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経営改善の事例

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経営改善の事例
経営改善の事例
当行が日ごろ取り組んでおります経営支援に関する取組みのうち、業況の改善効果が見
られた事例や地域の皆さまにとって有用と考えられる事例について公表します。
事例1.
製造業者における経営改善事例
A 社:(製造業)
A社は、ここ数年公共工事の減少から技術力やノウハウがあるものの、主力部門の受注が安
定せず、また営業力不足により業況低迷を続けていた。そうした中でもプレスを中心とした下請
部門では、安定した収益をあげていた。当行B支店では本部と協力し、下請部門の充実を図る
ため、プレスを中心とした新規取引先を紹介するなど積極的に事業再生を試みた。しかし肝心の
社長の動きが鈍く、思うように経営改善が進まない状況にあった。
また金利負担の軽減から預金相殺などを提案していたが、売上のさらなる落ち込みもあり、か
ねてより窮屈であった資金繰りがいよいよ厳しくなった。そこでA社の経営者は親戚で、かつ発
注先でもあるC社(B支店取引先)社長に、資金面での支援を依頼するとともに、A社の経営をC
社社長に委ねることを決断した。
C社に A 社の経営を委ねるにあたり、当行、A 社、C社、及び会計士が協働で、A社の事業再
構築の検討を開始した。赤字部門ではあるものの、主力部門は大手受注先があり、技術力やノ
ウハウもあることから同業者への事業譲渡を検討した。C社からの発注があり、安定した収益や
受注がある下請部門は、A 社にて継続することとした。
その結果、同業者であるD社へ主力部門の事業譲渡を行ない、A 社は下請部門(プレス)で営
業を行なうこととなった。またこの事業譲渡により遊休化する工場を、近隣に位置するE社(B支
店取引先・工場増設を検討していた)に紹介。E社にとっても投資額削減につながる提案であっ
たため、売買が成立した。また財務リストラの一環としてゴルフ会員権、不要機械等資産処分を
行った。同社従業員も21名中5名はE社で引受され、11名はその他に転籍し、5名は A 社に雇
用された。
A社では事業部門整理により、役員の解雇を含むリストラを行ったものの、事業は毀損するこ
となく継続され、また有利子負債の圧縮が図られ、収益体質に転換できた。
ポイント:
①経営者の「所有と経営の分離」の決断
②主力製品からの撤退
③遊休不動産の早期売却(売却先の紹介)
④従業員のリストラと再雇用の実施
事例2.
小売業者における経営改善事例
X 社:(小売業)
X社は石川県内に多店舗展開しているサービス小売業であるが、近年は同業者間の競合
や県外資本の進出が相次ぎ、既存店の売上高は年々5∼10%ずつ減少している状況であ
った。
Y支店では、同社の経営改善すべき問題点(不採算店の撤退、効率的な品揃えや陳列方
法、人件費比率の引下げ)を指摘した。これを踏まえ、同社では早期に解決するため、小
売サービス専門コンサルタントに相談を行った。
X社は、財務面からアプローチをするコンサルタントと事業面からアプローチをするコ
ンサルタントの2名に相談し、その後コンサルタント2名・銀行・X社の間で改善策を検
討した。
主な改善点・施策としては、第一に、コンサルタントが、経営者、本部従業員、各店舗
の店長や従業員(パート含む)とそれぞれ直接面談し、個々の仕事内容、仕事の目的、や
り方(進め方)を聞き取りの上、無駄がないか調査を実施した。その上で、個々のコスト
に対する意識改革を促した。このことにより、新労務管理体制(パートを含むすべての社
員が仕事・責任に合わせて給与が連動する職位等級連動制給与体系)をスムーズに導入す
ることができ、変動費型人件費構造への転換を行なうことができた。
第二に、不採算店について、不採算の原因、採算店との立地関係(店舗の効率的配置)
および顧客の属性等を調査し、地域密着した店舗経営を目指し、設備の入替を行った。し
かし改善が難しい一部の店舗は、閉鎖も行った。
第三に、地域密着の店舗運営を図るために、近隣利用者の嗜好を勘案し、それぞれの店
にあった品揃え(売れ筋の選択)、商品鮮度の向上(非日常の演出)等、画一的な店舗運
営ではなく、それぞれの店に特色を持たせることにより、売上高減少対策を進めた。
最後に、財務面では、経営改善に注力できるよう、金融支援策としてキャッシュフロー
に見合った返済額にリスケジュールを実施した。
最近では、コンサルタントとの協働でモニタリングを積極的に実施しており、試算表等
の財務情報やその他の客観的な視点での検証も、継続的に行われるように改善された。経
営改善に着手して 1 年が経過しているが、不採算店を廃止し、店内のレイアウト等も変更
され、経営改善の兆しが見えてはじめている。
ポイント:
①専門コンサルタント導入による業態にあった経営改善計画策定・実施
②従業員一人一人に行き届くような意識改革
③コンサルタントを含めた効率的なモニタリング実施
<本件に関するお問い合わせ>
審査部経営支援チーム
担当:蔦、森田
TEL
076-263-1111(大代表)
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