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公開資料 - SI-CAT 気候変動適応技術社会実装プログラム
SI-CAT公開シンポジウム SI-CATへの期待 -気候変動適応策の意義と課題- 平成28年 1月 26日 茨城大学長 三村信男 1 講演の内容 1.COP21とパリ協定の意義 2.気候変動適応策の課題 3.SI-CATへの期待 2 最近の2つのエポック 1.COP21 (2015年11月30日~12月13日、パリ) 2.「気候変動の影響への適応計画」閣議決定 (27年11月27日) 3 適応計画 開始 新興国の 寄与鮮明化 影響の顕在化 気象災害 IPCC AR5 2020年以降の目標 全ての国の参加 4 (環境省中環審資料を加工) ”気候変動と私たち共通の未来“国際会議 2015年7月、UNESCO本部、パリ 5 仏大臣 仏ファビウス外相 スティグリッツ教授 6 COP21 • 2015年11月30日~12月13日、パリ • 加盟196カ国、140カ国の首脳級が参加 • 2020年以降の気候変動対策の目標について協議 し、「パリ協定」を採択 (UNFCCC HP) 7 パリ協定の内容 1. 目的:「気候変動の脅威への世界的な対応を強化すること」 ①産業革命前に比べて2℃以下に気温上昇を抑制 さらに1.5℃への抑制に努力 ②適応能力の向上 ③資金の流れを低排出、気候強靱化の発展パスに適合 2. 排出削減(緩和) • すべての国が貢献(削減目標・行動)を提出 • 5年ごとに更新し、古い目標を上回る目標とする 3. 影響への対処(適応) •世界全体の目標設定し、国毎の適応報告書を提出 4. 途上国支援 •先進国は引き続き資金を提供(毎年1000億ドル以上) •他の途上国も自主的な資金提供を奨励 8 パリ協定の意義 ● すべての国が参加する国際的な法的枠組み(2020年~) ● 気候変動に対する総合的なリスク管理戦略 ー緩和策と適応策、資金の流れの管理 ● ● 5年毎の目標改定など実効性を担保する仕組みの導入 新興国などからの資金支援に道 「共通だが差異のある責任」の実質的な進展 ● 2030年目標を超えた今世紀後半までの長期的目標 ー緩和策→脱炭素・CO2ゼロエミッション社会 適応策→気候変動に対してレジリエント(強靱)な社会 9 適応策の課題 気候変動の影響の地域性 ー気候変動自体も、地理的、社会的、文化的背景も異なる 適応策は地域が主体 多様な関係者の関与 ー影響の幅広さに応じた多様な関係者 不確実性への対応 ー予見的、かつadaptive adaptation 温暖化自体と研究の進展に合わせた見直し これらのニーズに応える科学的知見の提供、政策化の支援 →RECCA、環境省S-8等の研究プロジェクト 10 社会実装に向けた問題意識 世界 気候予測 予測のダウ ンスケール 影響予測 <地域アプローチ> Needs-based 適応計画 立案 気候変動に強い地域 防災・農業・水・健康 地域計画 適応政策 立案 <科学アプローチ> Science-driven 研究コミュニティの 役割は何か? 住民の理解 既存の政策 の検証 影響の現れ 影響把握 11 RECCAの12課題(H22~H26) 12 RECCAの推進体制 ● 水、都市、農林漁業の3領域を設定 ● 先進的地域気候予測と地域の課題解決をいかに結合するか 研究代表者(所属機関) ■は領域長を示す 13 生成された社会実装のためのインターフェース 情報・データ発信システム(例) 「富山県近未来気候」 (木村課題) 「近未来ビューワ」 (山田課題) 「農業支援システム」 (葉いもち感染危険度の確率予測の表示例) (岩崎課題) 「3D Ocean Viewer」 (淡路課題) 気候変動が四国に及ぼす経済的ダメージは? 政策を行った場合どうなるか? 社会シナリオ 気候変動モデル 最大(シナリオNo.5) 平均(シナリオNo.17) シナリオNo.1 シナリオNo.2 シナリオNo.10 シナリオNo.11 政策オプション CSIRO_0 MIROC_HIRES なし CSIRO_5 MIROC_MEDRES 海水の淡水化 IAP GFDL 3R INGV MRI 雨水収集システム シナリオNo.3 シナリオNo.12 節水機器の推進 シナリオNo.4 シナリオNo.13 水道料金5%up シナリオNo.6 シナリオNo.14 シナリオNo.7 シナリオNo.15 シナリオNo.8 シナリオNo.16 シナリオNo.9 ユーザー Click here 年間降雨パターン予測 水供給 水需要予測 適応策の提案と入力 意識構造変化の分析 2046~2065年の20年間の渇水量を 8個の気候変動予測モデルごとに予測 (20年間×8モデル=160ケース) 水需要 17個の社会シナリオに従って、気候変動 の影響で変化する水資源量を把握 「生産支援システム」 (二宮課題) 「生育診断収量推定システム」 (西森課題) 「気候変動適応策シミュレーションシステム」 (那須課題) 気候変動適応研究推進プログラム 14 科学と地域社会の架け橋 RECCA 科学と地域適応策の架け橋(ガイダンスブッ ク)を出版して終了 SI-CAT 適応策の社会実装をめざす ー科学と地域社会の新しい協働のあり方を 模索する挑戦 ー科学的ツールの提供、政策化、広い分野 の連携・協力、実施と社会的学習 気候変動適応研究推進プログラム 15 まとめ(1) 1.最近の気象は極端化し、世界的に温暖化の影響が 顕在化している 2.COP21「パリ協定」は長期的な温暖化対策の基礎を 再構築した 3.排出削減策(緩和)はゼロ排出社会に向かっている 制度・経済・技術対策のリストがそろってきた - グリーン・エコノミー - 排出権市場、2国間取引 - 再生可能エネルギー - 産業、交通、生活システムイノベーション など 16 まとめ(2) 4.適応策は制度化、社会実装の初期にある 影響の地域性、幅広い関係者、将来予測の不確実性 を考慮して、実効的な政策策定と実施への移行が 課題 5.緩和策は脱炭素・CO2ゼロエミッション社会につなが り、適応策は、安全・安心な気候変動レジリエント(強 靱な)社会につながる 6.世界の視線は、気候変動への対策が他の課題解決 と融合して持続可能な未来を目指すポスト炭素社会 に向かっている 17 ご静聴有り難うございました 18