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損害賠償 の 軽減 ー被害者の賠償神経症管
害賠償の軽減 損 ー被害者の賠償神経症ー 一 問題の所在 二 責任の当否 四 結び 三 責任の軽減 問題の所在 角 田 光 隆 ドイツ法における被害者の体質的素因に関する法的取扱いについては、別稿で論じた。これによれば、原則として ︵1︶ ﹁虚弱な者に対して加害をなした者は、健康な者に加害をなした場合と同様に扱われることを要求し得ない﹂という 条件の下で、加害者の責任が肯定されている。しかし、加害者の絶対責任が存在するわけでなく、参事官草案第二五 五条aおよびこれ以外の定式では、異常な体質的素因について、損害に対する予見可能性の有無を問うことなしに、 相当性または違法性関連を肯定したうえで、過失の程度が低い場合に損害賠償の軽減を行なう損害額算定説と、過失 の程度が低い場合に、相当性の量的判断を行なって損害賠償の軽減を行なう因果関係説が存在する。また、自分の体 損害賠償の軽減 二八七 早稲田法学会誌第四︸巻︵︸九九︸︶ 二八八 質的素因を考慮した行為に対する非難可能性を求める共働過失に基づく損害賠償の軽減が存在する。しかし、さらに、 異常な体質的素因について、責任要件の不存在・予測不可能性・一般的生活危険・最低限度の抵抗力の不存在を理由 として、加害者の責任を否定する傾向がある。 他方で、このような個人主義的損害賠償法の領域だけでなく、集団的な補償制度を導入して、被害者の体質的素因 の競合した損害を十分に補償しようとする傾向がある。 これらの法的構成が問題となっている被害者の体質的素因は、身体的素因と精神的素因の両者である。しかし、両 者の中で、事故による精神的反応を含んだ精神的素因については、もう少し詳しく論じておく必要がある。なぜなら、 身体的素因に比べて精神的素因は多様性に富んでいて、頻発性もあるからである。したがって、本稿では、精神的素 因について論ずるが、別稿でも留保しておいた賠償神経症︵騨罐Φ耳Φ霧幕霞8ρ寄筥の自Φ霞8ρ↓窪号農潟ξ8の一 N≦①良莞ξ8や閏葺ω9匿蒔信甚ω需霞8ρ力Φ9諺幕ξ8Pの8巨幕ξ8ρく零巴9Φ毎鼠撃①ξ8ρ≦まし。。ぎの瑛8Φ︶を中心 に論じていくことにする。 判例・学説においては、前述した条件の下で、被害者の精神的素因が競合した損害も加害者の責任領域と判断され ている。しかし、被害者の賠償神経症は除外されつつある。そこで、まず第一に、この歴史的経過と法的根拠につい て民事判例を論じてから、これとの関係で社会保険法の判例に言及する。この後で、類似例を含めながら、学説の通 説的立場とこの立場の明確化のための限定基準と批判的見解を述べることにする。第二に、ドイツ民法典第八四三条・ 第二五四条との関係を述べて、減額条項と重大条件論に触れることにする。 このような賠償神経症を含めた精神的素因については、医学的考察を欠かせないものであるが、ここでは主として 法学的観点から論ずることにする。 二 責任の当否 ω 判例の歴史的経過と法的根拠 被害者の身体的素因および精神的素因が競合した損害を加害者の責任領域と判断する源泉となった前述の条件が登 場した判例は、被害者の神経症に関するものであった。この判例は一九三七年のライヒ裁判所のもので、これ以前に ︵2︶ も同趣旨のものはあるが、条件として確立したのは、この判例、すなわち、次にあげる判例を契機としている。 ︹判例1︺ 事実関係は明らかではないが、控訴裁判所は、事故によって神経障害が発生したこと、被害者が神経的 素因を持っていたこと、この素因と被害者の欲望観念がこの障害に対して共働したことを承認した。しかし、この障 害を時問的に途中まで考慮したにすぎなかった。この理由は、激情しやすい病人に様々な病的な興奮状態を伴う激し い精神的反応が事故によって発生したが、この障害の基礎となっている特別な精神状態まで責任を負う必要がないと することである。 これに対し、ライヒ裁判所は、健康的に弱い人問が事故にあって、事故の結果がこの健康状態のために大きくなっ た結果、被害者の稼得能力が侵害された場合には、この侵害は法的意味で完全に事故の結果であるとした。これは、 健康的に弱い人問に対して不法行為をした者は健康な人問を侵害したような立場に置かれる権利を有しない、という 命題で現されている。 この判例からわかることは、被害者の神経症が加害者の責任領域に属し、しかも、控訴裁判所とライヒ裁判所の判 断の比較から見て、被害者の欲望観念に基づく特別な精神状態も加害者の責任領域に属するという感をいだかせるこ とである。このような傾向は、一九五六年の連邦通常裁判所の判決まで続くことになる。しかし、その間にも動揺が 損害賠償の軽減 二八九 早稲田法学会誌第四一巻︵一九九一︶ 二九〇 ︵3︶ なかったわけではなかった。次に、これを取り上げることにしよう。 ︹判例2︺ 列車の脱線事故の際の振動によって発生した精神的興奮によって神経症になり、稼得能力が継続して重 大な侵害を受けた。これによって生じた損害については証明されたものと原審によって承認されたが、賠償金を獲得 するための訴訟が原因となった精神的興奮の結果として生じた病気の悪化については、事故に帰せることができるの かどうか、加害者の責任であるのかどうかが当事者問で争われた。 これに対し、ライヒ裁判所は、法律上の手段によってはじめて権利を追求しなければならない立場にはなく、訴訟 が原因となった精神的興奮を自ら造り出した場合には、間接的な因果関係も存在しないとした。この一般論を述べた うえで、加害者は被害者に訴訟以前に補償をしたことと損害賠償請求権の基準以上の拡張があることを事実認定した。 この判例においては、︹判例1︺の控訴裁判所の判断と同様に、被害者が自ら造り出したものについては、加害者 の責任領域とはしなかった。ただし、︹判例1︺の控訴裁判所の判断では、一九三三年を境として、これ以後を被害 者の責任領域とした。しかし、この判例では、訴訟を提起したこと自体に関連づけて、これによって生じた損害の拡 ︵4︶ 大を被害者の責任領域としたのである。 ︹判例3︺ 通常の年金で退職した被害者が自らの労働不能は左の上腕が骨折した業務上の事故に原因があるとして、 公務員労災扶助法における補償を請求した。 これに対し、ライヒ裁判所は、賠償金を得るために仕事をやめるか、労働能力があるにもかかわらず故意に違法な 行為、すなわち、特に働く意志の欠如によって、年金付きの退職を目的としている場合には、これが労働不能の原因 である。このことは、神経的苦痛が生じた場合にも妥当するとした。 この判例においては、賠償金を得るための故意に違法な行為という主観的要件と労働能力の存在という客観的要件 ︵5︶ に重点が置かれたといえるであろう。 ︹判例4︺ 鉄道事故の結果として退職した被害者が神経病を直すために湯治をして、この費用を被告に請求した。 しかし、原審は客観的に見て必要がなかったとして、請求を棄却した。これに対し、被害者は自らの主観的判断で必 要と認めた湯治の費用も労災扶助法の回復費用の中に入ると主張して、上告した。 これに対し、ライヒ裁判所は、湯治旅行も入るが、この必要性と合目的性は被害者の見解ではなくて、客観的に判 断されるとした。しかも、被害者の主張は、当該法律の文言や歴史にも合致しないとした。 ︵6︶ この判例においては、被害者の主観的判断と当該法律の趣旨に重点が置かれているといえるであろう。 ︹判例5︺ 加害者が被害者を自動車で追抜こうとした際に、被害者が地面に投げ出されたために肩に傷害を受けた。 加害者は被害者に対し賠償金を支払ったが、被害者はさらに月々の定期金とその他の損害の賠償を請求した。これは、 仕立て屋としての職業ができない舞踏病類似のけいれんが現れたとい・?王張に基づいていた。 これに対し、ライヒ裁判所は、このけいれんが事故とは無関係な神経症に基づき、自分は病気で労働不能であると いう誤った観念によるものであるとした。これは事故とは外部的関係しか有せず、法的には事故の結果であるとみな すことができないとした。 この判例においては、事故との無関係性と被害者の主観的観念に中心があるといえるであろう。 このような︹判例2︺から︹判例5︺のように、例外的に加害者の責任が否定されているだけであって、しかも、 被害者の意図的な主観的観念に重点が置かれている場合であり、その他の場合は加害者の責任領域と判断されていた のである。この傾向は戦後も久しく続くことになる。しかし、一九五六年の連邦通常裁判所の判決を契機として新た な展開が生じることになった。次にこれを取り上げることにする。 損害賠償の軽減 二九一 ︵7︶ 早稲田法学会誌第四一巻︵一九九一︶ 二九二 ︹判例6︺ 一二才の時に頭蓋骨骨折を被った一九一一年生まれの被害者が、一九四〇年にオートバイに乗っている 時に加害者と衝突した。その結果、頭の右側の正面に傷害を受けて、脳震湯皿を引き起こした。これに対して、加害者 は一九四九年まで賠償金を定期金で支払った。しかし、被害者は、事故によって継続的に稼得不能になったとして、 一九五〇年の六五才が終わるまで定期金の支払いを請求した。 これに対し、連邦通常裁判所は、他人が損害賠償を給付することによって社会生活や責任領域への復帰を困難また は不可能にした場合には、これは損害賠償請求の意味に矛盾するとした。被害者の精神的状態、特にこの不活動性が 意識していなくても、利益になる生活の安定または現在の法的地位への執着の追求によって説明でき、事故が生活と の闘いの困難さを回避するきっかけとなっている場合には、これは加害者に帰責させることができないとした。なぜ なら、被害者の身体的・精神的回復にとって有害な状態の固定化に寄与することを加害者に期待できないからである とした。この一般論を述べたうえで、事故とかかわり合って、望みを達成しようとする時になって初めて、精神病質 的特色が被害者に現れていることを認定した。これは、被害者が生活の現実に再び立ち向かう場合にだけ取り除かれ るとした。 この判例は、前述した︹判例2︺から︹判例5︺よりも加害者の責任を否定する場合を拡大したものといえるので あって、従来の判例の態度を変更したものである。たとえば、社会生活や責任領域への復帰の困難性・利益なる生活 の安定または現在の地位への意識的無意識的な執着・事故の有する生活との闘いの困難さからの回避性・身体的精神 的回復にとっての有害な状態の固定化などの条件に現れている。これらの条件も、損害賠償給付による効果として捉 えられていることに注目しておく必要があるであろう。また、これらの条件が賠償神経症の特質と一般的に考えられ ている。 この判例はその後の判例の指導的役割を果たすことになり、前述した諸条件を示しながら加害者の責任が否定され ︵8︶ ることになる。次にあげる四つの判例はこの判例の中に属する。したがって、事実関係だけをあげておくことにする。 ︹判例7︺ 交通事故の結果として軽い脳震湯皿と右側の額の正面にわずかな傷害を受けた。被害者は、この健康損害 ︵9︶ によって絶えず多量の発汗と卒倒が生ずるために労働できなくなり、稼得能力が侵害されたと主張した。 ︹判例8︺ 交通事故の結果として左手に傷害を受けた。これは、手の甲の軟部の傷と第三番目の指の伸腱が完全に、 第二番目の指の伸腱の四分の三が切断したことである。被害者は短期問病院で入院治療を受け、さらに長期問外来治 療を受けた。当事者間で一九五二年に発生した損害について和解が成立した。しかしさらに、左手の動きがひどく制 限されたので、家具の製造ができなくなったとして、労働障害を受けたと主張した。この結果生じた一九五三年の損 ︵10︶ 害などを請求した。 ︹判例9︺ 交通事故の結果として被害者は脳震湯皿になり、後頭部に大きなこぶができ、ただちに意識不明になった。 何度も病院で治療を受けたにもかかわらず、ひどい頭痛で完全に不眠症になり、絶えず発熱した。さらに右側の頭部 ︵11︶ の卒倒が生じ、その結果、病み衰えて労働不能になったと主張し、事故後一年後からの稼得損害などを請求した。 ︹判例10︺ 被害者が交通事故によって体中に傷害を被り、心身障害の徴侯である心臓や胃の苦痛と頭痛を被った。 これによって、治療費・稼得損害などを被ったとして七〇万マルクの損害賠償を請求した。 このような︹判例6︺の影響を受けながらも、この判例の趣旨を拡大または制限する傾向も存在する。次にこれに ついて言及することにする。 ︵12︶ ︹判例11︺ 交通事故の結果として、被害者は脳震湯鳳・軽い脳挫傷・右側の後頭部の挫傷・胸郭挫傷を被り、労働不 能になったと主張した。これに対し、加害者は、この軽い傷害が器質的損害や被害者の主張する苦痛を生じさせなかっ 損害賠償の軽減 二九三 早稲田法学会誌第四一巻︵一九九一︶ 二九四 たと主張した。また、以前には廃疾定期金を得るために苦痛を偽り、今も他人の負担で事故を労働から逃れるきっか けに利用したと主張した。さらに、もしそうでなければ、被害者が賠償神経症にかかっていると主張した。 これに対し、連邦通常裁判所は、被害者が賠償神経症であることを認定しながらも、被害者が拒絶状態を克服する という確認が個別事例で行われる必要がないし、被害者が事故を好都合なきっかけとして利用する必要がないとした。 この判例の特色は、被害者が拒絶状態を克服するという確認が行われる必要がないという点に現れている。したがっ て、加害者の責任を否定することが︹判例6︺よりも容易になったといえるであろう。次にあげる二つの判例はこの ︵13︶ 判例の系列に属する。それ故、事実関係だけをあげておくことにする。 ︹判例12︺ 被害者は交通事故において道路のへり石に後頭部をぶつけて、入院治療と在宅治療を受けた。この間は 仕事をせず、労働不能に基づく定期金の支払いを受けた。さらに、被害者は加害者に対し、事故による労働不能・重 い脳傷害による耐えがたい苦痛・一人で家から外出できないこと・新聞ラジオテレビを見ることができないこと・わ ずかな震動と大きな話し声で発作が起こること・アルコールに耐えられないこと・タバコの煙やその他のにおいに非 常に敏感になったことを主張した。これに対し、加害者は、被害者が加害者の責任保険によって十分に補償を受けて いること・事故の六カ月後に軽い脳震湯皿と挫傷の結果が消滅していることを主張した。また、被害者の主張は、神経 ︵14︶ 症的・苦情好きな誤った態度によるとした。 ︹判例13︺ 病院で被害者がヘルニア手術を受けて、轡部の筋肉に毎日注射を受けた。しかし、この注射が誤って行 われたために左足が麻痺するに至った。その結果、継続的に稼得不能になったと主張した。 1︺の影響を受けながらも、被害者の心理的側面を強調する判例が登場するに このような︹判例6︺および︹判例1 至った。これは、次の判例である。 ︵錫︶ ︹判例14︺ 被害者は交通事故によって体中に傷害を受け、脳震湯血を引き起こした。しかし、この傷害は簸痕を形成 せず、指は自由に動くようになり、脳震猛は半年後に消滅するに至った。しかし、この結果は自分の意思で克服でき ず、稼得損害などを被ったと主張した。 これに対し、連邦通常裁判所は、被害者の神経的苦痛が客観的な疾病所見のなかった時点から心理的に不相当に事 件を消化したことの影響によって生じたのであるとした。 この判例においては、心理的な不相当性に重点が置かれたのである。 1︺から︹判例1 4︺までが︹判例6︺を拡大していったものとするならば、以下にあげる 前述したように、︹判例1 四つの判例は、︹判例6︺を制限していったものである。また、これらは、︹判例1︺との関連も明らかにするものと ︵16︶ 言えるであろう。 ︹判例15︺ 交通事故によって脳の傷害を被った被害者が稼得不能となって看護が必要になったとして、損害賠償を 請求した。 これに対し、連邦通常裁判所は、事故によって客観的に生じた生活の中断に対する直接的な反応としてただちに発 展した精神的な拒絶状態を加害者の責任領域とした。 この判例の趣旨を反対解釈するならば、間接的な反応としてただちに発展しなかったものは、加害者の責任領域か ︵17︶ ら除外される可能性があると言えよう。 ︹判例16︺ 重大な頭部の傷害を被ったことがある被害者が乗客として乗っていた市街電車が脱線したために頭部を 打って脳震湯皿を引き起こした。この結果、身体損害を被って仕事ができなくなり、稼得損害の賠償を請求した。 これに対し、連邦通常裁判所は、被害者が確かに事故と関連した神経症を被ったが、神経症による観念がはっきり 損害賠償の軽減 二九五 早稲田法学会誌第四一巻︵一九九一︶ 二九六 とある時点に限定されて、生活保障に向けられた欲望観念が存在しないと判断した。 この判例の趣旨を反対解釈するならば、神経症による観念がはっきりとある時点に限定されなかった場合には、異 ︵18︶ なった判断の余地も出てくると言えるであろう。 ︹判例算︺ 被害者はユダヤ人として戦時中に強制収容所に入れられて、その時に受けた身体・健康損害に対し補償 を請求した。 これに対し、連邦通常裁判所は、被害者が身体的・精神的な活力を損害の軽減や除去のために投入することを有責 に怠った場合にだけ、補償給付が減額されるとした。 この判例は被害者が強制収容所に入れられて迫害を受けた特別の場合であって、被害者に過失がある場合以外は加 ︵19︶ 害者の責任領域と判断したものである。 ︹判例18︺ 被害者は交通事故によって脳震盟・膨大な出血を伴う挫傷・頭部の外傷を被った。その結果、労働不能 となって、稼得損害を被るに至った。 これに対し、連邦通常裁判所は驚愕体験が克服されないでいる場合には、現実神経症の範囲を明らかにしなければ ならないと判断した。 この判例においては、まず第一に、現実神経症の範囲を明らかにすることを明示しているのである。 以上においては、主として民事判例を中心として賠償神経症に関する判断の傾向を探究してきた。それによれば、 前述した条件の下で被害者の精神的素因が共働した損害も加害者の責任領域に含められた。しかし、被害者の意図的 な主観的観念がある場合、社会生活や責任領域への復帰の困難性・利益になる生活の安定または現在の地位への意識 的無意識的な執着・事故の有する生活との闘いの困難さからの回避性・身体的精神的回復にとっての有害な状態の固 定化などが被害者に生ずる場合、被害者の心理的な不相当性がある場合などが基準となり、しかも、被害者が拒絶状 態を克服するという確認が行われる必要がないという条件も加わって、被害者の精神的素因に対する加害者の責任領 域の例外が認められてきたのである。また、加害者の責任の除外に関する制限基準も示されてきたのである。 このような傾向を踏まえたうえで、社会保険法の領域においても部分的に同様の傾向が見られる。前述した︹判例 3︺と︹判例4︺がそうであり、一九二六年のライヒ保険庁の示した原則にも現れている。戦後になってからは、一 ︵20︶ ︵21︶ 九六一年に連邦労働裁判所が︹判例6︺を継受したのである。 しかし、事実関係が詳細でなく、また、差戻しになったために、、被害者の明確な精神状態の特定はないが、この ︵22︶ ような傾向とはややニュアンスの異なる判例が存在する。 ︹判例19︺ 仕事中に手と前腕に傷害を受けた被害者が手と前腕の震えの存在を理由とした定期金の全額を請求した。 これに対し、連邦社会裁判所は、ライヒ保険庁が立てた原則が適用されないのは、直接器質的に条件づけられたの ではなく、むしろ単に心理学上理解できるにすぎない反応である現象が法的意味での事故結果ではありえない場合で あるとした。また、この原則は、事故に対する心理的反応があらゆる場合に欲望に条件づけられた観念に基づいてい るわけではないことを十分に考慮していないとした。 この判例においては、一般論の形ではあるが、加害者の責任領域から除外される場合についての条件が示されてい る。 ︵23︶ ︹判例20︺ 被害者が戦事中に歩行障害となった。 これに対し、連邦社会裁判所は、器質的な結果を残さなかった兵役に条件づけられる影響が神経症に基づく状態の 重大な条件でありえないとすることは、重大条件論の適用にとってあらゆる事情を含めたとは言えず、法律違反であ 損害賠償の軽減 二九七 早稲田法学会誌第四一巻︵一九九一︶ 二九八 るとした。 ︵24V この判例は、希薄な関係であったにもかかわらず、兵役と神経症との因果関係を承認したものである。 ︹判例21︺ 被害者が神経症によって労働不能となった。 これに対し、連邦社会裁判所は、被害者が期待可能な意思の緊張をした場合にも自力で克服できない精神障害すな わち神経症に基づく抑制は当該法律の疾病であるとした。 この判例においては、見せかけの障害が少なくとも部分的に考えられるとしていることから、連邦社会裁判所が示 した一般論もこれとの関係で見ておく必要があるであろう。 以上のように、社会保険法の領域においても民事判例と同じ傾向があるので、前述した民事判例の基準がここにお いても妥当することになるであろう。しかし、︹判例B︺から︹判例21︺にも見られるように、民事判例より責任領 域を拡張している傾向も存在するのである。 ︵25︶ 吻 学説の通説的立場と批判的見解 被害者の神経症に基づく損害については以前から、医学的・法学的な観点から大いに論じられてきた。ここから得 4︶ ︵35︶ ︵36︶ ︵3 ︵27︶ へ28︶ ︵29︶ ︵30﹀ ︵31︶ ︵32﹀ ︵33︶ ︵3 7︶ られた結論は、判例の影響を受けながらも、被害者の神経症に基づく損害は加害者の責任領域に入るが、被害者の ︵26︶ 賠償神経症に基づく損害は加害者の責任領域に入らないということである。これが現時点での通説的立場で、頃窪鉾 ≦一簿ΦさくΦ自寅舞薯3①さ殉Φぎ費ω9旨島︸○簿のさ国ωωΦさく。O器目筥の語さ国o巨8げ”の貯㌘≦彦ωo≦\囚躰℃冨あど零F一きαq一 ︵38︶ ︵3 9︶ ︵40︶ ︵41︶ 盈︶ へ43︶ ︵興︶ ︵45︶ へ46︶ 窯①良窪ωあ昌巧弩げあ。ゴ一Nρの歪拐ξ㌔一謎昏四呂一ビ巽Φ冒論Φ一魯臼目P浮ヨ膏鍔田§四言鍔轟Φなどによって主張さ れているのである。その上、事故と神経症に基づく損害との相当因果関係を肯定する場合の法的根拠として、神経症 的反応への素因は例外的現象ではなくて、扶助思想で支配される我々の社会にとって典型的な大量現象であるという ︵47︶ ︵48︶ ︵49︶ ︵50︶ 趣旨のことが、頃弩炉浮鴨ゴ幕59①8犀ρω9譲彗げなどによって指摘されているのである。また、前述した︹判例 6︺・︹判例11︺・︹判例14︺は必ず代表例としてあげられている。特に、これらの中でも、︹判例6︺に賛成する者が 多いと言えるであろう。 このような通説的立場の意義を理解するためには、さらに、類似例・通説的立場の明確化のための限定基準・批判 的見解を見ておく必要があるであろう。 ︵51︶ ︵52︶ まず第一に、類似例について見てみると、冒頭で示した条件の下で、被害者の精神的素因に基づく損害は加害者の 責任領域に属すると判断できる。ただし、判例・学説によれば、被害者の通常でない精神的素因が共働したことによ る損害は、加害者の責任領域から除外されるのである。しかし、心理的不安定さが重大条件となっている場合にも、 この結果の心理的反応である抑うつ症や性格の変化については、判例・学説によれば、加害者の責任領域と判断され ︵53︶ ︵54︶ ている。したがって、事故の結果生ずる通常の心理的反応は当然に加害者の責任領域に属すると言えるであろう。し ︵55︶ かしながら、この心理的反応によって被害者が自殺することがあるが、この結果の加害者への帰責は事情によって異 なると言えるのである。また、被害者の死亡あるいは傷害によって第三者がショックを受けることがあるが、この第 ︵56︶ 三者のショックの加害者への帰責も事情によって異なっている。さらに、事故と結びついている苦痛に依存するアル ︵57︶ コールや薬物の中毒によって稼得不能となった場合には、これは加害者の責任領域に属すると解されている。また、 ︵58︶ 被害者の精神的素因の発現あるいは心理的反応が加害者の行為がなかったとしても損害を生じさせた場合には、仮定 的因果関係の問題として処理されている。 第二に、このような類似例を考慮に入れながらも、明確化のための限定基準として、仮病や誇張があげられる。仮 病とは、存在しない疾病を意識的に偽ることで、稼得能力は現存するために損害はないのである。これに関連して、 ︵59︶ 損害賠償の軽減 二九九 早稲田法学会誌第四一巻︵一九九一︶ 三〇〇 1︶ 0︶ 2︶ 仮病が硬化して神経症になった場合や次第に自ら病気の重大さを確信してから偽った場合にも、加害者の責任領域に ︵6 は属しないと解されている。他方で、誇張とは、存在する疾病を意識的に大げさに述べることで、仮病と同様に、損 ︵6 害は存在しないのである。したがって、加害者の責任領域には入らないのである。しかし、誇張と特定の神経症との ︵6 区別は実際上困難であることが指摘されている。 さらに、賠償神経症に関する言及に関連して、明確化のための限定基準があげられている。この際には、前述した ︹判例15︺から︹判例18︺などに依拠しながら論じられている。たとえば、不安神経症・目的にとらわれない現実神 ︵ 6 3 ︶ 経症・転換神経症は加害者の責任領域とされたり、公権力に基づく迫害の場合の賠償神経症については異なった判断 ︵㏄︶ がなされると解されている。また、直接的な反応としてただちに発生した精神的な拒絶状態は加害者の責任領域とさ れている。しかし、発生した精神的結果が主観的に非難可能な仕方で消化された場合には、加害者の責任領域から除 外されると解されている。 ︵65︶ さらに詳細に見てみると、利益になる生活扶助を賠償金によって取得するために事故を意識的または無意識的に利 用した場合、身体傷害の不法内容とこれに結び付いた欲望神経症との間に目的的結合が存在しない場合、損害現象が 欲望神経症にとってその性質上交換可能な結晶点にすぎず、家族的な原因を有する劣等感に帰せられなければならな ︵66︶ い拒絶状態がすでに損害現象以前に存在する場合には、加害者の責任が否定されると解されている。他方で、事故ま で抑圧されていた神経症による誤った方向への発展が幼児期から存在したので、神経症が発現した場合に、加害者の ︵67︶ 責任が肯定されている。 しかし、注意しておかなければならないことは、欲望神経症が問われている場合に、すでに身体侵害によって稼得 ︵68︶ 能力がなくなっている場合には、神経症による誤った態度は意昧がないという指摘である。 第三に、批判的見解を見てみると、前述した通説的立場を形成している学説の中においても、賠償神経症に関する 判例に対する批判が存在する。この通説的立場は︹判例6︺を基本としているので、これに対する批判はもちろんな いが、その他の判例、特に、︹判例n︺と︹判例14︺に対しては批判がなされている。 ︵69︶ ︵70︶ ︹判例11︺について、冨お欝は、被害者が拒絶状態を克服することを条件とすべきであるとして、疑問を表明し ている。ζ&ざ5は、帰責関係の否定を極端な損害素因の場合に限定することや民法典第二五四条に基づくべきであ ︵π︶ るとしながら、疑問であるとしている。さらに、田冨Qり9巨象は、この判例に肯定的でありながらも、被害者が自分 の態度について既存の不安定さを明らかにするだけでなく、自分の誤った精神的消化が事実上後からの出来事である ということを少なくとも明瞭に確認できなければならないという限定を付けているのである。 ︵72︶ 他方で、︹判例14︺について、竃Φ巳。参は、加害者が事故に対して適切な精神的消化のできる被害者に出会うこと ︵73︾ っ9ヨRは、あらゆる神経症が事故に対する不適切な精神的消化に基づくも を期待できないとして、批判している。し のであるとして、この基準があいまいであることを主張している。 このような批判的見解は個別的な判例の批判にとどまっているにすぎないが、明確化のための限定基準について述 べたことも射程に入れて、より広範な批判がなされてきている。これは通説的立場を拡張して、加害者の責任領域の 除外事由を追加する方向と通説的立場を縮小して、︹判例6︺以前の状態に戻す方向に分けることができる。前者は ︵%︶ 拡張説で、後者は反対説である。 拡張説の中で、oり8=は、神経症の中でも特に転換神経症について賠償神経症と同様の取扱いを主張している。こ ︵75︶ れは転換神経症の性質を捉えて、事故と神経傷害との間の目的的結合が存在しないことを理由としている。の9旨Rも この立場に属している。これに対し、くΦ欝一注による四つの区分、すなわち、仮病や誇張でない願望的あるいは賠償 損害賠償の軽減 三〇一 早稲田法学会誌第四一巻︵一九九一︶ 三〇二 ︵76︶ 的反応・精神病質的反応・本来の意味での神経症・事故に条件、づけられる人格の変化という分類に従いながら、 9①8冨は、仮病や誇張でない願望的あるいは賠償的反応と精神病質的反応について、加害者の賠償責任を否定した のである。この精神病質的反応を除外した理由として、自由な意思決定の余地が残っていることと、根底にある異常 性と反応として現れる行為との特別な関係などがあげられている。 このような批判説は、被害者の精神的作用に関する医学的知見を基礎としてなされたものである。これに対し、加 ︵77︶ 害者の行為の性質なども考慮した批判が存在する。これは、国農旨暮段の見解である。 この見解によれば、比較的軽い侵害の場合との関係の中に、純粋な願望的反応・心理的素因を有する者の反応・訴 訟神経症・現実神経症を含め、重大な侵害の場合との関係の中に、欲望傾向のない反応と欲望傾向を有する神経症的 現象を含めている。 これらの中で、比較的軽い侵害の場合の純粋な願望的反応以外の検討結果と理由をあげるならば、比較的軽い侵害 の場合において、心理的素因を有する者の反応について、軽い侵害は心理的に不安定な者あるいは心理的素因のある 者においても相当な仕方で神経症を生じさせるのに寄与していないとする。訴訟神経症については、訴訟は通常のこ とであるので相当な結果ではないとした。また、現実神経症について、固定した現実神経症は異常であるので相当で はないと判断したのである。 他方で、重大な侵害の場合において、欲望傾向のない反応について、加害者の損害賠償責任は原則としてあるが、 回復に対する被害者の不作為により消滅するとする。被害者の素因と共働して補償不可能な心理的損害が生じ、典型 的な心理的負担能力を越えていて、賠償給付によってこれが固定化する場合にも、相当性がないとする。反対に、欲 望傾向を有する神経症的現象については、事故が重大で、心理的負担能力を越え、賠償給付が病状を固定化しない場 ︵78︶ 合には、相当性があると判断している。 この見解の中で取り上げられていた訴訟神経症について、oっ一后によれば、被害者が訴訟をきっかけとした興奮の 克服のために内面的な力を持っていない場合には、事故と因果関係があると判断している。しかし、当初から理由が しかし、このうような拡張説とは逆に、反対説も少数ながら主張されている。この中で、Uき9巴暴目は、ライ ないと判断される請求権が実行されている場合には、因果関係が否定されるとするのである。 ︵79︶ ヒ裁判所の立場、つまり、賠償神経症に対する加害者の損害賠償責任を再び承認しようとしている。また、薯。瞠に ︵80︶ よれば、医療は裁判官のやるべき事ではないし、裁判官は被害者の権利であるものを与えることによって人問の尊厳 に貢献すべきであること、損害賠償の目的は治療的考慮やあらゆる見解の解釈から免れていること、損害賠償を与え るのは被害者を助けるためでなく、損害を被害者から加害者へ負担させることが正当であることに反対の根拠がある。 しかし、絶対責任を承認しているわけではなくて、異常な心理的反応によって生じた損害は加害者の責任から除外さ れるとするのである。 ︵81︶ この≦。属の傾向を受けながら、寄房Φは、自由な自己決定に基づく行為性がないので責任の問題が出てこないこ と、身体的な素因との差異がないこと、治療的考慮は法とは無関係であること、被害者の請求権は一般予防的理由か ら拒否されないことなどを根拠として損害がある以上、加害者が責任を負うべきであるとする。しかし、仮病の場合 は、加害者の責任領域から除外されるとしている。 しかし、さらに、通説的立場に対して実証的な事後的研究を行うことによって、反対説の方に組みする見解がある。 これは、男・角箒﹃の見解で、社会保険法の領域に関するものである。 前述したように、判例において、社会保険法の領域にも民事法の領域で確立した原則を適用しようとする傾向が存 損害賠償の軽減 三〇三 早稲田法学会誌第四一巻︵一九九一︶ 三〇四 ︵82︶ ︵83︶ 在する反面、︹判例19︺から︹判例21︺のような責任領域を拡張する傾向も存在するのである。これに対し、学説に おいては、ω9暮Φ簿と望亀によって社会保険法と民事法における取り扱いの差異をなくし、統一性を志向する見 解が主張されている。この統一性は、民事法の領域で確立した原則の趣旨を考慮しようとするものである。 4︶ ︵8 このような判例と学説の傾向を踏まえながら、男8曇段が今までに確立してきた準則に批判的な検討を行ったので ある。これは、浮一暴§によって書かれたぎRω§の著書の序文にも端的に出ている。つまり、身体的所見のない 定期金の要求の背後には常に私利私欲または働くことに対する恐れがあること、定期金の拒絶が被害者を自ら再び労 働意欲のある健康な市民に変化させることになることに対する疑いがかけられているのである。また、この前提判断 とともに、精神分析の普及と現存の生活関係における心理的健全さの過大評価が心理的な誤った方向への発展を過大 評価することや生命に内在する補償的能力を見落とすことにつながったと指摘することによって、不確実さと術語の ︵85︶ 多様さが造り出されたとするのである。 男8凄けRはこのような問題意識を持ちながら、年金保険・災害保険・戦争犠牲者援護などの社会保険の領域にお いて、神経症による誤った方向への発展に関する診断が行われて、定期金が給付されたか拒否された定期金請求者の 個人的な事後的研究を行ったのである。この研究の結果として出てきた結論は、定期金の拒絶だけが神経症に基づく 心理状態の改善や活動の再開には結び付かないこと、主観的満足と定期金の事情や神経症の重大さと定期金の事情と は関係がないこと、独自の疾病のプロセスが問題となり、定期金の給付や拒否においては、多くの他の要因が役割を 果たしていることである。したがって、賠償神経症などの用語は必要ないとするのである。 また、勾8あ什震は定期金の支払いとは関係なく転換神経症が存続するとしていることから、の8=の拡張説の批判 となることがコおΦ欝舅によって確認されている。 ︵86︶ しかし、反対説に対する批判も存在するのである。たとえば、9Φ窃箒は≦&と即誘Φの批判および民法典第八 ︵87︶ 四三条の方法を正当であるとしながらも、︹判例6︺の立場を支持している。類雲暴暮鍔耀Φによれば、損害賠償の ︵88︶ 承認は加害行為がなかったら存在したとされる状態を回復する請求権の第一次的目的を妨害する、という純粋に法律 的な考慮によって、通説的立場が正当化されるとしているのである。 以上述べたことを総括してみると、冒頭で示した条件の下で、被害者の通常の精神的素因や通常の心理的反応など に基づく損害は、加害者が負担することになる。この文脈の中で、被害者の神経症・抑うつ症・性格の変化・アルコー ル薬物中毒などが含められている。そして、場合によっては、被害者の自殺や第三者のショックも入ることもある。 しかし、被害者の異常な精神的素因や異常な心理的反応などに基づく損害は、被害者が負担することになる。また、 被害者の仮病や誇張はもちろん、賠償神経症も被害者の負担領域である。そして、場合によっては、被害者の自殺や 第三者のショックも自ら負担することになる。 しかし、これで固まっていて異論がないわけでなく、被害者の神経症の中でも、現実神経症・転換神経症・訴訟神 経症は、被害者の責任領域に移行させるべきであるとする。ただし、これらの神経症においても、条件が付けられて いる。また、被害者の精神病質的反応も自ら負担すべきであるとする。その反面、被害者の賠償神経症の中でも、重 大な侵害の場合の欲望傾向を有する神経症的現象および公権力に基づく賠償神経症は、加害者が負担すべきものであ るとする。しかし、そもそも賠償神経症それ自体を加害者の責任領域に移行させるべきであるとするのである。 このような理論状況の中にあって、基本的には通説的立場に立ちながら、判例を素材としてこの立場を明確化する ための限定基準が出されている。この基準の特徴は、事故自体が過少評価できることと被害者の態度の非難可能性の 点に着目して、被害者の責任領域としていることである。 損害賠償の軽減 三〇五 早稲田法学会誌第四一巻︵︸九九一︶ 三〇六 しかし、今まで述べてきたことについて根本的に反省を促す契機となるのは、 閃8あ梓震の実態研究である。 三 責任の軽減 ω 民法典第八四三条 民法典第八四三条は、被害者が稼得能力を損った場合における金銭定期金あるいは一時金賠償の給付に関する規定 9︶ である。この規定が、賠償神経症に関する議論の中で取り上げられている。 ︵8 たとえば、≦。一︷は、定期金請求権について法律上の要件が欠けていると考えている。つまり、民法典第七六〇条 二項を手がかりとしながら、民法典第八四三条においては、特定の期間、稼得能力が決定的に減少したかまたは消滅 したことが条件となっていて、この条件が神経症にかかった者にとって充足しないと述べているのである。 ︵90︶ この見解を受けながら、孚諺のも定期金の場合を認めていない。しかし、治療費と治療期間中の生計費・稼得損 害は加害者が負担すべきであるとする。このことは、民事訴訟法第三⋮二条による訴えを心配しなければならないの で、定期金の承認もこの病的不安を除くことができないことと、民法典第八四三条三項による一時金賠償を承認する ことにも現れている。この第三項における重大な理由とは、一時金賠償による最終的決着だけが健康の回復にとって 必要な内面的安らぎをもたらすことであるとする。そして、一時金賠償の健康回復機能は、この金額を低く見積もる ことによって達成されるとするのである。 この見解は前述した反対説を前提としているので、責任の成立範囲を広く認めながらも、賠償額を低く押さえるこ とによって、賠償額の算定において調整していると言えるであろう。 ︵田︶ この見解とは異なって、通常の神経症の場合を意識しながら論じているのが、oり9奢程びである。この場合におい ても、損害賠償が決着していることが精神的治療や稼得生活への復帰の前提条件であるとみている。また、これを民 法典第八四三条三項の重大な理由としている判例を指摘している。しかし、一時金賠償にするだけでなく、この金額 の決定の中に治療機能が存在することも指摘しているのである。この点は、等諺Φと同様である。 o魯墨旨σは後述する減額条項の代替的解決策を検討している。この中で、この第三項の方法はこれに該当しない o としているが、減額的解決に対する必要を少なくする手段であると見ているのである。 ω 民法典第二五四条 前述したように、例外があるとはいえ、ライヒ裁判所は、賠償神経症に対しても加害者の責任を肯定している。し かし、責任を肯定したとしても、損害賠償を減額することは考えられていたのである。この方法は、共働過失に関す ︵92︶ る民法典第二五四条によっていた。これは、被害者が自分の観念に抵抗しなかった場合である。しかし、ライヒ裁判 所において、この方法自体は認めたとしても、実際に共働過失が一度も承認されなかったのである。 ︵93︶ この傾向は戦後になっても基本的には変化せず、神経症の場合は別として、共働過失を承認した判例は存在しない。 しかしながら、ライヒ裁判所の時代とは異なって、︹判例6︺などの判例において、賠償神経症に対して加害者の責 任は否定されているのである。 これと比較して、学説においては、民法典第二五四条に基づく共働過失が成立する場合が承認されてきている。こ ︵ 製 ︶ れは場合に分けて論じられている。 まず第一に、♀馨ωξは、不適切な度を越えた心理的反応が民法典第二五四条の領域に入るとし、また、神経症 を克服する可能性を持っている場合には、民法典第二五四条が適用されるとした。瀞毒弩b鍔轟Φは、賠償神経症 ︵95︶ に関連して、事故の不適切な精神的な消化が民法典第二五四条の領域に属すると主張する。寄巨震ω9邑窪は、賠 ︵96︶ 損害賠償の軽減 三〇七 早稲田法学会誌第四︸巻︵︸九九︸︶ 三〇八 ︵97︶ 償神経症に関して、欲望観念に対する抵抗力が弱く、十分な意思力が制限的である場合を考えている。しかし、 9Φ8溶によれば、賠償神経症も含めて、被害者には自由意思がないので過失行為が存在せず、民法典第二五四条二 項の適用はないとする。また、oっ9巳器によれば、共働過失が成立するためには、神経症にかかった者が自分の意思 ︵98︶ で自分の状態から生ずる要求を制御し、欲望観念に有効に抵抗することができなければならないが、実際上これは存 この批判はさらにの9ぞ弩σによっても主張されている。すなわち、被害者は自分の状態を意思力の可能で期待可 9︶ 在しないとする批判がある。この批判は、神経症の自由意思に基づく行為に与える影響に理論的根拠を有している。 ︵9 能な行使によって克服できるかどうか、という賠償神経症を含めたライヒ裁判所の立てた問題は今日では無用である とする。この根拠は、賠償神経症が克服可能性とはかかわりなく加害者に帰責できないので、共働過失があるかどう かは意味がないということである。したがって、通常の神経症の場合だけ、民法典第二五四条が問題となるとする。 しかし、通常の神経症の場合であっても、神経症にかかった者が自分の観念に自分にとって可能な抵抗力を行使せず、 これを克服することを試みなかった場合には、損害軽減義務違反が存在するということは実際上ありえないとする。 この根拠は、神経症がふさわしい努力を不可能にした意思の自由の制限によって特徴づけられることにある。 ︵㎜︶ ︵珊︶ したがって、第二に、この批判的根拠を考慮して、異なった観点から民法典第二五四条を適用する見解が出てくる。 ︵m︶ ︵鵬︶ ︵脳︶ ︵鵬︶ 憂。匡と寄一Φω。は、賠償神経症に関連して、被害者が治療を受けなかった場合に、共働過失の成立を承認する。また、 図鑛静暮9の9≦9。臼σあけ錠旨9浮言浮房は、神経症に関して、被害者が治療を受けなかった場合に、共働過失の成 立を承認する。この後者の場合では、賠償神経症については責任が否定されているので、通常の神経症の場合だけで ある。また、治療とは、具体的には、リハビリテーションが指摘されている。 この見解では、賠償神経症または神経症に対する被害者の内面的な抵抗力や克服可能性ではなくて、被害者が治療 に応ずるという外面的行為に焦点があてられているのである。 ︵燭︶ 第三に、個別的な問題についての特別な言及が見られる。oり9薯弩びによれば、訴訟神経症の場合には、欲望神経 ︵窟︶ 症の心理状態が問題となることが多いが、例外的にそうでない場合にだけ、民法典第二五四条が考慮されるとする。 また、ζa言5によれば、賠償神経症に関して、損害賠償の目的の論拠が機能しない場合には、民法典第二五四条が 適用されるとしつつ、人格の深層にかかわる特別な重大さと期問を有する国家社会主義的迫害の場合には、民法典第 二五四条だけが適用されるとするのである。 の9類舅びの見解における共働過失の承認のためには、前述したように、被害者が治療を受けなかったことが前提 ︵期︶ となる。しかしながら、鼠a8湯の見解における共働過失の承認のための条件は明らかではない。 また、ω9薫弩げによれば、意思によって支配される仮病や誇張はすでに損害がないので、共働過失の問題は出て こないとする。 ㈹減額条項 ︵鵬︶ ︵m︶ ︵ m ︶ ︵ m ︶ 参事官草案第二五五条aとこれ以外の定式において、損害賠償の減額事由があげられていた。この中に、 頃雲塑薫簿冨奉村あ8=ゆ8お醤−ζ塁輿によって賠償神経症も含まれていた。したがって、賠償神経症に対して加害 ︵鵬︶ 者の責任を肯定することを前提としている。しかし、詳しい検討があるわけではなかった。この点について、 の9≦弩げが参事官草案第二五五条aなどの減額条項の代替的解決策を検討している中で、減額条項と賠償神経症と の関係を詳しく論じている。 まず第一に、賠償神経症が生ずる場合の解決方法として三つの場合を分けている。たとえば、器質的な侵害結果が なく、賠償神経症だけがある場合には、これによる損害は加害者に帰責できないとする。器質的な侵害結果と賠償神 損害賠償の軽減 三〇九 早稲田法学会誌第四︻巻︵︸九九︸︶ 三一〇 経症が共存する場合には、器質的な侵害結果に基づく損害だけが加害者に帰責されるとする。神経症がもっぱら異常 な欲望観念によって形成されているのではなくて、時の経過によってはじめて賠償神経症になった場合には、被害者 の心理状態が主としてまたはこの典型的な現象形態の後で欲望観念によって形成されるまで、加害者が完全に責任を 負担するとするのである。 この解決方法が正当であるとして、減額条項による解決方法はこれによって代替されるべきであるとする。しかし また、第二に、減額条項に対するより根本的な批判が展開されているのである。 この批判はいろいろな観点から行われている。たとえば、賠償神経症に関するスイス法の減額的解決を指摘しなが らドイツ法の解決方法を無視していたこと、したがって、減額的解決の必要性のないことが認識されておらず、減額 条項がより良い解決方法であるかどうかの問いが回避されていたことがまずあげられる。次に、ω8=は賠償義務の ある神経症と賠償義務のない神経症の区別の困難さを考慮して減額条項に賛成したが、この見解には納得できないと し、裁判所もそれを適切に行っていることである。さらに、賠償神経症の場合には加害者に帰責できないとされてい るのに、これに対して責任を肯定して再び減額する方法を採らなければならない理由がはっきりしていないことがあ げられている。 これらの批判だけでなく、さらに、専門家の手を借りて賠償神経症があるかどうか、いつからあるのかを明確に判 断せざるを得ない現行法よりも、疑わしい場合に減額条項によれば簡単に済むが、減額条項によっても神経症または 賠償神経症が考慮されるのは、損害に対するその影響が前もってできるだけ正確に突き止められる場合だけであるこ と、そして、スイス法も専門家を必要としていることが指摘されている。また、責任を肯定して減額する減額条項の 方法では責任の否定と結び付いた治療効果が無に帰してしまうとし、スイス法においてもこの観点によって判例に対 する批判があることがあげられている。 これらの批判の中で、神経症と賠償神経症の区別の困難さとそれぞれの存在および存在時期の不明瞭さによる減額 条項への逃避に対する批判、減額条項による治療効果の喪失に対する批判は注目に値する。 このような批判を主張することによって、減額条項は必要がないとするのである。この態度は、神経症に基づく損 害に関する減額条項の全般的な否定にも現れている。 ︵型︶ ㈲ 重大条件論 ︵頂︶ ︵m︶ 独自の滅額条項を主張していたぎ冨震−竃塁輿は、減額の法的構成として重大条件論を採用していた。この 8お目−ζ2段の見解においては重大条件に減額的な機能を与えていたが、判例および幣毒ゆ自鍔藷①の見解によれ ば、重大条件論には相当因果関係論よりも責任拡張的な機能もあるのである。また、神経症と賠償神経症に関する判 例においても、重大条件論は採用されていない。の9≦弩げにおいても、被害者の心理的な虚弱さに重大な共働原因 ︵川︶ があっても因果関係論については何も変わらないこと、神経症の場合において原因力による損害の分担が考慮されて いないことが確認されている。 したがって、前述した減額条項それ自体に対する批判と同時に、判例・学説における重大条件論に対する批判的観 点から見て、賠償神経症に対する減額的解決は問題点が多いと言えるであろう。 ⑥ 責任の当否と責任の軽減 賠償神経症の位置づけを理解するためには、責任の当否と責任の軽減の二つの観点を関連づけて、もう一度整理し てみる必要がある。 判例において、賠償神経症に対する加害者の責任が肯定された場合に、被害者の共働過失の可能性が存在した。し 損害賠償の軽減 三一一 早稲田法学会誌第四︸巻⊃九九一︶ 三一二 かし、実際一度も共働過失が肯定されたことがなかった。これに対し、学説において、賠償神経症に対する加害者の 責任が肯定された場合に、低額の一時金賠償と被害者の共働過失が承認されていた。また、減額条項による減額が承 認されていた。したがって、賠償神経症に対する責任が肯定されたとしても、何らかの形での損害賠償の軽減が適切 であると考えられていたのである。 他方で、判例・学説において、賠償神経症に対する加害者の責任が否定されている。この解決方法として ω9≦弩げの分類が存在する。それと同時に、学説において、被害者の共働過失が承認されている。 したがって、以上のことから言えることは、賠償神経症に対して責任成立の後で賠償額を減額するのか、それとも、 最初から責任を否定するか、という差異があるにもかかわらず、賠償神経症に基づく損害に大して否定的な判断が下 されていることでは一致しているのである。 しかし、このような全体的傾向に対して疑問を投げかけるのは、閃。①巨興の実態研究から出てきた結論である。こ れによるならば、賠償神経症に対する否定的判断が必ずしも正当であるとは限らないことになる。それ故、賠償神経 症に対して責任を肯定し、減額もしないことが可能性として出てくることになる。これは、当初の立場に戻ることに なろう。しかし、現在の判例・学説の立場から見てかなり異質である。したがって、この研究成果を採り入れるなら ば、3Φ巨霞自身も指摘しているように、賠償神経症だけでなく、独自の疾病のプロセスに対する評価やその他の要 因に対する認識も必要となるであろう。これを踏まえたうえで、責任の当否と責任の軽減についての判断が下せるこ とになるのである。もちろん切8巨巽の研究は社会保険法の領域に関するものであるので、これに留意しておく必 要があるであろう。 四 結び 事故の結果として生ずる被害者の精神的反応は多種多様なものがある。したがって、この精神的反応に基づく損害 についての法的取り扱いが問題となる。本稿においては、この中で、被害者の賠償神経症について論じた。 この賠償神経症について、判例においては、︹判例1︺などによって加害者の責任が肯定されていた。しかし、︹判 例2︺から︹判例5︺において、被害者の意図的な主観的観念を理由にして例外的に加害者の責任が否定されていた。 しかしながら、︹判例6︺において、加害者の責任を否定することが原則化されたのである。この判例と同趣旨のも のは、︹判例7︺から︹判例10︺である。これらの判例においては、社会生活や責任領域への復帰の困難性・利益に なる生活の安定または現在の地位への意識的無意識的な執着・事故の有する生活との闘いの困難さからの回避性・身 体的精神的回復にとっての有害な状態の固定化などを条件としていた。 しかし、これで判例が固まったわけではなくて、これらの判例の影響を受けながらも、加害者の責任を否定する範 囲を拡大または制限する傾向が存在した。拡大する傾向として、︹判例11︺において、被害者が拒絶状態を克服する という確認が行われる必要がないと判断された。この判例と同趣旨のものは、︹判例12︺と︹判例13︺である。また、 ︹判例14︺において、心理的な不相当性に重点が置かれたのである。他方で、制限する傾向として、︹判例15︺から︹判 例18︺があげられる。これらの判例は、︹判例1︺と︹判例6︺との相互関係を明らかにするものである。 このような民事判例を踏まえたうえで、社会保険法においても同様の傾向が存在した。︹判例3︺と︹判例4︺が そうであり、一九二六年のライヒ保険庁の示した原則にも現れている。また、一九六一年に連邦労働裁判所が︹判例 6︺を受け継いだのである。しかしながら、︹判例19︺から︹判例21︺においては、民事判例より責任領域が拡張さ 損害賠償の軽減 三一三 早稲田法学会誌第四一巻︵一九九一︶ 三﹃四 れていた。 このような判例の立場に対し、学説においても、通説的立場は、賠償神経症を加害者の責任領域に入らないと解し ている。これをめぐる理論状況を含めて述べてみると、冒頭で示した条件の下で、被害者の通常の精神的素因や通常 の心理的反応に基づく損害は、加害者が負担することになる。この文脈の中で、被害者の神経症・抑うつ症・性格の 変化・アルコール薬物中毒などが含められている。場合によっては、被害者の自殺や第三者のショックが入ることも ある。しかし、被害者の異常な精神的素因や異常な心理的反応に基づく損害は、被害者が負担することになる。また、 被害者の仮病や誇張はもちろん、賠償神経症も被害者の負担領域である。場合によっては、被害者の自殺や第三者の ショックは自ら負担することになる。 しかし、これで固まっていて異論がないわけでなく、被害者の神経症の中でも、現実神経症・転換神経症・訴訟神 経症は、被害者の責任領域に移行させるべきであるとする。ただし、これらの神経症においても、条件が付けられて いる。また、被害者の精神病質的反応も自ら負担すべきであるとする。その反面、被害者の賠償神経症の中でも、重 大な侵害の場合の欲望傾向を有する神経症的現象および公権力に基づく賠償神経症は、加害者が負担すべきものとさ れている。しかしながら、そもそも賠償神経症それ自体を加害者の責任領域に移行させるべきであるとするのである。 このような理論状況の中にあって、基本的には通説的立場に立ちながら、判例を素材としてこの立場を明瞭化する ための限定基準が述べられている。この基準の特徴は、事故自体が過小評価できることと被害者の態度の非難可能性 の点に着目して、被害者の責任領域としていることである。 他方で、通説的立場とは異なり、賠償神経症に対して加害者の責任を肯定したとしても、民法典第八四三条三項に 基づく低額の一時金賠償と民法典第二五四条および参事官草案第二五五条aなどの減額条項による損害賠償の減額が 考えられていた。 したがって、判例・通説に従って、賠償神経症に対して加害者の責任を否定するにせよ、通説に反して、賠償神経 症に対して加害者の責任を肯定したうえで、賠償額を減額するにせよ、賠償神経症に基づく損害に対して否定的判断 が下されていることで一致しているのである。 ただし、今まで述べてきたことについて根本的に反省を促す契機となるのは、3の巨段の実態研究である。これに よるならば、賠償神経症だけでなく、独自の疾病のプロセスに対する評価やその他の要因に対する認識も必要となる であろう。 菊ON一〇9q Q8 拙稿﹁損害賠償の軽減−被害者の体質的素因﹂早大法研論集第五二号︵平成二年︶ 囲ON一〇GQ“一轟夢 開ON刈ρ一④ 一四一頁以下。 一三五 スイス法および日本法における被害者の体質的素因と賠償神経症の分析については、別稿で論ずることにする。 ︵1︶ ︵3V ︵2︶ ︵4V O勾一り心N一刈㊤9 知ON一〇〇 〇噌N卜o野 <Φ岳幻一⑩①刈、㎝ 一 ゆ○国NNρ一ωS ︵6︶ ︵7︶ ︵5︶ ︵8︶ <①箒沁一⑩O拶No く雪ω園一㊤㎝QO響一①S <Φあ幻一り09一〇〇〇〇。 <雪ω即一㊤oo一”刈○ ○沖 oP ︵10︶ ︵9︶ ︵1 1︶ く段ωカ一⑩OQQ”ω刈刈 ︵12︶ ︵13︶ 損害賠償の軽減 早稲田法学会誌第四一巻︵一九九一︶ 三一六 ︵M︶ <のぺω即一㊤刈⑩・刈一〇〇” ︵蔦︶ <Φ肘ωカ一〇刈○’Noo一一 ︵η︶ くΦ門ω幻一㊤Oω甲bo①H ︵賂︶ <のぺω刀一⑩の一甲qΦ刈。 ︵B︶ ωO国NQoO噸oo一Qo’ ︵20︶ >2一㊤N①’“OoO, o幻一㊤のOo、ω㊤①。 ︵四︶ <Φ﹃o ︵認︶ ゆのO国一〇〇唱一刈oo, oN①. ︵趾︶ ゆゆ]■OO一ヤo ︵器︶ 頃ωO国一〇一N刈㎝一 ︵%︶ のo﹃Φ=≦o﹃けげ一ZΦ仁吋○ω①p︷﹃mひqρd﹃ω鋤oげ①づσの鵬肘一諏窪昌傷殉のoげけω℃﹃のoプロ昌αq一⑩㎝ω橘ω餌①緒①さZΦ¢﹃oωρ勺ω鰻o口oけ﹃①﹁鋤℃陣①q⇒偽O①ωΦけNひqΦげ彊昌σq・一謬.国勉⇒位げ信oげα①﹃ 〇Q ︵拠︶ 切のO閃bo一一一〇 りON。<①門ω ZΦβ﹃Oω①昌一Φぴ﹃① 彊口恥℃ω﹃OげO貯﹃Φ肘m℃一Φ 一り㎝⑩ ゆα。 一層の﹃O⑲刈睡”O﹃σ目一αq\O鷺σ影一〇q,客Φα一N一昌一ωOゴ①ωβづαカのOプ菖一〇﹃①ω N¢ヨ勺﹃Oげ一①ヨq①ぺ Z①β﹃Oω①”Q 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