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代表的な医薬品の服薬指導上の注意
316ページ
【H2受容体遮断薬】ファモチジン錠(ガスター)
H2受容体遮断薬は胃酸の分泌を抑制し,胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療や胃炎な
どの症状を軽減する.
胃酸の分泌が減少するために症状が治まっても潰瘍が治癒しているわけではないの
で,症状が軽くなっても勝手に服用をやめないように注意する.
胃粘膜壁細胞のヒスタミンH2受容体に拮抗して働き、胃酸の分泌を抑制する。
まれに無顆粒球症、汎血球減少症、再生不良性貧血などの副作用のため、発
熱、咽頭痛、出血傾向がみられることがあるので注意する。
シメチジンは薬物代謝酵素阻害作用をもつので、相互作用に関する説明を行
う必要がある.
汎用される薬:ニザチジン(アシノン)99回国試、ラニチジン(ザンタック)、シメチジ
ン(タガメット)、ロキサチジン(アルタット)、ラフチジン(プロテカジン)
1
【プロトンポンプ阻害薬】ランソプラゾール錠(タケプロン)
プロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃酸の分泌を抑制し,胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療に
用いられる.また、ヘリコバクターピロリーの除菌に抗生物質とともに併用する。
胃粘膜壁細胞のH+分泌の最終段階のプロトンポンプを特異的に阻害し、H2ブロッカー
より胃酸抑制効果が強力である。
PPI : 胃の壁細胞で胃酸の分泌をつかさどっているプロトンポンプという酵素の働き
を阻害し、胃酸の分泌を強力に抑制する。
H2ブロッカー : 胃の壁細胞にあるヒスタミン2(H2)受容体に働きかけて、胃酸分泌を
促す信号が伝わるのを防ぎ、胃酸の分泌を抑制する。
 消化性潰瘍、逆流性食道炎の第一選択薬
 胃潰瘍には8週間、十二指腸潰瘍には6週間の保険適用となる。
 NSAIDs投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制に対してランソプ
ラゾール、エソメプラゾールが保険適用されている。
 オメプラゾールはCYP2C19により代謝される。日本人はPMが20%存在する。
まれに無顆粒球症、汎血球減少症、溶血性貧血などの副作用のため、発熱、咽頭痛、
出血傾向がみられることがあるので注意する。
プロトンポンプ阻害薬は酸に不安定であり,腸溶製剤になっているので,粉砕は不可
である.患者にも噛んだりつぶしたりしないように説明しておく.
ただし,腸溶性顆粒をカプセル封入した製剤の場合は,カプセルを外しても差し支え
ない.
繁用される薬:オメプラゾール錠、ランソプラゾール(タケプロン)、ラベプラゾール(パリエッ
ト)、エソメプラゾール(ネキシウム)
【高尿酸血症治療薬】アロプリノール錠(ザイロリック)
アロプリノールはキサンチンオキシダーゼを阻害することにより尿酸の生成を抑制し,血
中尿酸濃度を低下させる.
また、アロプリノールはキサンチンオキシダーゼにより酸化されて、大部分オキシプリノー
ルとなる。このオキシプリノールもキサンチンオキシダーゼ抑制作用を有する。
投与初期に痛風発作が一時的に増強されることがあるので,あらかじめ説明しておく.
急性痛風発作時にはアロプリノールを投与してはならず,コルヒチンやインドメタシンな
ど症状を緩和させる薬剤を使用する.
腎機能障害があると排泄が遅延し高い血中濃度が持続する。腎不全患者の場合、
死亡例などの重篤な転帰をたどることがあるので、投与量の減量や投与間隔の延
長を考慮する必要がある。
多くの薬物と相互作用をひき起こすので,併用薬を必ず医師,薬剤師に見せるよ
うに徹底する。
使用中は摂水量を多くし、1日の尿量を2L以上とすることが望ましい。
3
【経口血糖降下薬】グリベンクラミド錠(ダオニール)
スルホニル尿素系血糖降下薬は,主として膵臓のβ細胞を剌激して内因性の分泌を
促進することにより血糖降下を起こす.
禁忌:妊婦、重症感染症など
•低血糖症状は(脱力感、高度の空腹感、発汗、動悸、振戦、頭痛、知覚異常、
意識障害、痙攣等)きわめて危険な副作用であり,兆候や対処法を十分に説明して
おくとともに,対処のための砂糖やブドウ糖などを携帯させる.
繁用される薬:グリメピリド(アマリール)、グリクラジド(グリミクロン)
 SU類はβ細胞にあるSU受容体と結合し、ATP感受性Kチャネルを閉鎖して、β
細胞膜の脱分極を来たし、電位依存性Caチャネルより細胞外カルシウムが流入し
てインスリンの分泌を起こす。
SU薬が適応となるのはインスリン分泌能が残っている患者で、食事療法と運動療法
を充分に行ってもコントロールが得られない非肥満 2型糖尿病が対象となる。
 グリベンクラミドはSU剤の中で最も強力
 グリメピリドはインスリン分泌促進作用は弱いが、インスリン抵抗改善作用を合わせ
持つ。
4
SU剤の作用機序
インスリンの分泌を促進する薬は、インスリンの分泌が不十分な場合に、分泌を促すことに
より、血糖値を下げる。
この種類の薬には、血糖非依存性にインスリン分泌を促進するスルホニル尿素薬(SU薬)、
速効型インスリン分泌促進薬がある。
また、血糖依存性のインスリン分泌を増幅するインクレチン関連薬であるDPP-4阻害薬、
GLP-1受容体刺激薬がある。
スルホニル尿素薬(SU薬):(2世代)グリベンクラミド、グリクラジド、(3世代)グリメピリド
速効型インスリン分泌促進薬:ナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニド
インクレチン関連薬
DPP-4阻害薬:シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、テネリグ
リプチン、アナグリプチン、サキサグリプチン
GLP-1受容体刺激薬(注射):リラグルチド、エキセナチド、
リキシセナチドなど
血糖値は、インスリンの分泌や働きが悪くなると上昇する。インスリンの働きが悪いことをイ
ンスリン抵抗性というが、これを改善する薬は、インスリンを効率よく働かせることによって
血糖値を下げる。この種類の薬には、インスリン抵抗性改善薬とビグアナイド薬がある。筋
肉、脂肪組織、肝臓などでのインスリンの働きを改善し、糖の利用を促して血糖値を下げ
る。
 ビグアナイド薬は肝臓での糖新生を抑制する。体重増加がないことから肥満例に用い
られる。副作用として乳酸アシドーシスを起こすことがあるため、患者に注意が必要で
ある。
また、高齢者は腎機能が低下しているため、乳酸アシドーシスを起こしやすくなっ
ているので、禁忌とされている。
ビグアナイド薬:メトホルミン、ブホルミン
 インスリン抵抗性改善薬:ピオグリタゾン
浮腫、体重増加の可能性がある。心不全や既往歴のある患者には禁忌となっている。
【αグルコシダーゼ阻害薬】 ボグリボース錠(ベイスン)
ボグリボースは二糖類から単糖類への分解をつかさどるαグルコシダーゼを阻害す
ることにより糖の吸収を抑制し,食後の血糖上昇を抑える薬である.
空腹時に服用しても薬効は得られない.食直前服用
•αグルコシダーゼ阻害薬服用時に低血糖症状が起こった場合は,単糖類であるブドウ
糖を服用する.
•未吸収の糖分により消化管内でガスが発生し,腹部膨満感などの副作用が現れるの
で,あらかじめ説明する.
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繁用される薬:アカルボース錠(グルコバイ)、ミグリトール(セイブル)
 糖質の分解・吸収が遅延すると、血糖上昇とインスリン分泌のタイミングが合うように
なり、食後の過血糖が抑制される。
 αグルコシダーゼの阻害作用は競合的なので小腸で糖質と同時に存在することが
重要である。そのため、食事開始と同時に服用開始するように指導する。服用を忘
れた場合は食事開始15分後くらいまでなら効果が期待できる。
尿糖の排泄促進作用をする薬剤
 選択的SGLT2(sodium glucose co-transporter 2)腎臓の近位尿細管にお
いてグルコース再吸収を担うSGLT2を選択的に阻害することにより、血液
中の過剰なグルコースを体外に排出することで、血糖降下作用を示す。
・イプラグリフロジン(スーグラ)
・ルセオグリフロジン(ルセフィ)
・ダパグリフロジン(フォシーガ)
・トホグリフロジン(デベルザ)
 尿中に糖を排泄させるため、尿路感染を起こしやすくなると言われている。
【造血薬】 鉄剤
便の色調変化
クエン酸第一鉄ナトリウム錠(フェロミア)、フマル酸第一鉄(フェルム)、
硫酸鉄(フェログラデュメット)
鉄欠乏性貧血は,摂取鉄量の不足,慢性出血などによって起こる.鉄剤は,不足した
鉄を補う目的で使用する.鉄剤の投与を開始しても貧血の症状が治まるまでには時間
がかかるので,服用を続けるよう説明しておかなければならない.
鉄剤を投与すると,未吸収の鉄により便が黒色を呈することがあるので,あらかじめ説
明しておく.
消化管からの出血の可能性も考慮して説明しておいた方がよい.
鉄剤との併用で吸収が阻害される薬があるので,相互作用に対する注意を与える.
ニューキノロン剤と キレート形成する。吸収の低下を起こす。
医薬品
便の色調変化
鉄 塩
黒色
ビスマス塩
黒色
リファンピシン
橙赤色~赤色
アルミニウム塩(制酸剤)
白色
セフジニル
鉄添加製品との併用により、赤色
銅クロロフィリンナトリウム合剤
濃緑色
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【免疫抑制薬】タクロリムス水和物カプセル(プログラフ)
タクロリムス,シクロスポリンは臓器移植後の拒絶反応を防止する目的で使用される
ほか,自己免疫疾患に対しても使用される.
•成分、剤形により適応症が異なるため、注意しておく.
•治療域が狭く,血中薬物濃度モニタリングを行って投与量を定めるので,自分の判断
で勝手に服用量を変更しないように説明する.
•多くの薬物と相互作用をひき起こすので,他の薬剤との併用時には注意するよう説明
する.免疫抑制状態なので,感染症にも注意させる .
シクロスポリン、タクロリムス (カルシニューリン阻害薬)
:T細胞からのサイトカイン産生抑制を介して強力な免疫抑制作用を発揮する。
トラフレベルの血中濃度を測定し、投与量を調節する。
シクロスポリン:(サンディミュン、ネオーラル)
(禁忌)生ワクチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、
ボセンタン(トラクリア®錠 肺動脈性肺高血圧症)、
アリスキレン(ラジレス®レニン阻害薬)
タクロリムス:(プログラフ)
(禁忌)生ワクチン、ボセンタン、K保持性利尿薬
アザチオプリン(イムラン) 代謝拮抗薬
プリン拮抗作用を介して強力な免疫抑制作用を有する。
アロプリノールとの併用で作用が増強する。
10
【副腎皮質ステロイド】 プレドニゾロン錠
副腎皮質ホルモンは糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドに分けられるが,プレドニ
ゾロンは糖質コルチコイドに分類される.
糖質コルチコイドホルモンは,糖新生促進作用,末梢での糖利用抑制作用(血糖値
の上昇) ,脂肪分解促進作用,タンパク質異化作用,タンパク質合成阻害作用(消
化性潰瘍:組織修復が障害される)などの代謝に対する作用,抗炎症作用,免疫抑
制作用などをもつ.副腎皮質ホルモンが不足している状態に対する補充療法のほか
各種炎症性疾患、免疫性疾患に幅広く使用される. 副腎皮質ホルモン不足症状 (
疲れやすい、血圧が低い、食欲がなく痩せる、血糖値や血中ナトリウム値が低く、頭
がぼーっとしたり意識が無くなったりする、など)
糖質コルチコイドの投与を急に中止すると重篤な離脱症状が起こるので,患者が自
分の判断で服薬を中止しないよう十分に説明しなければならない.
糖質コルチコイド服用時には免疫力が低下するので,感染症の予防に関する注意を
行う.不眠,精神変調,うつ状態などが起こることもあるので,本人ばかりでなく,身
近な近親者などにも副作用の説明をしておくべきである.また,脂質やタンパク質代
謝が変化し,満月様顔貌や野牛肩などの副作用が現れる.
副作用が多い薬なので,患者が服薬拒否をしないよう十分に時間をかけて薬の必
要性を説明しなければならない.
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【抗生物質】セフジニル カプセル(セフゾン)
抗生物質は感染症の原因菌を殺菌する.
感染部位や症状によっては症状が消失した後も服用を続ける必要がある場合もある
ので,自分の判断で服薬を中止することがないよう十分に説明する.
セフェム系βラクタム剤は時間依存的作用を示し,体内濃度を一定以上に維持する
ことが重要なので,規則正しく決められた時間に服用するよう説明する
びまん性汎細気管支炎や副鼻腔炎に対してマクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン,
エリスロマイシン)を少量長期使用するなど疾患によって使用方法が異なる場合もあるの
で.医師の指示を確認し,患者の症状に応じた説明を行う.
マクロライド系抗生物質は薬物代謝酵素阻害作用をもつので,薬物間相互作用に関す
る説明も行う必要がある.
繁用される薬:セフカペン(フロモックス),クラリスロマイシン
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【合成抗菌薬】レボフロキサシン錠(クラビット)
ニューキノロン系抗菌薬は感染症の原因菌を殺菌する。
感染部位や疾患によっては症状が消失した後も服用を続ける必要がある場合もあるので
,自分の判断で服薬を中止することがないよう十分に説明する.
レボフロキサシンのようなニューキノロン系抗菌薬はさまざまな医薬品と相互作用をひき
起こすので,併用薬を必ず医師,薬剤師に知らせるよう説明する.
繁用される薬:シプロフロキサシン、スパルフロキサシン、ガレノキサシン(ジェニナック)、モキ
シフロキサシン(アベロックス)、シタフロキサシン(グレースビット)
 ニューキノロン系(ノルフロキサシン、プルリフロキサシン、ロメフロキサシン)と非ステロ
イド性抗炎症薬(フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチ
ル)の併用により痙攣誘発(禁忌)
 妊婦:禁忌
※他は併用注意
・小児:禁忌(ノルフロキサシンを除く)
ニューキノロン系抗菌薬は光線過敏症をひき起こすことがあるので,直射日光に当たるこ
とを避けさせる.
 1日1回の服用方法をする薬剤
・レボフロキサシン(クラビット500mg1日1回投与は100mg1日3回投与と比較して、肺炎球
菌及び大腸菌の耐性菌出現を抑制した)
・モキシフロキサシン(アベロックス1回400mgを1日1回)
・ガレノキサシン(ジェニナック1回400mgを1日1回)
・シタフロキサシン(グレースヒット1回100mgを1日1回又は1回50mgを1日2回)
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【抗ウイルス薬】アシクロビル錠(ゾビラックス)
アシクロビルはウイルス特異的チミジンキナーゼによりリン酸化されて活性化され,ウイルス
DNAポリメラーゼを阻害する抗ウイルス薬である.
体内薬物濃度を維持するために頻回の服用が必要なので,服用方法の説明が重要である.
単純疱疹では5日間,帯状疱疹では7日間使用するのが原則である.
繁用される薬:バラシクロビル(バルトレックス)
アシクロビルの経口吸収性を改善したプロドラッグ
アシクロビル
(ゾビラックス)
単純疱疹:1回200mg 1日5回 5日間投与
帯状疱疹:1回800mg 1日5回 7日間投与
骨髄移植における単純疱疹の発症抑制:
1回200mg 1日5回 移植施行7日前より施行後35日まで
バラシクロビル
(バルトレックス)
単純疱疹:1回500mg
1日2回 5日間投与
帯状疱疹:1回1000mg 1日3回 7日間投与
水 痘:1回1000mg 1日3回 5~7日間投与
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【抗真菌薬】 フルコナゾールカプセル (ジフルカン)
アゾール系抗真菌薬は真菌細胞膜の合成を阻害することにより静菌的に作用する.
薬物代謝酵素阻害作用をもつので,薬物間相互作用に関する説明を行う.
•妊婦:禁忌
繁用される薬:イトラコナゾールカプセル(イトリゾール)、フルコナゾール(ジフルカン)、ミコナ
ゾール(フロリード)
イトラコナゾール併用禁忌薬
オーラップ®(ピモジド)、ベプリコール®(ベプリジル)、キニジン、ハルシ
オン® (トリアゾラム)、リポバス® (シンバスタチン)、カルブロック® (
アゼルニジピン)、レザルタス® (アゼルニジピン+オルメサルタン配合剤)
、バイミカード®(ニソルジピン)、クリアミン®配合錠 (エルゴタミン)、ジ
ヒデルゴット® (ジヒドロエルゴタミン)、レビトラ® (バルデナフィル)、
レバチオ®のみ、バイアグラは注意 (シルデナフィル)、アドシルカ®肺動脈性肺高血圧症(
タダラフィル)、セララ® アルドステロン拮抗剤(エプレレノン)、ロナセン® 統合失
調症(ブロナンセリン)、イグザレルト® 第Ⅹa因子(リバーロキサバン)
CYP3A4による代謝を阻害
プラザキサ®トロンビン阻害剤 (ダビガトラン)、
ラジレス® レニン阻害剤(アリスキレン)
P糖蛋白を介した排出が本剤により抑制される
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疑義照会の意義と根拠
疑
義
照
会
90ページ
薬剤師は調剤を行うにあたって十分な処方監査を行い、疑わしい点を発見したら、そ
の内容を処方医に確認しなければならい。
薬剤師法第24条 (処方せん中の疑義)
薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した
医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなけ
れば、これによって調剤してはならない。
薬剤師法第23条 (処方せんによる調剤)
2 薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師、
歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更して調剤してはなら
ない。
薬剤師法第21条(調剤の求めに応ずる義務)
調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、
これを拒んではならない。
疑義照会の意義と根拠
不適切な処方せん例
1、薬 名
処方例1)
(総合内科
1、ブロプレス錠4mg
2、カルデナリン錠1mg
3、フルイトラン錠2mg
4、ノルバデックス錠10mg
65歳
女性)
1回2錠
1日1回
1回1錠
1日1回
1回0.5錠 1日1回
1回1錠
1日1回
朝食後
夕食後
朝食後
朝食後
30日分
30日分
30日分
30日分
17
 ブロプレス(カンデサルタン アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤)
 カルデナリン(ドキサゾシン 末梢血管の交感神経α 受容体の遮断作用)
 フルイトラン(トリクロルメチアジド チアジド系降圧利尿剤)
 ノルバデックス(タモキシフェン 乳癌組織等のエストロゲンレセプターに結合)が処方されて
いる。
 総合内科あるいは併用薬をみると医師への確認が必要
 患者や薬歴から確認後、医師に疑義照会する。
 この例の場合、入力ミスであった。
 ノルバスク錠(アムロジピンベシル酸塩)Ca拮抗剤を処方したつもり
 医薬品名の頭から2~3文字の読みを入力
 選択時に上下の薬品を誤って選択してしまう
 まったく異なる薬品が処方されてしまう可能性がある
 人力ミスの可能性があることを認識して処方監査にあたる必要がある
 前回処方されているから今回も問題がない”とはいえない
 一度問題点を見逃してしまうと問題のある処方が医師も薬剤師も気づかぬまま継続してしま
い,患者に重大な被害を及ぼすことがある.
 誤ってアルサルミンの代わりにアルケラン錠を長期にわたって投与してしまった事例も報告
されている。
 抗がん剤や経口糖尿病用剤のように誤って他の患者に投与された場合に重大な被害を及
ぼすような薬剤に関しては診療科、併用薬に特に注意し、慎重に対応する必要がある。
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処方例
2)
(消化器内科
60歳
男性)
1、アルタットカプセル75mg 1回1cap(1日2cap)1日2回 朝夕食後 14日分
2、ガスモチン錠5mg
1回1錠(1日3錠)1日3回 毎食後
14日分
3、マイスタン錠5mg
1回1錠
1日1回寝る前
14日分
 アルタット(ロキサチジン H2受容体拮抗剤)
 ガスモチン(モサプリド 消化管運動機能改善剤)
 マイスタン(クロバザム 抗てんかん剤ベンゾジアゼピン受容体に結合)
 この処方では,抗てんかん剤のマイスタン錠(成分クロバザム)が処方されている。
 診療科は消化器内科であり、 ほかに抗てんかん剤は処方されておらず,抗てんかん剤が消
化器内科から処方されることも考えにくい。
 1日の分量が5mgと少ない(初回10mg、維持量10~30mgを1~3回に分服)
 1日1回就寝前で役与されている。
 医師への確認の必要がある。
 この場合、超短時間型の催眠導入剤であるマイスリー錠(ゾルピデム酒石酸塩)であった。
19
処方例
3)
(糖尿病内科
1、オイグルコン錠2,5mg
2、メトグルコ錠250mg
3、アクトネル錠2,5mg
56歳
男性)
1回1錠 (1日2錠) 1日2回朝夕食後
1回1錠 (1日2錠)1日2回朝夕食後
1回1錠
1日1回朝食後
30日分
30日分
30日分
メルビン錠(中止)→メトグルコ錠 変更









オイグルコン(グリベンクラミド スルホニル尿素系血糖降下薬)
メトグルコ(メトホルミン ビグアナイド系血糖降下薬)
アクトネル(リセドロン酸 ビスホスホネート系 骨粗鬆症治療剤)
糖尿病内科からスルホニル尿素剤であるオイグルコン錠とビグアナイド剤であるメトグルコ錠が処方さ
れている。
骨粗鬆症治療剤アクトネル錠が食後に処方されている
56歳男性が骨粗鬆症の頻発する背景ではない。
医師に確認する必要がある。
医師への疑義照会により,この処方ではアクトスを処方する際に誤ってアクトネルを選択してしまったこと
が確認された。
疑義照会に際してはアクトスの“投与禁忌”である心不全などの問題がないことも必ず確認しておく。
20
2、規格単位
処方例 6)
(老年病科
70歳
1、アリセプトD錠5mg
1錠
女性)
1日1回
朝食後
14日分
(初回投与)
アリセプト(ドネペジル アルツハイマー型認知症治療剤)

初回処方の場合、1日3mgを処方する。
アリセプトD錠はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であり,副作用として消化管障害が認められるため,
投与開始1~2週間は臨床上の有用性は確認されていない1日3mgを投与し、その後5mgに増量して投
与する薬剤である。
 アセチルコリンのムスカリン様作用により消化器症状である嘔気・嘔吐などが出現する。ドネペジルの漸
増によりある程度症状が抑えられてくる。
 3mg錠は1~2週間を超えて投与しないこと
 塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト) 痴呆用薬
1日1回 3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量
する。

21
4、分量
処方例 8)
(老年病科
1、ノルバスク錠2.5mg
2、ニューロタン錠25mg
3、ハルシオン錠0.25mg
75歳
1錠
1錠
2錠
男性)
1日1回 朝食後
1日1回 朝食後
1日1回 寝る前
14日分
14日分
14日分
ノルバスク (アムロジピン 持続性Ca拮抗薬)
ニューロタン (ロサルタンアンジオテンシン受容体拮抗剤ARB)
ハルシオン (トリアゾラム 超短時間型 睡眠導入剤)

この処方では,75歳の患者に対して超短時間型の催眠導入剤であるハルシオン錠(トリアゾラム)が初回で
あるにもかかわらず1回0.25mg2錠で処方されている。ハルシオンは高齢者に対しては、1回0.125~0.25mg
までと添付文書の“用法・用量”の項に制限的な記載がある。

医師への疑義照会の結果,本処方では1回0.125mg 1錠に変更された。ベンソジアゼピン系に関しては、高
齢者に対して、1日あるいは1回分量に制限のある薬剤が多い。
22
高齢者に対する制限量の記載のある医薬品
商品名
一般名
高齢者 制限量
サイレース
フルニトラゼパム
1回 1mg まで
ソラナックス
アルプラゾラム
1日 1.2mg まで
デパス
エチゾラム
1日 1.5mg まで
ハルシオン
トリアゾラム
1回 0.125~0.25mg まで
メレックス
メキサゾラム
1日 1.5mg まで
リスミー
リルマザホン
1回 2mg まで
レスタス
フルトプラゼパム
1日 4mg まで
ロラメット
ロルメタゼパム
1回 2mg まで
CYPで代謝されないので高齢者
に使いやすい。
マイスリー
ゾルピデム
1日 10mg まで
ルネスタ
エスゾピクロン
1回 2mg まで
(超短時間型)
(ゾピクロンの異性体)
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