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第 2 章 都市計画 GIS の概要

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第 2 章 都市計画 GIS の概要
第2章
都市計画 GIS の概要
第2章
都市計画 GIS の概要
2.1.都市計画 GIS の機能
2.1.1. 都市計画 GIS の機能
都市計画 GIS が有する様々な機能により都市計画業務の効率化、高度化が実現され、住民等へ
の行政サービスの向上を図ることが期待される。
都市計画 GIS の機能は、概ね次の①∼⑤の 5 つに分類できる。
① 法規制等情報検索機能
・地図上から都市計画に関する法規制の情報やその他様々な情報を検索し、表示する機能
・位置特定のための住所検索機能
・土地所有者等への指導内容・日時等の履歴情報を随時呼出しする機能
② 重ね合わせ・集計機能
・複数の主題を表現した地図を空間的な重ね合わせ(オーバーレイ*用語 5)により新たな図形を生成
する機能
・都市計画基礎調査の集計票の様な特定の主題の属性情報を単純集計・クロス集計を行う機能
③ 解析機能
・地区別人口などデータを分析し、その結果から地域特性を示す色分け図などを作成する機能
・付随する機能として、凡例の登録や呼出し機能やランキング値を設定する機能も含む
■ 都市計画 GIS の機能イメージ
鉄道駅から1km のエリア
バス停から 300m のエリア
鉄道駅から1km のエリア
セミグロス人口密度
100∼200
200∼300
300∼500
500∼
N
W
E
S
・住所検索
・情報串刺し検索
・検索情報の属性表示
・最短距離計測/表示
・指導履歴の登録/呼出し
・法 53 条対象土地入力と
申請調書内容登録
/検索
・図形重ね合わせ
・任意集計
・クロス集計
・集計結果出力
都市計画基礎調査
データ
人口増減率(サンプル1)
0
1
Rnkcov
-9.7 - -4.7
-4.7 - -0.8
-0.8 - 1.4
1.4 - 7.6
7.6 - 18.8
都市計画決定
データ
N
W
E
S
都市計画基図
データ
・図面登録(保存)/呼出し(開く)
・利用者制限
・情報共有
Yoto
・ランキング図作成
・クロスランキング図作成
・クラス自動分類
・凡例登録/呼出し
・バッファ図形の生成
・図郭印刷
・任意縮尺印刷
・レイアウト設定
33
第2章
都市計画 GIS の概要
④ 印刷機能
・既定の図郭割に準拠している図面を印刷する機能
・任意の範囲・縮尺等での印刷機能や付随機能としてレイアウト設定も含む
⑤ 電子情報管理機能
・出力頻度の高い都市計画情報や一度作成した都市計画図を登録及び呼出しをする機能
・都市計画 GIS の利用者制限機能、また他部署からのデータアクセス管理機能を含む
[参考] 都市計画 GIS の主な機能の例
機能
区分
主な機能
住所検索
情報串刺し検索
法規制等情報検索機能
・一点位置指定
・特定範囲指定
・任意範囲指定
機能概要
住所(町丁目、読み仮名)選択により対象地域を指定縮尺にて表示
図上で指定する任意の位置(点)の土地利用規制等を串刺し検索
建物や敷地など特定の範囲(面・多角形)を指定し、その範囲にかかる土地利用規制
や都市計画道路など都市施設情報を検索
任意の範囲(面・多角形)や位置(点・線)を選択後、許容距離を指定し、基準となる範
囲や位置から一定の範囲までの緩衝域の空間情報を串刺し検索
検索情報の属性表示
上記の検索による結果(土地利用規制、都市施設情報等)の詳細情報を表示
最短距離計測/表示
敷地境界から都計道などの計画線までの最短距離を計測
(3 点指定による垂線計測)
計測線を図形情報として保存し、計測と線計測距離を図上に表示及び印刷
重ね合わせ・集計機能
指導履歴の登録/呼出し
土地所有者等への上記指導内容・日時等の履歴情報を登録及び呼出し
法 53 条対象土地の入力と
申請調書内容の登録/検索
法 53 条許可対象の範囲(土地の区域)を図形として入力、及び申請調書内容の一般
的項目と、受付日や受理番号、担当者など必要な情報を登録
申請者名や日付等をキー項目としたデータベース検索、また入力した図形(土地の区
域)からの属性検索
例えば、都市計画道路と建物のデータを空間的に重ね合わせ(オーバーレイ)を行い、
都市計画道路にかかる建物を抽出し、新たな図形を生成(属性情報は両方の値を引継
ぐ)空間的な重ね合わせを行える図形は、点・線・面図形を対象
空間的な重ね合わせによって生成される線図形の延長や面図形の面積を自動計算
し、属性値として取得
キー項目の設定及び集計対象項目の設定により、合計、個数、平均、最大値・最小値
等の集計及び結果表示(キー項目の設定は複数可)
表頭となる項目、表側となる項目を設定及び集計対象項目の設定により、合計、個数、
平均、最大値・最小値等を集計及び結果表示
図形重ね合わせ
(オーバーレイ)
任意集計
クロス集計
集計結果出力
ランキング図作成
解析機能
クロスランキング図作成
集計結果を表計算ソフト等で利用可能な状態に保存
値が連続的に変化する項目(人口密度等)の属性値を基に、色分け図(ランキング図)
を作成(色分けの自動設定及び任意設定可)
2 種類の指標についてのクロス評価となる色分け図(クロスランキング図)を作成(色分
けの自動設定及び任意設定可)
印刷機 能
クラス自動分類
指定した属性値を基に、分類クラス数を指定し、ランキング境界値を自動設定
凡例登録/呼出し
作成した分類クラス数や色の設定等の凡例を保存及び呼出し
バッファ図形の生成
任意の図形(点・線・面)から、距離を指定して緩衝域を示す図形(バッファ図形)を生成
図郭印刷
既定の図郭(1/2500 等)の印刷及び定型フォームでの印刷イメージを表示及び印刷
登録済みの図郭図より図郭を選択選択し印刷(図郭選択は複数可、また連続印刷可)
電子情報
管理機能
任意縮尺印刷
任意の範囲、縮尺、用紙サイズにて印刷イメージを表示及び印刷
レイアウト設定
地図の範囲、方位記号、スケールバー、凡例の位置や文字の大きさ等の配置(レイアウ
ト)設定
図面登録/呼出し
出力頻度の高い法定図書や、一度作成した図面の印刷イメージを登録及び呼出し
利用者制限
都市計画 GIS 利用者(ユーザー)に対して、パスワードの発行及び管理
情報共有
都市計画 GIS に格納されているデータを他部署から呼出し及び書込み不可等のデー
タの接続(アクセス)管理
※表中の「登録」は「データの保存」
、「呼出し」は「データを開く」に相当
34
第2章
都市計画 GIS の概要
[事例] 都市計画業務に求められる GIS 機能を区分して導入した事例/埼玉県 A 市
〔導入の経緯〕
導入前までは、職員が用途地域などの都市計画情報の照会に時間を費やしている時間が多く、行
政サービスにも支障をきたしていた。
行政サービスを向上させ、職員の事務負担の軽減や効率化を図るとともに、その他の都市計画事
務の高度化を図るため、地理情報システム(GIS)による都市計画 GIS の導入を検討することと
した。
〔導入にあたっての機能検討〕
都市計画 GIS に必要な機能を、住民からの問合せなど行政サービスに対応するために必要な機
能(窓口支援機能)と、各種都市計画事務の効率化・高度化を図る機能(集計・解析機能)に分け
た。
窓口支援機能については、まちづくり計画課の担当課員全員が利用できるよう、PC(11 台)に
搭載した。
集計・解析機能については、日常的には必要ではないものの、各種の都市計画の検討を行うのに
必要となるため、管理用の PC(1 台)に搭載した。
■ 都市計画 GIS の機能を区分して導入した事例
利用者の区分
システム管理者
課員(17 名)
台数
窓口支援機能
集計・解析機能
1台
11 台
○
○
○
×
※システム管理者:1 人、システムを利用している課員:11 人(管理者含む)
出典:埼玉県 A 市
35
第2章
都市計画 GIS の概要
2.2.都市計画 GIS のシステム構成
2.2.1. 都市計画 GIS の構成
都市計画 GIS はデータ、ソフトウェア、ハードウェアにより構成される。
① データ
都市計画 GIS で利用するデータは、都市計画業務で必要となる都市計画に関わる空間情報で、
主に「都市計画基図データ」「都市計画決定データ」「都市計画基礎調査データ」があり、本ガイダン
スではこれら 3 つを総称して「都市計画 GIS データ」という。
■ 都市計画 GIS データの分類
都市計画基図データ
都市計画決定データ
区
分
線情報
都市計画基図
記号情報
データ
注記情報
地域地区
都市計画決定 都市施設
データ
市街地開発事業
地区計画等
土地利用現況
都市計画
建物現況
基礎調査
基礎調査区
データ
その他
都市計画基礎調査データ
主な内容
:行政界、道路界、地類界など
:田、畑、学校などの地図記号
:町丁目名、建物名などの文字
:用途地域、特別用途地区など
:都市計画道路・公園・河川など
:土地区画整理事業、市街地再開発事業など
:地区計画、防災街区整備地区計画など
:農地、山林、住宅地、商業地、工業地など
:住宅・店舗等の建物用途、木造・非木造などの建物構造、建物階数
:調査区単位の統計情報(人口、世帯数、土地利用分類別面積、建物用
途別床面積など)
:DID、近郊緑地保全区域、建築協定、農業振興地域など
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第2章
都市計画 GIS の概要
② ソフトウェア
都市計画 GIS のソフトウェアは、OS を基本ソフト(プラットフォーム)とし、一般的には次のような構
成となっている。
■ ソフトウェア構成の例
個別アプリケーション
(都市計画 GIS)
DB 管理ソフト
(DBMS)
基本 GIS エンジン
GIS 関連ソフト
OS
基本ソフト
区 分
基本 GIS エンジン
主な内容
・GIS の基本機能(拡大・縮小、検索、図形処理等)を有したソフトウェアで、各メ
*用語 26
ーカーが独自に開発した仕様(ファイル形式等)となっている。
DB(データベース) ・共有データとしてのデータベースを管理し、データに対するアクセス要求に応える
管理ソフトウェア
ソフトウェア。DBMS(Data Base Management System)ともいう。
個別アプリケーション ・基本 GIS エンジンを利用して都市計画業務用に開発されたソフトウェアで、各メ
*用語 20
ーカーの創意工夫によりカスタマイズされたパッケージとして販売されている。
③ ハードウェア
都市計画 GIS のハードウェアは、一般的には次のような構成となっている。
■ ハードウェア構成の例
インターネット 等
ウェブサーバ
スキャナ
サーバ
クライアント
ハブ*用語 36
LAN
パソコン
入出力機器
情報管理部門 ←
区
プリンタ
分
プロッタ
周辺関連機器
主な内容
・サーバは、データを格納し、クライアントに配信するための機器。
パソコン
・クライアントは、ユーザーがシステムを操作するための機器。必要に応じて複数台設置、も
しくは他業務用システムと兼用してもよい。
・スキャナは、紙から図形や写真を読み取って、画像データとしてパソコンに転送する装置。
入出力機器 ・プリンタは、小型の出力機器で、フルカラー対応のレーザー方式が一般的である。
・プロッタは、大型の出力機器で、フルカラー対応のインクジェット方式が一般的である。
・インターネットにより外部へ情報配信するシステムは、高度な情報セキュリティを確保する
観点から、ウェブサーバ等ネットワーク全体を情報管理部門で一括運営する場合が多い。
周辺関連機器
・また、組織内のコンピュータネットワークへ外部から侵入されるのを防ぐシステムとして、
*
37
ファイアウォール 用語 等を導入している場合が多い。
37
第2章
都市計画 GIS の概要
2.2.2. 都市計画 GIS の導入形態
都市計画 GIS は次の形態により導入される。
なお、導入形式別と導入機能別のシステムの導入イメージ例を以下の図で示す。
① 導入形式別
都市計画 GIS の導入形式は、一般的には次のような 3 つの形式が主となっている。
・スタンドアロン形式
利用者が 1 人(1 台)に限定される形式
・クライアント・サーバ*用語 30 形式
複数の利用者が庁内 LAN 等を利用してサーバに格納されたデータを共有する形式
・ウェブ形式
複数の利用者がインターネット等を利用してサーバに格納されたデータを共有する形式
② 導入機能別
都市計画 GIS の導入機能は、一般的には次のような 3 つの形式が主となっている。
・情報管理・分析型
職員の事務の軽減を目的とし、都市計画 GIS データの管理・更新、また都市・地域分析等
の複雑な空間解析等を可能とした GIS
・窓口支援型
来庁した住民等の窓口対応を目的とし、住民等が容易に操作できる GIS
・インターネット型
住民等への情報公開を目的とし、インターネットを利用して必要情報を検索できる GIS
■ 標準的な都市計画 GIS の構成のイメージ
窓口支援型 GIS
インターネット型 GIS
(スタンドアロン形式)
(ウェブ形式)
インターネット
ウェブサーバ
窓口支援システム
※本図は、一例である。
データサーバ
マップサーバ
A0プロッター
A3プリンタ
情報管理・分析型 GIS
(クライアント・サーバ形式)
クライアント①
クライアント②
クライアント③
38
・・・・・・・・・・
クライアントX
第2章
都市計画 GIS の概要
[事例] 情報管理・分析型(クライアント・サーバー形式)GIS の導入事例/長野県長野市
平成 13 年度∼平成 15 年度にかけ、GIS を
活用した「都市計画支援システム」を構築した。
この際に平成 11 年度に実施した都市計画基
礎調査のうち、土地利用現況及び建物用途別現
況をデジタル化した。平成 16 年度には、都市
計画基礎調査を実施しており、この業務の中
で、土地、建物のほか、人口の各種属性に対し
てバッファリング等の検索機能の追加及び基
本情報の照会確認を行うためのシステム機能
を追加する予定となっている。
システムでは任意に範囲指定した区域で、都
市計画基礎調査データを集計した「カルテ」が
作成可能で、用途地域等都市計画変更の際の基
礎資料として活用することができる。
〔カルテに掲載される情報〕
道路網密度、人口密度、土地利用別現況面積
建物用途別、構造別、現況面積及び戸数、
建蔽率、容積率現況
■ 都市計画支援システムの表示画面の例
(土地利用現況図)
出典:都市計画支援システム,長野県長野市
[事例] 窓口支援型(スタンドアロン形式)GIS の導入事例/広島県広島市
昭和 62 年より GIS を導入し、平成 4 年より
窓口支援システムとして「都市情報システム」
を構築した。
このシステムは、窓口に訪れた市民が直接簡
単に操作できるように工夫がなされ、タッチパ
ネル方式を導入している。(タッチパネル方式
導入には、専用のハードウェアが必要)
システムの機能としては、用途地域等の都市
計画決定の検索等が可能であり、検索結果を容
易に地図印刷出力できる。
■ 窓口支援システムの設置状況
出典:都市情報システム,広島県広島市
[事例] インターネット型(ウェブ形式)GIS の導入事例/神奈川県横須賀市
■ インターネット表示画面の例
平成 7 年より統合型 GIS の検討を開始し、
インターネット型の都市計画 GIS としては、平
成 15 年より導入した。
本システムでは、都市計画決定情報をはじ
め、医療施設情報、観光情報、リサイクル施設
情報等を公開している。
通常、庁内において、インターネットに情報
を配信するには、ウェブサーバ等の専用のハー
ドウェアが必要となる。
また、インターネットに接続することから、
情報保護対策をより厳密に講じることが必要
となるため、システムの管理は、都市計画部門
でなく、情報管理部門で行われる場合が多い。
出典:よこすかわが街ガイド,神奈川県横須賀市 HP
39
第2章
都市計画 GIS の概要
2.3.都市計画 GIS 導入コスト
2.3.1. 地方公共団体における都市計画 GIS の構築費用
昨今の情報技術革新や GIS の普及等により高機能・コンパクトで低価格のシステムが一般的とな
り、測量技術の高度化や情報共有化の促進によりデジタルデータの整備コストも低減していく方向に
ある。
[2.3.1.解説] 地方公共団体における都市計画 GIS の構築費用
平成 14 年度末までにおける地方公共団体の都市計画 GIS 構築費用は、都道府県で平均 283 百万円、
市町村で平均 112 百万円となっている。
■ 全国地方公共団体の都市計画 GIS 構築費用
都市計画 GIS
都道府県
構築費用
(百万円)
データ
ソフト・ハード
合 計
205
2,249
15,937
2,001
7,111
4,250
23,048
150
78
1 自治体当たりの データ
平均の構築費用 ソフト・ハード
(百万円)
市町村
15
導入済み数(自治体数)
合 計
133
35
283
112
出典:地方自治情報管理概要,平成 16 年 10 月,総務省自治行政局
2.3.2. 都市計画 GIS 導入効果の考え方
都市計画 GIS を導入することにより、情報化に係る新たな費用が発生するが、従来の方法に比べ
て作業の効率化による直接的な効果と、分析の高度化や行政サービスの向上による間接的な
効果の向上により、全体として効果が格段に高まる。
■ 効果の考え方
都市計画 GIS の導入により、
従来方法より効果が格段に高まる
都市計画 GIS 導入による効果
GIS 導入に必要な費用
ソフトウェア費用
ハードウェア費用
間接的(定性的)効果
(行政サービスの向上、分析の高度化 等)
直接的(定量的)効果
(作業の効率化、外部委託費削減 等)
+
従来方法による効果
GIS を導入すると・・・
従来方法による効果
※都市計画 GIS に搭載するデータ作成費用は、
都市計画 GIS 導入前のアナログ作業費用と相殺されるため、
この図上では表現されていない。
40
第2章
都市計画 GIS の概要
2.3.3. 都市計画 GIS 導入コストの試算
都市計画 GIS を導入する市区町村において、標準的な都市計画 GIS の構成とその導入形態を
想定すると、導入の概算コストと各コストの占める割合(カッコ内)は以下の図のようになる。
都市計画 GIS 導入コストは、初期費用、運用費用、全面更新費用に大別できる。
導入コストの大部分を占める 1 年目のデータ費用は、GIS を導入しない場合より 6 百万円安く、6
年目以降の全面更新費用も 3 百万円安い。
都市計画 GIS を導入した場合のコスト増は、主にソフトウェアとハードウェアの新規投資分である。
しかし、業務の効率化・高度化により、段階的に人件費と相殺される。
■ 都市計画 GIS 導入コストの試算の例
<標準的な都市計画 GIS を導入した場合のコスト>
1 年目
初期費用
2∼5 年目
2年目
2年目
運用費用
2年目
6 年目
全面更新費用
①データ費用(更新)
①データ費用
都市計画基図
44 百万円(約 45%)
都市計画決定
(用途地域等)
8 百万円(約 8%)
都市計画基図
23 百万円(約 72%)
④更新費用
1 百万円/年(約 10%)
都市計画基礎調査
(土地利用等)
8 百万円(約 25%)
都市計画基礎調査
(土地利用等)
12 百万円(約 12%)
計.64 百万円
④更新費用
1 百万円/年(約 3%)
計.1 百万円
②ソフトウェア費用
20 百万円(約 20%)
⑤保守費用
5 百万円/年(約 45%)
③ハードウェア費用
15 百万円(約 15%)
⑥運用支援費用
5 百万円/年(約 45%)
計.35 百万円
計.32 百万円
※IT 機器(ソフトウェア及びハードウェア)に
ついては、日々技術革新がなされているため、
必要に応じて機器等の更新を行う場合がある。
計.10 百万円
IT 機器等の導入費分は、業務の効率化・高度化により、段階的に人件費と相殺される。
<都市計画 GIS を導入しない場合のコスト>
1 年目
初期費用
2∼5 年目
2年目
2年目
運用費用
2年目
6 年目
全面更新費用
①データ費用(更新)
①作図費用
都市計画基図
45 百万円(約 64%)
都市計画決定
(用途地域等)
10 百万円(約 14%)
都市計画基図
24 百万円(約 68%)
④更新費用
1 百万円/年(100%)
都市計画基礎調査
(土地利用等)
10 百万円(約 29%)
都市計画基礎調査
(土地利用等)
15 百万円(約 21%)
計.70 百万円
④更新費用
1 百万円/年(約 3%)
計.1 百万円
計.35 百万円
例えば・・・
窓口業務 1 件につき 0.25 時間、1 日 30 件=約 8 時間=1 人日¥30,000×20 人日×12 ヶ月×5 年分=約 36 百万円
都市計画決定変更 3 箇所につき複製物 4 部作成する場合、3 箇所×4 部=12 面×¥10,000×年 3 回×5 年分=約 2 百万円
都市計画基礎調査の 4 種類の図面作成及び集計など手作業分、4 種類×約 65 人日×1 人日¥30,000=約 8 百万円
・・・の場合、合計.約 46 百万円
※人件費単価¥30,000-/日、A0 版カラーコピー単価¥10,000-、1 ヶ月 20 日計算
※都市計画基礎調査 4 種類とは、基礎調査区、土地利用現況、幅員別道路現況、建物現況を想定
41
第2章
都市計画 GIS の概要
[参考] 都市計画 GIS 導入コストの試算
〔モデル都市における都市計画 GIS 導入コスト試算の前提条件〕
標準的な都市計画 GIS を導入する上で必要最低限のコストを試算した。また、都市計画 GIS を導入しない従来方法に
よるコストも併記した。
<都市規模>
・ 都市計画区域面積 60km2(用途地域 20km2、白地地域 40km2)
・ 人口 10 万人
<導入スケジュール>
・ 1 年目に新規構築し、2∼5 年目は運営、6 年目に全面更新するローテーション
<GIS化の前提>
・ データは、全て 1/2,500 精度の更新時期を迎えたアナログ資料を保有
・ システムは、汎用的な既存パッケージソフトウェアを利用し、情報管理・分析型 GIS は課レベルでクライアント・サーバ
形式により2ライセンス、窓口支援型GISはスタンドアロン形式により1ライセンス、インターネット型GISはウェブ形式
により構築(但し、既存ハードウェアは兼用しない。)
・ GIS 化を図ることにより発生する費用について計上(但し、付随する調査・作業も含む。)
・ GIS 運営体制・維持・管理に係る行政経費(職員人件費、施設費等)は含まない。
〔導入コスト試算の積算内訳〕
<イニシャルコスト>
①データ費用・作図費用
・ 都市計画基図は、新規 DM 図化による概算費用である。
(平成 16 年度 国土交通省 設計業務等標準積算基準書による)
・ 都市計画決定は、概ね用途地域内において、土地利用(市街化区域・地域地区等)
、都市施設(道路・公園・下水道等)、
市街地開発等(地区計画・市街地再開発事業・土地区画整理事業等)に関するデータベース化に係る費用で、境界線精査
2
を含めた概算費用である。
(40 万円/km と想定)
・ 都市計画基礎調査は、概ね都市計画区域内において、昭和 62 年旧建設省調査実施要綱に定める調査項目の内、調査ゾー
ン(地区)別調査、土地利用現況、非可住地現況、農地・山林現況、緑地現況及び建物用途別・階数別・構造別現況に関
するデータベース化に係る費用で、調査を含めた概算費用である。
(20 万円/km2 と想定)
②ソフトウェア費用
・ 情報管理・分析型 GIS は、クライアント側は汎用的な既存パッケージソフトウェア 2 ライセンスの導入、データサーバ
側はデータベース管理ソフトウェア 1 ライセンスの導入に係る費用で、ハードウェアへのインストール、データの設定を
含めた概算費用である。
・ 窓口支援型 GIS は、汎用的な既存パッケージソフトウェア 1 ライセンスの導入に係る費用で、ハードウェアへのインス
トール、データの変換・設定を含めた概算費用である。
・ インターネット型 GIS は、GIS 基本ソフトウェア 1 サーバライセンス、地図データ管理ソフトウェア 1 サーバライセン
ス、データベース管理ソフトウェアのうちインターネット不特定利用ライセンスを 1 プロセッサライセンス×2、イント
WEB サーバソフトウェア 1CPU ライセンスの導入に係る費用で、
ラネット接続ライセンス(管理用)を 5 指名ライセンス、
ハードウェアへのインストール、データの変換・設定を含めた概算費用である。
③ハードウェア費用
・ 情報管理・分析型 GIS は、コンピュータ本体 2 台、大判(A0 判)の図面出力が可能なカラープロッタ 1 台、A3 判対応
のカラープリンタ 1 台、大量なデータを一括して管理するためのデータサーバ(マップサーバ)1 台及びバックアップ装
置・配線等に係る概算費用である。
・ 窓口支援型 GIS は、コンピュータ本体 1 台、無停電電源装置 1 台、A3 判対応のカラープリンタ 1 台に係る概算費用であ
る。
・ インターネット型 GIS は、サーバ機 3 台(WEB サーバ/MAP サーバ/データベースサーバ)
、サーバモニタ(液晶モニ
タ)
、無停電電源装置、管理用コンピュータ 1 台に係る概算費用である。
<ランニングコスト>
④更新費用
・ 年間更新費用は、毎年の都市計画変更に伴う都市計画決定データの修正・変換・設定に係る概算費用である。
・ なお、都市計画基図及び都市計画基礎調査は、概ね 5 年に 1 回の更新となり、それぞれ当初構築費用の約 50%(修正図
化)及び約 80%(見直し調査)のコストが発生する。ここでは 5 年目のランニングコストとして概算費用を計上してい
る。
・ また、概ね 5 年を経過するとハードウェア・ソフトウェア共に技術革新がなされ機能が陳腐化するため、一般的には更新
(リプレース)を行う。この場合、別途新たなシステムとして再構築する方法から必要最低限の環境再設定で収める方法
まで多岐に渡るが、ここでは新規に同等のハードウェア・ソフトウェアを導入する概算費用を、5 年目のランニングコス
トとして計上する。
⑤保守費用
・ 年間保守費用は、ハードウェアについては 1 台当り本体価格の 10%相当、ソフトウェアについては 1 ライセンス当り本
体価格の 15%相当の概算費用である。但し、1 年目の構築時及び 5 年目の再構築時は計上しない。
⑥運用支援費用
・ 年間運用支援費用は、各 GIS の利活用サポート、教育・訓練の実施等に係る外部委託費として約 100 人日(日額人件費
単価:50 千円)相当の概算費用である。
<都市計画 GIS を導入しない従来方法のコスト>
・ 都市計画 GIS を導入しない場合とは、都市計画以外のその他の GIS も含め GIS を導入していない状態を示す。
・ 都市計画基図は、新規及び修正アナログ図化による概算費用である。
(平成 16 年度 国土交通省 設計業務等標準積算基準書による)
42
第2章
都市計画 GIS の概要
2.3.4. 都市計画 GIS 導入コストの低減方策
導入コストを低減するために、次に示すような方策により平準化が可能になると考えられる。
① 段階的な都市計画 GIS の導入
標準的な都市計画 GIS を全て一括して導入せずに、当初導入時におけるデータ化項目、ソフトウ
ェア機能、ハードウェア性能、システムライセンス*用語 40 数等を最低限に留めるなどの工夫を行うこと
により、当初のコストが削減できる。
② 統合型 GIS など組織連携の工夫
複数組織や複数目的により共有・共同化された GIS を利活用することで、単一組織や単一目的
で作成された GIS 及び地図データよりも大幅にコストが削減できる。
③ システム運営・管理のアウトソーシング
インターネットにより情報公開サービスを行う場合、専用の業務ソフトウェア等のアプリケーション機
能を期間単位で貸出・提供するアウトソーシング*用語 19 サービスである ASP*用語 13 方式等を導入する
ことにより、GIS 構築時のソフトウェア開発に係るコストが軽減される。
④ 製品仕様による測量作業プロセスの簡略化
公共測量作業規程に基づく公共測量を、作成仕様(プロセススペック)から測量成果の作成手法
を問わない製品仕様(プロダクトスペック)に基づき実施することにより、航空レーザー測量等の新技
術を活用した作業が可能となる。その結果、従来の測量方法に比べて効率的な都市計画基図作成
とコストの軽減が期待できる。
⑤ 民間地図データの活用
規制緩和により民間の事業参入、革新的技術の導入等が促進されることで、民間が作成した航空
写真画像データや地図データを活用がより容易になり、単一目的により委託作成した地図データ等
よりも大幅にコストが削減できる。
43
第2章
都市計画 GIS の概要
[参考] 導入コストの低減方策
①段階的な都市計画 GIS の導入
[実施方策]
・導入時にデータ化項目、ソフトウェア機能、ハードウェア性能、システムライセンス数等を
最低限に留め GIS を導入
[留意事項]
・予め、将来的なシステム全体像を明確にし、効率的な導入手順を検討しておくことが必要
・システムの利活用を促進するとともに、必要な機能・データ等の精査を行うことが必要
99 百万円
コスト高
GIS データ整備
インターネット型 GIS
標準的な都市計画 GIS(情報管理・分
析型、窓口支援型、インターネット型)を
一括導入すると当初のコストが高くなる。
情報管理・分析型 GIS
窓口支援型 GIS
※図中の 99 百万円とは、
標準的な都市計画 GIS
を全て導入した場合の初期費用である
段階的な導入を検討
利用目的別に段階的に GIS を導入することによりコストの平準化が可能であり、
また、必要な機能を有する GIS の導入のみも考えられる。
<段階的な都市計画 GIS 導入の例>
条件:都市計画区域面積 60km2
積算内訳は前頁の「参考 導入コスト試算
の積算内訳」を参照
運用支援 5 百万円/年
インターネット型 GIS
【目標】
広域都市圏で利用
縦覧図書として利用
・・・等々
15 百万円
保守
最大 5 百万円/年
窓口支援 GIS
7 百万円
概ね 5 年後 機器リプレイス
情報管理・分析型 GIS
13 百万円
○△役所では、ま
ず庁内の散在した
情報を整理し、情
報管理型でデータ
は基図と都決だけ
にしよう!
GIS データ整備
基図データ
44 百万円
計画決定データ
8 百万円
基礎調査データ
12 百万円
毎年更新
1 百万円
概ね 5 年毎に更新
31 百万円
※図中の金額は、概算である。
44
第2章
都市計画 GIS の概要
②統合型 GIS など組織連携の工夫
[実施方策]
・都市計画業務と固定資産税課税評価業務など、関係部署における共通事務部分を一本化
・地域の都道府県や市区町村が共同事業として GIS を導入
[留意事項]
・共同事業として実施するための手法、組織、体制等の確立が必要
・成果物に対する著作権の取り扱い、責任の所在(リスク分担)等を明確にすることが必要
■ 協働作成によるコストダウンの事例
◆当初整備費
統合型
約30億
個 別
※左図の例では、個別に GIS を導入すると
当初整備費:約 90 億、更新費:約 6 億
必要であるのに対し、統合型 GIS を利用
して導入すると、当初整備費:約 30 億、
更新費:約 3 億となり、約 1/3∼1/2 の
コストダウンの成果を示している。
※また、紙地図の更新費と、統合型 GIS を
導入した際のデータの更新費を比較す
ると、約 1/4 のコストダウンが実現して
いることが判る。
約1/3
約90億
◆更新費
統合型 約3億
個 別
約6億
紙地図更新
約12億
約1/4
出典:岐阜県ふるさと地理情報センターHP
http://www.gis.pref.gifu.jp/
③システム運営・管理のアウトソーシング
[実施方策]
・アウトソーシングサービスである ASP 方式を導入
・サーバー等のハードウェアやデータも含めてアウトソーシングを実施
[留意事項]
・標準的に提供されるサービスは安価であるが、独自の仕様・機能等を実現するためには割高
な費用負担が生じる。
・緊急時におけるシステムの停止など、責任の所在や代替手段の確保等を予め検討しておく必
要がある。
④製品仕様による測量作業プロセスの簡略化
[実施方策]
・製品仕様による公共測量の実施(航空機レーザーセンサー等の新技術の活用)
[留意事項]
・共通仕様(案)に基づく品質管理が必要
・地図作成プロセスの自動化等に関する技術革新が必要
■ 測量作業プロセスの比較
デジタル都市計画基図
空中 三角測量
ブロック調整
直接定位計算
撮
影
撮影計画
45
簡易水準測量
標定点測量
現像処理
撮
影
対空標識設 置
撮影計画
<新技術による都市計画基 図作成作業>
︵1/250 0公共測量の精度を確保 ︶
<従来の都市計画基図作成 作業>
第2章
都市計画 GIS の概要
■ 新技術の活用による付加価値
三次元の地盤モデルや建物モデ
ルの作成
繋ぎ目が無く、倒れの少ない高品
質なデジタルオルソ画像の作成
緑化状況(屋上緑化部分の抽
出等)の把握
⑤民間地図データの活用
[実施方策]
・調達方式による既存の民間地図データ等の活用
・PPP 方式等による民間資金・ノウハウの活用
[留意事項]
・民間が作成した成果の品質を適正に評価するガイドラインとして、国土地理院作成の「地図
データの品質とその評価に関する指針第 1 版(案)/平成 13 年 7 月」を活用
46
第2章
都市計画 GIS の概要
[事例] ASP 方式による都市計画決定情報等の配信/神奈川県横須賀市
神奈川県横須賀市では、情報公開型 GIS「よこすか わが街ガイド」を平成 14 年度からインター
ネットで公開し、都市計画決定情報等の各種規制情報の他、公共施設、医療、店舗、観光等の各種
情報を外部に提供している。
ブラウザを通じて利用するソフトウェア、サーバー等のハードウェア、背景地形図等のデータ等
を一式でレンタルする ASP 方式の採用により、次のようなメリットが実現されたとしている。
・ 提供事業者側の既存システムを利用するため、ソフトウェア開発費や地図データ整備費など
導入初期の構築コストが大幅に削減されること
・ システムの所有権等が発生せず、構築及び運用の大部分が提供事業者側で行われるため、初
期の調達手続きや 24 時間体制の管理に係わる職員の負担が大幅に軽減されること
・ ユーザーのパソコンには個々のアプリケーションソフトをインストール*用語 23 する必要がな
いので、ソフトウェアの管理やアップグレードに係る費用・手間を節減できること
・ 隣接自治体との煩雑な調整をせずに、広域的な地図情報が提供できること
■ 「よこすか わが街ガイド」のトップページ
出典:よこすかわが街ガイド,神奈川県横須賀市 HP
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/gis/index.html
■ ASP 方式の利用イメージ
地図情報専用サイト
ASP 事業者
(GIS サ ー バ
リンク
利用料金
24 時間OK!
情報提供
インターネット
●●市ホームページ
携帯もOK!
近年、行政機関において、低コストで手軽な ASP 方式によりインターネット公開する事例が増え
てきている。2004 年 11 月現在、50 団体の行政機関が ASP 方式を利用しており、その内、都市計
画決定情報を配信している行政機関は 14 団体となっている。(民間プロバイダー調査)
47
第2章
都市計画 GIS の概要
[事例] 官民連携による都市計画基本図の整備/東京都
東京都では、民間の資金やノウハウを活用し、より良質な公共サービスの提供を図るため、地図
整備においては PPP 方式(著作権共有方式)を採用し、平成 14 年度から特別目的会社(Special
Purpose Company)との共同事業により、1/2,500 都市計画基本図の整備・更新を行っている。
本事業により東京都の都市計画基本図更新コストが低減されるばかりでなく、都民等の利用機会
の拡大や、地形図の品質向上が期待されるとしている。
■ 東京都縮尺1/2,500 地形図更新事業のスキーム
特別目的会社
出典:東京デジタルマップ株式会社 HP より作成
48
第2章
都市計画 GIS の概要
2.4.都市計画 GIS 導入までの流れ
2.4.1. 導入手順
都市計画 GIS の導入手順は、大きく「①検討段階」、「②構
築段階」、「③運用段階」に分かれる。各段階では、以下の事
項を実施する。
■ 都市計画 GIS 導入までの手順
①検討段階
1) 導入検討
また、各段階のどの部分を委託するか、全体コストや担当
職員数・スキル等を勘案し、導入検討時に検討しておく必要
が有る。委託業者等の選定に際しては、事前調査時に実績・
2) 事前調査
3) 導入計画策定
特徴等を把握し、プロポーザル方式、コンペ方式など、透明
性が確保された選定方式を採用することが望ましい。
②構築段階
1) システム
開発
①検討段階
1) 導入検討
2) データ
整備
工程調整
導入に際し、予め目的、目標、効果、体制、費用等の必要
3) システム検証
事項を幅広く検討する。
2) 事前調査
③運用段階
事務事業に関する現状・将来分析、先進自治体における
導入事例の研究、最新技術動向の把握を行う。
1) 保守、維持・管理
更新、運用支援
3) 導入計画策定
都市計画 GIS の導入に際して、予め目的、目標、効果等を明らかにするため導入計画を策定
する。導入計画の主な策定項目としては、導入目的・構築目標、導入方針、システム構成、導入
方策、導入費用と効果の検証等がある。
②構築段階
1) システム開発
システムの概要設計(外部設計)、詳細設計(内部設計)、プログラミング等を実施する。
2) データ整備
データ作成仕様を決定した上、データ整備を実施する。なお、データ整備はシステム開発と並
行作業で実施するが、データ整備量が多大な場合、データ整備に長期間を要するので、システム
開発や運用開始時期等との調整が必要となる。
3) システム検証
システムやデータが機能面で問題が無いかテストし、仮稼働で実利用面での検証を行う。
③運用段階
1) 保守、維持・管理、更新、運用支援
都市計画 GIS のバージョンアップへの対応やデータ更新など運用支援等を行う。
49
第2章
都市計画 GIS の概要
2.4.2. 導入期間
導入期間は、利用対象者数や取扱うデータ量などに対応したシステムの規模により大きく異なる
が、全体で概ね 1 年以上を要する。データ整備量が多い場合は、数年の期間を要することもある。
[2.4.2.解説] 導入期間
都市計画 GIS の導入期間は、特に導入体制・予算に関して、関係者との合意形成や必要な調整を図
るために相当の期間を要する場合もあるが、概ね次の目安でスケジュールを調整する必要がある。
[導入期間の目安]
●検討段階
●構築段階
システム開発
データ整備
システム検証
・・・約半∼1 年間
・・・約半∼1 年間
・・・約 1∼数年間
・・・数ヶ月∼約半年間
■ 都市計画 GIS の導入スケジュールの例
段階
①
検
討
都市計画GIS導入スケジュール
1)
導入検討
2)
事前調査
3)
導入計画策定
1)
システム開発
1年目
2年目
3年目
基本計画
開発対象となるシステムの実現可能性の検討、機器の
構成 等
外部設計
ユーザの立場から見たシステムの設計
内部設計
システム開発側の立場やコンピュータの仕様から見たシ
ステム設計
プログラム設計
内部設計に基づいて各プログラムの内部構造を設計
プログラム設計の結果に基づいて実際にコーディングを
行いモジュール単体テストを行う
プログラムの全動作が仕様を満足しているかどうかを確
かめる
外部設計のコード設計や内部設計の物理データ設計等
で決定した内容も反映し、データのスキーマを定義
データベース設計の結果に基づいて実際に必要なデー
タを作成
データのスキーマ定義等が仕様を満足しているかどうか
確かめる
プログラミング
②
構
築
結合試験
データベース設計
2)
データ整備
データ作成
品質検査
3)
この時点
から
システム導入
システム検証
システムが稼動する現地に機器設定 等
システムとデータを統合し、仕様を満足しているかどうか
確かめる
システム検証及び仮稼動
③
運
用
1)
保守、維持・管
理、更新、運用支
援
備考
4年目
システム本稼動(運用)
【都決】随時、【基図、基礎調査】概ね5年 サイクルで更新
データ更新 等
※上記の例では、開発を分析・設計・実装・テスト・運用の順に行い、前工程が完了するまで、次の工程に進まない開発手法(ウォーターフォールモデル)を前提とする。
2.4.3. 導入方法
導入方法は、「既存パッケージの利用」と「独自仕様による開発」の 2 通りに分かれるが、都市計画
GIS 導入の目的や必要とする導入機能、コスト等を検討した上で、適切な方法を選択する必要があ
る。
■ 都市計画 GIS 導入方法の比較
①適用性
②拡張性
③安定性
④導入期間
⑤導入コスト
⑥保守
⑦著作権
既製パッケージの利用
独自仕様による開発
・機能・仕様等が汎用性有り
・改良範囲が制約、改良コスト発生
・高い
・短期間
・安価
・定型的な保守を付加できる
・開発者に著作権有り
・利用者は使用許諾書に同意の上、利用
・利用目的・ニーズに即した独自性有り
・独自に改良可能
・低い
・長期間
・高価
・独自の保守契約を締結
・開発者に著作権有り
・発注者側に著作権の譲渡可能
50
第2章
都市計画 GIS の概要
[2.4.3.解説] 導入方法
近年、GIS の製品メーカーおよび販売代理店から様々なパッケージ製品が出され、各地方公共団体におい
ても既存パッケージの利用が主流となっているが、導入目的等に合わせ適切な選択を行う必要がある。
①適用性について
既存パッケージを利用する場合、機能・仕様等が汎用的であるため、利用者の利用目的・ニーズに
合致しない部分が発生する。一方、独自仕様による開発の場合、利用者の利用目的・ニーズに即した
システムを導入することが可能である。
②拡張性について
既存パッケージを利用する場合、開発者側の考え方やスケジュール等で拡張されるため、独自に改
良を行う場合、改良範囲が制約され、改良コストが生じる。一方、独自仕様による開発の場合、独自
の考え方やスケジュール等で拡張が可能である。
③安定性について
既存パッケージを利用する場合、動作検証を経て出荷されているため安定性が高いが、独自仕様に
よる開発の場合、動作検証を行いながら開発されるため、安定性は低くなる。
④導入期間について
既存パッケージを利用する場合、部分的にカスタマイズを行う可能性もあるが、独自仕様による開
発よりも短期間で導入可能である。
⑤導入費用について
既存パッケージを利用する場合、開発コストが分散されるため、ライセンス普及に伴い安価となる。
一方、独自仕様による開発の場合、独自コスト分が付与されるため高価となる。
⑥保守について
既存パッケージを利用する場合、定型的な保守を付加できるが、独自仕様による開発の場合、別途、
独自の保守契約を締結する必要がある。
⑦著作権について
既存パッケージを利用する場合、利用者は、著作物の利用について、開発者から許諾を受けること
が可能である。利用許諾の条件については、著作物利用許諾契約内で定める。
但し、著作物利用許諾契約は、排他的な独占権を有するものでは無いので、開発者が利用者以外の
第三者に著作物の利用許諾を与えたとしても、利用者がそれを差し止める権利は無い。
一方、独自仕様による開発は、「著作権を開発者(請負)側から発注者側に譲渡する」という契約を
締結した場合、翻案権・二次的著作物に係る著作者の権利は、依然として開発者(請負)が保有する。
このため、発注者側が、翻案権及び二次的著作物に係る著作者の権利を請負側から譲り受けたい場
合、翻案権・二次的著作物に係る著作者の権利を譲渡する旨を譲渡契約書に特掲する必要がある。
51
第2章
都市計画 GIS の概要
[参考] 都市計画 GIS 導入の具体的な手順
① 検討段階
1) 導入検討
都市計画 GIS の導入を検討する際、予めシステム化の目的や必要性を確認し、将来の見通しを
つけた上で導入の是非を判断することが重要である。
先進的な事例の中には、都市計画 GIS に必要以上に過度な期待を寄せ、運用時の維持・管理・
更新等を甘く見積もることにより、業務が効率化・高度化するどころかシステム化そのものが目的
となってしまうケースも見受けられる。
この様な事態に陥ることなく、計画的に都市計画 GIS を構築し、効果的な運用を図るためには、
システムの導入目的、目標、効果、体制、費用等の必要事項等を明確化することが必要となる。
2) 事前調査
導入計画の策定に際しては、事務事業に関する現状・将来分析、先進自治体における導入事例の
研究、最新技術動向の把握を行うことが望ましい。
都市計画 GIS は、既存の事務事業の環境に合せて、業務を効率化、高度化することを目的に導
入するため、現状の調査、分析により課題を明確にすることが重要となる。
[現状調査、分析の視点]
●データ面(地図利用の現状)
・どのような地図を作成、利用しているか?
・その中でどの地図をデジタル化しているか?
・周囲に利活用できる地図は無いか?
・地図と関連付けると有効な情報は無いか? 等
●システム・インフラ面(既存のシステム・インフラ環境)
・現在のハードウェア、ソフトウェアの構成、仕様等はどのようになっているか?
・庁内のネットワーク環境(LAN 等)やセキュリティ対策はどのようになっているか?
・その他、情報システムに関する法的な制約事項は無いか? 等
●人的資源面(ユーザーや管理者のスキル)
・都市計画 GIS を利用するユーザーや、システム管理者の IT スキルはどの程度か?
・都市計画 GIS 導入時の関係者は誰か?
(財政部門、情報管理部門、関係部門、委託事業者等) 等
最新
動向
職員の
IT スキルは?
現状調査
また、既に都市計画 GIS を導入している地方公共団体は多数有るので、都市規模が類似してい
る地方公共団体や必要としている機能を実現している地方公共団体を調査し、成功例・失敗例等を
含め、導入事例の研究を怠ってはならない。
更に、情報技術は目覚しいスピードで進歩しているので、最新の技術動向を把握し、導入時点で
既に技術が陳腐化してしまうことは避けなければならない。
なお、GIS ソフトウェアや地図データベースの製品比較は、「GIS データブック」(JACIC 財団
法人日本建設情報総合センターにて毎年刊行、またはインターネット版)など公開された集約情報
が参考となる。
※JACIC「GIS データブック」インターネット版は、http://www.gis.jacic.or.jp/ 参照
52
第2章
都市計画 GIS の概要
3) 導入計画策定
導入計画策定は、主に次の a)∼e)の項目について検討し、整理することが必要である。
a) 導入目的・構築目標
導入計画策定の意義は、計画的な都市計画 GIS の構築、運用を図るために、予め導入の目的
や構築の目標を明らかにする所にある。そのためには、まず、都市計画 GIS 導入に当ってのビ
ジョンとして、次のような事項を明確化する必要がある。
[明確化すべきビジョン]
●都市計画 GIS の将来像
・どの様な業務の効率化、高度化が実現され、
どの様な住民サービスを向上させるのか?
・将来の都市計画 GIS の姿はどのようになるか?
(中長期的な開発目標の設定)
●都市計画 GIS の利活用
・都市計画 GIS は何ができるのか?
・どのような業務、場面に GIS を利活用するのか?
・重視する機能や構築の優先順位はどうか?
●都市計画 GIS の利用者
・課員全員が使うのか?
・情報やデータはどこまで公開し、提供するのか?
効率化
まずは・・・
窓口業務で GIS を
活用する?
行政業務サポートため
に GIS を開発する?
インターネットで住民への
情報提供が先?
高度化
サービス
b) 導入方針(システム開発・データ整備方針)
現状調査、研究の成果と設定した導入目的、構築目標を踏まえて、都市計画 GIS の導入方針
を設定する。都市計画 GIS の導入方針は、導入部署の情報環境や業務実態にあわせた導入を図
るための条件整理を行い、システムの構成、機能、利用形態等の要求仕様や、データの項目、定
義、品質、作成方法等の要求仕様を整理する。
c) システム構成(データ・ソフトウェア・ハードウェア)
導入しようとする都市計画 GIS の形式、機能等を検討し、都市計画 GIS を構成するハードウ
ェア、ソフトウェア、データ等を選定した上で、都市計画 GIS の構成図を作成する。なお、こ
こで計画した内容が、データ処理面やシステム・インフラ環境面、利活用面で支障が無いか再確
認を行う。
d) 導入方策(手順・体制・スケジュール等)
都市計画 GIS を導入するために実施すべき事項とその手順を整理した上で、構築段階から運
用段階に至るまでの工程計画と役割分担を設定する。特に、庁内において統合型 GIS や他情報
システムとの連携を図る場合、情報管理部門や財政部門、他関係部門との十分な協議・調整を図
る。また、構築や運用の一部を外部に委託する場合は、その委託範囲や条件も併せて検討する。
53
第2章
都市計画 GIS の概要
e) 導入費用と効果の検証
都市計画 GIS 導入に係る費用を積算し、年度単位の事業計画として整理する。
この場合、技術動向の変化、システムの拡張性、活用ニーズ・程度等を考慮し、段階的な都市
計画 GIS の導入等を検討し、導入費用の低減や平準化を図ることが必要である。また、都市計
画 GIS の導入による効果を数量的に試算し、中間段階で評価・見直しができる仕組みを形成し
ておくことが重要である。
■ 都市計画 GIS 導入計画の策定手順
都市計画 GIS
導入手順・・・
目的の明確化 等
機器の選定 等
GIS 化のための
条件整理 等
費用の積算
GIS の評価及び見直し
する仕組みの形成
工程計画
役割分担 等
② 構築段階
1) システム開発
導入計画で明らかにしたシステムの構成、機能、利用形態等の要求仕様に基づき、システムの概
要設計(外部設計)
、詳細設計(内部設計)、プログラミング等を実施する。
特に、概要設計(外部設計)においては、システム全体に求められる様々な要件を整理、確認す
る必要がある。
更に、次段階のシステム検証方法の検討や仕様の再確認を行う必要がある。
[システム全体に求められる様々な要件例]
●機能:運用性(省力化、自動化)、操作性、保守性、互換性、安定性等
●性能:システム構築上の環境・制限事項、業務上必要なレスポンスタイム・処理速度等
●構成:ハードウェア(ネットワーク・サーバ・クライアント・入出力機器等)の適用性、空
間データの管理・更新・連携方法、利用するソフトウェア(OS・GIS エンジン・ア
プリケーション等)
●運用:サービス提供時間・範囲・問合せ窓口等
2) データ整備
導入計画で明らかにしたデータの項目、定義、品質、作成方法等の要求仕様に基づき、都市計画
GIS データ共通仕様(案)を活用するなどデータ作成仕様(形式・コード体系等)を決定した上で、
データ整備を実施する。
特に、データ整備量が多大な場合、データ整備に長期間を要するので、システム開発や運用開始
時期等との調整が必要となる。また、他部門や他機関等で整備したデータを活用する場合、著作権
や更新状況、情報の秘匿性(守秘義務・個人情報保護)等の課題が生じるので、慎重な検討、調整
が必要となる。
なお、都市計画 GIS データの共通仕様は、別項に整理、記述しているので併せて参照されたい。
3) システム検証
システム開発とデータ整備が完了した段階で、都市計画 GIS 全体が求める機能を果たしている
か、あるいはバグ・エラー等の問題は無いかなど、機能上の検証をテストする。
また、実運用を行った場合に支障は無いかなど、仮稼働による実利用上の検証を行う。併せて、
この段階で、ドキュメント(システム設計書・データ定義書等)やマニュアル(操作手引書・管理
手引書等)を準備し、本稼働に向けた利用者の教育・研修を実施する。
特に、独自仕様により開発した場合、システム機能やデータが一部分に限定されたプロトタイプ
システムを開発し、仮稼働の状態で様々な課題を抽出し、都市計画 GIS 全体の開発にフィードバ
ックしていく方法が取られる。
54
第2章
都市計画 GIS の概要
③ 運用段階
1) 保守、維持・管理、更新、運用支援
この段階では、主に次の a)∼e)の項目について検討し、整理することが必要である。
a) 保守、維持・管理のルール
都市計画 GIS を適正に運用するためには、様々な維持・管理に関するルールを定めることが
必要となる。維持・管理ルールの大部分は、運用開始時点で明確化されているが、都市計画 GIS
の利用頻度や利用レベル等に応じて、運用実態にあわせた維持・管理が図れるよう、適宜、ルー
ルの見直しが必要である。
なお、ソフトウェアやハードウェアに関する保守や維持・管理は、特に専門的知識が必要なの
で、専門部署や専門業者に依頼することが望ましい。
[保守、維持・管理に関するルール]
●実施事項・主体に関するルール
・維持・管理として実施すべき事項を抽出し、役割分担と責任者を定める。
●システム保守に関するルール
・システム機器やアプリケーション等が正常な状態で稼働するために必要な措置等を定める。
●システム利用・拡張に関するルール
・操作方法や利用時の FAQ*用語 49、システム環境設定・変更等に関してマニュアル等を定める。
●データ利用に関するルール
・利用目的や利用対象者に応じて、データの閲覧権限や受け渡し方法等を定める。
●データ更新に関するルール
・日常のデータ追加・登録・削除に加え、定期的なデータ全面更新の方法等を定める。
●バックアップに関するルール
・予め障害や不測の事態に備えて作成しておくデータやプログラムの複製の保管期間、方法、
担当等を定める。
●セキュリティに関するルール
・システムの故障や誤操作、情報の漏洩・改ざん等の予防対処方法等を定める。
b) 都市計画 GIS データの更新
都市計画 GIS データは、常に最新の情報が利用できる状態が好ましいが、各データの性格と
使用頻度を明確にし、定期的に情報更新することが必要である。
なお、予めどの程度のデータ更新量や更新費用がどの段階で必要となるのか検討し、更新周期
や方法を導入計画の中で明記することが望ましい。
[主な都市計画 GIS データの更新周期]
●都市計画基図データ
・都市計画基礎調査の実施に合せて概ね 5 年に 1 度更新する。
(全面更新)
・地形地物の大幅な改変に合せて適宜更新する。(部分更新)
●都市計画決定データ
・都市計画決定告示に合せて適宜更新する。(1∼数回/年)
●都市計画基礎調査データ
・都市計画基礎調査の実施に合せて概ね 5 年に 1 度更新する。
c) 都市計画 GIS のソフトウェア・ハードウェアの機能拡張
都市計画 GIS のソフトウェア・ハードウェアは、日々技術革新がなされ、周辺部分も含め情
報技術全体の発展のスピードは目を見張るものがある。
当初導入されたソフトウェア・ハードウェアは、数年経過すると陳腐化するばかりでなく、業
務の処理スピードや業務の高度化にも支障をきたす恐れもある。
導入したソフトウェア・ハードウェアは、技術革新の状況や追加機能の必要性、整備コスト等
を考慮し、概ね 3∼5 年に 1 度定期的に機能拡張すべきである。
55
第2章
都市計画 GIS の概要
d) 職員のスキルアップ
OA 化推進の道具として導入されたワープロソフトや表計算ソフトは、今や個人が日常的に使
用する道具の一部として定着化している。
都市計画 GIS も同様で、業務の一部として消極的に扱うのではなく、業務を効率化、高度化
する道具として積極的に使いこなすことが求められる。
特に、導入当初は一定のスキルを有した特定の職員に GIS の管理・処理等の業務が集中する
ため、一部業務を運用支援として専門業者に委託するなどしながら、早い段階でスキルやノウハ
ウを他の職員に水平展開する必要がある。
都市計画 GIS を運用する職員のスキルアップは、計画的な教育・訓練プログラムの実施と継
続的な実務での利用により、職員全体の技術向上を図ることが求められる。
都市計画 GIS を利用する立場にある職員は、段階別の内部講習会・勉強会の実施により、情
報リテラシー*用語 46、57 の向上を図ることが必要である。
特に、情報システムに対するモラルや意識の向上は、セキュリティ対策にも通じることから、
日常的なルールとして学んでいくことが望まれる。
一方、都市計画 GIS を管理する立場にある職員は、GIS 全般の専門的知識を高め、最新技術
の動向等を把握し、システム全体の運営推進を先導していくことが必要である。
■ 都市計画 GIS 運用にあたっての職員のスキルアップ
都市計画 GIS
初級編
運用
技術向上
計画的な教育・訓練
継続的な実務での利用
中級編
利用
情報リテラシーの向上
セキュリティ対策
内部講習会・勉強会の実施
モラル・意識の向上
上級編
管理
運営推進の先導
専門的知識の向上
最新技術の動向把握
業務の効率化,高度化する道具
e) セキュリティ対策
GIS を運用している中で、自然災害や機器の故障の他、職員による誤操作や不正行為等の可能
性があり、貴重なデータの損失やシステム障害の原因となり、日常業務に支障をきたすことが考
えられる。
特に、
庁内 LAN やインターネットを利用するネットワーク型の都市計画 GIS を利用する場合、
庁外との物理的接続によるウィルスの侵入、第三者による情報の改ざん、なりすましなどの不正
アクセス等の可能性があり、予想以上の被害に拡大することも考えられる。
都市計画 GIS のセキュリティ対策は、システムを適正な状態に維持・管理するため、庁内の
情報システム全体に適用されているセキュリティポリシーとの整合を図り、障害等の予防対策、
被害が発生した場合の応急対策等を講じることが望ましい。
なお、セキュリティ対策については、平成 13 年 3 月に情報セキュリティポリシーに関する基
本的な考え方、策定、運用及び見直し方法について記述した「地方公共団体における情報セキュ
リティポリシーに関するガイドライン」(地方公共団体における情報セキュリティ対策に関する
研究会)が出されているので、併せて参照することが望ましい。
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