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マレーシアにある オーストラリアの大学で働く

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マレーシアにある オーストラリアの大学で働く
マレーシアにある
オーストラリアの大学で働く
モナッシュ大学マレーシア校ビジネススクール 准教授
渡部 幹(わたべ もとき)
本学に赴任して,3 年が過ぎよ
職場で起こる社会心理学的な現象
うとしています。私の所属する
を神経科学的なアプローチで解析
ビジネススクールには,ニューロ
しようと試みています。
ビジネス研究所と呼ばれる,経営
教員の業績についても,オース
学,心理学,認知神経科学を融合
トラリアの基準で評価されます。
させたアプローチを持つ研究所が
3 年単位で研究,教育,学内外への
あり,私はそこの副所長として研
サービスにおける個人的目標を定
究を進めつつ,スクールの博士課
め,上司(通常は同じ学部のシニ
程学生の研究管理のディレクター
アの教授や准教授)と 1 年ごとに
も兼任しています。
面談をし,評価をもらいます。
モナッシュ大学はオーストラリ
この中で最も比重の大きいも
アに五つのキャンパスを持つほ
のは研究ですが,研究の業績評価
か,マレーシア,南アフリカ,イン
は,大 きく分 け て,論 文 発 表,学
Profile ─渡部 幹
1990 年,北 海 道 大 学 文 学 部 卒 業。
2006 年,UCLA 大学院社会学研究科
博士課程修了(Ph.D.)。早稲田大学
准教授などを経て現職。専門は社会
心理学,社会神経科学。著書は『不
機嫌な職場』(共著,講談社現代新
書),『つながれない社会』(共著,ナ
カニシヤ出版)など。
ドにもキャンパスを持つ国際的
会 発 表,著 作 活 動 の 三 つ に 分 か
えば,頑張れば認められる職場と
マンモス大学ですが,どのキャン
れ て お り,中 で も 論 文 発 表 は 最
言えるでしょう。
パスでも同じレベルの教育が受け
も重 要 で す。オーストラリアで
以上はモナッシュ独自の評価方
られることをポリシーとしていま
は,Excellence of Research for
法ですが,それとは別にマレーシ
す。したがって,カリキュラムは
Australia(ERA) と い う 機 関 が
ア政府が,大学教員のパフォーマ
すべてオーストラリア形式で,新
学術誌のランキングをつけてお
ンスを総合的に評価し,マレーシ
年度は 2 月に始まり,12 月に終わ
り,上から A*, A, B, C, ランク外, ア内の大学をランク分けするため
るというスケジュールとなってい
となっています。これはほぼ IF
の基準も存在します。それによっ
ます。授業に関しては,本校で作
に対応していますが,分野ごとに
て研究補助金の分配にも影響があ
られたシラバスに沿って,こちら
ランキングしているので,自然科
るため,こちらも無視するわけに
の教授陣と本校の教授陣が連絡を
学系雑誌のみが上位ランクを占め
はいきません。海外の大学が他国
取りあいながら教える仕組みと
る,といったことはありません。A
にキャンパスを持つ場合,評価基
なっており,試験も採点基準もす
*
準が複数生じるため,時折問題を
べて統一されています。その厳し
せるかが評価の大きな基準です。
起こすこともあります。
さは,米国の大学と相違なく,多
もちろん,教育では学生の評価
それにもかかわらず,マレーシ
くの学生がドロップアウトする反
点数とコメントが業績に大きく影
アという,現在経済的にも社会的
面,卒業する学生のレベルは大変
響し,サービスは,各種委員会へ
にもダイナミックに上昇してい
高く保たれています。
の出席,学外での宣伝活動への貢
る国には,ある種の「将来への希
マレーシアキャンパスにはビジ
献などが業績と認められます。こ
望」がみなぎっています。学生は
ネススクールの他,五つのスクー
れらをすべて総合して最終評価が
将来の夢として,自分が起こした
ルがあります。心理学部はスクー
決まります。ここではテニュアト
いビジネスプランを述べたり,マ
ル・オブ・メディスンに所属して
ラックはなく,5 年ごとの契約更新
レーシア社会をどうすべきかを熱
いるため,臨床やメンタルヘルス
なので,評価が低い場合には契約
心に語ります。ちょうど高度成長
系の研究が盛んです。私が所属し
更新できないこともあるようです。
期時代の日本に似ているのではな
ているニューロビジネス研究所で
このように業績評価の厳格さ
いでしょうか。以上のような環境
は,より基礎的な認知研究をマー
は,日本の大学ではなかなか見ら
で研究できることも,こちらに来
ケティングに応用するとともに,
れない厳しいものですが,逆に言
たメリットだと感じています。
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とA 評価の雑誌に 3 年で何本載
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