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PDFデータ(4.17MB)
〔論文〕
弘前大学経済研究第 1
6号
November1
9
9
3
環境分析用産業連関表による C02排出量の
推計方法について
藤
原
浩
Abstract
本稿の目的は環境分析用産業連関表を用いた C02
排出量の推計方法を示し,日本の C02
排出構造
を検討することにある。まず,同表および産業連関分析モデルを前提とすれば日本全体の総 C02
排出量,産業部門別 C02
排出量, および誘発 C02
排出構造について推計が可能である ことを示す
。
次に 3点に関する推計結果例を示しながら,日本の C02排出構造を明らかにする。
経済全体から排出される C02の総量は変化す
1.イントロダクション
る。家計における自動車需要の減退が生じたと
する。自動車需要の下落は自動車生産量の削減
近年,地球温暖化現象がクローズア ップされ
を通じて鉄鋼産業,電力産業,電気・電子等自
るにつれ,環境問題のーっとして家計や産業か
動車部品産業,化学産業全体の生産活動に直接,
ら排出される C02の削減が議 論 されるように
間接的に影響を及ぼす。長期的に は鉄鋼石,原
なってきた。政府も C02排出量 を 2
0
0
0年以降,
油等の原料の輸入量にも影響を与え,タンカ ー
1990年レベルに維持することを世界に公約し
排出は地球の温暖化現象を促進す
ている。 C02
やトラックによる原料輸送量も変化する。その
2
排出量が変化する 2
。
)
結果,経済活動全体の C0
る最も大きな要因の一つであるから,今後早急
このような生産技術や需要構造の変化が与え
に C02排出量の削減努力が必要とされよう 。
る経済活動全体に対する波及効果 も合めて全産
C02の基本排出源は灯油,石炭, 重油等の燃
業の C02排出量 な い し削減量を数値として把
焼設備および航空機,自動車等のガソリンない
握するためには産業連関表による推計が最も有
しディゼール・エンジン等の内燃機関である。
効である 。本稿の目的 は C02等の大気汚染因
特に産業では生産活動の熱エネルギ一源を化石
子排出量 を推計する手段として開発された「環
燃料に求めており,化石燃料を集中的に使用す
境分析用産業連関表J による C02の排出構造
)
る生産設備から大量の C02が発生 している 1。
の推計手法を示すことにある。
本稿の構成は以下のとおりである。続く第 2
C02の削減は生産技術の改善によって実現す
る。例えば,ある産業の燃焼設備においてエネ
節において C02排出量計測の基本的な考え方
ルギー原単位の下落をもたらす生産技術の革新
を示した後, 環境分析用産業連関表の構造につ
1)
例えば, 鉄鋼産業における高炉,転炉,セ メント産業
の焼成炉(ロータリーキルン),食品産業の直火炉,発
電のためのポイラ,各種暖房装置,廃棄物焼却炉などが
ある。これらの設備による排出を「固定排出源j,航空
機,自動車等による排出を「移動排出源J と呼び区別する。
2)我々家計や産業がエネルギ一節約の努力をした場合に
もC
0
2排出量の削減は生じる。意外な例として上・下
水道がある。伊jえば上水道の供給は電カで稼働するポン
プがかなめになっているため,節水行動は必要発電量の
0
2の削減に通じる。
下落および C
が生じたとする。生産技術の変化は当該産業の
生産要素投入量の変化として他産業に対する要
素需要の変化をもたらし,連鎖反応的に他産業
の生産活動の水準に影響を与えてゆく。その結
果,最終的には一国経済全体の C白排出量 を変化
させる。
また,経済主体の需要行動の変化によっても
- 1ー
第 2-1表:原燃料種目別 C02排出係数
t 原燃料種名(単位)
1 一般炭(国産) (
t
)
t
)
2 一般炭(輸入) (
3 原油 (
k
l
)
4 液化天然ガス (
t
)
5 揮発油 (
k
l
)
k
l
)
6 ジェット燃料油 (
7 灯油 (
k
l
)
l
)
8 軽油 (k
k
l
)
9 A重油 (
10 BC重油 (
k
l
)
11 ナフサ (
k
l
)
12 液化石油ガス (
t
)
13 改質生成油 (
k
l
)
熱量原単位
6
5
3
0
k
c
a
l
l
k
g
6
5
3
0
k
c
a
l
l
k
g
9
4
0
0
k
c
a
l
/
l
l
3
3
0
0
k
c
a
l
/
t
8
6
0
0
k
c
a
l
l
l
8
7
0
0
k
c
a
l
/
l
8
9
0
0
k
c
a
l
l
l
9
2
0
0
k
c
a
l
/
l
9
2
0
0
k
c
a
l
/
l
9
9
0
0
k
c
a
l
l
l
8
6
0
0
k
c
a
l
l
l
1
2
0
0
0
k
c
a
l
/
k
g
8
6
0
0
k
c
a
l
l
l
g
;
3
6
6
.
3
3
6
6
.
3
2
8
6
.
5
2
0
8
.
6
2
8
1
.
9
2
6
9
.
3
2
6
9
.
3
2
9
4
.
9
2
7
7
.
9
3
0
6
.
1
2
8
3
.
5
2
51
.
7
2
9
4
.
9
!
原燃料種名(単位)
熱量原単位
14 炭化水素油 (
k
l
)
9900kcalll
15 石油系炭化水素ガス( 1
0
3
m
3
) 9900kcallm3
16 石油コ ークス( t
9400kcal/kg
)
17 コークス( t
6800kcal/kg
)
18 コークス炉ガス( 1
4800kcallm3
0
3
m
3
)
19 高炉ガス( 1
0
3
m
3
)
800kcallm3
20 転炉ガス( 1
2000kcallm3
0
3
m
3
)
21 電気炉ガス( 1
0
3
m
3
)
2000kcallm3
22 炭鉱ガス抜きガス( 1
Q
3
f
i
i
3
) 8550kcallm3
0
3
m
3
)
23 都市ガ、ス( 1
l0000kcal/m3
24 パルプ廃液 (
3000kcallm3
t
)
25 一般廃棄物 (
1580kcallm3
t
)
26 産業廃棄物 (
4000kcallm3
t
)
g
;
3
2
2
.
7
2
1
7
.
2
427.9
4
5
3
.
0
1
8
8.
6
9
1
0
.
0
7
6
7
.
1
7
6
7.
1
210.4
234.9
3
9
4
.
2
3
5
3
.
3
3
2
2
.
3
資料出所:吉岡・外岡・早見・池田・菅[ 1
3]より作成。 gは COz排出係数,単位は k
g
/
G
c
a
l。
いて概観し,産業連関分析の基本モデ、ノレを示す。
C021=g’
E1.
第 3節では実証分析例を検討しながら日本の
gは g;を要素とするベクトノレ,
(
1)
E1
・
は E;を要素
C02排出構造を議論する。第 4節において結語
とする第 j部門のカロリ ー換算値ベクトノレであ
を述ベる。
る。第 2 - 1表は実際に産業において投入され
ているエネルギーの熱量原単位および‘エネル
2
. 環境分析用産業連関表について
ギ一種類別の C02排出係数である。
第 1式は第 j産業部門の C02排出量であるか
2.1 C02の推計方法
ら投入エネノレギーに対応する生産量で割れば
C02の排出量は燃料に合まれる炭素の合有
生産 1単位当たりに生じる C02の排出係数が
量のみにより決まる。 したがって,生産活動に
得られる。エネルギー投入量に対応する第 j部
より生じた C02排出量を産業部門 3)ごとに求
門の生産量を X1とすれば,第 j部門の排出係
めるためには,どのようなエネルギーをどれだ
数は,
e
;
= ζ 生L
け燃焼用に用いたのか,エネノレギ一種類別の物
’
量データが必要となる。物量データからエネル
X1
(
2
)
となる。第 2式によって得られる排出係数は「エ
ギーを燃焼させたときのカロリ ー換算値を求め 4)'
各燃料種カロリー換算値当たりの C02排 出 係
ミッション・ファクター(e
m
i
s
s
i
o
nf
a
c
t
o
r
)」と
数とかけあわせる,すなわち,次式により当該
も呼ばれる。エミッション・ファクタ ーは第 j
部門の総 C02排出量が計算できる。ただし,
部門における生産単位当たりの C02排出係数
使用エ ネルギーの種類が n種,第 i燃料種( 1
であるから,その部門の生産量とかけあわせれ
三 i三 n)のカロリー換算値を i
,カロリー当
たりの C02排出係数を g;
,部門数は m (
1三 i
三 m)
,第 j部門の C02排出量を C021とする。
ば C02排出量が計算できる。よって,エミッ
シヨン・ファクタ ーをそれぞれの部門のエネル
ギ一投入に関する情報から全産業部門について
求めれば,次式により産業活動全体の C02排
3)産業連関表ではアクティピティー・ベースで部門分
出量の総計を求めることができる。
類がなされているため,本節以降,産業とは「産業部
門J を意味する。
4)物量データでは石炭が t,都市ガスは 1
0
3
m
3といった
ように単位が異なるため,単位を統一するためにカロ
リー換算を行う。
C=e’
x.
(
3
)
Eはエミッション・ファクタ − e
1を要素とする
ベクトノレ, X は X1;を要素とする任意の生産額
2
環境分析用産業連関表による C
0
2排出量の推計方法について
第 2-2表:物量表推計のためのデータ・ソース
36原燃料種
石油系燃料
副生ガス
パルプ黒液
産業廃棄物
一般廃棄物
高炉ダスト
コールタール
鉄屑・鉄屑
その他
406部門
製造業
非製造業
鉄鋼関連 石炭製品 その他|石炭鉱業 都市ガス 事業用発電
自家発電
廃棄物処理|その他
機造統計
ガス事業 電気事業 動態統計他都
動態統計 動態統計十
便覧
使覧
構造統計
門から転移
構造統計
厚生省データ|
動態統計(廃材)
厚生省デー
タ
|
鉄鋼便覧
鉄鋼統計
鉄鋼統計
I-0
産業連関表(物量表)
,構造統計=石油消費構造統計[ 5
]
吉岡・外岡・早見・池田・菅口 3)。動態統計=石油消費動態統計[ 6)
る。付帯表はエネノレギー投入に関する物量表,
ベクトルである。
燃料比率表,燃料表,発生熱量表,排出係数表,
2.2 環 境 分析 用 産業 連関表 の構 成
環境分析用産業連関表は昭和 6
0年 度 の 産 業
排出量表の 6種類からなる。
連 関 表 の 投 入 金 額 表 に , 以 上 述 べ た C02排 出
ノレギーを 4
0に分類し,各エネノレギーの 消 費 量
物量表では産業部門において使用されるエネ
量の推計手続きに必要なデータを付帯表の形で
を物量単位で表している。 40種 類 に の ぼ る 部
構 成 し た も の で あ る 5)。部門数は 4
0
6部 門 で
門 別エネ ル ギ ー 消 費 量 デ ー タ の 大 部 分 は 産 業 連
0年 度 産 業 連 関 表 に お け る 基 本コー
あり,昭和 6
関表の付帯表である物量表から求められるが,
ドの 7桁分類の最大公約部門をベースにしたも
産 業 連 関 表 か ら 得 ら れ な い 物 量 デ ー タ は 第 2-
の で あ る 。 第 2 -1図は同表の全体の構成であ
2 表にあるように,石油等消費構造統計,石
第 2-1図 :環境分析用産業連関表の構成
最終需要部門 合計
内生部門
昭和6
0年産業連関表
投入金額表 (
1
0
0
万円)
(
4
0
6・4
0
6
)
付加価値部門
(C・T)
油等消費動態統計,鉄鋼統計年報,化学工業
統計年報等,エネルギ一生産・需給統計年報 6)'
電 力需給の概要 7) から得ている 8)。
また,燃料比率表,燃料表は各産業部門で購
入したエネルギーのうち燃焼用に用いた分を算
出するために使用する。発生熱量表は使用した
原燃料消費物量表 (k
l
,
t
,
1
0
3
m
3
)
(
4
0・4
0
6
)
燃料比率表
燃料用消費表 (k
l,
t
,1
0
3
m
3
)
(
4
0・4
0
6
)
発生熱量表 (l
O
O
G
k
a
/
)
NOx排出係数表 (
k
1
<
f
l
O
O
G
k
a
/
)
SOx排出係数表 (
k
1
<
!
l
O
O
G
k
a
/
)
C02
排出係数表 (k
1
<
/
G
k
a
/
)
NOx排出表 (
N02
換算 t
)
SOx排出表( S02
換算 t
)
C02
排出表( C02
換算 t
)
エ ネ ル ギーの カ ロ リ ー 値 を 単 位 lOOGcalで 換 算
した表である。排出係数表は lOOGcal当たりの
C02, SOx, NOxの汚染因子発生係数である 9)
。
この排出係数にエネ ル ギ 一 種 類 別 の 発 生 熱 量 を
かける,すなわち,第 1式 を 計 算 す る こ と で そ
の 部 門 に お け る C02排 出 量 が 計 測 で き る わ け
で あ る 。 計 算 さ れ た C02排 出 量 デー タ が 排 出
量 表である。
6)以上,通商産業大臣宮房調査統計部編 [
S
J[
6
][
7
][
8
]
[
9]
。
7) 通商産業省資源エネルギー庁公益事業部編[ 1
0
]
8)作業の詳細は吉岡・外岡・早見・池田・菅口3
]を参
C・T = c
o
n
t
r
o
l
et
o
t
a
l
s
5)ただし環境分析周産業速関表自体は C02以外の大気
汚染因子である NOxおよび SOxの計測ができるように
整備されている。
- 3-
照せよ.
9)排出係数表のデータに関しては計量計画研究所,外岡
]に負うところが大きい。
竜氏のデータ[ 3
2.3 推計モデル
以上の 4
0
6部門からなる環境分析用産業連関
るから,さらに家計からの C02排出量 C
hを
. 日本全体の総 C02排出量」が得
足せば「 1
表を基本に標準的な産業連関モデルを用いるこ
られる。
C=e’
X+C"
=Ct+Ch
排出量について次
とで,経済活動に伴う C02
の 3つの観点から推計できる。
(
7
)
ここで第 5式の逆行列の列ベクトルは第 j部
1
. 日本全体の総 C02排出量
2
. 最終需要が与えられた場合の産業部門別
の C02誘発排出量
3. 各産業部門生産 1単位当たりの C02排
門に最終需要 1単位生じた場合の生産誘発額を
表す係数である。したがって,最終需要ベク ト
出の誘発構造
以上の 3点の推計方法についてモテ、ノレを示しな
がら考察して行こう 10。
)
0
0万円当たりの生産誘発額を列ベク ト
部門の 1
ルとして持つ行列が得られる。この行列を B(=
[I一仔-~)瓦J-1/)とすれば,
ル Fdの代わりに単位行列 Iをかけることで全
c"=e’
B
モデノレは競争輸出型で輸入が圏内需要に比例
すると仮定した場合のモデ、ルである。バランス
式は次式で表される。
X=Ax+Fd+E-M(AX+Fd
)
(
8
)
= (
e’
b
1
,
e’
b
2
,・
・・ ,
e’科,・, e
'b
4
o
6
’
)
となる。第 2行右辺のベクトルの要素はエミッ
(
4
)
ション ・ファクターと Bにおける第 j部門の列
c :総 C02誘発排出量
ベクトノレとの内積であるから,第 j要素は,
M :輸入係数行列 (
4
0
6・
4
0
6/対角 j
c"
:C02誘発排出ベクトノレ
E :輸出ベクトノレ (
4
0
6・
l
)
e:排出係数 (406・
l
)
E’
b
i= C
e
1
b
1
i
) +C
e
2
b
2
i
) +・
・ + Ce4osb制~i) (
9
)
となる。第 1
0式は第 j部門が単位当たりの生
産を行った場合に他部門に誘発させる C02の
x
総量を表す。右辺の各項は各部門ごとの誘発排
生産誘発額ベクトノレ (
4
0
6・
l
)
4
0
6・
4
0
6
)
I .単位行列 (
Fd:最終需要ベクトノレ (
4
0
6・
l
)
d :投入係数行列 (
4
0
6・
4
0
6
)
第 4式を X について解くことにより,最終需
要が与えられた場合の生産誘発額を表す式が求
められる。
I
一(
I-M)
A
Jーl [(/ー沼 )
Fd+E] (
5
)
X= [
. 各産
出量を表しており,各項の値により「 3
業部門生産 1単位当たりの C02排出の誘発構
造Jが明らかになる。次節において以上述ベた
さて,前項までに議論しておいたエミッショ
はじめに 1
9
8
5年度の日本の C02総排出量お
よび産業部門別排出量について環境分析用産業
連関表による推計値を示す 11)。第 3-1表は
ン・ファクターベクトノレと第 5式で得られる生
産誘発額ベクトルを第 3式に代入すれば「 2.
(
e
1
x
1
) + (eh) +・・・+ C
e
4
o
i
f
4
郎
)
第 2行の右辺各項は部門ごとの排出量を示して
いる。その総和は産業による C02排出量であ
3
.1 日本の C02排出構造
C=e’
X+Ch
(
6
)
=
3
. 日本の C02排出量に関する実証分析
第 7式
,
最終需要が与えられた場合の産業部門別の誘発
排出量Jが求められる。
C1=eX
3点に関する実証分析を検討する。
により推計した結果を統合大分類により必6部
9部門にまとめ,部門別排出割合を示 し
門を 2
たものである。全産業部門における生産額は約
8
7
9兆円,家計を合めた日本全体の総 C02排出
0億 1
2
0
0万 トンとなる。 C02
排出量
量は年間 1
1
0)以上点については通常の産業述関分析により得られる
帰結に他ならない。産業速関分析およびモデルについて
は通商産業省編[ 4
,
] 宮沢健一縞[ 1
2]を参照せよ.
1
1)以下の推計値は吉岡・外岡・早見・池田・菅( 1
3
]
による.
-4-
環境分析用産業連関表による C02排出量の捻計方法について
第 3-1表: 28部門別汚染因子排出量の割合
生産額
(
1
0億円)
発 生 熱量
(Teal)
NOx
(
l
O
O
O
t)
SOx
(lOOOt)
C02
(lOOOt)
言
十
8
7
9
2
2
6
3
2
7
1
3
2
4
3
0
7
0
1
5
3
8
1
0
12
4
6
3
農林水産業
鉱業
食料品
繊維製品
パルプ・紙・木製品
化学製品
石油・石炭製品
窯業 ・土石製品
鉄鏑
非鉄金属
金属製品
一般機械
電気機械
輸送機械
精密機械
その他の製造工業
建設
電力・ガス・熱供給
水道・廃棄物処理
商業
金融・保険
不動産
運輸
通信・放送
公務
教育・医療・保険
サービス業
分類不明
2.
02%
0.
22%
4.23%
1.53%
1.74%
2.6%
1.83%
0.
97%
3.
1
1%
0.
7
2':!る
1.32%
3%
4.
42%
4.4%
0.
46%
2.
76%
6.37%
1.75%
0.
5
8%
6.
95%
2.74%
4.
07%
3.99%
0.94%
1.
94%
5
.
0
9%
6.
49%
0.
74%
1.
82%
0.18%
1
.
2
9%
0
.
8
6%
2.63%
4.01%
3.
82%
3.2%
1
4.
0
2%
0.62%
0.39%
0.
34%
0
.
4
1%
0.
64%
0
.
0
4%
0
.
4
1%
0.
9
4%
27.31%
2.
89%
1.54%
0.04%
0
.
0
9%
1
4.
85%
0.09%
0.
62%
2.2%
2.65%
1.36%
9.
1
8%
0
.
0
8%
0
.
04%
0.
3
5%
0
.
9
9%
1
.
9
2%
1
.
0
0%
5.11%
3.58%
0.
60%
0.
1
0%
0
.
1
0%
0
.
1
2%
0.
25%
0.
0
1%
0
.
1
7%
0.
2
2%
6.
79%
1.
1
8%
0.
34%
0.
0
1%
0.
0
2%
5
6.
9
9%
0
.
0
1%
0.35%
0.96%
0
.
7
5%
2.
0
3%
3.44%
0.
0
6%
4.
0
9%
2.33%
5
.
3
8%
5.
36%
2
.
1
2%
2.91%
7.
28%
1.
13%
0.
15%
0
.
2
6%
0.
27%
0.
6
6%
0.
0
3%
0.
9
0%
0.
31%
14.45%
2.06%
1
.
7
3%
0.01%
0
.
0
0%
34.42%
0
.
0
6%
0
.
4
9%
4.53%
3.30%
1
.
9
0%
1
.
6
4%
0
.
1
5%
1.
22%
0
.
8
2%
2
.
8
8%
3
.
7
9%
3
.
3
3%
9
.
6
6%
1
1.32%
0
.
6
8%
0
.
3
4%
0.31%
0
.
3
5%
0.
5
8%
0
.
0
3%
0
.
3
7%
0.84%
2
7
.
5
7%
3
.
1
0%
1
.
3
7%
0.04%
0.
07%
1
3.
9
1%
0.
08%
0.56%
2
.0
1%
2.30%
1
.
4
7%
1
.
58%
0.
2
3%
家計外消費支出
21.42%
10.5%
家計消費支出
7
7%
8
9
.
2
8%
内生部門別
23%
最終需要計
1
0.
72%
資料出所:吉岡 ・外岡・ 早見 ・池田・ 菅 [
1
3]より作成。
0.05%
6.
3
0%
9
3
.
6
6%
6.
3
4%
0.01%
0.34%
9
9.
6
6%
0.
3
4%
0.20%
9.00%
9
0
.
8
09
ら
9
.
2
0%
統
1
2
3
4
5
6
7
8
9
1
0
1
1
1
2
1
3
1
4
1
5
1
6
1
7
1
8
1
9
2
0
2
1
2
2
2
3
2
4
2
5
2
6
2
7
2
8
2
9
3
0
3
1
3
2
第 3-2表: 406部門 }
J
I
]C0
2
排出量上位 10部門 (C0
2
換算 t
)
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
1
0
1
1
1
2
1
3
1
4
1
5
業
産
事業用発電
銑鉄
部
r~
c0 z排
出量
2
3
6
5
0
3
40
7.
1
7
1
4
8
4
6
7
1
.7
5
5
3
7
6
3
9
5.
1
3
4
6
9
1
9
8
2.
9
3
4
0
7
0
15
2.
8
2
7
9
4
6
4
4
3
.
4
2
6
5
3
8
2
8
1
.
5
2
4
9
8
3
4
6
8
.
7
21
3
1
1
7
2
1.
5
2
0
0
7
8
0
7
2
.
8
1
6
7
4
1
8
2
9.
3
1
4
6
21
2
4
7.
0
1
4
3
6
7
3
5
4
.
2
1
2
6
1
7
4
0
5.
4
1
1
9
2
3
5
5
9.
5
セメント
自家発電
自家用貨物自動車輸送
自家用旅客自動車輸送
外洋輸送
その他の窯業 ・
土石製品
道路貨物輸送
石油製品
廃棄物処理(公営)
分類不明
洋紙・和紙
石炭製品
廃棄物処理(産業)
リ
害
i、
コ
当
2
6
.
2%
7.
9%
6.
1
%
3.8%
3
.
8%
3.
1
%
2.9%
2.
8%
2.4%
2
.
2%
1
.
9%
1.
6%
1.6%
1.4%
1.
3%
5
第 3-3表: 100万円当たり誘発 C0
2
排 出量( C02換 算 k
g
)
部門名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
1
0
3
9
7
3
9
8
3
9
9
4
0
0
4
0
1
4
0
2
4
0
3
4
0
4
4
0
5
4
0
6
石炭
セメント
自家発電
原池
LPG
LNG
灯油
軽油
銑鉄・鉄屑
塩
圏内電信電話
煙草
人文科学学校研究機構
その他通信サーピス
7
]<運付帯サービス
生命保険
住宅賃貸料
不動産賃貸料
金融
電子計算機同関連機器賃貸業
メ
ロ
合
、
三
ロド
1
』
2
0
2
0
5
2
.
l
7
6
4
2
2
.
9
7
0
8
6
4.
7
6
8
4
6
7
.
9
4
9
6
7
6
.
9
4
8
9
6
8
.
0
4
5
3
5
5
.
8
3
6
0
1
9
.
8
3
3
1
8
5
.
8
3
0
9
2
0
.
1
7
4
8
.
2
6
8
5
.
5
6
7
7.
1
5
9
3
.
3
5
1
0
.
5
4
6
0
.
4
3
9
7.
8
3
9
4.
8
3
9
1
.
9
3
1
5.
1
生産工程
最 終消費
6
0
8
0
.
1 1
9
5
9
7
2.
0
7
6
4
2
2
.
9
0
.
0
7
0
8
6
4
.
7
0.
0
3
9
1
2.
6 6
4
2
5
5
.
3
1
9
8
5
.
3 4
7
6
9
1
.5
4
41
2
.
4 4
4
5
5
5.
5
1
9
8
5
.
3 4
3
3
7
0
.
5
3
1
8
5.
8 3
4
0
3
4
.
4
3
1
8
5.
8
0
.
0
3
0
9
2
0
.
1
0
.
0
7
4
8
.
2
6
8
5
.
5
6
7
7.
1
5
9
3.
3
5
1
0
.
5
4
6
0.
4
3
9
7.
8
3
9
4
.
8
3
9
1
.
9
3
1
5
.
l
0
.
0
0
.
0
0
.
0
0
.
0
0
.
0
0.
0
0
.
0
0
.
0
0
.
0
0
.
0
生産工程(%)
最終工程(%)
3.
0%
1
0
0.
0%
100.0%
5.7%
4.
0%
9.0%
44%
8.8%
1
0
0.
0%
100.0%
9
7
.
0%
0.
0%
0
.
0%
9
3.8%
9
6
.
0%
9
1.0%
95.6%
9
4
.
5%
0.0%
0
.
0%
100.0%
100.0%
1
0
0.
0%
100.0%
1
0
0.
0%
1
0
0.
0%
1
0
0.
0%
100.0%
1
0
0.
0%
100.0%
0
.
0%
0.
0%
0.
0%
0.
0%
0.
0%
0.0%
0.
0%
0
.
0%
0.0%
0.0%
目
資料出所 :吉岡 ・早見・池田・菅口5
]より作成。
を部門別割合でみると 電力・ガス・熱供給部門
が最も大きく,全体の 27.5%を占め,次に運
輸部門が 13.0%,鉄鋼部門が 11.32%,窯業・
土石製品部門が 9.66%となっている。
第3
2表は 406部門レベルで固定発生源の
うち排出量の大きな上位 10部門の推計値を示
したものである。電力部門から約 2億 4000万
3.2 生産 1
0
0万円当たりの C02排出構造
各産業部門が生産量 1単位 (1985年価格の
100万円 1
3
))当たりの生産を行った場合に他部
門への誘発排出効果も合めてどの程度の C02
を発生させるのか,第 9式
,
Cu=e’
B
ト
ン
, 鉄鋼業は約 1億 1450万トン,セメント
を用いて得られた推計結果をまとめたものが第
3 - 3表である。同表には 406部門中 C02誘
部門は約 5500万トンであり,以上 3部門の排
発排出量の大きな上位 10部門および下位 10部
出量合計だけで全体の 40.6% に達しているこ
とがわかる。いずれの部門も熱源として化石燃
門を生産過程および最終消費別に示しである。
生産額 100万円あたりの C02誘発排出量が
最も大きな部門は石炭部円である。石炭は石炭
生産によってではなくその 97%が最終消費の
料を必要とし,電力部門は火力発電による重油
燃焼から,鉄鋼部門は銑鉄生産の高炉における
コークス等の燃焼に よる排出が,セ メント部門
では石炭燃焼および原料である石灰石からの
C02排出が大きな割合を占めている 12。
)
段階で燃焼させることにより発生することがわ
かる。 一方,セメントと自家発電の場合には生
産段階で多量の C02が発生する 14)。これはセ
メントの生産および発電 ともに石炭ないし重油
を大量に燃焼させる必要があることによる。最
1
3)生産量 1単位を物量ではなく金額を単位とするのは産
1
2)セメントは石灰石( CaC03)を原料に 1
4
5
0度に加熱
することで生じる化学変化を利用して生産される。石灰
a
C
O
J→ CaO+C02の化学反応が進行
石を加熱すると C
し石灰石を起源とする C02が発生する.
- 6一
業連関表の基本表が投入金額表示であることによる。
1
4)事業用電力 より自家発電の方がコストが低いため 1
0
0
万円当たりで見た場合は自家発電の方が上位にくること
に注意されたい.
環境分析用産業連関表による C
0
2排出量の推計方法について
第 3-1図 : 農 林 水 産 部 門
遠洋漁業
内水面養殖業
沿岸漁業
沖合漁業
特殊林産物
海面養殖業
肉鶏
採鶏卵
野菜
9
0
2
9
.
9
5
2
6
0
.
2
4
9
5
8.
8
。
3
6
2
7
.
6
2
9
8
4
.
2
2
3
4
9
.
8
2
3
1
6
.
1
2
1
3
9
.
5
2
0
5
9
.
8
2
0
0
0
4
0
0
0
C02換 算 k
g
/
1
0
0万円
6
0
0
0
8
0
0
0
1
0
0
0
0
第 3-2図 : 運 輸 部 門
自家用貨物自動車輸送
外洋輸送
自家用旅客自動車輸送
沿海・内水面輸送
航空輸送
JR (除国電旅客)
道路貨物輸送
パス
1
0
6
6
4
.
1
1
0
6
0
2
9
2
8
8
.
l
8
7
8
2
.
3
6
6
7
7
.
6
。
4
3
2
7
.
4
3
7
6
9
.
6
3
0
8
7
.
9
2
0
0
0
4
0
0
0
6
0
0
0
C02換 算 k
g
/
1
0
0万円
8
0
0
0
1
0
0
0
0
1
2
0
0
0
第 3-3図:金属・窯業部門
7
6
4
2
2
.
9
セメント
3
3
1
8
5
.
8
2
0
7
3
6
.
4
1
9
1
0
7.
4
1
8
9
8
3
.
5
銑鉄・鉄屑
粗鋼
フェロアロイ
生コンクリート
熱問圧延鋼材
セメント製品
冷間仕上げ鋼材
鋼管
アルミニウム田園 9
9
7
9
.
8I
。
C02換 算 k
g
/
1
0
0万円
2
0
0
0
0
4
0
0
0
0
6
0
0
0
0
8
0
0
0
0
第 3- 1図は農林水産部門のうち誘発排出の
下位の電子計算機・同関連機器賃貸業は 315.1
kgである。この数値は石炭と比較して 6
4
1分
大きな上位 1
0部門である。特に漁業関係の誘
の lである。生産額 1
0
0万円という経済的価値
を規準に見た場合,単位当たり誘発 C02排出
発排出量が大きい。第 1位の遠洋漁業部門の場
0
0万円当たり約 9
tの C02が排
合,生産金額 1
量は財により大きく異なり, C02誘発量はほぼ
出される。これは漁船が操業海域まで往復し操
6
4
0倍の聞きがあることがわかる。
業する際にディーゼルエンジンから排出される
ものである。運輸部門を第 3 - 2図に示した。
遠洋漁業部門と同様にデイーゼル・エンジンな
いしガソリン・エンジンから排出される C02
が大きな割合を占め,自動車による貨物輸送お
よび航空輸送の誘発排出量が大きい。航空輸送
.
7
t
,自動車輸送は自家用
は 100万円当たり 6
貨物輸送は 9.
3
tおよび自家用旅客輸送 1
0
.7
t
次に, 4
0
6部門中,特に我々の生活に直接関
係する農林水産部門,運輸部門および社会基盤
を支える金属・窯業関連の素材部門をとりあげ
誘発 C02排出量を検討する 1
5
。
)
15)その他一般機械製造,電気・精密機械製造,化学製
品,紙・パルプ等については吉岡・早見 ・池田・ 管口5]
を参照せよ.
- 7一
第 3-4図:高炉スラグ利用による C02排出量の削減効果
スラグセメントの生産比率(%)
単位・千万 t
1
0
5
1
0
4
1
0
3
1
0
2
1
0
1
1
0
0
9
9
9
8
9
7
9
6
9
5
比率
三
三J
0
億1
9
4
0
万
トン
POLT 0% 1
点
SLAG
.
¥
。
2
0
4
0
総誘発排出量
6
0
8
0
である。また船舶による輸送は約 8
.
8
tとなっ
ている。
第 3-3図は窯業・金属製造部門による C02
誘発排出量である。港湾設備,住宅等の建築物
1
0
0
(
%
)
削減量
削減率
0
万
ト
ン 0.00%
A点
0
億1
2
3
9
万
ト
ン 7
0
1
万
ト
ン 0.69%
12% 1
B点
34%
9
9
3
万
トン1.96%
9
億9
9
4
6
万
ト
ン 1
億6
0
9
9
万
ト
ン 5
8
4
1
万
ト
ン 5.73%
SLAG100% 9
資料出所:藤原[ 1
1
]
ョン結果を示す。
セメント部門における C02削減手段として
は素材としてセメントと鋼(はがね)を素材に
は高炉スラグの利用が考えられる。高炉スラグ
は鉄鋼部門において銑鉄生産の副産物として生
じる。高炉スラグを原料にセメント生産を行え
して建設されるが,セメントの場合, 100万円
ば,セメント部門の総 C02排出量の 93.3%が
6
.
4
tの C02
当たりの価値を生産するために約 7
が誘発される。粗鋼は約 2
0
.
7
tである。また,
排出される焼成工程を省略できるため大幅な
C02削減効果が見込まれる。では,高炉スラグ
自動車のボディー,船舶の船体等,その他の金
を用いた場合の削減量はどの程度なのであろう
か,環境分析用産業車関表による推計例を示す16。
)
属製品は鋼材を素材とするものが多いが,冷間
仕上げ鋼材および熱間圧延鋼材はそれぞれ
12.
4
t
, 16.5
tとなっている。
第 3-4図はシミュレーション結果である。
横軸は全体に占める高炉セメントの生産量の比
率,たて軸は日本の総 C02排出量である。 1985
以上,我々の生活と特に関係の深い部門をと
りあげて検討したが, 100万円当たりで見た場
年度の日本のセメン ト生産量の約 1
1
.
8% が高
合
, C02を最も排出する部門はセメント部門で
あることがわかる。
炉スラグを原料としており 17),このときの C02
排出の状態が A点で示されている。 POLTは
3.3 総 COz排出量と COz削減のシミュレー
まったく高炉セメントを使用しない場合であ
り
, 10億 1940万トンの排出量になる。 A点は
ンヨン
約 10億 1240万トンであるから日本のセメント
環境分析用産業連関表の応用としてある産業
部門において「一定の C02削減手段J を採用
した場合に生じる C02排出量削減効果につい
生産において高炉スラグが原料に利用されるこ
16)この場合のシミュレーションとはポルトランドセメン
てシミュレー ションを行うことができる。シミ
ュレーションを行うことで採用した手段の C02
削減効果について客観的な評価を与えることが
できる。以下, C02排出量の大きな 3部門のう
ち 100万円当たりの C02排出が最も大きなセ
メン ト部門の C02削減についてシミユレーシ
-8-
トを 70%高炉セメントを 30%といった様に全体のセメ
ント生産量に占める各セメントの生産割合を変化させた
場合に生じる C02排出量である. C02の排出量は,高
炉セメントを生産するために必要な中間財投入量に関す
る技術的な情報を収集し,セメント部門のアクティピテ
ィーを分割しボル トラ ンドセメントと高炉セメントそれ
ぞれの場合で生産を行った場合の投入係数を求め推計さ
1]を参照せよ.
れる.詳細は藤原[1
1
7)普通ボルトランドセメントの増量剤として使用された
分を合む.
環境分析周産業迷関表によ る c
o
,
排出量の推計方法について
第 3-4表:都高炉スラグ利用による間接
順位 産業部門
1 セメント
2
3
4
5
6
7
8
9
1
0
事業用発電
自家発電
石灰石
自家用貨物自動車輸送
その他の窯業原料鉱物
石油製品
自家用旅客自動車輸送
石炭製品
石炭
A点
C0
2
削減効果( C0
2
換算 k
g
)
B点
(削減率)
6
8
0
4
7
0
2
.
0
1
0
00
4
1
.6
5
9
9
6
3.
2
1
6
6
2
1
.7
5
9
1
7.
7
5
1
1
2.
9
3
9
1
7.
7
2
4
1
0.
6
2
2
5
3.
0
2
1
2
6
.
8
(削減率)
(
1
0
.
9
4
%
)
1
9
3
5
3
7
0
6
.
5
(
3
1
.
1
3
%
) 直接削減部門
(0.
04%)
2
8
4
5
3
5
.
l
1
7
0
5
4
5.
2
4
7
2
7
4.
9
1
6
8
3
0.
9
1
4
5
4
1
.9
1
1
1
4
2
.5
6
8
5
6.
2
6
4
0
7
.
8
6
0
4
9
.
0
0.48%
(17.87%
(0.05%
(8.58% 間接削減部門
0.05%
(0.02%
~ 0.05%l
1.
76%
i
0.17%l
6
.
2
8%
(0.
02%)
(3.02%
0.
02%
(0.
01%)
(0.02%
0.62%
資料出所:藤原口 1
]
とで約 700万トンの削減効果が生じ℃いたこと
ギー投入のうち約 11%は電力である。このう
がわかる。
ち高炉スラグの利用により節約される分は焼成
高炉スラグ自体は銑鉄生産の副産物であるか
工程までに使用される電力, 6.1%である。つ
らその生産量は銑鉄生産量に依存して決まるた
まりセメント部門における 6.1%分の電力の不
め(銑鉄 1t当たり約 300kg生成),供給量に
使用が電力部門の C02
排出量下落となってあ
制約が存在する。 B点は生成された高炉スラグ
らわれている。したがって, A点における C02
をすべてセメントの原料に用いて生産を行った
削減量 701万トンのうち 97%がセメント部門
場合をシミュレ ートしたも のである。 1985年
における直接削減効果により,約 3 %が電力
度の高炉スラグ生成量は約 2465万トンであり
部門等の間接削減効果によって生じていたこと
生産比率は約 34% となる。このときの総 C02
がわかる。
排出量は約 9億 9950万トン, C02削減量は約
4
.結 語
1990万トン,すなわち,高炉スラグ利用によ
りまだ約 1290万トンの C02削減の余地が残さ
以上,環境分析用産業連関表による C02排
れていると言える。
ここまでの議論で A点おける C02削減量は
出量の推計方法について検討してきた。第 2節
701万トンとなることは明らかになったが,削
では C02
排出量の推計の基本的な考え方およ
減のすべてがセメント部門の焼成工程の省略に
び同産業連関表の構造を示した。第 3節では基
よって生じたものではない。イン トロ ダクシヨ
本モデルを検討し,日本の総 C02排出量,各
ンにおいて言及した通り他部門における削減効
部門別排出量,生産 1単位当たりの誘発排出量
果が存在する。第 3 4表は高炉スラグ利用に
が推計できることを議論した。第 4節では以上
よりセメント部門およびセメント部門以外で間
3点の推計事例を示し,特にセメント産業の
排出量と
接的に C02削減が生じた部門の C02
C02削減に関するシミュレ ーションについて検
部門ごとの C02削減率である。セメント部門
討 した。
では A点において約 680万トンの直接削減効果
生産活動の熱源を化石燃料に頼る生産方法で
1% と
がありセメント部門だけの削減率は約 1
は C02の排出は必然的である。しかし生産量
なっている。最も間接削減効果が大きいのは事
に対する制約条件を課すことは経済成長にプ
業用電力部門であり,約 1
0万トンの削減が生
レーキをかけることを意味する。したがって,
じている。これは高炉スラグ利用による電力節
経済成長を維持しながら C02の排出量を減少
約の効果である。セメン卜生産に必要なエネノレ
させる方策が必要となろう。その根本的な解決
- 9ー
方法はエネルギー投入原単位の大幅な下落を引
年エネルギ一生産需給統計年報』通商産
き起こすような生産技術の革新ないし, C02を
分解するような技術革新によってなされる。し
業調査会,昭和 6
1年 7月.
日0]通商産業省資源エネルギー庁公益事業部
かし,セメント部門の高炉スラグ利用のように,
編『昭和 6
0
,
6
1年度電力需給の概要』通
生産技術上の革新が早急に実現されなくとも大
気 C02の排出量は削減する こと ができる 18。
)
商産業調査会,昭和 6
0
,
6
1年 9月 .
[
1
1]藤原浩一「セメン ト産業に おける C02
つまり,技術革新に加えて産業部門聞に存在す
るインプ ッ ト
・ アウ トプッ トの関係を積極的に
削減の可能’性について一環境分析用産業
c
c
a
s
i
o
n
a
l
連関表による推計− J KEOO
利用することにより C02の排出量の下落が可
Pap
叫 (近刊) .
[
1
2]宮沢健一編「産業連関分析入門」日本経
済新聞社,昭和 5
0年.
口3]吉岡完治・外岡豊 ・早見均 ・池田明由・
菅幹雄「環境分析のための産業連関表の
作成」 KEOO
c
c
a
s
i
o
n
a
lP
a
p
e
r
,J.
N
o
.
2
6
,
能である。今後このような成長を維持しつつも
C02を抑えて行く方策が重要 になると思われ
る
。
参考文献
[1]石川雅紀「環境分析用産業連関表の応用
一紙 ・パルプ産業の 環境影響の分析
(仮題)」イノベーシ ョン& 1
-0テク
ニーク(近刊).
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2]小野崎保「セメント産業におけるエネル
ギー消費動向 J『エネルギー経済』第 1
5
巻第 8号,平成元年.
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0年産業連関表』全国
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年石油等消費構造統計』通産統計協会,
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昭和 6
[6]通商産業大臣官房調査統計部編『昭和 6
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年石油等消費動態統計』通産統計協会,
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昭和 6
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年化学工業統計年報』通商産業調査会,
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1年 6月 .
[8]通商産業大臣官房調査統計部編 『昭和 6
0
年鉄鋼統計年報』通商産業調査会,昭和
6
1年 6月.
[9]通商産業大臣官房調査統計部編『昭和 6
0
1
8)その他の代表的な例はゴミの リサイクルや再生紙の
利用であろう.また,断熱効果の大きな住宅の採用に
よっても C02排出量の削減は期待できる.再生紙ない
,
] 省エネル
し紙・ パルプ産業に関する分析は石川[ l
ギー住宅に関しては吉岡他 (
1
6]を参照せ よ
.
- 10一
平成 4年 1
0月
.
[
1
4
]吉岡完治・早見均・池田明白 「環境分析
のための産業連関表ーその作成課程と意
義一」イノベーシ ョン& 1
-0テクニー
ク
, V
ol.2No.
3
,平成 3年 7月
.
[
1
5]岡完治 ・早見均・池田明由・ 菅幹雄「環
境分析用産業連関表の応用一生産活動に
伴う C02排出量とその要因一 Jイノベー
ション& 1-0テクニーク
,V
ol.3No.4,
平成 4年 1
0月
.
[
1
6]吉岡完治 ・早見均 ・池田明白・ 菅幹雄
「環境分析用産業連関表の応用(3
)一省
エネ住宅のすすめ一」イノベーション&
1-0テクニーク
, V
o
l
.
4No.2
,平成 5年 7
月
.
[
1
7]吉岡完治・早見均 ・池田明白・ 藤原浩
一 ・菅幹雄 「
環境分析用産業連関表の応
用(4
)ーセメント産業における高炉スラ
グのすすめ 一」イノベーシ ョン& I-0
テクニーク
, V
o
l
.
4No.2
,平成 5年 1
0月
.
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