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2-1 2.クリーンエネルギー資源の賦存量・利用可能量等 各種クリーン
2.クリーンエネルギー資源の賦存量・利用可能量等 各種クリーンエネルギー資源の賦存量、導入条件や立地条件を勘案した利用可能量等 について把握する。その際、太陽光等のポテンシャルを詳細に把握するとともに、調査 結果を地図等で表現することで地域特性を把握し、計画的な普及促進を行うための基礎 資料とする。 2-1.クリーンエネルギー賦存量把握 2-1-1.賦存量・利用可能量の定義 ここでは賦存量等のエネルギー量を以下のとおり定義した。 表 2-1 賦存量 エネルギー量の定義 理論的に地域に賦存するエネルギー量。 クリーンエネルギーを利用して発電等を行った際の機器の変換効 率等の制約条件、現状の導入量や利用率、土地の制約条件などの社 会的な制約条件等をある程度考慮して算出したエネルギー量。 利用可能量 2-1-2.対象とするクリーンエネルギー 対象とするクリーンエネルギーは、下に示す再生可能エネルギーのうち、以下の エネルギーとした。 ・ 太陽光、太陽熱 ・ 風力 ・ 小水力 ・ バイオマス(木質バイオマス、その他のバイオマス) 図 2-1 再生可能エネルギーの分類 (「新エネルギーガイドブック 2-1 2008 NEDO」より) 2-1-3.賦存量・利用可能量の算定条件 賦存量、利用可能量の算定条件は表 2-2 のとおりである。 表 2-2 エネルギーの種類 太陽エネルギー 風力エネルギー 小水力エネルギー 木質系 農業系 (農業残渣) 畜産系 バイオマ スエネル ギー (家 畜 排 せ つ 物 ) 食品廃棄物 (一般廃棄物) 食品廃棄物 (産業廃棄物) その他の一 般廃棄物 賦存量・利用可能量の算定条件 賦存量・利用可能量の算定条件 ◆日射量と地域面積から、地域全面に降り注ぐエネルギーを太陽 エネルギー賦存量とする。太陽光利用可能量は住宅、事業所、 公共施設を利用した太陽光発電に加え、メガソーラの設置を想 定して耕作放棄地、廃棄物処分場、未売却の工場団地を対象と する。太陽熱利用可能量は住宅、公共施設、事業所での太陽熱 システムの設置を想定する。 ◆平均風速エネルギー、風力発電装置の受風面積等から求まる風 力エネルギーを賦存量とする。風車の機械効率等や、自然公園 等の法規制範囲を除外した設置可能範囲を考慮して、利用可能 量を算定する。 ◆河川流量、河川勾配(高低差)から求まるエネルギーを小水力 賦存量とする。データベースは H21 年度の環境省成果報告書を 用いるとともに、農業用水路については現地踏査結果を用い る。利用可能量は小規模な水力発電を対象と考え、大きな河川 (幅5m以上の2条河川)は除外する。さらに発電設備の機械 効率等、法規制による除外範囲を考慮して利用可能量を算定す る。 ◆森林資源の全体量として森林成長量から「森林バイオマス賦存 量」を算定する。算定には岡山県の「森林 GIS」を活用する。 また、成長量ベースの賦存量、林地残材ベースの賦存量、利用 可能量を算定する。 ◆稲わら・もみ殻等の作付け面積、発生原単位から賦存量を算定 する。利用可能量は、これらの再利用状況を考慮して算定する。 ◆乳用牛、肉用牛等の家畜飼養頭羽数に1頭羽当たりの糞・尿発 生原単位量から、家畜排せつ物発生量を求めて賦存量とする。 利用可能量はこれらの再利用状況を考慮して算定する。 ◆直接焼却量に厨芥類割合を乗じた量に、資源化量を加えて厨芥 類の賦存量とする。利用可能量は資源化量を考慮して算定す る。 ◆食品廃棄物(産業廃棄物)は、岡山県の食料品製造業からの発 生量を用い、製造品出荷額で按分して算定する。利用可能量は、 これらの再利用状況を考慮して算定する。 ◆厨芥類以外は直接焼却量から厨芥類の発生量を減じて賦存量 を算定し、余熱利用状況を考慮して利用可能量を算定する。 2-2 2-1-4.賦存量・利用可能量調査結果 岡山市における賦存量、利用可能量の一覧は表 2-3 のとおりである。 表 2-3 岡山市におけるクリーンエネルギー賦存量・利用可能量 エネルギーの種類 単位 賦存量 利用可能量 太陽光発電 kWh/年 993,842,708,864 1,245,124,181 太陽熱 GJ/年 3,577,547,461 647,515 風力エネルギー kWh/年 7,926,497,283 167,489,055 小水力エネルギー kWh/年 52,706,135 27,033,578 木質系 (熱利用) GJ/年 278,892 (成長量ベース) 23,118 農業系 (農業残渣) GJ/年 660,894 36,232 GJ/年 78,584 3,144 GJ/年 1,444,838 1,444,838 GJ/年 8,886 2,836 GJ/年 1,105,722 26,448 太陽エネ ルギー 畜産系 バイオマ スエネル ギー (家 畜 排 せ つ 物 ) 食品廃棄物 (一般廃棄物) 食品廃棄物 (産業廃棄物) その他の一 般廃棄物 2-3 (1)太陽光 1)推計式 賦存量は、地域面積に日射量を乗じることにより推計した。 利用可能量は、住宅や公共施設等の屋根、工業団地の未売却用地や耕作放棄地を 対象として推計した。 表2-4 賦存量 (kWh/年) 993,842,708,864 (kWh/年) 利用可能量 (kWh/年) 1,245,124,181 (kWh/年) 太陽光発電賦存量・利用可能量算定方法 …制約条件(発電効率)を加味しないエネルギー賦存量 賦存量(kWh/年) =水平面日射量( kWh/m 2 ・日 ) ×地域面積(m 2 ) ×365(日/年) …制約条件(機器の変換効率等)を加味したエネルギー賦存量 利用可能量 =①住宅屋根(戸建住宅)での利用可能量 +②公共施設屋根(学校や庁舎等)での利用可能量 +③従業員 10 人以上の事業所屋根での利用可能量 +④工業団地の未売却用地での利用可能量 +⑤最終処分場での利用可能量 +⑥耕作放棄地での利用可能量 上記①の利用可能量(kWh/年) =1 棟当たりの定格発電出力(kW) ×単位出力あたりの必要面積(m 2 /kW) ×建物棟数(棟)×最適角平均日射量(kWh/m 2 ・日) ×昭和 56 年以降の建物の割合(%) ×補正係数(-)×365(日/年) 項目 出典 戸建住宅 1 棟当たり 「 新 エ ネ ル ギ ー ガ イ ド ブ ッ ク 2008 」 の定格発電出力 (NEDO)より 4kW と設定。 単位出力当たりの必 「 新 エ ネ ル ギ ー ガ イ ド ブ ッ ク 2008 」 要面積 (NEDO)より 9m 2 と設定。なお、 「JPEA 太 陽光発電協会ホームページ」では 3kW シス テムの場合、太陽電池モジュールの設置面 積は約 20~30m 2 との記載があり、1kW あた りに換算すると 6.7~10m 2 となる。 最適角平均日射量 「全国日射量平均値データマップ 水平面日射量 (MONSOLA05(801))」(NEDO)を用いて水 平面日射量と最適傾斜角の比率を算出し、 水平面日射量に掛け合わせることにより 算出。水平面日射量は「新エネルギーガイ ドブック」(NEDO)の全国関連データマッ プを 1km メッシュに分解して利用。 昭和 56 年以降の建物 「平成 20 年住宅・土地統計調査」 ( 総務省) の割合 を元に設定 補正係数 機器効率や日射変動などの補正値。「新エ ネルギーガイドブック 2008」 (NEDO)より 0.065 2-4 上記②、③での利用可能量(kWh/年) =1 施設(又は事業所)当たりの定格発電出力(kW) ×単位出力あたりの必要面積(m 2 /kW) ×公共施設数(又は事業所数) ×水平面日射量(kWh/m 2 ・日) ×補正係数(-) ×365(日/年) 項目 出典 1 施設(又は事業所) ②公共施設(学校や庁舎等):10kW 当たりの定格発電出 ③従業員 10 人以上の事業所:5kW 力(kW) 単位出力当たりの必 ①の住宅と同様。 要面積 公共施設数 岡山市資料 従業員 10 人以上の事 「平成 18 年事業所・企業統計調査」より 業所数 従業員 10 人以上の事業所数を設定。 水平面日射量 ①の住宅と同様。 補正係数 ①の住宅と同様。 上記④、⑤、⑥での利用可能量(kWh/年) =敷地面積(m 2 ) ×太陽光パネル設置可能面積割合(%) ×水平面日射量(kWh/m 2 ・日) ×補正係数(-) ×365(日/年) 項目 出典 敷地面積 ④工業団地の未売却用地 …「晴れの国おかやま産業立地ガイド」 ⑤最終処分場 …「岡山市ホームページ」 ⑥耕作放棄地 …「農業センサス 2005」 太陽光パネル設置可 ④工業団地の未売却用地及び⑤最終処分 能面積割合 場は敷地面積の 50%を利用可能と想定。 ⑥耕作放棄地は、メガソーラーを想定し、 既存の太陽光発電所の敷地面積(m 2 )と太 陽光パネル設置面積(m 2 )から割合を求め (88%)、これを適用。 <既存の太陽光発電所 概要> 浮島太陽光発電所 扇島太陽光発電所 7,000 13,000 740万 1370万 出力(kW) 年間発電量(kWh/年 2 敷地面積(m ) 2 太陽光パネル設置面積(m ) 設置面積率(-) 110,000 230,000 100,000 200,000 0.91 0.87 注)設置面積率(-) =太陽光パネル設置面積(m 2 )÷敷地面積(m 2 ) ①の住宅と同様。 ①の住宅と同様。 水平面日射量 補正係数 2-5 利用可能量の算定対象位置(②④⑤) 図 2-2 利用可能量の算定対象位置図 2-6 2)推計結果 推計結果は、表 2-5 及び図 2-3~4 に示すとおりである。 利用可能量が最も多いのは住宅屋根(戸建住宅)であり、賦存量の 0.03%であ る。 利用可能量の合計は 1,245,124,181kWh/年であり、 「2009 家庭用エネルギーハン ドブック」 (株式会社住環境計画研究所編)によると、中国地方の家庭における年 間エネルギー消費量(電気)は 20,546(MJ/世帯/年)、1MJ=0.278kWh で単位換算 すると 5,712kWh であることから、約 21 万 8,000 世帯分の電気に相当する。 利用可能量の分布(事業所及び耕作放棄地を除く)を見ると、都心部で大きく なっているが、耕作放棄地を考慮すると、南側の平地部全体で大きくなると考え られる。 表2-5 賦存量及び利用可能量の推計結果 区分 推計結果(kWh/年) 賦存量 993,842,708,864 ○ 317,359,104 ○ 1,542,397 ○ 24,283,301 - ④工業団地の未売却用地 1,434,340 ○ ⑤最終処分場 8,315,948 ○ ⑥耕作放棄地 892,189,092 - ①住宅 ②公共施設 ③従業員 10 人以上の事業所 利用可能量 マップ有無 合計 1,245,124,181 2-7 賦存量(kWh/年) 賦存量:993,842,708,864(kWh/年) 図 2-3 賦存量マップ 2-8 ①住宅屋根での利用可能量(kWh/年) ①住宅屋根での利用可能量:317,359,104(kWh/年) 図 2-4(1)利用可能量マップ 2-9 ②公共施設屋根での利用可能量(kWh/年) ②公共施設屋根での利用可能量:1,542,397(kWh/年) 図 2-4(2)利用可能量マップ 2-10 ④工業団地の未売却用地での利用可能量(kWh/年) ④工業団地の未売却用地での利用可能量:1,434,340(kWh/年) 図 2-4(3)利用可能量マップ 2-11 ⑤最終処分場での利用可能量(kWh/年) ⑤最終処分場での利用可能量:8,315,948(kWh/年) 図 2-4(4)利用可能量マップ 2-12 利用可能量(①②④⑤)(kWh/年) 利用可能量(①②④⑤):328,651,788(kWh/年) ※事業所及び耕作放棄地を除く 図 2-4(5)利用可能量マップ 2-13 (2)太陽熱 1)推計式 賦存量は、「(1)太陽光」で示した方法と同様の方法で推計した。 利用可能量は、住宅や公共施設等の屋根等を対象として推計した。 表2-6 賦存量 (GJ/年) 太陽熱賦存量・利用可能量算定方法 …制約条件(発電効率)を加味しないエネルギー賦存量 「(1)太陽光」で示した推計式と同様。 3,577,547,461 (GJ/年) 利用可能量 (GJ/年) 647,515 (GJ/年) …制約条件(機器効率等)を加味したエネルギー賦存量 利用可能量 =①住宅屋根(戸建住宅)での利用可能量 +②公共施設屋根(学校や庁舎等)での利用可能量 +③従業員 10 人以上の事業所屋根での利用可能量 上記①の利用可能量(GJ/年) =1 棟当たりの集熱パネル面積(m 2 /棟) ×建物棟数(棟) ×最適角平均日射量(GJ/m 2 ・日) ×昭和 56 年以降の建物の割合(%) ×集熱効率(-)×365(日/年) 項目 出典 1 棟当たりの集熱パネ 「新エネルギーガイドブック 2008」NEDO) ル面積 より 3m 2 建物棟数 「(1)太陽光」と同様。 最適角平均日射量 「(1)太陽光」と同様。 昭和 56 年以降の建物 「(1)太陽光」と同様。 の割合 集熱効率 「独立行政法人新エネルギー・産業技術総 合開発機構ホームページ」より 40%。 上記②、③の利用可能量(GJ/年) =1 施設(又は事業所)当たりの集熱パネル面積(m 2 ) ×施設数(又は事業所数) ×水平面日射量(GJ/m 2 ・日) ×集熱効率(-)×365(日/年) 項目 出典 1 施設(又は事業所)当 「岡山市地域新エネルギービジョン」と たりの集熱パネル面積 同様に 5m 2 と設定。 施設数(又は事業所数) 岡山市資料 「平成 18 年事業所・企業統計調査」よ り従業員 10 人以上の事業所数を設定。 水平面日射量 「(1)太陽光」と同様。 集熱効率 ① の住宅と同様。 2-14 2)推計結果 推計結果は、表 2-7 及び図 2-5~6 に示すとおりである。 利用可能量が最も多いのは住宅屋根(戸建住宅)であり、賦存量の 0.02%である。 利用可能量の合計は 647,515GJ/年であり、「2009 家庭用エネルギーハンドブッ ク」 (株式会社住環境計画研究所編)によると、中国地方の家庭における年間エネル ギー消費量(給湯)は 12,294(MJ/世帯/年)であることから、約 5 万 3,000 世帯分 の電気に相当する。 利用可能量の分布(事業所を除く)を見ると、都心部で大きくなっている。 表2-7 賦存量及び利用可能量の推計結果 区分 推計結果(GJ/年) マップ有無 賦存量 3,577,547,461 ○ 585,847 ○ 1,898 ○ ③従業員 10 人以上の事業所 59,769 - 合計 647,515 ①住宅 利用可能量 ②公共施設 2-15 賦存量(GJ/年) 賦存量:3,577,547,461(GJ/年) 図 2-5 賦存量マップ 2-16 ①住宅屋根での利用可能量(GJ/年) ①住宅屋根での利用可能量:585,847(GJ/年) 図 2-6(1)利用可能量マップ 2-17 ②公共施設屋根での利用可能量(GJ/年) ②公共施設屋根での利用可能量:1,898(GJ/年) 図 2-6(2)利用可能量マップ 2-18