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ま ち
『としゅとらん都市』をめざして!
平成 18 年 1 月 1 日に都城市・山之口町・高城町・山田町・高
崎町の 1 市 4 町が合併し、新しい都城市が誕生いたしました。
この間、これまで集積された都市機能に、それぞれの地域の豊か
な自然や歴史・文化など新たな地域資源が加わり、現在、本市は、
人口 17 万人を擁する『市民の願いがかなう 南九州のリーディン
グシティ』として着実な発展を続けています。こうした本市の情勢
を踏まえ、人と人との温かい絆や地域の歴史・文化などの優れた資源を活かしながら、南九
州の経済や文化を牽引できる魅力あふれるまちを創り、子ども達に美しいふるさとを引き継
いでいくために、都城市都市計画マスタープランを策定いたしました。
これまでの都市計画は、人口増加による都市の膨張を前提とした開発型のものでした。し
かし、人口減少・高齢化の進展、地球環境問題の深刻化、市町村合併の進展など都市を巡る
社会経済情勢の変化に伴い、都市政策の転換が求められています。
都城市には、
『父なる霧島』の麓を流れる『母なる大淀川』に育まれた肥沃な大地、そして
その恵みを活かした人の営みが、各地域の生活を支える『まち』を形成してきました。これ
からの都市計画は、ある程度整備された『まち』という『舞台』を使って、住民、企業、NPO
等の多様な『役者』の参加を促し、彼らが生き生きと活躍できるように、
『まちを演出』して
いく成熟型社会に相応しいまちづくりが求められています。
みや こん じょ
ま
ち
本マスタープランでは、豊かな霧の都に集まる未来『としゅとらん都市』を都市目標像に
掲げ、今ある資源を巧みに活かしながら、市民の皆様との絆を深めるまちづくりを基本とし、
市民が主役となって理想のまちを創り上げていく、市民が望むまちを実現する、そのような
魅力あるまちづくりを目指します。つきましては、市民の皆様をはじめ関係各位の御理解と
御協力を心よりお願いいたします。
結びに、本計画の策定にあたり、慎重な御審議を頂いた都市計画審議会の委員の皆様、本
マスタープランへの提言から原案策定まで熱心に取り組んで頂きました都城市都市計画マス
タープラン策定委員会の皆様、地域のまちづくりに対する声をお伝え頂いた地域協議会の委
員や公民館長の皆様、そして市民アンケートや地域意見交換会、パブリックコメントを通し
て貴重な御意見を頂きました多くの市民の皆様に心から厚くお礼を申し上げます。
平成 21 年 12 月
都城市長
長峯
誠
都城市都市計画マスタープラン
第1章
1.1.
1.2.
1.3.
第2章
2.1.
2.2.
2.3.
2.4.
第3章
3.1.
3.2.
3.3.
第4章
4.1.
4.2.
4.3.
第5章
5.1.
5.2.
5.3.
5.4.
第6章
6.1.
6.2.
6.3.
6.4.
6.5.
6.6.
6.7.
第7章
7.1.
7.2.
7.3.
7.4.
目 次
都城市都市計画マスタープランについて ·························1
目的と役割 ··································································2
位置づけ····································································4
対象範囲と目標年次 ··························································5
本市の特性とまちづくりの課題·································9
本市を取り巻く時代の潮流の変化への対応 ······································10
本市の特性 ·································································12
市民意向···································································18
まちづくりの主要課題 ·······················································22
まちの将来像 ···············································29
まちの将来像と理念 ·························································30
まちづくりの基本目標と体系··················································32
将来のまちの形 ·····························································34
テーマ別まちづくり方針 ·····································45
基本目標
基本目標
基本目標
【環】 ···························································46
【産】 ···························································58
【住】 ···························································71
分野別まちづくり方針 ·······································85
土地利用・拠点形成 ·························································86
道路交通体系 ·····························································105
都市環境·································································112
生活インフラ ·····························································117
地域別まちづくり方針 ·····································123
地域区分·································································124
中央エリアのまちづくり構想················································125
中央北エリアのまちづくり構想··············································139
南部エリアのまちづくり構想················································151
西部エリアのまちづくり構想················································161
東部エリアのまちづくり構想················································173
北部エリアのまちづくり構想················································185
計画の実現に向けて ·······································195
まちづくりの基本的な進め方················································196
協働のまちづくりの推進 ···················································198
巧なルールづくり ·························································202
施策の進行管理 ···························································205
1.都城市都市計画マスタープランについて
1
都城市都市計画マスタープランについて
1.1.目的と役割
(1)都市計画とは
(2)都城市都市計画マスタープランとは
(3)目 的
(4)役 割
1.2.位置づけ
1.3.対象範囲と目標年次
(1)対象範囲
(2)用語の定義
(3)検討の範囲
(4)目標年次
1
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
第1章
都城市都市計画マスタープランについて
1.1.目的と役割
(1)都市計画とは
都市は人々の生活の場であり、商業や工業など様々な活動が営まれ、多様な人々が集い、交わり、に
ぎわう場です。都市には、このような生活や産業、観光などの多様な活動が安全で快適に、かつ魅力や
活力のある活動として営まれることが求められます。
このように、都市空間の形成に向けての場と仕組みづくりが、都市計画です。
都市計画法
(都市計画の基本理念)
第二条 都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確
保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念と
して定めるものとする。
(2)都城市都市計画マスタープランとは
都城市都市計画マスタープラン(以下「計画」)は、
「都市計画」を効果的・効率的に進めるため、市
民の意見を反映させながら長期的な視点に立ち、まちの将来像を実現するための方針を総合的かつ一体
的に定めるものです。
都市計画法
(市町村の都市計画に関する基本的な方針)
第十八条の二 市町村は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想並びに都市計画区域
の整備、開発及び保全の方針に即し、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針(以下この条において「基本
方針」という。)を定めるものとする。
2 市町村は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催など住民の意見を反映させるため
に必要な措置を講ずるものとする。
3 市町村は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事に通知しなければ
ならない。
4 市町村が定める都市計画は、基本方針に即したものでなければならない。
(3)目
的
都市計画では、本市の産業経済を発展させる産業活動と市民が健康で豊かな生活を営むための市民活
動を支えることが求められます。それを実現するために、それぞれの活動が調和と連環を保ちつつ、ま
ちに必要な都市機能を配置、整備することが重要です。よって、本計画は市民と行政が協働※ 1 しなが
ら、本市のあるべき姿を考え、その実現に向けてまちづくりを進めていくための指針となることを目的
として策定します。
※1 「協働」:地域の課題解決に向けて、行政単独では解決できない問題がある場合、または市民だけでは解決できない問題などがある
場合に、お互いの不足を補い合い、ともに協力すること。
2
1.都城市都市計画マスタープランについて
(4)役
割
①長期的視点に立ったまちの将来像を示します。
本市のまちづくりについて長期的な視点から進むべき方向を示し、今後本市が定める都市計画は、本
計画に沿って進めていきます。
②本計画に沿って、都市計画の施策を実施していきます。
本計画に沿って土地利用の誘導や道路、公園、河川、下水道など具体的な都市計画の施策・事業を進
めていきます。
また、法的に規制される都市計画を時代の変化に対応できるものにし、かつ地域の実情に応じたもの
にしていきます。
③市民と行政との協働によるまちづくりの取り組みの指針となります。
本計画に記載された方針を「絵に描いた餅」に終わらせないために、具体的な取り組みを実践するこ
とが大切です。
そのために本計画は、市民と行政が協働によって都市計画に基づいたまちづくりについて取り組む上
での重要な役割を担います。
3
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
1.2.位置づけ
本計画は、都市計画法第 18 条の2に基づく「市町村の都市計画に関する基本的な方針」であり、本
市が定める「都城市総合計画」、「都城市国土利用計画」を上位計画とし、その都市計画に関する事項
について、本市の各種関連計画とも整合を保ちながら定めます。
また、宮崎県が定める「都城広域都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」、「高崎都市計画区域
の整備、開発及び保全の方針」にも即しながら※1 定め、都市計画の広域的な一体性を確保します。
さらに、新市になってから間もないということもあり、各部門の基本計画が「策定完了」、
「策定中」、
「未着手」と対応が完全ではないことから、新旧の部門別計画と整合を図り定めます。
したがって本計画は、多様なまちづくりの実施とそれに伴う都市空間の形成(土地利用や施設配置、
道路・下水道・公園など都市施設の整備方針)に関わる内容を取りまとめたものです。
※1 「即する」:互いに補完しながら、矛盾しないことをいう。
都城市総合計画
都城市国土利用計画
都市計画区域の整備、開発及び
保全の方針(宮崎県策定)
■市民意見の反映など
即す・整合を図る
矛盾しない
即す・整合を図る
矛盾しない
関連計画
即す・
整合を図る
矛盾しない
都市計画
都市交通計画
緑の基本計画
下水道基本計画
景観計画
住宅マスタープラン
○ 策定委員会への市民参加
○ 地域ヒアリング
○ 市民意識調査
○ パブリックコメント
○ 広報・ホームページ
都城市都市計画
マスタープラン
(市町村の都市計画に
関する基本的な方針)
全体構想
分野別構想
地域別構想
中心市街地に関する計画
市民意見反映方法
反映
■関係部局などとの調整
○ 地域協議会との調整
○ 宮崎県都市計画課との調整
実現への方途
○ 庁内関係各課との調整
都市計画の決定・実施
多様なまちづくりの実施
環境に関する計画
農業に関する計画
森林に関する計画
廃棄物処理に関する計画
スポーツ施設に関する計画
福祉に関する計画
●都市計画規制
教育に関する計画
地域防災計画
(地域地区・地区計画など)
など
●都市計画事業
(都市施設整備など)
●市民主体のまちづくり
(市民・事業者などの取り組み)
●行政が行う事業
▲都城市都市計画マスタープランと他計画、意見の反映、まちづくりとの関係
4
1.都城市都市計画マスタープランについて
1.3.対象範囲と目標年次
(1)対象範囲
都市計画を定める範囲は都市計画区域となりますが、市の取り組みとしては、広域的な視点を持ちな
がら都市計画の手法以外の様々な分野の取り組みと連携して、市域全体のまちづくりを進めていくこと
が重要であるため、本計画は市全域を対象範囲とします。
(2)用語の定義
●まちとは・・・・・・・・・
本計画では、むらの対義語として使うのではなく、ある程度
の集団が生活を営む空間のことをいう。
また、暮らしやすいまち、自然と共生するまちなど、空間が
そのような状態になっていること。
●まちづくりとは・・・・・
身のまわりの生活の場に着目して、その整備に行政や住民が
取り組むこと。
また、施設整備などのハードだけではなく、環境、歴史、文
化、産業、観光、防災、防犯、福祉などソフトも含めた総合的
な概念であり、一連の持続的な活動を行うこと。
●協働とは・・・・・・・・
地域の課題解決に向けて、行政単独では解決できない問題が
ある場合、または市民だけでは解決できない問題などがある場
合に、相互にお互いの不足を補い合い、ともに協力すること。
●活性化とは・・・・・・・
まちにおける様々な活動が、お互いに同じ目的を持って良い
方向に進み、にぎわいや交流など活力のある状態になること。
●ゾーンとは・・・・・・・
目的を主眼にした一定の範囲
●エリアとは・・・・・・・
地理的なものや地区など集団化している一定の範囲
5
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
▲都城市の空間概念図
6
1.都城市都市計画マスタープランについて
(3)検討の範囲
本計画は、都市空間の形成を中心として、まちづくりの方向性を示します。
都城市都市計画
マスタープラン
広域
この領域を対象に、まちづくり
の方針を示していきます
(市全体)
ソフト
物的環境整備が中心
医療、福祉、教育、文化、防災・防犯コミュニティ活動など
地域
ハード
居住環境や都市基盤などの都市空間の形成やそれに関わる活動
(身近なまち)
▲都城市都市計画マスタープランにおける検討の範囲
(4)目標年次
①概ね 20 年後を目標とします 。
本計画は、概ね 20 年後の平成40年(2028年)を目標年次とします。
②必要に応じて見直しを図ります。
本計画は、社会・経済情勢や市民意識の変化、まちづくりの進捗状況などに的確に対応するため、必
要に応じて見直しを図ります。
7
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
8
2.本市の特性とまちづくりの課題
2
本市の特性とまちづくりの課題
2.1.本市を取り巻く時代の潮流の変化への対応
2.2.本市の特性
2.3.市民意向
(1)20 歳以上の市民の意向
(2)中学生の意向
2.4.まちづくりの主要課題
(1)安心して暮らし続けられるまちづくりの課題
(2)環境保全・循環型まちづくりに向けた課題
(3)魅力ある住まいづくりの課題
(4)地域経済とにぎわい・活力創出の課題
(5)地域資源を活かしたまちづくりの課題
(6)快適で円滑な移動環境の課題
(7)地域社会を構成する市民像と財政面の課題
本市を取り巻く時代の潮流の変化、本市の特性や個性、市民意向を整
理しました。
その上で、本市のまちづくりの課題について「安全・安心」、「環境・
循環」、「住まい」、「にぎわい・活力」、「地域資源」、「移動」、「社会と財
政」の側面から明らかにし、まちの将来像を検討する足がかりとします。
9
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
第2章
本市の特性とまちづくりの課題
2.1.本市を取り巻く時代の潮流の変化への対応
本市を取り巻く時代の潮流は、グローバル社会の進展、環境や資源エネルギー問題の深刻化、人口減
少社会の到来と少子高齢社会の進展、まちや地域の安全に対する意識の高まり、ライフスタイルの多様
化など大きく変化しています。
本市では、過疎化や少子高齢化の進行により地域社会の維持が懸念される集落地が出てきているなど、
これまでに経験したことのない局面を迎えています。このような人口減少及び少子高齢化の影響は、私
たち地域社会の様々な場面に、今後あらわれることが予想されます。
こうした状況に対応していくために、私たちは時代の流れを的確に捉え、暮らしや環境、産業につい
て持続可能な地域社会のあり方を模索していかなければなりません。
●人口減少社会・少子高齢化
 世帯の小規模化と高齢者のみの世帯が
増加
 労働力人口の減少による経済成長の低
下
 税収の低下や社会保障負担の増加
《まちづくりに求められること》
○多様な世代が暮らし続けることのできる地域
社会の形成
○高齢者の社会参加、子育てや介護がしやすい
環境づくり
●地方分権の進展
 自己選択や自己責任を原則とした分権
型社会の到来
 国、地方の厳しい財政状況
 国から地方へ、官から民への権限委譲の
進行
《まちづくりに求められること》
○自立性の高い行財政基盤の確立
(真に地域が必要なものを市民の目線に立って
推進する行政サービス、戦略的な政策展開や
進行管理の仕組みづくりなど)
○市民と行政がともに知恵を出し汗を流す協働
のまちづくりの推進
●価値観・ライフスタイルの多様化
 自由時間の増加(自分探し、スキルアッ
プ、ボランティア活動などの活発化)
 働き方の多様化(若者の転職割合の増
加、非正規雇用者などの増加)
 多様な「生き方」を選択できる時代(婚
姻・出産・労働・居住など)
10
《まちづくりに求められること》
○生活の質の向上
○まちを舞台とした社会参加の場の提供
○多様な行政ニーズへの対応
○ライフスタイルに合った居住地の提供
2.本市の特性とまちづくりの課題
●暮らしの安全・安心の確保
 台風、地震、火山活動などの影響
 災害を未然に防ぐ対策の重視
 青少年犯罪の増加と凶悪化
《まちづくりに求められること》
○地域、住民の力を活かした地域ぐるみの安
全・安心の確保
 人と人とのつながりの低下
●環境問題・循環型社会への対応
 地球温暖化、森林減少、生態系の乱れな
ど深刻化する地球規模の環境問題
○無秩序な市街地拡大の抑制
 リサイクル、省エネルギーなど、限られ
た資源の有効利用
○社会基盤、施設など既存ストックの有効利用
(複合利用、用途転換など)
《まちづくりに求められること》
○地球レベルだけでなく地域レベル、個人レベ
ルでの様々な環境問題への取り組み
●高度情報化社会の進展
 国民生活に浸透するインターネットの普及
《まちづくりに求められること》
 個人情報保護をはじめとするセキュリティ
ー対策の強化
○日常生活サービスの向上、行政サービスの効
率化に向けた高度情報システムの構築
○個人情報の保護をはじめとする情報面の安
全性の強化
●産業・雇用構造の変化
 農林畜産業の担い手不足
 食料自給率の低下や食の安全性への関心
の高まり
 新たな取り組みを行う中小企業の躍進
《まちづくりに求められること》
○基幹産業である農林畜産業の再生、新しいビ
ジネスモデルの創造(産学官の連携、地産地
消など)
○教育や産業、観光、歴史、文化など多様な連
携による都市活力の向上
○社会経済活動の発展に寄与する技術革新や
新たなコミュニティビジネス※1の展開
●広域交流・国際化の進展
 広域交通体系(都城志布志道路、東九州
自動車道など)の整備による生活圏及び
物流の広域化
 定住自立圏※2の形成
《まちづくりに求められること》
○広域救急医療体制の確保
○周辺市町との連携や機能分担の強化
○地域個性の発揮
 産業・文化など国際化の進展
※1 「コミュニティビジネス」:住民が、地域の暮らしの課題(福祉・環境・農業・教育など)やニーズに対応し、または地域の特色や資源(労
力・原材料・知恵・技術・情報・資金等)を活用して行う、地域密着型の新しい形のサービス業。
※2 「定住自立圏」:「定住自立圏構想」に基づき、既にある程度の都市機能を持つ「中心市」と、生活面や経済面で中心市と関わりが深
い「周辺市町村」により形成される圏域。中心市では圏域全体の暮らしで必要な都市機能を集中的に整備するとともに、周辺市町村では
必要な生活機能の確保を図るなど、中心市と周辺市町村が互いに連携・協力することにより圏域全体の活性化を図る。都城定住自立圏
は、都城市を中心市とし、三股町、曽於市、志布志市の3市1町で構成される。
11
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
2.2 本市の特性
●市町村合併による都市の形成
昭和期の市町村合併
大正
昭和
昭和
昭和
昭和
13 年
11 年
32 年
40 年
42 年
都城町が市制施行
沖水村、五十市村合併
志和池村合併
荘内町合併
中郷村合併
▲昭和期の市町村合併
平成期の市町村合併
平成 18 年
山之口町、高城町、山田町、
高崎町合併
▲平成期の市町村合併
●区域区分※1に至る過程と影響
【区域区分廃止に至る過程】
· 本市は、市町村合併を繰り返し都市が形成され
てきました。昭和 45 年の区域区分時では、そ
れまでの旧町村のほとんどが市街化調整区域
に指定され、当時の都市計画区域内人口の
37%、市街化区域面積の約 4.9 倍にあたる広
い地域が設定されました。
· 市街化調整区域では、住宅の建築や企業立地な
どの開発行為が著しく制限されました。旧町村
においては、過疎化や高齢化の進行に相まって、
区域区分が地域の活性化を阻害する大きな要
因とみなされるようになりました。そのため、
市域の均衡ある発展のため、昭和 63 年に区域
区分を廃止しました。
※1 「区域区分」:都市計画区域では、既に市街地になってい
る場所や優先的・計画的に市街地にしていくための「市街化区
域」と、市街化を抑える「市街化調整区域」の二つの区域に分け
る。この制度を区域区分(線引き)という。
12
「区域区分制度」について
高度成長期における人口、産業などの急激な都市集中は、都
市の過密化をもたらすと同時に都市の郊外への無秩序な拡散
を招き、道路、下水道のような必要最低限度の施設さえ備えな
いような劣悪な市街地を形成し、公共施設に対する非効率な投
資や後追い的な投資が余儀なくされた。このようなスプロール
(バラ建ち)の弊害を除き、都市の健全で秩序ある発展を図る
ために区域区分制度は設けられた。
当初は、都市計画区域は全て区域区分を行うものであった。
その後附則で当分の間、大都市等政令で定めた都市計画区域の
みの対象とし、区域区分を行うかどうかは、国の判断に委ねら
れる仕組みであった。
しかし、今日においては、都市への人口や諸機能の集中は沈
静化し、安定・成熟化した都市型社会が到来しており、区域区
分についても、都市計画区域ごとにその適用の必要性を判断す
ることが適切な状況となってきたため、平成 12 年の都市計画
法改正により、区域区分をするか否かを、都市計画区域を定め
た都道府県が、地域の実情を踏まえて、都市計画区域マスター
プランの中で判断する仕組みとなった。(依然として開発圧力
が高い三大都市圏などは、引き続き区域区分を義務付けてい
る。)
2.本市の特性とまちづくりの課題
【区域区分廃止の影響】
区域区分の廃止後の開発動向は、生活利便の高い幹線道路の沿道や生活利便施設の集積地、土地取
得の容易性などにより市街地の用途地域周辺部に開発圧力が高まりました。よって、市域の均衡ある
発展をめざして区域区分を廃止しましたが、市域全域の人口増加や工業開発などには寄与したものの、
市域の均衡ある発展を目的とした人口減少や高齢化対策には、効果のあった地域と思ったほどの効果
は上がらなかった地域があるといえます。
○人口動態
· 区域区分廃止(昭和 63 年)後から
合併前の平成 17 年までで旧都城市
の人口は 1.9%増加しています。内
訳は都市計画区域内が 2.9%増加、
都市計画区域外が 16.1%減少、用途
地域内が 2.9%減少、用途地域外が
12.8%増加となっています。市全体
の人口は微増であるなかで、用途地
域外の人口が大幅に増えています。
○建築確認件数
· 区域区分廃止後、平成 6 年をピーク
に減少傾向にあり、近年は廃止前の
水準に戻りつつあります。用途地域
内と用途地域外の建築確認件数は、
ほぼ半々です。
人口密度が 40 人/ha
以上かつ人口が増加し
ている
○開発行為件数
· 区域区分廃止後、平成 2 年をピーク
に近年は減少後横ばいです。廃止後
は、ほとんどの年で用途地域外での
開発が多くなっています。
○農地転用件数
· 区域区分の廃止後、平成 2 年をピー
クに近年は減少しており、転用の目
的としては、住宅への転用が多くな
っています。
このように、区域区分の廃止の目的で
あった人口の維持は図れたものの、用途
地域外への開発を助長することになっ
たことも否めません。
人口密度が 40 人/ha
以上かつ人口が増加し
ている
▲区域区分前後の人口増減
13
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
●霧島の裾野に広がる水とみどりのふるさと
· 森林・農地面積は市域の 4 分の 3 を
占めています。
霧島屋久国立公園
· 霧島屋久国立公園、母智丘関之尾県立
自然公園、わにつか県立自然公園のみ
どり、大淀川水系などの豊かな自然環
境に恵まれています。
わにつか
県立自然公園
母智丘関之尾
県立自然公園
▲本市の自然環境
●陸・海・空すべてのアクセスに恵まれた交通の要衝
· 本市は、九州縦貫自動車道宮崎線、国道
10 号、221 号、222 号、269 号をは
じめ、多くの主要道路が整備され、宮崎
市まで約40分、鹿児島市まで約1時間、
九州最大の都市福岡市まで約3時間半
の所要時間となっています。
· 本市は、半径40キロ圏内に重要港湾で
ある宮崎港、油津港、中核国際港湾であ
る志布志港、また宮崎空港、鹿児島空港
の2空港が所在しています。
· 広域交通については、都城志布志道路や
東九州自動車道の整備が進められてお
り、広域交通の利便性がさらに高まるこ
とが期待されています。
▲広域交通網
14
2.本市の特性とまちづくりの課題
●全国有数の食料供給基地
▼農業産出額 全国ランキング(H18 年)
資料:九州アグリランキング
· 本市は、農業産出額が全国第 2 位を占める全国有数
の食料供給の拠点都市です。特に豚、肉用牛、鶏は、
全国 1 位の産出額を誇ります。
· 産業別総生産額の対県シェア、伸び率をみると、食料
品・飲料を中心とした製造業が特化・成長し、また農
工連携の強い産業構造となっています。
県平均=1.00
474
400
0
田
愛
原
知
市
製造業
/H
建設業
県平均= 1.00
新
潟
市
伸び率
鶏
21.2%
サービス業
0.50
鉾
茨
田
城
市
豊
橋
市
加工農産物
0.2%
野菜
8.1%
耕種その他
4.2%
【特化・衰退】
0.00
0.00
浜
松
市
米
6.0%
運輸・
通信業
卸売・
【非特化・衰退】 小売業
都
城
市
その他畜産
0.1%
農業
不動産業
539
【特化・成長】
電気・ガス
・水道業
0.50
540
)
金融・
保険業
拡16
大
係 1.00
数11
655
600
)
1.50
698
(
林業
724
(
生産額H
【非特化・成長】
800
200
<全市>
2.00
豚 1位、肉用牛 1位、鶏 1位
(億円)
1.00
1.50
特化・非特化係数
平成18年
農業産出額
6,983千万円
2.00
▲生産額対県シェア(H16 年) 資料:産業別市町村内総生産
豚
32.2%
市町村総生産を産業別に見ると、農業は生産額対県シ
ェアが 1.35 であり、製造業は生産額対県シェアは
1.29、生産額伸び率は 1.20 となっています。
肉用牛
21.6%
乳用牛
6.5%
▲農業産出額の内訳(H18 年)
資料:市町村別生産農業所得統計
●都城圏※125万人の拠点都市
· 県内で昼夜間人口比率が最も高く、周辺市町村から
の中心的役割を担う都市となっています。
· 平成 12 年からの動向をみても、昼夜間人口比率は
増加傾向にあり、求心力※2が高まっています。
H17昼夜間
人口比率
昼夜間人口比率の比較
110
105
H17-H12
1.0
107.6
104.8
102.2 101.6
101.4
100
0.5
100.2
99.5 0.0
95.6 96.0
95
-0.5
90
-1.0
85
-1.5
80
-2.0
宮
崎
市
都
城
市
延
岡
市
日
南
市
小
林
市
H17昼夜間人口比率
日
向
市
串
間
市
西
都
市
H17-H12増減
▲昼夜間人口比率の比較(H17 年)
資料:国勢調査
え
び
の
市
▲通勤・通学流動図(H17 年) 資料:国勢調査
※数字は通勤・通学者数(単位:人)
※市町名の下の数字は自市町内従業・通学率
※1 「都城圏」:都城市、三股町、鹿児島県曽於市、志布志市の一部を
含む経済圏域。
※2 「求心力」:中心に向かう力。他のものを引きつける力という比喩表
現としても用いられる。向心力。
15
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
●様々な分野において県内高水準
· 県内では、人口規模2位、観光入込客2位、農業産出額1位、商品販売額2位、製造品出荷額等2位など、
様々な分野において高水準を示し、都城圏の中心都市として発展を続けています。
資料:国勢調査
資料:宮崎県観光動向調査
資料:農業生産所得統計
電気機械 1.7%
情報通信機械 0.2%
一般機械 3.0%
電子部品・デバイス 0.8%
金属
2.4%
鉄鋼 0.8%
その他 3.2%
窯業・土石
1.6%
食料品
24.5%
ゴム
23.7%
平成17年
製造品出荷額等
飲料・
たばこ
22.2%
プラスチック
1.1%
印刷
木材
1.6%
5.6%
家具
0.8%
衣服
4.9%
繊維
0.7%
▲製造品出荷額等の内訳(H17 年)
資料:商業統計
16
資料:工業統計
資料:工業統計
2.本市の特性とまちづくりの課題
●持ち家・一戸建て志向の高い住宅ニーズ
· 一般世帯の住宅所有では、持ち家約 66%、民間借家約 25%で県平均と近く、宮崎市や延岡市と比べ、持ち
家志向の高い都市です。
· 住宅の建て方では、県平均及び全国と比べ、一戸建住宅に対する割合が約 8 割と高く、共同住宅は約 18%
にすぎません。
▼住宅の建て方の割合
▼住宅所有の割合(一般世帯)
0%
宮崎市
都城市
延岡市
20%
40%
53.0%
66.3%
62.5%
60%
80%
36.1%
6.4%
5.2%
7.4%
25.2%
25.8%
100%
100%
1.8%
9.3%
3.6%1.0%
7.3%
2.5%
2.3%1.0%
80%
66.5%
6.9%
23.1%
13.6%
7.4%
2.7%
11.7%
16.8%
11.6%
60%
3.2%
3.5%0.8%
40%
宮崎県
3.3%
79.1%
2.6%1.0%
共同住宅
6階以上
共同住宅
3~5階
共同住宅
1・2階
72.9%
長屋建
56.7%
全国
持ち家
62.1%
公営・都市機構・公社の借家
6.6%
民営の借家
27.0%
給与住宅
3.2%1.1%
間借り
一戸建
20%
0%
都城市
資料:H17 年国勢調査
宮崎県
全国
資料:平成 15 年住宅・土地統計調査
●地域で受け継がれてきた歴史文化
旧市町
まちの特性・個性、成り立ち
· 平安時代に平季基がこの地を開発、寄進したのが
「島津荘」のはじまりとされ、後に惣地頭職に任命
された惟宗忠久が荘園の名前である「島津」を称す
るようになりました。これが島津氏のはじまりであ
り、都城を「島津発祥の地」とする由縁です。
都 城
南九州の産業・経済・教育・文化の拠点都
市、大学・研究機関の集積
山之口
農畜産業のまち、麓文弥節人形浄瑠璃など
多くの伝統行事・文化財の集積、生涯学
習・生涯スポーツのまち
· 現在の市域の大半を占める集落地域が互いに支え
あい、発展してきました。
高 城
農畜産業のまち、伝統的な武家屋敷、高城
郷土資料館、観音池公園
· 昭和期や平成期の市町村合併により形成された現
在の本市は、各地域それぞれに多様な歴史や個性を
あわせ持っています。
山 田
かかしの里づくり、ゆぽっぽ、山田温泉交
流センター、薩摩迫館跡
高 崎
みどり・健康・ふれあいのまちづくり、前
田地区の石垣・生け垣の続く歴史的なまち
なみ、星空をテーマにしたまちづくり
●旺盛なまちづくりへの参加意識
· 福祉や環境などのテーマに特化したグループや地域に根ざした団体活動が行われているなど、市民のまちづ
くりへの参加意欲が高いまちです。
· これまで旧町村単位で協働によるまちづくり活動が行われてきたことから、住民と行政との距離も近く、行
政施策に対する当事者意識も高いまちです。
17
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
2.3.市民意向
(1)20 歳以上の市民の意向
①調査概要
調査対象
調査方法
調査期間
配布数・回収数
・市内に居住する 20 歳以上の男女
・人口比に合わせて地区別にサンプル数を配分し、対象者を無作為抽出
・郵送による配布・回収
・平成 19 年 12 月 22 日~平成 20 年 1 月 7 日
・配布:4,000 通 ・回収:965 通(回収率 24.1%)
②調査結果
【重点的に取り組むべき課題 (2つまで)】
1)重点的に取り組むべき課題
●今後、重点的に取り組むべき課題は、
「高齢者を活
かしたまちづくりや地域づくりの担い手づくり」
、
「高齢者など交通弱者の移動のしやすさ」など社
会参加しやすい環境づくりが求められています。
●「空洞化するまちなか、過疎化する集落の魅力や
活性化」、
「過疎化によって荒廃する農地・森林の
維持・活用」も上位となっています。
0
10
20
高齢者を活かしたまちづくり
や地域づくりの担い手づくり
33.3
高齢者など交通弱者
の移動のしやすさ
30.4
空洞化するまちなか、過疎化
する集落の魅力や活性化
28.7
過疎化によって荒廃する
農地・森林の維持・活用
27.2
施策・事業の重点化や
施設サービスの効率化
21.5
市街地や集落、
住まいの安全性
17.2
CO2削減など
環境負荷の抑制
11.2
2.8
その他
N=965
6.6
無回答
【将来の都城市のイメージ】 (複数回答)
2)将来の都城市のイメージ
●本市の将来のまちのイメージにふさわしいキーワ
ードを伺った結果、
「安全・安心な」が、最も多く、
次いで「元気な・活力ある」、「自然の豊かな」の
順になっています。
0
20
40
60
51.0
元気な・活力ある
40.0
自然の豊かな
33.4
22.8
ふるさとを感じる
心やすらぐ
16.4
ゆとりのある
16.1
うるおいのある
歴史を感じる
9.2
7.3
落ち着きのある
5.1
にぎやかな
4.8
おしゃれな
無回答
(%)
80
66.8
安全・安心な
人にやさしい
18
(%)
40
30
2.6
5.1
N=965
2.本市の特性とまちづくりの課題
3)取り組みの満足度・重要度
【満足度】
分野
●満足度については、利便・経済性の分野
が、低い結果となっています。
施策
満足度
公園や緑地の整備・みどりの豊かさ
環境・
快適性
河川や水辺などのきれいさ・水辺環境
給排水施設の整備(上下水道など)
1.343
0.824
静かで落着いた居住環境(騒音・振動など)
0.640
1.165
住まいの日照や風通し
1.170
1.128
自然や田園の景観の美しさ
1.062
1.092
住宅地の家なみの景観
0.694
0.592
幹線道路沿道のまちなみ・看板・広告物などの景観
-0.035
0.732
中心市街地のまちなか景観
-0.540
1.158
・雇用の場の確保
・公共交通の便利さ
・中心市街地のまちなか景観
病院、保健施設などの利用のしやすさ
【重要度】
安心・
安全性
●重要度については、安心・安全性の分野
が、高い結果となっています。
<重要度の特に高い取り組み>
・病院、保健施設など利用のしや
すさ
・高齢者、障がい者の福祉施設な
どの利用のしやすさ
・雇用の場の確保
・河川や水辺などのきれいさ、水
辺環境
・交通安全対策
利便・
経済性
【満足度】
-0.142
【重要度】
1.101
●4つの分野ごとに、その分野の平均より
教育・
文化性
・上下水道など給排水施設の整備
・中心市街地のまちなか景観
<安心・安全性の分野>
・高齢者、障がい者の福祉施設な
どの利用のしやすさ
・交通安全対策
1.552
保育所、幼稚園、児童館などの利用のしやすさ
0.600
1.328
火災に対する安全性(家屋の不燃化など)
0.187
1.345
0.384
1.448
家屋の地震に対する安全性
-0.051
1.490
交通安全対策(歩道設置・街路灯など)
-0.269
1.517
安心して歩ける道路(歩道拡幅、路面段差解消など)
-0.317
1.508
地域の防犯対策
-0.141
1.586
0.335
1.175
渋滞のない移動のしやすさ(通勤・通学・業務上)
0.381
1.004
公共交通の便利さ(バスや鉄道など)
-0.557
1.062
雇用の場の確保(企業誘致など)
-0.935
1.560
地域内外の交流の取り組み(観光客の誘致など)
-0.533
1.040
買い物のしやすさ(中心市街地や各地域のまちなか)
-0.094
0.947
農林業活性化の取り組み
-0.344
1.206
住宅地や住宅の求めやすさ
0.057
0.815
市役所や支所などの利用のしやすさ
0.409
1.103
学校施設の利用のしやすさ(小中学校など)
0.639
0.878
文化施設やスポーツ・レクリエーション施設の利用のしやすさ
0.238
0.773
公民館や集会所などの利用のしやすさ
0.665
0.783
-0.416
0.601
まちづくり活動や地域住民の結びつき
0.187
1.087
地域のお祭りや伝統行事などの活動
0.448
0.839
芸術・文化、教養などの活動
0.135
0.865
郷土に対する誇りや郷土愛を育む機会
0.141
0.915
-0.045
1.146
娯楽やレジャー施設の多さ
<環境・快適性の分野>
・河川や水辺などのきれいさ、水
辺環境
1.638
-0.059
高齢者、障がい者の福祉施設などの利用のしやすさ
身近な生活道路の整備
【満足度(低)重要度(高)】
満足度が低く、重要度の高い取り組み
0.406
自然災害に対する安全性(がけ崩れ・洪水など)
【満足度】
0.082
【重要度】
1.490
【満足度】
0.221
【重要度】
0.876
1.479
0.312
計画的なまちづくり(土地区画整理や再開発など)
・地域内外の交流の取り組み
・娯楽やレジャー施設の多さ
1.157
-0.174
-0.027
<満足度の特に低い取り組み>
【満足度】
0.385
【重要度】
1.067
重要度
0.743
まちづくりに積極的に参加しようとする市民性
まちづくり全般の取り組み
0.015
-
満足度/重要度がその分野全体の平均を上回るもの
満足度が低く、かつ重要度の高いもの
<利便・経済性の分野>
・雇用の場の確保
・農林業活性化の取り組み
<教育・文化性の分野>
・まちづくり活動や地域住民の結
びつき
・郷土に対する誇りや郷土愛を育
む機会
満足度:
「満足」
(+2)
「やや満足」
(+1)
「やや不満」
(-1)
「不満」
(-2)
重要度:
「重要」
(+2) 「やや重要」
(+1) 「あまり重要でない」
(-1) 「重要で
ない」
(-2)
で計算した全回答者(無回答者除く)の平均値
・まちづくりに積極的に参加しよ
うとする市民性
19
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
このエリアに分布する施策は、重要度が高いと認識されながら、
満足度の低い施策です。
【改善】
【維持】
重要度
(左上ほど改善の必要がある施策と捉えられます)
このエリアに分布する施策は、重要度が高いと認識され、かつ、
満足度も高い施策です。
満足度
(右上ほど評価の高い施策と捉えられます)
高齢者、障がい者の福祉施設などの利用のしやすさ
給排水施設の整備(上下水道など)
重要 2
家屋の地震に対する安全性
火災に対する
安全性(家屋
の不燃化など)
地域の防犯対策
交通安全対策(歩道設置・街路灯など)
病院、保健施設などの利用のしやすさ
自然災害に対する安全性(がけ崩れ・洪水など)
身近な生活道路の整備
保育所、幼稚園、児童館などの利用のしやすさ
安心して歩ける道路(歩道拡幅・路面段差解消など)
市役所や支所などの利用のしやすさ
雇用の場の確保(企業誘致など)
河川や水辺などのきれいさ・水辺環境
まちづくりに積極的に参加しようとする市民性
中心市街地のまちなか景観
重 やや
要 重要 1
度
静かで落着いた居住環境(騒音・振動など)
まちづくり活動
や地域住民の
結びつき
公園や緑地の整備・みどりの豊かさ
住まいの日照や風通し
公共交通の便利さ(バスや鉄道など)
地域内外の交流の取り組み
(観光客の誘致など)
自然や田園の景観の美しさ
渋滞のない移動のしやすさ
(通勤・通学・業務上)
農林業活性化の取り組み
学校施設の利用のしやすさ
(小中学校など)
買い物のしやすさ(中心市街地や各地域のまちなか)
計画的なまちづくり(土地区画整理や再開発など)
娯楽やレジャー施設の多さ
幹線道路沿道のまちなみ・看板・広告物などの景観
芸術・文化、
教養などの
活動
公民館や集会所などの
利用のしやすさ
文化施設やスポーツ・
レクリエーション施設の
利用のしやすさ
住宅地の家なみの景観
郷土に対する誇りや
郷土愛を育む機会
住宅地や住宅の求めやすさ
地域のお祭りや伝統
行事などの活動
0
-2
不満
-1
やや不満
0
満足度
20
1
2
やや満足
満足
2.本市の特性とまちづくりの課題
(2)中学生の意向
①調査概要
調査対象
・市内の 19 中学校の生徒(中学 2 年生)
調査方法
・各学校の担任者からの直接配布、直接回収
調査期間
回収数
・平成 20 年 6 月 10 日~6 月 30 日
・回収:1,712 通
②調査結果
1)今後の居住意向
●今後の居住意向は、
「しばらくは住むが、将来は出
て行きたい」が最も多く、
「住み続けたいが出て行
かざるを得ないと思う」と合わせると、41.2%が
出て行く意向となっています。
●「住み続けたい」または「将来は戻ってきたい」
の合計は 37.8%で、しばらくは住むが将来は出て
行きたい意向の方がやや上回っています。
0
【今後の居住意向】
(%)
20
40
10
このままずっと
住み続けたい
20.3
就職や進学で
出て行く予定だが、
将来は戻ってきたい
17.5
しばらくは住むが
将来は出て行きたい
36.2
住み続けたいが
出て行かざるを
得ないと思う
5.0
17.4
わからない
3.6
無回答
由は、
「都城市が暮らしやすいから」が約7割を占
めています。
●「親元の近くに住みたいから」も 15.5%となって
いますが、「都城市に働ける職場があるから」は
N=1,712
【住み続けたい理由】
2)住み続けたい理由
●住み続けたい、または将来戻ってきたいという理
30
0
20
40
(%)
60
都城市が
暮らしやすいから
80
66.3
都城市に働ける
職場があるから
6.2
親元近くに
住みたいから
15.5
7.0
わからない
6.2%にとどまっています。
4.5
その他
0.6
無回答
3)ふるさとへの愛着
●「まあ、愛着がある」が最も多く、2位の「とて
も愛着がある」を加えると、83.5%の中学生が「愛
0
N=647
【ふるさとへの愛着】
(%)
40
80
20
60
25.8
とても愛着がある
57.7
まあ、愛着がある
着」を感じているという結果です。反対に「愛着
がない」
と答えた中学生はわずか 2.6%にとどまっ
ています。
11.8
あまり愛着はない
愛着はない
2.6
無回答
2.2
N=1,712
21
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
2.4.まちづくりの主要課題
安心して暮らし続けられるまちづくりの課題
(1)
安全・安心
今後一層の人口減少や高齢化が進む中では、安全性のあり方が問われています。緊
急時においては、被害を最小限に食い止め、迅速な対応が可能で、地域力を活かして
見守り支え合うなど、安心して暮らし続けることができるまちづくりが重要です。
●現状と推移
①防災・防犯への対応
○集中豪雨や台風など災害の発生や犯罪の増加・凶
災》
都市空間や地域が主体となって行う仕組み、情報
 集 中 豪 雨、台 風の 常 襲地 域 であ り 、大淀 川 沿岸 の低 平
地 は 浸 水被 害 の多 い 地域 。( 平 成 17 年 の 台 風 14 号
で は 死 者 1 名 、床 上浸 水 44 戸 、床下 浸 水 149 戸 な
ど 被 災 した )
ネットワークなどの形成が必要です。
 洪 水 の 調整 機 能を 果 たす 農 地が 減 少傾 向 。
悪化に対し、危険を未然に予知し予防するような
②医療・救急体制への対応
○安全・安心な定住と自立のために戦略的振興拠点
地域※ 1 において広域的な保健医療機能が検討さ
れ、市域内外を含めた広域での救急医療の体制づ
くりが求められています。
また、身近なかかりつけの病院の確保を図る必
要があります。
○緊急車両が進入しにくい区域があり、迅速な救命
救急活動ができる都市空間の形成が必要です。
③子育てへの対応
○安心して子どもを産み、子育ての喜びと子どもが
孤独感を感じない環境づくりも必要です。
④高齢者や障がい者への対応
○社会保障費などの増大への対応や、誰もが安心し
いきいきと健康に暮らせ、社会参加が容易となる
ような都市空間を形成することが必要です。
○地域社会の維持が困難な集落などに対し、地域の
高齢者を支えあう仕組みづくりなど、新しい居住
空間の確立が必要です。
※1 「戦略的振興拠点地域」:都城ICのポテンシャルを最大に活か
 山 間 部 、用途 地 域周 辺 部の 急 傾斜 地 付近 で の宅 地化 の
進行。
 防 災 施 設と し ての 公 園が 不 足し 、市 街地 内 で狭 あい な
道 路 が 残る 。
 人 口 減 少 、高 齢 化地 域 にお け る自 主 防災 力 の低 下が 進
行 し つ つあ る 。
《防
犯》
 犯 罪 発 生件 数 は減 少 傾向 。犯 罪発 生 率は 県 内平 均よ り
高い。
 公 園 内 での 犯 罪へ の 不安 が 増加 。
《医療・救急体制》
 救 急 車 が 10 分 以 内 に 到 達で き ない 圏 域が 山 之口、西
岳 な ど 東西 の 山間 部 に存 在 する 。
 市 街 地 内や 集 落地 内 には 、救 急車 が 進入 で きな い消 防
困 難 区 域が あ る。
 千 人 あ たり の 病院・歯 科・診 療 所数 は 1.19 件 で 、都
城 市 街 地で は 充実 し てい る が、 高 崎で は 低い 。
 医 師 不 足を 背 景と し て、 広 域対 応 が求 め られ る 。
 救 急 医 療施 設 の位 置 が偏 在 して い る。
《交通事故》
 種 別 で は車 両 相互 の 事故 が 多く 、発 生場 所 は交 差点 が
多い。
 一 部 の 通 学 路 で は 通 過 交 通 ※ 2 の 進 入 な ど に よ り、 安
全 性 が 危惧 さ れて い る。
《子育て》
 保 育 所 、保 育 園は 充 実し て いる が 、子ど も を安 心し て
遊 ば せ る場 が 少な い 。
 保 育 所( 園)
・幼 稚 園の 入 所率 < H19 年 11 月 現 在 >
保 育 所 (園 ) 111% / 幼 稚園
74%
《障がい者・高齢者施設》
して、人・物・地域を繋ぎ、南九州経済圏をけん引する地域。南九州
 高 齢 者 、重 度 要介 護 認定 者 とも に 増加 傾 向。
の経済圏域をリードする「雇用創出ゾーン」、圏域のみならず県西や
鹿児島県も含めた健康医療の拠点である「健康・医療ゾーン」で構
 通 所 型 高齢 者 施設 は 25 施 設( 老 人福 祉 施設 1 、デ イ
サ ー ビ ス施 設 14、 在 宅 介護 支 援施 設 10)
成している。
 障 が い 者福 祉 施設 は、10 施 設( 身 体障 が い者 更生 援
※2 「通過交通」:渋滞を避けるためなど、その道路沿道に用事が
なく、単に通過するだけの車。
22
《防
護 施 設 4、知 的 障が い 者援 護 施設 4、精 神 障が い 者社
会 復 帰 施設 2) ※ 我 が街 の便 利 帳 HP よ り
2.本市の特性とまちづくりの課題
環境保全・循環型まちづくりに向けた課題
(2)
環境・循環
地球温暖化など地球規模の環境問題が懸念される中で、本市では自動車交通量の増
大、エネルギー消費やごみ排出量の増加など、環境負荷の増加が懸念されます。
本市の有する豊かな自然環境を保全し継承するとともに、移動による環境負荷の少
ない都市構造の構築や、水や資源の循環利用など、循環型まちづくりに向けた取り組
みが重要です。
●現状と推移
①都市と自然との共生への対応
○昭和 63 年の区域区分廃止後、用途地域外への
《土地利用》
宅地化が進み、市街地の拡散が用途地域の周辺
【農地】
部で顕著になりました。このような市街地の拡
 年 平 均 43ha の ペ ー スで の 農地 転 用に よ り、 農地 が
減 少 。 農地 転 用の 8 割 が 用 途地 域 外。
散は、都市施設などのコスト増大をはじめ、豊
【森林】
かな自然環境や農村環境の喪失につながり、ま
ちと自然とのバランスが保てなくなる可能性
があります。
②環境共生・資源循環型社会への対応
○本市の大きな財産である水やみどりの自然環
 森 林 面 積が 減 少傾 向 ( H11~ H17 で 約 0.7% 減 )。
 山 林 伐 採後 の 植栽 未 済地 が 増加 。
 自 然 度 の高 い 天然 林 、二次 林 は西 岳 一帯 に 広く 分布 す
る。
【市街地】
 人 口 集 中地 区 にお け る人 口 密度 が 低下 傾 向。
 建 物 の 新築 で は 、住 宅 は 旧市の用途地域の周辺部、 商
業 施 設 は幹 線 道路 沿 道に 多 い。
境は、農林畜産物の生産に必要不可欠であり、
《水環境》
市民や訪れる人々の憩いの場でもあります。こ
 河 川 の 水質( B OD 75% 値 )は 2 ㎎ / リ ット ル以 下
で 横 ば い傾 向 。志 比 田橋 周 辺で や や悪 い 。
うしたかけがえのない地域資源を後世に引き
継ぐ必要があります。
○地球規模での環境問題に対し、市民や企業、行
 地下水質は硝酸態窒素濃度についてわずかに下降傾
向 が 見 られ る 。地下 水 位は 、低下 の 傾向 か らわ ず かに
上 昇 の 傾向 が 見ら れ る。
 滝 、湖 沼、湧 水、河 川な ど 極め て 優れ た 水環 境 が残 る。
政のそれぞれにおいて、循環型まちづくりへの
 市 街 地 内で は 身近 に 水辺 と ふれ あ える 場 所が 少 ない 。
取り組みが必要です。
 旧 市 の 用途 地 域周 辺 部に お ける 宅 地化 の 進行 に より 、
農 業 用 水へ の 家庭 雑 排水 の 流入 が 進行 。
《大気環境》
 自 家 用 車保 有 台数 が 高く 、 自動 車 に依 存 。
 市 内 CO 2 年 間 排出 量 (平 成 15 年 ) は 1,158 千 ト
ン で 、 その う ち自 動 車部 門 が 4 割 を 占 め る。
 農 住 混 在に よ り、 悪 臭苦 情 が多 い 。
《動植物生息環境》
 身 近 な 河川 は メダ カ 、ホタ ル など 水 生生 物 の生 息地 と
な っ て いる 。
《風致環境》
 市 内 4 地区 が 風致 地 区に 指 定。(城山 31.7ha、 鷹 尾
4.9ha、 都 島 11.2ha、 観 音 池 44.9ha。)
《リサイクル・エネルギー》
 電 力 使 用量 が 増加 傾 向。
 焼 却 ご みは 減 少傾 向 、不 燃 ごみ は 横ば い 傾向 。
 リ サ イ クル 回 収量 は 横ば い 傾向 。
23
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
魅力ある住まいづくりの課題
(3)
住まい
場所性に合った居住環境の特徴を失わせることは、市民の多様なライフスタイルや
居住ニーズに対応できず居住魅力の平準化や低下を招きます。それは、まちの拠点性
の喪失やサービスの非効率化に結びつくことが予想されます。
それぞれの地域に合った魅力的なライフスタイルが選択できる居住環境の創出や、
買い物、通院、子育て、学習、地域内交流など日常生活を支えるサービスがまとまっ
て受けられる生活圏や拠点の形成など、地域に合った魅力ある住まいづくりが重要で
す。
①住まいの魅力の強化
○地域イメージを向上し定住魅力を向上させるた
めに、利便性の高い都市型居住や環境に調和し
たゆとりある田園・山間居住などの地域特性に
ふさわしい誘導を図ることが必要です。
○30 年以上経過した土地区画整理事業施行区域
など面的整備が完了した地区においても、高齢
化や人口流出が見られ、市街地の更新による魅
力ある居住環境の創出が必要です。
○合併によって多くの戸数を抱えることになった
市営住宅では、住宅ストックの総合的な利活用
方策を検討する必要があります。
②生活利便性への対応
○日常生活面での利便性を高めるため、まちなか
や各総合支所や各市民センター周辺との役割を
明確にしながら、医療、子育てや高齢者の福祉
サービス、買い物、学校教育など日常的な都市
サービスが一定の生活圏内で身近に受けられる
日常生活圏づくりが必要です。
○道路側溝の老朽化に伴い、計画的な機能更新が
必要となっています。
●現状と推移
《地 価》
 中 心 市 街地 を 中心 に 地価 が 下落 傾 向。
《世帯構成》
 高 齢 者 の単 身 世帯 、 高齢 者 夫婦 世 帯が 全 体の 3 割 。
《住
宅》
 中 心 市 街地 の 人口 減 少に よ り空 洞 化が 進 行。
 戸 建 て の持 ち 家志 向 が高 く 、 1 戸 あ た りの 住 宅床 面積
は 持 ち 家で 110 ㎡ 。
 木 造 住 宅が 多 く 、防 災 化、 耐 震化 へ の対 応 が進 ん でい
な い 。 市街 地 内に は 、一 部 密集 市 街地 が 残る 。
 地 区 計 画 ※ 1 指定 箇 所 6 地 区 ( 早水 地 区、 中 央東 部地
区 、早 鈴 東部 地 区 、並木 原 地区 、志 比田 東 部地 区 、西
都 城 駅 東口 地 区)
 H16 年 頃 よ り 賃 貸住 宅 、グ ル ープ ホ ーム が 増加 傾 向。
《市街地整備》
 昭 和 21 年 以 降 に 始 ま っ た 土 地 区 画 整 理 事 業 は
876.6ha が 完 了 し 、 現 在 新 田 土 地 区 画 整 理 事 業
30.7ha を 施 行 中 。
 完 了 済 みの 半 数以 上 が昭 和 49 年 以 前 に施 行 され 、老
朽化や狭小な道路幅員など時代にそぐわない地区が
ある。
《市営住宅》
 昭 和 54 年 以 前 に 建設 さ れた も の が 6 割 を 占 め、耐用
年 限 を 越え た 老朽 化 住宅 が 増加 。
 狭 小 な 木造 ・ 簡易 耐 火構 造 の住 宅 が約 5 割 を 占 める。
空き家への入居希望は旧都城市で高く、旧4町では
0.8 倍 と 余 裕 があ る 。
《身近な公園》
 都 市 公 園の 約 7 割 が 供用 開 始済 み。市 民 1 人 当 た り住
区 基 幹 公園 面 積は 2.54 ㎡ と 全 国 平均 よ り高 い 。
 旧 市 の 用途 地 域 内に お いて も 、公 園 の整 備 水準 に 偏り
がある。
《上下水道》
※1 「地区計画」:地域住民の意向を反映し定める都市計画
で、地域の特徴に応じきめ細かいまちづくりを行うため、道
路、公園の配置や規模、建物の形態・用途などルールを定
め、開発、建築行為をこれに基づいて規制誘導するもの。
 H20 年 度 末 の 公 共下 水 道処 理 人口 普 及率 は 38.1% 。
上 水 道 の普 及 率は 95.5% 。
 農 住 混 在に よ る下 水 道処 理 の非 効 率化 が 進行 。
《身近な日常生活サービスの集積》
 ス ー パ ー・ コ ン ビニ の 店舗 数 は全 市 平均 で 千人 あ たり
0.70 店 舗 。 沖 水 ・ 志和 池 が 0.91 店 舗 で 最 も高 く 、
中 郷 が 0.43 店 舗 で 最も 低 い。
24
2.本市の特性とまちづくりの課題
地域経済とにぎわい・活力創出の課題
(4)
にぎわい・活力
地域経済の停滞や就業機会の縮小などによる活力の低下が懸念されています。
地域産業の再生に向けて、遊休農地対策や農用地周辺住宅地との調和、担い手確保
などの良好な営農環境の創出に向けた複合的な取り組みが重要であるとともに、大型
商業施設の郊外への立地など都市活力の構造的変化に対応した中心市街地の再生や産
業の育成・創出などの活性化対策が重要です。
①基幹産業のさらなる育成への対応
○農林畜産業では、担い手の減少や高齢化が進んで
●現状と推移
《就
業》
いますが、生産額は増加傾向にあります。今後は、
 就 業 率 は H7 年 49% 、 H17 年 47.5% で 減 少 傾向 。
若者や新たな担い手が夢を持てる職業として、ま
《農林業》
た消費者ニーズに対応した魅力ある産業へと育
成していくことが必要です。
○近年の食料危機や食の安全への関心が高まる中、
 農 業 産 出額 は 増加 傾 向。主 力産 品 は豚 、肉用 牛 、鶏 で、
全 体 の 4 分 の 3を 占 める 。 豚、 肉 用牛 、 鶏の 産出 額
は 全 国 1 位 で 、全 国 有数 の 食料 供 給基 地 。
 農 業 従 事者 が 減少 、高齢 化 によ る 担い 手・後継 者の 不
足。
おいしく安全な都城ブランドの確立や付加価値
 高 齢 化 の進 む 中山 間 部で 耕 作放 棄 地が 増 加。平成 17
年 で 443ha の 耕 作 放 棄 地が あ る。
を高める上で、研究機関や大学、商工業との連携
 経 営 耕 地面 積 は減 少 傾向 、 農地 の 集約 化 が進 行 。
が必要です。
 ス ギ の 素材 生 産量 に おい て 宮崎 県 が 18 年 連 続 全 国 1
位 で 、本 市は 県 内の 最 大の 原 木消 費 地で あ り国 産材 の
供 給 基 地と し て位 置 づけ ら れて い る。
②産業構造の変化への対応
○産業集積が進んでいない本市においては、安定し
て働ける場の確保が求められています。都城志布
志道路の整備などによる広域アクセス性の向上、
南九州大学や都城工業高等専門学校、農林畜産業
《工
業》
 H10~ 17 年 で 、事業 所 数( 47% 減 )、従 業 者数( 11%
減 ) と もに 減 少傾 向 。
 同 年 で 製造 品 出荷 額 はほ ぼ 横ば い 。
 製 造 品 の主 力 は① 食 料品、② 飲料・た ば こ・飼料、③
木 材 ・ 木製 品 。
研究機関の集積などを活かし、高い技術を持つ人
 市 内 に 9つ の 工業 団 地が あ り、 分 譲面 積 85.1ha の
う ち 、 未分 譲 率は 11% 。
材を育て、新しいビジネスチャンスを創造してい
《商
けるような産業の活性化が必要です。
 H11~ 16 年 で 商 店数 は 卸売 ・ 小売 と も減 少 傾向 。
○特に、まちなかの既存ストックを活かした都市型
産業の育成、医療福祉・高齢者向けサービス、全
国に誇る農林畜産資源を活かした環境ビジネス
など、新しい地域サービス需要に応える起業を活
性化させ、地域経済や生きがいを実感できる地域
社会を支える新しい産業の育成が必要です。
業》
 従 業 者 数は 卸 売で 減 少傾 向 、小 売 では 増 加傾 向 。
 年 間 販 売額( H16/H11)は 卸 売 が 12% 減 、小売 は
2% 減 。
 商 圏 人 口 25 万 人 の 広 域 商圏 を 形成 し てい る。小売 吸
引 力( H16 年 )は 1.099 で 、小 林市( 1.296)、宮
崎 市 ( 1.201)、 日 向 市 ( 1.104) に 次 ぐ。
 中 心 市 街 地 の 対 市 小 売 販 売 額 シ ェ ア ※ 1 は S63 年
36.6% か ら 、 H16 年 15.4% ま で 低 下 。
 11 商 店 街 で 構 成 さ れ る 中 央 商 店 街 の 空 き 店 舗 は
H17 年 の 57 店 舗 か ら、H19 年 の 75 店 舗 ま で増 加。
 H13~ 17 年 間 で、5 千 ㎡ 以 上の 商 業系 開 発行 為が 顕
著 。 旧市の用 途地 域 の周 辺 部に 立 地。
《観
光》
 H13~ 17 年 の 入 込 み客 は 横ば い で、 H17 年 で 年 間
約 98 万 人 の 入 込 み客 。 うち 約 7 割 が 県内 客 。
 主 要 観 光地 は 霧島 、母智 丘・関之 尾 など の 森林 型レ ク
リ エ ー ショ ン 地。
※1 「対市小売販売額シェア」:全市に対する中心市街地の小売
販売額の割合。中心市街地の小売販売額/全市の小売販売額。
 酒造会社では焼酎づくりが見学できる産業観光が行
わ れ て いる 。
25
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
地域資源を活かしたまちづくりの課題
(5)
地域資源
人々の関心が物から心へとシフトする中で、成熟社会にふさわしい、量から質に着
目し地域が誇りに思える多彩で魅力に富んだまちづくりが求められています。
投資余力の減少が見込まれる中で、これまで蓄積されてきた施設や基盤、歴史文化
資源など、地域固有の資源を有効に使いこなすことや、まちづくりに活かすこと、地
域で主体的な活動を進めている人材が活躍できる仕組みをつくることが重要となりま
す。
①人材育成への対応
●現状と推移
○少子化、人口減少が進む本市では、まちに愛着
をもって地域や様々な分野でまちづくりに積極
的に関わりを持ち、活躍できる人材を幼少期か
ら育成することが必要です。
○多種多様な生涯学習やスポーツ活動が盛んな本
市では、そのリーダー的役割を果たす人材の確
保・育成と、多様な人的活動・取り組みのため
の中核的な組織づくりや、各団体間の連携が必
要です。
②地域資源の再発見
《文化財、文化施設》
 都 城 の まち な かや 山 之口 、高 城地 域 には 指 定文 化財 が
多い。
 美 術 館 をは じ め、高 城郷 土 資料 館 、弥五 郎 どん の館 な
ど が 所 在。
《主な文化施設の利用状況》
 市 立 図 書館 登 録者 数
( H13 年 度 32,043 人 、 H17 年 度 43,080 人 )
 ウ エ ル ネス 交 流プ ラ ザ年 間 利用 者 数
( H16 年 度 97,408 人 、 H17 年 度 92,701 人 )
 美 術 館 年間 入 場者 数
( H13 年 度 39,900 人 、 H17 年 度 33,633 人 )
○先人達から受け継がれてきた自然・風土、歴史文
化、産業、生活など多様な地域資源について、そ
《学校教育施設》
の価値を市民一人ひとりが再発見・再認識し、市
 児 童・生徒 数 の減 少 で、小・中学 校 の統 廃 合の 検討 を
せ ざ る を得 な い状 況 。
民共有のものとしていくことで、自信や誇りに結
びつけ、次世代に引き継いでいくことが必要です。
③市民主体の文化形成への対応
○多くの文化財を継承しながら、観光・まつり・
イベントなど、地域の宝を地域内外の人々と一
緒に楽しみながら協働して守り育て次世代に引
き継いでいく市民文化の仕組みづくりが必要で
《景
観》
 国 道 10 号 な ど 主 要 幹 線 道路 に お け る沿 道 型 店舗 の
看 板 類 の乱 立 が著 し い。
 高 城 市 街地 、山之 口 麓 、庄 内 など 武 家屋 敷 の名 残を 残
す 歴 史 的ま ち なみ が 残さ れ てい る 。
《市民活動・地域活動》
 自 治 公 民館 へ の加 入 率は H9 年 71.3% か ら H19 年
66.9% に 低 下 。 横 市 、 五 十 市 、 小松 原 、 祝 吉 で の加
入 率 は 50% 台 で 低い 。
す。
《試験研究機関・大学》
④地域内外の情報発信への対応
○本市には、南九州のリーディングシティにふさ
わしい文化施設や観光レクリエーション資源、
歴史文化資源が豊富にあるものの、市民をはじ
め市域外から訪れる人々への情報発信の工夫が
不十分であり、他都市に売り込む情報発信力を
高めることも必要です。
26
 南 九 州 大学 、 都城 工 業高 等 専門 学 校が 市 内に 立 地。
 農 林 業 関連 で は九 州 沖縄 農 業研 究 セン タ ー 、宮 崎県 総
合 農 業 試験 場 畑作 園 芸支 場、宮崎 県 木材 利 用技 術 セン
タ ー が 立地 。
2.本市の特性とまちづくりの課題
快適で円滑な移動環境の課題
(6)
移 動
放射・環状の道路骨格を持つ本市では、市街地に通過交通が流入し交通が集中する
とともに、車依存の地域社会となっています。
快適な都市生活や円滑な都市活動を支援するために、安全・安心に効率よく移動で
きるよう土地利用と連動した道路交通ネットワークを形成するとともに、高齢化が一
層見込まれるまちの維持に向けた公共交通利用のあり方や、安全で快適な歩行者空間
の創出など生活に身近な移動手段の確保が重要です。
①円滑な道路ネットワークの形成
●現状と推移
○今後も世帯分離や農地転用などによる宅地化の
進展に伴い市街地が拡散すると、交通需要が増加
し、その移動距離が増大します。自動車交通の増
加を抑制するためには、効率的な道路ネットワー
クの整備が必要です。
○市街地内では、一部区間で渋滞区間が残り、都城
志布志道路の整備にあわせた渋滞改善策が必要
です。
②歩行者空間の改善
○快適な生活環境の提供、にぎわいのあるまちなか
や地域の生活拠点の形成を図る上で、歩行者の視
点に立ち、歩き回れる環境づくりが必要です。
③公共交通の利便性強化
○本市には、JR日豊本線・吉都線が走り、市内で
10 駅が設置され、中でも都城駅や西都城駅は本
《道路網整備水準》
 幹線道路網の線密度(道路延長/市域面積)は類似団
体 ※ 1 に比べ高い水準にある。
 放射型のネットワークは充実しているが、各総合支所
間や市街地の骨格を形成する環状網が弱く、通過交通
が市街地に流入する。
 山間部では災害時の代替ルートがない。
《混雑度》
 一部の路線を除き、混雑度は減少傾向にあり、旅行速
度が上昇。
 朝夕のピーク時に国道 10 号など一部区間で渋滞が発
生。
国道 10 号<姫城・平江付近・都北付近>
国道 269 号<祝吉・千町付近>)
《交通手段》
 JR利用者数が減少傾向。
(市内JR駅の乗客数総数1日平均:H13 年度 2,531
人/日、H18 年度 2,172 人/日)
 宮崎交通バス乗客数は増加傾向。
(H13 年度 3,402 人/日、H17 年度 4,380 人/日)
《駐車場》
市の拠点的なターミナルとなっています。しかし、
 まちなかの商業系用途地域を中心に、駐車場整備地区
が指定されている。
平成 13 年~17 年度では、利用者数の減少が続
 ウエルネスパーキングの利用台数
き、効果的で効率的な公共交通の確保が必要です。
○バス利用者は増加傾向にありますが、市民意向で
(H16年度 206,158 台、H19 年度 213,828 台)
《歩行者空間》
 まちなかの回遊性が少ない。
は日常生活におけるバス利用のシェアは、1 割に
 歩道が未整備の幹線道路区間がある。
も満たない状況です。高齢者などの移動弱者の増
 歩道が整備されていても、歩道幅員が狭い、段差が多
いなどの問題を抱える。
加に対し、公共交通利用の利便性の向上や公共施
設と連動した施設配置が必要です。
○幹線道路を中心に基幹的なバス交通サービスが
整備されていますが、中山間の集落ではバスサー
ビスの不便な地区があります。
※1「類似団体(Ⅳ-1)」:類似団体とは、人口及び産業構造などによ
り全国の市町村を 35 のグループに分類した結果、同じグループに
属する団体。平成 18 年度、都城市は「類型Ⅳ―1(人口 15 万人以
上 、産業 構造 、2 次産 業 と3 次産 業 合 計 95 %未満 かつ3 次産 業
55%以上)に属しており、青森市、松江市、佐賀市など 22 団体と同
じグループに属している。
27
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
地域社会を構成する市民像と財政面の課題
(7)
社会と財政
少子高齢化による就業人口の減少、単身高齢者などの世帯構成の変化、高齢化率の
高い集落の増加が顕在化する中で、市の財政運営も厳しいものとなることが予想され
ています。
そのため、スプロール化※1に対応した後追い的な都市基盤の整備を抑制するなどメ
リハリのあるまちづくりが不可欠であるとともに、
ライフスタイルの変化への対応や、
地域で支え合い、持続可能な市民生活を維持する地域社会のあり方が重要となってい
ます。
①地域社会の存続への対応
○生産年齢人口が減少していく中でも、若年者、女
性、高齢者などの様々な主体が活躍し、地域経済
と地域社会を支える環境づくりや仕組みづくり
が必要です。
○高齢者と若年層、各地域の住民が、ともに知恵を
出しあい、相互に交流し、高めあうまちづくりが
求められています。
○地方分権にふさわしい協働社会を構築するため、
市民・事業者・行政がそれぞれの責務を自覚し、
●現状と推移
《人口・世帯数》
【人口】
 H17 年現在で 170,955 人。S60 年~H17 年の 20 年
間で、約 4700 人の人口減少。
 旧都城市のみ人口が横ばい、他の旧 4 町は人口減少が顕
著。
 65 歳以上の高齢化率は S60 年の 13.1%から H17 年で
24.6%まで上昇。超高齢社会※2 となっている。
(今後の見込み)
 H37 年には人口約 160,500 人、高齢者比率は 32.6%
になると予想される。コーホート要因法※3 による
適切な役割分担のもとでまちづくりを実践する
【世帯数】
 世帯数は S60 年以降増加傾向が続き、H17 年現在で
68,282 世帯。
ための仕組みづくりが必要です。
 高齢者単身世帯、高齢者夫婦世帯の増加が著しい。
②厳しさを増す行財政運営への対応
○市税収入の伸び悩みや社会保障費の増加が見込
まれ、今後とも厳しい財政状況が予想される本市
では、健全な財政基盤の確立が急務となります。
《財政状況》 H17 年度一般会計ベース
【歳入】
 概ね 700 億円規模で推移。
 地方交付税は年々減少傾向。地方債による財源確保が拡大
する傾向にある。
【歳出】
 人件費、扶助費、公債費などの義務的経費が拡大傾向。
 普通建設事業費など投資的経費が伸び悩み。H13 年度以
降、維持補修費が減少傾向。
【財政の弾力性】
 平成 17 年度:財政力指数 0.46、経常収支比率 88.5%、
公債費比率 17.5%
 H13~17 年度では財政力指数、経常収支比率、公債費比
率ともに増加傾向にあり、財政の硬直化が進行。
【類似団体(Ⅳ-1)との比較】
(財政)
路が形成されず、虫食い的に宅地開発が進んで行く様子。
 本市と人口規模、就業構造などが類似する他都市と比較す
ると、普通建設事業の比重が大きく、将来的な維持補修費
の拡大が懸念される。また財政力指数が低い。
※2「超高齢社会」:総人口に占める老年人口(65 歳以上)の比率が
(都市整備水準)
21%を超える社会。国連による定義。
 病院・診療所の病床数、都市公園面積の水準は高いが、道
路改良率、下水道などの普及率が低い。
※1「スプロール化」:都市が無秩序に拡大していくこと。計画的な街
※3「コーホート要因法」:基準年次の男 女別年 齢人口 を出 発点と
し、これに仮定された男女年齢別生残率、男女年齢別社会人口移
動率、女子の年齢別出生率及び出生性比を適用 して将来人口を
求める方法。
28
3.まちの将来像
3
まちの将来像
3.1.まちの将来像と理念
(1)まちの将来像
(2)まちづくりの理念(3つの柱)
3.2.まちづくりの基本目標と体系
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
極 環 産 住 絆 巧
3.3.将来のまちの形
(1)まちの空間構成の基本的視点と概念
(2)現在のまちの空間構成
(3)将来のまちの空間構成
29
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
第3章
まちの将来像
3.1.まちの将来像と理念
(1)まちの将来像
都城市総合計画では、
「市民の願いがかなう
南九州のリーディングシティ」を都市像として、
「市民
が主役のまち」「ゆたかな心が育つまち」「緑あふれるまち」「活力あるまち」の4つの基本理念を掲げ
ています。
この都市像を踏まえ、本計画では、「市民の願い」を「一人ひとりがより良い人生が送れるまちの状
態」と捉え、また、
「南九州のリーディングシティ」の進むべき方向を、
「市域を超えた都市間の連携に
よって圏域全体の産業、文化、暮らしの安定をけん引し、活性化させること」と捉えています。
これを踏まえて、めざすまちの将来像を以下のように設定します。
まちの将来像
ま
ち
としゅとらん都市
みやこんじょ
~豊かな霧の都に集まる未来~
●「としゅとらん」とは、都城方言で「歳をとらない」という意味です。方言を使うのは、郷土への尊敬や愛
着を込めています。この中には「美しく上手に歳を重ねる」、
「いつまでも活力がある」、
「長生きできる」と
いう意味を含んでいます。「としゅとらん都市(まち)」とは、暮らしの質や活力が向上し持続する都市とい
うことです。そこには、人の暮らし、自然、産業が調和して、持続的な発展を促し、次世代に継承していく
という思いが込められています。また、
「としゅとらん」を都城に関係するすべての人、
「都市(まち)」を都
市計画関連施策ととらえ、本計画を遂行する際の「協働のまちづくり」も視野に入れています。
●「豊かな」は自然(水や土壌)、文化(歴史や芸術)、産業、人情などあらゆる地域資源を指しており、大き
なポテンシャルを持っていることを表しています。「霧の都(みやこんじょ)」は盆地特有の気象現象である
「霧」が発生する「都(都市)」で、本市を表します。
●「集まる未来」は、今後の本市の展望を意味します。未来とは、都城市に集う人であり、企業であり、自然
であり、都城市の未来をつかさどる全ての事象。それらの事象が、都城市が発展していくにつれて、自然に
集まってくることを表しています。
今回のキャッチフレーズは、長年住みたくなる活力のある「としゅとらん都市(まち)」を実践し、市
民が豊かな暮らしを実感することによって、
「市民の願いがかなう」こととなり、
「豊かな霧の都に」
「未
来」が「集まる」ことによって、「南九州のリーディングシティ」となることを予感させるものとなっ
ています。
30
3.まちの将来像
(2)まちづくりの理念(3つの柱)
31
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
3.2.まちづくりの基本目標と体系
まちの将来像を支える基本理念は、「まちの形」「まちの活動」「知恵と作法」の3つを柱に据え、そ
れぞれの基本理念の柱ごとに、達成したい目標を掲げます。
(1)まちや地域を元気にする多極分散ネットワーク型都市空間の形成(まちの形)
多極分散ネットワーク型都市では、第一に、今後の人口減
少、食料危機、環境問題の深刻化に対応すること、第二に、
極
リーディングシティとしてのリーダーシップの発揮と地域生
活における日常生活サービスの提供に貢献すること、第三に、
地域で培われてきたまちづくりや個性を高めることをめざし
ていきます。
(2)霧の都が織りなす大地と水、歴史文化を活かし個性を育む(まちの活動)
本市は、父なる霧島と母なる大淀川の下に育まれ、今もなお、
豊かな自然が残るまちです。このような、自然や歴史をより
環
良い形で次世代に引き継ぎ、風土を資源として捉え、美しく
上手に歳を重ねたまちをめざしていきます。
(3)農工商と知の連携で人を育て、次世代につなぐ産業を創造する(まちの活動)
本市は、自然のめぐみを背景とした食料の生産・加工・販売
産
や交通の要衝としての都市機能を活かした産業が盛んなまち
です。今ある資源を活かし付加価値を高めるための農工商と
知(学術研究)との交流や広域高速交通ネットワークの整備
によるアジアも視野に入れた都市間交流により、次世代につ
なぐ産業を創造していきます。
(4)誰もが住み続けたくなる居心地の良いまちをめざす(まちの活動)
これからは、一人ひとりがより良い人生を送ることのできる
住
32
まちづくりが求められています。よって、安心でうるおいあ
る生活を営めるように、ライフスタイルやライフステージに
あった居住地が選択できるまちを創造していきます。
3.まちの将来像
(5)市民や地域との協働を重視する(知恵と作法)
本市は、多様な市民公益活動が盛んであり、この人と人の絆
絆
こそがまちの大きな財産であるといえます。こうしたことから、
将来、行政の使える経営資源が減少したとしても、地域の自
助・共助が機能するような協働のまちづくりを育んでいきます。
(6)今ある人・物・仕組みを上手に活用し、効果的な取り組みを進める(知恵と作法)
これまで蓄積してきた施設や基盤の長期的な維持と活用方法
巧
など、現在ある資源を上手に活用します。
また、明確な目標に沿った施策や事業の管理体制を整え、ソ
フト・ハードの多様な取り組みの組合せや柔軟なルールの採用
など、少ない投資で最大の効果が期待できるような取り組みを
進めていきます。
33
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
3.3.将来のまちの形
将来のまちの空間構成とは、まちや地域を元気にする多極
分散ネットワーク型都市空間の形成を実現するため、空間イ
メージを示すものであり、今後のまちづくり施策を展開して
いくための基本的な枠組みとなります。
(1)まちの空間構成の基本的視点と概念
本市がめざす多極分散ネットワーク型都市空間とは、人口・都市機能を一極、高密度に集中させるの
ではなく、一定の都市機能の集積、地理的・歴史文化、コミュニティのまとまりなどから、地域をけん
引する拠点の機能を高め、無い機能は補完し合いながら、まちとみどりの共生を図るものです。
そのために、以下の3つの視点を基本にした都市骨格をめざします。
<視点①>
市街地拡大の抑制とまちなかや地域生活拠点への都市機能の集約
市街地拡大の抑制を基調として、まちの魅力と活力を高める拠点を効果的に配置し、それぞれの機能
を向上させ、まちとみどりの共生を図ります。
<視点②>
自然と共生した良好な都市環境の創出
多様で豊かなライフスタイルの創出と地域の個性を伸ばすため、水とみどりを有効に活用します。
<視点③>
地域資源を活かし各地域が連携した一体的な都市の形成
拠点機能の向上や機能の補完を支え、生活の利便性や快適性に配慮し、拠点間が効率的に結ばれる道
路交通ネットワークの構築を図ります。
まちなか
地域色の添加
・生活利便性が最も高い
・各地域生活圏、
生活拠点での
まちなか居住の場
地域の個性を
・多様な都市活動が展開
活かした地域
される場
色を添加する
・都市の中枢的な機能が
集積する場
・本市の顔■■■■■■
地域生活拠点
・各地域生活圏での身近なサービス
(買い物、医療、福祉、教育、文
化、集いなど)を提供する拠点
面(ゾーン)
拠点
・同じ方向性を持つ土地利用のまとまり
・商業・業務、教育文化、学術研究、情報、行政の都市機能が集積し、本市全体や地域
の交流活動の中心となる場
・生産活動や交流活動の中心となる産業・観光レクリエーション機能などが集積する場
軸
・拠点機能の補完や交流を支える幹線道路、みどりや水(河川)など連続性のある空間
▲ 多 極 分散 ネ ット ワ ーク 型 都市 空 間の 概 念図
34
3.まちの将来像
(2)現在のまちの空間構成
現実的なまちの空間構成を考えるため、現在のまちの空間構成を示します。
市域面積の3/4 が森林や農地から構成される本市は、食料自給率 73%と、宮崎県平均(63%)に
比べ高く、全国有数の食料供給基地です。
本市の生活、産業など多様で広域的な交流は、南北軸となる国道 10 号が担い、まちが発展してきま
した。現在においても、国道 10 号は生活、産業面での多様な都市活動を担う主軸となっています。
中でも、都城中心部の市役所周辺から上町・中町は、商業・業務サービス、医療サービス、行政サー
ビスの中枢的な機能が集積する、本市の顔といえます。
▲現在の都市の空間構成
35
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
(3)将来のまちの空間構成
①面(ゾーン)の構成
<都市と自然・田園との共生を図るための土地利用の展開>
人間活動ゾーン
みどりのゾーン
既存の都市機能を
活用しながら、商
工業などの経済活
動、居住を進める
ゾーン
集落や、良好な農
地、森林・里山な
どの豊かな自然環
境が維持され、今
後も良好な自然環
境を保持していく
ゾーン
2つ の ゾー ン区 分 によ り、そ れぞ
れの特徴や地域性を活かしたま
ちづ く りが 可能 で あり 、市 域 全体
とし て「 都 市と 自然 と のバ ラ ンス
の取 れ た共 生関 係 」を 保 持。
▲みどりと人間活動のゾーン区分
<環境の持続>
基本目標【環】と深い関わりがあるため、人間活動ゾーンとみどりのゾーンに区分し土地利用を進め
ていきます。
36
3.まちの将来像
面の配置について (詳しくは第5章分野別まちづくり方針
土地利用の基本方針(P.86)参照)
【人間活動ゾーン】
住む、働く、物を買う、物をつくる、人や物が移動するなど人間の様々な
活動を支えるゾーンとして人間活動ゾーンを位置づけます。
また、このゾーンの中でも、人間活動が盛んな都市型人間活動ゾーン、人
間と自然の共生が求められる自然共生型人間活動ゾーンに分類します。
○都市型人間活動ゾーン
都市型人間活動ゾーンは、人間活動を支える様々な都市基盤が整い、人
が働き、物を買い、物をつくり、便利に人や物を移動させるなど、人にと
って便利で快適なゾーンです。
○自然共生型人間活動ゾーン
自然共生型人間活動ゾーンは、人間活動を支える一定の都市基盤が整い、
主に自然と共生した居住とそれを支える小規模な買い物などが行える、み
どりあふれる快適なゾーンです。
【みどりのゾーン】
森林・農地は、食料、木材などの生産だけでなく、気温・湿度の調整、水
源のかん養、土砂災害の軽減、保養レクリエーション、郷土景観や地域性、
豊かな文化など、人々に利益をもたらす多くの機能を持っています。こう
した公益的機能を持つ森林や農地をみどりのゾーンとして位置づけます。
みどりのゾーンは、将来の市民が今後もこの地で活動が行えるように、保
全・活用を促進するゾーンです。
また、このゾーンの中でも、自然との共生関係の中で食料供給を担う食料
生産ゾーンと地下水や酸素の供給を担う森林ゾーンに分類します。
○食料生産ゾーン
日本の食生活を支える安定した食料供給を行う場として、付加価値の高
い農畜産物の生産環境や多様な生物の生息環境の持続性を保つゾーンで
す。
○森林ゾーン
林産物の生産機能のほか、次世代への水備蓄や保養レクリエーションな
ど公益的機能を高めることで、地球と人の生命を守り、次世代に水と空気
を供給し、環境の持続性を保つゾーンです。
こうしたゾーンごとに土地利用の展開方針を定めることで、まちなかから郊外に進むほど低密度でゆとり
ある居住環境が確保され、まちなかと郊外、農村とのバランスのとれたまちづくりが実現されます。
また、ある程度同質な土地利用のまとまりを維持し、それぞれのゾーンの特色を活かすことで、多様なラ
イフスタイルの確保と、各地域が個性を発揮し魅力ある地域として発展することが可能となります。
37
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
②拠点の構造
<拠点形成による効果的で利便性の高い都市サービスの提供>
人間活動ゾーンにおいて、暮らしや産業など都市活動の拠点を位置づけます。都市型・自然共生型ゾー
ン内で人の営みを支えるために、地域ごとに地域生活拠点を位置づけ、身近な生活の利便性を高めます。
地域生活拠点では、生活交流の中心となる場として、まちの成り立ちや歴史的な背景、町丁目レベルの
人口・サービス施設の集積、将来人口の見込み、公共交通網の整備状況を勘案して配置します。1生活圏
には最低1つの拠点を配置します。
▲人間活動ゾーンにおける地域を支える拠点配置
<産業・暮らしの持続>
基本目標【産】、【住】達成のため、拠点それぞれの役割分担に沿った機能の集積と主要都市軸・地域
連携軸の形成などによって、効率的な生活サービスの提供、産業活動・交流活動の活性化を図ります。
38
3.まちの将来像
拠点の配置について (詳しくは第5章分野別まちづくり方針
拠点形成の基本方針(P.99)参照)
【地域を支える拠点】
○まちなか(C1)
まちなかは、本市の顔であり、市域周辺や県外からの鉄
道、バスなど公共交通機関の交通結節機能をはじめ、都市
の中枢的な都市機能が集積する核とします。
また、職住近接のまちなか居住が展開される場であり、
都城圏全体の発展をけん引する多様な都市機能の集積を図
ります。
まちなかには、姫城、妻ヶ丘の一部、小松原の一部を位
▲中町周辺
置づけます。
機能
業務サービス、商業サービス、総合行政サービス、広域情報発信、広域交流(歴史・文化・
芸術)、医療・福祉、複合型居住・居住、まちなか観光、交通結節など
○地域生活拠点(C2・C3)
周辺の市街地、田園、山間居住地の生活を支える日常生活サービスの拠点として、それぞれの地
域に見合った公共公益施設、商業施設などを適正に配置します。まちなかには、地域生活拠点の機
能を有します。
また、人口減少などの社会動向、都市機能の集積性、人口密度、都市整備状況、日常生活圏など
を勘案し、生活拠点機能を市街地系生活拠点(C2)と田園系生活拠点(C3)に分類します。
市街地系生活拠点には、姫城、小松原、妻ヶ丘、祝吉、五十市、横市、沖水、高城の8ヶ所を、
田園系生活拠点には、高崎、山之口、山田、志和池、庄内、西岳、中郷の7ヶ所を位置づけます。
機能
身近な商業・業務・医療・行政サービス、複合型居住・居住、交通結節、地域防災など
○安全・安心拠点
高齢化社会や地域医療の安定を勘案した広域救急医療と災害時に円滑な物資輸送、情報収集を行う拠
点として位置づけます。
【活力とうるおいを与える拠点】
○観光文化レクリエーション拠点
観光交流、歴史文化の醸成や情報発信、健康増進や市民生活にうるおいと安らぎを与え、子どもたち
の心と体を育む拠点として位置づけます。
○知的研究産業振興拠点
産業の高度化や立地魅力の向上をめざし、産・学・官での技術交流が高まるよう付加価値の増進と創
造を図る知的研究産業振興拠点として位置づけます。
○学研生活共生拠点
南九州大学を核とし、地域に開かれた研究・教育が盛んに行われ、学生・教職員、地域住民が連携し
て多様な地域活動、交流活動が育まれ、地域社会を醸成する拠点として位置づけます。
39
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
③軸の構成
<多極分散ネットワーク型都市空間の形成を支える放射・環状型道路骨格の構築>
地域それぞれの拠点間が密に連携し合い、互いの機能を補完し合う多極分散ネットワーク型都市空間
の形成や産業、観光拠点間の連携を促進するため、広域骨格軸、主要都市軸、地域連携軸からなる放射
環状型の道路骨格を形成します。
地域生活拠点の有するサービスが受けにくい集落地・住区の生活利便性を高めるために、日常生活圏
の連携軸では、限定的なサービス施設立地を許容します。
▲多極分散ネットワーク型都市を支える軸の構成
40
3.まちの将来像
軸の配置について (詳しくは第5章分野別まちづくり方針
道路交通体系の基本方針(P.106)参照)
【人や物の移動をつかさどる軸】
○放射系都市骨格軸
広域主要都市骨格軸
広域主要都市骨格軸、
都市骨格軸、
地域連携軸により都市の放射軸を構成します。
<宮崎自動車道、都城志布志道路>
都市の骨格を構成し、周辺都市・市町との広域で高速移動を担う軸として位置づけます。
都市骨格軸
・主要都市骨格軸<国道10号
国道269号>
都市の骨格を構成し、周辺都市・市町との広域的な移動を担う軸として位置づけます。
・都市骨格軸<国道221号、国道222号、都城霧島公園線、都城北郷線、御池都城線>
主要都市骨格道路と連結し、地域生活拠点の C2 と C3 を結ぶ軸として位置づけます。
地域連携軸<都城隼人線、都城東環状線、都城野尻線、高城山田線、三股高城線、財部庄内安久線、飯
野松山都城線、中方限庄内線>
地域生活拠点間を結ぶ主要な軸として位置づけます。
○環状系都市骨格軸
市街地環状軸と広域環状軸により都市の環状軸を構成します。
市街地環状軸
内環状、中環状、外環状の3本の軸で構成され、まちなかの形成及び市街地を内環、外環に連絡
する骨格軸として位置づけます。
・内環状軸<大王通線、蔵原通線、千間通線、平江通線>
・中環状軸<西之前通線、菖蒲原通線、早鈴岳下通線>
・外環状軸<鷹尾上長飯通線、甲斐元通線、福島通線(国道 222 号バイパス)>
広域環状軸<霧島南部地区広域農道(朝霧ロード)
、都城野尻線>
各集落、三股町、拠点間を包括的に結び、都城盆地の環状網を構成する軸として位置づけます。
【人間活動をつかさどる機能の分担軸(都城メインゲート・ライン)】
主要都市骨格軸となる高城町の地域生活拠点から都城市街地南端部までの区間は、今後とも多くの
人々が利用し、様々な都市活動の基幹的役割を果たす軸として、3 つの連続的な軸で構成していきま
す。この区間は、各都市から本市の中心部に至るメインゲート・ラインともなることから、本市らし
さが演出された都市景観を形成します。
○産業リーディング軸
宮崎自動車道、都城志布志道路の広域高速アクセス性を活かし、時代に即した産業の高度化を
図り、産業活動をけん引する軸として位置づけます。
○広域沿道サービス軸
沿道型サービスを中心に、都城圏の豊かな暮らしを支える日常的なサービス軸として位置づけ
ます。
○広域都市機能リーディング軸
都市型産業をはじめ、商業、医療、教育、歴史・文化、行政サービスなど、市域でもっとも高
度で多彩な機能を持つ軸として位置づけます。
41
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
42
3.まちの将来像
④将来のまちの空間構成図
将来のまちの空間構成図
43
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
44
4.テーマ別まちづくり方針
4
テーマ別まちづくり方針
4.1.基本目標【環】
4.2.基本目標【産】
4.3.基本目標【住】
まちづくりの基
本目標の中で、まち
の活動に関わる3
つの基本目標(環・
産・住)をテーマと
したまちづくりの
方針を掲げます。
この中には、
「極」
「絆」「巧」に関わ
るものも含まれて
います。
≪語尾の使い方≫
文章表現(語尾の記述)については、以下のように整理しています。
~めざします。
~進めます。
~推進します。
市が主体となって市民と協働し進めるもの。
市が主体となって整備を進めるもの。
~努めます。
市が主体となって目標の実現に向けて継続して進めていくもの。
~検討します。
(事業)主体も決まってなく、今後、実現に向けて計画するかどうか協
議・調整・検討を要するもの。
~誘導します。
~促進します。
~支援します。
市が市民、事業者、関係機関の取り組みを誘導・促進するもの。
市が市民の活動を支援するもの。
45
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
第4章
4.1.
基本目標
環
テーマ別まちづくり方針
霧の都が織りなす
大地と水、
歴史文化を活かし
個性を育む
(1)施策の体系
施策目標:都市と自然が共生するまち
【環】-1
本市のみどりのゾーンは、ふるさとの原風景であると同
時に食料や水、酸素の供給、CO2 吸収、温度調節など生物
が生きる上で大きな役割を果たしています。また、防災や
レクリエーションなど多面的な機能も有しています。
したがって、この『みどりの価値』を再認識し、人間活
動ゾーンとみどりのゾーンが互恵関係のもとに保存・共生
を図ることが重要です。
そのために、それぞれのゾーンを明確に区分し、豊かな
自然や生態系がある地域特性を活かして、自然に触れ親し
むことのできる場を守り、育てることをめざします。
めざす将来の姿
ふるさとの
豊かな農地、
良好な森林
緑地が広がる
資源を大切にし、
きれいな水環境
がある
多様な動植物が
生息・生育できる
環境がある
46
施策方針
▲関之尾滝
主な整備・検討・誘導・形成の方針
①人の活動と
みどりが調和した
まちづくり
1)人間活動ゾーンとみどりのゾーンの役割を明確
にし、森林・農地の保全を推進します。
②水を守り感じる
まちづくり
1)川や地下水の質や量の維持・向上を推進します。
2)川の持つ潜在力を活かしたうるおいのある河川
空間の創出を促進します。
3)恵まれた水環境を次世代につなぐ効率的な水循
環の仕組みづくりを推進します。
③動植物とふれあい
命を感じる
まちづくり
1)動植物の生息地に影響を及ぼす開発の抑制を推
進します。
④豊かな自然や風土を
次世代につなぐ
まちづくり
1)本市の原風景を次世代につなぐために、自然や風
土の保全を推進します。
2)命の息吹を感じ自然とふれあう場の創出を検討
します。
4.テーマ別まちづくり方針
施策目標:地球にやさしいまち
【環】-2
美しい地球や自然豊かな環境を守り次世代に引き継ぐこ
とは、今を生きる私たちの使命です。環境を悪化させる原
因は、人間の活動により生み出される廃棄物、排気ガス、
二酸化炭素などであり、この排出を抑制し次世代により良
いまちを引き継ぎます。
そのために、環境負荷の少ない地球にやさしいまちをめ
▲屋上緑化のイメージ
資料:国土交通省
ざします。
めざす将来の姿
施策方針
地球環境・地域
自然環境・将来
世代のニーズに
配慮する
資源エネルギー
が循環する
主な整備・検討・誘導・形成の方針
①環境負荷の少ない
まちづくり
1)CO2 削減や都市の温暖化防止を推進します。
②省資源
省エネルギーの
まちづくり
1)施設の長寿命化や有効活用を推進します。
施策目標:品格やアイデンティティ
2)環境負荷の少ないまちの形づくりを推進します。
2)自然エネルギーの活用を推進します。
※1
を感じるまち
【環】-3
本市は都城圏の中心市として、この圏域のアイデンティ
ティをけん引する役割を担っています。これまでに培われ
てきた歴史や文化を地域の大切な資源として認め、美しく
上手に歳を重ね次世代に引き継ぐことが、まちの魅力の醸
成につながります。
現在のまちの姿は、過去のまちづくりや人の営みから成
り立っており、私たちには、これからの歴史をつくりあげ
ていくという使命があります。
そのために、地域それぞれの資源を活かし、人、文化の
活発な交流を広げ、見る人、訪れる人が都城らしさを感じ
るまちをめざします。
めざす将来の姿
施策方針
▲都城島津邸
主な整備・検討・誘導・形成の方針
①歴史・文化を
活かした
まちづくり
1)文化資源の保存や再生のあり方について検討し
ます。
2)歴史・文化拠点とその周辺を含めた都市空間の
形成を推進します。
3)歴史・文化拠点をつなぐ歴史・文化回廊の形成
に努めます。
4)誰にとってもわかりやすく来訪者がめぐりたく
なる情報・案内板の設置を推進します。
②文化を感じ
人と交わる
まちづくり
1)文化交流の場としてまちなか空間の活用につい
て検討します。
歴史や伝統を
守り伝え、
文化発信する
2)市民の文化活動の促進を図るために、施設の利
便性向上について検討します。
※1 「アイデンティティ」:個人や地域を特色づける個性ある性格や性質のこと。
47
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
(2)主な整備・検討・誘導・形成の方針
①人の活動と
みどりが調和した
まちづくり
食料基地としての責任を果たし、食料
の枯渇や価格高騰などの危機に対し市民
や他の地域へ安定して食料を供給できる
ことを念頭に、森林・農地の保全活用を
推進します。
【環】-1
都市と自然が
共生するまち
1)人間活動ゾーンとみどりのゾーンの役割を明確にし、森林・農地の保全を推進します。
視点・・森林・農地と都市との共生・調和
みどりのゾーンの公益的な機能を保全するために、森
●関係する分野別まちづくり方針(第5章)
林・農地の開発については、雨水流出の抑制、緑地の
土地利用・拠点形成/都市環境
確保、汚水処理施設の計画的処理、用途の制限、建築
容積など、開発や土地利用のルールなどを検討します。
●主に関連する部門
一方で、都城志布志道路、国県道、主要市道などの幹
環境/農業(農林畜産業)/開発/工業
線道路沿道やIC周辺など産業立地傾向の高い場所で
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
は、産業の活性化と営農や居住環境への影響を考慮し
土地利用計画/みどりのマスタープラン/
景観計画
つつ、農業系・工業系など各計画と連携を図りながら
適正な土地利用の誘導に努めます。
土地利用区分
宅地化
水準
現況
農業基盤
整備状況
土地利用
現況
公益的機能
規制方向
△
×
○
○
×
△
×
○
×
○
△
○
×
△
○
△
○
△
×
×
農
宅地
農
住・農
農
河川
宅地
延焼遮断、
温度調整、
都市環境
高次な都市サービスや
地域生活サービス
の提供
自然・レクリエ
ーション施設
商・
農
水源のかん養、災害防止、
保養、生物生息、地域文化
保全・活用
住・
保全
地域生活サービス
の提供
地域地
区によ
誘導
水源のかん養、災害防止、保養、
生物生息、地域文化、都市環境
保全
調整
保全
る規制
▲土地利用区分のイメージ
48
商・
住・農
農との
ふれ
あい
明確化
地域地区による規制
4.テーマ別まちづくり方針
②水を守り感じる
まちづくり
恵まれた水環境を次世代に引き継ぐと
ともに、河川空間を積極的に活用し、まち
の魅力向上を図ります。
1)川や地下水の質や量の維持・向上を推進します。
まちの魅力の向上を図るには、まちにうるおいを
与える河川空間の積極的な利活用が求められます。
【環】-1
都市と自然が
共生するまち
視点・・・水の質・量の保全
●関係する分野別まちづくり構想(第5章)
都市環境/生活インフラ/土地利用・拠点形成
そのために、河川の水質や水量の維持・向上が必
要で、水質に影響を及ぼす畜産系、農業系及び生活
系の汚濁負荷の削減に取り組みます。あわせて、水
量保全施策も推進します。
地下水については、市民の飲料水として利用して
●主に関連する部門
環境/農業(農林畜産業)/工業
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
土地利用計画
おり、その量と質の安定的な確保を推進します。さ
らに、農地・工業地からの汚染物質排除、地下水汲
み上げ量の規制や市街化の抑制など適正な運用を検
討します。
2)川の持つ潜在力を活かしたうるおいのある河川空間の創出を促進します。
本市は水環境に恵まれたまちであり、その水辺
空間を活かしたまちづくりを推進します。
視点・・水空間の利用
●関係する分野別まちづくり方針(第5章)
都市環境/道路交通体系
そのために、水に親しめる水辺環境づくり、河
川空間と緑道を利用した歩行者や自転車が散策で
きるルートの形成、まちと田園を結ぶみどりや水
辺を一体的に景観資源として活用するなど、うる
おいのある河川空間の創出を促進します。
▲神柱公園
●主に関連する部門
環境/健康・福祉/教育・文化/地域づくり/観光
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
みどりのマスタープラン/都市計画道路網の検討/
景観計画
▲沖水川河川敷
49
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
3)恵まれた水環境を次世代につなぐ効率的な水循環の仕組みづくりを推進します。
視点・・・次世代への水保全・水の有効利用
本市の恵まれた水環境は、農地や森林地からもた
らされています。本市の水瓶である地下水保全や河
川・排水路への負荷の軽減、近年増加するゲリラ豪
雨などにも対処できる効率的な水循環の仕組みづく
りが必要です。
●関係する分野別まちづくり方針(第5章)
土地利用・拠点形成/都市環境/生活インフラ/
道路交通体系
●主に関連する部門
環境/農業(農林畜産業)/開発
そのために、水環境の保全に配慮した農地・森林
地の開発ルールを検討します。
また、人間活動ゾーンにおいては、宅地や道路、
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
土地利用計画/都市計画道路網の検討/
みどりのマスタープラン
駐車場などで雨水の地下浸透や貯留の推進、緑地の
確保により保水性・浸透性の向上を推進します。
▲健全な水循環系の構築イメージ 資料:国土交通省
50
4.テーマ別まちづくり方針
③動植物とふれあい
命を感じる
まちづくり
動植物の生息地を保全するとともに、
自然とのふれあいや体験の場として活用
を図ります。
1)動植物の生息地に影響を及ぼす開発の抑制を推進します。
自然や生物とふれあう空間づくりをめざすため
には、本市の豊かな自然と動植物の生息環境の保
【環】-1
都市と自然が
共生するまち
視点・・・動植物の保護
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成/都市環境
全が必要です。
そのために、動植物の生息・生育地の既存のマ
ップを利用し、自然生態系の喪失を防ぐための生
物多様性保全対策検討会を開催しています。それ
により、構想・計画段階から生物多様性の保全に
●主に関連する部門
環境/開発/教育・文化
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
土地利用計画/都市計画道路網の検討/
みどりのマスタープラン/景観計画
配慮した公共事業を推進します。
2)命の息吹を感じ自然とふれあう場の創出を検討します。
環境や自然、命を慈しむ心を育むために、自然や
生物とふれあう空間づくりを促進します。
視点・・・自然とのふれあい
●関係する分野別まちづくり方針(第5章)
都市環境
そのために、日常的に自然とふれあえる生活の川
辺づくりや自然と生態系の学習・ふれあう場の創出
●主に関連する部門
環境/教育・文化
を検討します。
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
みどりのマスタープラン
▲絶滅危惧種の生息するビオトープ※1空間<高木町浜宮池>
※1 「ビオトープ」:野生生物の生息・生育空間。
51
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
④豊かな自然や風土を
次世代につなぐ
まちづくり
ふるさとの原風景の象徴である山や田
畑、集落地など地域風土を構成する景観
要素の保全を図ります。
【環】-1
都市と自然が
共生するまち
1)本市の原風景を次世代につなぐために、自然や風土の保全を推進します。
視点・・・市域全体、身近な風土の保全継承
愛着あるふるさとの風景を守り、次世代につな
ぐためには、高千穂峰、金御岳、青井岳などふる
●関係する分野別まちづくり方針(第5章)
都市環境/土地利用・拠点形成
さとを感じる山なみやそれと一体となった田園、
身近な樹林地、歴史を感じさせる巨木、原生的な
自然林などを保全する必要があります。
そのために、市民と連携を図りながら、ふるさ
との風景づくりを進める推進体制の構築、景観保
●主に関連する部門
環境/農業(農林畜産業)/開発
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
景観計画/土地利用計画/みどりのマスタープラン
全ルールづくりなどを検討し、次世代に自然豊か
な風景の継承を推進します。
▲東霧島神社の大クス
52
▲金御岳から見る都城盆地の風景
4.テーマ別まちづくり方針
①環境負荷の少ない
まちづくり
人や車などが移動しやすいまちの形づく
りや人間活動ゾーン内でのみどりの創出な
ど環境負荷の低減を推進します。
1)CO2 削減や都市の温暖化防止を推進します。
【環】-2
地球に
やさしいまち
視点・・・CO2 低減
地球環境の保護を促進するための国際的な枠
組みの中で、CO2の排出規制や目標設定が進んで
います。よって、本市も地球に優しいまちづくり
を推進する必要があります。
そのために、公共交通の利用拡大、都城志布志
道路整備による市街地内部の自動車交通量の低
減や旅行速度の向上を促進します。
●関係する分野別まちづくり方針(第5章)
都市環境/道路交通体系
●主に関連する部門
環境
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
都市計画道路網の検討/みどりのマスタープラン
また、必要に応じ、自転車移動の促進を図るイ
ンフラの整備、交通ボトルネック※1 箇所の解消、
環境に優しい路面舗装の採用など、環境にやさしい道路整備を推進します。さらに、都市の温暖化を
防止するために、市街地において屋上や壁面の緑化、庭のビオトープ化、借地公園※2 の検討など、ま
ちなかの緑化を促進します。
※1 「ボトルネック」:ビンの口が水の流量を制限していることから転じて、交通の流れが悪い道路・交差点などを指す。
※2 「借地公園」:地方自治体が個人や法人などの地権者から無償で土地を借り、公園として整備して住民に提供するもの。これまでは一度つ
くられた都市公園を廃止することは原則的に認められていなかったが、2004 年の都市公園法改正によって、借地につくった公園は契約期間の
終了で廃止することが認められた。
2)環境負荷の少ないまちの形づくりを推進します。
人口減少や高齢化などの社会的な現象への対
応とあわせて、地球環境保護を推進するために、
視点・・・都市構造による環境負荷の排除
●関係する分野別まちづくり方針(第5章)
土地利用・拠点形成/道路交通体系
自動車に依存しない環境にやさしいまちづくり
を進める必要があります。
そのために、広域~生活レベルまでの施設規模
を勘案しながら、行政、商業、医療、福祉、教育、
娯楽施設の配置と公共交通網の連携を強化し、都
市機能の効果的で効率的な集約化に努めます。こ
●主に関連する部門
環境/健康・福祉/商業/教育・文化
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
土地利用計画/都市計画道路網の検討/
みどりのマスタープラン
れにより環境的、社会的な現象に対応した環境負
荷の少ない都市空間の形成を進めます。
53
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
②省資源
省エネルギーの
まちづくり
つくるよりも使いこなすことを基本に、
施設のライフサイクルコスト ※ 1 の最適化
や、廃棄物の4R※2の推進、自然エネルギ
ーの導入を促進します。
【環】-2
地球に
やさしいまち
※1 「ライフサイクルコスト」:製品や構造物などについて調達・製造~使用~廃棄の段階をトータルして考えた費用。
※2 「4R」:リフューズ(断る、買わない)、リデュース(減らす)、リユース(再利用)、リサイクル(資源化)。
1)施設の長寿命化や有効活用を推進します。
省資源・省エネルギーの促進を図るためには、
「つくるより使いこなす」ことを基本とした施設
運用を図り、施設の長寿命化や有効活用の促進が
必要です。
視点・・・長寿命化・省資源
●関係する分野別まちづくり方針(第5章)
生活インフラ/都市環境
●主に関連する部門
環境/建築/施設運用
そのために、既存建物の用途転換の促進、転用
技術の開発などを推進し、公共施設の長寿命化や
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
-
建設廃棄物の抑制を図ります。
また、循環型のまちづくりに向けて、廃棄物処理施設の延命化を推進する視点も必要です。
そのために、環境系各計画と連携を図りながら家庭や事業所における省資源・ごみ減量化などを進め、
資源の再資源化、再利用を推進します。
2)自然エネルギーの活用を推進します。
自然豊かで農を基本とする本市は、食料自給率が
高く自活力のあるまちです。このことは、地球・自
視点・・・エネルギー
●関係する分野別まちづくり方針(第5章)
生活インフラ/都市環境
然環境の恩恵を多大に受けているといえます。地球
にやさしく温暖化対策を率先して進めるために、ク
リーンエネルギーの利活用が必要です。
そのために、太陽光発電、小水力発電※1 、パッシ
※2
ブソーラーシステム
など庁舎、学校など公共施設
●主に関連する部門
環境/建築/施設運用
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
-
の改築・新築時の省エネ施設設計、省資源・省エネ
ルギーを利用した環境住宅の啓発など自然エネル
ギーの活用を推進します。
※1 「小水力発電」:ダムなどの大規模土木設備を必要としない出
力の小さい発電。河川や水路に設置した水車などを用いてタービン
を回し発電する。CO2 排出量が極端に少ない、繰り返し利用可能、
純国産エネルギー、建設時の環境負荷が少ない、短期間の設置が
可能などの利点がある。
※2 「パッシブソーラーシステム」:太陽熱、採光、風など自然の作
用を利用した冷暖房システム。省エネルギー化につながる。
▲クリーンエネルギー実用例
(都城合同庁舎の太陽光発電システム)
54
4.テーマ別まちづくり方針
①歴史・文化を
活かした
まちづくり
まちの記憶が失われないように配慮しまち
が美しく歳を重ねていくために、歴史・文化資
源を活かしたまちづくりを推進します。またそ
れを本市の個性あるまちの空間演出として捉
え、訪れた人が『めぐりたくなる』歴史・文化
回廊の形成を推進します。
1)文化資源の保存や再生のあり方について検討します。
【環】-3
品格やアイデン
ティティを感じ
るまち
視点・・・歴史の保存・継承
まちの過去の記憶は、文化財、歴史的建造物、
巨木、石造物、門、石垣など地域に点在し今もな
お形として残っているものと、地名、通り名、文
化、風習など無形のものが存在します。このまち
の過去の記憶を失わないように、歴史や由来など
に配慮し、保存・再生を図る必要があります。
そのために、歴史的文化的な遺産の再発見、保
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
都市環境
●主に関連する部門
教育・文化/地域づくり/観光
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
景観計画
護、修復、再生を図るルールづくりや、故郷への
愛着を醸成する文化伝承、学習の場などへの利活
用を検討します。
また、まちづくりを進める際には、地域に残されている地名や通り名など歴史を感じる名称を大切に
していく必要があります。
2)歴史・文化拠点とその周辺を含めた都市空間の形成を推進します。
視点・・・歴史・文化の拠点性強化
本市には歴史・文化資源が多く存在し、この資
源の保全・活用によって、地域のアイデンティテ
ィを醸成し、まちの活性化を推進する必要があり
ます。
そのために、歴史文化資源と周辺の住空間・街
路空間・樹林地やため池など一体的な景観の保
全・創出を住民の理解と協力のもとに促進します。
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成/都市環境
●主に関連する部門
教育・文化/環境/地域づくり/観光
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
景観計画/土地利用計画/みどりのマスタープラン
これにより、歴史・文化資源の周辺空間を含む拠
点性、シンボル性の強化を進め本市の個性化と美
しく歳を重ねるまちづくりを推進します。
55
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
3)歴史・文化拠点をつなぐ歴史・文化回廊の形成に努めます。
歴史・文化資源の拠点間の回遊性を高めることが、
人がめぐり、楽しめる歴史・文化回廊の形成につなが
視点・・・連続性の強化
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
道路交通体系/都市環境/土地利用・拠点形成
ります。
そのために、拠点間を結ぶ既存道路空間の高質化、
ネットワーク化を検討します。その際、既存道路空間
及び沿道修景を周辺住民の理解と協力のもとに進め、
本市の歴史文化を感じることのできる歴史・文化回廊
●主に関連する部門
教育・文化/商業/地域づくり/観光
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
景観計画/土地利用計画/都市計画道路網の検討
の形成に努めます。
4)誰にとってもわかりやすく来訪者がめぐりたくなる情報・案内板の設置を推進します。
視点・・・わかりやすさ
訪れる人が行きたい所に迷わずに行くことができ、
寄り道したくなる情報発信の充実が、歴史・文化回廊
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
道路交通体系/都市環境
の回遊性を高めます。
そのために、地域に内在している資源の発掘とその
利活用を促進するために、市民と連携した地域資源マ
ップづくりなどを検討し、インターネットなどを利用
した情報発信を促進します。
●主に関連する部門
健康・福祉/観光/教育・文化
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
-
また、誰にでもわかりやすいサインづくりを計画し、
来訪者がめぐりたくなる、行きたくなる風景に配慮し
た案内板などの設置を推進します。
▲観光案内図、サイン
<福岡県飯塚市>
56
▲ストリートファニチャー
(松原川沿いのベンチ)<佐賀市>
4.テーマ別まちづくり方針
②文化を感じ
人と交わる
まちづくり
文化・学習の活動が活発に行われる
ように、まちの空間活用を検討し、文
化施設の利便性向上に努め、誰でも、
どこでも文化に触れることのできる機
会の拡大を促進します。
1)文化交流の場としてまちなか空間の活用について検討します。
【環】-3
品格やアイデン
ティティを感じ
るまち
視点・・・文化のふれあい拡充・支援
まちの様々な場所で実施される文化交流は、ま
ちのにぎわいを演出します。このような活動が促
進され、まちがにぎわうためには、様々な活動や
交流が随所で実施できる仕掛けづくりが必要です。
そのために、公園・広場、市役所、各総合支所、
各市民センター、河川空間などのオープンスペー
スの活用を図り、市民の文化活動を支援します。
また、主要な幹線道路・歩行者ルートでは、民
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成/道路交通体系/都市環境
●主に関連する部門
商業/教育・文化/観光
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画/都市計画道路網の検討/
みどりのマスタープラン
地側オープンスペースの活用(借地公園、地区計
画、建築協定など)により、イベントや交流がで
きるにぎわいの場になりやすい誘導を検討します。
2)市民の文化活動の促進を図るために、施設の利便性向上について検討します。
視点・・・使いやすさと管理
市民の文化活動は、子どもから高齢者、障がい
者、主婦、勤労者などの様々な人々が関わってい
ます。このような様々な文化活動を利用者の立場
になって支え、文化に触れる機会の拡充を進める
ことでまちの活性化につなげる必要があります。
そのために、計画段階での市民参加や効果・効
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
都市環境
●主に関連する部門主に関連する部門
教育・文化/福祉
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画
率の高い施設配置の検討などを検討します。
57
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
4.2.
基本目標
産
農工商と知の
連携で人を育て、
次世代につなぐ
産業を創造する
(1)施策の体系
施策目標:農業が持続的に発展するまち
【産】-1
国際的な食料需給の悪化や国内の食料自給率の低下など
食料確保に対する危機感が高まりつつあります。
そのような
中で、全国有数の農業産出額を誇る本市においては、農業従
事者の減少や山間地域における遊休農地の増加など構造的
な課題を抱えています。
これからも食料供給基地としての役割を発揮するために、
農地の生産機能の効率性を高め、国際競争に対応できる強い
農業経営体を育成し、農林畜産物のブランド化、地産地消な
どを進めながら、農業経営の維持発展をめざします。
また、わたしたちの生活は農業と深く関わってきました。
今、農のある暮らしが見直されてきている中、市民がともに
暮らしやすい田園環境の整備をめざします。
めざす将来の姿
農業がもたらす
多彩な恵みに
感謝できる
施策方針
▲高崎農産加工センター
主な整備・検討・誘導・形成の方針
①農業の
競争力が高まる
まちづくり
1)集団的な農地を保全するために、店舗・アミューズメン
ト施設などの虫食い的な開発の抑制を推進します。
②『農』が結ぶ
まちづくり
1)まちなかで、農とふれあえる空間の創出を促進します。
2)付加価値が高まるような施設配置の誘導を推進します。
2)田園・山間空間において、空き家、遊休農地を利用し
た農業交流空間の創出を促進します。
3)担い手や後継者の暮らしやすさの向上を促進します。
58
4.テーマ別まちづくり方針
施策目標:効率的で魅力ある産業が集積するまち
【産】-2
本市の経済を活性化させるためには、
域外経済(『都城らしい産品を国内外に売る』)と域内経済(
『都
城でできることは都城でする』)の活性と循環が必要となります。
域外経済については、基幹産業である農林畜産物や豊富でおいしい水など、原材料が容易に調達で
きる地域特性を活かすとともに、物流の効率化や工業機能の集積と高度化が求められています。その
ために、既存企業との連携を図りながら、アジアとの交流を視野に入れた広域高速交通ネットワーク
の確立とそれに連動した拠点形成、工業関連施設の集積を推進します。
また、域内経済の活性化については、移動コストの減少、事務の効率化、地域ニーズに合った起業
しやすいビジネス環境の形成が必要であり、働く場の集積と働く人にとってうるおいのある便利な環
境形成をめざします。
これらの施策を進める際には、周辺の居住環境と共生・調和を図るとともに、産学官や異業種間交
流など多様な主体が連携し知恵を出し合うことで、付加価値の高い産業開発を促進します。
▲木工団地
めざす将来の姿
地域に活力を
もたらす21
世紀型産業が
創出される
施策方針
①持続的に
工業が発展する
まちづくり
1)産業活動と居住環境の共生・調和を推進します。
2)企業の立地魅力の向上と既存企業の競争力強化を
支援する物流の広域化と効率化を推進します。
3)企業のイメージが高まるような景観配慮を推進し
ます。
②地域ニーズに合った
ビジネスが発展する
まちづくり
異業種交流が
盛んで新しい
産業が生まれ
育つ
主な整備・検討・誘導・形成の方針
1)まちなかにおける雇用の創出やサービス利用者
の増加を推進し、まちなかへのサービス機能の
集約を推進します。
2)快適で働きやすい都市環境の形成を推進します。
③知の結集を
活かした
まちづくり
1)産学官連携のしやすい機能配置に努めます。
2)まちなかで異業種が出会い・交流できる活発な経
済活動を推進します。
59
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
施策目標:地域資源の利用や魅力が高まるまち
【産】-3
本市に内在する豊かな自然環境、地場産業、歴史資源や多
彩なスポーツ・レクリエーション施設などそれぞれの特徴を
活かし、利用者の利便性・満足度が高まるような施設の配置
を検討します。その際、地域づくりの一環として周辺住民と
一体となった景観形成やイベントを行うなど、拠点の質的な
魅力の向上に努め、人とふれあえる多様性に富んだ“まちめ
ぐり”ができる体験型観光をめざします。
また、スポーツが盛んな本市の特性を活かし、生涯スポー
ツ、スポーツイベント、キャンプ・合宿会場など、様々な利
用者のニーズを満たしつつ、多彩なスポーツ環境形成をめざ
します。
めざす将来の姿
地域の特徴を
活かした
観光・レクリエ
ーション交流が
盛んである
60
施策方針
①回遊性の高い
体験型観光
まちづくり
▲プロスポーツキャンプ
主な整備・検討・誘導・形成の方針
1)特色のある観光拠点形成(拠点性の強化)とルート
開発を推進します。
2)運動公園・スポーツ施設の機能分担を推進します。
4.テーマ別まちづくり方針
①農業の
競争力が高まる
まちづくり
農業生産性の向上を図るために、集団的農地
の保全を推進します。そのために、生産性低下
の阻害要因となる開発を抑制します。また、輸
送や加工の効率化や、高等教育機関、研究機関
との連携による付加価値化を考慮した施設の
適正な誘導と配置などに努め、農業生産物の競
争力の向上を推進します。
【産】-1
農業が持続的に
発展するまち
1)集団的な農地を保全するために、店舗・アミューズメント施設などの虫食い的な開発の抑制を
推進します。
視点・・・集団的農地
優良農地や集落地は、営農空間・営農者居住空
間です。今後も農業生産物の安定的・持続的な供
給体制を維持しつつ競争力を向上していくため
には、それらを保全していくことが必要不可欠と
なります。
そのために、食料生産効率の低下を及ぼすよう
な農地の商業的開発や宅地化などといった都市
的土地利用の拡大抑制を推進します。この農地保
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成
●主に関連する部門
農業/商業
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画/みどりのマスタープラン/
景観計画
全に配慮した開発コントロールを検討するため
に、特定用途制限地域※ 1 、地区のダウンゾーニ
ング※2 など開発条件の設定を検討します。
※1 「特定用途制限地域」:地域地区の一つ。用途指定地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)内において、その良好な環
境の形成または保持のため、当該地域に望ましくない建物を特定し、立地を制限する地域。(例えば危険性の高い工場の建設や公序良俗に反す
る建物を制限するなど)
※2「ダウンゾーニング」:用途指定地域による用途や形態への規制を見直しによって、厳しくすること。
2)付加価値が高まるような施設配置の誘導を推進します。
視点・・・農業関連施設の配置や跡地
農業生産物の競争力向上には、物資輸送の集約
化・効率化が重要です。
そのために、産業・物流ゾーンへの農業、工業
物流関連施設などの誘導を促進します。
また、大規模な農業関連施設の整備や移転があ
る場合には、農業政策、工業政策との一体性の確
保と居住環境への影響などを勘案しつつ、その施
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
道路交通体系/土地利用・拠点形成
●主に関連する部門
農業/工業
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画
設配置について適正な誘導、配置に努めます。
61
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
②『農』が結ぶ
まちづくり
農業製品の地産地消とブランド化を促進
するために、都市と農村交流を推進します。
人が多く訪れるまちなかや農村部において
も直接農とふれあえ、感じることのできる
場を創出します。
1)まちなかで、農とふれあえる空間の創出を促進します。
【産】-1
農業が持続的に
発展するまち
視点・・・農業・農村との交流
まちなかは、市域内外を問わず様々な人々が訪
れにぎわう場であり、多彩な活動を通して本市の
中心を担い、情報を発信する場でもあります。
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
都市環境/道路交通体系
また本市は、広域的商圏や全国的にも有数の食
●主に関連する部門
料生産環境を有しており、この立地特性や産業の
農業/商業/観光
優位性を活かした域内消費の拡大が必要です。
そのために、まちなかにおける公園や道路など
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
都市計画道路網の検討/みどりのマスタープラン
の公共空間や空き地、空き店舗などを活用した農
産品販売、情報発信など都市住民と農業・農村と
の交流の促進を支援します。
▲まちなかで行われている都城ぼんち市のにぎわい
62
4.テーマ別まちづくり方針
2)田園・山間空間において、空き家、遊休農地を利用した農業交流空間の創出を促進します。
視点・・・空き家・遊休農地の有効利用
みどりのゾーンの保全を担う自然共生型居住
●関係する分野別まちづくり方針(第5章)
ゾーンについては、農業従事者の減少や高齢化に
都市環境/土地利用・拠点形成
伴う営農環境の変化に対応する視点が必要です。
●主に関連する部門
これを推進するために、住みたくなる・訪れたく
農業(農林畜産業)/商業/地域づくり/観光
なる「農とともに生きる居住地づくり」を支援し
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第7章)
ます。
景観計画/土地利用計画
そのために、農村景観の保全や育成などの農村
の質的保全及び農家・農地の貸与、農業支援、定
住・別荘・宿泊地の確保などの環境づくりを促進します。これらの農業交流により、利用者と支援者の結
びつきの強化や情報発信を促進するコーディネーターの育成など誰もが農とみどりにふれあえる場づく
りを通じて、営農環境の再構築を推進します。
また、地域住民の協力のもと地区計画などを検討し、より良い営農居住空間の保全を推進します。
<整備前>
<整備後>
既存の空き家を改修して、宿泊
や遠足などに利用できる居住体
験施設として活用。
休耕田を利用して、物産館や朝
市ができる場所をつくるなど、
人の交流が生まれるような場所
を整備して田園地域の活性化に
つなげる。
少し修理すれば使用できる空き家
と休耕地が使われずに取り残され
ている。
飲食施設
・地元食材を利用した
郷土料理など
物産館や朝市の場
・農家の直売所とし
て活用
既存空き家の有効利用
・居住体験施設として利用
(宿泊所や休憩所として活用)
▲遊休農地の解消策の例
3)担い手や後継者の暮らしやすさの向上を促進します。
田園・山間居住地においては、農業の担い手・
後継者が住みたくなるような一定の利便性を伴っ
視点・・・担い手・後継者の暮らし支援
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成
た美しい田園居住空間の形成が必要です。
そのために、地域生活拠点となる田園・山間居
住地の日常生活サービス機能が低下しないように、
地域住民の理解と協力のもと、身近なサービス機
能(子育て、買い物、医療など)の確保、用途地
●主に関連する部門
商業/健康福祉
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画
域の指定や、地区計画の導入などを検討します。
63
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
①持続的に
工業が発展する
まちづくり
『都城らしい産品を国内外に売る』といった域
外産業の活性化をめざし、産業インフラや土地利
用規制が整った場所への集積を促進します。
そのために、企業の新たな立地意欲が高まるよ
うな基盤整備、企業の留置や移転時の支援・誘導
策に加え、工業集積地のイメージが高まるような
景観配慮などを検討し、工業の持続的な発展を推
進します。
1)産業活動と居住環境の共生・調和を推進します。
【産】-2
効率的で魅力あ
る産業が集積す
るまち
視点・・・産業の集積
工業の活性化は、より良い居住環境の形成と工
業立地魅力の向上の両面に配慮しながら推進する
ことが求められます。よって工業の種類や規模、
土壌・水質、騒音・振動などの環境配慮等を勘案
しつつ、それぞれの活動を阻害せず円滑な活動が
できるような工業地と住宅地の分離を進める必要
があります。
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成
●主に関連する部門
工業/環境
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画
そのために、産業の留置や誘致支援を進め、工
業専用ゾーンや産業・物流ゾーン(詳しくは第5章
分野別まちづくり方針 工業系の土地利用方針(P.96)参照)への産業集積に努めます。
また、現在の準工業地域や用途地域が指定されていない地域(以下「白地地域」
)においては、建物用途の
集積状況、工業の規模や種類などを踏まえ適正な土地利用を推進します。それにより、適正用途地域への
転換、騒音や振動など環境基準の設定、工場の建替えや移転時では、工業専用ゾーンや産業・物流ゾーン
へのあっ旋など適切な土地利用の誘導を図り、産業の活性化と居住環境の保護による共生・調和を推進し
ます。
2)企業の立地魅力の向上と既存企業の競争力強化を支援する物流の広域化と効率化を推進します。
視点・・・物流の広域化・効率化
本市の産業拠点の集積化により、原材料の調達
や加工製品の輸送など物流の効率化を推進し、既
存工業の競争力や企業の立地魅力の向上が求めら
れます。
広域的な物流の効率化と拠点性の強化を促進す
るために、アジアとの玄関口として志布志港と直
結する都城志布志道路の早期整備を促進します。
同時に都城志布志道路と宮崎自動車道の交通結節
地点の周辺地域を対象とした戦略的振興拠点地域
において、物流や生産などの機能をあわせ持った
拠点形成を推進します。
64
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成/道路交通体系/生活インフラ
●主に関連する部門
工業
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画/都市計画道路網の検討
4.テーマ別まちづくり方針
一方で山田・高崎・山之口地区の産業立地を促
進するために、この3地区に近接する志和池トラ
ック団地などの既存施設を勘案した産業流通シス
テムの検討や、スマートICの設置の検討を行い、
輸送効率の向上による活性化に努めます。
また産業立地の特性や企業ニーズに応じ、用排
水、アクセス道路などの都市施設の充実、土地利
用の検討に努めます。
▲都城志布志道路完成イメージ(資料:国土交通省)
3)企業のイメージが高まるような景観配慮を推進します。
視点・・・周辺景観との調和
広域道路の結節地である戦略的振興拠点地域は、
本市を訪れる人々のメインゲート空間としても位
置づけられています。よってこの地域については、
周辺景観への配慮を進め、市民に愛される企業が集
積している振興拠点としてイメージの向上が求め
られます。
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
都市環境
●主に関連する部門
工業・農業
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
このメインゲート周辺空間の原風景を保全するた
めに、立地する企業の協力のもと、色彩、高さ、緑
景観計画/土地利用計画/
みどりのマスタープラン
化など景観配慮のルール化と誘導策を検討します。
▲戦略的振興拠点地域(都城IC周辺)
65
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
②地域ニーズに合った
ビジネスが発展する
まちづくり
自立した地域ビジネスの発展を推進する
ために、『都城でできることは、都城でする』
ことを基本に、産業間の連携を深め、地域ニ
ーズに合ったビジネス展開を推進します。こ
れを進めるために働く場の集約化とそれに
呼応した居住環境や安全・安心な歩行空間の
形成、都市景観の向上など快適で働きやすい
空間づくりを進めます。
【産】-2
効率的で魅力あ
る産業が集積す
るまち
1)まちなかにおける雇用の創出やサービス利用者の増加を推進し、まちなかへのサービス機能の
集約を推進します。
視点・・・まちなか産業の創出
まちなかの活性化については、居住する人や
訪れる人の増加が求められ、まちなかにおける
雇用創出やサービス利用者の増加を図ることが
必要です。
そのために、商業・金融・医療・福祉・行政・
情報通信など対事業所サービス※ 1 や対個人サー
ビス
※2
の集積を重点的に図る地域として、官公
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成
●主に関連する部門
商業/健康・福祉
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画
庁ゾーン、医療厚生ゾーン、雇用創出集積ゾー
ン、にぎわい・交流ゾーンを位置づけ、これらの都市機能の維持や誘致を進めます。
また、現在分散して立地している国・県を含めた行政系施設、対個人対事業所サービス施設について
は、建て替え・移転時にまちなかへの誘導・調整・支援を促進します。
※1 「対事業所サービス」:物品賃貸業、自動車賃貸業、映画、ビデオ製作・配給業、放送業、情報サービス業、広告業、法務・財務・
会計サービス業、土木・建築サービス業、エンジニアリング業など。
※2 「対個人サービス」:娯楽関連業(旅館・その他の宿泊所、映画館、劇場・興行場・興行団、競輪・競馬・その他の公営競技、スポー
ツ関連施設・遊戯場・遊園地)、洗濯業、理美容業、写真業、冠婚葬祭業、自動車整備業など。
2)快適で働きやすい都市環境の形成を推進します。
視点・・・就労環境の向上
まちなかへの企業誘致など働く場の集積と働き
やすい環境整備を進める必要があります。
そのために、人・物の円滑な移動を確保する交
道路交通体系/都市環境
通渋滞交差点の改良、安心歩行空間の設定、官民
●主に関連する部門
一体となった駐車場の確保、まちなか景観の創出
商業/健康・福祉
など利便性と快適性の確保を推進し、まちなかの
ビジネス環境の向上を図ります。
また、働く人々が働きやすいまちなか環境の創
出を図るために、子育て、買い物、まちなか周辺
空間での借家・アパートなどの賃貸住宅の確保に
ついて、商業者やNPOなど関係団体と連携し促
進します。
66
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画/景観計画/
みどりのマスタープラン
4.テーマ別まちづくり方針
③知の結集を
活かした
まちづくり
『都城でできることは都城でする』という
域内産業と『都城らしい産品を国内・海外に
売る』という域外産業の活性化を推進するた
めに都城の『知』の結集に努めます。
すなわち南九州大学、都城工業高等専門学
校などの高等教育機関や九州沖縄農業研究セ
ンター、宮崎県農業総合試験場畑作園芸支場、
宮崎県木材利用技術センターなどの研究機関
と連携し、幅広い地域活動との連携を深めま
す。そのために産学官が連携しやすい誘導や、
裾野の広い新産業分野導入の仕組みや基盤づ
くりを進めます。
1)産学官連携のしやすい機能配置に努めます。
【産】-2
効率的で魅力あ
る産業が集積す
るまち
視点・・・産学官の連携支援
本市に所在する南九州大学、都城工業高等専
門学校という高等教育機関、九州沖縄農業研究
センター、宮崎県農業総合試験場畑作園芸支場、
宮崎県木材利用技術センターといった研究機関
などによって、地域産業の振興策など専門的な
研究が進められています。これら教育・研究機
関と連携し産業の個性化・高度化を推進する必
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成
●主に関連する部門
教育・文化/農業/工業
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画
要があります。
そのために、各教育・研究機関を研究開発・
高等教育拠点(詳しくは第5章分野別まちづくり方針 知的研究・産業創造拠点の形成・誘導方針(P.103)
参照)として位置づけ、地場産業と連携した研究開発型産業や研究施設の立地・集約化に向けた土地利用
規制・誘導に努め、産・学・官での交流が高まるような情報共有の促進を図ります。
▲宮崎県農業総合試験場畑作園芸支場
▲宮崎県木材利用技術センター
67
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
2)まちなかで異業種が出会い・交流できる活発な経済活動を推進します。
視点・・・新産業創出の基盤・環境づくり
地域でできることは地域ですることを基本
に、様々な産業を生み出す拠点の形成が求め
られています。IT産業ビルを核施設とした
雇用創出集積ゾーンにおいては、企業誘致の
推進を図りながら、企画・経営・研究開発、
デザイン、人材派遣、医療福祉、子育てなど
異業種を集め、アイデアや知の連鎖が生まれ
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成
●主に関連する部門
商業/健康・福祉/教育文化
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画
やすい環境づくりを推進し、様々な地域内ビ
ジネスの育成を図る必要があります。
そのために、共同研究ラボ、交流サロン、人材確保・育成などまちなかビジネスの育成拠点の形成
を関連団体、産業系テーマコミュニティと連携し検討します。これにより、異業種が出会い・交流し
活発な経済活動がまちなかに形成されることを推進します。
△中山間地域の集落の開墾事業<山梨県>
△コミュニティタクシー<岐阜県>
△まちづくり会社の川の再生<石川県>
▲コミュニティビジネスのイメージ
資料:経済産業省HP(一部加工)
68
△タウンカフェ<神奈川県>
▲コミュニティビジネスの事例
資料:経済産業省HP
4.テーマ別まちづくり方針
①回遊性の高い
体験型観光
まちづくり
観光客の流れをまちなかや、市内各所に呼
び込むため、個々の観光地の特色化や回遊性
を高めます。
本市の歴史資源、地場産業、温泉施設など
の観光拠点形成とその周辺住民と一体となっ
た周辺景観の整備を図り、魅力化を推進・促
進します。
【産】-3
地域資源の利用
や魅力が高まる
まち
1)特色のある観光拠点形成(拠点性の強化)とルート開発を推進します。
視点・・・観光の拠点とネットワーク
本市に内在する自然・人・食・歴史文化など
様々な地域資源を活用し、回遊性の高い観光地
づくりを進め、地域・産業の活性化を進める必
要があります。
また、宮崎・鹿児島空港、九州縦貫自動車道、
都城志布志道路、主要地方道、日豊本線・吉都線
など本市への多彩なアクセス環境と宮崎・綾・
日南・霧島・桜島など全国有数の観光地が近接
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
都市環境/道路交通体系
●主に関連する部門
商業/健康・福祉/教育文化/観光
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
景観計画/みどりのマスタープラン/
道路交通マスタープラン/土地利用計画
している強みを活かすことが重要です。
そのために、個性的な観光地の形成に努めるほか、埋もれた地域資源の掘り起こしなど魅力ある観光文
化レクリエーション拠点の形成を推進します。
また、めぐりたくなる観光ルートづくりも必要です。そのために、観光ルートマップを市民・関連団
体と連携して作成します。その中で、広域農道、田園空間、遠景や借景など美しい沿道風景の保全・修
復を検討し、観光拠点間をネットワーク化できるようなツアーメニューやルート開発を促進します。さ
らに、観光ルートを紹介する案内機能や休憩・眺望スポットの充実を進めます。
▲日本風景街道(シーニックバイウェイ)の活動例
資料:国土交通省
▲シーニックバイウェイ<北海道>
資料:国土交通省
69
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
2)運動公園・スポーツ施設の機能分担を推進します。
視点・・・特色ある拠点的公園づくり
運動公園やスポーツ施設には、市民自らが健
康を管理しその増進を図ることと、プロスポー
ツのキャンプや学生のスポーツ合宿などの誘致
を図る高度な機能との役割分担が求められます。
そのために、各拠点施設の機能分担を促進し、
現在の都市基幹公園(総合公園・運動公園)の
整備や更新の重点化・効率化が必要です。
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
都市環境
●主に関連する部門
観光/健康・福祉/教育・文化
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
みどりのマスタープラン
また、これらの施設の配置や機能などに関わ
る計画と連携した整備プログラムを検討します。
▲山田パークゴルフ場
70
▲グラウンドゴルフ風景
4.テーマ別まちづくり方針
4.3.
基本目標
住
誰もが
住み続けたくなる
居心地の良い
まちをめざす
(1)施策の体系
施策目標:災害に強いまち
【住】-1
誰もが住み続けたくなるような居住環境の魅力を高める
上で、災害に備え安全性を確保することは、基本的課題の
一つです。市民アンケート結果からも都市防災施策の重要
度は非常に高くなっています。
大規模な地震、台風・豪雨など災害が多発する中で、市
民の生命・財産を守り、被害を最小限にとどめ、平穏な市
民生活へ早期に復帰できる災害に強いまちをめざします。
▲まるごとまちごとハザードマップの標識
資料:国土交通省
めざす将来の姿
施策方針
主な整備・検討・誘導・形成の方針
①被害を最小限に
とどめる災害に強い
まちづくり
1)災害発生時の被害を最小限にとどめるため、官民一
体となった災害に強いまちづくりを推進します。
②災害時に
迅速な対応ができる
まちづくり
1)緊急輸送路・避難路の確保を推進します。
2)防災性の高い都市空間の形成を推進します。
災害を防ぎ、
互いに助け合う
2)防災・救援活動拠点機能の強化を推進します。
3)現状復旧への早期な対応を促進します。
71
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
施策目標:誰もが日常を安心して暮らせるまち
【住】-2
交通事故・犯罪の抑制、救命救急など日常的な安全性を
確保することは、居住条件の基本的要素です。市民アンケ
ート結果からも安全に関する事項は重要度が高く、満足度
が低い結果となっており、早急に解決しなければならない
課題です。緊急時において迅速な救命救急活動が円滑に行
え、また犯罪や交通事故の危険性も低く、誰もが安心して
▲救急活動訓練
資料:宮崎県防災・危機管理情報HP
暮らせるまちをめざします。
めざす将来の姿
事故や犯罪のない
安心して暮らせる
救命救急活動が
迅速に行える
施策方針
主な整備・検討・誘導・形成の方針
①円滑な救命救急
活動ができる
まちづくり
1)円滑な救命 救急活 動がで きる都市 空間の 形成を
推進します。
②犯罪・
交通事故のない
まちづくり
1)防犯性の高い居住環境形成を推進します。
2)救急活動困難区域の解消を促進します。
2)事故のないまちづくりを推進します。
施策目標:誰もがより良い人生を送れるまち
【住】-3
本市は、まちの身近なところに食料を確保する農地が存在
し、農業や家庭菜園など農とふれあいながら居住できる農住
共存型で生活利便が高いまちです。しかし、定住人口の減少
が見込まれ、居住地の魅力を高めることが不可欠となってい
ます。自然志向への高まりや多様な世代の住まいニーズに対
し、この地域特性を十分に発揮する必要があります。
▲山間住宅<西岳>
そのために、山間型居住・田園居住・市街地居住・まちなか居住など、多様な居住形態を提供でき
る本市の特性を活かした居住選択が可能なまちをめざします。
また、人は人生をより良いものにする権利があります。高齢者や障がい者が自立した生活を営み、
勤労者が子育てしながら働けるなど人の支えの中で、誰でも自分の人生をより良く送れるまちをめざ
します。
めざす将来の姿
多様な
ライフスタイルが
尊重される
働きやすく働く
ことの大切さを
実感できる
ともに住む人に
やさしい
72
施策方針
主な整備・検討・誘導・形成の方針
①ライフスタイルに合った
まちづくり
1)都城の多様 な居住 環境を 活かす居 住エリ アの形
成を推進します。
②ライフステージに合わせ
誰にでも優しい
まちづくり
1)高齢者・障がい者・子育て世帯が安心して生活で
きる居住環境の創出を推進します。
2)施設の複合化や多目的利用について検討します。
3)子育て世代、高齢者などが住みやすい住宅・居住
環境整備を促進します。
③誰もが人の支えの中で、
自立した生活を営める
まちづくり
1)地域コミュ ニティ 活動を 支援する 都市環 境をつ
くります。
2)誰もが自立 するこ とので きるまち のユニ バーサ
ルデザイン化を推進します。
4.テーマ別まちづくり方針
①被害を最小限に
とどめる災害に強い
まちづくり
災害などの不測の事態に備え、市民への
情報提供や防災対策を推進し、被害を最小
限にとどめる災害に強いまちづくりを進め
ます。
【住】-1
災害に
強いまち
1)災害発生時の被害を最小限にとどめるため、官民一体となった災害に強いまちづくりを推進します。
視点・・・自分を守る/自分を守ることができない人を守る
≪市民・地域主体による日常防災対策≫
日々の暮らしの中で住民自らが、災害から生命、
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成
身体及び財産を守ることができるようにすること
●主に関連する部門
が必要です。
そのために、土地取得時や宅地開発時における
災害危険地域の情報周知、新規住宅開発時の不燃
化、家屋の耐震判定や耐震リフォーム、ブロック
安全・安心/健康・福祉/地域づくり
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
みどりのマスタープラン
塀、生け垣や木柵・竹柵などの構造の工夫や補強
など住民が必要とする防災情報や対策などの支援、
啓発に努めます。
また、地域の防災力向上をめざして防災マップ
を活用した避難場所・避難路など防災情報の提供
を促進するとともに、要援護者の情報把握などに
努め、自主防災活動の充実を促進します。
2)防災性の高い都市空間の形成を推進します。
≪行政主導による防災対策≫
災害発生時の被害を最小限に抑える防災都市づ
くりを進めることが必要です。
視点・・・総合力(ハード・ソフト)
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
生活インフラ/土地利用・拠点形成/
道路交通体系
そのために、集中豪雨や台風時における治水対策
●主に関連する部門
として、被害想定地域における土地利用ルールの検
安全・安心/環境
討、道路や家庭における雨水の貯留・浸透の促進な
※1
ど、都市型災害に対応した総合治水対策
を推進し
ます。
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
景観計画/みどりのマスタープラン/
都市計画道路網の検討/土地利用計画
また、火災発生時における延焼防止対策として、
道路や公園などのオープンスペースの確保、防火・
準防火地域の見直しなどを推進します。
※1 「総合治水対策」:雨水の処理を従来の「河川対策」だけに頼らず、一時的に雨水を貯めたり、地下に浸み込ませたりして流域全体雨水
の流出を抑える「流域対策」の両面から水害を防ぐ考え方。
73
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
②災害時に
迅速な対応ができる
まちづくり
災害発生時には迅速な行動を取ることが
できるような基盤づくりや地域の危機管理
体制を高めます。
1)緊急輸送路・避難路の確保を推進します。
【住】-1
災害に
強いまち
視点・・・災害が発生しても/逃げられる/運べる
≪円滑な避難誘導≫
災害時には誰もが、円滑に避難できることが必
要です。
そのために、市内居住・来訪者を問わず円滑に
避難所・避難地に到達できるように、最寄りの避
難所までの誘導(サイン)整備を推進します。
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
道路交通体系/土地利用・拠点形成
●主に関連する部門
安全・安心
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
都市計画道路網の検討/土地利用計画
≪緊急輸送路の確保≫
災害時において、被災者の避難生活を支える物
資の輸送確保が必要です。
そのために、国・県道と接続する主要な道路を防災道路ネットワークとして検討し、橋梁の耐震化や冠
水対策を優先的に進めることによって、災害時における緊急輸送路の機能確保を推進します。
≪延焼の防止≫
火災の際、被害を最小に留めるためには延焼の拡大を抑止することが必要です。
そのために、都市計画道路整備と連動して、沿道不燃化の一体的な取り組みによる延焼遮断機能の強化
策などを検討し、防災機能の高い道路空間の構築を推進します。また、国道 10 号など避難や輸送などの
緊急活動を支える基幹道路沿線については、その機能維持を図るために延焼遮断、耐震、防火を促進しま
す。
▲道路の総合的な防災対策イメージ 資料:国土交通省
74
4.テーマ別まちづくり方針
2)防災・救援活動拠点機能の強化を推進します。
視点・・・命を守る拠点・場所
≪防災活動拠点の強化≫
災害発生時に市民の生命を守るため、情報収
集・伝達、救援、輸送を担う拠点形成が必要です。
そのために、災害情報を収集・伝達する対策本
部機能を有する中枢防災拠点として早水公園を、
地域防災輸送拠点として各地区の総合運動公園
(高城・山田・山之口・高崎)をそれぞれ位置づ
け、ヘリポートの設置、補助資機材の充実により、
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成/都市環境/生活インフラ
●主に関連する部門
安全・安心/教育・文化
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
みどりのマスタープラン/都市計画道路網の検討/
土地利用計画
救援、収容、備蓄、集配の統合的なそれぞれの防
災活動拠点の機能強化を推進します。
また、防災拠点の包括的な配置を検討し、市域
の西側の防災性の弱い地域における拠点配備につ
いても検討します。
≪身近な避難所の防災機能の強化≫
高齢者や子どもが、安全で円滑に移動できる身
近な避難所の防災機能の強化が必要です。
そのために、身近な避難所として指定される
小・中学校、地区公民館は、施設の耐震化・防火
水槽設置・救助資機材などの基礎的な機能強化を
図り、適切な管理運用に努めます。
また、ライフラインが脆弱な避難所、多数の避
難者が予想される避難所などでは、緊急物資輸送
などを考慮しながら、水・電気などのライフライ
ンの確保を図ります。
▲防災活動拠点のイメージ 資料:国土交通省
3)現状復旧への早期な対応を促進します。
災害発生後に早期に日常生活に戻れるよう、
電気・上下水道・道路・橋梁のライフライン防
視点・・・早急な現状・生活復旧
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
生活インフラ/都市環境
災対策が必要です。
そのために、ライフライン網については事前
対策として、重要施設、メイン管路、復旧困難
部など既施設や新規施設の防災対策を推進しま
す。
●主に関連する部門
安全・安心
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
景観計画/都市計画道路網の検討
75
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
①円滑な救命救急
活動ができる
まちづくり
災害時・緊急時に迅速かつ的確な消防・
救急活動が行われるような都市空間の形成
を図ります。
【住】-2
誰もが日常を
安心して暮ら
せるまち
1)円滑な救命救急活動ができる都市空間の形成を推進します。
視点・・・病気・事故/救命救急/連携/迅速化
≪救命救急活動の支援≫
住民の生命や財産を守るためには、救命救急に託
すまでの初動活動やその環境整備が重要です。
そのために、公共施設、大型商業施設、幹線道路、
イベント会場など特定施設へのAED設置の促進を
はじめ、火災報知機の設置を促進します。
≪救急搬送≫
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
道路交通体系/土地利用・拠点形成/都市環境
●主に関連する部門
安全・安心/健康・福祉
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
都市計画道路網の検討/景観計画/
土地利用計画
救急患者の早急な搬送による生存率の向上と出火
時の迅速な対応を図り、被害の拡大を抑止する必要
があります。
そのために、救命救急に伴う信号制御など移動円滑化や重篤患者用ヘリポートの確保など救急患者の搬
送について検討します。
≪救急医療拠点の形成≫
都城圏の中心市として周辺市町村と連携し、安全・安心な都城圏を形成する必要があります。
そのために、戦略的振興拠点地域において、圏域の救急医療を支える救急医療拠点の形成を推進します。
一方で、地域に身近な医療と高度医療については、その機能分担や配置について統合的に検討します。
2)救急活動困難区域の解消を促進します。
視点・・・住空間/円滑な救急活動
救急活動を実施するに際し、狭あいな道路や看板、
電線などは、円滑な救急活動の実施を阻害する可能
性があり、これを是正する必要があります。
そのために、道路の拡幅・道路隅切りなどの整備、
建物の壁面後退に関する測量・権利移転などへの支
援などを検討し、阻害要因排除に努めます。
また、消防車両進入困難地域での消防活動に対応
するため、防火水槽・消火栓の設置を推進します。
さらに、救命救急活動を阻害する看板や電線につい
ても、景観施策と連携しその改善を促進します。
76
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
道路交通体系/都市環境
●主に関連する部門
安全・安心
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
都市計画道路網の検討/景観計画/
土地利用計画
4.テーマ別まちづくり方針
②犯罪・
交通事故のない
まちづくり
日常の安全性確保は、居住政策の根幹で
あることから、犯罪や交通事故の発生を未
然に防ぐために、危険箇所の改善など都市
環境の改善に努めます。
1)防犯性の高い居住環境形成を推進します。
誰もが安心して暮らすために、犯罪を防止する必
要があります。
【住】-2
誰もが日常を
安心して暮ら
せるまち
視点・・・防犯/安全な暮らし
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
都市環境/道路交通体系/土地利用・拠点形成
そのために、清掃活動や落書きの消去などまちの
クリーンアップ、違反広告・放置自転車の撤去など
まちの環境美化を促進するとともに、防犯性を高め
る道路・公園・駐車場の適切な整備・維持管理や、
必要に応じて防犯灯や防犯カメラの設置を検討しま
す。
●主に関連する部門
安全・安心/教育・文化/商業
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
都市計画道路網の検討/土地利用計画/
みどりのマスタープラン
また、各地域やPTAなどと連携し、防犯まちづ
くりを進めるためのルールの制定、防犯パトロール、
各戸玄関灯点灯によるライトアップ作戦、防犯マッ
プ作成など、地域住民との協働による防犯性の強化
を推進します。
△ちびっこパトロール隊
△見守り隊
△特別防犯パトロール隊
△都城・北諸地域安全パトロール隊
▲地域住民による防犯活動 資料:都城市HP
77
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
2)事故のないまちづくりを推進します。
視点・・・事故・安全な暮らし
子どもや高齢者が安全に移動し、事故のないま
ちづくりを進める必要があります。
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
道路交通体系/土地利用・拠点形成
そのために、不良交差点、視認性の悪い道路、
歩道の改良、小学校や高齢者施設周辺での安心歩
行空間の整備、歩車共存道路の設置や自転車移動
の安全性確保などに努め、道路の交通安全対策を
●主に関連する部門
安全・安心/教育・文化/健康・福祉/商業
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
都市計画道路網の検討/土地利用計画
推進します。
また、人が多く集まる商業施設などの周辺では、
予期しない交通量の増加が考えられます。
そのために、事業者と連携・協力し、大型商業施設の開発において交通安全への対応と、その後の検証
や見直しを含めた交通安全対策を推進します。
フォルト
歩車共存道路(細街路)
地
ハンプ
緑道
歩車共存道路(細街路)
▲コミュニティ道路(歩車共存道路)の整備イメージ
▲歩道の整備イメージ
78
主要生活道路
宅
4.テーマ別まちづくり方針
①ライフスタイルに合った
まちづくり
本市は、まちなか居住※1、まちなみ
沿道居住※2、まちなか郊外居住※3、田
園居住、山間居住など多様な居住形態
が選択できるまちです。まちなか居住
は歩いて用を足せる便利な暮らし、田
園・山間居住は自然や農との共生、地
域住民との深い絆を基本に、居住地毎
の個性化を推進します。
【住】-3
誰もがより良
い人生を送れ
るまち
詳しくは第5章分野別まちづくり方針 住宅系の土地利用方針(P.88)を参照。
※1 「まちなか居住」:医療・文化・買い物など住・職・遊と高度な都市機能が集積する場であり、都市生活に必要なサービスがまとめて受けられ、
歩いて暮らせる利便性が最も高い居住地。
※2 「まちなみ沿道居住」:商業施設と居住施設が連続・混在し、日常の生活に必要な生活利便施設には、徒歩・自転車でアクセスすることがで
きる都市沿道型居住地。
※3 「まちなか郊外居住」:地区ごとに個性を持ち、ゆとりがありみどりが豊か、少し足を伸ばせば、まちなかの様々なサービスが受けられる低層
住宅地。
1) 都城の多様な居住環境を活かす居住エリアの形成を推進します。
視点・・・利便性と快適性/居住形態やイメージの形成
本市の多彩な居住環境を活かし、多様化するラ
イフスタイルに応えることで急激な人口減少の抑
制、空き地や空き家対策を促進します。
これを効果的に進めるために、居住地の機能、
具体的なイメージ、居住形態、対象者などの検討
を行い、居住環境の形成とその誘導を推進します。
≪規制・ルールの検討≫
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成/都市環境
●主に関連する部門
農業/商業/健康・福祉
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画/みどりのマスタープラン/景観計画
居住エリアの特性を活かした居住環境の創出が、
まちの魅力を高めます。
そのために、居住地の実態、居住形態、将来イ
メージを勘案した、建ぺい率・容積率の見直し、
地区計画の検討などきめ細かな規制誘導のルール
を検討します。
≪住宅景観づくりへの啓発≫
居住空間のイメージを強化するために街区レベ
ルでの魅力ある住宅景観を育てていくことが必要
です。
そのために、これまで維持されてきた良好な景
観の保全と育成、街区や集落内に残るシンボルツ
リー(巨木)などの自然的環境の保存、住宅景観
コンテストの開催など、市民や地域の主体的な取
り組みへの啓発を促進します。
▲都城市のオープンガーデン
79
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
②ライフステージに合わせ
誰にでも優しい
まちづくり
ファミリー世帯や高齢者、障がい者
が、まちなかや地域生活拠点に住むこ
とに魅力を感じる居住環境づくりや、
公共公益施設の使い方を工夫します。
【住】-3
誰もがより良
い人生を送れ
るまち
1)高齢者・障がい者・子育て世帯が安心して生活できる居住環境の創出を推進します。
視点・・・居住環境/機能の集約(複合・一体化)
便利で安心な居住地の形成を促進するためには、
働く人や介護する側、障がい者などの負担軽減を
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成
図れるような、医療・介護・子育て機能の誘導を
●主に関連する部門
促進する必要があります。
そのために、医療福祉・保健・厚生サービス施
設については、規模や機能などを考慮し、まちな
かの医療厚生ゾーン(第6章地域別まちづくり方
針
健康・福祉
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画
中央 エリ アま ちづ くり 方針 図【 極】、【 産】
(P.135)参照)や地域生活拠点内、まちなみ沿
道居住ゾーン(第5章分野別まちづくり方針
住
宅系の土地利用方針(P.88)参照)への誘導を推
進します。あわせて、その機能の維持を図るため
に居住誘導策を検討します。
また、まちなかの日常的で広域的な総合医療、
生活圏内での身近な医療や戦略的振興拠点地域に
おける広域的な救急医療などを統合的に検討し、
安心で便利に暮らせる環境整備を促進します。
▲まちなかの居住イメージ
80
4.テーマ別まちづくり方針
2)施設の複合化や多目的利用について検討します。
効率的で便利な居住環境の形成を促進するた
めに、公共施設の多目的利用を推進する必要があ
視点・・・施設の複合化・一体化
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成
ります。
そのために、既存公共施設の効率的で多様な運
用、適正配置・規模を勘案し、施設の複合化や一
●主に関連する部門
教育・文化/健康・福祉/商業
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
体化を推進します。
特に、大型の公共施設については、地域住民と
土地利用計画
連携し、高齢者支援機能、教育子育て機能、地域
交流機能、情報提供機能、健康増進機能、事業所
機能など様々な視点から検討し、その運用につい
て地域の生活利便が高まるよう利活用を推進し
ます。
▲公共賃貸住宅と保育所との複合化 資料:国土交通省
3)子育て世代、高齢者などが住みやすい住宅・居住環境整備を促進します。
視点・・・住宅の供給・改善
高齢者・障がい者などが安心して暮らせる住宅
の確保を官・民一体となって進めることが重要で
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成
す。
そのために、市営住宅においては、入居者管理
の適正化、市営住宅ストックの総合的な活用など
を推進します。
また、民間住宅においては、集合住宅を市営住
●主に関連する部門
健康・福祉/商業
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
-
宅として利用する借り上げ型の集合住宅供給、子
育て世帯や高齢者、障がい者などが円滑に入居で
きる民間賃貸住宅の普及などを促進します。
81
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
③誰もが人の支えの中で、 誰もが地域の人々との関わりあいが
自立した生活を営める 増え、地域コミュニティ活動がいきいき
と行われ、自立した生活が営めるような
都市環境を形成していきます。
まちづくり
1)地域コミュニティ活動を支援する都市環境をつくります。
地域社会には防犯・防火、交通安全、児童・高
齢者福祉、文化教育、保健衛生、伝統行事など日
【住】-3
誰もがより良
い人生を送れ
るまち
視点・・・人とのつながり
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
土地利用・拠点形成/都市環境
常生活の中に、多様で身近な働きがあり、居住者
の生活を支えています。このような地域コミュニ
ティ活動を支える環境づくりが必要です。そのこ
とが、居住者に安心感を与え地域の持続性に大き
く貢献します。
よって、近隣住民同士のつながりやコミュニテ
ィ活動を強固にしていくことが重要であり、コミ
ュニティの醸成やその活動の場を確保するために、
道路・河川・公園空間や公共公益施設のオープン
スペースなどを活用した出会い・交流・憩いの場
づくりを促進します。
82
●主に関連する部門
健康・福祉/地域づくり
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画/都市計画道路網の検討/
みどりのマスタープラン
4.テーマ別まちづくり方針
2)誰もが自立することのできるまちのユニバーサルデザイン化を推進します。
視点・・・ユニバーサルデザイン
社会の中で、誰もが自立した普通の生活を送れるよ
う、まちを構成するあらゆる要素がすべての人々にと
って安全で快適であることが必要です。
そのために、生活の基盤に直結している移動環境や
これに結びつけられる公園、公共施設、住宅などのユ
ニバーサルデザイン※1 が重要となります。誰もが普通
に暮らすことができる都市空間の形成を推進します。
●関係する分野別まちづくり方針(第 5 章)
道路交通体系/土地利用・拠点形成/都市環境
●主に関連する部門
福祉
●主にこれを検討する都市計画関連計画(第 7 章)
土地利用計画/都市計画道路網の検討/
みどりのマスタープラン
≪移動環境:交通・道路≫
誰もが安全に移動し自立した生活を営むためには、円滑な移動環境の整備が必要です。
そのために、問題箇所の把握に努め、歩車道分離、十分な有効歩道幅員の確保、段差の解消など使いや
すくなるよう道路施設のユニバーサルデザイン化を推進します。それと呼応し自由な移動環境を確保する
ために、都城駅や西都城駅などの多様な公共交通が結節する場所については、周辺の道路・交通環境の改
善を促進します。
≪集まりやすい環境整備:まちなか、地域生活拠点、まちなみ沿道≫
人々が多目的に集まり、住み、訪れる場所として、まちなか、地域生活拠点、まちなみ沿道では、買い
物や医療など身近な生活を支える施設配置を進めるとともに、誰もが来やすい、集まりやすい拠点環境の
形成を推進します。
≪公園≫
公園は健康づくりやリハビリ、人と人が交流する場として重要であり、誰もが訪れ利用できる公園づく
りが必要です。
そのために、生活行動範囲における公園の適正配置を検討します。公園施設については、既存公園施設
も含め様々な利用者に配慮し段差解消、スロープ・手すり・ベンチ・多目的トイレの設置や案内板(表示
方式に配慮)など公園のユニバーサルデザイン化を推進します。
▲ユニバーサル公園
<南九州大学ヒーリングガーデン>
※1 「ユニバーサルデザイン」:障がい者・高齢者・健常者の区別なしに、すべての人が使いやすいように製品・建物・環境などをデザインすること。
83
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
▲ユニバーサル道路・交通のイメージ 資料:国土交通省
84
5.分野別まちづくり方針
5
分野別まちづくり方針
5.1.土地利用・拠点形成
(1)土地利用の基本方針
(2)人間活動ゾーンの土地利用方針
(3)拠点形成の基本方針
(4)拠点形成と誘導方針(重点的に機能誘導を図る拠点)
5.2.道路交通体系
(1)道路交通体系の基本方針
(2)機能別幹線系道路の配置及び整備方針
(3)テーマ別道路交通体系の整備方針
5.3.都市環境
(1)都市環境の基本方針
(2)公園・緑地の保全・形成に関する基本方針
(3)景観の保全・形成に関する基本方針
5.4.生活インフラ
(1)生活インフラの基本方針
(2)生活インフラの整備方針
分野別まちづく
り方針は、テーマ
別まちづくりの 方
針をうけてそれを
実現していくため
に、
「土地利用や拠
点形成」、「道路交
通体系」、「都市環
境」、「生活インフ
ラ」の4分野に焦
点をあて、方針を
明らかにするも の
です。
85
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
第5章
分野別まちづくり方針
5.1.土地利用・拠点形成
(1)土地利用の基本方針
将来のまちの空間構成である「多極分散ネットワーク
型の都市空間の形成」に向けて、都市と自然との共生に
配慮した土地利用を進めます。
産業の効率化・魅力化、既存市街地における都市機能
の充実、良好な都市環境の形成を図るため、市街化の拡
大を抑え、都市核や地域生活拠点を有するまちなかの重
点化と一般市街地の生活環境の向上、次世代につなぐ産
業育成に資する土地利用を促進します。
①人間活動ゾーンにおける都市機能の重点的誘導
多様な都市活動が展開する人間活動ゾーンにおいては、都市機
能の重点的誘導や、多くの人々が利用する公共公益施設の用途地
域外移転を抑制していきます。
②拠点地区形成に対応した土地利用の誘導
まちなかや地域生活拠点においては、人が出会い、集まる交流
▲人間活動ゾーン
拠点としての機能の充実・強化に資する土地利用を誘導します。
観光文化レクリエーション拠点、知的研究産業振興拠点、学研生
活共生拠点といった、様々な都市活動において、それぞれの役割
にふさわしい都市機能の強化につながる土地利用を検討します。
都市施設が充実しているまちなかを重点化し、生活機能や産業
機能の集積・再生を図るとともに、多様な都市機能の複合化と調
和に資する土地利用を促進します。
③居住を促進する土地利用の誘導
新たな住宅需要に対して、多様な居住ニーズに対応し地域特性に
適合した適正な住宅誘導を踏まえながら、特に市街地内や地域生活
拠点への誘導を重点的に働きかけます。
これら地域への居住を進めるために、高度利用の促進や更新の遅
れた市街地の改善、低未利用地の活用などを促進していきます。
▲まちなか
④みどりのゾーンにおける市街化の抑制と環境の保全
みどりのゾーンにおいては、都市と田園、自然とが共生するま
ちづくりに向けて市街化を抑制します。水辺、森林などの自然的
資源及び農地を保全していくとともに、田園環境と調和する集落
の環境整備や戦略的振興拠点地域における適切な土地利用の誘
導を図ります。
▲みどりのゾーン
86
5.分野別まちづくり方針
土地利用区分と配置の方針
87
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
(2)人間活動ゾーンの土地利用方針
①住宅系の土地利用方針
人間活動ゾーンでは、今後空き地・空き家が増加する懸念があります。無秩序な農地の宅地化は、後
追い的なインフラの整備や居住地と農地の混住化を招き、居住環境の低下につながることから、住宅系
土地利用の方針としては新たな住宅需要に対し、現在宅地化されている土地へ誘導していくことを基本
的な方針とします。
そのために、市街地内にある都市基盤や公共公益施設のストックの有効利用を重視し、更新の遅れた
市街地の改善や低未利用地の活用を図ります。基盤整備が整い、良好な居住環境を維持すべき地区では、
地区計画などにより良好な都市環境の保全を図ります。
1)住宅系土地利用の位置づけとイメージ
1)-1
都市型居住ゾーン
◆まちなか居住ゾーン
まちなか居住ゾーンは、北を都城駅、西を西都城
駅のJR線で囲み、東は総合文化ホール、南は市役
所までの一帯を位置づけます。
このゾーンは、医療・文化・買い物など住・職・
遊と高度な都市機能が集積する場であり、都市生活
に必要なサービスがまとめて受けられ、歩いて暮ら
せる利便性が最も高い居住地の形成を図ります。
◆まちなみ沿道居住ゾーン
▲まちなか居住ゾーン<東中町通線>
まちなみ沿道居住ゾーンは、姫城、小松原、祝吉、
妻ヶ丘、沖水、五十市、横市、高城など市街地系生
活拠点内の沿道を位置づけます。
このゾーンは、商業施設と居住施設が混在し、日
常生活に必要な生活利便施設へは、徒歩・自転車で
移動することができる居住地の形成を図ります。
◆まちなか郊外居住ゾーン
まちなか郊外居住ゾーンは、まちなか居住ゾーン、
▲まちなみ沿道居住ゾーン<鷹尾>
まちなみ沿道居住ゾーン以外の地区を位置づけま
す。
このゾーンは、地区ごとに個性を持ち、みどり豊
かでゆとりがあり、少し足を伸ばせばまちなかやま
ちなみ沿道ゾーンの様々なサービスが受けられる
低層住宅地として保全を図ります。
▲まちなか郊外居住ゾーン<郡元>
88
5.分野別まちづくり方針
1)-2
自然共生型居住ゾーン
◆田園居住ゾーン
田園居住ゾーンは、高崎、山之口、志和池、山田、
庄内、中郷の田園系生活拠点及び田園に囲まれた集
落地を位置づけます。
このゾーンは、農とみどりを中心とした田園居住
地として、その個性を活かし、一定の利便性の確保
により農との交わりや人との絆を大切にし、定住と
滞在による複合的な田園居住地の維持を図ります。
他方で、このゾーンの生活利便性を確保するため
に、地域生活拠点において、生活利便施設の維持・
誘導に努めます。
▲田園居住ゾーン<中郷>
◆山間居住ゾーン
山間居住ゾーンは、西岳をはじめとする山地に囲
まれた集落地を位置づけます。
このゾーンは、農とみどりを中心とした山間居住
地として、利便より豊かな森林や生物とのふれあ
い・自給自足的な生活を大事にする居住地の維持を
図ります。
また、定住と滞在による複合的な居住や来訪者と
の交流、工房、陶芸、アトリエなど芸術活動やライ
フスタイルに配慮します。
▲山間居住ゾーン<西岳>
89
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
2)住宅系土地利用の整備・保全・誘導の方針
2)-1
都市型居住ゾーンにおける適切な住宅系土地利用
◆都市型居住ゾーンへの誘導
都市基盤整備が実施され、地域の人口が減少して
いる建築物誘導地域(建築物誘導の方針図(P.92)
参照)では、土地利用規制の緩和や建設促進のため
のインセンティブ※1 方策を検討し、民間住宅建設の
促進や住宅機能を有する商業・福祉複合型の民間再
開発などの促進を図ります。その中で、更新の遅れ
た旧規格の都市居住地では、居住環境の改善を推進
するとともに、老朽化住宅の建替えや低未利用地の
活用を誘導し、住宅の供給促進を図っていきます。
▲都市型居住ゾーン<天神町>
◆安全・安心、便利で快適な都市型居住ゾーンをめざした誘導
安全・安心、便利で快適な都市型居住ゾーンをめざし、用途地域、防火・準防火地域の見直し、
宅地規模に応じた容積率の設定、総合設計制度※2 を利用したオープンスペースの確保などを検討す
るほか、より質の高い居住環境の形成を促進するために、建築・緑地協定、地区計画の導入など地
域住民の主体的な取り組みを支援します。
※1 「インセンティブ」:広義には人や組織に特定の行動を促す動機づけ、誘因。建設促進のための支援や補助など。
※2 「総合設計制度」:建築基準法に基づく許可制度で、一定規模の敷地を有しかつ敷地内に一定規模の空地を確保した計画で、特
定行政庁が市街地環境の整備に寄与すると認め、許可することにより容積率制限又は道路斜線制限等の高さ制限が一定の範囲で緩
和される制度。
2)-2
自然共生型居住ゾーンにおける土地利用の誘導と白地地域の都市的土地利用転換の
抑制
◆良好な生活環境形成に向けた計画的誘導
地域社会の維持・形成や生活環境の向上を図るために、用途地域の指定を検討し計画的な土地利
用を誘導します。さらに、本ゾーンの地域生活拠点においては、生活利便施設の建設促進のための
インセンティブ方策をあわせて検討します。
一方で、自然あふれ美しく魅力的な居住空間の創出に向けて、地域住民の合意に基づき、建築協
定、緑地協定、地区計画の導入など地域住民の主体的な取り組みを支援します。
◆白地地域における都市的土地利用転換の抑制
白地地域の都市的土地利用への転換を抑制するために、開発許可面積・建ぺい率などのダウンゾ
ーニング、特定用途制限地域を活用した地域環境に支障を及ぼすおそれがある建築物の立地制限、
都市的土地利用への転換時における緑地の確保や雨水流出抑制などを含めた開発ルールなどを検討
します。
90
5.分野別まちづくり方針
3)住宅系土地利用の方針図
中心部拡大図
91
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
92
5.分野別まちづくり方針
②商業・業務系の土地利用方針
商業・業務系の土地利用は、生活系商業と広域系商業の秩序ある誘導を基本的な方針とします。
本市における良好な商業・業務系の土地利用については、身近な地域生活を営むための生活系商業施
設の誘導と都城圏の住民が便利でうるおいのある生活を営むための広域系商業施設の適正立地により、
秩序ある土地利用をめざします。
また、その秩序ある商業環境の形成を進めるために、商業・業務施設の立地について、適正な規模・
立地場所などを勘案し機能分担を推進します。
1)商業・業務系土地利用の位置づけとイメージ
◆中心商業・業務ゾーン
中心商業・業務ゾーンは、市役所前~川東までの
国道 10 号沿いを基軸に、都城駅南側の一帯にかけ
て位置づけます。
このゾーンは、南九州の中核を担っている多様で
高度な機能の集積を活かし、商業・業務施設を中心
に多様な都市活動が展開される場として、市の中心
となる商業、情報、総合医療、広域的な文化交流、
▲中心商業・業務ゾーン<都城合同庁舎周辺>
歴史文化などの機能の誘導を図ります。
◆広域沿道サービスゾーン
広域沿道サービスゾーンは、まちなかの北端~沖
水までの国道 10 号沿道を位置づけます。
このゾーンは、広域交通網を背景とした都城圏の
住民が豊かな生活を営むための広域沿道型の商
業・業務・サービス機能の集積を活かし沿道型商
業・業務施設の立地誘導を図ります。
▲広域沿道サービスゾーン<吉尾>
◆沿道まちなみ商業ゾーン
まちなかにおける【地域生活拠点C2】姫城、小
松原、妻ヶ丘、祝吉、五十市、横市、沖水、高城を
位置づけます。
このゾーンは、背後地の田園・山間居住者や沿道
周辺の住民に身近な生活利便を支える商業・サービ
ス機能の存在が重要で、住宅と生活利便施設が連続
して集積する地区として立地誘導を図ります。
▲沿道まちなみ商業ゾーン<郡元>
◆地域生活商業ゾーン
【地域生活拠点C3】高崎、山之口、志和池、山
田、庄内、中郷、西岳を位置づけます。
このゾーンは、田園・山間居住地でありながら地
域生活に密着した生活商業・サービス施設の立地誘
導・保全を図ります。
▲地域生活商業ゾーン<山之口>
93
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
2)商業・業務系土地利用の整備・保全・誘導の方針
2)-1
広域複合型商業・業務地と地域密着型商業・業務地の秩序ある土地利用
大型商業施設は、その立地の位置や規模によって地域生活拠点にある身近な商業やまちなか商業
に影響を与え、生活利便性の低下につながる懸念があります。
よって、市民生活の維持を第一に配慮しつつ、都城圏を担う商業環境の形成につながるよう適正
な立地の位置と規模などの規制・誘導指針の方策をあわせて検討します。
また、都城圏は、宮崎・鹿児島両県にまたがっていることから、周辺市町村の経済・市民活動に
懸念のある開発などの調整に広域的に取り組める場の設定について宮崎県・鹿児島県へ働きかけを
促進します。
2)-2
魅力ある広域複合型商業地をめざした土地利用
本市の中心商業・業務ゾーンについては、住む・買う・働く・憩う・見る・診るといった基本的
な都市機能の維持回復を図るために、用途地域・容積率の見直し、多彩な機能やまちなみ誘導など
を複合的に勘案した地区計画や特別用途地区の活用などを検討します。
また、これら機能の外延化を抑制するための施策として、建設・移転・開設促進のための土地利
用計画や公共施設の集積ガイドラインの策定など郊外移転の防止策を検討します。広域沿道サービ
スゾーンについては、都城圏の豊かな生活を支えるサービスゾーンとして立地誘導を図るために、
段階的な用途地域・容積率などの見直しと大型商業施設の規制を検討します。
2)-3
自立した生活を営むための生活密着型商業地をめざした土地利用
地域生活拠点(C2)の沿道まちなみ商業ゾーンは、中規模な生活圏を範囲とする生活密着型商業・
業務地の形成をめざします。これは、人口減少が進展した場合、地域生活拠点(C3)の生活機能が
低下することも懸念されることから、そのセーフティネット※1 として機能強化を進める必要がある
ためです。
そのために、住宅・商業・業務機能が混在できる用途指定や地区計画の活用などを検討します。
地域生活拠点(C3)の地域生活商業ゾーンについては、小規模な日常生活圏を範囲とする生活
密着型商業・業務地の形成をめざします。これは、それぞれの田園・山間居住地の生活利便性を確
保し、小規模ながら生活利便性の集積・形成を進める必要があるためです。
また、公共交通網の結節地、施設の集積性、日常生活圏域内の人口規模などを勘案し、適正な商
業・業務系土地利用の範囲、住機能との複合化の検討などにより、用途地域の指定・見直しや地域
住民の合意に基づく地区計画の活用を進めます。
※1 「セーフティネット」:安全網。リスク(危険)に対する防護装置。
94
5.分野別まちづくり方針
3)商業・業務系土地利用の方針図
中心部拡大図
95
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
③工業系の土地利用方針
工業・流通機能の増進に必要な規模を確保しながら、低未利用地の有効利用を図ります。
さらに、戦略的振興拠点地域では、雇用創出型の産業の誘致を立地条件や周辺環境との調和に配慮し
ながら進めていきます。
1)工業系土地利用の位置づけとイメージ
◆工業専用ゾーン
工業専用ゾーンは、既存の食品加工団地、木工団
地、都北地区などの工業専用地域、第2高城工業団
地などの工業団地を位置づけます。
このゾーンについては、工業専用の土地利用に特
化し、工業施設の留置と誘致、機能の増進を図りま
す。
▲工業専用ゾーン<沖水>
◆産業・物流ゾーン
都城 IC、都城志布志道路各 IC 周辺は、広域交通
の利便性が高く、集荷、物流、生産、加工など本市
の産業を支える拠点性を有しています。これらの広
域交通の結節点と近接する戦略的振興拠点地域、志
和池トラック団地、高木工業団地については、産
業・物流ゾーンとして位置づけ、様々な産業施設の
誘導を図るゾーンとして機能の増進を図ります。
また、このゾーンにおける農地の保全と無秩序な
市街化を抑制するために、農業政策と連携した土地
利用の規制に努めます。
◆住・工共存ゾーン
住・工共存ゾーンは都城駅の北側、西町、千町な
どを位置づけます。
▲産業・物流ゾーン
<上:都城IC周辺、下:トラック団地>
このゾーンでは、比較的小規模で、既存の場所以
外では成立しにくい工業施設が、居住環境との複合
的な施設立地を許容するゾーンとして現在の土地
利用を維持します。
しかし、産業構造の変化や産業・物流ゾーン、工
業専用ゾーンの機能強化の推進などによっては用
途地域の見直しも考えられるゾーンです。
▲住・工共存ゾーン<西町>
96
5.分野別まちづくり方針
2)工業系土地利用の整備・保全・誘導の方針
2)-1
産業の付加価値や効率性の向上のための土地利用誘導
工業・流通系、食品加工、木材加工などの産業連携が形成されるように、集積力を活かした産業
の付加価値や効率性向上のための土地利用誘導を図ります。そのために、工業専用ゾーンや産業・
物流ゾーンへの施設誘導を促進し、また住宅地域内で操業する工場の建て替え時における工業団地
の未分譲地のあっ旋などを検討し集積力の強化に努めます。さらに、研究開発・高等教育拠点との
連携が高まるような情報交換なども合わせて検討します。
また、戦略的振興拠点地域では、近接する集落生活環境、自然的環境との調和、周辺工業地の一
体性の確保などを勘案し、適切な土地利用配置を促進します。
2)-2
工業と住居の調和した土地利用誘導
住宅と工業施設が混在する地区では、経済状況、建物現況、工業集積の戦略性などを勘案し、住
工の分離について検討します。ただし、既存地内でなければ成立しない工業も存在することを考慮
し、土地利用の純化・共存について工業・環境施策と連携しながら、その誘導の検討を図ります。
また、このような住・工共存ゾーンで大型商業施設が立地可能な準工業地域では、商業振興、地
域生活の保全の観点から特別用途地区の活用など、その立地規制を図ります。
97
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
3)工業系土地利用の方針図
98
5.分野別まちづくり方針
(3)拠点形成の基本方針
市民生活を支え、うるおいと活力のある拠点配置を効率的、戦略的に検討するために、それぞれの拠
点機能を明確にして、必要な機能・規模の検討などを勘案した合理的な拠点形成を図ることが重要です。
たとえば、地域生活拠点には、各地域の人々の自立した生活を支える身近な施設がそろい、日常生活
圏内で一定の利便性を確保できるように、その日常生活圏の広がり、実情に応じた施設が整っているこ
と、また地域生活拠点に無い機能については、近接の地域生活拠点から補完できることが望まれます。
したがって、地域生活拠点に必要となる施設の配置、目的地に至るまでの動線の確保などを検討し、
効果的・効率的に拠点機能を強化するといった検討が大切です。
そのために、本市の拠点を機能的に分類し、その機能を位置づけることによって、今後の都市整備方
策につなげていきます。
広域文化交流ゾーン
戦略的振興拠点(救急医療)
市街地系地域生活拠点C2
まちなか
安全・安心拠点
地域生活拠点
地域防災拠点
にぎわい・交流ゾーン
官公庁ゾーン
田園系地域生活拠点C3
雇用創出集積ゾーン
身近な医療(日常)
医療厚生ゾーン(広域高度)
地域を支える
知的研究産業振興拠点
活力とうるおいを与え
工業・流通業務拠点
研究開発・高等教育拠点
歴史・文化拠点
戦略的振興拠点(産業)
スポーツ・レクリエーション拠点
観光文化レクリエーション拠点
市民生活・経済を支える拠点群
99
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
(4)拠点形成と誘導方針(重点的に機能誘導を図る拠点)
①まちなか拠点形成・誘導方針
まちなかは、南九州のリーディングシティとしてふさわ
しい多彩な機能を基本的な拠点機能として保全・誘導し
ます。
人口減少・高齢化社会の到来に向け、本市の活力と周
辺住民を含めた住民生活の安定をもたらすために必要な
機能を誘導することにより、まちなかの強化を図ります。
▲医療厚生ゾーン(総合医療施設)
そのため、住宅系、商業・業務系土地利用と連動した
南九州の生活・文化・産業・医療の拠点形成を推進しま
す。
1)まちなか拠点形成の位置づけとイメージ
◆医療厚生ゾーン
まちなかにある医療の集積を活かし、高齢化社会
に対応した福祉、保健、医療機能の重点的誘導を図
▲雇用創出集積ゾーン(IT産業ビル)
ります。
◆雇用創出集積ゾーン
IT産業ビルを核施設とし、対事業所サービスや
対個人サービスなど都市型産業の創出に向けた受
け皿づくりや、子育て支援など働きやすい環境づく
りなど、異業種交流のしやすい機能の重点的誘導を
図ります。
▲にぎわい・交流ゾーン(中町周辺)
◆にぎわい・交流ゾーン
まちなか居住のための店舗や店舗兼用住宅など
の重点的な誘導を推進し、まちなか居住者や訪れる
人が便利で交流しやすい機能の集積を図ります。
◆官公庁ゾーン
行政サービスの拠点機能を果たすため、市役所、
国の合同庁舎などを核施設として、広域的な利用に
資する行政サービス機能の重点的誘導を図ります。
▲官公庁ゾーン(都城市役所)
◆広域文化交流ゾーン
神柱公園を含む総合文化ホール、ウエルネス交流
プラザ、都城島津邸を核施設として、市域内外の
様々な人々が出会い、集まることができる広域文化
交流機能の重点的誘導を図ります。
▲広域文化交流ゾーン(ウエルネス交流プラザ)
100
5.分野別まちづくり方針
②地域生活拠点の形成・誘導方針
地域生活拠点では、日常生活に必要な機能を有することを基本的な拠点機能とします。
地域それぞれの既存施設の集積や個性を活かし、日常生活圏(守備範囲)の狭い田園系地域生活拠点と
日常生活圏の広い市街地系地域生活拠点でお互いに補完しあいながら、うるおいと豊かさの利便性を兼
ね備えた地域生活拠点の形成を図ります。
1)地域生活拠点形成のイメージ(※地域生活拠点の位置づけについては、第3章まちの将
来像
拠点の配置について(P.39)参照)
田園系生活拠点の生活機能が低下した
場合、市街地系生活拠点が機能を補完
▲市街地系地域生活拠点と田園系地域生活拠点の連携イメージ
2)地域生活拠点における生活支援機能の集積に向けた生活拠点イメージ
総合支所、郵便局、体育館、
福祉施設、市民センター・公民
館などの公共公益施設、店舗・
スーパーマーケットなどの商
業施設の集積、公共交通整備の
利便性を活かし、行政窓口サー
ビス、日常商業サービス、子育
て支援、身近な医療、コミュニ
ティなど身近な生活支援機能
の集積を図ります。
▲地域生活拠点のイメージ
※1 「パークアンドライド」:都市部や観光地などの交通混雑を緩和するため、自家用車で最寄りのバス停または駅まで行
き、駐車した後、公共交通機関に乗り換えて目的地へ向かうこと。
101
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
③観光文化レクリエーション拠点の形成・誘導方針
観光文化レクリエーション拠点の基本的な拠点機能は、暮らしの中から培われた豊かな歴史文化を訪
れる人や将来の市民に伝え、また市民生活がうるおいのある豊かな生活となる機能を有することです。
連綿と続いてきた本市の歴史文化を後世に伝えると同時に、その多様性を活かした地域内の歴史文化
系観光拠点として、その機能と連携の強化を促進します。
また、本市の豊かなスポーツ・レクリエーション拠点を活かし、豊かでうるおいのある拠点形成とス
ポーツ観光拠点の機能と連携強化を促進します。
1)観光文化レクリエーション拠点形成の位置づけ、イメージと整備・保全誘導の方針
◆歴史文化拠点
都城島津邸、都城歴史資料館、弥五郎どんの館、
人形の館、高城郷土資料館、旧後藤家商家交流資料
館などは、歴史文化拠点として位置づけます。
拠点性、シンボル性を高めるため、周辺の居住環
境・街路空間・樹林地やため池などの一体的な景観
保全・創出を図ります。さらに焼酎やみそ、しょう
ゆなどの醸造文化を活かし、体験型の歴史文化学習
の場、休憩機能の充実を検討します。
▲都城島津邸
また、歴史文化を感じる環境の誘導と連続性の確
保を図ります。
◆スポーツ・レクリエーション拠点
早水公園や都城運動公園などの都市基幹公園は、
▲高城郷土資料館
身近に自然とふれあい、スポーツを楽しむなど市民
生活の快適性を高める施設です。金御岳公園などの
特殊公園や関之尾滝、観光牧場などは、観光、保養
機能などを有しています。これらの公園や施設など
をスポーツ・レクリエーション拠点として位置づけ
ます。
それぞれの機能分担を明確にし、多様なスポーツ
ニーズに対応するための効果的な施設のリニュー
アルや統合、観光資源の集約化や複合化、多様性の
ある宿泊機能の強化やPRを促進し、個性化を図り
ます。
102
▲早水公園
5.分野別まちづくり方針
④知的研究・産業創造拠点の形成・誘導方針
知的研究・産業創造拠点の基本的な拠点機能は、産業の効率化、集積化、高度化、付加価値化を促進
する機能と人材の育成機能を有することです。
産学官連携の一翼を担う知的研究・産業創造拠点は、食品加工、木材加工など生活関連工業のさら
なる高度化、付加価値化を促進するとともに、工業・流通系の産業展開を図り、戦略的な工業育成と
裾野の広い工業形成の両輪で産業クラスターが形成されるような拠点形成を推進します。産業の個性、
付加価値、効率性を強化するために、研究開発・高等教育機関との連携、新たな産業振興拠点を形成
し、工業系土地利用と連動した知的研究・産業創造拠点形成を推進します。
1)知的研究・産業創造拠点形成の位置づけとイメージ
◆研究開発・高等教育拠点
南九州大学、都城工業高等専門学校、九州沖縄農
業研究センター、宮崎県農業総合試験場畑作園芸支
場、宮崎県木材利用技術センターを、地場産業と連
携した研究開発・高等教育拠点として本市の『知』
を支える拠点とし、その連携を促進します。
▲都城工業高等専門学校
◆工業・流通業務拠点
都北地区、山之口地区、高城地区の工業団地は、
工業拠点として、志比田地区の食品加工拠点や早鈴
地区の木材加工拠点は、それぞれの産業機能の集積
や高度化を促進するために、企業誘致の促進や企業
留置策を検討します。
▲高木工業団地
◆戦略的振興拠点(産業)
新たな雇用を生み、産業拠点性の強化を図るゾー
ンとして、特に広域交通網の結節地である都城IC
付近を戦略的振興拠点として位置づけます。
周辺の居住空間、農地との調和を基本とした土地
利用を推進します。
▲都城IC付近
103
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
⑤安全・安心拠点の形成・誘導方針
安全・安心拠点の基本的な拠点機能は、安全・安心な暮らしを確保する救急医療機能や防災拠点機能
を有することです。
高齢化社会に対応し、緊急時に対応できる医療体制の充実が不可欠です。本市内外の安心な生活を守
るため、戦略的振興拠点地域における広域救急医療拠点の形成を推進します。
また、災害時における迅速な応急対策活動と生じうる避難生活を支えるため、主要な公共施設を防災
拠点に位置づけ、防災機能の強化を図ります。
1)安全・安心拠点形成の位置づけとイメージ
◆戦略的振興拠点(救急医療)
本拠点地域における救急医療機能は、広域的な救
急医療、健康管理機能を有する拠点として位置づけ、
医師会病院との連携強化を促進し、適切な土地利用
配置を進めます。
▲都城市郡医師会病院
◆防災活動拠点
早水公園は、災害情報の収集・伝達など対策本部
機能を有する中枢防災拠点として、山之口・高城・
山田・高崎の各総合運動公園は、地域防災輸送拠点
として位置づけ、救援、収容、備蓄、集配などの防
災機能の強化を進めます。
また、防災拠点性の低い市域西部方面では防災機
能を持つ拠点配置について検討します。
▲早水公園
104
5.分野別まちづくり方針
5.2.道路交通体系
人が移動するための
道路環境の改善
歩行車・自転車空間の形成
交通情報の提供
公共交通の検討
宮崎交通
広口バス停
自動車移動環境の確保
環境にやさしく
うるおいのある道路景観
自動車移動の円滑性の確保
官民連携による駐車場の確保
ウエルネスパーキング
人や物の移動を
つかさどる軸
国道 223 号バードライン
命と財産を守る道路
105
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
(1)道路交通体系の基本方針
①広域高速交通ネットワークの形成
本市は、盛んな農畜産業を背景に、食料供給基地として全
国への食料供給、さらに南九州の経済と安全・安心な生活圏
域の拠点都市としての役割を担っています。
そのために、県内外の周辺都市を結ぶ広域高速交通ネット
ワークの形成をめざします。
▲都城IC周辺
②施設配置、公共交通網と連携した道路整備の推進
まちなかや地域生活拠点の連携の強化や自動車交通を安全かつ円滑に処理するため、放射・環状
型道路網の形成を図ります。
また、都市利便性の向上やスプロールの抑止などに資する道路網と連携した土地利用、施設配置、
公共交通網など一体的な取り組みを推進します。
③円滑で安全な自動車移動の確保
経済活動や市民活動が安全で円滑に行われるように、渋滞
箇所の改善、交通事故対策、産業拠点と主要幹線道路の連携
強化や物流ネットワークの充実などに努め、円滑で安全な自
動車移動の確保を図ります。
④自立した生活を営む移動環境の強化
▲沖水
高齢者や障がい者などの交通弱者が、自立した生活を営む
ために、それぞれの生活圏での生活利便施設の適正配置を図
る一方、その円滑な移動を支える道路交通環境の向上を推進
する必要があります。
徒歩、自転車、公共交通などの移動手段やその利用者に配
慮した自動車移動に頼らない移動環境の強化を図ります。
▲まちなかのバス停
⑤安心な社会生活を確保する道路空間の形成
市民の安全・安心な社会生活を確保するためには、迅速な救命救急環境の確保が必要です。
そのために、目的地へ迅速に駆けつけ、その活動が円滑に実施できる道路環境の形成を図ります。
また、災害時においては、避難路、緊急輸送路、迂回路となる道路網を形成するとともに、延焼
遮断などの被害の拡大を防止するための道路空間の確保を図ります。
⑥誇りや愛着、うるおいのある道路空間の形成
本市を訪れる人々が、歴史・文化などの風情を感じる道路
空間の創出や、地球環境に優しくうるおいのある道路づくり
を推進し、誇りと愛着のある道路空間の形成を進めます。
また、生活に身近な住空間における道路空間については、
地域社会の醸成につながる道路づくりなど、うるおいのある
居住空間形成に資する道路空間の形成を図ります。
106
▲高木原緑道
5.分野別まちづくり方針
(2)機能別幹線系道路の配置及び整備方針
①機能別幹線系道路の配置
種 別
機 能
広域主要都市骨格道路
都市の骨格を構成し周辺都市・市町との広
域で高速移動を担う道路
主要都市骨格
放射系
都市骨格道路
道路
都市骨格道路
対象路線
宮崎自動車道、都城志布志道路
都市の骨格を構成し周辺都市・市町との広
域的な移動と沿道やその周辺空間に都城の 国道10号、国道269号
主な機能を誘導する道路
国道221号、国道222号、都城霧
主要都市骨格道路と連結し地域生活拠点
島公園線、都城北郷線、御池都城
の C2※1と C3※2を結ぶ放射系都市骨格道路
線
都城隼人線、都城東環状線、高城
地域連携道路
地域生活拠点間を結ぶ主要な地域連絡道 山田線、三股高城線、都城野尻
路
線、財部庄内安久線、飯野松山都
城線、中方限庄内線
内環状
道路
環状系
市街地環状道路
中環状
道路
外環状
道路
広域環状道路
まちなかを形成する環状道路
大王通線、平江通線、蔵原通線、
千間通線
周辺市街地の活動を支援
西ノ前通線、菖蒲原通線、早鈴岳
まちなかへの出入分散
下通線
市街地系生活拠点形成を支援、連絡
鷹尾上長飯通線、甲斐元通線、福
市街地外縁部の交通軸
島通線(国道222号バイパス)
田園系生活拠点形成を支援、連絡
霧島南部地区広域農道(朝霧ロー
田園生活の交通軸
ド)、都城野尻線
詳しくは第3章まちの将来像 拠点の配置について(P.39)を参照。
人口減少などの社会動向、現在の都市機能の集積度、人口密度、都市整備状況、生活圏域などを勘案した、生活拠点機能の分類。
※1 「C2」:市街地系生活拠点。姫城、小松原、祝吉、妻ケ丘、五十市、横市、沖水、高城の8ヶ所。
※2 「C3」:田園系生活拠点。高崎、山之口、志和池、庄内、山田、中郷、西岳の7ヶ所。
107
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
②幹線系道路の機能別整備方針
種 別
広域主要
都市骨格
道路
本市を問わず近隣市町の地域活性に資するとともに、安全と安心を確保する広域道路網の充実
を図ります。都城志布志道路は、産業力を強化する物資輸送の効率化や広域的な救急医療の実現、
災害時の人や物資の輸送道路、市内交通量の抑制など非常に大きな役割を持っています。この道
路整備の早期実現を促進し、整備完了後には、市街地通過交通量を勘案の上、国道 10 号の既存
道路空間を利用したまちなかの再生などについて検討します。
各地域にある産業の活性化と、市民生活の円滑化を図るために、スマートICの設置について
検討します。
都市骨格
道路
本市では、国道 10 号、269 号が主要都市骨格道路として形成されており、特に国道 10 号
は、産業・商業・生活など様々な活動がその沿線に展開されています。
また、国道 10 号から放射状に伸びる都市骨格軸は、まちなか~市街地系地域生活拠点~田園
系地域生活拠点を結ぶ道路網となっています。この道路網と連携した土地利用、公共交通網、施
設配置など一体的な検討を進めます。
交通停滞が発生する路線については、都城志布志道路の整備に伴う交通量抑制を勘案した環状
系道路の整備を進めるとともに、信号制御の検討など道路交通の円滑化を推進します。
また、本市に多くある五差路については、その安全性、交通の円滑化への寄与度などを検討し、
交差点の改良、一方通行の指定、信号制御などハード面、ソフト面を勘案し、移動の安全性と快
適性の確保に努めます。
地域連携
道路
地域生活拠点を連絡する道路網については、地域間の連携が保たれるよう、その機能の確保に
努めます。
環状系
都市骨格
道路
その他道路
108
道路整備の方針
内環状網及びその内部の道路空間については、まちなかとして商業、業務、医療、居住など高
度で多彩な都市機能を集積するために、安全でうるおいのある道路空間として、みどりや景観に
配慮した道路空間を形成します。さらに、商業、業務、医療、居住など様々な都市機能を利用し
やすいように、訪れる人々に配慮した交流道路空間の整備を図り、アクセス性を高めます。
中・外の環状網については、周辺空間と共生・調和をもたらす道路環境の形成を図るとともに、
未整備区間及び問題箇所の整備を推進します。また、この環状網を構成する道路については、居
住と地域に身近な商業店舗が連続するまちなか沿道居住ゾーンとして自動車移動と歩行者移動
の両面を勘案した道路空間の創出を図ります。
住空間における道路空間においては、コミュニティ醸成の場として最も地域住民に身近な道路
空間であることから、生活道路として安全性と快適性の確保に努めます。
安全性については、消防車両が進入できない消防困難区域の解消を図るため、狭あいな道路で
の拡幅・隅切り、沿道建物の壁面後退への支援などを図ります。
また、防犯性を高め交通事故を抑制するためにコミュニティゾーンの設定など暮らしの道づく
りを地域住民と連携し検討します。人が多く集まる施設周辺での事故を抑制するため、事業者と
連携・協力し、大型商業施設における開発前後の道路環境状況を勘案した交通安全対策を推進し
ます。
またその他道路の整備については、社会情勢の変化に柔軟に対応しつつ、その整備の必要性や
配置、規模などの検証を行い効果・効率の高い道路づくりを進めます。
5.分野別まちづくり方針
(3)テーマ別道路交通体系の整備方針
①人が移動するための道路環境の改善
1)歩行者・自転車空間の形成
高齢者、障がい者、子どもなどが安全で円滑な移動をするために、車いすや電動三輪車などが往
来しやすい広幅員で凹凸のないバリアフリー化を推進し、連続した歩行者空間の確保を図ります。
また、多くの人が集まる場所や交差点部においては、休憩スペースの確保などにより、くつろぎ・
休憩する空間づくりをめざします。
まちなかにおいては、特定時間帯や一部区間でのトランジットモール化(歩行者天国)など周辺
住民、商店街、関係行政機関と連携し、にぎやかで人にやさしい道路空間の形成を促進します。
また、自転車通行量が多い箇所については、裏道への誘導、道路標識による自転車レーンの確保
など、ハード・ソフトの両面から歩行者と自転車の分離を検討し、自転車交通環境の形成を図りま
す。これらは、道路空間のみでの取り組みでは困難なことも予想されることから、住民の理解と協
力により、民地の活用、総合設計制度、地区計画など統合的な取り組みを促進し、安全で快適な歩
行者・自転車空間の形成を推進します。
2)交通情報の提供
高齢者・障がい者などの社会参加や自立的な生活を支えるため、様々な利用者に配慮したサイン
の充実や公共交通に関する情報の提供や停留所などの視認性の向上、主要な公共施設、病院、店舗
などの位置や利用案内情報など移動自立性の向上を図ります。
3)公共交通の検討
本市は、自動車移動を基本としたまちです。しかし、今後の少子高齢化や集落地が分散している
本市の特徴を考えると、公共交通の維持については地域住民の理解と協力が必要不可欠となります。
よって、公共交通を将来誰もが必要となる移動インフラとして捉え、市民・行政・企業・NPO な
どと連携し、公共交通を使いたくなるような仕組みについて検討します。しかし、公共交通の運営
が経営的・財政的に成立しないことも考えられることから、担い手として地域やNPO、企業との
連携、公共交通の確保や買い物出前サービスなど両面での検討により、交通弱者への対策を推進し
ます。
また、都市間高速バスについては、都城志布志道路の整備により宮崎県南部沿岸部並びに大隅半
島からの利用者増加も考えられることから、その利用状況を勘案し駐車場、まちなかへの連絡手段
の確保などをあわせて検討します。
109
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
②自動車移動環境の確保
1)自動車移動の円滑性の確保について
(2)機能別幹線系道路の配置及び整備方針(P.107)を参照。
2)官民連携による駐車場の確保
まちなかにおいては、駐車場付置義務条例の適切な運用を図り、一定規模以上の施設における駐
車場の確保を図ります。今後、社会状況の変化に対応し、中心市街地に関する計画と連携しながら、
官・民が連携し適正な配置を検討します。
また、ハード面だけでなく、違法駐車防止条例といったソフト面からの施策もあわせた総合的な
駐車対策を展開します。
③命と財産を守る道路の整備
緊急時の物資輸送や避難、救助を迅速に行うため、防災道路ネットワークの設定を検討します。
防災道路ネットワークで設定された緊急輸送路については、橋梁耐震化や冠水対策など輸送機能の確
保に努めます。
また、道路空間における防災機能については、被害の軽減と安全性の確保に配慮し緊急作業の阻害要
因となる看板や電線の地中化、道路空間の緑化などを検討します。さらに、救急患者の早急な搬送を図
るため、信号制御などの移動円滑化方策をあわせて検討します。
④環境にやさしくうるおいのある道路景観の改善
母智丘通線、国道223号(バードライン)、早鈴岳下通線(市役所周辺)、中原通線(市営球場前)
蔵原天神通線(ワンパーク北側)
、高木原緑道、ウエルネスロードなどに見られるように、まちにうるお
いを与える道路を緑化するなど道路空間の改善を図ります。
また、あわせて屋外広告物、沿道建築物についても良好な沿道景観の形成や道路環境の維持を図るた
めに、住民の理解と協力に基づいた道路空間の創出に努めます。さらに、透水性舗装など環境にやさし
い路面舗装の採用を検討し、地球に優しい道路づくりを推進します。
110
5.分野別まちづくり方針
111
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
5.3.都市環境
(1)都市環境の基本方針
良好な都市環境を保全・形成することで、まちの魅力
を高め、定住人口や交流人口の増加を図ります。
景観の保全・形成
公園緑地の保全・形成
・山なみ景観の保全
・眺望景観の場の整備
食料生産ゾーン
・優良農地の保全
・田園景観の保全
自然共生型人間活動
ゾーン
・緑地の保全
・集落景観の保全
都市型人間活動
ゾーン
・都市内緑地の保全・
形成
・良好な都市景観形成
(2)公園・緑地の保全・形成に関する基本方針
①森林ゾーンにおけるふれあいの場の利用
のしやすさの向上
霧島屋久国立公園、母智丘関之尾県立自然公園、
わにつか県立自然公園など自然公園区域や金御岳
などは、本市の原風景となっています。これら山麓
の渓谷や清流において自然生態系に配慮しながら
自然観察や憩いの場としての整備を促進します。
▲母智丘関之尾県立自然公園
112
地域の特性を活かした景観の保全・形成
・ふれあいの場の
利用しやすさの向上
・景観法の活用
・歴史・文化資源の活用
・周辺景観と調和した沿道景観の形成
持続可能な公園・緑地の保全・形成
人間活動ゾーン
・利用しやすい公園の整備
・豊かな水辺とふれあうことができる
親水公園の整備と緑地の形成
・自然保全活動の推進
みどりのゾーン
森林ゾーン
5.分野別まちづくり方針
②食料生産ゾーンにおける優良農地の保全
本市は、農業に関する計画における農業振興の方針に基づき、農地の無
秩序な開発や土地利用転換の抑制を促進します。
本ゾーンにおいては、自然と都市との共生を図るため、自然環境を保全
する区域や農地を保全する区域などの設定を検討し、農地や緑地の保全を
図ります。さらに、市民や地域との協働により、生態系に配慮して、身近
な里山・樹林地、河岸段丘のみどり、棚田などの適切な維持・保全を進め
ていきます。
そのために、市域における動植物生息地を把握し、開発と保全との調整
を充実させていきます。
▲沖水の優良農地
③自然共生型人間活動ゾーンにおける良好な環境形成
古くから馴染みのある集落樹林地、ランドマークとなる巨木、自然公園
などの原生的な自然林などは、みどりの拠点として位置づけ、連続性・存
在感の確保を促進します。そのために、風致地区や緑地保全地域の活用な
どを検討します。
また、豊かな里山や社寺林などを有する歴史的、風土的な地区について
は、風致地区などの指定を検討し、その環境保全を進めます。さらに、市
民や地域との協働により、生態系に配慮して、身近な里山・樹林地、河岸
段丘のみどりなどの適切な維持・保全を進めていきます。
▲高崎のまちなみ
④都市型人間活動ゾーンにおける緑地の保全・形成
都市型居住ゾーンでは、うるおいのある市街地環境を創出するため、風
致地区、緑化地域、地区計画、緑地協定の活用などによりみどりを保全し、
屋上や敷地内の緑化を促進します。
また、快適な都市環境の形成を図るため、工業専用ゾーン、産業・物流
ゾーン、住・工共存ゾーンにおいて緩衝緑地の設置や、適切な敷地内緑化
を促進します。中心商業・業務ゾーン、広域沿道サービスゾーン、沿道ま
ちなみ商業ゾーン、地域生活商業ゾーンにおいても緑化を進め、まちなか
や地域生活拠点での拠点地区にふさわしい緑あふれる空間の演出に努め
ます。
高木原緑道をはじめとするみどりの軸については、良好なみどりの軸の
形成に努めるとともに、まちなかや地域生活拠点など人々が多く集まる場
所において、地域らしさを演出した公園や、高緑陰植樹などによる幹線道
路の緑化、花いっぱい運動など.市民や地域との協働により推進します。
▲高木原緑道
113
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
⑤親しみある公園・緑地の保全・形成
1)
安心で利用しやすい公園の整備
市民が利用しやすい公園整備を進めるために、地域的
な偏在や農村公園・ふれあい広場など同じ機能を有する
施設の重複を避け、人口・生活利便施設の集積や将来人
口規模に見合った階層的な公園の整備を検討します。そ
の際、安全で快適な居住環境や、人々が集い、出会う場
を形成するため、市街地更新時に総合設計制度の活用に
よるオープンスペースの確保や計画から管理の段階で地
▲利用しやすく愛着のある公園<福岡県福岡市>
域住民と協働した効率的な公園のあり方を検討します。
既存公園については、子どもが安心して遊べるために、遊具や樹木などの適正な管理、災害時の避難
に供するため防災機能などに配慮し、老朽施設の改善やバリアフリー化、用途に応じて駐車スペースの
確保などにより、誰もが利用しやすいコミュニティ空間として機能の充実を進める必要があります。
なお、公園の設計や管理に関しては、設計段階から市民や高等教育機関の参加や協働による維持・
管理を推進し、利用しやすく愛着のある公園づくりを推進します。
今後、不足が予想される墓地は、計画的に整備する必要があります。墓地整備にあたっては公園化
などを積極的に検討し、整備を推進します。
2)
豊かな水辺と命にふれあうことができる水とみどりの空間づくり
大淀川などの水辺は、豊かな水辺空間として引き続き保全していくとともに、市民の憩いの場として
活用できるよう整備を促進します。
身近に水やみどりと親しめ、多様な生物が生息できる水
とみどりの空間づくりを進めるために、水辺空間における
歩行者・自転車が散策できるルートの確保、ホタルの里づ
くり、河川改修時の多自然型工法の活用などを図ることで、
自然環境の保全・再生・創出に配慮した親水空間の確保に
努めます。
沖水川市民緑地は適切な保全を図るとともに、年見川、
萩原川、姫城川、高崎川などの市街地を貫流する河川では、
沿岸の住民の理解と協力により、既存公園や身近な集落地
との連続性を勘案した緑道の形成に努めます。
3)
▲志和池のホタル生息地
うるおいあるみどりとふれあう場づくりと運営管理
うるおいあるみどりとふれあう場を持続的に活用するために、地域住民・NPO・大学など多様な
主体の参加による樹木や緑地の管理運営の仕組みづくりを推進します。さらに、水やみどりへの意識が
高まるように、公共施設での緑化の推進、自然体験の機会の創出などを促進します。
また、集落地周辺の樹林地などの身近な自然生態系を形成しているビオトープ空間は、その保全方策
を関係NPOなどと協力し推進します。
114
5.分野別まちづくり方針
(3)景観の保全・形成に関する基本方針
美しい景観は、私たち市民の共有財産であり、ふるさとに対する愛着と意識を醸成する貴重な資源で
す。自然的景観、歴史的景観、都市的景観について魅力的な景観形成を図るべく、土地利用計画と整合
した景観計画を策定し、市民・事業者と協力し、広がりのある景観(ゾーン)、つながりのある景観(軸)、
点的な景観の視点から、魅力あふれる美しい景観の保全や形成を進めます。
また、本市の都市イメージを代表する都城メインゲート・ラインを基軸とした景観形成を進めるとと
もに、地域の魅力を創出し将来に引継ぐため、自然や地域の特性を十分活かした空間づくりに取り組み
ます。
①森林ゾーンにおける山なみ景観の保全
1)山なみ景観の保全
本市は、霧島山系やわにつか山系に囲まれており、優れた山なみ景観を有しています。それらの景観
を保全するため、景観の阻害となる施設の適正な立地を促進します。
また、森林開発の際、事業者へ自然生態系や景観への配慮を求めます。
2)眺望景観の場の整備
森林ゾーンにおいて眺望景観に優れた場の発掘・活用を促進します。その際、自然生態系にも配慮し
ながら道路や散策路を整備するなどアクセス性の向上を図ります。
また、借景を利用した施設配置もあることから、眺望地からの風景を阻害する建築物の制限や高さの
規制について検討します。
②食料生産ゾーンにおける田園景観の保全
農業や自然と都市とが共生するまちにふさわしい景観を保持するため、食料生産ゾーンでは、田園、
水辺など自然的景観が一体となった地区を保全し、眺望点の確保を図ります。
また、無秩序な開発を抑制する土地利用施策と良好な景観を保全する景観施策を推進します。
③自然共生型人間活動ゾーンにおける良好な景観の保全
都市と農地が共生するふさわしい景観を保持するため、自然共生型人間活動ゾーンでは、良好な住宅
景観形成を推進します。
また、工業流通業務地では、周辺の田園、市街地環境と調和し、産業施設の規模やデザインに配慮し
た景観形成を促進します。都市的土地利用転換にあたっては、遠景の山麓への眺望性を阻害しないよう
に努め、無秩序な開発を抑制する土地利用施策と良好な景観を保全する景観施策をあわせて推進します。
115
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
④都市型人間活動ゾーンにおける良好な景観形成
まちなかにおいては、本市の都市文化性をイメージした質の高い景観形成を推進します。地域生活拠
点では、日常的な商業、医療福祉、コミュニティなど身近な都市機能を集積させ、地域生活圏の顔とし
て集積に応じた魅力ある景観形成を図ります。
また、多くの人々が訪れる公共公益施設は、都城らしさを活かした施設デザインのあり方を検討し、
周辺の民間施設を先導するような良好な景観形成を推進します。さらに、市民が憩うことができ、観光
拠点の魅力が高まる夜間景観の形成を図ります。
まちなか居住地やまちなか郊外居住地では、住区単位で、敷地面積、建物形状や壁面後退、屋外広告
物規制、生け垣・柵、古くから残るシンボルツリーのなどの良好な景観形成、保全のルール化を促進し、
それぞれの居住地ゾーンにふさわしい落ち着きのある住宅地景観の育成を図ります。
⑤地域の特性を活かした景観の保全・形成
1)景観法の活用
本市の魅力を高め、住む人の愛着を高める良好な景観形成のため、景観行政団体に移行し、景観法を
活用した景観計画の策定、景観区域の指定や景観重要公共物、景観重要樹木、屋外広告物ルール作成な
どの景観形成施策を推進します。その実効性を高めるために、市民参加を促進し行政と市民が一体とな
って優れた景観を基調としたまちづくりを推進します。
2)歴史・文化資源の活用
地域の歴史的・文化的背景を拠り所とした景観形成や、長年地域で親しまれてきた小河川、神社・社
寺林など地域資源の発掘や再評価によって、地域の魅力を引き出す景観づくりを推進します。
歴史・文化的資源の残る地区では、これらの資源の保全・活用により、歴史的情緒の感じられる景観
形成を推進します。
3)周辺景観と調和した沿道景観の形成
田園から山間地、眺望点へ至る都市骨格軸は、盆地という風土を感じさせる軸として、良好な道路・
沿道景観の演出を図ります。都城ICからまちなかに至る都城メインゲート・ラインとなる国道 10 号
では、道路空間に植樹帯を設置するなど高質化を促進するとともに、沿道景観や屋外広告物の一定のル
ール化などを検討し、本市の玄関口としてふさわしい道路景観の形成を図ります。
また、生け垣設置、緑化促進、オープンスペースの確保などのルール化や景観マップの作成、サイン
計画の再構築などによって、景観の統一性が感じられるような取り組みを推進します。
さらに、住む人、訪れる人が癒しを感じることができるように緑視率※1の向上に努めます。
4)河川景観の形成
みどりのゾーンにおいては、優れた森林景観や田園景観と一体となった河川・用水環境を、適切な保
全、身近な水辺空間の形成の支援などにより、心やすらぐふるさとの景観として形成します。
人間活動ゾーンでは、沿岸の緑化を促すとともに、遊歩道・自転車道、憩いの場などを整備し、まち
にうるおいが感じられる親水空間や視点場の整備に取り組みます。
※1 「緑視率」:日常生活の実感として捉えられる緑の量として、特定方法で撮影した写真の中に占める緑の割合。
116
5.分野別まちづくり方針
5.4.生活インフラ
(1)生活インフラの基本方針
わたし達が暮らす上で、必要となる水や電気・ガス
などのライフラインについては、安定的な供給を確保
し、災害など万が一の事態に備える必要があります。
そして日常生活や事業活動から生じる廃棄物・汚水処
理についても、循環的な利用や効率的な処理を進める
ために、その施設の効果的で計画的な整備・誘導を図
り、循環型都市をめざします。
また、まちなかや地域生活拠点では、そこに暮らす
人や訪れる人が利用しやすいように都市機能を集積
して、まちの魅力を高め、快適で効率的な都市活動を
支えます。さらに、IT技術の高度化は、災害時にお
ける正確で迅速な情報伝達、本市に居ながら全世界を
対象にしたビジネス展開の可能性を秘めており、その
情報基盤の整備を促進します。
▲生活インフラの整備に関する体系
117
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
①日常生活を支える都市施設の充実
安全・安心な市民生活を支えるために、上水道な
どのライフライン、汚水処理施設については、災
害に強く、効率性の高い施設整備や配置を進めて
いきます。
また、墓地、斎場などの都市施設については、既
存施設の効果的な改修や計画的な整備によって、
市民生活に支障を来たさないよう適切な管理を進
めます。
▲清流館
②循環型のまちづくりに向けた都市施設の充実
循環型の地域社会の実現に資する廃棄物処理、汚
水処理施設などの都市施設については、市民が利
用しやすく、経済的で効率的な整備を図ります。
▲クリーンコアたかざき
③拠点形成を支援する都市施設の重点整備
多極分散ネットワーク型都市空間を形成するために、まちなか、地域生活拠点を有する用途地域内で
は、都市施設を重点的に整備します。これらの拠点で受けられる快適で質の高い都市サービスによって、
人や事業活動の集積を誘発して、都市機能の効率的利用を促進します。
④高度情報化への対応に向けた情報インフラの整備
情報通信技術の急速な発展と普及を背景に、高度情報化の波は私たちの暮らしや社会経済活動の各分
野にも及んでいます。市民生活の安全性や利便性の向上に向け、光ファイバーなどの情報通信網の整備
を関係機関と連携して促進するとともに、各分野における情報通信ネットワークなどの情報基盤の整備
に努めます。
⑤暮らしの安全・安心を高める都市防災の推進
浸水被害、霧島山の噴火、大規模地震などの災害
に備え、本市の地形的・地理的条件や高齢化の進
展に伴う社会状況の変化に対応した総合的な防災
対策を推進します。
▲浸水被害の様子
118
5.分野別まちづくり方針
(2)生活インフラの整備方針
①円滑な都市活動を支える生活インフラの整備の方針
人間活動ゾーンでは、市民生活、経済活動に欠かせない水・電気・ガスの安定的な供給が大切です。
また、産業活動や都市開発などの動脈から生ずる汚水・廃棄物処理など静脈に至る流れの中で効率的
な処理についてのシステムの構築が重要な課題です。
こうした一連の流れにおいては、利用者が増えることが施設の効率性や事業整備の効果を高めること
につながります。さらに快適な都市環境を創出し、人の流れを都市型居住ゾーンに誘導して、都市施設
の利用と経営の効率を高めます。
このような、上下水道、廃棄物処理施設などの生活インフラに関する都市施設については、計画的な
整備・誘導を推進します。
1)上水道の整備
1)-1
地下水の保全
本市は、上水道や簡易水道など水源のほとんどを地下
水に依存しています。良質で安全な水を将来にわたり安
定的に供給するために、事業活動に伴う汚染物質の地下
浸透の禁止、地下水くみ上げ量など適正な運用を促し、
地下水を保全していきます。
▲夏尾町の湧水
1)-2
計画的な給水区域の拡大
上水道は、市民生活や都市活動を支える都市施設であり、本市における平成 19 年度の普及率は
95.5%です。市全域での安定した水供給を図るためにも、みどりのゾーンに点在する簡易水道地域
については、計画的に上水道の普及を進めるなど上水道未普及地区の解消を図ります。
2)効率的な汚水処理の整備
2)-1
公共下水道・農業集落排水
河川水域を保全するために市民の理解と協力を得ながら、今後の人口、土地利用の動向などを見
定めながら、公共下水道、農業集落排水、合併処理浄化槽と連携した効率的な整備を進めます。さ
らに、ライフサイクルコストを勘案して、計画的な老朽施設の改築・更新を進めます。
2)-2
合併処理浄化槽
公共下水道、農業集落排水整備事業の整備区域以外の地区においては、合併処理浄化槽設置事業
による整備を促進します。
119
都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
3)廃棄物処理施設の管理・整備と誘導
3)-1
既存施設の延命化(一般廃棄物最終処分場、リサイクルプラザ)
近年のごみ排出量は、リサイクルプラザの稼働
やごみの分別化の効果が見られ減少しています。
しかし、現在の一般廃棄物最終処分場の埋立処分
量が限界に近づいてきており、次期処分場の建設
が急務となっています。
今後も省資源・減量化の啓発を推進し、家庭や
事業所における排出抑制、リサイクルプラザでの
再資源化、最終処分量の減量化に努め、施設の延
命化を図ります。
3)-2
▲リサイクルプラザ
焼却施設の整備
本市では、現在の焼却施設が老朽化しており、今後、建設が予定される新清掃工場の建設では、
最終処分量の減量化と廃熱の循環的利用など地域・地球環境への配慮を意図した施設の整備を推進
します。
また、その際、生態系、水環境、道路交通など周辺環境への配慮を十分に行い、環境にやさしい
施設としての整備に努めます。
3)-3
産業廃棄物処理施設の適切な誘導
事業活動に伴う産業廃棄物の処理施設は、対象物や処理過程によって、悪臭、水質汚濁、騒音、
振動などの公害苦情の原因となります。したがって、これらの施設の整備の際には、居住環境や自
然環境に悪影響が生じないように適切な誘導を図ります。
4)その他の生活インフラの整備(墓地、斎場)
現在の市営墓地の適切な利用を進めるとともに、
今後の人口動向などにより不足が見込まれる地域に
ついては、効率的な整備を計画します。その整備に
あたっては、雨水の流出抑制機能を持たせ、景観へ
配慮し、地元住民の交流の場として利用できるよう
整備を進めます。
また、斎場については、老朽化した施設を計画的
に修繕し、周辺環境への十分な配慮や延命化を図り
ます。
120
▲上長飯霊地公園
5.分野別まちづくり方針
②都市活動の継続性を高める生活インフラの整備方針
浸水被害の抑制を図り、水害に強いまちづくりの実現に向けて、堤防や内水排除施設の整備など浸水
地域の実情に適応した総合的な治水対策を推進します。さらに、高度情報化社会への対応に備え、市民
生活や地域経済の質的向上に向け、情報インフラの整備を促進します。
1)都市防災性の向上
1)-1
水循環の健全性の確保
都市開発は雨水の地下浸透を妨げ、道路側溝や河川への排水負荷を高める恐れがあり、浸水被害
を抑制し、水害に強いまちづくりの実現に向けて、総合的な治水対策が必要です。したがって、大
規模開発や宅地開発など土地利用のルール化、道路、駐車場の整備における雨水の地下浸透の推進、
貯留や遊水機能を有する調整池、緑地の設置のほか、河道の改修、排水機場や遊水池などの治水施
設の整備を促進します。
1)-2
身近な避難地の確保
避難所指定の小中学校や地区公民館は、施設の耐震化や防火水槽、救助資機材など防災機能の強
化と適切な管理に努めます。多数の避難者が予想される避難所などでは、緊急物資輸送などを考慮
しながら、水・電気などのライフラインの確保を図ります。
1)-3
施設の計画的な更新や耐震化
老朽化した上下水道施設・設備の更新や耐震化を計画的に進めます。
1)-4
災害に強い施設の管理体制の推進
災害時のライフラインの確保は、復旧対策時に最も優先される事項であり、上水道の配管のブロ
ック化を進めて災害に強い施設管理を推進します。
また、基幹的な避難所においては、排水系統の分断を考慮し、合併処理浄化槽の設置など自律分
散型の汚水処理システムを検討します。
2)情報インフラの整備
災害時の情報伝達に役立つ高度情報通信システムは、買い物、娯楽、行政機能など豊かな暮らしに向
けた貴重な情報媒体といえます。また在宅で事務所を開設することも可能で、本市に居ながら国内外で
事業の展開も期待されます。
急速な情報化社会への対応に備え市民生活や社会経済活動の豊かさの向上のために、地域イントラネ
ットなどの高度情報通信システムの整備を関係機関と連携して促進します。
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都城市都市計画マスタープラン(全体構想)
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