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キャラクターの経済学
2015/10/12 情報経済と文化 第3回:キャラクターの経済学‐1 2015.10.12 立命館大学映像学部 宿南達志郎 今日の出席カード • 受付番号: 3288402 1 2015/10/12 ハローキティは42歳 40周年@2013 • 40周年デザインヒストリー 目次 • Part1.ハローキティのビジネスモデル • Part2.サンリオのテーマパーク経営 • Part3.キャラクタービジネス 2 2015/10/12 Video1 • NHKスペシャル「追跡!世界キティ旋風のナ ゾ」[2012年5月12日(土) 午後9時00分~10時 13分]の超編集版(28分)。 – http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0512/ 今日の出席カード • 受付番号: 3288402 3 2015/10/12 Part1.サンリオとハローキティ • 社名=サンリオの由来(1973年~) – 元の名称は、「山梨シルクセンター」(1960年) • サン – 太陽 – 三(世界三大文明) • サンリオ – スペイン語で聖なる河 • ミッション・ステートメントは『スモールギフト、ビッグス マイル』 サンリオの沿革 • 1960年8月 株式会社山梨シルクセンター‘(現・株式会社サ ンリオ)設立 • 1973年4月 社名を株式会社サンリオと改称 • 1973年 オリジナルキャラクターバニー&マッティ開発 • 1974年9月 「ハローキティ」「パティ&ジミー」「リトルツイ ンスターズ」「マイメロディ」のキャラクターを開発 • 1976年4月 オリジナル・キャラクターの使用許諾業務 開始。 • 1978年4月 映画「愛のファミリー」がアカデミー賞を受 賞。 • 1990年12月 「サンリオピューロランド」をオープン。 • 1991年4月 「ハーモニーランド」オープン。 4 2015/10/12 サンリオとハローキティ • • • • Part1:ハローキティで成長 Part2:キャラクター多角化 Part3:ハローキティの準開放戦略で成長 Part4:ハローキティのブランド力に陰り? サンリオのV字回復 http://diamond.jp/articles/‐/23814 5 2015/10/12 Part1:成長期 • ブランド力の上昇 • ターゲット市場の拡大 • 国内市場:第2位 – 1位はディズニー • 海外市場:第8位 – 1位はディズニー – 7位はMBA お化けキャラクター Hello Kitty • サンリオには450以上のキャラクター – ハローキティは年商1000億円の約半分を稼ぐ – 関連商品は5万種類 • サンリオが販売するのはその3分の1、残りは ライセンス製品。 – 1996年にキティ人気に火がつく • キティの資産価値は1.5兆円? 6 2015/10/12 • 最大の強みはハローキティの40年来のコン セプトである「かわいい、仲良く、助け合い」の 精神が世界で共感を生むベースとなり、強力 なブランド・アイデンティティーとなったからだ という。 http://www.nippon.com/ja/simpleview/?post_id=28895 Part2:成熟期 • ハローキティ以外のキャラクターへの多角化 を図るが、期待通りには行かず。 • 国内各社とのコラボ展開 7 2015/10/12 ライセンス状況 キャラクター 主なライセンス先 ハローキティ 生まれ 年 1974 マイメロディ 1975 リトルツインシス ターズ シンカンセン シナモロール シュガーバニーズ ジュエルペット 1975 ユニクロ、富士フィルム、みず ほ銀行 三菱UFJ、サマンサタバサ ライオン、サンスター、ワールド 1999 2002 2004 2008 ナイガイ、久光製薬 ショウワノート、東京都民銀行 タカラトミー、マクドナルド バンダイ、小学館、丸美屋 コラボ・ライセンス 8 2015/10/12 売上減▼400億円(2001→2007) 利益は5分の1に(2001→2003) 売上高(億円) 海外売上高(億円) 営業利益(億円) 1400 200 1200 1000 150 800 100 600 400 50 200 0 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 Part3:再成長期 • 【2つの方針転換】 • 物販重視からライセンス重視へ • 国内重視から海外重視へ 9 2015/10/12 ビジネスモデルの転換で【再成長】 売上は2割減、利益は3.4倍(07→14) 売上高(億円) 海外売上高(億円) 営業利益(億円) 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 200 150 100 50 0 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 ライセンシー側に ある程度のデザイン変更を認める • 「ライセンシー側にデザインの自由度があれ ば、それぞれのブランドや商品に合わせたキ ティを考えることができるため、キティの応用 品が増え、マンネリ化を防ぐこともできる」 • サンリオの場合は、つけまつげをしたキティも いれば、黒い服を着たキティもいる。 • また、米国のテレビ番組「セサミストリート」の エルモなど、他のキャラクターの着ぐるみを 着たキティなどもいる。 http://diamond.jp/articles/‐/23814 10 2015/10/12 海外のライセンスビジネスに 大きくかじを切った(2008年) • 三菱商事出身の鳩山玲人(れひと)取締役 (現在は常務)が入社したことに始まる。 • サンリオがテーマパークや株式投資の損失 で最終赤字を出した04年に、三菱商事との資 本業務提携に踏み切ったが、鳩山氏はその ときの担当者だった。 • 米国へ留学していた彼を、サンリオの辻邦彦 副社長(2013没)が招聘した。 http://diamond.jp/articles/‐/23814 • 5年前はサンリオの日本国内での事業が不 振で、海外ぐらいしか成長余地が見いだせな かった。 • 経営危機だったからこそ、いろいろ新しいチャ レンジができた。 • 辻副社長が思い切って海外ライセンス事業 に舵を切る方向に、背中を押して支えてくれ ました。 http://www.nippon.com/ja/simpleview/?post_id=28895 11 2015/10/12 ライセンスビジネスのメリット • ライセンスビジネスでは、自社で在庫を持つ リスクがない。 • ライセンスビジネスに軸足が移る中で、直営 店を縮小し、資産(コスト)を圧縮している。 – 国内:271店(08年3月)⇒220店(12年3月) – 海外:11店(08年3月) ⇒4店(12年3月) http://diamond.jp/articles/‐/23814 異なるビジネスモデル <ライセンスの利益率高い> http://diamond.jp/articles/‐/23814 12 2015/10/12 幅広い提携企業 • 1業種1企業というのが一般的だが、サンリオは 同じファストファッションのZARA(スペイン)や フォーエバー21(米国)にもライセンス供与してい る。 – 子供向け、ティーンエージャー向けなどとターゲットを きめ細かく分類して、競合しないように供与している。 • 高級ガラスのスワロフスキー(オーストリア)、食 品メーカーのネスレ(スイス)、時計メーカーのス ウォッチ(スイス)、化粧品専門店のセフォラ(フ ランス)、世界最大の量販店ウォルマート(米国) など、多国籍に展開する大手企業が並ぶ。 http://diamond.jp/articles/‐/23814 海外利益推移 250 2006 200 2007 2008 150 2009 2010 2011 100 2012 2013 50 2014 2015 0 海外利益(億円) 13 2015/10/12 ロイヤルティ収入の54%が欧米 (売り上げの45%がロイヤルティ) 海外代理店 欧州と台湾は直営店重視、他は契約店多い 欧州 米国 中南米 中国 香港 台湾 その他アジア 契約店 直営店 0 50 100 150 200 250 300 サンリオIR資料「53期決算説明会資料」(2013.5.21) 14 2015/10/12 Part4:飽和期 • キャラクター大賞での人気低迷 – 飽きられた? – それとも他のキャラクター売り込みのため? • 海外での売り上げ伸び悩み(一時的?) • 次の一手は? – マルチキャラクター戦略 – 直営店の充実 – 海外へのテーマパーク展開 – 映画製作とグッズ販売の連動 サンリオ☆キャラクター大賞2013 (2012年もハローキティが1位) サンリオ報道資料(7/20) http://www.sanrio.co.jp/corporate/release/y2013/d0720/ 15 2015/10/12 キャラクター大賞(2014) ハローキティ三連覇逃す http://www.sanrio.co.jp/corporate/release/y2014/d0802/ 第30回キャラクター大賞(2015) http://www.sanrio.co.jp/corporate/release/y2015/d0627/ 16 2015/10/12 利益減少(▼19%)、売上減(▼2%) (2014→2016) 売上高(億円) 海外売上高(億円) 営業利益(億円) 900 200 800 700 150 600 500 100 400 300 50 200 100 0 0 2011 2012 2013 2014 2015 2016予 欧米で戦略転換 • マルチキャラクター戦略(キティ依存からの脱却) – 11都市(米・加)でライブショーを上演 • マイメロディ、けろけろけろっぴ、チョコキャットなど8キャラ – 10月から英国でも(ポムポムプリン、バッドばつ丸な ど6キャラ) – キティとセットで割安感 • 「ぐでたま」が台湾・香港で人気。米にも進出。 – https://youtu.be/hKJE1YUb9eE?list=PLFNUyl__hoIg1iI xNsf28sPori9P6CZoT&t=14 • テーマパークに出店 – ユニバーサル・オーランド・リゾート(米フロリダ) 日本経済新聞 2015年8月10日 17 2015/10/12 サンリオギャラリー京都 2015.7.11オープン@四条河原町 http://www.sanrio.co.jp/corporate/release/y2015/d0701/ 中国にもテーマパーク開業 • 2015年1月1日に部分開業 • 敷地面積10万㎡=ハーモニーランド(大分) と同程度 • 年間100万人の入場者数が目標 • 中国の上海銀潤(不動産開発)にライセンス 供与 • 隣接地にホテルやレストランも • 入場料は大人260元(4900円) 日本経済新聞 2014年11月29日 18 2015/10/12 久しぶりに映画製作に復帰 • ハローキティ(アニメ?)2019年に公開予定 • 製作費(宣伝費含む)は200‐300億円 • 米子会社(本年7月設立)が映像製作とグッズ 販売を連動させる – サンリオメディア&ピクチャーズ(鳩山CEO) – 製作資金は外部から募る • 2014年は「アナと雪」のヒットで関連商品の販 売が低迷した。 • 他のキャラクターの映画化も検討する。 日本経済新聞 2015年7月2日 Part2:テーマパーク • Video2 • BSフジ ジャパコンTV, 「ハローワールド・ ハローキティ~ピューロランド抜粋版~」 2014/4/5、6分。 – http://www.bsfuji.tv/japacontv/ 19 2015/10/12 テーマパークの業績推移 売上、入場者は増えたが赤字 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 90 70 50 30 10 ‐10 ピューロ ハーモニー 売上(億円) ピューロ ハーモニー 営業利益(億円) ピューロ ハーモニー 入場者数 2014年の収支改善策 • サンリオピューロランド(SPL): 12億円増収(20.3% 増) – ハローキティ40周年記念ミュージカル『不思議な国 のハローキティ』の上演開始。 – 開園後最大規模(投資額15億円)のサンリオタウン をオープン(7月20日)。 • 劇場ビジネスの活性化とキャラクターの世界観作りを目 指す。 • ハーモニーランド(HL) :5億円の増収 – 乗り物エリアを一部改修し、新たなカート設備の設 置やカフェエリア・ショーエリアをリニューアルする。 20 2015/10/12 ピューロランド料金改定 • 4月1日から、乗り放題のパスポート(当日券)は大人 を現在の4400円から休日で3800円に下げ、子供 向けは年齢に応じて2段階だったのを統一し下げる。 – 大手テーマ パークが消費増税に合わせて値上げするな か、あえて下げることで集客増につなげる。 • 現在の4~11歳(3300円)と12~17歳(4000円) を一本化するとともに、平日の値下げ幅を大きくす る。 – 3~17歳は平日2500円、休日2700円。 – 大人の平日は3300円。 • 休日の入場者を分散化するとともに料金を下げて入 場者数を増やす狙い。 2014/02/14 日経MJ(流通新聞) ハーモニーランドもリピータ重視へ • 「ハーモニーランド」は4月下旬から年間パス ポートの料金を3割近く引き下げる。 • 4月25日から、新規の年間パスポートの料 金を通常の8000円から2300円安い5700 円にする。 – 年間パス値下げの減収分は来園者増と飲食など 物販の客単価を高めて補う。 • 一方、1日の入園料「パスポートチケット」は1 00円引き上げて2900円にする。 2014/03/17 日経産業新聞 21 2015/10/12 新しい集客の仕組み • ちゃんりおメーカー(分身が作れる) • https://www.youtube.com/playlist?list=PL‐ LbI_GEIQRYNi1GLQxM6hqiKgILXYr4m • 1700万人が利用(過半は19~24歳) • ピューロランドと連動イベント • 10月からAKBと組んだ商品開発 参考文献 • サンリオ IR資料 – http://www.sanrio.co.jp/corporate/ir/news.html • 経済産業省関東経済局「コンテンツ2次利用市場(ライセン ス市場)に係る競争環境及び海外市場動向実態調査」平成 24年3月。 – http://www.kanto.meti.go.jp/kankobutu/data/contents_kaigais hijyo_chousa.pdf • ダイヤモンドオンライン「【サンリオ】海外向けライセンスビジ ネスで高収益企業への転換に成功」(2012.9.6) – http://diamond.jp/articles/‐/23814 • 黒川恵利 「経済学におけるキャラクターとそのマネジメント 方法に関する考察」慶應義塾大学経済学部卒論 – http://seminar.econ.keio.ac.jp/tamada/thesis/graduate/06/kuro kawa.pdf 22 2015/10/12 Part3:キャラクタービジネス • Video3 • WBS 「キャラクタービジネス成功の鍵」 2014/2/5, 8分 矢野経済研究所(調査):2014 市場規模は、2 兆 3,420億円(商品化権市場:1兆 1,680億円、版権市場:1兆1,740億円) http://www.yano.co.jp/press/pdf/1283.pdf 23 2015/10/12 商品化権の47%は玩具。次いで、服飾雑貨、菓 子、衣料品、家具・インテリア、食品など。 http://www.yano.co.jp/press/pdf/1283.pdf (市場動向) • 2013 年度のキャラクタービジネス市場は8 年振 りに増加、 – 前年度比100.2%の2 兆3,110 億円 • 2014 年度は再成長への転換点と予測 – 近年は、有力キャラクターが低調に推移したことよっ て縮小トレンドが続いていたが、2013 年以降はゲー ムやSNS、映画、ご当地キャラクター等から新たな人 気キャラクターが誕生するなど、明るい兆しが見え始 めている。 – 2014 年度のキャラクタービジネス市場規模(商品化 権、版権)は、前年度比101.3%の2 兆3,420 億円と予 測する。 24 2015/10/12 キャラクターとは?(by 広辞苑) • ①性格、人格、個性、キャラ • ②小説・映画・演劇・漫画などの登場人 物。その役柄。 • ③文字。記号。 しかし、この定義にマッチしないものもある。 • 物語の文脈から自由なもの – ハローキティ、ペコちゃん • 民間伝承や神話の世界の登場人物 – 福助、エビスさま • 言葉の起源は、Fanciful Characters(実 在しない登場人物)と言われている。 – ミッキーマウスやポパイなどの主人公を人 形や時計の文字盤として商品化(1920年 代から) – 1950年代に日本上陸 – Walt Disney Productionが、映画配給に際 しライセンス・ビジネスを開始した。 25 2015/10/12 米国のキャラクタービジネス • ロイヤルティ全体:25億ドル – スターウォーズ:5.5億ドル(2011) • ディズニーが2012年のルーカスフィルムから買い取り • アクション・フィギュア35%、組み立て玩具56% – パワーレンジャー:1億ドル弱(2007) • キャラクターは日本と同じだが、ドラマは別物 • フィギュアカテゴリー97%、 – ポケモン:7.8億ドル(2001)、その後は1億ドル – ハローキティ:3‐4億ドル 2015人気ランキング こどもの好きなキャラクター調査(800人) 2003年調査 % 1 アンパンマン 20.1 2 プーさん 11.3 3 ハローキティ 9.3 4 ハム太郎 8.4 5 ポケモン 8.3 6 ワンピース 8.0 7 アバレンジャー 7.9 8 ドラえもん 7.5 9 仮面ライダー 5.7 10 きかんしゃトーマス 3.8 バンダイ2015年5月調査 http://www.bandai.co.jp/kodomo/ 26 2015/10/12 (調査結果‐2) • キャラクターとのタッチポイント(2013) – テレビ番組の視聴(51.6%) – おもちゃ(43.1%) – 食品(40.8%) – 本(40.5%) – 文具(29.8%) – 服飾装飾品(25.0%) – 日用品(22.3%) • 年間平均消費額は、11,135円。(2015) バンダイ2015年5月調査 http://www.bandai.co.jp/kodomo/ ディズニーが他を引き離して1位 (2009) 27 2015/10/12 出身母体比率 (出版、TV、ゲームで5割超) 出身母体 出版(絵本) オリジナル TV ゲーム 映画 コミック 2010 21.4% 17.3% 16.8% 14.0% 12.1% 6.6% 2009 17.8% 20.1% 14.8% 11.9% 14.3% 7.4% 参考URL • 矢野経済研究所「キャラクタービジネスの動向 2014」2014.8.25 – http://www.yano.co.jp/press/pdf/1127.pdf • バンダイ2015年5月調査 – http://www.bandai.co.jp/kodomo/ • 米国コンテンツ市場調査(2011‐2012)(2013年1 ~3月) – http://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/report s/07001194 – キャラクタービジネス編:24ページ – ジェトロ調査企画課 28 2015/10/12 今週のミニレポートテーマ • 以下のテーマから一つを選び論じて下さ い。manaba+Rの「アンケート」Tabから、400 文字程度で記入。 – ①サンリオの経営戦略(ハローキティの戦 略転換) – ②サンリオの経営戦略(テーマパーク:国 内、海外) – ③キャラクタービジネスについて 29