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事業報告書サマリー版
平成27年度エネルギー使⽤合理化促進基盤整備事業(⾃動⾛⾏技術を⽤いた速度コントロール導⼊による燃費向上効果の調査) 実⽤化が進む⾃動⾛⾏技術の速度コントロールによる省エネ効果の調査 事業報告書サマリー版 2016年3⽉28⽇ 1 自動走行技術を用いた速度コントロール導入による燃費向上効果の調査 報告書サマリー(アイサンテクノロジー) 1. 事業の⽬的と背景、事業内容 事業の⽬的 平成27年度エネルギー使⽤合理化促進基盤整備事業(⾃動⾛⾏技術を⽤いた速度コントロール導⼊による燃費向上効果の調査) 「実⽤化が進む⾃動⾛⾏技術の速度コントロールによる省エネ効果の調査」 背景 ⼈が⾃動⾞を運転する際には、アクセルやブレーキの踏み⽅が個々⼈によって異なり、必ずしも燃費が理想的に低減す るように運転されるとは限らない。⼀⽅で、⾃動⾛⾏においては、アクセルやブレーキについてもコンピュータにより制御される ため、特定の経路において燃費が理想的に低減されるような運転も理論上可能となる。 本事業では、⾃動⾛⾏を実際に⾏った結果を収集し、実際の⼈の運転のデータと照合しての分析を⾏い、⾃動⾛⾏に おける省エネ効果を分析・調査した。 事業内容 愛知県内の道路(豊⽥市交通安全学習センター内テストコース)において、2台の⾃動運転⾞( MicroAutobox を搭載した制御実験⽤⾞両)を、3次元⾼精度地図に埋め込まれた速度情報に従って決められた速度(2パターン) で⾛⾏させ、 CANバスを流れているアクセル開度記録・解析することで、省エネ化の検証を⾏った(⼀定速での通常運 転と⾃動⾛⾏の両⽅を⾏う)。ここで得られたデータを元に、⽇本国内の⾞両が全て⾃動⾛⾏に切り替わった際の効果 も試算した。 1 自動走行技術を用いた速度コントロール導入による燃費向上効果の調査 報告書サマリー(アイサンテクノロジー) 2. 実験の流れ 1.⾃動⾛⾏⽤⾼精度地図の作成 (位置推定等のため)約1km 2.⾃動運転システムの状態管理ツール の開発 (燃費評価のため) 3.位置推定のエラー検出ツールの開発 (評価の正確性確保のため) 5.データ収集、評価 4.地図のレーン情報に速度情報 を追加(速度コントロール⽤) 報告書 20km/h 35km/h ⾼精度地図に 利⽤した⾃動⾛⾏⾞ 速度情報を埋込み ⼀定速度評価 実際の速度情報を記録 名古屋⼤学ロボカー(右3台) 名古屋⼤MBXII⾞両 2 自動走行技術を用いた速度コントロール導入による燃費向上効果の調査 報告書サマリー(アイサンテクノロジー) 3. ⾼精度3次元地図の作成と、⾃動⾛⾏の実施 ⾃動⾛⾏⽤3次元⾼精度地図(本事業では、約1kmの地図を作成した) 1.豊⽥交通学習センターの、⾃動⾛⾏⽤⾼精度3次元地図を作成 (速度情報を埋め込み) 2.3次元地図上を、⾃動⾛⾏⾞で⾛⾏。 (通常⾛⾏と⾃動⾛⾏を、20km/h,35km/hの2パターンで実施) 3.それぞれのアクセル開度データより、省エネに資するデータを分析 2 自動走行技術を用いた速度コントロール導入による燃費向上効果の調査 報告書サマリー(アイサンテクノロジー) 4. 評価結果(アクセル開度) 走行速度 20km/h 速度 自動走行 通常走行 距離 アクセル 開度レンジ 1~30% アクセル 開度最大 45% アクセル 開度平均 1~30% アクセル 開度最大 33% アクセル 開度レンジ 1~35% アクセル 開度最大 35% アクセル 開度平均 1~28% アクセル 開度最大 38% 1km 35m/h ① ⾃動⾛⾏の場合、アクセル開度のレンジ(停⽌から加速し⽬標速度に到達するまでの開度率)が、通常⾛⾏に⽐較して、 最⼤7%の削減となっていた。 ② アクセル開度の最⼤値については、通常⾛⾏の場合、最⼤45%が出ている。これは⼈の判断で運転をする場合、特に運転 技能に左右されることを⽰す。これに⽐較して⾃動⾛⾏の場合は、プログラムが判断するため、最⼤値を最適数値に抑えてい る傾向がある。しかもここは⼗分にチューニングが可能な領域である(強制的に開度を抑えることが可能) ③ アクセル開度ではなく、アクセルを踏み込んでいる回数(フレーム数)が⾃動運転の場合ではかなり少なかった。 ・時速20kmの場合、約8%アクセルフレーム数が減少、時速20kmの±5km/hの範囲では約32%アクセル開度が減少 ・時速35kmの場合、約8%アクセルフレーム数が減少、時速35kmの±5km/hの範囲では約18%アクセル開度が減少 2 自動走行技術を用いた速度コントロール導入による燃費向上効果の調査 報告書サマリー(アイサンテクノロジー) 5. 評価結果(省エネ効果試算) 5-1:通常⾛⾏と⾃動⾛⾏の燃費差想定(右仮定条件下) 5-2:⾃動⾞台数別、⾃動⾛⾏⾞両普及による省エネ効果 1台 1,000台 1,0000台 100,000台 1,000,000台 75,885,095台 1台あたり 1台あたり 1km⾛⾏ 1km⾛⾏(ℓ) 原油換算量(kℓ) 0.0024 0.0000022 2.4242 0.0021641 24.2424 0.0216407 242.4242 0.2164073 2,424.2424 2.1640727 183,963.8667 164.2208645 仮定1︓平均時速35kmの市街地で、100kmの距離を⾛⾏した。 仮定2︓停⽌、加速の割合は、本調査で実施した1kmのテストコースと同率で発⽣とした。 仮定3︓道路状況(カーブ、交差点、信号、道路勾配等)は、本調査で実施した1kmの テストコースと同様の状況で100kmの距離を⾛⾏したとした。 仮定4︓通常⾛⾏に⽐べ、⾃動⾛⾏の場合、アクセル開度が8%削減されたと想定し、結果 燃費効率が8%改善するとした(アクセルフレーム数が8%削減していることより)。 仮定5︓⾞種は、本実験で利⽤した、プリウス(2008/09型)、燃費=33km/ℓとし、この 燃費で100kmの通常⾛⾏が出来たとした。 仮定6︓⾃動運転システムは、本実験で利⽤したシステムと同等のシステムであるとした。 CO2削減量 1台あたり 1台あたり 100km⾛⾏ (Kg-CO2) 100km⾛⾏(ℓ) 原油換算量(kℓ) 0.0056 0.2424 0.0002164 5.5758 242.4242 0.2164073 55.7576 2,424.2424 2.1640727 557.5758 24,242.4242 21.6407273 5,575.7576 242,424.2424 216.4072727 423,116.8933 18,396,386.6667 16,422.0864496 CO2削減量 (Kg-CO2) 0.5576 557.5758 5,575.7576 55,757.5758 557,575.7576 42,311,689.3333 ⽇本国内の⾞両が全て⾃動運転に切り替わった際の省エネ効果は、全⾞両が1km⾛⾏した場合には、 約164㎘の原油削減効果、100km⾛⾏した場合は、約4.2万トンのCO2排出効果となる。 5-3︓⾞両業態・⽤途別、⾃動⾛⾏⾞両普及による省エネ効果(年間平均⾛⾏距離) 業態・⽤途 ⾃家⽤貨物⾞(軽貨物⾞を除く) 事業⽤貨物⾞(軽貨物⾞を除く) 軽貨物⾞ 乗合⾞ ⾃家⽤乗⽤⾞ 事業⽤乗⽤⾞ 合計 ⾞両数(台) 4,936,737 1,095,216 8,635,870 229,389 60,750,526 237,357 75,885,095 1台あたり 1台あたり 平均年間 平均年間 平均年間⾛⾏距離分 ⾛⾏距離分⾛⾏ ⾛⾏距離(km) を⾛⾏(ℓ) 原油換算量(㎘) 25,830 361,865,589 323,030 53,199 170,739,901 152,416 8,207 171,817,176 153,378 556 30,788,175 27,484 10,575 1,557,422,576 1,390,280 64,113 36,315,909 32,418 2,328,949,325 2,079,006 CO2削減量 (Kg-CO2) 832,290,854 392,701,773 395,179,505 70,812,801 3,582,071,924 83,526,590 5,356,583,447 エネルギー使⽤量(原油換算値)としては、約208万㎘、CO2排出としては、約535万トンの削減効果となる。 2 自動走行技術を用いた速度コントロール導入による燃費向上効果の調査 報告書サマリー(アイサンテクノロジー) 6. 評価結果(有⼈⾛⾏における、「エコドライブ10のすすめ」への⾃動⾛⾏の省エネ寄与度考察) エコドライブ普及推進協議会「エコドライブ10のすすめ」にある、有⼈ドライブのエコドライブ⼿法から⾒て、⾃動運転⾞が普及した 場合、どのような省エネ効果が⾒込めるかを考察した。 有人ドライブ「エコドライブ手法」 有人ドライブ「エコドライブ手法」 自動走行の省エネ効果考察 自動走行においては、高精度な地図情報がある 自動走行においては、特に停止時からのスター ことにより、先読みデータよりその先の道路状況 トにおいて、有人と比較して、緩やかな計算され 1 ふんわりアクセル「eスタート」 を理解することで、減速においては早めのレーン た適切なアクセル開度によるスタート調整が可 能であり、省エネに与える寄与度は高いと想定 自動走行の省エネ効果考察 6 渋滞を避け、余裕をもって出発しよう される。 チェンジや、また事前のルート設定でも、カーナ ビゲーションの渋滞情報やVICS情報と連携する ことで、最適な走行ルートでの走行が可能と考え られるため、省エネに与える寄与度は高いと想 定される。 自動走行においては、加速は、適切な省エネア クセル開度調整が可能となる。また減速につい ても、高精度な地図情報があることにより、先読 7 タイヤの空気圧からはじめる整備・点検 8 不要な荷物はおろそう みデータよりその先の道路状況(信号状況と停 2 空気圧の整備点検は、現時点では自動走行で の省エネ効果は想定できないと考える。 荷物の搭載については、人の判断で実施される ものであるため、自動走行での省エネ効果は想 車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない 止線の位置、道路勾配といった静的な地図や、 運転 歩行者・信号状況、工事状況といった動的情報 定できないと考える のいずも効果を発揮する)を理解することで、減 駐車場所については、人の判断で実施される可 能性が高いが、自動駐車サービスが普及の方向 速においては早めのレーンチェンジやエンジン ブレーキを使った減速が可能となり、省エネに 性にある現状で、更に高精度地図を認識できて 9 走行の妨げとなる駐車はやめよう 与える寄与度は高いと想定される。 いることで、危険な箇所への駐車等が出来ない =安全な駐車帯にのみ駐車を行う等のコント ロールが可能であり、省エネに与える寄与度も 3 減速時ははやめにアクセルをはなそう 4 エアコンの使用は適切に 2と同様の効果が見込める 考えられる。 エアコンのON/OFFは、人の判断操作と考え きないと考える。 5 ムダなアイドリングはやめよう 自動運転では、燃費を最適にコントロールしての られるため、自動走行での省エネ効果は想定で (プログラミングしての)走行設定が可能であるた 10 自分の燃費を把握しよう め、燃料残量や、残走行可能距離等から見た、 自動走行では、道路状況や周辺状況に応じた 最適な省エネ走行が可能であり、省エネに与え 適切なエンジンコントロールまでが可能であると る寄与度は高いと想定される。 考えられるため、省エネに与える寄与度は高い と想定される。 10項⽬中7項⽬において、有⼈⾛⾏でのエコドライブ⼿法に対して 2 ⾃動⾛⾏の省エネに与える寄与度は⼗分に⾼いと考察された。 自動走行技術を用いた速度コントロール導入による燃費向上効果の調査 報告書サマリー(アイサンテクノロジー)