SEMI News
25
Coffee Break
海外から見た日本の半導体技術開発
スタンフォード大学電気工学科 教授 工学博士 西 義雄
小文をお引受けしたもの、さて何から始めようかとコーヒー
カップ片手に思案をしているところへ、私の研究室の博士過程
くためには、やはり広い好奇心を、学生、特に大学院生の時期に
養うことが必要である。
の学生が思いつめた顔でやってきた。わけを聞くと、
「一昨日の
たとえばスタンフォードでは、教授間、学科間、さらに学部間の
論文発表リハーサルで、2人のアメリカ人教授からいくつか改良
障壁は大変に小さい。一例を挙げれば、私の研究室の討論会に
点を指摘され、その通り直しますと約束した。自分の部屋へ戻っ
他の教授の学生が参加するのは全く自由であり、その逆も全て制
て考え直してみると、どうも違ったやり方の方が良いと思い始
約がない。博士課程の研究を自分の所属学科でない教授のもと
めたので、約束は棚上げして自分なりに改良を行った。今日2度
で行うことも自由である。学生たちは自分の主指導教授のほか
目のリハーサルをしたところ、2人の教授からひどく叱られたが、
に2人まで副指導教授を持つことができる。私の研究室の場合、
どうしてあんなに彼等が怒ったのかが私には理解できない」
と
電気工学科の学生のみならず、物理、応用物理、材料科学の学
のことで、私に相談に来た次第である。
生たちも一緒に仕事をすることになり、これらが自然にボトムアッ
これはなかなか考え甲斐のある問題である。まず、もし彼が最
初のリハーサルの場で教授の指摘に対し、自分の意見をはっき
り述べて率直な議論をしていれば、こんな事態にはならなかっ
プ型のクロスディシプリナリー交流と協力関係を生み出すこ
とになる。
ここで大事なのは、他の教授の研究室の集まりに出ても決し
たはずである。しかし、彼が「言われた通り直します」
とコミッ
て「他人のアイデアは盗まない」
という覚悟と同時に、
「他人も
トした後で、それを実行しなかったのはウソをついたことにな
自分のアイデアを盗んだりすることはない」
という信頼が必要
るわけで、2人の教授はそのことに腹を立てたのだと説明した。
である。これは難しそうにもみえるが、事実はそうでもない。理
ちなみにこの学生は、太平洋の反対側の国から来たきわめて優
由は、このようなオープンな交流によって、より新しい、しかも
秀な学生である。
実用可能なアイデアに到達することが多々あること、したがっ
私が東芝からヒューレット・パッカードの半導体技術の研究
所に移って最初に感じたカルチャーショックは、これに通じる
ものがある。研究開発のプロジェクトを始める際、
「vision」
て、各々の研究業績と、研究者としての成長につながることを皆
が実感しているためである。
ナノエレクトロニクスのどの局面を眺めても、旧来の伝統的
を皆で合意するために大変な時間と労力をか
「mission statement」
な専門の領域に納まらないのは自明であること、また、個人が広
ける。物事は始めてみないとどうなるかわからないのだから、議
い専門領域をカバーすることが不可能であればあるほど、異な
論ばかりするよりとりあえずスケジュールの線引きをして始め
る専門分野の人々の間で若くフレキシブルな頭脳がお互い刺激
よう、という世界から、全員で議論を尽くしてから始めようとい
し合うこと、そしてそれを新しいカルチャーとすることの重要性
う世界へ来たのだなあ、とつくづく感じた。そのかわり、全員が
は言うまでもない。
した後では、
「実は俺は反対だった」
ということは、ま
「buy-in」
これを拡げて、企業と大学の間の協力関係を深める上できわ
ず起こらない。着々とシステムとして合意した通り研究開発が
な
「協力」
について考えよう。これ
めて重要な
「pre-competitive」
進められることに感銘を受けた。これは異文化の集合体として
はコンセプトとしては少しも新しくないが、近年、これをいかに
の米国と、同質の文化からなる日本との違いとも理解できる。と
体現できるかがきわめて重要になってきている。コンソーシ
にかく自分の考えは言葉で表現しない限り相手には伝わらない
ャムあるいは大学を共通の場として、企業間の共同研究、さ
という米国の事情は、すべての問題点をあらいざらい机の上に
らには科学・技術の将来ビジョンを創りあげる活動等、
「pre-
ぶちまけてそこから出発するということになるわけで、それが
competitive collaboration」の必要な事例はいくらでもある。
異なる専門分野間の協力という形を築くのにも期せずしてプラ
これは、どこまでがcompetitiveでどこからがpre-competitive
スに働いているように思われる。
であるかを、各人が充分に理解できていることが不可欠で
近年、ナノテクノロジーの名のもとで、従来技術の限界追求、さ
ある。
らに画期的な新技術の創造が行われつつあるが、
特に後者は、
ク
日本の半導体技術開発をこちらから見ると、特に大学を共通
ロスディシプリナリーな協力関係と相互刺激なしではほとんど
の場として活用するpre-competitive collaborationがさらに必要
不可能と考えられるし、事実その通りである。それでは、どこで
と思われる。特に若い人材が大学からいかにクロスディシプリナ
も容易に実行できるかというとそうでもない。すでに完成した
リーなカルチャーを身につけて育つかという点で、私見ながら、
研究者・技術者が自分の専門を越えて新しい分野を協力して拓
ここでお話したことが役立てば幸いである。
26
SEMI News • 2009, No.2
Market Report
景気下降局面におけるファブ投資活動
−投資レベルは過去10年で最低−SEMI市場調査統計レポートより−
ファブ建設プロジェクトに対する2009年の投資額は20億ドル
リ分野の支出レベルと生産能力の成長率は業界全体でも群を
を下回り、1999年以来最低の水準となる見通しです。同じく2009
抜いていました。しかし現在は厳しい変化を強いられており、今後
年の前工程設備費
(ファブ、パイロット、R&D)
への支出は55%
再び成長に転じるまでには、しばらく時間がかかると思われま
マイナスで120億ドルを下回り、1994年以来最低の水準になると
す。このような状況下でのAMDとIntelの積極的な投資計画は注
予想されます。300mmファブだけを見ると、支出額は約58%低下
目に値します。
して100億ドルを割り込む見通しで、過去6年間で最低の支出レ
ベルとなっています。
AMDは、今後数年で20億ドルを投入してドレスデンのFab38の
生産能力を増強するほか、ニューヨーク郊外にあるルーサーフ
2008年には合計で9施設(ファブ、パイロット、R&D)
の建設
ォレストキャンパスにも46億ドル
(2009年第2四半期に建設を開
が開始されましたが、そのほとんどのスケジュールに遅れが出
始し、2012年量産開始予定のFab 4Xへの支出を含む)
を投じる計
ており、2010年にずれ込むものもあります。現在の困難な経済状
画です。一方Intelは、アリゾナ、ニューメキシコ、オレゴンの施設
況において、2009年に建設が開始されるファブは4ヵ所あり、Intel
の32nmプロセス対応への改修と生産能力の増強に70億ドルを
とAMD(ファウンドリ)がファブ建設に最も多額の投資を行っ
投資する計画を発表しました。これらプロジェクトの多くは2009
ています。
年中ごろまでに始動し、2011年までに130億ドル以上の投資
(うち
2009年の建設費は、アメリカを除く全地域で2桁の減少となっ
米国内で110億ドル)
が行われることになっています。
ています(図1)。アメリカも過去数年で最も低いレベルではあ
2009年の年頭に、IC Insight のBill McClean社長は、成長率
りますが、IntelとAMDの投資によって支出額自体は増加してい
とトレンドを四半期ベースで見ることの必要性を指摘しました。フ
ます。2009年には8ヵ所のファブ(ヨーロッパおよび中東3、中国
ァブの建設費および前工程施設の設備費に関するSEMIのデータ
3、アメリカ1、台湾1)
で操業が開始される見込みです。全体的な
もこれに裏付けられており、支出レベルは現在の急降下の後、年
生産能力が2009年に上向くことはありませんが、2010年には9%
末までには前期比2桁の回復に転じる可能性があります。2010年
∼10%程度の上昇に転じる可能性があります。生産能力の低下は
に成長率がどこまで上昇するかはまだわかりません。
2008年第4四半期から始まっており、2009年第1四半期に前期比
今後の回復の見通しについては、再編と再改革には時間がか
15%以上のマイナスで底を打つ可能性があります。2009年第1四
かることから、半導体業界の回復はゆっくりとしたものになる
半期にはすべてのデバイス種別で生産能力が2桁低下しますが、
と考えられます。
(初出 SEMI四半期レポート2009年No.1)
ファウンドリ全体の生産能力は約3%の低
下となるでしょう
(図2)
。2010年には合計18
$2,500
の施設で操業が開始される見通しです。
$2,000
最も大きな打撃を受けているのがメモリ
業界で、この結果、買収や合併、さらには倒
産も出始めています。DRAM業界の最新の
動きとして、Qimondaが2009年1月に事業再
■台湾 ■
■東南アジア ■
■韓国 ■
■日本 ■
■欧州および中東 ■
■中国 ■
■アメリカ
$1,500
$1,000
$500
$0
生手続きを申請しました。同社は米国での生
Q3-07
産を停止し、
ドレスデンの前工程ファブも2009
Q4-07
Q1-08
Q2-08
Q3-08
Q4-08
Q1-09
Q2-09
Q3-09
Q4-09
Q1-10
Q2-10
図1 主要な前工程ファブ建設プロジェクトへの総支出額
(単位:100万US$)
年第1四半期の生産量を、生産能力の25%
にまで大きく引き下げています。今後数週間
18,000
で、
MicronとNanyaおよびInoteraの合併、ある
16,000
14,000
いはエルピーダとPowerchipおよびRexchip
12,000
JV(2006年11月設立)の契約が正式に完了
10,000
すると見られます。再編には時間がかかること
から、今後メモリ業界の勢力図は大きく変化
するものと予想されます。支出レベルに好影
響が現れるのは、しばらく先になるでしょう。
2001年の景気後退局面を脱して以来、メモ
No.2, 2009 • SEMI News
■MEMS他 ■
■MPU ■
■メモリ ■
■ロジック ■
■ファウンドリ ■
■ディスクリート ■
■アナログ
8,000
6,000
4,000
2,000
0
Q3-07
Q4-07
Q1-08
Q2-08
Q3-08
Q4-08
Q1-09
Q2-09
Q3-09
Q4-09
Q1-10
Q2-10
図2 製品種別の四半期ごとの総生産能力200MMウェーハ換算の月産枚数
(単位:1,000枚)
27
Market Report
世界半導体製造装置市場統計
2008年11月-2009年1月販売額データ
SEMI Book-to-Billデータ
装置カテゴリー別月間販売高
(単位 1,000米ドル)
2008年11月 2008年12月
マスク、レチクル製造用装置
0,027,631
0,037,063
ウェーハ製造用装置
0,018,795
0,020,381
ウェーハプロセス用装置
0,834,803
1,363,308
組立・パッケージング用装置
0,072,754
0,093,781
テスト用装置
0,131,145
0,126,406
半導体製造装置用関連装置 0,064,546
0,085,480
合 計
1,149,674
1,726,419
2009年1月
0,025,668
0,019,902
0,966,696
0,040,690
0,082,995
0,089,408
1,225,359
装置市場別月間販売高
(単位 1,000米ドル)
日 本
北 米
欧 州
韓 国
台 湾
中 国
その他
合 計
2008年11月
0,350,008
0,315,264
0,114,198
0,112,044
0,057,579
0,047,762
0,152,819
1,149,674
2008年12月
0,300,111
0,632,337
0,228,032
0,191,104
0,217,675
0,053,911
0,103,249
1,726,419
2009年1月
0,324,081
0,471,934
0,124,559
0,138,394
0,086,961
0,030,938
0,048,492
1,225,359
出典:Worldwide Semiconductor Equipment Statistics(SEMI, SEAJ)
1600
1.10
受注額
販売額
BBレシオ
1400
1.00
1200
1000
0.96
0.97
0.87
0.90
0.86
800
0.80
0.83
0.82
0.81
0.81
0.78
0.70
0.70
600
0.60
400
0.50
200
0.47
0
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
0.48
12月 09年1月 2月
0.40
SEMI BBレシオの12ヵ月間推移(単位:百万米ドル、3ヵ月移動平均)
SEMIの半導体ファブデータベース
−前工程ファブのキャパシティと投資動向を四半期ごとに提供−
半導体前工程ファブは、半導体産業の根幹をなす重要な役割
や会員価格などの情報は、www.semi.orgから市場統計>ファ
を果たしています。長年にわたり、ファブの建造や大口径化・微
ブデータベースをご覧ください。
細化に巨額な投資が続けられてきました。こうしたファブの建
・World Fab Forecast
造による生産能力の変動を、地域、企業、製品、テクノロジーとい
全世界の1,000以上の半導体前工程ファブの情報を18ヵ月先
った分類でトラッキングし、設備投資の動向とともに予測する
まで提供する、最強のマーケティングツールです。
データベースは、SEMI会員にとって大きな価値をもつ情報源と
・World Fab Watch
なります。
SEMIはそのために半導体ファブデータベースを維持管理し、
一連のファブデータベースレポートを、SEMI会員に特別の価格
で提供しています。
このデータベースには、次の各社を含む世界中の前工程ファ
ブならびにファウンドリのデータを掲載しています。
直近の四半期における、全世界の1,000以上の半導体前工程フ
ァブの情報を提供し、現在のファブの全貌と詳細を明らかにします。
・FabFutures
全世界で投資が行われる200以上の半導体前工程ファブの情
報を、18ヵ月先まで提供し、設備投資をする顧客の洗い出しに威
力を発揮します。
TSMC、UMC、Chartered Semiconductor、SMIC、Samsung、Intel、
AMD(The Foundry Company)
、東芝、Micron Hynix、Powerchip、
Texas Instruments、ルネサス、Inotera、エルピーダ、STMicro、
富士通、日立、NECエレクトロニクス、Dongbu Hi Tek、ProMOS、
Nanya、松下、NXP、Winbond、IBM Micro、Mikron(Sitronics)
、
シャープ、Freescale、Grace Semiconductor、Infineon、Spansion、
Magna Chip、X-Fab、LETI、Vanguard、等々
現在提供されている製品には、次のものがあります。サンプル
28
SEMI Forum Japanにて
「SEMIマーケットセミナー」開催
−半導体市場回復のシナリオを探る−
日時:5月26日
(火)
13:00-17:00 会場:グランキューブ大阪
参加費用:
5月15日
(金)
まで19,000円 / 5月16日
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テキスト
(CD-ROM)
付
お申込みはSFJ Webサイトから>>>www.semi.org/sfj
皆様のご参加をお待ち申し上げております。
SEMI News • 2009, No.2
Column
SEMI Newsコラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本が誇る究極の技術
志村 史夫
日本では「年度」が変わる3 、4 月は「宴会」が多い時期で
ある。
私は「職場」や「同僚」
との宴会には特別の事情がない限り、
原則として出ないが、気のおけない友人との宴会は大好きで、時
長が80%に減れば、
単純計算から身体の体積は0.8の三乗で0.51、
つまり、およそ半分くらいになってしまうから、人間が必要とす
るすべての物、エネルギーの消費量に与える影響は小さくない
のである。
間を忘れ、飲み過ぎの事態に陥ってしまうこともしばしばである。
実際、私は昔、縦横巨大な人間が多いアメリカで暮らしていた
こんなわけで、いまの時期、以下、ちょっとほろ酔い気分で書
頃、そのような彼らを見るたびに、彼らが10%でもいいから縮
かせていただくことをあらかじめ御容赦願いたい。
んだら、地球環境に相当貢献するのではないか、と思ったもので
ある。また、日本に帰って来てからは、巨大なトランクをいくつ
人類を含む地球上のすべての生物の生存を憂える環境悪化
も持って新幹線に乗り込んで来る縦横巨大な外国人観光客を見
など、地球規模のさまざまな問題が喧伝されるようになってから
るたびに、地球の食糧、エネルギ−、環境問題に関し
「彼らが10%
すでに久しい。
「人口爆発」
も近い将来確実に起こるであろう大
でもいいから縮んだら・
・
・」
と同じことを考える。
問題とされている。人口増加は、必要とする居住地、食糧の増加
もう40年以上も前のことであるが、アイザック・アシモフ原
のみならず、地球上のあらゆる資源、エネルギーの増加を伴い、
作のSF映画『ミクロの決死圏』では、外科手術のために潜水艦
地球の有限エネルギー資源の枯渇を早め廃棄物を増加させる
もろとも医師団を"特殊な方法"でミクロ化して患者の血管に注
ので、必然的に地球環境の悪化を加速させることにもなる。
入した。このように、人間をいきなりミクロ化するのはSFの世
ところで、いささか唐突な話ではあるが、日本の御飯茶碗の直
界の話であるが、栄養制御や遺伝子操作など、近年流行の
径は手にしっくりとおさまりやすい約12cmが一般的で、これは
「バイオテクノロジー」
で人間を少しずつ小さくしていくのは可能な
江戸時代の末期から定着しているものらしい。両手の指先を合
のではないだろうか。
わせてできる球の内側の直径が手に持ちやすい茶碗の直径とい
私には、現実的な、実に画期的なアイデアがある。
うことになり、それは身長のほぼ8%だそうである。江戸時代の
私は昔から、写真で見たらまさに「大木」
にしか思えない「盆
日本人男性の平均身長が150cmほどで、その8%が12cmという
栽」
に驚かされているのであるが、この日本伝統の技法を
「盆栽
わけである。
人間」作りに活かせないだろうか、というものである。あの見事
試みに、私が普段使っている御飯茶碗と味噌汁椀の直径を計
な盆栽は、まさに大きさだけが「ミニ化」
されたもので、通常の
な
ってみたら、11.5∼13.5cmだった。私は職業柄、いろいろな物の、
木と変わらぬ花を咲かせ、実を生らせるのである。
さまざまな測定には慣れているのであるが、茶碗の直径を計っ
ちなみに
「盆栽」
は英語ではもともと
“dwarfed tree(
”
“dwarf”
たのは初めてで、その実際の測定値を物差しで知った時、
「日本
は
「小人」
「一寸法師」
の意味)
などと言われたが、現在“bonsai”
の御飯茶碗の直径は伝統的に約12cmというのは本当だ!」
と
は国際語になっている。
感心してしまった。
日本は、この
「盆栽技術」
(Bonsai Technology)
を
「バイオテク
日本人の体格は年々大きくなっているので唐突に思えるかも
ノロジー」に応用して「盆栽人間」を実現させることができれ
知れないが、たとえば、身長が100cmに縮まれば、御飯茶碗の直
ば、地球、人類に対し、どう考えても
「焼け石に水」
にもなりそう
径は8cmでよいことになる。
もない「二酸化炭素排出量削減」や「植林」などとは比較にな
つまり、人間の大きさが小さくなれば、それだけすべての物の
らないほどの貢献ができることは明らかである。
材料、製造のための消費エネルギーなど、あらゆる
「消費量」が
日本伝統の「盆栽技術」
を駆使した「盆栽人間」作りは、日本
減り、地球上の資源を節約できることになる。同時に、それに応
が世界に強烈にアピールできる恰好のテーマでもある。いまこ
じて日常生活のゴミや地球環境に悪影響を及ぼす廃棄物も減る
そ、日本政府は既存のテーマの研究に大金を投ずるばかりでな
、、、、、、、
く、
“フロンテイア分野”の文字通り夢のようなことの実現に強
ことになる。
われわれが子供の頃のことを思い出してみても明らかである
力な後押しをすべきではないか。
が、人間の平均身長がたとえば100cmだったとしても、建物や施
多少時間がかかったにせよ、
「盆栽人間」の実現に対して
設や周囲の生活用品もそれに応じて小さくすれば、生活上困る
は、ノ−ベル生理学医学、化学、物理学、経済学、平和賞が与
ことは何もない。実際、ピグミーのような人種もいるし、昔、この
えられることは間違いない。さらに、このプロジェクトの顛末を文学
日本には「一寸法師」のような立派な人もいたのである。
作品に仕上げれば、ノ−ベル文学賞も夢ではない。つまり、前人
物体の「体積」は「長さ」の三乗の関数であり、たとえば、身
No.2, 2009 • SEMI News
未到の、
「一つのテーマ」
で全ノ−ベル賞独占という快挙である。
1
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