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サービス業 - 東京都産業労働局
59 Case Study 株式会社イーフラッグ 派遣先ゼネコンのBCPと意識を合わせ、 被災後の役務提供を継続 事業概要 主力事業は、大手ゼネコンへの建設関連の専 門的かつ特殊性の高いエンジニアの派遣(正 社員として雇用し派遣する常用型派遣)。派 遣社員の業務は施工管理・設計・積算・事務 等、数十億円規模の建設現場を管理すること もあり、社会インフラを支える。 BCPの 概 要 策定を 終えて 行うため緊急連絡網を整備し、行動指針を 記した携帯 BCP を配布。 ● 発災後すぐに役務提供を求められた場合を 想定し、社員や派遣先の被災状況や稼働状 況等を確認する役務管理業務を早期に立ち 上げる。この業務に使用する PC やデータ 労働者派遣事業 の 破 損 に 備 え、IT の バ ッ ク ア ッ プ 対 策 を 代表取締役社長 検討するとともに、ノート PC とポケット 対象リスク 滝浪 彰人 WiFi を導入。これらを利用して被災状況・ 東京湾北部地震 業務再開見込み等の情報発信も行う。 ● 建物の倒壊等により本社事務所が利用でき 会社概要 称号:株式会社イーフラッグ 本社所在地:東京都千代田区内神田 2-7-12 設立:2007 年 4 月 資本金:1,000 万円 従業員数:46 人 代表者:代表取締役社長 滝浪 彰人 URL:http://www.e-flag.co.jp 60 BCP を策定。 ● 派遣先社員の安全確保・安否確認を確実に BCP 対象事業 Case Study ● 主力事業である労働者派遣事業を対象に ない場合には、仙台事務所に執務場所を移 動して業務を継続する。 対策の ポイント お客様である大手ゼネコ ンの BCP と整合した行 動ルールを持ちたいとい うことが取組の最大の理 由でした。ようやく意識 ● 緊急連絡網の整備、行動指針を盛り込んだ 携帯 BCP の制作、仙台事務所での業務継続、 データバックアップ レベルを合わせることが できました。今後、各部 で検討を重ね、全社展開 していく予定です。 栄和建物管理株式会社 多岐にわたる建物管理業務ノウハウを 集大成してBCPを策定 事業概要 BCPの 概 要 ● 管理しているビルのうち、モデルケースにな るビルの設備管理事業を対象にBCPを策定。 策定を 終えて ● 発災後は避難誘導・安全確保・安否確認・設 備点検による被害状況の確認・各関係先への 報告・応急措置・設備復旧等の業務を行う。 ● 負傷者や帰宅困難者の発生、設備機器の損傷 による建物機能の大幅低下を想定し、初期対 応及び代替要員の確保についての対策や手順 BCP 対象事業 を策定。 設備管理業務 ● 社員の出社困難については、他業務や現場か ら社員を配備。平時の定期的な教育訓練や現 対象リスク 場交流により体制構築を図り、協力会社とも 代表取締役 小網 英彦 東京湾北部地震 連携する。無線電話等による緊急連絡の即時 有効性の高い BCP を策 会社概要 対応や損傷した設備の応急処置、設備の専門 定できました。今回の取 称号:栄和建物管理株式会社 本社所在地:東京都港区南青山 1-1-1 設立:1958 年 7 月 資本金:3,000 万円 従業員数:1,560 人 代表者:代表取締役 小網 英彦 URL:http://www.etk.co.jp サービス業 1958 年に創業して以来、オフィスや居住 の快適な環境を実現するための建物管理サー ビス事業を全国展開。主にオフィスビルやホ テル、病院、商業施設、住宅などに対して、 清掃業務、設備管理業務、警備業務、マンショ ン管理業務など、建物管理のプロとしての高 品質なサービスを提供している。 会社との連携など速やかに復旧活動を行う。 対策の ポイント ● チェックリストに基づいた情報収集、他部門 の要員による応援体制構築、教育訓練や現場 交流実施、無線電話による緊急連絡、協力会 社と連携した業務遂行、ビルオーナーやテナ ント等建物関係者への予防対策提案 組によりスタートライン に立つことができまし た。ここからが始まりで す。すべての事業、支店、 グループ会社に BCP を 展開していくことが重要 と考えています。 平成 24 年度 東京都BCP策定支援事業取組事例集 45 61 Case Study 株式会社エコワスプラント 産業廃棄物処理の継続によって 被災地の早期復旧に貢献 事業概要 大手ゼネコン・ハウスメーカー等を主な顧客に、 産業廃棄物処理業を中心に一般廃棄物処理業、 解体工事業等を行う。多摩最大級の廃棄物中間 処理プラントを有し、持込から自社による収集 まで多種多様なサービスを提供。環境省による 「処理業者優良評価制度」優良認定を関東で最 初に取得。再資源化率は 95%を超える。 BCPの 概 要 ほぼすべての経営資源を使用できない状況を想定。 ● 道路と車両の被災状況に応じて、一時中断すべ き案件と継続すべき案件を選別。ドライバーの 安否連絡や車両乗り捨て等の行動基準を定めた。 ● 重機・機械・装置の被災状況確認後、自社内で 対応可能か、代替拠点での対応が必要かを判断。 代表取締役 搬出先や販売先は、被災状況に応じて平時より 対象リスク 浅尾 洋和 協力関係にある別取引先に変更。 海溝型地震 ● 協同組合を通じて、自社対応できない場合の再 委託先との協定締結を準備。 会社概要 称号:株式会社エコワスプラント 本社所在地:東京都西多摩郡日の出町平井 34-1 設立:1999 年 1 月 資本金:6,000 万円 従業員数:59 人 代表者:代表取締役 浅尾 洋和 URL:http://www.ecowasplant.co.jp 対策の ポイント ●一部機械設備・重機のリースによる代替、 情報機器使用不可の際の既存文書及びクラ ウドサービスの活用、被災状況に応じた搬 出先・販売先の変更(平時協力関係にある 別取引先に代替)、再委託契約による自社業 務の代替対応(協定締結準備) 明確な行動ルールを策定 できたことがよかったと 思います。また、策定に 関わったメンバーの危機 意識を高めることができ ま し た。 策 定 し た BCP を実際に使えるものにす るために演習や教育に取 り組んでまいります。 株式会社エル・ティー・エス BCPによって、変革支援事業を 中長期的に見つめ直す 事業概要 サービス業 業務変革、 システム展開支援、 ERP(Enterprise Resource Planning)導入・定着化支援、シ ステム運用改善等、企業変革の推進・定着を支 援するコンサルティング会社。ビジネスアナリ ストとして、大手コンサル・SI 企業等ベンダー と大手商社・製造業の顧客の間に立ち、業務変 革プロジェクトを推進している。 BCPの 概 要 策定を 終えて を対象に BCP を策定。 平時の管理系業務のうち 4 業務を優先業務 として有事における復旧手順を検討。 ● 顧客先に常駐しているプロジェクトマネー ジャーは、社員の安否確認の結果を踏まえ て今後の勤務体制について顧客と協議し、 近隣ホテルの確保等の帰宅困難者対応を実 対象リスク 施。一方、本社では他部門人員による応援 東京湾北部地震 体制を構築。 ● 部門内での多能工化を進めるとともに、応 会社概要 平成 24 年度 東京都BCP策定支援事業取組事例集 国外取引があるため震災時にも業務プロセ ● 顧客施設内のシステムを使って行っている 業務支援事業 称号:株式会社エル・ティー・エス 本社所在地:東京都新宿区新宿 2-8-6 設立:2002 年 3 月 資本金:1 億円 従業員数:78 人 代表者:代表取締役社長 樺島 弘明 URL:http://www.lt-s.jp ● 顧客現場に常駐する業務支援事業のうち、 スの運用を止められない特定顧客の業務群 BCP 対象事業 46 策定を 終えて 設内の機械設備や情報システム、重機や車両等、 産業廃棄物収集運搬業・産業廃棄物処分業 62 出先や販売先への搬送という一連の業務は道路状 況と電力に大きく依存している。これに対し、施 BCP 対象事業 Case Study ● 産業廃棄物の収集・運搬、分別・選別・処理、搬 援要員がすぐに業務に入れるよう、各業務 のマニュアル整備を進める。 対策の ポイント ● 業務マニュアル整備、プロジェクトチーム 内の多能工化、別業務又はプロジェクトチー ム外の要員による業務の代替 代表取締役社長 樺島 弘明 BCP を策定することで 会社をいつもと異なる物 差しで見た結果、当社の 事業が顧客においてどの ような意味を持つのか、 業務支援サービスに対す る当社の考え方をあらた めて整理できました。 63 Case Study 株式会社オーケーサポート トゥエンティワン 中小企業のビジネスドクターとして、 災害時にも顧客支援を継続 事業概要 創業 70 年以上、地元荒川区を中心とした顧 客に税務・会計サービス、経営サポートサー ビスを提供。中小企業・個人事業主のビジネ スドクターとして、顧客の永続的な発展をサ ポート。きめ細かいサービスを顧客に提供し ている。 BCPの 概 要 策定を 終えて 要業務と決め、それぞれの業務のピーク時 での被災を想定。 ● 被災により、PC やサーバが破損又は停電に よって使用不能になり、社員の出勤率も低 下すると想定。また国税申告・納付等の期 限延長がないものと仮定して BCP を策定。 税務会計サービス ● サーバが損傷した場合には、バックアップ 代表取締役 データを金庫内の代替 PC にリストアする。 対象リスク 大久保 俊治 担当者が出勤不能の場合には、平時に記録 東京湾北部地震 会社概要 称号:株式会社オーケーサポート トゥエンティワン 本社所在地:東京都荒川区町屋 8-8-7 設立:1993 年 7 月(創業 1941 年) 資本金:300 万円 従業員数:14 人 代表者:代表取締役 大久保 俊治 URL:http://www.oksupport21.com 64 税などの予定申告、年末調整、償却資産申告、 確定申告等の手続き業務を中断できない重 BCP 対象事業 Case Study ● 税務書類の作成・申告のうち法人税・消費 している顧客情報を用いて代替の担当者が 常日頃からの問題意識を 対応。ネット環境が復旧しない場合には、 放置せず、それを解決で 印刷又は手書きで申請書類を作成。 対策の ポイント きる体制や仕組みができ ていれば災害時にも対応 ● 各種ソフトの保管場所の変更、事務所内の 耐震対策、データバックアップ運用の検討、 顧客ファイルを活用した代替要員による対 応、パートナーシップを結んだ会計事務所 での業務継続 できると思いました。今 後はお客様の発展を支援 す る 上 で、BCP の 視 点 からも指導できるのでは と感じています。 株式会社庚伸 速やかな状況確認で、 派遣スタッフの早期稼働を実現する 事業概要 BCPの 概 要 含む)を抱える人材派遣事業を対象に BCP 策定を 終えて を策定。また、発災直後に起こる稼働・未 稼働スタッフの再配置など人選等の管理業 務と、顧客への請求及び支払業務を重要業 務とした。 ● 従業員の管理はサーバシステムに依存して いるため、バックアップの活用や復旧の手 BCP 対象事業 順を明確化。システム復旧までの間は、紙 人材派遣事業 の管理ファイルと携帯電話を活用。 ● 被災状況と派遣従業員の業務への影響、ス 対象リスク タッフの出社確認、今後の対応に関する要 東京湾北部地震 会社概要 称号:株式会社庚伸 本社所在地:東京都中央区八丁堀 2-26-9 設立:1990 年 10 月 資本金:3,597 万円 従業員数:193 人 代表者:代表取締役 宮澤 敏 URL:http://www.koushin.co.jp ● 最も汎用性が高く多くの従業員(派遣社員 サービス業 快適なオフィス環境のコンシェルジュを目指し、 法人向け OA 機器等の販売と保守、システム開 発、人材派遣など多彩な事業を展開。効率的で 低コストを実現したオフィス設計から、情報シ ステム開発、人材派遣を含めたシステムのオペ レーション業務まで、より高い生産性を発揮す るための総合的なサービスを提供している。 代表取締役 宮澤 敏 望・要求等、緊急対応後に派遣先と交渉す 今後は他部門への横展開 べき項目を整理した。 はもちろんのこと、当社 のお客様への基幹ソフト やシステム導入の斡旋時 対策の ポイント ● サーバ及び PC の固定、携帯充電器の購入、 ファックスの固定、他事業所の代替拠点と しての活用、文書ファイルと携帯電話の活 な ど、BCP の 視 点 か ら 適切なアドバイスができ ると思います。 用による人材派遣事業の継続、データバッ クアップを活用したシステム復旧 平成 24 年度 東京都BCP策定支援事業取組事例集 47 65 Case Study 株式会社国和システム 全事業所の要員連携で、 情報処理サービスを継続 事業概要 顧客事業所と東京本社及び沖縄支社でデータ 入力、アウトソーシング、システム開発を提 供。正確で高品質な入力、豊富な経験と知識 を活用したデータセンターオペレーションで は幅広い業種へ情報処理サービスを提供して いる。情報セキュリティーマネジメントシス テムとプライバシーマークの認定を取得。 BCPの 概 要 ● 顧客からの納期要求が高いデータエントリーサー ビス事業を対象に BCP を策定。顧客先での従事 策定を 終えて 者が多いため、安全確保と安否確認、帰宅困難者 対応を重視。 ● 顧客の意向と自社被災状況を確認して入力の生産 管理計画を策定、要員を確保。IT・システムの復 旧後に優先案件から業務再開。 ● 被災状況によって、事業所内での対応か他事業所(沖 BCP 対象事業 縄)への業務移管かを判断。入力要員の出社困難対 データエントリー事業 策として、稼働可能要員の緊急時勤務体制、他拠点 代表取締役社長 からの応援、提携先の活用による対応計画を策定。 対象リスク 玄番 哲雄 ● IT・システムにおける入力機とサーバの損傷に対 東京湾北部地震 しては、拠点間の相互バックアップや代替入力機 東京が被災した時に沖縄 会社概要 等の利用で対応。ネットワーク使用不可時は、外 で事業継続できれば、可 称号:株式会社国和システム 本社所在地:東京都千代田区神田神保町 3-12-3 設立:1982 年 10 月 資本金:3,000 万円 従業員数:299 人 代表者:代表取締役社長 玄番 哲雄 URL:http://www.kokuwa.co.jp 66 Case Study 部記憶媒体や WiFi を活用する。 対策の ポイント 急時勤務体制及び他拠点要員の応援による代 行体制の整備、本社サーバの沖縄支社でのバッ クアップ、代替入力機の利用、沖縄事業所で の面でお客様に安心して いただけます。コストだ けでなく BCP で差別化 し自社をアピールしてい きたいと思います。 の業務代行、外部記憶媒体や WiFi の活用 株式会社シーディア 外勤技術者を守る体制の構築が、 顧客と当社の事業を守る 事業概要 主事業は、LSI 設計開発に関わる技術者派 遣事業。関東・関西を拠点に展開している。 2010 年からは九州半導体技術センターを 立ち上げ、当社の持つ LSI 設計開発技術力 と産官学連携によるネットワーク力を活かし た LSI 受託開発事業の推進も行っている。 BCPの 概 要 策定を 終えて 管理体制へ移行。従業員の生活を守るため に勤怠管理、請求・給与処理という一連の サービス業 業務が滞らない体制を構築。 ● 大阪事業所が本社の代替拠点候補となるた め、平時より本社業務を標準化し、他拠点 でのバックアップの仕組みを作る。 ● 緊急行動ルールを盛り込んだ携帯 BCP を 対象リスク 作成・配布。 東京湾北部地震 会社概要 平成 24 年度 東京都BCP策定支援事業取組事例集 業を対象事業とし、トップ不在時に被災し、 本社が使用不可になる等の状況を想定。 派遣事業、請負事業 称号:株式会社シーディア 本社所在地:東京都新宿区西新宿 3-1-5 設立:2004 年 5 月 資本金:3,000 万円 従業員数:115 人 代表者:代表取締役社長 高松 英樹 URL:http://www.seedea.asia ●ともに外勤が中心となる派遣事業と請負事 ● ● まず従業員の安否確認を行い、緊急時勤怠 BCP 対象事業 48 ● 勤務延長を考慮した備蓄、稼働可能要員の緊 用性・情報セキュリティ 高松 英樹 ● 新たな派遣案件を速やかに手配できるよう 現在は企業リスクや経営判 に他支店からの応援体制を整え、主要メン 断について、有事と平時の バーが他拠点へ移動して迅速に対応する。 対策の ポイント 代表取締役社長 ● 什器の倒落下防止、本社業務の標準化及び他 拠点でのバックアップ、緊急時勤怠管理体制 への移行、主要メンバーの大阪支店への移動、 従業員管理業務と代替スタッフ配置業務の再 開、派遣先への他拠点スタッフの再配置 境目があまりみられません。 想定外の災害が頻発してい る今、企業は BCP 策定に 取り組むべきと考えます。 BCP の有無で今後の経営戦 略作りにも、大きな差が出 るのではないでしょうか。 67 Case Study 曾我和廣税理士事務所 相互援助協定とモバイル環境で 震災特例措置に迅速に対応 事業概要 税務代理・税務書類の作成・税務相談を行う 税理士事務所。月次巡回監査、年末調整を主 とした年末・年始業務、決算業務、確定申告 等の業務及び財務・労務など管理的な部門を 支援するサービス等を提供。法人顧客約 70 社、個人顧客約 60 人で、顧客に密着したサー ビスを提供している。 BCPの 概 要 策定を 終えて も使用不可になることを想定。 時に他税理士事務所との相互援助協定を締 結しておき、有事には一時的な業務委託、 職員の融通及び執務スペースの提供を受け る。さらに IT システムのクラウド化、モ バ イ ル 通 信 環 境 の 整 備 に よ っ て、 協 定 先 事 務 所 等、 事 務 所 外 の 拠 点 で も e-Tax や 税務代理業務 税理士 eLTAX による申告を継続する。 曾我 和廣 ● 業務継続においては、有事における特例措 対象リスク 東京湾北部地震 会社概要 称号:曾我和廣税理士事務所 本社所在地:東京都新宿区高田馬場 2-17-4 設立:1983 年 3 月 従業員数:7 人 代表者:税理士 曾我 和廣 68 なくなり、またビルが古いことから事務所 ● 税理士法との兼ね合いを考慮した上で、平 BCP 対象事業 Case Study ● 被災によって税理士の有資格者が就業でき 対策の ポイント 置を迅速に入手、正確に咀嚼し、顧客の実 BCP は当事務所にとって 情に合致したアドバイスを行う。 必要不可欠な経営戦略だ と思います。今回は発災 ● 顧客預かり資料の電子化・クラウド保存、 記帳代行用会計システムのクラウド化、税 理士有資格者の複数化、相互援助協定の締 結による業務委託・代行及び職員・執務ス ペースの融通、執務環境を整備した協定先 事務所等での業務 後の特例対応に焦点を置 いて対策を検討しました が、顧客へ提供すべきサー ビスはこれで十分なのか、 今後さらに検討を進めて いきたいと思います。 株式会社太陽油化 オイルリサイクルを早期復旧し、 災害時の社会ニーズに応える 事業概要 BCPの 概 要 ● 組合との共同受注の重要性を鑑み、オイルリサ イクル事業と産業廃棄物事業の中に含まれる廃 策定を 終えて 油回収業務を対象に BCP を策定。 ● 被災後、依頼に応じて収集運搬作業を行い、中 間処理・製品製造を経て、別の顧客へ納入する。 共同受注においては組合の代理本部業務も含め、 受注処理、緊急納入調整、納入が重要業務。 ● 業務に必須となる車両・設備・機械の損傷、電 BCP 対象事業 話とファックスの通話困難、電力の停止、交通 オイルリサイクル事業、廃棄物処理事業 規制による道路の通行不能を想定。 ● 車両・設備・機械は自社や協力会社で迅速に改 対象リスク 修・修理、電話とファックスは E メール・SNS 代表取締役社長 石田 太平 東京湾北部地震 等で代替、停電・道路交通規制に対しては自家 被災後は一刻も早く事業復 会社概要 発電機の使用と緊急車両標章の入手で対応する。 旧しなければならない社会 称号:株式会社太陽油化 本社所在地:東京都板橋区三園 2-12-2 設立:1970 年 9 月(創業 1963 年) 資本金:3,000 万円 従業員数:45 人 代表者:代表取締役社長 石田 太平 URL:http://www.taiyo-yuka.com サービス業 産業廃棄物事業とメンテナンス事業の二本柱で事業 展開。汚泥や廃油等を中心に収集及びリサイクルし、 再生商品として販売している。廃棄物の収集運搬、 タンクメンテナンス、清掃事業や販売事業まで総合 的に提供でき、ガソリンスタンド等のニーズにも総 合的に対応可能。また業界で唯一、都内に廃油リサ イクル施設を有していることも強み。 対策の ポイント ● 機器類の固定(工場)、地下配管の耐震強化(積 み場)、駐車スペースの整理整頓、資材固定、自 社や協力会社による迅速な改修工事、車両修理、 E メールや SNS 等を使用して顧客からの緊急 連絡等に対応、自家発電機の使用、緊急車両標 章の入手 的責任を感じています。社 員全員がそのような意識を 持つことによって、会社全 体の意識も高まると思いま した。災害に強い会社とし て BCP を全面的にアピー ルしていきたいと思います。 平成 24 年度 東京都BCP策定支援事業取組事例集 49 69 Case Study 東京エコサービス株式会社 清掃工場の運転を継続し、 区民の環境衛生を守る 事業概要 2006 年、清掃工場のより効率的な運営と余剰 電力の販売を目的に、東京二十三区清掃一部事務 組合(清掃一組)と東京ガスの共同出資で設立。 清掃一組の 5 清掃工場の運転管理業務等を受託。 7 清掃工場の余剰電力を購入し、23 区内の小中 学校等 149 施設へ供給するとともに、特定規模 電気事業者として電気販売事業も行っている。 BCPの 概 要 宅・出社困難を想定。 工場設備については清掃一組の指示のもとで稼働 可能な設備を選定し、運転計画を決める。 ● 要員については、稼働可能人員の勤務時間延長・ 宿泊等と他工場からの応援で対応。 ● 主要設備・IT の稼働、要員の確保、電気・水道 代表取締役副社長 等インフラの復旧等を確認後、工場の運転を再開。 対象リスク 本間 敏幸 ● 本社では、5 工場の被災状況と運転計画に沿って 東京湾北部地震 会社概要 称号:東京エコサービス株式会社 本社所在地:東京都港区芝大門 2-8-13 設立:2006 年 10 月 資本金:2 億円 従業員数:232 人 代表者:代表取締役社長 佐藤 良美 URL:http://www.tokyoecoservice.co.jp 対策の ポイント 要員調整、物資の支援を行い、清掃一組の指示に 他の工場でも参照できる 従い早期復旧を図る。 共通部分の多い BCP が ● 安否確認システムによる要員確保、災害時優先電 話の活用、中央制御室における転倒防止、緊急時 要員計画(稼働可能人員の勤務時間延長)による 対応、緊急点検による稼働可能な炉の選定・設備 稼働準備、本社及び工場の IT 機器のバックアッ プシステムの使用 策定できました。今後は 緊急時に誰がどこまで担 当するのかをすり合わせ、 清掃一組との役割を明確 にし、本社や各工場での 周知訓練を通して、当社 の BCP を定着させたい。 東京共同会計事務所 事前の交渉と万端な準備が、 資金決済を継続させる鍵となる 事業概要 サービス業 会計・税務、財務に関する専門性の高いコン サルティング・サービスを提供し、社員の約 半数が、公認会計士、税理士、司法書士等の 資格を持つプロフェッショナル集団。証券化 などの仕組みを利用した新しい金融商品に対 して、財務会計処理を支援するストラクチャー ド・ファイナンス事業を主力事業としている。 BCPの 概 要 策定を 終えて 可、資金決済指示者の 3 ~ 4 割と連絡がと れないことを想定。 ● まずは、多額の資金が動き、停止すれば関 係先への影響が大きい資金決済業務を復旧。 ● 業務の継続には、担当者からの決済指示と その指示内容を記した DB 情報、当社の振 込担当者、印鑑や通帳等が必要不可欠。 対象リスク ● 計画的に前倒しして管理業務を処理する。 東京湾北部地震 会社概要 平成 24 年度 東京都BCP策定支援事業取組事例集 スを対象に BCP を策定。代表パートナー、 在時に発災し、停電によるシステム使用不 ストラクチャード・ファイナンス事業 称号:東京共同会計事務所 本社所在地:東京都千代田区丸の内 3-1-1 設立:1993 年 8 月 資本金:500 万円 従業員数:148 人 代表者:代表パートナー 内山 隆太郎 URL:http://www.tkao.com ● 主力事業のストラクチャード・ファイナン システム責任者、資金決済業務責任者が不 BCP 対象事業 50 策定を 終えて ● まず被災状況を把握、設備点検を行い、破損した 清掃工場の運転管理事業 70 一時停止、サーバの使用不可等、厳しい被災状況 を想定した。人員については負傷者の発生及び帰 BCP 対象事業 Case Study ● 停電・上下水道停止、配管の破損等による工場の ノート PC にバックアップをとって DB 情 BCP を策定していく中で、 報を取得。取引銀行とは事前に緊急時対応 非常時にいかに社員の安全 について協議。 対策の ポイント 代表パートナー 内山 隆太郎 ● サーバと DB のノート PC によるバックアッ プ、ノート PC とポケット WiFi によるデー タ処理、緊急時の資金振込業務について銀行 との事前協議、平時からの期中管理業務の計 画的な前倒し処理、安否確認システムの利用 を守りながら、事業継続の ための指示を出すかという、 トップマネジメントの判断 力・責任の重さを痛感しま した。全体としては、日常 の業務改善にもつながるも のができたと思います。 71 Case Study 社会保険労務士法人東京労務 職員の「人命」 と、顧客の「情報」 を守り、 企業の労務サポートを継続する 事業概要 職員数 31 名。うち社会保険労務士 15 名で 業界内では大手。企業の労働保険・社会保険 の事務手続き、給与計算、労務相談等を行う 人事・労務の専門家集団として、顧問先企業 に万全のサポート体制を提供している。 BCPの 概 要 ● 既存顧客の社会保険労務士業務を BCP の 対象とするが、一部、発災後の保険料減免 策定を 終えて 等の震災特例対応については、新規依頼を 受ける。 ●業務遂行には、社会保険労務士や事務職員 などの人員、そして顧客情報が必須となる が、職員の半数が出社困難となり、基幹業 務用サーバが破損するなどの状況を想定。 BCP 対象事業 ●人員の不足に対しては、業務の標準化とグ 社会保険労務士業 ループ体制の運用により属人性を低減し、 代表社員 代替要員により業務を実行。また、顧客情 対象リスク 金田 修 報は、セキュリティレベルの高い外部スト 東京湾北部地震 レージにバックアップをとるなどの対策を プロジェクトメンバーと 会社概要 講ずる。 ともに、率直に意見や感 称号:社会保険労務士法人東京労務 本社所在地:東京都港区芝大門 1-2-19 設立:2003 年 10 月 ( 創業 1972 年) 資本金:500 万円 従業員数:31 人 代表者:代表社員 金田 修 URL:http://www.tokyoroumu.com 72 Case Study 想を出し合いながら取り 組めたことは、非常に良 対策の ポイント ● サーバ・什器・備品等の防震・転倒対策、 印鑑等重要資産の貸金庫への保管、グルー プ体制によるバックアップ要員の育成、代 替要員による業務遂行、顧客情報の外部ス トレージへのバックアップ及び切替え かったと思います。今回 の活動結果を受けて、新 たにBCPチームとITチー ムを編成し、BCP を推進 していくことにしました。 株式会社ビーベストワーク ノンアセット型3PLとしての BCPにより物流支援事業を継続 事業概要 ノンアセット型 3PL 企業として、物流セン ターの運営管理、商品管理作業、流通加工業 務全般、構内作業及び貨物仕分けの請負、物 流に関するコンサルティング等の物流業務全 般並びに発送代行サービス及び庶務業務サー ビス等の販売支援業務を行う。 BCPの 概 要 ●主要顧客が同じであるため、物流支援事業・ ● 販売支援事業の両方を対象に BCP を策定。 策定を 終えて ●両業務において最重要経営資源は人。全従 ● 業員の住所を洗い直したところ、11%が通 勤困難者になると予想。負傷率低減のため 防災対策、防災教育等の対策を講じた。要 BCP 対象事業 が、すべて顧客保有のため、今後顧客と協 物流支援事業及び販売支援事業 議していく。使用不可の場合は手作業で対 応。 対象リスク ●本社作業スペースが被災した場合は、販売 代表取締役 剱持 正和 東京湾北部地震 支援業務を継続するために近隣で作業場を 丁寧さ、品質における信 会社概要 確保する。 頼性に加え、危機的状況 称号:株式会社ビーベストワーク 本社所在地:東京都中央区八丁堀 2-29-14 設立:1999 年 4 月 資本金:1,000 万円 従業員数:38 人 代表者:代表取締役 剱持 正和 URL:http://www.beebestwork.co.jp サービス業 員が不足する場合は協力会社から手配。 ●物流支援にはシステムや設備機器が必要だ 対策の ポイント での事業継続力という信 ● 倉庫での荷物の配置・置き方の検討、書庫 や棚の防震対策(会社及び自宅 )、PC 防震 対策、入出荷の手書き処理、協力会社への 要員手配依頼、本社近隣での作業場の確保 頼性を高めることができ ました。BCP の策定は企 業力の向上につながると ともに、個人や組織の強 化につながります。他企 業様にもお勧めします。 平成 24 年度 東京都BCP策定支援事業取組事例集 51 73 Case Study 株式会社防災サービスセンター 受付体制の強化と協力会社との連携で 緊急対応をスムーズに 事業概要 1967 年に消防設備メンテナンスを主要事 業として設立。消防法に基づく法定点検を基 幹業務に据え、修理や改修工事、機器用品ま で消防設備全般にわたるメンテナンスサービ スを提供して現在に至る。あらゆる建物の、 すべてのメーカーの設備に対応できるワンス トップサービスを強みとしている。 BCPの 概 要 の連絡に対して担当者が電話により対応、もし くは緊急対応チームと協力会社が連携して現地 にて対応。 ●顧客からの受付は、受電を PHS や携帯電話へ切 り替えて対応。充電用発電機を購入し、災害時 メール受付体制の準備等も検討。一次対応では、 代表取締役社長 10㎞圏内の顧客先にはノーパンクタイヤの自転 対象リスク 橋田 繁一 車で現場に向かうこととし、それ以上の遠方は 東京湾北部地震 近隣の協力会社が直接顧客先へ向かう。 ●協力会社へ災害時協力依頼を実施し、協力会社と 会社概要 称号:株式会社防災サービスセンター 本社所在地:東京都大田区多摩川 1-11-7 設立:1967 年 3 月 資本金:1,000 万円 従業員数:20 人 代表者:代表取締役社長 橋田 繁一 URL:http://www.bousai-sc.co.jp 顧客の位置関係を記した協力会社マップを作成。 対策の ポイント ●全社員へのヘルメットと安全靴の準備、建物 内の減災措置、災害時用メール受信体制の強 化、在社社員全員による受付業務支援、固定 電話から PHS・携帯電話への受付切替え、 災害時協力会社マップを用いた業務遂行 社員全員への BCP の周知 徹底や訓練の実施など、実 はこれからがスタートだと 思っております。また、多 くの協力会社と仕事をして おりますので、その協力会 社へも BCP の重要性をお 話しして、アドバイスなど していきたいと思います。 株式会社ウイングル 児童と保護者の安全を最優先に 初動対応に重点 事業概要 就職を目指す障害のある方を支援する就労支 援事業と、発達障害のある児童の自立を支援 する教育事業を展開。就労支援事業では札幌 から沖縄まで 36 か所、教育事業では東京・ 神奈川など 14 か所と、全国に拠点展開して いる(2012 年 9 月現在)。 BCPの 概 要 策定を 終えて 乱やけがの発生を防ぐ。 ● 児童が混乱する危険があることを想定した サービス業 対策を立案。また、避難時に児童が引率者 からはぐれる危険があることも想定し、安 全に避難場所まで避難できる対応も策定。 ● 少人数のスタッフで速やかに避難できるよ うに平時より月1回の避難訓練を行う。 対象リスク ● 避難後、迎えに来た保護者に確実に児童を 東京湾北部地震 お返しする手順を整備。 学習支援業 ● 建物が使用不能に陥った場合には代替建物 会社概要 平成 24 年度 東京都BCP策定支援事業取組事例集 に保護者にお返しするまでの初動対応に重 点をおいて BCP を策定。 未就学児の発達支援センター「リーフジュニア」 称号:株式会社ウイングル 本社所在地:東京都港区芝 4-17-5 設立:2005 年 12 月 資本金:4,900 万円 従業員数:482 人 代表者:代表取締役 長谷川 敦弥 URL:http://www.wingle.co.jp ● 未就学児を扱う業務特性から、児童を安全 ● 耐震策・安全確保策を徹底し、災害時の混 BCP 対象事業 52 策定を 終えて 発生したトラブルの応急対応であり、顧客から 消防設備メンテナンス事業 74 て、その一次対応業務を中心に検討。 ●一次対応業務は、顧客の自動火災報知設備などに ● BCP 対象事業 Case Study ●消防設備メンテナンス依頼が殺到すると想定し ● を利用する。またすべての事業所は新耐震 基準の建物にする。 対策の ポイント ● 新耐震基準を判断基準にした事業所開設、 平時よりの避難訓練の徹底、引受人への確 実な児童の引渡し、建物が使用不可に陥っ た場合の代替建物の利用 代表取締役 長谷川 敦弥 BCP という、会社を見る ための新たな観点を得ら れ、経営的に大変勉強にな りました。また、本社とし て支援現場の実情をよく知 る機会にもなり、当社の社 員がお客様のことをよく考 えていることがわかって大 変うれしく思いました。