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*みなさんこんにちは。新潟 大学理理学部物理理,電 子物性研究室
*みなさんこんにちは。新潟⼤大学理理学部物理理,電⼦子物性研究室,通称根本研究室へようこそ。 超⾳音波計測を基礎物理理の重要なツールにまで育て上げた後藤輝孝教授が,2012年年度度末をもって退官されたことをうけて 2013年年度度から根本研究室が発⾜足しました。 *私たちは⽇日夜「極低温・強磁場」で「超⾳音波」を駆使して「弾性定数」を測定し「電気四極⼦子」の応答を観測しています。 従来の物性物理理では,磁場で観る磁気双極⼦子や,電場で観る電気双極⼦子の応答が,伝統的⼿手法としてよく知られていますが, 私たちは,超⾳音波で電気四極⼦子の応答を,弾性定数や超⾳音波吸収の実験によって観ています。 弾性定数は物質の硬さを表す物理理量量で,物質は冷冷えると硬くなることが知られています。ところが,電⼦子状態が電気四極⼦子をもつ物質では, ある温度度以下でしだいに軟らかくなる「低温ソフト化」という現象を⽰示します。このソフト化の観測に基づき,四極⼦子感受率率率による解析で, 物質の電⼦子状態や磁性,超伝導などの基礎物理理を解明しています。 *根本研究室の主要実験装置を紹介します。 ギガヘルツの⾼高周波超⾳音波を使うことで,10-‐‑‒7という超⾼高分解能での弾性定数測定が可能な超⾳音波装置が8台整備されています。 低温の実現には,最低温度度20mK,最⾼高磁場18Tの超伝導マグネットを装備するトップローディング型希釈冷冷凍機や,巨⼤大なサンプル空間で, 最低温度度10mK,最⾼高磁場9Tを実現し4つの試料料を同時測定可能な希釈冷冷凍機があります。これは世界でも類を⾒見見ない唯⼀一の実験装置です。 また,⾃自家製のものも含めて最低温度度250mKのヘリウム3冷冷凍機が3台整備されています。それぞれで10Tの最⾼高磁場を利利⽤用できます。 これらの超伝導磁⽯石を装備した冷冷凍機を適材適所で使って,量量⼦子効果が明瞭に現れる極低温下での超⾳音波実験を⾏行行っています。 *それでは,どのような物性を研究していくのか。 根本研究室のメインテーマとして「シリコン」「超伝導体」「レアアース化合物」の3本柱があります。 *まず,産業界とも連携して研究を⾏行行っているシリコンを紹介します。シリコンの研究は後藤教授を中⼼心に約20年年前から研究され, シリコンの弾性定数のソフト化の⼤大きさが,結晶中の原⼦子空孔濃度度に⽐比例例する,という重要な成果を上げました。企業で開発された産業⽤用の シリコン単結晶を,私たちが超⾳音波で測定し,そのソフト化の⼤大きさにしたがって原⼦子空孔濃度度の分布の様⼦子をマッピングしていきます。 そのようにして原⼦子空孔を評価したシリコンウェーハを利利⽤用することで,デバイスの微細化にともなって顕在化している微⼩小⽋欠陥の問題を 改善していく産学連携の研究開発を⾏行行っています。 *次に超伝導です。超伝導は研究室の中でも新しい柱であり,急成⻑⾧長を遂げている研究対象です。超伝導というとみなさんは電気抵抗ゼロや マイスナ―効果などを思いつくでしょう。私たちは超伝導の発⽣生するメカニズムを超⾳音波で明らかにしたいと思って研究を進めています。 特に,著しい成果を上げたのがBa(FeCo)2As2という2008年年に⽇日本で発⾒見見され,超伝導転移温度度を⾶飛躍的に上げつつある鉄系超伝導です。 私たちはこの物質で,電気四極⼦子揺らぎがもたらす超伝導発現メカニズムを明らかにしたいと思っています。最初の論論⽂文は,JPSJの2011 Editorʼ’s choiceとなり,2012年年を通して他の論論⽂文に引⽤用された数でTOP10⼊入りとなっていることからも注⽬目の度度合いが⾒見見てとれます。 *最後はこれまでも⼒力力を尽くして研究を⾏行行ってきたレアアース化合物です。 レアアース化合物では,結晶場基底がもつ量量⼦子⾃自由度度により,低温で磁気秩序や四極⼦子秩序,⼋八極⼦子秩序などが起きます。特に電気四極⼦子が 関与する物性では,超⾳音波がとても有効な実験⼿手法であり,多くの物質における相転移や揺らぎの研究実績があります。 また,ラットリングと呼ばれる物理理現象を超⾳音波分散により世界で初観測しました。ラットリングはレアアース化合物のカゴ構造がつくる ナノ空間で,ポテンシャル中を原⼦子が⾮非調和振動する現象です。特に,重い電⼦子超伝導体PrOs4Sb12のラットリングの発⾒見見を報告した論論⽂文は, 被引⽤用数115という数字が⽰示すように,世界的な注⽬目を集めています。 つい最近では,超微細相互作⽤用とよばれる原⼦子核と電⼦子の相互作⽤用の観測にも成功しており,今後の発展が期待されています。 2013年年7⽉月1⽇日現在 Nemoto Lab. ー Physics and Technology ー 超⾳音波で電気四極⼦子を観測する 極低温・強磁場システム *量量⼦子効果を観るため20mKの極低温と18Tの強磁場を実現します 純良良単結晶育成 *精密な物性研究のため⾼高純度度の結晶を育成します ⾼高周波同軸ライン ⾼高精度度超⾳音波システム ⾼高性能圧電デバイス ヘリウム液化システム *微⼩小信号を計測するため最⾼高⽔水準の伝送を実現します *超⾳音波を発信・受信する⾼高性能デバイスを製造します *分解能7桁を誇る超⾼高精度度計測を実現します *貴重なヘリウムのリサイクルを実現します 超⾳音波が拓拓く物性物理理 超⾳音波が拓拓く新しい物性物理理 (他⼤大学では真似できない新潟⼤大の独⾃自性) 超⾳音波で観る 電気四極⼦子 (+と−の4つの極) 新潟⼤大学での研究拠点化 超⾳音波計測 従来の伝統的な物性物理理 (他でも研究可能 東北北⼤大, 東⼤大, 阪⼤大, 物材機構など) 磁場で観る 磁気双極⼦子 (NとSの2つの極) 【応⽤用例例】 ○磁⽯石 ○ハードディスク ○発電機・モーター 超⾳音波が拓拓く 新しい研究領領域の創出 ■原⼦子空孔のアトムダイナミクス科学 カゴ状化合物 シリコン原⼦子空孔 ■鉄系化合物の新しい超伝導科学 ■レアアース化合物の新規磁性科学 ■カゴ状化合物のラットリング科学 【応 ⽤用 例例】 レアアース化合物 鉄系⾼高温超伝導体 ○次世代の⾼高品質シリコンウェーハ ○パワーデバイス,半導体プロセス ○新しい超伝導・磁性材料料の開発 ○熱電変換材料料の開発 など 電場で観る 電気双極⼦子 (+と−の2つの極) 【応⽤用例例】 ○コンデンサー ○タッチパネル ○液晶ディスプレイ 【⽬目指す研究拠点像】 ■世界トップの超⾳音波計測が拓拓く 物性物理理の研究拠点形成 ■超⾳音波実験施設の共同研究 ・共同利利⽤用センター機能の確⽴立立 ■ドレスデン強磁場センターなど との国際連携事業の推進 ■ウェーハメーカー,東芝など との産学連携事業の推進 ■社会ニーズに柔軟に 応える⼈人材の養成 Niigata, Dresden, Grenobleを結ぶ国際研究ネットワーク ー 超⾳音波計測を駆使した強相関物理理 ー 5年後以降の超音波研究 【拠点機関】 Dresden強磁場研 ネットワーク拡大予定 パルス強磁場超⾳音波 Dr. S. Zherlitsyn Prof. J. Wosnitza 世界最⼤大キャパシターバンク Dr. S. Yasin 【協⼒力力機関】 Dresden MPI 強相関理理論論 Prof. P. Thalmeier 低温⽐比熱 Dr. M. Brando HLD, MPI ドレスデン HFML ナイメヘン 新潟大 岩手大 FBNFL フロリダ EuroMagNet II @新潟 物材機構 LNCMI-T トゥールーズ Neel Inst. LNCMI-G グルノーブル 広島大 【拠点機関】 Grenoble Néel研 超⾳音波・多極⼦子 Dr. R.-‐‑‒M. Galera Dr. M. Amara Dr. I. Sheikin CEA-‐‑‒Grenoble ⾼高圧⽐比熱 Dr. D. Braithwaite 超⾳音波分散現象→ラットリング ■鉄系超伝導の電気四極⼦子揺らぎ dx’y’ dy’z, dzx’ 【拠点機関】新潟⼤大学 超⾳音波計測:根本祐⼀一,⾚赤津光洋 磁気計測:摂待⼒力力⽣生,広瀬雄介 強相関理理論論:⼤大野義章,柳柳瀬陽⼀一 椎名亮亮輔,三本啓輔 【協⼒力力機関】 LNCMI-‐‑‒G 強磁場ドハース ■カゴ状化合物の 局所振動のラットリング 【協⼒力力機関】 LNCMI-‐‑‒T 圧⼒力力下パルス強磁場 磁気測定・超⾳音波 Dr. W. Knafo ⾼高精度度超⾳音波 計測システム 【協⼒力力機関】 物質・材料料研究機構 マルチバンドが寄与する鉄系 ⾼高温超伝導体の弾性ソフト化 ■シリコン原⼦子空孔軌道の 電気四極⼦子 ハイブリッド 強磁場超⾳音波 鈴鈴⽊木博之,北北澤英明 従来の伝統的な物性物理理では,電気測定や磁気測定などを基盤に発展してきた。他⽅方,新潟⼤大 学では,電気測定や磁気測定では観測できない物理理量量である弾性定数を,超⾳音波を⽤用いて測定 できる独創的なシステムを開発し,物質科学に適⽤用することで発展を遂げてきた。その結果, レアアース化合物や鉄系超伝導体などの重要な物質群が,世界各地から新潟⼤大学へ運び込まれ, シリコン原⼦子空孔によるソフト化 共同研究・共同利利⽤用による研究が活発に⾏行行われている。