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Ⅲ - 経済産業省
第3章 モデル事業(有害廃棄物処理施設等)のプレFS調査 3.1 プレ FS 調査内容 3.1.1 調査概要 平成 21 年度(2009 年)から天津経済技術開発区(TEDA)と茨城県との間で循環型都市協 力事業を開始し、廃棄物のリサイクルシステム構築のための調査を実施した。その調査の 結果、TEDA の問題点の一つに有害廃棄物処理・リサイクル施設の不足があることが判明 した。同時に、ガス化溶融炉焼却、水資源再生施設、資源再生化施設などの3つの施設を TEDA における資源循環システムの実現のために必要なインフラとして整備することが、 日本側委員会より提案された。 このような背景から平成 22 年度調査業務の一部として、有害廃棄物、産業汚水処理場の 有害汚泥の安定的な処理・リサイクルシステムの確立に必要な施設(有害廃棄物処理施設 と汚泥処理施設)の建設を想定し、濱海新区における処理の現状、排出企業調査、排出物 の文献・現地調査を行い、効果的な処理方法を提案し、エンジニアリングを含むプレFS 調査報告書(ショートリスト)作成を目的とするモデル事業のプレ FS について調査業務を 実施した。 3.1.2 調査手順 TEDA と協議の結果、本調査における枠組みの中で、プレ FS 業務の中国側カウンター パートとしては「TEDA 環境保護局」が行う事となった。 当初、図表 3.1.1 に示す調査フローを想定していた。 図表 3.1.1 当初想定調査フロー 対象有害廃棄物の選定 対象物決定 TEDA殿と協議 プレFSの対象 を決定 アンケート ヒアリング 対象(150単位) 有害廃棄物排出 施設・工場 処理施設等 対象 20社・機関 想定取扱量 決定 TEDA殿と協議 検討前提量を決定 処理プロセス検討 プロセス候補 処理プロセス候補 を複数選定 概略検討 経済性検討 概略エンジニアリン グ 運転上の問題点 最終処分方法 建設費 運転コスト その他の留意点 14 ショートリスト 複数の候補を TEDA殿の判断材 料として提供 本フローを TEDA 環境保護局に提示し、調査の協力とデータの提供方法を双方で協議し た。 その結果、以下の方法で調査を進めることで合意した。 ① 対象物決定に際して、TEDA に立地する廃棄物焼却設備、廃水処理場のヒアリング調 査を行い、対象物を決定する。 ② アンケートは、TEDA 入居企業への負担を鑑み新たな調査は行わず、TEDA が既に実 施した廃棄物全般に関する調査結果(全国汚染源センサス 2007)を開示していただ き、そのデータを解析し現状を把握する。 ③ ヒアリングは TEDA 環境保護局の協力を得て数次に分けて実施する。 実際に今回実施した調査のフローを図表 3.1.2 に示す 図表 3.1.2 実施調査フロー 対象有害廃棄物の選定 対象有害廃棄物の発生状況調査 事前調査 対象物決定 廃棄物焼却施設 廃水処理場への ヒアリング TEDAと協議 プレFSの対象 を決定 廃水処理現地調 査 汚染源センサ ス (100社)を解析 想定取扱量 決定 ヒアリング 廃水処理設備 保有企業 TEDA殿と協議 検討前提量を決定 技術・経済性検 要望確認 ショートリスト 概略エンジニアリング 運転上の問題点 最終処分方法 建設費 運転コスト 技術・経済性検 討結果をもとに TEDAと協議 複数の候補を TEDA殿の判断 材料として提供 処理プロセス検討 プロセス候補 処理プロセス候 補を複数選定 15 3.2 プレ FS 対象有害廃棄物 プレ FS 作業において、先ずプレ FS の対象品目:有害廃棄物処理施設等の有害廃棄物に ついて確認を行った。 3.2.1 有害廃棄物の概要 前述したとおり、TEDA においては有害廃棄物処理・リサイクル施設の不足が昨年度の 調査で指摘された。そのため、処理施設の提案をまとめるために、指摘された「有害廃棄 物」がどのようなもので、どの程度排出されるかを明確化する必要がある。 一般的に開発途上国のなかには、有害かそうでないかも含めて、廃棄物の分類や定義自 体がない国も尐なくない。一方、法体系として、環境法や公害規制法体系の中で有害廃棄 物に係る規制を設けている場合が多い。したがって、廃棄物がどのように定義、分類され ているかにより、それぞれの国での廃棄物の呼称も異なることに留意しなければならない。 日本では、放射性のものを除き、排出源からの廃棄物を生活系と事業系に大別している。 事業活動によって生じた 20 種類の廃棄物を産業廃棄物、それ以外の事業系廃棄物と生活系 廃棄物を含めて一般廃棄物と分類しているが、開発途上国では「産業廃棄物」という定義 を設けている国は尐ない。 有害廃棄物とは、廃棄物のうち、爆発性、每性、感染性、その他、人の健康または生活 環境に係る被害を生ずる恐れのある性状を有するもので、特別の取り扱いを要する廃棄物 をいう。有害廃棄物の定義は、国によって大きく異なる。バーゼル条約では、第 1 条及び 附属書Ⅰに準じて規制が必要とされる廃棄物を有害廃棄物として定義している。日本では、 廃棄物処理法において、図表 3.2.1 に示すように有害な廃棄物のうちで一般廃棄物に属する ものを特別管理一般廃棄物、産業廃棄物に属するものを特別管理産業廃棄物と分類してい る。 図表 3.2.1 日本での有害廃棄物の分類 産業廃棄物 (事業活動に伴って生じた廃棄物) 廃棄物 特別管理産業廃棄物 (爆発性、毒性、感染性のある廃棄物) 一般廃棄物 事業系一般廃棄物 (事業活動に伴って生じた廃棄物で産業廃棄物以外のもの) 家庭廃棄物 (一般家庭の日常生活に伴って生じた廃棄物) 特別管理一般廃棄物 (廃家電製品に含まれるPCB使用部品、ごみ処理施設の集塵施設で 集められたばいじん、感染性の一般廃棄物等) 16 このような、有害廃棄物の概要を図表 3.2.2 に示す 図表 3.2.2 日本における有害廃棄物の概要 主な分類 特 PCB使用部品 別 管 ばいじん 理 ダイオキシン類含有物 一 般 廃 * 感染性一般廃棄物 棄 物 概要 廃エアコン・廃テレビ・廃電子レンジに含まれるP CBを使用する部品 ごみ処理施設の集じん施設で生じたばいじん ダイオキシン特措法の廃棄物焼却炉から生じたもの で、ダイオキシン類を3ng/g以上含有するばいじ ん、燃え殻、汚泥 医療機関等から排出される一般廃棄物であって、感 染性病原体が含まれ若しくは付着しているおそれの あるもの 廃油 揮発油類、灯油類、軽油類(難燃性のタールピッチ 類等を除く) 廃酸 pH2.0以下の廃酸 廃アルカリ pH12.5以上の廃アルカリ * 医療機関等から排出される産業廃棄物であって、感 感染性産業廃棄物 染性病原体が含まれ若しくは付着しているおそれの あるもの 廃PCB等 廃PCB及びPCBを含む廃油 特 別 PCB汚染物 PCBが付着等した汚泥、紙くず、木くず、繊維く 管 ず、プラスチック類、金属くず、陶磁器くず、がれ 理 特 PCB処理物 き類 廃PCB等又はPCB汚染物の処理物で一定濃度以 産 定 上PCBを含むもの★ 業 有 指定下水汚泥 下水道法施行令第13条の4の規定により指定された 廃 害 汚泥★ 棄 産 鉱さい 重金属等を一定濃度以上含むもの★ 物 業 廃石綿等 石綿建材除去事業に係るもの又は大気汚染防止法の 廃 特定粉じん発生施設から生じたもので飛散するおそ 棄 れのあるもの 物 ばいじん又は燃え殻 重金属等及びダイオキシン類を一定濃度以上含むも * の★ 廃油* 有機塩素化合物等を含むもの★ 汚泥、廃酸又は廃ア 重金属、有機塩素化合物、PCB、農薬、セレン、 ルカリ* ダイオキシン類等を一定濃度以上含むもの★ (参照:廃棄物処理法施行令第1条、第2条の4) 1. これらの廃棄物を処分するために処理したものも特別管理廃棄物の対象 2. *印:排出元の施設限定あり 3. ★印:廃棄物処理法施行規則及び金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める 省令(判定基準省令)に定める基準参照 一方、本調査対象の中国においては、昨年度の調査から「有害廃棄物」は次のように規 定されている。 廃棄物対策は、1995 年に制定され 1996 年に施行された「固体廃棄物環境汚染防止法」 に基づいて対策が進められている。同法は、廃棄物による環境汚染の防止を目的とした もので、固体廃棄物の管理体制、管理制度、廃棄物の収集、貯蔵、運搬、処理に関する 規定を定めている。中国が廃棄物発生量の抑制と資源の総合利用促進を重点政策の一つ に掲げていることから、同法にも廃棄物の減量化・無害化・資源化の廃棄物処理の 3 原 則、廃棄物のリサイクルと管理に関する責任・義務規定なども盛り込まれている。 17 同法では、固体廃棄物を①工業活動に応じて発生する固体・半固体廃棄物(いわゆる 産業廃棄物)②人間の日常生活および消費活動によって発生する廃棄物(生活廃棄物) ③産業廃棄物および生活廃棄物に含まれる有害廃棄物(Hazardous Waste)の 3 種類に 分類している。このうち日系企業の環境対策にとって重要な有害廃棄物については、同 法に基づいて 1998 年に示された「国家有害廃棄物カタログ(The National Catalogues of Hazardous Wastes) 」に規定されている。また、每性や環境リスクが大きいものや通常 の方法では処理処分が困難な、例えば PCB 廃棄物やゴミ焼却炉から排出されるフライ アッシュ、医療系廃棄物などは特別有害廃棄物と位置づけられている。 出典:平成 21 年度経済産業省委託事業 「TEDA 資源循環経済構築に関する調査検討事業」 以上の情報から、本年度のプレ FS において、TEDA が想定する、モデル事業における「有 害廃棄物」の確認を行った。 3.2.2 事前調査と対象物の決定 有害廃棄物処理・リサイクル施設の不足の解消に向けて、日本および中国の環境法規面 から想定される有害廃棄物についての認識を TEDA 関係者および日本側で確認を行った。 TEDA 関係者側からは、カウンターパートである TEDA 環境保護局、TEDA 地域の終末 排水処理施設運営企業および有害廃棄物処理を営んでいる企業の関係者と情報交換を行っ た。さらに、関係機関の企業を訪問して、操業および運営の実態について把握をした。 これらの企業訪問の記録については、添付資料 添-1「現地調査記録」に記載する。 第 1 次現地調査において、TEDA 地域における「有害廃棄物」として判明した事項の主 要項目をまとめると次のとおりである。 ・ 天津合佳威立雅環境服務有限公司においては、中国の法律で規定されている危険廃 棄物の中で「爆発物」を除く全て廃棄物の処理が可能である。そのために、焼却炉 /物理&化学処理/セメント固化/医療廃棄物殺菌などの処理設備を有している。 ・ さらに同施設では、TEDA 地域内で発生する危険廃棄物の約 80%を処理していると の公司側コメントもあった。 ・ TEDA 地区の終末汚水処理場の運営企業である天津泰達威立雅水務有限公司からは、 汚水処理場における余剰汚泥が埋立区の確保面からも改善が必要であるとの要望が 出された。 ・ TEDA 環境保護局側からは、第12次 5 カ年計画には汚水処理場からの余剰汚泥に ついて処理を実施することが盛られるとのコメントも得た。 以上の結果より、本調査の対象物としては終末汚水処理場から排出される余剰汚泥を対 象物とすることとした。 18 3.3 現地調査 プレ FS 対象物である、終末汚水処理場より発生する余剰汚泥の発生状況を把握するため に、TEDA 内の東、西、北の終末汚水処理場へヒアリングを行った。 更に、TEDA 地区に立地する企業では、各企業からの排出水質は三級レベルまで処理を することが義務付けられている。このため、企業内に規定排出レベルに達成させる排水処 理設備(前処理設備)を設けている企業がある。終末汚水処理場への影響や、今後の余剰 汚泥処理範囲拡大可能性の把握のため、このような前処理設備を有する企業を主体に設備 運営状況や汚泥発生量、汚泥処理方法に関する調査とヒアリングを行った。 TEDA 内の企業に対しては、企業側に過大な負荷を与えないため、TEDA が行った「全 国汚染源センサス 2007」のデータを提供してもらい、全体像を解析し、特徴的な会社に対 してヒアリング調査を行った。 現地調査日程を以下に示す。 ・第 1 次現地調査(キックオフミーティング):8 月 29 日~9 月 2 日 -有害廃棄物の定義確認 -TEDA 地区立地企業の有害物発生データの提供依頼 -アンケート対象企業情報の提供依頼 -既存 TEDA 地区立地処理場視察 ・第 2 次現地調査:9 月 27 日~10 月 2 日 -第 1 回企業等訪問確認(有害廃棄物の発生状況確認) -TEDA 環境保護局との協議確認 ・第 3 次現地調査:10 月 19 日~10 月 22 日 -第 2 回企業等訪問調査(有害廃棄物の発生状況確認) ・第 1 回日中合同ワークショップ(天津市):11 月 15 日~17 日 -TEDA 地区の有害廃棄物処理に関する現状ワークショップ説明 ・第 4 回現地調査:1 月 10 日~1 月 14 日 -第 3 回企業等訪問調査 -ショートリスト内容説明、要望協議 19 3.3.1 全国汚染源センサス解析 TEDA が行った「全国汚染源センサス 2007」のデータより TEDA に立地する企業の排 水処理の状況を調査した。 調査は、廃棄物排出量の上位 100 社のデータを TEDA 環保局より開示していただき全体 像を解析した。 データを開示していただいた企業のリストを図表 3.3.1 に示す。 図表 3.3.1 調査対象企業一覧 整理 No 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 企業名称 BH能源発展 TFT汽車有限公司 GH能源発展有限公司 NW生物技術 TD熱電公司 DX紙業有限公司 MKG家私製造有限公司 LZ車輪有限公司 SW精密機械有限公司 JY生物科技有限公司 JH輪胎有限公司 DYG食品有限公司 AX車身零部件有限公司 DQ風電葉片工程有限公司 MB陶瓷有限公司 MTL電子有限公司 QW天津工業有限公司 AJ服装有限公司 BA膨化芯材有限公司 WS風力技術有限公司 CY电子有限公司 NEL有限公司 TY工業有限公司 PH機工汽車部件有限公司 MKG木業天津有限公司 MKG家具股份有限公司 ST電气有限公司 TY半導体有限公司 DZ印刷包材有限公司 KK食品天津有限公司 ROM半導体有限公司 ZC型材有限責任公司 JY焊接材料有限公司 P塗料有限公司 COC飲料有限公司 HB電子有限公司 SAM電子有限公司 GR複合材料有限公司 TYT铝合金科技有限公司 DJ食品有限公司 SAM通信技術有限公司 DY食品有限公司 YF塗料化工有限公司 YG精密注塑有限公司 DS電子有限公司 NQ油脂有限公司 AS電磁線有限公司 KB化工有限公司 ZX薬業有限公司 HB科技有限公司 業種 熱・電力供給 自動車製造 熱・電力供給 専項化学品製造 No data 紙・紙容器 木製家具製造 No data 精密機械製造 No data 車両、飛行機、工業機械タイヤ製造 インスタント麺・その他インスタント食品製造 自動車部品製造 No data 衛生陶器製品製造 移動通信及ターミナル設備製造 金属鋳造パイプ製造 紡績服装製造 その他紙製品製造 電子部品製造 キャンディー、チョコレート製造 電池製造 自動車部品製造 木製家具製造 その他家具製造 光電子その他電子部品製造 半導体分立器件製造 包装材その他印刷 デンプン、デンプン製品製造 半導体分立器件製造 樹脂板、管、型材製造 No data 塗料製造 炭酸飲料製造 樹脂部品製造 家庭用ディスプレー製造 発泡樹脂製造 アルミニウム精錬 茶、その他飲料製造 移動通信及ターミナル設備製造 ビスケットその他焙烤食品製造 塗料製造 樹脂部品製造 自動車部品製造 食用植物油加工 電線電纜製造 化学試薬及助剤製造 中成薬製造 移動通信及ターミナル設備製造 注 *:今回のヒアリングにて排水処理設備の保有が判明 空欄:データの申告なし 20 廃水発生量 廃水排出量 廃水処理 t/y t/y 設備 767,500 527,500 300,891 300,891 有 71,600 71,600 708,533 有 有 20,451 122,883 20,451 122,883 154,210 154,210 255,032 276,200 8,013 255,032 276,200 8,013 43,200 240,500 43,200 240,500 80,340 有 有 50,110 97,697 147,945 33,992 148,036 23,104 23,843 4,299 70,450 63,204 596,323 69,040 45,370 459,574 9 40,580 35,945 33,992 148,036 23,104 23,843 4,299 70,450 63,204 596,323 69,040 45,370 459,574 9 有 有 47,023 594,107 39,273 31,700 2,350 8,800 1,380,000 169,132 37,686 26,994 83,511 113,460 66,800 27,216 668,545 17,997.6 1,576 47,023 594,107 39,273 31,700 2,350 8,800 1,380,000 169,132 37,686 26,994 83,511 113,460 66,800 27,216 817,245 17,997.6 1,576 有* 有* 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有* 有 有 有 有 整理 No 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 企業名称 LE電子材料有限公司 LZ合金有限公司 SAM視界移動有限公司 AP企業有限公司 AD自動変速機有限公司 DH碳素有限公司 TJPolyurethane有限公司 BTL有限公司 NHN製薬有限公司 DD電子有限公司 PL包装容器有限公司 YSG電子有限公司 QW建筑材料有限公司 GRF天津包装容器有限公司 YC塑業有限公司 HW鋳鋼有限公司 SAM視界有限公司 SW企業有限公司 JF天然産物有限公司 YAM電子楽器有限公司 ZG塗料化工有限公司 TD化工有限公司 BK硅化物技術有限公司 JL有限公司 SAM光電子有限公司 FT電子有限公司 KC太陽能有限公司 BZ飲料有限公司 SAM电子顕示器有限公司 WT化工工業有限公司 TD薬業有限公司 TB鉛資源再生有限公司 HB精密模具有限公司 MM精密機械有限公司 PH化工有限公司 DL汽車系統有限公司 SF包装有限公司 ZX汽車零部件有限公司 AKS塗料天津有限公司 BX電子有限公司 KNS铝酸塩技術有限公司 DF澱粉有限公司 YU実業有限公司 MBS汽車零部件有限公司 AS電子有限公司 JP電子有限公司 FUJ電動車有限公司 SR汽車部品有限公司 LAL天津化工有限公司 ZL機械有限公司 合計 業種 移動通信及ターミナル設備製造 No data 光電子及その他電子部品製造 その他樹脂製品製造 自動車部品製造 化学薬品及助剤製造 有機化学原料製造 金属構造製造 生物・生化学製品製造 印刷回路基板製造 その他紙製品製造 電子部品・ユニット製造 断熱・防音材料製造 No data 樹脂フィルム製造 鉄合金冶金 真空電子部品製造 その他専用化学品製造 その他未分類農産副食品製造 電子楽器製造 塗料製造 合成樹脂製造 無機塩製造 電池製造 カメラ及部品製造 自動車部品製造 ガス、太陽エネルギー及エネルギー器具製造 炭酸飲料製造 電子計算機設備製造 その他樹脂製品製造 中成薬製造 No data 金型製造 金属表面処理・熱処理加工 No data 自動車部品製造 樹脂包装箱・容器製造 自動車部品製造 塗料製造 電子部品製造 セメント製造 デンプン・デンプン製品製造 電池製造 No data 電子部品製造 電子部品製造 電動自転車製造 金属包装容器製造 炸薬・火工品製造 No data 廃水発生量 廃水排出量 廃水処理 t/y t/y 設備 21,280 有 有 121,164 49,060 5,000 84,682 20,648 41,236 19,386 98,228 22,408 9,457 35,871 121,164 49,069 5,000 84,682 20,648 41,236 19,386 98,228 22,408 9,457 35,871 25,773 6,158 832,553 9,310 51,680 100,320 8,418 121,129 24,768 26,476 114,080 62,908 13,748 172,110 45,043 17,480 33,190 25,773 6,158 832,553 9,310 51,680 100,320 8,418 121,129 24,048 26,476 114,080 62,908 13,748 172,110 45,043 17,480 31,505 1,035 6,000 1,035 6,000 67,011 64,340 16,290 33,280 33,824 20,393 147,400 45,861 67,011 64,340 16,290 33,280 33,824 20,393 147,400 45,861 有 66,680 19,348 25,246 8,700 42,000 66,680 19,348 25,246 8,700 42,000 有 10,909,150 9,946,754 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 有 50社* 今回調査した 100 社の終末汚水処理場へ排出する廃水の総量は年間約 1 千万トンである が、これは当時の廃水量約2千万トンの 1/2 に相当する。 また、この 100 社の中で自社内に廃水処理設備を設置している会社は 50 社であり、半数 が設置している事が分かった。 入手データには COD 等の汚染物質の排出量、企業内での処理量等のデータがあり、以下 その解析結果を述べる。 21 (1) COD 図表 3.3.2 に COD 発生量上位 15 社のデータを示す。 図表 3.3.2 COD 発生上位 15 社 対上位100社(%) 整理 No 1 40 DJ食品有限公司 有 3,029.3 58.6 25.0 2 4 NW生物技術 有 2,799.5 109.7 3 92 DF澱粉有限公司 有 1,028.0 4 12 DYG食品有限公司 5 72 TD化工有限公司 有 6 28 TY半導体有限公司 7 35 8 企業名称 廃水処理 設備 COD (t/y) 排出 順位 排出量 発生量 排出量 累積(%) 発生量 排出量 2.9 25.0 2.9 23.1 5.3 48.0 8.2 20.6 8.5 1.0 56.5 9.2 531.7 16.0 4.4 0.8 60.9 10.0 508.7 10.2 4.2 0.5 65.1 10.5 有 447.4 214.8 3.7 10.5 68.8 20.9 COC飲料有限公司 有 386.0 56.7 3.2 2.8 71.9 23.7 22 NEL有限公司 有 344.0 3.0 2.8 0.1 74.8 23.8 9 99 LAL天津化工有限公司 有 256.0 75.4 2.1 3.7 76.9 27.5 10 16 MTL電子有限公司 有 250.8 55.4 2.1 2.7 78.9 30.2 11 67 SAM視界有限公司 有 234.2 119.7 1.9 5.8 80.9 36.0 12 41 SAM通信技術有限公司 有 225.3 143.3 1.9 7.0 82.7 43.0 13 2 TFT汽車有限公司 有 210.6 133.1 1.7 6.5 84.5 49.5 14 30 KK食品天津有限公司 有 188.7 10.3 1.6 0.5 86.0 50.0 15 9 SW精密機械有限公司 134.4 41.3 1.1 2.0 87.1 52.0 12,137 2,054 100社合計 発生量 COD の発生量は 100 社で 12,137t/y であり、終末汚水処理場への排出量は 2,054t/y で、1 万 t/y が企業内の廃水処理設備で処理されている。 COD 発生量は上位 15 社で 87%を占めている。しかし、この 15 社はすべて社内で廃 水処理を行っており、COD の除去量は 9,500t/y で除去率は 90%に上っている。(廃水 処理設備を保有と報告したのは 13 社であるが、COD の発生量と排出量の差から残り の 2 社も処理を行っていると推定される) したがって上位 15 社の COD 排出量に占める割合は 52%に減尐しており、各企業の COD 排出削減に対する努力が読み取れる。ちなみに、上位 15 社の企業内での COD 除 去率は 90%であるが、上位 100 社では企業内除去率は 83%に過ぎず、改善の余地が有 る。 (2) NH3 図表 3.3.3 に NH3 発生量上位 10 社のデータを示す。 NH3 の発生量は 100 社で 179t/y であり、終末汚水処理場への排出量は 95t/y で、 84t/y が企業内の廃水処理設備で処理されている。 NH3 発生量は上位 10 社で 94%を占めている。NH3 の廃水処理場での除去は難しい がこの 10 社はすべて社内で廃水処理を行っており、NH3 の除去量は 90t/y で除去率は 47%である。 (廃水処理設備を保有と報告したのは 8 社であるが、NH3 の発生量と排出 量の差から残りの 2 社も処理を行っていると推定される) 生活排水と異なり NH3 量は尐ないが、今後の汚染状況によっては更なる処理が企業 22 内若しくは終末汚水処理場にて求められる可能性はある。 図表 3.3.3 NH3 発生上位 10 社 排出 整理 順位 No. NH3 (t/y) 廃水処理 設備 企業名称 発生量 対上位100社(%) 排出量 累積(%) 発生量 排出量 発生量 排出量 1 63 QW建筑材料有限公司 有 64.80 64.80 36.2 68.5 36.2 68.5 2 4 NW生物技術 有 35.97 3.72 20.1 3.9 56.3 72.4 3 9 SW精密機械有限公司 24.64 1.91 13.8 2.0 70.1 74.5 4 31 ROM半導体有限公司 11.00 11.00 6.1 11.6 76.2 86.1 5 12 DYG食品有限公司 9.40 0.47 5.3 0.5 81.5 86.6 6 67 SAM視界有限公司 有 9.30 5.05 5.2 5.3 86.7 91.9 7 53 SAM視界移動有限公司 有 4.19 0.55 2.3 0.6 89.0 92.5 8 92 DF澱粉有限公司 有 4.00 0.08 2.2 0.1 91.3 92.6 9 72 TD化工有限公司 有 2.60 0.02 1.5 0.0 92.7 92.6 10 41 SAM通信技術有限公司 有 2.40 2.10 1.3 2.2 94.1 94.8 178.92 94.59 有 100社合計 (3) 油分 図表 3.3.4 に油分発生量上位 10 社のデータを示す。 図表 3.3.4 油分発生上位 10 社 排出 整理 順位 No. 企業名称 廃水処理 設備 油分 (t/y) 対上位100社(%) 累積(%) 発生量 排出量 発生量 排出量 発生量 排出量 1 81 TD薬業有限公司 有 60.00 2.32 74.2 33.2 74.2 33.2 2 2 有 14.92 1.22 18.4 17.4 92.6 50.6 3 12 DYG食品有限公司 1.50 0.12 1.9 1.7 94.5 52.3 4 66 HW鋳鋼有限公司 1.48 1.48 1.8 21.2 96.3 73.5 5 9 0.56 0.56 0.7 8.0 97.0 81.5 6 60 DD電子有限公司 有 0.50 0.18 0.6 2.6 97.6 84.1 7 44 YG精密注塑有限公司 有 0.49 0.49 0.6 7.0 98.2 91.1 8 11 JH輪胎有限公司 有 0.40 0.14 0.5 2.0 98.7 93.1 9 88 ZX汽車零部件有限公司 有 0.34 0.02 0.4 0.3 99.1 93.4 10 15 MB陶瓷有限公司 有 0.16 0.16 0.2 2.3 99.3 95.7 80.90 6.99 TFT汽車有限公司 有 SW精密機械有限公司 100社合計 油分の発生量は 100 社で 80.9t/y であり、終末汚水処理場への排出量は 7.0t/y で、 73.9t/y が企業内の廃水処理設備で処理されている。 油分の発生量は上位 10 社で 99%を占めており、その中でも上位 2 社で 93%を占め ている。 (天津泰達薬業有限公司と天津一汽豊田汽車有限公司)両社は社内での廃水処 理設備を保有しており、廃水中の油分を 93%除去しており、終末汚水処理場への排出 は 3.5t/y と尐ない。10 社の合計でも排出量は 6.7t/y でこれは 100 社の排出量の 96% に相当する。 油分は発生源も限定されており、また各社が有効な除去を行っているので問題はな いと考える。 23 (4) BOD 図表 3.3.5 に BOD 発生量上位 10 社のデータを示す。 図表 3.3.5 BOD 発生上位 10 社 整理 No 廃水処理 設備 企業名称 BOD (t/y) 対上位100社(%) 累積(%) 発生量 排出量 発生量 排出量 発生量 排出量 91.44 38.8 68.0 38.8 68.0 63 QW建筑材料有限公司 有 91.44 99 LAL天津化工有限公司 有 60.00 0.50 25.4 0.4 64.2 68.4 6 DX紙業有限公司 有 29.00 14.50 12.3 10.8 76.5 79.2 75 SAM光電子有限公司 有 20.78 2.98 8.8 2.2 85.3 81.4 31 ROM半導体有限公司 有 13.20 13.20 5.6 9.8 90.9 91.2 53 SAM視界移動有限公司 有 9.38 0.66 4.0 0.5 94.9 91.7 20 WS風力技術有限公司 有 8.13 8.13 3.4 6.0 98.4 97.8 36 HB電子有限公司 有 2.10 1.27 0.9 0.9 99.3 98.7 1.01 1.01 0.4 0.8 99.7 99.5 0.69 0.69 0.3 0.5 100.0 100.0 235.77 134.42 47 AS電磁線有限公司 22 NEL有限公司 有 合計 BOD は報告を行っていない会社も有ると推定されデータは尐なめになっている。 上位 100 社の発生量が 236t/y、終末汚水処理場への排出量が 134t/y と COD 排出量 に比べて尐ないが、これはデータを報告していない(または測定していない)企業が 多いためと推定される。 (5) 有害重金属類等 廃水中に含まれる有害重金属等はシアン、砒素、総クロム、6 価クロム、鉛、カドミ ウム、水銀が測定されているが、排出されているのは総クロム(T-Cr)と鉛(Pb)だけであ る。 図表 3.3.6 に総クロム、図表 3.3.7 に鉛の排出企業のデータを示す。 図表 3.3.6 総クロム(T-Cr)発生事業所 排出 整理 順位 No 1 廃水処理 設備 企業名称 67 SAM視界有限公司 有 T-Cr (t/y) 発生量 排出量 12.0 0.15 図表 3.3.7 鉛(Pb)発生事業所 排出 整理 順位 No 廃水処理 設備 企業名称 Pb (t/y) 発生量 排出量 1 23 TY工業有限公司 有 100 1 2 31 ROM半導体有限公司 有 0.44 0.44 24 総クロム、鉛の両者とも廃水に対しては適切に処理されていると考える。 また、有害物を含む汚泥は今回処理先のトレースは出来なかったが、安全に処理さ れているものと期待する。 (6) 廃水処理設備 廃水処理設備を保有しているとセンサスに報告した企業と、センサスには報告がな かったが今回のヒアリングで廃水処理設備を保有している事が分かった企業は上位 100 社中 50 社である。50 社の内訳を図表 3.3.9 に示す。 50 社の廃水処理設備の設計能力は 49,000t/d で年間の実際処理量は 513 万 t(2007 年) であった。これは年 330 日稼動と仮定すると稼働率は 31%程度である。 設備への総投資額は 36,028 万元、運営費用は 2,634 万元と報告されている。 (7) 余剰汚泥発生量 企業内の廃水処理設備からの余剰汚泥の発生量を図表 3.3.8 に示す。 図表 3.3.8 余剰汚泥発生量 整理 No. 企業名称 4 NW生物技術 10 JY生物科技有限公司 2 TFT汽車有限公司 40 46 19 72 31 35 DJ食品有限公司 16 11 74 45 8 92 MTL電子有限公司 JH輪胎有限公司 JL有限公司 DS電子有限公司 LZ車輪有限公司 DF澱粉有限公司 NQ油脂有限公司 BA膨化芯材有限公司 TD化工有限公司 ROM半導体有限公司 COC飲料有限公司 合 計 排水処理量 t/y 708,533 990,000 285,612 余剰汚泥 発生量 t/y 23,616 6,600 1,545 360,000 66,800 40,280 121,129 195,062 294,107 210 200 100 90 58 50 240,500 166,170 26,476 113,460 NA 147,400 36 31 7 7 4.8 0 3,755,529 32,555 汚泥処理方法 再利用 * 埋立て処理 * 天津合佳威立雅環境服務有限公司へ その後の扱いは関知せず * 天津泰達環境衛生公司へ 全量処置(送付先不明) 設計は100kg/d。 廃活性炭(100t/y)と合わせて外部へ(ブロック化) 漢沽で埋め立て 全量処置(送付先不明) * 天津合佳威立雅環境服務有限公司へ * 天津合佳威立雅環境服務有限公司へ * 天津合佳威立雅環境服務有限公司へ 好気性処理の余剰汚泥 500kg/d。 現在全量嫌気性処理に戻し 。余剰汚泥発生無 注 *:今回のヒアリングにて量を修正 余剰汚泥の発生量に関するデータを入手できた会社が 15 社あり、総余剰汚泥発生量 は 32,600t/y である。その中で堆肣等に再利用されている諾維信(中国)生物技術社を 除いても、埋立、焼却等の処理施設へ送り出している量が 9 千 t/y ある。 これらは組成にもよるが、将来は今回プレ FS を行う、終末汚水処理場の余剰汚泥処 理設備に持ち込んで処理を行う事も考えられる。 25 図表 3.3.9 廃水処理設備保有企業一覧 整理 No. 2 4 6 8 10 11 15 16 19 20 22 23 24 28 30 31 35 36 37 40 41 44 45 46 48 49 50 51 53 56 60 63 66 67 69 72 73 74 75 76 78 81 86 88 90 92 93 95 97 99 設計能力 企業名称 t/d 3,600 2,600 100 TFT汽車有限公司 NW生物技術 DX紙業有限公司 LZ車輪有限公司 JY生物科技有限公司 JH輪胎有限公司 MB陶瓷有限公司 MTL電子有限公司 BA膨化芯材有限公司 WS風力技術有限公司 NEL有限公司 TY工業有限公司 PH機工汽車部件有限公司 TY半導体有限公司 KK食品天津有限公司 ROM半導体有限公司 COC飲料有限公司 HB電子有限公司 SAM電子有限公司 DJ食品有限公司 SAM通信技術有限公司 YG精密注塑有限公司 DS電子有限公司 NQ油脂有限公司 KB化工有限公司 ZX薬業有限公司 HB科技有限公司 LE電子材料有限公司 SAM視界移動有限公司 DH碳素有限公司 DD電子有限公司 QW建筑材料有限公司 HW鋳鋼有限公司 SAM視界有限公司 JF天然産物有限公司 TD化工有限公司 BK硅化物技術有限公司 JL有限公司 SAM光電子有限公司 FT電子有限公司 BZ飲料有限公司 TD薬業有限公司 DL汽車系統有限公司 ZX汽車零部件有限公司 BX電子有限公司 DF澱粉有限公司 YU実業有限公司 AS電子有限公司 FUJ電動車有限公司 LAL天津化工有限公司 合 計 NA 5,000 950 150 1500 300 5 800 1,440 90 1,608 800 924 3,000 0.072 100 4,800 300 168 NA 600 2,570 500 NA NA 350 350 600 160 4,800 5,760 400 1,200 48 10 400 164 950 96 250 120 48 600 46 360 120 300 49,037 26 実際処理量 t/y 285,612 708,533 20,451 NA 3,000 166,170 43,200 240,500 40,280 300 114,518 23,104 23,843 274,312 13,362 195,062 294,107 39273 31,700 360,000 15,830 41,607 NA 66,800 83,865 177,998 NA NA 121,164 84,682 98,228 35,871 NA 832,553 NA 121,129 720 4,380 5,000 62,908 72,110 27,597 65,825 16,290 33,824 147,400 45,861 66,680 5,246 20,000 5,130,895 3.3.2 ヒアリング調査 ヒアリング調査は三菱化学テクノリサーチとリーテムが共同で行った。 排水処理設備に関するヒアリングを行った対象機関・企業を図表 3.3.10 に示す。 図表 3.3.10 排水関連ヒアリング先リスト No. 1 TEDA環境保護局 組織名 業種 官庁 訪問月日 2010/9/2 担当 MCTR 官庁 官庁 廃棄物焼却 2010/9/2 MCTR 3 4 濱海新区環境保護局 天津市環境保護局 天津合佳威立雅環境服務有限公司(VEOLIA) 2010/9/2 2010/9/1 MCTR MCTR 5 6 7 8 天津泰新拉扱焚焼発電有限公司 TEDA終末汚水処理場 東地区 TEDA終末汚水処理場 西地区 TEDA終末汚水処理場 北(現代産業)地区 廃棄物焼却 廃水処理場 廃水処理場 廃水処理場 2010/9/1 2010/9/28 2010/9/29 2010/9/29 MCTR MCTR MCTR MCTR 9 天津永富関西塗料化工有限公司 10 尖峰天然産物研究開発有限公司 11 台達化工(天津)有限公司 12 石薬信匯(天津)医薬科技有限公司 13 天津可口可楽飲料有限公司 14 天津頂津食品有限公司 15 摩托羅拉(中国)電子有限公司 排出企業 排出企業 排出企業 2010/10/20 2010/10/21 2010/10/21 MCTR MCTR MCTR 排出企業 排出企業 排出企業 排出企業 2010/10/21 2011/1/12 2011/1/12 2011/1/12 MCTR MCTR MCTR MCTR 16 天津頂峰澱粉開発有限公司 17 天津一汽豊田汽車有限公司 18 諾維信(中国)生物技術 19 錦湖輪胎(天津)有限公司 20 美標(天津)陶瓷有限公司 21 博爱(中国)膨化芯材有限公司 22 天津統一工業有限公司 排出企業 排出企業 排出企業 2011/1/13 2010/10/11 2010/11/16 MCTR リーテム リーテム 排出企業 排出企業 排出企業 排出企業 2010/11/17 2010/11/18 2010/8/24 2010/12/16 リーテム リーテム リーテム リーテム 排出企業 排出企業 排出企業 排出企業 2010/12/15 2010/11/19 2010/12/14 2010/11/9 リーテム リーテム リーテム リーテム 27 天津莱尓徳電子材料有限公司 28 天津三星視界移動有限公司 29 勁量(中国)有限公司 30 天津金耀生物科技有限公司 31 天津平和機工汽車部件有限公司 32 天津立中車輪有限公司 排出企業 排出企業 排出企業 2010/8/24 2010/8/24 2010/9/15 リーテム リーテム リーテム 排出企業 排出企業 排出企業 2010/12/14 2010/12/15 2010/11/12 リーテム リーテム リーテム 33 天津電装電子有限公司 排出企業 2010/12/2 リーテム 2 23 24 25 26 天津平和機工汽車部件有限公司 嘉吉食品天津有限公司 亜光耐普羅精密注塑(天津)有限公司 天津南橋油脂有限公司 以下、ヒアリング結果の概要を述べる。 (詳細は添付資料 27 添-1 参照) (1) 終末汚水処理場調査 第 2 次現地調査において、TEDA 三地区の終末汚水処理場の現状把握をする目的で 東/西/北の汚水処理場を訪問し、余剰汚泥の排出について情報収集を図った 東/西 終末汚水処理場 処理フローを図表 3.3.11-3.3.13 に示した。 東地区終末汚水処理場の設計能力は 10 万 t/d。余剰汚泥発生量は 50-60t/d 程 ・ 度である。 西地区終末汚水処理場の設計能力は 12,500t/d、2010 年 10 月から 12,500t/d×3 ・ 系列で合計 5 万 t/d。余剰汚泥発生量は、これまでの 1 系列設備から 3-5t/d 程 度である。 北(現代産業)地区終末汚水処理場の設計能力は 1,500t/d と 2010 年 4 月から ・ 2,000t/d 施設が追加され 2 系列で合計 3,500t/d。余剰汚泥発生量は、これまで の汚水処理場の設計能力 1,500t/d 設備から 0.8t/d 程度である。なお、隣接地区 には、 「エコシティー」が建設中であり、同地区においては第 1 期計画で 10 万 t/d の排水処理設備を建設する。そのため、北(現代産業)地区でこれから排出さ れる排水は「エコシティー」排水場へ移送する排水導管を既に建設済みである ため、本プレ FS での検討対象外となる。 TEDA 環境保護局とプレ FS において有害廃棄物としての対象は余剰汚泥とす ・ る。TEDA 地区の 3 箇所の終末処理場を視察した結果、北区は処理量および隣 接地区の状況から検討除外とし、東区および西区の余剰汚泥を対象とする。以 上の事柄で了解合意を得た。 ・ また、検討対象とした東区および西区終末汚水処理場の排水受入および余剰汚 泥量の過去 1 年間のデータを要求し、提供されることを合意した。 (2) 企業内汚水処理場調査 廃水処理場設置へのインセンティブとして、TEDA は定められた排出基準を満た す企業には工業用水料金から廃水処理料金相当(1.2 元/t)を還付している。(2005 年当時国家 2 級(COD <150ppm) 、2010 年から国家 1 級 B(COD<60ppm)へ強化) 今回のヒアリングで、数社からこの還付金が廃水処理場建設又は改造の動機の一 つとなった、という話を聞いており、政策的に良い効果があったと言える。 今回のヒアリング調査で TEDA 内で企業内汚水処理場から発生する余剰汚泥は年 間 3 万 2 千トン強(図表 3.3.8 参照)であり、肣料として再利用している諾維信(中 国)生物技術の発生量2万3千トンを除いても9千トン近くが処理が必要な汚泥発生 量である。 今回の検討では終末汚水処理場の汚泥を中心としてプレ FS を行っているが、輸送 方法、管理方法や費用等の検討を更に行えば、各企業から排出される汚泥も今回エ ンジニアリングを行っている処理設備の処理対象と考える事も可能になる。 28 図表 3.3.11 東 終末汚水処理場 処理フロー NaClO消毒 NaClO Disinfection 回流污泥 Return Sludge DA T 29 进水泵房 Inlet Pumping Station 细格栅 Fine Screen 旋流沉砂池 Grit Chamber IAT 剩余污 泥 Excess Sludge 鼓风机房 Air Blower Room 絮凝剂 Polymer 上清液至粗格 栅 Supernatant to Coarse Screen 进水 Influen t 粗格栅 Coarse Screen 出水泵房 Effluent Pumping Station SBR生物反应池 SBR Biological Reaction Tank 泥饼外运填埋 Transportation and landfill of sludge cake 带式压滤机 储泥池 Belt Filter Sludge Press Buffer Tank 滤液至粗格栅 Filtrate to Coarse Screen 自来水污泥 Sludge of Drinking Water Plant 出水 Effluent 図表 3.3.12 東 終末汚水処理場 改造処理フロー 30 図表 3.3.13 西 終末汚水処理場 処理フロー 31 3.3.3 対象有害物の発生状況 (1) 終末汚水処理場の概要 本プレ FS における有害物廃棄物として、天津経済技術開発区(TEDA)東および西地 区の終末汚水処理場からの余剰汚泥を対象とする。この対象地区には現在数千社が立地 しており、そのうち製造業だけでも化学、医薬、金属、電気/電子、建築、食品/飲料、印 刷、タイヤ等数十種類の業種がある。このような各種業種(企業)から排出される排水 が終末汚水処理場に流入し、当該処理場で適正処理される際に汚泥が発生している。 東/西の両終末汚水処理場の概要をまとめると次のとおりである。 【東地区 終末汚水処理場】 ・ TEDA 東地区終末汚水処理場は、開発区第 1 汚水処理廠として 1999 年 12 月に、 設計能力は 10 万 t/d で建設された。 【西地区 終末汚水処理場】 ・ 2009 年 8 月に設備能力は 12,500t/d で操業し、2010 年 10 月に 12,500t/d×3 系 列を追加建設し運転開始となり、合計設備能力は 50,000t/d となる。 (2) 汚水処理場の受入水量・質および余剰汚泥の発生量 両終末汚水処理場において、地域内の企業などからの排水受入れには、「《汚水綜合排 放標准》三級」の基準を設けている。このため、企業ごとに同基準を超過する排水が発 生する場合には、企業内に排水処理設備を設置して基準を満足させてから排出している。 このため、両終末汚水処理場で受け入れる排水には、有害金属などを含有することを 無く、安定している。 両終末汚水処理場での操業状況を確認するために、過去 1 年間の排水受入水量・水質 および余剰汚泥発生量のデータの提供を要求した。 環境保護局経由で提供されたデータを図表 3.3.14~19 に示す。 32 図表 3.3.14 東区 終末汚水処理場 受入/放流および余剰汚泥量 (2009 年 10 月-2010 年 9 月) 受入水質 適用規格 33 受入水量 《汚水総合排放標準》 万m3/日 三級 設計値 10 2009.1 01 8.28 2009.1 11 7.84 2009.1 21 9.15 2009.1 01 7.88 2009.1 11 8.42 2009.1 21 8.22 2009.1 01 8.9 2009.1 11 8.79 2009.1 21 7.81 2010 01 8.64 2010 11 8.65 2010 21 8.69 2010 01 8.45 2010 11 8.43 2010 21 9.42 2010 01 8.71 2010 11 8.65 2010 21 8.33 2010 01 8.51 2010 11 7.68 2010 21 9.79 2010.1 01 8.17 2010.1 11 8.19 2010.1 21 8.13 2010.1 01 8.13 2010.1 11 8.14 2010.1 21 8.51 2010.1 01 9.08 2010.1 11 8.62 2010.1 21 8.45 2010.1 01 8.33 2010.1 11 7.97 2010.1 21 7.92 2010.1 01 7.91 2010.1 11 7.9 2010.1 21 7.91 放流水質 BOD mg/L 300 COD mg/L 500 SS mg/L 400 NH3-N mg/L - T-P mg/L - T-N mg/L - 動植物油 mg/L 100 石油類 mg/L 20 176 186 201 54 84.5 83 105 70.9 115 52 134 107 97 106 73 73 94.1 64 97.4 127 154 173 139 149 290 94 73 126 184 162 139 107 76 76.8 93 102 789 519 1184 161 203 185 231 224 264 219 224 237 250 228 155 181 191 194 231 288 517 311 236 378 542 161 170 305 602 431 235 281 228 267 224 253 500 450 231 62 104 70 96 103 178 199 63 90 89 546 59 49 53 67 62 136 329 256 64 87 229 69 94 72 553 349 79 161 227 257 118 98 19.1 9.47 35.1 15.9 11.6 14.8 17.3 13 11.5 11.3 7.26 4.54 4.64 7.68 3.55 10.5 10.3 7.06 14 9.38 14.7 6.93 14 6.31 7.02 8.33 9.72 7.76 8.04 14.6 10.9 15.4 5.06 14 11.2 13.8 8.13 8.55 20.5 0.52 2.02 3.34 3.69 2.76 2.37 3.39 1.7 2.53 3.05 2.35 2.01 2.12 2.2 3.69 3.23 3.15 6.95 3.21 5.09 1.47 4.22 2.37 1.41 1.52 9.5 3.05 3.64 4.01 2.01 2.4 2.51 2.25 33.9 80.3 118 18.7 16.6 41.9 20.5 27.8 22.5 42.8 18.6 18.6 17 18 14.3 17.8 16.5 18.1 26.6 22 35.2 16 22.2 9.9 13.6 12 14 16.6 15.3 32.9 19.8 22.3 12.8 19.6 19.9 22.1 0.42 1 0.46 2.32 適用規格 《都市汚水廠》二級 一級B 0.66 5.95 0.75 1.26 1.29 2.02 1.84 2.22 0.84 1.62 1.57 2.8 0.69 0.13 1.77 1.3 1.29 0.11 1.65 0.18 BOD mg/L 30 20 10.5 3.6 2.14 5.7 4.7 6.4 5 3.7 3.2 5.7 2.5 3.56 2.7 4.1 3.4 4.9 4.66 2.5 2.13 6.5 2.32 2.5 2.4 2.04 3.1 4.6 2.5 2.89 4.1 3.2 4.1 3.16 3.7 2.23 2.8 2.8 COD mg/L 100 60 43.6 36.3 36.1 22.9 42.2 35.9 26.4 28.6 24.5 34.3 23 33.2 34.4 30.1 30.2 30.7 37.8 31 24.2 36.2 28.3 30.3 24.4 28.7 31.9 22.6 25.3 27.8 28.2 34.6 25.3 16 37.7 28.4 39.9 39.1 SS mg/L 30 20 12 10 16 6 16 11 11 10 15 23 18 25 10 10 21 16 7 12 8 16 6 23 8 10 11 9 9 7 14 13 7 8 15 13 11 10 NH3-N mg/L 25(30) 8(15) 1.34 0.23 0.06 0.1 1.48 1.5 0.03 0.01 0.01 4.74 0.11 0.01 1.14 10.52 1.94 0.01 3.46 3.6 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.14 0.01 0.01 0.01 0.18 0.01 0.62 0.01 0.01 0.01 0.32 0.23 T-P mg/L 3 1 0.5 1.02 0.53 0.22 1.34 0.86 1.44 1.14 1.37 1.16 0.83 1.35 0.65 0.69 1.32 1.43 0.56 0.95 0.64 1.1 1.36 1.49 0.84 1.03 0.78 0.96 0.38 0.91 0.73 0.95 0.75 0.41 0.66 0.99 1.04 0.82 余剰汚泥 T-N mg/L 20 21.6 19.1 13.6 15 12.5 13.1 12.3 13.9 12.9 17.1 15.6 16.8 12.1 14.9 8.66 11.9 10.6 11.4 14.1 6.25 31.1 11.4 21.1 8.4 14.9 11.7 11.2 13.9 7.5 13.8 8.12 11.3 8.91 13.3 7.84 11.3 動植物油 mg/L 5 3 0.24 石油類 mg/L 5 3 0.69 0.15 0.38 0.42 0.82 0.29 0.99 0.26 0.63 0.39 0.66 0.11 0.69 1.03 1.84 0.05 0.05 0.25 0.14 0.54 0.05 0.22 0.11 汚泥量 t/日 汚泥含水率 84.39 71.2 66.12 58.3 28.94 47.68 78.64 36.01 75.4 77.5 71.2 77.6 74.4 54.86 68.4 41.4 40.76 44.14 62.62 77.8 72.7 78.2 56.26 77.9 75.23 80.2 84.339 75.34 75.17 75.4 76.2 71.1 54.28 84.39 130.79 72.9 71.2 76 10.58 56.26 70.4 wt% 74.7 72.5 9.05 74 図表 3.3.15 東区 汚水処理場 34 流 入 汚 水 量 流入水量/水質 12 1200 10 1000 8 800 3 6 3級COD受入れ基準値=500 m /L 600 3級BOD受入れ基準値=300 m3/L 4 400 2 200 0 2009/10/01 0 2009/11/11 2009/12/21 2010/02/01 BOD【mg/L】 2010/03/11 COD【mg/L】 2010/04/21 SS【mg/L】 2010/06/01 2010/07/11 流入汚水量【万m3/d】 2010/08/21 汚 濁 物 濃 度 図表 3.3.16 東区 発生汚泥量/放流水濃度 3 1級B 放流基準BOD=20 m /L 140 100.0 90.0 120 80.0 1級B 放流基準COD=60 m3/L 100 35 発 生 汚 泥 量 70.0 60.0 80 平均発生汚泥量=59.3 t/d 50.0 60 40.0 1級B 放流基準BOD=20 m3/L 30.0 40 20.0 20 10.0 0 2009/10/01 0.0 2009/11/11 2009/12/21 2010/02/01 BOD【mg/L】 2010/03/11 COD【mg/L】 2010/04/21 2010/06/01 SS【mg/L】 2010/07/11 汚泥量【t/d】 2010/08/21 放 流 水 汚 濁 濃 度 図表 3.3.17 西区 終末汚水処理場 受入/放流および余剰汚泥量 (2009 年 10 月-2010 年 9 月) 適用規格 36 受入水量 《汚水総合排放標準》 千m3/日 三級 12.5 設計値 2009.10 01 8.96 2009.10 11 11.77 2009.10 21 12.38 2009.11 01 10.67 2009.11 11 12.45 2009.11 21 13.06 2009.12 01 13.15 2009.12 11 12.21 2009.12 21 11.43 2010.01 01 12.07 2010.01 11 6.55 2010.01 21 6.37 2010.02 01 5.81 2010.02 11 5.92 2010.02 21 4.72 2010.03 01 6.73 2010.03 11 8.94 2010.03 21 9.42 2010.04 01 8.03 2010.04 11 9.49 2010.04 21 9.07 2010.05 01 9.07 2010.05 11 9.64 2010.05 21 3.57 2010.06 01 4.34 2010.06 11 7.21 2010.06 21 10.49 2010.07 01 6.86 2010.07 11 10.44 2010.07 21 11.2 2010.08 01 11.16 2010.08 11 12.1 2010.08 21 12.42 2010.09 01 12.75 2010.09 11 13.04 2010.09 21 14.35 BOD mg/L 300 COD mg/L 500 SS mg/L 400 受入水質 NH3-N mg/L - T-P mg/L - T-N mg/L - 油分 mg/L 20 134 128 128 99 113 109 105 104 96.8 93.5 102 98.6 82.5 110 90.1 34 19.3 69.8 85.4 47.6 68.5 82.2 99.8 85 34.6 48.2 22.4 19.2 24.6 28.2 54.2 108 33.5 39.2 37.05 26.7 406 396 402 350 427 404 301 378 397 293 415 345 479 551 469 262 182 324 353 265 488 415 369 422 252 217 169 185 179 152 213 207 179 298 296 313 178 206 214 175 185 198 179 167 161 222 243 181 226 158 145 250 107 197 228 215 228 215 222 201 153 132 141 116 80 116 122 155 117 86 89 63 12.7 14.3 14 11.6 12.1 10.6 10.8 11.6 13.5 11 11.9 9.07 10.3 13.8 11.3 6.22 4.2 7.67 15.3 6.47 7.48 11.7 13 8.07 9.1 13.2 11.1 3.3 5.1 8.6 14.3 13.8 13.7 9.83 14.55 11.5 3.74 3.78 3.78 3.17 3.75 3.62 3.25 3.15 3.55 2.8 3.56 4.04 3.04 3.71 2.95 3.12 3.55 3.85 4.2 3.7 3.69 3.88 3.91 3.86 3.1 3.09 2.93 2.98 2.73 2.98 2.77 2.84 2.74 3.5 3.93 4.02 24.2 24.4 24.1 20.5 22.3 22.2 20.2 20.8 21 22.3 24.1 17.9 20.6 27.5 22.5 17.3 11.6 21.9 25.5 19 19.2 23.7 22.6 21 21.5 24.5 23.2 25.1 22.9 25.6 23 24 24 22.2 30.2 25.2 未計測 適用規格 《都市汚水廠》二級 一級B BOD mg/L 30 20 12.9 9.89 12.1 8.31 8.96 8.88 8.49 7.56 5.81 7.48 9.23 6.78 8.47 12 8.92 6.88 4.57 14 6.18 8.3 9.15 8.8 7.38 8.72 10.1 12.7 4.54 7.81 4.68 11 18.1 12.5 5.63 4 2.4 3 COD mg/L 100 60 81.1 72.8 73.6 66.2 73.5 72.9 65.6 77.6 78.1 66.6 75.2 77.7 70.9 77.2 67.55 67.1 72.9 75.5 81.9 76.9 70 80.2 74.5 69.8 78.2 78.9 76.5 82.2 76.3 84.8 68.6 55.1 57.5 56.23 57.6 56.2 SS mg/L 30 20 12 13 13 10 11 10 12 10 9 12 10 9 14 11 12 14 14 15 15 15 22 26 25 28 23 22 20 23 20 17 20 23 21 14 14 16 放流水質 NH3-N mg/L 25(30) 8(15) 4.99 4.85 4.85 4.34 3.62 4.11 4.12 3.59 3.79 3.41 3.67 2.81 0.75 4.37 2.39 1.09 4.53 3.2 1.25 0.35 0.08 3.41 3.89 3.49 0.14 0.04 0.12 0.473 0.01 0.04 1.55 0.15 0.34 0.17 0.01 0.57 T-P mg/L 3 1 0.9 0.97 0.92 0.79 0.8 0.85 0.83 0.69 0.82 0.61 0.78 0.59 0.74 0.92 0.72 0.77 0.5 1.54 0.86 1.09 1.02 0.89 0.88 0.86 0.96 0.99 0.99 0.69 0.95 0.91 0.9 0.84 0.93 0.91 0.92 0.84 T-N mg/L 20 14.2 13.5 14.3 14 12 11.6 14.4 12 11.5 11.8 12.9 9.66 11.97 16 13.05 8.04 12.4 10.7 12.1 14.9 13.7 13.4 13.3 13.7 12.8 13 11.6 12.9 13.8 13 13 12.3 12.1 14.9 14.85 14 油分 mg/L 5 3 未計測 余剰汚泥 汚泥量 汚泥含水率 wt% t/日 4.14 4.13 4.12 4 4.5 4.4 4.35 4.12 3.9 3.05 3.14 3.04 3.9 3.1 3.06 1.8 1.23 1.63 1.44 1.3 1.39 3.58 3.67 3.5 2.67 2.64 2.66 2.39 2.48 2.46 4.24 4.2 4.14 4.76 4.94 4.86 80.0% 80.0% 80.0% 79.0% 80.0% 78.0% 80.0% 80.0% 80.0% 79.0% 79.0% 79.0% 74.0% 74.0% 74.0% 80.0% 80.0% 80.0% 71.0% 71.0% 71.0% 80.0% 80.0% 80.0% 81.0% 82.0% 83.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 図表 3.3.18 西区 汚水処理場 流入水量/水質 16 600 14 500 3 3級COD受入れ基準値=500 m /L 12 400 10 37 流 入 水 量 3 3級BOD受入れ基準値=300 m /L 8 汚 濁 300 物 濃 度 6 200 4 100 2 0 2009/10/01 0 2009/11/11 2009/12/21 2010/02/01 BOD【mg/L】 2010/03/11 COD【mg/L】 2010/04/21 SS【mg/L】 2010/06/01 2010/07/11 流入水量【千m3/d】 2010/08/21 図表 3.3.19 西区 発生汚泥量/放流水水質 6 120 5 100 平均発生汚泥量=3.3 t/d 4 80 38 発 生 汚3 泥 量 1級B 放流基準COD=60 m3/L 60 2 1級B 放流基準BOD=20 m3/L 1 0 2009/10/01 40 20 0 2009/11/11 2009/12/21 2010/02/01 BOD【mg/L】 2010/03/11 COD【mg/L】 2010/04/21 SS【mg/L】 2010/06/01 2010/07/11 汚泥量【t/d】 2010/08/21 放 流 水 汚 濁 濃 度 3.4 有害廃棄物の処理方法検討 (1) 実績を有する技術 日本の産業廃棄物の中で汚泥の排出がもっとも多く、2007(H19)年度の産業廃棄物は、 約 4 億 1900 万トンで、そのうち汚泥は約 1 億 8500 万トン(44%)を占めた。下水汚泥、 浄化槽汚泥、し尿処理汚泥、有機物質汚染排水処理のための活性汚泥処理汚泥などの有機 性汚泥が該当し、これらの汚泥は、排水処理に伴う微生物の死骸の塊である。 生物処理では、発生する余剰汚泥の処理・処分の負担を軽減するために、汚泥の発生量 をできる限り尐なくするプロセスの確立が求められている。 日本における排水処理における活性汚泥法は、下水を効率的に処理するため 1910 年代に 考案された方法で、排水中の有機物を処理するため、高濃度の微生物(活性汚泥)の量を 維持して活動させる。そのため、活性汚泥の活動を支えるため、酸素の補給と、汚泥の返 送が重要な要素になると同時に余剰汚泥が発生する。 一般的に排水処理から排出される汚泥は、図表 3.4.1 のプロセスのように排出し、処理さ れている。 図表 3.4.1 標準活性汚泥法による排水処理 流入処理水 沈 砂 池 生 物 反 応 槽 最 初 沈 殿 池 最 終 沈 殿 池 返送汚泥 汚 泥 濃 縮 槽 消 毒 槽 処理放流水 排ガス 余剰汚泥 汚 泥 脱 水 機 焼 却 炉 しかし、図表 3.4.3 に示したように発生する汚泥の処理については、多くの代替プロセス が存在する。日本において下水汚泥処理システムで活用されている汚泥処理のフローとそ の採用割合は以下のようになっている。 (1)濃縮-脱水(11%) (2)濃縮-嫌気性消化-脱水(16%) (3)濃縮-嫌気性消化-脱水-コンポスト化(5%) 39 (4)濃縮-脱水-焼却(39%) (5)濃縮-嫌気性消化-脱水-焼却(20%) (6)濃縮-脱水-溶融(2%) ( )内はこのようなフローを採用している処理場の割合を示している。これからわか るように,下水汚泥は濃縮ののち直接脱水されて焼却されるフローが全体の 39%と主流を 占めているが,嫌気性消化を採用しているところも全体で 41%と多い。近年は、滞留時間 が長く、したがって広い敷地面積を必要とする嫌気性消化の採用が敬遠されてきた傾向が あるが、エネルギー回収の意義が大きい嫌気性消化・メタン回収システムの効率化に積極 的に取り組むところもある。 有機性汚泥の代表として下水処理場から排出される汚泥の一般的な処理システムを図表 3.4.2 に示すように各種方式があるが、基本的には汚泥中の水分を取り除くことであり、さ らに減容化・安定化を図る方法がある。これらの方法から立地の要求する条件を考慮して 選択することとなる。 図表 3.4.2 汚泥の減容化方法の概観 嫌気性 消 化 【汚泥】 脱 水 濃 縮 (乾燥) コンポスト化 【農業資材】 焼 却 【土木資材】 【埋立処分】 重力 真空 ストーカ 浮上 フィルタープレス 流動床 遠心 ベルトプレス ロータリーキル ン 立て型多段 スクリュープレス 溶 融 遠心 コークスベッド 旋回 表面 アーク プラズマ 汚泥処理の技術に関しては図に示した方法を含み、 「濃縮・脱水、消化、乾燥、焼却・溶 融、脱臭、資源有効利用、炭化炉」など幅広い技術がある。これらの技術および設備の提 供が可能な企業について図表 3.4.3 にまとめる。 40 技術分類とメーカ情報 図表 3.4.3 汚泥処理技術と設備提供企業(1/2) 41 汚泥処理設備 濃縮・脱水 消化 乾燥 焼却・溶融 脱臭 資源有効利用 炭化炉 濃縮、脱水、他 消化槽、攪拌装置、脱硫装置、余剰ガス燃焼装置、ガスホルダー、他 乾燥機、油化処理、他 焼却炉、溶融炉、排ガス処理、他 薬液法、活性炭吸着法、生物法、オゾン法、燃焼法、腐植質法、他 コンポスト、建設資材、エネルギー利用、炭化炉、他 炭化炉 汚泥処理設備-濃縮・脱水 名称 高効率型圧入式スクリュープレス脱水機 圧入式スクリュープレス脱水機 移動脱水車設備 差速回転型スクリュー濃縮機IGKT 濃縮機付軸摺動式スクリュープレス脱水機術 下水汚泥処理用脱気装置 汚泥濃縮機 直胴型遠心脱水機 スクリュープレス脱水機 回転加圧脱水機 回転円盤式汚泥濃縮機 ベルト型ろ過濃縮機 ベルト型ろ過濃縮機 高効率型圧入式スクリュープレス脱水機 汚泥濃縮機 ベルト型濃縮機 二重円筒加圧脱水機 多重円板型汚泥脱水機 多重板型スクリュープレス脱水機 遠心脱水機 回転加圧脱水機 ベルト型ろ過濃縮機 省エネルギー型遠心脱水機 高分子凝集剤瞬間連続溶解装置 多重円板型脱水機・造粒脱水ユニット 遠心濃縮機 圧入式スクリュープレス脱水機 回転加圧脱水機 直胴圧搾式遠心脱水機 高効率型遠心脱水機 横型遠心濃縮機 水中プロペラODシステム 消化ガス精製装置(シロキサン除去) 商品名 ISGKⅣ(アイエスジーケイⅣ) ISGK(アイエスジーケイ) ISGK EXPRESS GKシックナー スライドシャフトスクリュー デアリフォーマ クボタベルト型ろ過濃縮機 S-CM型、S-CK型 クボタスパイラルマスター 三機ロータリプレスフィルタ 三機ハニカム濃縮機 ベルト型濃縮機 SHIXAQUA®(シックスアクア) タクマ回転ドラム型濃縮機 TSKベルト型濃縮機 トルネードプレス TornadoPress® 多重円板脱水機DS型 ティーボーグ脱水機 CDM型 新高効率型遠心脱水機HED トモエロータリプレスフィルタ アクアベルトろ過濃縮機 SD遠心脱水装置DPSH RCSS装置 ヘリオス脱水機・MDPユニット ベーン型汚泥濃縮機 差動回転式スクリュープレス ロータリプレスフィルタ アポロスクウィーザー セントリプレス RC 新世代ODシステム JFE-バイオガスクリン 会社名 株式会社 石垣 株式会社 石垣 株式会社 石垣 株式会社 石垣 荏原エンジニアリングサービス 株式会社 荏原エンジニアリングサービス 株式会社 株式会社 クボタ 株式会社 クボタ 株式会社 クボタ 三機工業 株式会社 三機工業 株式会社 株式会社 神鋼環境ソリューション 住友重機械エンバイロメント 株式会社 住友重機械エンバイロメント 株式会社 株式会社 タクマ 月島機械 株式会社 月島機械 株式会社 株式会社 鶴見製作所 株式会社 鶴見製作所 巴工業 株式会社 巴工業 株式会社 巴工業 株式会社 株式会社 西原環境テクノロジー 株式会社 西原環境テクノロジー 前澤工業 株式会社 三菱化工機 株式会社 三菱化工機 株式会社 メタウォーター株式会社 寿工業 株式会社 寿工業 株式会社 寿工業 株式会社 JFEエンジニアリング 株式会社 JFEエンジニアリング 株式会社 図表 3.4.3 汚泥処理技術と設備提供企業(2/2) 42 汚泥処理設備-消化 名称 商品名 マイクロガスタービン消化ガスコージェネレーションシステム TA100 バイオガス精製装置 バイオ天然ガス化設備 汚泥減容化システム RESER(レセル)システム インペラ式消化槽撹拌機 インペラ式撹拌機 メガロインペラ 消化槽撹拌機 ダイナミキサーJr. 会社名 株式会社 荏原製作所 株式会社 神鋼環境ソリューション 株式会社 神鋼環境ソリューション 住友重機械エンバイロメント 株式会社 月島機械 株式会社 JFEエンジニアリング 株式会社 汚泥処理設備-乾燥 名称 汚泥乾燥装置 通気バンド乾燥機/真空撹拌乾燥機 商品名 エバラ汚泥造粒乾燥装置 汚泥乾燥設備 会社名 荏原エンジニアリングサービス 株式会社 前澤工業 株式会社 汚泥処理設備-焼却・溶融 名称 流動床汚泥焼却設備 汚泥溶融システム 過給式流動燃焼システム ファジィ燃焼制御ソフト 下水汚泥焼却灰リン肥料化システム 循環流動層下水汚泥焼却炉 焼却溶融システム 循環流動層炉 溶融システム 商品名 エバラ旋回流型流動床焼却設備 メルトックス 過給式流動炉 クリーンバーン P-ACEシステム 循環流動層下水汚泥焼却炉 焼却溶融システム タクマ循環流動層炉 旋回流式溶融炉 会社名 荏原エンジニアリングサービス 株式会社 荏原エンジニアリングサービス 株式会社 三機工業 株式会社 三機工業 株式会社 三機工業 株式会社 株式会社 神鋼環境ソリューション 株式会社 神鋼環境ソリューション 株式会社 タクマ メタウォーター株式会社 汚泥処理設備-脱臭 名称 生物脱臭システム 商品名 Hi-Deo(ハイデオ) 会社名 株式会社 神鋼環境ソリューション 汚泥処理設備-資源有効利用 名称 商品名 汚泥溶融システム メルトックス 汚泥乾燥装置 エバラ汚泥造粒乾燥装置 マイクロガスタービン消化ガスコージェネレーションシステム TA100 下水汚泥焼却灰リン肥料化システム P-ACEシステム バイオガス精製装置 バイオ天然ガス化設備 汚泥減容化システム RESER(レセル)システム 焼却溶融システム 焼却溶融システム りん回収技術 晶析脱りん法 透水性レンガ製造設備 汚泥コンポスト化装置 造粒脱リンプロセス PHOSNIX(フォスニックス) 会社名 荏原エンジニアリングサービス 株式会社 荏原エンジニアリングサービス 株式会社 株式会社 荏原製作所 三機工業 株式会社 株式会社 神鋼環境ソリューション 株式会社 神鋼環境ソリューション 株式会社 神鋼環境ソリューション 前澤工業 株式会社 三菱化工機 株式会社 三菱化工機 株式会社 ユニチカ 株式会社 汚泥処理設備-炭化炉 名称 汚泥炭化システム 会社名 住友重機械エンバイロメント 株式会社 商品名 - (2) 最近の処理技術 経済産業省においては、2006 (H18) 年 5 月に策定された「新・国家エネルギー戦略」で、 2030 年に向けて官民で共有すべき数値目標が設定され、エネルギー使用合理化の一層の推 進を行い、30%以上の最終エネルギー使用効率の改善を行うことなどを盛り込んでいる。そ のエネルギー使用効率の改善の一手法として、省エネルギーの技術開発が挙げられ、多分 野にわたり取組みを行っており、環境分野においては、排水の再利用や余剰汚泥の削減な どもひとつの方法であり、環境問題との一体的解決を目指している。 また、 「技術戦略マップ 2009」においても3R分野の基本的な考えやロードマップをまと めており、余剰汚泥の削減に関しても、「国土が狭いわが国においては、最終処分場の逼迫 が廃棄物問題の重要な課題となっており、このような課題解決に向けた対策として、最終 処分量削減に繋がる技術開発が重要となっている。 」と最終処分量削減の重要性を指摘して おり、2020(H32)年には 2010(H22)年比で最終処分量 25%減の目標が設定されている。 その「技術戦略マップ 2009」に記載している余剰汚泥の削減に向けた開発技術の分類を 図表 3.4.4 にまとめた。 図表 3.4.4 最終処分量削減に向けた研究開発技術 対象 物質 大分類 共通/ 基盤技術 小分類 減容化 吸着プロセス 路盤材利用 詳細技術 混焼技術 溶融技術 脱水・乾燥技術 可溶化分解技術 選択的吸着剤・吸着プロセス技術 路盤材利用技術 N,P回収技術 有用物質回収 有価物 汚 泥 回収技術 (リサイク ル) エネルギー回収 重金属回収技術 脱塩・洗浄/塩類回収技術 園芸用土壌リサイクル技術 メタン発酵技術 水素発酵技術 ガス化発電技術 発生削減 製紙汚泥の減容化 産業系無機汚泥の有害物質除去 建設汚泥 将来的に枯渇が指摘されているリ ン資源の有効利用を推進する (下水汚泥、食品系排水汚泥) 汚泥からの重金属回収技術 浄水場無機汚泥 汚泥発生抑制水処理技術 下水汚泥の部分燃焼ガス化発電 有機性廃棄物のエネルギー利用を社会 システムを考慮した上で有効策検 討 下水汚泥 汚泥発生削減薬品技術 産業系無機汚泥、浄水場無機汚泥 その他 発生抑制技 術 (リデュー ス) 備考 出典:http://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/kenkyu_kaihatu/str2009.html 43 このような、汚泥の減容化に向けた技術開発はについて、直近 10 年程度を目処に、技術 雑誌の発表記事を検索した。その結果、汚泥減容化特集として発表された記事を図表 3.4.5 にまとめた。 図表 3.4.5 最近 10 年間の汚泥減容化処理に関する特集記事(1/2) 雑誌名 発刊時期 記事名 No. 1 資源環境対策 2003年5月 注目される余剰汚泥減容化技術 湿式ビーズミル法と化学処理を組合せ AGHシステム バイオダイエット UASB嫌気+好気処理+汚泥可溶化槽 ゼグルス:余剰汚泥ゼロシステム オゾンによる処理 レセル(RESER)システム エステプロセス(好熱性細菌) オゾン酸化死滅法+膜分離活性汚泥 シエルトプロセス ミル破砕方式 2 環境浄化技術 2004年5月 有機汚泥の減量化技術 物理化学的手法による汚泥減量化技術 生物学的手法による廃水処理汚泥減量化技術 余剰汚泥ゼロを目指す磁化活性汚泥法 オゾンを用いた汚泥減量化システム 物理破砕と化学処理を利用した汚泥減量化技術 「高圧噴流」による汚泥減量化技術 好熱性細菌を用いた汚泥減量化プロセス 微生物を利用した汚泥発生抑制型水処理技術 余剰汚泥減容化装置「バイオダイエット」 3 環境技術 2004年6月 特集・ 嫌気性生物処理による工場廃水の処理 嫌気性生物処理の特長 UASB法によるビール排水の嫌気性処理 飲料工場廃水の嫌気処理 食品産業における嫌気性廃水処理装置 4 環境技術 2007年5月 特集 汚泥減量化技術とコストダウン 汚泥減量化技術の設計・操作条件と留意事項 好気性好熱性細菌による汚泥減量化技術 薬剤添加による汚泥減量化プロセスの適用事例 電解法を用いた余剰汚泥の減量化技術 小規模生活排水向け汚泥削減装置 超音波汚泥減量化装置 ミル破砕方式汚泥減量化システム 高圧噴流方式による余剰汚泥減量化システム 5 環境技術 2008年4月 特集 ・生物学的排水処理のプロセスとその維持管理 生物学的排水処理の基本原理とプロセス 標準活性汚泥法の維持管理とその課題 44 作成機関 アクアス エイブル 環境エンジニアリング 倉敷紡績 クラレ 栗田工業 神戸製鋼 神鋼パンテック 富士工機 プリオ ユニチカ 大阪工業大学 豊橋技術科学大学 宇都宮大学 栗田工業 アクアス ヤンマー 神鋼環境ソリューション JFEエンシ 新日鉄 ㈱神鋼環境ソリューション 栗田工業㈱ 住友重機械工業㈱ 富士化水工業㈱ 宇部工業港等専門学校 ㈱神鋼環境ソリューション 日鉄環境エンジニアリング㈱ 水道機工㈱ 松下環境空調エンジニアリング㈱ ㈱酉島製作所 ユニチカ㈱ プラント機工㈱ 宇部工業高等専門学校 日本下水道事業団 図表 3.4.5 最近 10 年間の汚泥減容化処理に関する特集記事(2/2) No. 雑誌名 6 資源環境対策 7 資源環境対策 8 産業と環境 9 資源環境対策 10 環境浄化技術 11 環境浄化技術 12 環境浄化技術 発刊時期 記事名 2008年6月 下水汚泥の資源・エネルギー化 下水汚泥の資源的価値 LOTUSプロジェクトの概要 東京都・東部スラッジプラント汚泥炭化事業の概要 2008年6月 汚泥減容システム 2009年2月 高度化する水処理技術と関連技術 河川・工場廃水から過塩素酸イオンを除去する手法 既存排水処理施設を有効利用した高度処理技術 2009年6月 下水汚泥処理技術の最新動向 下水汚泥処理技術と時代のニーズ 中条城下センターにおける下水汚泥活性炭化システムの概要 低ランニングコスト型消化ガス発電システム 下水汚泥のバイオソリッド燃料化 下水汚泥焼却灰からのリン回収技術 下水汚泥の低温炭化燃料化システム 薬剤添加による汚泥減量装置「バイオダイエット」の適用事例 2010年1月 特集:最新の有機汚泥減容技術 余剰汚泥減容化技術の最新動向 余剰汚泥減容「CE-ESR」システム 微生物の自己酸化を利用した汚泥減容法 常温微生物方式脱臭・汚泥減容化システム「バイオデオ」のしくみ 汚泥削減と効率処理をめざす有機性排水処理設備 2010年3月 特集:下水汚泥濃縮機、脱水機 最近の汚泥脱水機の現状と動向 新型スクリュープレス脱水機 二重円筒加圧脱水機 最近の汚泥濃縮機・脱水機 電気浸透式汚泥脱水機の事例紹介 差動回転式高効率スクリュープレスの紹介 低動力型高効率遠心脱水機 超低含水率型遠心脱水機 軸摺動型スクリュープレス脱水機による汚泥処理 2010年12月 特集:下水汚泥固形燃料化 汚泥固形燃料化の現状 広島市における下水汚泥燃料化設備の現状 愛知県における下水汚泥燃料化の取り組み 宮城県における下水汚泥燃料化設備の現状と課題 下水汚泥の低音炭化燃料化技術 汚泥燃料化の利用技術 下水汚泥固形燃料化技術 下水汚泥固形燃料化技術 改質乾燥による下水汚泥の固形燃料化技術 作成機関 土木研究所 下水道新技術機構 東京都下水道局 富士化水 静岡大学、NEDO 前澤化成 下水道事業団 カワサキプラントシステム JFEエンジ 日立造船 メタウォーター 月島機械 日鉄環境エンシ 豊橋技術科学大学 コスモエンジニアリング クラレアクア 中外テクノス/千代田工販 日鉄環境エンジニアリング 環境システム設計(株) (株)石垣 月島機械(株) (株)クボタ アタカ大機(株) 三菱化工機(株) 巴工業(株) (株)西原環境テクノロジー 荏原エンジニアリングサービス(株) 日本下水道事業団 広島市下水道局 愛知県建設部 宮城県土木部 電源開発(株) バイオ燃料(株) JFEエンジニアリング(株) 新日鉄エンジニアリング(株) 三菱化工機(株) これらの記事の傾向から、 「(1) 実績を有する技術」で記載した発生した汚泥を減らす減 量化方法(直接減容化)から、排水処理プロセスの中で余剰汚泥を循環し、減尐させる方 法(再基質化)や余剰汚泥の発生を抑制させる方法(発生抑制)についての発表である。 このような記事を整理すると図表 3.4.6 のようなプロセスの違いとなる。 図表 3.4.6 では、従来の処理技術として、発生した汚泥は乾燥および焼却する直接減容化 処理である。そして、排水処理場の処理工程で汚泥の発生抑制を図る工夫としての技術と 資源リサイクル技術の開発が進められている。 45 図表 3.4.6 汚泥処理の技術関係 図表 3.4.6 に示した排水処理場内の汚泥減容化に関するプロセスと従来法との違いを図表 3.4.7 に示した。 46 図表 3.4.7 排水処理場内の余剰汚泥減容化技術の方式 出典:平石明“余剰汚泥減容化技術の最新の動向” 、環境浄化技術、Vol9、pp.1-6(2010) この排水処理場内の余剰汚泥の可溶化や汚泥の減量化を図る代表的な要素技術として、 ・ ミル破砕方式 ・ 高温微生物方式 ・ 電解方式 ・ 高圧噴流方式 ・ 酸化剤方式 ・ 超音波方式 などがある。これらの原理をまとめると図表 3.4.8 のようになる。 47 図表 3.4.8 汚泥量調整方式一覧 No 方式名称 1 ミル破砕方式 企業名 ユニチカ(株) 原理 汚泥を湿式ビーズミル破砕機に投入し、撹拌ディスクにより ビーズを流動させて、ビーズ間に生じる剪断摩擦力等によっ て微生物の細胞壁を強制的に破砕する。 2 高温微生物方式 (株)神鋼環境ソ 60~70℃の好気性条件下で活発に増殖する高温微生物が分泌 リューション する、プロテアーゼ等の体外酵素によって汚泥を可溶化する。 3 電解方式 水道機工(株) 汚泥にNaClを添加して電解し、発生する次亜塩素酸の作用と 感電の作用によって、微生物の細胞壁を損傷させる。 4 高圧噴流方式※1 プラント機工(株) 高圧ポンプにより昇圧された汚泥を、ノズルを有した高圧噴 流反応槽内へ送り込み、ノズルの前後での圧力の急変によっ てキャビテーションを生じさせ、汚泥を破壊・細分化する。 5 酸化剤方式※2 日鉄環境エンジニア 汚泥に酸化剤を添加し、・OHラジカルの酸化力を用いて、汚 リング(株) 泥中の微生物の殺菌処理、細胞壁の酸化分解、細胞質の低分 子化等を行う。 6 超音波(T)方式 (株)酉島製作所 超音波を照射してキャビテーションを連続的に発生させ、局 所的に生じた高温・高圧の反応場の作用によって汚泥を再基 質化する。 出典:http://www.jarus.or.jp/villagedrain/01osui/04odeiryochosei.htm ※1 高圧噴流方式については、平成 18 年度より、ヤンマー株式会社からプラント機工株式会社に技術 移管されています。 ※2 新日鉄エンジニアリング株式会社は、平成 19 年度から日鉄環境エンジニアリング株式会社に業務 移管しました。 これらの処理技術を含め排水処理場内の余剰汚泥を減容化する技術を取り組んでいる企 業に関して、情報をまとめると図表 3.4.9 のとおりである。 48 図表 3.4.9 汚泥減容化技術取り扱い企業情報 No. 企業名称 1 アクアス株式会社 2 株式会社エイブル 3 倉敷紡績株式会社 4 株式会社クラレ 5 栗田工業株式会社 6 コスモエンジニアリング株式会社 7 株式会社神鋼環境ソリューション 49 8 新日鉄エンジニアリング株式会社 9 JFEエンジニアリング株式会社 10 水道機工株式会社 11 千代田工販株式会社 12 株式会社酉島製作所 13 日鉄環境エンジニアリング株式会社 14 株式会社日本バイオマス研究所 15 富士工機株式会社 16 プラント機工株式会社 住所/ホームページ 本社:東京都目黒区洗足2-22-6 〒152-0012 つくば総合研究所:茨城県つくば市緑ケ原4-4 http://www.aquas.co.jp/index.php 〒350-0807 埼玉県川越市吉田642-13 http://www2.ocn.ne.jp/~ablej/index.html 本社:大阪市中央区久太郎町2-4-31 http://www.kurabo.co.jp/index.html 〒100-8115 東京都千代田区大手町1-1-3 http://www.kuraray.co.jp/ 〒160-8383 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 http://www.kurita.co.jp/ 東京都品川区東品川2-5-8 http://www.cosmoeng.co.jp/index.html 〒651-0072 神戸市中央区脇浜町1丁目4番78号 http://www.kobelco-eco.co.jp/ 〒141-8604 東京都品川区大崎1-5-1 大崎センタービル http://www.nsc-eng.co.jp/ 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 http://www.jfe-eng.co.jp/ 〒156-0054 東京都世田谷区桜丘5-48-16 http://www.suiki.co.jp/ 〒104-8115 東京都中央区銀座七丁目13番8号 http://www.chiyodakohan.co.jp/ 〒569-8660 大阪府高槻市宮田町一丁目1番8号 http://www.torishima.co.jp/ 東京都千代田区東神田1丁目9番8号 http://www.nske.co.jp/ 茨城県つくば市小野川 16-1 http://www.j-biomass.com/ 〒494-0011 愛知県一宮市西萩原字若宮前53-1 http://www.fujiclon.com/index.php 〒572-0072 大阪府寝屋川市太間東町10番11号 http://www.plant-kikou.co.jp/pages/index.html 余剰汚泥減容化装置 物理破砕と化学処理を併用 アルカリと超音波を併用 汚泥可溶化液を酸生成槽およびUASB槽に投入 PVA材による微生物固定化担体を活用し、微生物を高濃度で保持 返送汚泥の一部をオゾン処理して可溶化 細胞壁を薬品で柔軟にし破砕する 汚泥可溶性の好熱菌を活用。レセル(RESER)システム 余剰汚泥に酸化剤を転化酸化分解した後、再度、活性汚泥処理槽に 返送し、汚泥の自己消化を促進させる。 引抜き汚泥をアルカリ処理と微生物処理の組合わせで常温可溶化菌 を用いて溶解し、減量化を図る 余剰汚泥を電解槽で電気分解処理し、塩素分子によって汚泥細菌殺 傷し、化学法で細胞殺傷法に分類される方法 有用微生物(土着のバチルス菌)を活用した汚泥減容技術 返送汚泥ラインに設置する超音波照射により生じるキャビテーションを 用いた汚泥の破砕・可溶化設備 超高速増殖微生物を活用するので、自己消化速度が超高速で、汚泥 の大半が自己消滅する。「バイオダイエット」 新種の微細藻類を使用することで、汚泥の発生を抑制する。 余剰汚泥の細胞壁をオゾンの酸化力で可溶化 返送汚泥の一部を分岐して高圧噴流により余剰汚泥を減量化する。 次いで、排水場外の余剰汚泥の処理では、リサイクル化技術により飼料化・肣料化・建 築材への利用などがあるが、最近の傾向として、汚泥の炭化や乾燥による燃料化の取り組 みが盛んである。 これは、排水処理場から発生する余剰汚泥は、年間を通じて量および質の変動が尐ない ことから、地球環境に優しいバイオマス燃料として使用することで、温室効果ガスの削減、 汚泥処理コスト低減などの利点が見込まれる。日本において、汚泥を出発原料とする燃料 化物(製品)は、火力発電所、製糸工場およびセメント工場で利用されている。 炭化および乾燥プロセスによる汚泥燃料化の簡易フローは次の通りである。 図表 3.4.10 乾燥および炭化による燃料化簡易フロー 脱水汚泥 回収排熱 乾燥 乾燥燃料 炭化 炭化燃料 熱回収 排ガス処理 排水 排ガス 炭化および乾燥プロセスによる汚泥燃料化は、余剰汚泥が持つ燃焼価値を最大限保持す ることが重要であり、このため、燃料化効率=「汚泥が保有する発熱量に対する燃料化物 としての発熱量比率」により判断ができる。 「図表 3.4.5 最近 10 年間の汚泥減容化処理に関する特集記事」などで記載された情報 を基に余剰汚泥から燃料化に関する比較を図表 3.4.11 にまとめた。 50 図表 3.4.11 余剰汚泥から燃料化へのプロセス比較 処理方式 低温炭化 中高温炭化 乾燥機 乾燥機 ↓ ↓ 造粒機 造粒機 ↓ ↓ 炭化炉 炭化炉 適用温度(℃) 300 燃料化効率(%) 高位発熱量推計値 (MJ/kg-DS) 主要設備 低温乾燥 中温乾燥 成形機 ↓ 乾燥機 混錬機 ↓ 造粒機 ↓ 乾燥機 500 200 400 68 35 90 以上 60-70 22 19 19 出典:環境浄化 2010.12 32 頁 等 また、汚泥減容化の技術開発として、「下水道技術開発プロジェクト」があり、この構 想に引続き、「下水汚泥の資源化先端誘導プロジェクト」が「LOTUS Project(Lead to Outstanding Technology for Utilization of Sludge Project) 」 として実施された。 これは、下水処理に伴い必然的かつ永続的に発生する下水汚泥の資源化を推進するため、 コストダウンを目標として掲げた技術開発プロジェクトで、次の2つの技術開発を目指し た。 ① スラッジ・ゼロ・ディスチャージ技術の開発 【ZD:Sludge Zero Discharge】 下水汚泥を処分するコストよりも安いコストでリサイクルできる技術 ② グリーン・スラッジ・エネルギー技術の開発 【GE:Green Sludge Energy】 下水汚泥等のバイオマスエネルギーを使って、商用電力価格と同等かそれよりも安い コストで電気エネルギーを生産できる技術 具体的な目的の方向は、スラッジ・ゼロ・ディスチャージ技術(以下 ZD 技術)で、「廃 棄処分するより安く下水汚泥を全量リサイクルできる」こと、グリーン・スラッジ・エネ ルギー技術(以下 GE 技術)で、「下水汚泥等のバイオマスを利用して買電よりも安く発 電できる」こととし、2 技術に分類し,それぞれの技術に関して下水汚泥の処分コストや 買電単価に対抗できる開発目標コストを設定してプロジェクトを進めた。 開発目標コスト:ZD 技術 16,000 円/t(脱水汚泥),8,000 円/t(焼却灰) :GE 技術 9.32 円/kWh 実施したプロジェクトの概要について図表 3.4.12 にまとめた。 51 図表 3.4.12 LOTUS Project の概要 分類 ZD 技術 GE 技術 ZD+GE 技術名称 技術概要 開発企業 実証 フィールド 舞鶴市浄化セン ター 下 水 汚 泥 の バ イ オ ソ 熱エネルギーの利用・回収技術と下 日立造船(株) リッド燃料化 水汚泥の乾燥造粒技術とを組み合わ せてバイオソリッド燃料を製造する 技術。 下 水 汚 泥 焼 却 灰 か ら 下水汚泥焼却灰にアルカリ性溶液を メタウォーター(株) 岐阜市北部プラン のリン回収技術 加えてりん酸を溶出させ液肣又はり 岐阜 市上下水道 事 ト ん酸カルシウム塩として,高付加価 業部 値の肣料原料とする技術。 下 水 汚 泥 の 活 性 炭 化 脱水汚泥から活性炭化物を製造し, カワ サキプラン ト 石川県七尾市西部 と 有 効 利 用 に よ る 汚 汚泥脱水助剤,汚泥改質剤又はゴミ システムズ(株) 水質管理センター 泥処理費の低減 焼却炉のダイオキシン吸着剤等とす (株)木村製作所 る技術。 下 水 汚 泥 と バ イ オ マ 下水汚泥を超音波可溶化するととも 月島機械(株) 横浜市南部汚泥資 ス の 同 時 処 理 に よ る に,その他バイオマスを受け入れて 源化センター エネルギー回収技術 下水汚泥と合わせて消化し,消化ガ ス発生量を増加させ発電する技術。 低 ラ ン ニ ン グ コ ス ト その他バイオマスを受け入れて下水 JFE エンジニアリ 横浜市南部汚泥資 型 混 合 消 化 ガ ス 発 電 汚泥と合わせて消化し,消化ガス発 ング(株) 源化センター システム 生量を増加させ発電する技術。生物 アタカ大機(株)、鹿 脱硫設備の導入によるコスト低減等 島建設(株) も検討 ダイネン(株) 消 化 促 進 に よ る 汚 泥 下水消化汚泥をオゾン処理すること (株)日立プラントテ新潟県十日町市下 減量と消化ガス発電 により消化を促進し,汚泥の減量化 クノロジー 水処理センター を図るとともに消化ガス発生量を増 栗田工業(株) 加させ発電する技術。 湿 潤 バ イ オ マ ス の メ その他バイオマスを受け入れて下水 カワ サキプラン ト 熊本市南部浄化セ タン発酵・発電・活性汚泥と合わせてメタン発酵・発電す システムズ(株) ンター 炭化システム る技術及び発酵残渣から活性炭化物 を製造し,環境浄化剤とする技術。 52 3.5 有害廃棄物処理に関する TEDA の要望確認 日本における余剰汚泥の処理に関して、既に確立された技術(実績を有する技術)や省 エネルギー/環境保全・安定化から開発を行っている技術(最近の処理技術)と提供企業に ついて併せて紹介した。 TEDA 地区における余剰汚泥に関して、環境保護局との協議を経て、排出量の確認が行 われた。これを基に本調査における終末汚水処理場からの余剰汚泥処理設備の検討前提は 次の通りである。 1.前提 1.1 検討汚水処理場 (1) 東 地区 汚水処理場 10 万 m3/日 ・ 設計能力:受入れ水量 :受入れ水質 汚水総合排放標準=3 級 :放流水質 都市汚水廠 2 級/一級 B ・ 2009/10-2010/9 間の操業状況 :平均受入れ汚水量=8.41 万 m3/日 :平均汚泥発生量=59.3 t/日(含水率:74.7%) ・ 設計能力規模での汚泥発生量(試算) :10÷8.41×59.3 =70.5t/日(含水率:74.7%) (2) 西 地区 汚水処理場 12.5 千 m3/日 ・ 設計能力:受入れ水量 :受入れ水質 汚水総合排放標準=3 級 :放流水質 都市汚水廠 2 級/一級 B ・ 2009/10-2010/9 間の操業状況 :平均受入れ汚水量=9.66 千 m3/日 :平均汚泥発生量=3.30 t/日(含水率:78.75%) ・ 設計能力規模での汚泥発生量(試算) :12.5÷9.66×3.30 =4.27t/日(含水率:78.75%) 設備検討に関しては、TEDA 側から、次の事項に関する要望および希望が出された。 ・ 新規開発技術を提案することも要望されたが、現在実際に操業を行っている東/西 の終末汚水処理場への計画反映として、技術的に確立され、実績豊富な処理方法を 受入したい。 53 ・ 処理施設選定の際には、経済性/技術/管理等の面から妥当性を評価して選定する。 ・ 経済性の検討には実際の設備設置場所などの条件を織り込んだ試算が必要である。 ・ 現在計画が進行中の南港工業園には、新開発技術の採用を将来的に検討したい。 しかし、本調査においてはプレ FS の段階であるので、幅広い情報を集めて提示をするこ とが将来の選定に役立つと考える。そのため、有害廃棄物処理として TEDA が要望する事 項を確認して、将来の処理施設の具体的な選定評価判定に繋がるような提案をすることに 努めた。 54 3.6 有害廃棄物処理設備のショートリスト作成 3.6.1 ショートリスト作成手順 本調査において、上記の確認が行われた後、有害廃棄物処理施設として「(3) 有害廃棄物 の処理方法の検討」で示した処理方法について採択の可否についての情報をまとめた。 まず、前提として有害廃棄物について次の点を明確化した。 ・ 処理対象物(質/量) ・ 処理後の状態 次いで、処理方法については、 「安心・安全・コスト」面から比較検討を行い数種類の処 理方法を検討・選択した。 選択した処理方法については、技術的特徴、設備提供会社、日本国内の実績を基にした 建設費及び日本側としての推薦順位を含めた情報をショートリストとしてまとめた。 3.6.2 ショートリスト 余剰汚泥に関する処理方法については、リサイクルの技術的特徴から処理生産物の有効 利用先は図表 3.6.1 に示す。 図表 3.6.1 余剰汚泥の有効利用の用途 余剰汚泥を処理した場合のリサイクル用途を示したが、これの用途に合致する処理法と して次の 4 種類を選択した。 (1) 単純焼却法 :最も普及された処理技術 (2) 消化ガス発電法 :余剰汚泥を消化して、発電燃料へ利用 (3) 混合消化法 :余剰汚泥および家庭有機廃棄物も対象に発電燃料へ利用 (4) 汚泥燃料化法 :火力発電、ごみ焼却への助燃料として化石燃料代替利用 これらの処理方法に関する情報と評価を以下にまとめた。 55 (1) 単純焼却法 【プロセス概要】 汚泥の焼却処理として従来は気泡流動床炉の採用が多かった。 今回検討する循環流動層炉は、従来の気泡流動床炉に較べて、床面積が小さく、ガス流 速が大きいため、炉全体に珪砂による希薄な層が形成される。このため広範囲で水分蒸発・ 燃焼が行われる。 汚水処理場の脱水後の余剰汚泥(含水率 70-85%) は 、定量フィーダーで連続的に移送ポ ンプにより圧送され、電磁流量計で計量後、流動層炉に投入される。 流動層内に投入された汚泥は、激しく流動する 800℃前後の高熱流動媒体(硅砂)の中に 包み込まれ、その大きな伝熱面積と運動エネルギーにより、水分蒸発、微細化、燃焼が瞬 時に行なわれ、ついでフリーボード部では約 850℃の高温下で燃焼ガスの脱臭、未燃分の燃 焼などが起り、ほぼ完全に焼却された灰だけが排ガスに伴って炉外に排出される(図表 3.6.2 を参照) 。 【主要設備】 ・ 余剰汚泥定量供給機 ・ 流動床焼却炉 ・ 空気予熱機 ・ 排ガス処理設備 ・ 飛灰混錬機 【提供企業】 企業名 情報入手先 提供設備名 JFE エンジニアリング株式会社 循環流動層式下水汚泥焼却炉 http://www.jfe-eng.co.jp/product/catalog/pdf/CA4059.pdf 月島環境エンジニアリング株式会社 流動床焼却システム http://www.tske.co.jp/technology/kokei_shochu.html 月島機械株式会社 省エネルギー型(過給式)気泡流動炉システム http://www.tsk-g.co.jp/tech/eco-jouge/deido/shokyaku04.html 株式会社タクマ ロータリーキルン炉 http://www.takuma.co.jp/product/waste/industry/rotary.html 三菱重工環境エンジニアリング株式会社 汚泥焼却循環型流動炉 http://www.mhiec.co.jp/products/water/sludge/contents/circulating_fluidized_bed_incineration_system.html http://www.mhiec.co.jp/products/water/sludge/pdf/catalog-circulating_fluidized_bed_incineration_system.pdf 56 図表 3.6.2 単純焼却法 処理フロー 57 (2) 消化ガス発電法 【プロセス概要】 汚水処理場で濃縮タンクや分離機から排出される余剰汚泥は、多量の有機物が含まれて いる。その有機物の持っている熱量をエネルギーへ変換させるために、余剰汚泥は嫌気性 で消化し、メタンを主成分とする消化ガスとして回収し、ガスエンジンの駆動用燃料に使 用して発電する(図表 3.6.3 を参照) 。 日本においては、全国の県庁所在地規模の都市で、下水汚泥を濃縮して消化タンクに投 入し、そこで発生するメタンガスを燃料とする下水汚泥消化ガス発電装置が普及している。 温室効果が CO2 の 21 倍といわれているメタンガスを回収し、発電に使うことは、地球温 暖化防止とエネルギーの無駄を省くという二重の効果があり、さらに最近の原油高騰で経 済効率の面からもそのメリットが見直されている。 【主要設備】 ・ 汚泥濃縮設備 ・ 消化ガスタンク ・ 生物脱硫設備 ・ 消化ガス燃料ガス発電機 【提供企業】 企業名 情報入手先 提供設備名 JFE エンジニアリング株式会社 消化槽撹拌機 http://www.jfe-eng.co.jp/product/environment_energy/environment_energy1131.html 荏原エンジニアリングサービス株式会社 湿式固形物メタン発酵バイオガス化システム http://www.ees.ebara.com/products/biomass/hdmob60000000u7e.html 株式会社神鋼環境ソリューション 汚泥減容化システム http://www.siset.or.jp/contents/?CN=200&RF=K&RFID=11&ID=99 株式会社神鋼環境ソリューション バイオガス精製装置 http://www.kobelco-eco.co.jp/product/gesui/bio.html 住友重機械エンバイロメント株式会社 有機系固形物嫌気処理装置 http://www.shiev.shi.co.jp/p01.html 月島機械株式会社 消化槽インペラ式撹拌機 http://www.tsk-g.co.jp/tech/eco-jouge/deido/inpera.html 58 図表 3.6.3 消化ガス発電 処理フロー 汚 泥 下水処理場より 受泥設備 電気 重力濃縮槽 消化ガス発電設備 消化ガスタンク 遠心濃縮機 脱水機 59 消化設備 圧送ポンプ 汚泥焼却炉 出典:横浜市北部汚泥処理センターパンフレット 煙突 (3) 混合消化法 【プロセス概要】 余剰汚泥は消化によるガス発生をして発電用に利用することは、上記で述べた。 その余剰汚泥処理に加えてほかの廃棄物を混ぜ、ガスの発生量を増やすという開発も 進められている。家庭や外食産業、食品工場などから出る生ごみなど水分の多いバイオ マスを余剰汚泥と一緒に発酵させて、メタンガスとして回収する方法である(図表 3.6.4 を参照) 。すでに実用化の目処が見えている段階である。 さらに、本方式を実現させるためには、可燃ごみとして家庭から出されている生ごみ を、分別回収する仕組みの整備や、一般ごみと産業廃棄物をまとめて処理するための法 制度の整備など、解決しなければならない課題がある。しかし、有機性廃棄物をエネル ギー源として活用するために重要な技術となる見込みである。 60 【主要設備】 ・ 生ごみ受入れ設備 ・ 生ごみ粉砕機 ・ スクリーン ・ 汚泥濃縮設備 ・ 消化槽 ・ 消化ガスタンク ・ 生物脱硫設備 ・ 消化ガス燃料ガス発電機 【提供企業】 企業名 情報入手先 提供設備名 JFE エンジニアリング株式会社 ビガダン方式バイオガスシステム http://www.jfe-eng.co.jp/product/catalog/pdf/CA3039.pdf 荏原エンジニアリングサービス株式会社 複合有機性廃棄物メタン発酵システム http://www.ees.ebara.com/products/biomass/hdmob60000000v4q.html 鹿島建設株式会社神 ハイブリッド式消化システム http://www.kajima.co.jp/news/press/200907/28e1-j.htm 川崎重工業株式会社 ごみメタン回収システム http://www.khi.co.jp/kplant/business/environment/g_waste/methane.html 60 メビウス 図表 3.6.4 混合消化ガス発電 処理フロー 61 (4) 汚泥燃料化法 【プロセス概要】 汚水処理場から排出される汚泥の燃料化技術には、乾燥と炭化に大別される。乾燥は、 汚泥が保有する熱量価値を最大限活用させるため、水分を蒸発させるだけなので、発熱 量は高いが乾燥汚泥独特の臭いがある。炭化は、汚泥中の独特の臭気を取り除く処理を 行うので、汚泥中の熱量価値を消費するので投入汚泥中の燃料回収が低下する。 本検討では、乾燥による燃料化を選定した。余剰汚泥は、形成設備で細粒化し、汚泥 表面積を増大させる。次いで、乾燥工程の前処理工程として 200℃で短時間加熱するこ とで、汚泥の表面を固化させる。表面固化は、悪臭の発生を大幅に抑制させることが可 能となる。その後、150℃で表面固化乾燥汚泥の内部まで乾燥固化することで、汚泥の 乾燥固化燃料となる(図表 3.6.5/6 を参照)。 【主要設備】 ・ 汚泥受け槽 ・ 汚泥移送ポンプ ・ 形成装置(粉砕能力) ・ 表面固化処理装置 ・ 乾燥機 【提供企業】 企業名 情報入手先 提供設備名 JFE エンジニアリング株式会社 汚泥固体燃料化 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/pamphlets/08_1shinene/biomass_tenkan/03.pdf 荏原エンジニアリングサービス株式会社 汚泥造粒乾燥装置 http://www.ees.ebara.com/products/drainage/hdmob60000000o3p.html 川崎重工業株式会社 下水汚泥炭化設備 http://www.khi.co.jp/kplant/business/environment/water/dirt.html 住友重機械エンバイロメント株式会社 外熱式ロータリーキルン型汚泥炭化設備 http://www.shiev.shi.co.jp/p07.html 月島機械株式会社 汚泥燃料化システム http://www.tsk-g.co.jp/tech/eco-jouge/deido/odei.html バイオ燃料株式会社 炭化燃料化設備 http://www.biofuel.co.jp/technology/carbonization/index.html 日立造船株式会社 下水汚泥燃料化システム(Hitz パールシステム) http://www.hitachizosen.co.jp/product/plant/cat39/73.html#an2 三菱重工環境エンジニアリング株式会社 真空乾燥機 http://www.mhiec.co.jp/products/water/sludge/pdf/catalog-vacuum_dryer.pdf 62 図表 3.6.5 余剰汚泥燃料化 処理フロー 焼却 施設 廃熱回収 技術 廃 熱 (前処理) 63 余剰汚泥脱水ケーキ 特徴 ① 高い省エネ性 ② 焼却施設廃熱の有効利用 ③ 安価な処理 ④ 製品燃料の臭気抑制 汚泥乾燥技術 乾燥汚泥 汚泥燃料 (製品) 燃料 利用設備 蒸気 温水 電力 図表 3.6.6 余剰汚泥燃料化処理の特徴 ①細粒化装置(形成) 高粘性汚泥の大量処理 ・汚泥を分割細粒化する装置 ・細粒化で汚泥表面積を増大 ②表面固化乾燥(前処理) ③全体乾燥(仕上乾燥) 約200℃の温風で短時間の乾燥 ・細粒化汚泥の表面を乾燥 ・表面固化乾燥で乾燥特性、 臭気特性を大幅改善 脱水汚泥 細粒化装置 64 表面固化乾燥ゾーン 温風 ( IN ) 全体乾燥ゾーン 固体燃料(製品 )4000~5000kcal/kg 温風 (OUT) 約150℃の温風で乾燥 ・表面固化乾燥汚泥を 内部まで乾燥固化 図表 3.6.7 に処理方法の1~4の特徴、概略建設費と日本側としての評価をまとめた。 ここで、建設費に関しては、①現地でのコストダウンに関してはさらに詳しい設計を行っ た後初めて現地生産機器、現地工事等が決定できるため、プレFSでは日本立地の標準的 な価格とした。②付帯配管や付帯設備は本プラントの場合コストに及ぼす割合は単純な焼 却炉等に比べて大きいが、これに関しては実際の設置場所を想定してさらなる調査を行わ なければ算出ができないため、日本の標準的な立地としての費用を見込んだ。 建設費に関しては、本格 FS で詰める必要があるが、プロセス選定の為のショートリスト 段階では、日本の標準的な価格で相互比較を行っても判断可能と考え、本リストでは日本 の標準的な価格を採用した。 プレ FS の結果として、(1)単純焼却法、(2)消化ガス発電法、(3)混合消化法、(4)汚泥燃料 化法の 4 種類を余剰汚泥処理方法として提示した。これらの処理の中から、TEDA 環保局 とも協議の結果、リサイクルの観点及び建設費から第 4 番目の汚泥燃料化法が最も優位性 が高いと判断した。 3.6.3 プレ FS に対する留意点 本調査ではプレ FS であるため、さらなる検討を行うことが重要であるとの認識が TEDA からも強く出された。 また、運転コストや経済性に関しては、実際の設置場所を想定して、詳細なユーティリ ティーコスト、汚泥引き取り条件や、廃熱の引き取り価格、汚泥処理後の製品の価格(電 気、メタンガス、固体燃料)等を中国側と協議して設定し計算を行う必要がある。 そこで、本検討の結果を反映して、実際のプロジェクトに引き継ぐためには、次の事項 に留意した継続検討の実施が望ましい。 (1) プロジェクト実施体の具体的選出の検討 (2) 具体的な実施想定場所のローカル条件による処理方法の追加検討 (3) 経済性、環境改善などの効果を評価した処理方法の最終選択 (4) 現地の条件を織り込んだ詳細検討 ・ 設備設置箇所とその周辺環境条件の設定 ・ 余剰汚泥の発生量の予測確認 ・ 余剰汚泥のサンプリングによる熱量/元素分析の実施 (5) プロジェクトの実現を目指した TEDA による支援策の検討 具体的な進め方としては以下の方向性が考えられる。 今回日本側が推奨する「汚泥燃料化法」は、コスト削減、CO2 削減の観点からは廃熱源 が必要とされる。本方法は新設設備・既存設備のどちらでも適応可能な方法である。した がって濱海新区で稼働中、建設中または立地予定の焼却炉、ボイラー等の熱源を中国側の 協力を得て調査し、熱源の質、量より本方法に適した立地サイトを決定する事が望ましい。 なお、プレ FS で確認した東/西地区の終末汚水処理場に廃水を排出する企業は、開発区 に入居する際に環境影響評価(EIA)報告書を提出している。EIA の情報からは、終末汚水 処理場に流入する廃水には重金属やシアンなどの有害物が含まれないと考えられ、その前 提で管理がなされている。 65 今後のとり進めでは、環境に対する安全性や経済性の判断が重要となるが、もし余剰汚 泥中に個別処理を必要とする有害物が含まれていれば、有害物の対策設備の設置が必要と なりコスト増加は避けられなくなる。また、燃料とした場合の発熱量も分析結果より推定 する事が経済性検討の精度を上げるためには必要とされる。そのために、先に述べたよう に実際の汚泥のサンプリングを行い、有害物の分析を実施することは重要と考える。 66 図表 3.6.7 燃料化処理の特徴 No. 処理法 長所 1 単純焼却 (図表3.6.2) 短所 注2) 評価 △ 単純減容化には適する が新規性はない ・加温用熱源が必要 ・設備構成が複雑 ・発電燃料として利用可能 ・消化ガス貯槽が必要 大都市でゴミ焼却炉が ・温室効果ガスの排出抑制効果 ・ガス燃焼時の微量有害物質[シロキ 近傍にあることが必要 サン(有機ケイ素化合物)等]の処理 ・建設費が高い 40億円 ▲ 民間事業としての事業 性は厳しい 45億円 中国での実現には時 間がかかる。 30億円 石炭代替効果があり (CO2 削減) 処理品は色々な設備で 使用可能 ・助燃料が必要 ・焼却灰の処理が必要 3 混合消化 (図表 3.6.4) ・生ごみを同時処理可能 ・開発完了なるも実績がない ・消化ガス発生が多く見込める ・「消化ガス発電」と同一の短所 ・温室効果ガスの排出抑制効果 汚泥燃料化 (図表3.6.5-6) ・廃熱の有効利用 ・処理汚泥は燃料として多目的 に利用可能 ・既存設備の付帯設備として建 設可能 ・固形燃料の回収量が多い ・温室効果ガスの排出抑制に効 果 67 消化ガス発電 (図表3.6.3) 4 建設費 35億円 ・最も実績が豊富 ・建設費が安い 2 注1) その他 注1):混合消化→今後中期的に選択肢と具現化が見込まれる方法 注2):試算前提→処理能力100t/日、日本国内立地 中国では急激に普及 生ゴミの収集システム が必要 ・周辺で熱を発生させるプラントが必 要 石炭火力燃料として日 ・発熱性を有するので取扱いに留意 本では使用開始 が必要 ○