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第7回講義資料
第7回 生体関連化学B Chemical Biology 筑波大学数理物質系 横川 雅俊 Exam. 1. Translate James Watson and Francis Crick's classic paper that first describes the double helical structure of DNA. 2. Summarize a paper related to biotechnology, microscope, protein folding/degradation, and so on. (only papers published in 2014-2015 are acceptable) 2 Exam. 提出方法 [email protected] 件名に「生体関連化学レポート」と記載 締切 2015/12/31 締切後でも受け付けますので、必ず提出して下さい 3 Endoplasmic reticulum (ER) 4 ER-associated degradation (ERAD) 5 1. Ubiquitin Proteasome Pathway (UPP) 6 2. Autophagy タンパク質の大規模 分解システム 7 Quality control of proteins in cells 不良タンパク質の処理 ・プロテアソーム ・オートファジー 新規に合成されるタンパク質の 3分の1が不良品 細胞内でタンパク質の品 質管理・分解機構が破綻 すると... ・オルガネラ病 ・細胞の変性・死 ・神経変性疾患 8 (フォールディング病) タンパク質異常とオルガネラ病 オルガネラ の機能 膜を介した 物質の移動 真核生物の細胞は種々の生体膜によって細胞小器官 (オルガネラ)を含む多くの区画に仕切られており、 それぞれの区画において特定の仕事がなされている 9 核膜孔複合体 10 タンパク質の輸送障害とオルガネラ病 • オルガネラ病 – タンパク質の細胞内輸送に起因し、オルガネラ の形成障害や機能障害を主とする疾患 • リソソーム病 リソソーム: 不要になった種々の物質(タンパク質等) の加水分解・消化を行う • ミトコンドリア病 ミトコンドリア: ATP産生を行う ・エネルギー産生の低下にともない、多くのエネルギーを 必要とする脳や筋肉の細胞機能低下・死滅等 • ペルオキシソーム病 ペルオキシソーム: 過酸化水素の生成・分解を行う • 小胞体ストレス病 小胞体: 各種分泌経路の入口 11 タンパク質異常と神経変性疾患 • 神経変性疾患 – 障害を受けた特定の神経細胞群が徐々に死滅 し、脳・神経機能が失われる病気 • • • • ハンチントン病(ポリグルタミン病) パーキンソン病 アルツハイマー病 プリオン病 – 症状は多岐にわたるが、いくつかの共通点も (1) (2) (3) (4) 優性遺伝形式をとる疾患が極めて多い 発症が中年以降に起こり、進行性である 神経細胞の変性と脱落(消失・死) 世代を経る毎に症状が重篤化・発症の早期化 12 ハンチントン病 (Huntington's disease) Hayanon's Science Comic Studio 13 ハンチントン病 (Huntington's disease) • 遺伝性の難病で、手足が勝手に動いたり認 知症の症状が出たりする – 脳の神経細胞が死んで体 が不自由になる病気 – 常染色体優性遺伝を示す – 患者の神経細胞には「ハ ンチントン」という異常 な形のタンパク質が溜ま る http://web.mit.edu/flybrain/littletonlab/2012%20Lab%20Website/HD.htm 14 ハンチントン病 (Huntington's disease) • 遺伝性の難病で、手足が勝手に動いたり認 知症の症状が出たりする – 原因遺伝子内に存在す るCAGの繰り返し配列 が異常に伸長すること で発症 – 神経細胞に変異したタ ンパク質が凝集して細 胞死(アポトーシス) を促すと考えられている CAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAG 15 健常者: 10-35リピート(平均17), ハンチントン病患者: 37-130リピート ハンチントン病 (Huntington's disease) • 原因タンパク質である「ハンチンチン」の 凝集体構造が細胞毒性を決定する • アミロイドを形成 16 アルツハイマー病 17 アルツハイマー病(Alzheimer's disease) • 認知機能低下、人格の変化を主な症状とす る認知症の一種であり、認知症の60-70% 常染色体優性遺伝を示す – 現在、進行を止めたり、回復する治療法は存在 しない – 先進国において最も金銭的コストの高い疾患 – 大脳皮質にアミロイ ドベータ (Aβ) とい う物質が沈着して現 れる「老人斑」が特 徴 18 プリオン病(Prion diseas) • 狂牛病,スクレイピー,クールー, クロイツフェルト・ヤコブ病等の病原体 – 狂牛病を発症した牛は,脳細胞が死滅してスポンジ のように穴だらけになり,徐々に運動機能が破壊さ れ,100%の確率で死に至る – 紫外線照射(DNA, RNA),乾熱滅菌・アルコール消 毒(細菌・ウイルス),タンパク質分解酵素,ホル マリン処理を施しても感染力を失わない。塩素漂白 か焼却しか,消毒の手段がない 19 Prion(プリオン) • スタンリー・プルシナー – 1982年 病原体を「プリオン (Prion)」と命名 • タンパク質(Protein) + 感染(infection) – 1997年 ノーベル医学生理学賞 正常プリオンタンパク質 異常プリオンタンパク質発生の分子機構 20 神経変性疾患に想定される共通分子機構 21 ヒトゲノムはコントロール可能であるか? • 過去1万年の間、ヒトのDNAには大きな変異はな かったが、速度の遅い(自然の)進化を待つまでも なく、近いうちにヒトのDNAはより高度になるだ ろう <Stephen Hawking > • 遺伝子工学そのものが悪者であるはずはなく、われ われが遺伝子工学を悪用するときに限り倫理的配慮 が必要になる <James Watson> 22