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5GHz帯無線 LAN を用いた IP 電話の品質評価
電中研報告 情 報 通 信 02-018 5GHz帯無線 LAN を用いた IP 電話の品質評価 背 景 2002 年 9 月から「050」で始まる IP 電話専用の電話番号の割当てが始まった。この 番号を取得し、IP 電話サービスを開始するためには、総務省が定めた IP 電話の品質 を満足しなくてはならず、IP 電話の品質測定を目的とした実証実験が各所で実施され ている。一方、無線 LAN においては、ホットスポットサービスの実証実験は実施されて いるが、IP 電話サービスを含めた実証実験はほとんど実施されていない。 目 的 高速なデータ通信が可能な 5GHz 帯の IEEE802.11a の無線 LAN 上で IP 電話を 使用した際の通話 品質を実 測により解明し、国内における IP 電話 品質評 価指標(R 値)の面から IP 電話サービスとしての可能性を明らかにする。 主な成果 1.通話品質特性の実測と解明 IEEE802.11a 上に評価用音声トラヒックと背景負荷トラヒックを双方向に同時に加え、 R 値の計算に必要な評価用音声トラヒックのパケット損失、遅延を測定した(図 1)。 パケット損失の測定結果から、コリジョンの発生率の違いにより、下りよりも上りの方が、 パケット損失が多く発生することかわかった。上りのパケット損失の測定結果を図 2 に 示す。また、平均遅延時間の最大値は 2ms 程度であり、20ms を超えるような大きな遅 延揺らぎの発生頻度は少ない(図 3)ことがわかった。 2.IP 電話サービスとしての可能性評価 20ms までの遅延揺らぎを吸収することとし、図 2 のパケット損失のデータを用いて R 値を計算した(図 4)。パケット損失に対する復旧機能である PLC 無しでは、パケット損 失が増加した場合、無線 LAN 単独のネットワークでさえ IP 電話サービスの最低品質 (R 値>50)を満たせない場合がある。一方、PLC 有りでは、図中の R 値の最 悪値は 74.7 であり、十分に余裕のある値となった。よって、ITU-T 勧告 G.711Appendix I の PLC の機能を用いれば、IEEE802.11a 上で IP 電話サービスを提供できることが判明した。 今後の展開 今後は、ハンドオーバ等のモビリティに関する評価を実施する。 図 1 実験構成の概要 図 2 評価用音 声(上り)のパケット損失 ※PLC:Packet Loss Concealment ※ITU-T 勧告 G.114 の遅 延ガイドラインに従い、片 道 遅 延 時 間は 150ms とする ※遅 延 揺 らぎ吸 収 バッファ(20ms)あふれによるパケッ ト損 失 0.1%を含む。 図 3 遅延揺らぎの度数分布 研究報告 R02020 図 4 評価用音 声(上り)の R 値 キーワード:無線 LAN、IP 電話、R 値、遅延、パケット損失 関連研究報告書 担当者 高松 秀行 (情報研究所) 連 絡 先 (財)電力中央研究所 情報研究所 事務担当 Tel. 03-3480-2111(代) E-mail : [email protected] [非売 品・不 許 複 製] © 財団 法 人 電 力 中 央 研 究 所