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エアリゾート 技術資料(補完)
エアリゾート 技術資料(補完) 1. 特長・システムの紹介 (1)本機器の適用範囲の目安 本機器を快適にお使いいただくために、下記の適用範囲を守って本機器を選定ください。 ①地域 温暖地域(東京以西の積雪のない地域) ②住宅性能 高気密高断熱住宅 断熱性能:熱損失係数 2.3W/m2・K以下 気密性能:相当すき間面積 2cm2/m2以下 ③住宅床面積 延床面積で100m2以下(1セットあたり) 必ず空調負荷計算を実施してください。 ④その他 ・各部屋へダクトを介して熱交換した空気を送るダクト式エアコンですので、ダクトを通すスペースが必 要です。 ・天埋タイプですので、天井内に室内機を収納するスペースが必要です。 ・高気密住宅では換気量を確保するために機械換気が必要です。 住宅の広さに合った換気ユニットを選定してください。 ―1― (2)システムの概要 エアリゾートは、セントラルダクト空調をベースに各吹出口ごとのエアコントロールを可能とすることによ って、使い易さや快通性・経済性等を追求すると同時に、設計・施工のわずらわしさを大幅に軽減させた全 館換気空調システムです。 ①全館空調機能 エアリゾートは、フレキシビリティあふれる全館空調です。リビングや寝室から、洗面所、廊下にいたる までその時々で、快適な風をおとどけします。 ②全館レベルでの換気ができる 換気量・用途に合った換気ユニットと組み合せることで全館レベルでの換気を行うことができます。 ③個別エアコントロール 5箇所までの個別コントロールを可能にするVAV(Variable Air Volume Control)ユニットです。 ご家族一人一人が、それぞれの部屋で自由にお部屋の温度をコントロールできます。 ④吹出ロごとに能力設定ができる VAVユニットは、4段階に能力設定が可能で、負荷に応じた設定により、小空間から大空間まで対応でき ます。 システムイメージ図(一例) ⑫ ③ ⑧ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑬ ⑨ 各部の名称 ①室外機 ②冷媒管 ③プレナムチャンバー ④空調室内ユニット ⑤リターンチャンバー ⑥給気ファン ⑦フィルターボックス ⑧吹出口 空気の流れ ⑨新鮮な外気(24時間換気の給気) ⑩空調された空気 ⑪居室から戻ってきた空気 ⑫トイレ・浴室・洗面所からの排気 ⑬汚れた空気(24時間換気の排気) ② ① ⑪ ⑩ ―2― 基本システム システム図 No. 品 名 形 名 1 空調ユニット VL-615HPR 2 室外ユニット VL-51ALS 3 センターコントローラ P-60LTU 4 吸込グリル 5 吹出口一体形 VAVユニット P-615GFK P-362VAX -WH -BE 6 ルームコントローラ P-511AR 7 給気ファン V-150C-D等 8 フィルターボックス P-615FB 9 ウェザーカバー P-15VS2等 (3)風量制御方式(VAVシステム)の概要 室内機から各部屋(ゾーン)へダクトにより給気して空調を行う場合において、従来のシステムは下記の様々 な問題が生じていました。 ・ダクトの曲がり部やダクト長の差により風量のバラツキが発生します。 ・目標風量を設定するためにダクトの設計が必要です。 ・各部屋(ゾーン)ごとの風量バランス、温度分布は良くありません。 従って、ダクトの施工も困難で、工事性も良くありません。 バ ブ 以上のような欠点を改善するために開発されたシステムが(VAV) 〈Variable Air Volume ControI〉システムで す。 VAVシステムは試運転プログラム、風量設定プログラムの2つのプログラムより構成されています。 *VAV制御により、ある程度のダクト系の施工のバラツキを吸収できますが、運転ロスを少なくするために 各ダクト系の圧力損失はできる限り小さく、又圧力損失差が出ないようにダクトの設計・施工を行うこと が必要です。 ①試運転プログラム 実際にダクトが設置された時に、そのダクトがどのような状態で設置されているかなど、各ダクトごとに、 VAVのダンパを変化させ、その時の風量によりダンパ内の全抵抗を算出し記憶させます。このダクト内全 抵抗の値が、その時に設置されたダクトの状態を表す数値となります。試運転をする際に機器が自動的に 運転計測を行い、この時に得られたデータ(抵抗係数と呼ぶ)は風量設定プログラムのベースデータとなり ます。 ②風量プログラム 試運転プログラムにより得られた各ダクトごとの抵抗係数と、これから運転を行う各部屋(ゾーン)ごとの 室温と設定温度の差により決められた部屋(ゾーン)ごとの設定風量により各部屋(ゾーン)ごとに設置さ れたVAVダンパ開度を決定します。 すべてのダンパ開度が決定した後、各部屋(ゾーン)ごとに必要な設定風量の総和と室内ユニットの吹き出 し風量とが等しくなるように室内ファンモータのインバータ制御を行います。以上の内容が本風量制御方 式の概要です。 本システムは上記のVAV制御、室内ファンモータのインバータ制御と同時に室外ユニットの圧縮機の制御 も行い、快適な空調を実現させた全館空調システムです。 ―3― ●試運転プログラム ダクト内の抵抗がどのようになっているか算出します。 1番目のゾーンを全開 P:圧力 Q:風量を測定 風量 P:圧力 Q:風量を測定 風量 2番目のゾーンを全開 VAV VAV A室 B室 C室 D室 E室 A室 ダクト 抵抗 B室 C室 D室 E室 ダクト 抵抗 室内ユニット (搬送動力一定) 室内ユニット (搬送動力一定) A経路を算出 B経路を算出 a. 搬送動力を一定状態にします。 b. VAVを一つだけ全開状態とし、風を搬送します。この時残りのVAVは全閉状態となります。 c. bの時のダクト内の風量をセンサにて求め、ダクト抵抗を算出します。 d. 次のVAVを全開状態とし、上記過程を繰り返します。 e. すべてのダクトにおいてダクト抵抗を算出し記憶させ終了します。 ●風量制御プログラム 試運転プログラムのデータ、室内温度と設定温度の差により、各ダクトごとの風量を設定しVAV開度、室 内ファンモータの搬送動力をコントロールします。 (全開) 設定 風量 設定 風量 VAV VAV (全閉) (全閉)(全閉) (全閉) A室 B室 C室 D室 E室 A室 VAV変化量 ダクト 抵抗 B室 C室 D室 E室 VAV変化量 ダクト 抵抗 :風量制御 プログラム :試運転 プログラム :風量制御 プログラム :試運転 プログラム 室内ユニット (搬送動力変化) 室内ユニット (搬送動力変化) 全ゾーンを運転する場合 A・Eゾーンを空調する場合 a. 各部屋ごとの室温と設定温度の差により、各部屋ごとの風量を設定します。 b. この設定風量と試運転時のデータより、最大圧力を算出するダクト系を判定し、そのダクト系のVAVの 開度を全開状態にします。 c. bで求めたダクト系を基準として、各部屋ごとの設定風量により残りのVAVの開度を決定します。 d. 各部屋ごとの設定風量の総和と実際の吹き出し風量とが等しくなるように室内ファンモータをインバー タにて制御し、各部屋ごとの風量を調整します。 e. 各部屋ごとで設定温度と実際の温度が等しくなれば、各部屋ごとに設定風量を変化させVAVの開度を変 化させます。これに伴い、室内搬送動力も制御します。 ―4― ●各吹出しユニットの要求風量とVAV開度 各部屋の要求風量に応じてVAV開度を調節します。 a. 各吹出しユニットの要求風量 各吹出しユニットの要求風量は、各ルームコントローラの「室温と設定温度の差」と「能力ランク設定」 により決まります。又メンテナンスモードにて選択した「温調モード選択」によって下表のように要求 風量を決定します。 ※室温と設定温度の差ΔT:冷房…ΔT=室温−設定温度、 暖房…ΔT=設定温度−室温 室温と設定温度の差 温調OFF 温調モード選択 ΔT<−3 標準モード 0.0m /min 3 温調ON −3<ΔT<0 ΔT>0 0.3∼0.7m /min 0.9∼4.0m3/min 3 換気優先モード 0.3∼0.7m3/min 0.9∼4.0m3/min 温調優先モード 0.0m3/min 0.9∼4.0m3/min b. 各VAVダンパーの開度 各部屋の要求風量が0.0m3/min以外では、VAV開度は下表の制御範囲内で動作します。 VAV種 制御範囲 全閉角度 1 0∼42° 49° 対象形名 P-362VAX-WH、P-362VAX-BE ただし、換気運転のみの場合はすべてのVAV開度が0°(全開)となります。 「換気運転のみ」とは下記3通りを差します。 ア. 空調運転モード「停止」、換気運転が「常時換気」設定の場合 イ. 空調運転モード「冷房」、「暖房」又は「除湿」で、温調がOFFの場合 ウ. 空調運転モード「冷房」、「暖房」、「除湿」又は「送風」で、全室「停止」設定の場合 ―5― (4)換気システムの概要 高気密高断熱住宅にエアリゾートをご採用いただく際には必ず換気システムを組み込んでください。 本システムでは、住宅の換気設計により給気ファン又はロスナイ換気ユニットと連動制御させることができ ます。 換気の運転/停止はセンターコントローラで行います。 ①通常運転時の換気制御 運転ゾーンのみ換気が行われます。冷暖房と換気運転が併用されている場合には、室温が設定温度に達し ても換気を続けるために弱風で吹き続けます。 そのため、まだ他の部屋が設定温度に達していない場合には、室外ユニットは運転しているため、温風や 冷風が出てきます。運転中の全室が設定温度に達した場合には、室外ユニットの運転が停止するため、気 流感を排除するために送風を運転していない部屋も含めた全室に分配します。 従って換気運転中の温調OFF時には、使用していない部屋の吹出口から微風が出ることがあります。 ②全室停止時換気制御 本システムでは換気が、「常時換気」に設定してあれば全室停止中であっても換気運転を行います。その場 合には室外ユニットは停止していますので、運転時の温調OFF時と同様気流感をなくすため、全室に微風 で送風を分配します。 ③換気運転時の一時的な換気の停止 換気運転を行うには、換気ユニットと室内ユニットの送風ファンが運転する必要があります。 従って制御上室内ユニットの送風ファンが停止するときには換気運転も停止します。 ・暖房霜取運転時 ・暖房冷風防止制御時 ただし、メンテナンスモードの暖房霜取中ファン設定により換気を継続することも可能です。 お願い ・本システムに組み合せる換気ユニットは、単ノッチ制御となりますので住宅の必要換気量に合せて機器の 選定、ノッチの選定(施工時の配線にて決定)をしてください。又喫煙等される場合には、必要換気量が 著しく増えますので、そのようなお部屋には個別に換気ユニットを設置してください。 ・本システムと給気ファンを組み合せた場合、給気ファンは連動制御しますが排気ファン(バス乾燥・暖 房・換気ユニット)とは連動制御できません。どちらか一方を停止してしまうと計画的な換気ができませ んので、給気ファン・排気ファンともに常時運転でご使用ください。 ―6― 2. 各部の名称・はたらき 各部の名称 ―7― 3. 設定 (1)ルームコントローラの設定 1 アドレススイッチの設定 カバー ● 切欠部にマイナスドライバーを入れて左図の ように回して、カバーを取りはずします。 お願い カバーに傷がつかないようにはずしてください。 マイナスドライバー リモコン本体 ● アドレス設定をします。 アドレススイッチ ● すべてのルームコントローラについて1から順に 設定してください。 ● 間の番号をとばしたり、他のルームコントローラ と番号が重複しないよう注意してください。 リモコン本体 2 設定 試運転前に必ず行ってください。 1. 設定モードの使い方 (1)設定モードに入る方法 ①室内ユニットに通電します。 ②(停止状態で) ボタンと ボタンを同時に5秒以上押します。 (2)設定モードの表示 ●7seg 部に設定項目と設定値を表示します。 上位1ケタ:設定項目、下位1ケタ:設定値(点滅) (3)設定モードでの操作 ●設定項目を変える時 ボタンで順送、 ボタンで逆送 ●設定値を変える時 運転/キープ ボタンで順送 (4)設定モードの終了 ● 停止 ボタンを押します。 設定を変更しましたら、必ず室内ユニットの電源を入れ直してください。 ―8― (2)VAV種の設定 接続されているVAVユニットを設定してください。 ◆設定項目番号 ◆設定値 設 定 項 目 設定項目番号 VAV種 1 V A V ユ ニット の 形 名 設 定 値 P-360VA-DB,-DW 1 P-360VAX-DB,-DW P-360VAY-DB,-DW P-361VAX-DB,-DW 3 P-362VAX-WH,-BE P-362VAY-BR,-WH ※必ずVAV種の設定を行ってください。 (3)連動設定 1台のルームコントローラで2台のVAVユニットを連動して動作させる場合に設定します。 連動に設定するにはルームコントローラとVAVユニットの接続が連動制御の結線になっている必要があります。 (連動を行うVAVユニットは同じ種類のものを使用してください) ◆設定項目番号 ◆設定値 設 定 項 目 設定項目番号 連動設定 2 連 動 設 定 設 定 値 なし 0※ あり 1 ※工場出荷時の設定 (4)能力設定 お部屋の空調熱負荷に応じて能力設定をしてください。 能力ランクに応じて吹出風量が設定されます。 ◆設定項目番号 ◆設定値 設 定 項 目 設定項目番号 暖房能力 3 冷房能力 4 畳数の目安 設 定 値 暖房能力 冷房能力 〔相当〕 (kW) 〔相当〕 (kW) (能力ランク) 3∼4.5 0.8 0.7 1 4.5∼6 1.1 0.9 2 6∼9 1.4 1.2 3※ 9∼12 1.9 1.6 4 ※工場出荷時の設定 全ルームコントローラの合計を暖房は9.5kW、冷房は8kWを目安として設定してください。 連動設定の場合は2台分として計算してください。 (5)室温補正 ルームコントローラは室温の検知を行っていますが、取付場所によってはその部屋の平均温度より高い温度 あるいは低い温度を検知することがあります。そのような場合に検知した室温補正することができます。 (通常は使用しません) ◆設定項目番号 ◆設定値 設 定 項 目 設定項目番号 暖房時の室温補正 5 冷房時の室温補正 6 室温補正(℃) 設 定 値 室温補正(℃) 設 定 値 −4 1 +1 6 −3 2 +2 7 −2 3 +3 8 −1 4 +4 9 0 5※ ※工場出荷時の設定 例えばルームコントローラが検知した温度が26℃の時+2℃の設定になっていると、ルームコントローラは 室温を28℃として動作します。 ―9― 4. 仕様 形 名 室内機:VL-615HPR 室外機:VL-51ALS 設置形態 住宅天井内に設置 設置場所 住宅の断熱区画内 空調方式 セントラル式単一ダクト方式 風量制御方式 各部屋ごとの可変風量方式 機 能 セントラル方式冷暖房+ドライ 熱 源 ヒートポンプ 電 源 単相200V VVF2芯 φ2.0 風 量 最大750m3/h 定格機外静圧 160Pa(最大240Pa) 暖房能力 暖房標準*1 消費電力 暖房低温*1 5.6kW 1.70kW 運転電流 9.4A 暖房能力 5.0kW 消費電力 2.00kW 冷房能力 5.0kW 冷 房*1 消費電力 運転電流 1.65kW 9.1A 除湿能力*2 0.8R/h 始動電流 9.4A(ブレーカ容量20A) 送 風 機 φ230シロッコファン+全閉式三相誘導電動機 熱交換器 アルミプレートフィン 内外接続電線 VVF3芯・2本 φ2.0 液側:φ6.35 冷媒配管 フレア接続 標準配管長5m、最大配管長18m、高低差12m以下 ドレン配管 室 内 機 ガス側:φ12.7 VP20 外形寸法 1185×437×265mm(突起部を除く) 質 量 34kg 騒音値*3 39dB(A) 室外機 外形寸法 800×285×550mm(突起部を除く) 質 量 38kg 騒音値*4 50/49dB(A)(暖房/冷房) *1:能力は、JIS C 9612に基づいた数値です。 暖房標準能力:室内側20.0℃ DB、外気温度7.0℃ DB 6.0℃ WB 暖房低温能力:室内側20.0℃ DB、外気温度2.0℃ DB 1.0℃ WB 冷房能力:室内側27.0℃ DB 19.0℃ WB、外気温度35.0℃ DB 24.0℃ WB *2:除湿量は以下の測定条件です。 室内側24.0℃ DB 18.8℃ WB、外気温度24.0℃ DB 21.4℃ WB *3:騒音値は無響室で本体直下1.5mで定格機外静圧を加えて測定した場合です。 住宅に設置した場合、騒音値は一般に5∼15dB(A)大きくなります。 *4:運転音測定条件:無響室、Aスケール、JIS C 9612による。 ―10― 5. 特性 (1)P-Q特性図 (2)冷暖房特性(参考) ①冷房能力関係(50/60Hz) [条件] ・インバータ出力周波数:69Hz ・送風量:750m3/h 室 内 空 気 湿 球 温 度 差 ( 度) 50Hz 9.9 60Hz 9.9 9.2 9.2 8.5 8.5 7.8 7.8 7.1 7.1 6.4 6.4 1.4 能 力 比 1.3 1.2 1.1 1.0 室内側 吸込空 気湿球 温 度(℃ 0.9 [WB ]) 19 27 30 35 40 43 室外側吸込空気乾球温度(℃[D B] ) ②暖房能力関係(50/60Hz) [条件] ・インバータ出力周波数:77Hz ・送風量:750m3/h 室 内 空 気 乾 球 温 度 差 (度) ・破線は霜がついていない状態を示します。 ・実線は霜取運転を加味した状態を示します。 50Hz 36.1 60Hz 36.1 1.3 33.3 33.3 1.2 30.5 30.5 1.1 能 27.8 27.8 25.0 25.0 22.2 22.2 19.4 19.4 0.7 16.7 16.7 0.6 1.0 力 0.9 比 0.8 -10 ―11― 20 室内 側吸 気 込空 乾球 温 ℃ 度( [D B ]) 10 0 -5 5 室外側吸込空気湿球温度(℃[WB ]) 15 6. 電気配線図 VL-615HPR 結線図 〈モータコイル結線図〉 ※コイル抵抗値は30℃の値 w 温度ヒューズ 133℃ u コイル u v w コ ード アカ シロ クロ 電 源 U V W コ イ ル:8.50Ω 温度ヒューズ 133℃ v システム配線図 ―12― VL-51ALS ―13―