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H24 運動身体づくりプログラムテキスト

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H24 運動身体づくりプログラムテキスト
平成24年度
小学校「運動身体づくりプログラム」講座
Ⅰ
正しい準備運動が授業充実の第一歩!
Ⅱ
Ⅲ
魅力ある運動身体づくりプログラムを求めて
+α(下位教材群)の考え方
Ⅳ
魅力ある主運動で扱うべき教材の紹介
Ⅴ
運動身体づくりプログラムQ&A
平成24年
9月12日(水)14:00~16:30 〔県
北〕伊達市立上保原小学校
平成24年
9月13日(木)14:00~16:40 〔会
津〕テクノアカデミー会津
平成24年
9月18日(火)13:15~16:40 〔南会津〕南会津郡南会津町立田島小学校
平成24年10月31日(水)13:15~16:40 〔県
南〕西白河郡西郷村立米小学校
平成24年11月
中〕石川町総合体育館
6日(火)13:15~16:40 〔県
平成24年11月21日(水)13:15~16:40 〔相
-1 -
双〕南相馬市立原町第一小学校
Ⅰ
正しい準備運動が授業充実の第一歩!
正しい膝の屈伸、伸脚、アキレス腱を!!
普段何気なくやっている運動でも体の伸ばすポイントをしっかり押さえたいものです。
特に体の裏側は怪我をしやすいので、ストレッチでけがを防ぎましょう。ストレッチとは筋肉
を伸ばすことで体をほぐす運動です。ゆっくりと呼吸しながら「いた気持ちいい」くらいに伸ば
します。15秒から20秒伸ばせるとよいですね。主な準備運動のポイントを載せておきました。
体のどこが伸びているか確かめましょう。体育時数は年間90時間から105時間。つまり90
回から105回準備運動(ストレッチ)をする機会があると考えれば、効果が表れそうですよね。
<準備運動>
目
的
○
関節からの潤滑油を出す。
○
関節の可動域を広げる。
○
筋肉を伸ばす。
○
筋温を上げる。
○
自分の今日の体の調子を探る。
○
大人になった時に自分で準備運動ができるように。
順
序
○
原則は太い筋肉,関節から。
留意点
○
伸ばす時に息をゆっくり吐きながら。
○
伸ばしている部分を意識して。
○
ちょっと痛くて伸びている!「いた気持ちいい」
○
伸びている部位をさすってあげる。
準備運動の実際
①
ジャンプしながら列を整える。
・心も体も弾むようジャンプしながら両手間隔をとって縦横の列を整える。
②
かけ声をかける。
・「いち」「に」「さん」「やぁー」といった声を出す。
・サイキングアップの意味もある。
・体育の時間は、広い場所で行うのでおなかから叫ぶ場でありたい。
③
背伸びの運動
もっと!
もっと!
〔留意点〕かかとは床に付けたままで。
〔一工夫〕左右に曲げる。
〔発
はい!力を抜いて~
(これが案外気持ちいい!)
展〕腰をふりふりする。
-2 -
④
前屈
〔留意点〕ひざの後ろ、腰が伸びているかどうか。
〔一工夫〕少し離れた後ろの人に手を振る、ボールを渡す。
友だちと手をつないで。
〔発
友だちのからだを感じる
展〕座って後の友だちに押してもらう。
という意味でも大切な補
助になります。
⑤
後屈
〔留意点〕足下がふらふらすると効果は半減します。
〔一工夫〕少し離れた後ろの人に手を振る、ボールを渡す。
〔発
展〕そのままブリッジ→立ち上がる。
お手伝いブリッジ
二人組でブリッジくぐり
⑥
屈伸(ひざの曲げ伸ばし)
〔留意点〕両ひざとかかとは床に付けたままで。
床からかかとが離れて
しまう人は、老化が始ま
っているかもよ~?!
〔一工夫〕曲げたところで止めて一呼吸する。
〔発
⑦
展〕ゆっくり3回、速く3回
伸脚(ひざの裏を伸ばす)
〔留意点〕つま先を上げます。
〔一工夫〕左右を切り替える時には足の位置を動かさない。
〔発
⑧
展〕実は、股関節も伸ばしているんです。
深い伸脚(ひざの裏を伸ばす)
〔留意点〕伸ばしていない方のかかとが床に着いています。
〔一工夫〕左右を切り替える時には足の位置を動かさない。
〔発
⑨
展〕肘で股関節を押してみよう。股関節も伸ばしているんです。
四股を踏む
〔留意点〕深い伸脚の足幅のまま、片足を高くあげ、
「よいしょ」のかけ声でつま先から踵へと慎重に踏みおろす。
腰を深く落とす。
〔一工夫〕「よいしょ」のタイミングをずらす。
〔発
⑩
展〕ひざの内側を押しながら肩を入れる。
よいしょがずれてもふ
らふらしない人は、
集中している人!
足腰の強い人!
アキレス腱を伸ばす
〔留意点〕ひざを曲げるとアキレス腱が伸びます。
ひざを伸ばすとふくらはぎが伸びます。
〔一工夫〕友だちにアキレス腱をさすってもらいながら伸ばす。
〔発
展〕ひざを曲げたり、伸ばしたりしながら伸ばす。
-3 -
⑪
股関節を伸ばす
〔留意点〕ひざを床に着いて、おしりを押しながら、胸を張る。
〔一工夫〕友だちに腰を押してもらう。
〔発
⑫
老化現象は、
股関節から始まります。
柔らかい人は足が速く
なるよ!
展〕ひじを床に着けてみる。
肩を回す
〔留意点〕うでが耳につくように大きく、ゆっくり回す。
〔一工夫〕耳の横で止めて、うでがついているか確認する。
〔発
⑬
展〕ひじを曲げて回しながら、肩甲骨を回す。
首を回す・伸ばす
〔留意点〕大きくゆっくり回す。
〔一工夫〕体も一緒に回してみよう。
〔発
展〕手で斜め前に頭を押す。
⑭手首、足首を回す
〔留意点〕大きくゆっくり回す。
〔一工夫〕ゆっくり、速く、両方一緒に!
〔発
展〕手首、足首のストレッチを入れる。
⑮深呼吸
〔留意点〕「手を上げる」のではなく「胸を開いて」息を吸う。
〔一工夫〕「吸って」「もっと」「もっと」「止めて」「はい全部吐く~」
〔発
展〕腹式呼吸で深呼吸する。
深呼吸後、脱力~崩れる!
いくら児童に活躍の場をあたえたいからといって、体育係に仕事を任せ、何となく準備運動を
させているのでは指導ではありません。体育係を中心に準備運動を進めるとしてもストレッチの
ポイントを押さえ「どこが伸びているか」を考えさせることで、係の活動の質も上がってきます。
教師は、ポイントを押さえ、声かけをしたいものです。
小学生の指導では、体温を上げ、心拍数が上がっていればいいのではないかという見方もあり
ます。休み時間に全力で遊び回っているのに、ウォーミングアップをしていないという理由から
です。しかし、休み時間にけがが多いことを考えると、アップしていたらけがが少なくなるので
はないかとも考えられます。
いずれにせよ、生涯スポーツの基礎として、運動への心と体のスイッチを入れるために準備運
動を大切に取り扱いたいものです。
-4 -
Ⅱ
1
魅力ある運動身体づくりプログラムを求めて
運動身体づくりプログラムが実施されて…
小学校では、平成18年度から実施。平成19年度から平成21年度にかけて体力テストの結果が
高まりました。しかし…。平成22年度の体力テストの結果は、少し下がってしまいました。その原
因を考察してみると、同じような動きを繰り返すプログラムであるため、実施する教員、動いてい
る児童ともにマンネリ化し、意欲が高まらず、動きを省略するという傾向が見られることがわかり
ました。また、自校化が進むことにより、高めたい体力・運動能力に偏りが見られるようになり、
継続しなければ高まらないような体力・運動能力を取り上げなくなるという傾向も見られるように
なりました。例えば、犬走り、ウサギ跳び、アザラシなど…。
このような状況に追い打ちをかけるように大震災、原発事故により、外遊びの制限、運動できる
施設の減少等で子どもたちの運動量が減少し、ストレスは増大しています。ますます福島県の子ど
もたちのからだ」が心配されます。
このような問題を打開するためにも1~4年生は年間105時間、5~6年生は年間90時間という
たくさんの機会に実施できる身体運動づくりプログラムをもっと充実した意義深いものにしていき
ましょう。身体運動づくりプログラムは一工夫すると、教員にとっても、子どもにとっても「おも
しろそうだな」「どうすればいいのかな」「どきどきするな」などといった楽しさが含まれる運動に
変わります。
2
プログラム化のよさ、問題点について
(1)
メリット
○
→
時間が短縮できる。
→
間を空けずに続けられる→インターバルトレーニングの意味もある。
○
(2)
3
説明しなくともよく毎回同じような動きを繰り返す。
体力・運動能力のバランスを考えた運動が取り入れられている。
問題点
○
同じような動きが繰り返されるためマンネリ化しやすい。
○
間を空けないために苦しいだけの運動になりがちである。
○
特定の体力・運動能力しか高めていない。
問題点を打開するキーワード
(1)「リズムの変化」
〔例〕スキップを速いリズムとゆっくりのリズムでやるのでは、高めたい動きが違う。
(2)「~しながら」
〔例〕スキップしながらパス
犬走りをしながら前転
手をつなぎながらサイドステップなど
(3)「ものを使って」
〔例〕ボールを使って
高跳びのポールをつかって
ソフトバレーボールのネットを使ってなど
(4)「目的を忘れずに」
〔例〕うでを支持する感覚や動きはそんなに急には高まらないぞ。
前列との間を空けないで7分間の運動をすれば、かなりの運動量の確保ができる。
運動する楽しさをちりばめて…など。
-5 -
3
各領域の運動の特性を考慮したプログラムの工夫
(1)
運動身体づくりプログラム<仲間と楽しく編>
仲間の動きを感じ、声を出したり、仲間の動きに合わせようとしたりするプログラムです。「気
付き」「調整」「交流」といった体ほぐしの運動の趣旨を取り入れた運動身体づくりプログラム
とも言えます。
①
スキップ
[往
②
路]
横一列で手をつないでスキップする→リズムを合わせる。
[ターン]
一瞬手を離してターン。また手をつなぐ。
[復
次の列が近づいてきたら手を離し、つないでいる手と手の間をくぐり抜ける。
路]
バック走
[往
路]
横一列で手をつないでバック走をする。
[復
路]
手を離して前向きで走り出し、次の班の手と手の間をくぐり抜ける。
③
犬走り
④
ウサギ跳び
⑤
アザラシ
⑥
クモ歩き
⑦
カニ走り(1往復目)
[往
⑧
路]
[往
路]
前列と少しの間隔でスタートし、前の列の友だちに
タッチする。
[復
路]
タッチできたらおんぶしてもらって帰ってくる。
タッチできなかったらおんぶして帰ってくる。
縦の列で手をつなぎ、手を離さないようにリズムを合わせて進む。
[ターン]
先頭がターン地点に着いたら、「ターン」と大きな声で叫ぶ。
[復
同じ向きのまま戻ってくる。
路]
カニ走り(2往復目)
1往復目と同じ動きだが、競争する。
⑨
クロスステップ(1往復目)
[往
⑩
路]
縦の列で手をつなぎ、手を離さないようにリズムを合わせて進む。
[ターン]
先頭がターン地点に着いたら、「ターン」と大きな声で叫ぶ。
[復
同じ向きのまま戻ってくる
路]
クロスステップ(2往復目)
1往復目と同じ動きだが、競争する
-6 -
(2) 運動身体づくりプログラム<リズム変化編>
同じ動きでもリズムを変えるとその効果が変わってきます。児童の実態を把握した上で、高めた
い動きや養いたい感覚を教師がイメージし、取り組ませることが重要です。
①
スキップ
[ふつう]
[速
軽やかで楽しい雰囲気を醸し出す。
い] 素早いステップが必要なため、素早いリズムに対応して体を操作する能力が高まる。
[ゆっくり]だんだん大きなスキップにすると「ハムストリング筋のトレーニング」や「手と足
の連動によるもも上げ」を体感できる。
②
バック走
[速
い] 素早いステップが必要なため、素早いリズムに対応して体を操作する能力が高まる。
[ゆっくり]「手と足の連動による大きなバックステップ」を体感できる。
③
犬走り
[速
い] 素早い手足の動きが必要なため、素早いリズムに対応して体を操作する能力が高まる。
[ゆっくり]腰を高くした体幹の筋肉を使った運動になる。
④
ウサギ跳び
[速
い]
素早い足の引きつけが必要なため、体幹の筋肉を使った運動になる。
[ゆっくり]一瞬空中に浮いた状態ができると同時に体が前に伸びるために空中に体を投げ出す
感覚を養うことができる。※ 寒い季節や慣れていない場合は、手首や肩を痛めるので注意!
⑤
アザラシ
[速
い]
素早い手足の動きに連動させる動きが必要なため、素早いリズムに対応した体を操
作する能力が高まる。
[ゆっくり]うでで体を支持する力を高める。
⑥
クモ歩き
[速
い] 素早い手足の動きが必要なため、素早いリズムに対応した体を操作する能力が高まる。
[ゆっくり]うで支持の力や体幹を引き締める感覚を高める。
⑦
カニ走り
[速
い] 素早いステップが必要なため、素早いリズムに対応した体を操作する能力が高まる。
[ゆっくり]だんだん大きなカニ走りにするとうでの振りで体を引き上げる感覚を養うことがで
きる。
[ランダム]ボール運動等の時に相手の動きに合わせてリズムを変えて対応するといった能力を
養うことができる。
⑧
クロスステップ
[速
い] 素早いステップが必要なため、素早いリズムに対応した体を操作する能力が高まる。
[ゆっくり]後ろに足を大きく引き、前に回転させることでひねりの反動で体を回転させる感覚
を養うことができる。
[ランダム]ボール運動等の時に相手の動きに合わせてリズムを変えて対応するといった能力を
養うことができる。
-7 -
(3) 運動身体づくりプログラム<体力アップ編>
年度初めに運動身体づくりプログラムの中で測定できる自分の体力を記録しておく。学期を通
してトレーニングをする。その後、定期的に同じプログラムで体力を測定する。これは、体つく
り運動の趣旨を踏まえた運動身体づくりトレーニングと言えます。
①
スキップ
半分までは軽めのスキップ、後半は大きめのスキップをする。何回でエンドラインまで来られ
るかを数える。復路も同じようして数え、往路と復路の少ない方を記録する。
②
バック走
半分までは軽めのバック走、後半は大きめのバック走をし、何歩でエンドラインまで来られる
かを数える。復路も同じようして数え、往路と復路の少ない方を記録する。
③
犬走り
教師がタイムを数え、エンドラインからセンターラインまで何秒かかるかを大まかに計測する。
その秒数を記録する。
④
ウサギ跳び
エンドラインからセンターラインまで何回で来ることができるかを数え、記録する。
⑤
カニ走り
半分までは軽めのカニ走り、後半は大きめのカニ走りをし、何回でエンドラインまで来れるか
を数える。復路も同じようして数え、往路と復路の少ない方を記録する。
⑥
アザラシ
真ん中にバトン等を立てておき、ビーチフラッグのように競走させる。
⑦
クモ歩き
真ん中にバトン等を立てておき、ビーチフラッグのように競走させる。
⑧
クロスステップ
往復のタイムを計測する。
※
カエルの足打ちや上体起こし、反復横跳びなども継続的に測定し、記録しておくと体力テスト
の意義が高まる。
留意点
次の順番の友だちに声を出して数えてもらう。
学期に1度くらい行い、記録を蓄積していくと伸びが分かる。
-8 -
(4) 運動身体づくりプログラム<ボール運動編>
動きながらドリブル・パス、相手の動きを予測して投げ上げるパス、ファンブルしないような
素早いキャッチ&フォロースルー、ねばり強くボールを追いかける執着心、ボール操作への慣れ
はもちろん、実際のゲームで使える動きの感覚を養うことのできるプログラムです。
①
②
スキップ
[往
路]
ボールを持ってスキップ(投げ上げながら、ドリブルしながら)
[復
路]
次の列が近づいてきたらボールを手渡す。(投げ上げてパス、バウンドパス)
バック走
[往
路]
後ろ向きでドリブルをして進む。
[復
路]
前向きにドリブルで進み、センターラインまで来たら次の人にパスをする。
(パスは3往復くらい続ける)
[往
③
犬走り
④
ウサギ跳び
⑤
アザラシ
路]
センターライン付近で捕ることができるようボールを転が
す。センターラインを目安にボールを拾ってエンドライン
まで走る(ドリブルしてもよい)
[復
路]
前向きにドリブルで進み、センターラインまで来たら次の
人にパスをする。(パスは3往復くらい続ける)
⑥
クモ歩き
往路、復路ともおなかにボールを乗せてボールを運んでくる。
[往
⑦
カニ走り
⑧
クロスステップ
路]
ボールを持ってスキップ
(投げ上げながら、ドリブルしながら)
[復
路]
次の列が近づいてきたらボールを手渡す
(投げ上げてパス、バウンドパス)
声かけの一工夫
「ボールは爆弾だよ!落としたら爆発しちゃうよ」と話しておき、落としたらうで立て伏せを
5回する約束などをしておくとハラハラドキドキで楽しい。
チームワークを高める一工夫
「③
犬走り」から「⑧
クロスステップ」までをつなげてリレー形式で行うことで、その後
の活動にチームワークの高まりをつなげることができる。
-9 -
(5) 運動身体づくりプログラム<マット運動編>
手前もしくは中央に横一列にマットを並べて敷きます。子どもの実態から、勢いがついて回
転加速がつきすぎるために頭を打つ可能性があると判断した場合は、マットは手前に置いたり、
回転加速を調整できると判断した場合は、中央に置きます。このような工夫によって回転加速
の調節をしたり、連続技へのつながりを意識したりするといった動きの質を高めることができ
ます。
〔組み合わせ例〕
前転→スキップ
後転→バック走
前転→犬走り
前転→ウサギ跳び
側転もしくはうで支持川跳び→カニ走り
側転もしくはうで支持川跳び→クロスステップ
※
鉄棒運動でもこの組み合わせは応用できる。
→
鉄棒運動の場合は、折り返し地点に鉄棒が来るように場を作る。
→
前回り下りを行うとほとんどの子どもができる。
→
ろくぼくの手前に鉄棒を置くことができれば、逆上がりでもできる。
- 10 -
※
走り高跳びの場合でもこの組み合わせは応用できる.
→
竹のバーのかわりにゴムひもを張った支柱を使用する。4~8セットできるので運動量も確保
できる。
→
最後に下図のように支柱を並べて連続で跳ばせると助走から踏み切りの練習を数多く行うこと
ができる。
- 11 -
Ⅲ
+α(下位教材群)の考え方
運動身体づくりプログラム後に主運動もしくは本時高めたい動きに迫るための予備的な運動を
取り入れることがある場合がある。その際、以下のような点に留意して行うと効果的です。
○
高めたい動きを明確にもつこと
○
ゲーム性(勝敗・得点化・記録の蓄積・集団化)があること
○
運動量が確保できること
○
簡単な動きで能力に差があってもできること
(例)カエルの足打ち
カエル倒立
馬跳び(連続馬跳び・リズム馬跳び)
8の字高跳び
ケン・ケン・パ
新聞紙放り投げ競争
紙飛行機飛ばし競争
当てっこ陣取りゲーム
手つなぎゆりかご
前転リレー
キャッチボールリレー
等
- 12 -
Ⅳ
魅力ある主運動で扱うべき教材の紹介
新しい学習指導要領が実施されて1年。特にゲーム・ボール運動は、○○型に名称が変更され
た。そして「易しい」
「簡易化された」といったゲームを取り上げることとなっている。今回は、
ベースボール型を取り上げながら、易しいゲームや簡易化されたゲームについて考えていきます。
1
第3学年及び第4学年
ウ
E
ゲーム
(1) 技能より
ベースボール型ゲームでは,蹴る,打つ,捕る,投げるなどの動きによって,易しいゲー
ムをすること。
「易しいゲームをすること」が大切です。「易しいゲーム」
とは,簡単なボール操作で行える,比較的少人数で行え
る,身体接触を避けるなど,児童が取り組みやすいよう
に工夫したゲームをいう。
「ベースボール型ゲームの戦術的特性」
「走者が速いか、守備側の共同作業が速いかを、特定の
塁上で競い合っていること」
「子どもの思いを大切にする」
ゲームをするからこそ生まれる「蹴りたい」「打ちたい」「捕
りたい」「投げたい」という思いのもとに「どうすれば…」と
いう追究意欲を高めたい。
- 13 -
2
ゲームの例
(1)「ターンベースボール」
○ ベースの配置を工夫する活動を取り入れてベース間の距離や配置場所から生じる意味に対す
る様々な気付きが生まれることを期待するゲーム
<図1の主要なルール>
〈攻撃〉
■ 打者が打球をし、アウトにされずにコーンを回って本塁に帰ってくることができれば得点
■ 本塁に近い方から1点、2点、3点、4点
〈守備〉
■ 始めは、タッチアウト(それ以外はアウトではない)
※ 工夫できるルール
〈攻撃〉
■ 打者が打ったら、チーム全員で一列になって走る。その際、打者の判断で得点を叫び、みん
なに伝えて走塁する
〈守備〉
■ ボードに当てれば、アウトにしてもよい
<図2の主要なルール>
〈攻撃〉
■ 打者が打球をし、アウトにされずにコーンを回って本塁に帰ってくることができれば得点
■ 何回、往復してもよい
〈守備〉
■ 守備側は、捕球したらランナーの先回りをするようにコーンにタッチすればアウト
※ 工夫できるルール
〈攻撃〉
■ 打者がホームまで戻ってもアウトにならない場合には、次打者がタッチして走者となる。
みんなで一列になって走ってもよい
図2、図3、図4で
は、どのような子ど
もの思考力・判断力
が高まりそうです
か?
- 14 -
(2)「並びっこベースボール」
○ 守備側において攻撃側の得点(進塁)をいかに最小限にとどめるかを中心的課題にしたゲーム
<主要なルール>
■ゲームの人数
・1チーム5人
■コート
・塁間14m
■用具
・ボールは柔らかい大きめのボール
・バッティングティー
・スポンジ製バット
・ベース
・カラーコーン(または大きめのフープ)
■ゲームを進めるためのルール
〈攻撃〉
・打者は守備側の準備ができているか確認しながら、ティー上のボールを打撃する。
・打者は打ったら塁間をアウトになるまで走塁する。ベースを踏むごとに1点加点する。
・打者がホームまで戻ってもアウトにならない場合には、次打者がタッチして走者となる。
・ボールがフェアグラウンドに入るまで、打者は打撃を繰り返しできる。バントはなし。
〈守備〉
・守備側は、捕球したらランナーの先回りをするように、塁近くのカラーコーンを囲んで(あ
るいはフープに入って)しゃがむ。その際、「アウト!」の声をかける。
〈その他〉
・1イニング、5人全員が打撃したら攻守交代。1ゲーム2イニング。
・セルフジャッジとし、判定が難しい場合には、打ち直しとする。
<発展として>(得点を最小限にする判断が複雑になる)
・コーンを3角ベースにする
・残塁ありにする
・1塁まで行けたら1点、2塁まで行けたら2点…
・守備側は、先回りしてコーンを囲む
- 15 -
ゲーム得点表
チーム名
1
2
3
4
計
チーム名
1
2
3
4
計
チーム名
1
2
3
4
計
- 16 -
Ⅴ
運動身体づくりプログラムQ&A
(1) プログラムの意義とは?
①
決められた運動を毎回行うことにより、次に何をやるかといった予測がつき、休むことなく連
続して運動に取り組むことができる。
運動量を確保できる→持久力を高めることができる。
②
様々な運動感覚を養うことができるよう組み立てられているので、工夫はしても年間を通して
端折らないで行いたい。
(2) 順序は?
○
決まりはないが、考え方としては、足を使う運動、手を使う運動を連続して行い、強化すると
いう方法と、足を使う、手を使うをいくつか組み合わせて交互に行い、疲れや負担感を感じさせ
ないようにする考え方がある。
(3) 交差させる?させない?
交差させると以下のようなよさがある。
○
相手をかわすという俊敏性が養われる。
○
時間を短縮できる→運動量を確保できる→持久力を高めることができる。
○
相手をかわす際のスリルがある。
※
○
経験知によって危険を伴う場合があるので、子どもの実態に応じて判断するのがよい。
交差するときタッチができる。
→スキンシップをとることができる。
→空中でのタッチ
→相手とタイミングを合わせる気持ちよさを味わうことができる。
(4) 並び方の工夫
○
座席順で机の島ごとに4列ぐらいがよい。
→
○
列が多いと待ち時間が増え、運動強度が減るため
体育の時間毎に先頭の列を変えるとよい。
→
すれ違いやパスといった運動を取り入れる際、どの列も同じように体験する機会をもつこと
ができるように配慮する。
○
男女交互に並ぶようにする。
→
手をつなぐ運動を取り入れる際、年間を通して男女が手をつなぐ機会を多くすることでいつ
でも手をつなぐことのできる子どもを育てるため
○
縦の列も整える。
→
タッチしたり、パスしたり、じゃんけんしたりする場合に時間を短縮するために始めにきち
んと整える。
(5) 声を出すことと運動の関係
①
ジャンプの時なぜ声を出すの?
→
声を出すとサイキングアップという効果があります。
- 17 -
<資料>サイキングアップとは…
サイキングアップ効果とは、リラックスと逆の意味でとらえてほしいと思います。スポーツに
よっては、興奮や緊張が高まらないとのってこない種目もありますし、リラックスしすぎてテン
ションがあがらず、いつものプレーができないことも多いと思います。また選手によっては、試
合前にコーチに怒られて落ち込んだり、ガールフレンドにふられ悩み落ち込んでいたり、その他
の要因で気分が乗らないこともあるでしょう。
そこで、そのような気持ちを吹き飛ばし、気分を高め、自分の最高状態へもっていくためのひ
とつの手段が、このサイキングアップなのです。
これは、試合の前に落ち込んでいたり、プレッシャーであがっていたり、やる気や闘志を高め
て興奮水準をあげたいときなどに行う心理的ウォーミングアップです。つまり試合がしたくてた
まらない状態とか、自分の力を爆発させたいというような心身状態を準備するテクニックです。
野球ではエンジンを組み、みんなで声を掛け合い、気合をいれているのがひとつのテクニック
ですし、ラグビーでは、オールブラックスが試合の前に大声でパフォーマンスを行っているのを
TVなどで見た方もあるでしょう。しかしスポーツ心理学では、もっと段階的に、また積極的に
このテクニックを活用しようというものです。
生理学的に説明しますと、ド―パミン(性感ホルモン)という物質が脳内に多く分泌されると、
脳の働きが活発化し、何をやるパフォーマンスにしても意欲がわきやすくなるそうです。つまり
心理的ウォーミングアップであるサイキングアップで、心がうきうきした状態にもっていくこと
で、心理学的にも生理学的にもやる気をだし、理想的な心身の状態をつくり、自分の最高能力が
いつでも発揮できるようにしようというものです。
②
声を出せない児童への指導については…
ア「体にこんないい効果があるよ」と効果を説明する。
イ
大声で叫びたくなるようなことを叫ばせる。
(例)好きな芸能人、好きな食べ物,憎い相手、不審者に追われているときの「キャー」など
ウ
隣や後の人より大きな声を出す大会をする。
(例)
負けた方は、おんぶで体育館一往復など…
経験上このような手だてでだいたい声を出すようになりましたが…。何か工夫してみてください。
低学年から運動身体づくりプログラムの初めのジャンプの時は「やー」と声を出すという約束を決
めておくと高学年で声を出せない児童は少なくなるんですよね。
(6) 寒いときの留意点
○
寒いときは体がこわばっているため、体が思うように動かず思わぬ怪我をすることがありま
す。特に手首を怪我することが多いので順番を考えて、十分暖めてから手を使う運動を行うとよ
いでしょう。
- 18 -
◇◇◇
受講者のみなさんへ
◇◇◇
体育の授業の指導法や内容について、困ったことや分からないことがあったときには、
気軽にEmail又はFAXでお問い合わせください。
<体育・保健体育担当>
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