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「日本の伝統と文化を尊重する教育を!」 植田宏和 新年
全日教連新聞 新年の挨拶 「日本の伝統と文化を尊重する教育を!」 植田宏和 新年、謹んでお慶び申し上げます。全日教会員の皆様におかれましては、穏やかな新年 をお迎えのことと拝察申し上げます。 昨年、ノーベル賞受賞者の中に日本人が4人も入るという快挙があり、授賞式も国王が 日本語で栄誉を讃え、日本人として感動しました。その一方で、毎日のように新聞を賑わ せる凶悪事件や人として恥を恥じと思わないような偽装事件等、同じ日本人として歯がゆ いばかりです。教育界においては、子供たちのネットいじめや暴力行為の増加が問題にな っています。大分県の教職員汚職事件も大きな社会問題となりました。子供たちを正しい 方向に導かなければならない教職員の汚職は、子供たちに与えた不安も大きく、大分県の みならず全国の教職員に対する信頼を損なわせました。 今、子供たちに学力をつけることも大切ですが、人間形成がより大切であると感じてい ます。このような中、日本教育文化研究所では、平成20年11月に「言葉で育てる豊か な心∼心のマナーモードを∼」というテーマで教育シンポジウムを開催いたしました。心 の礼法を育むという視点から、様々なご意見をいただき、特区で「日本語」の教科を指導 している小学校主幹教諭からも、実績をご紹介いただきました。日本の伝統と文化は祭り や建物というようなハード面だけではなく、家訓や礼儀等生活習慣の中にあるものが重要 で、言葉もその一つであるという事です。しかし、現在そのような生活習慣の中の伝統と 文化が失われつつあります。核家族化によって、伝統的な風習や家庭における躾等、祖父 母から受け継がれるべきものが伝わらなくなっています。また、地域の関係が希薄化し、 地域社会における伝統と文化も消えつつあります。子供たちの規範意識や倫理観の低下を 防ぐためにも、日本人としての伝統と文化を大切にする教育を進める必要があります。学 校教育では、茶道や礼法等を取り入れ、子供たちの心を育む教育が進められていますが、 基本は家庭教育にあることを忘れてはなりません。5年先、10年先の子供たちの幸せの ため、家庭、学校、地域が手をつなぎ、子供たちの豊かな心を育みましょう。 マスコミ等による教員バッシング、同僚間や組織間での軋轢、事務処理等における多忙 感、学校現場を考えない様々な教育改革が教職員のストレスになっていると思います。全 日教連は、日々努力されている先生方の意欲がより高められるように、学校現場の声を国 の中枢へ届け、教職員が周りの雑音に惑わされることなく職責を果たせるようサポートを 続けて行きたいと思っています。 「美しい日本人の心を育てる」という理念のもとに結集した全日教連の会員の一人一人 が高い志を持ち、日々の教育活動に専念したとき、必ずや日本の教育はより良いものにな ると確信しています。全日教連ならびに会員一人一人が大きく飛躍する年としたいもので す。