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岡本(PDF形式:1615KB)
TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE 首都直下地震対策 シンポジウム 弁護士 マンション管理士・医療経営士 中央大学大学院公共政策研究科 客員教授 慶應義塾大学法科大学院 非常勤講師 岡本正総合法律事務所 岡本 正 http://www.law-okamoto.jp/ TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE 首都直下に備えるべき、生き残るための「知恵」を学 んだとしても、それが一部の関係者や担当者に留まっ ていては意味がありません。 組織の末端へ、現場からのフィードバックを得るには、 家族へ、地域へ、経営者へ、幹部へ、従業員へ、 どうしたら防災、首都直下対策を「自分ごと」として とらえてくれるでしょうか。 今日はそのために必要な、ぜひ組織や地域が構成員の ために取り組んでほしい研修の提案をしたいと思いま す。 TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE BCPや危機管理が『自分ごと』になる 東日本大震災 大島町土砂災害 広島市土砂災害 雪害 水害 客観的・物的な破壊の発生 従業員、住民、家族 人の生活の『被害』『被災』 被災地の個人や事業主の「ニーズ」のビッグデータから被災を追体験する 災害から72時間経過 いのちが助かった 一体これから 何に困り何が必要か 被災者の最初のニーズは、 『どんな支援政策があるか?』 最初の一歩を踏み出す そのために知って欲しい事 いのちが助かった後こそ情報や支援が必要になる。では何から始めるか? TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE 事業継続 会社の再生 復興への尽力 自分と家族の生活の見通し・安心 ここから歩き始めるために必要な支援制度 災害後のお金、料金、契約、ローン、支援策 72時間のサバイバル 災害発生直後 買ったばかりの家が流されました。夫の 職場が津波に襲われて、行方不明です。 子どもが高校生になったばかりです。 どうしたらいいのですか。 TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE 家がなくなりました。当面の生活費とな る貯金もほとんどありません。 当面の生活費 どうしたらいいですか? TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE 都市津波型(A型)リーガル・ニーズモデル① 津波による都市部広範地域の壊滅的被害 陸前高田市 0.0 1 不動産所有権(滅失問題含む) 2 車・船等の所有権(滅失問題含む) 3 預金・株等の流動資産 4 不動産賃貸借(借地) 5 不動産賃貸借(借家) 6 工作物責任・相隣関係(妨害排除・予防・損害賠償) 7 境界 8 債権回収(貸金、売掛、請負等) 9 住宅・車・船等のローン、リース 10 その他の借入金返済 11 保険 12 震災関連法令 13 税金 14 新たな融資 15 離婚・親族 16 遺言・相続 17 消費者被害 18 労働問題 19 外国人 20 危険負担・商事・会社関係 21 刑事 22 原子力発電所事故等 23 その他 24 震災以外 10.0 3.7 1.4 0.9 2.7 2.7 0.3 0.1 0.9 5.0 6.2 1.4 0.4 5.5 0.1 2.7 0.0 3.2 0.0 0.0 4.6 4.0 20.0 30.0 40.0 13.7 注:各相談内容の分母はそれぞれ 22.8 37.2 694人である。 % 50.0 TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE 都市地震型(C型)リーガル・ニーズモデル 非沿岸都市部の地震被害 仙台市青葉区 1 不動産所有権(滅失問題含む) 2 車・船等の所有権(滅失問題含む) 3 預金・株等の流動資産 4 不動産賃貸借(借地) 5 不動産賃貸借(借家) 6 工作物責任・相隣関係(妨害排除・予防・損害賠償) 7 境界 8 債権回収(貸金、売掛、請負等) 9 住宅・車・船等のローン、リース 10 その他の借入金返済 11 保険 12 震災関連法令 13 税金 14 新たな融資 15 離婚・親族 16 遺言・相続 17 消費者被害 18 労働問題 19 外国人 20 危険負担・商事・会社関係 21 刑事 22 原子力発電所事故等 23 その他 24 震災以外 0.0 10.0 1.0 0.0 1.7 30.0 40.0 5.6 0.8 0.6 3.1 2.3 2.5 1.1 1.1 2.2 0.6 2.5 0.1 2.8 0.3 0.5 注:各相談内容の分母はそれぞれ 20.0 15.6 10.0 7.6 8.6 6.2 1106人である。 33.5 % 50.0 TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE 都市津波型(A型)リーガル・ニーズモデル② 津波による都市・高人口密度地域の壊滅的被害 石巻市 0.0 1 不動産所有権(滅失問題含む) 2 車・船等の所有権(滅失問題含む) 3 預金・株等の流動資産 4 不動産賃貸借(借地) 5 不動産賃貸借(借家) 6 工作物責任・相隣関係(妨害排除・予防・損害… 7 境界 8 債権回収(貸金、売掛、請負等) 9 住宅・車・船等のローン、リース 10 その他の借入金返済 11 保険 12 震災関連法令 13 税金 14 新たな融資 15 離婚・親族 16 遺言・相続 17 消費者被害 18 労働問題 19 外国人 20 危険負担・商事・会社関係 21 刑事 22 原子力発電所事故等 23 その他 24 震災以外 10.0 4.7 1.9 0.6 0.5 2.9 0.1 0.9 6.3 5.7 1.9 1.5 0.6 5.2 20.0 30.0 40.0 18.1 10.1 18.5 19.6 4.5 0.1 2.9 0.4 0.1 6.1 5.5 注:各相談内容の分母はそれぞれ 3445人である。 % 50.0 TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE フェーズで考える防災教育・研修 準備 防災マップ 地域連携 要援護者リスト 防災意識 判断能力 災害直後 自分の身を守る 津波から避難する 火災から逃れる 今までの防災教育・危機管理教育 72時間 サバイバル 安否確認 自助・共助 避難所運営 仮設住宅 生活再建 各種支援制度 制度の通知等 災害法制相談 「助け合う知識」 「再建の知識」 復旧 復興 各種制度 災害法制 立法提言 運用改善 防災教育・復興教育が手薄・ほとんどな 教える側のノウハウ不足 TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE 災害後に情報が届かないメカニズム TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE BCPを「自分ごとにする」 マンション防災を「自分ごとにする」 地域と個人情報問題を「自分ごとにする」 BCPは作成はしたが… マンションや地域の防災は大事だが… なかなか「自分ごと」として考えられない 東日本大震災4万件のニーズから 被災のリアルな声を分析 家族や自分のため、組織や地域のため、 マンションのため、従業員の保護のため 本当に必要な知識を TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE まとめ 防災や安全対策を『自分ごと』にするには、災害 による「被災者のリアル」「被災事業者のリア ル」を学ぶ研修会・ワークショップが不可欠。数 字や映像だけで「自分ごと」にならなかったもの が自分ごと、家族ごと、従業員ごと、会社ごとに なる。 政策面では、都市防災として ■個人情報の利活用政策が不可欠 ■災害対策基本法により災害時要援護者名簿整備 ■さらに支援機関との共有条例が必要に TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE 参考文献 東日本大震災直後から無料法律相談を通じて 集められた4万人を超える被災者の「声」。 法律家は、地域や時間の経過によって変化す る被災者のこの多様な「声」を集約・分析 し、被災地の真のリーガル・ニーズに基づい た立法・制度構築を提言してきた。 安否確認や要援護者のリアルな事例 将来につなげる地域の情報活用の事例 見守り、孤立防止、官民連携の事例 マンション対策の事例 絶望を希望に変える 情報を伝えるために 「災害復興法学」(慶應義塾大学出版会) http://www.keioup.co.jp/np/isbn/9784766421637/ TADASHI OKAMOTO LAW OFFICE 岡本 正 プロフィール • 弁護士。医療経営士。マンション管理士。岡本正総合法律事務所所長。 • 中小企業経営革新等支援機関等の資格を活かし、企業・個人・公共セクター等へ 幅広いリーガル・サービスを提供。 • 2001年に慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2003年に弁護士登録。 • 2009年から2011年まで、内閣府上席政策調査員。各省庁行政改革、規制改革、特 別会計改革、政府系法人改革等を担当。 • 2012/2013/2014年度の消費者庁個人情報保護法説明会講師等担当。 • 東日本大震災を契機に復興支援活動に従事。4万件の被災者相談データベース構 築。公共政策と危機管理の新デザインを提唱し、震災の教訓・経験を伝承するべ く、『災害復興法学』を慶應義塾大学や中央大学に創設。 • 2012年から慶應義塾大学法科大学院非常勤講師。 • 2013年から中央大学大学院公共政策研究科客員教授。 • その他の役職等に慶應義塾大学SDM非常勤講師、同研究所研究員、中央大学政策 文化総合研究所研究員、公益財団法人東日本大震災復興支援財団理事、日本組織 内弁護士協会理事、日本計画行政学会常任幹事ほか。 • 朝日新聞朝刊コラム「ひと」欄に掲載(2013年9月11日) • 日本ユースリーダー協会 第6回若者力大賞・ユースリーダー支援賞受賞(2014年度)