Comments
Description
Transcript
最適集合駅探索 Web サービスの構築
平成○年○月○日 最適集合駅探索 Web サービスの構築 学籍番号:0010000 氏名:○○○○ 1. はじめに 総務省の調査によれば,PC からのインターネット利用者の 38.9%が過去 1 年以内に路線探索 などの地図情報提供サービスを利用している[1]。 路線探索サービスは便利であるが,複数地点にいる人間が集合地点を決めるような場合には, 意外にも不便である。例えば,千葉駅と横浜駅と大宮駅にいる 3 人が集合すべき場所を探そうとす ると,東京駅など適当な候補駅をいくつか思い浮かべた後,候補駅と 3 つの駅の間の路線探索を 行って,適切かどうかを確認する作業を繰り返す必要がある。複数の駅を出発地点として,適切な 集合駅を探索したいといった需要は,少なからずあるはずだが,そのような需要に応えるサービス は,現在のところ,Web 上に提供されていない。 本研究では,Web 上で適切な集合駅を探索するサービスを構築することを目的とし,東京近辺 に地域を限定したプログラムを試作した。本稿では,最適集合地点を探索する手法と,試作した最 適集合駅探索 Web サービスについて報告する。 2. システムの構築 2.1. データの整備 本研究では,駅データ[2]から東京都,千葉県,埼玉県,神奈川県を通る主要な 125 路線から 2031 駅を抽出した。抽出した駅のうち,徒歩で乗換可能な駅同士をグループ化し,1492 の駅グル ープを定義した。また,時刻表[3]および路線探索サービスなどを参考に,隣接駅間に,代表的な 所要時間(分)を設定した。さらに,駅グループ内のすべての 2 駅の組み合わせに対して,乗換の 所要時間として 5 分を設定した。 2.2. 実装方法 本システムは,図 1 に示すように,「駅間所要時間算出」,「駅グループ間所要時間算出」,「最 適駅探索」の 3 つの部分から構成される。 2.2.1. 駅間所要時間算出 テーブル「駅」,「隣接駅」を用いて,任意の 2 駅の間の最短所要時間を算出した。最短所要時 間の算出には Floyd アルゴリズム[4]を利用した。駅数を n としたとき,本処理の計算量は O(n3)であ る。算出結果はテーブル「駅間所要時間」に格納した。 《中略》 1 [1] 駅データ 駅グループ データ 駅間所要時間 算出 隣接駅 データ [2] 駅グループ間 所要時間算出 駅間 所要時間 クライアントPC [3] 最適集合駅探索 駅グループ間 所要時間 Web ブラウザ Webサーバー 駅データ 駅グループ データ 図 1 システムの概要 3. 実行結果 本システムの実行例を示す。 《中略》 4. おわりに 本研究では,出発駅を複数与え,最適な集合駅を探索する Web サービスを構築した。東京, 千葉,埼玉,神奈川限定ではあるが,概ね妥当な結果を得られることが確認できた。 今後の課題として,探索対象地域の拡大と評価基準の見直しが挙げられる。本手法では駅数 の 2 乗に比例した記憶領域が必要なため,探索対象地域の拡大には,対象地域の分割を行うなど の工夫が必要である。また,現在の評価基準では,お互いに近接した複数の出発駅と遠く離れた 出発駅が 1 つあるような状況では,実感に合わない最適駅が結果として出力されることがある。今 後,ユーザーの目的に応じて,距離の総和など別の評価基準を選択できるよう検討を行っていき たい。 参考文献 [1] 総務省,『平成 21 年度通信利用動向調査報告書』,p.62, http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR200900_001.pdf,2010 年 9 月 16 日. [2] 株式会社コードプラス, 『駅コード.jp』, http://www.ekidata.jp/, 2010 年 5 月 21 日. [3] JTB パブリッシング交通図書編集部編, 『JTB 時刻表』, JTB パブリッシング, 2010. [4] R. W. Floyd, “Algorithm 97: shortest path”, Comm. ACM, 5(6), p.345, 1967. 2