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第18回大使会議 ― フランス共和国大統領の演説(PDF)

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第18回大使会議 ― フランス共和国大統領の演説(PDF)
(仮訳)
第 18 回大使会議
フランス共和国大統領の演説
エリゼ宮 ― 2010 年 8 月 25 日水曜日
首相、
元老院議長、
国民議会議長、
外務・ヨーロッパ問題大臣、
閣僚の皆様、
国会議員の皆様、
大使の皆様、
歴史には運命が最良と最悪の間で揺れる瞬間があります。それまでなされた努力がすべて水泡に帰
すかもしれない、反対に持続的な進歩につながるかもしれないという瞬間です。私たちは今日、そう
した瞬間の一つにあります。
危機の弧における国際社会の行動にも、そのことは言えます。これはパキスタンの国境からイラン、
近東を経て、サヘル(サハラ砂漠の南縁部)の境に至る地域です。
ヨーロッパにも、そのことは言えます。リスボン条約および金融危機を前に下された決定により開
かれた展望は、ヨーロッパ連合(EU)をグローバルな主役にすべく発展し続けています。
世界経済にも、そのことは言えます。主要 20 カ国・地域(G20)が必要な改革を続行する意思があ
ると説得しなければならない一方で、世界経済は安定的かつ持続的な成長への道をいまだに見出して
いません。
決定が下される大きなテーブルに、従来の大国に加えて、新しい主役が参加しました。当然のこと
として、彼らは自国の権利を認めるように要求しています。フランスはこれらの国々を支持すると同
時に、そうした権利に伴って負うべき義務や責任が生じることも受け入れる必要があると彼らに言っ
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ています。これら新しい主役は、その目覚しい成功の結果として、世界の問題の解決に貢献すべく厳
正な国益保護の枠を超えなければならないことも認める必要があります。
この運命が揺れる歴史の瞬間において、良い方に傾けさせるために、私たちは意志と団結が必要で
す。私たちが分裂し、躊躇(ちゅうちょ)すれば、また私たちが達成すべき目標やそのための手段に
ついて、従来の大国と新興大国が合意に達しなければ、さらに私たちがテロリズムや核拡散、地球温
暖化などの問題に協力して集団で取り組むことができなければ、何一つできずに、私たちは義務を
怠ったことになります。
したがってこの瞬間において、フランスはそのビジョンと決意を明示しなければなりません。わが
国は力を結集する努力とともに、G20 が準備するであろう目標の下にそれぞれを動員しなければなり
ません。
大使の皆様、
テロリズム対策は今でもフランスにとって絶対的かつ極めて重要な課題です。
すべての分析によって、2001 年来、欧米諸国に対して破壊的な攻撃をするアル・カーイダの能力が
大幅に低下していることが確認されています。その代わりに、アル・カーイダおよびアル・カーイダ
系を名乗るグループが、パキスタンからマリに至る一部の国々で影響力を増大させました。
各国がそれぞれ特有の情勢に直面しています。今日、この危機の弧の至る所で行動しているグルー
プの間に、実質的な連携はありません。しかし情勢が悪化すれば、クエタやアフガニスタン南部、イ
エメン、ソマリア、サヘルなどのテロリスト基地を結ぶ連続的なつながりが出現する危険性が極めて
高くなります。そこにテロリズムの危機の弧がはらむ真の懸念があります。
アフガニスタンについて、現在の論調 ― 論調があるのは確かです ― 解説者の間では極端な悲観主
義が現在の論調となっています。あたかも既存事実のようにタリバーンの復活が日々報じられ、私た
ちがアフガニスタン国民を今にも見捨てるかのようです。
タリバーンは多大な損害にもかかわらず、南部や東部で依然として勢力を保っているのが実情です。
その代わり、ほかの地方では深刻な暴力は見られません。連合軍およびアフガニスタン政府は戦略を
適合させることができましたし、引き続きそうしています。私たちの行動を断固として継続し、各当
事者が責任を十分に果たすことで、私たちは成功するでしょう。
私たちと連合国の責任は、タリバーンの脅威にさらされる地域においてアフガニスタン国民を守る
こと、自力で戦えるアフガニスタン治安部隊を養成すること、実際のニーズに合った文民支援を国民
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に届けることです。これらはフランスがその責任下にあるカピサ州とスロビ郡で進めていることです。
人的犠牲は重く、今週も残念ながら犠牲者が出ました。しかしながら私たちが現地にいなければ、人
的犠牲がどれほどになったか、皆様にそれぞれ自問していただきたいと思います。タリバンが過去に
行ったこと、彼らによって今でも何千人、いや何万人ものアフガニスタン人が犠牲になっていること
を思い出そうではありませんか。
アフガニスタン政府は、ベルナール・クシュネール大臣が改めて指摘したように、国のガバナンス
を改善し、汚職や麻薬を撲滅しなければならないとともに、暴力を放棄し、アル・カーイダとの関係
を絶ち、アフガニスタンの制度を尊重する人たちに対して、おそらく和解を提示すべきでしょう。さ
らにアフガニスタン政府は、十分に安全で同政府に移譲可能と判断される州や郡の治安維持を引き受
ける準備を真剣に進める必要があります。
いずれにせよ、私たちの平和のための行動は、人為的な日程や私がメディアの機嫌と呼ぶものに縛
られるべきではありません。メディアの機嫌、それが 20 世紀を通じて与えたものは知られています
し、歴史に強い関心をお持ちの方は皆よくご存知だと思います。私たちには政治的目標があり、私は
現実的だと思いますが、これらの目標、この政治方針は、同盟国とアフガニスタン当局の間での漸進
的かつ秩序だった移行です。したがってフランスは同盟国とともに、必要な限り、アフガニスタン国
民が望む限り、アフガニスタンで活動を続けます。
パキスタンの協力がなければ、いかなる勝利もありえません。この国はかつてない洪水被害に果敢
に立ち向かっています。パキスタンは途方もない規模の経済的・社会的課題に直面しています。さら
に国内のテロリズムを克服しなければなりません。これは私が 8 月 2 日にパキスタンのザルダリ大統
領に申し上げたことです。あらゆる形態のテロリズムとの闘いにおいて、フランスはパキスタンの側
に立つでしょう。私はザルダニ大統領に対し、パキスタン軍のテロリズムに対する取り組みに曖昧
(あいまい)さがなければないほど、国際社会はパキスタン政府への支援が有益であるとますます確
信するだろうと伝えました。
イエメンでは、アラビア半島全体の安定が問題となっています。1 年前、武装勢力が拡大し、隣国
のサウジアラビアに侵入するおそれがあったので、フランスを含む数カ国が責任を果たしました。激
しい衝突の末、脆弱な停戦状態に入りました。しかし問題は未解決のままです。イエメン情勢を極め
て注意深く見守り続けようではありませんか。
アデン湾対岸のソマリアでは、課題は極めて重要です。7 月にウガンダの首都カンパラで発生した
テロ事件が、シェバブのイスラム戦闘員が今や国境を大きく越えて戦闘を拡大する能力を備えている
ことを明らかにしました。彼らがモガディシオ(ソマリアの首都)で勝利し、ソマリアがアル・カー
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イダの出発拠点と化せば、それこそ大惨事になると、私は申し上げています。それによって、スーダ
ンの分裂ですでに脆弱化している地域全体の不安定化は決定的となります。
フランスはジブチ、チャド、中央アフリカに軍隊を駐留させ、地域の安定に貢献しています。フラ
ンスはアフリカ連合(AU)の要請を受けて、ソマリアでの努力を強化します。ジブチで兵士 500 人
を訓練したのに続いて、現在はウガンダでソマリアの兵士 2,000 人を訓練しています。一方、私たち
がすでに兵士 5,600 人を訓練したアフリカの部隊 AMISOM(AU ソマリア・ミッション)が増強され
ます。
ソマリア、イエメン、パキスタン、アフガニスタンは、フランス人一人ひとりの安全にかかわる問
題だと、各自が理解する必要があります。私たちとは関係のない遠く離れた土地の出来事ではないの
です。
無論、単に軍事的な解決策はありません。最大の支援を行う EU は、その努力を維持しなければな
りませんが、私たちも世界のこれらの地域で活動を続けるでしょう。
サヘルでは、アル・カーイダのマグレブ分派の蛮行が、交渉の全面拒否とミシェル・ジェルマノー
氏の殺害によって改めて明らかになりました。これらのテロリストたちは、地域諸国が影響力の行使
に苦労する広大な砂漠、ヨーロッパのような広大な地域で、その勢力を拡大しようとしています。地
域諸国だけで何をしてほしいと言うのでしょうか。
今年 7 月、フランスの支援を受けたモーリタニア軍の攻撃によって、テロリストたちに初めて厳し
い打撃が与えられました。この日が大きな転機であることを皆様に申し上げます。代償を払ったり、
人質に取られた不幸な無実の人たちと引き換えに服役囚の釈放に応じることだけが、唯一の戦略には
なりえません。それは戦略ではありません。フランスはサヘル全域の安定を脅かすグループを排除す
るため、機動部隊の訓練、必要な装備や情報の提供をわが国に要請する政府を全面的に支援します。
フランスはアルジェリア、モロッコ、チュニジア、リビアの側にも立っています。これらの国々が
取り組むテロとの闘いは、私たちの闘いでもあります。というのも、これらの国々の安全はわが国の
安全と切り離すことができないからです。ジブラルタル海峡の幅は 12 キロメートルであることを改
めて申し上げます。
*
この危機の弧の中心には、もちろんイランがあります。イラン政権は抑圧による統制を敷くととも
に、大量に死刑を執行しています。なかでも最も時代錯誤な石打ち刑に、モハンマディ夫人が処せら
れるおそれがあります。フランスはモハンマディ夫人に対して責任があると考えています。イランは
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地域で暴力と過激主義を助長し、今日では核拡散という重大な分野で、国際的安全保障に対する主要
な脅威となっています。
私の考えをよく理解してほしいのです。フランスは国際規範を厳守した原子力発電の発展には好意
的です。私はこの考えを大統領選挙で表明し ―― 当時は論争を生みましたが ―― 今でも民生用原子
力は未来のエネルギーであり、いかなる国もその技術や恩恵を独占する権利を主張できないと確信し
ています。イランも民生用原子力の権利を有するし、核燃料がすべてロシアにより将来にわたって供
給されるブシェール原子力発電所の稼働をフランスが歓迎する理由もそこにあります。そこに問題は
ありません、問題は別の所にあるのです。
私たちがピッツバーグでバラク・オバマ大統領、ゴードン・ブラウン首相と、イランが核拡散活動
のために建設していた秘密核施設の存在を暴露して 1 年近くになります。その際に私は、イランが政
策を変更しなければ、制裁を加える必要があるという考えを表明しました。私たちはその段階に来て
います。国連安全保障理事会、アメリカ、EU をはじめ、確固たる措置を講じました。ベルナール・
クシュネール大臣が担当されるヨーロッパに関しては、過去に例のない措置です。まさにそうすべき
ときでした。というのも、イランの核競争を放置する政策が深刻な結果を招くことを、各関係国・機
関が認識しているからです。核兵器が地域全体に拡散するか、軍事介入か。いずれにしろ、絶対的に
重大な国際政治危機を招きます。
したがって、私たちは制裁を断固として実施します。すべての国々も同じように実施するよう訴え
ます。制裁は効果がない、戦争につながると言う声も時にあります。それは間違いです。制裁は弱す
ぎたり、明確な目的がないと効果が上がりません。私たちの目的は簡潔です。イランの選択は高額で
増大する経費がかかること、交渉開始という別の選択肢があること、しかしその交渉は真剣かつ具体
的で、問題の核心に向かうものであること、以上をイランに理解させることです。イランはこれに応
じる用意があるでしょうか?
それがすべての問題です。テヘランの民生用原子炉へのウラン供給に
関しては、9 月にウィーンで明らかになるでしょう。
私は良い合意が数カ月内に得られること、イランが法を遵守すること、国際社会の懸念が払拭され
ることを望みます。イラン周辺諸国の懸念も考慮しなければならず、合意全体について周辺諸国の意
見が聞かれなければなりません。
しかしながら信頼できる合意の成立ができなければ、イランの孤立はいやおうなく深まるでしょう
し、脅威が明らかになれば、脅威を感じる国々を保護し、防衛するために、私たちも態勢を整える必
要があります。
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危機の弧の全域に見られる暴力の唯一の原因は、イスラエル・パレスチナ紛争の解決の不在だと主
張する人たちがいます。これは間違いです。バグダッドやカンダハルで人命を奪っている者は、イラ
ンやアフガニスタンにいる彼らの敵を排除したいのです。とはいえ、イスラエルとパレスチナの間の
和平が、近東全体の政治情勢を変えることを理解できない人がいるでしょうか?
ここでもまた運命が揺れていますが、これは意思と決意の問題だけです。和平合意 ―― すべての
人がその要素を知っています ―― が 1 年以内に締結される可能性があります。9 月 2 日の直接交渉再
開が、大きな期待を生んでいます。この期待は裏切られてはなりません。1967 年の国境に基づいて樹
立される存続可能で民主的なパレスチナ国家は、パレスチナ人にとって権利であると同時に、イスラ
エルにとっても安全ならびにアラブ和平イニシアチブに基づく地域への完全統合を最良な形で保障す
るものです。これは両民族の利益において、過激主義を抑制し、未来への信頼を回復するための唯一
の道でもあります。
フランスは第 2 回パレスチナ支援パリ会議を自国で開催することを提案します。将来のパレスチナ
国家の経済と構造を築き上げるための資金を調達するためです。
フランスは共同議長のエジプトとともに、地中海のための連合の第 2 回首脳会議を 11 月下旬にバル
セロナで開催することを望んでいます。地中海沿岸諸国民のために未来を協力して築くことに参加す
るすべての国の能力を示す、複数の大規模な経済プロジェクトを採択する機会となるでしょう。長く
待ちすぎたとしか言えません。いかなる条件で和平が締結できるのかは万人が知っています。
シリアとイスラエルの間の和平も同じように可能です。フランスは地域全体にとって有益な定期対
話をシリアと再開し、トルコの側に立って合意の模索に取り組んでいます。私はベルナール・クシュ
ネール大臣とともに、全幅の信頼を寄せるジャン=クロード・クスラン大使に任務を託しました。
地域に希望が再び生まれているとき、レバノンに暴力が再びまん延するのは容認できません。フラ
ンスはサウジアラビアのアブドッラー国王とシリアのバッシャール・アル=アサド大統領によるベイ
ルート共同訪問を歓迎しました。わが国はシリアの民主制度、スレイマン大統領、ハリーリ首相を全
面支援します。フランスはレバノン全国民の友人です。レバノンにおける国際社会の行動は、地域の
安定をおいて他に理由はありません。まさにこれが国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)が担う任務の
意義であり、すべての周辺国がレバノンの平和と主権を尊重すべきです。
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大使の皆様、
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ヨーロッパでも、運命は最良と最悪の間で揺れています。昨冬は最悪でした。ギリシャ債務危機が
突如として、解説者にとって、さらに市場にとってさえも、ユーロ危機となり、通貨の活力が疑われ
ました。
今や嵐が過ぎ去ったので、単純な真実をいくつか皆様に改めて述べさせていただきます。
何よりもまず、ユーロ圏の財政全体は、財政赤字を見ても債務残高を見ても、アメリカや日本の財
政よりもはるかに健全です。そもそも解説者たちの論調は驚くべきものでした。私は数カ月前にカナ
ダで G20 首脳会議に出席しましたが、だれもがヨーロッパ経済の不十分さを指摘し、アメリカやアジ
アの経済が力強さを取り戻したと賞賛したのです。今日、記事はまったく反対のことを書いています。
たびたび言われるのとは逆に、ヨーロッパはギリシャを救済する必要があったときには 1,100 億
ユーロを集め、効果的に対応することができました。ユーロ圏全体を救済する必要があったときには、
7,500 億ユーロを集めることができました。
より迅速に行動できればよかったのは確かです。しかしながらヨーロッパには、27 の主権国家が関
与する意思決定プロセスがあることを忘れてはなりません。歴史にとどめられることは、ヨーロッパ
はいつものように連帯と団結を選ぶことで困難を乗り越えたということです。
歴史にとどめられることは、これらの困難が EU の新たな進歩の機会になったということです。
歴史にとどめられることは、最初の取り組みが異なっていたとはいえ、フランスとドイツの協調が
今回もまたヨーロッパの進歩を可能にしたということです。極めて重要な場面で、仏独協調は決定的
でした。
私がこの試練からとどめていることは、私たちは EU 制度の有効性を強化すべきだということです。
次の段階は経済統治でしょう。何よりもまず 27 カ国による統治、そして必要となるたびにユーロ圏
16 カ国間による統治です。とはいえ、大使の皆様、何カ月か前には「ヨーロッパ経済政府」という言
葉はタブーでした。フランスを除いて禁句でした。今日ではヨーロッパ全体が、真のヨーロッパ経済
政府が必要であるだけでなく不可欠でさえあることを認めています。今やその設置を具体化しようと
しています。フランスとドイツは野心的な提案しました。これはドイツのショイブレ大臣とフランス
のラガルド大臣によって閣議で発表されました。10 月にはヨーロッパ理事会が、ヘルマン・フォン・
ロンパウ議長の提案に基づいて決定を下すでしょう。
しかしながらヨーロッパは、いかに経済問題が重要であろうと、それだけにとどまることはできま
せん。あらゆる安全保障と防衛の問題があります。手続きの壁と大量の書類でヨーロッパを守ること
はしません。
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極めて重要な利益への脅威に対して、私たちは核抑止力を備えています。ところが、貿易に不可欠
な海洋の安全保障、宇宙の安全保障、そして今やサイバー空間の安全保障に参加する必要があるにも
かかわらず、ヨーロッパは遅れを取っています。
フランスは具体的な計画に取り組む用意があります。私はフランスとの 2 国間協力に関する同盟国
イギリスの声明を傾聴しました。私たちはタブーなき議論を進め、11 月の仏英首脳会議で重要な決定
を下す予定です。
私は新しい戦略概念を採択するため、11 月下旬にリスボンで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議
に出席します。構造を改革し、スリム化するとともに、新しい国際情勢に適合させる必要があります。
新しい脅威に対して、NATO と EU の関係を刷新し、より緊密にすることが求められます。
ロシアとは、私たちの共通の利益によって、欧州・大西洋圏全体の安全保障のため、ロシア政府が
望めば、かつてないパートナーシップの発展が可能です。私は冷戦が終わったと改めて指摘するにと
どめるつもりはありません。フランスは来月には、ロシアと EU および NATO との関係、もしくは
ヨーロッパ安全保障協力機構(OSCE)の枠内での関係に関する具体的な提案をします。OSCE 首脳会
議は 12 月上旬にカザフスタンの首都アスタナで開催されます。
大使の皆様、
EU は人口 5 億人、世界 GDP 総額の 30%近くを占める一大経済圏、対外直接投資の世界総額の 35%
以上、政府開発援助全体の 60%近くを占めるなど、グローバルな経済圏として認められるために必要
なカードを手中に収めています。
それでも EU は一貫した戦略の枠内で、具体的な成果と相互利益をめざしながら、切り札を慎重に
切る意思を持つ必要があります。ヨーロッパは世界最大の市場、最大の輸入地域です。私たちはこの
面において、なんらコンプレックスを持つべきことはありません。これまで閉鎖性の高かった市場を
開放させるべく、高い要求度と断固とした姿勢で、迷うことなく切り札を利用しようではありません
か。私は通商関係におけるヨーロッパのある種の甘さを強く指摘します。公正な競争ルールの尊重を
認めさせるため、迷うことなく闘おうではありませんか。これは保護主義ではありません。税制ダン
ピング、ソーシャル・ダンピング、そしてジャン=ルイ・ボルロー大臣の担当分野である、環境ダン
ピングに対して、迷うことなく立ち向かおうではありませんか。ヨーロッパの生産者に課せられて、
ヨーロッパ域外の生産者は免除されるルールを、わが国の企業経営者や農業者に課し続けることはで
きません。というのも、社会・環境面のルールをいっさい尊重せずに生産された製品を輸入し続ける
ことになるからです。こうした発言は貿易の自由を侵害するものではありません。単にヨーロッパに
対し、より厳しく通商交渉に臨むことを要請するものです。
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EU は世界競争の最上位にとどまる手段を備えるべきです。フランスは模範的な国内政策を進めて
いるだけに、この問題に関してヨーロッパで最も意見を聞かれる立場にあろうと思います。私たちは
首相や経済担当の各閣僚とともに、最も競争力の高い国々との差を縮めて、潜在成長力を高めたいと
願っています。そのために残業時間を免税にしたほか、定年退職者 2 人のうち 1 人は補充しないこと
を決定、わが国にしか存在せず、企業の投資に課税されていた事業税を撤廃しました。さまざまな立
場の政治家が、当然ながら、わが国の企業の投資が低水準にある点を強く指摘していますが、投資に
は事業税が課せられていたのです。それゆえに、経済開発協力機構(OECD)全加盟国の中で最も魅
力ある研究支援税制措置を導入したのをはじめ、大学に自治に関する完全な法的地位を与え、大規模
な国債を発行し、もちろん年金制度も改革しようとしています。ヨーロッパが求めていることですが、
フランスも財政赤字の削減を継続して進めます。対 GDP 比で 2011 年に 6%、2013 年に 3%に引き下
げる予定です。
こうした点から、競争力問題は極めて重要であり、わが国の税制が産業空洞化対策の武器になるべ
きだと私も深く認識しています。クリスティーヌ・ラガルド大臣とフランソワ・バロワン大臣が、フ
ランスとドイツの税制を近づけるべく進める作業を、私が本当に高く評価する理由もそこにあります。
*
**
フランスは 11 月 12 日より G20、来年 1 月 1 日より G8 の議長国を 1 年間務めます。
フランスは二つの大きな責任を担うこととなります。G20 が地球上の富の 85%を占め、フランスの
提案により創設されたということは言うまでもありません。今のところ、危機の時代の G20 を一度経
験しましたが、結局のところは非常に興味深くかつシンプルなものでした。リスクを冒し、行動する
以外に選択肢はなかったのです。
さらに G20 は重要な仕事を成し遂げました。この点についてはここでは触れませんが、11 月にソウ
ルで開かれる次回 G20 においては、私たちが決定したすべてのことがもたらした結果や、そこから導
き出される結論を総括する機会となるでしょう。
しかしそこで問題が提起されます。現在は比較的穏やかな時期であるがゆえに、すでに決定された
事柄を、2011 年に策定する有用な措置で補足し、その実行のみに G20 の野心をとどめようとする誘
惑があるのは良くわかります。決して軽んじたりはしません。大いに結構です。申し分ありません。
危機の G20 に次ぐのは管理の G20 ということになります。
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とはいえ私はそう見てはいません。G20 の信頼性がかかっているのは明らかです。G20 の管理だけ
にとどめることは、G20 の行き詰まりにつながります。それ以上に、世界を新たな危機へと陥れるこ
とになります。
今のところ、G20 の参加者の誰からも「やめましょう」という発言は出ていません。当面の緊急事
態である危機に押され、それぞれが「絶対に何か新しいものを作り出さなければいけない」と思って
いたのです。今日、危機が逆戻りし、皆、息切れをしつつ「ひと息つこう。管理して、物事を落ち着
かせよう。要するに、通常の日々に戻ろう」と思っています。
しかしフランスはそう見てはいません。逆説的ですが、世界が落ち着きを取り戻した時よりも、
崖っぷちにいる時の方が大胆になりやすいのです。今日、私たちには選択肢があります。手をつけ始
めた作業をやり遂げ、予想し得ない展開が起これば適宜対処し、私たちの野心はそこまでとするか。
あるいは ―― こちらがフランスの提案なのですが ―― 長期間にわたって行き詰ってはいるが世界
の安定と繁栄がかかっているような新たな作業を追加するか、です。フランスはパートナー諸国に対
し、行動と野心という選択肢を提案します。G20 のみが、未来の形成に不可欠な推進力を与えるため
に必要な正当性と決定力という重みを持っているのです。
パートナー諸国の意見を聴取しますが、私自身が挙げられる柱は 3 つあります。
最初の柱は来年にも解決しなければならないものです。国際通貨システム改革です。
不安定な為替が世界の成長にとって深刻な脅威となることを否定する人はいるでしょうか。1 ユー
ロ 1 ドルだったユーロが突然 1.60 ドルに上昇し、その数週間後には 1.27 ドルに下がってしまったら、
企業はどうやって生産や輸出を計画できるでしょう?
これほどまでに不安定な通貨システムを持ち
ながら、ユーロ圏で生産してドル圏で販売できると誰が主張できるでしょう?
戦後の繁栄の大方はブレトン・ウッズ体制のおかげです。言い過ぎかもしれませんが、あえて申し
上げるなら、私たちは 1970 年代初めより「非」国際通貨システムの中で生きているのです。ブレト
ン・ウッズ体制の中ではなく、新たなシステムも考えておらず、国際通貨システムなどないのです。
もちろんフランスは固定相場制への回帰を主張したりはしません。しかし過度の為替の変動や不均
衡の蓄積、急激な国際資本の大量撤退に直面した新興国による豊富な外貨準備の追求などを防ぐよう
な制度の確立を主張しています。
デリケートなテーマであることは承知の上ですが、フランスはタブーなくこの問題に取り組むこと
をパートナー諸国に提案します。例えば世界的に著名な通貨政策の専門家を集めた国際セミナーを、
あえて中国で開催することを提案することも考えられます。考えるにあたって思い出すべきは、ブレ
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トン・ウッズ体制も日の目を見るまで 1 年かかった、ということです。ブレトン・ウッズ体制に続く
通貨システムがどのようなものであるべきかを考えるためにも、主要大国である中国で通貨政策の世
界的専門家の国際セミナーを開催することも容認しがたいことではないかもしれません。
フランスはさらに先に進むべく、3 つの検討課題を提案します。
1-危機管理メカニズムを強化する必要があると私は確信しています。計算をしたのですが、新興
国は 1990 年以来、42 回もの突然の国際資本の撤退を経験しており、その度にその国の安定と成長は
リスクにさらされました。簡単に言えば一国の準備高が 1990 年以来、42 回もゼロになったのです。
私たちは、より効率よく迅速に行動できる多国間制度を構築し、危機を予防し、対策を講ずるため
に、国際的な保険メカニズムを検討しなおさなければなりません。国際通貨基金(I MF)が有する制
度についての考察が始まっています。世界は市場への不合理な投機に対応すべく、早急に巨額の資金
を動員する力を有していなければなりません。
私はまた、資本の移動についての国際的見解について議論すべきだと思います。私たちは何年もの
間、資本市場の開放は常に進歩をもたらす、という幻想の中で生きてきました。しかしこれは間違っ
た認識だと現実が教えてくれました。外部資本に大きく依存する国が危機に直面した際、外部資本を
規制する措置を講ずるのは当然です。保護主義リスクの台頭に対する最良の保険は、他の場合と同様、
多国間ルールの策定です。ルールこそが自由を守るのです。ルールの欠如は自由を破壊します。
2-多極化が進んで久しいこの世界において、一つの通貨だけが支配する国際通貨システムの妥当
性につき、疑問を投げかけなければなりません。意味がないからです。事実、数カ国における外貨準
備金の蓄積はそのまま米国の経常収支赤字の増大につながっています。決して誰も非難しているわけ
ではありませんが。
ロンドンでの G20 においては、2500 億ドルの I MF 特別引出権(SDR)の新規配分を決定しました。
この国際資産は今日、関心を集めています。ケインズが提案したバンコールのような世界通貨の創設
には遠いのですが、1 カ国だけが発行したのではない、国際準備資産の提供は、システム全体の安定
性の強化に資すると思えます。
3-私たちは、大規模な経済圏の経済通貨政策をより良く協調させる方策を講じなければなりませ
ん。ピッツバーグでの G20 では、各国が適切な経済政策を遂行するための枠組みを策定しました。
しかし私たちはさらに一歩前進し、例えば為替の推移についての、新たな協議枠組みを作らなけれ
ばいけません。現在は 7 カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)で行なわれていることです。しかし
今日の世界で、中国抜きで為替の話などできましょうか?
失礼ながら中国抜きでは無意味です。絶
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対的に避けて通ることのできないこの問題に最善の解決法を見出すべく、私たちは議論しなければな
りません。
このようなテーマについて話すことは決して冒涜などではありません。G20 という、最も正当な協
議の場で、公明正大に話し合うことが望ましいのです。待つ必要がありましょうか?
だいたい、何
を待っているのでしょう?おそらく次の危機を待っているのでしょうが、次は計り知れないほど深刻
な結末が待ち受けていることでしょう。というのも、過去にやったことを再びやるだけの手段が、各
国にはもはや残されていないからです。
さて、G20 におけるフランスの第二の柱は、野心においては引けを取りませんが、通例によって最
初は当然のごとく嘲(あざけ)りを受けることでしょう。しかし私は譲りません。それは原料価格の
変動についてです。小麦価格の推移をご覧になれば惨憺(さんたん)たる状況がお分かりいただける
でしょう。
今春、生産者たちが救済を求めて来ました ―― ブリュノ・ル・メール大臣に確認してもらいつつ
話を進めます ―― 価格が暴落したからです。今から半年も遡(さかのぼ)らないころ、私は穀物栽
培者たちの状況を視察しにセーヌ・エ・マルヌ県に赴きました。当然のことながら彼らは自分たちが
倒産寸前の状態に置かれていることを説明しました。半年後の今は、ロシアでの不作や各地で災害が
起こっただけで、同じ作物の価格が高騰しています。このようなシステムで、惨事に至ることなく、
うまく機能し続けると思われますか?
ハイチやアフリカで食糧価格が突然高騰した際に飢えた人々
が起こした暴動を、私たちは忘れてしまったのでしょうか?
それは 2008 年の出来事でしたが、
2008 年から 2010 年までの間、誰も何もしなかったことを申し上げておきます。さらに、石油やガス
の価格が急激に高騰し、その後、ほぼ同じスピードで説明がつかない下落をしたことが世界経済に与
えた悲劇的な影響を忘れてしまわれましたか?
この問題は難しすぎるから何もしない方がましだ、と勇気を奮って言う人はいるでしょうか?
私
は知っています。フランスで、何もやらない方がいいと思っている人たちは誰か、しっかり把握しま
した。しかし同じことを世界でやるわけにはいきません。大きな課題なのですから。フランスは、
G20 のパートナー諸国に-議長国を務めるからには何かの役に立つべきだという信念のもと-実際的
な視点、かつ野心をもってこの問題に立ち向かうことを提案する予定です。本件に関しては 3 つの検
討課題があると思われます。
まずは原料のデリバティブ市場の機能そのものについて質問を投げかけたいと思います。言っては
いけないことだということは承知していますが、デリバティブ市場を規制をしなければならないのが
金融分野だけなのはなぜでしょう?
フランスは金融分野において市場を規制すべきである、と世界
中を説得することができました。では、金融分野で私たちがやろうとしていることを、同様にうまく
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機能していない原料のデリバティブ市場に適用できないという方がいれば説明していただきたいもの
です。規制を原料にまで拡大することは可能であり、望ましく、必要不可欠です。投機に資金提供す
ることはないのです。これが市場経済なのだ、と言わないで下さい。この市場がどのように機能して
いるかも、どのような投資家が参加しているのかも、その人がどのように立ち回るかも、誰も知らな
いのです。
二点めは、農業一次産品についてですが、先入観を持つことなく探るべき道がいくつかあります。
第一に市場の透明性は有用です。備蓄政策、そして、輸入国が価格の変動リスクをカバーできるよう
な保険的ツールの、国際金融機関による創設が挙げられます。
最後はエネルギー価格です。フランスはソウル、そして 2011 年の G20 サミットにおいて、価格変
動に対抗する措置を提案することを委任されました。私たちは透明性確保措置と生産者・消費者間の
より緊密な対話を提案します。原油価格が 1 バレルあたり 40 ドル近辺まで下落した時、フランスは
「ここで喜ぶのはまったく間違っている」と発言しました。というのも、1 バレル 120 ドルの時に嘆
いても、聞く耳を持ってはもらえる状態ではなくなるからです。
議長国フランスが提案することとなる第三の柱は、グローバル・ガバナンスです。これについては
昨年、この場で長い時間を割いてお話ししました。
G20 は経済・金融問題に関する世界的な「討論の場」となることを決意しました。とはいえ、より
効率的に作業を進めるための手段が必要となります。すなわち、他のすべての関係国際機関と連携し
つつ、決定事項の実施や各種案件の進捗などを継続的にフォローするような G20 事務局を創設する必
要があるのではないでしょうか。もちろん、G20 には議長国があり、移行期間なく次期議長国に引き
継ぐのですが、そうなると誰が非常に重要かつかなり専門的な決定のフォローアップをするのでしょ
う?
新しい行政機関を作るわけではないのですが、それでも一考の余地はあります。
また、G20 の議題を、開発などの新しいテーマに対して開く必要はないでしょうか。例えば、開発
援助の分野で模範的行動やグッド・プラクティスの規範を採用するべきではないでしょうか。例えば、
貧しい国が最後の一滴まで血を絞り取るように搾取するのを見るよりも、国際労働機関(ILO)が定
める名高い 7 つの労働基準の遵守を政府開発援助供与の必須条件とみなすべきではないでしょうか。
こうしたことは可能でしょうか。独特な社会モデルというわけではありません。ILO には基準がある
と言っているのです。正確な記憶はありませんが、おそらく 7~8 つだったと思います。
私はまた、革新的資金源、特にベルナール・クシュネール大臣が先ほど申し上げたように、金融取
引税導入の可能性についても G20 で議論できることを願っています。ジャン=ルイ・ボルロー大臣も
同意してくれると思いますが、この税なくしては、先進国はコペンハーゲンでの合意や開発援助に関
する取り組みを進められません。明らかなことです。革新的資金源がなくては、誰から、そしてどこ
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から資金を得られるのでしょう?どの予算も赤字です。革新的資金はミレニアム開発目標を達成する
ために不可欠なのです。
思うに、G20 において環境合意への資金提供についても話すべきではないでしょうか?
「ファス
ト・スタート」資金提供であろうと、革新的資金源や森林保護であろうと、コペンハーゲンの合意が
適用されることが肝要です。私は、来年、国連気候変動枠組み条約締約国会議の議長を務める南アフ
リカのズマ大統領と会談し、非常に決定的な進歩をもたらす可能性のある事柄についてお話するつも
りです。
フランスはまた、グローバル・ガバナンスに関するより広範な議論も提案します。G20 は世界銀行
の改革に決定的な推進力を与えました。近々、国際通貨基金(IMF)についても同様にすべきです。
経済、雇用や貿易を管轄とする国連の専門機関をどうして無視することができるでしょうか?
こうした背景の下、国連総会に対して、安全保障理事会の暫定改革に向けた強いメッセージを送る
のは愚行でしょうか?
しょうか?
この改革については議論が 20 年来続いています。さらに 20 年かかるので
私たち自身が国連で、改革は必要不可欠だと知りつつ、誰も手の内を明かす勇気がない
状態の中、ただ立ち尽くしているというのに、イスラエルやパレスチナに対し「さあ、どうぞ」と改
革を促すことに、意味はあるのでしょうか?
暫定改革は必要です。そして G20 はそれを主張しなけ
ればなりません。
G20 について長々とお話しましたが、最後に G8 について一言申し上げます。G8 はもう終わりでは
ないか、という人がいます。かと思えば明るい展望を予言する人もいます。いずれにしろ未来が解答
をもたらすでしょうが、フランスは G8 の未来を信じています。春にはすぐさまサミットの入念な準
備に取り掛かります。なぜなら G8 は多くのものを共有する民主主義大国の集まりだからです。G8 の
前には当事国の内務大臣会合が開催され、麻薬密売人によるカリブ諸国や西アフリカ、サハラ砂漠南
部の不安定化について議論されます。
G8 サミットのもう一つの大きなテーマとなるのはアフリカとのパートナーシップです。アフリカの
成功はヨーロッパにとってのチャンス、アフリカの失敗はヨーロッパにとっての悲劇になり、ヨー
ロッパとアフリカの運命は完全につながっており、お互いが協同で仕事をしていくより他はない、と
いうことを、私はいまだかつてないほどに確信しています。第一、コペンハーゲンの会議においては
ジャン=ルイ・ボルロー大臣とともに、ヨーロッパとアフリカが手を携えて歩むよう、仕向ける努力
をしました。アフリカはとてつもない潜在力を有しています。アフリカには空間があり、資源があり、
若さがあります。グローバル・ガバナンスの中でアフリカに見合う存在感と、発展して行くために必
要な資金を与えつつ、アフリカと声をひとつにして発言することが、ヨーロッパの利益にかなうので
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す。選択肢はありません。ジブラルタル海峡を挟んで 12 キロしか離れていないのですから、選択の
余地はないのです。
ご出席の皆様、
以上が、G8 および G20 の議長国期間を前に私が考えていることです。大きな意志、大きな決意と
同時に、チームとして動く意志も必要です。G20 では全員が前進しなければならないからです。それ
がゆえに G20 の議長国の職務は、フランスが既に経験済みの欧州連合(EU)議長国と比べても、途
方もなく複雑です。各国の利益がそれぞれ相反するものですから複雑さはなおさらです。だいたい、
視認性のある原料市場に関して、インドや中国の農民たちとフランスの農民たちとでは同じ利益を分
かち合わない、ということを誰が想像しうるでしょう?
中国のような大国が、その大きさに見合う
だけの通貨面での責任を負っていないと、誰が考えうるでしょう?
結果的に、来たる 1 年を国際的
な安定と世界の安全のために有意義な 1 年にする機会が私たちに与えられているのです。フランスは
それに全力を注ぎます。
大使の皆様、
皆様と、公使の方々に、このメッセージと、フランスは新しい考えを提案し続けることを発信して
いただきたく、お願いいたします。フランスは、その歴史に忠実に、常に新しい発想を提案していま
す。この 21 世紀の世界がもっとも必要としているのは、新しい考え、新しいプロジェクト、新しい
野心であり、20 世紀にはおそらく有用であったに違いない、2 つの世界大戦を核にできあがった平凡
な日常からの脱出なのではないでしょうか。今は 21 世紀であり、言わせていただければ、フランス
は理想的な位置づけにあります。超大国でもなければ小さな大国でもない、しかしヨーロッパの中心
であるフランスは、新しい考えを発信するのに理想的な位置にいるのです。
おわかりいただけたように、これから素晴らしい 1 年、とにかく夢中にさせる 1 年、多忙な 1 年が
始まります。私はそのことがわが国の外交官団を怖気づかせることはないと確信しています。
ご清聴ありがとうございました。
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