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亜鉛添加が黒毛和種去勢牛の産肉性及び肉質に及ぼす影響 Effects of
愛 知 農 総 試 研 報 39: 51-59 (2007 ) Res.Bull.Aichi Ag ric.Res.Ctr. 39: 51-5 9(200 7) 亜鉛添加が黒毛和種去勢牛の産肉性及び肉質に及ぼす影響 * 瀧 澤 秀 明 ・森 下 * * 忠 ・ 榊原 隆 夫 ・ 石 井 憲一 * 摘 要 : 黒 毛 和 種 去 勢牛 7 頭 を 用 い て、 肥 育 中 期 以 降 の有 機 亜 鉛 ( 亜 鉛メ チ オ ニ ン ) 及び 無 機 亜 鉛 ( 炭 酸 亜鉛 ) 添 加 が 産 肉性 及 び 肉 質 に 及ぼ す 影 響 に つ いて 検 討 し た 。 試 験期 間 は 13 か 月 齢 か ら と 殺 前 日 ( 28 か月 齢 ∼ 30か 月 齢 )の 15∼ 1 7か 月 とし 、 亜 鉛 は 15か 月 齢 か ら 試 験 終 了 時 ま で 添 加 し た。 有 機 亜 鉛 区 は亜 鉛 メ チ オ ニ ン 製剤 を 1 日 1 頭 当た り 4.0g( 亜 鉛と し て 400mg) 添 加 し 、 無機 亜 鉛 区 は 炭 酸亜 鉛 を 1 日 1 頭当 た り 1.2g( 亜鉛 と し て 800mg)添 加 し た 。 な お 、 対照 区 は 亜 鉛 を 無添 加 と し た 。 1 乾 物 摂 取 量は 亜 鉛 添 加 区 が多 い 傾 向 が 見 られ た 。 2 枝 肉 重 量 は亜 鉛 添 加 区 で 有意 に 多 く な っ た。 3 脂 肪 交 雑 基 準 は有 機 亜 鉛 区 で 高く な っ た 。 ロ ー ス芯 面 積 は 有 機 亜鉛 区 が 有 意 に 大き く なった。 4 筋 間 脂 肪 の脂 肪 酸 組 成 で は、 不 飽 和 脂 肪 酸が 亜 鉛 添 加 区 で高 く な っ た 。 5 血 中 亜 鉛 濃度 は 有 機 亜 鉛 区が 有 意 に 高 く なっ た (p< 0.01)。 6 粗 収 益 は 亜鉛 添 加 区 が 10∼12万 円 程 度 上 回っ た 。 以 上 の 結 果 か ら 、亜 鉛 の 添 加 は 増体 を 改 善 さ せ 、 有機 亜 鉛 は 肉 質 を改 善 す る 可 能 性が 示 唆された。 キ ー ワ ー ド : 亜鉛 、 黒 毛 和 種 、産 肉 性 、 肉 質 、不 飽 和 脂 肪 酸 Effects of Supplemental Zinc on Fattening Performance and Meat Quality of Japanese Black Steers TAKIZAWA Hideaki, MORISHIT A Makoto, SAK AKIBARA T akao and ISHII Kenichi A bstract: Seven ja panese bla ck steers were used to ex amine the effect of zinc f eeding on f attening perf orm ance a nd m ea t quality. The experim ental period w as during 15-1 7 m onths from 1 3 to 28 -30 months of a ge.Tw o steers of organic zinc group fed zinc m ethionine (4 00m g as zinc) and two steers of inorganic zinc group fed zinc carb onate ( 800m g a s zinc) per da y from 15 m onths of age to the day befor e sla ughter.T hree steers of c ontrol group w ere fed no supplem ental zinc. T he r esults ob ta ined are sum mar ized a s follows : 1 . Both zinc gr oups showed higher dry m atter intake than that of control group. 2 . Both zinc groups of the dressed c arcass weight were significa ntly higher tha n tha t of c ontrol groups. 3 . The b eef ma rbling sta ndard number of orga nic zinc gr oup w as highter than those of the other groups.T he loin eye area of i nor ga ni c zi nc gr oup w a s si gni fi ca ntl y l ar ge r than those of the other groups. 4 . The rate of unsaturated f atty aci d in the f at b etween l oin ey e a rea an d r ib in zin c gr oups were higher tha t of contr ol g roup. 5 . T h e ser u m zin c i n t he i no rg a n ic zi nc gr o up dur i ng ex per i m en ta l p er io d w a s significantly higher than that of the other groups. 6 . The profit of the zinc fed groups were 1 00,000 -120 ,00 0 y en hi gher tha n tha t of the c ontrol group. T hese r esults suggest that feeding either f orm of zinc i n ja pa ne se b la c k steer s wer e effective f or body w eight gain a nd especially zinc metionine is useful for m eat qualities. K ey W ords: Zinc, Ja panese b lack, Meat pr oduction, Meat qualities, Unsaturated fatty acid * 畜産研究部 (2007.9.10 受 理 ) 瀧 澤・ 森下 ・榊 原 ・石 井: 亜鉛 添加 が黒 毛和 種去 勢牛 の産 肉性 及び 肉質 に及 ぼす 影 響 緒 言 52 材料及び方法 飼料中 の微 量成 分を コン トロ ール して肥 育牛 の肉 質及 1 試 験期 間 1) び増 体を 改善す る技 術は いくつ か知 見があ る 。 試 験期間 は硫 酸亜 鉛メ チオ ニン を給 与す る区( 以下 有 ビタミ ンC を添 加す るこ とに より 牛の脂 肪前 駆細 胞か 機亜鉛 区) は2005年 1月 26日 ∼2006年 5月 25日 、炭酸 亜 ら脂 肪細胞 への分 化を促 進する ことが 実証さ れてお 鉛を給 与す る区 (以 下無 機亜 鉛区 )は 2004年11月8日 ∼ 2) 3) り 、 大橋 ら 2006年4 月13日、亜 鉛を 添加 しな い区 (以 下対 照区) は は黒 毛 和種 肥育 牛の 肉質 及 び増 体に 効果 が あった こと を報 告し てい る。 また 、ビタ ミン Aは 脂肪 2004年 9月 11日∼ 2006年1月 10日 まで とした 。 細 胞の分 化時 期に 低レ ベル にコ ント ロール する こと で肉 質 、特に 脂肪 交雑 に効 果的 であ るこ とが明 らか にさ れて いる 2 供 試頭 数及び 試験 区分 4 ,5 ) 供 試牛の 血統 を表 1に 示し た。 供試 牛は 10か月 齢の 県 。 牛にお ける 亜鉛 要求 量は 日本 飼養 標準に おい て飼 料1 kg当たり 30mgとさ れて いる 6) 内産 黒毛和 種去 勢牛 7頭 とし た。 供試 牛は 3か月 間馴 致 が 、我 が国 の85%の地 域で した後 、試 験を 開始 し、 当場 の慣 行に より28∼30か月 齢 牧 草中の 亜鉛 は含 量は 不足 して いる と言わ れ、 また 穀類 でと殺 し終 了した 。 中の 亜鉛 濃度 は20∼30mgで あり 牛に 対し て補 給され るべ 試 験牛は 有機 亜鉛 区、 無機 亜鉛 区に 2頭 、対照 区に 3 7) き 元素 であ る と報 告さ れて いる 。 また 、 亜鉛 を添 加す 頭を 振り 分 けた 。 有機 亜 鉛区 は15月 齢 時(2005年4 月 15 る ことに より 牛の 脂肪 前駆 細胞 から 脂肪細 胞へ の分 化が 日)から硫 酸亜 鉛メ チオニ ン製 剤( 商品 名ジン プロ ®100、 促 進され るこ とが 実証 され てお り、 米国で アバ ーデ ィン ジンプ ロ社 )4.0g( 亜鉛 量と して 400mg、 メチ オニ ン800 ア ンガス 種に 亜鉛 を補 給し たと ころ 、脂肪 交雑 に効 果が mg) を粉砕 した 圧ぺ んト ウモ ロコ シに 混合 して1 日1 回 8 ) あ った と報 告 され てい る 。筆 者ら は、 黒 毛和 種去 勢牛 濃厚 飼料に 振り かけ て試 験終 了時 まで 給与 した。 無機 亜 の 肥育中 期に 有機 亜鉛 の添 加は 血中 亜鉛濃 度を 増加 し、 鉛区は 15月 齢(2005年 1月 27日 )か ら炭 酸亜 鉛を1.2g( 亜 ル ーメン 内発 酵パ ター ンの エネ ルギ ー転換 効率 を改 善す 鉛量 と して 800mg)を 粉 砕し た圧 ぺ んト ウ モロ コ シに 混 る ため、 増体 に効 果的 であ り、 今後 は、増 体を 中心 とし 合し て1日 1回 濃厚 飼料 に振 りか けて 試験 終了ま で給 与 た 亜鉛の 添加 量、 添加 時期 や安 価な 無機亜 鉛に つい ても した。 9 ) 検 討が 必要 で ある と報 告し た 。そ こで 今 回、 黒毛 和種 肥 育牛の 肥育 中期 から と殺 前日 まで 有機亜 鉛、 無機 亜鉛 3 を 添加す るこ とに よる 肉質 及び 増体 に及ぼ す影 響に つい 管 理方 法 管理 は開 放追 い込 み牛 舎( 3.2m× 6.4m :1 牛房) で て検 討し た。 2ま たは3 頭1 群の 群飼 育と した 。飼 料は ドアフ ィー ダ により 個体 管理し 、1 日量を 朝夕 2回 に分け て給 与した 。 給水は ウォ ーター カッ プを用 い自 由飲 水とし た。 表1 区 分 生年 月日 と 殺日 父 供試牛 牛 父 方 祖父 牛 母方 祖 父牛 有機 亜 鉛区 3号 牛 2003.12. 3 2006. 5.25 神 茂福 紋 次郎 糸晴波 4号 牛 2004. 1.23 2006. 5.25 神 茂福 安 福 糸 光 2003.10. 5 2006. 4.13 福 栄 藤 桜 糸 光 2号 牛 2003.10.11 2006. 4.13 福 栄 紋 次郎 対 区 無機 亜 鉛区 1号 牛 照 第12西丸 15号 牛 2003. 8. 6 2006. 1.10 神 茂福 第 7糸 桜 晴 美 16号 牛 2003. 8.15 2006. 1.10 福 谷福 安 福 165の9 谷 水 17号 牛 2003. 8.21 2006. 1.10 菊 百合 安 福栄 藤 桜 53 愛 知 農 業 総 合 試 験 場 研 究 報 告 39 号 表2 供試 飼料 ( 原物 % ) 区 分 濃 D M C P TDN 計 飼 料 前期 中期 後期 87.6 15.2 73.5 87.6 13.4 73.7 87.5 11.8 71.8 28 18 12 15 8 10 8 1 32 24 6 15 12 4 6 1 32 35 0 25 0 1 6 1 100 100 100 トウモロコシ 大麦 グレインソルガム 一 般 ふす ま コーングルテンフィード 大豆粕 大豆皮 ミ ネ ラル 類 合 厚 粗 飼 料 アルファルファ チモシー乾 草 トールフェスク ヘイキューブ ストロー 89.0 15.6 49.4 89.8 6.7 56.3 89.6 5.1 46.0 稲わら 87.8 4.7 37.6 成 分値 は日 本 標準 飼料 成分 表 (2001年 版) に よる 表3 飼 料給 与量 ( 原 物k g) 濃 厚 飼 料 期 中 期 後 粗 月齢 前 13 4∼5 14 4∼6 15 − 1 6 ∼2 1 − 22∼ − 4 − − 5∼ 7 7∼ 10 − 期 − − − − 8 ∼10 供試 飼料 飼 アルファルファ ヘイキューブ チモシー 乾草 0.5 − − − − 3∼ 4 − − − − 料 稲 わら また は トールフェスクストロー − 2∼ 3 2∼ 3 1∼ 3 1∼ 3 7肋 骨間を 切開 して 、ロ ース 芯面 積、 ばら の厚さ 、皮 下 供 試飼 料を 表2 に示 した 。濃 厚飼 料は14か月 齢ま では 前期 飼料 を、 21月 齢ま では 中期 飼料 を、そ れ以 降は 後期 飼 料を 給 与し た 。な お 、成 分 量は 日 本標 準 飼料 成 分表 10 ) 脂肪 の厚さ 等の 計測 を行 い、 肉質 は枝 肉取 引規格 の評 価 11 ) 法 に 従っ て評価 した 。 (3) 脂肪 酸組成 分析 に基づ いて 計算 した 。給 与量 は表3 に示 枝 肉検査 時に 枝肉 左半 丸の 第6 ∼第 7肋 骨間を 切開 し した 。試 験開 始時 に1 日1 頭当 たり 5kgか ら開 始し て、 部位 の筋間 脂肪 を採 取し 、脂 肪抽 出後 に脂 肪酸組 成の 分 そ の後月 齢に 応じ て増 給し た。 粗飼 料は試 験開 始時 はア 析に供 した 。脂 肪酸 組成 はO'keefeら ル ファ ル ファ ヘイ キ ュー ブ を0.5kgと チモ シ ー乾 草4 kg 脂肪 をナト リウ ムメ チラ ート でメ チル エス テル化 し、 ガ を給 与し た。 アル ファ ルフ ァヘ イキ ューブ は14か月 齢ま スク ロマト グラ フで 分析 した 。脂 肪酸 メチ ルエス テル の で給 与し 、チ モシ ー乾 草は 14か 月齢 まで給 与し た。 その 分離は 、キ ャピラ リー カラム(DB-225、J&W SCIENTIFIC ) 後 試験終 了ま では トー ルフ ェス クス トロー また は稲 わら を装 着し た ガス クロ マ トグ ラフ ( 5890 SERIESⅡ、 HEW- をそ れぞ れ1 ∼3 kg給 与し た。 また 、21か月齢 以降 ビタ LETT PACKARD)を 使用 した。 (2001年版) ミ ンA D 3 E剤 ( 商品 名 デュ フ ァゾ ー ル®A D3 E 、 共立 製薬 )を 2か月 おき に20mL経口 投与 した。 12 ) の 方法 により 、 脂 肪酸組 成比 の定 量は 、飽 和脂 肪酸 3種 (ミリ スチ ン 酸、 パルミ チン 酸及 びス テア リン 酸) と不 飽和脂 肪酸 5 種(ミ リス トレイ ン酸、パル ミト レイ ン酸、オレ イン酸 、 5 調査 項目 リノー ル酸 及びリ ノレ ン酸)の 計8種 類に ついて 行っ た。 (1) 飼 料摂取 量及 び体 重、体 高 (4) 肉色 及び脂 肪色 検査 飼料摂 取量 は給 与量 から 残飼 量を 差し引 いて 求め た。 肉色 及び 脂肪 色に つい ては 、色 彩色 差計( CR-200、 ミ 体重及 び体 高は 試験 開始 時か ら4 週間毎 に測 定し た。 ノル タカメ ラ株 式会 社) を用 い、 光電 色彩 法によ り、 明 (2) 枝 肉検査 度( L値)、 赤色 度( a値)、 黄色 度( b値) を求め た。 検 と 殺48時間 後に 枝肉 重量 を測 定し た。ま た、 第6 ∼第 査は第 6∼ 第7肋 骨間 切開6 時間 後に 行い、測定 部位は 、 瀧 澤・ 森下 ・榊 原 ・石 井: 亜鉛 添加 が黒 毛和 種去 勢牛 の産 肉性 及び 肉質 に及 ぼす 影 響 ロ ース 芯、 腎脂肪 及び 皮下 脂肪 とし た。 54 (8) 統計 処理 (5) 血 しょ う中 亜鉛 濃度 測定 両 区の 平 均 値 の 比 較 をt − 検 定 で 行 い、 危 険 率 5 % 16か 月 齢 か ら試 験 終 了 時 ま で1 か 月 毎 に 試 験 牛の 頸 以下 を有 意と した 。 静 脈か ら 採血 し 、3,000回転 で 10分 間 遠心 分 離を 行 い、 結 血 し ょ う を分 離 し て 凍 結 保 存 後、 血 液 性 状 分 析に 供 し 果 た。 血 中 亜鉛 濃 度 は テ スト ワ コ ー Z n( 5 -Br-PAPS法 ) 1 を 用い て吸 光度測 定に より 測定 した 。 飼料 摂取 量及 び増 体成 績 飼料 摂取 量を 表4 に示 した 。13∼16か月 齢の乾 物摂 取 (6) ル ーメ ン内 VF A性 状測 定 量は 有機亜 鉛区 、無 機亜 鉛区 、対 照区 の順 に多く 有意 差 16か 月 齢 か ら試 験 終 了 時 ま で1 か 月 毎 に ル ー メン カ が見 られ た (P<0.01)。 16月 齢 以降 は 無機 亜鉛 区 、有 機 テ ー テ ル を用 い ル ー メ ン 内 容 液を 採 取 し 、 2 重ガ ー ゼ 亜鉛 区、対 照区 の順 に多 く、 無機 亜鉛 区は 対照区 より 有 で ろ過 した 後に各 測定 に用 いた 。 意に 多か っ た(P< 0.05)。な お、 1 日1 頭 当た り の飼 料 揮 発 性 脂肪 酸 ( V F A ) の 測定 は ル ー メ ン 内容 液 に 由来 の亜 鉛 量( 亜 鉛無 添 加時 )は 353∼468mgで 、亜 鉛 対 し1/5容 の20% メ タリ ン 酸含 有5 N 硫酸 で 除蛋 白 した 添加時 の有 機亜 鉛区 の亜 鉛量 は756∼ 868mg、無 機亜鉛 区 ものをキャピラリーカラム( TC-FFAP、GL Sciences Inc.) の亜鉛 量は 1,159∼ 1,256mgで あっ た。 を 装着 した ガスク ロマ トグ ラフ を用 いて 測定 した 。 試 験開始 時か らと 殺実 施前 日ま での 増体 成績を 表5 に (7) 経 済性 示し た。体 重は 添加 剤開 始時 、試 験終 了時 におい て亜 鉛 粗 収 益 は 枝 肉販 売 額 ( 枝 肉 重量 × 出 荷 時 に お ける 県 添加 区 が い ず れ も 対 照区 よ り 有 意 に 高 い 数値 と な っ た 内 主 要 食 肉市 場 の 枝 肉 卸 売 価 格の 格 付 け 別 平 均単 価 ) (添 加剤 開始 時P<0.01、 試験 終了 時P<0.05)。 増体量 は か ら 素 畜費 ( 10か 月 齢 時 体 重 ×県 内 家 畜 市 場 の 子牛 体 13∼ 16か 月齢は 有機 亜鉛 区が 対照 区よ り有 意に多 くな り 重1 kg当た り平均 単価 +試験 開始 時ま での飼 料代 40,000 (P< 0.05)、無 機 亜鉛 区 も有 意差 は ない も のの 対 照区 よ 円 ) 及 び 試験 開 始 後 の 飼 料 費 、飼 料 添 加 物 費 を差 し 引 り多 くなっ た。 亜鉛 添加 以降 の増 体量 は有 意差は ない も く こ と に より 求 め た 。 な お 、 出荷 時 に お け る 県内 主 要 のの有 機亜 鉛区 が44kg、 無機 亜鉛 区が 83kgいず れも対 照 食 肉 市 場 の枝 肉 卸 売 価 格 の 格 付け 別 平 均 単 価 はA − 4 区を 上回っ た。 試験 期間 全体 の増 体量 も有 意差は ない も が 2,094円 、A − 3 が 1,901円、 A − 2 が 1,740円 、 のの 有機 亜 鉛区 が 83kg、 無 機亜 鉛 区が 101kgい ず れも 対 B − 4 が2, 013円、 B − 3 が 1,878円 であ っ た 。 また 、 照区 を上回 った 。体 高は 試験 終了 時の 有機 亜鉛区 が対 照 素 畜 費 の 算出 に 用 い た 試 験 開 始時 に お け る 県 内家 畜 市 区より 有意 に高く なっ た(P< 0.05)。 場 の 子 牛体 重 1 kg当 た り 平均 単 価 は 1,902円 と した 。 表4 有 機 亜 鉛 区 13月 齢 16月 齢 ∼ ∼ 全 期間 16月 齢 試 験終 了 時 飼 料摂 取量 無 機 亜 鉛 区 13月 齢 16月 齢 ∼ ∼ 全 期間 16月 齢 試 験終 了 時 対 照 13月齢 16月齢 ∼ ∼ 16月齢 試 験 終 了時 区 全期 間 1頭 当た り(kg) 濃 厚飼 料 592 3,196 3,788 458 3,629 4,087 422 1,236 366 1,008 1,374 318 673 991 4,410AB 726B 4,065a 4,791A 651C 3,004b 3,656B 粗 飼 料 319 917 D M 802A 3,609ab C P 104 447 551 86 502 588 T D N 581 2,695 3,277 503 3,030 3,533 82 459 2,757 3,178 386 467 2,257 2,716 1頭 1日 当た り (kg/日 ) 濃 厚飼 料 6.51 8.13 7.83 4.98 8.46 7.84 4.58 7.00 6.54 粗 飼 料 3.51 2.33 2.55 3.98 2.35 2.64 3.45 1.71 2.04 D M 8.81A 9.18ab 9.11AB 7.89B 9.48a 9.19A 7.08C 7.62b 7.52B C P 1.14 1.14 1.14 0.94 1.17 1.13 0.89 0.98 0.96 T D N 6.39 6.86 6.77 5.47 7.06 6.78 4.99 5.73 5.59 DMにつ いて 検 定、 異符 号 間に 有意 差あ り :a、b… 5% 、 A、 B、C… 1% 55 愛 知 農 業 総 合 試 験 場 研 究 報 告 39 号 表5 項 目 増体 成 績 有 機亜 鉛区 13 月齢 時 体重 (kg) 16 月齢 時 体重 (kg) 試験 終了 時 体重 (kg) 無機 亜鉛 区 対 照 区 1) 393.0± 24.0 490.5± 15.5A 779.0± 9.0a 411.0±16.0 487.5±15.5A 815.0±39.0a 2) 352.7±15.4 411.0± 5.4B 655.3±22.5b 13 ∼1 6 体重 増加 量(kg) 16 ∼と 殺 体重 増加 量(kg) 13 ∼と 殺 体重 増加 量(kg) 3) 13 ∼1 6 DG (kg/日) 16 ∼と 殺 DG (kg/日) 13 ∼と 殺 DG (kg/日) 97.5± 8.5a 288.5± 24.5 386.0± 33.0 76.5± 0.5ab 327.5±23.5 404.0±23.0 58.3±10.4b 244.3±27.4 302.6±35.1 1.060± 0.09a 0.736± 0.06 0.798± 0.07 0.841±0.01ab 0.758±0.05 0.772±0.04 0.641±0.11b 0.620±0.07 0.624±0.07 13 月齢 時 体高 16 月齢 時 体高 試験 終了 時 体高 125.0± 1.0 130.0± 2.0 145.0± 1.0a 126.0± 3.0 131.5± 1.5 144.0± 2.0a 122.7± 1.9 128.0± 2.2 140.7± 1.2b (cm) (cm) (cm) 1 ) 平均 ±標 準 偏差 、以 下の 表 同じ 2 ) 異符 号間 に 有意 差あ り: a、b… 5% 、A、 B…1 % 3 ) 1日 当た り 増体 量 表6 枝肉 成 績 有 機亜 鉛区 冷却 枝肉 重 量 (kg) 2 ロ− ス芯 面 積 (cm ) バラ の厚 さ (cm) 筋間 脂肪 の 厚さ (cm) 皮下 脂肪 の 厚さ (cm) 歩留 基準 値 脂肪 交雑 等 級(BMS No) 牛肉 色基 準 (BCS No) 締ま り及 び きめ と殺 月齢 枝肉 等級 ( 頭) A −4 A −3 A −2 B −4 B −3 471.8± 68.0± 7.7± 2.1± 4.1± 75.5± 6.0± 4.5± 4.0± 28.9± 4.9a 1.0Aa 0.0a 0.5AB 0.1 0.4a 1.0 0.5 1.0 0.8 1 1 0 0 0 無機 亜 鉛区 対 照 区 505.8± 25.0a 47.5± 1.5B 7.9± 0.1a 3.3± 0.2A 5.2± 0.8 71.6± 0.0b 4.5± 1.5 3.5± 0.5 3.5± 0.5 30.2± 0.1 396.3±19.8b 55.3± 3.1b 7.3± 0.2b 2.2± 0.0B 3.5± 0.3 74.6± 0.2ab 3.7± 0.5 4.7± 0.5 2.7± 0.5 28.9± 0.2 0 0 0 1 1 0 2 1 0 0 異 符号 間に 有 意差 あり :a、 b…5 %、 A、B… 1% 表7 飽 和 脂 肪 酸 ( %) ミリ スチ ン 酸 (C14:0) パル ミチ ン 酸 (C16:0) ステ アリ ン 酸 (C18:0) 計 不 飽和 脂肪 酸 ( %) ミリ スト レ イン 酸(C14:1) パル ミト レ イン 酸(C16:1) オレ イン 酸 (C18:1) リノ ール 酸 (C18:2) リノ レン 酸 (C18:3) 計 筋 間脂 肪の 脂 肪酸 組成 有機 亜鉛 区 無 機亜 鉛区 2.01±0.37 25.19±1.73 8.11±0.83a 35.31±2.93 2.59± 0.06 24.82± 0.88 9.44± 0.54a 36.85± 0.40 1.91± 0.28 23.18± 1.26 15.35± 1.51b 40.44± 2.83 0.75±0.09a 3.55±0.19a 58.28±3.18 2.02±0.03 0.09±0.00 64.69±2.93 1.18± 0.01b 5.67± 0.23b 53.96± 0.61 2.20± 0.36 0.14± 0.09 63.15± 0.40 0.62± 0.11a 3.46± 0.51a 53.28± 2.52 2.11± 0.40 0.09± 0.02 59.56± 2.83 異 符 号間 に有 意 差あ り: a、b… 5% 対 照 区 瀧 澤・ 森下 ・榊 原 ・石 井: 亜鉛 添加 が黒 毛和 種去 勢牛 の産 肉性 及び 肉質 に及 ぼす 影 響 2 枝 肉成 績 3 56 脂肪 酸組 成分 析結 果 枝 肉 成 績は 表 6 に 示 し た 。 冷却 枝 肉 重 量 は 亜鉛 添 加 筋 間 脂 肪 の 脂 肪 酸 組成 比 は 表 7 に 示 した 。 ミ リ ス ト 区 が対 照 区よ り 有意 に 重く な った (P<0.05)。ロ ー ス芯 レイ ン 酸 と パ ル ミ ト レイ ン 酸 は 無 機 亜 鉛区 が 他 の 2 区 面 積は 有 機亜 鉛 区の み が無 機 亜鉛 区 (P< 0.01)、 対 照区 より 有 意に 多 くな っ た(P< 0.05)。 また 、 ステ アリ ン 酸 (P<0.05)よ り有 意 に高 い 数値 とな っ た。 バ ラの 厚 さは は 対 照 区 が 亜 鉛 添 加 区 よ り 有 意 に 多 く な っ た ( P< 0. 0 亜 鉛添 加 区が 対 照区 よ り有 意 に厚 く なっ た(P< 0.05)。 5)。 不飽 和 脂 肪 酸 は 有 意差 は な い も の の有 機 亜 鉛 区 、 筋 間 脂 肪 は無 機 亜 鉛 区 が 対 照 区よ り 有 意 に 厚 くな っ た 無機 亜鉛 区、 対照 区の 順で 多い 数値と なっ た。 (P<0.01)。 歩留 基 準値 は 有機 亜鉛 区 が無 機 亜鉛 区 より 有 意に 高 い数 値 とな っ た(P< 0.05)。 脂肪 交 雑等 級 は有 4 肉色 及び 脂肪 色検 査結 果 意 差 は な いも の の 有 機 亜 鉛 区 、無 機 亜 鉛 区 、 対照 区 の 肉 色検 査 結 果 は 表 8 に示 し た 。 無 機 亜鉛 区 の ロ ー ス 順 で 格 付け が 高 く な っ た 。枝 肉 等 級 は 有 機亜 鉛 区 で A- 芯のL値 が対 照区 より 有意に 高い 数値 とな った (P< 0.05) 4、 A-3 が各 1頭 、無 機亜 鉛区 でB-4、B-3が 各1 頭、 以外 は差 がみ られ なか った 。 対 照 区 でA -3 が2 頭 、 A-2 が 1 頭 とな り 、 亜 鉛 添加 区 が 対照 区よ り良好 であ った 。 5 血し ょう 中亜 鉛濃 度測 定結 果 1 6か月 齢 以 降 1 か 月 毎に 採 血 し た 血 しょ う 中 亜 鉛 濃 表8 肉 色検 査 結果 有機 亜鉛 区 無 機亜 鉛 区 対 照 区 ロー ス芯 L a b 値 値 値 59.2±4.9a 33.3±1.6 9.9±0.0 61.0± 0.7a 32.1± 1.1 9.7± 0.3 56.0± 1.3b 32.5± 1.5 9.1± 0.5 腎脂 肪 L a b 値 値 値 96.0±8.8 4.4±0.6 4.7±0.8 90.2± 2.5 11.1± 3.2 4.4± 0.6 86.9± 8.8 12.6± 6.8 5.1± 2.5 皮下 脂肪 L a b 値 値 値 90.9±1.0 8.3±1.4 3.6±0.2 87.9± 0.9 11.3± 0.8 3.3± 0.3 91.5± 2.4 8.9± 1.8 3.3± 1.4 異 符 号間 に有 意 差あ り: a、b… 5% 表9 血 しょ う中 の 亜鉛 濃度 (μ g/ d L) 有機 亜 鉛区 無 機 亜鉛 区 133.5± 17.4A 114.3±23.4B 対 照 区 111.4± 16.0B 異 符号 間に 有 意差 あり :A、 B…1 % 表 10 ル ーメ ン内 V FA 性状 有 機亜 鉛区 無機 亜鉛 区 対 V FA 総 量( mol/%) 7.38± 4.38A 6.49±3.92a 5.04±1.81Bb V FA 組 成比 (% ) 酢 酸 64.40± 3.19A プロ ピ オン 酸 21.88± 2.30 n− 酪 酸 13.72± 1.74Aa 63.52±4.19a 21.07±3.44 15.41±3.23b 60.22±4.08B 21.90±3.45 17.88±2.40Cc A/ P 比 2.99± 0.45 3.10± 0.59 異 符号 間に 有 意差 あり :a、 b…5 %、 A、B、 C… 1 % A /P 比: 酢 酸/ プロ ピオ ン 酸比 照 区 2.85±0.66 57 愛 知 農 業 総 合 試 験 場 研 究 報 告 39 号 表11 経済 性 (円 ) 枝肉 販売 額 1) 諸 経 費 2) 素 畜 費 3) 飼 料 費 添加 剤 費 粗 収 益 4) 有機 亜 鉛区 無 機亜 鉛区 対 942,893± 55,316a 825,361± 23,486a 634,375± 12,363 187,855± 11,124 3,131± 0 117,532± 78,803a 985,721± 82,779a 895,697± 28,079a 690,484± 26,628 205,022± 1,451 191± 0 90,024± 54,700a 照 区 6) 731,158± 28,664b 740,557± 34,394b 582,704± 27,136 157,853± 8,616 0± 0 - 9,399± 35,695b 1) 枝 肉販 売額 : 枝肉 販売 単価 × 枝肉 重量 2) 諸 経費 :素 畜 費+ 飼料 費+ 添 加剤 費 3) 素 畜費 :10月 齢時 体重 ×県 内 市場 にお ける 平 均kg単価 +40,000円 4) 粗 収益 :枝 肉 販売 額− (素畜 費+ 飼料 費 +添 加剤 費 5) 検 定は 枝肉 販 売額 、諸 経費 、 粗収 益で 実施 、 異符 号間 に有 意 差あ り: a、b… 5% 度 の平 均値 を 表9 に 示 し た 。 対 照 区 及 び 無 機 亜 鉛 区 が Perryら は18∼ 29Zn/kgDM給 与 に よ り増 体 に 効果 が あ っ 110μg / dL 程 度で あ った の に対 し 、有 機 亜鉛 区は 13 たと報告 3μg /d Lと 有意 差が 見ら れた (P< 0.01)。 ま たは 30ppmZn/kgDM給 与 で 効 果 が な か った と 報 告 し 、 1 4) 15 ) 16 ) して いるが、 Pondら 、Nunneryら は 24ppm Greeneら は36 0mgZn/日 給与 で 増 体 に効 果 が なか っ た と 6 ル ーメ ン内V FA 性状 測定 結果 8) 報告 し て い る 。 今 回 の試 験 の 増 体 成 績に つ い て は 試 16か 月 齢 以 降1 か 月 毎 に 採 取し た ル ー メ ン 内 容液 V 験開 始 時 に 試 験 牛 の 体重 に 差 が み ら れ るも の の 、 亜 鉛 F A 性 状の 平 均 値 を 表 10に 示 した 。 V F A 総 量 は有 機 添加 期 間 の 増 体 は 亜 鉛添 加 に よ り 改 善 がみ ら れ た 。 こ 亜 鉛区 が 対照 区 より (P<0.01)、ま た 無機 亜 鉛区 も 対照 れは 、 増 体 成 績 に お いて 有 機 亜 鉛 を 給 与す る こ と に よ 区 より 有 意に 高 くな っ た(P< 0.05)。 酢酸 組 成比 は 亜鉛 り向 上し た とい う 他の 報 告と 一致 し てい る 添 加区 が 対照 区 より 有 意に 高 く(P< 0.01)、 酪酸 組 成比 は亜 鉛 添 加 が 増 体 を 改善 す る 要 因 と し て亜 鉛 欠 乏 時 に 17 ,1 8 ) 。矢 野 19 ) は 無 添 加 区、 無 機 亜 鉛 区 、 有 機亜 鉛 区 の 順 で 有意 に 高 は血 中 イ ン ス リン 様 成 長 因 子− 1 ( IGF-1)濃 度 が 低 下 く な っ た。( 無 機 亜 鉛 区と 有 機 亜 鉛 区 はP< 0.05 、有 機 する こ とか ら 、IGF-1の作 用 を介 し て筋 肉 蛋白 質蓄 積 増 亜 鉛区 と対 照区、 無機 亜鉛 と対 照区 はP< 0.01)。 加と それ に伴 う増 体の 改善 を導 いたこ とを 挙げ てい る。 酢 酸 / プロ ピ オ ン 酸 比 ( A /P 比 ) は 有 意 差は な い 筆者 ら 9) は 実 施 し た 既 報の 試 験 に お い て、 肥 育 中 期 に も の の 無 機亜 鉛 区 、 有 機 亜 鉛 区、 対 照 区 の 順 で低 い 数 のみ 有 機 亜 鉛 を 添 加 した 場 合 に は 増 体 への 効 果 が み ら 値 とな った 。 れな か っ た が 、 今 回 は肥 育 中 期 か ら 肥 育後 期 ま で 添 加 する こ と に よ っ て 増 体の 改 善 が み ら れ た。 こ の こ と か 7 ら、 亜 鉛 を 肥 育 後 期 まで 継 続 的 に 添 加 する こ と に よ り 経 済性 経 済 性は 表 11に 示 し た 。 亜 鉛添 加 区 は 対 照 区 より 素 増体 に効 果的 であ ると 考え られ る。 畜 費 及 び 飼料 費 が 多 か っ た が 、枝 肉 販 売 価 格 も多 か っ ミ ネ ラ ル 栄 養 素 で ある 亜 鉛 の 増 体 に 対す る 効 果 に つ た た め 、 粗収 益 は 有 機 亜 鉛 区 、無 機 亜 鉛 区 、 対照 区 の いて は 、 報 告 に 見 ら れる と お り 種 々 の 条件 ( 無 機 亜 鉛 順 に 多 くな り 、 対 照 区 と 比較 し て 有 機 亜 鉛区 が 約 12万 ・有 機 亜 鉛 、 添 加 量 ・濃 度 、 給 与 期 間 、牛 の 品 種 ) に 円 、無 機亜 鉛区が 約10万円 上回 った 。 より 効 果 が 増 減 す る こと が 考 え ら れ 、 今後 も 様 々 な 条 件下 で 検 証 し て い く 必要 が あ る 。 肉 質 にお い て は 有 機 考 察 亜鉛 添加 区で 脂 肪 交 雑 の 改 善 が 見 ら れ た 。 こ の 結 果 は Sp earsら 及 び Gre eneら の 報告 と 同様 であ っ た。 Spears 亜 鉛 は 、核 酸 、 蛋 白 質 、 炭 水化 物 の 代 謝 に 関与 す る 20) ら は ア ン ガス × ヘ レ フ ォ ード 交 雑 種 去 勢牛 で 亜 鉛 添 酵 素 の 必 須成 分 で あ る 。 ま た 、免 疫 等 の 生 体 防御 シ ス 加に よ り 肉 質 等 級 、 枝肉 歩 留 ま り 、 脂 肪交 雑 、 背 脂 肪 テ ムに おい ても重 要な 働き を担 って いる 。 の厚 さ が 増 加 する と 報 告 し てい る 。 Greeneら 日本 飼 養標 準 では 牛 の亜 鉛 要求 量 は飼 料中 30mg/kgと 8) はアン ガス 種 去 勢 牛 で 脂 肪 交雑 、 脂 肪 の 厚 さ が増 加 す る 報 告 さ れ 、 我 が国 のほ とん ど の地 域で 牧草 中の 亜 鉛は 含量 をし て い る 。 し か し なが ら 、 黒 毛 和 種 を用 い た 試 験 で は 不 足 して い る 。 ま た穀 類 中 の 亜 鉛濃 度 は 20∼ 30mgで は脂 肪 交 雑 に つ い て は一 定 の 傾 向 が み られ て い な い 。 あ り 牛 に 対し て 補 給 さ れ る べ き元 素 で あ る と 報告 さ れ この 理 由 と し て 和 牛 肥育 の 場 合 ビ タ ミ ンA を コ ン ト ロ 6) ている 7) 。 亜 鉛 添 加 に よる 増 体 へ の 効 果 に つ い て は 、 ール ( 給 与 抑 制 ) し て脂 肪 交 雑 の 改 善 する 給 与 形 態 が 瀧 澤・ 森下 ・榊 原 ・石 井: 亜鉛 添加 が黒 毛和 種去 勢牛 の産 肉性 及び 肉質 に及 ぼす 影 響 58 挙 げ ら れ る。 亜 鉛 を 添 加 す る こと に よ り 、 脂 肪細 胞 の 後の 代 謝 が 異 な っ て いる と 推 察 し て い る。 筋 肉 蛋 白 質 分 化 促 進 する 作 用 が あ る が 、 ビタ ミ ン A を 抑 制す る こ や脂 肪 交 雑 を 増 加 さ せる た め の 酵 素 類 の生 産 、 活 性 化 と で も 脂 肪細 胞 の 分 化 促 進 す る作 用 が あ る 。 飼料 へ の 等に 積 極 的 に 利 用 さ れる 場 合 、 血 中 亜 鉛濃 度 が 容 易 に 亜 鉛 添 加 量の 増 加 は 、 血 液 ビ タミ ン A 濃 度 が 高ま り 、 上昇 し な い と い う 報 告も あ る こ と か ら 、今 回 の 無 機 亜 19) ビ タ ミ ンA 作 用 が 増 強 さ れる と い う 報 告 が あ り、 ビ 鉛に つ い て も 、 同 様 に血 中 濃 度 が 上 昇 しな い ま で も 利 タ ミ ン A のコ ン ト ロ ー ル 時 期 と同 時 期 に 亜 鉛 を添 加 す 用さ れ て い た と 考 え られ る 。 し か し な がら 、 無 機 亜 鉛 る と お 互 いの 働 き を 相 殺 す る こと に な り 、 脂 肪交 雑 の はス ト レ ス 等 の 要 因 によ り 利 用 が 阻 害 され る こ と が あ 改 善 が み られ な い と 考 え ら れ る。 い ず れ に せ よ脂 肪 交 り、 そ の 効 果 が 不 安 定な 無 機 亜 鉛 よ り も有 機 亜 鉛 の 方 雑 に 関 す る亜 鉛 の 効 果 に つ い ては ビ タ ミ ン A との 関 連 が実 用性 が高 いと 推察 され る。 性 など 更な る検討 が必 要で あろ う。 経 済 性 は 添 加 物 経 費に つ い て は 無 機 亜鉛 の 方 が 安 価 脂 肪 酸 組成 で は 亜 鉛 区 の 不 飽和 脂 肪 酸 の 割 合が 高 く であ る が 、 有 機 亜 鉛 につ い て も 1 頭 当 たり の 経 費 は 3 な っ た 。 これ は 、 亜 鉛 添 加 区 での 飼 料 摂 取 量 が多 く な 千円 程 度 で あ る た め 枝肉 重 量 の 増 加 が 見込 め れ ば 十 分 っ た こ と が一 因 と 考 え ら れ る 。脂 肪 が 柔 ら か く口 触 り に投 資効 果が ある と考 えら れる 。 と 風 味 の おい し い 牛 肉 は 脂 肪 中の 不 飽 和 脂 肪 酸の 割 合 以 上 の 試 験 の 結 果 から 亜 鉛 添 加 は 増 体成 績 を 向 上 さ が 高 い こ とが 報 告 さ れ て い る 。特 に 1 価 の 不 飽和 脂 肪 せ、 有 機 亜 鉛 は 脂 肪 交雑 を 改 善 す る 可 能性 が 示 唆 さ れ 酸 で あ る オレ イ ン 酸 が 多 い ほ ど風 味 が 良 い と され て お た。 し か し 環 境 等 の 様々 な 条 件 に よ り 発現 す る 機 能 や り 、 有 機 亜鉛 区 で オ レ イ ン 酸 の割 合 が 高 く 対 照区 よ り 作用 が 違 っ て く る と 推察 さ れ る た め 、 更に 亜 鉛 の 添 加 風 味 の よ いお い し い 牛 肉 に な って い る 可 能 性 が高 い と 時期 や給 与量 を検 討す る必 要が あると 考え られ る。 考 えら れる 。 ル ー メ ン内 性 状 で は 、 V F A総 量 は 亜 鉛 添 加区 で 多 引用文献 く な っ た 。こ れ は 対 照 区 に 比 べて 飼 料 摂 取 量 が多 か っ た た め と 考え ら れ る が 、 V F A組 成 比 は 亜 鉛 添加 区 で 酢 酸 組 成比 が 高 く な っ た 。既 報 の 試 験 9) で は 、 有機 亜 1. 全 国 家畜 畜 産 物 衛 生 指導 協 会 企 画 . 生産 獣 医 療 シ 鉛 添加 区で プロピ オン 酸組 成比 が有 意に 高く なっ たが 、 ス テ ム 肉牛 編 . 東 京 ,農 山 漁 村 文 化 協 会 , 90 -10 1 今 回の 試 験で はみ ら れな か った 。 これ は H.M.Arelovich (1999) ら の 牛 の 飼料 へ の 無 機 態 亜 鉛 の添 加 は 粗 飼 料 の乾 物 消 2. 鳥居 伸一,松 田恭 子,大山 路世,松井 徹,矢野 秀雄 . 化 率 に 影 響を 及 ぼ さ ず 、 ル ー メン 内 プ ロ ピ オ ン酸 モ ル 黒 毛 和 種 か ら単 離 し た 脂 肪 前 駆 細 胞の 脂 肪 細 胞 へ の 比 を 上 昇 させ 、 酢 酸 : プ ロ ピ オン 酸 比 を 減 少 させ た と 分 化 に お け るビ タ ミ ン 及 び 脂 肪 酸 の影 響 . 肉 用 牛 研 し て い る報 告 21) と 異な る 。 こ れ は 、今 回 の 試 験 は亜 鉛 究 会報 .60, 27-28(1995) 添 加 区 の 肥育 後 期 の 粗 飼 料 を 稲わ ら か ら フ ェ スク ス ト 3. 大 橋 秀一 , 瀧澤 秀 明, 森 田宏 . 和牛 に おけ るビ タ ミ ロ ー に 変 更し た た め に 粗 飼 料 摂取 量 を 増 加 し 、酢 酸 産 ン C給 与が 肉質に 与え る影 響.愛 知 農 総 試 研 報 .31 , 245-252(1999) 生 量が 高く なった と考 えら れる 。 飼 料に 添 加す る 有機 亜 鉛あ る いは 無 機亜 鉛 につ い て、 Greeneら 8) は亜 鉛 メチ オ ニン 添加 は 酸化 亜 鉛添 加 及び 亜 鉛 無 添 加よ り 脂 肪 交 雑 が 多 く脂 肪 も 厚 く な った と 有 機 亜鉛 の 有効 性を 報 告し てい る 。一方 、Malcolm-Callis ら 2 2) は 酸 化 亜 鉛 、 アミ ノ 態 亜 鉛 、 多糖 態 亜 鉛 の 3種 類 を 比 較 し 、発 育 性 、 産 肉 性 に 差は な か っ た と 報告 し て 4. 矢 野 秀雄 , 金聖 元 .肥 育 牛の ビ タミ ン A栄 養と そ の 後 の展 開. 肉牛ジ ャー ナル .11,64-71(1997) 5. 農 林 水産 省 農林 水 産技 術 会議 事 務局 編 .日 本飼 養 標 準 肉用 牛(2000年版 ). 104-107(2000) 6. 農 林 水産 省 農林 水 産技 術 会議 事 務局 編 .日 本飼 養 標 準 肉用 牛(2000年版 ). 47(2000) は酸 化 亜 鉛 、蛋 白 態 亜 鉛の 両 7. 農 林 水産 省 農林 水 産技 術 会議 事 務局 編 .草 地に お け 方 と も 肉 質、 脂 肪 交 雑 に 同 程 度の 効 果 が あ っ たと 報 告 る ミ ネ ラ ル の 分 布 と 動 態に 関 す る 研 究 . 研究 成 果 . い る 。 また 、 Spearsら 2 0) し て い る 。今 回 の 試 験 に お い て有 機 亜 鉛 区 、 無機 亜 鉛 区 の 産 肉 性及 び 肉 質 に つ い て 総合 的 に 見 て 有 機亜 鉛 区 106 (1978) 8. Greene L.W., D.K. Lunt, F.M. Byers, N.K. Chirase, C.E. Richmond, R.E. Kn utson, G.T. Schelling, が 無機 亜鉛 区より も優 れた 成績 であ った 。 今 回 の 試験 に お い て 有 機 亜 鉛を 添 加 す る こ とで 血 中 Performance and carcass quality of steers supplemented 亜 鉛 濃 度 が有 意 に 上 昇 し 、 一 方無 機 亜 鉛 区 は 血中 亜 鉛 with zinc oxide or zinc methionine. J. Anim. Sci. 濃 度 の 上昇 が み ら れ なか っ た 。 Greeneら の 報 告 8) によ 66, 1818-1823(1988) る と ア ン ガス 種 を 用 い た 試 験 で有 機 態 の 亜 鉛 を添 加 し 9. 瀧 澤 秀明 , 森下 忠 ,石 井 憲一 . 有機 亜 鉛添 加が 黒 毛 た 場 合 、 内臓 脂 肪 量 や 脂 肪 交 雑が 有 意 に 増 加 した が 、 和 種 去 勢 牛 の産 肉 性 及 び 肉 質 に 及 ぼす 影 響 . 愛 知 農 無 機 態 の 亜鉛 で は 内 臓 脂 肪 量 や脂 肪 交 雑 に 影 響を 及 ぼ さ な か っ たこ と か ら 有 機 態 亜 鉛と 無 機 態 亜 鉛 では 吸 収 総 試研 報. 37,159-165(2005) 10. 独立 行 政 法 人 農 業技 術 研 究 機 構 編. 日 本 標 準 飼 59 愛 知 農 業 総 合 試 験 場 研 究 報 告 39 号 料 成分 表(2001年 版).(2002) 18. 岩 井 俊 暁, 山 本 稔 , 松 下厚 志 . 高 品 質牛 肉 「 京 都 11.日本 食肉 格付 協会.新し い牛 枝肉 取引 規格,(1988) 肉 」 の 合 理 的生 産 技 術 の 確 立 ∼ 有 機亜 鉛 の 飼 料 添 加 12.O'Keefe, P.W., G.H. Wellington, L.R. Mattick and が 黒 毛 和 種 去勢 牛 の 増 体 と 肉 質 に 及ぼ す 効 果 . 京 都 J.R. Stoufferand. Composition of bovine muscle lipids at various carcass locations. J. Food Sci. 33,188-192(1968) 13. 農 林 水 産 省農 林 水 産 技 術 会議 事 務 局 編 . 日 本飼 養 標 準肉 用牛 (2000年版 ). 13-14(2000) 畜 技セ 試験 研究成 績. 1,53-62(2004) 19. 矢 野秀 雄 .肥育 牛 の肉 質 およ び 増体 に 及ぼ すビ タ ミ ン C と 亜 鉛の 影 響 . 日 本 科 学 飼料 協 会 . 科 学 飼 料5 0 (5),31-39(2005) 20. Spears J.W. and E.B. Kegley. Effect of zinc source 14. Perry T.W., W.M.Beeson, W.H. Smith and M.T. Mohler. (z inc o xide vs zin c prote inate) and l evel o n Value of zinc supplementation of natural ration performance carcass characteristics, and immune for fattening beef cattle. J. Anim. Sci. 27, 1674- response of growing and finishing steers. J. Anim. 1677(1968) Sci. 80, 2747-2752(2002) 15. Pond W.G. and R.R. Oltjen. Response of large and 21. Arelovich H.M., F.N. Owens, G.W. Horn and J.A. med ium fr ame be ef stee rs to protei n and zinc Vizcarra. 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