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フェアトレードと環境活動

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フェアトレードと環境活動
フェアトレードと環境活動
~フェアトレードタウンを目指す国内都市の動きを踏まえて~
フェアトレード・サマサマ/オイコクレジット・ジャパン事務局長
一般社団法人フェアトレードタウン・ジャパン理事
小 吹 岳 志
フェアトレードとは?
• より公正な国際貿易の実現を目指す、対話・
透明性・経緯の精神に根ざした貿易パートナ
ーシップのことを言う。
• フェアトレードは、とりわけ南の疎外された生
産者や労働者の人々の権利を保障し、彼ら
により交易条件を提供することによって持続
的な発展に寄与するものである。
• (4つの国際的なフェアトレード連合体FINEによる定義)
FINEとは?
• FLO=国際フェアトレード・ラベル機構
•
現在Fairtrade International(FI)
• IFAT=国際フェアトレード連盟
•
現在World Fair Trade Organization(WFTO)
・NEWS!=ヨーロッパ・ワールドショップ・ネットワーク
・EFTA=ヨーロッパのFT輸入業者協会
国際フェアトレード・ラベル機構(FI)の
フェアトレードラベル基準
1. 生産者へのフェアトレード価格を保証
例) 最低価格: コーヒー豆1kgあたり:約300円
*市場価格:約162円
(2004年5月ニューヨーク市場価格:市場価格は相場により変動します)
2. 生産者の社会的な発展を保証
•
•
生産者組合が透明性のある、民主的な活動をしている(役員選挙や議決のプロセスなど)
フェアトレードで得た利益の一部が生産者組合の社会発展の事業(学校建設など)のため
に使われる
3.生産者の経済的な発展を保証
•
•
生産物が輸出品質基準を満たしている
フェアトレードによる利益の一部が経済発展の活動(設備投資など)に運用される
4. 生産者の労働環境と労働条件を保証
•
•
•
ILOに準拠した安全な労働環境
強制労働と児童労働の禁止(児童労働に関して、教育や成長に支障が無い限りは家庭内
労働を認める)
労働者が団結交渉権を持つ
•
5. 生産地の環境保全を保障
•
薬品の使用、水質保全、森林保全、土壌保全、廃棄物の扱いに関して国際規約を遵守
FLO国際フェアトレード基準概要(環境面)
• 経済的基準 社会的基準
• 環境的基準▶
▶農薬・薬品の使用に関する規定
▶土壌・水源の管理
▶環境に優しい農業
▶有機栽培の奨励
▶遺伝子組み換え(GMO)の禁止
▶貴重な生態系の保護
フェアトレード認証の環境基準~より詳しく
貴重な生態系の保護
• 農園・生産区域の内外にあるHCV(保護価値の高い地域)を
含む区域内での負の影響の発生を避ける義務
• 湖等周辺の緩衝帯及びHCV区域と生産区域の間の緩衝帯
の維持義務
• 不耕作区域でフェアトレード産品の野生採取を行う場合、採
取対象となる種の在来生息地での持続可能性と生存性の確
保義務
• 農薬の規制と予防措置の実施義務、水質保全義務
• 外来種の侵入防止に向けた構成員の意識啓発義務
世界のフェアトレードの歴史
•
•
•
•
1940年代
1950-60年代
1968年
1960-70年代
アメリカのNGOがフェアトレードに取り組み始める
途上国の独立に伴い、「南北問題」がクローズアップ
UNCTAD設立、’Not Aid But Trade’ を採択
ヨーロッパ各国でATOが次々と誕生
途上国にもマーケッティング団体・生産者団体が
・1980年代
売り上げの拡大、マーケッティング団体の増加
ヨーロッパで環境問題・消費者問題への意識の高まる
•
国際組織IFAT(WFTO),EFTA,の設立
• 1990年代 国際フェアトレードラベル機構(FLO)、NEWS!が設立
•
国連環境サミット、社会開発サミットの開催
•
日本におけるフェアトレード団体の設立
•
日本のフェアトレードの歴史
・1974年 シャプラニールがバングラデシュの村で女性のための
手工芸品生産協同組合の運営を行う
・1986年 プレスオルターナティブが日本で最初のフェアトレード
団体「第3世界ショップ」を開く。
• 1989年 オルター・トレード・ジャパン(ATJ)が設立され、生協
内でフェアトレードを広げていった。
• 1991年 フェアトレードカンパニーの母体となるNGOグローバ
ルビレッジ(ピープルツリー)
• 1992年 ネパリバザーロ
• 1995年 ぐらするーつ(複数のNGO・個人による出資)
• 1996年 フェアトレード・サマサマがアジア協会アジア友の会
から独立
• 2002年 スターバックスが日本でもフェアトレード認証のコーヒ
ーの販売を始める。
• 2008年 ミニストップでフェアトレード缶コーヒー発売
• 2010年イオングループがフェアトレードチョコ発売
世界フェアトレード認証製品市場の推移(推定)
データ提供: 特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン
世界のフェアトレード認証製品年間推定小売販売額 (2011年)
(単位:百万円)
2,153
日本
29,388
スイス
35,011
フランス
44,460
ドイツ
114,404
アメリカ
166,301
イギリス
0
20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000
データ提供: 特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン
国民一人当たりフェアトレードレベル製品年間購入額 (2011年)
単位:日本円
17
日本
366
アメリカ
ドイツ
542
フランス
556
982
オランダ
2119
フィンランド
2667
イギリス
3699
スイス
3900
アイルランド
0
1000
2000
データ提供: 特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン
3000
4000
5000
データ提供: 特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン
データ提供: 特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン
3種類のフェアトレード
1.個別認証型=フェアトレードラベル
=FI(FLO)
2.団体認証型=産地提携型=WFTO
3.国際協力NGO独自の基準
WFTOフェアトレードの10の指針
(2011年7月改定・翻訳ピープル・ツリー)
•
•
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•
1. 生産者に仕事の機会を提供する
2. 事業の透明性を保つ
3. 公正な取引を実践する
4. 生産者に公正な対価を支払う
5. 児童労働および強制労働を排除する
6. 差別をせず、男女平等と結社の自由を守る
7. 安全で健康的な労働条件を守る
8. 生産者のキャパシティ・ビルディングを支援する
9. フェアトレードを推進する
10. 環境に配慮する
ローカルアジェンダ21
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•
イギリスの場合
• 日本の場合
Biodiversity
• 望ましい環境像を実現す
るための市民の行動指針
Economy
→環境の概念が狭い
Health & Disability
Thames & Waterways
Transport & Air Quality
Waste Management
Fairtrade
→より広い環境概念
フェアトレードタウン運動
〜〜社会・経済をフェアで持続的なものに変える〜〜
• 「フェアトレードタウン運動」とは、「まちぐるみ」、つまり、
まちの行政、企業・商店、市民団体などが一体となってフ
ェアトレードの輪を広げることで、不利な立場、弱い立場
に置かれた途上国の生産者の人たちの自立や環境の
保護保全に貢献しようとする運動。
• この運動は2000年にイギリスで誕生して以来、今では世
界23カ国に広がり、フェアトレードタウンの数も1200以上
に達しています。その中には、ロンドンやパリ、ローマと
いった首都も含まれています。
フェアトレードタウン・ジャパンのHPより
フェアトレードタウンの基準
•
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•
基準1:推進組織の設立と支持層の拡大
基準2:運動の展開と市民の啓発
基準3:地域社会への浸透
基準4:地域活性化への貢献 (日本独自)
基準5:地域の店(商業施設)によるフェアトレード産
品の幅広い提供
• 基準6:自治体によるフェアトレードの支持と普及
•
フェアトレードタウン・ジャパンのHPより
• →現在1500を超えるフェアトレードタウン(シティ)が
3つのフェアトレード・タウンの比較(イギリス)
2007年 小吹調査より
ガースタング
ヨーク
リーズ
5千人
18万人
77万人
FTCITY指定
2000年4月
2004年3月
2004年3月
FTショップ数
22
77
レストラン・カフェ 38
FTショップ・スーパー
63
特徴
小さな保守的な街。何よ
りもブルースさんの影響
が大きい。FTショップの
チェーン店ではなく、普通
のお店にさりげなく置か
れている。町おこしの基
点に。
京都のような古都、観光
地。保守的な街だが社会
意識は高い。いわば清水
寺の参道にあたる一等地
に、多くのFTショップがあ
る。大学関係者、ボラン
ティアが一体に。
TIDAL(600の強力な地方ネット
ワーク)が市会議員にプッシュ。
市役所が積極的。小学校からの
教育が行き届いている。
人口
面積
共通
3市の共通項
2007年小吹調査より
• ボランティアが積極的。特にリタイア後の老人が元気。積極的に
政治に関わる。
• 他のキャンペーン(環境・ODA・ホワイトバンド・人身売買反対・
児童労働反対等)との連携がいい。
• 何より、「フェアトレード=マーク付き」と言う点でわかりやすい。
アピールしやすい。
→この時点では、FTタウンはFTラベル普及のため行われていた。
• 逆にスーパー等や他のショップとの競争が激化。フェアトレード
ショップの生き残り競争に。
日本(アジア)初のフェアトレード・シティ(タウン)
熊本市
• フェアトレードタウン・ジャパ
ンの渡辺龍也代表理事(左
)から認定証を受け取る明
石祥子推進委員会代表と
幸山熊本市長
•
2011年6月4日
• フェアトレード産品を扱う店舗数
の基準(人口1万人当たり1店
舗)をクリア
• 市議会は21010年12月、「フェ
アトレードの理念周知を求める」
決議を可決。
• 熊本市長もFT推進を約束
• 2014年3月国際フェアトレード
タウン会議が熊本で開催。
• 名古屋、札幌、逗子、宇都宮、
垂水町などでフェアトレードタウ
ンを目指す市民活動が展開さ
れている。
街(ご当地)コーヒー
~ドイツの事例
• 「Cafe Mayence 」プロジェクト
• 市民団体・フェアトレードショップ・マインツの持
続可能な発展を目指す「マインツ・ローカルア
ジェンダ21フォーラム」・マインツ市が共同開発
• メキシコ・チアパス地方のコーヒー農家の共同
体「ISMAM」をパートナーに
• 市内のフェアトレードショップやエコスーパー、
パン屋、教会施設などで販売
近江 まどか さんのブログ参照
街チョコ~日本の事例
• 宝塚フェアトレード・チョコレート(2009)
→FTSNの街チョコプロジェクトへ
• 国立、府中でも
第6回姉妹自治体交流表彰(総務大臣賞)
平成24年6月1日(金)
• 姉妹都市交換学生事業を含む、都市間交流事業とフェア
トレード啓発を結びつけることで、国際化施策を総合的に
展開。
• 姉妹都市交換学生事業では、高校生を姉妹都市に派遣し
多文化共生を体験させている。平成23年度はフェアトレー
ドを全体テーマとして、派遣準備研修、事前調査、現地調
査、事後調査を通じてフェアトレードの意義を学び、横須
賀市と各姉妹都市の市民意識等の比較をさせている。
•
松本義弘さん(横須賀市政策推進部副部長/国際交流課長)
横須賀市のフェアトレード
• 総務部秘書課 「よこすか新年賀詞交歓会」(平成22
年1月4日)でフェアトレードコーヒーを提供
• 経済部商業観光課 『よこすかカレーフェスティバル(
外部サイト)』(平成21年5月9日・10日)にフェアトレー
ドコーヒー・コーナー出店協力
• 土木みどり部交通計画課 「三浦半島地域広域幹線
道路整備促進期成同盟」(平成22年8月3日)の会議
でフェアトレードコーヒーを提供
オーガニック・コットン
• オーガニックTシャツ
• オーガニック・ジーンズ
• 地球上の耕地面積の約
2.5%に過ぎないコットン
畑には、世界で使われて
いる殺虫剤の約16%、農
薬の約11%がまかれて
いる。
• これはアメリカで、67百
万羽の鳥と、14百万匹
の魚を殺す量
• 1997年から2005年まで
の9年間に15万のインド
農民が自殺した。
パームオイルプランテーションの
問題点
• 森林破壊
• 生態系の破壊・生物多様性の減少
• 農園開発に伴う森林火災
• 森林消失に伴うCO2の大気中への放出
• 工場廃液の排出による河川の汚染
• 先住民の生活基盤・伝統文化の破壊
• 農薬による労働者の健康被害
• 低賃金労働・児童労働の横行
携帯電話とレアメタル=都市鉱山
• 携帯電話の回収キャンペーンby経済産業省
• 5万円分、5000円分、1000円分の3種類があり、合計計
15万8800人に当たる
• 期間:2009年11月21日~2010年2月28日
• 全国の約1800店舗で実施
• 携帯1トンから、金280グラム、銀2キロ、パラジウム100
グラムが取り出せる。
• ケータイゴリラ(NGOの活動)
• 携帯電話用レアメタルがコンゴ武装勢力の資金源に
• 古い電話を寄付してゴリラを守ろう!
倫理的市民・消費者
• 【国際シンポジウム】フェアトレード ~倫理的
市場の拡大と社会へ ...
• ビッグテント・アプローチ
地元の活性化、農業の復興、地産地消、障がい者の
仕事作り、環境の改善など、いろいろな活動が連携
• 消費者教育推進法(2012)
• 先生のための消費者市民教育ガイド
→消費者の権利と責任
• 中学・高校の教科書にFTが取り上げられる
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