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Act Club
顎関節ストレッチ 歯科医師・歯科衛生士さんへ提案します 顎関節症の治療の助けになります Act Club 吉村真紀子 歯科技工士・東日本療術師協会会員 日本成人病予防協会 健康管理士一般指導員 〒747-0825 山口県防府市新田 915-5 ☎0835-38-0732 FAX0835-38-6678 E-mail:[email protected] URL:http://act-club.net/ 顎関節ストレッチ 歯科医師・歯科衛生士さんへ提案します! 顎関節症の治療の助けになります 目次 まえがき ..................................................................................................................................................... 2 顎関節のストレッチ ................................................................................................................................... 5 咬む筋肉・口を閉じる筋肉 .................................................................................................................... 5 咬むための筋肉....................................................................................................................................... 6 咬むための筋肉と表情筋のストレッチ .................................................................................................. 6 顎関節のストレッチ ............................................................................................................................... 7 口を開けるための筋肉 ............................................................................................................................ 8 口を開ける筋肉・首筋のストレッチ .................................................................................................... 10 舌の運動 ................................................................................................................................................... 11 顎・頸椎を体全体から考える .................................................................................................................. 12 まとめ ....................................................................................................................................................... 15 1 まえがき 歯科界に歯科技工士として従事しています。 学生のときは、ナソロジーの全盛期。顎の機能的な動きと歯の形態ばかり追求されて、理解できなかっ た。歯科技工士として、実際にどう臨床にいかしていけばいいのかわからなかったのをよく覚えていま す。 30 代 咬み合わせが頚椎や腰椎とかかわっているのではないかと考えるようになりました。整体師にな って骨格と顎の関係が理解できればならないだろうと漠然とですが考えて、整体師の免許を取ろうと思 ったのが 40 歳のときでした。 歯科技工をしながら、整体師として患者を診始めて 15 年たちました。 整体師がなにであるかもわからず始めて、そのうちに骨格を正しくすることではないかと考えるように なりました。骨格を正しくして患者が治っていくと、顎の位置は、骨盤と背骨とその上に乗っている頭 蓋骨の位置に関係しているのがみえてきました。肩・首をしっかり理解しなければ顎の位置はかえられ ないと考えるようになったのは、整体師になって 10 年が経過してからです。首・肩は筋肉が多く、鎖 骨・肩甲骨の動きも複雑です。 骨格を正しくするために、骨盤・股関節、鎖骨・肩甲骨、最後に首・顎が治療できるようになりました。 実際には歯科技工と整体の仕事の割合は変化していますが、歯科技工を本業として整体は副業という立 場を取っています。 40 代後半からストレッチの指導をしています。 整体師は外から骨格を治すアプローチをしていきますが、ストレッチは内部から自分自身で骨格を変え ていくことができます。 50 代前半で健康管理士一般指導員の免許を取りました。 健康とは何であるか考えるようになり、血管が元気なことや、自分の意思ではコントロールできないと 言われている自律神経も、生活習慣を改善し精神的ストレスも考え方を変えればコントロールできるこ とがわかってきました。 生活習慣病が増えてきたのは 1970 年代くらいから成人病として問題になってきました。生活が豊かに なって、労働が減り飽食の結果です。 顎関節症がクローズアップされてきたのは、健康番組が情報を提供するようなってからだと思います。 咬み合わせの困難な患者は以前からいましたが、大学病院など限られたところで診察を受けていました。 歯科矯正も技術が進み、見た目を良くするために矯正することも増えてきました。 そのなかで歯科は、咬み合わせが何なのか迷っているのだと思います。 歯科技工士として、1 本の歯がその位置でいいのか形はそれでいいのか、義歯を作るとき口腔内で咬み 合わせの面はその位置でいいのかアーチの大きさはどうなのか、確信があるわけではないのです。 ありがたいことに、人の身体は機械ではないので、“このあたりまでなら合わせられます”という“人 の動きの範囲以内”というころで仕事をしてきたのだと思います。その許容範囲もずいぶんと明らかに 2 なってきたように思います。 どんな仕事でも、専門知識と経験と最後は感性ではないでしょうか。 それぞれの骨が正しい位置にあることがすべてです。 骨格を正しくするためには、それぞれの筋肉が正しく機能を発揮できることです。筋肉の縮みすぎも伸 びすぎも姿勢が悪くなることで起こることです。労働が減ったことにより、生活の中で筋肉がリセット できなくなったことも原因でしょう。 骨格の正しい位置というのは、天につられるような力みのない感じです。そして、どちらにも自由に動 く中でバランスの取れた動きでなめらかに骨格が動いていくことが正しいのです。関節が固くなってい ると、ギクシャクした動きになります。 姿勢がいいことは、筋肉がよく伸縮し、関節がよく動くことです。関節の可動域は広いほうがよいので す。これは柔軟性があるということです。関節の周りには、リンパ節・血管など循環系や脳からの指令 の伝達経路の神経が通っています。関節の動きが悪いということは、血液循環が悪い、免疫系のリンパ の流れも悪くなっているということです。関節の硬さはそこを通る神経の圧迫により、しびれや痛みの 元になります。 骨格を動かすのは、筋肉が関節を正しく動かすことです。力強く動くためには、太い筋肉を使って動き ます。骨格が崩れていると、腱や筋肉を傷めてしまいます。とくに肘や膝の関節はひねる動きには弱い ので、肘はテニス肘や野球肘、膝は体のゆがみや体重の増加から負担がかかりやすく最後にはO脚など 骨まで変形してきます。 筋肉の疲労は、 “こり”や“はれ”となり毛細血管が圧迫されて血行が悪くなります。リンパ液も戻り にくくなり、むくみがでます。 日常生活のゆがみをリセットするために、関節可動域を広げるストレッチをします。 形だけまねてストレッチをするのでなく、リンパ節を開くように心がけてストレッチをすると効果があ ります。 正しい骨格であるとき、下顎は頭蓋骨にぶら下がっているものです。 下顎がぶら下がるためには、肩から上の筋肉のゆるみが必要です。左右の顎関節の可動域も少し広げま しょう。そうすれば歯の咬み合わせの面ばかりにとらわれなくなります。 長年の生活習慣で、咬み合わせの面は下顎がずれた位置でできているかもしれません。下顎の位置を正 しくして、その位置で歯の咬み合わせをよく作り変えたら、大変な治療をしなければなりません。ずれ て咬んでいても、食物を咬むときだけ歯が咬み合わさるのなら、そのままでもそんなに問題はないかも しれません。 ストレス社会の中で、姿勢が崩れて咬み締めによる歯列弓のゆがみや下顎の位置のずれにより、みなさ ん“プチうつ”状態です。 確かに、下顎の位置を矯正などで正しくすることはできますが、根本的に骨格のゆがみがある以上、顎 や歯にストレスはかかり続けてしまいます。歯は力がかかれば、治してもまた移動していきます。 双子の姉妹「きんさん・ぎんさん」が、一人は一本もなかったしもう一人は 1 本くらい残っていたよう ですが、歯のない口で楽しそうに笑っていました。その四姉妹たちも、好奇心旺盛に明るく生活してい ます。 3 最近わかってきた考古学によると、縄文時代は世界でもまれにみる戦争のない豊かな時代が長く続いて いたようです。縄文時代には集落により、特定の歯を抜歯する習慣があったようですし、シャーマンは 歯の形態を変えていたようです。世界にもそういう文化をもった地域はありました。 歯が抜けていても、みんな生きてきたのです。 こんなに立派な歯科医療ができるようになったのは、この 30~40 年ではないでしょうか? 顎口腔系も研究が進みました。 科学も医学も細部まで研究が進み、反対に全体像が見えなくなっていませんか? 今の人たちは事務作業のIT化により同じ姿勢でキーボードを打ち続けたり、深夜や明け方まで行うネ ット通信やオンラインゲームをしたりしています。長時間の同じ姿勢もしくは崩れた姿勢、そして生活 時間の乱れにより、肩こり・腰痛・不眠などが増えているようです。社会全体が効率化を推し進めるこ のストレス社会の中で、顎関節症などで歯科にかかる人は増え続けています。情報のあふれる社会の中 で、不安は大きくなっています。 もう一度大きな視点に立って、細部にとらわれず、体に自信を持ってもらいたいのです。 自分でできる顎口腔系のストレッチを提案します。 歯科界のみなさまも自分で楽になることを体感し、患者さんに伝えてもらえればうれしく思います。 2013 年 4 月 吉村真紀子 4 顎関節のストレッチ 顎関節症や、咬合を考慮しなければならない多数歯欠損など、臨床の中で下顎の位置が正しいかどうか 悩むことは多いと思います。 歯並びが悪いと顎関節症になるといわれて矯正をすすめられることがあります。咬合不良でも多数歯欠 損でもみんなが顎関節症になるわけではありません。しかし咬み合わせが悪くて下顎がずれているとか、 反対咬合で咬み合わせが深いとき肩こりや首こりの要素になることはありそうです。 私は整体師として、身体全体を見てきました。顎関節症や顎のゆがみを、顎口腔系だけから考えるのは 範囲が狭く、顎口腔系の安定は、肩から上のバランスが必要です。 肩甲舌骨筋や胸鎖乳突筋などが付着する鎖骨・肩甲骨・舌骨、頭蓋骨を支える頚椎の弯曲や筋肉群など もふくめて考えることです。 背骨は骨盤から連動して動きますので、骨盤が安定し姿勢がひどくゆがんでいないことも大切でしょう。 肩こりや首こり・猫背などは、ストレートな頚椎になり首が前方に出てしまいます。この状態は、下顎 を筋肉が後方に引っ張る状態です。顆頭が後方に押し付けられ、咬み締めたくて咬んでいるわけではな く、下顎全体が後ろに引っ張られて、顎口腔系は緊張し続けています。 同じ姿勢をしていても、顎口腔系に問題が出ないのは、筋力やストレスに対する許容範囲に個人差が大 きいからです。 顎口腔系が安定しているのはどの状態でしょうか? 私は、上下の歯の安静空隙(咬みあわせの隙間)が 2~3 ミリ均等にあることだと思います。 下顎が頭蓋骨に顎関節でぶら下がっている状態です。 この状態を作るのにナイトガードを処方しますが、咬み締めの緊張を解除しなければ、上下の歯の間に 物を置くことにより歯が下がってしまうこともあります。 咬む筋肉・口を閉じる筋肉 口を開けることはそれほど大きな力は必要ありませんが、咬むための筋肉(咬筋・側頭筋)は太く強い 筋肉なので、固くなると筋肉の伸びが悪くなることにより口が開かなくなって顎関節に負担がかかりま す。咬み締めで頬の筋肉が緊張している人などは顎関節症になりやすいといわれています。 これらの筋肉は左右にあります。左右のバランスが悪いと下顎はずれてきますし、下顎のずれにより咬 む面が均等でなくなると一部の歯が強く当たりと歯が割れてしまうということもおこります。 下顎のずれにより歯に斜めに力がかかります。斜めの力は歯を移動させる要素になります。また斜めの 力は、杭を横揺れさせるように歯の動揺をおこし、それにより歯肉に隙間ができ歯周ポケットができや すくなります。歯周病は口腔内のバランスが崩れることにより始まるのです。 地面に打ち込まれた杭は上からの力には強いのですが、抜こうとすれば横に揺すれば少しずつ動き出し て抜けやすくなるように、臼歯は垂直の力には強いが、斜めの力には弱いのです。 また、顎関節に近い内側翼突筋・外側翼突筋の緊張は、左右の顎関節の顆頭の位置のずれに関係してき ます。そのずれにより口を開けるとき「コキッ」と音のするクリック音や「ジャリジャリ」というクレピ タス音がします。音がしても問題のないケースがほとんどです。関節が動くときに顆頭が筋肉や腱がこ すれたり乗り越えたりする音と思われます。 5 咬むための筋肉 ストレッチの指導により早く筋緊張を取ることができればと考えました。 ストレッチのひとつひとつの動きは、どうして動かないか、どこが引っかかるかを検査することができ ます。そこを特定して、正しくストレッチをかけマッサージもすると大変有効です。 咬筋 側頭筋 奥歯でものを咬む筋肉です こめかみは下顎とつなが 固くなると口が開きにくく っています なります の緊張が頭痛やこめかみ 咬み合わせ の痛みとかかわりことも あります 外側翼突筋 内側翼突筋 下顎を前に突き出します 下顎をあげます 固くなると顆頭が動きにく と顎が開きにくくなります くなります 咬むための筋肉と表情筋のストレッチ 縦に口を大きく開きます 咬筋・側頭筋を伸ばします 真っすぐ開かないとき顎関 節の可動域に左右の差があ ります 唇を大きく広げます 歯が見えるようにします 「あ」を発音する感じです 口輪筋を伸ばします 上下の正中がそろうように 心がけます 唇にゆがみがありませんか 6 固くなる 顎関節のストレッチ 下顎を斜めに開けます 鏡を見ながら、上下の正中が 斜めにずれていることを確 認します 外側翼突筋・内側翼突筋の ストレッチです 上下の歯を少し開けて下顎を 左・右にスライドさせます 正中のずれを鏡で確認します 顎関節の左右の動き正しくし ていきます 下顎を前に出します 顎関節を意識してス 「アイーン」 トレッチをかけます 左右顆頭の前方へのスライドです が、口輪筋などもきれ 上下の正中を合わせて出します いに開けましょう それぞれのストレッチを 1 回 30 秒以上ていねいに繰り返します。 左右差やクレピタス音があっても、ゆっくりと繰り返します。 下顎は左右が関節の特殊な関節です。 左右が同じように動いていることはほとんどなく、動きが悪いほうの顎をゆっくりと可動域を広げるよ うにして、あまり左右差がないように、整えていきます。 唇ではなく上下の歯の中心が同じくらい左右にずれていることを確認しながら行います。 口輪筋など口唇の緊張で唇がゆがんでいませんか? 唇が丸くきれいに開くように鏡を見ながらすることです。 顆頭がすり減っていても、位置が正しくなると骨は回復していきます。 クリック音のある方は、顆頭が外に出ますから、出ないように押さえて少しずつ可動域を広げます。 関節円盤を顆頭がこえるとき音がするのです。関節が正しく動くように手で押さえて誘導してください。 アイーンの状態で顎を前に出しますがどちらか顎関節の動きが悪いはずです。 内側翼突筋・外側翼突筋の固さや引っ掛かりを感じながら、あわてずていねいに顆頭のスライドを意識 してストレッチします。 7 ストレッチをした後は、安静空隙が 3~5 ミリくらいあって、 “楽だなー”と思います。 歯は食物を咬むとき意外は当たらなければ、歯牙にかかる負担は少ないですし、歯は必要なだけの長さ が確保されるのではないでしょうか。 また、一部の奥歯を失うと咬み合せのない歯はのびすぎてしまいます。 上下の歯を咬み締めていると、顎位が下がり人によっては歯槽骨へ負荷で骨隆起ができます。 歯は食物をかみ砕くときだけ接触すればよいのです。それ以外のときかみ締めているのは、ストレスな どで緊張しているときです。 咬み締めは、顎関節症の大きな要素です。 “プレート療法と平行してストレッチの指導ができると、歯科治療も楽になります” 歯科医や歯科衛生士の皆さんが、まずご自分の顎のストレッチとマッサージを覚えて、患者への指導が できるようになることが大切です。 ストレッチをしていると閉咬筋の固いところがわかっていきます。長くストレッチをかけてゆるめたと き、伸び感や違和感のあるところです。 咬筋の付着部、頬骨の下部・下顎の角・側頭筋の付着部、こめかみ部分などは、マッサージが有効です。 口を開けるための筋肉 舌骨に関係する筋肉は顎の安定に重要です 顎舌骨筋 下顎の内側 から舌骨に 着きます 顎二腹筋 胸骨舌骨筋 頭蓋骨・舌骨・ 胸骨から舌骨 下顎に着きま に着きます す 肩甲舌骨筋 肩甲骨と舌骨 に着きます 胸鎖乳突筋 広頸筋 頭蓋骨から鎖 首の表層筋 骨に着きます です 口を開ける筋肉は首の前側や下顎の真ん中にある舌骨周辺にあります。 広頚筋を伸ばすストレッチで「イー」と下顎から首筋を張る写真があります。 始めは筋肉と皮膚が張り付いていて固そうですが、ストレッチを繰り返すことで皮膚が筋肉から離れて 薄くきれいに皮膚が張っています。 8 広頚筋 顎をあげて えらを張るように「イーー」 初期の状態 練習するとこんなに表層筋がでる 首のストレッチや肩甲骨・鎖骨を動かすストレッチが有効です。 筋の張り方を鏡で見ながら、頭や顎を左右に動かしていきます。耳の下から鎖骨の付け根につく胸鎖乳 突筋を意識して伸ばします。 顎関節と鎖骨の下には、リンパ節があります。このストレッチで首筋がきれいになれば、頭部のリンパ の流れがよくなることで顔のむくみが少なくなります。 ストレッチというのは、骨から筋肉を離す・筋肉から皮膚をはがす・筋肉を 1 本 1 本使えるようにする ことです。 そうすることで、身体が・顎が自由に動くようになることです。 胸鎖乳突筋 肩甲挙筋 胸鎖乳突筋と肩甲挙筋 猫背は頭を骨盤で支える ことができないので、顎口 腔系にも負担になります 後頭骨・頚椎・鎖骨・肩甲骨が 強く結ばれています 肩こりは首の縮みともいえます このように、舌骨・肩甲骨・鎖骨・頚椎を含めて顎口腔系と考えたほうがよさそうです。 9 口を開ける筋肉・首筋のストレッチ 口は「イ」の口で首筋に力を入れます。 顎をしっかりあげて首筋の筋肉を伸ばします。 縦に走る胸鎖乳突筋や胸骨舌骨筋 を伸ばします 咳きが出る時・飲み込みの悪い時 など 喉の筋肉の緊張があります 「い」と首筋を緊張させて顎をあげ左右に顎を動かします。 顎が左右に同じくらい動かないときは首筋のどちらかが固くなっていることとともに、舌骨も下顎の中 央にはありません。 左右の首筋のゆがみを治して顎の位置を整えます。下顎下リンパ節と鎖骨下リンパ節も開き首筋がきれ いになります。 首筋を伸ばした後 顎を引いて頭を前に倒します。 後頭骨と頸椎の間を開いて、首の位置を整ええます。 首の横も伸ばします。 10 舌の運動 舌骨の位置や顎の位置が整います。唾液がよく出て口腔内環境が良くなります。 二重顎を解消する運動としても有効です。 舌痛症も舌の血行がよくなることで改善が見込めます。 チンパンジーのように 上顎前歯と唇の隙間に舌を 入れ、左右に 10 回動かす 左の頬に舌をつけ飴玉 右の頬に舌をつけ飴玉 を転がすように 10 回 を転がすように 10 回 オランウータンのように 仕上げに 舌を下顎前歯と下唇の間に入 舌を歯と唇の間で回転させます。 右回し 10 回 れ左右に 10 回動かす 左回し 10 回 舌は筋肉の塊です。運動不足で動かなくなっていませんか。舌の運動により、舌骨に関係する多くの筋 肉が連動して動きます。異常がないのに出るセキや喉の痛みにも有効です。 左右の頬に舌をつけようとすると届かない方があったり、頭や喉の奥が痛くなったりします。 舌の運動をすると意外なところに、痛みや疲れを感じることでしょう。使っていない筋肉です。 舌痛症にも効果があることでしょう。 11 顎・頸椎を体全体から考える 下あごが前に出て 頚椎はストレート 後頭骨が詰まっています 下顎や舌骨が頚椎に引き寄せられ 首こり・肩こりがあります 喉が苦しそうです 頚椎の並びが生理的弯曲としては不自然で、下顎も首に引き寄せられてとても“下顎が自然にぶら下が っている”ようには見えません。矯正の企画レントゲン写真によくあるパターンです。 頚椎のストレートネックは首の部分だけでできあがっているものではありません。 背骨は骨盤と頭蓋骨をつないで連動して動くものです。 歯並びが悪い・正しくない下顎の位置などで、矯正をすることで身体全体のゆがみが直ることもあると 思いますが、矯正をするときに、首や肩の筋肉のこりを取り、姿勢を良くすることも大切です。 筋肉の緊張は凝り固まっているときは、ストレッチやマッサージなどでほぐしていきます。 顎が出て 骨盤が前傾して 猫背になっている 姿勢のゆるみ 顎を引き 胸を張って いい姿勢を作っている 姿勢の緊張 12 骨盤の位置により背骨が連動きます。 背骨の生理的弯曲も個人差がありますが、骨盤からバランスを取って姿勢を整えることです。 運動不足など、ひどく固まった背骨だと背中の痛み・頭痛・めまい・咬み締めなど起こしやすいでしょ う。 歯科医も歯科衛生士・歯科技工士ともに、患者の口腔内を改善するように努力しています。 しかし歯は削ってしまうと元にはもどせません。 人為的に移動させてしまっても、元にもどすことはできません。 できれば、その前のアプローチとして、姿勢の指導と顎のストレッチがあるべきです。 実際に身体の緊張から、咬み締めがおこり上の前歯が出ていたケースです。 骨盤が前傾し胸を張 骨盤が中心軸にもど 軸が整ってきた り出している りつつある 手の痺れ・肩こりも 背中の筋肉の張り 右肩がまだ前に出て あまり訴えなくなる 首から肩のこり いる 手の痺れ 歯を咬み締めないよう咬合挙上板と整体と個人のストレッチで、ここまで軸が整ったケースです。 顎口腔系の緊張は取れてきましたが、まだ臼歯は伸びていません。 しかし、主訴に顎関節症はありませんでしたので、もう少し様子を見ながら全体のバランスを診ていき ます。 しかし、手入れをおこたれば形状記憶のように悪い姿勢にもどされていきます。 13 下図は頭蓋骨と背骨を模型にしたものです。 仙骨の傾斜(骨盤の傾斜)で、腰椎・胸椎・頸椎を連動して動き、頭蓋骨の位置も決まってきます。 下顎や舌骨は、肩甲骨・鎖骨・頭蓋骨とそれらに付着する筋肉のバランスの中で動いています。 提案する顎口腔系のストレッチをすることで、最低限のバランスを整えることができます。 表情筋・顎関節・首筋の開咬筋・舌です。 しかし体全体としては、体幹を左右前後整えて骨盤の上に頭蓋骨が乗ります。間には生理的に正しい脊 柱があります。 仙骨の上に頭蓋 仙骨が前傾し腰 頭蓋骨が前傾し 仙骨が垂直に立ち 骨があります 椎の前弯・胸椎の て胸椎の後弯が 腰椎の前弯がなく 後弯が出ます あります なっています どの状態でも動けば問題はありません。これらの状態に脊椎が固まったときとき、それから先の器官 (手・脚・肩・首・頭・顎など)に痛みやしびれなどの不具合が出てきやすくなります。 骨盤が前傾してすべり症になったケース です 腰椎 4・5・仙骨で椎間板の前が開き背中の 棘突起が当たっています 14 背骨の生理的弯曲が許容範囲内であれば、椎間板は均等な圧力で背骨を支えます。 弯曲が許容範囲を超えてしまうと、骨格で重力を受け止めることができず、筋肉に負担がかかってくる のです。 許容範囲は、性別・筋力など個人差があります。 同じような姿勢の人でも、顎口腔系までの問題をかかえる人は多いわけではありません。 許容範囲が狭くなって、顎口腔系に異常を訴える人には、全体の姿勢を整えることからすすめるべきで す。 まとめ 全体の姿勢を整えるのは、基本ストレッチとして前屈・側屈・後屈・左右のひねりです。 顎口腔系のストレッチとして、表情筋(咬筋)のストレッチ・顎関節のストレッチ・首筋(開口筋)の ストレッチ・首の後ろ・横のストレッチ・舌の運動です。 補助のストレッチ運動として肩を動かすとより効果的です。 これらのストレッチは歯科だけでなく、リンパの流れがよくなることにより、小顔・シワ取りなどの美 容効果・喉のつまりの解消・首筋・後頭骨が伸びることで眼・鼻・耳などの器官が活性化します。 <引用、参考文献> 今井俊広・今井真弓、2009、 『臨床咬合補綴治療 その鑑別診断と治療計画』 、クインテッセンス出版社。 木野孔司、2011、 『東京医科歯科大学学関節治療部部長が書いた Andrew Biel、2012、 『改訂版 顎関節症とかみ合わせの悩みが解決する本』 、講談社。 ボディ・ナビゲーション』 、阪本桂造 監訳、医道の日本社。 15