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ケニア国製造業の発展の可能性と 政治社会背景 第4回「アフリカ産業戦略勉強

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ケニア国製造業の発展の可能性と 政治社会背景 第4回「アフリカ産業戦略勉強
第4回「アフリカ産業戦略勉強会」
ケニア国製造業の発展の可能性と
政治社会背景
2009年5月18日
ビコーズインスチチュート株式会社
石渡 文子
統計データからみる
ケニア国製造業の位置づけ
1
対
1.サブサハラ・アフリカの製造業 (2006年)
20%
製造業付加価値率
GDP
18%
MUS
LSO
16%
SYC
14%
CMR
CIV
South Africa
Egypt
MDGMOZ
MWI
NAM
12%
10%
ZMB
SEN
8%
ERI
RWAGNQ
UGA
KENYA
GHA
ZARTZA
6%
Sudan
CPV
TCD
COG
COM GAB
BWA
GNB
4%
MLI
2%
0%
0
50
100
150
200
2 50 ,0 00
Se rvic e
Indu stry
Agric u ltu re
部
門
2 00 ,0 00
別
G
D 1 50 ,0 00
P
(US$ Million)
サブサハラ・アフリカ平均
農林水産業 16% (26%)
工業
32% (32%)
サービス
52% (43%)
( )内 除く南アフリカ
1 00 ,0 00
50 ,0 00
Sey
ll
ch e
d
es
zilan
Swa
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za n
T an
ya
an
Et hio
Ken
Sud
fric a
th A
pt
Egy
Sou
0
250
GDP (US$Billion)
COMESA、EAC、South Africa
元データ: World Bank, World Development Indicators Database;
3
下図はJICA「ケニア国産業振興マスタープラン最終報告書」図7-3にもとづく
第4回アフリカ産業戦略勉強会
石渡 文子 (2009)
2. 産業別GDP貢献度
2001: 78.60Ksh/$
Billion Ksh (2001年価格)
1,400
1,200
1,000
800
600
純間接税
その他第3次
公共サービス・防衛
不動産
教育
53%
商業・修理
通信運輸
その他第2次
400
200
18%
製造業
30%
農業、漁業、林業
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
資料:Kenya National Bureau of Statistics, Statistical Abstract 2007, 2006, 2005
第4回アフリカ産業戦略勉強会
4
石渡 文子 (2009)
2
3.GDPと製造業付加価値額の変遷
Billion Ksh (1990年価格)
1990: 24.08Ksh/$
ケニヤッタ大統領
500
400
300
200
100
0
モイ大統領
輸入代替工業化政策
キバキ大統領
GDP
構造調整計画→輸出指向型工業化政策
製造業
付加価値額
06
20
02
20
97
19
92
19
87
19
82
19
77
19
72
19
67
19
1967年∼2006年の
GDP平均成長率:5.2%
製造業付加価値額平均成長率:5.3%
製造業のGDP平均貢献率:9.0%
出典: JICA, Master Plan Study for Kenyan Industrial Development: Final Report, Figure 1-1に加筆
第4回アフリカ産業戦略勉強会
石渡 文子 (2009)
5
4. 雇用吸収力 (2002年推計)
F)製造業
F)その他第2次
3%
1%
F)農林業
4%
失業者
22%
F)サービス
4%
F)社会福祉等
8%
I)その他
3%
I)製造業
14%
I)社会福祉等
5%
I)その他第2次
2%
I)サービス
34%
F):フォーマルセクター賃金雇用者
I): インフォーマルセクター従事者
出典: Central Bureau of Statistics Economic Survey 2006 p.64、P.75
失業者数は Government of Kenya (2004) Investment Programme for the Economic Recovery Strategy and Wealth and Employment Creation 2003-2007を参照して推計した
第4回アフリカ産業戦略勉強会
6
石渡 文子 (2009)
3
5. 製造業セクター別パフォーマンス(20
年)
大企業のみ
(2001∼2005年)
企業数
製造業付加価値額実質成長率
全製造業
円のサイズ: 付加価値額
40%
7
30%
円のサイズ:
雇用者数
200
1
150
20%
2
10
13
0%
-10%
5
1
10%
0%
19
9
3
100
100%
17
15
11
4
6
20
8
12 14
50%
150%
200%
15
18
6
50
2
11
-20%
16
20
1714
16
13
5
18
8
10
9
19
-30%
12
7
0
対投入量の生産性 (付加価値額/投入額)
1 Food Processing
4 Beverages and Tobacco
7 Pottery and Glass Products
10 Rubber Products
13 Transport Equipment
16 Wood and Cork Products
19 Furniture and Fixtures
3
4
-500
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
労働生産性 (付加価値額/従業員数) 単位:千Ksh
2 Petroleum and other Chemicals
5 Paper and Paper Products
8 Printing and Publishing
11 Textiles
14 Plastic Products
17 Industrial Chemicals
3 Non-Metallic Mineral Products
6 Metal Products
9 Electrical Machinery
12 Leather Products and Footwear
15 Clothing
18 Non-Electrical Machinery
出典: JICA, Master Plan Study for Kenyan Industrial Development: Final Report, Figure 9-2、Figure9-3
第4回アフリカ産業戦略勉強会
石渡 文子 (2009)
7
6. 製造業の輸出競争力(2004年)
輸出増加率
円のサイズ: 輸出額 (2004年)
200%
34
64
(2002∼2004年)
08
72
25
48
73
15
63
03
17
-0.50
09
41
80%
07 06
40%
20
27
-1.00
120%
76
39
30
160%
24
0.00
0%
0.50
1.00
ICI (International Competitiveness Index)
(輸出額i - 輸入額i) / (輸出額 i + 輸入額 i )
1.50
-40%
27 Mineral fuels, oils; 09 Coffee, tea, mate, spice; 06 live trees (horticulture); 07 edible vegetables;
25 salt sulfur; 72 Iron, steal; 20 Preparation of vegetables, fruit, nuts; 03 Fish, crustaceans; 39
Plastics; 15 Animal or vegetable fats, oils; 08 Edible fruit, nuts; 48 Paper, paperboard; 24 Tobacco; 34
Soap; 41 Raw hides, skins; 64 Footwear
出典: JICA, Master Plan Study for Kenyan Industrial Development: Final Report, Figure 9-6
第4回アフリカ産業戦略勉強会
8
石渡 文子 (2009)
4
ケニア国製造業の定性分析
ダイヤモンドモデル(ケニア製造業)
企業戦略・競争環境
要素条件
S 英語を母国語とする知的層
東部・中央アフリカの窓口
W 弱いインフラ
労働賃金の上昇
原材料価格の高騰
O 国内資材の活用強化
通信網の発展
第4回アフリカ産業戦略勉強会
S ケニア人マネージャーの登用
外部研修の受講に熱心
W 数社による寡占
低付加価値加工
設計開発能力の欠如
弱い投資意欲
セクター毎の企業間協力の欠如
O 地域内進出
零細企業、貧困層への供給戦略
T 廃業/サービスセクターへの転業
関連産業・支援産業
S 食品飲料/自動車メーカー
向けサプライヤー群
金属・プラスチック加工業者の存在
製造業協会の活発な活動
金融保険セクター/広告業
W 製造技術の開発を進める組織が不在
高い金利
農産品資材市場の公営独占
O 基礎研究成果の活用
10
争
民族紛 る犯罪
す
発
多
正
汚職・不
の高騰
レ
フ
イン
需要条件
S 市場の拡大と質の向上
W 依然小さい市場規模
輸入品嗜好
小売店との不利な取引条件
O 地域内輸出
成長セクターに牽引される市場拡大
T 市場の不透明性
S: Strength
W: Weakness
O: Opportunity
T: Threat
石渡 文子 (2009)
5
1)需要条件
S 市場の拡大と質の向上
e.g. 携帯電話
(Safaricom2008年売上高974億円、税前後益約220億円)
飲料水
(Appletiser, Alvaro, etc.)
W 依然小さい市場規模(政府が最大の消費者)
輸入品嗜好
小売店との不利な取引条件
O 地域内輸出(EAC、COMESA)
成長セクターに牽引される市場拡大
T 市場の不透明性(情報の欠如)
第4回アフリカ産業戦略勉強会
11
石渡 文子 (2009)
2)要素条件
S 英語を母国語とする知的層
東部・中央アフリカの窓口
(モンバサ港、ナイロビ国際空港)
W 弱いインフラ(道路、鉄道、電力、ガス)
労働賃金の上昇
原材料価格の高騰
O 国内資材の活用強化
通信網の発展(インターネット、携帯電話)
第4回アフリカ産業戦略勉強会
12
石渡 文子 (2009)
6
3) 企業戦略、競争環境
S ケニア人マネージャーの登用
外部研修の受講に熱心
W 数社による寡占
低付加価値加工
設計開発能力の欠如
弱い投資意欲
セクター毎の企業間協力の欠如
O 地域内進出
零細企業、貧困層への供給戦略
T 廃業/サービスセクターへの転業
第4回アフリカ産業戦略勉強会
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石渡 文子 (2009)
4) 関連産業、支援産業
S 食品飲料メーカー向けサプライヤー群
(特にパッケージング資材関連)
自動車メーカー向けサプライヤー群
(タイヤ、 シート、パイプ、ガラス、バッテリー、ワイヤー
ハーネス、スプリング等)
金属・プラスチック加工業者の存在
製造業協会(KAM)の活発な活動
金融保険セクター/広告業(新聞、テレビ、ラジオ)
W 製造技術の開発を進める組織が不在
高い金利
農産品資材市場の公営独占(e.g. 除虫菊)
O 研究機関が生み出した基礎研究成果の活用
(ICIPE, ILRI, ICRAF, KEMRI, etc.)
第4回アフリカ産業戦略勉強会
14
石渡 文子 (2009)
7
ケニア国製造業をとりまく
政治社会
1.ケニア国製造業の発展をとりかこむ制度
グローバル経済・社会
投資・貿易
ケニア国経済・社会
国際援助
37Ministries
アジア系
ルオ
ルヤ
キクユ
労働組合中央機構
外国人
cf. 373製造業者のオーナーシップの調査
環境保護団体
jua-kali
(1995年)
製造業
・・・・・
連盟
その他, 3%
公社, 4%
カレンジン
キッシー
マサイ
カンバ
アフリカ系, 11%
欧米系, 18%
アジア系, 64%
第4回アフリカ産業戦略勉強会
16
JETROケニア事務所調査
石渡 文子 (2009)
8
2.製造業振興策の表向きと実際の乖離
急速な経済成長を可能とする製造業の発展を促進
e.g. Vision 2030 (2008-2030)
「2030年までに中所得国に参入するために年率10%
の経済成長をターゲットとする。」
- 観光、農業、商業、製造業、BPO、金融が牽引役
表向き
地方(民族バランス)、貧困層(零細企業)に配慮した
ばらまき型
”政治"主導型
均衡的低成長?
実 際
cf. Budget Speech (June 2008)
「3億シル(約5億円)を以下のプログラムに投じる。」
魚の皮のプロセス:西部(ビクトリア湖周辺)
マンゴーの加工、キャシューナッツ、パームワインの製造:海岸部
小規模な革加工:北東部
蜜の製造:中部
フルーツの加工:東部
革加工:ナイロビ
第4回アフリカ産業戦略勉強会
石渡 文子 (2009)
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3.産業化省の役割は?
製造業の競争力強化に必要な課題は多くの省にまたがり担当している
担当省・局
貿易産業省
財務省
エネルギー省
地方自治省
製造業協会と政府の第4回ラウンドテーブルで話し合われた主なトピック (2007.7)
„輸入手続きの情報共有と迅速化
„偽造品の不正輸入の防止強化
„他省とのコーディネーション機能 (←縦割り行政の壁、Performance Contract上の評価)
„適正な課税レートの適用
„迅速な税の還付金納付
„関税セクションの24時間オペレーション
„電力不足の地域の改善
„地方電化計画の推進
„ライセンスの簡素化
„公正なとりしまり
„道路の改善
運輸省
„港湾使用料の安定化
„港湾でのクリアランスの迅速化
情報省
„光ファイバー敷設工事の計画共有
„通信コストの低減
„新規参入通信業者への迅速なライセンス供与
環境省
„水資源保護の規制のみなおし
„社内環境監査の推進
労働人材省
„工業トレイニング課税にかかわる納付と返金方法のみなおし
„健康診断義務のみなおし
*省区分は連立政権樹立前のもの
第4回アフリカ産業戦略勉強会
資料:製造業協会ニュースレター
18
石渡 文子 (2009)
9
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