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1 1 消化プロセス導入にともなうメリット・デメリット 1.1 概要 下水処理場

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1 1 消化プロセス導入にともなうメリット・デメリット 1.1 概要 下水処理場
1 消化プロセス導入にともなうメリット・デメリット
1.1 概要
下水処理場では、水処理、汚泥処理において多くのエネルギーを消費している一方、消化ガスや有
機物を含んだ汚泥などエネルギー源としての「資源」を生成している。本項では、下水処理場に消化
プロセスを導入した場合に考慮すべき視点について検討を行った。
消化プロセスを導入することにより、
エネルギーとして多様な用途が期待できる消化ガスを製造し、
地球温暖化防止へ貢献できる反面、高濃度返流水の水処理施設への影響、維持管理の煩雑性、建設コ
ストの増加などが課題となり、様々な視点からの検討が必要である。消化プロセスを導入した場合の
特徴を図 1.2.3.1 に示す。
図 1.2.3.1 消化プロセスを導入した場合の下水処理場における特徴
1.2 消化プロセス導入にともなうメリット・デメリット
消化プロセスを導入する際に検討すべき側面について、メリット・デメリットに分類して表 1.2.3.1
にまとめた。表に示されているように、エネルギーについては、消化槽の機器運転や加温に必要なエ
ネルギーは消化ガスとして得られるエネルギーによって賄うことができ、また汚泥の減容化により、
後段の汚泥処理施設の規模を低減することができ、必要なエネルギーを低減できる。このように、消
化プロセス導入はエネルギー的にはメリットが大きい。
維持・運転管理面では、返流水が高濃度化し水処理への影響が増大すること、汚泥の脱水性の低下、
MAP 析出による配管のつまり、設備機器の硫化水素による腐食などがデメリットとして挙げられるが、
消化による汚泥の安定化、臭気の減少、貯留の容易化、送泥時の送泥先における硫化水素の減少など
のメリットがある。また、発泡、維持管理の煩雑性などの課題については、高温消化の採用や卵形消
化槽などの技術によりそのリスクは軽減することが可能である。また、汚泥発生量の季節変動等によ
り、投入汚泥量の少ない季節には他のバイオマスの受け入れを検討できることもメリットである。
コストについては、新たに消化槽設備を建設するための建設コストや維持管理コストが増大する反
面、消化による汚泥の減量化により、後段の脱水設備や焼却設備の規模を縮小でき、その建設費や維
1
持管理費を軽減できる。また、温室効果ガスの削減についてはグリーン電力証書を販売するなどの付
加価値も発生する。
これらのコストバランスについては、嫌気性消化プロセス導入支援ツールの「費用算定方法」を使っ
て検証できるようになっている。その他臭気濃度が低減するため、臭気対策費が低減できるメリット
もある。
表1.2.3.1 消化槽導入における検討の視点について
メリット
デメリット
○消化ガスの回収、利用が可能
・消化ガス発電、燃料電池など
・焼却炉の補助燃料、消化槽加温用燃料の
代替
○汚泥の減量化に伴う、必要エネルギーの減少
・消化槽以降の汚泥処理施設の運転
・焼却炉の補助燃料など
エネルギー
→ 温室効果ガスの低減
○汚泥からの臭気発生の抑制
・臭気濃度は、生汚泥の1/2~1/8となる
周辺環境
○高濃度返流水により流入水質が上昇し、水処理
への影響
→ 閉鎖性水域等で高度処理、汚泥集約処理を
行う場合などは、ケース毎に返流水負荷の検討が
必要
水処理施設の
流入水質への
影響
※アンケート結果によると,返流水の影響によりS
S,BOD,窒素,りん共流入水質が高くなる。【資
料3P18参照】
○消化槽容量のバッファー機能
・後段汚泥処理施設への供給汚泥性状の安定
化
・非常時に汚泥貯留が可能
維
持
・
運
転
管
理
○他のバイオマスの受入の可能性確保
運転管理
○運転管理の煩雑さが増大
・消化槽の発泡防止
・メタンガスの安全管理
・ボイラ作業主任者の選任
・消化槽内で異常発生時、機能回復に時間が
かかる。
○性状改善
・ハンドリング性の改善
・腐敗しにくく貯留に耐えられる
・有害微生物の死滅により衛生面の安全性向上
汚泥性状など
○脱水ケーキ発生量が減少
○脱水性は生汚泥と比べて悪い
→ 脱水機、凝集剤の改善により対応可能
・MAP析出による配管の閉塞
・設備機械の硫化水素による腐食対策が必要
設備への影響
エネルギー
コ
ス
ト
施設、設備
汚泥処分費
・消化ガス活用による、使用化石燃料、電力の低
減
・余剰ガスの利用により、温室効果ガスを削減し、
グリーン電力証書のような付加価値をつけて販売
することが可能
消化槽及び付帯設備、ガスホルダ-、脱硫施設、
ガス発電施設などが必要
・用地費
・建設費
・維持管理費 (消化槽浚渫費も含む)
・消化槽以降の汚泥処理施設の縮小
・建設費
・維持管理費
・焼却せずに処分を委託している場合は、処分費
が低減
2
その他
・臭気対策費用の低減
算定ファイルによって試算
評価
1.3 消化槽の運転上の留意事項について(アンケート結果より)
消化槽をすでに採用している自治体に消化槽運転上の留意事項についてアンケートを行った結果を
表 1.2.3.2 に示す。留意事項については,MAP析出による配管のつまりが一番多く、アンケートを
取った処理場 72 箇所のうち 25 箇所から指摘されている。
次に発泡による汚泥流出などについて 10 箇所の処理場が指摘している。発泡は冬季に多く、消化槽
投入汚泥濃度が高くなる頃としている処理場が多く、投入過多によることが考えられるが、中には撹
拌不足を指摘している処理場もあった。
機械撹拌については、
腐食による修繕の必要性や異音がする、
撹拌不足等の問題点が出されている。
ガス撹拌についての指摘はあまり出ていないが、機械濃縮による投入汚泥の高濃度化により、撹拌不
足を上げている処理場があった。
硫化水素による腐食は、設備機器全体に及んでいるとの指摘があり、流量計の腐食も指摘されてい
る。流量計についてはMAPによる影響で流量に誤差が生じているとの指摘もある。浚渫の問題につ
いては、費用がかかる点を懸念する指摘が多かった。季節変動を伴う消化ガスの発生量不足により補
助燃料が必要との指摘も 3 処理場から出されている。
アンケートではいくつかの留意事項が指摘されているが、汚泥発生量の季節変動等について設計時
にあまり考慮されていないことが原因と考えられ、卵形消化槽(撹拌不足を解消し、発泡等が起こり
にくい構造)など技術的進歩もともなって、留意事項は解決されつつある。
表 1.2.3.2 アンケートによる消化槽の運転管理上の留意事項
項目
MAP
発泡
機械撹拌
硫化水素
処理場数
25
10
6
6
その他
浚渫
4
ガス発生
3
堆積物、篩渣、ガス撹拌、脱硫剤、消化不足、脱水、スカム、ガス発電
アンケート対象処理場総数:72 箇所
3
1.4 総合評価
導入可否の評価は、消化プロセス有り無しについて、費用及び CO2 排出削減量と消化プロセスの特
徴から総合的に評価を行う。
○ コスト評価
 建設費,維持管理費,汚泥処分費
○ 消化ガスのポテンシャル
 下水処理場における CO2 削減効果(自治体部局間連携向け)
 消化ガスのエネルギー的価値
処理場向け⇒重油換算でのポテンシャル
住民向け ⇒都市ガス換算でのポテンシャル
 CO2 取引価格
 その他、CO2 削減量が、どの程度の森林面積に相当するのか、何世帯分の排出量に相当す
るのか
○ 消化槽を導入する場合の特徴
・消化槽導入にあたっての検討事項、留意事項
4
2 消化ガス利用に関わる社会システム構築調査
下水汚泥の消化ガスは持続可能な社会システムへの転換に向けて,
その有効利用が求められている。
また,消化ガスはカーボンニュートラルな性質を持つことから温室効果ガス排出量の削減が期待でき
るものである。
消化ガスは,従来から消化槽の加温や焼却炉の補助燃料等として有効利用が図られており,平成 18
年度における全国の消化ガス発生量(約 285 百万m3/年)のうち約7割(約 198 百万m3/年)が利用
されている状況である。しかし,残り約3割は未利用のまま燃焼し大気放散されている。
ここでは,この未利用である約3割の消化ガスの状況や今後の利用の可能性および消化槽の返流水
の影響について,アンケート調査を実施した結果を述べる。
2.1 アンケート調査対象
2.1.1 調査対象施設
全国の約 2,000 箇所の処理場のうち,消化プロセスを導入しているのは約 300 箇所である。これら
の消化槽を有する処理場の中でも消化ガスの利用率が比較的低い箇所を対象とするとともに,地域に
よっては気候や処理特性も異なることから,全国 9 地域に対してほぼ均等に調査箇所を設定した。ま
た,1地域の中でも同じ処理規模の施設は避けるものとした。表 2.1.1.1 にアンケート調査の対象施
設数を示す。
表 2.1.1.1 アンケート調査の対象施設数
処理規模
地域
10,000m3 未満
10,000m3 以上
50,000m3 未満
50,000m3 以上
計
1.北 海 道
1
4
3
8
2.東
北
1
4
4
9
3.関
東
1
1
4
6
4.北
陸
2
5
4
11
5.中
部
0
3
1
4
6.関
西
0
4
5
9
7.中
国
1
2
2
5
8.四
国
1
5
3
9
9.九
州
3
3
5
11
10
31
31
72
計
※処理規模は下水道統計(H17)による1日最大処理量を示す。
5
2.1.2 アンケート結果
2.1.2.1 下水道施設の概要に関して 設問1
アンケート調査を行なった処理場は,72 箇所である。晴天時1日最大処理量(現在処理量)の規模
別の件数は,図 2.1.2.1 のとおりである。10,000m3/日未満が 16 箇所,10,000m3/日以上 50,000m3/
日未満が 31 箇所,50,000m3/日以上が 25 箇所であった。また,汚泥処理の区分は図 2.2.1.2 のとおり
である。
「集約処理」が 12 箇所(17%)であり,
「単独処理」が 60 件(83%)であった。
図 2.1.2.1 晴天時1日最大処理量(現在処理量)
図 2.1.2.2 汚泥処理の区分
水処理方式別の件数は,表 2.1.2.1 のとおりである。66 箇所が標準活性汚泥法を採用しており、窒
素やリンの除去を目的とした高度処理も数箇所あった。なお,系列によって水処理方式を併用してい
る処理場があったため,述べ 80 件となっている。
汚泥処理方式別の件数は,表 2.1.2.2 のとおりである。72 箇所のうち,約 6 割の 43 箇所が脱水後,
場外搬出しており,焼却施設を有している処理場は 19 箇所であった。
表 2.1.2.1 水処理方式
水処理方式
件数
標 準 活 性 汚 泥 法
66
嫌 気 -無 酸 素 -好 気 法
5
循環式硝化脱窒変法
4
嫌気-好気活性汚泥法
2
回転生物膜接触法
2
高 速 散 水 ろ 床 法
1
合
80
計
6
表 2.1.2.2 汚泥処理方式
汚泥処理方式
処理場数
濃縮→消化→脱水
43
濃縮→消化→脱水→焼却
16
濃縮→消化→脱水→乾燥
3
濃縮→消化→脱水→緑農地
2
濃縮→消化→脱水→コンポスト
7
消化→脱水→溶融
1
合
72
計
地域別の最高気温と最低気温は,図 2.1.2.3 のとおりである。値は月平均の最高と最低であり,最
高気温は各地域とも 35℃前後であった。最低気温は「北海道」
,
「東北」が-10℃以下で,他の地域は
0℃前後であった。
図 2.1.2.3 地域別の気温
7
2.2.1.2 消化槽に関して 設問2
消化方式は,図 2.1.2.4 に示すとおり「1段消化」が 23 箇所(32%)
,
「2段消化」が 50 箇所(68%)
であった。なお,系列によって「1段消化」と「2段消化」を併用している処理場が1箇所あった。
消化槽の形状は,図 2.2.1.5 に示すとおり「円筒形」が 47 槽(46%)
,
「亀甲形」が 41 槽(40%)
,
「卵形」が 14 槽(14%)であった。
消化槽の攪拌方式は,
図 2.1.2.6 に示すとおり
「機械攪拌」
が 45 槽
(44%)
,
「ガス攪拌」が 57 槽
(56%)
であった。
図 2.1.2.4 消化方式
図 2.1.2.5 消化槽の形状
図 2.1.2.6 消化槽の攪拌方式
消化槽加温の有無は,地域別の件数
を図 2.1.2.7 に示すとおりである。65
箇所が消化槽の加温を行なっており,
7 箇所が無加温であった。無加温で消
化を行なっている施設は,
「四国」
と
「九
州」で 5 ヵ所のほか「北陸」と「関西」
にも各 1 ヵ所あった。
消化槽の加温温度は,温度範囲別の
件数を図 2.1.2.8 に示すとおりである。
中温消化帯である「21℃以上 40℃以
図 2.1.2.7 地域別消化槽加温の有無
下」が最も多く 60 箇所であった。この
うち,中温消化帯で効率的な消化温度(30~37℃)
の区分となる「31℃以上 40℃以下」が 48 箇所で
あった。また,高温消化帯である「41℃以上」は 10
箇所であり,高温消化帯で効率的な消化温度(50
~55℃)の区分となる「51℃以上」が 3 ヵ所であ
った。低温消化帯である「20℃以下」は 0 ヵ所であ
った。なお,2 箇所の処理場で回答が得られなか
った。
図 2.1.2.8 消化槽の加温温度
8
2.1.2.3 投入汚泥および消化汚泥に関して 設問3
消化槽の投入汚泥量の規模別件数は図 2.1.2.9 のとおりである。年間 30,000m3 未満が 25 箇所,
30,000~90,000m3 未満が 27 箇所,90,000m3 以上が 20 箇所であった。
水量規模別の投入汚泥濃度は図 2.1.2.10 のとおりである。平均値はおおむね 3~4%であった。最大
値は 4~5%であり水量規模にかかわらず投入汚泥濃度が高い処理場があった。最小値は水量規模が
20,000m3/日未満で 2%を下回っており,汚泥濃縮プロセスの効果が十分でない処理場があった。
水量規模別の投入汚泥有機物割合は図 2.1.2.11 のとおりである。平均値はおおむね 80~85%であ
った。最大値は,比較的小さい水量規模で 85%以上あり,投入汚泥有機物割合が高い処理場があった。
最小値は,水量規模によっては 75%以下であり,投入汚泥有機物割合が低い処理場があった。
水量規模別の消化汚泥濃度は図 2.1.2.12 のとお
りである。消化汚泥濃度は,消化方式(1段また
は2段)によって固液分離を行う場合と行わない
場合に影響されるが,平均値でおおむね 1.5~
2.0%であった。
水量規模別の消化汚泥有機物割合は図 2.1.2.13
のとおりである。投入汚泥有機物割合が平均値で
80~85%に対して,おおむね 60~70%であった。
ここで平均的な消化率を求めると,53%となる。
消化率:D=(1-
20  65
)×100=53%
80  35
図 2.1.2.10 水量規模別の投入汚泥濃度
図 2.1.2.9 規模別の投入汚泥量
図 2.1.2.11 水量規模別の投入汚泥有機物割合
図 2.1.2.13 水量規模別の消化汚泥有機物割
図 2.1.2.12 水量規模別の消化汚泥濃度
9
2.1.2.4 消化ガスに関して 設問4
発生ガス量は 72 箇所の合計で 80.6 百万m3/年であり,そのうち 42.1 百万m3/年(52%)が有効利
用を図られていた(図 2.1.2.14)
。前述した全国の集計による有効利用の割合は約 7 割であり,それに
対して低い結果であるのは今回のアンケートが有効利用率の比較的低い箇所を対象としているためで
ある。
発生ガス量の規模別の件数は図 2.1.2.15 のとおりである。
半数の処理場で年間 600,000m3 以上の発
生ガス量があった。また,各処理場における発生ガス量の年間平均値に対する月別発生ガス量の変動
比率は,図 2.1.2.16 のとおりである。各処理場の変動比率は,おおむね最大 1.2,最小 0.8 の範囲で
あった。それを上回る変動比率の処理場も数箇所あり,最大では 2.0,最小では 0.15 であった。
図 2.1.2.15 発生ガス量
図 2.1.2.14 有効利用の割合
加温
図 2.1.2.16 発生ガス量の年間変動比率
10
無加温
消化ガスの利用用途は,用途別の件数を図
2.1.2.17 に示すとおり「消化槽の加温」が 61
箇所と最も多かった。
「空調利用」が 9 箇所,
「焼
却炉補助燃料」が 7 箇所,
「消化ガス発電」が 4
箇所であった。また,用途別の有効利用ガス量
の割合を図 2.1.2.18 に示す。72 箇所の有効利用
ガス量の合計 42.1 百万m3/年のうち 30.4 百万
m3/年(72%)が消化槽の加温であった。
水量規模別の消化ガス有効利用率は,図
2.1.2.19 のとおりである。平均値は 30~78%と
図 2.1.2.17 発生消化ガス利用用途
ばらつきがあり,最大値はおおむね 80%以上,
最小値はおおむね 20%以下であった。すなわち、有効利用率は水量規模の相違に影響されないことが
わかった。
余剰ガス量の規模別の件数は図 2.1.2.20 のとおりである。
半数の処理場で年間 300,000m3 以上の余
剰ガス量があり,年間 900,000m3 以上の余剰ガス量がある処理場も 17 箇所あった。
図 2.1.2.18 利用用途別の有効利用ガス量
図 2.1.2.19 水量規模別の消化ガス有効利用率
図 2.1.2.20 余剰ガス量
11
2.1.2.5 未利用エネルギー(余剰ガス)が生じる理由 設問5
未利用エネルギー(余剰ガス)が生じる理由は,図
2.1.2.21 のとおりである。
「余剰ガス量が少なく,経済的
なメリットがない」が 28 件(35%)と最も多く,「消化
ガス発生量の季節変動が大きい」が 12 件(15%)と次に
多かった。また,自由に記述してもらった未利用エネル
ギー(余剰ガス)が生じる「その他の理由」は 28 件あ
り,その内容は表 2.2.1.3 のとおりである。その他の理
由のうち最も多かったのは,
「消化槽の加温以外の有効利
用設備がない」
(12 件)であった。
図 2.1.2.21 未利用エネルギーが生じる理由
表 2.1.2.3 未利用エネルギーが生じるその他の理由
内
⑥-1
回 答
件 数
容
消化ガスの利用が加温のみであり他の有効利用設備がないため,余剰ガスが
生じる。
12
焼却設備,乾燥設備,消化ガス発電設備,ボイラー設備の定期点検等におけ
⑥-2
る休止期間中に余剰ガスが生じる。また,加温を連続運転していないため,
8
夜間や土日に余剰ガスが生じる。
⑥-3
季節的に加温に使用する消化ガス量が減少し,余剰ガスが生じる。
4
⑥-4
有効利用設備の費用対効果が得られないため。
4
12
2.1.2.6 未利用エネルギー(余剰ガス)の今後の利用用途とその選択理由 設問6
未利用エネルギー(余剰ガス)の今後の利用用
途は,図 2.1.2.22 のとおりである。
「消化ガス発
電」が 17 件(39%)と最も多く,「焼却炉等の補
助燃料」が 8 件(18%)と次に多かった。
「消化ガ
ス燃料電池」が 5 件,「場内空調利用」および「都
市ガス供給」がともに 3 件であった。
また,その他の利用用途は 8 件あり,その内容
は表 2.1.2.4 のとおりである。
図 2.1.2.22 未利用エネルギーの今後の利用用途
表 2.1.2.4 未利用エネルギーの今後の利用用途のその他
内
回 答
件 数
容
消化ガスを精製し天然ガス自動車への利用。
3
消化槽の加温設備に利用。
3
場内給湯に利用。
1
消化ガスコージェネレーション(発電・消化タンク加温)として利用。
1
未利用エネルギー(余剰ガス)の今後の利用用途に対
する選択理由は,図 2.1.2.23 のとおりである。
「すでに
燃料利用できる施設を有している又は増設予定のため」
が 14 件(36%)と最も多く,
「ほかの消化ガス利用技術
より経済的に優れているため」が 8 件,「ほかの消化ガ
ス利用技術より地球温暖化対策に効果があるため」が 6
件,「シロキサン除去やガス精製の技術が確立されたた
め」が 6 件,「ガス会社が隣接し,都市ガス供給が可能な
ため」が 1 件であった。
また,その他の選択理由は 4 件あり,その内容は表
図 2.1.2.23 今後の利用用途の選択理由
2.1.2.5 のとおりである。
表 2.1.2.5 今後の利用用途に対する選択理由のその他
内
容
回 答
件 数
エネルギー指定管理工場であり,ピークカット又は使用電力の削減を行なうため。
2
夏期のみ余剰ガスが発生するため,制御設備がある電気室等に空調利用したい。
1
発生エネルギーの利用が容易であるため(電力:処理場内使用,排熱:消化タンク
加温)
。また,少量でも利用可能なため。
13
1
2.1.2.7 消化ガス利用促進に関する課題等について 設問7
消化ガス利用促進に関する課題や障害となる事項および現状の問題点等は,表 2.1.2.6 のとおりで
ある。その内容を分類すると,「設備導入の費用対効果」や「財政難」等の経済性が最も多く,「補助金の
充実」等の補助制度に関わるものもあった。その他,ガス量やガス成分,維持管理性,事業体系に関わ
るものがあった。
表 2.1.2.6 消化ガス利用促進に関する課題等(1/2)
内
容
分
類
すでに大半の消化ガスを有効利用している中で,残量分のさらなる有効利用を行うには新技術導入等
に関して莫大な初期投資が必要であり,コスト面において採算が合わないこと。また,地球温暖化対
経済性
策事業等に対する国からの財政的な特別の補助もないため自治体財政状況が厳しい現状では有効利
補助制度
用に関する事業着手の優先度は低く困難である。
加温用に利用しているが,季節的な余剰分が発生する状況である。余剰分の利用については,利用目
経済性
的や施設の整備費用等の課題は多く,更なる利用は困難な状況。
ガス量
費用対効果が十分得られることを前提に今後の検討が必要。
経済性
当面の間,改築更新工事が続くため,余剰ガス利用施設整備に予算をまわすことが困難である。
経済性
消化ガスについては,メタンを主成分としていることから,ガス中に硫化水素が含まれている。当処
理場においては,硫化水素の除去装置については,乾式の脱硫装置で対応しているが,脱硫剤の取替
については,取替に従事している職員の安全性(防毒マスクの着用等)に細心の注意を図って行うな
ガス成分
ど,ガスの取り扱いに細心の注意を図っている。また,同様に硫化水素による配管等の腐食もみられ, 維持管理性
修理時についても火気を使用せずに行うなど,ガスに対する対応に苦慮しながら行っているのが現状
である。
消化ガス利用設備に対する設備投資が莫大になりがちで,費用対効果に基づく採算を取れる事業の選
定が難しいが,近年高効率の発電設備など,技術も進歩しているので検討したい。利用技術の開発や
利用促進の為に補助金を充実させ,低価格や普及に努めていただきい。
焼却炉の稼働率が,現在55%程度であり,稼動していない時に余剰ガスを生じる状況となっていま
す。その分の更なる有効利用が課題となっており,活用策の費用対効果を検討していきたい。
新規に消化ガス利用設備を導入する際,既存施設の改修に費用がかかる。消化ガス利用設備のイニシ
ャルコストが高い。消化ガス利用設備の投資費用を回収できるか否か。硫化水素の発生。
経済性
補助制度
経済性
経済性
ガス成分
平成11年4月から消化ガスを精製した後,都市ガスの原料として北陸ガス㈱に供給している。当時
としては,全国でも初めてのケースであった。最近になり,精製ガス冷却装置の故障が出始めている。
前例のないシステムでもあることから,今後の機器類の保守管理費が増加することが危惧される。ガ
ス精製設備の運転上の問題点は,以下のとおり。① 処理水により精製しているが,水温により CO2
維持管理性
除去効率が変化するため,季節による水量調整で対応している。② ガス圧送量・CO2 濃度・処理水
温度等を微妙に調節しながら,北陸ガス㈱との供給条件をクリアーさせている。変化するパラメータ
ーが多く,運転にある程度の熟練を要す。
小さな自治体では財政的に無理がある。
経済性
当浄化センターの消化ガス発生量は季節変動が多い為,発電に利用した場合,夏期に発電量が減少す
る。
14
ガス量
表 2.1.2.6 消化ガス利用促進に関する課題等(2/2)
内
容
分
整備途中の処理場にあっては,どの時点で余剰ガスの利用計画を立てるかが悩ましいです。また,効
率の良い新技術の開発も必要と考えます。
消化ガスの脱硫に活性炭を使用しているが,費用がかかりすぎる。
財政難の折,有効利用施設の構築に多額の投資が必要なため,当局への説明難が予想される。法的に
義務化されることが望ましい。
安定した利用,安全な使用などの問題と費用対効果が見えにくいこと。
類
整備時期
経済性
経済性
維持管理性
経済性
施設が老朽化してくる。特にガスホルダーの老朽化は,ガス爆発事故につながるので更新をすべきで
ある。しかし,多額の予算が必要である。
維持管理性
経済性
消化ガスの有効利用として,消化ガス発電等が考えられるが設備費や維持費など経済的な面で,市単
独ではできない。
経済性
ガス供給事業者での利用促進
事業体系
隣接するゴミ焼却場とのエネルギー利用等が進まない。
事業体系
投入汚泥の性状により,消化槽のガス発生量が減少することがある点。乾式の脱硫器ではシロキサン
の除去が難しく,消化ガス発電に利用することが出来ない点。
ガス量
ガス成分
消化ガスエネルギー利用に関し,その設備やランニングコストなど投資にかかる対費用効果の算定等
が難しい。また,財政事情の厳しい状況において新規の大型投資にとなることについては,なかなか
経済性
実施が困難である。
利用する設備に対しての,消化ガスの発生量確保。
ガス量
一定量を安定的に供給できる体制の整備。
(設備,利用先,利用方法)
ガス量
現状では余剰ガス量が多くないため,有効利用のための設備投資を考えると経済的メリットが無い。
経済性
ガス量
使用電力を削減すること等を目的とし,消化ガス発電を導入した場合には常用発電機となるが,1000
kwを越える設備では電気主任技術者の常駐が必要であり,人員確保が困難である。また,タービン
発電機を導入する場合であっては,ボイラータービン主任技術者も確保しなければならい。このよう
維持管理性
な状況から,バイオマス発電等における常用発電の基準(特にボイラータービン関係)の緩和などの
見直しが求められる。
施設の立地条件が消化ガスの有効活用を計画出来る様な施設から遠く離れている。2,消化ガスの成
分から活用できるガス種のみを抽出するにはそれぞれに設備費用並びに継続して維持管理するにも
多くのランニングコストが必要となる
消化ガスの利用をしたいが設備投資がかさむことと,現在改築更新を順次行っているため,財政的に
余裕がない。
15
経済性
維持管理性
経済性
2.1.3 アンケート結果の考察
2.1.3.1 消化率とガス発生率
アンケート結果における投入汚泥および消化汚泥の性状から各処理場の消化率を求めた。
水量規模,
加温の有無,消化温度,消化日数に対する消化率の傾向は以下のとおりである。
水量規模別の消化率は図 2.1.3.1 のとおりである。水量が 10,000m3/日未満の規模で若干低いが,そ
れ以上の規模での消化率は平均値で 50%以上であった。また,消化率 50%以上の処理場の割合は図
2.1.3.2 のとおりである。86%に当たる 56 箇所は消化率 50%以上であった。
図 2.1.3.2 消化率 50%以上の割合
図 2.1.3.1 水量規模別消化率
加温の有無別の消化率は図 2.1.3.3 のとおりである。加
温無は加温有に比べ消化率が低く,消化温度の安定性に欠
け消化が促進されていない。消化温度別の消化率は図
2.1.3.4 のとおりである。消化温度が高いほど消化率も高い
傾向が見られた。
消化日数別の消化率は図 2.1.3.5 のとおりである。平均
値は消化日数にかかわらず,おおむね 50~60%であった。
図 2.1.3.3 加温の有無別消化率
図 2.1.3.4 消化温度別消化率
図 2.1.3.5 消化日数別消化率
また,アンケート結果におけるガス発生量と投入汚泥,消化汚泥の性状から各処理場の有機分減少
量当たりのガス発生率を求めた。水量規模別のガス発生率を図 2.1.3.6 に示す。一般的に投入有機物
16
当たり 500~600 リットル/kg と言われ,消化率を 50%とすると有機物減少当たり 1,000~1,200ℓ/kg とな
る。アンケート結果におけるガス発生率は,水量規模別の平均値でおおむね 800~1,000ℓ/kg であっ
た。
図 2.1.3.6 水量規模別ガス発生率
2.1.3.2 未利用エネルギーについて
未利用エネルギー(余剰ガス)が生じる理由は,「余剰ガス量が少なく経済的なメリットがない」,「消
化ガス発生量の季節的変動が大きい」が多く挙げられていた。
「季節的変動が大きい」と回答があった 12 箇所の処理場における月別発生ガス量の年間平均に対す
る変動比率を図 2.1.3.7 に示す。変動比率の幅はDとJ処理場が大きいものの,その他の処理場では
おおむね最大 1.2,最小 0.8 であり,変動比率はともに±2 割程度であった。なお,前述の全 72 箇所
の発生ガス量の変動比率もおおむね±2 割程度であった。
図 2.1.3.7 発生ガス量の年間変動比率
(設問5で②を回答した処理場 12 箇所)
次に,「余剰ガス量が少ない」と回答があった 28 箇所の処理場における余剰ガス量の年間平均値を
図 2.1.3.8 に示す。
【参考】に示す消化ガス発電設備の実績における最小容量 50kW の年間消化ガス使
用量は 227,000m3/年である。これに年間変動2割を考慮すると年間平均値で 23,600m3/月(227,000
m3/年÷12÷0.8)を確保できれば,発電容量 50kW の消化ガス発電設備が年間を通して安定的に稼動
できると言える。図 2.1.3.8 に示す 28 箇所のうち 12 箇所の処理場は,これに該当する規模の余剰ガ
17
ス量を有している。
消化ガス発電設備(50kW)の
ガス使用量のボーダーライン
図 2.1.3.8 余剰ガス量
(設問5で①を回答した処理場 28 箇所)
消化ガスの利用用途は,「消化槽の加温」が最
も多く,消化槽の加温を行なっている 64 箇所
のうち 60 箇所で消化ガスを加温に利用してい
る。さらに,その 60 箇所のうち利用用途が加
温のみは 40 箇所あり,他 20 箇所は他の用途で
も利用が行われている。これらに対する消化ガ
ス量の有効利用と未利用の割合を図 2.1.3.9 に
示す。利用用途が加温のみの場合,加温と他の
複数の場合に比べて有効利用の割合が低いこと
が言える。また,利用用途が加温のみの 40 箇
所の処理場における余剰ガス量の年間平均値を
図 2.1.3.10 に示す。40 箇所のうち 21 箇所の処
図 2.1.3.9 消化ガス有効利用の割合
理場は,前述の発電容量 50kW の消化ガス発電
(利用用途が加温のみと複数の比較)
設備が年間を通して稼動できる規模の余剰ガス
量を有している。
消化ガス発電設備(50kW)の
ガス使用量のボーダーライン
図 2.1.3.10 余剰ガス量
(利用用途が加温のみの処理場 40 箇所)
18
今後の未利用エネルギーの利用用途は,「消化ガス発
電」が 17 箇所と最も多く挙げられている。その選択理由
の内訳を図 2.1.3.11 に示す。どの選択理由にも複数の回
答があり,様々な点で消化ガス発電の有効性が期待でき
ると思われる。また,その他の理由としては「エネルギー
利用が容易で,少量でも利用可能なため」,「エネルギー
管理指定工場であり,ピークカット又は使用電力の削減
のため」の回答があった。
2.1.3.3 消化槽の導入について
別途,
実施された「下水汚泥資源の有効利用に関するア
ンケート調査」の内容から,
消化槽の導入に関わる結果を
一部抜粋し,以下に示す。アンケート対象は嫌気性消化
図 2.1.3.11 今後の利用用途の選択理由
プロセスを導入されていない自治体である。今後の嫌気
(設問6で①を回答した処理場 17 箇所)
性消化プロセスの導入予定は,図 2.1.3.12 のとおりであ
る。「導入を検討」と回答した自治体は 10 箇所(3%)で,「導入したいが現在はできない」および「導
入予定はない」と回答した自治体が 384 箇所(97%)であった。その 384 箇所の自治体で嫌気性消化
プロセスを導入できない理由は,図 2.1.3.13 のとおりである。「処理場規模が小さくコストメリット
がない」が 229 件(36%)と最も多く,「消化槽の建設コストが高いため」が 155 件(24%)あり,経
済性に関わる理由が半数を占めた。その他,「処理場敷地に制約がある」,「有機物が分解されメリット
がない」がそれぞれ 68 件(11%)
,「維持管理の管理項目が増え困難になるため」が 64 件(10%)
,「返
流水により水質悪化が予想されるため」が 20 件(3%)あった。
図 2.1.3.12 嫌気性消化プロセスの導入予定
図 2.1.3.13 嫌気性消化プロセスを導入できない理由
19
また,嫌気性消化プロセスにおいて興味ある技術は,図 2.1.3.14 のとおりである。「消化ガスの利
用技術」が 150 件(27%)
,「小型化技術」が 137 件(25%)
,「下水汚泥と他のバイオマスを利用でき
る技術」が 129 件(23%)
,「消化日数を短縮する技術」が 103 件(18%)と,それぞれの技術開発に
期待が寄せられている。
2.1.3.4 まとめ
消化率やガス発生率は,平均値が一般的な値
とおおむね同等であったが,それを下回る処理
場もあった。そのため,消化率やガス発生率が
低い処理場においては,運転方法の改善等によ
り消化ガス発生量を増大させられる可能性があ
ると思われる。
2段消化を採用している処理場(50 箇所)は,
機械濃縮による高濃度汚泥を投入し二次タンク
も生物反応タンクとして利用することで,消化
槽の容量に余裕ができ,他のバイオマスを受入
図 2.1.3.14 嫌気性消化プロセスで興味のある技術
れることにより消化ガス発生量を増大させることが考えられる。その結果,エネルギー利用率が向上
する可能性があると考えられる。
現状の余剰ガス量で消化ガス発電設備が導入可能な処理場も多数あることが分かった。また,今後
の消化ガス利用用途についても消化ガス発電が最も多くの回答があり,その理由に地球温暖化防止の
効果も挙げられている。このことから,単純な費用対効果(設備投資額と電力量削減額)でなく,付
加価値としての便益(グリーン電力売却益や温室効果ガス抑制量の貨幣換算等)も踏まえた検討が望
まれる。さらに,現状の利用用途が加温のみの処理場においても,消化ガス発電を導入し加温はその
廃熱を利用することでエネルギー利用効率を上げることができ,未利用エネルギーを減らす方策の一
つとして検討に値すると考えられる。
また,現在,消化槽を導入していない自治体は,ほとんどが「今後の予定もない」と回答しており,
その理由の多くが経済性であった。汚泥消化プロセス導入は,特にスケールメリットが働き中小規模
の処理場おける経済的なメリットはでにくいものである。しかし,持続可能な社会システムへの転換
に向けて下水汚泥の消化ガスの有効利用が求められている中で,温室効果ガスの削減効果や最新の開
発技術等を踏まえた検討から,消化槽導入の優位性を探る必要がある。
20
【参考】
消化ガス発電設備の実績における最小容量
平成 18 年度下水道統計における消化ガス発電(ガスエンジン)の実績は,全国 23 箇所である。
そのうち,発電容量が最も小さいものは,沖縄県名護市名護下水処理場で採用されている 50kW で
ある。当該施設の概要は以下のとおりである。
表 2.1.3.1 消化ガス発電設備の事例
施
設
名
名護下水処理場
処 理 方 式
標準活性汚泥法
処 理 能 力
認可:26,400m3/日,現有:22,500m3/日
処 理 水 量
実績:12,832m3/日
消
嫌気性2段,加温あり,ガス攪拌,消化温度 34℃,
化
槽
日平均
消化日数 29 日
投 入 汚 泥
汚泥量 22,410m3/年,濃度 5%,有機分 84.7%
消 化 ガ ス
発生量 599,239m3/年,利用量 219,759m3/年
利用は全て発電
ガ ス 発 電
容量 50kW,発電量 36 万 kWh,場内割合 12%
2004 年実績
また,発電容量 50kW の消化ガス発電設備における消化ガス使用量(概算)は,以下に算出する
とおり年間で 227,000Nm3 となる。
消化ガス使用量(Nm3/h)=発電容量(kW)÷消化ガス低位発熱量(MJ/Nm3)
×単位換算係数(MJ/kWh)÷発電効率
消化ガス使用量=50(kW)÷22(MJ/Nm3)×3.6(MJ/kWh)÷0.3=27.3(Nm3/h)
年間消化ガス使用量=27.3(Nm3/h)×24×365×稼働率 0.95
=227,000(Nm3/年)
21
2.1.4 アンケートによる返流水の影響調査
2.1.4.1 消化プロセス導入処理場における返流水の負荷量について
消化槽では汚泥の可溶化が進み、脱水分離液中の窒素、りん濃度が高くなり水処理に影響を与える
ことが懸念されている。
アンケートをとった 72 処理場のうち多くの処理場でこれらの水質は測定され
ていなかったが、測定されていたものを集計すると図 2.1.4.1 のようになる。集計は処理場ごとの工
程別排出構成比を算出し、それを平均したものである。このうち消化槽分離液を返流している処理場
は 1 箇所で、T-N、T-P の測定はしていないため、構成比に含まれていない。図 2.1.4.1 より下記のこ
とが考えられる。
・ SS、BOD は、濃縮工程から排出される割合が高い。
・ T-N、T-P は脱水分離液からのものが多く、消化槽における窒素、りんの可溶化による影響が
大きい。
・ 消化槽前段の余剰汚泥を濃縮している機械濃縮工程から T-P がかなり多く排出されている。
BOD
SS
脱水分離液
16%
脱水分離液
11%
消化分離液
1%
機械濃縮
27%
消化分離液
1%
重力濃縮
49%
重力濃縮
61%
機械濃縮
34%
検体数
5処理場
検体数
7処理場
T‐N
T‐P
重力濃縮
21%
重力濃縮
35%
脱水分離液
42%
脱水分離液
48%
機械濃縮
消化分離液
17%
0%
消化分離液
0%
検体数
5処理場
機械濃縮
37%
検体数
6処理場
図 2.1.4.1 汚泥処理工程から排出される負荷量の構成比(SS、BOD、T-N 、T-P)
図 2.1.4.2 のグラフは、消化槽を導入している処理場のアンケート調査に基づき、汚泥集約処理場
を除いた汚泥単独処理場について流入水と流入水に返流水が加わった水質の関係をプロットしたもの
である。図中、赤線はy=x(流入下水の水質が返流水の影響を受けていない場合の直線)を示してい
る。一般的には流入水に返流水が加わると濃度が若干上昇する傾向があり、プロットが赤線より上に
なると考えられる。しかし、SS、BODについてはばらつきが大きく、返流水が含まれている場合
のほうが濃度が低いケースも見られる。窒素、りんについてはプロットが赤線より上にある処理場が
多く、返流水が流入水質を押し上げているケースが多いことを示しており、返流水による影響が見ら
22
れる。
次にアンケート結果から SS、BOD、全窒素、全りんの平均水質及び返流水による水質の押上げ量
を表 2.1.4.1 に示した。表中、全窒素、全りんについては、対象処理場数が少なく、平均値等に与え
る極端な測定値の影響を避けるため、平均流入水質、流入水質最大値、(流入下水+返流水)平均水質
は、10%トリム平均値(全データの最大値及び最小値からそれぞれ 10%の範囲にある測定値を除外し
て平均したもの)を用いて算出した。
SS、BOD については、流入下水の水質を 20 ㎎/L 程度押上げ、押上げ率は 10%前後である。し
かしながら、図 2.1.4.1 からわかるように濃縮槽からの返流負荷が大きく、これは最初沈殿池におい
て除去が期待されることから、反応槽への負荷増大については限定的と考えられる。
窒素及びりんについては、図 2.1.4.1 から返流水における構成比は大きくなっており、表 2.1.4.1 か
ら押上げ量は全窒素が 4.1 ㎎/L、全りんが 1.3 ㎎/L となっている。全窒素の押上げ率は SS や BOD
と同程度で 12%となっている。全りんについては、流入下水に含まれる濃度が低いためか、押上げ率
としては 30%と大きくなっている。なお、消化工程から排出される全窒素と全りんは溶解性であり、
最初沈殿池における除去は期待できないことに留意する必要がある。
他処理場から汚泥を受け入れている集約処理場では、受入汚泥量と流入下水量の比率により負荷が
変わるため、表 2.1.4.1 の集計では対象としなかったが、返流水の負荷が大きくなり、窒素について
は、水処理施設流入水の C/N 比が大きく崩れ水処理に影響が大きくなる場合は、別途、返流水処理を
検討する必要がある。一方、りんについては、金属系凝集剤添加などによる対策が考えられる。
B O D
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
流入下水+返流水(㎎/L)
流入下水+返流水(㎎/L)
SS
0
100
200
300
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
0
400
100
300
400
500
流入下水(㎎/L)
流入下水(㎎/L)
全 窒 素
全 り ん
60
16
流入下水+ 返流水(㎎/L)
流入下水+返流水(㎎/L)
200
50
40
30
20
10
14
12
10
0
8
6
4
2
0
0
20
40
60
0
流入下水(㎎/L)
2
4
6
8
10
12
流入下水(㎎/L)
:y=x(流入下水の水質が返流水の影響を受けていない場合の直線)
図 2.1.4.2 消化槽導入処理場における処理場流入水と流入水に返流水が加わった場合の水質の変化
23
表 2.1.4.1 単独処理場における流入下水の水質及び返流水による水質の押上げ量
測定項目
SS
BOD
全窒素
全りん
平均流入下水量
(m3/日)
47,956
47,573
64,117
64,305
推定返流水量
(m3/日)
3,594
3,661
4,995
4,549
(倍)
13
13
13
14
平均流入水質
(㎎/L)
175
197
34.0
4.2
流入水質最大値
(㎎/L)
344
470
46.2
5.0
(流入下水+返流水)平均水質
(㎎/L)
199
216
38.1
5.5
水質押上げ量
(㎎/L)
24
19
4.1
1.3
水質押上げ率
(%)
13.7
9.6
12.1
31.0
対象処理場数
(箇所)
34
30
18
18
流入下水量/返流水量
注1) 全窒素、全りんの平均水質及び水質最大値は、10%トリム平均値である。
注2) 全窒素、全りんについては、小規模処理場の測定データが少ないため、平均流入水量は大き
くなっている。
2.1.4.2 消化槽導入処理場の代表事例
A 処理場の概要
月平均気温(℃)
最大
最小
水処理
現在の処理能力
水処理方式
余裕率
焼却施設等の有無
標準活性汚泥法
32.9
6.6
3
331,500m /日
嫌気無酸素好気法
32%
焼却炉
汚泥処理
汚泥の処理区分
汚泥処理方式
消化方式 消化槽容量
分離濃縮→一部消化
単独処理
→脱水→焼却
形状
撹拌方式
消化温度
卵形
機械撹拌
38℃
3
9,500m ×
一段
2槽
24
A 処理場の収支フロー図
SS,BOD、りん(T-P)、窒素(T-N)の収支フロー図
流入下水(原水)
Q
224,650
220
SS
濃
BOD
200
度
T-P
4.4
N
33
SS
49.42
重 BOD
44.93
量 T-P
0.988
T-N
7.413
流入下水(返流水含む)
Q
237,450 m3/日
220 ㎎/l
SS
濃
BOD
200 ㎎/l
度
T-P
4.9 ㎎/l
N
34 ㎎/l
SS
52.24 t/日
重 BOD
47.49 t/日
量 T-P
1.164 t/日
N
8.073 t/日
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
沈砂池・
ポンプ棟
放流水
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
最初沈殿池
判例
反応タンク
最初沈殿池汚泥
Q
3,642
SS
4,780
濃
BOD
度
T-P
N
17.41
SS
0.00
重 BOD
0.000
量 T-P
N
0.000
:汚水
:汚泥
:分離液
最終沈殿池
余剰汚泥
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
濃縮タンク
濃縮分離液
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
3,165
549
725
11.6
65.4
1.738
2.295
0.037
0.207
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
濃縮汚泥
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
消化汚泥
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
放流
2,231 m3/日
6,700 ㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
14.95 t/日
0.00 t/日
0.000 t/日
0.000 t/日
機械濃縮
機械濃縮分離液
Q
1,752
SS
31
濃
BOD
13.2
度
T-P
4.0
N
5.4
SS
0.054
0.023
重 BOD
量 T-P
0.007
N
0.009
193 m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
0.00 t/日
0.00 t/日
0.000 t/日
0.000 t/日
消化タンク
消化分離液(2段の場合)
Q
m3/日
SS
㎎/l
濃
BOD
㎎/l
度
T-P
㎎/l
N
㎎/l
0.00 t/日
SS
重 BOD
0.00 t/日
量 T-P
0.00 t/日
N
0.00 t/日
204,470
8
4.7
0.8
6.4
1.636
0.961
0.164
1.309
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
機械濃縮汚泥
Q
313 m3/日
㎎/l
SS
濃
BOD
㎎/l
度
T-P
㎎/l
N
㎎/l
SS
0.00 t/日
0.00 t/日
重 BOD
0.000 t/日
量 T-P
N
0.000 t/日
脱水機
脱水分離液
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
413 m3/日
14,200 ㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
5.86 t/日
0.00 t/日
0.00 t/日
0.00 t/日
2,932
132
385
46
144
0.39
1.13
0.13
0.42
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
脱水汚泥
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
焼却炉等
搬出
111 m3/日
200,000 ㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
22.20 t/日
0.00 t/日
0.00 t/日
0.00 t/日
〔解説〕
A 処理場は、処理能力 300,000m3/日以上の大規模処理場で、日平均流入水量に対して余裕率は
32%とほぼ計画どおりの流入水量である。A 処理場の放流先は瀬戸内海にそそぐ河川であるため、計
画放流水質として窒素、りんの規制値を有しており、消化槽から排出される窒素、りんについて留意
していると考えられる。脱水分離液の T-P は 46 ㎎/L、T-N は 144 ㎎/L とかなり高く、流入水の T-P、
T-N をそれぞれ 0.5 ㎎/L、1 ㎎/L 押し上げている。しかし、処理水質は T-P が 0.8 ㎎/L、T-N が 6.4
㎎/L と良好である。これは、水処理に嫌気無酸素好気法を採用していること及び発生する汚泥の一
部を消化槽に投入していることなど、大規模処理場のメリットを生かした維持管理をしていると考え
られる。
25
B 処理場の概要
月平均気温(℃)
水処理
最大
最小
現在の処理能力
水処理方式
余裕率
33.4
8.3
38,750
標準活性汚泥法
17%
焼却施設等の有無
無
汚泥処理
汚泥の処理区分
単独処理
汚泥処理方式
消化方式 消化槽容量
分離濃縮→消化→脱水
二段
形状
5,000m3×
円筒形
1槽
亀甲型
撹拌方式
消化温度
機械撹拌
37℃
B 処理場の収支フロー図
SS,BOD、りん(T-P)、窒素(T-N)の収支フロー図
流入下水(原水)
Q
32,184
247
SS
濃
171
BOD
度
3.7
T-P
39
N
7.95
SS
重 BOD
5.50
量 T-P
0.119
T-N
1.262
流入下水(返流水含む)
Q
35,420 m3/日
233 ㎎/l
SS
濃
BOD
㎎/l
度
T-P
4.0 ㎎/l
N
40 ㎎/l
SS
8.25 t/日
重 BOD
0.00 t/日
量 T-P
0.142 t/日
N
1.431 t/日
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
沈砂池・
ポンプ棟
最初沈殿池
反応タンク
最初沈殿池汚泥
Q
424
SS
8,034
濃
BOD
度
T-P
66
N
321
SS
3.41
重 BOD
0.00
量 T-P
0.028
N
0.136
判例
:汚水
:汚泥
:分離液
放流水
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
余剰汚泥
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
濃縮タンク
濃縮分離液
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
340
311
412
8.0
49.0
0.106
0.140
0.003
0.017
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
濃縮汚泥
Q
TS
濃
BOD
度
T-P
N
TS
重 BOD
量 T-P
N
消化汚泥
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
649 m3/日
3,350 ㎎/l
㎎/l
59 ㎎/l
253 ㎎/l
2.17 t/日
0.00 t/日
0.038 t/日
0.164 t/日
機械濃縮
機械濃縮分離液
Q
548
SS
204
濃
BOD
124.0
度
T-P
8.0
N
26.0
SS
0.112
重 BOD
0.068
量 T-P
0.004
N
0.014
131 m3/日
25,196 ㎎/l
㎎/l
193 ㎎/l
911 ㎎/l
3.30 t/日
0.00 t/日
0.025 t/日
0.119 t/日
消化タンク
消化分離液(2段の場合)
-2 m3/日
Q
SS
13,908 ㎎/l
濃
㎎/l
BOD
度
T-P
323 ㎎/l
N
1,363 ㎎/l
-0.03 t/日
SS
重 BOD
0.00 t/日
量 T-P
-0.00 t/日
N
-0.00 t/日
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
放流
最終沈殿池
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
32,908
4
6.0
1.3
16.0
0.125
0.197
0.042
0.527
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
機械濃縮汚泥
Q
54
TS
35,777
濃
BOD
度
T-P
537
N
2,176
1.93
TS
0.00
重 BOD
0.029
量 T-P
N
0.118
脱水機
187 m3/日
13,908 ㎎/l
㎎/l
323 ㎎/l
1,363 ㎎/l
2.60 t/日
0.00 t/日
0.06 t/日
0.25 t/日
脱水分離液
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
183 m3/日
101 ㎎/l
㎎/l
48 ㎎/l
484 ㎎/l
0.02 t/日
0.00 t/日
0.01 t/日
0.09 t/日
脱水汚泥
Q
TS
濃
BOD
度
T-P
N
TS
重 BOD
量 T-P
N
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
搬出
14 m3/日
165,000 ㎎/l
㎎/l
13,600 ㎎/l
53,000 ㎎/l
2.23 t/日
0.00 t/日
0.18 t/日
0.72 t/日
〔解説〕
B 処理場は、40,000m3/日弱の中規模処理場である。日平均流入水量に対して余裕率は 17%と余
裕率の小さい処理場である。B 処理場の放流先は海域で、窒素、りんの規制値は特に無いようである。
消化分離液は消化汚泥と水質が変わらないため、そのまま脱水している。脱水分離液の T-P は 48 ㎎/
L、T-N は 484 ㎎/L とかなり高いが、分離液量が比較的小さく、流入水の T-P、T-N をそれぞれ 0.3
㎎/L、1 ㎎/L 程度押し上げているだけである。処理水質は T-P が 1.3 ㎎/L、T-N が 16 ㎎/L となっ
ている。
26
C 処理場の概要
月平均気温(℃)
水処理
最大
最小
現在の処理能力
水処理方式
余裕率
30.2
1.9
19,700
標準活性汚泥法
49%
焼却施設等の有無
無
汚泥処理
汚泥の処理区分
汚泥処理方式
消化方式 消化槽容量
撹拌方式
消化温度
亀甲型
ガス撹拌
36.7
2,252m3×
分離濃縮→消化→脱
単独処理
形状
水→搬出
一段
1槽
C 処理場の収支フロー図
SS,BOD、りん(T-P)、窒素(T-N)の収支フロー図
流入下水(原水)
Q
10,019
131
SS
濃
BOD
145
度
T-P
4
N
31
SS
1.31
重 BOD
1.45
量 T-P
0.041
T-N
0.311
流入下水(返流水含む)
Q
10,879 m3/日
SS
㎎/l
濃
BOD
㎎/l
度
T-P
㎎/l
N
㎎/l
SS
0.00 t/日
重 BOD
0.00 t/日
量 T-P
0.000 t/日
N
0.000 t/日
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
沈砂池・
ポンプ棟
判例
最初沈殿池
反応タンク
最初沈殿池汚泥
Q
556
SS
2,060
濃
BOD
度
T-P
13
N
78
SS
1.15
重 BOD
0.00
0.007
量 T-P
N
0.043
:汚水
:汚泥
:分離液
放流水
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
最終沈殿池
余剰汚泥
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
濃縮タンク
濃縮分離液
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
527 m3/日
900 ㎎/l
㎎/l
3 ㎎/l
29 ㎎/l
0.474 t/日
0.000 t/日
0.002 t/日
0.015 t/日
濃縮汚泥
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
消化汚泥
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
放流
238 m3/日
4,764 ㎎/l
㎎/l
140 ㎎/l
467 ㎎/l
1.13 t/日
0.00 t/日
0.033 t/日
0.111 t/日
機械濃縮
機械濃縮分離液
Q
112
SS
890
濃
BOD
度
T-P
5
N
21
SS
0.100
重 BOD
0.000
量 T-P
0.001
N
0.002
29 m3/日
26,310 ㎎/l
㎎/l
160 ㎎/l
690 ㎎/l
0.76 t/日
0.00 t/日
0.005 t/日
0.020 t/日
消化タンク
消化分離液(2段の場合)
Q
m3/日
SS
㎎/l
濃
BOD
㎎/l
度
T-P
㎎/l
N
㎎/l
0.00 t/日
SS
重 BOD
0.00 t/日
量 T-P
0.00 t/日
N
0.00 t/日
10,019
4
2
1
8
0.036
0.016
0.005
0.079
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
機械濃縮汚泥
Q
25
SS
42,000
濃
BOD
度
T-P
1,140
N
3,720
SS
1.05
重 BOD
0.00
量 T-P
0.029
N
0.093
脱水機
50 m3/日
19,390 ㎎/l
㎎/l
540 ㎎/l
1,930 ㎎/l
0.97 t/日
0.00 t/日
0.03 t/日
0.10 t/日
脱水分離液
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
221 m3/日
1,060 ㎎/l
㎎/l
8 ㎎/l
240 ㎎/l
0.23 t/日
0.00 t/日
0.00 t/日
0.05 t/日
脱水汚泥
Q
SS
濃
BOD
度
T-P
N
SS
重 BOD
量 T-P
N
m3/日
㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
t/日
t/日
t/日
t/日
搬出
6 m3/日
164,000 ㎎/l
㎎/l
㎎/l
㎎/l
0.92 t/日
0.00 t/日
0.00 t/日
0.00 t/日
〔解説〕
C 処理場は、10,000m3/日の小規模処理場である。日平均流入水量に対して余裕率は 49%で、処
理に余裕のある処理場である。C 処理場の放流先は瀬戸内海である。消化槽からの分離液は脱水分離
液として水処理施設に返流されるが、
脱水分離液の T-P は 8 ㎎/L と低く、
T-N は 240 ㎎/L と高い。
返流水が処理場流入水をどの程度押し上げているかわからないが、処理水質は T-P が 1 ㎎/L、T-N
が 8 ㎎/L と良好である。水処理施設に余裕があり、処理水質も良好と考えられる。
27
出典:
「下水汚
(差)
泥エネルギー
利用調査報告
書 平成 20 年
28
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