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添削問題解答解説 古:助動詞 1 3 − 2 二

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添削問題解答解説 古:助動詞 1 3 − 2 二
本科 / Z-Study 解答解説編 / 難関国公立 国語 発展 見本
※各コース・講座で共通問題を出題することがあります。
ちか ごろ
ひたち
こほり
次の文章を読み、あとの問に答えよ。
二
げ らふ
しやう にん
くだん
( 点)
3早く、この猿、他の郡へ行きてけり。ある人のもとに*白栗毛なる馬を飼ひたる馬屋にいたりて、件の馬を盗みてけ
そば
馬つなぎて、なにとか言ふらむ、聖に向かひてさまざまにくどきごとをしける折ふし、馬主追ひて来たりけり。
に乗りて行きつれ」と答へければ、その道にかかりて追ひて行くに、馬主の来ざりけるさきに、この猿、聖のもとに来て、
来ければ、馬主も見合はで、人に問ひければ、「その山の岨、その野の中をこそ、十四、五ばかりなる童は、その毛の馬
の馬にうち乗りて、聖のもとへ行きけるを、馬主追ひて来けり。猿 4かねてその心を得て、人離れの山の岨、野中などを
ひじり
り。いづくにてか取りたりけむ、下臈の着る*手無しといふ布着物着て、鎌、腰に差して、編み笠をなむ着たりける。そ
5
し。かくてその夜、猿失せにけり。朝に求むれども、すべて行き方を知らず。
生の身 2くち惜しとは思はぬか」と言ひたりければ、猿うち聞きて、なにとか言ふらむ、口を働かせども、聞き知る人な
* 楮 をこなして料紙漉きけるとき、この猿に向かひて、「 1汝、人なりせば、これほどの大願に助成などはしてまし。畜
かうぞ
近 比、 常 陸 の 国 た か の 郡 に、 一 人 の * 上 人 あ り け り。 大 き な る 猿 を 飼 ひ け り。 件 の 上 人、 * 如 法 経 書 か aむ と て、 す
添削問題解答解説
問題
古:助動詞1
2
1
50
−
3
XLHA2A-Z1C2-01
(『古今著聞集』より)
*上人=智徳を備えた僧。
*如法経=法式どおり経典(ここでは法華経)を書写し、供養を行うこと。またその
討た xれし年の事になむ侍りける。
この事、 8さらに浮きたることにあらず。まさしくその猿見たりしとて語り申す人侍り。この事は、*畠山庄司次郎が
人倫の身にて、 7などか*結縁したてまつらざら cむ。速やかにこの馬をば*法華経に奉るべし」と言ひて帰りにけり。
けちえん
かでかこの馬 6返し給ひ候ふべき。畜生だにも如法経の助成の志候ひて、かかる不思議をつかうまつりて候ふに、まして
上人、 5この次第をありのままにはじめより語りて猿を見せければ、馬主、「かくほどの不思議にて候は bむには、い
10
15
経。
*楮=和紙の原料となるもの。
*白栗毛=少し黄ばんだ栗毛(赤茶色)の毛色。
*手無し=袖なしの上着。
注
XLHA2A-Z1C2-02
( 点)
(4点)
(6点)
*結縁=未来に成仏できるように、仏法に縁を結ぶこと。
*法華経に=法華経書写のために。その料(費用)とし
て。
*畠山庄司次郎=畠山重忠。『吾妻鏡』によれば、元久二(一二〇五)年六月に戦死。
問一
傍線a ~c の助動詞の文法的意味を記せ。
そらごと
問二
傍線x と同じ用法を含むものを次の中から一つ選び、記号を記せ。 とび
ア我がため面目あるやうに言はれぬる虚言は、人いたくあらがはず。
う
イ後徳大寺大臣の、寝殿に鳶ゐさせじとて縄を張られたりけるを、
おこた
ウ餓ゑを助け、嵐を防くよすがなくては、あられぬわざなれば、
エ久しく訪れぬ頃、いかばかり恨むらんと、我が怠り思ひ知られて、
問三
傍線1・8をわかりやすく口語訳せよ。 問四
傍線2・3・7の文中の語意として最適なものをそれぞれ次の中から選び、記号を記せ。
2
アつまらない
イつらい
ウ残念だ
エ悲しい
3
ア実は
イすでに
ウ朝早くに
エもともと
7
アどのように
イどうして
ウなにか
エよもや
問五
傍線4とはどういうことか、「その」の指示内容も含めて、具体的に説明せよ。
問六
傍線5で上人が語ったと思われる内容を、五十字以内で説明せよ。
問七
傍線6の主語を、文中の語を抜き出して示せ。
(4点)
(8点)
(8点)
(6点)
14
出典
こ こんちょもんじゅう
『古今著聞 集 』巻第二十
六九八
解説
たちばなの なり すえ
『古今著聞集』は、 橘 成季の編んだ二十巻三十編から成る説話集
で、建長六(一二五四)年に成立した。「著聞」は〈名高い話〉の意
※太字の意味が、文中で使われている意味です。
候ふ
①お側に伺候する(
「あり」
「をり」の謙譲語)
・お仕
重要表現
ℓ
え申し上げる(「仕ふ」の謙譲語)
②あります・おります(「あり」「をり」の丁寧語)
③……おります・ございます(丁寧語)
つかうまつる
①お仕え申し上げる(「仕ふ」の謙譲語)
②し申 し 上 げ る、 な ど(「 す 」「 な す 」
「つく
る」などの謙譲語。文脈にあわせて訳す)
ℓ
後の説話の間に関連を持たせるなどの工夫が見られる。貴族社会に関
③お……申し上げる(謙譲語)
で、平安時代から鎌倉時代初期にかけての、七百有余もの多数の説話
する尚古趣味的な内容のものが多いが、「興言利口編」のような当時
ℓ
たてまつる
①差し
上げる(「与ふ」の謙譲語)・参上させる
や
(
「(人を)遣る」の謙譲語)
②召 し 上 が る(
「食ふ」
「飲む」の尊敬語)
・お
③お乗りになる(
「乗る」の尊敬語)
召しになる(「着る」の尊敬語)
そうした多才ぶりが、この作品の豊富な題材につながっているようで
④お……申し上げる(謙譲語)
侍り
①お側に伺候する(「あり」「をり」の謙譲語)
②あります・おります(「あり」「をり」の丁寧語)
ℓ
物を題材とした説話を集めた部分で、問題文では如法経の書写に貢献
③……おります・ございます(丁寧語)
られているが、問題文の猿の格好はそういうものにヒントを得た描写
現在推量の「らむ」
、過去推量の「けむ」に対して、主に未来の出来
問一
推量の助動詞「む」の文法的意味の識別を問う設問。
「む」は、
事を仮定的に推量する場合に用いる。
かもしれない。
写はなかなかユーモラスである。当時にも猿回しの芸人がいたと考え
うな着物を羽織って、編み笠をかぶり、鎌を腰に差したという猿の描
したという猿の不思議な行動を内容としている。ちゃんちゃんこのよ
問題文は、巻第二十の「魚虫禽獣編」から採った。人間以外の生き
ある。
道家に仕えた近習であった。音楽を習い、また馬芸もできたらしい。
きん じゅ
橘成季は末流貴族の一人で、藤原定家の『明月記』によれば、九条
いる。
の笑い話や、人間以外の動植物を中心とする話なども多く収録されて
を集めている。それらを三十の編目に分け、年代順に配列し、かつ前
11
12
13
15
XLHA2A-Z1C2-03
ただし、
「む」は、一人称(もしくは、行う意志を持つ者)が主語
イ後徳大寺大臣が、寝殿に鳶をとまらせまいとして、縄をお張りに
なっていたのを、
→「後徳大寺大臣」という尊敬すべき人が主語である。
である場合は、単純な推量ではなく意志を表す。a も上人の「書かむ
(=書こう)
」という意志を表している。下に引用の格助詞「と」があ
ウ飢えをみたし、嵐を防ぐてだてがなくては、生きていくことがで
曲の用法。
〈……ような〉などと訳す。ここでの活用形は連体形。下
てい仮定・婉曲の意になる。bはこの例で、断定を避けて表現する婉
(私のことを)恨んでいることだろうかと、自分の怠慢が思い知
エ久しく(女のもとを)訪れないでいるとき、
(今ごろ)どれほど
→打消の助動詞「ず」の連体形を下に伴っている。
きないものなので、
に格助詞「に」があり、bとの間に「こと」などの体言が省略されて
られて、
となり、アは受身、イは尊敬、ウは可能、エは自発の用法となり、正
→「知る」という知覚を表す語に接続している。
照)になっているので、ごくふつうの推量の用法である。疑問詞の結
まし」は、現実にないことを〈もし……だっ
――
解はアとわかる。
こ の ほ か、 主 語 が 二 人 称( 相 手 ) に な る 場 合 や、「 こ そ …… め 」
「……てむ(や)
」
「……なむ(や)」の形では、「む」は〈……ません
か〉という勧誘の意(あるいは、少し控えめに〈……がよい〉という
た ら ――
だ ろ う に 〉 と 空 想 す る、 い わ ゆ る 反 実 仮 想 の 構 文 で あ る。
なむぢ
「汝」は漢文訓読調の文章で多く用いられる二人称代名詞で、自分と
問二
受身・尊敬・自発・可能の助動詞「る」の文法的意味の識別を
動詞「き」の未然形、
「ば」は仮定条件・確定条件を表す接続助詞で、
っている猿に対して用いている。「人なりせば」の「せ」は過去の助
同等か、それ以下の者に対して用いる語。ここでは、上人が自分の飼
問う設問。x は〈討たれた〉
、つまり戦死した事実を述べているわけ
られた法式どおりに経典を書写し、その供養を行うことは、時間もお
「これほどの大願」は、具体的には如法経書写の大願を指す。定め
人なりせば」で〈お前が人間であったなら〉という意味になる。
を表す。ここでは未然形に接続しているので仮定条件となり、「汝、
未然形に接続する時には仮定条件、已然形に接続する時には確定条件
しないものだ。
ア自分にとって面目がたつように言われた嘘は、人はたいして否定
口語訳すると、
ア~エの選択肢はすべて『徒然草』からの引用である。それぞれを
であるから、
〈受身〉の用法である。
適当の意)となることが多い。
問三
1「……せば
びにあたるため、活用形は連体形となっていることにも注意したい。
なお、c は、
「などか……む」という疑問・反語の構文(問四7参
いる。
また、下に体言や格助詞・係助詞などが接続している場合は、たい
り、ここでいったん文が終止しているので、活用形は終止形。
XLHA2A-Z1C2-04
了の助動詞「つ」の未然形(ここでの意味は強意)。
い・手助け〉
、
「し」はサ変動詞「す(=する)」の連用形、「て」は完
かかる「大願」である。
「助成などはしてまし」の「助成」は〈手伝
楮を砕いてつくる作業から始めているのであるから、たしかに手間の
金もかかる大事業であった。問題文でも、お経を写す用紙を、原料の
解はウ。
むことができない)ことを残念に思わないか〉ということである。正
間以外の動物)の身である(ので、如法経書写を手助けして功徳を積
ったら、これほどの大願にきっと手助けをするだろうに、畜生(=人
れる場合に使われるのと区別される。傍線2は、〈もしお前が人間だ
これほどの大願にきっと手助けなどをするだろうに〉などとなる。
元来
③(過去の助動詞「けり」を文末に伴って)なんとまあ・驚い
音便で「早う」とも表記される。〈①以前から・かねて
②もともと・
3「早く」は、形容詞「早し」の連用形から派生した副詞である。
8「さらに」は打消の語(ここでは打消の助動詞「ず」)と呼応し
た こ と に・ 実 は 〉 と い っ た 意 味 を 持 つ。 こ こ で は「 行 き て け り 」 の
「けり」があるので、③の用法。正解はア。
と」ではない〉と述べているのだから、〈根拠のない作り話〉などと
きたという不思議な話について、〈このことはまったく「浮きたるこ
という意を表す。ここでは、猿が如法経書写の助成として馬を盗んで
と」という成句で、慣用的に〈あてにならないこと・不確かなこと〉
はずんでうきうきする・不安でそわそわする〉意、また「浮きたるこ
「浮く」は①〈ものが浮かぶ〉という本来の意味のほかに、②〈心が
語表現で強調しているものと理解できる。正解はイ。
るのではなく、
〈ぜひとも御仏にご縁を結びたい〉という願望を、反
い〉と述べているので、馬主は「結縁」(「注」参照)を疑問視してい
主の発言の中にあり、すぐ後で〈この馬を法華経のために差し上げた
て反語を表すことが多い。傍線7は、猿の不思議な行動に感心した馬
「か」】が付いてできた疑問・反語の副詞である。下に打消の語を伴っ
→「 な に と 」 の 転、
〈 ど う し て・ な ぜ 〉 と 原 因 を 問 う ) に 、
【係助詞
問五
「かねて」は、
〈 あ ら か じ め・ 前 も っ て 〉 の 意 の 副 詞。
「その心
得 て 」 は「 心 得 て 」 と 同 じ 意 味 で あ る。〈 悟 る・ 理 解 す る・ 承 知 す
う
……ず」の否定の構文によって、この物語が実話だということを強調
を得て」の「得」は、ア行下二段活用動詞「得」の連用形で、
「心を
という意の形容詞。類語の「くやし」が、自分の過去の行為が後悔さ
さて、傍線4の「その心を得て」は、〈そのことを承知して〉とい
問四
2「くち惜し」は、期待したことの当てがはずれて残念に思う、 る〉などの訳語があてられる。
を
しているのである。
全体は〈決して根拠のない作り話ではない〉などとなる。「さらに
訳すとよいだろう。
段活用動詞「浮く」の連用形】+【完了の助動詞「たり」の連体形】。 7「などか」は、
【副詞「など」】(代名詞「なに」+格助詞「と」
「すべて……ず」の「すべて」も同じ用法)。「浮きたる」は、【カ行四
て〈決して・まったく……ない〉という否定を表す副詞である(ℓ4
以上より全体は、
〈もしお前が人間だったら、如法経書写のような
XLHA2A-Z1C2-05
うか。
った意味であるが、猿は、ここであらかじめ何を承知していたのだろ
「法華経に奉」ろうとして連れてきたのである。
る か は、 こ の 後 の 馬 主 の 話 の 内 容 か ら 推 測 が 可 能 で あ る。 猿 は 馬 を
も裏づけられる。猿は、わざと「人離れの山の岨、野中」などといっ
ていた、というのである。そのことは、その後の猿の取った行動から
を取り戻そうと馬主が追いかけて来ることを、猿はあらかじめ承知し
語とはなりえない。
動詞「給ひ(給ふ)」が用いられているから、馬主自身は傍線部の主
しょうか〉と訳される。これは、馬主の発言であり、かつ尊敬の補助
問七
傍線6を含む一節は〈どうしてこの馬をお返しなさってよいで
問題文のこの部分に登場するのは、馬主以外には上人と猿がいるが、
猿に尊敬語を使うのは変なので、当然上人が主語となる。猿が盗んで
もとにつながれていたのだが、上人から不思議な話を聞いた馬主は、
きた馬は、馬主が上人のもとを訪ねて来たとき、猿の飼い主の上人の
問六
「この次第」の「次第」とは〈事情・いきさつ〉といった意。
お返しくださらなくてもよい、という旨を上人に言ったのである。
という二点を最低限盛り込む必要がある。①と②がどのようにつなが
②その
夜から猿が行方不明になり、いま馬を連れて戻ってきたこ
と
①昨日猿に向かって、如法経書写の大願について教え聞かせたこ
と
その説明の内容としては、
って、上人が説明することになったわけである。
て、猿は近くの物陰にでも隠れたのかもしれない。おのずと猿に代わ
傍線5の最後に「猿を見せければ」とあるので、馬主が来たのを見
る。
こうなったのか、昨日以来の猿とのいきさつを馬主に説明するのであ
馬の持ち主が追いかけてやって来たという状況で、上人は、どうして
ここでは、自分の飼っていた猿が馬を連れて戻ってきたが、その後、
に馬を連れていくことができたのである。
馬主もそれに「見合はで(=出くわさず)」、猿は無事に上人のところ
た人目につきにくいルートを選んで逃げてゆくのである。その結果、
直 前 の 記 述 に、
「馬主追ひて来けり」とある。つまり、盗まれた馬
XLHA2A-Z1C2-06
上人が、このいきさつをありのままにはじめから語って猿を見せた
ので、馬主は、「これほどの不思議なことであります以上、どうして
( あ な た 様 は ) こ の 馬 を お 返 し な さ っ て よ い で し ょ う か。 畜 生 で さ え
全訳
近頃、常陸国多珂郡に一人の上人がいた。(その上人は)大きな猿
如法経書写の手助けをする志がございまして、このような不思議なこ
か
を飼っていた。その上人が如法経を書こうとして、楮を細かくほぐし
とをし申し上げておりますのに、まして人間の身として、どうして御
た
て料紙を漉いていたとき、この猿に向かって、「もしお前が人間だっ
仏にご縁を結び申し上げないことがありましょうか。今すぐにこの馬
を法華経のために差し上げましょう」と言って帰っていった。
この出来事は、決して根拠のない作り話ではない。本当にその猿を
たれた年の出来事でございました。
解答
問一
a 意志
b婉曲
c 推量
問二
ア
問三
1もしお前が人間だったら、如法経書写のようなこれほどの大
願にきっと手助けなどをするだろうに
問四
2ウ
3ア
7イ
8決して根拠のない作り話ではない
斜面や、野の中などを行ったので、馬主も(それに)出くわさず、人
問五
あらかじめ馬主が追いかけてくるだろうことを承知していた、
ということ。
問六
上人が猿に如法経書写の大願を聞かせたところ、その夜猿が行
字)
って追ってゆくと、なんと馬主が追いついてこない先に、この猿は、
問七
上人(聖)
方不明になり、いま馬を連れて戻ってきたこと。 (
主が追ってやって来たのだった。
か、聖に向かってさまざまにくどくど言っているちょうどその時、馬
聖のもとに(帰って)来て、馬をつないで、何と言っているのだろう
少年が、その毛色の馬に乗って行った」と答えたので、その道にかか
に尋ねると、
「その山の斜面や、その野の中を、十四、五歳くらいの
きた。猿はあらかじめそれを承知していて、人気のない山のけわしい
の(盗んだ)馬に乗って聖の所へ(帰って)行くのを、馬主が追って
し」という着物を着て、鎌を腰に差して、編み笠をかぶっていた。そ
( ま た ) ど こ で 手 に 入 れ た の だ ろ う か、 身 分 の 低 い 者 の 着 る「 手 無
栗毛の馬を飼っていた馬小屋に着いて、その馬を盗んだのであった。
実は、この猿は、他の郡へ行っていたのだった。ある人の所に、白
がわからない。
こうしてその夜、猿がいなくなった。翌朝、探したが、まったく行方
と言っているのだろうか、口を動かしたが、聞いてわかる人がいない。 見たとして語り申す人がございます。このことは、畠山庄司次郎が討
の)を残念だとは思わないか」と言ったところ、猿は聞き入って、何
(であるために、如法経書写を手助けして功徳を積むことができない
たら、これほどの大願にきっと手助けなどをするだろうに。畜生の身
XLHA2A-Z1C2-07
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