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台風15号通過後の管理の徹底について(水稲)(PDF形式 141 キロバイト)
緊急情報 台風第 15 号通過後の管理の徹底について(水稲) 平成 27年8月28日 新発田農業普及指導センター 平成 27 年8月 25 日~26 日に接近した台風第 15 号の影響により、阿賀野市全域、 新発田市(川東・松浦・五十公野・豊浦等)、胎内市(黒川地区)で被害が見られて います。主な被害は、水稲で「白穂」「脱粒・倒伏」「茎葉損傷」です。これらは、 収量・品質に直結するため、各ほ場の発生状況を観察し被害程度を把握しましょう。 また、被害が発生しても、あきらめず適正な栽培管理を継続し被害拡大を最小限に食 い止めましょう。 1 被害程度の目安 葉の損傷状況から被害程度を、下表を参考に把握する。 (下表は、水稲栽培指針より抜粋) 被害時期 葉の損傷率(%) 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (出穂期後 10 日) 被害率(%) 2 4 6 10 20 30 40 50 60 ※葉の損傷率=(1- (被害葉の生存葉数÷無被害全葉数))×100 上記は、上位3葉について調査を行う。 2 今後の栽培管理 被害遭遇時期は、早生品種で登熟終盤、移植コシヒカリでは出穂後 20 日頃、直播コ シヒカリでは出穂後 10~14 日頃となっている。出穂1週間頃後の被害遭遇は着色米発 生、登熟不良、千粒重の低下。登熟後期~収穫期の被害は、胴割米、着色米、変形米、 心白米、未熟米の発生や、倒伏により穂発芽が懸念されるため、下記の対策を徹底する。 〇早生品種・もち品種 ・強風遭遇により枝梗枯れが見られ、籾水分も低下してきていることから、刈 り遅れに十分注意し胴割米の発生防止に努める。 <重要>籾水分が 25%以下になり、枝梗が枯れ込み今後の登熟が見込めない ほ場は早急に収穫を開始する。 〇コシヒカリ等の中生品種 ・出穂後 25 日までは湛水管理による水管理を継続する。最終かん水では十分に 湛水して可能な限り遅くまで土壌水分を保ち、登熟促進を図る。なお、湛水 期間中は適時水更新を行う。 ・倒伏程度が大きく穂が田面に接触しているほ場では、穂発芽が懸念されるた め、当面の気象予想で降雨が期待されることからかん水は控える。 〇共通事項 ・変色籾の多発生しているほ場は、着色粒の混入が懸念されるため無被害ほ場 と区別して収穫・乾燥調製・出荷を行う。特に変色籾率 30%以上のほ場は、 着色粒が混入する恐れがあるので注意する。なお、変色籾は畦畔際に多発生 するため、畦畔際の1~2条を別扱いとすることも検討する。 ・白穂や籾の脱水(脱色)が発生したほ場は、白未熟粒等の混入が懸念される ため無被害ほ場と区別して収穫・乾燥調製を行う。 ・着色米は刈取時期が遅れるほど増加することが予想されるため、変色籾多発 生ほ場では、籾の黄化率が 85~90%に達したら直ちに収穫作業を行う。 ・くず米が多くなり籾・玄米水分のばらつきが大きく、過乾燥や乾燥終了時の 水分の戻りが生じやすくなることが想定される。水分測定時は、青米やくず 米を除いた整粒の水分を手持ちの水分計で必ず確認し、仕上げ水分を 15.0% にする。 ・乾燥機への張り込み水分が 18%程度まで低下している場合は、胴割米の発生 に注意する。張り込み後に軽めに通風循環した後、夜間まで半日程度貯留し て水分ムラを解消させてから加熱乾燥する。乾燥機に2段乾燥機能や休止乾 燥機能が備わっている場合は、それを活用する。 ・玄米に未熟粒や着色粒が多く混入し、品質低下が懸念される場合は、1.9mm のふるい目や色彩選別機を活用し整粒歩合の向上を図る。 <参考> 生育ステージ フェーン遭遇時期 幼穂形成期 枝梗・頴花 数の退化 出穂期 白化 頴花の 発生 白穂の発生 白穂抽出 阻害 登熟期間 下葉の枯れ 上がり 成熟期 米質の悪化 千粒重の低下 着色粒の 発生 籾数の減少 減 収 不稔籾の増加 可視的 無被害穂 (1981 北陸農試・村松) 図 水稲生育時期別のフェーン害の様相