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金型部品の 軸加工に関する研究 5 - 69 -
生産 技 術 分 野 金型部品の 5 軸加工に関する研究 [要 約] 並進 3 軸と回転 2 軸を持つ 5 軸加工機は、ワークを持ち替えることなく多方向からの加工 が可能なため、複雑な形をした機械部品の大量生産において有効に活用されているが、金型 加工の分野では未だ十分に使われていない。本研究は、ほとんどの射出成形金型に使用され ているスライドコアなどの主要部品に対して、形状の標準化や専用治具を作ることなどによ り、 5 軸加工機が活用できる仕組み作りを行ったものである。 5 軸加工機を活用することで 部品加工の工程を削減し、作業時間が大きく短縮できることを示した。 [キーワード]5 軸加工機、金型部品 [担 当 機 関] 工業技術センター生産技術研究班 [背景・ねらい] 複雑ではあるが形の定まった機械部品の大量生産では、生産効率を改善する有効な手段とし て、 5 軸加工機が用いられているが、金型加工の分野では未だ十分に 5 軸加工機を活用できてい ない。これは、機械部品とは異なり、金型は基本的に一品毎に形が変わってくるため、加工デ ータの作成に時間を要する 5 軸加工では、かえって作業効率が低下するためである。 本研究は、ほとんどの射出成形金型で使われるスライドコアなどの主要部品に対して、形状 の標準化や専用治具を作ることなどにより、 5 軸加工機が活用できる仕組み作りを行ったもので ある。 [成果の内容・特徴] 射出成形金型で使用されるスライドコアおよび傾斜スライドについて、専用治具の製作や部 品形状の標準化を実施した結果、スライドコアの場合、加工工程を 9 つから 2 つへ削減、全体の 作業時間も 14.5 時間から 6 時間に短縮できることを示した。特に段取り作業の回数が少なくな ったことは、作業担当者の負担軽減に大きく寄与するものである。また、傾斜スライドに対し て 5 軸加工機を適用した場合は、放電加工の工程が省略され、全体の作業時間が約 60% 短縮でき ることを示した。 [成果の活用面・留意点] 本研究は、スライドコアや傾斜スライドの典型的な形状をモデルとして 5 軸加工の適用を試み たものである。これらの金型部品は、各企業毎に独自の設計標準が定められていると考えられ るため、本研究で示した「治具の活用」および「形状の標準化」と同様な考え方で金型部品に 関する設計手法を再構築する必要がある。 [残された問題点] ヒール加工など 5 軸特有の加工方法に関する加工精度の定量的な評価 - 69 - 生 産 技 術 分野 [具体的データ] ① ② ③ 穴の傾きに合わせて固定 垂直に固定し直す コア駆動用のスプリング ④ ⑤ ⑥ 右側面の加工 左側面の加工 アンギュラ穴面仕上げ ⑦ ⑧ ⑨ コッター面仕上げ 成形形状に合わせて加工 成形形状に合わせて加工 図1. スライドコア加工の内容 加工内容 段取り時間(H) ① アンギュラ穴加工 0.5 0.5 ② 油溝の加工 0.25 0.25 ③ スプリング穴加工 0.5 0.5 ④ 右側面の加工 0.5 1.5 ⑤ 左側面の加工 0.5 1.5 ⑥ 平面出し 0.5 0.5 ⑦ コッター面仕上げ 0.5 0.5 ⑧ 形状部1 0.5 3.0 ⑨ 形状部2 合計 図2. 工程 加工時間(H) 0.5 2.0 4.25 10.25 加工内容 段取り時間(H) 加工時間(H) ①~② 0.5 0.5 ③~⑨ 0.5 4.5 1 5 合計 スライドコアの加工工程と時間 図3 . 5軸加工適用の結果( スライドコア ) [研究情報] 研究課題名:金型部品の 5 軸加工に関する研究 課題ID: 2012 技 006 予算区分: 沖縄県産業振興重点研究推進事業 研究期間:平成 24 年度~平成 26 年度 研究担当者:泉川達哉 発表論文等:沖縄県工業技術センター研究報告 第 17 号 - 70 - 平成 26 年度 生産 技 術 分 野 解体系廃石膏ボードのリサイクル技術開発 -廃石膏ボード中のフッ素溶出量の迅速評価法について- [要 約] 廃 石膏ボードを再利用する際にフッ素溶出量が土壌環境基準を超過することが懸念され る 。そこで 、現場で測定可能なフッ素溶出量の定量分析法を検討した 。溶出試験については 、 温水で溶出することで、従来法では 6 時間かかる溶出時間を 10 分程度に短縮できることが 分かった。フッ素の測定については、従来法のイオンクロマト法とイオン電極法とを比較し た結果、測定値の相関は良好で、より操作が簡易なイオン電極法でもフッ素の定量分析が可 能なことが分かった。 [キーワード] 廃石膏、フッ素溶出量、イオン電極法 [担 当 機 関] 工業技術センター 生産技術研究班 [背景・ねらい] 処分に困っている廃棄物に廃石膏ボードがある。県内でも処分場の枯渇から行き場を失った 廃石膏のリサイクルを模索している。 しかし、リサイクルするには土壌環境基準に定められたフッ素溶出量に留意する必要がある。 この廃石膏中のフッ素溶出量は、従来の公定法では前処理や分析に時間が掛かるため、現場で は容易に測定できない。 そこで、現場に導入可能なフッ素の迅速評価法について検討することにした。 [成果の内容・特徴] ①公定法のイオンクロマトグラフィー法( IC 法)に変わるフッ素定量法として簡易的なイオ ン電極法によるフッ素の測定を試みた。 IC 法とイオン電極法によるフッ素溶出量の測定結 果は、相関係数が 0.9958 となり、従来の IC 法に代わり、現場に導入しやすいイオン電極法 でも測定が可能なことがわかった 。(図 3 ) ②フッ素の溶出工程の時間短縮として、振とう時間、試料の粉砕処理、溶出温度の 3 つを検 討し、その結果を踏まえて温水と家庭用ミキサーによる溶出を試みた。温水による 5 分間の ミキサー処理と 6 時間浸とうによるフッ素溶出量測定結果より、 62 ℃の温水の場合、従来 法と比較して± 8%の誤差範囲で測定が可能なことがわかった。 (図 4) ③温水と家庭用ミキサーによる溶出方法とイオン電極法で測定することにより、従来法で 一日半かかっていたものを半日で測定できることがわかった。 [成果の活用面・留意点] 今回検討したフッ素溶出量の迅速評価法について、今後確認試験を行い、現場で簡易的かつ 迅速にフッ素溶出量を測定する手法として、県内企業に提案する予定である。 [残された問題点] 溶出工程におけるミキサーの回転速度や機種による違い、溶出温度における従来法の室温で の分析値と比較した条件の再検討等が必要であることがわかった。 - 71 - 生 産 技 術 分野 [具体的データ] 図1 図2 イオンメーター(イオン電極法) 家庭用ミキサー IC法の測定値(㎎/L) 14 12 10 8 R² = 0.9958 6 4 2 2 4 6 8 10 12 イオン電極法の測定値(mg/L) 図3 イオンクロマトグラフィー法とイオン電極法のフッ素測定値の比較 ミキサー処理によるF溶出量 (mg/L) 14 +15% +10% 12 -10% -15% 10 8 6 62℃ 57℃ 4 2 3 5 7 9 11 13 6時間振とうによるF溶出量(mg/L) 図 4 ミキサー溶出と6時間振とう溶出のフッ素溶出量の比較 [研究情報] 研究課題名:解体系廃石膏ボードのリサイクル技術開発 課題ID: 2012 技 009 予算区分:県単 研究期間:平成 24 年度~平成 26 年度 研究担当者:湧田裕子 宮城雄二 赤嶺公一 発表論文等:沖縄県工業技術センター研究報告 花城可英 第 17 号 - 72 - 平成 26 年度 p.31-35 生産 技 術 分 野 高機能食品容器を製造するための真空成形技術の開発 [要 約] レンジで加熱可能な耐熱性容器や内容物が確認できる透明な容器、嵩張らない薄手の容器 などで使われている非発泡樹脂に関する真空成形技術を開発した。非発泡樹脂の容器の県内 生産を目指し、真空成形に関する型構造や成形条件の最適化を行った。その結果、容器形状 や材質が変わっても、素材の加熱時間、真空引きのタイミング、プラグ(オス型)降下のタ イミングを調整することで良品を得ることが可能となった。 [キーワード] 非発泡樹脂、食品容器、真空成形、成形条件、型構造 [担 当 機 関] 工業技術センター 生産技術研究班 [背景・ねらい] 県内の容器メーカーである㈱積水化成品沖縄では、発泡スチロール( PSP)製の食品容器を生産 している。しかしながら近年、需要の増えてきたレンジで加熱可能な耐熱性容器や、内容物が 確認しやすい透明な容器、嵩張らない薄手の容器などは、非発泡樹脂で作られており、その全 てが県外から購入されている。非発泡樹脂の容器は、お土産品のお菓子のトレイや、コンビニ で扱う食品トレイ、パンや豆腐の容器など、あらゆる分野で活用されており、県内でも相当な 数量が流通していると考えられる。従来の発泡スチロール製容器に関しても、県外メーカーと のやり取りを経て容器を試作しているので、顧客からのデザイン変更の要求に対して迅速な対 応が難しいという課題もある。本研究は、非発泡樹脂に関する成形条件や型構造の最適化、容 器サンプルを迅速に作る試作成形システムを確立することで、機能性の高い食品容器の県内生 産を目指したものである。 [成果の内容・特徴] ①成形条件の最適化 ( 1 )非発泡材の真空成形においては、原反の加熱時間、真空引きのタイミング、プラグのタイ ミングを調整することで、成形条件の最適化が可能である。 ( 2 )連続成形を行う場合は、型温度の冷却が容易なアルミ製の成形型を用いる必要がある。 ②型構造の最適化 ( 1 )真空成形ではプラグの役割が大きいため、真空穴の数や配置には特に難しいノウハウは必 要なく、角部や底面に均等に配置するだけでよい。 ( 2 )原反面積と成形品面積の比である面積拡大率を定め成形難易度の定量化を試みたが、実際 は面積の拡大率だけでなく、成形品の形状によっても難易度が変化することが示された。 これはプラグと原反の摩擦によるものだと考えられる。 ③容器試作の効率化 ( 1 )容器の試作日数について、これまで 20 ~ 30 日間必要としていたものを、県内企業だけの 連携により 7 ~ 10 日間に短縮できることを示した。 [成果の活用面・留意点] 3 種類の非発泡樹脂( PS、 PET、 PPF )に関する成形条件を定めることができたので、今後は 食品メーカーのニーズに応える形で様々な容器を試作し事業化を図る。その他の材質について は、本研究と同様な手法で成形条件を定める必要がある。 - 73 - 生 産 技 術 分野 [残された問題点] ①連続生産時の成形条件(量産型における検討) ②成形難易度の定量化 [具体的データ] [研究情報] 研究課題名:高機能食品容器を製造するための真空成形技術の開発 課題ID: 2014 技 003 予算区分:受託 研究期間:平成 26 年度 研究担当者:泉川達哉 発表論文等:無し - 74 - 生産技術分野 耐 摩 耗 鋳物 の 生 産 技術 開 発と 耐 摩耗 部品 の 溶接 補修 技 術の 確 立 [要 約] 本研究では、鋳型内に耐摩耗用微量硬化元素を添加し材料を改質するインモールド鋳造 技術による耐摩耗性鋳物の生産技術開発と硬化肉盛溶接による耐摩耗部品の安定的な補修 技術を確立することを目的に研究を行った結果、試作した耐摩耗鋳物について、目標とし た耐摩耗性を得ることができたが、靱性に課題を残す結果となった。 [キーワード]インモールド鋳造、耐摩耗鋳物、硬化肉盛、耐摩耗試験 [担 当 機 関]工業技術センター 生産技術研究班 [背景・ねらい] 土木建設機械や産業廃棄物処理プラントなどで使用されるバックホーの爪やロールクラッ シャーの刃などは摩耗が激しいが、県内では耐摩耗品は生産されておらず、高価なメーカー 品を使用せざるを得ない状況である。また補修については硬化肉盛溶接が殆どで品質のばら つきが課題となっている。そこで、本研究では県内における高寿命・低コストな耐摩耗性鋳 物の生産技術開発および硬化肉盛溶接による耐摩耗部品の安定的な補修技術を確立するた め、下記の項目について研究を行った。 ①摩耗特性の評価と摩耗試験方法の検討(主担当:沖縄鋳鉄工業株式会社) ② 簡 易 摩 耗 試 験 機 の 製 作 と 摩 耗 試 験 ( 主 担 当 : 平 安 座 総 合 開 発 株 式 会 社 )) ③耐摩耗鋳物ならびに硬化肉盛溶接部の組織・硬さ評価(主担当:工業技術センター) [成果の内容・特徴] サブテーマ①:インモールド鋳造による耐摩耗鋳物の開発 ・塗型を用いた方法では、目標とした硬化層を得ることができなかったが、反応室を用いた イ ン モ ー ル ド 法 で は 、 金 属 Te を 添 加 す る こ と で 、 硬 化 組 織 を 得 る こ と が で き 、 市 販 の 製 品 と 同 等 の 耐 摩 耗 性 を 示 し た 。( 図 1,2 ) サブテーマ②:硬化肉盛溶接の溶着現象の解析と適切な溶接方法の確立 ・従来扱っていた硬化肉盛溶接材料に加え、今後需要の想定される硬化肉盛溶接材料 4 種 について選定を行うとともに、主に母材の違いや予熱変化による溶接施工実験を行い、耐 摩 耗 性 や 硬 さ 試 験 な ど 特 性 を 確 認 し 、 結 果 を 反 映 し た 施 工 要 領 書 を 作 成 し た 。( 表 1, 図 3 ) サブテーマ③:摩耗試験方法の検討と簡易摩耗試験機の製作 ・簡易摩耗試験機を製作し、耐摩耗鋳物ならびに硬化肉盛溶接の摩耗試験を行い、各々の 耐摩耗性について評価を行った結果、予定していた試験性能を達成したことを確認した。 ( 図 4,5 ) [成果の活用面・留意点] 耐摩耗鋳物については、硬化元素の配置方法によって金属組織への影響を知ることができ た。また、硬化肉盛溶接における施工要領書のベース構築により、溶接材料の種類を増やす ことで、内容を拡充することが可能である。耐摩耗試験については、試験機が完成したこと で、金属並びにプラスチック・セラミックス等の摩耗試験が行えるようになった。 [残された問題点] 反応室を用いたインモールド法では、硬化組織を得ることができ、同等の耐摩耗性を示し たが、靱性の確保に課題を残した。 摩耗試験方法については、圧力を付加した試験方法や 粉体(砥粒)の種類の再検討を行う必要がある。 - 75 - 生産技術分野 [具体的データ] 図1 インモールド鋳造の概念図 図2 反応室による合金組織の硬化組織生成 ( 組 織 観 察 : 溶 湯 FC) 表1 選定した硬化肉盛溶接材料 図3 施工要領書の一例 45 Te50+FeTe 40 FeTe 摩耗減量[mg] 35 インペラ 30 バケット爪 25 20 15 10 5 0 0 100 200 300 400 試験時間[min] 図4 製作した粉体内回転衝撃式摩耗試験機 図5 耐摩耗鋳物の摩耗試験結果 [研究情報] 研究課題名:耐摩耗鋳物の生産技術開発と耐摩耗部品の溶接補修技術の確立 課 題 I D : 2014 技 004 予算区分:受託 研 究 期 間 : 平 成 26 年 度 研究担当者:棚原靖 発表論文等:沖縄県工業技術センター研究報告 - 76 - 第 17 号 平 成 26 年 度 500 生産 技 術 分 野 島しょ地域型電気自動車開発支援事業 [要 約] 自動車の動力性能の指標として、航続距離、燃費性能、加速性能等が挙げられる。性能の測定を 行うためには、平坦で広大なテストコースもしくは、それに類似するテストベンチを必要とする。 通常、自動車メーカーは JIS に規定された性能を持つシャーシダイナモと称されるテストベンチを 導入し試験を行っている。しかし本設備は大掛かりであり、導入においてはスペースやコスト面で 問題がある。そのため本事業では、簡易的なシャーシダイナモを導入し性能測定を行った。 [キーワード] 電気自動車、電費、航続距離 [担 当 機 関] 工業技術センター 生産技術研究班 [背景・ねらい] 沖縄県内では、軽自動車のエンジン車を改造したコンバート EV や、 1 人乗りのマイクロ EV を製作しているが、評価するテストコースや設備等が県内には無いため、評価が出来ない状態 となっている。本事業では、シャーシダイナモと呼ばれる 2 本のローラーに駆動輪を載せ負荷 を掛ける装置で走行状態を再現し EV の評価を行うことを目的とする。シャーシダイナモには リターダと呼ばれる負荷装置やモーターで駆動を掛けることにより出力計測、登坂、下り坂再 現試験、速度一定試験、負荷一定試験、 JC08 モードシミュレーション試験等の実施が可能と なっている。下り坂の再現により EV の電費性能に影響する回生装置の評価にも活用可能であ る。但し、導入した装置は簡易的な試験装置であるため、市販車両や路上試験との相関を取る 必要がある。 [成果の内容・特徴] コンバート EV の加速・減速試験において、シャーシダイナモの負荷設定値を机上計算値より大 きめに設定することにより路上試験との相関を取ることが可能となった。加速度一定試験の場合は 同様の負荷設定で良いが、加速度の異なる場合については検討する余地がある。 マイクロ EV の電費性能試験では、JC08 モードによる試験条件時速 81km まで速度を上げるこ とが出来ないため、一定速度で 2 パターンの試験を行った。その結果、時速 20km の電費は時速 50km の 1.5 倍に伸びることが分かった。同規格の市販電気自動車コムスとの比較においては、コムスの 時速 30km の電費とマイクロ EV の時速 20km の電費が同等となった。 コンバート EV の JC08 モードの電費性能試験では、同規格の市販車ミニキャブミーブのカタロ グ値と同等の電費性能であることがわかった。 [成果の活用面・留意点] 本研究では、軽貨物タイプのコンバート EV と、 1 人乗りのマイクロ EV について、市販車 との比較を行いながら負荷の設定を決定した。他車種に展開する場合は改めて同性能の車種で データ収集し比較を行う必要がある。 [残された問題点] EV の加速動力性能や、電費性能を評価することが可能となったが、現時点では路上試験と の相関が取れていない部分も有る。相関を取るためには、カタログにて性能が表記されている 市販車にてシャーシダイナモ試験を実施し、負荷設定の合わせ込みを行う必要がある。 - 77 - 生 産 技 術 分野 [具体的データ] 図1 図2 表1 シャーシダイナモへ車両をセットした状態 JC08 モード・1サイクル試験(約 900 秒) 航続距離、電力消費量比較(コンバート EV) 試験条件 一充電航続距離(km) 電力消費率Wh/km(電費) 電力消費量(Ah) カタログバッテリー容量(kwh) 備考 路上試験 実証試験平均 50 126 45(推測値) 8.6 一般道 シャシダイ試験 JC08 63.8 111.7 50.9 ← 140V、60Ah [研究情報] 研究課題名:島しょ地域型電気自動車開発支援事業 課題ID: 2014 技 006 予算区分:受託 研究期間:平成 26 年度 研究担当者:松本幸礼、泉川達哉、伊口明高 発表論文等:無 - 78 - シャシダイ試験 50km/h一定 全区間 73.5 86.2 45.3 ← ミニキャブミーブ JC08 カタログ値 100 125 10.5 270V、38.9Ah 生産 技 術 分 野 アルミビレット切断工程の最適化に関する研究 [要 約] アルミ押出成形工程では、高温のアルミビレットをプレス機にて加圧し押出ダイスにて製 品を成形する。 1 ロット押出した後にダイスに残ったビレットを切断する工程があるが、 1 秒 程度の短い時間で切断が終了するため、目視で挙動を確認することは容易ではない。本研究 では挙動をハイスピードカメラにて撮影し切断工程に関連する構成部材の変位を動体解析ソ フトにて測定した。その結果を設計にフィードバックし、分割式シャーナイフの最適形状の 設計や使用済みのシャーナイフを研磨することにより再利用を図った。 [キーワード] アルミサッシ、押出し、アルミビレット、切断挙動撮影 [担 当 機 関] 工業技術センター 生産技術研究班 [背景・ねらい] アルミ押出成形では、高周波にて加熱したアルミビレットを原料とし、プレス機で押出すこ とにより製品を成形する。予め 1 ロット分の長さに切断されたアルミビレットは、押出した後に シャーナイフにて切断する。切断工程での課題として、ビレットが斜めに切断される、シャー ナイフの寿命が短い、シャーナイフの交換時の作業工程の手間が掛かる等が挙げられる。切断 不良の改善は歩留まりの向上に繋がる。本研究では切断工程の挙動をハイスピードカメラにて 撮影し、動体解析ソフトにて変位を測定することにより改善点を見い出し製品品質の向上に繋 げる。また、頻繁に交換を行っているシャーナイフについて、 形状変更や、分割式の検討、研 磨による再利用を行うことでコスト削減の検討を行う。 [成果の内容・特徴] 本研究にて、高速で切断を行っている工程の現状把握が可能となった。それにより、シャー ナイフの変位、ダイスやカセットの変位の測定を行い、以下の傾向を把握できた。 ・寿命が近いシャーナイフを使用した場合、刃先やダイス、カセットの逃げ共に大きくなって いるため、各部への負担が大きくなっていると想定できる。 ・刃先のエンボス形状について、現在は放電加工で行っているが、放電加工は加工費の上昇、 耐久性の低下が懸念されるため、切削加工について検討を行った。 ・刃先のみを交換可能な 2 分割式の刃の試作を行った。耐久性を確認した結果、従来品と比較し ても耐久性の低下は見られない。 ・使用済みの刃の形状測定を行い研磨量を決定、研磨済みの刃の再利用を行った。その結果、 従来品と同等の耐久性が確認された。 [成果の活用面・留意点] ・本研究により、従来使い捨てであったシャーナイフの再利用、また 2 分割式とすることにより コスト低減、作業時間の短縮を図ることが可能となった。 ・シャーナイフの形状変更により、剛性不足が懸念されたが、ハイスピードカメラで切断挙動 を撮影し、設計へフィードバックすることにより効率的な開発が可能となった。 [残された問題点] ・ 今回の研究では、シャーナイフのみの形状検討、試作を行い、耐久性の確認を行ったが、 切断に関連するカセット、ホルダ等の更新や仕様変更についても検討の余地がある。 - 79 - 生 産 技 術 分野 [具体的データ] 図2 図 1 撮影状況 図3 図5 1 ヶ月使用した刃の変位 図4 非接触 3 次元測定機による形状測定 [研究情報] 研究課題名:アルミビレット切断工程の最適化に関する研究 課題ID: 2014 技 009 予算区分:県単 研究期間:平成 26 年度 研究担当者:松本幸礼、羽地龍志 発表論文等:無 - 80 - 刃先の横変位 分割式シャーナイフ