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現在位置: 朝日新聞デジタル 天声人語
天声人語
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10月13日 付
社説
10月12日付
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およそ戦争は「大人の男」が始め、あすを担う女性と子どもの犠牲に耐えかねて終わる。武力をもてあそぶ者にとって、時に「おんなこども」は煙
たい。それが物申す人であれば、脅威にも映ろう▼パキスタンの武装勢力が、彼らの非道ぶりを訴えた14歳の少女を狙い撃ちにした。テロ組織
アルカイダにつながるパキスタン・タリバーン運動(TTP)は犯行を認め、「誰だろうが逆らう者は殺す」と居直る▼銃撃されたマララ・ユスフザイさん
は、女子教育を認めないTTPに屈せず、おびえながら学校に通う日々を3年前からブログに記してきた。パキスタン政府は平和賞を贈り、共感の
輪が世界に広がったが、TTPには睨(にら)まれた▼地元の警察によると、下校の生徒を乗せたスクールバスに覆面の男が乗り込み、「マララは
どこだ」とすごんで発砲したそうだ。銃弾は頭部に当たり、予断を許さぬ容体という。他の少女2人も負傷した▼見境なしとはこのことだ。子どもま
で手にかける歪(ゆが)んだ大義に言葉を失う。過激なイスラム主義を奉じるタリバーンは、支配地で娯楽を禁じるなど、厳しい戒律を強いてきた。
アフガニスタンでは、貴重なバーミヤンの大仏を「偶像崇拝だ」と爆破している▼蛮行の数々は、平和を愛するほとんどのイスラム教徒にも迷惑至
極だろう。今はただ彼女の快復をアラー(神)に祈りたい。――少し休もうか、マララ。君を貫いた銃弾は、何万倍もの怒りとなって、女性差別と狂
信者たちを撃つはずだ。
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