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気象予報士 小野塚千恵さん

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気象予報士 小野塚千恵さん
市松キャンバス「わくわくインタビュー特別編」
~気象予報士
小野塚千恵さん~
小野塚千恵さんは株式会社ウエザーマップに所属され
ている気象予報士です。松戸一中、大津ケ丘中で学び、高
校卒業後は大学の文学部でスペイン語を専攻しました。現
在は気象予報士としてTBSテレビ、ラジオ等でご活躍で
す。インタビューは小野塚さんが担当されている土曜日の
TBSラジオの生放送の天気予報の後に行いました。
Qこのお仕事を始めたきっかけはなんですか?
大学ではスペイン語を専攻し、3年次にスペインに留学しました。帰国した
のが4年生の5月、周りの大学生と同様に就職活動をしたわけですが、いわゆ
る就職氷河期といわれた頃であることに加え出遅れたせいもあり、本当に厳し
い状況でした。
自動車メーカーや外食チェーンなどいろいろ受験しましたが、なかなか先には
進めませんでした。就職活動の始めた時期が遅かったこと、女性であることな
ど様々な要因があったと思います。
それでも何とかある商事会社に内定することができました。先物取引や証券、
ファンドを扱う会社だったのですが、仕事の量は想像以上で、本当に激務でし
た。当然のようにノルマは存在し、それを達成しなければ一人前に扱われませ
ん。慣れない金融の仕組みを学びながら日々仕事をこなしていました。始発電
車で出社し、終電で帰るという日も数多くありました。精神的にも肉体的にも
厳しく、心も体も疲れ切って何もかもうまく行かずに、負のスパイラルの連続
でした。自分を失いそうになりながらも自分で何かを変えなければ、新しいこ
とを始めなければ・・・といつも思っていました。
その転機になったのが、趣味のスキューバダイビングをしていた際に感じた
風や海や空でした。天気には晴れの日もあれば、雨の日、雪の日もあります。
何かと人生にたとえられる表現ですが、私はその自然現象そのものに興味を感
じました。何か目に見える物を仕事にしたい。
大自然や天気のことを考え「空が私
の仕事です」と一言でみなさんに私の
仕事を理解してもらえるようになり
たいと思うようになりました。それが
気象予報士という仕事を目指そうとし
たきっかけです。それからはOLの仕
事をしながら気象予報士受験のための
勉強に励みました。しかし、それも決
して簡単なことではなく、勉強は本当に大変でした。私の専攻は文科系でした
ので、通信教育での勉強も一番はじめの数学や地学などの分野で挫折しました。
それでもしばらく続けることにより、勉強というのは解ってくれば面白く、や
ればやるだけ楽しいと思うようになりました。学習時間は1日14時間に及ぶ
こともありました。それでも気象予報士試験は厳しくて、何度も失敗し4度目
でようやく合格することができました。
現在TBSの番組に出ているのですが、そのきっかけは今所属している会社
が気象予報士養成講座を開講していて、それを受講し、予報士試験合格後、ケ
ーブルテレビのオーディションを受けたのがきっかけです。オーディションに
受かれば社長の森田正光さんが入社させるという条件を与えてくれました。面
接や論文、カメラテストなどを経てオーディションに合格し入社しました。現
在、気象予報士は全国で7~8000人位いて、合格率は5%くらいだそうで
す。さらにそれを活かして気象の仕事に就いているのは2割程度、本当に狭き
門なのです。私は本当にラッキーだと思いますし、今はとても充実しています。
現在は会社を通じてTBSラジオを中心に天気予報を担当しています。
Q中学、高校生時代はどうでしたか?
中学時代は明るくて元気で、おしゃれも大好きな生徒でした。部活動は陸上部
のマネージャーをしていて、選手の補助、スポーツマッサージなども学び、実
践していました。高校では野球部のマネージャーでした。ほとんど毎日練習で、
早朝から夜まで本当にたいへんでしたが、そこでは忍耐力が身につきました。
Q人生のターニングポイントは?
やはり転職と留学でしょうか。とにかく前向きに何かを変えなければと思い
ました。精神的にも落ち込み、まさに自分が0以下になった気がしました。だ
からこそ今の仕事を0から始められたのではないかと思います。人は一生のう
ち何かを本気で、やらなければならない時があって、それがその時だったと思
います。留学は、国立のグラナダ大学で学びました。
修道院が経営する寮で、120人中外国人は私1人、周囲はスペイン語でもひ
どいアンダルシアなまりで、大学で学んだスペイン語がまったく通じませんで
した。しかし、しばらくすると慣れ、寮生活も充実したものになり、生涯の親
友にも出会いました。とても楽しい留学体験でした。逆にそれに慣れたころ都
会のマドリッドではなまりに染まったスペイン語が通じず、困りました(笑)。
Q今の仕事のやりがいは?
ありがとうと言われることですね。現在はツイッターなどでリスナーの方と
本当に近くなれました。そこで「今回の予報ありがとう」などと言われたり、
「おつかれさま・・・」などと言われたりすると本当にうれしいです。
Q修羅場体験などは?
気象予報士1年生の時の初めての雪の時ですね。首都圏の降雪は交通機関へ
の影響など、それだけで大きなニュースになります。しかし東京の雪の予報は
本当に難しく、ある意味それは予報ではなく経験と勘なのです。あるとき、十
分な資料も経験も準備できない状態で、大物司会者とディレクターに呼ばれて
「どうなの・・・積もるの???」といわれ、頭の中は真っ白、足が震えまし
た。今思い出しても身がすくみます(笑)
Q今までの人生での大切な出会いは?
私は人に恵まれていると思います。どこにいっても素晴らしい人や憧れる人
がいるのです。さらに叱ってくれる人もいます。
中学、高校での部活動での絆や、大学の親友など、それぞれの場所で大切な人
に出会うことができました。大学の親友は、フライトアテンダントになったり
フラワーデザイナーになったり、みな自分の夢を叶えています。さらに社会人
になってからは、私の教育係の先輩です。人とどう接するかなどたくさんのこ
とを学びました。私が後輩と接する際もそ
の先輩から学んだことを思い出していま
す。さらに今の会社の社長の森田正光さん
との出会いですね。森田さんは天気予報を
一般の方にも親しみやすく話すことを始
めたパイオニア的な方で、テレビにもたく
さん出ている有名な方ですが、何でも話せ
るとても気さくな方です。
Qここまでやってこられた原動力は何だと思いますが?
心に素直になり、憧れの人を見つけることだと思います。そして夢見たこと
を夢で終わらせないことだと思います。あのような人になるにはどうしたらい
いか。10年後、5年後、明日、そして今日何をすればいいか予定を立てて行
動に移していくのです。もちろんその予定は状況に応じて書き換えてもいいの
です。なりたい自分になるには自分に負けない力を持ち、こうなりたいと強く
思い自分を追い込む。私はそれを周りに言いふらして「有言実行」を心掛けて
自分を追い込みました。イチローみたいに「不言実行」というわけには、いき
ませんでしたが(笑)。
さらに海外に目を向けると日本が見えてくる、海外に行くと外国の方は本当
に日本のことを尋ねてきます、ゲームやアニメはすごい勢いで海外に進出して
います。しかし、海外の方が日本に注目する中で私たちは日本をあまり知らな
いし理解しているとは言えません。外の世界からみると日本の良さがわかる時
があるのです。
Q市松のみんなにメッセージを
「自信」という字は当たり前に思
うかもしれませんが、「自分を信じ
る」と書きますよね。私はこの意味
が、心からわかるようになったのは
大人になってからのことです。「自
信がある」というのは、おごりのよ
うに聞こえる時もあるかもしれませ
んが、私は「自分を信じる」ことで
あり、とても大切な事だと思います。
自分はやればできると信じ努力する、それが自信につながると思います。自
分を信じられないと自分を裏切ることと同じになるので苦しいし、つらいです。
私は落ちるところまで落ちたという気持ちになったとき、やっと自分を理解出
来ました。何もできない自分から再スタートしてまた0から始めればいい・・・、
自分を信じれば1人でいることがつらくなくなります。2人ならもっと楽しい、
そしてみんなが集まればもっともっと楽しくなります。ぜひ楽しいことを続け
て前に進み、夢が現実になるように頑張ってほしいです。
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