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山口氏_INTERVIEW 2

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山口氏_INTERVIEW 2
CHIEF DIRECTOR
INTERVIEW
新事業企画部 部長
﹁美プリ!﹂は雑誌ブランドの
新しい価値を提示します
山口志門
雑誌「VOCE」は、1998 年に美容のパイオニア誌として創刊し、来年 15 周年を迎え
ます。創刊のときから「VOCE」編集部におりまして、創刊直後くらいから WEB サイトを
やろうということで、2000 年 8 月に「i−VoCE」を立ち上げました。約 4 万件のコス
メデータベースと、
「美プリ!」で増えたユーザーと合わせ 20 万人を超える会員がいます。
「美プリ!」は、本誌の記事と「i−VoCE」のデータベースを資産にして、ソーシャ
ルメディアをやりたいなと思ったのが始まりです。雑誌ブランドの新しい価値を生み出す
メディア。2011 年の 10 月にAndroid版、11 月にiOS版を出して、半年あまり
経過したところですが、ダウンロード数は 17 万を超えました。
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6ヵ月で17万ダウンロード達成のわけ
「美プリ!」は美容に特化したソーシャルメディアです。
ニークユーザー数自体は6万/月ぐらいなのでそんなに
その価値として、三つのポイントがあると考えています。
高いとは言えませんが、ページビューは300万ぐらいま
ひとつは中毒性が高くて、それゆえに優良なソーシャルグ
できています。と言うことは、ヘビーユーザーが想像以
ラフができていること。二つ目は、美容情報がポジティブ
上に育ってくれていると捉えています。
なレコメンドで、共感を纏っていること。三つ目は、消費
次に美容情報の価値について。「美プリ!」では、ポ
行動モデルであるSIPSの、共感、確認、参加(購買行
ジティブなレコメンドがどんどん発信されていることに
動)、共有・拡散というステップをこの中に全部持ってい
価値があると思っています。「この情報は本当に価値が
ること。
あるの?」とコメントをよく読み込んで、他のサイトで
最初に挙げた優良なソーシャルグラフの詳細を言いま
検索したりする必要がない。愛のあるキレイな写真と投
すと、いま21万を超える「いいね!」がついています。
稿コメントと、さらにユーザー同士のコメントのやりと
この1ヵ月ぐらいで倍増している。ランキング上位のユー
りまで含めて、情報があって、発言者の人格や嗜好もわ
ザーは3000とか4000とか「いいね!」がついています。
かっている。そこがソーシャルメディアらしい強調点で、
ひとりの人に1000以上もの「いいね!」がつくというこ
じゃあ買いに行こうという行動にも移しやすいですし、
とは、この人たちが特別いいソーシャルグラフを持って
気づきも多い。人に情報が紐づいているので、スルーし
いる証です。それだけクオリティが高くて影響力の強い
ていたブランドが実はよかったとか、肌に良い食べ物あ
人たちがここにいます、ということだと思います。
たりまで含めても、情報が受け入れやすく、気づきの多
Localyticsという計測ツールを使っていま
いメディアになっているのかなと思っています。
すが、200回以上訪問している人が7割以上、圧倒的に
またユーザー側からだけではなくて、雑誌ブランドを活
多いですね。200回という数字を普通に考えると一日1
かしての著名なモデルやヘアメイクさんからの情報もとれ
回以上です。訪問間隔でいうと、同一時間内に自分が投
る。ユーザーからもオーソリティからも、有益な情報をよ
稿したものに何か反応があるか、コメントをつけたもの
り簡単に、受動的に享受できるメディアを目指す。情報の
に反応があるかとか、何度も何度も見に行っている。そ
価値を高めていくという方向性は、従来のソーシャルメ
れだけ中毒性が高いということがわかると思います。ユ
ディアではあまりできていないことだと思っています。
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当面の目標はロイヤルカスタマー1万人、
ユーザー100万人
ユーザー層は、影響力のある「ロイヤルカスタマー」
者」層が使ってくれるかどうかが、メディアの量的価値
が頂点にいて、その次に「投稿してくれる人」がいて、
を出せるか否かのポイントだと思っています。ダウンロー
3番目に「参加者」。投稿はしないのですが、「いいね!」
ドしたけれど、時々しか見に行かない人たちまで含めて、
を押すとか、自分のためにクリップしたりして使う人た
50万ダウンロードが当面の目標、これに今後展開する
ちがいます。投稿するユーザーはだいたい10%程度しか
WEBだけ見るユーザーを加えて、100万人。現在の17万
いません。今は投稿してはじめてコミュニケーションが
の中に、ロイヤルカスタマーと呼べる人が300人ぐらい
とれる作りなので、そこは改良しようと思っています。
います。その予備軍と思われる人が2000人ぐらい。これ
投稿は面倒だけど情報は欲しいし、自分のためにログ化し
を1万人にするのはなかなか大変ですけれど、参加者から
たい、活用したいという人はたくさんいて、そういう人が
投稿者、投稿者からロイヤルカスタマーになってもらう
参加しやすいようにシステムの改修を進めていきます。
ための施策をひとつひとつ打っていくつもりです。
ロイヤルカスタマーを大切にしながらも、この「参加
「美プリ
!」の中で起きている、
特徴的消費行動
いま、ロイヤリティの高いヘビーユーザーを中心とし
うだけではなくて、
「買わなきゃ」と思って、買った後に
て、中毒性の高いコミュニケーションが活性化していま
報告する、
「報告したいから買う」という、報告フローま
す。そのことが即ち、コスメブランドのブランディング
でついているのです。
「facebook」
、
「mixi」
、
に役立っている。とくに、消費者とのコミュニケーショ
「twitter」は連動していますので、外部拡散も起
ンがうまくとれていない、認知が半端な状況にあるブラ
こります。まさにSIPSのサイクルですね。
ンド、なにか特筆したものがあるわけではないブランド
とはいえ、美プリ!の「ポーチSNS」だけでは、ア
等の製品を「美プリ!」ユーザーたちが可愛く写真をとっ
テンション(注意)とインタレスト(興味喚起)が弱い
てコメントをつけると、ブランド評価が一気に高くなる
のです。
「美プリ!」の中でタイアップ記事をやることの
現象がいろいろ起きています。
意味はここにあって、企業メッセージを消費につなげて
あるブランドのルージュが出てきたときに、
「いいね!」
いくメインエンジンである「ポーチSNS」の、アテン
獲得 1 位の人がすすめただけで、
「買いました」
、
「お揃い
ション(注意)とインタレスト(興味喚起)を担うこと
です」というような連鎖が次々に起こる。これが「美プ
になるわけです。
リ!」の特徴的消費行動だと思っていて、
「欲しい」と思
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ブランドエンゲージメントを高める
新プラットフォームに向かって
クライアントの方々がSNSに何を期待するのかと言
も育っていきます。ブランドにとってのロイヤルカスタ
うと、ものすごく話題になるんじゃないか、拡散するん
マーを一緒に育成していくこともできるのかなと思って
じゃないか、ブランドの評判をもっと可視化してみたい、
います。四つ目が先ほど申し上げたブランディング。五
というような話をよく聞きます。それらをふまえた上で、
つ目がロングエンゲージメントの形成。エンゲージメン
ゴールは5つくらいに絞れるじゃないかなと思っていま
ト(絆)という言葉はいい言葉ですけれど、簡単ではな
す。
いと思うので、コミュニティが育ってきたときにきっち
ひとつは先ほどから説明しているマスメディアとのマッ
りコンセプトがはまってくれるといいなと思っています。
チングで、特にテレビだと思いますけれど、出口媒体と
中でも売り上げのキードライバーは、1万人を目標にし
してすごく相性がいい。次にECへの動線。これはどう
ているロイヤルカスタマーをいかに価値づけるか。ステマ
しても数勝負になってくるので、同じ数勝負ならリアル
にならないように。この人たちを囲っていることでいろん
店舗誘導をやりたいなと思っています。三つ目はブラン
な可能性が生まれると思っています。そもそもソーシャル
ドコミュニティの運営代行。わかりやすく言うと、ブラ
メディアは短期的なものに向いているものではないです
ンドのポーチを「美プリ!」内にひとつ持って、情報発
し、長期的に考えてくださるクライアントさんが増えな
信してみんながフォローしてファンが増える、管理画面
いと、なかなか厳しいと感じています。まずは実験的に
からはコミュニケーションも取れるし、計測もできる。
でも使ってみたいと言っていただけるように、美容に特
「美プリ!」の中にブランドのコミュニティがある状態
化したソーシャルメディアとしての価値提供を続けてい
でキャンペーンを打っていくと、当然効果も蓄積されて
きます。ご支援のほどよろしくお願いします。(談)
高く出てきますし、キャンペーンによってコミュニティ
SHIMON YAMAGUCHI
山口志門
1991年講談社入社。「Quark」編
集部7年、
「VOCE」編集部12年の
雑誌編集を経て、2010年から現職。
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