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第2回 道有財産有効活用懇談会議事録 日時

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第2回 道有財産有効活用懇談会議事録 日時
第2回
道有財産有効活用懇談会議事録
日時:平成22年2月17日(水)
15:00∼16:50
場所:道庁別館10階労働委員会会議室
1
次第
(1)開会
(2)委員紹介
(3)議事
①ファシリティコストの縮減について
②道有財産の有効活用について
③その他
(4)閉会
2
議事録
【石井座長】
ただ今から、第2回道有財産有効活用懇談会を開催いたします。
第1回の懇談会に、ご都合により出席できなかった委員の方がいらっしゃいますので、
今一度、委員の皆様をご紹介いたします。
50音順に紹介いたします。
まず、私、北海道大学公共政策大学院の石井でございます。よろしくお願いします。
財団法人日本不動産研究所北海道支社長の市川喜通さんです。
社団法人北海道ファシリティマネジメント協会参与アドバイザーの海野良哉さんです。
社団法人北海道宅地建物取引業協会理事の篠原義信さんです。
北洋銀行道庁支店長の冨樫雄太郎さんです。
株式会社 NTT ファシリティーズ北海道建築部長の久島正嗣さんです。
社団法人北海道宅地建物取引業協会理事の吉田治さんです。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
議事の1番、ファシリティコスト縮減についてでございますが、事務局からの説明をお
願いしたいと思います。
【武田主幹】
資料2の省エネルギー手法判別シートについてご説明いたします。
私どもの方で現在検討しておりますファシリティコストの縮減、中身はインハウスエス
コということで、技術的にあまりコストをかけずに道有施設でも実現可能と思われるもの
を拾い集めながら項目立てをしたということで、前回の懇談会では項目立てについて一つ
ずつ説明させていただいたという内容になっております。
これらの項目をまとめたものを施設管理者の方にお配りしてやってくださいというの
-1 -
も、なかなかわかりにくいということもございまして、そこで私ども、現在検討している
一つの取組として、抜粋の資料ですが横長の資料2の省エネルギー手法の判別シートを用
意させていただいたものでございます。この内容を紹介させていただいて、私からの説明
といたします。
この省エネルギー判別シートにつきましては、前回のインハウスエスコの項目立てをさ
らに細分化してその細分化した項目を並べて、フローチャート形式で1項目づつ各施設管
理者に問う形で、実現できるインハウスエスコを知っていただこうという内容のシートで
ございます。
セルフチェックシートとして活用して、より一層施設管理者側の取組を積極的に進めて
いこうという意図ですが、お手元の方に用意したのはまだ検討中の資料ということもござ
いまして、基本的事項の1ページものと、電気設備ということで1ページ、それぞれ10
項目ずつ載せてございます。
さらに、判別シートの使い方ということで、この縦長の資料を使いながら使い方の説明
をさせていただきます。
まず、この判別シートの左上の方に効果がある項目がございます。
詳細項目の中で、ベース電力、ベース熱源、冷暖房電力、冷暖房熱源の4項目について、
どれが該当するかがわかるように○付けしておりまして、さらに進めますとフローチャー
トになっております。
お手元の説明資料の方では全施設ということで下の方に矢印で進むことになっています
が、項目によってはそれがさらに細かい判別内容になっています。
その内容を順次チェックしていき矢印の最後のところに行き着けば、省エネ手法の項目
ということで、それができますという判別になっています。
さらに項目を下の方に追っていきますと、導入経費ですとか予想される縮減額というの
が、概算でわかるように表示しています。
これを見ることによって、各施設管理者が、だいたい予想される経費がどれくらいか、
又はこれをやることによってどれくらい縮減ができるかということをつかむことで、モチ
ベーションを高めてもらうことにも活用していただくというふうに考えております。
また、導入の方法及び注意点というのが最後に書いてございます。
例示として項目1と入っています。
これは前回ご説明させていただいたインハウスエスコの項目の番号と合う形になってご
ざいまして、また、場所によっては注意点を細かく書いて、その内容の手法を取り入れる
ことによってこういう注意が必要ですよというようなことがわかるように、例示していこ
うと考えてございます。
資料では、電気と基本事項だけで20項目ですが、さらに暖房ですとかを付け加えるこ
とで、およそ50項目くらいの項目立てになっていくと考えてございます。
こういうものをもう少し精査しながら、年度末までに蓄えさせていただいて、新年度以
降、各施設管理者の方にお配りしてさらに検討を深めていただくと共に、チェックしたシ
ート自体は一度私どもが回収してその内容を再点検し、技術的に何か支援するような部分
が必要であれば、改めて私どもが各施設の方に赴くなどしながら対応を図っていく等の検
討を、新年度の一つの展開としていきたいと考え、お手元の方に資料としてご紹介させて
-2 -
いただきました。
また、この取組については、環境生活部で取り組んでおります地球温暖化防止条例、去
年改正されてその後順次実行計画を作っていくということで、道の事務事業に関しての実
行計画は新年度いっぱいかかるということですので、こういった事務事業の実行計画に添
う形で、インハウスエスコの各施設への反映を並行して進めていこうと考えてございます。
簡単ですが、ご紹介させていただきながらご説明させていただきました。
【石井座長】
どうもありがとうございました。
それでは、前回の懇談会の説明なども踏まえまして、委員の皆様から、ファシリティコ
スト縮減の進め方などにつきましてご意見ございましたらいただければと思いますが。
今ご説明いただいたものは、新年度から全部やってみるということですか。
【武田主幹】
そうです。
【海野委員】
前回の懇談会で、数値目標がないと申し上げたはずですが、その辺についてはどうです
か。
【武田主幹】
最後にお話させていただきましたけれども、全体的な温室効果ガスの削減目標は環境生
活部で温暖化防止条例を背景にして、過去ずっと、ここ10年定めてやってきているとい
うことでございます。
今回、改定途中となっておりますので、そちらも並行して見ながら、今後の目標又はそ
ういったものに添いながらやっていきたいと思ってますし、コストの面ではなかなか、毎
年灯油の単価ですとか、それぞれ変わるというところで目標値として定めるのはなかなか
どうかと思うんですけれども、参考にご説明させていただきますと、今、道の方も財政状
況が厳しい状況もございまして、平成17年から財政立て直し集中期間などを設けたり、
今ですと、構造改革期間に該当しているようなこともございまして、一定程度の削減率を
毎年定められながら来ております。
現在ですと、平成21年から23年までの間は、一般施策事業ですとか維持管理費は毎
年、5%削減していくとの目標でおかれながら財政予算が組まれているということもござ
いますので、その中の一つの手法であります、インハウスエスコという事業の展開の中で、
そういった目標値を下支えしていきたいと考えてございますので、ご理解賜りたいと思い
ます。
よろしくお願いいたします。
【石井座長】
財政目標というのは、大枠としてある種のシーリング的にかけるものですね。
-3 -
【武田主幹】
そうです。
【石井座長】
これは、一つ一つ点検しながらやっていくとそれなりの手間もかかるので、結果として
どうなるかというところについて、最初に示せないにしてもそこは上手に伝えないと実効
性が上がりにくい面があるのではないか、海野委員がおっしゃったのもそういうことでは
ないかと思うんですが。
【海野委員】
数値目標がないとモチベーションが上がらないんです。
【武田主幹】
前回もご説明させていただきました、エネルギー消費量実態調査分析表を各施設管理者
の方に昨年度お配りしています。
庁舎なら庁舎のベンチマークの平均値が示されていますので、電力が超えているとか、
暖房が超えているというところを大まかに理解いただけると思いますので、そういったと
ころを一つのきっかけとして、自分の庁舎自体は、これから比べるとちょっと飛び出てい
るところがあるなと、そういった部分を一つのきっかけとしながら、インハウスエスコの
項目立てなども参照としながら取組を深めていただくことで、ベンチマークを下回る形の
ものを目標として施設管理者の方が定めていただいたりしながら進めていただければ、一
つのきっかけとしてやっていただけるんじゃないかなというふうに事務局として考えてい
るところです。
【石井座長】
先ほどのご説明では、環境生活部とも連携されるということでしたが、むしろコストを
前面に出して議論をするよりは、全体像を示すにしても、CO2の削減がこういうふうにな
っていくとかそういうことを前面に出して、もっとある種社会的な目標のために必要だと
いうことで考えると、省エネというのは間違いなくあるので、そこを上手に打ち出せば、
少なくともインセンティブっていう意味で、抑えが効くような気がするので、そこは是非
うまくやられるようにお願いできればと思います。
ほかに何かありませんか。
【吉田委員】
電球のところですが、蛍光灯とか白熱灯がありますけれども、最近は LED というもの
が出てきて、使用料が安くすむということですので、取組に取り入れたら将来のためにな
るのではないかと思います。
【武田主幹】
-4 -
最近の新エネルギー、省エネルギーの新しい開発器具等についても参照させていただい
ているんですけども、LED については、現在のところ電球の関係は割と安くなってきて、
割と効果を上げてきているんですけれども、ただ、庁舎の部分については蛍光灯がかなり
多いと言うこともございまして、まだ蛍光灯の部分についてはなかなか LED として採用
するにはまだ微妙な時期でもあるということを関係団体でも言っているくらいですので、
そういったこともあって、まだこの項目立てに入れるには時期尚早かなということで、省
かせていただいております。
ただ、今後、この開発技術自体はいろいろ急展開していく項目でもあるというふうに考
えてございますので、今後、経過を見ながら、新たな形の取り組みとして入れるべき必要
性又はできるようなものになってきてるという認識が高まった段階で入れていきたいとい
うふうに考えてございますので、よろしくお願いしたいと思います。
【石井座長】
他にはいかがでしょうか。
特にないようでございましたら、議事を進めましてまた、適宜ご意見をいただけたらと
思います。
それでは続きまして、企業の取組事例ということで、株式会社 NTT ファシリティーズ
北海道の久島委員から紹介をいただきたいと思います。
【久島委員】
NTT ファシリティーズの久島でございます。
企業における FM の取組の紹介ということでございますので、私どもの会社で行ってい
る FM の仕組みや内容について、簡単にではございますがご照会させていただきます。
本日は、お客様情報の保護という観点からも、説明はプロジェクターで説明させていた
だきたいと思います。
見にくい点等もあるかと思いますが、ご理解をいただければと思いますので、よろしく
お願いいたします。
それでは、企業における FM の取組についてご紹介させていただきます。
まず最初に私ども NTT グループにおける FM の経緯、それから、NTT の FM に関する
取組の概要について、それから、今もお話がありましたけれども、電力消費量の削減運動、
TPR 運動と申していますが、その取組の状況について、最後に、不動産マネジメントの
実践例について、ご紹介させていただきたいと思います。
NTT グループにおける FM の歴史ですが、1885年に逓信省が発足、その後、1952年に
電電公社、そして1985年に NTT に民営化となりました。
その間 FM については、企業内組織が実施しておりましたが、1992年に私どもの NTT
ファシリティーズが設立、1999年に NTT が再編成、FM 業務については一括での包括契
約、建築総合業務という形で分離独立した NTT ファシリティーズが FM サービスを一手
に提供することとなりました。
NTT グループの土地建物ですが、土地は平成4年に4000万㎡ありましたが、その後、バ
ブルの崩壊等を経て、現在では2160万㎡となっております。
-5 -
建物は、前回の懇談会で道有の建物の資産が817万㎡という数字がご提示されていたか
と思いますが、NTT グループにつきましては、現在で約1670万㎡でございます。
時代に応じた不動産戦略の変化ということで、高度成長期につきましては、公社の時代
で、大量の電話局等を建設してきたという経緯がございます。その後、バブル期を迎え、
ちょうど60年に民営化、当時は不動産事業の開発時代で、不動産の新規取得、建設が各地
で行われてきました。
バブルが崩壊し、整理の時代に入り今日に至っているわけです。
その間、先ほどもお話ししましたが、NTT が再編整理なり、構造改革がありました。
その後、不動産の売却時代等を経、現在では、既存の建物を維持管理、それから収益を
上げるといった運用時代に入ってきております。
FM の取組に関する特徴ですが、私どもの FM の特徴として、元々、インハウスで建築、
保守部門の業務をしておりましたが、それを整理・仕様化して、大規模で包括的なアウト
ソーシングという形で、実践しております。
二つめは、建築総合業務という形で、一括して FM 業務を受託して一元的に実施できる
体制を構築しているというのが特徴です。
三つめは、ファシリティコストの削減という観点だけではなく、低コストで最適なファ
シリティを供給するといった面からも、取組をしています。
四点めですが、非常に膨大な NTT の施設群を対象として、戦略的に FM をどうあるべ
きかといった施策提案も含めた実践をしているのが特徴でございます。
NTT では、不動産の管理や運営の戦略を行っており、私どもは、建物の信頼性確保や、
コストのミニマム化といった観点から、その不動産戦略の企画支援として、建築総合業務
という全体の括りの中でサービスを提供、また、個別業務という形で、個々の建物等の設
計、修繕、点検、又は今日課題になっている地球環境保護対策といったものの取組を行っ
ております。
総括マネジメントを含む FM サイクルという形で、全般を PDCA サイクルで行ってい
るという形です。
これが私どもが行っている FM 業務の全体像ですが、この大きなところが、建築の総合
業務といった、包括契約になっている部分です。
ベースとなっているものは、日常点検や整備計画、現地調査といったもの、それからそ
れぞれの機器の経年劣化等のデータベース、それから光熱水費などのデータベース、耐震
性能、水防性能といった性能、建物の図面や資産のデータといったものをベースにして、
分析評価をし、整備計画といった形で取りまとめて、オーナー様の方に FM レポーティン
グという形で提出しているという状況になっております。
NTT の FM というのは、建築総合業務を中心に維持管理や簡易工事、建築設計、工事
管理に至るまで、NTT の建物の企画から運営までを一連の PDCA のサイクルと連携させ
ています。例えば、建築総合業務の一環で実施している建物整備計画提案と、個別契約と
なる工事管理業務というのは、非常に密に連携しているという状況になっております。
約、年間6万件に及ぶ日常の維持管理、簡易工事についても、日常点検や各種 FM デー
タベースと連携してデータの蓄積という形で整理されております。
劣化の進行状況については、発生場所や緊急度に応じてプライオリティを付け、建物工
-6 -
事の最適化の提案を行っているといった FM 業務の全体像になっております。
整備計画の提案の作成につきましては、日常点検と整備計画、現地調査というものが基
礎となっております。
点検の手順、建物をどういう手順で点検したらいいのか、劣化判断基準、部位別にどう
いう状況になっているのかがよくわかるように、また、仕上げ別劣化チェックシートは部
位別にどういう劣化状況になっているか、劣化の状況に合わせて、A、B、C というラン
ク付けをし、それが緊急に修繕の必要があるかどうかといったところまで、このチェック
シートの中にデータとして整理し、継続的な効率化というものを図っています。
また、点検結果の判定基準となる劣化度はどういった緊急度があるかというものについ
ても、考え方や目線を統一するために、建物整備計画提案ガイドというものを作成して活
用しています。
調査、点検したデータは、建物整備計画書としてまとめられて、優先順位付けの上に実
行されております。
これが、先ほどのチェックシートを元に施策項目、例えば外壁改修を何年度に、劣化状
況がどういう状況で、緊急性がどのくらいあって、どういった修繕をする必要があるのか
といったものを、それぞれの項目ごとに、整備計画書をまとめて提出します。
それぞれ、項目ごとに資本的支出、修繕的支出それぞれどのくらいの費用がかかるかと
いったものも提出するといった形になっております。
そしてこれを、優先付けの上に、単年度、中年度の計画に基づいて実施するといったこ
とで、こういった優先順位付けをしなかった場合に比べて、工事費は6∼7%程度縮減が
図られているといった状況です。
これを PDCA サイクルにしますと、まず、戦略・企画に関わる提案、それを業務の日
々の実施、データベースの収集とメンテナンスを行って、また戦略企画に戻すといった形
となります。
続きまして、先ほどお話がありました省エネルギーの個別の取組についてですが、私ど
もの会社もやはり同じような取組をしております。
大きな目標として、NTT 東日本の主要行動計画目標の、2008年から12年度の平均で、
契約者あたりの二酸化炭素排出単位を2000年度比で15%以上削減するという目標がござい
ます。
こういったことも念頭に置きながら、1987年から TPR 運動をしております。
当初は、品質管理的な職場レベルでの改善運動、社員の主体的取組の意識改革やエネル
ギーに対する全社的関心の強化を図る、といったところから始めています。
その後、設備構築から保守に至る業務改善や設計、施工における改善を反映し、現在で
は、全国の NTT ビルにおけるエネルギーマネジメントの推進、エネルギー効率の高い設
備の導入や、クリーンエネルギーによる電力自給率の向上といったことを目的として、TPR
運動を進めているところでございます。
具体的な取組についてですが、先ほど、北海道さんの方からもファシリティコスト縮減
の取組についてご紹介がありましたが、私どもの TPR の施策としても、建築や、通信用
電源、電気設備、空調設備、衛生設備、昇降機設備に至るまで、それぞれトータルで200
項目程度 TPR 施策を実施しているところでございます。
-7 -
まず、建物では、外壁の断熱性能向上やブラインドの適正使用といった取組をしており
ます。
それから電力関係におきましては、契約種別メニューで最適な契約種別を選定したり、
また、設備の増減を正確に把握して契約電力を適切に変更するといった施策や、最大使用
電力が契約電力を越えないように、特に、夏期の冷房等の一時停止等、制御するなどの施
策を実施しています。
また、空調設備につきましては、事務室の設定温度単位の徹底に加えて、高効率空調機
への交換、特に旧型の空調機については耐用年数の見合いで高効率な空調機に交換したり、
又は全熱交換機などを採用、又は既存の装置の改善としては、空調装置のフィルターを清
掃したり、屋外機の洗浄などの施策を行っています。
また、氷蓄熱の導入による夜間電力利用なども積極的に実施しているところでございま
す。
衛生では、水道量水器の口径の変更や、給湯器への断熱の強化や、セントラル方式の見
直しなどの施策を行っています。
照明では、センサーやタイマーによるコントロール、また、先ほどもお話がありました
が、共用部については、LED 等の更改、それから照明スイッチの細分化といった取組を
しております。
昇降機につきましては、利用時間による運転台数の制限や、停止数の見直し、又は老築
エレベーターの制御方式をインバータ化することによって、省エネルギー化を図っていく
というような施策を実施しております。
2010年からは多くの企業に環境への対応を求められることになりました。NTT グルー
プでは地球環境保護推進員というものを立ち上げて、こういった TPR 運動の推進委員会
と相互連携を取りながら、エネルギーコストの削減に加えて、省エネ法への対応や、二酸
化炭素排出の見える化といったものについても取り組んでいるところでございます。
これは、1998年から、2005年までの7年間の電力の使用量をまとめたグラフです。
折れ線グラフが電力使用量の成り行きでいった場合の使用料、棒グラフが、TPR の施
策を行った結果、どのくらいに押さえられるかという数字です。
約7年間で19億 KWH、2007年までの期間では約21.65億 KWH の削減につながってお
ります。
この数字がどのくらいかということですが、こちらは北海道における電力需要の実績と
見通しとなっていますが、北海道におきましては、昭和55年から平成28年までの見通しの
グラフがありますが、平成3年から23年まで20年間で見たときは電力の需要消費は約1.6
倍となっています。
何も努力をしないと成り行きのとおりに電力消費量が上がっていくという状況でござい
ますが、こういった施策をすることによって、成り行きから消費を下げるといった効果に
つながっております。
続いて、不動産のマネジメントの実践というところで、ご紹介させていただきます。
先般、北海道の課題ということで、施設業務全般を評価し最適化する仕組みがないとい
うことで、取組がされているとご紹介がされましたが、私どもの会社でも不動産につきま
しては通信施設からオフィス、研究施設、社宅保養所、病院、会館保養所、その他といっ
-8 -
た非常に種類の多い施設を保有、管理しております。
実際には通信ビルが約8000棟、オフィスビルが約1500棟、研究所が約80棟、社宅に至り
ましては約3600棟、病院が90棟、その他会館保養所が180棟、その他約25000棟ございます。
確か、道有建物は21000棟というお話だったかと思います。
そういった施設の最適化といったところで、まずは選択と集中により建物の利用効率の
向上、不要不動産の処分を促進し、保有資産をスリム化することにより経営効率を向上す
るといった取組をしております。
実際には不動産の市場性が高いのか低いのか、又は事業性があるのかないのかといった
観点からランク分けをし、保有コスト削減のために売却を促進するのか、又は自社グルー
プでの使用を図るのか、又は高収益が期待できるため外向けの物件として利活用を図るの
かといった観点から具体的な取組とします。
不要不動産の計画的な売却、低利用不動産の非現用化、利用効率の向上、積極的貸付の
促進といった最適化の取組を行っております。
具体的には既存の建物を解体、立て替え、土地、建物の売却、又は IT 化や耐震性能を
アップすることによって付加価値を付けて機能向上、それから、設備更改とリニューアル、
もう一つは、用途転換をしてコンバージョンをして利活用を図るといった具合になってお
ります。
今回は、用途転換とコンバージョンをした例を4つほどご紹介をさせていただきます。
こちらは静岡県熱海市ですが、これは元々 NTT の電話局でした。
この窓口を高齢化施設、デイケアセンターにコンバージョンした事例でございます。
元々の建物は1964年に建てられておりますが、窓口の一部を貸付スペースとしてデイケ
アセンターにコンバージョンして利活用したといった事例でございます。
こちらは、京都にあります、旧京都中央電話局でございますが、こちらの施設は商業施
設にコンバージョンしております。
元々、機械室の天井が高い様式になっております。
こちらの建物につきましては、グッドデザイン賞を受賞しておりまして、非常に若い方
も集まって、成功したという事例になっております。
次は、元は NTT の無線中継所ですが、こちらを市民センターにコンバージョンした例
です。
1934年から85年にかけて順次建てられた建物ですが、これを、幼児用のプレイルームや、
音楽ホール、スタジオといった市民センターとしてコンバージョンしました。
こちらは、天井の高い機械室、ギャラリーやラウンジホールにもうまくコンバージョン
でき、利活用していただいているといった事例でございます。
こちらは、芦屋にあります同じ電話局で、ロケーションも良かったので、結婚式場にコ
ンバージョンしております。
天井を撤去し、高い天井を確保することで結婚式場にコンバージョンした事例でござい
ます。
最後、こちらが、私どもの健保組合のグループ企業の物件ですが、銀座ラフィナートと
いいます。
バブル期にプール、
フィットネスセンターやホテルなどずいぶん作られましたけれども、
-9 -
その後なかなか利用が上がらないということもあり、プールをチャペルにコンバージョン
した事例でございます。
以上、簡単ではございますが、私どもの FM の日常の業務の取組、それから、不動産の
利活用の事例といったものをご紹介させていただきました。
非常に雑ぱくではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。どうもご静聴
ありがとうございました。
【石井座長】
どうもありがとうございました。ただいまの取組事例のご紹介につきまして、質問等あ
れば。
これはやっぱり、専門的にずっとおやりになっているということで、費用の見通しとい
いますか、そういったものはかなり早くからきちんと位置づけられるというような部分も
あるんでしょうか。普通は維持管理方針というか、上手にやろうと思っても予算の制約で
すとか業績とかで結構ぶれることがあると思うんですけども。
【久島委員】
緊急性と重要度の観点から横並びで選択できるようにデーター化をしておりますので、
優先順位付けの上、行っています。
【石井座長】
大変貴重なおはなしをいただきましてありがとうございました。
なかなか行政の制約などもあって、そのままというわけにはいかないとは思いますが、
ずいぶん参考になるところがあったのかなと思います。
この議題についてはこのくらいにさせていただきまして、
次に移らさせていただきます。
次は、道有財産の有効活用ということでございますが、事務局から説明をお願いしたい
と思います。
【遠藤参事】
総務部総務課の遠藤と申します。
財産運用を担当してございます。
私の方からは、道有財産の有効活用、特に未利用地、低利用地の売却について、委員の
皆様からご意見をいただければと思っておりまして、未利用地、低利用地の現状等をご説
明させていただきたいと思います。
失礼させていただいて、座らせていただきます。
道では、平成18年度に遊休資産売却促進方針を定めまして、資料4の上の方に四角で囲
んでございますけども、未利用地、低利用地というものにつきまして、定義にございます
ような用地を対象に、基本的に売却を進めて、収入の確保に努めているところでございま
す。
まず、未利用地、低利用地として管理している土地の現状、面積についてご説明をさせ
ていただきますが、資料の4の左側に、総務部所管分の表がござます。
- 10 -
これが私どもの所管している部分でございますけれども、旧用途で申し上げますと、庁
舎敷地、学校敷地、職員公宅敷地等がございます。
これらについて、売却を進めてきているわけですけれども、組織の見直しや庁舎の統廃
合、あるいは学校の統廃合、職員削減等に伴う公宅利用の減、公宅の集約化、こういった
こともございまして、新たに未利用地、低利用地とするものが増えておりまして、面積は、
平成21年時点で申し上げますと、全体で236万1千㎡、これだけの面積が全道に点在してお
ります。
それから私どもが所管している以外に、水産林務部、建設部所管分ということで、旧苗
畑、旧河川・道路用地、こういったものもございます。
これらにつきましては21年現在でトータルで137万6千㎡ほどございます。
これらを抱えて、売却促進に取り組んでおりますけれども、なかなか売却が進んでいな
いというのも現状でございます。
その売却の実績について、資料の5の方でお示ししてございます。
平成18年から売却促進に取り組んで参りまして、18年、19年はそれなりに実績が上がり
まして、平成19年には、私ども、総務部所管の、いわゆる庁舎用地、あるいは職員公宅、
学校敷地、こういったものの売却で39億円ほどの売却を上げることができました。
ところが、ご承知のとおり、20年秋のリーマンショック以降、経済情勢も厳しく、また、
不動産市況も大変厳しくなったという影響もございまして、20年度におきましては、私ど
もの所管でいいますと、6億3千万円ほどの実績に落ち込んでしまい、トータルでも7億4千
万円という厳しい状況になってございます。
こういった中で、今年度もいろいろと関係者のご意見等もいただきながら取り組んで、
21年度、1月末現在で申し上げますと、トータルで14億、私どもが所管している部分で、
12億の実績となってきてございます。
私どもとしては、何とかもう少し実績を伸ばしたいということで取り組んでいるところ
でございます。
次に、資料の6をご覧いただきたいと思います。
道における売却促進策の検討についてでございますが、まず、今年度の取組について若
干ご説明させていただきたいと思います。
まず、不動産関係者との意見交換会、これは、昨年7月の10日に、日本ツーバイフォー
建設協会、プレハブ建設協会の7名に出席をいただきまして、不動産市況の状況等、ある
いは道の売却の取組への提案等をお聞かせいただきまして、その後の取組の参考とさせて
いただいたところでございます。
また、売却促進の具体的な取組として、大規模画地の分割売却ということについても取
り組んでございます。
これにつきましては昨年度の有識者懇談会でご提言をいただきまして、取り組ませてい
ただいたところでございます。
参考資料の1と1の2で示しておりますが、函館の物件、それから池田町の物件について、
これまで、大画地というものを、函館の物件については、一部を中区画とするため4区画
を一つにし、残りを5区画に小分割して競争入札にかけてみましたけれども、結果として
は入札参加者がいなかったと、非常に残念に思っております。
- 11 -
また、池田町の例につきましても、小区画に3分割いたしまして、売却を目指しました
けれども、ここも実績が上がらなかったという状況になってございます。
この後年度内にもう1件ほど、分割売却をやってみる予定でございますが、なかなか簡
単にはいかないのかなと思っているところでございます。
それから、バルク方式一般媒介制度による売却についてでございますが、この方式によ
る売却の取組は2年目となってございます。
参考資料の2というのをご覧いただければと思いますが、札幌市内の物件も加えた29物
件を対象にいたしまして、参加される事業者に最低地方物件3件、全体で5物件以上媒介対
象とすることで参加申込をいただいて、その中で不動産業者11者に参加をいただいて、媒
介契約を締結して、11月から売却活動を始めていただいたところでございますが、現在も
まだ、取組中でございます。
この契約によって、まだ成約とまでは至ってないんですが、1件だけ何とかなりそうな
段階に来ているものがございます。
今後、この媒介制度の参加業者からご意見を伺ったりしながら、22年度の実施に反映さ
せていきたいと考えております。
それから、移動現地説明会、これにつきましては昨年7月の10日に不動産関係業者14社
21名の参加をいただきまして、札幌市内の7カ所を回って現地案内で物件の説明をさせて
いただいたところでございます。
そのほか申し上げますと、広報 PR 関係の取組として、メールマガジンによる情報発信
の充実に取り組んだとか、地方物件に関しましては、その物件の所在する市町村のご協力
を得て市町村の広報誌で周知を図ったとか、あるいは住宅情報誌の活用、不動産ウェブサ
イトといったところも初めて活用して周知に努めたりしたところでございます。
こういった中で、先ほどふれました今年度の実績、昨年よりは増えているわけですけれ
ども、まだまだ私ども努力をしなければいけないと思っておりまして、様々な方からのご
意見を伺いながら効果的な取組を工夫していきたいと思っているところでございます。
そういった中で2点ほど、資料6の2ページ目になりますけれども、個別的に各委員の皆
様方からご意見を聞かせていただければという部分であげておりますが、1点は、大規模
画地の分筆売却についてでございます。
なかなか実績が上がらなかったんですが、その一つとして、従来はどちらかというと不
動産関係業者を対象にした周知等々に努めてきたところでございまして、個人客層を対象
にした周知 PR というところでは若干私ども力が足りなかったと、この辺の個人客層を対
象にした PR の仕方について委員の皆様からご意見を聞かせていただければ大変ありがた
いなと。
それから3番目のバルク方式一般媒介制度による売却についてでございますけれども、
これについても、2年目にしてやっと成約物件が出るのかなという状況ですが、もっとこ
の辺を生かせるプロの方々のノウハウを十分に発揮していただきながら売却促進できるよ
うにするには、どうしたらいいんだろうかということで、各委員の方々からのご意見を伺
い、また、今年度媒介制度に参加いただいた業者の方々からご意見をいただいて、来年度
の取組に反映したいと、こんなふうに思っておりますので、後ほど委員の皆様からのご意
見をお聞かせいただきたいと思っております。
- 12 -
最後になりますが、22年度における遊休資産売却のための新たな取り組みの方向性につ
いてでございますが、これまで私どもの取組というのは、不動産デベロッパー等に売却す
ること等を想定しながら、そちらに力をおいて取り組んできたのかなという部分もござい
まして、この辺を少し変えて行ってはどうかと私ども内々考えているんですが、そういっ
た方向性がどうなのか、その辺も含めて委員の皆さんのご意見をお聞かせ願えれば大変あ
りがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【石井座長】
どうもありがとうございました。
まず、ただいまのご説明につきまして、ご質問があれば受けたいと思います。
これは、函館と池田町の物件が全然反応がなかったということになるんでしょうか、参
加申込がなかったということは。
【遠藤参事】
函館の物件の中区画といいますか、4区画を囲っている部分、この部分についてはちょ
っと問い合わせはありました。
ただ、その後は反応なしということで、残念な結果になっております。
値段につきましては、中区画のところは面積で若干大規模的な評価をしたり、その辺は
配慮はしてるんですが。
【吉田委員】
一般的には高いものは売れません。
鑑定する立場からはどうですか。
【市川委員】
一般論として、日頃不動産を見ている関係では、札幌あたりですと、住宅商業地のマン
ション用地や共同住宅等の収益物件がかなり需要を減退させている、特に、土地が上がっ
たときは、投資のリートだとか、ファンドとかそういうお金が入ってきて、地価が上がっ
たんですけども、リーマンショック以降、経済不況になりまして、不動産市況の投資マイ
ンドが冷えてしまっていることが、価格を大きく下げている原因で、札幌の駅前通ではほ
とんど取引が1、2件ぐらいで、ご存じのように、百貨店も閉店とか、そういうことで、か
なり経済も疲弊してしまっている関係もありまして、なかなか買おうと思っても購買者の
方のマインドが冷え切ってまして、なかなか手を挙げないし、これから賃金も下がるかも
わからないので、後にしているというのが実態かなと思います。
私は函館のほうとか池田はよくわかりませんが、基本的には価格の値付けのところが、
総額で、引き合いがあるかどうかという、そこら辺のマーケット分析をして、あと、札幌
ですと仲介業者の方に頼んでお客を紹介してもらうとか、そういう風な工夫をされて、実
績が上がっていると聞いておりますので、そんな形も参考にされて、北海道さんもやられ
るといいんじゃないかなと思います。
具体的には吉田委員のほうが詳しいと思いますので、どうでしょうか。
- 13 -
【吉田委員】
今日は、宅建協会から篠原さんと私が来て、不動産のことは慣れておりますが、はっき
り言って今は売れていません。
それで、いろんな取組をして、多分、土地は値上がりするだろうと、きっとずっと思っ
てやってきたと思うんですよ。しかし、もう、多分上がらないと思うんです。
我々はお客さんに対しては、値下げするのを仕事にしています。
すぐ売り買いできる人もいるし、時間かけて、値下げして、値段があったときにお客様
が買うと思うんです。
それと、競争入札は、私は客観的にどうかと思います。
競争ということは、高く入れなければならない、それが最低だと、それで、その最低が
高ければだれも入れないのではないかなと思います。
競争ではなく順番制にすれば買えると思いますが、あと、バルクで宅建業者さんといろ
いろ取り組んでいられるんですが、まだ、協会のほうでも全体にはまだ十分に伝わってい
ないと思いますので、ネットとかいろいろやったほうがいいと思います。
価格は日々動いてます。ちょっと前よりは今下がっています。業者はだいたい全道に30
00社いますので、活用できればと思います。
【石井座長】
どうもありがとうございます。
【遠藤参事】
ご意見いただきまして、ありがとうございます。
一つ、私どもの取組について申し上げますと、基本的にはまず、競争入札を行って、応
札者がない次の段階として、先着順、早い者勝ちということで、そのときは最低価格、競
争入札の際にオープンにしている最低価格以上の価格で応じていただければ、一番最初に
申込をされた方と契約させていただく、というような対応をさせていただいております。
この辺の価格につきましては、民間の不動産業者であれば、客のニーズ等も踏まえなが
ら、即座に価格を見直したりできるんですが、地方公共団体の場合は自治法という中で単
純に価格変更ができないことになっています。
そういう縛りもあって、非常に動きが取りづらいところがございます。
そこが私どもも現実の対応として、これまでもいろいろ不動産関係業者の方から実態に
合うように、日々、価格は変わっていくんだから、そこを対応したらどうなんだというご
意見もお聞かせいただいておりますが、なかなかそこは、今の仕組み上、即対応できない
状況にあるというのも、ご理解いただければと思います。
【石井座長】
今のところの、柔軟に対応できないという部分のお話を、もう少し具体的に、自治法の
どういう制約があって、どういうふうなら価格改定ができることになるのかといったとこ
ろをご説明いただけますか。
- 14 -
【遠藤参事】
まず、自治法では競争入札が原則です。
競争入札のときは、それぞれの自治体で売却する価格を決定しますが、その際は、不動
産鑑定士等の精通者から鑑定評価書を取るとか、意見書をもらって、それをベースにしな
がら価格設定する、それで競争入札にかける、それで売れない場合は、競争入札に付した
条件を変えないで随意に契約はできる、という仕組みです。
また、一度決めた価格の有効期間がありまして、その間は動かせない、その期間を超え
て、新たに売却を行うことになれば、評価をし直して、その時点で時点修正するなりして、
地価が下落していれば下げる、上がっていれば上げるという形で価格設定を変えてもう一
回売りに出すということになります。
【石井座長】
有効期間はどれくらいですか。
【遠藤参事】
有効期間は、一年間でございます。
お客さんが来て、こういう値段なら買えるという話が来ても、売りたい気持ちはあるん
ですが、制度的に対応できない状況です。
【石井座長】
今の話は、まけてあげることはできないということですよね。価格が適切であればまけ
る必要はない、考え方はそういうことですね。
【遠藤参事】
価格設定がどうかと、評価額がどういうふうになっているのかと、それが高めなのか、
皆さんが見て、私どもは、専門家の方の不動産鑑定書を取ったり、精通者の意見を聞きな
がら、数字を出しております。
それが高いといわれれば、高いのかもしれませんが、私どもはそういうものをベースに
して数字を出してるもんですから、それが適正というふうに考えております。
そこがちょっと場合によっては乖離が出て来ているものもあるかもしれません。
【市川委員】
こういう時代だと、売却はなかなかできないので、売却によらない処分方法というもの
を、可能かどうかわかりませんが、定期借地権で、20年くらいにしてやれば、比較的安い
地代で借りられるということになれば、需要が出てくるかもしれません。
すべて売却だけに頼っているとなかなか身動きできないときの一つの選択肢としてそう
いうことも考えてみたらいいのではないかと思います。
【石井座長】
- 15 -
定期借地権を使う場合は、道庁が直接個人に貸すようなイメージはなかなか考えにくい
んですが、方法はどうですか。
【市川委員】
昔の住宅公団、今の UR さんは、定期借地権によって、分譲してもなかなか売れないの
で、そういうところについては定期借地権を設定して地代を徴収する、期限が来たら返し
ますが、その方法だと比較的安い地代で建物を建てられますから、そういう形でかなり実
績を上げてますので、参考になると思います。
市町村でもやっているところもあると思います。
【石井座長】
市町村が直接ですか、法人に一括して貸して建てさせるということではないですか。
個人が直接借りて建てるということですか。
【市川委員】
直接貸して、契約結んでおいて、期限が来たら返してもらうという方法です。
【石井座長】
今回のご説明の観点でいうと、大規模画地の分筆売却ということでの論点、バルク方式
の一般売却制度の改善点やアドバイス、個人客をターゲットにした取組に関してどういっ
た具体的な取組を考えるべきかという三点ぐらいで特にご意見を絞って出していただけれ
ばありがたいと思います。
大規模画地の分筆売却も、従来とターゲットが変わってきたけれども、十分浸透してい
ないということもあるかと思うので、その辺はさっきも仲介ということも上手に使われて
ということだったんですけれども、そういったことだけでもだいぶん変わってくるんでし
ょうか。
【吉田委員】
役所のほうで売るとなると、構えてしまって、お客さんが引いてしまっているんです。
一般に市場に出ているのは、仲介業者が値段の交渉をしたり、時代に合わせて買いやすく
してますので、不況といえども動いてはいますから、そういうものを活用するといいと思
うんですが。例えば、有効期間を半分くらいにされるのもいいと思います。
【石井座長】
競争入札としての最低価格というのはある程度合理性をもっていると思いますが、値付
けというのも最低価格という位置づけになるわけですよね。
これ自身も出し方は全く一緒であるという考え方になるわけですか。
手続きでいうと、キャッシュをどう払うかとかそういうあたりがかなり問題になってい
るような気がするんですが、いかがですか。
- 16 -
【遠藤参事】
地方公共団体が公有財産を売却した場合は基本的に契約からいつまでの間に支払ってく
ださい、支払完了後に所有権移転しますという形になります。
仮に、分割払いを希望するとなれば、できないわけではないんですが、単に分割を認め
るということではなくて、制度的には、利息分を遅延利息と称して、銀行から借り入れす
るよりも高い利息が設定されております。
通常各自治体もそうだと思いますが、5%台の遅延利息が設定されているのではないか
と思います。
北海道においてもそういうような設定がされております。実際には現金を即確保できる
方でなければ話に乗ってこれないのかなという状況でございます。
【篠原委員】
今市場は買い手市場といわれていて、お客さんがいくらなら買うよという、そういうこ
とで現実は動いています。
ですから、なぜ売れないかというより、なぜ買わないのか、その買わない理由は、買い
づらい、高い、そして、不便だと、それを買え買えという方が無理ではないかと、なぜ売
れないのかと考えればいろいろ出てくると思うんです。
もっと買いやすく、もっと市場性のあるような仕組みを考えないと。全道に3000社の仲
介業者がいるわけですから。
ハウスメーカーにもつながっているのでいろいろお客さんが、こういう場所で、こうい
う予算で欲しいんだけどといわれれば、業者は探すわけです。
そして、売りたい人と買いたい人との間に入って、歩み寄るわけです。
買う方はこの価格なら欲しいんだけどと、売る方はそんなに安く売れないということは
ありますが、仲介業者が中に入って、直近の取引事例の資料や、事例を並べて、説得をし
ていくということをやっているわけです。
今、売却したいといった場合に、なかなか客がつかないというのは、私も実は、会社に
いたときに資料が入ってきたことがありまして、見ましたけども、ぱっと見ただけで、高
いなと、私どもはそう思います。
それ以上どうにもならないということがわかってくると、どこにも話を持って行けない
ので、この資料は、雑紙になってしまいました。
競売であっても、基準価格は基準価格であるんですが、可能価格というのがあります。
2割くらい価格を下げています。
ある人は基準価格より2割低い可能価格でダメ元で入れてくるとか、欲しい人は基準価
格より上で入れてくるとか、そして、詳しい資料もインターネット等で見れますから、か
なり入れやすいというか、判断しやすいです。
【石井座長】
厳しい意見を出していただきましたが、何とか売ろうという議論をしている以上、今の
ような意見も受け止めていただく必要があるんだと思います。
入札以外の方法は考えられないんですか、最近、コンペ方式のようなものが建築では出
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ていますよね、こういう開発もいっそ値段ではなくて、地域の整備に役立つ開発の人に売
ってやるようなやり方にしたら、価格だけに縛られるような制約から抜け出せるといった
ことにはならないんでしょうか。
町並みづくりとかというのは、道の政策ですよね、積極的に政策をやるために、売るん
だというふうに開き直って、値段だけには縛られないというようなやり方はできないんで
しょうか。そういうことを考えなければ、根本的に自縄自縛で、脱することはできないん
じゃないでしょうか。
土地をもっていることが二重のマイナスなわけですね。
もしかしたら民間事業者が乗ってくるかもしれない土地を高くふっかけて売らないとい
う、そういう実体になっているかもしれない訳ですから、でしたら、逆手にとって、都市
機能を整備するというようなことで、遊休地を使うというような発想は全くあってもおか
しくないと思いますがいかがですか。
【遠藤参事】
全国の状況で見ますと、市町村自らがまちづくりをするレベルはあります。
事例はあるんですが、制度として認められて問題なく進められているかというと、住民
監査請求が起きたり、訴訟になったり、そういう事例がございます。
それから、コンペをやって最優秀になられた方に売却した。ところが、そのコンペに提
案された事業というのが進んでいない、店ざらしの状態になっている、そういう事例も聞
いております。
そういった中で、都道府県の事例というのはまだ把握しておりませんし、北海道が直接
市町村の地域づくりのところへストレートに足をつっこんでいけるんだろうか、市町村が
まちづくりをするに当たって、道有地を使いたいということであれば、その土地の活用に
ついて積極的に協力するということで当該市町村に優先売却することは可能です。
そういう形で間接的になりますが、そういう処分の仕方は現時点で可能ですが、座長が
おっしゃった部分でいうと、まだ都道府県レベルでは事例はない、市町村レベルでは何件
か事例があることは承知しております。
都道府県レベルでは事例はありませんが、制度的に可能なのかどうかを研究していきた
いと思っております。
【石井座長】
無理を言っていることは十分承知しているんですが、踏み込んで、そこを突破しないと
売れる状況にないというところがスタートラインなのではないかということを改めて申し
上げたので、積極的に道として一歩踏み出すということをお考えいただかないと、状況と
しては不動産を何とか使っていくということに関して、非常に難しいんだろうと思うので、
認識として、いろんなことを考えていただく必要があるんではないかと思います。
どうしたって、価格の弾力性を一つとっても非常に大きなネックになっているというの
は多分、道サイドとしても認識を持たざるを得ない状況にあると思います。
それで、そこを何とかできないかという意味でのアイデアなり方策というものがあると
思います。
- 18 -
【富樫委員】
結局、石井先生がおっしゃったとおりだと思うんですが、不動産鑑定士の先生にお頼み
して、新価格を設けられて売られると、固定資産税評価額の問題もあると思うんですが、
極端にそれを割って売ることもできないという公的な立場は十分理解しています。
ただ、おそらく、特に札幌市以外の地方都市の物件については、必要であれば、ある程
度の値段であれば買いに来ると思うんですが、皆さん、必要がないから買われないという
ことだと思います。
単に値段が高いというより、必要がないからだと思います。
特に北海道の場合は札幌に人口が集中してきている、札幌の住宅地はある程度さばける
んですが、経済は低迷しつつもさばけるというふうには思いますが、地方の場合は、人口
も減ってきている中で、現在建っている既往住宅でさえ空き家になっている状況の中で新
たな購入者を求めるということになれば、かなり価格が低いのか、又は需要が高い土地を
売るのか、という問題だというふうに思います。
その中で、ここで採られているバルク方式、札幌の土地と組み合わせれば地方の土地も
売れるんではないかということだというふうに思うんですが、業者さんにしても必要な土
地は買いたいけれども不必要な土地は持ちたくない、道から移転されましても税金も払わ
なくてはいけませんし、そういう風なことだと思うので、現段階では売れる土地から売ら
れたらどうなのかなと、地方の土地が売れ残るようなことがあっても現段階としてはやむ
を得ないことではないかなと、極端に低い価格でもお売りできないし、需要も少ないしと
いうことであれば、バルクで掲げている需要のある札幌の土地から順番に売られてはいか
がかと、確かに、需要のある土地だけを売って、需要のない地方の土地が残るのは困った
ことだと思うかもしれませんが、札幌の土地だけでもそれなりの価格で売れた方がいいの
ではないかと私としては考えます。
【石井座長】
一般的なバルクのメリットは、このケースでいうと、札幌市外の物件はおまけでついて
きましたと、そういう感じに、トータルの価格としてなるような、そういう価格条件の中
でバルクっていうのは合理的な意味合いを持つと思うんです。
だから、一つ一つの価値を主張していって、バルクだっていうと、今富樫委員が言った
ように、バルクのメリットがなかなか出にくくなる、というか、トータルいくらで売って
くれみたいな、そういう形にバルクがなっているんだったら、ある種のインセンティブに
なりうるかも知れないんですけど、そこら辺はそうは厳密にはなっていないんですよね。
【遠藤参事】
今、道が行っているバルク一般媒介方式なんですが、公募いただいた業者さんに、自ら
媒介対象物件として扱っていただく物件をいくつか選んでもらう、今年度については、地
方物件は3件扱っていただきたい、全体で5件以上扱っていただくことにしています。
その中で1件でも仲介していただければそれで契約が成立するという形ですので、すべ
てセットで売ってくださいというわけではありません。
- 19 -
【海野委員】
函館の物件は、一つも売れていないんですか。
【遠藤参事】
はい。
【海野委員】
坪単価から言うと、13万円台から15万円台後半ぐらいじゃないですか。
坪単価的にはそんなに異常に高いとは思わないんですが、こういうのは、不動産鑑定士
の価格基準に基づいて、参考にして付けたということですが、実際土地が売れるか売れな
いかというのは、よっぽどおかしな使いようのない土地を別にすれば、価格を安くすれば
売れるわけです。
ということは、簡単に言えば、価格が高い、特に個人客をターゲットにするのであれば、
マーケットをどうやって捕まえるかということが一番大切ではないでしょうか。
マーケットを正確に捕まえてこの値段だったら売れますよというのは、不動産鑑定士は
あくまで理論上の話をいっているだけであって、先ほども宅建協会の方もおっしゃってま
したが、お客さん実需なんです。
だから、現状をもっと正確に捕まえなきゃいけないわけです。
例えば、この函館のものであれば、単価は別にして、個人のお客さんが買えるか買えな
いかというのは、ローンの問題もあって、支払の問題ですよね、結局、総額じゃないです
か、土地代と、それを買ってどうするのかと、土地の上に建物を建てるわけです。
総額では3000万円以下、函館のマーケットではちょっと高いんじゃないのかと、例えば
総額グロスで2500万円とか、そういうのが、安心価格です。
それからすると、この土地の切り方といいますか、この面積は地区協定によるものかど
うかわかりませんが、もっとグロスを圧縮して、細かく切るとか、そういった工夫が全然
足りないんじゃないかなと、プロとして感じます。
その辺はどうですか。私は現地に行ってないので、それ以上のことは申し上げられない
んですが、もう少し幅広くお客さんの意見を聞いて反映させていく姿勢が非常に大事なわ
けで、机上の空論ばかりで、これで売れるはずだとかいっているだけで、現実を見てらっ
しゃらないのではないかなと、感じてしょうがないんです。
ですから、もっと直接お客さんと接してる業者の方だとか、エンドユーザーになるべく
近い方の意見をよりたくさん聞いて、それを仕事に反映させる姿勢が大事ではないかと思
います。
【市原次長】
次長の市原と申します。
大変厳しいご意見をいただいて、今、海野委員のお話もお聞きしましたが、今までいろ
いろ、試行錯誤をしながらいろいろなことをやってきて、確かに地方自治法の中で、売却
に関する規定があるわけで、法律を変えるところまではなかなかできないので、それ以外
- 20 -
のことで何ができるのかと、例えば、先ほどの価格設定した期間を一年ではなくてもっと
短くできないのかとか、分筆する前に、道が勝手に決めるのではなくて、一回さらしてニ
ーズを聞いたうえで面積を考えるとか、そういったことも、いろいろこれから検討してい
かなければならないというふうに考えております。
また、座長が最初に言われた売却の方法の中で、道自らもう少し何かできないのかと言
うことですが、これは中でも当然いろいろ議論してきているわけです。
どうしても我々は悪い癖かもしれませんが、失敗事例なんかも見てきているものですか
ら。また、その方向に進むとなれば、我々総務部だけではなくて、全庁を巻き込んだ形の
中でしなければなりませんし、また、そういったときにちょうどいいスペースの土地があ
るのかないのかですとか、いろいろ検討はしております。
大変厳しい意見をいただいておりますが、本当にこういう意見が我々にとってありがた
いと言いますか、一つ一つ持ち帰って、検討させていただきたいと思います。
【石井座長】
他にはよろしいですか。
今現在、売却の問題というのは、率直に言うと悪戦苦闘されていると思うんですが、民
間を見ていても、大きく組織をリストラするときは、資産をどう整理して、トータルとし
て有効活用すると言うことで、遊休資産についてどう処理するかと言うことは、一個一個
の区画の問題よりは極めて大きな問題ではないかという、むしろ、委員サイドはそういう
問題意識の中で議論をさせていただいたという点を申し上げますので、是非、踏まえてい
ただければと思います。
道においても、次につながっていくいろんな展開の可能性というのは当然お考えになっ
ていることは承知しておりますが、この議論が非常に重要な意味を持っているのではない
かと考えております。
この議題はいろいろな観点での意見が出ましたので、このくらいにしたいと思います。
その他ということで、特にございましたら。
【海野委員】
道有地の処理の問題だけではなくて、前段の、ファシリティマネジメントのコストの縮
減なんですが、特にファシリティコストの削減については、NTT の方から非常にいい題
材をいただきました。二番目のほうの有効活用の問題もそうですが、民間のそういったノ
ウハウを有効に活用されていらっしゃらないと私は思えてならないんです。
例えば前段のコストの圧縮についても、例えば、NTT さんがこういう形でおやりにな
っているんだったら、素直にやり方を踏襲するかは別ですけど、どういう形でやっている
のか、現場を見せてもらって、それがもし良かったらそのままそちらのほうで使ったらど
うでしょうか、現状認識が非常に大事ですから、現状をこちらのほうの会社にお願いして
全部調べていただいて、お金かかるかどうかは置いといて、そういったことをおやりにな
ってもいいのではないでしょうか。
【市原次長】
- 21 -
今のお話を踏まえまして、今後どういう形でできるか、検討させていただきたいと思い
ます。
【石井座長】
道有財産の有効活用という視点で、是非、様々な観点でのご対応を積極的にご検討いた
だきたいと思います。
今の市況の中で不動産を売るというのは大変しんどいというのは皆さん共通認識で、そ
ういう状況の中でどう進めるかということにさらに踏み込んでいく必要があるというよう
なことでのお話だろうと思います。
ぜひ、よろしくお願いします。
それでは、特によろしければ、懇談会は今年度はこれで最後だと言うことなので、市原
次長から一言ごあいさつお願いできればと思います。
【市原次長】
どうもありがとうございました。一言ごあいさつ申し上げます。
委員の皆様には、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、今いろいろ講義をいただ
きましたファシリティコストの縮減、あるいは、道有財産の有効活用策について、大変貴
重なご意見をいただきました。
また、本日は久島委員から現場におきまして実際にやってらっしゃるファシリティコス
トの取組についてご紹介いただきました。
これについても、先ほど申しました観点で、道といたしましては、このような貴重なご
意見を参考にして、今後も、有効活用に向けて、積極的に取り組んでいきたいと思います。
最後になりましたが、石井座長をはじめ、委員の皆様方には、この懇談会にあたり、お
忙しい中、そしてまた、貴重なご意見をいただきましたことに改めてお礼を申し上げたい
と思います。
本日はどうもありがとうございました。
【石井座長】
どうもありがとうございました。
二度の開催で、十分に議論ができなかった部分もあるかと思いますが、非常に大きなテ
ーマに対して、いろんな形で意見を委員の方々に出していただきまして、ありがとうござ
いました。
是非、ここでの趣旨を活かして、道のほうにおかれまして、さらなる施策の展開をお願
いできればと思っております。
これを持ちまして、当懇談会を閉会させていただきます、本日はどうもありがとうござ
いました。
閉会
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