Comments
Description
Transcript
スペシャルレポート/身の回りのリンテック製品
スペシャルレポート 東南アジア・インド事業の 最新動向 大きな成長が見込まれる有望市場 約 6 億人もの人口を抱える東南アジア、そして約 12 億人の 人口大国・インドでは、昨今の経済成長を背景に購買力のあ る中間所得層が急増しています。食品・日用品はもちろん、 家電製品や自動車・オートバイなどの耐久消費財の需要も急 リンテックグループでは、2016 年度を最終年度とする 3 か年の中期経営計画 速に増加しており、さまざまな製品に使用される当社の各種粘 「LIP-2016」で海外売上高比率 40%超を目指しており、東南アジアやインドを JAPAN 最重要地域の一つとして積極的に事業を展開しています。今回は、同地域における 日本 当社グループのこれまでの歩みや、この 1月にシンガポールに設立した地域統括 着製品のニーズも着実に高まりつつあります。下記のグラフ が示すとおり、東南アジアやインドは今後も高い経済成長が続 くと予想されており、継続的に拡大が見込まれる非常に有望な 会社と今後の事業戦略などについてご紹介します。 市場となっています。 名目GDP(国内総生産)年平均成長率予測(2014年 〜2019年) (%) 14 12.3 12 INDIA インド 9.7 10 インド ベトナム タイ MALAYSIA フィリピン フィリピン ● 統括会社 0 マレーシア PHILIPPINES 2.6 インドネシア ベトナム 2 3.7 シンガポール ● 生産拠点 VIETNAM 日本 ● 販売拠点 4 9.2 5.3 6 THAILAND タイ 8.4 7.5 8 IMF World Economic Outlook Database 2014年10月版より算出 マレーシア SINGAPORE シンガポール INDONESIA インドネシア 6 7 スペシャルレポート 東南アジア・インド事業の最新動向 製販体制の強化、そして地域統括会社を設立 東南アジアにおける事業拡大の歩み 当社では早くから東南アジア市場への製 リンテック・インダストリーズ(マレーシア)社を 当社グループでは、市場拡大を続ける東南 リンテック・ 品輸出を行っており、1994 年に半導体関連 設立。その後、フィリピンやタイ、ベトナムなど アジアおよびインドにおいて、引き続き販売 タイランド社 製品の拡販拠点としてシンガポール営業所を に販売拠点網を広げ、シール・ラベル用粘着 ネットワークの強化を進めています。この3年間 にクリーン仕様 開設しました。同年、当社グループにとってア 製品や二輪を含む自動車用粘着製品、半導 では、ニューデリー(インド)、ハノイ (ベトナム)、 のフィルム粘着塗 ジアで初めての粘着製品の海外生産拠点と 体関連製品などの拡販に注力してきました。 ジャカルタ(インドネシア)、クアラルンプール 工 機の増設を進め なるリンテック・インドネシア社を設立。翌年、 そして2011 年、シール・ラベル用および工業 (マレーシア)に相次いで販売拠点を設立。 シール・ラベル用粘着製品などにも業容を拡 用粘着製品や剝離紙の新たな生産拠点とし さらに、 ムンバイ (インド)にデリバリーセンター そして 2015 年 1月、東南アジアやインドに 大したシンガポール営業所を現地法人化し てリンテック・タイランド社を設立し、この地域 を新設するなど、現地の顧客にタイムリーに製 おける事業展開の強化を目的に、地域統括会 ました。2000年には、積層セラミックコンデン における生産体制を強化しました。 品を供給する体制を着々と整備しています。 社としてリンテック・アジアパシフィック社(以下 生産面においても需要の増加に応えるため、 LAP 社)をシンガポールに設立しました。 サー製造用コートフィルムの生産拠点として、 ています。 I NTE RVI E W 東南アジア・インドでの事業展開 8 ● 販売拠点 ● 生産拠点 ● 統括会社 統括会社を中心に包括的な事業戦略を展開 今回のLAP社設立の最大の目的は、東南アジアおよびインドにおける包括的な事業戦略 1994年 2月 ● シンガポール営業所を開設 1994年 5月 ● リンテック・インドネシア社を設立 域での市場シェアの拡大を目指していきます。各生産子会社での最適生産体制の構築 1999年 3月 ● リンテック・インダストリーズ(サラワク)社を設立 や原材料調達の効率化はもちろん、これまで各販売拠点が個別に行っていた財務・人事と 2000年 4月 ● リンテック・インダストリーズ(マレーシア)社を設立 いった管理業務をLAP社に集約することで、各拠点における営業や市場調査といった機能 2003年 6月 ● リンテック・アドバンスト・テクノロジーズ(フィリピン)社を設立 の強化を図ります。 2004年 8月 ● リンテック・アドバンスト・テクノロジーズ(マレーシア)社を設立 2005年 1月 ● リンテック・バンコク社を設立 日系だけでなく現地メーカーの旺盛な需要を確実に取り込ん 2007年 9月 ● リンテック・フィリピン(ペザ)社を設立 2009年 6月 ● リンテック・ベトナム社を設立 2011年 6月 ● リンテック・タイランド社を設立 2012年11月 ● リンテック・インディア社を設立 2012年12月 ● リンテック・ハノイ・ベトナム社を設立 2013年 8月 ● リンテック・ジャカルタ社を設立 2014年 3月 ● リンテック・クアラルンプール社を設立 2015年 1月 ● リンテック・アジアパシフィック社を設立 (1995 年 4 月に現地法人化し、リンテック・シンガポール社を設立) の立案・実行です。現地に統括拠点を置くことで経営判断のスピードアップを図り、同地 でいくためには、品質や性能など地域ごとのニーズに合った製品 を開発し、積極的に提案していかなければなりません。リンテック・ タイランド社には既にテスト用塗工機を導入し、日本から研究員 を派遣するなど研究開発体制の整備も進めています。 今後、ブランド力や技術力のある現地メーカーのM&A(合併・ 買収)も視野に入れながら、販路の開拓や新製品開発に向けた 動きを加速させ、東南アジアやインドでのさらなる事業拡大を目指 リンテック・タイランド社 していきます。 経営企画室長代理 ほし かわ よう へい 星川 洋平 9 ● 身の回りのリンテック製品 ● ガラス装飾用フィルム リンテックの製品は、実は生活のさまざまなシーンで活躍し、身の 回りに深く浸透しています。今回は、オフィスや店舗などのガラス 面に使用される各種装飾フィルムをご紹介します。 リンテック研究室訪 問問 リンテック研究室訪 素材設計研究室 当社の研究開発の中枢を担う技術統括本部 研究所では、現業に直結する製品開発を行う 「製品研究部」と、将来を見据えた研究開発を行う「新素材研究部」の下に各研究室が組織 ガラスの特徴を生かした空間演出 右の写真は、東京音楽大学のキャンパスの一角。外光 の透過が柔らかく抑えられ、屋内全体に落ち着きのある 空間が広がっています。その秘密は、窓ガラスに貼られた リンテックのガラス装飾用フィルム。貼るだけで光の透過 を和らげたり、さまざまなデザインパターンをあしらったり と、ガラスの採光性を生かしつつ独自の空間演出を実現します。また会議室やベランダのガラス 面には、目隠し効果を目的にフィルムが採用されることもあります。これらは視覚面だけでなく、 地震などによるガラス破損時の飛散防止対策や、紫外線カットといった効果も発揮します。 独自デザインも制作可能 当社では、大判デジタルプリンタを使って、店舗のロゴなどオリジ ナルのデザインを施したガラス装飾用フィルムも提案しています。長 期にわたって使用可能な耐久性に優れたタイプや、キャンペーンなど の短期間の使用に適した微粘着タイプなど、用途に応じた出力用フィ ルムをラインアップ。さらに、表裏で異なる図柄を表示できる独自の ドットプリント品などの幅広い製品展開で、街角や室内に彩りを添え ています。 ● 表裏で図柄が異なるフィルムの施工イメージ されています。今回は、新素材研究部 素材設計研究室の研究員に、研究テーマや具体的な 取り組みについて聞きました。 「素材設計研究室」の概要 さまざまな機能を付与した新たな粘着剤・剝離剤や、異分野技術の 融合による新規シート材料の基礎研究を担う研究室。既存技術に 捕らわれない幅広いテーマを扱うため、研究所内でもトップクラス の特許出願数を誇る。 10 夜間の店舗内から みや た そう 宮田 壮 Q 担当している研究テーマは何ですか。 術の基礎研究を担っており、ある程度処方が 例えば、電気をよく通す性質を持つ次世代 確立した案件については「製品研究部」の専 素材であるカーボンナノチューブを、高い比 門の研究室に移管して、 さまざまな業界・用途 率と最適な配列で含有させた導電性粘着剤 への応用展開が図られています。 の開発です。これは鉛を使わず軽量なことか ら、 「はんだ」の代替材料などとして期待されて 研究に当たり、日々心掛けていること います。また撥水性、撥油性に優れ、僅かな角 Q を教えてください。 度で水滴などが流れ落ちる特殊コーティング 新しい技術や製品の開発のためには情報 の研究も進めており、特に寒冷地の屋外看板 収集が欠かせません。営業と同行してお客 や信号機の汚れ・着雪防止対策フィルムとして 様から直接お話を伺ったり、学会や展示会に の採用を目指しています。 参加したりするなど、新たな需要の創出につ そのほか、剝離剤として一般的に使われて ながるテーマを発見できるよう常にアンテナ いるシリコーンに代わる新しい樹脂材料など を張っています。 の研究も担当しています。当室はこうした技 また、長い時間を要する製品開発では特に カーボンナノチューブとは 昼間の店舗外から 新素材研究部 素材設計研究室 直径がナノ(10億分の1)メートルレベルの筒状 の炭素材料。曲げや引っ張りに強く、熱や電気 をよく通すといった特徴を持つ。 スタートが肝心です。開発の初期段階を担う 部署としてその方向性を間違えないよう、扱 う材料の物性データをしっかりと取り、数字の 裏付けを持って進めることを徹底しています。 11