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小林 天美 - 臨床心臓病学教育研究会

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小林 天美 - 臨床心臓病学教育研究会
アリゾナ大学医学部短期留学報告書
東京慈恵会医科大学 医学部医学科5年 小林 天美
私は、JECCS によるアリゾナ大学医学部短期留学の 7
期生として、Sarver Heart Center にて、2012 年 7〜8 月
の4週間臨床研修する機会をいただきました。その貴重な
経験を以下にご報告させていただきます。
1 . Schedule at Sarver H eart Center
7:00~
Mon
Tues
Wed
Thurs
Fri
Cardiac
Noninvasive
Electro-
Fellowship
Cardiac
Cath
Diagnostic
cardiograph
Core
Transplant
Conference
Imaging
Conference
Curriculum
Conference
Cardiology
Conference
Confernce
8:00~
Dr. Mackstaller’s Auscultation Lecture
9:00
~18:00
15:30
16:30
Pediatric
Cath
Cardiology/
Research
and
CT Surgery Conference
Noon
Noon
Medicine
Cardiology
Grand
Section
Rounds
Meeting
Conference
After 18:00
At Sarver Heart Center with Harvey (by myself)
非常に多彩な場で多くのことを学ばせていただきましたが、それぞれの具体的な内容について述べ
ていきたいと思います。
2 . Rotation at several departm ents and facilities
<Morning and noon conferences>
Conference は Fellow 以上の人を対象としたものが多く、専門的な内容を理解するのに苦労しま
したが、Dr. Friedman が毎回 conference が終わる度に概要を説明してくださり質問に答えてくだ
さいました。また聴衆参加型の conference がほとんどであったため、Fellow が率先して発言や質
問をしている様子を見て、自分も日本に帰ったら率先して conference の議論に参加できるように
したいと思い、いい刺激を受けました。
<Auscultation Lecture by Dr. Mackstaller>
毎朝 8 時から 1 時間、Harvey マネキンを使った心音聴診の講義を受けました。Harvey マネキ
ンは、循環器疾患に合わせた心音、呼吸、脈拍を呈する人体モデルのマネキンで、米国各地の医学
生および研修医が学習目的で使用しています。始めは、心雑音の区別が全くわからず、また米国特
有の表現などもあり、混乱することが非常に多かったのですが、最後の週には、一緒に聴診の練習
をしたアリゾナ大学の現地の医学生よりも、正確に全ての疾患の場合における心音を聞き分けるこ
とができ、非常に嬉しかったです。
<Outpatient clinic for children with cardiovascular diseases at TMC>
TMC (Tucson Medical Center) は、Tucson でアリゾナ大学病院に次いで 2 番目に大きい病院で
様々な患者さんの診察に立ち会わせていただき、画像所見なども説明してもらいながら、先天性心
疾患の患者さんの術前・術後の外来 follow をどのように行っているのか見学させていただきました。
特に、Kabuki Syndrome や Alagille Syndrome といった非常に珍しい疾患の小児患者を診させて
いただくことができ、とても勉強になりました。
<Outpatient clinic with Dr. Mackstaller>
毎週水曜日の午後に Dr. Mackstaller の外来を見学させていただきました。ここでは、末期がん
の余命宣告の場にも同伴させていただき、日本では体験することのできない貴重な経験をしました。
余命宣告された患者さんとその家族だけでなく、Dr. Mackstaller や私も涙を流しながら、でもで
きる限りの笑顔で患者さんの今後をどう見守っていくかを話し合っていたあの空間は、愛と思いや
りに満ちあふれていて、本当に言葉では言い表せないほどのものでした。また、その患者さんが帰
りがけに「あなたはこれからの将来を頑張るのよ」と言っていただき、今後このような患者さんの
ために尽くせるような医師になりたいと思いました。
<Catheter-procedures with Dr. Samson>
月曜日と木曜日には、Dr. Samson の下で、小児患
者のカテーテルを用いたコイル留置による卵円孔閉
鎖、冠動脈造影、および心血管内圧測定の見学をしま
した。小児患者の場合、血管が非常に細く、穿孔を起
こしやすいリスクの高い、難しい処置であるのにも関
わらず、日本よりもはるかに素早くスムーズにこなし
ている印象がありました。また、1日の症例数が4件
以上、時には8件と、1人の医師がこなすカテーテル
処置が日本よりだんぜん多いことが印象的でした。
<Catheter-ablation/ ICD or pacemaker implantation/ cardioversion with Dr. Ott>
Catheter-ablation, ICD or pacemaker implantation, cardioversion の全てを見るのが初めてし
たが、処置の前に Dr. Ott が教科書等を貸してくださったため、予習を十分に行ってから見学する
ことができ、非常に理解が深まりました。
<Open Heart Surgery with Dr. Tiador>
日本では心臓外科の実習をまだ行っていなかったこともあり、Open Heart Surgery を見るのは
初めてで非常に興味深かったです。特に、Ross Procedure など日本ではドナーが少ないため、年
間でも数例しか行われない手術を主治医の真横で見ることができ、また教授の Dr. Tiador が実際
に手術をしながら解説をしてくださり、とても勉強になりました。この procedure で肺動脈弁を提
供してくれたドナーは 23 歳女性と非常に若い方でしたが、日本でも米国のようにドナーの数が増
えれば、医療の発展に大きくつながるのではないかと感じました。
<ECG/ ECHO reading and Case Report with the Consult Team>
日本では ECG/ ECHO を一から丁寧に教えてもらう機会がなかったため、毎日大量の ECG を読
みながら Attending の指導の下学習していく機会を与えてくださり、非常に勉強になりました。日
本とは ECG の読み方、ECHO の仕方が異なり、むしろ米国でのやり方の方がわかりやすく、日本
に帰ってきてからもアリゾナ大学で学んだ方法を実践しており、現地で買った教科書を愛用してお
ります。
<My own presentation>
私は、本実習中に患者と会って興味をもった心尖部限局型肥大型心筋症 (Yamaguchi Syndrom)
と、米国での肥満の問題と心疾患との関連について presentation をしました。実際に4週間を通
して様々な患者さんを見ましたが、肥満、高血圧、糖尿病のいずれかを抱えている患者さんが 90%
を超えていました。米国では、生活習慣病が様々な疾患の背景となっている症例が非常に多く、日
本でも今後生活習慣病に対する治療、予防対策が重要になってくるのではないかと考えられます。
3 . Rotation を 通 し て 自 分 な り に 感 じ た こ と
アリゾナ大学では、非常に教育体制がしっかりしており、医学生や Intern に対する面倒見が非
常によい印象がありました。どこの診療科および施設の医師、看護師、テクニシャンでも、私のよ
うな初対面の海外から来た医学生に対して非常に welcome でかつ忙しいにも関わらず率先して
色々と指導してくださいました。また、Intern や医学生でも、アリゾナ大学では重要な即戦力とし
て数えており、医療知識や技術もまだ不足しているのにも関わらず、Attending や Senior Resident
も下の先生達の意見や考えに熱心に耳を傾けていました。
何よりも驚かされたのが、アリゾナ大学では看護師および各 procedure のテクニシャンが非常に
しっかりしており、医師のカンファレンスにも積極的に参加し医師と対等に議論し合える立場にあ
りました。日本でも看護師やテクニシャンの教育をよりしっかりとしたものにする必要性を感じま
した。医師に依存しカバーしてもらうのではなく、医師と対等に議論し合える医療関係者を育てて
いくことが、日本の医療を大きく変えることにもつながるのでないかと感じました。
4 . 最後に
本プログラムによる短期留学の機会を与えてくださった高階理事長、木野会長を始めとする
JECCS の先生方、Dr. Mackstaller, Dr. Friedman, Dr. Marcus を始めとするアリゾナ大学の先生
方、温かく迎えてくれ、毎日美味しいご飯を作って待ってくださり送り迎えなどもしていただいた
Gerry に深く感謝申し上げます。今回の留学が私にとって、今後どのような医師になるか、どのよ
うな生き方を目指すのかを決める重要なきっかけとなったことに間違いありません。本プログラム
で経験したことを今後の糧にしていけるように頑張っていきたいと思っております。本当に有難う
ございました。
Gerry に連れて行ってもらった
Mt.Leamon からの景色
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