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スイス外国企業誘致局ニュースレター

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スイス外国企業誘致局ニュースレター
スイス外国企業誘致局ニュースレター
2012 年 9 月
2012年もM&A増加傾向
2011 年の経済ニュースを賑わせた日本企業によるスイス企業の M&A の増加が、本年度上半
期も継続しています。3 月から5月にかけて、東京エレクトロン株式会社、UCC ホールディ
ングス株式会社、株式会社フジシールインターナショナルが相次いでスイス企業の株式取得
を発表しました。昨年から継続する強い円を武器に、日本企業は成熟市場の国内のみならず
海外市場展開への加速を図っています。
東京エレクトロン、Oerlikon Solar 社を買収
2012 年 3 月 3 日、東京エレクトロンは、Oerlikon グループの 100%子会社 Oerlikon Solar 社を約
225 億円で買収すると発表しました。Oerlikon Solar 社はザンクトガレン州(Canton of St. Gallen)
に本社、世界に 8 事業所を構える従業員 675 人の企業で、主にアジア地域の取引先において、
薄膜シリコン太陽電池を大量生産するためのターンキー製造ラインおよび装置を提供しています。
東京エレクトロンは、太陽電池製造装置事業を、半導体製造装置事業や FPD 製造装置事業に次
ぐ第 3 の事業として強化する戦略を掲げており、既に 2009 年から Oerlikon Solar 社のアジア・
オセアニア地域の販売代理店として薄膜シリコン太陽電池用一貫製造ラインの販売を行っていた
ことから、この買収を機にその実現に向けた取り組みを加速させる予定です。今回の買収により、
Oerlikon Solar 社の変換効率向上と生産コスト低減を両立させる優れた技術力と、東京エレクト
ロンが培ってきた製造装置技術およびフィールドサービスの対応力の融合が可能となります。太
陽光発電においては、グリッドパリティ(再生エネルギーの発電コストが既存の電力価格と同等
になること)の達成が現実的になりつつあり、今後は薄膜型太陽電池の需要が高まることが予想
されています。
UCC が United Coffee 社買収を発表
4 月 23 日、UCC は United Coffee 社の経営陣および CapVest 社から、United Coffee 社(ジュネー
ブ州)の全株式を約 500 億円で取得すると発表しました。20 ものブランドを保有する欧州でもト
ップクラスのシェアを誇る大手コーヒー焙煎・卸売会社です。欧州全体で 7 工場を構え、同社の
自社ブランド・コーヒー販売は欧州一を誇ります。近年では業務用コーヒー市場にカプセル・シ
ステムの販売を開始し、この買収後は、欧州に限らず世界市場での展開が期待されています。
Newsletter June 2012 | 1
1933 年に設立された UCC は日本最大のコーヒー製造販売会社で、コーヒー豆の栽培、生豆の輸
入、焙煎、販売を一貫して行うコーヒーの総合メーカーとして発展してきました。日本の主要小
売店、業務用及び加工市場へ供給し、数多くの人気ブランドや業務用ブランドを有しており、
2012 年 3 月決算では販売量 92,000 トン、売上高 2,648 億円と発表しています。1969 年に缶コ
ーヒーの発売を開始し、ジャマイカやハワイの自社農園や国内 7 工場など、コーヒー関連子会社
の展開を広げ、コーヒー総合メーカーとして革新的な経営で知られています。
UCC はこの買収により海外進出を一挙に進めることが可能になります。この買収以前は 3%と限
定的だった同社海外販売比率は 20%に増加するとみられ、焙煎・粉コーヒー販売のコーヒーメ
ーカーとして世界 3 位となる予定です。
フジシール、Pago Holding AG 社の株式を取得
5 月 31 日、フジシールは、Pago Holding AG 社(ザンクトガレン州)の全株式を 98 億円で取得
すると発表し、7 月 1 日にその手続きが完了しました。Pago グループは欧州においてタックラ
ベルおよびラベリングシステム製造・販売の事業展開をしています。1896 年創業の Pago 社は
タックラベル及びラベリングシステムの製造販売を専門とし、生活用品、医療品、食品など様々
な業界へ製品を供給しています。同社は、スイスとドイツに 2 つの大型生産工場を持ち、欧州各
国に多数の支店やパートナー企業を有し、950 人以上の従業員を雇用しています。
フジシール・グループは、日本、北中米、欧州および ASEAN 諸国に 16 工場、世界 16 都市に営
業拠点を設けています。食品や飲料、日用品などのグローバルブランドを主要取引先とし、シュ
リンクラベル、タックラベル、ソフトパウチ及び自動包装機械を中心としたパッケージングシス
テムの開発・製造・販売を行う世界有数の企業です。
今回の株式取得は「トータルパッケージング・カンパニー」を目指すフジシールの経営計画に基
づいており、これにより欧州でのより広範な製品の提供、またタックラベル市場でのグローバル
な競争が可能となるなど、更なる事業拡大の見込みから判断されました。 フジシールはこの買
収を「優れた戦略的ビジネスモデル」と説明し、これを機に、スリーブ、タックラベル、リーフ
レットラベル、スリービングラベル、マーキング装置など、消耗品から包装機械技術に渡る幅広
いソリューション・パッケージングを提供する国際的なサプライヤーを目指すとしています。
主席担当官
寺岡正樹の見解
「ここ数年の日本からスイスへの直接投資は、主に日本企業によるスイス企業の大型 M&A によ
り大幅に増加しました。 これらの M&A により、日本企業にとって魅力的な進出先としてスイ
スが注目を集める事になりました。 スイス国内のみならず欧州および国際的な販売拠点として、
またグローバルな事業展開を担う地域統括機能などをスイスから行うことの利点が着目されてい
ます。
」
スイス外国企業誘致局 主席担当官 寺岡正樹は、昨今の日本企業によるスイス投資傾向に対す
る見解と今後の取り組みについて述べました。
Newsletter September 2012 | 2
2010 年 2 月の入局以来、寺岡はスイスの魅力や利点について理解を深め、日本企業が欧州・ス
イスで最適な立地を選択するための支援を行っており、今年 5 月に主席担当官に着任しました。
現職以前には日本企業のアイルランドへの投資誘致の経験もあり、その間に培った日本企業の欧
州進出についての広範な知識を駆使し、日本企業にとって欧州での事業展開の基盤となるスイス
進出を勧めています。欧州進出に興味を示す企業の調査や訪問を積極的に行い、前職の経験を活
かした新たな戦略を導入することで、同局主催の投資セミナーでもスイスに対する関心の高まり
を感じています。安定した経済は勿論のこと、
「欧州の中心」というロケーション、有利な税制
など、これからもスイスは日本企業にとって魅力的な進出先であり続ける、という信念のもと、
「私達は大企業から中小企業まで、スイスに関心のあるどのような企業に対しても支援を惜しみ
ません。
」とスイス外国企業誘致局の姿勢について力強く語っています。
東京・名古屋でセミナー開催
‐州政府担当官も多数来日
「欧州危機でもその影響は比較的軽微、低インフレ率や堅調な中期経済成長見通しのスイス
経済の安定性を利用した投資が可能。」
7 月 11 日・12 日、スイス外国企業誘致局は、国際協力銀行(東京)および日本貿易振興機構
(ジェトロ)名古屋貿易情報センターIBSC ホール(名古屋)において企業誘致セミナーを開催
しました。
このセミナーはスイスの一般的なビジネス環境の紹介を目的とし、税理士法人プライスウォータ
ーハウスクーパース、一般財団法人海外投融資情報財団、東京商工会議所、日本貿易振興機構
(ジェトロ)名古屋、名古屋商工会議所の共催により運営されました。
欧州拠点としてのスイスの魅力
東京セミナーはスイス大使館 スイス外国企業誘致局 日本代表 ロジェ・ツビンデンよる挨拶
およそ 50 名が集まったセミナー会場
(7/11 東京会場)
で始まり、その後、株式会社国際協力銀行 高田茂樹氏による欧州債務危機とスイス経済の考察
が発表されました。高田氏は、低水準で推移するインフレ率、良好な財政状況、健全な対外ポジ
ション、堅調な中期経済成長見通しなどを過去のデータを用いて分析・予想し、スイス経済の安
定性を説明しました。また、欧州債務危機で受ける影響をスイス経済の特徴を踏まえた上で解析
し、その影響は欧州圏内でも比較的軽微であることを強調しました。
スイス外国企業誘致局の寺岡正樹は、スイスのビジネス環境について一般的な情報から実際の企
業設立の支援事例まで幅広い内容の説明を行いました。世界有数のグローバル企業がスイスに拠
点を設立しており、その業種も様々であることから、日本企業にとっても魅力的な立地になり得
るとし、同局の支援内容についても詳細に説明しました。
税理士法人プライスウォーターハウスクーパースの中田幸康氏からは、スイスの会計基準、
参加者に挨拶する州政府担当官
(7/11 東京会場)
Newsletter September 2012 | 3
M&A における税務上の考慮事項、日本とスイスの税務における留意事項など、スイスで事業を
行う際に必要とされる実務的な事柄が丁寧にわかりやすく解説されました。
名古屋会場では日本企業の欧州事業展開動向を説明
翌日の名古屋セミナーでは、国際協力銀行の高田氏に代わり、日本貿易振興機構(ジェトロ)の
前田篤穂氏が日本企業の欧州事業展開動向を発表しました。全般的な日本企業の動向に始まり、
名古屋開催という背景から、中京地区の強みである自動車産業の欧州展開に論点を運び、日本を
代表する日産自動車がスイスに欧州統括拠点を設けている点などに着目した説明を行いました。
パネルディスカッションで参加者からの
質問に答える講演者 (7/12 名古屋会場)
両セミナーとも、全ての講演の後にパネルディスカッションが行われ、聴衆からの質疑応答や講
演者同士の意見交換が活発に行われました。その後のレセプションではスイスワインを楽しみな
がら更なる交流の時間がもたれ、和やかな雰囲気の中、講演者も出席者も積極的に情報交換がで
きる場となりました。今回のセミナーのために来日したアールガウ州、ジュネーブ州、ヴォー州
の州政府開発局担当官も、参加者との直接対話を通じて日本企業のニーズやスイスと日本の共通
点などを学び、今後の活動に役立てたいとしています。
スイス在住を経て ‐
スイス滞在経験を持つ日本人
にインタビュー
スイスと日本の間に類似点は多いが、製造業などの技術力の高さもその1つ。そんなスイス
聞き手:元日本経済新聞社チューリヒ支局長
磯山友幸
本の技術政策にも大きな影響を与えた。
の技術力との接触を求めてスイスに駐在する日本人も多い。工学博士の肩書きを持つ経済産
業官僚の橋本正洋氏もそのひとり。スイスの技術の動向を探る使命を帯びて、1998 年から 3
年間、ジュネーブに駐在した。そこで出会った技術経営(MOT)のノウハウは、その後の日
通商産業省(現・経済産業省)から JETRO(現・日本貿易振興機構)のジュネーブ事務所に
磯山友幸(いそやま・ともゆき)
1962 年生まれ。早稲田大学政経学部卒。1987 年日
出向されたのですね。当時のジュネーブ事務所はどんな仕事をしていたのですか。
橋本
もともと、ISO(国際標準化機構)や IEC(国際電気委員会)の標準化交渉に対応するた
本経済新聞社入社。証券部記者、日経ビジネス記者
めに作られた事務所で、その後、GATT(関税および貿易に関する一般協定)や WTO(世界貿易
などを経て 2002 年〜2004 年までチューリヒ支局
機関)の交渉で、日本政府をサポートする役目を担いました。私が駐在した当時は日本からの駐
長。その後、フランクフルト支局長、証券部次長、
在員4人全員が通産省からの出向でした。現在はチューリヒ事務所が閉鎖されたため、ジュネー
日経ビジネス副編集長・編集委員などを務めて
ブ事務所がスイス全体をカバーしています。
2011 年 3 月に退社、経済ジャーナリストとして独
立。熊本学園大学招聘教授なども務める。
当時の橋本さんは、どんな役割を担っていたのですか。
技術情報」という定期刊行物があるのですが、そこにレポートを書くのも重要な仕事でした。
「スイスにおける研究開発体制の再構築」といったレポートを書いたのを覚えています。
Newsletter September 2012 | 4
橋本
事務所のナンバー2として、スイスの技術のトレンドなどを調査していました。
「JETRO
技術情報」という定期刊行物があるのですが、そこにレポートを書くのも重要な仕事でした。
「スイスにおける研究開発体制の再構築」といったレポートを書いたのを覚えています。
スイスの技術動向として、何に注目していたのですか。
橋本
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)で行われていた精密機械の研究が日本と交流
を行っていました。その研究は JETRO もサポートしていました。スイスでは時計産業が独自の
発展を遂げましたが、一時、クォーツ時計の攻勢で、壊滅的な打撃を受けます。この時、時計産
業が持っていた精密機械の技術を独立した産業として育てる政策を取ったことが、スイスの精密
産業が大きく飛躍したひとつの引き金だったと聞きました。当時、スイス人の不屈の精神に感嘆
したものです。
ちょうど私の駐在中に、ジュネーブ大学経済学部に原山優子さんという助教授がおられました。
その後、東北大学教授や OECD(経済協力開発機構)の科学技術産業局次長を務められています。
彼女がスイスの産学連携や大学運営などにも非常に詳しく、いろいろ教えていただきました。そ
橋本正洋(はしもと・まさひろ)氏
1957 年静岡県生まれ。80 年東京工業大学工学部卒、
82 年に同大学大学院修士課程を修了し、通商産業省
(現経済産業省)入省。産業政策局大学等連携推進室
長などを経て、98 年から 2001 年まで JETRO ジュネ
んな事もあり、スイスの産学連携などについても調べました。
他にはどんな分野に関心を持たれたのでしょうか。
橋本
技術経営(MOT=Management Of Technology )に関心を持ちました。製造業などの企業
ーブ事務所に出向した。02 年産業技術環境局大学連
が、どうやって研究開発から技術開発、そして製品化を成し遂げていくか、という経営戦略です。
携推進課長となり、大学発ベンチャー1000 社計画、
2000 年頃に日本でも導入しようという動きが広がっており、欧州の実情を調べたのです。欧州
MOT1万人計画などを推進。その後、商務情報政策
ではローザンヌにあるビジネススクールの IMD がこの分野で進んでいました。IMD では技術系
局サービス産業課長などを経て、09 年特許庁審査業
の社長が学校に赴いて技術戦略を語るなど、実践的な教育が行われていました。
務部長。2012 年 9 月より早稲田大学大学院国際情報
MOT はもともと米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)で生まれたと言われますが、経営学の
通信研究科教授。
MBA の中の一分野として発達しました。日本ではよく、
「日本企業の技術力は高い」と自画自賛
しますが、それを製品化して市場に出していく経営戦略が非常に弱い。欧米企業に日本企業が勝
てない理由の1つがここにあるのではないか、と思っています。
当時は MOT という考え方が日本にはまだなかったのでしょうか。
橋本
まだまだでした。私は帰国した後、経産省の大学連携推進課長になりましたが、そこで
MOT を推進する役割を担いました。
「MOT1万人計画」というのを掲げ、MOT を学んだ卒業生
を 1 万人作るという方針を打ち出したのです。当初はなかなか良い先生がおらず、うまく行きま
せんでした。企業の中から技術の専門家を大学に呼んでくればそれで済む、という話ではありま
せん。IMD などビジネススクールの先生は、企業と一緒になって経営戦略を研究しているので、
具体的なケーススタディに詳しい。日本にはなかなか複数の企業の経営戦略を俯瞰的に見ている
学者はいません 。 MOT1万人計画では予算を全国の大学に付け、ケーススタディの蓄積など
を後押ししました。スイスで MOT と出合ったことが、その後の私の役人人生に大きく役立ちま
した。
Newsletter September 2012 | 5
スイスは産学連携も進んでいますね。
橋本
ものすごく進んでいます。スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH)の傘下には産学連携
のための独立組織があり、研究棟など立派な施設を持っています。そうした研究棟では企業と教
授、学生が一体になって、共同で研究開発、技術開発が行われています。ベンチャー企業の設立
なども盛んです。企業は大学をフルに活用し、大学も企業を抵抗なく受け入れている。日本とは
だいぶムードが違います。
スイスは技術開発の拠点としての地位を高めています。
橋本
IBM が典型例ですが、世界の企業の研究所がスイスに集まっています。世界の有力企業の
技術開発拠点を誘致しようという国やカントン(州)政府の政策が明確です。スイスはあれだけ
物価が高いのに、世界から一流の研究者、技術者が集まっています。高給取りの技術者が住みた
い町として定着しているのは、生活の質、クオリティ・オブ・ライフの高さゆえでしょう。
橋本さんは帰国後、ヘルスケアの担当もされたそうですね。
橋本
サービス産業課長としてヘルスケア産業の後押しをしました。スイスに滞在していた時、
次男が生まれました。ジュネーブ大学医学部の病院で出産したのですが、医療の充実ぶりに目を
見張りました。医師と看護士と医学療法士が対等な関係でチームを作り、相談しながら患者のケ
アに当たるのです。
役所でヘルスケアを担当した際には、米国の病院にも調査に行きましたが、同じように医療チー
ムを作っていた。日本でも最近ようやく一部の病院で同じような体制が取られるようになりまし
た。
日本とスイスの技術協力の関係はどんな状況なのでしょうか。
橋本
文部科学省が中心となって科学技術協定を結んでいますが、残念ながら国レベルで関係が
どんどん深まっているという状況ではありません。大学の先生などの個人の尽力で協力関係が生
まれているといった感じです。ETH なども日本企業と交流しています。まだまだ技術開発などで
協力関係を発展させる余地が大いにあると思っています。
国や地方自治体の産学連携の支援方法など、日本がスイスから学ぶべきことはたくさんあります。
日本も本来は、産学協同は自治体が中心になって行うべきです。ところが日本の自治体には自由
になる予算が少ない。もっと分権を進めて、自治体の裁量で大学の誘致や支援などを行えるよう
にすべきでしょう。
ジュネーブでは日本人会の仕事もされていたとか。
橋本
JETRO の事務所は、ジュネーブ日本人会の事務局も務めていました。当時のメンバーは
200 - 300 人ほど。現地で結婚されて生活基盤をもたれている方が 3 分の1、企業の駐在員が3
分の1、国際機関などに勤める政府関係者が3分の1といった感じでした。日本人会の会報もわ
れわれが作っていました。
Newsletter September 2012 | 6
ジュネーブ日本人会には東京支部があるそうですね。
橋本
はい。われわれがいた当時の日本人会の会長を中心に、東京で支部を作りました。メンバ
ーは 30 人ぐらいです。ジュネーブ駐在の人たちが帰国すると声をかけるので、どんどんメンバ
ーが増えています。
9 月から休職出向で早稲田大学の教授になられました。どんなことを教えたり、研究したりさ
れるのでしょうか。
橋本
まさにスイスで重要さを知った MOT や、イノベーション学を教え、研究します。また、
産学連携の推進役も引き受けます。これまで経産省で培ってきた産学連携の人的なネットワーク
などが生きると思っています。
役所にいると中々自由に発言できない事も多いのですが、大学教授という立場を生かして大いに
モノを言っていこうと考えています。日本のエレクトロニクス産業は今、業績悪化に苦しんでい
ます。なぜ、こんな状況になったのか。これまでの MOT の欠如を反省して、技術戦略を立て直
すことが重要でしょう。そうした課程で、まだまだスイスに学ぶことはたくさんあると思います。
スイス関連団体の視察来日‐
日本の技術や企業構造に高い
関心
来る 10 月に国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会が東京で開催されるのを機に、総会に参
加する主要国関係者が一同東京に集結します。スイス政府関係者も来日し、総会日程の前後
には在日スイス商工会議所などを交え、日本の皆様との交流の機会を設けたいと検討してい
ます。2012 年度は 10 月の IMF 年次総会以外にもスイス関連団体の視察団来日が予定されて
おり、日本に対する関心の高さがうかがえます。
ヴォー州経済視察団来日
2012 年 9 月、スイス西部に位置するヴォー州(Canton of Vaud)の経済視察団の日本訪問が決
定しました。フィリップ・リューバ(Philippe Leuba)ヴォー州経済大臣が率いる同視察団は、
州政府関係者、経済振興団体、学術関連、そして民間企業から成る総勢 30 名で、およそ 4 日間
の日程で日本の先進企業、研究施設、関係団体との交流を深める目的で来日します。
特に、9 月 11 日の Innovation Day を視察の主要イベントとして位置付け、日本企業や研究所を
対象にヴォー州のビジネス環境についてのセミナーを開催します。同セミナーでは、産官学の連
携を奨励し、大学のスピンオフ企業やベンチャー企業から世界有数の多国籍企業まで、多くの革
新的マインドを持つ企業の拠点としてヴォー州が選ばれている理由を、各分野の専門家が紹介し
ます。
同視察団は 11 日のセミナー開催のほか、日本貿易振興機構(ジェトロ)での日本のビジネス環
境について知識を深めるワークショップや、東京・丸の内のインキュベーションセンターの視察、
Newsletter September 2012 | 7
ヴォー州に欧州統括拠点を置く日産自動車訪問、産官学連携による都市開発プロジェクト「柏の
葉キャンパス」の視察などを予定しており、将来的に双方に有益な経済発展の実現を目指したい
としています。
<Innovation Day
開催概要>
日時:
2012 年 9 月 11 日(火) 10:20 – 17:30
場所:
六本木ヒルズ森タワー 49 階 アカデミーヒルズ オーディトリアム
定員:
100 名
費用:
無料
言語:
英語(日英同時通訳あり)
参加申し込み:
https://www.surveymonkey.com/s/Innovation-Day
お問い合わせ:
スイス大使館 スイス・ビジネス・ハブ 担当:木島
電話: 03-5449-8432
メール: [email protected]
swissmem、JIMTOF 開催期間中に学生視察団を派遣
スイス機械・電機工業会(swissmem)は、機械工学や電機工学に携わるスイスの大学生および
職業訓練校の学生を対象に日本での技術視察を支援する Young People Program を立ち上げ、
2012 年 11 月に 21 名の学生を視察派遣すると発表しました。
スイスにおける工作機械業は輸出高のおよそ 35%を占め、経済的に重要な産業です。将来的に
その多くを担う若者が日本の技術や企業の仕組みを学ぶ機会を設ける事により、次世代に向けて
革新的に発展する基盤づくりを図っています。学生視察団が来日する 11 月は、東京で隔年開催
される日本国際工作機械見本市(JIMTOF)が予定されており、学生たちは世界中の工作機械関
連企業が一同に会する JIMTOF 会場を見学し、日本の学生との交流の場も期待されています。
約 1 週間の滞在期間中には、スイスにも子会社を有する株式会社森精機製作所の伊賀事業所見学
や、京都大学訪問なども予定され、民間企業から学術関連まで幅広く見識を深めるプログラムが
組まれています。
Swiss Business Hub Japan – Location Promotion
Embassy of Switzerland
5-9-12 Minami-Azabu, Minato-ku, Tokyo 106-8589, Tel. 0120 844 313, Fax +81 3 3473 6090
Email. [email protected] URL. www.invest-in-switzerland.jp
Newsletter September 2012 | 8
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