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様式7 アジア研究教育拠点事業 平成25年度 実施

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様式7 アジア研究教育拠点事業 平成25年度 実施
様式7
平成25年度
アジア研究教育拠点事業
実施報告書(平成 22、23 年度採用課題用)
1. 拠点機関
日 本 側 拠 点 機 関 :
京都大学大学院工学研究科
マレーシア側拠点機関:
マラヤ大学
2.研究交流課題名
(和文)
: リスク評価に基づくアジア型統合的流域管理のための研究教育拠点
(交流分野: 工学
)
(英文)
:Research and Education Center for the Risk Based Asian Oriented Integrated
Watershed Management
(交流分野: Engineering )
研究交流課題に係るホームページ:https://www.t.kyoto-u.ac.jp/acore/ja
3.採用期間
平成 23 年 4 月 1 日~平成 28 年 3 月 31 日
(3 年度目)
4.実施体制
日本側実施組織
拠点機関:
実施組織代表者(所属部局・職・氏名):大学院工学研究科・研究科長・北野正雄
コーディネーター(所属部局・職・氏名)
:大学院工学研究科・教授・清水芳久
協力機関:徳島大学、立命館大学、独立行政法人国立環境研究所、近畿大学、岡山大学、
滋賀大学、甲南大学
事務組織:大学院工学研究科 事務部
相手国側実施組織(拠点機関名・協力機関名は、和英併記願います。)
国名:マレーシア
拠点機関:
(英文)Universiti Malaya
(和文)マラヤ大学
コーディネーター(所属部局・職・氏名):(英文)Research Cluster “Sustainability
Science” ・ Professor ・ Nik Meriam NIK
SULAIMAN
協力機関:
(英文)Universiti Kebangsaan Malaysia・Universiti Teknologi Malaysia・
Universiti Malaysia Sabah
(和文)マレーシア国民大学・マレーシア工科大学・マレーシアサバ大学
経費負担区分:パターン2
5.研究交流目標
5-1.全期間を通じた研究交流目標
アジアでは現在、急速な経済発展のため様々な環境問題が噴出していると同時に社会基
盤の発展だけでなく、その環境整備に努力する余裕も生まれつつあり、これは日本がこの
数十年において対応してきたことを、極めて短期間で経験・対応しようとするものである。
特に流域管理・リスク管理という点においては、アジア諸国はまだまだ整備が遅れており、
人の衛生的環境の確保が不十分である地域も多い。本事業では、JSPS 拠点大学交流事業「環
境科学」
(平成 12 年度〜21 年度)で培ったネットワークを活かし、より発展させるために、
特に流域管理と化学物質リスク評価に注目し、アジアの気候特性、生活形態、文化などに
重点をおいて、流域における課題を洗い出し、水文、水質、有害化学物質リスクおよびガ
バナンスをめぐる評価方法・知識ベースを構築するとともに、地球温暖化に伴う異常気象
にも耐えうる衛生的流域環境の実現を目指す。将来的には、本事業が先駆的な成功モデル
となり、熱帯や半乾燥地帯・乾燥地帯にある東南・東アジア各国での「リスク評価に基づ
く統合的流域管理」の重要性認識が高まり、拡張することが可能な拠点形成を目標とする。
本事業では、これまで多くの水環境問題を解決し、リスク評価・流域管理システムを構
築してきた日本の知識をマレーシアの研究者と共有するとともに、日本では経験できない
異なる気候・文化圏での問題を対象として情報共有し共同研究を実施することで、新たに
発生することが予測される重要な課題に対しての解決策を見いだす。交流期間を通じて、
アジア型の「リスク評価に基づく統合的流域管理(Risk Based Integrated Watershed
Management)
」の学問としての体系化を図り、研究者・技術者育成のための教育プログラ
ムを作成し、育成した若手を次世代の指導者とすることで、継続的な研究・人材育成が可
能なリソースを築くことも目標とする。
5-2.平成25年度研究交流目標
•
研究協力体制の構築
本事業のマレーシア側の運営は、2010 年にマラヤ大学内に設立した京都大学マレー
シア拠点オフィスで行っている。京都大学の研究員 1 名が駐在し、またマラヤ大学の
研究員およびリサーチアシスタントが常駐している。本拠点オフィスを通じて、日本—
マレーシア間の情報の共有・伝達がスムーズに行え、共同研究を進めている。さらに、
京都大学のメーリングリストシステムを利用して、全参加者にシンポジウムやワーク
ショップ、グループ会議の日程や内容、議事録を共有することで、各参加者が進捗状
2
況を確認できるようになっている。日本—マレーシア間そして各研究者間のコミュニケ
ーションがスムーズに取れる体制が整っている。
京都大学マレーシア拠点オフィスは、2013 年 3 月にマラヤ大学新校舎内へ移転した。
マラヤ大学側のアレンジにより、オフィスの面積と機能をさらに充実させた。平成 25
年度は、この拠点オフィス内に、本事業を通じて各グループにより収集・整理される
様々な情報を蓄積するためのシステムを導入する。本事業参加者にこの情報へアクセ
ス可能な ID とパスワードを供給し、参加者全員での情報の共有・利用を図る。これに
よりさらなる共同研究の進展が期待される。
本事業の進展には、マレーシア灌漑排水局(DID)やマレーシア国立水文研究所
(NAHRIM)等の政府機関および地域コミュニティとの連携が不可欠である。平成
24 年度は DID と NAHRIM を包括シンポジウム等に招待し、
本事業の周知を図った。
平成 25 年度もシンポジウムやセミナー等への参加をお願いし、これらの外部機関との
ネットワーク構築を進めていく予定である。
•
学術的観点
日本とマレーシア双方の環境リスクと流域管理に関する知見の共有、若手研究者や
マレーシア政府や自治体への情報提供を目的としたテキストブックを、平成 25 年度に
編集・出版する。
平成 23、24 年度に引き続き、第 3 回包括シンポジウムを平成 25 年 10 月 28 日と
29 日に京都大学宇治キャンパス防災研究所にて開催する。両国より 100 名程度の参加
者を予定している。若手研究者を中心とした研究発表、研究グループ別ディスカッシ
ョンに加えて、日本の環境リスク管理や統合的流域管理の状況に関する基調講演を計
画する。得られた成果は、Proceeding で発刊する。
このほか、平成 25 年度は各グループそれぞれでワークショップ、グループ会議、セ
ミナー等を開催し、学術交流を行なう。
平成 24 年度は、本事業関連の発表論文総数 10 本(相手国参加研究者との共著 2 本
を含む)があったが、これらのうち数本の論文について本事業名が記載されていなか
ったため、本研究交流事業により発表された論文とすることができなかった。平成 25
年度は、このようなことが再び発生しないように、両国の本事業参加者に周知を徹底
する。
•
若手研究者育成
若手研究者に研究発表やディスカッションの機会を数多く設け、異文化の体験や英
語でのコミュニケーションを経験することにより、今後益々増えていく国際学術交流
や国際共同研究を遂行できる若手研究者の育成に貢献する。具体的には、平成 25 年度
も前年度に引き続き、第 3 回包括シンポジウムや各グループの活動を通じて、日本—
マレーシア双方の若手研究者に研究発表や相手国研究者とのディスカッションの機会
を積極的に提供する。また、平成 25 年度に実施する各グループのワークショップ、グ
ループ会議、セミナー等への若手研究者の参加を奨励し、学術交流を行ない、若手研
究者同士の積極的な交流を促す。
3
また、日本とマレーシア双方の流域管理に関する知見の共有、若手研究者、マレー
シア政府や自治体への情報提供を目的としたテキストブックを、出版する。
6.平成25年度研究交流成果
(交流を通じての相手国からの貢献及び相手国への貢献を含めてください。)
6-1 研究協力体制の構築状況
本事業のマレーシア側の運営は、前年度に引き続き、2010 年にマラヤ大学内に設立した
京都大学マレーシア拠点オフィスで行った。設立当時は 2 名用の小さなオフィスであった
が、
本事業やその他の交流事業の拡大に伴い、
2013 年 3 月にマラヤ大学新校舎内へ移転し、
20 名程度を収容できる大きなオフィスとなった。マラヤ大学のアレンジにより会議用デス
ク、遠隔会議システム、来客者用デスクとパソコン、資料の収容棚と展示スタンド等を完
備させ、オフィスの機能を最大限に充実させた。オフィスの基本的な運営はマラヤ大学の
スタッフが担当し、日本側研究者のマレーシア訪問の滞在手続きと、マレーシア側研究者
の日本への渡航手続きのアレンジを行うほか、京都大学のメーリングリストシステムを利
用して、参加者全体に本事業の日程や内容の周知を行っている。さらに、本事業に参加し
ている日本学術振興会海外特別研究員 1 名が現在、マラヤ大学で研究を遂行しており、両
国間の連携にまつわる詳細な議論が必要となった場合は、この研究員がカウンターパート
との直接的な議論を行うことで、両国間の情報の共有・伝達をスムーズに行っている。こ
のように、両国間そして各研究者間のコミュニケーションと情報共有がスムーズに取れる
研究協力体制が十分に整い、カウンターパートとの共同研究を滞りなく進めることができ
た。特に、平成 25 年 9~12 月に実施した京都大学大学院生のマレーシア長期派遣において
は、京都大学マレーシア拠点オフィスを通じてマレーシアの研究者と研究計画を事前に綿
密に練り、研究試薬や消耗品などの細かな部分も事前に確認することができたことにより、
共同研究を無事に遂行することができた。
本事業で使用された講義資料や電子ファイル・データは、本オフィスに全て保管してお
り、本事業の参加者が自由に閲覧できるリポジトリとしての機能も加わった。これまでの
交流事業の資料も保管され、日本式にアレンジされたオフィスの空間は、日本の研究者が
マラヤ大学に訪問する際に気軽に立ち寄ることができる。マレーシアの研究者間でも、本
オフィスを研究討論の場、そして研究成果の集約の場として大いに活用しており、両国間
の共同研究において欠かすことのできない重要な研究教育拠点へと発展した。
6-2 学術面の成果
平成 25 年度は、過去 2 年間で確立したマレーシア側との協力体制を活用し、マレーシア
側研究者との共同研究を積極的に進めた。水質グループと環境リスクグループに所属する
京都大学の大学院生 5 名をマラヤ大学へ 1~3 ヶ月間派遣(別経費による派遣を含む)し、マ
ラヤ大学の研究施設を使用して共同実験を行った。この長期滞在を通じて、本事業の研究
対象とするマレーシアの 3 流域における環境試料のサンプリングや水質分析を行い、水質
4
解析に不可欠なデータを取得することができたほか、濁水、生活排水の流出、ごみの不法
投棄等、対象流域にて顕在化する水環境問題を写真に収めて日本側研究者と共有すること
ができた。また、内分泌攪乱物質の河川中分析をマレーシア側の大学院生と共同で行い、
都市部での濃度が農村部と比較して高く分布していることを明らかにした。さらに、マレ
ーシア側の研究者を通じて、マレーシア天然資源環境省環境局(DOE)を始めとしてマレ
ーシア灌漑排水局(DID)やマレーシア国立水文研究所(NAHRIM)等から対象流域全体
の水質モニタリングデータを過去数十年にさかのぼり提供していただいた。これにより、
水質の現状と変遷を把握することができ、研究対象流域に顕在化する水環境問題が浮き彫
りとなった。このように、平成 25 年度は流域解析に必要な数々のデータを取得することが
でき、対象流域の水質や環境リスクを解析・予測するための準備を整えることができた。
さらに、マラヤ大学病院からヒトサンプルを提供していただくことが倫理委員会の承認の
下に決定し、年度後半から妊婦の血液、臍帯血、尿、母乳の採取が開始された。マレーシ
アにおけるヒトサンプル中の有害化学物質の分析報告は少なく、マレーシア国民を対象と
した有害化学物質の曝露量推定や健康リスク評価は未解明な部分が多い。次年度は採取し
たサンプルの分析を進める予定であり、流域中に存在する有害化学物質のマレーシア国民
への健康影響とその対策案を、政策への提言の一つとして含めることも大いに期待できる。
平成 23、24 年度に引き続き、第 3 回包括シンポジウムを平成 25 年 10 月 28 日と 29 日
に京都大学宇治おうばくプラザにて開催した。日本側より 49 名、マレーシア側より 45 名
の本事業参加者に加え、京都大学の学生や企業関係者も参加し、100 名を超える盛大なシン
ポジウムとなった。滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの佐藤祐一研究員により琵琶湖の
水環境の歴史や現在の水質保全に関する招待講演がなされ、琵琶湖流域の水環境にまつわ
る経験と課題をマレーシアの研究者と共有した。マレーシアの研究者から多数の質問が寄
せられ、特に地域コミュニティが自発的に行う水質保全活動や地域住民の協力体制は、ど
のようになされているのかに関して追及された。マレーシアは連邦制であるため、州をま
たぐ流域では特に、流域管理の在り方に関する行政の対応が異なるケースも珍しくない。
また、地域住民主導の水質保全活動も希有であり、琵琶湖流域で継続的に行われている市
民活動は、マレーシアの研究者に大きなインパクトを与えることとなった。この後、水文
グループ日本側リーダーの中北英一防災研究所教授とガバナンスグループ日本側リーダー
の中村正久滋賀大学環境総合研究センター教授による基調講演が行われた。それぞれ日本
の最新レーダーによる洪水予測システムの紹介や、世界の事例を含めた統合的湖沼流域管
理とガバナンスの内容が説明された。質疑応答では、マレーシアでの適用に向けたコスト
面や技術面での具体的な内容から、マレーシアのガバナンス体制において進むべき流域管
理の在り方について議論が展開された。今後、これらの日本の知識と経験を如何にマレー
シアの流域で展開するかがカギとなり、マレーシアの政府機関との協力体制をさらに深め、
政策への提言につなげていくことの必要性を強く認識した。尚、第 3 回包括シンポジウム
における発表内容は Proceeding で発刊し、参加者全員とマレーシアの政府機関へ送付した。
平成 25 年度より、日本とマレーシア双方の環境リスクと流域管理に関する知見の共有、
若手研究者やマレーシア政府・自治体への情報提供を目的としたテキストブックの作成を
進めた。一冊目は、水文、水質、環境リスク、ガバナンスに関する基本的知見と事例紹介
をまとめた内容に決定し、各グループの執筆者から草稿を提出していただいた。現在は編
集段階に入っており、平成 26 年度内には国際的な学術出版社である Springer を通じて出
5
版を予定している。さらに、それぞれのグループで詳細な科学的知見とマレーシアでの研
究事例を組み合わせたテキストブックの出版を計画しており、グループ会議やワークショ
ップを通じて目次や執筆者の検討を行った。マレーシアでの研究成果をモデルケースとし
て、将来的に東南アジア諸国でも活用できる汎用性の高いテキストブックの作成を目標と
している。
6-3 若手研究者育成
これまでのマレーシアの研究者との交流において、水文や水質における実測データと解
析スキルの不足が浮き彫りとなった。これを鑑み、平成 25 年度は京都大学の大学院生 5 名
をマラヤ大学へ長期派遣し、実測データを取得するべく共同実験を遂行した。言語や文化
の異なる生活環境の中、学生自身で対応し、現地の研究者や大学院生と研究を遂行するこ
とは簡単な事ではなく、5 名の学生にとっては今後の人生でも活用できる貴重な経験となっ
た。また、マレーシアの大学院生にとっても日本からの学生との共同研究は大きな刺激と
なった。河川水のサンプリングや水質分析、有害化学物質の定量分析を一緒に行う中で、
実験手法や解析手法を学び、新たな知識やスキルを習得することができた。研究熱心な京
都大学の派遣学生に触発され、マレーシアの大学院生も夜遅くまで一緒に実験を進めたこ
とが報告されており、研究の進捗のみならず、英語での議論によるコミュニケーション能
力の向上や、研究意欲の向上も図れることを再認識することができた。外部研究資金の獲
得により次年度も学生の長期派遣が可能であり、今後も積極的に京都大学の大学院生を派
遣して共同研究を進めて行くとともに、若手研究者の育成にも寄与することにしている。
第 3 回包括シンポジウムでは、ポスターセッションを開催し、両国の大学院生や若手研
究者を中心に 74 件のポスターが掲載された。英語での活発なディスカッションがセッショ
ン終了時まで繰り広げられ、両国のコーディネーターとグループリーダーによる採点によ
り、若手研究者が発表したポスターの中から 12 件のポスターが表彰された。受賞者以外の
発表者全員にも参加賞が贈られ、若手研究者の研究意欲を掻き立てる刺激的なポスターセ
ッションとなった。
6-4 その他(社会貢献や独自の目的等)
京都大学マレーシア拠点では、2011 年 8 月より「京都大学-マラヤ大学 ニュースレター」
を 4 カ月毎に発刊している。平成 25 年度終了時点で計 8 巻のニュースレターが出版され、
京都大学、マレーシア各大学、マレーシア教育省、その他の関連機関へ郵送して本事業の
内容を積極的に社会へ発信した。平成 24 年度までは、グローバル COE プログラム「アジ
ア・メガシティの人間安全保障工学拠点」、科学技術戦略推進費 戦略的環境リーダー育成
拠点形成事業「環境マネジメント人材育成国際拠点」と本事業に関する記事を掲載してい
たが、上記二事業が終了したことに伴い、平成 25 年度は本事業の共同研究や交流事業の記
事を重点的に掲載した。今後も継続して本事業の成果を掲載する予定である。
6-5 今後の課題・問題点
本事業が掲げるアジア型の統合的流域管理を実現するためには、マレーシアの政府研究
6
機関との協力体制の構築が不可欠である。特に、マレーシアの河川管理を主として担うマ
レーシア灌漑排水局(DID)
、マレーシアの環境モニタリング情報を集積していているマレ
ーシア国立水文研究所(NAHRIM)
、マレーシア全流域で河川の水質モニタリングを行って
いるマレーシア天然資源環境省環境局(DOE)との協力体制を築くことが今後の最重要課
題である。これまでに、包括シンポジウムやワークショップに各政府機関を招待して、意
見交換や本事業の周知を図ることができているが、各グループおよび各流域の研究成果が
整理できていない点や、政策への提言に結び付けるほどの政府機関との協力体制が十分に
築けていない点が挙げられる。今後は各グループが一体となって本事業の研究成果を対象
流域毎に整理し、その成果を政策への提言へと結びつけられるよう、政府機関との更なる
協力体制を築く必要がある。
本事業開始から 3 年が経過し、共同研究が着実に進展しているものの、研究成果を論文
発表や学会発表により社会に還元するまでには至っていない。これは、政府機関からの水
文、水質データの取得に予想以上の時間がかかったこと、ならびにマレーシア側研究者が
有する実測データが不足していたことにより、日本側が有する知識やスキルを効果的に生
かすことができず、国際雑誌への投稿を見据えた草稿の作成まで中々たどり着くことがで
きなかったことが挙げられる。しかしながら、平成 25 年度は京都大学大学院生のマレーシ
ア滞在により多くの実測データを取得できたこと、さらには DID、NAHRIM、DOE から
水文、水質データを提供していただいたことにより、論文投稿へ向けた十分なデータを揃
えることができた。今後は、これまでの遅れを取り戻すべく、データの解析を慎重に進め
てより多くの研究成果を社会へ還元できるよう、マレーシアの研究者との共同研究をより
一層奨励してゆく。
6-6 本研究交流事業により発表された論文
平成25年度論文総数
相手国参加研究者との共著
4 本
1 本
(※ 「本事業名が明記されているもの」を計上・記入してください。)
(※ 詳細は別紙「論文リスト」に記入してください。
)
7
7.平成25年度研究交流実績状況
7-1 共同研究
整理番号
R-1
研究課題名
研究開始年度
平成 23 年度
研究終了年度
平成 27 年度
(和文)気候変動を考慮した災害予測と流域水文解析(水文グループ)
(英文)Disaster prediction and hydrological evaluation in watershed
caused by climate change (Hydrology Group)
日本側代表者
(和文)中北英一・京都大学防災研究所・教授
氏名・所属・職
( 英 文 ) Eiichi Nakakita, Kyoto University, Disaster Prevention
Research Institute, Professor
相手国側代表者
(英文)Zulkifli Yusop, Universiti Teknologi Malaysia, Faculty of
氏名・所属・職
Civil Engineering, Professor
参加者数
日本側参加者数
16 名
マレーシア側参加者数
28 名
25年度の研究
交流活動
水文グループでは、両国のグループリーダーを中心として ASEAN
University Network の
「Collaborative Research Program for Common
Regional Issues 2013」へ応募し,採択された。
「Watershed level
assessment of climate change and land use on future water security」
の研究テーマで,京都大学,マレーシア工科大学,インドネシアスラバ
ヤ工科大学が連携して、2 年間の国際共同研究を行うことになった。
具体的な共同研究活動として、京都大学のキムスンミン准教授が平成
25 年 11 月 11~16 日に別経費によりマレーシア工科大学 Zulkifli Yusop
教授の研究グループを訪問し,気候変動影響評価に関する講演を行うこ
とと共に、ジョホール川流域を視察し,対象流域の観測データと情報収
集を行った。また,平成 26 年 3 月 10~12 日にマレーシア工科大学の
Muhamad Askari 講師及び Zuhdi Ismail 修士課程学生が別経費により
京都大学防災研究所を訪問し,中北英一教授およびキムスンミン准教授
による集中トレーニングコースに参加した。集中トレーニングコースで
は,気候変動を考慮した水資源影響評価のためのモデリングおよびデー
タ解析に関する実習を行い,マレーシアの対象流域であるジョホール川
流域に対して分布型水文モデルを作成し,気候モデルからの出力を用い
た将来水資源影響評価を修得した。
8
25年度の研究
平成 25 年度は実務的な共同研究を企画し,マレーシアとの連携を基
交流活動から得
にインドネシアを含めた 3 か国の研究ネットワークを構築した。その中
られた成果
で、活発な研究交流をさらに加速させ,マレーシアの大学院生への実務
的な水文モデリングや水文データ解析の指導を本格的に行った。
将来的には、流域を対象とした気候変動影響評価に関して、日本の経
験および知識をマレーシアだけでなく東南アジア諸国へ提供すること
が望まれる。平成 25 年度はインドネシアとの研究協力体制を築くこと
ができ、気候変動の将来影響も考慮したアジア型の統合的流域管理を東
南アジア諸国全体へ提案するための足掛かりを築くことができた。
9
整理番号
R-2
研究課題名
研究開始年度
平成 23 年度
研究終了年度
平成 27 年度
(和文)政策シナリオ導入による流域環境改善の定量評価と将来予測
(水質グループ)
( 英 文 ) Quantitative prediction and evaluation of watershed
environment with policy scenarios (Water Quality Group)
日本側代表者
(和文)清水芳久・京都大学大学院工学研究科・教授
氏名・所属・職
( 英 文 ) Yoshihisa Shimizu, Kyoto University, Graduate School
Engineering, Professor
相手国側代表者
( 英 文 ) Md Ghazaly Shaaban, Univerisiti Malaya, Faculty of
氏名・所属・職
Engineering, Professor
参加者数
日本側参加者数
23 名
マレーシア側参加者数
37 名
25年度の研究
交流活動
平成 25 年 9 月 23~27 日に、マレーシアの研究者 10 名が京都大学と
立命館大学を訪問し、地理情報システム(GIS)と水質モデル(SWAT、
BASIN)のトレーニングワークショップを開催した。マレーシアの研究
者が帰国後に独立して解析を進められるための知識とスキルを共有す
べく、モデルの基礎知識と基本的な解析手法を中心に説明した。
平成 25 年 11~12 月の 1 ヶ月間、京都大学の大学院生 2 名と別経費
により学部生 1 名がマラヤ大学に長期滞在し、研究対象 3 流域の水質調
査をマレーシアの研究者と共同で行った。リンや窒素、濁度、大腸菌等
の一般水質指標を、対象流域の上流域から下流域まで包括的に測定し、
水質汚染の現状を明らかにした。
平成 26 年 2 月 3~4 日に、マレーシア工科大学でワークショップを開
催した。ジョホール川流域のステークホルダーを招待し、ジョホール川
の水環境問題を講演していただき、マレーシアの研究者と意見交換を行
った。また、水質グループで出版を計画しているテキストブックの執筆
者や内容の検討を行った。
このほか、遠隔会議システムを利用して大学間での水質グループ会議
を定期的に開催した。トレーニングワークショップの内容の共有、共同
研究の成果発表、テキストブックの進捗状況等を行い、グループ内の情
報共有を徹底した。
10
25年度の研究
平成 25 年度に実施した対象 3 流域での水質分析では、3 流域ともに濁
交流活動から得
水が上流域から流出し、大腸菌が流域全体で高濃度で検出された。また、
られた成果
未処理の生活排水や畜産排水の河川への流入、ハウジングや山砂利採取
による広範囲の土地開発を実際に見て確認することができ、これらの水
環境問題を写真に収めて日本側研究者と共有することができた。これに
より、人為的な水質汚染の寄与が大きいことが明らかとなり、今後の流
域解析やガバメントへの具体的な対策案の提示のために、貴重な情報を
得ることができた。さらに、マレーシア側の研究者を通じて、マレーシ
ア天然資源環境省環境局(DOE)を始めとしてマレーシア灌漑排水局
(DID)やマレーシア国立水文研究所(NAHRIM)等から対象流域全
体の水質モニタリングデータを過去数十年にさかのぼり提供していた
だいた。これらのデータを水質シミュレーションモデルに内挿して解析
することにより、気候変動や土地利用の変化に伴う水質への影響を検討
することが可能となった。
これまでの両国の研究交流から、GIS や SWAT、BASIN 等の水質解
析ソフトを使用できるマレーシアの研究者が限られていることが分か
った。平成 25 年 9 月に日本で開催したトレーニングワークショップは、
将来的にマレーシアの研究者自身で水質解析を行うことを可能にする
ため、若手研究者を中心に知識と技術の共有を目的とした。平成 24 年
度も同様のワークショップを開催しており、水質解析を実践できるマレ
ーシアの研究者を着々と養成してきている。共同研究による実測データ
とカウンターパートからのモニタリングデータの提供により水質解析
に十分なデータが揃っており、今後は詳細な水質解析を予定している。
11
整理番号
R-3
研究課題名
研究開始年度
平成 23 年度
研究終了年度
平成 27 年度
(和文)有害化学物質の環境動態評価とスクリーニング手法確立(環境
リスクグループ)
( 英 文 ) Fate prediction of toxic chemicals in watershed and
formulation of their screening methodologies (Environmental Risk
Group)
日本側代表者
(和文)米田 稔・京都大学大学院工学研究科・教授
氏名・所属・職
( 英 文 ) Minoru Yoneda, Kyoto University, Graduate School
Engineering, Professor
相手国側代表者
( 英 文 ) Mazlin Bin Mokhtar, Universiti Kebangsaan Malaysia,
氏名・所属・職
Professor, Institute for Environment & Development, Professor
参加者数
日本側参加者数
32 名
マレーシア側参加者数
38 名
25年度の研究
交流活動
平成 25 年度は、環境リスクグループが構成する河川水質管理、大気
質管理、固形廃棄物管理、バイオセンサー開発、環境教育と環境活動参
加の 5 つのサブグループがそれぞれ共同研究を行った。河川水質管理と
大気質管理グループでは、平成 25 年 9~12 月の 3 ヶ月間、3 名の大学
院生をマラヤ大学へ派遣し、セランゴール川流域とランガット川流域に
て河川水、底質、大気中粒子状物質のサンプリングを行い、内分泌攪乱
物質や重金属の定量分析を行った。また、マラヤ大学病院と交渉し、倫
理委員会の承認の下、妊婦の血液、尿、母乳、臍帯血のサンプリングを
平成 26 年 1 月より開始した。
固形廃棄物管理グループでは、平成 25 年 12 月に、マラ工科大学と共
同して廃棄物固形燃料プラントでの大気中水銀排出濃度の測定を行っ
た。バイオセンサー開発グループでは、マレーシア国民大学の大学院生
を岡山大学へ招聘し、対象流域で適用できるバイオセンサーの開発を進
めた。さらに、ランガット川流域の河川水をサンプリングし、バイオセ
ンサーの適用可能性について検証を進めた。環境教育と環境活動参加グ
ループでは、ガバナンスグループと共同して地域住民と交流し、パック
テストや簡易水質キットを紹介して地域住民の理解を深めた。
平成 25 年 10 月 30、31 日に、マレーシアの研究者 3 名が京都大学の
米田稔教授と松田知成准教授を訪問し、LC/MS/MS を用いた定量分析方
法や、リスク評価手法を習得した。また、平成 26 年 2 月 22 日~3 月 2
日に、近畿大学の東賢一講師と萬羽郁子助教授がマレーシアへ滞在し、
マレーシア国民大学の Mohd Talib Latif 准教授と共同で 11 軒の住宅にて
室内環境測定を行った。
12
平成 26 年 2 月 20 日に、環境リスクグループのワークショップをマレ
ーシア国民大学にて開催した。京都大学の米田稔教授、高岡昌輝教授、
岡山大学の森泉助教授が訪問し、マレーシア側のメンバーと共同研究の
進捗状況の報告や、環境リスクグループが出版するテキストブックの執
筆者と内容の検討を行った。
25年度の研究
平成 25 年度は外部研究資金の獲得により京都大学の大学院生をマレ
交流活動から得
ーシアへ長期派遣することができるようになったため、積極的に共同研
られた成果
究を進めた。河川水質管理と大気質管理グループでは、有害化学物質の
環境中濃度やヒトサンプル中の濃度が非常に限られているため、マレー
シアの研究者と共同で河川水、底質、粒子状物質、ヒトサンプルのサン
プリングと有害化学物質の定量分析を進めることに注力した。これまで
の定量分析で、有機フッ素化合物が都市部を中心に分布し、粒子状物質
中に多環芳香族炭化水素が存在することを明らかにした。今後は環境動
態モデルを用いてこれらの定量データを解析し、対象流域中の環境動態
を検討する。また、ヒトサンプルの採取も着実に進んでおり、これまで
に約 20 検体の血液、臍帯血、尿をマラヤ大学病院より提供していただ
いた。今後もサンプルの採取を継続的に行い、これらのサンプル中に含
まれる有害化学物質の定量分析を行い、定量データを体内動態モデルに
内挿して解析することで、曝露量の推定とマレーシア国民の健康リスク
評価を実践する。
固形廃棄物管理グループでは、平成 23、24 年度に行った石炭火力発
電所やごみ焼却施設に引き続いて、廃棄物固形燃料プラントでの水銀排
出濃度の測定を行った。マレーシアでは水銀の生産量、使用量、輸送量、
廃棄量などのデータがなく、水銀の排出量や環境中濃度が未知であるこ
とから、水銀排出が予想される現場での測定を行い、マレーシアにおけ
る水銀排出のインベントリーを作成することを進めている。特に、水銀
を含む廃棄物の処理は曖昧な部分が多く、ごみの不法投棄現場からの水
銀排出も懸念され、今後も対象流域を中心に継続して現場測定を進めて
行く予定である。
バイオセンサー開発グループでは、岡山大学の森泉准教授とマレーシ
ア国民大学の Lee Yook Heng 教授が共同でバイオセンサーの開発を進め
た。Lee 教授の大学院生を岡山大学へ派遣し、森准教授の指導の下にバ
イオセンサーの技術提供を行った。現在は、ランガット川流域の河川水
を用いて開発したバイオセンサーの適用性を検証中である。マレーシア
の河川は濁度が非常に高く、測定精度に影響を及ぼすことも考えられ、
今後は測定精度の向上に向けてさらなる検証実験を進める予定である。
環境教育と環境活動参加グループでは、セランゴール川下流域で生活
13
する住民を対象に、簡易水質調査の紹介を行った。日本の地域住民参加
型の水質調査では、パックテストを用いた流域中の水質マップを作成
し、住民の理解と水質保全に対する意識向上を効果的に促している。マ
レーシアではこのような取り組みがなく、簡易水質調査の紹介は地域住
民やマレーシアの研究者からも大きな反響を得た。今後もガバナンスグ
ループと共同して地域住民との交流を進めて行く予定である。
14
整理番号
R-4
研究課題名
研究開始年度
平成 23 年度
研究終了年度
平成 27 年度
(和文)統合的流域管理のための知識データ収集とガバナンス構造分析
(ガバナンスグループ)
( 英 文 ) Knowledge data collection for integrated watershed
management and analysis of governance structure (Governance
Group)
日本側代表者
(和文)中村正久・滋賀大学環境総合研究センター・特任教授
氏名・所属・職
(英文)Masahisa Nakamura, Shiga University, Research Center for
Sustainability and Environment, Special full-time Professor
相手国側代表者
( 英 文 ) Azizan Baharuddin, Universiti Malaya, Centre for
氏名・所属・職
Civilisational Dialogue, Professor
参加者数
日本側参加者数
23 名
マレーシア側参加者数
62 名
25年度の研究
交流活動
平成 25 年 5 月 12~17 日に、マレーシア国民大学の Mazlin Mokhtar
教授と Lee Jing 研究員が、滋賀大学の中村正久教授らにより国際湖沼
環境委員会で開催した国際越境水域評価プログラム(TWAP)に参加し
た。各国から専門家が集い、自国における気候変動の影響などを含む河
川・湖沼管理の取組や国際越境流域の現状と課題について議論した。
平成 25 年 7 月 8~11 日に、滋賀大学の中村正久教授と国際湖沼環境
委員会の松本聰参事がクアラルンプールを訪問し、マレーシア国立水文
研究所(NAHRIM)との共催で TWAP 東南アジア専門家セミナーおよ
び専門家会合を開催した。中村教授により本事業の紹介と説明が行わ
れ、NAHRIM のメンバーへの本事業の周知と理解を求めた。
平成 25 年 10 月 30、31 日に、マレーシアの研究者 4 名が滋賀大学の
中村正久教授を訪問し、琵琶湖の歴史や現在の水質保全活動、琵琶湖総
合保全整備計画(マザーレイク 21 計画)についての説明を受けた。ま
た、琵琶湖博物館や草津市の市民団体を訪問し、琵琶湖にまつわる歴史
や経験、ホタルの保護活動、住民の暮らしを描いたアートワークについ
て学んだ。
マラヤ大学の Zeeda Fatimah Mohamad 講師らにより、滋賀大学の
中村正久教授の助言の下、ハードウェアとソフトウェアをつなぐ「ハー
トウェア」をテーマにした流域管理プロジェクトに着手した。ホタルが
生息するセランゴール川下流域の住民を対象に、地元住民が持つ共通の
「価値」を懸け橋とした住民対話型の流域管理システムの形成を目指
し、
マラヤ大学の研究者が 1 週間現地に滞在してインタビューを行った。
ガバナンスグループ会議をグループリーダーの Azizan Baharuddin
15
教授の主導で毎月開催し、参加者それぞれの進捗状況の報告と、ガバナ
ンスメンバーの研究成果をまとめたモノグラフの作成を検討した。
25年度の研究
平成 24 年度にマレーシアの研究者と訪問した矢作川流域に引き続き、
交流活動から得
平成 25 年度は琵琶湖博物館や草津市の市民団体をマレーシアの研究者
られた成果
と訪問し、琵琶湖にまつわる水環境問題や水質保全活動の実態を共有す
ることができた。また、第 3 回包括シンポジウムでは滋賀県琵琶湖環境
科学研究センターの佐藤祐一研究員により琵琶湖の水環境の歴史や地
域コミュニティ主導の水質保全活動が説明され、日本が歩んできた流域
管理の成功事例と課題をマレーシアの研究者と共有することができた。
滋賀大学の中村正久教授が提唱する「ハートウェア」の概念は、マレ
ーシアのガバナンスグループメンバーに早速取り入れられた。マラヤ大
学の Zeeda Fatimah Mohamad 講師主導の下、セランゴール川下流域
で生活する住民を対象に地域住民が共有する文化・生活・習慣・宗教等
の「価値」を見出し、その価値を統合的流域管理のための重要な要素と
して提示するための取り組みが行われている。今後はこの地域住民対話
型のアプローチに加え、他の 3 グループの研究成果を整理してマレーシ
アにおける統合的流域管理のあり方を模索し、政策への提言を明示する
ことが必要となる。
16
7-2 セミナー
整理番号
S-1
セミナー名
(和文)日本学術振興会アジア研究教育拠点事業「リスク評価に基
づくアジア型統合的流域管理のための研究教育拠点」第 3 回包括シ
ンポジウム
( 英 文 ) JSPS Asian Core Program 3rd Comprehensive
Symposium of “Research and Education Center for the Risk
Based Asian Oriented Integrated Watershed Management”
平成 25 年 10 月 28 日 ~
開催期間
平成 25 年 10 月 29 日(2 日間)
開催地(国名、都市名、 (和文)日本、京都府宇治市、京都大学宇治おうばくプラザ
会場名)
(英文)Japan, Uji City, Uji Obaku Plaza, Kyoto University
日本側開催責任者
(和文)清水芳久・京都大学大学院工学研究科・教授
氏名・所属・職
(英文)Yoshihisa Shimizu, Kyoto University, Graduate School
Engineering, Professor
相手国側開催責任者
(英文)
氏名・所属・職
(※日本以外で開催の場合)
参加者数
派遣先
セミナー開催国
( 日本 )
派遣
日本
<人/人日>
マレーシア
<人/人日>
A.
B.
A.
49/ 74
36
45/ 192
B.
A.
<人/人日>
合計
<人/人日>
B.
A.
94/ 266
36
B.
※備考:日数は、四半期交流状況報告
書と同様に本事業経費使用の出張期
間。
A. 本事業参加者(参加研究者リストの研究者等)
B. 一般参加者(参加研究者リスト以外の研究者等)
※日数は、出張期間(渡航日、帰国日を含めた期間)としてください。これによりがたい
場合は、備考欄を設け、注意書きを付してください。
17
セミナー開
催の目的
本事業の参加研究者が出席し、各研究グループの研究教育の進捗状況についての情報交
換を行う。また、各研究グループで研究教育を進めて行く上で考慮しなければならない問
題を全員で整理・共有し、本事業に必要な各研究グループ間の有機的な融合を図る。さら
に、平成 25 年度のセミナーは、若手研究者・技術者による発表の場となるようなセッシ
ョンを計画する。また、日本の環境リスク管理や統合的流域管理の状況に関する基調講演
や現場視察も計画する。
セミナーの
成果
1 日目の午前は、はじめに両国のコーディネーターより本事業の進捗状況の総括がなさ
れ、両国でこれまでに開催した交流事業をまとめたビデオを上映し、参加者全員と共有し
た。次に、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの佐藤祐一研究員により琵琶湖の水環境の
歴史や現在の水質保全に関する招待講演がなされ、琵琶湖の水環境にまつわる経験と課題
をマレーシアの研究者と共有した。昼食後は、ポスターセッションを開催し、両国の大学
院生や若手研究者を中心に、74 件のポスターが掲載された。両国のコーディネーターと
グループリーダーによる採点により、若手研究者が発表したポスターの中から 12 件のポ
スターが表彰された。午後は、水文グループ日本側リーダーの中北英一防災研究所教授と
ガバナンスグループ日本側リーダーの中村正久滋賀大学環境総合研究センター教授によ
る基調講演が行われた。日本の最新レーダーによる洪水予測システムの紹介や、世界の事
例を含めた統合的湖沼流域管理とガバナンスの内容が説明された。
2 日目の午前は、各グループが 4 部屋に分かれてグループディスカッションを行った。
前回の包括シンポジウムからの進捗状況の報告と、今後のグループ活動内容を議論した。
議論後は各グループより若手研究者が 1 名ずつ指名され、議論の成果を参加者全員の前
で発表した。この包括シンポジウムにおける発表内容は Proceeding で発刊し、参加者全
員とマレーシアの政府機関へ送付した。
セミナーの
日本側責任者:清水芳久(京都大学)
運営組織
事務局代表:松田知成(京都大学)
運営委員:清水芳久、米田稔、中北英一、松田知成(京都大学)
、中村正久(滋賀大学)
、
谷口文章(甲南大学)、山本裕史(徳島大学)
、佐藤圭輔(立命館大学)
、東賢一(近畿大学)、
森 泉 ( 岡 山 大 学 )、 Nik Meriam Nik Sulaiman, Md Ghazaly Shaaban, Azizan
Baharuddin(マラヤ大学)
、Zulkifli Yusop(UTM)
、Mazlin Bin Mokhtar(UKM)
開催経費
日本側
内容
金額
外国旅費(マレーシア側研究者出入国日日当) 375,600 円
国内旅費(マレーシア側研究者滞在費)
2,417,680 円
国内旅費(日本側研究者)
191,430 円
消耗品
219,625 円
外国旅費・インバウンド保険に係る消費税
22,935 円
その他(会場費,プロシーディング印刷費他) 2,064,200 円
合計
5,291,470 円
マレーシア側
内容
分担内容
と金額
18
金額
外国旅費
97,519RM(2,925,570 円)
消耗品
3,868RM(116,40 円)
合計
101,387RM(2,937,210 円)
7-3 研究者交流(共同研究、セミナー以外の交流)
所属・職名
派遣・受入先
派遣者名
(国・都市・機関)
派遣期間
用務・目的等
京都大学大学院工
マレーシア・ 平成 25 年
平成 25 年度第 1 回ステアリング委員会
学研究科・教授・清
クアラルンプ 6 月
準備の打合せ。
水芳久
ール・マラヤ
大学
京都大学大学院工
マレーシア・ 平成 25 年
平成 24 年度の研究教育の進捗状況を整
学研究科・教授・清
クアラセラン 7 月
理し、平成 25 年度の詳細計画を各研究
水芳久
ゴール・マラ
グループおよび第 3 回包括シンポジウム
ヤ大学
で議論するための骨子を構築するため
に、平成 25 年度第 1 回ステアリング委
員会を開催した。
京都大学大学院工
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
学研究科・教授・米
田
稔
徳島大学総合科学
部・准教授・山本
裕史
立命館大学理工学
部・講師・佐藤圭
輔
京都大学大学院工
学研究科・講師・
小島一信
京都大学大学院工
学研究科・講師・
水野忠雄
京都大学大学院工
学研究科・研究
員・日下部武敏
京都大学地球環境
学堂・助教・藤枝
絢子
京都大学大学院工
学研究科・修士課
程学生・河田 悠
19
京都大学大学院工
同上
同上
同上
同上
同上
同上
Nik Meriam binti
日本・つくば
平成 26 年
平成 25 年 10 月に日本で開催した第 3 回
NIK SULAIMAN,
市・国立環境
1月
包括シンポジウムの成果およびその後
Professor,
研究所(受入
の各研究グループの進捗状況を共有・整
Universiti Malaya
機関:京都大
理した上で、平成 26 年度の研究・教育
学)
計画について議論・決定するために、第
学研究科・修士課
程学生・長田智恵
美
京都大学大学院工
学研究科・事務職
員・西井美季
2 回ステアリング委員会を開催した。
Mohd Jamil bin
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
MAAH, Professor,
Universiti Malaya
Md. Ghazaly bin
SHAABAN,
Professor,
Universiti Malaya
Noor Zalina binti
MAHMOOD, Senior
Lecturer,
Universiti Malaya
Awg Bulgiba bin
AWG MAHMUD
Professor,
Universiti Malaya
Zulkifli bin
YUSOP, Professor,
Universiti
Teknologi
Malaysia
Mazlin bin
MOKHTAR,
Professor,
20
Universiti
Kebangsaan
Malaysia
Azizi bin ABU
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
BAKAR, Research
Officer,
Universiti Malaya
Abdul Hamid bin
MURAD, Ministry
of Education,
Senior Principal
Assistant
Director
Nobumitsu SAKAI,
Universiti
Malaya,
Postdoctoral
Fellow
京都大学大学院工
学研究科・教授・清
水芳久
京都大学大学院工
学研究科・教授・米
田
稔
京都大学防災研究
所・教授・中北英一
滋賀大学環境総合
研究センター・教
授・中村正久
徳島大学総合科学
部・准教授・山本
裕史
立命館大学理工学
部・講師・佐藤圭
輔
甲南大学人文科学
研究所・博士課程
21
学生・渡辺理和
京都大学大学院工
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
同上
学研究科・技術補
佐員・西尾好未
京都大学大学院工
学研究科・修士課
程学生・河田 悠
京都大学大学院工
学研究科・修士課
程学生・長田智恵
美
京都大学大学院工
学研究科・事務職
員・西井美季
7-4 中間評価の指摘事項等を踏まえた対応
※中間評価の指摘事項等を踏まえ、交流計画等に反映させた場合、その対応について記載
してください。
本事業が掲げるアジア型の統合的流域管理を実現するためには、マレーシアの政府研究
機関との協力体制の構築が不可欠である。中間報告書の評価結果でも指摘された通り、マ
レーシア灌漑排水局(DID)
、マレーシア国立水文研究所(NAHRIM)、マレーシア天然資
源環境省環境局(DOE)等のマレーシア政府機関との連携をさらに強化し、本事業の研究
成果を実際に国や地方の行政当局やステークホルダーへ提言するための協力体制を築く必
要がある。これまでの成果として、2012 年 11 月に開催した第 2 回包括シンポジウムでは、
マレーシア灌漑排水局(DID)とマレーシア国立水文研究所(NAHRIM)の Director General
を招待し、本事業の周知を促すことができた。また、平成 25 年 7 月には滋賀大学の中村正
久教授が NAHRIM と共同で国際越境水域評価プログラム(TWAP)東南アジア専門家セミ
ナーおよび専門家会合を開催し、この会合の中で中村教授より本事業の紹介と説明が行わ
れ、NAHRIM のメンバーへの本事業の周知と理解を求めた。さらに、平成 25 年度後半に
は、マレーシアの研究者を通じて DID、NAHRIM、DOE から対象流域の水文、水質デー
タを数十年にさかのぼり提供していただいた。これらの成果は、マレーシアの政府機関と
の信頼関係を着実に構築してきた証であり、本事業への理解を少しずつ得ていることを示
唆している。しかしながら、本事業の成果を政策への提言と結びつけるにはより一層の信
頼関係と協力体制が必要である。平成 26 年度の包括シンポジウムは本事業で最後のマレー
22
シア開催であり、政府機関や地域コミュニティを招いて本事業の成果を公表する絶好の機
会である。平成 26 年 1 月に開催した第 6 回ステアリング委員会では、次回の包括シンポジ
ウムに政府機関や地域コミュニティを招待し、各グループで積み重ねてきた研究成果を流
域毎に提示することを決定した。このシンポジウムを足がかりに各政府機関やその他のス
テークホルダーとの協力体制を強化し、本事業の成果を施策策定の参考としてもらえるよ
う、マレーシアの研究者と協力してシンポジウムの計画を綿密に練る予定である。
23
8.平成25年度研究交流実績総人数・人日数
8-1 相手国との交流実績
派遣先
日本
四半期
1
2
日本
3
4
計
1
2
マレーシア
3
4
計
1
2
3
4
計
1
2
3
4
計
1
2
合計
3
4
計
派遣元
マレーシア
1/ 5 ( 0/ 0
11/ 37 ( 6/ 137
2/ 56 ( 8/ 134
5/ 23 ( 8/ 75
19/ 121 ( 22/ 346
)
)
)
)
)
2/ 12 ( 0/ 0 )
10/ 50 ( 0/ 0 )
45/ 192 ( 1/ 3 )
10/ 40 ( 4/ 16 )
67/ 294 ( 5/ 19 )
0/
0/
2/
10/
45/
10/
67/
(
(
(
(
0 (
(
(
(
(
0 (
12 (
50 (
192 (
40 (
294 (
0/ 0
0/
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0/
1/
4/
5/
0
0
0
3
16
19
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
0/
0/
1/
11/
2/
5/
19/
(
(
(
(
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(
(
(
(
0 (
5 (
37 (
56 (
23 (
121 (
0/ 0
0/ 0
0/ 0
6/ 137
8/ 134
8/ 75
22/ 346
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
0/ 0
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)
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)
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)
(
)
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)
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)
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)
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)
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)
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)
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)
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0/ 0
0
0
0
0
0
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0/
0/
0/
0/
0
0
0
0
0
)
)
)
)
)
1/
11/
2/
5/
19/
2/
10/
45/
10/
67/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
0/
3/
21/
47/
15/
86/
合計
5 ( 0/ 0
37 ( 6/ 137
56 ( 8/ 134
23 ( 8/ 75
121 ( 22/ 346
12 ( 0/ 0
50 ( 0/ 0
192 ( 1/ 3
40 ( 4/ 16
294 ( 5/ 19
0 ( 0/ 0
0 ( 0/ 0
0 ( 0/ 0
0 ( 0/ 0
0 ( 0/ 0
0 ( 0/ 0
0 ( 0/ 0
0 ( 0/ 0
0 ( 0/ 0
0 ( 0/ 0
17 ( 0/ 0
87 ( 6/ 137
248 ( 9/ 137
63 ( 12/ 91
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
415 ( 27/ 365 )
※各国別に、研究者交流・共同研究・セミナーにて交流した人数・人日数を記載してくだ
さい。
(なお、記入の仕方の詳細については「記入上の注意」を参考にしてください。
)
※相手国側マッチングファンドなど、本事業経費によらない交流についても、カッコ書き
で記入してください。
8-2 国内での交流実績
1
0/ 0
24
( 0/ 0
2
)
0/ 0
( 0/ 0
3
)
32/
53
( 0/ 0
4
)
11/
29
( 1/ 2
合計
)
43/ 82
( 1/ 2
)
9.平成25年度経費使用総額
(単位 円)
経費内訳
研究交流経費
金額
国内旅費
備考
4,890,170 国内旅費、外国旅費の合計
は、研究交流経費の50%以
2,791,570 上であること。
外国旅費
謝金
0
備品・消耗品
購入費
1,080,812
その他の経費
1,891,747
外国旅費・謝
金等に係る消
費税
145,701
(外国旅費2,791,570+その他経費(来日
者用保険)122,462)×5%=145,701
研究交流経費配分額以内であ
ること。
研究交流経費の10%を上限
とし、必要な額であること。
1,080,000
また、消費税額は内額とす
る。
計
10,800,000
業務委託手数料
合 計
11,880,000
10.平成25年度相手国マッチングファンド使用額
相手国名
マレーシア
平成25年度使用額
現地通貨額[現地通貨単位]
457,894.2
[マレーシアリンギット]
日本円換算額
13,736,826 円相当
※交流実施期間中に、相手国が本事業のために使用したマッチングファンドの金額につい
て、現地通貨での金額、及び日本円換算額を記入してください。
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