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ものづくり労働者の雇用・労働の現状

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ものづくり労働者の雇用・労働の現状
第2節
ものづくり労働者の雇用・労働の現状
ものづくりを支える人材をめぐる現状についてみると、
急速な悪化が続く厳しい経済情勢を受けて、雇用情勢は急
速に悪化しつつある。また、製造業への新規学卒入職者数
1
雇用情勢と雇用対策
(1)労働市場の動向
は過去最低であった 2003 年度と比べると増加してきてい
完全失業率(季節調整値)は、2003 年 4 月に過去最高
るが、1990 年代初頭の半数程度の水準にあり、就業者の
に並ぶ 5.5%を記録した後、徐々に低下してきていたが、
高齢化の進展も続いている。こうした中にあって、我が国
最近の動向をみると、2007 年 7 月の 3.6%から 2009 年
製造業は、今後とも雇用を創出していく役割を担い続けて
3 月には 4.8%まで上昇してきている。また、完全失業者
いくため、国際競争力の強化、その他の課題を抱えている。
数(季節調整値)も 2002 年8月に過去最高となる 368
本節においては、雇用情勢と雇用対策、雇用・就業者の
万人を記録し、2004 年以降次第に減少してきていたが、
年齢構成の変化や賃金・労働時間・労働災害の状況などを
最近の動向をみると、2009 年 3 月には 320 万人となり
概観する。
2008 年 11 月以降増加傾向が続いている(図 121-1)
。
全産業の新規求人数は、2002 年後半以降増加してきて
いたが、2006 年中頃以降は減少に転じている(図 1212)
。製造業における新規求人数は全産業よりも急速に減
図121-1 完全失業率及び完全失業者数の推移(季節調整値)
(万人)
500
(%)
6
完全失業率
(右目盛り)
完全失業者数
(左目盛り)
450
5
400
350
4
300
250
3
200
2
150
100
1
50
0
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
0
09(年)
備考:総務省「労働力調査」
図121-2 全産業における新規求人数の推移(季節調整値)
(万人)
100
80
60
40
96
97
98
備考:新規学卒者を除きパートタイムを含む。
資料:厚生労働省「職業安定業務統計」
26
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09(年)
● 第 1 章 世界同時不況下における我が国製造業の状況
等で減少が顕著となっている。
第 節
少 し て お り、2009 年 3 月 に は 2007 年 10 月 に 比 べ、
64.0%の減少となった(図 121-3)
。特に、機械関連業種
図121-3 製造業における新規求人数の推移(2007年10月=100)
100
2
90
ぶりに 1 倍台を回復した後、2006 年中頃以降低下に転じ
80
ており、2009 年 3 月に 0.52 倍と、2002 年 4 月以来の
70
低い水準となった(図 121-4)
。
ものづくり労働者の雇用・労働の現状
有効求人倍率(季節調整値)は、2005 年 12 月に 13 年
60
職業別に有効求人倍率をみると、2007 年以降低下傾向
にあり、運輸・通信の職業と並び、生産工程・労務の職業
50
の低下が目立っている(図 121-5)
。また、生産工程・労
40
務の職業の内訳をみてみると、機械関連の職業等で低下が
30
全産業
製造業
顕著となっている(図 121-6)
。
電気機械器具製造業
20
金属製品製造業
電子部品・デバイス製造業
10
一般機械器具製造業
0
07年
10月
08年
1月
4月
7月
10月
09年
1月
備考:新規学卒者を除きパートタイムを含む。
資料:厚生労働省「職業安定業務統計」
図121-4 有効求人倍率の推移(季節調整値)
(倍)
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
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06
07
08
09(年)
備考:新規学卒者を除きパートタイムを含む。
資料:厚生労働省「職業安定業務統計」
図121-5 職業別有効求人倍率の推移
(倍)
2.5
図121-6 生産工程・労務の職業の有効求人倍率の推移
(倍)
3.0
職業計 サービスの職業
専門的・技術的職業
運輸・通信の職業
販売の職業
農林漁業の職業
生産工程・労務の職業
管理的職業
事務的職業
2.0
職業計 生産工程・労務の職業
金属溶接・溶断の職業
金属加工の職業
2.5
輸送用機械
組立・修理の職業
一般機械器具
組立・修理の職業
電気機械器具
組立・修理の職業
2.0
1.5
1.5
1.0
1.0
0.5
0.0
0.5
01
02
03
04
備考:新規学卒者を除きパートタイムを含む。
資料:厚生労働省「職業安定業務統計」
05
06
07
08(年)
0.0
2007年1月
2008年1月
2009年1月
備考:新規学卒者を除きパートタイムを含む。
資料:厚生労働省「職業安定業務統計」
27
雇用調整助成金等の対象者数をみると、2008 年末頃か
(2)雇用調整の状況
雇用過不足感の推移をみると、2008 年第4四半期に不
ら 2009 年 3 月には約 238 万人となっている(表 121-
足超から過剰超に転じ、製造業を中心に急速に過剰感が高
10)
。
まっている(図 121-7)
。
図121-7 雇用人員判断D.I.の推移
何らかの雇用調整を実施した事業所の割合は 2008 年
(%ポイント
(「不足」
ー
「過剰」)
)
10 ∼ 12 月期に急速に上昇し、特に製造業においては全
20
全産業
製造業
事業所の半数に達している(図 121-8)
。また、雇用調整
の内訳をみると、残業規制が最も多く、実施事業所割合は
34%となっているが、一部で臨時・季節、パートタイム労
0
働者再契約停止・解雇、一時休業(一時帰休)等のより厳
しい雇用調整が実施されている。
−20
厚生労働省の集計によれば、派遣又は請負契約の期間満
了、中途解除、有期契約の労働者の期間満了、解雇により、
2008 年 10 月から 2009 年 6 月までに、全国で 3,253 事
業所、約 20 万 7 千人が離職又は離職する見込みである。
−40
ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠ(四半期)
このうち、製造業からの離職者は 192,791 人となってお
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09(年)
備考:2004 年 3 月調査より調査対象企業の見直し等が行われたため、数値は接続しない。
資料:日本銀行「全国短期経済観測調査」
り、その 7 割弱を派遣労働者が占めている(図 121-9)
。
図121-8 雇用調整実施事業所割合の推移
(%)
60
調査産業計
製造業
50
40
30
20
10
0
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
99
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
00
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
01
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
02
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
03
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
04
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
05
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
06
Ⅱ
Ⅲ
07
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ (四半期)
08
(年)
(2008 年 10 ∼ 12 月期の製造業における雇用調整の方法(複数回答、単位は%))
雇 用 調 整 の 方 法
計
雇用調整実施
(実施したまた
は予定がある)
100
50
残業
規制
休日の振替、
夏季休暇等の
休日・休暇の増加
中途採用の
削減・停止
臨時・季節、
パートタイム
労働者の再契
約停止・解雇
配置
転換
出向
一時休業
( 一時帰休 )
希望退職者の
募集、解雇 34
11
14
10
15
5
5
3
資料:厚生労働省「労働経済動向調査」
図121-9 製造業における非正規労働者の雇止め等の状況
その他
請負 8,991
14,691
表121-10 雇用調整助成金等に係る休業等実施計画届け
受理状況(速報値)
事業所数
638
2008 年4∼ 11 月
898
26,407
1,783
138,549
2008 年 12 月
契約
(期間工等)
40,377
派遣
128,732
製造業計=192,791
備考:1.厚生労働省都道府県労働局又は職業安定所の通常業務において入手し得た情報に基
づき、可能な範囲で事業所に対して任意の聞き取りを行っているため、全ての離職
事例やその詳細を把握できたものではない。
2.2008 年 10 月から 2009 年 6 月までに実施済み又は実施予定として 2009 年 4 月
17 日時点で把握したもの。
資料:厚生労働省調べ
28
対象者数
2007 年度
12,940
2009 年1月
12,640
879,614
2009 年2月
30,621
1,865,792
2009 年3月
48,226
2,379,069
備考:2008 年 12 月分より中小企業緊急安定助成金 (2008 年 12 月 1 日創設 ) の休業等実施
計画届けの受理件数を含む。
資料:厚生労働省調べ
● 第 1 章 世界同時不況下における我が国製造業の状況
第 節
(ウ)新規学校卒業者対策
(3)厳しい雇用情勢に対応した対策
新規学校卒業予定者の採用内定取消し状況及び学
る環境は厳しさを増し、解雇等の雇用調整や採用内定取消
校等における対応状況を把握し、内定を取り消した
等の事例もみられるなど、雇用情勢は急速に悪化している。
企業名の公表も含め企業に対する指導を徹底すると
また、派遣労働者や契約社員等が解雇・雇止めに伴って、
ともに、採用内定を取り消された学生等に対する大
社員寮からの退去を余儀なくされ、住宅を喪失する例がみ
学等の相談体制の充実を図るなど、就職支援を強化。
られた。
また、新規学校卒業者について、採用後直ちに休業・
そのため、
政府として「安心実現のための緊急総合対策」
、
教育訓練・出向させることにより雇用の維持を図る
場合も助成金の対象となるよう、対象者を特例的に
「生活対策」
、
「生活防衛のための緊急対策」を策定したと
拡大。
ころである。厚生労働省としても住宅・生活対策を含む雇
②失業者の再就職支援
用状況の改善のための対策を 2008 年度から 2009 年度に
かけて実施しているところである。主な対策は次のとおり
2
ものづくり労働者の雇用・労働の現状
既にみたように、現下の急速な景気後退の下で企業を巡
(ア)住宅を喪失した離職者に対する住居・就労支援
である。
派遣労働者や契約社員等が解雇・雇止めに伴って、
①雇用維持対策
社員寮の退去を余儀なくされることに対して、住居
と安定就労の確保のための的確な相談・職業紹介等
(ア)中小企業等の雇用維持支援
休業・教育訓練・出向による企業の雇用維持の取組
を実施。また、生活・就職活動費の貸与等を実施。
を支援するため、雇用調整助成金や中小企業緊急雇
また、社員寮等の入居者の離職後も一定期間の入
用安定助成金の要件緩和・助成率の引上げ等を実施。
居について配慮するよう事業主への要請等を実施。
また、有期契約労働者や派遣労働者等の雇用の安
(イ)正社員でない労働者等の雇用安定対策
定を目的として、残業削減による企業の雇用維持の
年長フリーター等(25 ∼ 39 歳)を対象とした求
取組を支援する残業削減雇用維持奨励金を創設(図
人枠を積極的に設けて正社員として雇用する事業主
121-11)
。
等に対して支給する奨励金を創設。
また、中小企業について、高齢者、障害者、母子
(イ)派遣先における派遣労働者の雇入れの支援
派遣可能期間の満了前に派遣労働者を直接雇い入
家庭の母等の就職困難者を雇い入れる企業に対する
れる派遣先事業主に対し、奨励金を支給。
特定求職者雇用開発助成金の支給額を増額。
図121-11 雇用調整助成金の概要
景気の変動などの経済上の理由による企業収益の悪化から、
生産量が減少し、
事業活動の縮小を余儀な
くされた事業主が、雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練または出向させる場合や、残業削減を実施
することにより雇用を維持する場合、
当該事業主に対してその賃金等の一部を助成する。
対象労働者
景気の悪化
雇用保険被保険者:期間を問わず全員
(新規学卒者を含む)
大企業
(雇用調整助成金)
事業活動の縮小
最近3か月の生産量又は売上高が直前
3か月又は前年同期比5%以上減
(中小
企業で前期決算等の経常損益が赤字
の場合、
5%未満の減少でも可)
休業
教育訓練
出向
休業等・出向に係る費用の助成率:2/3
教育訓練実施にかかる助成額:1,200円
中小企業
(中朝企業緊急雇用安定助成金)
休業等・出向に係る費用の助成率:4/5
教育訓練実施にかかる助成額:6,000円
※日限上限は、
7,730円
残業削減
(労働者1人1日当たり)
解雇等※を
行わない場合
残業削減雇用維持奨励金
雇用する労働者や受け入れている派遣労働者の雇用の安定を図るため、
直前6か月と比較して、1人1月当たりの残業時間を1/2以上かつ5時間以
上削減して、
当該労働者の解雇等※を行わない事業主に対し助成する。
支給額
有期契約労働者
派遣労働者
(年額)
(1人当たり
:上限100人)
(1人当たり
:上限100人)
中小企業
30万円
45万円
大企業
20万円
30万円
助成率の上乗せ
休業等の実施により雇用調整助成金等を受給
する事業主のうち、解雇等※を行わない事業主の
助成率を上乗せする。
助成率:大企業 2/3
中小企業 4/5
※解雇等…雇用労働者の解雇の他、
有期契約労働者の雇止め、
受け入れている派遣労働者の事業主都合による中途契約解除等を含む。
3/4
9/10
2009.4.1現在
29
さらに、大都市圏(北海道、東京、愛知、大阪、福岡)
に正社員でない労働者の雇用の安定のための「非正
規労働者就労支援センター」を設置し、安定就職に
機会を創出する取組を支援する「緊急雇用創出事業」
(1,500 億円)を創設。
(イ)雇用情勢が厳しい地域における創業支援
向けた様々な支援をワンストップで提供するととも
雇用情勢の改善の動きが弱い地域において、当該
に、同センター未設置の府県の主要なハローワーク
地域の重点分野に該当する事業分野で創業する事業
においても同様のサービスを実施。
主等に対し、創業経費及び労働者の雇入れについて
障害者関係では、雇用を促進するため、初めて障
助成を行う地域再生中小企業創業助成金等を創設。
害者を雇用した中小企業に対する奨励金や、新たに
障害者を雇い入れ、特例子会社等を設立した場合の
また、厳しい雇用情勢を踏まえ、各都道府県労働局(雇
助成金を創設。
用均等室含む)
、ハローワーク、労働基準監督署において
(ウ)離職者訓練の大幅拡充等
取り組むべき事項を次のとおり明らかにし、通達を発出し
民間教育訓練機関等を活用した離職者訓練を大幅
て取組を徹底したところである。
拡充するとともに、訓練期間中の生活保障のための
・職業安定関係
給付ができる制度を創設・拡大。
緊急雇用対策本部の速やかな設置・関係部局との連携、
また、ジョブ・カード制度(P154 参照)におけ
大量雇用変動届・再就職援助計画の提出・指導、派遣労
る雇用型訓練(有期実習型訓練と実践型人材養成シ
働者・高年齢者・障害者・外国人労働者・住居喪失者等
ステム)を推進するため、訓練実施企業への助成措
に対する支援等、採用内定取消しを行おうとする事業主
置を拡充。
への指導及び採用内定を取り消された学生等への就職支
③雇用創出対策
(ア)地域における雇用機会の創出
平成 20 年度2次補正予算において、地域求職者
等に対して、安定的な雇用機会を創出する取組を支
援、離職を余儀なくされた方々に対する再就職支援
・労働基準等関係
不適切な解雇、雇止めの予防等のための啓発指導等
・雇用均等関係
援する「ふるさと雇用再生特別交付金」
(2,500 億
妊娠・出産、産前産後休業及び育児休業等の取得等を
円)及び離職を余儀なくされた非正規労働者、中高
理由とする解雇その他不利益取扱い事案への迅速かつ厳
年齢者を中心とする離職者に対して、一時的な雇用
正な対応、未然防止のための周知徹底
コ ラ ム 「雇用創出企業 1,400 社」を発表
世界経済が混迷する中、
我が国産業における雇用環境の悪化が深刻なものとなっているが、
中堅・中小企業の中には、不況期こそ人材確保のチャンスととらえ、採用に意欲的な企業が
いる。そうした企業の情報をより広く発信するために、2009年2月27日、経済産業省は農
林水産省、
厚生労働省の協力の下、
それらの企業を「雇用創出企業1,400社」として公表した。
実際に、鋳造業、鍛造業、金型業などといったものづくり産業や介護サービス、農業などは、
豊かな社会の構築を支える重要な産業であるが、なかなか人材が確保できず、技術・技能の
伝承が進まないなどの課題を抱えていた。例えば、鋳物、鍛造品、金属プレス品など自動車
に使われる部品の製造は、そのような多くの中堅・中小企業が担っている。また、携帯電話・
パソコンなどのあらゆる製品にも中堅・中小製造業が製造した部品が使われている。このよ
うな部品の製造には高精度な鋳造技術や金型加工技術が用いられており、この分野の日本の
競争力は世界最高峰と言われているが、将来この技術を担う人材を確保することが、中堅・
中小企業の大きな課題となっていた。
「雇用創出企業1,400社」に掲載されている企業は、いずれも意欲に溢れた従業員を成長させるための取組を進めて
いる優良人材育成企業であり、これらの企業においては、ほぼすべての従業員がOJT( On the Job Training )を中心に、
徹底的な教育を受けつつ、中核的な人材として活躍している。
「雇用創出企業1,400社 」に関する情 報は、ハローワークやジョブカフェなどの機 関でインターネット検索できる
よう措置するとともに、製本したもの(上下巻約1,600ページ)を工業高校・高専などに配布した。公表後、多くの
地方公共団体から連 携したいという声が 寄せられたことから、4月7日には、21都道 府県における5,800社分の取
り組みをホームページで公開している。また、全国の求職者、学生を対象に、地 域や企業の現場を訪問する「地 域
魅力発見バスツアー」を行うこととしており、こうした取組により、雇用ミスマッチの解消が 進むことが期待される。
ホームページ:http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/sokeizai/kigyogaiyosyu.html
30
● 第 1 章 世界同時不況下における我が国製造業の状況
第 節
2
る。雇用者数については、2003 年第4四半期以降増加傾
就業者数及び雇用者数の動向
向で推移していたが、最近はほぼ横ばいとなっている(図
2
122-1)
。
(1)就業者数及び雇用者数の推移
製造業の就業者数や雇用者数については、長期的に減少
推移し、2004 年第1四半期に増加傾向に転じていたが、
傾向で推移し、2005 年第2四半期から持ち直したものの、
2008 年第1四半期以降はおおむね減少傾向で推移してい
2007 年後半から再び減少傾向にある(図 122-2)
。
ものづくり労働者の雇用・労働の現状
全産業の就業者数について、1997 年以降減少傾向で
図122-1 全産業の雇用者数等の推移(季節調整値)
(万人)
就業者
7,000
雇用者
6,500
6,000
5,500
5,000
4,500
ⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠⅡ Ⅲ Ⅳ Ⅰ(四半期)
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09(年)
備考:1.Ⅰ∼Ⅳは、第1から第4四半期を示す。
2.四半期の季節調整値は、総務省で公表している月次の季節調整値を厚生労働省で単純平均して算出したものである。
資料:総務省「労働力調査」
図122-2 製造業の雇用者数等の推移(原数値)
(万人)
1,350
(%)
就業者前年同期比
5
雇用者前年同期比
1,300
0
1,250
−5
就業者
雇用者
1,200
−10
1,150
1,100
1,050
1,000
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
01
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
02
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
03
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
04
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
05
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
06
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
07
Ⅳ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
08
Ⅳ
Ⅰ
(四半期)
09(年)
備考:1.Ⅰ∼Ⅳは、第1から第4四半期を示す。
2.「労働力調査」は 2003 年から、産業区分は新産業分類(2002 年改訂)で表章しているので、旧産業分類ベースであるそれ以前の数値とは、数値は接続しない点、留意が必要。
資料:総務省「労働力調査」
31
(2)製造業における就業者数
図122-3 製造業職業別従事者構成比(2008年)
我が国の製造業に従事する就業者数は 1,144 万人であ
専門的・技術的職業従事者
6.9%
管理的職業従事者
3.5%
その他の職業従事者
0.9%
り、就業者全体 6,385 万人の 17.9%を占める(2008 年
労働力調査)
。
製造業における職業別の従事者数をみると、専門的・
技術的職業従事者 79 万人(構成比 6.9%)
、管理的職業
事務従事者
15.5%
従 事 者 40 万 人( 同 3.5 %)
、 事 務 従 事 者 177 万 人( 同
15.5%)
、販売従事者 71 万人(同 6.2%)
、生産工程・労
販売従事者
6.2%
生産工程・労務作業者
67.0%
務作業者 766 万人(同 67.0%)
、その他の職業従事者 10
万人(同 0.9%)となっている(図 122-3)
。
(3)ものづくりに関する女性の就業状況
資料:総務省「労働力調査」
製造業における女性の就業者数は 352 万人であり、製
造業就業者全体に占める女性比率は 30.8%となっている
(図 122-4)
。就業者全体に占める女性比率(41.6%)に比
べて製造業は 10.8 ポイント低い。一方で、主要国と製造
業雇用者数に占める女性比率を比較すると、韓国を除いて、
日本の方が女性比率が高くなっており、国際的な水準から
みて必ずしも低いとはいえない(図 122-5)
。
図122-4 製造業における女性の就業者の推移
(万人)
1,000
女性就業者数
(製造業)
(左目盛り)
女性比率
(製造業)
(右目盛り)
女性比率
(全産業)
(右目盛り)
800
(%)
50
45
40
35
600
30
25
400
20
15
200
10
5
0
53
58
63
68
73
78
83
88
93
98
資料:総務省「労働力調査」
表122-5 製造業雇用者数及び女性比率
(単位:千人)
男女計
男
女性比率
韓国(2006)
3,544
1,186
2,358
33.5%
日本(2007)
11,220
3,420
7,800
30.5%
フランス(2007)
3,757
1,134
2,623
30.2%
アメリカ(2007)
14,917
4,445
10,472
29.8%
イタリア(2007)
4,114
1,204
2,910
29.3%
カナダ(2007)
1,944
554
1,390
28.5%
ドイツ(2007)
7,995
2,261
5,735
28.3%
イギリス(2005)
3,131
805
2,326
25.7%
スウェーデン(2007)
618
158
460
25.6%
オランダ(2007)
972
220
752
22.6%
資料:ILO LABORSTA Labour Statistics Database
32
女
03
0
08(年)
● 第 1 章 世界同時不況下における我が国製造業の状況
図122-6 全産業及び製造業における雇用形態別労働者数の推移
就業形態の多様化に関して、役員を除く雇用者に占める
非正社員(非正規雇用者)の割合の推移をみると、全産
(万人)
6,000
(万人)
1,400
に大きく上昇している。製造業においても、1992 年の
1,200
5,000
17.6%から 2007 年には 27.2%に上昇した(図 122-6)
。
また、製造業における非正規労働者の内訳をみてみる
と、この5年間でパート・アルバイトが約 182 万人から
1,000
4,000
約 161 万人に減少している一方、派遣労働者は約 20 万人
から約 58 万人に増加している。
800
3,000
(5)ものづくりにおける外国人労働者
600
外国人労働者数を地域ごとにみると、東京、愛知、静岡、
神奈川、大阪の上位 5 都府県で、全体の 53.8%を占めて
2,000
いる。
400
産業別にみると、製造業が最も多く、92,543 人と全体
の 39.6%を占めている(図 122-7)
。
1,000
200
製造業の外国人労働者を出身地域別にみると、中国
(43.4%)とブラジル(27.6%)が多い(図 122-8)
。
技能実習制度は、研修期間と合わせて最長3年の期間に
0
92
97
07 (年)
02
92
97
02
0
07(年)
おいて、外国人研修生が研修により一定基準以上の技術、
正規の職員・従業者
パート・アルバイト
技能又は知識(以下、技術等)を修得した場合、雇用関係
労働者派遣事業所の派遣社員
契約社員・嘱託・その他
の下、生産現場での労働を通じて、より実践的な技術等を
修得する制度であり、発展途上国の「人づくり」に協力す
備考:1997 年以前の派遣労働者は派遣元の事業所の産業に分類され、2002 年以降は派遣先
の事業所の産業に分類されているため、接続しない。
資料:総務省「就業構造基本調査」
るための技能移転の仕組みとして 1993 年に創設されたも
れ側の状況をみると、受入れ人数の多い職種は、①、機械・
のである。出入国管理及び難民認定法上の在留資格を「研
金属関係、②繊維・衣服関係、③食料品製造関係となった。
修」から「特定活動」へ変更することにより技能実習が可
財団法人国際研修協力機構に対し研修から技能実習への移
能となる。制度創設以来、
「研修」から「技能実習」への
行申請を行った受入れ企業数は 17,711 企業(2007 年度)
移行者は増加しており、2007 年には 53,999 人となって
であり、その半数以上が従業員規模 19 人以下の中小零細
いる(図 122-9)
。
企業である。また、実習生の在留地域を都道府県別にみる
国籍別には、実習生の約 80%が中国で、次いでベトナム、
と、岐阜(縫製など)
、愛知(機械・金属など)
、茨城(農
インドネシア、フィリピン、タイの順となっている。受入
業など)
、広島(機械・金属など)が多い。
図122-7 産業別外国人労働者の割合
その他
66,493
13.7%
サービス
(他に分類されないもの)
95,838
19.7%
図122-8 製造業における国籍別外国人労働者の割合
その他
28,571
14.8%
ペルー
8,064
4.2%
製造業
192,543
39.6%
教育,
学習支援業
37,470
7.7%
卸売・小売業
飲食店,
宿泊業
43,459
50,595
8.9%
10.4%
資料:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況(平成 20 年 10 月末現在)
」(2009)
2
ものづくり労働者の雇用・労働の現状
業については 1992 年の 21.7%から 2007 年には 35.5%
第 節
(4)就業形態の多様化の進展
中国
83,522
43.4%
ブラジル
53,121
27.6%
フィリピン
19,265
10.0%
資料:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況(平成 20 年 10 月末現在)
」
(2009)
33
図122-9 外国人技能実習生の状況
(人)
120,000
研修目的入国者
技能実習への移行者数
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07(年)
資料:法務省調べ
3
人と、前年に比べ大卒は 8.5%減少、高卒は 5.3%増加し
就業者の年齢構成
ている(図 123-2)
。
製造業において、新規学卒者が卒業後3年以内に離職す
(1)新規学卒入職者等の状況
製造業における新規学卒入職者数は、2003 年度と比べ
る割合は、
「七・五・三」
(中卒で7割、高卒で5割、大卒
ると増加してきているが、1990 年代初頭の半数程度の水
で3割の者が、3年以内に離職)ともいわれる調査産業計
準に留まっている(図 123-1)
。
の水準に比べると低いが、調査産業計と同じく企業規模が
製造業における新規学卒入職者数の推移を学歴別にみる
小さいほど離職率が高くなる傾向にある(図 123-3)
。
と、大卒については5万7千人、高卒については8万5千
図123-1 製造業における新規学卒入職者数の推移
(千人)
400
1,000人以上
300∼999人
350
336.2
332.6 335.7
100∼299人
340.3
324.9
30∼99人
313.9
307.5
297.7 294.5
300
5∼29人
133.2 127.2
90.5
250
89.3
118.1 140.2
143.6
270.1
134.5
255.2
136.3
229.4
102.3
218.8
208.6
72.5
197.1
57.8
200
64.5
54.2
66.1
62.8
64.6
150
60.8
79.0
87.1
44.4
44.6
47.0
100
71.7
79.8
48.5
41.4
67.6
55.4
64.2
58.1
50
44.5
34.5
39.8
55.3
47.3
39.7
26.8
24.3
21.6
19.5
25.6
88
89
90
32.0
35.7
49.4
42.9
15.8
18.4
19.9
17.3
91
92
93
94
41.4
44.7
44.4
34.1
86
87
資料:厚生労働省「雇用動向調査」より作成
34
36.0
41.0
38.4
39.3
32.1
46.4
38.1
37.4
33.7
37.2
31.8
24.4
28.6
30.3
24.7
31.1
22.7
21.2
19.1
14.8
13.6
14.7
10.8
8.2
00
01
02
03
04
05
06
25.7
24.3
19.9
16.8
21.9
95
96
97
98
99
0
85
47.4
36.2
28.1
29.3
43.8
52.6
24.2
49.7
45.0
41.5
31.8
28.8
49.7
53.1
53.2
33.7
31.1
68.1
25.1
52.8
134.2
34.3
52.9
58.4
64.0
150.3
43.1
42.5
77.3
163.3 159.8
162.3
54.0
48.2
62.3
180.5
179.1
169.5
69.3
60.6
07(年)
● 第 1 章 世界同時不況下における我が国製造業の状況
第 節
図123-2 製造業における学歴別の新規学卒入職者数の推移
(千人)
[大卒]
90
[高卒]
(千人)
全体
5∼29人
30∼99人
100∼299人
300∼999人
1,000人以上
80
60
ものづくり労働者の雇用・労働の現状
70
2
250
200
150
50
40
100
30
20
50
10
0
0
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07(年) 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07(年)
資料:厚生労働省「雇用動向調査」
図123-3 2005年新規学卒就職者の3年後までの離職率(規模別)
(%)
70
大学
(短大を除く)
卒業者
(%)
70
高校卒業者
59.7
60
60
51.8
50
48.6
42.8
40
37.0
35.9
30
54.2
50 47.9
36.5
25.0
22.2
45.3
40.6
36.6
35.3
30
26.6
17.8
20
47.9
37.6
40
32.8
53.3
26.4
20.4
20
13.3
10
10
製 造 業
調査産業
製 造 業
調査産業
製 造 業
調査産業
製 造 業
5∼29人
調査産業
製 造 業
規模計
調査産業
30∼99人 100∼499人 500∼999人 1000人以上
製 造 業
0
調査産業
製 造 業
調査産業
製 造 業
調査産業
製 造 業
調査産業
製 造 業
5∼29人
調査産業
規模計
製 造 業
調査産業
製 造 業
調査産業
0
30∼99人 100∼499人 500∼999人 1000人以上
資料:厚生労働省調べ
差は、1990 年の 4.2 ポイントから 2008 年には 2.1 ポイ
(2)製造業における高齢化の進展
製造業においては、若年者の入職者数が長期的に減少傾
ントまで縮小してきている。一方、15 ∼ 29 歳の者の割
向で推移してきたこと等に伴い、高齢化が進展している。
合は、2008 年において製造業は 17.7%であり、全産業平
製造業の就業者に占める 55 歳以上の者の割合は、2008
均(18.3%)を下回っている。両者の差は、1990 年の 0.3
年において 26.1%であり、全産業平均(28.2%)を下回っ
ポイントから 2003 年には 2.5 ポイントまで拡大してきた
ている。しかし、製造業における高齢化の速度は全産業平
が、2004 年以降その差は縮まってきている(図 123-4)
。
均と比べて速く、55 歳以上の者の割合についての両者の
図123-4 就業者に占める若年者・高齢者の割合の推移
(%)
30
15∼29歳
(全産業)
55歳以上
(全産業)
15∼29歳
(製造業)
55歳以上
(製造業)
25
2.1
28.2
26.1
0.3
22.8
20
22.5
20.2
18.3
2.5
17.7
15
10
4.2
16.0
90
91
92
0.6
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08(年)
備考:「労働力調査」は 2003 年から、産業区分は新産業分類(2002 年改訂)で表章しているので、旧産業分類ベースであるそれ以前の数値とは、数値は接続しない点、留意が必要。
資料:総務省「労働力調査」
35
4
に伴う賃金の高まりはほとんど認められない。産業計短時
賃金・労働時間の動向
間労働者と比べた場合、製造業における短時間労働者の所
製造業における労働者(一般労働者)の賃金をみると、
定内賃金は、男性については、ほぼ差がないが、女性につ
きまって支給する現金給与額については、2002 年以降は
いては、19 歳以下を除き、おおむね1割程度低い水準に
おおむね製造業が全産業平均を上回っている。所定内給与
ある(図 124-3)
。
額については、製造業は全産業平均より低い状況が続いて
製造業の事業所規模5人以上の事業所における労働者
(一般労働者)1人当たりの総実労働時間をみると、2008
いる(図 124-1)
。
次に、生産労働者と管理・事務・技術労働者の賃金を比
年は月平均で 171.3 時間となっており、前年に比べ 2.6
較すると、生産労働者の方が低くなっており、きまって支
時間減少した。その内訳をみると、所定内労働時間は月平
給する現金給与額、所定内給与額のいずれも、管理・事務
均 154.3 時間で前年に比べ 1.1 時間減少しており、所定
技術労働者の7割程度となっている(図 124-2)
。
外労働時間は月平均 17.0 時間で前年に比べ 1.5 時間減少
短時間労働者と正社員との賃金を比較すると、全産業で
している(図 124-4)
。また、所定外労働時間(一般労働
は1時間当たりの所定内賃金に男女とも大きな差がみられ
者及びパートタイム労働者の計)の最近の動向をみると、
る。また、
正社員は一定年齢まで年齢とともに賃金が高まっ
2008 年後半から減少しており、特に、製造業では大幅に
ていくのに対して、短時間労働者については、年齢の上昇
減少している(図 124-5)
。
図124-1 業種別の賃金比較
きまって支給する現金給与額の推移
(千円)
475
電気・ガス・熱供給・
水道業
(民・公営計)
450
425
金融・保険業
情報通信業
400
375
350
教育学習支援業
不動産業
電気・ガス・
熱供給・水道業
(民・公営計)
建設業
製造業
産業計
金融・保険業
325
300
275
250
鉱業
運輸・通信業
(民・公営計)
不動産業
建設業
鉱業
産業計
製造業
卸売・小売業、
飲食店
サービス業
卸売・小売業
運輸業
サービス事業
(他に分類されないもの)
医療、
福祉
複合サービス事業
飲食店・宿泊業
90
91
92
93
94
95
(千円)
425
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08(年)
所定内給与額の推移
400
電気・ガス・熱供給・
水道業
(民・公営計)
375
教育学習支援業
金融・保険業
350
325
300
275
250
225
電気・ガス・
熱供給・水道業
(民・公営計)
情報通信業
不動産業
建設業
鉱業
卸売・小売業
産業計
製造業
複合サービス事業
サービス事業
(他に分類されないもの)
運輸業
医療、
福祉
飲食店・宿泊業
金融・保険業
不動産業
運輸・通信業
(民・公営計)
建設業
鉱業
卸売・小売業、
飲食店
産業計
サービス業
製造業
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08(年)
備考:1.きまって支給する現金給与額とは、労働契約等であらかじめ定められている支給条件により6月分として支給された現金給与額をいい、所得税等を控除する前の額をいう。
2.所定内給与額とはきまって支給する現金給与額のうち、超過労働給与額を差し引いた額をいう。
3.「賃金構造基本統計調査」は 2004 年から、産業区分は新産業分類(2002 年改訂)で表章しているので、旧産業分類ベースであるそれ以前の数値とは、数値は接続しない点留意が必要。
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より作成
36
● 第 1 章 世界同時不況下における我が国製造業の状況
第 節
図124-2 製造業における管理・事務・技術労働者と生産労働者の賃金比較
きまって支給する現金給与額
80
(千円)
450
80
400
78
78
76
350
74
350
74
300
72
300
72
250
70
250
70
200
68
200
68
66
150
66
150
64
100
64
100
62
50
62
50
60
2
400
ものづくり労働者の雇用・労働の現状
76
(千円)
450
所定内給与額
60
0
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
(年)
0
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
(年)
賃金比較
(左目盛り)
備考:1.賃金比較は管理・事務・技術労働者の賃金額を100としたと
きの生産労働者の賃金額の割合である。
2.労働者とは、一般労働者を指す。
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より作成
管理・事務・技術労働者
(右目盛り)
生産労働者
(右目盛り)
図124-3 年齢階級別1時間当たりの所定内給与額
[男子]
(円)
3000
(円)
3000
[女子]
(円)
1500
(円)
1500
1387
2500
2500
2000
2010 1967
2000
1300
1300
1200
1100
1100
975
1500
1500
1000
1000
1071
700
876
製造業一般労働者・女性
全産業短時間労働者・女性
製造業短時間労働者・女性
製造業短時間労働者・女性
全産業一般労働者・女性
全産業短時間労働者・女性
19 24 29 34 39 44 49 54 59 64 69
製造業一般労働者・女性
歳∼
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70
全産業一般労働者・女性
500
∼ 歳
500
∼ 歳
製造業短時間労働者・男性
700
∼ 歳
製造業一般労働者・男性
全産業短時間労働者・男性
900
1125
製造業短時間労働者・男性
全産業一般労働者・男性
全産業短時間労働者・男性
19 24 29 34 39 44 49 54 59 64 69
製造業一般労働者・男性
歳∼
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
∼ 歳
20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70
全産業一般労働者・男性
500
∼ 歳
∼ 歳
500
900
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より作成
図124-4 労働時間の推移
(時間)
180
170
全産業
所定外労働時間
製造業
総労働時間
製造業
所定外労働時間
160
全産業総実労働時間
製造業総実労働時間
150
140
全産業
所定内労働時間
93
94
95
96
全産業
総労働時間
97
98
99
00
01
全産業所定内労働時間
製造業
所定内労働時間
02
03
04
製造業所定内労働時間
05
06
07
08 (年)
備考:1.事業所規模 5 人以上。
2.労働時間は、一般労働者の労働時間を指す。
3.労働時間は、月間労働時間の年平均を示している。
4.事業所規模 30 人以上の調査事業所の抽出替えを 1993、1996、1999、2002、2004、2007 年の各1月に行っているが、実数についてはギャップ修正を行っていないので時系列の
比較については注意を要する。
資料:厚生労働省「毎月勤労統計調査」
37
図124-5 所定外労働時間の対前年同月比の推移
(%)
20
調査産業計所定外労働時間
製造業所定外労働時間
10
0
−10
−20
−30
−40
−50
2008年1月
4月
7月
10月
2009年1月
備考:事業所規模 5 人以上。一般労働者とパートタイム労働者の計。
資料:厚生労働省「毎月勤労統計調査」
5
事業所規模 100 人以上の 2007 年の労働災害発生状況
労働災害などの発生状況
をみると、製造業において、度数率(労働災害の発生の頻
2008 年の全産業における労働災害による死亡者数は、
度)は 1.09、強度率(労働災害の重さの程度)は 0.10 と
1,264 人と前年に比べて 93 人減少しており、製造業に
なっており、
調査産業計
(総合工事業を除く)
の度数率 1.83、
おいては、259 人と前年と比べて 5 人減少している(図
強度率 0.11 と比べいずれも低い(図 125-4)
。死傷者1
125-1)
。事故の型別では、前年同様、はさまれ巻き込まれ、
人平均労働損失日数は、全産業においては 61.7 日と前年
墜落・転落によるものが多かった(図 125-2)
。
より 2.2 日減少し、製造業においては 92.7 日と前年より
一方、2008 年の全産業における労働災害による死傷者
11.0 日減少した(図 125-5)
。
数(死亡及び休業4日以上)は、2009 年3月現在の速報
一方、2007 年の製造業における休業 4 日以上の業務上
値で 104,580 人と前年3月現在速報値に比べて 1,794 人
疾病者数は 2,160 人と、前年に比べ 8 人増加している。
減少しており、製造業においては、25,098 人と 937 人減
少している(図 125-3)
。
図125-1 死亡災害発生状況
(%)
25.0
(人)
3,000
全産業死亡者に占める製造業死亡者の割合
(左目盛り)
全産業死亡者数
(右目盛り)
2,550
2,489
2,414
2,354
20.0
2,245
2,301
製造業死亡者数
(右目盛り)
2,500
2,363
2,078
1,992
1,889
1,844
2,000
1,790
15.0
1,658
1,628
1,620
1,514
1,472
1,500
1,357
1,264
10.0
1,000
5.0
0.0
447
90
448
91
392
92
414
93
409
94
備考:2008 年の災害件数は 2009 年 3 月現在速報値
資料:厚生労働省調べ
38
417
95
405
96
351
97
305
98
344
99
500
323
326
275
293
293
256
268
264
259
00
01
02
03
04
05
06
07
0
08(年)
● 第 1 章 世界同時不況下における我が国製造業の状況
第 節
図125-2 製造業における事故の型別死亡災害発生状況
(人)
90
2007年
2
2008年
80
ものづくり労働者の雇用・労働の現状
70
60
50
40
30
20
10
交通事故
︵その他︶
踏抜き
分類不能
火災
おぼれ
破裂
転倒
感電
激突
有害物
との接触
爆発
その他
高温・低温物
との接触
交通事故
︵道路︶
激突され
崩壊・倒壊
飛来・落下
墜落・転落
はさまれ
巻き込まれ
0
備考:2008 年の災害件数は 2009 年3月現在速報値
資料:厚生労働省調べ。
図125-3 死傷災害発生状況
(%)
35
全産業死傷者に占める製造業死傷者の割合
(左目盛り)
(人)
250,000
全産業死傷者数
(右目盛り)
30 210,108
製造業死傷者数
(右目盛り)
200,633
189,589
181,900
25
200,000
176,047
167,316
162,862
156,726
148,248
137,316 133,948 133,598
20
150,000
125,918 125,750 122,804
120,354 121,378 121,356
104,580
15
100,000
10 62,404
59,068
53,653 49,896
47,587 45,645
47,054
43,293
42,269 38,840 37,753
36,165
5
50,000
32,921 32,518 31,275 30,054 29,732 29,458
0
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
25,098
0
08(年)
備考:休業4日以上の死傷災害を集計。(2008 年は 2009 年 3 月現在速報値)
資料:厚生労働省調べ
図125-4 労働災害率
7.0
鉱業
6.0
製造業
度 数 率
5.0
電気・ガス・熱供給・水道業
4.0
情報通信業
(通信業、
新聞業
及び出版業に限る)
3.0
運輸業
2.0
卸売・小売業
1.0
0.0
0.0
サービス業
(一部の業種に限る)
0.2
0.4
0.6
強 度 率
備考:点線は調査産業計 ( 総合工事業を除く。
)を示す。
資料:厚生労働省「労働災害動向調査」
39
図125-5 死傷者1人平均労働損失日数の推移
(日)
140
120
100
80
60
40
調査産業計
(総合工事業を除く)
製造業
20
0
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07(年)
備考:労働損失日数は次の基準により算出する。
(事業所規模100人以上)
死亡……………………7,500 日
永久全労働不能………別表の身体障害等級1∼3級の日数(7,500 日)
永久一部労働不能……別表の身体障害等級4∼ 14 級の日数(級に応じて 50 ∼ 5,500 日)
一時労働不能…………所定休日も含めた暦日数の延休業日数に 300/365 を乗じた日数
別表 身体障害等級別労働損失日数表
身体障害等級(級) 1 ∼ 3
4
5
6
7
8
9
労働損失日数(日) 7,500 5,500 4,000 3,000 2,200 1,500 1,000
資料:厚生労働省「労働災害動向調査」
40
10
11
12
13
14
600
400
200
100
50
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