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Pick up Specialist 医療マネジメント活動で ご活躍の医師や看護師の ご紹介 日々の医療安全、感染対策への 熱い思いをお聞きしました。 国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院 院長 国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院 A棟1階病棟 看護師長 2008年に開始された平塚共済病院のVTE予防 の取り組みは、 それまで各科個々で行われてい た対策が、多くの職種の意見を取り入れ、病院 として統一された活動となりました。IPCの整備が 短期間で行われ、 その管理もMEセンターで統一 的に行われるようになりました。VTE発症した場 合にも問題点や対策について、多くの職員が ワーキングを通じて意見が言いやすくなったこと は、本活動の大きな成果の一つと考えています。 この取り組みは、看護師がVTEを早期発見す 丹羽 明博先生 金沢医科大学病院 血管外科科長 四方 裕夫先生 以前より当科では、外来及び院内発生の静脈血栓塞栓 症例(VTE)の加療を行っていましたがVTEの発症リスクが 極めて高い産科・整形外科における手術症例の、術前か らの抗凝固剤などの投与、あるいは術中の一次的下大 静脈フィルター留置などのVTE予防を科の枠を超えて積 極的に行ってきました。2008年頃より医療安全の面より 当科が講演を担当し、手術部VTEリスク表の作成などに 携わり、金沢医科大学における静脈血栓塞栓症予防に ついて参画しています。現在VTEのリスクが電子カルテ上 に全科の入院時に反映される様に、予算請求中です。 泉山 由美子先生 るための意識向上につながりました。中央管 理により、必要な患者に速やかに使用できる ようになり、看護業務面からも無駄がなくなりま した。このような取り組みをし、改めてチーム医 療の大切さを実感しています。 Link Vol. 金沢医科大学病院 小児外科 河野 美幸先生 成人領域と違い小児領域ではあまり静脈血 栓塞栓症予防に目が向けられていないのが現 状です。教室では、腹腔鏡下手術を導入して 以降、術中、乳幼児では弾性包帯により、年 長児、学童、中学生にはIPCをルーチンに使用 し、肥満児症例には術中のみではなく術後も IPCを継続して予防に努めています。 静脈血栓塞栓症予防の取り組み わたしたち日本コヴィディエン株式会社はトータルセーフティソリューションカンパニーTMとして 医療従事者の方々が安全にご使用いただける製品のご提供を通じて医療の質・安全向上の取り組みをサポートします。 ∼患者の不快感軽減とスタッフの管理向上を目指して∼ 国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院 Link9 編集後記 今回は、 「 静脈血栓塞栓症予防の取り組み」 として、 2施設の取り組みをお聞きしてきました。 2施設に共通して言える事は、患者さんの不快感を少しでも軽減することとスタッフの機器管理の 金沢医科大学病院 向上を目指して機種の選定やスタッフ教育に取り組まれている事でした。 又、VTE予防にチーム医療は必須という事やスタッフへの教育の重要さも伝わってきました。 この2施設での取り組が皆様のVTE予防の取り組みの一助となれば幸いです。 <Link> 編集・発行 日本コヴィディエン株式会社 クリニカルサポート課 にてお聞きしました。 COVIDIEN、COVIDIENロゴマーク及び"positive results for life"は、Covidien AGの商標です。 TMを付記した商標はCovidien Companyの商標です。 その他、掲載されている社名又は製品名は、各社の商標又は登録商標です。 ©2012 Covidien . 2012.11.DKP(2000) お問い合わせ先 東京都世田谷区用賀4-10-2 TEL: (0120)998 - 971 09 2012 . Autumn 患者への説明・患者参加への促進 Interview 現在の院内VTE予防のポイント 01 ■スクリーニングにて患者さんのリスク評価を行い、 リスクの高い方にはDダイマーや下肢静脈エコーを施行。 ■電子カルテ上に予防法を選択しないと手術のオーダーが出来ないシステムを取り入れ、手術時に 国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院 ■弾性ストッキングと間欠的空気圧迫法装置 (以下IPC) は併用。脳卒中センターのみ弾性包帯使用。 除去するタイミングは、IPCは完全歩行に移行したら除去し、弾性ストッキングや弾性包帯は診療科や 患者さんのリスク因子の程度によって異なる。 予防の基本は運動療法(早期離床やベッ 症状に特異的なものはない。 運動療法は患者の協力なしには行うことが できず、能動的運動が受動的運動より予 防効果が高い。また、PTEは突然の胸痛、 ■慢性期の寝たきり状態の患者さんの予防の継続 にお聞きしました。 明と積極的な参加が求められる。それは① ド上運動など) であり、②発症時の所見や VTE予防の意識を高めた。 神 靖人 先生 梅澤 晴子 看護師長 小林 剛志 臨床工学技士長 PTEの予防は患者、家族に対する十分な説 呼 吸 困 難 、冷 汗 、めまい感 、失 神 発 作 、 期間については、特に決まりはなく、医療資源の ショック、 などの症状で発症する事が多いこ 分配などの問題があり非常に難しい問題。 とから、早期診断のためには患者の協力が 必要である。 ■患者さんへの説明の徹底。 (表1) 患者に対しては、パンフレット等を用いて十 分な説明を行う。 ( 表1)予防を十分に行っ 深部静脈血栓症予防実施表(一部記載) ても100%防げないが、発症率を減らすこ とはできるということも説明していただく。 平塚共済病院 肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症予防マニュア ルより 呼吸器内科部長 兼医療安全管理室室長 神 靖人先生 医療安全管理室 副室長 臨床工学科 梅澤 晴子看護師長 小林 剛志臨床工学技士長 ※術前・術中・術後の実施確認に用いて記録を残す 2008年から積極的に取り組みを始め、ワーキンググループ立ち上げへ 当院での静脈血栓塞栓症 (以下VTE)予防は、2008年に医療安全全国共同行動に登録した事から始まり 表1 全身麻酔・脊髄麻酔で手術を受ける方・ご家族へのパンフレット VTE予防の取り組み以前の問題点と今回の改善点について教えてください 問題点:各病棟で計23台の混在した異なるメーカーのIPCを管理しており、必要台数の把握もできておらず、 ました。 予防を必要とする患者さんに使用出来ていませんでした。又、 スタッフからの不満として、IPC本体は それまでの予防は、 マニュアルを各診療科で作成しており、各科の医師の予防に対する認識も様々で温度 あるが、 スリーブが洗浄・乾燥中で使用できない、機種は2機種が混在していて、足底タイプと膝丈 差がありました。 それらを改善すべく、院内でのVTE予防の統一や積極的な予防に取り組む為にまず行ったの タイプのもので効果の違いがわからない等の疑問や、 それぞれのスリーブが機種によって違って は、 ワーキンググループの立ち上げでした。VTE予防を行っていくには、様々な部門との連携によるチーム医療 おり、 デッドストックが生じるリスクや、使用方法の違いにより混乱が生じてしまう等がありました。 の構築が必要ですが、 これが一番大変だったかと思います。管理者の理解がないと進まず、他にも多くの方の 協力が必要になってくるので、誰をワーキンググループのメンバーにするかということが大きなポイントでした。 ワーキンググループの取り組みについて教えてください 改善点 2011年 IPC 月別稼働率 SCD 700 ①IPC機種の統一 ・指導医又はそれと同等以上の経験を持つ医師、主任クラスで臨床に携わる看護師、 コメディカ 平塚共済病院 肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症予防マニュアル ルを招集すること。 =現在のメンバー構成= 医師・外科系病棟主任看護師・手術室看護師・臨床工学技士・臨床検査技師・理学療法士 =取り組み= ⑴立ち上げ時は各診療科ごとに、 どのような取り組みを行っているかアンケートにて現状調査を行 いました。その結果、診療科によって予防方法に差があることが判明しました。 ⑵毎月会議を行い、 日本静脈学会推奨のガイドラインを元に、各診療科から出されたリスク因子の 評価や予防方法をどのように行いたいかについての意見を抽出後まとめて、最初の1年で院内 マニュアルを作成し、周知徹底を行いました。 ⑶その他の活動として、予防パンフレットの作成や全科看護師対象の弾性ストッキングの履かせ方 の講習会を開催しました。 なお、 これらの取り組みは、医療安全全国共同行動のHow Toガイドに沿って取り組みました。 Link_01 94.2% 90.3% まず、混在していた複数メーカーIPCの機種の統一を行いました。 これを行うことで、同じ機種をどの部 署でも同じ手順で使用することができ、 スタッフの手間が省け、作業を標準化する事が出来ました。 ②機械の中央管理化 (ワーキンググループを立ち上げて3年後の2011年に中央管理へ移行) =ワーキングメンバー選定のポイント= 保有台数 100 3年要した理由は、機種統一が実現するまで、院内の予防状況把握、院内申請、交渉などに時間 を要したことがあげられます。中央管理のメリットを発揮するためには、最小の投資で最大の効果を 得るために先行投資をし、IPCの機種を統一してからでないと、 その安全性・使用感・教育等の効果 62.1% 60 40 30 0 1 2 3 が得られないと考えていました。 また、 この中央管理にあたっては、病院に必要台数の根拠を数値 100 60 今回採用したスリーブの素材は通気性も良く、患者さんの発汗による不快感も皮膚トラブルも消 失したように感じています。 Link_02 5 6 7 8 9 10 11 12 計 保有台数 91.6% 40 30 40 80.1% 79.1% 77.8% 68.3% 66.8% 71.3% 40 40 40 40 40 30 20 0 今までのスリーブは膝丈や大腿丈のものを使用していましたが、膝丈タイプに統一しました。 また、 30 96.1% 40 ④スリーブの種類の統一 30 83.8% ど) を定期的に行ってくれるので非常に助かっており、部署も安心して使用できています。 変更しました。 これにより洗浄、乾燥という時間・人件費のコストが削減できました。 4 90.2% 80 スリーブのリユースは、不衛生であり、機種統一を行うと同時にシングルペーシェントユース製品に 30 2012年 IPC 月別稼働率 SCD 700 しては、ME室で中央管理することで、専門の臨床工学技士がメンテナンス (点検、本体の清掃な ③スリーブのシングルペイシェントユース化 30 20 で示せたことがよかったと思います。現在、計40台にて管理していますが、稼働率がようやく90%と 落ち着き、本来IPCを使用したい患者さんに使用することができるようになりました。 また、看護師と 81.9% 81.7% 81.5% 80 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計 ※3/13より40台に変更 2011年8月より運用開始∼2012年9月現在 までの平塚共済病院でのIPC稼働率 スタッフへの教育方法について、工夫されたことを教えて下さい Interview 2008年に医療安全全国共同行動に登録した時より、VTEに対する院内全体の研修会を2回開催しまし た。 また、今回、機種統一や中央管理へ変更するにあたりスタッフへの指導としては、安全・適正使用を目 的として、全部署に対し、 メーカーの協力を得て機械の取り扱いの勉強会を徹底しました。その際に、操作 手順が書かれた簡易操作シートも作成し、又、 ただ説明を聞くのではなく、体験型の研修スタイルとし、参加 者同士でサイズ測定や正しいスリーブの巻き方の練習を行いました。使用説明会と位置付けるとスタッフ も参加しやすく、又、説明会の時間も勤務時間内や昼休みを利用して行うなどの時間にも配慮することで、 02 金沢医科大学病院 平内 美雪 看護師長 大森 政幸 臨床工学技士長 にお聞きしました。 スタッフへの浸透がしやすかったのではないかと考えています。 簡易操作シート リース契約をされていますが、 その理由を教えてください 徐々に新しい機種に切り替えるのではなく、一気に必要台数をそろえたかったからです。これにより、一斉 に勉強会も行うことができ、病棟と勉強会で使用する機種が同じなので安全性も高まったと思います。又、 リース料金に修理代が含まれていたり、 メンテナンスを無料で行ってもらえるという利点も魅力的でした。臨 床工学技士は、中央管理業務だけが仕事ではありません。IPCに関しては、バッテリー交換や点検のみを行 い、 メーカーに依頼出来るところは依頼し、 できるだけ臨床の仕事を重視したいと思っています。 中央手術部 マニュアル作成など、院内の取り組みのポイントを教えて下さい 医療技術部医療機器 管理部門 平内 美雪看護師長 大森 政幸臨床工学技士長 ME室での中央管理 それなりにコストもかかることなので、管理者の理解が必要だと考えています。又、多くの方の協力が必 要なので、 そのための地道な努力も必要です。VTEを発症をしたときに、 自分の病院でどこまで対応できるの か考えてのマニュアル作りが重要だと感じています。又、 目標をどこに置くか、絶対にやるんだという揺るが ない目標を設定することだと思います。そして実行するための戦略をたてて、何を行っていくのか、組織を動 かすために、誰に、何を、 どのように依頼し、 どこの部署の協力が必要なのか把握し、順を追って取り組んで 静脈血栓塞栓症 (以下VTE) 予防の取り組みを開始し、現在に至るまで 2000年∼ 手術室では医師の指示で、小児外科手術と呼吸器外科手術から間欠的空気 圧迫法装置 (以下IPC) でのVTE予防を取り入れました。 この頃から院内VTE予防 いくことが成功させるには必要だと思います。 マニュアルが徐々に作成されていきました。 2004年∼ 今後の展望 図1 IPCの運用方法 手術室で IPCを 装着 日本のガイドラインが発刊され、当院でも徐々にIPCを使用する診療科が増加し、 症例に合わせて、積極的にIPCを使用するようになりました。弾性ストッキングはこ の頃より、手術を受ける患者さん全症例に、装着するようになっていました。 今後は院内マニュアルの遵守率をもっと上げることです。又、医師の協力なしでは出来ない分野なので、 医師の教育も必要です。その医師がVTE予防をどのようにとらえているかというのもポイントになります。そ 2009年∼ 整形外科と他の診療科でVTEが何例か続き、手術室運営委員会と医療安全部 で院内のVTE予防マニュアルを再度整えました。 のために、対象を絞った研修会を今後も取り入れていきたいと考えています。 術前総合評価・予防策のフローチャート 現在の院内VTE予防のポイント ■弾性ストッキングは手術を受ける方に、全症例で使用。装着は術前に病棟にて施行。 低、中、高 リスク 各診療科で 各科予防策に 対応 従って実施 ■IPCを使用するか否かは、手術室で症例・術式・年齢・診療科を考慮して医師と看護師で決定。 ■局所麻酔・硬膜外麻酔では、IPCの使用はなし。 ■整形外科の手術は、症例にもよるが、原則、健側のみ弾性ストッキング・IPCを併用使用。 各診療科で 総合評価 ■小児科での予防は、腹腔鏡下の手術を受ける患児に、IPCを使用。 最高リスク 高リスク+付加的危険 分子血栓性素因 臨床的にDVTが 疑われる 正常値 D-dimer 測定 高値 下肢深部 静脈エコー下肢・ 骨盤の造影CT CBC、BC、PT、 APTT、FbgECG ■スリーブはシングルペイシェントユース製品 術前VTEなし ■VTE予防に関しての講習会を開催。 術前VTEあり 循環器科 併診 術前VTE 対応表(表2) ■IPCは中央管理 (図1) 表2 術中、術後VTEへの対応 Link_03 Link_04 整備後に手術室へ IPC本体と 接続チューブを 持参 病棟で スリーブを 破棄 IPC本体・ 接続チューブを ME室に返却 体位別によるスリーブの 巻き方の注意点 VTE予防の取り組みの中での問題点と改善点を教えてください 手術室での観察点・対策 病棟 患者さんに弾性ストッキングを装着します。そのまま手術室へ出室します。 問題点 1:各診療科でIPCを購入し、管理していました。院内マニュアルも最初は十分ではありませんでした。 ↓ 手術前 機械の操作自体は単純ですが、購入した機種が異なっていたので、操作方法が異なります。又、 麻酔導入までに弾性ストッキングを一旦除去して、 スリーブの交換時期も布製のリユースのものやディスポのものが混在しており、定まっていません スキントラブルがないか観察をします。 ↓ 弾性ストッキングを履かせ直して、IPCを装着します。 滅菌ドレープをかける前に、体位や正しく弾性ストッキングやIPCスリーブが 装着されているか、 チューブの位置は正しいかを確認します。 チューブとスリーブのコネクタが体の下に 入らないように注意して、 スリーブを装着 します。 (体位別によるスリーブの巻き方の注意点・レビテーター使用時の注意点参照) 手術中 弾性ストッキング・IPCを一旦除去して、 スキントラブルがないか観察します。 ↓ 手術室出室時 【腹臥位】 ①機械の中央管理化 まずは、機械の中央管理を行いました。これを行うことによって、必要台数が明確になり、無駄な 台数は必要ないということがわかります。 ↓ 手術直後 でした。 そのため、 スタッフが運用方法等、解りづらかったと思います。 改善点 再度、弾性ストッキング・IPCを装着し、IPC本体にバッテリーが ②IPC機種の統一 点検風景 中央管理化と同時にスタッフが混乱しないように機種の統一をはかり、誰もがどこでも使用でき るようにしました。 搭載されているので、装着したまま病棟へ退室します。 チューブとスリーブのコ ネクタが体の下に入ら ないように装着します。 =中央管理・機種統一のメリット= ・この流れは、 院内マニュアルで決定しています。 スキントラブルを予防できるのであれば一旦すべて脱が ①機械の使用状況や稼働状況の把握がしやすい。 せて手術室で観察を行うべきと考えています。 スリーブの巻き方が悪いのか、 弾性ストッキングの履かせ ②整備がしやすい。機械の掃除・点検が確実にできる。 方が悪いのか、 いつの時点でスキントラブルができたか明らかにするためにも、 必要と考えています。 ③機械の取り扱いが簡便で順守できる。 機械が長持ちする。 故障が少ない。 ④ヒューマンエラー抑制等の安全面が確保できる。 ・特にレビテーター使用時はチューブの場所やコネクターが下肢に当たらないように注意しています。 IPCの合併症で、総腓骨神経麻痺やコンパートメント症候群がありますが、弾性ストッキングやIPCを 装着したからといって発症するものではないと考えています。装着するしないに関係なく、観察と体 腓 骨 骨 頭の部 分に過 度 の 圧 がかからないよう に、 スポンジを挟 み、 ポジショニン グを整えます。 【側臥位】 問題点2:以前使用していたスリーブはエッジの部分が硬めだったので、皮膚に接触することで患者さんも不 快に感じていました。発赤を2∼3例経験したため、弾性ストッキングとスリーブのエッジ部分が重な 位に気をつけて看護しています。 る箇所 (足首部分と膝側部分) にギプス用下巻き材 (例:オルソラップ) を巻いていました。弾性ス トッキングを履かせ、IPCを装着し、 ギプス用下巻き材を巻くという作業がスタッフの手間でもありま ME室での点検・臨床工学技士から看護師に対する指導 ・機械本体やチューブの点検・清掃、不具合をチェックしています。 ・メーカーにも協力してもらい、 2012年度は、 臨床工学技士が講師となって看護師対象に機械の運用方 した。 改善点 スリーブを快適性の高いものへ変更 法、 管理方法、 使用方法についての勉強会を行いました。受講している看護師から質問を受ける事もある IPCは原則、離床までは装着しています。少しでも患者さんの不快や皮膚トラブルを軽減する為に、 ので、 人に教えることで臨床工学技士の勉強にもなっていて効果的と考えています。 素材のやわらかいスリーブに変更しました。現在のところ、 スリーブが原因となる発赤症例はありま せん。患者さんの不快だという意見も、前ほどなくなりました。又、小柄な人に対しても、Sサイズが、 全患者で使用することができています。ギプス用下巻き材を巻くというスタッフの手間も省けまし レビテーター使用時の注意点 た。スリーブを変更してのデメリットはないと感じています。 チューブとスリーブのコネクタ部がレビテーターで圧 迫されて患者さんの下肢に負担がかからないように、 カバーで保護をしています。 スリーブを素材のやわらかいものに変更され、 コスト比較はされましたか? まず、使用しなくなったギプス用下巻き材の費用とスタッフのギプス用下巻き材を巻く時間と手間が省け ました。そして、 ギプス用下巻き材を使用後のごみもなくなりました。 腓骨骨頭の部分に過度の圧がかからないように、 スリーブは、指が縦に 2本入るぐらいのゆとりを持たせて装着します。清潔なドレープをかける前 に、必ずポジショニングと正しく装着できているのかをチェックしています。 当院では、交差感染を考慮してスリーブをシングルペイシェントユースしていますが、弾性ストッキングと IPCで予防をしてVTEが発症しないのであれば、 コスト面でも効果的と考えています。診療報酬で十分にまか なえていると思います。 今後の展望 IPCは現在の運用台数では、不足だと感じています。最近では、長期臥床の方にも徐々に使用するよう になってきましたので、今後は、 もっとIPCが足りなくなると懸念しています。運用コストも考える必要がありま すが、VTEを発症した時のことを考えると、 もっと台数を増やし、手術の患者さんに限らず、 もっと積極的に使 チューブが足を圧迫しないように、 レビテーターの 側面よりチューブを出すように配置しています。 Link_05 えると良いと考えています。 Link_06