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KPMGコンサルティング株式会社 コンパックコンピュータ株式
KPMGコンサルティング株式会社 DR担当 〒100-6223 東京都千代田区丸の内 1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス丸の内23F TEL 03-5293-1010 URL http://www.kpmg.co.jp コンパックコンピュータ株式会社 広報部 〒140-8641 東京都品川区東品川 2-2-24 天王洲セントラルタワー TEL 03-5463-8570 URL http://www.compaq.co.jp/ 株式会社CRCソリューションズ データセンター事業部 営業第3チーム e-mail [email protected] TEL 045-942-5102 URL http://www.crc.co.jp/ マイクロソフト株式会社 インフォメーションセンター 〒151-8533 東京都渋谷区笹塚 1-50-1 笹塚NAビルディング TEL 東京03-5454-2300 大阪06-6347-9300 URL http://www.microsoft.com/japan ® ® SAP R/3 の実運用レベルで 検証された ディザスタ リカバリ ソリューション Dream4C 4社共同技術検証プロジェクト KPMGコンサルティング株式会社 コンパックコンピュータ株式会社 株式会社CRCソリューションズ マイクロソフト株式会社 SAP R/3 の実運用レベルで検証された ディザスタ リカバリ ソリューション ――4社共同プロジェクト「Dream4C」 万一の災害時にいかにして事業を継続していくか。これは地震が多発する日本では、極めて重要な課題である。 また最近ではテロ攻撃のリスクに対する認識も高まっており、ディザスタ リカバリに対するニーズはこれまで 以上に大きくなっているといえるだろう。このようなニーズに対応するために、KPMGコンサルティングとコ ンパックコンピュータ、CRCソリューションズ、マイクロソフトの4社が共同で実施したのが 「Dream4C」 と呼 ばれるプロジェクトだ。SAP® R/3®のディザスタ リカバリ ソリューションを共同で構築・機能検証し、その 結果を公表したのである。ここではこのプロジェクトの概要について紹介する。 事業継続性確保に欠かせない ディザスタ リカバリ われてしまうかもしれない。長期的なシス データを元にサービス サイト (プライマリ テム ダウンによってあなたの会社の競争力 サイト) の再構築を迅速化するのである (図 が大きく殺がれてしまうかもしれないのだ。 1) 。 ビジネスにおける情報技術 (IT) への依存 災害発生時のように、システム全体が壊 ディザスタ リカバリ ソリューションを実 度は、かつてなかったほど高まっている。 滅的な打撃を受けた場合に備えるためのソ 現する技術や製品は既に出揃っており、実 まったくコンピュータを導入していない企 リューションを、ディザスタ リカバリ ソ 業は現在では極めて珍しい存在だといえる リューションという。このソリューション だろう。利用形態も昔のように一部のユー には様々な要素が含まれているが、なかで ザがホストにアクセスするのではなく、多 も重要なのが遠隔地に設置したサイトによ くのユーザがネットワークに接続された状 るバックアップ運用だ。サービスを提供し 態でアプリケーションを利用するように ているシステムのデータを遠隔地に転送 なっている。システムがダウンすれば業務そ し、万一の場合には遠隔地のシステムで のものが停止してしまうといってもいい状況 サービスを継続したり、遠隔地に保存した 原 シK ニP 田ア M 龍 マG コ 一ネ ン 氏 ーサ ジ ャル ーテ ィ ン グ 株 式 会 社 にある企業は、決して少なくないはずだ。 ここで問題になるのが事業の継続性を確 保するためのシステムのあり方だ。特に基 幹系アプリケーションのサービス継続性 は、企業の命運を左右する可能性すらある Dream4Cプロジェクト協力4社の役割 参加企業 主な役割 プロジェクトマネジメント全般、シナリオ作成、 テスト実施、評価シート・運用定義書作成など 検証に関わる成果物の作成 大問題だといえるだろう。 たとえばあなたの会社が利用している基 ハードウェア提供、技術支援、技術資料作成支援 幹系アプリケーションのサーバ システム が、大地震によって破壊されたと仮定しよ データセンター提供、テスト作業支援、 運用定義書作成支援 う。あなたの会社の業務は、サーバ システ ムの再構築が完了するまで停止してしまう ことになるだろう。この間にビジネス チャ ンスは失われ、既存顧客も他の取引先に奪 事務局、ソフトウェア提供、技術支援、 技術資料作成支援 Dream4C 図1 ディザスタ リカバリ ソリューションのイメージ(検証プロジェクト「Dream4C」の場合) る。実運用に耐えられるソリューションで あることを明確に示した上で、効果的なソ リューション導入ノウハウを確立すること バックアップサイト 横浜コンピュータセンター は、製品やソリューションを提供するベン データ ダの立場から見ても重要性が高いのだとい う。 神戸コンピュータセンター それでは日本のユーザ企業におけるディ サービスサイト ザスタ リカバリ ソリューションの導入状況 は、実際のところどの程度なのだろうか。 遠隔地同士を通信回線で接続し、サービス サイト(プライマリ サイト)の データをバックアップ サイトに転送する。 これによってサービス サイトが壊滅的な打撃を受けた場合には、 バックアップ サイト側でサービスを引き継ぐことができるようになる。 SQL Serverのログ シッピング機能によっ ® ® て、自社でもSAP R/3 のディザスタ リカ バリ ソリューションを導入しているマイク 用的なレベルで利用できる状態になってい る。しかし実際のシステムで利用する場合 には、複数ベンダの製品が利用されている “複合的な環境” でソリューションを動かす 必要があり、本当に十分な効果が発揮でき るのかという不安が残る。 このような不安を解消するために、 KPMGコンサルティングとコンパックコン 広 アエテ統ソコ シンク括リン 木ス タニ本ュパ 太 ターカ部ーッ プ 氏 ンラル ト サ イ マ ポ ネズー ジアト ャプ本 リ部 ーケ ー シ ョ ン 技 術 部 シク ョコ ンン &ピ テュ クー ニタ カ株 ル式 サ会 ポ社 ー ト ® ロソフト株式会社の鳥羽氏は 「昨年導入され た中規模以上の事例では、3割以上の企業が クラスタやログ シッピングによってディザ スタ リカバリを実現しており、その割合は 増加傾向にある」 という。 「ただし現在はま だ同一敷地内のサイトでバックアップを行 うケースが多い。しかし最近では遠隔地同 士でログ シッピングを行いたいという話も ® ピュータ、CRCソリューションズ、マイク 年6月にはSQL Server 2000とSAP R/3 を 増えているようです」 (鳥羽氏) 。 ロソフトの4社は、 「Dream4C」 と呼ばれる 組み合わせたデモ環境を構築。その一方で 「ディザスタ リカバリに対するニーズは、 プロジェクトを実施した。このプロジェク ディザスタ リカバリに特化した開発プロジ 昨年9月の米国同時多発テロ事件をきっかけ ト名は 「Disaster Recovery EvAluation ェクトも既にいくつか動いていたという。 にさらに高まっている」 というのは、コン Method by 4 Companies」 の略。IAサーバ 「日本は地震などの災害に対してセンシ パックコンピュータの本間氏だ。2001年9月 とSAN対応ストレージ、Windows 2000 ティブであり、ディザスタ リカバリに対す 以降は、テラバイト規模のデータを持つシ Server、そしてSQL Server™ 2000の上で るニーズは昔から高い。しかし実際のソ ステムでは、必ずディザスタ リカバリの導 SAP R/3 が稼動する環境において、ディ リューションは各ベンダが個別に提供して 入が検討されるようになっており、実際に ザスタ リカバリ ソリューションの共同構築 いるため、複数ベンダの製品が混在する環 導入される割合も以前の10倍にまで高まっ と検証が行われた。 境で本当に目的通り動くかどうかは、実際 ているという。 にシステムを構築してみるまでわからない その背景にはディザスタ リカバリの重要 ケースがほとんどです。ユーザ企業に安心 性が再認識されたことだけではなく、ソ ® ® ® 必要なのは実運用レベルの検証 テロ事件でさらにニーズ高まる ® ® してディザスタ リカバリ ソリューションを 「SAP R/3 におけるディザスタ リカバリ 導入してもらうには、実運用レベルでの機 ソリューションの検証を行いたいという話 能検証を行うことで、リファレンスを提供 はずいぶん前からありました」 というのは、 する必要があったのです」 (原田氏) 。 このプロジェクトの提唱者であるKPMGコ コンパックコンピュータ株式会社からこ ンサルティング株式会社の原田氏だ。同社 のプロジェクトに参加した広木氏も 「ハード ® ® では以前からSAP R/3 を利用した基幹系 ベンダだけではディザスタ リカバリ ソリュ ソリューションの提供を手がけており、 2001 ーションの提供には限界がある」 と指摘す 鳥 シ第シマ ニ二スイ 羽ア Sテク 泰 SEムロ ズソ 統 E 英 氏 括エフ 部ント 第ジ株 二ニ式 グア会 ルリ社 ーン プグ 本 部 本 ススエコ トトンン 間レ レタパ 孝 ーーーッ 秀 ジジプク リューション導入のハードルが低くなって いることも大きいと指摘する。以前は遠隔 製製ラコ 氏 品品イン 企本ズピ 画部ビュ 部 ジー 部 ネタ 長 ス株 統式 括会 本社 部 地同士をつなぐ回線のコストが高かった が、最近では選択可能な回線のバリエー ションが増え、コストを抑えることが容易 になっているのだ。コンパックが提供して TM いるSANworks データ リプリケーション 支援、運用定義書作成支援を担当した。 プロジェクトの事務局はマイクロソフト に設置。この体制のもと、2001年10月23日 にプロジェクトが発足する。 遠隔地同士のフェイル オーバを 30分以内で行えることを確認 ® ® 検証内容は、SAP R/3 が稼動している マネージャ (以下DRM) も、2001年10月から ダークファイバをサポートしており、ディ 同一サイトのディザスタ リカバリは既に提 プライマリ サイトでサーバ群が壊滅的打撃 ザスタ リカバリ構成がさらに導入しやすく 供しており、遠隔サイトを利用した方法に を受けたときに、別拠点に設置されたサイ なっているという。 関するノウハウも確立しようとしていたと トでSAP R/3 の稼動を一定時間以内に引 ころでした」というのは株式会社C R Cソ き継げるか否かというもの。SAP R/3 の リューションズの岸氏。 「Dream4Cプロ 同時トランザクション数を100程度 (企業規 ジェクトへの参加はちょうどいいタイミン 模1万人程度を想定) とし、SD、FI、MMの このような背景のもと、Dream4Cプロ グでした」 という。 3モジュールについて動作検証が行われた。 ジェクトの話が具体的に持ち上がってきた 今回のプロジェクトにおける4社の役割分 サービスの引継に許される時間としては約1 のは2001年8月頃だった。今回のプロジェク 担は次の通りだ。 時間を想定。一般的なビジネスであれば十 トに参画したKPMGコンサルティングとマ まずプロジェクトの提唱者となった 分に妥当な数字だといえるだろう。 イクロソフト、コンパックコンピュータ KPMGコンサルティングはプロジェクト マ は、数年前からグローバル アライアンスを ネジメント全般とシナリオ作成、テスト実 結んでいる仲であり、2000年の米国/欧州 施、検証に関わる成果物の作成を担当。コ SAPPHIREや2001年の欧州SAPPHIREで ンパック コンピュータとマイクロソフト は3社共同による出展も行っている。そこで は、今回の検証で使用するハードウェア/ソ 今回もこの3社で、共同検証を行おうという フトウェア製品の提供と技術支援、技術資 話し合いが進んでいた。最終的にプロジェ 料作成支援を行った。そしてCRCソリュー クト着手のきっかけになったのは、前述の ションズはデータセンタ提供とテスト作業 それぞれの得意分野を活かし 4社共同プロジェクトを開始 ® ® ® ® 岸 運S株 営M式 義 第S会 将 1推社 ( 氏 部進C 部R 兼C ソ デリ ーュ ター セシ ンョ タン ーズ 事 業 部 ) 同時多発テロ事件。事件発生の翌日にあた る9月12日に緊急ミーティングが行われ、プ 図2 検証で使用されたシステムの構成 ロジェクト開始が決定された。 IAサーバにはCompaq ProLiant 8000、SAN対応ストレージにはStorageWorks MA8000を利用し、その上でSQL Server 2000と ® ® SAP R/3 を稼動させている。遠隔地サイトを利用した検証では、サイト間を1.5MbpsのATMで接続した。 ディザスタ リカバリ ソリューションの検 【横浜】 証を行うには、マシンを設置するデータセ ンタも必要になる。特に今回は遠隔地同士 をつないだ環境を前提にしていたため、複 NIC NIC HBA HBA タセンタを持ち、1995年の阪神淡路大地震 で被害ゼロだったことでも知られている CRCソリューションズにプロジェクト参加 を依頼。これによって4社体制で検証を行う ことになった。 「CRCソリューションズでは 【神戸】 CPU:PentiumⅢXeon700MHz x4 RAM:2560MB プライマリー・サーバー ProLiant 8000 数拠点を持つデータセンタの協力が不可欠 だった。そこで今回は、横浜と神戸にデー ユーティリティ・サーバー ProLiant DL580 CPU:PentiumⅢXeon700MHzx8 RAM:4096MB Public LAN スタンバイ・サーバー CPU:PentiumⅢXeon700MHzx8 RAM:4096MB FC Switch FC Switch FC Switch FC Switch HSG80 HSG80 NIC ProLiant 8500 HBA HBA HSG80 プライマリー・ストレージ StorageWorks MA8000 スタンバイ・ストレージ StorageWorks MA8000 HSG80 Dream4C 図3 検察結果 いずれのケースでも30分以内にフェイル オーバできることが確認された。 同一拠点 遠隔地 所用時間 所用時間 ログシッピング 約30分 約30分 DRM 約10分 約20分 製品名 野 マコテアS ネンクラA 呂ー ピノイP 瀬 ジテロアジ 孝 ャンジンャ スースパ 久 ーセ ン 氏 アマ ンラネ株 タイー式 ーアジ会 ンメ社 スン 担ト 当本 部 検証作業は2段階に分けて行われた。まず またフェイル オーバなどの作業を行う はシステムそのものの稼動検証を行うため 際、ログ シッピング、DRMのいずれの場合 に、同一サイトでバックアップを行う環境 でも、遠隔地からのリモート コントロール を構築 (図2) 。ここでSQL Serverのログ が容易に行えることも確認された。これも 思います」 (野呂瀬氏) 。 シッピング機能によってデータを転送する 今回のプロジェクトにおける重要な成果のひ 単に検証が行われただけではなく、運用 方法と、Compaq StorageWorks (SAN対応 とつだといえるだろう。リモート コントロー 上のノウハウや作業手順の確認が行われた のストレージ製品) が提供するDRM(Data ルの実現は、災害発生時の対応を迅速化す ことも重要なポイントだ。これらはドキュ Replication Manager) によってデータを転 る上で欠かせない要件のひとつである。 メントの形で整理されており、ノウハウを 送する方法の2パターンで、検証が行われ このようにIAサーバとSANストレージ、 必要とする顧客企業にガイドできるように た。これらそれぞれのレプリケート手法に SQL Server 2000を組み合わせたディザス なっている。 「SAP R/3 の導入事例におい おいて、データが正しくレプリケートでき タ リカバリ ソリューションは、大規模な ること、フェイル オーバやフェイル バック SAP R/3 システムを十分に支えうる現実 トールベースのシェアは、昨年1年間で6割 的なソリューションであることが検証された。 近くに上っています」 と野呂瀬氏。 「今回の ® ® も問題なく行えること、SAP R/3 の稼動 に影響を与えないこと、1時間以内にフェイ ル オーバできること、ネットワークやスタ ンバイ側のサーバに障害が発生してもデー タのレプリケートが行えること等が確認さ ® ® 検証済みソリューションが 加速する導入への取り組み 「Dream4Cプロジェクトの検証結果は、 ® ® ® ® て、IAサーバ上でのSQL Server版のインス 検証プロジェクトで確立されたディザスタ リカバリ ソリューションは、これらの多数 のユーザ企業に大きなメリットをもたらす はずです」 (同氏) という。 れたのである。 SAP R/3 を導入しようとしているユーザ ディザスタ リカバリを取り入れたシステ 次に行われたのが遠隔地同士のディザス 企業にとって非常に大きな意義を持つ」 とい ムの導入は、事業継続性という観点から見 タ リカバリの検証だ。約600km離れた横浜 うのは、SAPジャパン株式会社でパートナ れば、いまや必須条件だといってもいい。 サイトと神戸サイトの間を1.5MbpsのATM アライアンスを担当している野呂瀬氏だ。 しかしこれまでは、システム構築に必要な で接続し、上記と同様の検証が行われた。 SAP自身も複数のパートナ企業と共同でコ コストや運用ノウハウの確立というハード 同一サイト環境における検証が行われた ンピテンスセンターを設置し、そこでOS、 ルの存在によって、実際にディザスタ リカ のが2001年12月。遠隔サイト環境における RDBMS、SAPの製品を組み合わせたシス バリ ソリューションを導入する企業は少数 検証は2002年1月に実施された。そしてこれ テムの稼働検証を行っているが、それらの 派だったといえる。アプリケーション レベ らの検証に関する報告書が作成され、2002 ほとんどは基本機能の動作確認が中心。こ ルで検証済みのソリューションが存在しな 年2月22日にプロジェクトは終了した。 れに対して今回のプロジェクトは、単に製 かったため、導入を諦めざるを得ないケー 検証結果をまとめたのが図3である。連続 品の稼働検証ではなく、アプリケーション スも少なくなかったのだ。 5000件以上のトランザクションが発生する の実運用レベルでシステムを稼働させて検 しかしこのような状況も、今後は大きく 状況において、いずれのケースでも30分以 証を行っている点が大きなポイントなのだ 変わってくるだろう。既にDream4Cプロ 内にフェイル オーバできることが確認され という。 「このようなことをコンピテンスセ ジェクトによって、検証済みのソリュー た。これは当初設定されていた “1時間以内 ンターで行おうとしても、様々な制約があ ションが利用できるようになったからだ。 のフェイル オーバ” に比べ、かなり短い時間 るため非常に難しい。コンサルティング会 これによって日本企業におけるディザスタ だといえる。これなら事業の継続性は十分 社を中心に複数企業が協力しあうことで、 リカバリへの取り組みは、飛躍的な前進を に確保できるはずだ。 初めて可能になった検証プロジェクトだと 遂げることになるはずだ。 ディザスタ リカバリ ソリューション導入成功のポイント Dream4Cプロジェクトによって、ディザスタ リカバリ ソリューションの現実性が検証され、安心して導入 することが可能になったといえる。しかし実際にソリューションを導入するには、他にも数多くの留意点が存在 するはずだ。そこでここではDream4Cプロジェクトで中心的な役割を果たしたKPMGコンサルティングに、 ディザスタ リカバリを成功させるためのポイントを聞いた。 ことが可能になります。しかし本当にそれ ルタイム性が求められないケースもある。 だけの投資が必要なのか。場合によっては この場合にはログ シッピングのようにソフ もっと安価な方法で対処できるのではない トウェア レベルのレプリケーションを選択 既に述べたように、ディザスタ リカバリ かと考えることが必要です」 (同氏) 。 すればいいだろう。これなら回線帯域が狭 ソリューションの導入は事業継続性を確保 たとえばリアルタイムなデータ レプリ くても対応できるため、システム コストを するために欠かせないものだといえる。し ケーションによって短時間でのフェイル 低減できる。また意図的にウェイト時間を かしとにかくソリューションを導入すれば オーバを行いたい場合には、遠隔地同士を 設けてレプリケートすれば、ヒューマンエ それでいいというわけではない。十分な効 高速回線で結び、DRMのようなハードウェ ラーによる障害に対応することも可能にな 果を得るためには、導入に当たってしっか ア レベルのレプリケーションを行う必要が る。原田氏によれば 「欧州の事例の中には、 りとした検討を行い、運用体制を確立する ある。もちろんこのようなソリューション 数時間のディレイを入れてログシップを ことが必要だ。これはディザスタ リカバリ を実現するには、通信回線などにそれなり 行っているケースもある」 という。 ソリューションに限らず、あらゆるソ の投資を行う必要がある。 1日∼数日の時間遅れが許されるのであれ リューションに共通していえることであ しかしアプリケーションによってはリア ば、通信回線ではなくメディアを利用する 求められる継続性のレベルで 異なる最適なソリューション る。それではディザスタ リカバリ ソリュー ションの導入では、いったい何に注目すべ きなのだろうか。 図4 ディザスタ リカバリを実現するためのレプリケーションの手法 高いリアルタイム性が求められる場合にはハードウェア レベル、それほど厳密でない場合にはソフトウェア レベル、1日∼数日のディレイが 許されるのであればメディアを利用する方法が選択できる。なおソフトウェア レベルのレプリケーションで意図的にディレイを発生させるこ とで、ヒューマン エラー等による障害からシステムを復元することも可能だ。 KPMGコンサルティングの原田氏は 「まず テープを利用したレプリケーション(テープ等) は必要なサービス継続性レベルを明確にす るべき」 だという。求められる継続性のレベ SAP®/R3® ルは、企業の経営ポリシーによって異な り、同一企業内でも事業やアプリケーショ データベース サーバー ンによって変わってくる。それぞれの必要 レベルをきちんと見極めることが、ディザ スタ リカバリ ソリューションの投資効果を テープ 装置 SAN対応 ストレージ SAP®/R3® ソフトウェアレベルの レプリケーション (ログシッピング) ハードウェアレベルの プリケーション (DRM) データベース サーバー SAN対応 ストレージ テープ 装置 高めるための最重要ポイントなのだとい プライマリサイト う。 「ソリューションに対する投資額を大き くするほど、保持されるデータのリアルタ イム性が高くなり、事業の継続性も高める *Microsoft、Windowsは、 米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。 *Compaq、StorageWorks、 SANworks、 ProLiantは米国コンパック・コンピュータ・コーポレーションの登録商標または商標です。 *SAP、R/3はSAP AGのドイツ及びその他の国における登録商標または商標です。 *その他記載されている会社名、 製品名等は、各社の登録商標または商標です。 バックアップサイト Dream4C 図5 ソリューション選択の5つのチェックポイント 方法も考えられる。たとえばテープなどに 設けることも検 データを格納し、それを遠隔サイトに運ん 討すべきだろ でデータを適用するのである。この方法な う。このように チェックポイント ソリューション ら遠隔地同士をつなぐ回線は最小限のもの それぞれの災害 リアルタイム性の要否 レプリケーションの手法 で済んでしまう。 規模毎に求めら このように遠隔地を利用したディザスタ れる事業継続性 データ復旧点の見極め サイト間の回線容量 リカバリ ソリューションにも、様々な実現 のレベルを判断 方法が存在するのである (図4) 。 し、バックアッ アプリケーション範囲 データ量 遠隔サイトのロケーション 対応災害規模の想定 遠隔サイトの機能構成 ソリューション選択のための 5つのチェックポイント プ サイトの場所 求められる要求によって、最適なソリューションが変わってくる。必要に応じて複数の ソリューションを組み合わせれば、複数のレベルの要求に対応することも可能になる。 を決めていく必 要がある。 それでは最適なソリューションを選択す そして第5 は るためのチェックポイントを、もう少し詳 ホット サイトで しく見ていこう。 ある必要の有無 まず第1に見極める必要があるのが、リア だ。たとえば災害発生時に1時間以内でサー した時の指揮・連絡の体制を明確にし、作 ルタイム性が必要か否かである。これに ビスを再開するという条件があれば、バッ 業手順を明確に示したマニュアルを展開し よって遠隔地同士をつなぐ基本的な方法が クアップ サイトはホット サイトである必要 ておく必要がある。迅速な災害対応にはリ 決まってくる。既に述べたように、タイム がある。しかしサービス再開までに1日∼数 スク マネジメント担当の責任者が重要な役 ラグが許されないシステムほど、通信回線 日程度の余裕があれば、必ずしもホット サ 割を担うことになるが、このポジションに への投資額が大きくなる。 イトである必要はない。代替サイトの構築 はできるだけ役員レベルの人を起用すべき 第2はどこまでデータを保護するか。これ に必要なデータを確保するだけでも、十分 だと原田氏はいう。またシステム部門だけ はリアルタイム性と密接な関係がある。レ にその機能を果たすことができる。 で体制を組んでしまうと、業務レベルの プリケーションに時間遅れがあると、プラ 求められる条件によっては、単一ソ ディザスタ リカバリにならない可能性もあ イマリ サイトが壊滅的打撃を受けた時に最 リューションだけでは不十分なこともある るため、必ずユーザ部門を交えた体制を確 新データが失われる可能性がある。この だろう。この場合には複数のソリューショ 立することも重要だという。 データ消失をどの程度まで許容できるのか ンを組み合わせて利用するといい。たとえ このような体制をきちんと機能させるに も明確にしておく必要がある。 ば国内の広域災害には遠隔地にホット サイ は、定期的な訓練も必要になる。この時、 第3はディザスタ リカバリでカバーすべき トを用意してプライマリ サイトと通信回線 運用体制やマニュアルの見直しも同時に行 アプリケーションの範囲やデータ量。サイ で結んだレプリケーションを行い、有事へ うといいだろう。リスク マネジメントの意 ト間を接続する通信回線に求められる帯域 の対応ではデータを格納したメディアを海 識が高い企業の中には、半年に1回の頻度 は、これによっても変わってくる。 外に送って確保する、といった組み合わせ で訓練を実施しているところもあるとい 第4は対応災害規模の想定。これは遠隔 方が考えられる。複数のソリューションを う。 サイトの場所を決定する上で重要だ。たと 組み合わせることで、多様な災害に対応で いずれにしても基本となるのは、ビジネ えば火災やテロ事件を想定してディザスタ きる柔軟なディザスタ リカバリが実現でき スの継続性という視点からソリューション リカバリを導入するのであれば、サイト同 るのだ (図5) 。 を選択することと、単にデータをレプリ 士の距離は数10km程度あればいいだろ う。しかし地震のような広域災害を想定す るのであれば、最低でも100km以上の距離 ホットサイトの要否 迅速な対応を実現するには 定期的な訓練も必要 ケートするだけではなく、常にリカバリを 意識した仕組みを構築することだ。これに よってディザスタ リカバリ ソリューション が必要だ。また戦争などの有事を想定する ソリューションの選択だけではなく、運 に対する投資効果を最大化することが可能 のであれば、海外にバックアップサイトを 用体制の確立も重要だ。実際に災害が発生 になるのである。 【お問い合わせ】 ●KPMGコンサルティング株式会社 TEL 03-5293-1010 URL http://www.kpmg.co.jp 【お問い合わせ】 ●コンパックコンピュータ株式会社 TEL 03-5463-8570 URL http://www.compaq.co.jp/ 【お問い合わせ】 ●株式会社CRCソリューションズ TEL 045-942-5102 URL http://www.crc.co.jp/ 【お問い合わせ】 ●マイクロソフト株式会社 TEL 東京03-5454-2300 大阪06-6347-9300 URL http://www.microsoft.com/japan 問い合わせ】