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十日町地域(十日町市・津南町)産業活性化基本計画 1 産業
十日町地域(十日町市・津南町)産業活性化基本計画 1 産業集積の形成又は産業集積の活性化に関する目標 (1)地域の特色と目指す産業集積の概要について (地理的条件、既存の産業集積の状況、インフラの整備状況等地域の特色について) ①地理的条件 十日町地域(十日町市・津南町)は新潟県の南部に位置し、東は湯沢町・南魚沼市、 北は小千谷市・長岡市・柏崎市、西は上越市、南は長野県に接している。本地域の総面 積は 76,020 ha で、その 40.8%を山林・原野が占めている。本地域の東側には魚沼丘陵、 西側には東頸城丘陵の山々が連なっており、中央部には、日本一の大河信濃川が南北に 流れ、十日町盆地とともに雄大な河岸段丘が形成されている。南部は上信越高原国立公 園の一画を占め、標高 2,000m 級の山岳地帯となっている。 本地域の信濃川には、東京電力信濃川発電所(昭和 14 年 11 月運用開始)、東京電力下 船渡発電所(昭和 29 年 1 月運用開始)、東日本旅客鉄道千手発電所(昭和 14 年 11 月運 用開始)の3つの水力発電所があり、いずれも首都圏に送電されている。 本地域は、平均積雪深が 2m を超える豪雪地帯として知られており、また、十日町市の 笹山遺跡からは、4,500 年前の縄文時代中期に創り出された火焔型土器群が出土し、新 潟県唯一の国宝に指定されている。火焔型土器は、津南町から長岡市にかけての信濃川 沿いに多く出土しているのが特徴の一つであり、これは豪雪地帯とも重なる。 また、豊かな自然と雪に育まれた本地域は、魚沼産コシヒカリに代表されるように、 日本有数の良質米産地としてその名を知られるとともに、近年では、先人が苦労して耕 してきた棚田の美しさにひかれ、多くの観光客が訪れている。 ②既存の産業集積の状況 産業面での本地域の特徴をあげれば、織物の産地として名声を博したことである。本 地域における織物の歴史は古く、十日町市の馬場上遺跡から糸に縒りをかける時に使用 する紡錘車(ツム)という道具の一部や、布の圧痕が付いた土器などが出土しているこ とから、織物の起源は奈良時代(約 1,200 年前)まで遡る。 江戸時代には、武士の夏の式服に採用された越後縮(原料は苧麻)の産地であり、小 千谷、堀之内とともに縮の三市場として繁栄した。 「雪中に糸となし、雪中に織り、雪水 にそそぎ、雪上にさらす。雪ありて縮あり、されば越後縮は雪と人と気力相半ばして名 産の名あり。魚沼郡の雪は縮の親と言うべし」 (鈴木牧之著『北越雪譜』)と言われるよ うに、越後縮は雪国の気候と、この土地で培われた女性たちの真心から生まれた織物で ある。 幕末には、麻織物から絹織物への転換を図り、明治 20 年頃には夏物の「明石ちぢみ」 が誕生し、大正末には縮まない加工を、さらに昭和 9 年に防水加工を施すことで、高級 1 夏物着尺の王座を確立し、一世を風靡した。また、夏物だけの産地から脱却するため、 大正初年から秋冬物の研究を始め、大正 10 年に「お召」を開発し、さらに昭和 5 年に「意 匠白生地」を考案するなど、通年生産体制へ転換を果たし、昭和 10 年には戦前で最高の 生産高を記録した。 戦時中は奢侈品禁止令や織機を戦争資材に提供するなど、織物業は風前の灯となった が、戦後、十日町織物工業協同組合青年部を中心に商品開発に取り組み、 「マジョリカお 召」や PTA ルックと呼ばれた「黒羽織」を開発し、十日町産地は息を吹き返した。また、 昭和 30 年代には友禅の技術を導入して後染め織物へ進出し、昭和 40 年代に染めと織り の総合産地体制を築きあげた。そして昭和 51 年には、十日町産地の生産高は 581 億円と いう最高額を記録するが、日本人の着物離れによる需要の減少が続き、現在は最高生産 高の 10 分の 1 以下に縮小している。しかしながら繊維関連では、レースのサーモカット 技術や繊維製品への超撥水加工技術などの高度加工技術分野に進出している企業や、昭 和 45 年の十日町織物工業協同組合が設立した十日町織物電算センターの情報処理・管理 を契機とした県内有数のソフトハウス集積地でもあるなど、時代の変遷に柔軟に対応し てきた。 こうした本地域の産業別就業人口(平成 17 年国勢調査報告) 割合は、第 1 次産業 16.2%、 第 2 次産業 33.2%、第 3 次産業 50.6%となっており、第 2・3 次産業で全体の 83.8%を 占めている。製造業事業所数 574 社、従業者数 5,134 人、製造品出荷額は 629 億 7,631 万円で、事業所数の割合は、繊維工業が約半数の 56.8%、機械・金属製品製造等関連産 業が 17.4%、食料品製造業が 10.5%となっている(平成 20 年工業統計調査。以下も同様。 )。 しかし、従業者数の割合では、機械・金属製品製造等関連産業が 35.3%、繊維工業が 29.9%、食料品製造業が 18.9%、製造品出荷額総額の割合では、機械・金属製品製造等関 連産業が 31.2%、食料品製造業が 25.4%、繊維工業が 17.4%であり、機械・金属製品製造 等関連産業と食料品製造業が本地域の主力産業の 2 本柱となっている。 かつての主力産業であった繊維工業に関わる事業所数はいまだに多いものの、従業者 数の割合からみると、下請けから発展してきた機械・金属製品製造等関連産業と地元の 豊富な農産物を活用した食料品製造業に雇用の場が移っている。 そして本地域は、国宝の火焔型土器に代表される歴史的資源、雪やきものなどを活か した祭りやイベント、温泉、スキー場、リゾートホテルなど、数多くの観光資源と自然 環境に恵まれている。その豊かな自然を生かした新エネルギーに関する取組として、平 成 22 年度から本地域の松之山温泉において、バイナリー地熱発電の実用化に向けた実証 研究を行っているほか、自治体でもバイオマス利用に向けた様々な取組が進められてい る。また、平成 12 年度からは、本地域の里山を舞台にした現代アート展「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を開催し、新たな交流や地域活性化を図っている。 2 ③インフラの整備状況 交通網は、南北には信濃川沿いに国道 117 号と JR 飯山線、渋海川沿いに国道 403 号が 走り、東西には、北から国道 252 号・253 号・353 号・405 号が走り、また、第三セクタ ー鉄道のほくほく線(六日町~犀潟間)が越後湯沢駅と直江津駅に乗り入れを行ってお り、東京と金沢方面を結ぶ動脈となっている。 高速道路体系からは外れているものの、越後湯沢 IC・塩沢石打 IC・六日町 IC・越後 川口 IC からは 20~30 分程度の距離である。 (目指す産業集積の概要について) ①機械・金属製品製造等関連産業 かつて本地域の主力産業は着物関連産業であったが、日本人の着物離れによる着物産 業の衰退に伴い、新たな産業として、はん用機械器具製造業、生産用機械器具製造業、 電子部品・デバイス・電子回路製造業及び電気機械器具製造業が興った。現在では、こ れらの業種を含む機械・金属製品製造等関連産業が製造品出荷額総額の約 3 分の 1 を占 め、本地域の雇用と経済を支える主力産業の一つになっている。 これらの産業は生産拠点の海外移転の不安を抱えながらも、多品種少量生産や納期 短縮などに懸命に取り組み、個々の持つ高い技術力を活かしたものづくりによって関 連業種が集積してきた経緯がある。今後も、既存企業が持つ高い技術力を生かしたも のづくり産業を推進するとともに、地域外企業等との共同開発や連携の支援などを通 じて関連産業の集積を図っていく。 ②食品製造関連産業 本地域における農業産出額の1位は米の 1,056 千万円(66%)で、2 位が野菜の 194 千 万円(12%)である(平成 17 年生産農業所得統計)。近年では、豪雪地帯であることを 生かして、降り積もる雪を自然冷熱エネルギーとする「雪室庫」として利用し、米、野 菜、そば、日本酒などを保管・貯蔵することで環境にもやさしく、商品の高付加価値化 を図っており、大手食品製造業の立地もみられる。 本地域の農林水産物や豊富な水といった地域資源等を活用した食料品製造業関連産 業は、製造品出荷額総額の全体の4分の1を占めていることから、今後も自然の恵みで ある地域資源等を活かした新製品開発とブランド化を進め、安全・安心な食の提供地域 を目指す。 ③循環型社会形成関連産業 循環型社会形成は国の大きな方針であり、本地域においても、既に十日町市環境基本 計画、津南町地域新エネルギービジョンの策定と、様々な実証的な試みを通じて、循環 型社会の形成に向けた取り組みが始まっている。現在、行政が中心となって、堆肥化事 3 業、バイオディーゼル燃料利活用事業、木質ペレットを利用した木質固形燃料化事業、 畜産系バイオマス資源活用事業が進められている。また、こうした行政の取組に呼応し て、廃食用油を回収したバイオディーゼル燃料や木質ペレットの製造などバイオマスエ ネルギーや新エネルギーなどの分野に意欲的に参入する企業もみられ、循環型社会形成 関連産業の土壌が徐々に形成されつつある。 こうした取り組みをさらに加速させるため、循環型社会形成関連産業に係る川上 から川下までの一貫した生産体制を地域内で構築することを目標に、未利用バイオマ スエネルギー、新エネルギー分野における各種機器装置・部材等の製造を行うセット メーカーの誘致活動や、地域内企業の新規参入支援等に積極的に取り組む。また、 市場ニーズや産業構造の変化へ柔軟に対応できるように、既存の集積を土台にして、 事業高度化や新製品開発、新分野への進出も見据えた循環型社会形成関連産業の集積 を図っていく。 ④観光関連産業 本地域は、豊かな自然環境と、国宝の火焔型土器に代表される歴史的資源、雪やきも のなどを活かした祭りやイベント、温泉、スキー場、リゾートホテルなど、数多くの観 光資源に恵まれており、平成 20 年度の観光客入込数は 297 万 9,990 人となっている。 本地域を訪れる観光客は年々増加しており、平成 20 年度から本地域を含む新潟県、群 馬県、長野県の県境を接する7市町村で「雪国観光圏推進協議会」を組織し、滞在型観 光の促進により広域的な観光振興を図っている。 こうした観光資源のアピールによってさらなる交流人口の増加が見込まれるととも に、地元農産物を使った新商品開発などへの展開が期待されることから、観光関連産業 の集積を図り地域経済の活性化を目指していく。 (2)具体的な成果目標 集積区域における集積 業種全体の付加価値額 現状 計画終了後 伸び率 268 億円 282 億円 5.2% (3)目標達成に向けたスケジュール 取組事項 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 (取組を行う者) (産業用共用施設の整備等) 工業団地等の整備 (新潟県、十日町市、津南町、関係機関) 4 取組事項 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 (取組を行う者) (人材の育成・確保) 中小企業の人材育成研修等の実施 (新潟県、十日町市、津南町、中小企業大学 校) U・I ターンの推進 (新潟県、十日町市、津南町、ハローワーク、 十日町地区雇用協議会) 職業訓練の実施 (新潟県立魚沼テクノスクール) 企業の IT 化とそれを支える IT 関連の企業活 性化 (新潟県、(財)にいがた産業創造機構) 就業環境の確保 (十日町市、津南町) (技術支援) 研究開発・技術支援 ((財)にいがた産業創造機構、新潟県工業技 術総合研究所) 技術相談・指導 (新潟県農業総合研究所食品研究センター、 新潟県醸造試験場) 新商品・新技術開発支援 ((財)にいがた産業創造機構) 創業支援 ((財)にいがた産業創造機構) 地域資源活用事業支援 ((財)にいがた産業創造機構) 専門家等派遣事業 ((財)にいがた産業創造機構) 産官学連携の推進 (新潟県、十日町市、津南町、大学、(財)に いがた産業創造機構、新潟県工業技術総合研 究所) 5 取組事項 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 (取組を行う者) (企業誘致) 企業誘致活動の強化 (新潟県、十日町市、津南町) 企業誘致ガイドの作成 (新潟県、十日町市、津南町) 企業立地に係る優遇措置 (新潟県、十日町市、津南町) 2 集積区域として設定する区域 (区域) 設定する区域は十日町市、津南町とし、平成22年10月31日現在における行政区 画その他の区域又は道路、鉄道等により表示したものである。 ただし、自然公園法に規定する自然公園地域、自然環境保全法に規定する原生自然環 境保全地域及び自然環境保全地域、新潟県自然環境保全条例に規定する新潟県自然(緑 地)環境保全地域、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に規定する鳥獣保護区、 絶滅の恐れのある野生動植物の種の保存に関する法律に規定する生息地等保護区、環境 省が実施している自然環境基礎調査において特定植物群落として選定された環境保全上 重要な地域については除外する。 6 (集積区域の可住地面積) 24,705 ha (各市町が集積区域に指定されている理由) 十日町市と津南町は隣接しており、先に「地理的条件」、 「既存の産業集積の状況」、 「イ ンフラの整備状況」で述べたように、古くから自然や歴史、文化、経済など、あらゆる 面において深いつながりがある。さらに平成 12 年度からは、本地域の里山を舞台にした 現代アート展「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を 3 年おきに開催し、 共同で地域の活性化を図っていることから、本計画における集積区域として指定するも のである。 7 3 集積区域の区域内において特に重点的に企業立地を図るべき区域 特に重点的に企業立地を図るべき区域は、今後定める予定である。現在、本地域にお いて区域の検討を行っているところであり、その結果を踏まえ、重点企業立地区域を決 定した後に、本計画の変更を行いたい。 4 工場立地法の特例措置を実施しようとする場合にあっては、その旨及び当該特例措置 の実施により期待される産業集積の形成又は産業集積の活性化の効果 「3 集積区域の区域内において特に重点的に企業立地を図るべき区域」の検討に併 せ、効果の検討も行い、本計画の変更により計画へ記載する予定である。 5 集積業種として指定する業種(以下「指定集積業種」という。) (1) 業種名 ①機械・金属製品製造等関連産業 (日本標準産業分類上の業種名) 18 プラスチック製品製造業、19 ゴム製品製造業(ただし、1992 医療・衛生用 ゴム製品製造業を除く) 、22 鉄鋼業、23 非鉄金属製造業、 24 金属製品製造業、 25 はん用機械器具製造業、26 生産用機械器具製造業、 27 業務用機械器具製造業 (ただし、274 医療用機械器具・医療用品製造業、276 武器製造業を除く)、28 電子部品・デバイス・電子回路製造業、29 電気機械器具製造業(ただし、2961 X 線装置製造業、2962 医療用電子応用装置製造業、2973 医療用計測器製造業を除 く)、30 情報通信機械器具製造業、31 輸送用機械器具製造業(ただし、312 鉄道 車両・同部品製造業、313 船舶製造・修理業、舶用機関製造業を除く) 、32 その 他の製造業 ②食品製造関連産業 (日本標準産業分類上の業種名) 9 食料品製造業、10 飲料・たばこ・飼料製造業(105 たばこ製造業を除く)、 14 パルプ・紙・紙加工品製造業、15 印刷・同関連業、18 プラスチック製品製 造業、21 窯業・土石製品製造業、24 金属製品製造業、25 はん用機械器具製造業、 26 生産用機械器具製造業、27 業務用機械器具製造業(274 医療用機械器具・医療 用品製造業、276 武器製造業を除く)、44 道路貨物運送業、47 倉庫業、52 飲 食料品卸売業 8 ③循環型社会形成関連産業 (日本標準産業分類上の業種名) 9 食料品製造業、10 飲料・たばこ・飼料製造業(105 たばこ製造業を除く)、 11 繊維工業、12 木材・木製品製造業(家具を除く)、14 パルプ・紙・紙加工品 製造業、16 化学工業(ただし、1624 塩製造業、165 医薬品製造業を除く)、17 石油製品・石炭製造業、18 プラスチック製品製造業、19 ゴム製品製造業(ただ し、1992 医療・衛生用ゴム製品製造業を除く)、21 窯業・土石製品製造業、22 鉄鋼業、23 非鉄金属製造業、 24 金属製品製造業、25 はん用機械器具製造業、26 生産用機械器具製造業、 27 業務用機械器具製造業(ただし、274 医療用機械器 具・医療用品製造業、276 武器製造業を除く)、28 電子部品・デバイス・電子回 路製造業、29 電気機械器具製造業(ただし、2961 X 線装置製造業、2962 医療用 電子応用装置製造業、2973 医療用計測器製造業を除く)、30 情報通信機械器具製 造業、 31 輸送用機械器具製造業(ただし、312 鉄道車両・同部品製造業、313 船舶製造・修理業、舶用機関製造業を除く)、32 その他の製造業、33 電気業、34 ガス業、35 熱供給業、39 情報サービス業、44 道路貨物運送業 ④観光関連産業 (日本標準産業分類上の業種名) 9 食料品製造業、10 飲料・たばこ・飼料製造業(105 たばこ製造業を除く)、 11 繊維工業、12 木材・木製品製造業(家具を除く)、13 家具・装備品製造業、 14 パルプ・紙・紙加工品製造業、15 印刷・同関連業、16 化学工業(ただし、1624 塩製造業、165 医薬品製造業を除く)、20 なめし革・同製品・毛皮製造業、32 その他の製造業、39 情報サービス業、40 インターネット付随サービス業、43 道 路旅客運送業、52 飲食料品卸売業、75 宿泊業、79 その他の生活関連サービス業 (791 旅行業に限る) (2)(1)の業種を指定した理由 (機械・金属製品製造等関連産業) 工業統計調査(平成 20 年)によると、本地域の機械・金属製品製造等関連産業が製造 業全体に占める割合は、事業所数で 17.4%、従業者数で 35.3%、製造品出荷額総額で 31.2%と高い割合を占めている。下請けから発展してきた機械・金属製品製造等関連産業 は、本地域の主力業種の一つであり、すでに一定の集積がある。また、機械・金属製品 製造等関連産業のうち、はん用機械器具製造業、生産用機械器具製造業、電子部品・デ バイス・電子回路製造業及び電気機械器具製造業等の既存企業においては、個々の持つ 9 高い技術力を活かし、高付加価値製品や新技術開発などに積極的に取り組んでいる。 機械・金属製品製造等関連産業においては、生産拠点の海外流出などにより厳しい状 況にあるが、今後は、下請けからの脱却を進め、産官学連携などにより技術力の向上を 図り、産業全体の付加価値を高めるとともに、他産業との連携を通じた新たな産業創造 の可能性が期待できる。 本地域に集積している機械・金属製品製造等関連産業は、地域の雇用と経済を支える 大きな柱であることから、十日町市では、平成 22 年度に異業種交流会の中にものづくり 部会を立ち上げ、ものづくりに携わる企業の交流と人材育成などの支援に力を入れてい る。 (食品製造関連産業) 工業統計調査(平成 20 年)によると、本地域の食料品製造業が製造業全体に占める割 合は、事業所数で 10.5%、従業者数で 18.9%、製造品出荷額総額で 25.4%となって いる。製造品出荷額総額で約 4 分の 1 を占める食料品製造業は、本地域の主力業種の一 つであり、近年は、畜産食料品製造業や水産食料品製造業の工場立地も増加している。 また、本地域における農業就業者数は 6,352 人と、就業者総数の 16.1%を占め、製造 業の 7,040 人に次ぐ多さ(平成 17 年国勢調査報告)であり、豊かな自然環境と多くの農 業従事者に支えられて、安全・安心な地元農産物が生産されている。 こうした本地域の産業構造を背景に、豊かな地元農産物を活用した様々な特産品の開 発、生産に地元企業、行政が一体となって取り組んでいるところである。例えば、3~ 4 メートルもの雪の下で越冬させ、春に収穫する雪下ニンジンやウド、フキ等の地元農 産物を活かした新製品の開発に積極的に取り組んでいるほか、新潟県が全国 2 位の生産 量を誇る、きのこ等の特用林産物の生産も盛んである。また、新潟県魚沼地方が発祥で ある麻織物の糸を糊付けする際に使われていた布海苔(ふのり)という海藻をつなぎに 使った「へぎそば」や「乾そば」も新潟県を代表する蕎麦であり、製造業者も 10 社近く ある。中には、全国的に知名度が高い製品もあり、「乾そば」は本地域を代表する特産品 の一つである。 さらに、日本一の米どころである本地域には、4 つの蔵元(十日町市 2、津南町 2)が あり、いずれの蔵元も良質な米と豊富な水を活かした日本酒の製造に取り組んでおり、 行政としても地元酒米使用酒の PR 事業に取り組んでいる。 大地の恵みがもたらす豊富な地元農産物は、本地域にとって貴重な地域資源であると ともに、近年の食の安全性に対する消費者の関心の高まりによって需要の増加が見込ま れることから、本地域が持つ地域資源等を活かした新製品開発やブランド化を推進し、 地元農産物の需要増加による第 1 次産業への波及や関連産業を集積することによって、 安全・安心な食の提供地域を目指す。 10 (循環型社会形成関連産業) 循環型社会形成は国の大きな方針であり、本地域においても、既に十日町市環境基本 計画、津南町地域新エネルギービジョンにその取り組みが盛り込まれているなど、循環 型社会の形成に向けた取り組みが始まっている。 十日町市では平成 21 年に、豊富にあるきのこ廃菌床、家畜排せつ物、林地残材、食品 廃棄物など動植物に由来する廃棄物をバイオマスエネルギーとして利活用する方策を定 める「バイオマスタウン構想」を策定し、堆肥化事業、廃食用油を原料としたバイオデ ィーゼル燃料の利活用事業、木質ペレットを利用した木質固形燃料化事業、メタン発酵 事業等の推進に市が中心となって取り組んでいる。また、堆肥化事業についても、現在 計画が進んでいる。 津南町でも、森林資源、製材廃材、建設廃材を資源とした木質系バイオマス資源の活 用や、生ごみ、家畜ふん尿などのバイオマス資源をエネルギーとして活用するとともに、 河川及び地下水の水質浄化を図る畜産系バイオマス資源の活用などを方策とした「津南 町地域新エネルギービジョン」を策定し、バイオマス資源を活用した様々な実証的な試 みが進められている。また、ドライ系バイオマスである製材廃材、建設廃材の再利用化・ 再資源化し土地改良材として再利用する試みや、雪氷冷熱エネルギーを利用した農業生 産、農産加工の高付加価値化を行う試みも進められており、今後は、津南町特有の自然・ 地理的条件を活かした、小水力、地熱エネルギーを利用した事業に取り組む計画である。 こうした行政の取組に呼応して、地域企業の中には、廃食用油を回収したバイオディ ーゼル燃料や木質ペレットの製造に取り組む他、自社から排出される動物性油脂を燃料 として活用する食品製造企業も出てくるなど、バイオマスエネルギーや新エネルギーな どの分野に参入し、技術の改良や高度化、革新的技術や新製品の開発を通じて、新産 業の創出へと結びつけて行こうとする試みが活発化し、循環型社会形成関連産業の土 壌が徐々に形成されつつある。 また、新潟県が実施した平成 21 年度の「バイナリー地熱発電導入可能性調査」が契機 となり、平成 22 年度からは、100℃以下の既存温泉による発電の試みとしては全国初と なる、バイナリー地熱発電の実用化に向けた実証研究を本地域の松之山温泉で行ってい る。 こうした取り組みをさらに加速させ、循環型社会形成関連産業を本地域の新たな産 業の柱として成長させていくためには、これら関連する産業分野を支える高度なものづ くり技術の高度化が重要である。このため、循環型社会形成関連産業に係る川上か ら川下までの一貫した生産体制を地域内で構築することを目標に、未利用バイオマス エネルギーのみならず、バイナリー地熱発電などの新エネルギー分野における各種機器 装置・部材等の製造を行うセットメーカーの誘致活動や、地域内企業の新規参入支 援等に積極的に取り組んでいく。また、市場ニーズや産業構造の変化へ柔軟に対応 できるように、既存の集積を土台にして、事業高度化や新製品開発、新分野への進 11 出も見据えた総合的な産業集積の形成を展開し、自然豊かな本地域ならではの循環型 社会形成関連産業の集積を図っていく。 (観光関連産業) 本地域には、群馬の草津温泉、兵庫の有馬温泉とともに日本三大薬湯の1つである松 之山温泉をはじめとした温泉施設や、2002 年FIFAワールドカップ公認キャンプ地として の実績もある当間高原リゾート、広大な敷地でオールシーズン楽しめるニューグリーン ピア津南といった多様な施設がある。そして、十日町雪まつりに代表される祭り・イベ ント、国の名勝及び天然記念物に指定されている清津峡、東を苗場山、西を鳥甲山に挟 まれた山間地域で日本の秘境 100 選の 1 つである秋山郷やひまわり畑など、豊かな自然 環境に癒しを求めて多くの観光客が来訪している。加えて平成 12 年度から始まった「大 地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」も、回数を重ねるごとに知名度も高まり、 海外からの観光客も含め、多くの観光客が訪れるようになってきている。 このような本地域の強みである豊かな自然や観光資源を積極的に域外に発信すること により、本地域を訪れる観光客は増加することが期待できる。また、本地域が持つ様々 な地元農産物を使った新商品開発や各種イベントに関連した新規事業展開も期待でき る。こうした取り組みを中心に観光関連産業を集積することによって、本地域が持つ魅 力の高まりとともに、交流人口の増加による地域経済への波及につなげていく。 6 指定集積業種に属する事業者の企業立地及び事業高度化の目標 目標数値 指定集積業種の企業立地件数(新増設含む) 10 件 指定集積業種の製品出荷額の増加額 50 億円 指定集積業種の新規雇用創出件数 7 200 人 工場又は事業場、工場用地又は業務用地、研究開発のための施設又は研修施設その他 の事業のための施設の整備(既存の施設の活用を含む。)、高度な知識又は技術を有する 人材の育成その他の円滑な企業立地及び事業高度化のための事業環境の整備の事業を実 施する者及び当該事業の内容 (産業用共用施設の整備等に関する事項) ①工業団地等の整備(新潟県、十日町市、津南町、関係機関) 産業用共用施設の整備については、今後企業ニーズの把握を進める中で、必要に応じ 随時、造成・整備を行う。 12 (人材の育成・確保に関する事項) ①中小企業の人材育成研修等の実施(新潟県、十日町市、津南町、中小企業大学校) 企業の技術力向上や事業高度化につながる人材を育成するため、企業のニーズや時代 に即した様々な研修やセミナーを実施する。十日町市では、平成23年度からものづくり 人材養成事業に取り組み、ものづくり企業のニーズに沿った研修を実施する予定である。 ②U・Iターンの推進(新潟県、十日町市、津南町、ハローワーク、十日町地区雇用協議 会) 十日町地区雇用協議会の活動を通じて、U・Iターン登録の促進を行い、求人情報の 積極的な提供を行うとともに、U・Iターンに関する関係機関の情報交換を図る。 表参道・新潟館ネスパス内の「にいがたUターン情報センター」やホームページ、広 報紙を通じて地域内企業の情報や求人情報を発信することで、首都圏の学生・社会人を 対象とした新潟県内へのU・Iターン就職を促進する。 ③職業訓練の実施(新潟県立魚沼テクノスクール) 地域産業を支える人材の育成として、電気をはじめとする分野で、若年者・在職者に 対し、職業訓練を実施していく。また、企業に対し施設の貸出や指導員の派遣を実施し、 在職者の人材育成を支援する。 ④企業のIT化とそれを支えるIT関連企業の活性化(新潟県、㈶にいがた産業創造機構) 企業のIT化とそれを支えるIT関連企業の活性化を図るため、システム開発管理者 等の高度IT人材を育成する仕組みを構築し、そこから生み出される人材を核として、 ITを活用した競争力の高い産業群の形成を図る。 ⑤就業環境の確保(十日町市、津南町) 本地域内では少子高齢化の進展による人口減少がみられる。そのため、人材を確保す るために仕事と家庭の両立を促すための支援や、中小企業等が事業所内に託児所を設け る場合の運営費補助など、乳幼児を持つ労働者が働きやすい環境をつくるための支援を 行う。 (技術支援に関する事項) ①研究開発、技術支援((財)にいがた産業創造機構、新潟県工業技術総合研究所) 日常の企業活動に伴って発生する様々な技術的問題の相談に応じるほか、新製品開発 に必要な技術開発や現状技術の改善や現場対応型の研究を実施する。また、製品開発や 13 クレーム解決等で必要となる様々な試験・検査・分析等の対応及び試験機器の開放を行 う。 ②技術相談・指導(新潟県農業総合研究所食品研究センター、新潟県醸造試験場) 県特産農産物の利用、米菓等の既存食品の高品質・高付加価値化、機能性食品等の新 規加工食品の研究などの面において、これまで蓄積してきた技術・ノウハウを生かし、 企業へ技術相談や指導などを行う。特に、米をはじめとした地元農産物における新商品 開発や高付加価値化などの面において、連携を図っていく。 (新潟県農業総合研究所食品 研究センター) 醸造技術を活用した健康志向製品等の開発、新規酒米や県独自酵母の特性が発揮され る醸造技術の開発、海外進出に対応した醸造法の開発など、これまでの研究成果を活か し、企業への技術相談や指導など支援を行う。本地域には酒造会社が立地していること から、新商品開発等における連携が期待される。(新潟県醸造試験場) ③新商品・新技術開発支援((財)にいがた産業創造機構) 大きく成長する可能性のある新事業展開や有望な産業分野への進出に向けた事業計画 を広く公募し、優れた案件と認められるものに対して事業経費の助成支援を行う。 ④創業支援((財)にいがた産業創造機構) 独創的な事業アイデアをもとに、県内で創業しようとするチャレンジ精神旺盛な個人 またはグループに対し、創業時に必要な経費の助成支援を行う。 ⑤地域資源活用事業支援((財)にいがた産業創造機構) 地域の「強み」となり得る地域資源を活用した新商品・新サービスの開発・販売を促進 するため、法律に基づく税制面や補助金による支援、政府系金融機関等による金融支援、 様々なノウハウの提供やアドバイスの実施等の総合的な支援を行い、地域経済の活性化 を図る。 ⑥専門家等派遣事業((財)にいがた産業創造機構) (財)にいがた産業創造機構に登録された民間専門家を派遣し、継続的にアドバイスを行 うことで、経営基盤の改善、ISO 認証取得、販路開拓、経営革新、人材育成など中小企業 者が抱える様々な経営課題の解決を図る。 ⑦産官学連携の促進(新潟県、十日町市、津南町、大学、㈶にいがた産業創造機構、新潟 県工業技術総合研究所) 企業のニーズに応じて、大学及び研究機関を紹介・コーディネートし、新規事業への 14 参入や高度な研究開発に関する共同研究などの取組への支援を行う。 十日町市では、産官学連携の強化と新ビジネスや雇用の創出を目的とし、県内及び首 都圏の大学生から十日町市で行うビジネスプランを提案してもらい、提案されたプラン と地元企業とのマッチングを図り、事業化への支援を行う事業に取り組んでいる。 (その他円滑な企業立地及び事業高度化のための事業環境の整備に関する事項) ①企業誘致活動の強化(新潟県、十日町市、津南町) 集積区域への円滑な企業立地を図るため、指定集積業種などへの企業立地アンケート やトップセールスも含めた企業誘致活動を行う。また、民間の信用調査機関の企業動向 情報や地元出身の経済人からの情報収集を行いながら、新潟県、十日町市、津南町が連 携して企業誘致活動を展開する。 新潟県においては、企業立地の促進を図るため、東京事務所、大阪事務所に配置して いる企業誘致の担当スタッフを中心に企業訪問等、誘致活動を積極的に推進していく。 ②企業誘致ガイドの作成(新潟県、十日町市、津南町) 十日町市、津南町において、工場適地や企業立地に係る優遇措置などを盛り込んだ企 業誘致ガイドを作成し、積極的にPRする。また、ホームページにより最新情報を発信 していく。 新潟県では「にいがた企業立地ガイド」を作成し、本地域を含めた県内工業団地のP Rを行うなど、本県の企業誘致に対する積極的な姿勢をアピールしていく。 ③企業立地に係る優遇制度の充実(新潟県、十日町市、津南町) 十日町市、津南町において、立地企業に対する固定資産税の免除や不均一課税、土地 取得に対する補助金の交付など、優遇制度を設けることにより、企業立地を促進し、産 業集積の形成・活性化や雇用の拡大を図る。 新潟県では、産業立地促進事業補助金や貸付金、新潟県が指定する産業立地促進地域 内への立地企業に対する事業税・不動産取得税の不均一課税、過疎地域自立促進特別措 置法で定める過疎地域への立地企業に対する事業税・不動産取得税の課税免除措置など により本地域の企業誘致を支援する。 15 8 産業集積の形成等に密接な関係を有する者と市町村及び都道府県との連携に関する事 項 ①十日町地域産業活性化協議会の設置 本地域の産業集積の形成に関する協議を行うため、必要に応じて十日町地域産業活性 化協議会を開催し、以下の項目について協議していく。 ア 目標項目の進捗状況の確認、イ 本計画の変更協議、ウ 十日町地域の産業振興方 策の検討 ②企業誘致 新潟県東京事務所、同大阪事務所と連携し、企業への情報提供等に努めるとともに、 大都市圏の企業等で活躍する地元出身者、縁故者等の協力を得て立地環境のPRなどを 推進し、新たな企業立地に結びつける。 ③人材育成・技術支援 ㈶にいがた産業創造機構及び新潟県工業技術総合研究所等と連携し、共同研究・技術 支援を通じ、 「ものづくり」人材の育成や企業の基盤技術の高度化・技術力向上を図って いく。 また、新潟県、十日町市、津南町が連携し、地域内企業と大学との産官学連携を 推進していく。 ④交通安全対策 集積区域内の道路計画及び一般道路へのアクセス道路の取付け等の整備が行われる際 には、警察署との事前協議を行いながら進めていく。また、企業立地に伴う工場等への 乗り入れ口の配置についても、交通安全の観点から警察署との事前協議を行う。 9 市町村及び都道府県における企業立地及び事業高度化に関する手続の迅速な処理を図る ための体制の整備に関する事項 ①十日町市・津南町の体制 近年の企業の設備投資動向は、立地決定から操業開始までを短期間で行う傾向にある ため、企業ニーズを的確に把握し、迅速に対応するための体制が求められている。現在 も、十日町市、津南町では、その調整役として産業振興及び企業立地担当を所管する課 が相談窓口となり、関係する機関との連絡調整を行っている。今後もさらにワンストッ プサービスを充実し、企業立地に係る相談や情報提供についてきめ細かな対応を行うと ともに、届出書類の審査期間の短縮や事務処理の迅速化を図る。 16 ②新潟県の体制 企業立地の速やかな推進を図るため、新潟県においては、東京事務所、大阪事務所に それぞれ企業誘致の担当スタッフを配置して、本県に企業進出する場合に必要な情報(工 場・事業所用地、支援制度、地域のインフラ情報等)を一元的に提供し、各種サポート を行うワンストップサービス体制の強化に取り組んでいる。 また、立地済み企業のフォローアップのために定期的な企業訪問を行い、要望等の聞 き取りを行っているところである。今後とも、これらのワンストップサービス、フォロ ーアップ体制について、力を入れていく。 10 環境の保全その他産業集積の形成又は産業集積の活性化に際して配慮すべき事項 (1)環境保全への配慮 産業集積の形成及び活性化を図るに当たっては、新潟県環境基本条例第3条に規定す る基本理念等を踏まえて策定した新潟県環境基本計画、十日町市住みよい環境づくり条 例第3条に規定する基本理念等を踏まえて策定した十日町市環境基本計画に基づき、本 地域の優れた環境を保全し、より良いものとして将来に継承していくため、事業者の事 業特性や地域の環境特性を踏まえ、新潟県、十日町市、津南町及び事業者は、それぞれ 次のように環境保全に配慮する必要がある。 ①新潟県、十日町市、津南町は、企業の事業活動に伴う周辺住民の生活環境への影響を 軽減するため、緊密な連携を図りながら、関係法令等に基づき、大気汚染、水質汚濁、 土壌汚染の防止や騒音・振動の発生等に関して助言・指導を行うなど、集積区域にお ける環境負荷低減に向けた取組を促進し、地域環境保全に十分な配慮を行う。 また、集積区域の事業活動によって発生する廃棄物の減量化と有効利用を推進する とともに、エネルギーの有効利用、省エネルギー対策の実施など地球環境の保全への 配慮を促す。 なお、本地域へ新たに立地する企業に対しては、必要に応じ環境保全協定を締結し、 事業活動に伴って発生する公害等の防止対策に取り組むよう求める。 ②事業者は、必要な環境保全措置を講ずるとともに、必要に応じて環境保全についての 住民説明会や工場内の視察受入れを行い、住民との相互理解を十分図っていく。 (2)安全な住民生活の保全への配慮 新潟県、十日町市及び津南町は、犯罪のない安全で安心して暮らすことができる社会 の実現のため、「新潟県犯罪のない安全で安心なまちづくり条例」、「十日町市犯罪のない 安全・安心なまちづくり条例」、「津南町犯罪のない安全で安心なまちづくり条例」に基 17 づき、行政並びに住民・企業及びこれらの者の組織する民間の団体による犯罪の防止の ための自主的な行動、犯罪の防止に配慮した生活環境の整備、その他犯罪の発生する機 会を減らすための取組を推進している。 企業立地を始めとする様々な事業活動に当たっては、犯罪及び事故の防止並びに地域 の安全と平穏の確保に配慮することが重要であり、各条例の趣旨も勘案し、地域住民等 が安全で住みよい地域社会を実現するために、新潟県、十日町市、津南町及び事業者は、 次の事項に留意し、犯罪を未然に防止する活動や防犯意識の高揚等に取り組むこととす る。 ・防犯設備の整備 犯罪被害防止のための防犯カメラの設置、照明の設置等 ・防犯に配慮した施設の整備・管理 植栽の適切な配置及び剪定による見通しの確保や施設管理の徹底等 ・従業員に対する防犯指導 法令遵守や犯罪被害の防止に関する指導等 ・地域における防犯活動への協力 地域住民等が行う防犯ボランティア活動等への参加や、これに対する必要な物品・ 場所の提供等の協力 ・交通安全施設の整備 ①交通事故防止のための道路照明、カーブミラー、視線誘導標の設置等 ②交通渋滞の発生を見据えた導流帯、右折レーンの設置等 ・不法就労の防止 外国人を雇用しようとする際における旅券等による当該外国人の就労資格の確認等 ・地域住民との協議 企業立地や事業高度化の際における地域住民・自治会等への事前説明や意見聴取等 ・警察への連絡体制の整備 犯罪又は事故の発生時における警察への連絡体制の整備等 このほか、本計画による産業集積の形成及び活性化に当たっては、国・新潟県・十日 町市・津南町で定める次の計画との調和を保持することはもとより、農林漁業の健全な 発展と調和の確保に十分配慮し、実施していくものとする。 ①国土形成計画 ②都市計画(都市計画法第 18 条の2の市町村の都市計画に関する基本的な方針を含む) ③中心市街地の活性化に関する法律(平成 10 年法律第 92 号)に規定する基本方針及び 基本計画 ④農業振興地域整備基本方針及び農業振興地域整備計画 18 ⑤地方自治法第2条第4項に基づく各市の基本構想、総合計画 11 法第5条第2項第3号に規定する区域における同項第7号の施設の整備が、農用地 等として利用されている土地において行われる場合にあっては、当該土地を農用地等以外 の用途に供するために行う土地の利用の調整に関する事項 現時点では、農用地等として利用されている土地を農用地等以外の用途に供すること を想定していないため、当初基本計画に記載せず、今後、必要に応じて、基本計画の変 更で対応するものとする。 12 その他産業集積の形成又は産業集積の活性化の促進に関する重要事項 なし。 13 計画期間 本計画の計画期間は、計画同意の日から平成 27 年度末日までとする。 19 十日町地域(十日町市・津南町)産業活性化基本計画の概要 計画のポイント ○本地域において強みである①機械・金属製品製造等関連産業、②食品製造関連産業、③循環型社会形成関連産業、④観光関連産業の4つを基軸とし た産業の高度化及び企業立地を促し、さらなる産業集積の形成、活性化を目指す。 ○産官学産業支援関連機関等が連携した人材育成・技術支援、ワンストップサービス・フォローアップ体制の充実を図る。 1.集積区域 十日町地域(十日町市、津南町) 機械・金属製品製造等関連産業 高い技術力を活かした、製品の高付加価値化・新技術開発の支援 食品製造関連産業 地域資源等を活かした新製品開発・ブランド化、安心・安全な食の提供地域を目指す 2.集積業種 ①機械・金属製品製造等関連産業 ②食品製造関連産業 ③循環型社会形成関連産業 ④観光関連産業 循環型社会形成関連産業 これからの成長産業であり、自然豊かな本地域ならではの循環型社会形成に関する産 業の支援 観光関連産業 観光関連産業の集積による交流人口の増加・地域活性化を促す 3.集積区域における集積業種に係る成果目標(目標年次:27年度) ○付加価値額増加額 14億円 ○新規立地件数 10件 ○製造品出荷額増加額 50億円 ○新規雇用数 200人 4.目標に向けた事業環境整備等 ○工業団地等の整備 ・必要に応じた産業用共用施設の造成・整備 ○人材の育成・確保 ・中小企業の人材育成研修等の実施 ・U・I ターンの推進 ○研究開発・技術支援 ・NICO や県工技総研等との連携による共同研究・技術支援 ○企業誘致活動の強化 ・情報発信の強化やワンストップサービス・フォローアップ体制の充実