Comments
Description
Transcript
No.3 - 広島県立福山特別支援学校
広島県立福山特別支援学校 自立活動だより 自立活動だより 平成 27 年度 No.3 平成 28年2月5日 自立活動だより No.1では,表出する力を培うためには, 広島県立福山特別支援学校 教育研究部発行 ここで示している処理とは,認知のプロセスの一つであ まず受容し,処理する力を培う必要があると述べ,続いて り,外界から受容した刺激を,脳の中で保持する記憶と照 No.2では受容する力について述べました。今回の№3で 合し,それが何であるかを判断することを意味しています。 は,処理する力について,そのプロセスの概要と指導のポ 次の図に,言葉を掛けられた場面での聴覚刺激の例を イントを次の4章に分けて説明していきます。 1 2 3 4 あげて,受容から処理へ至るプロセスを示します。 %・・○・・▽×・¥@ *・・ 処理とは ワーキングメモリとは 処理の困難さについて 処理する力を培う指導のポイント 受容 受容と処理は,その結果として表出することでしか,受 周囲の音に気付く 感覚記憶 周囲の音の中から, 特定の音に気付く 音への 選択的注意 人の声であることに気付く 音の情報の 保持 (短期記憶) 容・処理できたということを評価できません。しかし,受容と 同様に処理も,子供たちの個々の障害や認知の特性に照 らし合わせて分析し,そのプロセスを細かくたどることで, 処理する力を培うために必要な指導・支援を行うことがで きると考えます。 1 処理とは 音の性質・抑揚に気付く 音がお母さんの声で あることに気付く 障害のある子供たちの中には,処理の力が弱い子供た ちがたくさんいます。処理の力が弱いと,視機能は正常で あっても,字の形をとらえることが難しく識字ができなかっ 処理 長期記憶と の照合 特定のフレーズに気付く たり,一度に何文節もの言葉掛けをされると,何を指示さ 特定のフレーズの意味 することが分かる れているのか分からなかったり,ということが起きます。重 度・重複の障害をもつ子供たちにおいても,処理する力の 困難さから,受容した刺激を上手に処理できず,その結果 お母さんが伝えようとし ている内容が分かる 表出が難しくなっていることが想像できます。 判断 第1章では「処理」についてその概要を説明していきま す。まずは,刺激を受容してから,表出に至るまでの全体 たつお, おやつよ~! のプロセスを図で示すと,次のようになります。 刺 激 受 容 処 理 表出 表 出 認知に関わる記憶には3つの種類があり,上図の「感覚 認知 記憶」・「短期記憶」・「長期記憶」がそれにあたります。 -1- 広島県立福山特別支援学校 自立活動だより 「感覚記憶」とは,感覚器官ごとに短時間とどまっている コラム① 記憶のことで,すぐに消えてしまうという特徴があります。 長期記憶の種類 例えば,私たちが毛布を指先でなぞったときの感覚など ○エピソード記憶 は,毛布から指先が離れると,すぐに消えて忘れてしまうこ 物語のように覚えている出来事の記憶,いわゆる となどがあげられます。 思い出のことです。出来事の時間や場所,その時の 「短期記憶」と「長期記憶」は脳の各部位で保持されて いる記憶です。「短期記憶」とは十数秒間保持され,解釈 感情などが含まれます。 をする為に何度も繰り返されたり,操作をされたりする記憶 例)「幼い時に運動会のかけっこ のことです。感覚記憶が短期記憶になるためには,感覚 で一番を取り,うれしかったこと」 器官ごとにとどめられている情報に,注意を意識的に向け 等の思い出 る必要があります。これを選択的注意といいます。 ○意味記憶 また,「長期記憶」とは,対象物の意味や世の中の常識, 知識の記憶のことを指します。生まれて最初に覚 ルール,法則などの過去に経験したことが長期にわたって える母国語を始め,計算の仕方など学校に行って学 保持される記憶で忘れることのないものです。例えば,過 ぶ教科の勉強も含まれます。覚えようと意識して覚 去の出来事(エピソード記憶),言葉の意味(意味記憶), える記憶ともいえます。 車の運転(手続き記憶)などがあげられます。 例)言葉の意味・アイドルの名前 等 この記憶は,上述の短期記憶を何度も繰り返したり,他 ○手続き記憶 の情報と関連付けたり,まとめたりすることで,長期記憶と 手続き記憶の例は自転車があげられます。初めは して保持できるようになります。 なかなか乗れず苦労しますが,一度乗れるようにな 刺 激 感 覚 記 憶 ると,次からは転ばずに乗ることができます。そし 短 期 記 憶 選択的 注意 て時間を空けても何度でも意識せず乗ることができ ます。手続き記憶は言葉で説明できないことも多く, 「意識しなくてもできること」がそれに当たります。 例)車の運転・タイピング 楽器の演奏・水泳 短 期 記 憶 くりか えし 関連 付け 長 期 記 憶 2 など すなわち,処理とは,刺激に対して選択的注意を向け 等 ワーキングメモリとは 認知心理学の分野において,「短期記憶の情報を長期 て受容し,刺激の情報を短期記憶として保持し,その間に 記憶と照合する過程」をより詳しくとらえる考え方として, 長期記憶との照合が行われ,その刺激が何であるかを判 「ワーキングメモリ」(作業記憶)という構成概念があります。 断していくことを指します。 ワーキングメモリはあくまでもモデルであり,実際に脳の部 従って,これらの記憶の力は処理する力に大きな影響 位にそのようなものが存在しているわけではありません。し を及ぼしていると考えられ,まずは,「感覚記憶」・「短期記 かし,私たちがどのように刺激をとらえ,処理しているかと 憶」・「長期記憶」の3つについて,丁寧に考察することが いうことを理解する際には,ワーキングメモリのモデルに当 大切ではないかと思われます。特に受容した刺激の情報 てはめて考えることで,とても分かりやすくなります。 (短期記憶)と長期記憶の照合について理解を深めるため ワーキングメモリは近年研究が重ねられ,多数のモデル には,「ワーキングメモリ」という考え方が参考になり,それ が存在しています。その中でも,現在最も広く知られてい については次の第2章で紹介していきます。 る Baddeley(バデレー)のモデルを用いて説明をしていきます。 -2- 広島県立福山特別支援学校 自立活動だより Baddeley のワーキングメモリのモデル 視空間スケ ッチパッド 中央実行系 ワーキングメモリの例 視空間 スケッチパッド 音韻 ループ 音韻ループ ブロロ… 照合 長期記憶 エピソード バッファ 選択的 注意 判断 くるま なお,このワーキングメモリのモデルには諸説があり,ま 長期記憶 だ解明されていない点が数多くあります。今後の研究がま Baddeley et al.,2000 ※橋本(2014)参考に作成 たれるところです。 上図のように Baddeley(バデレー)のワーキングメモリの コラム② モデルは,「視空間スケッチパッド」,「音韻ループ」,「エピ ワーキングメモリの構造 ソードバッファ」,「中央実行系」の4つのシステムから構成 されています。 Baddeley のワーキングメモリでは,抽出する刺激 「視空間スケッチパッド」は,目で見たイメージや空間的 の観点として視覚(視空間スケッチパッド)と聴覚(音 な記憶を一時的に記憶する場所です。刺激の視覚的な特 韻ループ)の2つが想定されています。これは,子供 徴(形・色・方向・動きなど)を抽出する役割を担っていま たちの読み書きの学習を想定してモデルが組み立てら す。私たちが黒板に書かれた文字をノートに書き写す時な れていることに起因します。 どに,視空間スケッチパッドを活用しています。 しかし,子供たちとの生活の中で,良い香りを嗅が 「音韻ループ」は,耳で聞いた聴覚的記憶を一時的に せると,はっとした表情になる(嗅覚)好きな食べ物 記憶する場所です。刺激の聴覚的な特徴(音・言語・音声 を食べると笑顔になる(味覚)のように,視覚・聴覚 パターンなど)を抽出する役割を担っています。相手から 以外の感覚器官からの受容によって処理,表出が行わ 口頭でいくつも指示を受ける際に,最初の指示を途中から れることも多くみられます。 ワーキングメモリの中には,視覚・聴覚だけでなく, 忘れてしまうのは,音韻ループの弱さの一つといえます。 味覚,嗅覚,触覚,前庭覚などの記憶,特徴抽出のモ 「エピソードバッファ」は,すでに長期記憶として保持さ デルも存在すると思われます。 れている記憶から必要な情報を取り出して,ここに一時的 に保持して使える状態にする場所といわれています。 中央実行系 味覚 「中央実行系」は,注意のコントロールや,「視空間スケ 触覚 ッチパッド」「エピソードバッファ」「音韻ループ」の3システ 嗅覚 ムの働きや切り替えを行ったりしています。刺激に対して 前庭覚 選択的注意を向け続けたり,視空間スケッチパッドや音韻 エピソード バッファ ループで抽出した記憶・特徴と長期記憶を照合させたりす る働きを行っています。 すなわち,Baddeley のワーキングメモリモデルでは,受 3 容した感覚刺激に対して,「中央実行系」の働きによって 処理の困難さについて 選択的注意を向け,短期記憶として保持し,「視空間スケ ッチパッド」「音韻ループ」において特徴が抽出され,「エピ 第1章・第2章と,処理のプロセスとワーキングメモリのモ ソードバッファ」に呼び起こされた長期記憶と,それら刺激 デルについて述べてきました。それでは,障害のある子供 の特徴と照らし合わせることで,その刺激が何であるかを たちの処理する力の弱さとは,一体どのようなことに起因 瞬時に判断していると,説明することができます。 すると考えられるのでしょうか。これらについて諸説はあり -3- 広島県立福山特別支援学校 自立活動だより ますが,大きく分けて次の5つの要因が考えられます。 態です。長期記憶はあっても,ワーキングメモリの情報に 対して,適切な長期記憶を想起,照合できないために処 ①選択的注意を向けることが難しい 理が困難になってしまうことです。 ②ワーキングメモリの処理機能の問題 ⑤脳の機能不全 ③長期記憶の少なさ ワーキングメモリの働きを行う脳の部位が,先天性の脳 ④長期記憶との照合ができない 奇形や脳損傷等の要因により阻害されている状態を指し ⑤脳の機能不全 ます。具体的には,第1章の冒頭で述べた「視機能は正常 でも,字の形が取れず識字ができない」という例があげら ①②④はワーキングメモリの問題,③は記憶の問題,⑤ れます。これは,ワーキングメモリの中の「視空間スケッチ は脳の機能の問題に分けることができます。ここでは①~ パッド」を担う脳の部位に何らかの機能を阻害する原因が ⑤の要因と具体的な事例について詳しく述べていきます。 あり,文字のパーツの位置,形,大きさなどが処理できな ①選択的注意を向けることが難しい いために起こっていることが可能性の一つとして考えられ これは,感覚刺激に対して子供が選択的注意を向けら ます。このような場合は,障害を克服しようとするのではな れているかどうかが問題となります。前述したとおりに,刺 く,活用できる機能や代替手段を使い,生活の困難さを改 激が感覚記憶から短期記憶になるためには,刺激に対す 善していく必要があります。 る選択的注意が必要となります。それがなされないと刺激 4 は短期記憶になる前に消えてしまい,ワーキングメモリで 処理する力を培う指導のポイント 処理されません。子供に手触りの違うものを交互に触らせ ても反応がないという場合は,何らかの原因で感覚記憶に それでは,どのように指導・支援をしていけば,子供たち 対して選択的注意が向けられず,短期記憶になる前に消 の処理する力が培うことができるのでしょうか。指導のポイ えてしまっていることが考えられます。 ントとして選択的注意と,記憶が重要になります。 ②ワーキングメモリの処理機能の問題 ○選択的注意を促す これは,受容した刺激が,ワーキングメモリで一度に処 子供自身が刺激に対して選択的注意を向けること,す 理できる量を超えてしまい,その結果,処理に時間がかか なわち,刺激へ主体的に注意を向けることが,刺激を感覚 る場合を指します。ワーキングメモリで一度に処理できる量 記憶から短期記憶に変化させ,その結果処理に繋がって や処理速度は子供によって大きく異なります。じっくり時間 いきます。子供たちがが「なんとなく刺激を感じている」とい をかけて触らせたり,何度も聞かせたりすることで,子供の う状況ではなく「刺激に対して積極的に注意を向ける」とい ワーキングメモリの中でゆっくりと処理が進み,表出がみら う主体的な活動を引き出すことが重要です。 れることがあります。 選択的注意を向けさせるためには,刺激を提示する方 ③長期記憶の少なさ 法を工夫する必要があります。これについては自立活動 受容した刺激の特徴をワーキングメモリの中の「視空間 だより№2 第3章受容の困難さへの対応で詳しく述べて スケッチパッド」や「音韻ループ」で見出すことができても, いるので,ここではポイントのみを示します。 長期記憶として蓄積している経験が少ないために,「エピ ☆提示する刺激を選ぶポイント ソードバッファ」に想起される記憶が見つからず,照合→ シンプル・分かりやすい・受容しやすい感覚刺激 判断ができない状態を指します。 ☆刺激を提示する時のポイント 短期記憶を長期記憶として残すためには,同じ経験を ・強弱,オンオフなど 何度も繰り返したり,他の記憶と関連付けたりすることが必 刺激に大きな変化をつける 要です。障害のある子供たちの長期記憶を増やすために も,それらを意識したアプローチが必要になります。 刺激に変化をつけることで選択的注意が向けられやす ④長期記憶との照合ができない く,記憶に残りやすいといわれています。具体的には振動 これは,受け取った刺激と,保持している長期記憶とをう に強弱をつける,音量に変化をつけて聞かせる等があげ まく結び付けられないために処理が困難になっている状 -4- 広島県立福山特別支援学校 自立活動だより られます。しかし,子供によってはインパクトが強すぎて過 敏や拒否を起こしてしまい,嫌な記憶として残ってしまうこ ともあるので注意が必要です。 ≪視覚障害のある生徒≫ ・ 教室に入ったら決まった音を スイッチで鳴らす。 →聴覚で環境の変化に気付かせる。 ○長期記憶に残るようなアプローチ 子供たちの処理する力を培うためには,子供たちの長 期記憶を増やし,記憶との照合→判断の流れをスムーズ にしていくことが必要です。 コラム③ 短期記憶を長期記憶にするためには,短期記憶を何度 視覚的支援の意味 も繰り返したり,関連付けたりすることが必要になります。 知的障害のある子供に口頭の 発達段階の初期にある子供たちにとって有効なのは繰り プリン 言葉(聴覚)では伝わらない(処 返しです。刺激を1回だけ提示するのではなく,同じ刺激 理できない)けれども,写真(視 をその指導時間に何度も繰り返したり,毎日時間を決めて 覚)を示すと理解できる(処理 繰り返したりすることがポイントです。 できる)ということがあります。 一般的にこれを視覚的支援といいます。 なぜ,彼らは聴覚のみの刺激に対して,適切な処理ができ ないのでしょうか。ワーキングメモリのモデルに当てはめて 考えてみると,聴覚の情報を保持し,特徴の抽出を行う音韻 ・ ・ ループの弱さや,長期記憶との照合に困難さをもつ可能性が 同じ活動を繰り返す。7~8 回くらい繰り返す。 初めは反応がないこともあ るが,根気強く取り組む。 あります。しかし,併せて写真を提示することで,ワーキン グメモリの中の視空間スケッチパッドも活用され,多くの特 徴が抽出されることで,適切な長期記憶との照合も進められ また,表出が安定してきたら,下の例のように活動に意 ていると考えられます。つまり視覚的支援とは,処理する 図的に変化を付けて,長期記憶として確実に定着してい ために必要な視覚的手がかりを意図的に示すこと,と るかを確かめることも必要です。 いえるのではないでしょうか。 ピタッ! 視覚的支援には,実物提示,写真,絵カードや手順書など, あれ? 複数の方法があります。手順書も文字だけの物や写真だけの もの,両方が併記されたものなど様々です。私たちは,実物, 写真,イラストから特徴を抜き出して,同じものとして理解 することができますが,子供の認知発達によっては,実物と ・ 写真とイラストから受け止める視覚情報には大きな違いが おかしいな? 表出が安定した活動を 意図的に中止する。 →子供が「あれ?」という表出をするか。 あり,同一のものと理解することが難しいこともあります。 また,提示する情報の量にも配慮が必要です。 このように子供たちの長期記憶を一つ一つ丁寧に,時 このように,子供たちの認知発達の程度,個人差に応じた 適切な支援を提供することが求められています。 間をかけて増やしていく取組が必要になります。 ○個々の実態に合わせて・・・ 【主な参考,引用文献】 ・ 「感覚と運動の高次化からみた子ども理解」著 宇佐川浩.学苑社 ・ 「自立活動ガイドブック 第 4 版」 広島県立福 山特別支援学校 ・ 「絵でみる脳と神経 しくみと障害のメカニズム 第3版」著 馬場元毅 医学書院 ・ 「気になる子供の支援ハンドブックⅡ~マルチア レンジングサポートのすすめ~」編 橋本正巳 社会福祉法人全国心身障碍児福祉財団 ・ 「ワーキングメモリと教育」編 湯澤正通・湯澤 美紀 北大路書房 子供たちの成育歴や,これまでの経験,障害の状況によ って,一人一人のワーキングメモリは異なります。 特に重度・重複障害をもつ子供たちは,知的障害等に 加えて,視覚障害や聴覚障害などを併せ持っていることが 想定されます。視覚障害のある子供は,「視空間スケッチ パッド」の活用に困難さが考えられます。その場合,触覚 や聴覚などの他の刺激を併せて提示するというような,長 期記憶との照合を促す手がかりを増やすアプローチが必 要になってきます。 -5- 広島県立福山特別支援学校 自立活動だより 教材・教具紹介 No.1 ざらざら★ツルツル 本校「アセスメントチェックリスト」による発達段階 ☆ねらい ・ ・ 素材の感触を感じさせる。 音や感触の変化に気付かせる。 触覚等Ⅱ-11 ☆教材・教具の工夫点 ・ 人工芝 レジ袋 ・ レジ袋は「ツルツル」した感触で触ると乾いた音が出る。人工芝は「ザラ ザラ」「トゲトゲ」した感触で音は出ない。触覚刺激,音刺激が大きく異 なる素材を使用し,違いを分かりやすくする。 子供の上肢の可動域に応じたサイズの箱の中に,2つの異なる素材を 並べて適切な位置に固定し触らせることで,上肢や手指の自発的な 動きを引き出しやすくする。 ・面接触(手全体)で感じることができる。 ☆実践例① ☆実践例② ・優しく手を導いてスライドさせ, 人工芝(ザラザラ)とレジ袋(ツ ルツル)を交互に触らせること で,刺激の変化に気付かせる。 ・スライドする速度を変えて, 興味・関心を引き出す。 ・刺激の変化を予測し期待させる。 ・手触り(触覚),オノマトペを活用 した声掛け(聴覚),人工芝とレジ 袋の色(視覚)等で,様々な感覚 に働きかけ,素材の違いに気付 かせる。 No.2 ※オノマトペ・・・音(おん)で状態を象徴的に 表した語(擬音語,擬態語など)。 ザラザラ きりんさん ☆ねらい ・ ・ 電動歯ブラシ 吸啜反射から噛む遊びに移行させる。 受容しやすい感覚器に振動刺激を与 え,外界に気付かせる。 触覚等Ⅱ-9 触覚等Ⅲ-18 ※吸啜(きゅうてつ)反射・・・口に入ってきたものを強く吸う反射。 歯固め ☆教材・教具の工夫点 ・ ・ ・ 乳児用玩具で直接口腔内に入っても安全な素材であり,また,洗 浄等で常に清潔に保つことができる。 電動歯ブラシの柄部は細く握りやすい。歯固めが取れないよう に,しっかり差し込み固定している。 歯固めの感触や適度な振動刺激が心地良い。 ☆実践例① ☆実践例② ・「きりんさん」の頭部(歯固め)を口 腔内に入れ,感触を感じさせる。 ・振動させることで,舌の動きや噛む 動きを誘発させることができる。 ・口腔内への自己刺激(指しゃぶり 等)の代替として利用する。 ・「きりんさん」を唇や口腔周辺,手 指などの感覚を受容しやすい部 位に当てて,その刺激に気付か せたり,振動刺激に対する興味・ 関心を引き出したりする。 ブルブルブル… -6-