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未来の科学者養成講座最終報告書

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未来の科学者養成講座最終報告書
慶應義塾大学
独立行政法人科学技術振興機構未来の科学者養成講座
「はばたけ、世界を先導する医学者へ」
最終報告書
(本編・資料編)
平成 21 年 5 月~平成 24 年 3 月
(平成 21 年度~23 年度)
平成 24 年 3 月 31 日
http://web.keio.jp/~medchem/mirai/index.html
慶應ロゴ承諾済
本
編
目次
Ⅰ.未来の科学者養成講座の事業概要
2
Ⅱ.将来の科学・技術を担う未来の科学者たち ~人材育成面での達成成果
3
Ⅲ.
「未来の科学者」を育てた講座活動
4
Ⅳ.募集と選抜
8
Ⅴ.受講生に対する評価手法の開発と実施
10
Ⅵ.受講生の活動成果
13
Ⅶ.参加者の声
14
Ⅷ.大学としての事業評価
28
Ⅸ.平成 24 年度以降の活動(予定)
29
Ⅰ.未来の科学者養成講座の事業概要
【事業目的】
20世紀後半からの本邦科学技術の進展は目覚ましく、近年は世界のトップレベルにあり
続けている。この技術進歩は医学分野でも同様であるが、一方で、医学研究は十分に世界
を先導する役割を果たしているとはいえない。例えば、臨床医学分野の主要学術雑誌に掲
載された論文数は、日本が世界に占める割合は 1991 年~2000 年の 10 年間を計数すると僅
か 0.6%を占めるに過ぎず、世界で 14 位である。本事業では、医学研究で本邦さらには世
界を先導することができる人材の育成を目的とした。特に、20 世紀の医学では国民医療の
充実を目的に、医療・医学者の数的な充足が求められたが、当該目的がほぼ達成された現
在では、医学分野における能力と意欲に溢れる少数の研究者による理論的・技術的ブレー
クスルーが求められている。本事業はその人材育成プログラムを開発し、広く他大学にも
利用頂き、世界の医学教育に貢献することも目的の一つとした。
【取組概要および達成成果】
本プログラムの取組では、全体として、下記に注力した。

小中学生グループにおける医療に対する高い意識、高校生グループにおける研究実施
基礎能力の付与と醸成。本年度は特に小中学生グループへは高校生コースへの導きお
よび高校生コースでは外部への成果発信に注力した。

小中学生グループにおける保護者、また高校生グループにおける教員の理解深耕。
本「はばたけ、世界を先導する医学者へ」プログラムでは、全国に募集を行い、高校生
コース 24 都府県および小中学生コース 10 都県という広域から多彩な人材が募ることがで
きた。これを可能としたのは、久留米大学医学部や NPO 法人新世紀教育研究会をはじめと
する多くの機関の協力のお蔭である。厚く感謝したい。また、選抜においては、旧来法で
あり、効率は芳しくないが、必ず大学教員や大学院生などによる対面型の選抜を行ってき
た。このため、学力だけでなく非常に高い意欲を持った児童・生徒の選抜が可能となった。
一方で、本事業の募集人員が毎年高校生コース 15 名、小中学生コース 15 名と少なく、多
くの有為な応募者の要望に応えきれていなかった。最終年に本事業で開発した教育プログ
ラムの一部を持って、高校へ医師等を派遣したが、今回作成した教育プログラムに、如何
に汎用性を持たせるかは今後の課題である。
本事業年度であるこの 3 年間に、世界に打って出るような能力および意欲の高い優秀な
人材が育成できた。高校生の中には大学院生レベルの者も多数輩出することができた。一
方で、各受講生へ研究・指導期間が 1 年では短く、更に伸びる人材の育成には不十分であ
り、継続した指導が必要であり、本事業の展開・継続事業で改善することを決意した。
Ⅱ.将来の科学・技術を担う未来の科学者たち
~人材育成面での達成成果
【全体の達成水準】
本プログラムでは、医学・医療に特化した教育を行っているが、小中学生コースでは「大
学 1 年生レベル」を達成水準とし、高校生コースでは研究遂行能力の付与を含めて「大学
院生レベル」を達成水準としている。医学・医療分野は、国境がほとんどない分野である
ため、両コース共に、世界を常に意識したプログラム構成および受講生への刺激を心掛け
てきた。この結果、両コース共に、非常に高い能力と意欲を有する小中高校生を育成する
ことができた。特に、高校生の中には大学院生を超えるレベルの能力を有する者も多数輩
出することができた。更に、能力だけでなく、世界に打って出るような意欲の高い優秀な
人材が育成できた。
【学会発表・論文投稿等】
本プログラムでは、高校生コース受講生が、平成 24 年 3 月 10 日時点で、学会発表を6件、
英語論文投稿を 3 件行っている。また、科学コンテスト等でも優秀な成績を残している。
更には、今後、研究結果がまとまり次第、多くの受講生が学会発表および英語論文執筆を
行う予定である。
Ⅲ.「未来の科学者」を育てた講座活動
(1)講座プログラムの全体像
慶應義塾大学では、意欲・能力の高い児童・生徒をさらに伸ばすために以下の考え方で臨
み、実施してきた。
1) 真に高い意欲・能力を有する児童・生徒の選抜
労力はかかるが、対面型の観察・対話により、高い意欲と能力を有する児童・生徒を選抜
してきた。
2) 大学生と同じレベルの体験
講義内容および実験手技実習は大学生と同じレベルで行ってきた。これについて来ること
ができない児童・生徒もいるが、大半の児童・生徒は努力を積み重ねている。
3) 世界最先端の医学・医療技術に触れる
児童・生徒とは見なさず、常に世界最先端の医学研究、医療技術に触れることができる研
究室見学や病院見学を実施してきた。また、そこにいる最も勢いのある若手研究者との交
流も図ってきた。
4) 妥協しない個人研究
高校生コースでは 1 年間の個人研究を行うが、目標は、学会発表および英語での論文発表
であり、高い目標を掲げてそれに向かって努力する姿勢を身に付けさせている。
5) 教諭および保護者との協力
小中学生コースでは保護者と、高校生コースでは高校教諭と協力し、我々の講座で指導で
きない期間や疑問・要望の吸い上げに尽力頂いている。
6) 常に世界を意識した環境の提供
小中学生コースおよび高校生コース共に、世界的な研究者の講演や研究紹介、更には実際
の視察を通じて、常時活躍の場を世界に求める人材育成に努めている。
(2)講座の具体的な内容
開発要素
実施時期、対象、内容・水
ねらい、育てる力、他の教育要素
準概要
との関係など
小中学生コース・
実施時期:毎年 7,8 月(主会
本教室は、できるだけ多くの小中学生に
予備教室(医学・
場:横浜市・福岡市)
医学・医療の現在を知り、体験して頂く
医療教室)
対象:小中学生(小 5 以上) ことを目的とした。一方で、一次選抜の
内容:医学・医療の基礎講
重要な要素となるため、受講者の観察・
義と実習
評価も同時に行った。本教室を通じて、
水準:高校 1 年生レベル
医学・医療だけでなく、科学全般に関心
が広がることを期待して活動を実施し
た。
高校生コース・キ
実施時期:毎年 8 月(横浜・ 選抜された高校生を対象に、今後、個人
ックオフミーティ
東京)
研究を実施する上で、最低限必要な知識
ングおよび前年度
対象:高校生
と実験手技を習得することを目的とし
高校生コース研究
内容:医学基礎知識と実験
た。
報告会
手技習得
わずか 2 日間であるが、実験の基本技術
水準:大学 1 年生レベル
を身に着ける高校生が大半であり、今後
他の分野の研究にも応用可能である。
高校生コース・個
実施時期:毎年 8 月から 1
実際の研究を通して、研究の難しさ、楽
人研究
年間
しさを知る。また、そのような研究成果
対象:高校生
が、世界の科学・技術の中でどのような
内容:高度な研究の実施
寄与ができるのか、学会発表や論文発表
水準:大学院生レベル
を通じて体験することを目的とする。
実施時期:平成 23 年 8 月
受講生選抜者が米国の大学・研究・病院
対象:中高校生
等に触れることによって目的意識や意
米国大学視察
内容:大学での発表・討論・ 欲の飛躍的な発展を望む。また、その経
病院視察
験を他の受講生に伝えることによって
より大きな影響を生み出す。
高校への医療関係
実施時期:平成 23 年 7 月お
通常の講義や講演では聞くことができ
者派遣
よび 24 年 3 月
ない世界的な先端医療人を高校へ派遣
対象:高校生
し、その意義や経験を伝える。加えて、
内容:最先端医学を高校に
本未来の科学者養成講座の内容につい
伝える
ても紹介する。
ノーベル賞受賞者
実施時期:平成 23 年 3 月お
世界最先端の医学研究・医療技術に触れ
講演会
よび平成 24 年 3 月
る。また、ノーベル賞受賞者の Peter
対象:選抜された小中高校
Agre 先生および小柴昌俊先生、更には
生
再生医学の世界的権威・岡野教授等の講
内容:講演および交流
演を通じて、研究の心構えなども会得す
る。
ディベート大会
実施時期:平成 22 年 12 月
プレゼン能力と共に、討論能力を養うた
および平成 23 年 5 月
めに、原子力・放射線の利用に関するデ
対象:選抜された小中高校
ィベート大会を、小中学生グループ・高
生
校生グループに分かれて実施した。特
内容:原子力・放射線に関
に、福島第一原発事故以後の大会は活発
するディベート大会
な討論となった。
(3)育成のケーススタディ
ケース1:平成 21-22 年度高校生コース受講生・菊池憧子さん
<志望動機>
 医学および周辺科学への大きな興味(実験経験なし)
 得意の英語力を生かしたい(一方で、海外渡航経験なし)
 大学生・大学院生との交流を強く希望
<個人研究テーマ>
紫外線惹起酸化ストレスにおける xanthine oxidase 阻害剤の効果
<放射線教育での活躍>
上記個人研究テーマでは、本人の希望通り、大学教員、
慶應義塾大学理工学部大学院生、および同大学医学部
学部学生の指導を得て、研究を進めた。残念ながら、
予想された結果は得られず、学会発表や英語論文作成
には至らなかった。しかし、並行して進めた放射線教
育に関する新プログラム作成を行い、3 つの放射線関
連に学会で発表した(右写真)
。
<将来>
慶應義塾大学理工学部へ進学し、現在 1 年生である。この大学 1 年間で、英語のみならず
フランス語の習得し、慶應義塾大学派遣で夏季 3 週間、フランス研修を行った。大学 3・4
年時は、フランスへ留学(パスツール研究所)し、その後も主にヨーロッパで活躍する構
想である。
ケース2:平成 22-23 年度高校生コース受講生・四宮有紗さん
<志望動機>
 医学および周辺科学への大きな興味(受講までは調べ学習の経験のみ)
 所属高校から 5 名の応募者があり、その中から 1 名選抜
 医学と社会学をつなぐ仕事を、国境を越えて行う将来構想
<個人研究テーマ>
ハダカデバネズミ iPS 細胞の機能解析
世界の神経再生医学を引っ張る研究室に所属し、ハダ
カデバネズミ(右写真)の iPS 細胞が胚葉体となり、
更に 2 系統に分化することを確認した。この研究は更
に、がん化細胞に関する研究へ進み、近い将来、論文
化される予定である。後述のように、AO 入試での慶
應義塾大学への入学が決まったため、平成 24 年 1 月より、毎日研究室へ通って研究を行っ
ている(往復 4 時間)
。
<将来>
入学は慶應義塾大学環境情報学部であるが、1 年時から、医学部の研究室で研究を継続し、
大学院からは、大学院医学研究科へ進学し、将来は、再生医学の研究者あるいはそれを伝
えるライターになりたいと希望している。
ケース3:平成 22-23 年度高校生コース受講生・小島原知大さん
<志望動機>
 医師への大きな興味(臨床医)
 アメリカでの医療活動を将来希望
<個人研究テーマ>
メダカへの Fra1 遺伝子導入
ヒト骨形成関連遺伝子をメダカへ導入する大学院
生レベルの研究テーマを遂行し、研究成果を得た。
その研究遂行能力は、指導教授が瞠目するほどで
あった。平成 24 年 4 月から高校 3 年生になるた
め、1 年間研究を休み、日本の大学に進む場合に
は大学生になってから研究を再開する。
<将来>
小島原さんは、本プログラムに参加し、当初の希望大学であった東京医科歯科大学医学部
から、慶應義塾大学医学部へ志望を変更した。しかし、平成 23 年 8 月に実施したアメリカ
大学視察に赴き、アメリカの大学教授との討論(上写真)やスタンフォード大学病院の見
学を通じて、アメリカの大学に直接入学することも視野に受験勉強を始めている。
Ⅳ.募集と選抜
【概要】
全国の小中高校生を対象とし、小中学生コースと高校生コースに分けて選抜を行った。小
中学生コースは予備活動・レポートにより、高校生コースは面接により選抜を行った。い
ずれの受講生も資質だけでなく、医学・医療に携わることに対する高い意欲を有すること
を対面で確認することでよりよい選抜とした。
【募集と選抜の詳細】
開発要素
内容
考え方・ロジック
募集対象・ターゲ
地域:全国
全国から真に医学・医療に関心の高い小
ット
学年:小中学生コース(小 5
中・高校生を少人数集めることを目的と
(学年、性別、そ
~中 3)高校生コース(中 3
し、当該少人数の受講者に手厚い教育、
の他属性(地域・ ~高 3)男女比はどちらかが
研究指導、医療体験、交流を施すことを
6 割を超えないように留意
心掛けた。また、その結果、将来の医学・
した。
医療分野で核となる人材の育成を目指し
学校ほか)
)
た。
募集時期(開始・ 5 月募集開始;7 月募集終了
夏休みという集中できる期間にキックオ
終了)
フミーティングおよび報告会を行うこと
を目的とし、先の時期を選択した。
募集ツール(広報
HP での広報;学校(高校の
含む)
場合には SSH 等の 400 校) る募集実績を得た。また、孤高性コース
連携・協力機関
全国への広報を心掛け、常に想定を上回
への案内・ポスターの配
に関しては、平成 23 年度は「平成 22 年
布;新聞折込;過年度参加
度からの継続」
「中学生コースからのステ
者への案内;教諭への直接
ップアップ」制度、更には大学独自で既
のお誘い
受講コースを設けた。
久留米大学医学部;公立大
全国の受講生の指導を可能とするために
学法人福岡女子大学;NPO
西日本の大学およびオフキャンパス教育
法人新世紀教育研究会
で教育実績のある NPO 法人と連携・協力
した。
応募要件
小中学生コース:予備教室
小中学生コースは、保護者主導とならぬ
(申請書、提出資
への参加および課題レポー
ように本人の意欲の確認のために予備教
料ほか条件)
ト
室で十分な審査を行った。また、高校生
高校生コース:課題論文・
コースは毎日観察しておられる教諭の推
教諭の推薦
薦を認めた。
一次選抜方法
小中学生コースは 2 段階と
予備教室での実験の様子や意見の発表具
(誰がどのよ う
なっているため、一次選抜
合の観察結果は、評価方法として有効で
に選抜するのか) は予備教室での活動の様子
あった。課題レポートだけでは、十分な
および課題レポートの内容
審査が行われなかったというのが本グル
を 5 人 1 組となって評価・
ープ員の一致した見方である。
審査した。
選抜審査基準
高い資質(学年に関係なく
本年度の小中学生コースは中学生を中心
(主要な審査 観
科学を理解する基礎学力)
に選抜したが、受験のためか中学 3 年生
点)
および高い意欲(困難な課
が少ない結果となった。しかし、全体に
題を克服しようとする意欲
受講生は非常に高い意欲があり、事前配
および医学・医療に携わり
布資料を十分に理解する勉強を行ってい
たいとする意欲)
た。
【応募実績】
21 年度
22 年度
23 年度
募集数
100 名
120 名
120 名
応募数
299 名
224 名
344 名
都道府県数
6 都県
8 都県
7 都県
募集数
15 名
15 名
15 名
応募数
37 名
50 名
41 名
都道府県数
15 都府県
15 都府県
16 都府県
年度
小中学生コース
高校生コース
Ⅴ.受講生に対する評価手法の開発と実施
本プログラムでは、小中学生コースおよび高校生コースにおいて、各々目標を定め、当
該目標に対する評価を、講座参加大学教員および大学院生が行った。また、全体のプログ
ラムおよびその実施評価を、教育関係の有識者 4 名で構成する外部評価委員会、および医
学部長を委員長とする医学部教授 5 名で構成する内部評価委員会に依頼し、評価およびご
助言を頂いた。
小中学生コースおよび高校生コースの 1 年間の評価内容と時期
評価項目
評価項目
意欲
設定の目的等
長い期間を要する講座(活動)であるので、高い意欲がなければ持続せ
ず、また、提供された高度な情報を消化できない。また、世界を先導す
る医学者には極めて稀な意欲が必要である。
知識
意欲だけではブレークスルーは遂げられず、現状の科学技術を理解する
知識が不可欠である。
理解度
特に、小中学生グループでは、新しい知識が多いため、これを理解する
能力が必要である。
ディベート能力
世界と伍していくためには、(科学的)データに基づいた討論能力を必
要とする。
持続力
困難な課題が続くときに、それに向かっていく持続力は重要である。
順応性
新たな環境で、新たなメンバーと課題に取り組む場合、いち早い順応性
が求められる。
プレゼンテー シ
研究成果を適正に発表するための最低限の能力を身に着ける必要があ
ョン能力
る。
学会発表
高校生コースの目標であり、自らの研究を外部評価して頂く貴重な機会
である。
論文発表
高校生コースの目標であり、自らの研究を外部評価して頂く貴重な機会
である。
評価の実施方法
評価項目
実施内容 (対象、具体的タイミン
評価のポイント&考え方
グ、方法、評価者)
受 講 ス タ ー 対象:全員
高い意欲を有するか。
ト時評価
文章力を有するか。
タイミング:選抜時(小中学生は 1
次選抜時)
方法:レポートおよび論文評価
評価者:講座関係大学教員
日常的評価
対象:高校生コース
目的を持って実験を行っているか。
タイミング:個人研究実施時
自発的な目標設定がなされているか。
方法:対面式評価
研究の全体像が掴めているか。
評価者:個人研究指導の教員・大学
参考文献は熟読しているか。
院生
中間評価
修了時評価
対象:全員
活動内容は適切か。
タイミング:冬の活動時
活動内容を理解しているか。
方法:コメント評価
意見を述べているか。
評価者:外部および内部評価委員会
質問しているか。など
対象:全員
活動内容は適切か。
タイミング:夏の報告会
活動内容を理解しているか。
方法:コメント評価(高校生コース
高校生コースは個人研究の発表にお
は評点)
いて研究成果およびプレゼンテーシ
評価者:外部および内部評価委員会
ョン力について評価
評価結果の活用
内容
受講生の指導
実施の具体的内容
実施のポイント&考え方
小中学生コース・高校生コー
小中学生コース・高校生コースでは、
ス:指導教員および大学院生に
まとめ作業を丁寧に指導した。また、
評価結果を周知徹底させ、成果
高校生コースの個人研究では、成果発
およびその外部発表を意識した
表に期限を設け、早期発表にこぎつけ
指導を行うようにした。
ることができるように配慮した。
受 講 生 の 昇
選抜、特に高校生の選抜におい
平成 21 および 22 年度とは違った因子
格・選抜
て、基礎学力と共に医学・医療
も加味し、当該年度とは異なる受講生
研究への意欲をポイントとした
も受け入れることとした。しかし、現
選抜を行った。
在までのところ、意欲を中心に受け入
れた受講生についてはあまりうまく
いっていない。
プログラムの
小中学生コース:評価結果に基
小中学生コースについてはアドバン
検証・改善
づいてプログラム内容の追加お
スなコースの設定を行い、高校生コー
よび修正を実施した。
スでは基礎技術習得項目の追加・修正
高校生コース:評価結果に基づ
を行った。また、両コース共にディベ
いてプログラム内容の追加およ
ート能力の育成を開始した。
び修正を実施した。
制度的活用
既に他大学の AO 入試等で入学し
講座開設は H23 年 9 月であるが、H25
(AO入試な
た受講生もいたが、本学の環境
年 4 月には大学院にもコースを設置
ど)
情報学部の AO 入試を利用できる
し、一貫した研究指導ができる体制を
ようになった。そのための講座
整備した。
を環境情報学部に設置した。
Ⅵ.受講生の活動成果
受講生による学会発表リスト(平成 24 年 3 月 10 日現在)

菊池憧子,井上浩義:高校生による高校生のための原子力放射線教育~実践の利点と
問題点~,第47回アイソトープ・放射線研究発表会,2010 年 7 月,東京.

菊池憧子,井上浩義:高校生が中高校生に行う放射線・原子力教育,2010 年度 Hiyoshi
Research Portfolio,2010 年 10 月,横浜.

遠藤友子,東元祐一郎,井上浩義:Screening of natural sources inhibiting xanthine oxidase ?
Quercetin and Luteolin
(キサンチンオキシダーゼ活性を抑制する天然素材の探索-ケ
ルセチンとルテオニンの効果)
,第 84 回日本薬理学会総会(The 11 th Southeast Asia
Western Pacific Regional Meeting for Pharmacologists 共同開催)
,2011 年 3 月,横浜.

矢口翔一,井上浩義:Development of novel ion-exchange resin specifically binding to
advanced glycation end-products (AGEs) (終末糖化産物(AGEs)を吸着除去する新規
イオン交換樹脂の開発)
,第 84 回日本薬理学会総会(The 11 th Southeast Asia Western
Pacific Regional Meeting for Pharmacologists 共同開催)
,2011 年 3 月,横浜.

菊池憧子,井上浩義:小中高校生から始まる原子力・放射線教育-個人から家族へ-,
日本原子力学会「2011 年春の年会」
,2011 年 3 月,福井.

清水翔,井上浩義,東元祐一郎:アリルアルキルアミン-N-アセチル転移酵素の SNP に
よる活性への影響,第 48 回化学関連支部合同九州大会,2011 年 7 月,北九州
受講生による投稿論文(平成 24 年 3 月 10 日現在)

Yaguchi S, Inoue H: Development of novel ion-exchange resin specifically binding to advanced
glycation end-products (AGEs), Int J Artific Organs, submission.

Hadano J, Ando S, Hishinuma C, Inoue H: Viscosity of Enteral Nutrient and Effect of Enzymes
for Stomach Emptying, Gerontology, submission.

Kuniyoshi M, Takagi K, Inoue H: Ion transport through the high ion-exchange capacity
anion-exchange paper membrane. Desalination, submission.
Ⅶ.参加者の声
平成 21 年度(アンケートより抜粋)
<小中学生コース>

勉強になった。家ではできないことができたので楽しかった。(中 1・女)

もう少し時間を増やして実験の数を 1 つでもいいから増やしてほしい。今日の講義は
分かりやすく、ためになることばかりでした。本当に今日はありがとうございました。
(中1・男)

だ液で血液型のはんていをするのははじめてでした。スポイトで L 薬を移したりまぜ
たりするのがおもしろかったです。家などではできないことができてよかった。今度
は血液でやってみたい。
(小 5・女)

せつめいがわかりやすくよかったです。最後の実験はうまくいきませんでしたが楽し
かったです。今回で 2 回目となりますが来年も来たいなという気持ちになりました。
来年も楽しみです。
(中 1・男)

放射線のことを、わかりやすく説明して下さったので、とても理解しやすかったです。
科学をもっと知りたいと思えたし、実際に実験もできて楽しかったです。またこのよ
うな機会があればぜひ参加したいと思いました。
(中 3・女)

3 年ぶりに来て、前と変わらずとてもおもしろかったです。自分の血液型が血液を採
らなくても分かるということを知ってとても驚きました。また活動があるときは参加
したいと思いました。
(中 2・女)

この活動で今まで知らなかった放射線というもののいろいろな活用法、原理などが分
かってとてもよかった。またこのような活動を行って知識を増やしたり未来の仕事に
つかっていきたいです。
(中 1・男)

先生に質問したら、丁ねいに教えて下さったので良かったです。今まで知らなかった
放射線のことがくわしく分かったので、この活動に参加して良かったと思います。(中
1・女)

夏休みの自由研究にぴったりでとても楽しかった。また参加したい。先生が面白かっ
た。
(中 3・男)

教え方がわかりやすく、とても楽しかった(中 1・男)

血液や抗体について、少し興味がわいた。レントゲンは放射線を利用しているとわか
った。なぜ、体の中が見えるのかなと思っていたので良かった。
(中 2・女)

なんで僕の胸はひっこむのか知りたい(小 6・男)

わからないことが分かった。来年もぜひ参加したいです。(中 2・男)
<高校生コース>

高校でも出来ないような実験が体験できてとてもよかった。

大学院生と共に本格的な実験及び研究の基礎が学べるので大変満足している。沢山の
ことを吸収して良い研究結果が出るように頑張っていきたい。

動物実験は初めてだったが、安東さんの細かい指導はすばらしかった。楽しかった。

活動そのものも大変素晴らしかったが、それと同じくらい参加者と交流できたことが
印象に残った。その参加者も「自分ならでは」の個性を持っていて、私にとっていい
刺になったし、自分の世界がぐっと広がったように思った。このような講座に参加さ
せてもらえて感謝の気持ちでいっぱいだ。

慶應義塾大学の講座ということを知り、初めは皆すごく頭がよくて自分は全く及ばな
いくらいのレベルの高い方たちの集まりだろうと思って、とても緊張していた。しか
し、いざ講座を受けてみると、指導者の方々はとても優しくて面白い方ばかりだった
ので安心してこの2日間を過ごすことができた。また、学校ではめったにできないよ
うなこともできて、本当にこの講座に参加できてよかった。

あまり、みんなで集まる機会がないのは残念だが、1年間頑張って研究しようと思う。
また、全国各地から来ているので色々な情報交換もでき、とてもいい経験になった。
参加できて嬉しく思う。

資料集などで見る血液型の測定を実際に行ったり、写真で見ていたマウスに触れて解
剖するなど、高校では中々出来ない実習ができて楽しかった。特にマウスの解剖では
カエルやイモリでは分かりづらい脳の構造を、神経がどこに分かれているか等詳しく
見ることができた。また、全国の理科好きな人と出会えたことも貴重なものだった。
学校には全くいないタイプの人とも出会え、自分にとって良い刺激になった。

同世代の頭の良い人々との交流によって刺激を受けた。また、実際のマウスによる動
物実験での尊い犠牲を何らかの形で昇華していきたいと思った。高校レベルの話では
なく、更に高度な事に触れて、より一層化学・生物に興味がわいた。

これからもどんどん続けていってほしい。マウスの解剖などは普通の学校では滅多に
する機会がないのでとても面白かった。

実験の基礎を学べたのはこれから研究をしていくうえで非常に有意義なものだった。
他の学校の人達も、皆さん面白い方々だったので、楽しく過ごせたし、研究の話とか
も聞けたので、良い機会だった。

とても良い体験ができた。知らないことばかりで、驚くことが多かった。全国から生
徒が参加しているので、視野も広がったし、世の中の広さを感じた。今後に対する意
欲がわいた。

新たにやることばかりだったので充実していた。

実験道具がたくさんあり、驚いた。皆積極的に話し合っていて、これからやる研究の
上で分からない所を聞き合ったりすることが出来そうな雰囲気なので安心した。

もう少し時間を割きたいが遠い。創薬について知りたい。
<保護者・教諭>

講義の内容はもちろんのこと、こういった事業に参加して生徒たちに「科学者を目指
すきっかけや意欲を与える」という点で、大変有意義なものだと思う。SSH や理数研
究に取り組む全国の仲間と知り合う機会をもてたことは、本校の生徒にとって貴重な
経験になったと思う。実際、たった2日間ではあったが、同じ夢をもつ仲間とすぐに
打ちとけ合っている姿を見て嬉しく思った。これから1年間の活動ではあるが大いに
期待できると確信している。

他校の生徒諸君と交流することにより、より明確な進路意識を育むことができる講座
であった。また、日頃高校で経験できない実験・研修を行う機会を得たことで生徒の
漠然とした学問のイメージを確固たるものにできたのではないだろうか。次年度以降
もぜひ継続していただきたい。

未来の科学者養成の通り、いろいろな可能性を持った学生が普段学校の授業では体験
できない内容を大学の先生方の指導のもと、かみ砕いた内容に説明してあり、素人の
私でもいろいろおもしろい体験を見ることが出来た。実際は生徒中心なのだが、でき
れば実験に参加してみたかった。

全国の生徒が集まり、情報が得られ良かった。解剖は不安だったが、生徒たちは気後
れなく淡々と行っていたのでびっくりした。積極的に進んで行い、希望して集まった
生徒たちだなと思った。今後も同様に開催して欲しい。

特に県立高校においては、実験器具等にも限りがあり、実験等を含め体験的授業は、
数回しかできない。実際作業し、考察できる機会を与えてもらい、本当に糧になるも
のだと思った。またこれからも1年間様々な方にお世話になりながらも本格的な研究
を行うことができるので楽しみにしている。
平成 22 年度(アンケートより抜粋)
<小中学生コース>

解剖やルミノール反応が様々な場面で使われ、人間のためになっているから、ただ面
白半分でなく、真剣にやらなければいけないと改めて感じました。

放射線で体の中を見れるのが驚きました。マウスの解剖も臓器がどこにあるのかがわ
かってよかったです。

マウスの体のつくりがわかってよかった。また来たい。

慶應大学で行われている iPS 細胞を使った臓器を創る(生成)実験を見たい。放射線
を霧箱で観察できてうれしかった。家でも霧箱を作って観察します。

普段はできない、貴重な体験になりました。ありがとうございました。また来年もで
きたら参加したいです。

昨年参加した時はマウスの解剖ができなかったけれど、今回は少人数で解剖ができて、
身近に感じてよかったです。

普段出来ないような体験や、現役大学生の話などを聞けるよい機会となったのでよか
った。今まで何気なく利用していたレントゲン写真等のことが分かって面白かった。

マウスの解剖を始めてやったので、すぐになじめませんでした。

動物実験についての疑問をもっていましたが、今回マウスの解剖をしたり話を聞くう
ちに実験の大切さや重要性を感じました。

CT写真、レントゲンのことを知ることができてうれしい。マウスのためにもこのこ
とをいかして将来有名な医者になりたい。

学校で行う実験ではいつも個人実験なので、多人数で楽しくやれてよかった。また、
学校での解剖実験はカエルのみで行っており、マウスで行った実験は新鮮でおもしろ
かった。

話自体は面白かったが、話のレベルが高かった。なので、中高生向きにするとよいと
思う。

初めての解剖で少しこわかったけれど、勉強になったと思います

解剖の時間を減らして、実験の時間を増やして欲しい。

もっと解剖がしたかった。初めて解剖ができてうれしかったです。

解剖が少し気持ち悪かったが、思ったより血が出なかったのでよかった。CTのメカ
ニズムをもっと教えて欲しい。

教室に来るまでの道のりに方向をしめすものをつけておいてほしい。マウスの解剖、
ルミノール反応が楽しかった。

もう少し講座の時間をとって欲しかったです。マウスの解剖は思った以上に興味深く、
とても勉強になりました。ありがとうございました。

特にマウスの解剖が楽しかった。またやりたい。

マウスの解剖で、臓器の形や位置が思ったより人間と大差なかったので驚いた。霧箱
の中に飛び込んでくる放射線が結構少なかったが、アルファ、ベータ、ガンマの違い
が意外に大きかった。

解剖が勉強になった。臓器の位置や役割がよく分かり、説明も分かりやすくて楽しか
ったです。

マウスなどの解剖は、学校でなかなかやらないので、とても勉強になりました。その
ため、この分野がより身近なものになり、興味がとても湧きました。ありがとうござ
いました。

簡単に動物を殺してはならないことについて考えさせてもうらうことができ、この活
動をこれからも続けて欲しいと思いました。マウスの解剖を少しためらいながら行っ
てしまったため、次は自信を持ってやりたいと思います。

知らない用語がいくつかあった。例えば「ルミノール反応」や電離作用などいい勉強
になりました。また、体の構造が解剖をやってよく分かりました。

マウスの解剖が初めて(解剖が初めて)で、最初はビビッていたけれど、命を使って
いるから怖がらずにやろうと思ってやりました。それで、気づいたことがたくさんあ
りました。マウスは胆のうがないことや、人間の身体に対しての肝臓の大きさはマウ
スに比べたら小さいことが初めてわかり、とてもためになりました。また、指紋は指
によって違うことを知り、驚きました。あと、腎臓は2つあるというのは共通点だし、
腎臓は1つなくなっても生きていけるということを知り、驚きました。

マウスの解剖が印象に一番残った。臓器を裏返したり、はがしかけたり、色々いじっ
たが、少しも傷がつかなかったのでやはり生物の体は丈夫だなと思った。また、一部
の野生動物には胆のうがないこと、その推測、色の理由、移植の話等々興味深い知ら
ないことを教授、大学院生の方に教わったのがとても面白かった。

とてもおもしろい実験がたくさんありました。マウスの解剖は少し怖かったけれど、
マウスの体の中がよく分かって、役に立ついい経験だな・・・と思いました。ルミノ
ール反応は思ったよりもすぐに、そして、はっきりと見えたので驚きました。

解剖の時間がもっと欲しかった。ルミノール反応など初めての体験があってとても勉
強になった。

席によって映像、黒板が見えづらかった。実際にマウスの解剖ができて、貴重な体験
でした。先生の講義もとても分かりやすい解説でした。もっと多くの人がこの活動の
参加できればいいと思った。

とても楽しく、医学に少ししか興味がなく、あまり知らない私でも、よく分かり面白
かったです。今日一日ありがとうございました。またの機会を楽しみにしています。

実際に解剖をしたり、放射線を見たりして、話を聞いたりするよりよく分かりました。
この活動は医療への関心を持てると思うし、命の大切さについても考えるきっかけに
なれると思います。今回参加でき、とてもうれしく思いました。

解剖や血液が光るのがおもしろかった。

話が難しかった。指紋の採取がおもしろかったです。

霧箱、ルミノール反応が見られてとてもよかった。マウスの解剖は色々な臓器を取り
出して「この場所にこれがある!」というような事が分かり、とてもよいと思った。
このことを家族にも話してみたいと思う。

とても本格的な内容で、中学ではブタの目の解剖をやりましたが、マウスの体の解剖
となると少しきつかったけれども、先生方が優しく対応していただいたのでとてもス
ムーズに、かつ、内容の濃いものを勉強させていただきました。ありがとうございま
した。

普段は解剖しない脳なども詳しく観察でき、また、身近に放射線があることも分かり、
とても充実した活動でした。

放射線はよいところも悪いところもあることを知り、マウスの解剖は最初は気持ち悪
かったけれど、臓器などを確認できたのでよかったです。霧箱で飛行機雲が見えたの
はすごかったです。

放射線のことをわかりやすく教えてもらったのでよかった。

昨年も参加させていただきました。前回と違って、指紋をとったり、ルミノール反応
をやり、とてもおもしろかったです。今年もアドバンスコースに参加できればうれし
いです。

マウスの解剖では、小腸が思ったより長くてびっくりしました。脳は、左右2つにわ
れていて?小さかったです。放射線のことなど、知らないことが分かって、楽しかっ
たです。ありがとうございました。

マウスの解剖や放射線の実験、説明がそれぞれとても興味深いものだった。一見して、
放射線は医療に何の関係があるのだろうとも思ったが、最先端のもので感心が湧いた。
アドバンスコースの方も参加したいと思う。できればもっと沢山の時間で沢山のこと
を学びたい。

色々な活動がやれてよかったし、知らなかったことがわかってよかった。

おもしろい実験や講義が聞くことができて今日はとても楽しかったです。本日は大変
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

時間があまっているのでもっとマウスの解剖をしたかった。もうちょっと大きいもの
を使って欲しい(小さかった)
。参加できる日数や学年を増やして欲しい。説明がわか
りやすくて理解しやすかった。本日はありがとうございました。

マウスの解剖によって、体の部分をよく知ることができました。また、最後には自分
で胃の中を開いてみたり、筋肉をはがしてとろうとしたり、最初はあまりよくないイ
メージをもっていた私も楽しんで学ぶことができました。来年も開いていただくとう
れしいです。

放射線に関する話やルミノール反応についてたくさん聞けてよかったです。また、放
射線を実際に目で見ることができて、不思議な感じがしました。今回の講演が将来に
ついて参考になればよいと思います。ありがとうございました。

マウスの解剖では、一生に一度しかやらないくらい貴重な体験だったと思います。少
しグロテスクだったけど、体の中の臓器についてよく分かりました。ルミノール反応
はテレビなどでしか聞いたことがなかったので実際に目で見れてよかったです。自由
研究に役立ちそうです。ありがとうございました。

マウスの解剖で脳もよく見れて楽しかったけれど、少しこわかったです。医学の現場
で検査にどのようなものがあるかを知ることができた。
<高校生コース>

皆さんの研究がそれぞれ完成されていて、素晴らしいものばかりで、聞いていて、と
てもためになりました。化学や生物がとても身近に感じられました。

今回も、貴重なお話を聞くことができて良かったです。全体的に研究発表のレベルが
高くて、もっと頑張ればよかったと後悔しています。

知識も少しは増えたと思いますし、何より他の皆さんの発表を聞いたり一緒にお話を
したりして、大変刺激を受けました。塗谷先生、塩見先生の講演も、初めて聞くこと
も多く、驚きが大きかったです。このようなものに参加できて良かったです。ありが
とうございました。

最新科学の講演を聞くことが出来てよかった。どちらも興味深い内容で、分かりやす
かった。他の人の研究について聞けてよい刺激を受け、自分も頑張ろうと思った。質
疑応答も充実していて、他の人の考えが参考になった。

参加者皆さんの知識がとても高度で、ついていくことが大変でした。でも、そんな人
たちの中に身を置くことによって、とても良い刺激を受けることができたし、もっと
勉強して、知識を増やしたいという気持ちがわきました。このミーティングに参加さ
せていただけて本当に良かったです。ありがとうございました。

とても参考になりました。ありがとうございました。

将来に対する意思がより強くなれた気がします。

機会があったら、今日発表できなかった人の発表も聞きたい。将来に向けて色々聞く
ことができて、本当にいい経験をできてよかったなと思います。研究者になるために
は、読書・数学・インターネット・意思の強さが大切だと言っていました。私は、数
学は好きだけどそれ以外は微妙なので、これからやっていけたらいいなと思いました。

同じ高校生の色んな話を聞けるのが本当にいい。講話していただいた先生も、普段絶
対に直接話を聞けるわけはないし、非常に貴重な時間だった。

他の高校生が一年間何をやってきたのか知ることができてよかった。また、発表者に
質問できるのも大変良いと思った->その人が本当に自分のやってきた研究テーマを
理解した上で発表しているかが分かるため。安井先生、塗谷先生とお話する機会が持
てて大変満足している。

前年度の先輩方、講演をしてくださった先生方や、大学院生の方々から多くのことを
学べて、とてもいい体験をさせていただきました。自分が今までとても小さな世界で
生きてきたことがわかりました。これから、来年の発表に向けて、精一杯がんばりま
す。

世界が広がりました。今まで知らなかったことをたくさん知ることができました。ミ
ーティングに参加してとてもよかったです。

普段の授業で体験できないことを沢山できて、とてもためになり、よい刺激になりま
した。また、まだまだ勉強不足の点が多いので、これからもっと勉強したいです。

先輩方の研究発表を聞いて、こういう研究をして、この様に発表するのだという事を
学びました。そして、これから自分が研究するテーマは、来年自信を持って発表出来
る様に頑張りたいです。良い経験になりました。

一年間研究してきた人達の話が聞けてよかったし、自分もよい経験になった。その後
に聞いたプロの方々の話はすごくためになったし、わかりやすかった。とても楽しか
ったです。

今までにこのようなプロジェクトに参加したことがなかったので衝撃的でした。また、
大学教授などの生講演を聴いて、改めて研究は面白いなと思いました。来年の今の時
期に平成21年度生のような発表をするのかと不安も大きいですが頑張りたいです。

8月7日は実践的内容が多く、初めてのことだらけでした。現地でお互いに打ち解け
合い、仲良くなれてよかったです。8月8日は先輩方の研究成果が見られて、自分の
研究の参考となった。さらに、脳は RNA についても興味を持ててよかった。

普段体験する事のできない実験や講演など、たくさんのとても良い経験をさせていた
だきました。来年は今回学んだことを活かして自分なりの発表ができたらいいなと思
います。

午前中の個人研究の発表を通して、自分のメンタル面を鍛えられたと思う。また、質
疑応答の時間には、私の発表を聞いてくれている人たちと、交流できたように感じ、
非常に楽しかったし、
「こんなことを疑問に思うのか!」と自分で自分の研究に新たな
見方をすることができた。

研究報告会では、皆、素晴らしい発表をしていて、結果が出た、出なかったというも
のはあったが、自分の知らないことを知ることができ、かつ、新しい発見もあり、有
意義な時間を過ごすことができました。参加させて下さった井上先生をはじめとする
先生方、ありがとうございました。

塩見先生のお話は、初めて聞いたことばかりの新鮮な内容で、視野がとても広がった
気がします。臨床医として働くことに憧れていましたが、2日目の研修で、研究医に
も興味をもてて嬉しかったです。ありがとうございました。

とても充実した2日間でした。このプログラムに思いきって応募して、本当によかっ
たです最先端の医療のことなど、やはり東京でしか聞けないことを聞けて、自分のた
めになりました。これからもがんばって研究課題を続けていきたいです。どうもあり
がとうございました。

一年間という研究としては、短い期間にも関わらず、高校生とは思えないような内容
に驚きました。私は、特に日焼け止めの研究にとても興味を持ちました。まだ、化学
を習っていないので、これからもう一度見返して勉強し、より考えてみたいと思いま
す。講演も、とても難しかったですが、興味深かったです。ありがとうございました。
一年間よろしくお願いします。
<保護者・教諭>

最先端の研究について知ることが出来ました。若い研究者が育って行くのが楽しみで
す。

受講生達が非常に熱心で、専門的な分野のこともよく熟知しているのに驚かされまし
た。

保護者として参加させて頂き、大変お世話になり誠にありがとうございました。日常
の高校生の話ではお会いすることの出来ない先生方、先輩方、そして、全国の高校生
の皆さん、とても良い刺激を頂くことの出来た2日間だったと思います。この機会を
頂くことが出来たことに心より感謝致します。ありがとうございました。今後共よろ
しくお願いします。

今後も続けて欲しいです。

確実に成長した子供の姿に感動しました。

医学の分野へは興味はあったが、なかなか勉強することができなかったので貴重な体
験となった。是非来年も参加したい。

大変良い経験をさせていただきありがとうございました。

各個人のがんばりと熱意が感じられた。

専門知識の先生のお話に高校生達は興味を持っていたと思います。

一年間大変お世話になりました。普段はなかなか触れることのできない高度な研究の
一端を知ることができ、生徒達にとって大きな経験だったと思います。そして、何よ
りも全国から集まった仲間と出会い、同じ道を目指して頑張っている姿を互いに感じ
れたことが一番良かったと思います。本当にありがとうございました。

生徒の熱心さ、本気度の高さにとても感心しました。また、質問についてもレベルが
高く、鋭い質問内容で驚きです。このプログラムの高さを感じます。

この度は素晴らしい研修に参加させて頂き、親子共々、大変感謝しております。本講
座を企画、ご準備、そして、支えてくださった先生方、院生の皆様には、研究への姿
勢のみならず、よりよい”生き方”そのものを、子供達に教えて頂けたと思います。
楽しく、真摯に研究に取り組む子供さん達を、社会人であり保護者である私達もサポ
ートして参りたいと思います。本当にありがとうございました。そして、これから一
年間よろしくお願い致します。

高校生達が頑張っているのに感心しました。今後も若い人達の教育のため続けてもら
いたい。科学発展ためには、事業仕分け対象からは別扱いにすべきだと思います。

ハイレベルな発表にもかかわらず、参加者が皆知識があるようで、鋭い質問をしてい
たことに驚きました。刺激的な内容を切磋琢磨する仲間がいてとても良いと思います。
参加させて頂きましたことに感謝致します。
平成 23 年度(アンケートより抜粋)
<小中学生コース>

放射線について知ることができた。これからもよろしく。

放射線について説明していただき、今までよく分からなかったことがたくさん分かるようになりまし
た。また、放射線に少し興味を持ち、放射線についてもっと知りたいと思いました。

放射線の実験、とても楽しかったです。工作もしたので余計に楽しかったです。機会があればまた来
たいです。今日はありがとうございました。

今日はとても楽しかったし、放射線についてよく分かりました。

放射線のことが分かりました。霧箱を自由研究でもやりたいです。

また来たいです。

福島第一原発の事故をもとに、放射線についての説明をして頂き、とても分かりやすかったです。ま
た、先生が、放射線だけでなく他のことについても説明して下さったので楽しかったし、ためになり
ました。また、このような機会があれば参加したいです。ありがとうございました。

とても分かりやすく。実験などがとても楽しかった。そして、とてもスムーズだったのでよかった。

とても分かりやすく楽しかった。

実習の霧箱を作ってみたいと思いました。家庭で簡単にできる説明書があったら助かります。

放射線は日本でとても問題になっていて、様々な情報を耳にしますが、今回の講演では、その情報の
中で、本当のことなのか間違ったことなのかがはっきりしてよかったです。また、実験では実際に目
にすることによって実感がありました。また、このような機会があれば是非、参加したいです。今回
は本当にありがとうございました。今回学んだことをこれからに生かしていきたいです。

本当に面白かったです。説明も分かりやすく、すべての質問に納得のいく答えが返ってきました。自
由研究だけでなくいろいろなことを学びました。

最近、テレビで連日放送されている福島第一原発のことについて。大いに安心できたような気がしま
す。しかし、まだまだ放射線について危険な部分まで完全に知ることができたわけではないので、こ
れからも調べてみたいです。今日はありがとうございました。

僕は福島第一原発事故がなぜ起きたのか、津波が来ても何か悪いことが起きるとは考えられずに、知
りませんでした。しかし、やっとそのモヤモヤを解決することができました。それ以外にも。放射能
能ことや余談から幾多のことを教えて下さいました。ありがとうございます。

とても楽しかったです。

福島のことについて正しい知識が得られたのが良かったです。これからは、私たちがみんな生きやす
い世界を作るために私は医者になってがんばろうと思いました。ルミノール反応の実験は綺麗に光っ
ていてとても面白かったです。

1 つの出来事にも色々な捉え方があって、それらはやはりより多くの人の言葉を聞くこ
とで知ることが出来るのだと思う。同年代の人たちがどのような考え方をしているの
か、あまり話す機会がないので今回(前回も含む)は良い経験になった。

福島の原発がどのようなものなのか、よくわかった。皆がどのような思いを持ってい
るのか、知識がよく伝わった。日本のエネルギーについて興味がすごくわいた。

今日はディベートの手助けやお話をしていただき有難うございました。前回より意見
が言えたと思います。質疑応答の時間はいろいろなお話があって面白かった。

ディベートを機会にいろいろ考えることができるため良い機会だと思う。

自分とは違う意見を聞けて面白かったです。今日はありがとうございました。

前回 12 月に私は”原子力発電には反対”という立場でディベートを行ったので今回の
原発事故にはとても興味がありました。そのうえでもう一度、今度は”原子力推進”
の立場でディベートが出来たことは私にとって原発についてより深く考えるという機
会になりました。これからも、沢山の知識を身につけ、発信していきたいと思います。
ありがとうございました。

とても楽しかったです。今後ともよろしくお願いします。

中学生、高校生、大学生のみなさんの発言の難しさにびっくりしました。でも勉強に
なりました。ありがとうございました。

自分の考えとは違う考えを聞くことが出来とても有意義なディベートだと思います。
自分の考えとは違う考えを聞くことが出来とても有意義なディベートだと思います。

まだまだ知識が乏しく、ディベートではあまり十分な発言ができなかったけれど、ま
た他の事(臓器移植など)についてもディベートをしてみたいと思います。今後とも
よろしくお願いいたします。

ディベートは自分がしゃべることによって元々持っていた自分の意見も深まり、他の
人の話を聞くことによって違う意見も聞くことが出来るのでもっと行ってほしいと思
う。

今後も講座に参加していきたいと思いますのでよろしくお願いします。慶應大学病院
ならではの難しい症例等も聞いてみたいです。現役大学生や大学院生の生の声も伺っ
てみたいです。東北地方のその後のセシウムについても知りたいと思います。

この活動を通して理科、科学への興味が深まりました。今後もたくさん講座を受けた
いと思います。今後もよろしくお願いします。アメリカ研修へ行かれた 3 人のお話を
聞いて私も行きたいと思いました。

普段の生活、勉強では学ぶことができない体験、講演にふれることは大変意義のある
ことだと思います。僕は少しだけ難しく感じました。でも他の受講者の方々が質問す
るなどのことを聞いているとわかったような気がしました。またこのような講座があ
れば極力受講したいです。

このような場をいたただいたことに感謝しております。ノーベル賞受賞者や他にも日
本を代表する方々に会える機会はここだけと思うほどです。最初この事業が終了する
ことにとてもショックを受けましたが後から次年度以降も続けると聞いてホッとしま
した。ぼくはこの事業が大好きです。次年度もお誘いいただくと嬉しいです。

今まで何度か経験させて頂いて自分自身とてもいい刺激を受けました。様々な人の話
を聞いたり実験器具を実際に扱ったりとなかなかできないことをさせて頂いて本当に
貴重な体験をすることができました。この 3 年間の経験をこれからの自分の進路選択
や夢の実現に行きたいと思います。高校生コースになると研究もできるので機会があ
れば参加したいと思っています。今まで本当にありがとうございました。
<高校生コース>

日本の問題点が非常に位多く、このディベートの声が少しでも周りの人を変えられた
らいいと思いました。

これからの考え方について、大変影響するものがありました。

井上先生のお話しがすごくためになりました。

ていねいな説明や本当の事がたくさん聞けてよかったです。

話し合いの力が養成されていくよい機会になりました。また、普段は考えることの出
来ないことを同年代で話し合えてよかったです。

原発は、はじめ完璧反対だったけど、賛成ということを考えるようになって完璧賛成
ではないけれど少しはやっぱり必要だということも考えるようになりました。今回こ
ういうことを考えて詳しく原発のことを知れてよかったです。

一人一人意見をじっくり聞くことが出来て、その後先生からのお話しもあり、自分の
考えを深く考え直すことができました。また宜しくお願いします。

3 年間ありがとうございました。僕は井上先生のおかげで好きなことを見つけ、好きな
ことを自分の得意をのばすことができました。またアメリカに連れて行ってくださり
英語の大切さも気づくことができました。これからもよろしくお願いします。3 年間貴
重な体験をたくさんさせて頂きありがとうございました。とても感謝しています。こ
の 3 年間のいろんな経験を通して自信がつき自らいろんなことにチャレンジするよう
になり積極性がでたこと、視野が少し広くなってきたこと嬉しく思います。これから
もどうぞよろしくお願いします。

今後も参加したいです。まわりの人の意見を聞くと実験がしたいという方が多いので
高校生コースの実験は続けていった方がいいと思います。海外でもなんでもこれから
もお手伝いします。なんか手がたりなくなったらすぐにお呼びください。
<保護者・教諭>

小中学生のディベートはここに準備してきた資料と意見をたたかわせ、大変貴重な時間で
あったと思います。学校の授業では学べない体験ができたと思います。

子供たちにとって、とても重要な活動だと思います。この様な機会を活用させていた
だき、ありがとうございます。

事前に資料もあり、家で考えをまとめる準備が出来た分、小中学生でも内容のある有
意義なものとなっていました。意見の表明の仕方のトレーニングにもなり、良い取り
組みだと思います。

大変有意義な講座に参加させていただきまして有難うございました。今日学んだこと
を理解すると共にこれからも勉強を続けたいと思います。

福島原発の話はとても分かりやすくもっと拝聴したいと思いました。ありがとうござ
いました。

先生のような推進派の方のお話しだけでなく、反対派の方の意見も聞いてみたいと感
じました。本日はどうもありがとうございました。

中高校生からディベートに参加することは彼らが大学に入った時に大いに役立つと思い
ました。自分たちで文献調査を行い、理解してきた上でディベートを行う事は素晴ら
しいと思いました。

自分の意見をたくさんの情報からつくりあげることが改めて大切だと感じました。慶
應の奥の深さを知る 1 日になりました。

参加者の皆さんが、しっかりと下調べをしているようで感心しました。

自分の意向をはっきりと伝えること、他の意見を受け付けることは、多くの場面で必
要となることから、もっと機会を増やしてほしい。できれば 5 人程度で 2or3 ぐらいで
あると意見を伝えることがもっと活発になると思いました。

本日を楽しみにしていました。とても有意義で”今後のエネルギー”について考えま
した。子供たちのこれから!日本の未来!私たちがこの手で作っていきたいと思いま
した。

ニュースとかなどではよく見かける事はありましたが、しっかり調べてディベートを
やったのは大いに意味があることだと思いました。

学校生活でも滅多に経験できないので今後も継続してほしい。科学教室を半々の割合
で。

さまざまな意見が、とても新鮮で、新しい方向に向かっていく原点となっていくと思
います。

滅多に会えないような方々の話が聞けて面白かった。他にも、専門的な話も聞けた。
(自
分的には iPS 細胞が最も良かった)大きな画面で見やすかった。身近なことについて
実用的なことも聞けてまた来たいと思った。こういう体験的なことは親が忘れたころ
に何かで発想します。半年後に読む本が変わっているとか。小 2 あたりから体験的な
ものには参加させているけど最近やっと何か始めないとヤバイと思い少しは努力らし
いことを始めてみます本当にありがたいです。今後もよろしくお願いします。

少人数のオーディエンスにはもったいないほどリッチなスピーカーのお話に聞き入り
ました。今後塾での活動が継続されるとの由、大変良いありがたいことと思います。
数名塾内での参加もありましたが諸学校にも募集の広報をいただければと思いました。
又、保護者の参加をお許し下さいましたことを感謝しております。今後ともこうした
機会をいただければ幸いです。

子供たちに今一番の研究者のお話を伺えてとてもありがたく思います。小学生(3年
生)ということもあり、少々難しく感じたかとも思いますが、この場に居れたことが
とても大切だと信じております。一期生の方と直にお話させて頂き、子ども達の可能
性と選択肢は世界規模で広がっているのだと思いました。「ハーバードで勉強したい」
と普通に考えられる環境があるというのは素晴らしいです。世界的視野を持って、優
秀な人材を育ててくださることの活動をぜひ今後も続けてください。いずれ我が家も
研究課題を見つけ、研究させて頂ける日を楽しみに致しております。本日はありがと
うございました。

この度はこのような報告会にお招き頂き感謝しております。元々夏の講座への参加の
きっかけは「学校の自由研究のきっかけ」くらいだったのですが、参加後自宅で同じ
実験をし自ら試してみたりと興味関心を持っています。今日このように招待頂いたこ
とも夏に意欲を高めています。厳しい条件下ではありますが是非活動を続けてほしい
です。慶應大学は日本を代表する大学でありますから最先端の研究、実験を行うと同
時にこのような地道な裾野を広げる活動に精力的に取り組んでいるところが素晴らし
いと思います。特にこれからを担う小中高生を対象としているところに意義が大きい
と思います。東京近辺だけでなく地方においてもです。
Ⅷ.大学としての事業評価
本講座に参加した教員・事務関係者に、
「次世代の研究者を早期に育てる」という意識が芽
生え、その考え方が醸成してきた。
本講座に参加した若手教員や大学院生の教育力が向上してきた。また、当該教員等が、児
童・生徒をはじめ、一般の方々に自らの研究を易しく説明することの重要性を理解した。
慶應義塾大学内で本講座を例として、多種なオフキャンパス教育活動が開始された。
慶應義塾大学環境情報学部内にヘルスサイエンスラボ(講座)が開設され、受講高校生の
受け入れ体ができた。また、H25 年度からは大学院のコースも新設する。
大学から社会への還元
本講座の開発成果は順次 HP(http://web.keio.jp/~medchem/mirai/index. html)で公開し
ている。
市民公開講座等で、本開発成果を社会へ還元している。
高校への医療関係者派遣等を通じて、開発成果を高校へ波及させる試みを行っている。
既に、本講座の研究開発内容に関しては、第 2 回初年次教育学会等で発表済みであり、更
には、平成 24 年度医学教育学会総会でも 2 題発表を行う。
Ⅸ.平成 24 年度以降の活動(予定)
大学として、大きな社会意義を有する本事業は継続する意向である。実際に、平成 24 年度
は、高校生コースを 8 名に絞り込む代わりに、参加大学を、本事業の 3 大学から 4 大学に
拡大して、より高度で、多様な医学・医療教育(研究)を施す予定である。小中学生コー
スについても、平成 24 年 7 月に福岡会場(アクロス福岡;福岡市)で「医療と放射線教室」
を、同年 8 月に横浜会場(慶應義塾大学日吉キャンパス;横浜市)で「医学・医療教室」
を開催することが決まっている。平成 24 年からは、海外との交流も盛んにする。このため
の費用がかさむために、平成 24 年度は、慶應義塾大学および東京工業大学の留学生の皆さ
んに協力を頂いて、国内での交流を設定する。
これらの活動を支えるために、外部資金の調達は当然のことながら、塾内の経費、あるい
は企業からの寄付も募ることで、活動資金を捻出する。
将来的には、本プログラムを基盤に、海外の大学と連携あるいはプログラム伝授・実施支
援などを行っていく予定である。
資
料
編
活動の目的
20世紀後半からの本邦科学技術の進展は目覚ましく、近年は世界のトップレベルにあり
続けている。この技術進歩は医学分野でも同様であるが、一方で、医学研究は十分に世界
を先導する役割を果たしているとはいえない。例えば、臨床医学分野の主要学術雑誌に掲
載された論文数は、日本が世界に占める割合は 1991 年~2000 年の 10 年間を計数すると僅
か 0.6%を占めるに過ぎず、世界で 14 位である。本事業では、医学研究で本邦さらには世
界を先導することができる人材の育成を目的とする。特に、20 世紀の医学では国民医療の
充実を目的に、医療・医学者の数的な充足が求められたが、当該目的がほぼ達成された現
在では、医学分野における能力と意欲に溢れる少数の研究者による理論的・技術的ブレー
クスルーが求められている。本事業はその人材育成プログラムを開発し、広く他大学にも
利用頂き、世界の医学教育に貢献することも目的の一つとする。
(事業責任者 医学部教授・井上浩義)
実施組織
主幹機関:慶應義塾大学
連携機関:久留米大学医学部
連携機関:公立大学法人福岡女子大学人間環境学部
連携機関:特定非営利法人新世紀教育研究会
目次
平成 21 年度事業(平成 21 年 5 月~平成 22 年 3 月)
Ⅰ.受講生応募状況および選抜 ····································································· 2
Ⅱ.夏の活動 ····························································································· 4
Ⅲ.冬の活動 ···························································································· 13
Ⅳ.その他の活動 ······················································································ 25
平成 22 年度事業(平成 22 年 4 月~平成 23 年 3 月)
Ⅰ.受講生応募状況および選抜 ···································································· 30
Ⅱ.夏の活動 ···························································································· 32
Ⅲ.冬の活動 ···························································································· 49
Ⅳ.その他の活動 ······················································································ 57
平成 23 年度事業(平成 23 年 4 月~平成 24 年 3 月)
Ⅰ.受講生応募状況および選抜 ···································································· 60
Ⅱ.夏の活動 ···························································································· 61
Ⅲ.米国視察 ···························································································· 77
Ⅳ.その他の活動 ···················································································· 104
高校生コース個人研究
平成 21-22 年度受講生成果報告·································································· 111
平成 22-23 年度受講生成果報告·································································· 128
事業成果のまとめ ···················································································· 149
評価委員会 ····························································································· 151
事務局 ··································································································· 152
平成 21 年度事業
(平成 21 年 5 月~平成 22 年 3 月)
1
Ⅰ.受講生応募状況および選抜
1.高校生コース
平成 21 年 6 月に全国の主要高等学校(SSH(スーパーサイエンスハイスクール)校および理
数科設置校)約 150 校へ募集案内を送付した。その他、HP での広報や教諭への直接のお誘いを
行った。
その結果、全国から 37 名(各都道府県別の応募者は下地図参照)の応募があった。
応募者内訳
学年
高校 3 年生
高校 2 年生
高校 1 年生
合計
男
2
6
8
16
女
1
11
9
21
応募者については基本的に高校 2 年生および 3 年生を優先し、面接を行って理数科系能力およ
び医学学習に対する意欲を基準として判定を行い、地域性も加味して、以下の 15 名を選抜した。
選抜者リスト
学年
都道府県名
高校名
男女
3 年生
東京都
雙葉高等学校
女
3 年生
東京都
慶應義塾高等学校
男
3 年生
神奈川県
慶應義塾高等学校
男
2 年生
沖縄県
沖縄県立開邦高等学校
女
2 年生
岐阜県
岐阜県立加茂高等学校
男
2 年生
神奈川県
慶應義塾湘南藤沢高等学校
女
2 年生
静岡県
静岡県立清水東高等学校
女
2 年生
岡山県
清心女子高等学校
女
2 年生
福岡県
福岡県立修猷館高等学校
男
2 年生
福岡県
福岡県立山門高等学校
女
2 年生
福島県
松韻学園福島高等学校
女
2 年生
宮崎県
宮崎県立宮崎北高等学校
女
2 年生
兵庫県
武庫川女子大学付属高等学校
女
2 年生
埼玉県
立教新座高等学校
男
1 年生
福岡県
福岡県立筑紫丘高等学校
女
2
2.小中学生コース
小中学生 15 名の選抜のための「科学教室」を平成 21 年 8 月 9 日(福岡)
、8 月 14 日・15 日(横
浜)に開催する。小中学生の募集に関しては、HP での広報、学校へのポスターの配布、新聞折
込、過年度参加者への案内、および教諭への直接のお誘いを行った。この「科学教室」の募集を
平成 21 年 7 月から開始した。その結果、上記 3 日間の活動での定員 100 名に対して、小中学生
(小学 5 年生以上)192 名、保護者 107 名の計 299 名の応募があった。この中から、抽選によ
り参加者を決定した。
3
Ⅱ.夏の活動
1.高校生コース
選抜された 15 名について、平成 21 年 8 月 11 日および 12 日にキックオフミーティングを開催
した。
(1)開催日時
平成 21 年 8 月 11 日(火)~12 日(水)
(2)開催場所
慶應義塾大学日吉キャンパス医学部化学教室(横浜市港北区日吉 4-1-1)
(3)後援等
後援:神奈川県教育委員会;埼玉県教育委員会;福岡県教育委員会
(4)参加人数
高校生 14 名;大人 7 名(教諭 5 名;保護者 2 名) *1 名は病欠
指導者 7 名(教員 1 名;大学院生 4 名;医学部学生 1 名;研究補助員 1 名)
合計 28 名
(5)プログラム
平成 21 年 8 月 11 日(火)
12:30 全体集合
13:00 活動開始
13:00‐14:00 全体諸注意(井上)
自己紹介(各自)
研究全体の諸注意(井上)
14:00‐14:10 休憩
14:10‐15:30 実験の基礎
ガラス器具の取扱と洗浄
試薬の取扱と天秤の使い方
マイクロピペッターの使い方
15:30‐15:40 休憩
15:40‐16:40 唾液での血液型判定
17:00‐18:30 懇親会(ファカルティラウンジ)
平成 21 年 8 月 12 日(木)
9:00 全体集合
9:30‐10:00 全体説明
10:00‐12:00 動物の取扱い方と解剖
12:00‐12:30 昼食
13:00‐14:30 お米遺伝子鑑定実験・簡易型霧箱作成および観察
14:30‐15:00 まとめ作業
15:00 解散
*11 日‐12 日を通じて、面談を行い各自の個人研究テーマの決定を行った。
活動の様子
マイクロピペット使用方法講習(右写真)
4
マウス解剖実習
電気泳動実習
(6)活動終了時アンケート
1)対象者:高校生(回答 13 名)
1.今回のミーティングに参加しての感想をお聞かせ下さい。1つだけに○を付けて下さ
い。
2.今回のミーティングで興味を覚えたのはどの項目ですか。該当するものに幾つでも○
を付けて下さい。
5
3.今回のミーティングに参加したことを、他の生徒さんに伝えますか。
その他:興味のある人に伝えたい
4.<受講生>感想をお聞かせ下さい。
(自由記述)
 高校でも出来ないような実験が体験できてとてもよかった。
 大学院生と共に本格的な実験及び研究の基礎が学べるので大変満足している。沢山のことを
吸収して良い研究結果が出るように頑張っていきたい。
 動物実験は初めてだったが、安東さんの細かい指導はすばらしかった。楽しかった。
 活動そのものも大変素晴らしかったが、それと同じくらい参加者と交流できたことが印象に
残った。その参加者も「自分ならでは」の個性を持っていて、私にとっていい刺になったし、
自分の世界がぐっと広がったように思った。このような講座に参加させてもらえて感謝の気
持ちでいっぱいだ。
 慶應義塾大学の講座ということを知り、初めは皆すごく頭がよくて自分は全く及ばないくら
いのレベルの高い方たちの集まりだろうと思って、とても緊張していた。しかし、いざ講座
を受けてみると、指導者の方々はとても優しくて面白い方ばかりだったので安心してこの2
日間を過ごすことができた。また、学校ではめったにできないようなこともできて、本当に
この講座に参加できてよかった。
 あまり、みんなで集まる機会がないのは残念だが、1年間頑張って研究しようと思う。また、
全国各地から来ているので色々な情報交換もでき、とてもいい経験になった。参加できて嬉
しく思う。
 資料集などで見る血液型の測定を実際に行ったり、写真で見ていたマウスに触れて解剖する
など、高校では中々出来ない実習ができて楽しかった。特にマウスの解剖ではカエルやイモ
リでは分かりづらい脳の構造を、神経がどこに分かれているか等詳しく見ることができた。
また、全国の理科好きな人と出会えたことも貴重なものだった。学校には全くいないタイプ
の人とも出会え、自分にとって良い刺激になった。
 2日間だけだったが非常に興味深かった。同世代の頭の良い人々との交流によって刺激を受
けた。また、実際のマウスによる動物実験での尊い犠牲を何らかの形で昇華していきたいと
6
思った。高校レベルの話ではなく、更に高度な事に触れて、より一層化学・生物に興味がわ
いた。
 これからもどんどん続けていってほしい。マウスの解剖などは普通の学校では滅多にする機
会がないのでとても面白かった。
 実験の基礎を学べたのはこれから研究をしていくうえで非常に有意義なものだった。他の学
校の人達も、皆さん面白い方々だったので、楽しく過ごせたし、研究の話とかも聞けたので、
良い機会だった。
 とても良い体験ができた。知らないことばかりで、驚くことが多かった。全国から生徒が参
加しているので、視野も広がったし、世の中の広さを感じた。今後に対する意欲がわいた。
 新たにやることばかりだったので充実していた。
 実験道具がたくさんあり、驚いた。皆積極的に話し合っていて、これからやる研究の上で分
からない所を聞き合ったりすることが出来そうな雰囲気なので安心した。
 もう少し時間を割きたいが遠い。創薬について知りたい。
5.<教諭・保護者>感想をお聞かせ下さい。(自由記述)
 講義の内容はもちろんのこと、こういった事業に参加して生徒たちに「科学者を目指すきっ
かけや意欲を与える」という点で、大変有意義なものだと思う。SSH や理数研究に取り組む
全国の仲間と知り合う機会をもてたことは、本校の生徒にとって貴重な経験になったと思う。
実際、たった2日間ではあったが、同じ夢をもつ仲間とすぐに打ちとけ合っている姿を見て
嬉しく思った。これから1年間の活動ではあるが大いに期待できると確信している。
 他校の生徒諸君と交流することにより、より明確な進路意識を育むことができる講座であっ
た。また、日頃高校で経験できない実験・研修を行う機会を得たことで生徒の漠然とした学
問のイメージを確固たるものにできたのではないだろうか。次年度以降もぜひ継続していた
だきたい。
 未来の科学者養成の通り、いろいろな可能性を持った学生が普段学校の授業では体験できな
い内容を大学の先生方の指導のもと、かみ砕いた内容に説明してあり、素人の私でもいろい
ろおもしろい体験を見ることが出来た。実際は生徒中心なのだが、できれば実験に参加して
みたかった。
 全国の生徒が集まり、情報が得られ良かった。解剖は不安だったが、生徒たちは気後れなく
淡々と行っていたのでびっくりした。積極的に進んで行い、希望して集まった生徒たちだな
と思った。今後も同様に開催して欲しい。
 特に県立高校においては、実験器具等にも限りがあり、実験等を含め体験的授業は、数回し
かできない。実際作業し、考察できる機会を与えてもらい、本当に糧になるものだと思った。
またこれからも1年間様々な方にお世話になりながらも本格的な研究を行うことができるの
で楽しみにしている。
2.小中学生コース
小中学生コースの最終選抜のための科学教室は以下のように福岡 1 日、横浜 2 日で開催した。
(1)開催日時
平成 21 年 8 月 9 日(日)10:30~15:00 福岡会場(アクロス福岡)
平成 21 年 8 月 13 日(金)10:30~15:00 横浜会場(慶應義塾大学医学部化学教室)
平成 21 年 8 月 14 日(土)10:30~15:00 横浜会場(慶應義塾大学医学部化学教室)
(2)後援等
後援:福岡県教育委員会;神奈川県教育委員会;埼玉県教育委員会
(3)参加人数
福岡会場:小中学生 21 名;保護者 12 名;指導者 7 名
横浜会場 1 日目:小中学生 23 名;保護者 16 名;指導者 8 名
横浜会場 2 日目:小中学生 22 名;保護者 17 名;指導者 8 名
3 日間の合計:小中学生 66 名;保護者 45 名 計 111 名
(4)プログラム
午前
10:00-10:30
受付
10:30-10:45 [導入] ・オリエンテーション(目的説明・注意事項説明など)
7
10:45-11:30
11:30-12:00
[講演] ・医療と放射線(慶應義塾大学医学部・井上浩義)
[講演] ・放射線を測ってみよう(GM サーベイメータによる放射線の測定)・
聴診器を使ってみよう(医師による聴診器の使い方指導)
(昼食)研究者や大学院生と共に昼食(科学の話をしよう)
午後
13:00-14:00 [実習] ・唾液で血液型を測ろう!
14:00-14:30 [実習] ・霧箱を作ってみよう!(演示実験)
14:30-15:00 [まとめ]
・君は放射線を他人に伝えられるか?
15:00-15:05
閉会
*その他、日によって異なる additional program を行った。
活動の様子
講義の様子(福岡会場)
内科医による聴診器の使い方講習(福岡会場)
講義の様子(横浜会場)
霧箱製作と観察(横浜会場)
(5)活動終了時アンケート:自由記述分だけ掲載
<小中学生・福岡会場>
 自由時間や先生に質問をする時間をとってほしい。図(絵)を使ってくわしく話して下さっ
たのでとてもわかりやすかった。(小 6・男)
 毎年放射線を扱うのではなく、他項目に関しても講義を開くといいと思う。
(中 3・男)
 様々な活動をしてほしい。
(中 1・男)
 勉強になった。家ではできないことができたので楽しかった。(中 1・女)
 もう少し時間を増やして実験の数を 1 つでもいいから増やしてほしい。今日の講義は分かり
やすく、ためになることばかりでした。本当に今日はありがとうございました。
(中1・男)
 だ液で血液型のはんていをするのははじめてでした。スポイトで L 薬を移したりまぜたりす
るのがおもしろかったです。家などではできないことができてよかった。今度は血液でやっ
8
てみたい。
(小 5・女)
 せつめいがわかりやすくよかったです。最後の実験はうまくいきませんでしたが楽しかった
です。今回で 2 回目となりますが来年も来たいなという気持ちになりました。来年も楽しみ
です。
(中 1・男)
 放射線のことを、わかりやすく説明して下さったので、とても理解しやすかったです。科学
をもっと知りたいと思えたし、実際に実験もできて楽しかったです。またこのような機会が
あればぜひ参加したいと思いました。(中 3・女)
 3 年ぶりに来て、前と変わらずとてもおもしろかったです。自分の血液型が血液を採らなく
ても分かるということを知ってとても驚きました。また活動があるときは参加したいと思い
ました。
(中 2・女)
 この活動で今まで知らなかった放射線というもののいろいろな活用法、原理などが分かって
とてもよかった。またこのような活動を行って知識を増やしたり未来の仕事につかっていき
たいです。
(中 1・男)
 先生に質問したら、丁ねいに教えて下さったので良かったです。今まで知らなかった放射線
のことがくわしく分かったので、この活動に参加して良かったと思います。
(中 1・女)
 夏休みの自由研究にぴったりでとても楽しかった。また参加したい。先生が面白かった。
(中
3・男)
 教え方がわかりやすく、とても楽しかった(中 1・男)
 血液や抗体について、少し興味がわいた。レントゲンは放射線を利用しているとわかった。
なぜ、体の中が見えるのかなと思っていたので良かった。(中 2・女)
 なんで僕の胸はひっこむのか知りたい(小 6・男)
 わからないことが分かった。来年もぜひ参加したいです。(中 2・男)
<小中学生・横浜会場>
 普段なかなかできないことを体験できてよかった。
(中3・男)
 すごくよかったのでもっとこういう機会を増やして欲しい。
(中3・男)
 普段、学校の授業ではできないような実験ばかりでとても楽しみながら、深く考えながら活
動することができた。特にマウスの解剖は、命の大切さや体のつくりなど色々なことを考え
ながら楽しむことができた。
(中3・女)
 とても楽しかった。今後も色々と実験をしてみたい。血液型の実験は失敗してしまったが、
やりがいがあった。また来年も参加したい。
(中3・女)
 実験がとても楽しかった。
(中3・女)
 人数が少なかったので、実験等が詳しく見ることができてよかった。また、大学生・大学院
生・高校生が多くいて気軽に質問でき、実習もスムーズに進めることができた。(中2・女)
 霧箱を作りたかったのにプログラムに入っておらず残念。血液型の実験の際にはもっと説明
をして欲しかった。よくわからなくて迷った。マウスの解剖の説明はわかりやすかった。
(中
2・女)
 説明は少し難しいところもあったが、手元の資料と前後のパネルのおかげで理解できた。実
際に自分の手で実験ができたので楽しかった。血液型実験の結果は違ったけれど、やり方が
わかり興味がでた。
(中2・女)
 唾液から血液型がわかることを知って驚いた。(中2・女)
 実験は楽しかったが、講義の内容が少し難しかったので、もっと分かりやすく説明して欲し
かった。
(中2・女)
 わかりやすい講義で、放射線のことについて一層よくわかった。いつも考えないようなこと
を知ることができて楽しかった。(中1・男)
 放射線のことが詳しくわかった。(中1・男)
 家庭ではできないようなことができてよかった。マウスの解剖が面白かった。(中1・男)
 来年も参加したい(中1・男)
 血液型の実験がうまくいかなくて残念だった。(中1・男)
 血液型の実験の説明はわかりにくかった。(中1・男)
 少し難しかった。
(中1・男)
 放射線のことについて、たくさんの事柄を教わることができ、また実習を通してどんなに細
かいミスでも失敗を引き起こすことがわかった。これからもこのような活動に参加したい。
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(中1・女)
内容が少し難しかった。窓際の席で黒板が見にくかった。(中1・女)
血液型の検査結果がはっきりと出なかったのが悔しかったが、とても楽しかった。
(中1・女)
今まで全然科学について知らなかったけれど、体のつくりについてや、血液型について知る
ことができ、いい勉強になった。特に血液型を唾液から調べる実験はおもしろかった。結果
はあまり合っていなかったが、興味深かった。マウスの解剖は少し気持ち悪かったけれど、
めったにできない体験ができてよかった。(中1・女)
資料がとても詳しかったのでわかりやすかった。実際に実験をすることで、より理解が深ま
った。
(中1・女)
血液型の実験結果がうまく出たのでよかったし、おもしろかった。マウスの解剖はかわいそ
うだったけれど、感謝しないといけないことを知った。
(中1・女)
実験ができておもしろかった。
(中1・女)
またこの活動に参加したい。
(小6・男)
知らなかったことを知ることができてよかった。
(小6・男)
去年よりおもしろかった。説明もとてもおもしろくわかりやすかったし、実験も楽しかった。
マウスの解剖等初めて行うことが多かった。
(小6・女)
血液型の結果がうまくいかず残念だったけれどとても楽しかった。科学がもっと好きになっ
た。
(小6・女)
血液型検査がうまくできなかったのでまた今度やりたい。血液型を調べるときに使った道具
が、ずっと使ってみたかった道具だったので、使うことができてとても嬉しかった。
(小6・
女)
楽しかった。お米の実験をしたかったのにできなくて残念だ。放射線の説明もよくわかった
し、時間的にもちょうどよかった。
(小6・女)
なんとなく少しわかった。
(小5・男)
インターネットにあった放射線の詳しいことは、全て読んだけれどよくわからないことが多
かったが、先生のお話をきいて少しわかるようになった気がして嬉しかった。これからもこ
のような機会を利用して知らなかったことを理解していきたい。(小5・女)・またこのよう
な体験をしたい。テキストの意味は難しかったけれど、詳しく教えてくれたので意味がよく
わかった。
(小5・女)
科学への興味が大いに高まった。少し難しいところもあったが楽しいと思うところもあり、
とてもよかった。
(小5・女)
マウスの解剖は怖かったが、心臓などが見れてよかった。(小5・女)・唾液で血液型を調べ
るのが楽しかった。
(小5・女)
学校では習わない内容だったのでおもしろかった。
(小5・女)
身近にある科学にも興味を持って生活していきたい。(小5・女)
<福岡会場・保護者>
 実際に本格的な実験ができて良かったです。大学の先生の講義もとてもわかりやすく、中学
生にもすんなり知識が入っていったように思います。これからもこのような科学プログラム
に参加したいと思います。本日はお世話になり、ありがとうございました。
 このような機会を作ってくださってありがとうございます。子供も自分で本を読んだり学校
で勉強するだけで、あまりわからない所もあり、目の前で話をしてくださったり子供もこん
ごとても心に残ったとおもいます。本当に良い、親子とも楽しい一日でした。
 血液の反応が上手く出来なかったのが少し残念でした。本日はこのような機会をあたえて下
さいまして本当にありがとうございました。また来年もぜひ参加させていただきたいです。
 すごくよい活動だと思いました。
 小さい頃から科学に強い感心のあった息子はますます科学好きになった事だと思います。参
加できて本当に良かったです。こういう活動に参加できる子供たちがうらやましいです。私
たちの小さい頃にはこんな楽しい活動はありませんでしたから。
 前回の久留米大、今回の 2 回参加させていただきましたが、毎回楽しく実験等は親子で結果
を楽しみながらできるので、会話もはずみます。放射線の話では実母が乳がんになり 10 年
前に手術の後に放射線治療を受けているので胸に設計図のようにマジックで線が書いてあっ
10
たのを思い出しました。今も抗がん剤等を使い治療中なので、これからの医学の進歩を願っ
ています。
 わかりやすく説明が行われ、子供(中学生)にも理解できたと思います。
(テキストを見たと
きは内容が高度であったため、参加しても理解できるかと不安でした)病院の見学などもや
りたかった。
 今回初めて参加してみておもしろかったです。参加する前は「少し難しいかも?」と、およ
び腰だったけれども、先生のお話もわかりやすく、大いに興味が増しました。また次回も子
供と一緒に参加してみたいと思います。これからもぜひ続けてもらいたいです。
 もっとたくさんの人にこういう機会があったら科学に対しても興味が増すと思います。それ
から、もっと国へ働きかけてください。
 このアンケートを書いていて面白かったのは、子供はアンケートに「科学への関心:大いに
ある、家庭で科学の話:いつもする」と書いていたこと。我が子は科学の話をしたがってい
るのに、親の知識不足、科学に接する機会不足でそれにあまりこたえていないかもしれない。
学校で科学への関心が高まってくれればうれしいが、今日の講義を聴き、実験ができてとて
もよかった。4 年前にも参加してその時の「霧箱」とは異なる実験だったのも良かった。
<横浜会場・保護者>
 井上先生の講義が大変わかりやすかった。
 先生の、子どもにわかりやすく説明する姿勢に感激した。
 とても興味深い内容で大人でも楽しかった。
 とても勉強になった。川船さんの発表がおもしろかった。
 普段学校では習えないような放射線についてわかりやすく説明してくれたので、子どもたち
の興味が高まったと思う。解剖、CTなどレベルの高いものであった。中学生向けのこのよ
うな講座は、将来の自分の進路を考える上でもとても貴重なものだと思う。
 保護者も実験に参加できて有意義であった。子どもも、解剖等の貴重な経験をさせてもらっ
て目が鋭くなっているのを見て、参加できてよかったと思った。また、大学の中に入り、教
室を使うことにより、将来の目標や夢、受験に対する心がまえができるのではと期待してい
る。下の子も参加させたいのでこれからもこの活動を続けて欲しい。
 去年に引き続き参加することができてとても嬉しい。今年のテーマはとても身近で充実して
いた。来年も参加したい。
 今回のような機会が増えて、子どもたちが科学に興味を持って将来に生かしてくれたらいい
と思った。来年も参加したい。
 マウスの解剖という貴重な体験ができ、医学に対しての意識付け等子どもにとってもよい刺
激になったと思う。今後機会があれば下の子どもも参加させたい。
 来年も期待している。
 最近は子供が理科ばなれしていると言われているので、もっと科学に興味を示すよう、実験
等ができる機会が多く与えられればいいと思う。今後もこのような活動を続けて欲しい。
 化学を身近に感じられる機会を大いに作って欲しい。医学に従事することは大変難しいこと
だと感じているが、人のために役に立つことを強く感じているので子どもにも積極的でいて
ほしい。
 うちは一人親なので、このような場所に来て他の親御さんの子どもへの勉強の導き方が大変
参考になった。日吉は自宅からも近く、大変よい環境で1日を過ごすことができた。
 子どもが中3なので、もう参加できないのが残念だ。
 小中学生の頃から、色々な事に興味を持って欲しいので、このような機会があるのはとても
よいことだと思う。子どもたちは色々な情報に溢れ、物にも溢れ、自分は何に興味があるの
かよくわからないようだ。このような機会に少しでも興味のある分野を増やしてもらいたい。
 解剖など、普段学校でもできない、触れられないことが体験でき、子どもにとっても有意義
だったと思う。
 実験は具体的でわかりやすい。普段学校では経験できないことを体験できたのでよかった。
 実際にマウスを開いて手で触れてみることで、臓器への理解が深まっているようだった。学
生の研究内容をきくことによって『漠然とした学問へのイメージ』が実生活の身近なものと
して具体的に知ることができ、子どもも意欲を高めていた。来年も参加したい。
 大学院生が自分の研究をわかりやすく伝えるということに非常に興味を持った。本質や目標
11










がきちんと理解できて初めてその手段について意味がわかるということの一端を垣間見たよ
うに思った。
大学院生の活動内容を聞くことができておもしろかった。
勉強や研究が医学等に役立っていることがよくわかった。図や写真等、話もテンポがよくと
てもわかりやすかった。院生の発表が楽しく、とても興味が持てた。
本日のレクチャー、実験は、題材が身近な事象であり、大変分かりやすく素晴らしい内容で
あった。一方で、時間的制約から、個々の説明が大人向けにならざるを得ない状況もあり、
もう少し時間に余裕が欲しかった。
どの講話もとても有意義だったが、午前中の講義と午後の実験の関連性があった方がより理
解は深まるのではないかと思った。
自分の身の回りにも放射線があるということに驚いた。マウスの解剖は衝撃的であった。後
部席では、黒板も見えず、話している人の様子などがわかりにくかった。
血液型の凝集がうまくいかず残念だった。もう少し手順を説明して欲しかった。
「マジックで
名前を・ ・・」と書いてあったがマジックは配布されず、持っていた人に借りた。ピペットや
サンプルなど器具をまとめて入れるトレイのようなものがあれば実験台に直接置かなくてい
いし、転がる心配もないので安心できるのではないか。簡単に経験できるようなことではな
かったので、とてもいい経験にはなった。ぜひまた参加したい。
去年と同じようなことをやるのかと思ったが、そうではなかったので大変楽しめた。血液型
の判定は結果がいまいちだった。やり方の注意事項をもう少し説明して欲しかった。院生の
プレゼンもおもしろかった。
小学生に癌の話などは難しく、理解は怪しいが、興味、関心を高めることには多いに役立っ
たと思う。
午前中の内容は小学生には難しすぎるように思う。小中学生相手ならば、実際にX線を使っ
た実験をすれば興味を持ちやすいと思う。血液型判定の実験も、小学生にはピペットの使用
等が難しかったようだ。抗原・抗体反応で血液型を判定する説明はわかりやすかった。
解剖→昼食はキビシイし、昼食→唾液の採取もよいスケジュールだとは思えない。霧箱作成
は楽しみだったがテキストは読みづらい。血液型判定は楽しかったが、親子でペアになれな
かったので残念。事前にペアを決めておかないと時間の無駄だと思うし、一方的にペアを指
示されればそれに従う。血液型のビーズの沈殿をピペットで採るときに弾かずに入れてしま
った。テキストはわかりづらいし、段取りはしっかり指示して欲しい。民間サイエンス教育
に通わせていたが、段取りや子どもの興味という点では一日の長があるように感じた。
12
Ⅲ.冬の活動
平成 21 年 12 月 18 日(金)および 19 日(土)に、高校生コースおよび小中学生コース合同で、
冬の活動を実施した。
12 月 18 日および 19 日の活動概要
18日(金)
時間
内容
9:30
集合(出欠確認)
9:30-10:00
自己紹介;活動の目的;諸注意
10:00-12:00 研究室見学
12:00-13:00
13:00-15:00
若手研究者との交流(昼食)
病院見学
15:00-15:30
15:30
活動のまとめ
解散
19日(土)
時間
9:30
9:30-10:00
10:00-11:00
11:00-12:00
12:00
内容
集合(出欠確認)
講演
医学部 5 年生 川崎健太氏
演題名:
「医学部生の国際活動」
講演
再生医学講座 福田惠一教授
演題名:
「未来の心臓病治療を目
指した再生医療の紹介」
活動総括*
今後の予定
解散
場所
1F ラウンジ
1F ラウンジ
再生医学教室;生理学教室
(岡野研究室)
;医化学教室
1F ラウンジ
CT/MRI 施設;内視鏡施設;
エコー施設
1F ラウンジ
場所
1F ラウンジ
1F ラウンジ
1F ラウンジ
1F ラウンジ
*19日の活動総括の時間には多数の医学部、理工学部、理学部等の学部学生および大学院生が
参加した。
13
18 日(金)活動
以下のような活動書注意を行った。
この活動は、研究室や病院を見学し、最先端の医療研究および医療技術に触れて頂くことを目的
としています。また、若手研究者との交流あるいは志を同じくする小中高校生との情報交換も重
視しています。積極的な参加を心掛けて、何かひとつ心に刻み込んで活動を終えられることを希
望いたします。
諸 注 意
<全般>
・ この活動を行うにあたっては安全を第一に考え、行動してください。
・ 途中で気分が悪くなった人はすぐに申し出てください。
・ ゴミは必ず所定の場所に捨ててください。
・ 活動中は必ず名札を付けて下さい。
<出欠>
・ やむを得ず、欠席あるいは遅刻する場合には必ず下記に電話連絡をお願いします。
活動開始後 30 分を過ぎても出席も電話連絡もない場合には、安全確認のため、事務局から自
宅に確認の電話をさせていただきます。
活動当日の連絡先:090-2967-4293(井上)
<研究室見学>*保護者・教諭の方々は廊下で待って頂く研究室もあります。
・ 今回の研究室見学は、最先端の研究を行っている研究室です。以下のことを厳守して下さい。
☆ 引率者および各研究室の説明者の指示に従って下さい。見学の時は大きな声などを出さ
ないように注意して下さい。
☆ 研究室の備品等には勝手に触ってはいけません。
☆ 写真は各研究室の説明者に許可を得て撮って下さい。
☆ この見学で知り得た内容は無断で公表することはできません。
・ 整然と見学を行わねばなりませんが、説明者には何でも尋ねて下さい。萎縮する必要はあり
ません。
<病院見学>*保護者・教諭の方々は参加できません。
・ 平日ですので、病院には患者さんがいらっしゃいます。以下のことを厳守して下さい。
☆ 引率者および各研究室の説明者の指示に従って下さい。
☆ マスクを着用し、手を消毒して下さい。
☆ 写真は各説明者に許可を得て撮って下さい。
・ 研究室見学と同様に、短い時間で3つの施設を廻らねばなりませんので、整然と見学して下
さい。しかし、ここでも積極的な態度で参加下さい。
<その他>
・ 活動中、携帯電話はマナーモードにしておいてください。
・ 活動中、貴重品には十分注意してください。
以下、諸注意、参加者自己紹介時の写真
14
①12 月 18 日(金)病院見学・研究室訪問・若手研究者との交流
研究室見学および病院見学時のグループ分け
姓
名
後藤
優佳
須田
麻祐子
米村
彩
北川
夏海
大石
哲也
A
小林
陽穂
立松
聖悟
金子
雅人
白石
航
大津
真依
関口
一星
田内
花奈
古賀
翼
B
本田
夏菜
菊池
憧子
矢口
翔一
学年
小5
小5
小6
小6
中1
中1
中1
中1
中1
中1
中2
中2
中2
中3
高2
高2
15
引率者
林地 のぞみ
母里 彩子(午前)
伊藤 雅俊(午後)
田井 育江
小野 はるみ
五十嵐
悠
高2
清水
翔
高2
滝川
登志男
高3
後藤
真依
高3
鬼木
玲奈
高1
佐藤
紫布
高2
羽田野
仁喜
高2
宝珠山
美歩
高2
C
鈴木
美有紀
高2
遠藤
友子
高2
中尾
莞奈
高2
国吉
萌
高2
*C グループには、JST 関係の方々がご一緒された。
10:00-12:00
研究室見学
グループ
グループ A
グループ B
グループ C
10:05-10:35
再生医学教室
生理学教室
医化学教室
10:40-11:10
生理学教室
医化学教室
再生医学教室
今井 千聡
松崎 洋平
11:15-11:45
医化学教室
再生医学教室
生理学教室
再生医学教室紹介(HP より抜粋)
骨髄幹細胞から世界で初めて心筋細胞を分化誘導する技術の開発に成功した実績に基づき、心筋
再生療法による心不全、虚血性心疾患治療の臨床応用に向けての研究が進行中です。心筋再生療
法では移植した心筋の電気生理学的特性が不安定の故に、ここが不整脈源となって突然死を惹起
するリスクが指摘されていますが、不整脈/電気生理研究グループとの共同研究により、不整脈
を回避する移植技法の開発にもいち早く取り組み成果をあげてきています。心不全研究グループ
では心筋梗塞発症後の心筋の炎症、免疫応答に着目した心筋保護法の開発を目指しています。
生理学教室(岡野研究室)紹介(HP より抜粋)
当研究室では、「中枢神経系の発生と再生」につ
いての研究を主に行っております。神経系を構成
するニューロンとグリアは、神経幹細胞と呼ばれ
る共通の細胞から生まれます。このしくみを研究
することによって、脳の発生の基本メカニズムを
明らかにするとともに、神経系の疾患や損傷の新
しい治療法の開発に役立てることを目指してい
ます。また最近では、骨髄や多くの臓器の幹細胞
の分離と基本性質の解明に関する研究も exciting
になってきております。当研究室には、さまざま
な出身大学、出身学部の方々が参画しており、学
際性豊かな構成メンバーとなっています。このヘ
テロなバックグランドの研究者の切磋琢磨によ
り、ブレイクスルーとなる新しい研究成果が次々と生まれていく enthusiastic な研究環境を作っ
ております。
16
医化学教室紹介(HP より抜粋)ガス分子が関与する生物の代謝機構を解明し、これを基盤とし
てガス分子に由来する細胞機能の制御技術
を創出するとともにその医療への応用を図
る、すなわちガス分子による生体制御の生物
学=ガスバイオロジーを開拓しています。さ
らに、代謝機構の解析により得られた知見を
活用しつつ、酵素や代謝変動の局在の細胞レ
ベルでの精密な解析、体内特定部位での代謝
作用におけるガス分子の役割のより詳細な
解明を進め、特定の臓器のガス分子環境の人
為的な制御・調節の実現といったガス分子の
特性を利用した病態制御技術の基礎を確立
し、がん研究や薬物代謝・毒性メカニズムと
いった応用研究への端緒を得ることを目指
しています。
12:00-13:00
若手研究者との昼食を共にした交流
11 名の若手研究者が昼食を共にした(下の写真は医学研究に関する会話)
13:00-15:00
病院見学
グループ
グループ A
グループ B
グループ C
13:05-13:30
MRI・CT
内視鏡
エコー
13:40-14:05
エコー
MRI・CT
内視鏡
14:15-14:45
内視鏡
エコー
MRI・CT
MRI・CT の紹介
MRI は日本語では核磁
気共鳴画像法(かくじき
きょうめいがぞうほう、
magnetic
resonance
imaging)と言います。
磁 気 共 鳴 (nuclear
magnetic resonance,
NMR) 現象を利用して
生体内の内部の情報を
画像化する方法です(写
真右:MRI 画像)
。
CT は 、日 本 語で は コン ピ ュ ータ 断 層撮 影(コ ン ピ ュー タ だん そうさ つ え い、 Computed
17
Tomography, シーティー)は放射線を利用して物体を走査しコンピュータを用いて処理すること
で、物体の内部画像を構成する技術・機器のことです。CT 装置(写真左)のなかに体を入れて、
いろいろな角度から X 線をあて、身体の中の各部分を透過することによって弱くなった X 線を、
フィルムよりはるかに敏感な検出器で受けます。受けたデータは、デジタル化され、すべてコン
ピュータに蓄積・処理して画像化しますが、この時、体の輪切りの画像が作成できるのが大きな
特徴です。最近はこの輪切りの画像データから、さらに、コンピュータ処理して三次元の画像を
作成できるものも有ります。体の内部はもちろん、血管の外観や内部を実際に目で見るような感
覚で観察できます。CT 装置の開発により体のいろいろな病気による変化が分かるようになり、病
気の発見、治療に役立っています。
内視鏡の紹介
内視鏡(ないしきょう、Endoscopy, Endoscope)は、主に
人体内部を観察することを目的とした医療機器です。本体
に光学系を内蔵し、先端を体内に挿入することによって内
部の映像を手元で見ることができます。一般的なものは細
長い形状をしているが、カプセル型のものもあります。ま
た、観察以外に、ある程度の手術や標本採取ができる性能
をもつものもあります。
種類は、喉頭内視鏡、気管支鏡、上部消化管内視鏡、小腸
内視鏡、大腸内視鏡、カプセル内視鏡、胸腔鏡、腹腔鏡、
膀胱鏡、胆道鏡、関節鏡、血管内視鏡などがあります。
エコーの紹介
エコー検査は、超音波検査(ちょうおんぱけんさ)とも呼ばれることがあります。この検査は、
超音波を対象
物に当ててそ
の反響を映像
化することで、
対象物の内部
の状態を非破
壊的に調査す
ることのでき
る画像検査法
の一種です。医
療分野だけで
なく、建設や材
料の分野でも
頻繁に利用さ
れています。固
い骨に囲まれている頭蓋のような部分を除けば、事実上体のほとんどの部分がエコー検査の適応
となります。
エコー検査は、肝臓・胆道・膵臓・腎臓といったお腹の中の臓器全般から、心臓や血管・乳腺・
甲状腺など、肺や気体のある部分と骨の奥以外の検査をすることができます。超音波検査(エコ
ー検査)は、とても安全な検査なので産婦人科の診察でお腹の中の赤ちゃんの発育具合を検査す
るのに使われていることは良く知られています。また超音波検査(エコー検査)は装置自体が小
型ことから、ベッドサイドや手術室での検査も可能ですし、スペースの少ない個人医院(診療所
やクリニック)から、大学病院など大きな規模の病院まで幅広くの医療の場で大活躍しています。
18
② 12 月 19 日(土)講演
9:30-10:00 講演
医学部生の国際活動
慶應義塾大学医学部 5 年
川﨑健太
メッセージ:世界に通用する医師が育つ場所、それが慶應義塾大学医学部です

はじめに
インターネットの普及に伴い、世界はどんどん狭くなってきています。その中で、英語の必
要性は日々増していて、医療分野もその例外ではありません。医学の学会も、著名な論文雑
誌も英語です。語学ができ、それを生かす機会をつかむことができれば、将来活躍する可能
性を無限に広げることができます。
 本学部での私の活動内容紹介
1. ハワイ大学ワークショップ
2. ドイツ、WHO 留学
3. アメリカ留学
4. 英語会、日韓医学生学術交流会、ソウル大学医学部交流会
1. ハワイ大学ワークショップ
毎年春・夏に本塾医学部から学生が 4 名ずつ米国ハワイ大学医学
部を訪れ、ワークショップに参加します。ハワイ大学医学部は
Problem Based Learning(PBL)とよばれる症例に基づいた勉強法
発祥の地でもあり、その考え方を学ぶと共に、英語で診察する方法
を取得することにより、アメリカと日本、それぞれの国の診療・医
学教育の違いを肌で感じることができます。
図 1:ハワイ大学医学部の前で友達と
2.ドイツ留学・WHO 留学
ドイツ留学ではベルリンの市中病院に 2 週間滞在し、
そこで実際
に患者さんをドイツ語で診察しました。その期間中に、大学病院や
家庭医(かかりつけ医)での診療活動も見学し、ドイツの
医療制度・教育を日本と比較することができました。英語
圏以外の国で現地の医師・医学生と同じチームで実地診療
に携わることができたのは貴重な経験でした。
図 2:ドイツの病院で仲間と
ドイツでの実習の
後は、1 週間、スイ
ス・ジュネーブにある WHO(世界保健機構)本部で 1
週間実習をしました。WHO は国際保健の中心で、世界
192 カ国の人々の中で過ごした 1 週間は、とても良い思
い出になり、世界の広さを実感しました。
図 3:ドイツの病院の概観
3.アメリカ留学プログラム
ア メ リ カ で も ト ッ プ レ ベ ル の 有 名 校 Johns Hopkins, Harvard, Columbia, Mount Sinai,
Pennsylvania, Northwestern, Hawaii, Temple 大学等に 1 ヶ月 6 年生で留学し、実習ができる
19
プログラムです。実際に患者さんの診察、治療をアメリカの大学病院のチームで行うことができ
る貴重な機会です。私は現在、Johns Hopkins 大学での実
習を希望していて、現在準備中です。
図 4:WHO の概観
これら全ての活動は慶應大学でできた人とのつながりか
ら始まっています。もちろん語学が話せることは大切です
が、熱意・やる気があればこの学校ではどこまでも活動が
できます。更に、これらの活動を行う上で、慶應大学には
一部奨学金で活動を支援していただきました。
4.その他の活動内容
・英語会
毎週一日活動し、英語で debate、症例検討をします。留学生との交流もあり、海外からの先生と
お話する機会も多くあります。
・日韓医学生学術交流会
韓国延世大学との交流会です。毎年 2 月に慶應大学から延世大学へ、8 月は延世大学から慶應大
学へ 5 日間ほど 8~10 名の医学生が訪れる交流プログラムです。
主に学生が中心となって運営し、
両校の研究室・病院の見学等をします。
・ソウル大学医学部プログラム
昨年 10 月 11 日に行われたプログラムで、韓国ソウル大学より 6 年生 160 名が信濃町キャンパス
を訪れ、一日交流会をしました。総勢 200 名以上の大イベントとなりました。
慶應大学には国際的に活躍するための機会が多くあります。自分を高め、世界に挑戦する舞台
がここにはすでに用意されているのです。
あなたも一緒に世界に、挑戦してみませんか?
20
10:00-11:00 講演
演題: 未来の心臓病治療を目指した再生医療の紹介
慶應義塾大学医学部再生医学教室
福田恵一
現在、重症の心臓病を治療するには心臓移植が行われています。しかし、心臓移植は脳死になっ
た患者さんから心臓を提供してもらうもので、日本では 1 年に数例しか実施されていません。こ
のような重症な心臓病の患者さんを救うため新たな治療法を開発する必要があります。我々はE
S細胞や iPS 細胞といういろいろな細胞になることが出来る幹細胞を利用して、心臓の細胞を作
り出す方法を開発しています。作り出した心臓の細胞を病気の心臓に移植することにより、心臓
病を治そうというものです。今回のお話しでは、このような最新の医療の取り組みを紹介し、未
来の心臓病治療への取り組みを紹介いたします。
21
冬の活動終了後アンケートのまとめ (小・中・高校生)
今回の活動に参加しての感想を1つだけお聞かせ下さい。
今回の活動で興味を覚えたのはどの項目ですか?(複数回答可)
夏の活動から、知識や思考能力について、自分が進歩したと思いますか?
今後、未来の科学者養成講座についてのご要望などがありましたらお聞かせ下さい。
 もうちょっとたくさんの研究室をまわりたかった。
 また色々な実験をやったり、医学界の方のお話も聴きたい。
 細胞から作れる物が、他に何があって、どんな実験がされているのか知りたい。
 今回福田教授の講演を聞いて、他の色々な細胞には何かをすると違う働きをするものや、動
物や人の体のことを知りたいと思った。
 福岡から来る飛行機がトラブルで遅れたので、東京のホテルに到着したのがとても遅くなっ
22



てしまったため、飛行機の出発時間をもっと早くして欲しい。
研究だけでなく、臨床の現場をもっと見てみたい。
小学生も学生と少し話してみたい。
次回も参加したい。
(教諭・保護者)
今回の活動に参加しての感想を1つだけお聞かせ下さい。
今回の活動で興味を覚えたのはどの項目ですか?(複数回答可)
夏の活動から、お子さんあるいは生徒さんは、知識や意欲が進歩したと思いますか?
その他:この活動に参加するようになってから、新聞やニュースの見方が変わった。色々な記事
に接した時に、井上先生や松崎さんたち若手研究者の方々のお話を思い出すらしく、ひとつひと
つ興味を持って読み、疑問に思ったことを自分で積極的に調べて質問してくるようになった。
今後、未来の科学者養成講座についてのご要望などがありましたらお聞かせ下さい。
23
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研究室や病院見学など地方ではなかなか体験することができない最先端の内容に触れること
ができた点は、大変有意義であった。
普通では滅多に見られない研究室の見学や、研究者の先生の説明がわかりやすくて素晴らし
かった。
大人の自分でさえ、医学=医者と思っていたので、ここで知ることのできた世界は全て新発
見でとても貴重なものだった。
再生医学教室・牧野先生「自分のなりたいもの、目標に向かってなら苦しいことも乗り越え
られる」
、福田先生「考えたことは実行する」という名言を心に刻んで欲しい。
病院見学で、実際の内視鏡カメラを操作させてもらったことがとても印象に残ったようだっ
たので、今後も研究で使われている高価な顕微鏡をのぞかせてもらえたら関心・意欲が高ま
ると思う。
小中学生には難しい内容もあったが、知的刺激は大いに受けたようだ。
「いわゆる勉強は嫌だ
けど、とても興味深く、勉強してみる気になった」と言っていた。
他の生徒の様子を見るだけで、広い世界があるという事実を知ることができ、本人にとって
良い刺激となるようだ。
親では答えられないことも、この機会に少しずつ分かったようだし、よりいっそう興味が出
たので参加できて本当によかった。学校では学べないことや実験などが楽しいようで、エコ
ーには特に興味がわいたようだった。これをきっかけにして将来に役立てていけたらいいと
思うので、またこのような講座に参加したい。
高校生と一緒だったので難しくわからないこともあったようなので、わかりやすく楽しい授
業もあればよかったと思う。
小中学生が思っていた以上にしっかりと目的を持って参加していて驚いた。
小中学生が、高校生とともに活動や交流する機会がもっとあればいい。
講演は、子どものモチベーションを上げるために大変効果があると思う。
現在中2なので、来年は高校コースに参加したいと思う。
下の子が今度小5になるので、来年は参加させてもらいたい。
実験や活動をもっと増やして、子どもの興味を引き出して欲しい。
色々な学生さんたちと交流できる場を増やして欲しい。
福田先生の講演がとてもためになったので、また講演に参加したい。
保護者同士語り合える時間があったので、病院見学はできなかったが有意義な時間を過ごせ
た。
これまでも医学に憧れや希望があったが、病院見学で色々な機具を目の前にして大変感動し
たようなので、これを第一歩として自分の力を発揮して頑張って欲しい。
間口の広い医学と、実社会との接点(このように研究が活かされている)と事例を基に解説
してもらえると子どもの興味はもっと強くなると思う。
調べても知ることのできない、生の情報・経験を提供してもらえると嬉しい。
このような近い未来を見据えた内容に、本人のモチベーションも上がっているし、この意識
を持続できるようなプログラムを組んで欲しい。
1年間のスケジュールと聞いているが、年間スケジュールを教えて欲しい。また、1年経過
後にまたこの活動に参加したい場合はどうすればいいか知りたい。
保護者、引率教員と大学側の交流があればいい。特に高校の教員は、生徒を送る側なので「医
学部を考えている生徒に求められるもの」などを知りたい。
(教諭)
本来なら、中高の学校で行うべきことであると思うし、学校の授
業で自分はどれだけ生徒たちに刺激を与えられているか等、この
講座に参加するたびに反省する。現状の小・中・高でより多くの
生徒にこのようなことを感じさせるにはどうしたらよいのか考え
ていかなくてはならない。
(教諭)
Ⅳ、その他の活動
 平成 21 年 8 月 29 日(土)12:30-18:00
24
慶應義塾大学医学部オープンキャンパスにて活動を紹介させて頂きました。
対象:横浜サイエンスフロンティア高等学校・西武文理学園高等学校
人数:60 名程度
小児科・高橋教授の御講演
 平成 21 年 9 月 12 日(土)14:00~16:00
慶應義塾大学日吉キャンパス・サイエンスカフェにて放射線の話をさせて頂きました。
対象:小学生~高齢者
人数:60 名程度
講義の様子
 平成 21 年 8 月~9 月教諭向講演会
小学校~高等学校の先生向けの講演を全国で行いました。
日付 場所 対象 講演内容 主催
8 月 4 日 青森・三沢 小学校教諭 エネルギー入門 文部科学省
8 月 5 日 青森・三沢 中学校教諭 地球環境と原子力エネルギー 文部科学省
8 月 6 日 新潟・柏崎 高校教諭 地球環境とエネルギー 文部科学省
8 月 18 日 愛媛・松山 小学校教諭 エネルギー入門 文部科学省
9 月 13 日 大阪・熊取 教諭全般 原子力と放射線の基礎知識 京都大学
 活動がメディアで紹介されました。
朝日小学生新聞(9 月 4 日)
25
(転載不可)
朝日中学生ウィークリー(9 月 6 日)
週刊文教ニュース(文部科学省の広報誌)
9 月 21 号に掲載されました。

フクオカサイエンスマンスに参加
26
10 月 14 日(土)および 15 日(日)に、福岡県主催「フクオカサイエンスマンス」で、小学生の
親子を対象とした教育活動「身体のふしぎ」を行って参りました。各日 2 時間で、お話と実習を
組み合わせました。
お話(講義)の様子
実験(実習)の様子
 連携組織である NPO 法人新世紀教育研究会が表彰
本事業の連携組織である NPO 法人新世紀教育研究会が永年のエネルギー・環境教育への貢献で、
11 月 10 日に第 4 回エネルギー教育賞特別奨励賞(電気新聞社主催)を受賞しました。本賞は本
来、小中高等学校に対する表彰ですが、NPO 法人新世紀教育研究会は特別に表彰を受けました。
 小中高等学校教諭向講演実施
事業責任者・井上が 11 月 28 日(土)にパナソニックセンター東京で「平成 21 年度エネルギー
27
教育リーダー養成研修会(資源エネルギー庁主催)
」で約 100 名の小中高等学校教諭に対して、基
調講演「実践!子どもたちへの放射線教育」の講演を行いました。
28
平成 22 年度事業
(平成 22 年 4 月~平成 23 年 3 月)
29
Ⅰ.受講生応募状況および選抜
1.高校生コース
本年 6 月に全国の主要高等学校(SSH(スーパーサイエンスハイスクール)校、理数科設置校お
よび進学実績を有する高等学校)約 300 校へ募集案内を送付した。その結果、全国から 50 名(各
都道府県別の応募者は下地図参照)の応募があった。
2010 年 8 月 高校生
未来の科学者養成講座応募者分布図
群馬:2名
合計 50 名
岐阜:2名
岡山:2名
埼玉:4名
福岡:2名
大阪:2名
沖縄:3名
熊本:1名
茨城:8名
宮崎:3名
和歌山:2名
奈良:1名
東京:8名
愛知:3名
神奈川:7名
応募者については、面接を行って理数科系能力および医学学習に対する意欲を基準として判定を
行い、地域性も加味して、以下の 15 名を選抜した。
氏名
フリガナ
学校
学年
落合 夏子
オチアイ ナツコ
宮崎県立宮崎北高等学校
高1
佐藤 真惟子
サトウ マイコ
宮崎県立宮崎北高等学校
高1
藤田 真衣
フジタ マイ
福岡県立筑紫丘高等学校
高2
松本 愛
マツモト アイ
清心女子高等学校
高2
島本 優太郎
シマモト ユウタロウ
立命館中学校・高等学校
高3
島村 安祐
シマムラ アユ
和歌山信愛女子短期大学附属高等学校
高2
武田 萌
タケダ モエ
群馬県立高崎女子高等学校
高1
永尾 淳美
ナガオ アツミ
文京学院大学女子高等学校
高2
本田 夏菜
ホンダ カナ
神奈川県立横浜翠嵐高等学校
高1
久永 めぐみ
ヒサナガ メグミ
横浜雙葉中学校
中3
相澤 陽太
アイザワ ヨウタ
宝仙学園高等学校理数インター
高1
小島原 知大
コジマハラ トモヒロ
筑波大学附属駒場高等学校
高1
伊藤 千慧子
イトウ チエコ
日本大学豊山女子高等学校
高1
30
四宮 有紗
シノミヤ アリサ
茗渓学園高等学校
高2
西村 匠平
ニシムラ ショウヘイ
久留米大学附設高等学校
高1
平成 22 年度選抜は以下の特徴を有する。
1)昨年度に比して、応募者が増加した。
2)昨年度より応募して下さった地域が増加した。
3)小中学生コースからの選抜を行った(アドバンスコースとしての高校生コースの活用)。
4)中学 3 年生を選抜した(早期学習・研究機会の提供)。
5)継続研究テーマを採択した(先輩から後輩への繋がり)
。
6)集団研究を認めた(2 人 1 組の研究を試験的に行う)。
2.小中学生コース
小中学生コース 15 名の一次選抜となる「科学教室」を 8 月 1 日(福岡)
、8 月 14 日・15 日(横
浜)に開催した。本年は、4 月の段階からホームページの告知を見た応募が始まり、非常に出足
の早い応募であった。
応募は、昨年の 299 名よりも少なく、224 名となった(全国分布図は次頁)
。
この原因としては、昨年は、過去の受講者を含めて多くのお手紙で案内をさせて頂いたが、今
年は、昨年、あまりに多くの応募者にお断りをせねばならなかったために、個人宛の案内を減ら
した。これが減少の原因になっているものと思われる。
この中から、抽選により参加者を決定した。
2010 年 8 月 小中学生
未来の科学者養成講座応募者分布図
合計 224 名
佐賀:4名
埼玉:1名
福岡:48名
千葉:2名
静岡:3名
熊本:3名
Ⅱ.夏の活動
1.高校生コース
31
神奈川:119名
東京:44名
前出の選抜 15 名について、平成 22 年 8 月 7 日および 8 日にキックオフミーティングを開催し
た。
(1)開催日時・活動場所・活動対象
平成 22 年 8 月 7 日(土)
:慶應義塾大学日吉キャンパス(横浜市港北区日吉4-1-1)
活動対象:平成 22 年度高校生コース受講生および教諭、保護者
平成 22 年 8 月 8 日(日)
:慶應義塾大学信濃町キャンパス(東京都新宿区信濃町 35)
活動対象:平成 21 年度高校生コース受講生、平成 22 年度高校生コース受講生および教諭、保
護者
(2)プログラム
平成 22 年 8 月 7 日(土)
10:00 受付開始
11:00 開会挨拶;活動上の諸注意
11:15 自己紹介・大学院生紹介
11:30 講義:医学と放射線(慶應義塾大学・井上浩義)
12:00 昼食(大学院生や若手研究者との交流)
13:00 講演:理工学から医学へ(筑波大学医学群医学類 2 年生・石川隆昭)
14:00 休憩
14:10 医学研究基礎技術(マウスの解剖)
14:50 医学研究基礎技術(秤量;マイクロピペット操作)
15:30 休憩
15:40 医学研究基礎技術(電気泳動)
16:30 活動終了
17:00 懇親会(キャンパス内懇親会場)
18:30 終了
平成 22 年 8 月8日(日)
9:00 受付開始
9:30 平成 21 年度受講生研究報告会
1 人発表 7 分討論 3 分
12:30 昼食(大学院生および若手研究者との交流)
13:15 講演:脳をひも解く(慶應義塾大学医学部薬理学教室・塗谷睦生)
14:15 休憩
14:25 講演:遺伝子とは何か、複雑さを生み出す仕組みとはどのようなものか? -それらを
『RNA』から考えてみる-(慶應義塾大学医学部分子生物学教室・塩見春彦)
15:25 休憩
15:35 平成 21 年度受講生表彰式
16:00 まとめ・アンケート回答
16:30 終了
活動の様子
活動の写真を示す。下写真は、第一日目(8
月 7 日)の様子である。右がマウスの解剖の
様子。
右は実験基礎技術・試薬の取扱いおよび秤量の
仕方の様子である。右写真で説明しているのは、
32
大学院生(理工学部)である。
1.解剖について
1)動物実験全般について
動物の尊い犠牲を通じて行われる動物実験は、生命現象の理解に大きな役割を果たし、医学・医
療に応用され、人類の健康と福祉にはかり知れない貢献をしています。動物実験は開発された医
療・医薬を人間に適用する前の欠くことのできないステップでもあり、今日、その必要性と重要
性はますます増大しています。研究者だけでなく、動物を実験に使用する者は動物の命を大切に
思う気持ちを持ち続けることが重要です。加えて、実験に際しては動物の福祉と人道的取り扱い
を常に心がけねばなりません。
(日本生理学会での動物実験指針を抜粋)
2)動物実験の役割について
動物実験は医学の研究にきわめて有用です。その最大の科学的理由は、生命原理が同じなので動
物で得られた知識は基本的に人間にも適用し得ることです。20世紀中、平均寿命の延長と小児
死亡率の低下はいちじるしく、病苦からの解放、軽減も大きく進みました。これに寄与した医学・
医療の進歩は多くの分野にわたり、ビタミン欠乏症の治療、抗生物質による細菌感染治療、イン
スリンの発見と糖尿病の管理、天然痘・ジフテリア・はしか等のワクチン、人工透析による腎臓
病管理、新しい薬物の開発、麻酔医学、癌の化学・放射線療法、冠状動脈バイパス・ペースメー
カー等の心臓病の医療、高血圧・動脈硬化の管理、臓器移植、パーキンソン病の医療、エイズな
どレトロウイルス疾患の医療など、枚挙にいとまがありません。これらはいずれも動物実験の上
に実現しており、これに止まらず動物実験に基づいていない医療はないと言っても過言ではあり
ません。
では医学の進歩はこの程度で十分であり、もう動
物実験は必要ないのでしょうか。残念ながら、癌、
アルツハイマー病・ALS 等の神経難病、感染症、
免疫疾患、遺伝病などの未解明、未解決の難病は
多く残っていますし、エイズ、 SARS、プリオン
病などの新しい病気も次々と出現しています。地
球環境変化や内分泌攪乱物質等の環境汚染物質が
人間に与える影響の研究も進めなければなりませ
ん。近年の再生医学における動物実験は脊髄損傷
で生じた肢の麻痺が治癒できることを示し、これ
まで不可能とされてきた神経系損傷の治療に明る
い希望が見えてきました。また、マウスやショウ
ジョウバエで同定された遺伝子の知見が種々の難
病や遺伝疾患の解明・治療に着々と応用されてい
ます。病気の解明・治療に直結した優れた疾患モ
デル動物の研究にも期待されます。むしろ動物実
験の必要性、有用性が強まっているというのが現
状です。
3)今回の動物実験
今回の活動では、マウスを使用します。2人1組となって、マウスの解剖を行います。①動物の
33
麻酔の掛け方、②解剖道具の使用方法、③解剖の実際、④動物実験の片付け方、を中心に学びま
す。
マウスの解剖図(前頁下図)
マウスは、6週齢の♂を使用します。種は ICR 系を使用します。ICR 系マウスはスイス系マウス
を起源とするアルビノマウスで、アメリカの Institute of Cancer Research から各所に送られた
ことから、その頭文字を取って ICR と命名されました。
今回の解剖は、慶應義塾大学動物実験委員会の承認を得て行った。
続いて、講演の写真を示す。右写真は、第一日
目(8 月 7 日)の講演(慶應義塾大学理工学部か
ら筑波大学医学部 2 年生へ学士入学した経験か
ら、医学部に進むことの意義や問題点を語って頂
いた)
。
下は、平成 21 年度の高校生コースの個人研究発
表会の様子。
左下は塗谷先生のご講演の様子。右下は塩見先生のご講演の様子である。
終了時アンケート
本アンケートは 8 月 8 日の活動終了時に記載して頂いた、そのため、高校生および保護者・教
諭共に、平成 21 年度参加者および平成 22 年度参加者が混在している。
34
本ミーティングに参加したことを誰かに話しますか。
高校生
保護者・教諭
いいえ
はい
はい
今回のミーティングに参加しての感想をお聞かせ下さい。
高校生
やや楽しかった
保護者・教諭
やや楽しかった
大いに楽しかった
誰に話をするか(複数回答可)
高校生
家族
20 名
保護者・教諭
家族
友人
10 名
7名
大いに楽しかった
友人
20 名
学校の先生
19 名
学校の先生
10 名
その他(職場)
4名
感想(自由記載)
<高校生>
 皆さんの研究がそれぞれ完成されていて、素晴らしいものばかりで、聞いていて、とてもた
めになりました。化学や生物がとても身近に感じられました。
 今回も、貴重なお話を聞くことができて良かったです。全体的に研究発表のレベルが高くて、
もっと頑張ればよかったと後悔しています。
 仕分けって・・・。準備不足を痛感した。もっと真面目にやりたい。
 とても楽しかったです。
 知識も少しは増えたと思いますし、何より他の皆さんの発表を聞いたり一緒にお話をしたり
して、大変刺激を受けました。塗谷先生、塩見先生の講演も、初めて聞くことも多く、驚き
が大きかったです。このようなものに参加できて良かったです。ありがとうございました。
 最新科学の講演を聞くことが出来てよかった。どちらも興味深い内容で、分かりやすかった。
他の人の研究について聞けてよい刺激を受け、自分も頑張ろうと思った。質疑応答も充実し
ていて、他の人の考えが参考になった。
 参加者皆さんの知識がとても高度で、ついていくことが大変でした。でも、そんな人たちの
中に身を置くことによって、とても良い刺激を受けることができたし、もっと勉強して、知
35





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









識を増やしたいという気持ちがわきました。このミーティングに参加させていただけて本当
に良かったです。ありがとうございました。
とても参考になりました。ありがとうございました。
将来に対する意思がより強くなれた気がします。
機会があったら、今日発表できなかった人の発表も聞きたい。将来に向けて色々聞くことが
できて、本当にいい経験をできてよかったなと思います。研究者になるためには、読書・数
学・インターネット・意思の強さが大切だと言っていました。私は、数学は好きだけどそれ
以外は微妙なので、これからやっていけたらいいなと思いました。
同じ高校生の色んな話を聞けるのが本当にいい。講話していただいた先生も、普段絶対に直
接話を聞けるわけはないし、非常に貴重な時間だった。
他の高校生が一年間何をやってきたのか知ることができてよかった。また、発表者に質問で
きるのも大変良いと思った->その人が本当に自分のやってきた研究テーマを理解した上で
発表しているかが分かるため。安井先生、塗谷先生とお話する機会が持てて大変満足してい
る。
前年度の先輩方、講演をしてくださった先生方や、大学院生の方々から多くのことを学べて、
とてもいい体験をさせていただきました。自分が今までとても小さな世界で生きてきたこと
がわかりました。これから、来年の発表に向けて、精一杯がんばります。
世界が広がりました。今まで知らなかったことをたくさん知ることができました。ミーティ
ングに参加してとてもよかったです。
普段の授業で体験できないことを沢山できて、とてもためになり、よい刺激になりました。
また、まだまだ勉強不足の点が多いので、これからもっと勉強したいです。
先輩方の研究発表を聞いて、こういう研究をして、この様に発表するのだという事を学びま
した。そして、これから自分が研究するテーマは、来年自信を持って発表出来る様に頑張り
たいです。良い経験になりました。
一年間研究してきた人達の話が聞けてよかったし、自分もよい経験になった。その後に聞い
たプロの方々の話はすごくためになったし、わかりやすかった。とても楽しかったです。
今までにこのようなプロジェクトに参加したことがなかったので衝撃的でした。また、大学
教授などの生講演を聴いて、改めて研究は面白いなと思いました。来年の今の時期に平成2
1年度生のような発表をするのかと不安も大きいですが頑張りたいです。
8月7日は実践的内容が多く、初めてのことだらけでした。現地でお互いに打ち解け合い、
仲良くなれてよかったです。8月8日は先輩方の研究成果が見られて、自分の研究の参考と
なった。さらに、脳は RNA についても興味を持ててよかった。
普段体験する事のできない実験や講演など、たくさんのとても良い経験をさせていただきま
した。来年は今回学んだことを活かして自分なりの発表ができたらいいなと思います。
午前中の個人研究の発表を通して、自分のメンタル面を鍛えられたと思う。また、質疑応答
の時間には、私の発表を聞いてくれている人たちと、交流できたように感じ、非常に楽しか
ったし、
「こんなことを疑問に思うのか!」と自分で自分の研究に新たな見方をすることがで
きた。
研究報告会では、皆、素晴らしい発表をしていて、結果が出た、出なかったというものはあ
ったが、自分の知らないことを知ることができ、かつ、新しい発見もあり、有意義な時間を
過ごすことができました。参加させて下さった井上先生をはじめとする先生方、ありがとう
ございました。
塩見先生のお話は、初めて聞いたことばかりの新鮮な内容で、視野がとても広がった気がし
ます。臨床医として働くことに憧れていましたが、2日目の研修で、研究医にも興味をもて
て嬉しかったです。ありがとうございました。
とても充実した2日間でした。このプログラムに思いきって応募して、本当によかったです
最先端の医療のことなど、やはり東京でしか聞けないことを聞けて、自分のためになりまし
た。これからもがんばって研究課題を続けていきたいです。どうもありがとうございました。
一年間という研究としては、短い期間にも関わらず、高校生とは思えないような内容に驚き
ました。私は、特に日焼け止めの研究にとても興味を持ちました。まだ、化学を習っていな
いので、これからもう一度見返して勉強し、より考えてみたいと思います。講演も、とても
難しかったですが、興味深かったです。ありがとうございました。一年間よろしくお願いし
36


ます。
発表聞きたかった。発表したかった。
今回は多く細胞(分子、遺伝子)から生物一個体を形成しています。細胞を知ることによっ
て何か見えてくるのではないかと思いました。
<保護者・教諭>
 最先端の研究について知ることが出来ました。若い研究者が育って行くのが楽しみです。
 受講生達が非常に熱心で、専門的な分野のこともよく熟知しているのに驚かされました。
 保護者として参加させて頂き、大変お世話になり誠にありがとうございました。日常の高校
生の話ではお会いすることの出来ない先生方、先輩方、そして、全国の高校生の皆さん、と
ても良い刺激を頂くことの出来た2日間だったと思います。この機会を頂くことが出来たこ
とに心より感謝致します。ありがとうございました。今後共よろしくお願いします。
 今後も続けて欲しいです。
 確実に成長した子供の姿に感動しました。
 医学の分野へは興味はあったが、なかなか勉強することができなかったので貴重な体験とな
った。是非来年も参加したい。
 大変良い経験をさせていただきありがとうございました。
 各個人のがんばりと熱意が感じられた。
 専門知識の先生のお話に高校生達は興味を持っていたと思います。
 一年間大変お世話になりました。普段はなかなか触れることのできない高度な研究の一端を
知ることができ、生徒達にとって大きな経験だったと思います。そして、何よりも全国から
集まった仲間と出会い、同じ道を目指して頑張っている姿を互いに感じれたことが一番良か
ったと思います。本当にありがとうございました。
 生徒の熱心さ、本気度の高さにとても感心しました。また、質問についてもレベルが高く、
鋭い質問内容で驚きです。このプログラムの高さを感じます。
 この度は素晴らしい研修に参加させて頂き、親子共々、大変感謝しております。本講座を企
画、ご準備、そして、支えてくださった先生方、院生の皆様には、研究への姿勢のみならず、
よりよい”生き方”そのものを、子供達に教えて頂けたと思います。楽しく、真摯に研究に
取り組む子供さん達を、社会人であり保護者である私達もサポートして参りたいと思います。
本当にありがとうございました。そして、これから一年間よろしくお願い致します。
 高校生達が頑張っているのに感心しました。今後も若い人達の教育のため続けてもらいたい。
科学発展ためには、事業仕分け対象からは別扱いにすべきだと思います。
 ハイレベルな発表にもかかわらず、参加者が皆知識があるようで、鋭い質問をしていたこと
に驚きました。刺激的な内容を切磋琢磨する仲間がいてとても良いと思います。参加させて
頂きましたことに感謝致します。
その他:
1.平成 21 年度高校生コース・菊池憧子さんが学会で発表しました。
第47回アイソトープ・放射線研究発表会にて、菊池憧子さん(慶應義塾湘南藤沢高等部 3 年生)
が、
「高校生による高校生のための原子力放射線教育~実践の利点と問題点~」と題した研究発表
を行った。フロアから多くの質問が投げられ、講演終了後にも質問が続いた。
2.未来の科学者養成講座全国受講生発表会で発表を行いました。
8月16日~18日の未来の科学者養成講座第一回全国受講生発表会において、平成21年高校
生コース受講生・菊池憧子さん(慶應湘南藤沢高等部3年)と羽田野仁喜さん(県立美濃加茂高
等学校 3 年)が英語で発表を行った。その結果、菊池憧子さんが奨励賞を受賞した。
2.小中学生コース
(1)開催日時
平成 22 年 8 月 1 日(日)10:30~15:00 福岡会場(福岡市健康づくりセンターあいれふ)
平成 22 年 8 月 14 日(土)10:30~15:00 横浜会場(慶應義塾大学医学部化学教室)
平成 22 年 8 月 15 日(土)10:30~15:00 横浜会場(慶應義塾大学医学部化学教室)
(2)プログラム
37
10:00 開場
10:30-10:50 開会挨拶・オリエンテーション(活動の目的・注意事項など)
活動の目的、注意事項、アドバンスコース等について解説
10:50-11:40 [講演] 医療と放射線(慶應義塾大学医学部井上教授)
医療と放射線、特に、放射線の基礎を理解頂いた上での応用としての医療について、診断と治
療の両面から解説した。
11:40-12:20 [参加企画] 放射線クイズ
この企画の中で、医療と放射線の延長で、聴診器の使い方および指紋の採取についての実習も
加えて行った。
(昼食)研究者や大学院生と共に昼食(科学の話をしよう)
13:10-13:50 [実習] 身の周りの放射線を測ってみよう!
この実習の中で、蛍光としての「ルミノール反応」の実習を取り入れた。
13:50-14:40 [実習] 霧箱を作ってみよう!
この実習で、自然放射線について身近に感じて頂いた。
*この他、横浜会場では、マウスの解剖実習を行った。
14:40-15:00 まとめ
まとめとアンケート
15:00 解散
<8 月 1 日福岡会場に関する報告>
1)講演
慶應義塾大学の井上浩義によって、
「医療と放射線」
をテーマに約1時間の講演がなされた(右写真)。
まず、自然放射線が存在すること、そして、人類
がそれを発見して人工的に発生させることができ
るようになったことが解説された。その後、放射
線を用いて診断と治療が行われていることを説明
された。講演は、Power Point 資料およびビデオ
資料を用いて、視覚に訴えて、小中学生の興味が
途切れないような内容とした。
2)実習
放射線の測定:簡易型霧箱の作成と観察
アクリル筒やアクリル板を用いて、簡易型の霧箱を作成し、自然放射線(宇宙線や大地からの放
射線)を観察すると共に、ウランを含む石(天
然物;法令の規制対象外)から出る放射線を観察した。
簡易型霧箱は、材料を NPO 法人で準備し、実習書に従って、参加児童・生徒に作成してもらっ
た。アクリル接着剤、エタノール、ドライアイスは危険物として外部講師の先生方に指導して頂
くと共に、十分に注意を払い取扱って頂いた。
今回は、ドライアイスの破砕を含めて参加児童・生徒にすべてを行って頂いた。観察により、放
射線が短い距離でしか飛ばないものや長い距離を飛ぶものが混在して存在していることを理解し
38
て頂いた。また、直進するものや曲がるものがあることも学んだ。
本実習を通じて、身近に、放射線が存在することを広く印象に残せたと思われる。今後、磁界を
加えるなどの工夫が実現できればと思う。
聴診器:人間の音を聴こう
内科医師の指導の下で、聴診器を用いて、心音
および呼吸音を聞く試みを行った。これは、午
前中の講義で、放射線を用いてヒトの身体の中
を覗くことができることを勉強したが、放射線
の写真やビデオはすべてコンピュータ処理され
た無機的な色合いの強いものであったため、こ
こでは、聴診器を用いて、自らの心音や呼吸音
を聴く試みを行った。
大多数の児童・生徒が自ら、あるいは友達の身
体の音を聴くことができたが、一部の児童・生
徒は、聴こえているはずであるが、聴こえない
との反応であった。
指紋:タンパク質・脂肪とアルミニウム粉末
タンパク質を電磁波(ガンマ線・エックス線の
仲間)で光らせることを実習解説で行ったが、
紫外線等を用いてタンパク質を検出することは、
検出程度が弱いことと紫外線の利用が眼等への
実習の安全性担保にとって問題があったことか
ら、実施しなかった。代わりに、本活動では、
ビーカーに付いた指紋にタンポを用いてアルミ
ニウム粉末を付着させ、それをテープで黒紙に
移すという実習を全員にやって頂いた。
小中学生の児童・生徒には大変好評で、自分の
指紋を皆持ち帰っていた。大変好評であったが、
単なる作業で終わっており、来年度以降は他の
検出方法と組み合わせて科学的に興味深い実験
にしていきたい。
ルミノール反応:血液で強い蛍光を発する
可視光の中でも特殊な光である蛍光を体験して
頂きたく、ルミノールが発する蛍光を観察した。
ルミノール溶液は、NaOH 溶液と H2O2 溶液を
別途作成し、実験直前に、両者を参加者に混合
して頂いた。
実験はマイクロピペットの使用方法から教授し、
参加者は確実にピペッティングできるように訓
練した後に、実習に入った。
実習では、ルミノール溶液に、別途準備したラ
ット血液を入れて頂き、暗くした室内で蛍光を発する様子を観察頂いた。
この実習は、警察の鑑識捜査でも用いられていることを多くの参加者が知っており、蛍光を発す
るたびに大きな歓声が挙がっていた。なお、保護メガネの着用等がきちんと守られており、実験
態度は良好であった。
アンケート結果
最後に無記名式のアンケートを採った。結果は以下のようになった。
1)科学について興味がありますか。
39
アンケートの結果は次頁の通りです。小中学生および保護者共に、「大いにある」と「少しある」
が大半を占め、科学に関心の高い階層が参加されていることが分かった。
小中学生
保護者
3:どちらとも
いえない
1:大いにある
2:少しある
1:大いにある
2:少しある
2)家庭で科学の話をしますか。
上記1のアンケート結果から明らかなように、高い科学への関心が、家庭での科学に関する会話
に繋がっている結果が明らかとなった。但し、小中学生、保護者共に、20~30%の家庭で科学に
関する会話が「ほとんどなされていなかった」。
小中学生
保護者
4:ほとんどし
1:いつもする
ない
4:ほとんどし
ない
3:どちらとも
いえない
2:ときどきす
る
3:どちらとも
いえない
2:ときどきす
る
3)本日の活動に参加して科学に対する興味が高まりましたか?
以下のように小中学生、保護者共に、科学に対する興味は「少し高まった」および「大いに高ま
った」と回答し、活動の目的のひとつは達せられたと考える。
小中学生
保護者
1:大いに高
まった
2:少し高まっ
た
1:大いに高
まった
2:少し高まっ
た
4)自由記載
<小中学生>
 ちゃんとわかったし、実習もできて楽しかった。
 普通では見れない実験をして、とても勉強になったし、楽しかったので参加してよかったで
す。
 血が気持ち悪かったけれど、ためになったのでよかったです。
 楽しかったです。ありがとうございました。
 ルミノール反応の実験がおもしろかった。
40










何もない。
何もない。
色々なことを知ることができたし、あまりできない実験をすることができたので良かったし、
楽しかった。
指紋採取やルミノール反応がとても楽しかったです。今日のことを自由研究などにいかした
いです。
とても分かりやすく楽しかったです。
先生の話を聞いたり、実際にやってみたりして、とても面白かったです。また違う実験をし
てみたいです!!ありがとうございました。
本日は、良い体験ができました。ありがとうございました。科学に対する興味が高まりまし
た。
日頃、あまり口にしない「科学」というものを、身近なもので感じさせて頂きました。質問
したい場合も、何でも聞けるふんいきでとてもよかったと思います。
分かりやすくて、とてもよかった。放射線を身近に感じ、とてもよかった。
放射線についてわかった。
<保護者>
 放射線が医療に大きく貢献していることに驚きました。研究が更に進歩することを期待しま
す。危険性が無くなると喜ばしいと思います。
 もっともっと今回のような活動が増えると良いです。
 普段出来ない実習ができ、とても面白かったです。次回も是非参加してみたいです。
 とても良い講座で、一日とても楽しかったです。日頃学校では、体験できない学習ができ、
夏休みの充実した一日でした。前より科学に興味が出てきたと思います。
 昨年参加しまして、また、今年も参加できましたこと感謝致します。今年は、昨年よりも実
験がたくさんできて、夏休みの実験レポートの提出に参考になりました。本日は誠にありが
とうございました。
<8 月 14 日,15 日の横浜会場に関する報告>
横浜会場では、大学実験室を会場としたため、福
岡会場とは異なり、マウスの解剖実習を加えること
ができた。また、ルミノール反応も、マウスの解剖
実習で生じた血液を使用することができた。
横浜会場の活動では、先に、慶應義塾大学医学部
の井上による「放射線の性質と医療応用」に関する
講演を行い(右写真)、放射線を介して基礎科学お
よび医療について理解を深めた。
その後、午前中の昼食までの時間を使って、
動物実験(解剖)について説明を行った(写
真右)
。説明では、動物実験の必要性と動物実
験倫理について解説した。
解説では、小中学生が理解し易いように、薬
の創成を例として、有効性実証、安全性実証、
そして、創薬と治験についても言及した。
昼食は、医学部生、大学院生(医学部・理
41
工学部)
、そして、本活動のチューターOB である社会人(ボランティア)などと小中学生および
保護者が一緒に食事を摂ることによって、研究の意義、難しさ、やりがい、そして研究生活を送
るということについて語り合った。
昼食後は、全体で遺伝の話を行い、個人差の生じる仕組み、そしてその実証として、指紋実習
を、アルミニウム粉末を用いて行った(写真下)
。
また、指紋実習と並行して、医学部生と医学部大学院生による聴診器の使い方に関する講習並
びに、呼吸音および心音を聴く実習を行った(写真上左は、聴診器について講習を行う医学部 4
年生)
。
その後、小中学生 3 人 1 組となって、マウスの解剖実習を行った。当該実習では、安全性と共
に、学習効果を上げるために、各グループには必ず指導者が 1 名付く構成とした(例えば、写真
上右)
。この解剖実習では、グループによって進度が大きく異なり、腹部だけを開けて終わるグル
ープもあれば、腹部・胸部から頭部そして手足などの末梢まで解剖するグループもあった。全体
として非常に熱心に取り組んで頂いた。一方で、十分な解剖器具を買い揃えることができなくて
申し訳なかった。
解剖実習では、実習に参加を希望する保護者が多かったが、本活動は小中学生主体ということ
で、保護者の参加は認めなかった。しかし、強
い希望も多く、今後の課題である。
その後、解剖皿に残った血液を用いて、ルミ
ノール反応の実習を行った(右写真)
。
実習自体は明瞭な反応なので、評判がよかった
が、解説での「触媒作用」の理解は十分に得ら
れなかったように思われ、次回以降の課題であ
り、工夫が必要である。
実習の最後に、全体で 3 個の簡易型霧箱を作
成し、宇宙線、ラドン-222 からの放射線、そし
42
て、角閃石からの放射線の飛程を観察した(右写真下)
。
最後に、活動のまとめを行い、アンケート調査を行って、解散とした。
活動終了後も、多くの小中学生が残り、数多
くの質問をしていた。活動時間が短く、その中
に多くの要素を詰め込んでいるため、活動の中
での質問ができていないことが懸念された。た
だ、活動終了後の質問は、時間の余裕もあり、
また、個々の受講者の理解と興味の度合いに沿
った質疑応答ができるため、現状でもよい学習
効果があがるようにも思える。次回活動以降の
課題とする。
アンケート結果
最後に無記名式のアンケートを採った。結果は以下のようになった。
日頃、医学・医療に興味がありますか?
小中学
生
あまりない
保護者
どちらともいえない
どちらともいえない
少しある
大いにある
少しある
大いにある
家庭で、医学・医療の話をしますか?
小中学
生 いつもする
ほとんどしない
どちらともいえない
保護者
ほとんどしない
どちらともいえない
いつもする
ときどきする
ときどきする
医学・医療に対する意識は高まりましたか?
小中学
生
変わらない
43
保護者
少し高まった
自由記載
<小中学生>
 またここへ来て色々な実験をしてみたいです。
 色んなことがわかった。
 解剖やルミノール反応が様々な場面で使われ、人間のためになっているから、ただ面白半分
でなく、真剣にやらなければいけないと改めて感じました。
 放射線で体の中を見れるのが驚きました。マウスの解剖も臓器がどこにあるのかがわかって
よかったです。
 マウスの体のつくりがわかってよかった。また来たい。
 慶應大学で行われているIPS細胞を使った臓器を創る(生成)実験を見たい。放射線を霧
箱で観察できてうれしかった。家でも霧箱を作って観察します。
 普段はできない、貴重な体験になりました。ありがとうございました。また来年もできたら
参加したいです。
 昨年参加した時はマウスの解剖ができなかったけれど、今回は少人数で解剖ができて、身近
に感じてよかったです。
 普段出来ないような体験や、現役大学生の話などを聞けるよい機会となったのでよかった。
今まで何気なく利用していたレントゲン写真等のことが分かって面白かった。
 マウスの解剖を始めてやったので、すぐになじめませんでした。
 動物実験についての疑問をもっていましたが、今回マウスの解剖をしたり話を聞くうちに実
験の大切さや重要性を感じました。
 CT写真、レントゲンのことを知ることができてうれしい。マウスのためにもこのことをい
かして将来有名な医者になりたい。
 このような活動はよいと思う。
 学校で行う実験ではいつも個人実験なので、多人数で楽しくやれてよかった。また、学校で
の解剖実験はカエルのみで行っており、マウスで行った実験は新鮮でおもしろかった。
 話自体は面白かったが、話のレベルが高かった。なので、中高生向きにするとよいと思う。
 初めての解剖で少しこわかったけれど、勉強になったと思います
 解剖の時間を減らして、実験の時間を増やして欲しい。
 もっと解剖がしたかった。初めて解剖ができてうれしかったです。
 とても楽しかったです。
 解剖が少し気持ち悪かったが、思ったより血が出なかったのでよかった。CTのメカニズム
をもっと教えて欲しい。
 教室に来るまでの道のりに方向をしめすものをつけておいてほしい。マウスの解剖、ルミノ
ール反応が楽しかった。
 もう少し講座の時間をとって欲しかったです。マウスの解剖は思った以上に興味深く、とて
も勉強になりました。ありがとうございました。
 特にマウスの解剖が楽しかった。またやりたい。
 マウスの解剖で、臓器の形や位置が思ったより人間と大差なかったので驚いた。霧箱の中に
飛び込んでくる放射線が結構少なかったが、アルファ、ベータ、ガンマの違いが意外に大き
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かった。
解剖が勉強になった。臓器の位置や役割がよく分かり、説明も分かりやすくて楽しかったで
す。
マウスなどの解剖は、学校でなかなかやらないので、とても勉強になりました。そのため、
この分野がより身近なものになり、興味がとても湧きました。ありがとうございました。
簡単に動物を殺してはならないことについて考えさせてもうらうことができ、この活動をこ
れからも続けて欲しいと思いました。マウスの解剖を少しためらいながら行ってしまったた
め、次は自信を持ってやりたいと思います。
知らない用語がいくつかあった。例えば「ルミノール反応」や電離作用などいい勉強になり
ました。また、体の構造が解剖をやってよく分かりました。
マウスの解剖が初めて(解剖が初めて)で、最初はビビッていたけれど、命を使っているか
ら怖がらずにやろうと思ってやりました。それで、気づいたことがたくさんありました。マ
ウスは胆のうがないことや、人間の身体に対しての肝臓の大きさはマウスに比べたら小さい
ことが初めてわかり、とてもためになりました。また、指紋は指によって違うことを知り、
驚きました。あと、腎臓は2つあるというのは共通点だし、腎臓は1つなくなっても生きて
いけるということを知り、驚きました。
マウスの解剖が印象に一番残った。臓器を裏返したり、はがしかけたり、色々いじったが、
少しも傷がつかなかったのでやはり生物の体は丈夫だなと思った。また、一部の野生動物に
は胆のうがないこと、その推測、色の理由、移植の話等々興味深い知らないことを教授、大
学院生の方に教わったのがとても面白かった。
とてもおもしろい実験がたくさんありました。マウスの解剖は少し怖かったけれど、マウス
の体の中がよく分かって、役に立ついい経験だな・・・と思いました。ルミノール反応は思
ったよりもすぐに、そして、はっきりと見えたので驚きました。
解剖の時間がもっと欲しかった。ルミノール反応など初めての体験があってとても勉強にな
った。
席によって映像、黒板が見えづらかった。実際にマウスの解剖ができて、貴重な体験でした。
先生の講義もとても分かりやすい解説でした。もっと多くの人がこの活動の参加できればい
いと思った。
とても楽しく、医学に少ししか興味がなく、あまり知らない私でも、よく分かり面白かった
です。今日一日ありがとうございました。またの機会を楽しみにしています。
実際に解剖をしたり、放射線を見たりして、話を聞いたりするよりよく分かりました。この
活動は医療への関心を持てると思うし、命の大切さについても考えるきっかけになれると思
います。今回参加でき、とてもうれしく思いました。
解剖や血液が光るのがおもしろかった。
話が難しかった。指紋の採取がおもしろかったです。
霧箱、ルミノール反応が見られてとてもよかった。マウスの解剖は色々な臓器を取り出して
「この場所にこれがある!」というような事が分かり、とてもよいと思った。このことを家
族にも話してみたいと思う。
とても本格的な内容で、中学ではブタの目の解剖をやりましたが、マウスの体の解剖となる
と少しきつかったけれども、先生方が優しく対応していただいたのでとてもスムーズに、か
つ、内容の濃いものを勉強させていただきました。ありがとうございました。
普段は解剖しない脳なども詳しく観察でき、また、身近に放射線があることも分かり、とて
も充実した活動でした。
放射線はよいところも悪いところもあることを知り、マウスの解剖は最初は気持ち悪かった
けれど、臓器などを確認できたのでよかったです。霧箱で飛行機雲が見えたのはすごかった
です。
放射線のことをわかりやすく教えてもらったのでよかった。
昨年も参加させていただきました。前回と違って、指紋をとったり、ルミノール反応をやり、
とてもおもしろかったです。今年もアドバンスコースに参加できればうれしいです。
マウスの解剖では、小腸が思ったより長くてびっくりしました。脳は、左右2つにわれてい
て?小さかったです。放射線のことなど、知らないことが分かって、楽しかったです。あり
がとうございました。
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
マウスの解剖や放射線の実験、説明がそれぞれとても興味深いものだった。一見して、放射
線は医療に何の関係があるのだろうとも思ったが、最先端のもので感心が湧いた。アドバン
スコースの方も参加したいと思う。できればもっと沢山の時間で沢山のことを学びたい。
色々な活動がやれてよかったし、知らなかったことがわかってよかった。
おもしろい実験や講義が聞くことができて今日はとても楽しかったです。本日は大変ありが
とうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
時間があまっているのでもっとマウスの解剖をしたかった。もうちょっと大きいものを使っ
て欲しい(小さかった)
。参加できる日数や学年を増やして欲しい。説明がわかりやすくて理
解しやすかった。本日はありがとうございました。
マウスの解剖によって、体の部分をよく知ることができました。また、最後には自分で胃の
中を開いてみたり、筋肉をはがしてとろうとしたり、最初はあまりよくないイメージをもっ
ていた私も楽しんで学ぶことができました。来年も開いていただくとうれしいです。
放射線に関する話やルミノール反応についてたくさん聞けてよかったです。また、放射線を
実際に目で見ることができて、不思議な感じがしました。今回の講演が将来について参考に
なればよいと思います。ありがとうございました。
マウスの解剖では、一生に一度しかやらないくらい貴重な体験だったと思います。少しグロ
テスクだったけど、体の中の臓器についてよく分かりました。ルミノール反応はテレビなど
でしか聞いたことがなかったので実際に目で見れてよかったです。自由研究に役立ちそうで
す。ありがとうございました。
マウスの解剖で脳もよく見れて楽しかったけれど、少しこわかったです。医学の現場で検査
にどのようなものがあるかを知ることができた。
<保護者>
 13 年続いているのは素晴らしいです。感謝します。マウスの解剖の際、皆が集中して作業し
ている姿勢に感動しました。女の子はバラバラに分解。男の子は解剖図と比較して、よく見
ていることに気づきました。子供が何かつかんだらうれしいです。
 保護者は見ているだけで少し残念でしたが、楽しかったです。このような機会に参加できて
よかったと思います。
 学校の授業と視点が異なりとても興味を持てたと思う。この授業を聞いて学校の授業もきち
んとやらなくては・・・と思ってくれるとよいと思います。大変勉強になりました。ありが
とうございました。
 とてもよい活動だと思います。お友達同士で参加できるシステムだと、もっと参加が増える
のでは?と思います。
 子供の医学の学習に対するモチベーション向上に非常に役立ちました。どうもありがとうご
ざいました。このようなイベントを今年初めて知りました。子供の通っている学校へも、今
回の内容について是非紹介していきたいと思います。
 マウスの解剖がとてもよかった。6年の時にフナの解剖をしたが、その時はこわくてほとん
どできなかったので、よい機会だった。
 様々な実験をさせていただきありがとうございました。
 放射線という難しいテーマをとてもわかり易く、かみ砕いてお話いただいていたと思います。
解剖実験は、子供は初めてでしたので大丈夫か心配でしたが、始まってみれば、どの子も興
味深く取り組んでいる様子でした。このような機会を与えていただき、ありがとうございま
した。
 小5の子供には若干難しいかな?と思う内容もあったが、興味をいだかせる内容であったと
思います。慶應のこういった取り組みに感謝致します。
 学校の学習では体験できない、貴重な体験をさせていただきました。特にマウスの解剖では、
動物実験に対する倫理的な話から解剖することまで実体験でき、生物の尊さをより深く感じ
ることができたと思います。解剖を行っている様子を見ていると、男の子より女のこの方が
大胆だったのが興味深かったです。これからもこのような機会を是非設けていただけた
ら・・・と思います。
 説明が丁寧で、少人数のため非常にわかりやすかったです。アドバンスコースの締め切りが
8/31だと夏休みの終わりと全く一緒なので、学校の宿題に追われる怠け者の私の子には、
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提出が難しいかもしれません(笑)父兄も立ち合わせていただき、大変感謝致します。ただ、
立会いの可否が事前の案内ではわかりにくかったです。
解剖を体験することができて、とても勉強になりました。解剖の前に倫理についてお話いた
だけたことはとてもよかったです。午前中、もう少し実験的なことを段取りよくやれたらよ
かったと思います。お手伝いをしてくださった方々の説明がとても参考になりました。でき
たらもっと色々教えていただきたかったです。ありがとうございました。
マウスの解剖までさせていただいて、とても学ぶことができました。心音の聞き方などとて
もわかりやすい解説でした。アルファー、ベータ線がなかなか見つけられなかったのですが、
最後までしっかり見せていただいて、”しっかり観察する”ことの大切さも体験的に学べたと
思います。ありがとうございました。
日常では経験出来ないいくつもの体験をさせていただきました。子供の将来の選択肢を広げ
る意味でもよい機会だと思います。ありがとうございました。
見て、触って、体験して・・・ととても参加しやすいプログラムでした。心音についての説
明がとてもわかりやすかったです。ルミノール反応や霧箱も目で確認できて、わかりやすか
ったです。放射線についての講義では、身近な例を元に、日頃見ることのできない映像を見
ることができ、面白かったです。あっという間の一日でした。ありがとうございました。
今後も長く本活動が続いていくことを願っております。下の小2の子が参加できますように。
マウスの解剖では、少し腰がひけていた状態だったのに、いざ始まるとのめり込んで興味を
持ち始めていることが目に見えてわかりました。これをきっかけに何かが始まることでしょ
う。本日はありがとうございました。
子供にわかりやすい説明で、興味がわく内容だと思います。もっとたくさんの子供達に教え
ていただければ、日本の医療も明るい?と思います。先生、スタッフの方に感謝しています。
ありがとうございました。
マウスの解剖はどんな感じか不安でしたが、思ったより子供も怖がらずに、目的を持った解
剖ができてよかったです。とても貴重な体験でした。今後もこのような機会があるといいで
す。
今年は盛り沢山の内容で、とても充実した一日を過ごすことができました。ありがとうござ
いました。また、機会がありましたら、是非参加させてください。今後ともどうぞよろしく
お願い致します。
中学一年の子供にも非常に分かりやすくお話していただき、より理解が深まったと思います。
非常に貴重な体験ができて、今後も是非参加させていただきたいと思います。井上先生をは
じめ皆様ありがとうございました。
ご準備ご苦労様でした。基礎の実験等が実際の臨床の現場でどのようにいかされているのか、
臨床の先生も交えてお話を聞けると、より、子供達が医療に興味を持つのでは?と思いまし
た。次回のSTEPとして、そういうテーマも入れていただけるとよいなと思いました。今
日はありがとうございました。
マウスの解剖がとても参考になった。きれいに内臓が出てきて、心臓の拍動も見られたのが
よかったです。各テーブルに1人補助の先生(医学部の方)がいていただけるともっとよか
ったです。
(テーブルによって、解剖の細部が違ったのが残念でした)
大変わかりやすい説明で子供だけでなく親にとっても勉強になりました。来る前は子供は「医
学部なんて興味ない」と話していましたが、医学の分野の幅広さに驚いた様子で、途中から
は「面白い!」と楽しんでいました。今日は先生だけでなくが学生の方々も大勢教えてくだ
さり、どうもありがとうございました。
小中学生にわかりやすく、これから興味をより持つことができるような講義でした。これを
きっかけに娘が医学・科学への道に向かってくれるとうれ
しいです。
また、そうでなくても、生というものを考え、何かをとこ
とん考え、
調べることができるようになったらよいと思います。本日
はありが
とうございました。
CTがとてもリアルになっていて興味深かったです。ルミ
ノール反
応で青白く光っていてきれいでした。
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Ⅲ.冬の活動
平成 22 年 12 月 17 日(金)および 18 日(土)に、高校生コースおよび小中学生コース合同で、
冬の活動を実施した。
平成 22 年 12 月 17 日および 18 日の活動概要
17日(金)
時間
内容
9:30
集合(出欠確認)
9:30-10:00
自己紹介;活動の目的;諸注意
10:00-12:00 研究室見学
12:00-13:00
13:00-15:20
15:20-15:30
15:30-16:00
16:00
18日(土)
時間
9:00
9:00-9:20
9:20-10:20
10:20-10:30
10:30-11:30
11:30-12:00
12:00
12:00-13:00
13:00-16:00
活動報告
10:00-12:00
研究室見学
グループ
グループ A
グループ B
グループ C
若手研究者との交流(昼食)
病院見学
休憩
活動のまとめ
解散
内容
集合(出欠確認)
活動に関する諸注意(特に、3
月の活動に関して)
講演
小児科学教室・教授・高橋孝雄
先生
休憩
ディベート「原子力・放射線の
利用」
活動総括
一部解散
一部昼食
個人研究打合せ(個別対応)
10:05-10:35
循環器内科学教室
生理学教室
医化学教室
場所
新棟 11F 大会議室
新棟 11F 大会議室
再生医学教室;生理学教室
(岡野研究室)
;医化学教室
新棟 11F 大会議室
内視鏡施設;エコー施設
新棟 11F 大会議室
場所
1F ラウンジ
1F ラウンジ
1F ラウンジ
1F ラウンジ
1F ラウンジ
1F ラウンジ
10:40-11:10
生理学教室
医化学教室
循環器内科学教室
慶應義塾大学グローバル COE 事業「幹細胞医学のための教育
研究拠点」および同事業「In vivo ヒト代謝システム生物学拠
点」の両プログラムの中心となる 3 教室「循環器内科学教室」、
「生理学教室(岡野研究室)」
、および「医化学教室」の研究
室を訪問し、研究の様子を説明頂くと共に、簡単な顕微鏡操
作などの体験を行わせて頂いた。
活動の様子
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11:15-11:45
医化学教室
循環器内科学教室
生理学教室
顕微鏡操作(iPS 細胞関連)
世界最高レベルの質量分析装置
12:00-13:00
若手研究者との昼食を共にした交流
慶應義塾大学医学部の合計 7 名の若手研究者(専任講師以下の研究者)が参加下さり、簡単な昼
食を取りながら、研究のこと、医学のことなど日頃聞けないことを尋ねて、交流を深めた。この
場は、保護者や教諭も一緒に食事を囲んだため、保護者等からの質問も活発に行われた。
交流の様子
13:00-15:00
病院見学
グループ
グループ A
グループ B
13:00-13:40
待機
内視鏡
13:45-14:25
シュミレーションラボ
待機
49
14:30-15:10
内視鏡
シュミレーションラボ
グループ C
シュミレーションラボ
内視鏡
待機
内視鏡の紹介と実習
シュミレーションラボでの実習の様子(エコー・ダミー人形等の体験)①
シュミレーションラボでの実習の様子(エコー・ダミー人形等の体験)②
50
② 12 月 18 日(土)講演
9:20-10:20 講演
こどもの心と知能を育む
-遺伝子の力・環境の力こどもの心と知能を育む-遺伝子の力・環境の力
慶應義塾大学医学部小児科学教室・教授
高橋孝雄先生
高橋教授より、遺伝力と環境力を中心に、
「子宮内環境、育児、教育」、
「薬剤、食品、栄養」
、
「メ
ディア、ゲーム、テレビ、ネット」についてお話を頂いた。科学的根拠と共に、豊富な臨床経験
に基づいたお話で講演は聴講者に多くの感銘を与えた。
51
10:30-11:30 ディベート
ディベート課題:原子力・放射線の利用
事前に配布した資料に基づいて、小中学生グループと高校生グループに分かれてディベートを行
って頂きました。
当日は、外部評価委員で、本ディベート課題「原子力・放射線の利用」研究の先駆者である飯利
雄一先生(元信州大学大学院教授;元文部省初等中等教育局視学官)および放射線利用で世界的
な権威である田中隆一先生(元日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)高崎研究所所長)
に参加頂き、ディベート内容にコメントを頂いた。
アンケートにあるように、ディベートが盛り上がり時間が不足した。今後の課題である。
小中学生コースのディベートの様子
高校生コースのディベートの様子
52
評価アンケート
小中高校生の回答
1.今回の活動に参加しての感想をお聞かせください(総数 28 名)
。
回答項目
人数
(大いに楽しかった)の数
27
(やや楽しかった)の数
0
(普通)の数
1
(あまり楽しくなかった)の数
0
(全く楽しくなかった)の数
0
(その他)の数
0
2.今回の活動で興味を覚えたのはどの項目ですか(複数回答可)。
回答項目
人数
研究室見学
若手研究者との交流
病院見学
高橋教授の講演
大学生や大学院生との交流
他の参加者との交流
指導者らとの交流
ディベート
その他
19
15
26
23
8
13
6
3
0
3.夏の活動から、知識や意欲が進歩したとおもいますか。
(総数 28 名)
回答項目
人数
(大いに進歩した)の数
9
(少しは進歩した)の数
12
(どちらか分からない)の数
5
(進歩しなかった)の数
1
(その他)の数 ⋆夏活動に参加できなかった
1
4.自由記載(活動に対する要望)
 ディベートの時間をもう少し長くして欲しい。
 もう少しディベートの時間が長ければ、もう少し意見が言えたと思う。
 ディベートの時間がもう少し長ければよかったです。また、高校生のディベートも見たかっ
たです。
 ディベートの時間等、交流や意見交換の時間をもう少し増やして欲しい。
 ディベートの時間を長くして欲しい。原子力については良い内容だと思うのでもう少し続け
れたらいいと思います。
 ディベートをまたやりたいです。次回はもらった資料以外にも全員が各自資料を調べてもっ
てくるように言ってもらえれば良いと思いました。
 とても楽しいものばかりでした。ありがとうございました。
 男女比の考慮をして欲しい。もう少し増えてくれるといい。
 研究室見学、病院見学や講演等々もとても興味深く面白かった。そのため、そこにあてる時
間を減らさずにもう少し研究者の方や他の参加者との交流の時間が欲しいと思った。今回参
加させて頂いてありがとうございました。
 このようにして欲しいとかではなく、やっぱり自分はもっとがんばらないとなと思いました。
ディベートでもうまくいかなかったし、まわりのレベルの高さに圧倒されっぱなしだった。
それが今回だめだったなと思う所です。
53





もう少し全体の活動日を増やして欲しい。
ありません。とても充実していて満足しています。
アンケートの内容を小学生用、中学生用、高校生用に分けて欲しい。募集を多くして欲しい。
ディベートの内容が小学生には少し難しかったので、もう少しだけ簡単にしていただきたい
です。しかし、今回の体験はとてもためになったのでとても良かったと思います。
それぞれの活動ひとつひとつが、自分の血となるのが実感できるようなものばかりで、ため
になり楽しかったです。実際に、シュミレーションで手術の体験をしたり、患者さんと触れ
合うことや講座に参加した人たちや大学生、院生との交流はもっとやってみたいと思います。
保護者・教諭の回答
1.今回の活動に参加しての感想をお聞かせください。
(総数 18 名)
回答項目
人数
(大いに楽しかった)の数
17
(やや楽しかった)の数
1
(普通)の数
0
(あまり楽しくなかった)の数
0
(全く楽しくなかった)の数
0
(その他)の数
0
2.今回の活動で興味を覚えたのはどの項目ですか。(複数回答可)
回答項目
人数
研究室見学
若手研究者との交流
病院見学
高橋教授の講演
大学生や大学院生との交流
他の参加者との交流
指導者らとの交流
ディベート
その他
11
8
10
18
1
7
1
3
2
* 他の参加者との交流は子供にとって
刺激になったと思います。
* 子供の話から、研究室見学、病院見
学に興味を覚えました。
3.夏の活動から、お子さんあるいは生徒さんは、知識や意欲が進歩したとおもいますか。
回答項目
人数
(大いに進歩した)の数
7
(少しは進歩した)の数
10
(どちらか分からない)の数
0
(進歩しなかった)の数
0
1
今回が初参加でしたが、周りの皆様から学ぶ
(その他)の数
ことが多かったのではないかと思います。子
供達が学ぶ意欲に感心しました。
4.自由記載(活動に対する要望)
 第1日目の昼食時の色々な方との交流はもっと時間を増やして欲しいと思いました。全体的
にも、それぞれに時間を増やして欲しいし、どのイベントも今後継続して欲しいものばかり
54












でした。特に2日目の午後も学習相談の場とかがあればよいと思いました(中学生対象)
。と
ても貴重な機会を頂きありがとうございました。
高校生が研究室で研究に参加しているとお聞きしました。現在中学生なのですが、中学生も
定期的に、研究の助手の助手という感じで、見学、参加できる機会があるとうれしいです。
実際、現実の学問が、研究、社会へとつながっている所に参加できると、視野、興味が深ま
ると感じております。
保護者は不参加で良いと思います。実体験で、子供自身が何か感じとれるものがあれば幸せ
です。高橋先生の講演は、参加できて良かったです。ディベートは子供自身が不安で何をす
るのか・・・と、気にしていましたが、自信につながったかと思います。先生方、大変あり
がとうございました。
夏の活動から始まり、沢山の講座を受けることが出来、親子共学ぶ楽しみを味わうことが出
来ました。本日の高橋先生のご講演はとても勉強になりました。ありがとうございました。
夏の講座では、是非「霧箱」の作成を取り入れてください。
大変高度な技術、知識、設備を目の当たりにして、娘も、びっくりしたり、興味を深めたよ
うです。今回、参加してない長男(小6)などの男の子は、実験的なものにとても興味をも
って出来るようですので、そういったものも行って欲しいです。
私どもも参加させていただける内容を 1 つでも増やしていただけると有難いです。子供のた
めの講座とはわかっているのですが・・・。
テーマを決めての研究(継続的なもの)
(中学1,2年向き)
息子のこれからの人生において大変貴重な体験をさせて頂き、心より感謝申し上げます。今
後の活動にも是非積極的に参加させていただければと思っております。ありがとうございま
した。
助成期間が平成23年までということですが、多少の金額負担をしても、このような素晴ら
しい企画を継続して欲しい。今回はありがとうございました。
なかなかこういう実体験をすることがないので是非今後も継続してやって頂きたいと思いま
す。予算のこともあると思いますが、費用を払ってでも参加したい方は多いと思います。大
変分かりやすい説明をして頂き、有意義な時間を過ごすことができました。
小中学生コースに参加ですので、もう少し実験や研究が出来るとありがたいです。とはいう
ものの、他ではめったに出来ない経験を数多くさせて頂き、知的興味を喚起され、ありがた
く、感謝しております。
学校では実験など、体験の機会が少ないので、是非、体験のできる講座を期待しております。
2日間ありがとうございました。
55
Ⅳ.その他の活動
 平成 22 年 9 月 4 日(土)13:00-19:00
慶應義塾大学医学部オープンキャンパスにて活動を紹介させて頂きました。
対象:横浜サイエンスフロンティア高等学校・西武文理学園高等学校
人数:60 名程度
 平成 23 年 3 月 21 日(月)
日米ノーベル賞受賞者特別講演会
<目的>独立行政法人科学技術振興機構事業・未来の科学者養成講座において、慶應義塾大学で
は「はばたけ、世界を先導
する医学者へ」と題して、
医学研究で本邦さらには世
界を先導することができる
人材の育成を目的とする。
慶應義塾大学では、本事業
として平成 21 年-22 年度に、
これらの能力と意欲を持ち
うる人材の育成に努め、学
会発表や論文発表などの成
果を得てきた。本教育活動
は、JST 事業(平成 21-23
年度)の最終年度を迎える
にあたり、お二人のノーベ
ル賞受賞学者、日本から小
柴昌俊先生、アメリカから
Peter Agre 先生をお招きし
て、御講演を頂くと共に、
中学生・高校生の研究発表
へのコメントや研究に関す
る討論を通じて、更に、勉
学意欲および研究への指向
性を高めて頂くことを目的
として企画した。
<場所・対象・プログラム>
場所:藤原洋記念ホール(横浜市港北区日吉;慶應義塾大学日吉キャンパス協生館内)
対象:小・中・高校生および保護者・教諭
定員:400 名
参加費:無料
プログラム:
時間
活動内容
場所
9:00
開場
記念ホール
9:45
開会挨拶:長谷山彰先生(慶應義塾大学常任理事)
記念ホール
総合司会:井上浩義先生(医学部(日吉)教授)
10:00
御講演:小柴昌俊先生(2002 年度ノーベル物理学賞受賞 記念ホール
56
11:00
12:00
12:15~
13:15
13:15
14:30
15:15
者) 演題「宇宙、人間、素粒子」
座長:泰岡顕治理工学部教授
御講演:Peter Agre 先生(2003 年度ノーベル化学賞受賞
者) 演題「Life on the River of Science」
座長:安井正人医学部教授
閉会挨拶:末松誠先生(医学部長)
午後参加者昼食
記念ホール
記念ホール
中学生・高校生による研究発表(英語)
多目的教室3
参加者は平成 21 年度および平成 22 年度事業参加者 50 名
<発表者>
菊池憧子(慶應義塾湘南藤沢高等部 3 年生)
羽田野仁喜(岐阜県立加茂高校 3 年生)
Peter Agre 先生と小中高校生の研究に関する討論(英語) 多目的教室3
参加者は平成 21 年度および平成 22 年度事業参加者 50 名
終了
講師のご紹介
小柴昌俊先生:東京大学名誉教授にして、2002 年ノーベル物理学賞を受賞された世界的に著名な
物理学者である。先生が設計を指導・監督されたカミオカンデによって史上はじめて自然に発生
したニュートリノの観測に成功された。
Peter Agre 先生:世界的に著名な分子生物学者であり、細胞で水だけを通すことができる通り道
(チャネル)を発見・研究され、2003 年のノーベル化学賞を受賞されている。米国で最も大きな
科学者の団体である米国科学振興協会の 169 代目の会長等を歴任されている。
*残念ながら、平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災の影響により、本特別講演会は中止
となった。
57
平成 23 年度事業
(平成 23 年 4 月~平成 24 年 3 月)
58
Ⅰ.受講生応募状況および選抜
1.高校生コース
本年 6 月に全国の主要高等学校(SSH(スーパーサイエンスハイスクール)校、理数科設置校お
よび進学実績を有する高等学校)約 300 校へ募集案内を送付した。HP での募集は募集案内に先
立ち 5 月より公開した。また、過年度受講生参加校に関しては、担当教諭に電話し直接紹介を行
った。その結果、全国から 41 名(各都道府県別の応募者は下地図参照)の応募があった。
沖縄 2 名
茨城 1 名
広島 2 名
福岡 9 名
埼玉 1 名
京都 2 名
岡山 5 名
岐阜 1 名
千葉 1 名
東京 2 名
神奈川 4 名
宮崎 4 名
和歌山 2 名
静岡 1 名
愛知 3 名
大阪 1 名
応募者については、面接を行って理数科系能力および医学学習に対する意欲を基準として判定を
行い、地域性も加味して 12 名(当初 15 名)を選抜した。
なお、本事業とは異なるが、本塾予算にて、過年度受講生のうち大学に進学した者で、投稿論文
の不足データを取る実験実施事業を行い、成果の完結に努めている。
2.小中学生コース
小 中学生 コース 15
名の一次選抜となる
「科学教室」を 7 月 30
日および 31 日(福岡)
、
8 月 6 日(横浜)に開
催した。本年は、5 月の
段階からホームページ
の告知を見た応募が始
埼玉 9 名
まり、非常に出足の早
い応募であった。応募
福岡 176 名
は、昨年の 224 名より
千葉 5 名
も多く、344 名となっ
た(下図参照)
。
東京 31 名
この中から、過年度
佐賀 4 名
大分 2 名
神奈川 117 名
参加者をできるだけ除
外し、その後は抽選に
より参加者を決定した。
59
Ⅱ.夏の活動
小中学生コース
 平成 23 年 7 月 30 日および 8 月 6 日活動
平成 23 年度未来の科学者養成講座小中学生コースの活動として 7 月 30 日(土)に福岡、8 月 6
日(土)に横浜と 2 回の教育活動を実施した。その他に、7 月 31 日(日)にも福岡で活動を行っ
たが、それは別途報告する。
7 月 30 日の福岡市中央区天神のアクロス福岡
日 時:平成23年7月30日(土)10時00分~15時30分
会 場:アクロス福岡(福岡市中央区天神 1 丁目)
内 容:
9:30~10:00 開会挨拶・オリエンテーション(活動の目的・注意事項など)
10:00~11:00 [講演]食と医学・医療(慶應義塾大学薬学部・齋藤教授)
11:15~12:00 [実習]カロリー計算をしてみよう(栄養士等の指導)
12:00~13:00 [昼食]研究者や大学院生と共に昼食(食と医学の話をしよう)
13:00~14:30 [実習]食品の抗酸化試験
14:45~15:00 [まとめ]君は、「食」を家族に伝えられるか?
15:00~15:30 アンケート調査等
15:30 解散
当日の教室には保護者を含めて 44 名が参加した。午前中の最初は、慶應義塾大学薬学部の齋藤
教授に「食と医学」をテーマに、特に消化器内科医としての御研究・御経験を生かして、食物消
化についてご講演を頂いた。更には、当該齋藤教授が本年 3 月の東日本大震災の医師派遣第一陣
として活躍されたことから、大震災時の医療についても多くの時間を割いて頂いた。参加者から
は感銘の声が挙がると共に、被災地での食事などについて多くの質問があり、質問は講演が終わ
った後まで続いた。
次に、久留米大学病院・栄養部・管理栄養士の坂
口先生によって、毎日の食事をテーマにした御講演
を頂いた。坂口先生は、カロリー抑制というよりも
バランスの取れた食事をきちんと摂ることに重き
を置いた内容であった。毎日の食事で、カロリー計
算やバランス評価をすることが難しいので、大雑把
で構わないので、お弁当箱の面積の何割をこれこれ
で埋めようというような、実践に即した内容でお話
を頂いた。身近なテーマでもあり、自分たちが食べ
ている食事のバランスについて、子どもたちだけで
なく、保護者からも質問がたくさん飛び出した。
この後に、昼食時間となったが、主催者がお弁当
を準備したため、同じお弁当を皆で一斉に食べることで、参加者と指導者が交流できる時間とな
った。ここでは、午前中の御講演の内容を反復する
ように、既製品であるお弁当の栄養価、栄養バラン
スの話も出ていた。また、趣旨とは少し異なるが、
参加者から、大学での研究生活のこと、進学のこと、
家庭での学習のことなどの質問がなされて和気
藹々とした時間となった。
午後は 2 会場に分けて、実習を行った。実習は、
①簡易型霧箱の製作と天然石から放出される放射
線の観察、②ラット血液を用いたルミノール反応に
よる蛍光発光観察、③GM サーベイメータによる食
品中の放射能の測定(単位重量当たりの放射能)
、
および④聴診器を用いた心音・呼吸音の観察を行っ
た。朝から、アクロス福岡施設の大会議室で講演等を行ってきたが、上記実習①および②は暗室
60
において行わねばならないことから、実習①および
②のみは、当該施設608号室で行った。
①簡易型霧箱は非常に評判が良く、家庭でも実施し、
夏休みの自由研究課題としたいと希望する参加者
が半数以上に上った。そのため、急遽、家庭でもで
きる簡易型霧箱の作り方を講義した。③食品放射能
の測定は、その測定行為自体は非常に易しく、食品
の重量を測定し、GM サーベイメータで放射能を測
定するだけであるが、難しい Bq(ベクレル)や cpm
(カウントパーミニッツ)の単位を理解して、数値
処理することに困難が生じた。具体的には、単位重
量当たりの放射能を求めることが難しく、理解をす
るのに多くの時間を費やした参加者も多かった。活動終了後も FAX での問い合わせ(質問)がや
ってきており、現在、社会問題化している放射能汚染食品の暫定基準値の理解のためにもより理
解し易い、教材の開発等が必要であることを強く感じた。
8 月 6 日(土)の横浜市港北区日吉の慶應義塾大学日吉キャンパス
日 時:平成23年8月6日(土)10時00分~15時30分
会 場:慶應義塾大学日吉キャンパス(横浜市港北区日吉 4-1-1)
内 容:
9:30~10:00 開会挨拶・オリエンテーション(活動の目的・注意事項など)
10:00~11:00 [講演]食と医学・医療(久留米大学医学部・下川先生)
11:15~12:00 [実習]カロリー計算をしてみよう(栄養士等の指導)
12:00~13:00 [昼食]研究者や大学院生と共に昼食(食と医学の話をしよう)
13:00~14:30 [実習]食品の抗酸化試験
14:45~15:00 [まとめ]君は、「食」を家族に伝えられるか?
15:00~15:30 アンケート調査等
15:30 解散
当日の教室には保護者を含めて 64 名が参加した。午前中の最初は、久留米大学医学部の下川千
寿助教に「食品と消化」をテーマに、食べ物の消化が行われる過程を臓器および酵素に関連付け
ながら丁寧にご講演頂いた。特に、参加した子どもたちと保護者に、消化器関連臓器の位置と名
前をプリントに書かせながら解説するやり方は、
聴衆参加型講義として好評であった。また、当
該講演方法は、本活動のスタッフにも良い刺
激・ヒントとなった。
次に、慶應義塾大学病院・食養課課長(管理
栄養士)
・鈴木和子先生によって、疾病と食事を
テーマにした御講演を頂いた。鈴木先生は、疾
病の治療はもとより、予防のために食事が必要
であることを強調され、生活習慣病が決して大
人の病気ではないことを子どもたちに注意され
た。後半では、身近な食べ物(例えば、ファス
トフード)の栄養バランス等を、実例を示しな
がら解説頂いた。
この後に、昼食時間となったが、主催者がお弁当を準備したため、同じお弁当を皆で一斉に食
べることで、参加者と指導者が交流できる時間となった。ここでは、午前中の御講演の内容を反
復するように、既製品であるお弁当の栄養価、栄養バランスの話も出ていた。
午後は最初の 30 分間を、慶應義塾大学医学部の井上浩義教授に「食品と放射能」と題した講演
を行って頂いた。これは、本活動の冒頭で自己紹介の時に、福島第一原発事故に関心が高いとい
う意見が多かったため、急遽、食品に焦点をあてた解説を行って頂いた。実習は、講義室から実
習室へ移動して実施した。実習は、①簡易型霧箱の製作と天然石から放出される放射線の観察、
61
②ラット血液を用いたルミノール反応による蛍
光発光観察、③GM サーベイメータによる食品中
の放射能の測定(単位重量当たりの放射能)、お
よび④聴診器を用いた心音・呼吸音の観察を行っ
た。
①簡易型霧箱は非常に評判が良く、家庭でも実
施し、夏休みの自由研究課題としたいと希望する
参加者が多かった。そのため、本活動で作成した
霧箱は希望者の中から抽選で持って帰られるよ
うにした。③食品放射能の測定は、その測定行為
自体は非常に易しく、食品の重量を測定し、GM
サーベイメータで放射能を測定するだけである
が、難しい Bq(ベクレル)や cpm(カウントパ
ーミニッツ)の単位を理解して、数値処理するこ
とに困難が生じた。具体的には、単位重量当たり
の放射能を求めることが難しく、理解をするのに
多くの時間を費やした参加者も多かった。
アンケートのまとめ
受講生に教室終了後に記入頂いた。アンケートの内容は良好であった。
例えば、福岡会場では、小学生のアンケートでは、
「とても楽しかった」が 65.0%、
「まあまあ楽
しかった」が 30.0%、
「あまり楽しくなかった」が 5.0%であった。分かりやすかったか否かでは、
「とても分かりやすかった」が 45.0%、
「まあまあ分かりやすかった」が 40.0%、
「すこしむつか
しかった」が 15.0%であった。中学生以上のアンケートでは、
「とても楽しかった」が 68.0%、
「ま
あまあ楽しかった」が 28.0%、
「普通」が 4.0%であった。また、分かりやすかったか否かでは、
「とても分かりやすかった」が 60.0%、
「まあまあ分かりやすかった」が 32.0%、
「普通」が 4.0%、
「少し難しかった」が 4.0%となった。総じて、好評な回答を得たが、アンケートからより分かり
易い活動にすべきことが明らかとなった。横浜会場では、小学生のアンケートでは、
「とても楽し
かった」が 88.2%、
「まあまあ楽しかった」が 11.8%であった。分かりやすかったか否かでは、
「と
ても分かりやすかった」が 52.9%、
「まあまあ分かりやすかった」が 41.2%、
「すこしむつかしか
った」が 5.9%であった。中学生以上のアンケートでは、「とても楽しかった」が 72.2%、
「まあ
まあ楽しかった」が 25.0%、
「普通」が 2.8%であった。また、分かりやすかったか否かでは、
「と
ても分かりやすかった」が 69.4%、
「まあまあ分かりやすかった」が 30.6%となった。福岡会場
よりも若干回答内容が良かったのは、講師陣の違いと運営の慣れによるものかもしれない。
 平成 23 年 7 月 31 日活動
この医療・科学教室は、
「放射線・原子力」を中心とした教室とした。
【目的】
62
本年 3 月 11 日に発生した東日本大震災の影響を受けて、福島第一原発事故が発生しました。近
年稀に見る原子力事故で、その影響は今後とも継続して、我々の生活に影を落としていくかもし
れません。
「放射線」は、地球ができたときから存在し、生物の誕生に関係したとも言われる自然界に存
在する現象の一つです。科学の発達とともに、人間が放射線を人工的に作り出すことができるよ
うになると、それを利用して、人間はあらゆるものの最小単位である原子の構造を知ることにな
ります。その一方で、人工的に作られた放射線は自然界に存在する放射線に比べて強かったこと
から人間や自然界への影響が心配されるようになりました。
この活動では、自然界に存在する放射線を利用して、放射線の性質を理解し、小学生あるいは
中学生の皆さんに放射線を科学の目で見つめるようになって頂くことを目的としました。但し、
今年は特別に、首記のように、まずは福島第一原発事故の実際と人体への影響について解説をし
ました。
日時:平成 23 年 7 月 31 日(日)9:30-15:00
場所:あいれふ(福岡県福岡市中央区舞鶴 1 丁目)
対象:北部九州から集まった小中学生 34 名および保護者 28 名
内 容:
10:00 開会
10:00~10:20 開会挨拶・オリエンテーション(活動の目的・注意事項など)
10:20~11:20 [講演]福島第一原発事故の解説(慶應義塾大学医学部井上教授)
11:30~12:00 [実習]心音を聴いてみよう;指紋を取ってみよう
12:00~13:00 [昼食]研究者や大学院生と共に昼食(科学の話をしよう)
13:00~14:00 [実習]霧箱を作ってみよう!(放射線観察);血液を光らせる
14:10~15:00 [ディベート]放射線について話し合ってみましょう。
15:00~15:30 まとめ
15:30
解散
活動場所:あいれふ(右図)
63
講義:福島第一原発事故と人体への影響
(10:15~11:45)
慶應義塾大学医学部教授
井上浩義氏
平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災の影響で生じた福島第一原発事故と人体へ
の影響について解説しました。 小学生には原子力発電のしくみなど少し難しい内容を含
んでいましたが、熱心に聴いて頂きました。
活動趣旨の説明写真
講演の写真
左:GM サーベイメータを用いて、自然放射線の存在について説明を行う講師
右:福島第一原発事故の概要について説明する講師
質問等も多く、終了は 12 時近くとなった。
65
お昼休み
(12:00-13:00)
お昼休みには、慶應義塾大学医学部の教員、久留米大学医学部の教員、九州大学の大学院
生、企業の研究員と、科学、教育、社会問題などについて話をしました。
また、お昼休みには、以下の実験を準備しました。早く昼食を終えた参加者はこれら実習
を行いました。
(1)聴診器で心音・呼吸音を聴いてみよう。
(2)食品の放射線量を測ってみましょう。
午前中の講義の中で紹介した GM サーベイメータを使って、食品中の放射線量を測定して
みました。準備したのは、生椎茸、干し椎茸、乾燥昆布、その他参考に、湯の花(温泉の
素)
、リン酸カリ肥料、タンクステン電極などを準備した。
GM サーベイメータによる放射能測定の写真
66
実習:簡易型霧箱で放射線を観察する
(13:00~14:10)
本実習を楽しみにしていたという参加者がたくさんいらっしゃいました。できれば、夏休
みの理科の自由研究にしたいという小学生も多く、急遽、自宅でもできる霧箱観察の解説
も行いました。インターネットで売っているキットを使うと 3000 円以上するが、400 円程
度でできる方法を教示しました。
出来上がった霧箱で岩石から出てくる放射線を観察する参加者
続いて、ラットの血液を用いてルミノール反応の実験を行いました。
左:反応前のラット血液
右:ルミノール液を添加した時に蛍光の様子(暗室にして観察)
67
アンケートの回答結果
有効回答数:小中学生 32名
<小中学生の回答>
1.今回の活動に参加しての感想をお聞かせください(1つだけ選択)
大いに楽しかった
やや楽しかった
普通
2.活動へ参加することで知識や思考能力が進歩したと思いますか。
大いに進歩した
少しは進歩した
進歩しなかった
3.その他の自由記載

ありがとうございました。

まあまあだった。

実験をもっとしたかった。分かり易かった。実験は特に楽しかった。

霧箱を家庭で作りたいので、100%エタノールを欲しいです。送ってください。

放射線について知ることができた。これからもよろしく。
68

放射線について説明していただき、今までよく分からなかったことがたくさん分かるようになりまし
た。また、放射線に少し興味を持ち、放射線についてもっと知りたいと思いました。

放射線の実験、とても楽しかったです。工作もしたので余計に楽しかったです。機会があればまた来
たいです。今日はありがとうございました。

今日はとても楽しかったし、放射線についてよく分かりました。

放射線のことが分かりました。霧箱を自由研究でもやりたいです。

また来たいです。

福島第一原発の事故をもとに、放射線についての説明をして頂き、とても分かりやすかったです。ま
た、先生が、放射線だけでなく他のことについても説明して下さったので楽しかったし、ためになり
ました。また、このような機会があれば参加したいです。ありがとうございました。

とても分かりやすく。実験などがとても楽しかった。そして、とてもスムーズだったのでよかった。

とても分かりやすく楽しかった。

実習の霧箱を作ってみたいと思いました。家庭で簡単にできる説明書があったら助かります。

放射線は日本でとても問題になっていて、様々な情報を耳にしますが、今回の講演では、その情報の
中で、本当のことなのか間違ったことなのかがはっきりしてよかったです。また、実験では実際に目
にすることによって実感がありました。また、このような機会があれば是非、参加したいです。今回
は本当にありがとうございました。今回学んだことをこれからに生かしていきたいです。

本当に面白かったです。説明も分かりやすく、すべての質問に納得のいく答えが返ってきました。自
由研究だけでなくいろいろなことを学びました。

最近、テレビで連日放送されている福島第一原発のことについて。大いに安心できたような気がしま
す。しかし、まだまだ放射線について危険な部分まで完全に知ることができたわけではないので、こ
れからも調べてみたいです。今日はありがとうございました。

僕は福島第一原発事故がなぜ起きたのか、津波が来ても何か悪いことが起きるとは考えられずに、知
りませんでした。しかし、やっとそのモヤモヤを解決することができました。それ以外にも。放射能
能ことや余談から幾多のことを教えて下さいました。ありがとうございます。

とても楽しかったです。

福島のことについて正しい知識が得られたのが良かったです。これからは、私たちがみんな生きやす
い世界を作るために私は医者になってがんばろうと思いました。ルミノール反応の実験は綺麗に光っ
ていてとても面白かったです。

知らないことがたくさんあったので、知ることができて良かったです。

霧箱の実験で、霧がいっぱい出ていてすごいと思いました。聴診器で初めて自分の心臓の音をはかれ
て良かったです。

空気中にも放射線があるということを自分の眼で確認することができて良かった。ウシの肉を食べて
も、ガンとかになるという心配はいらないと分かってよかった。

霧箱は、家で作ってみたけれど、できなくてどうしようかと思ったけど、ここに来て成功したのでよ
かった。ありがとうございました。
69

とても面白かったです。また、来年もこういう活動をしたいです。ありがとうございました!

先生の話がとても面白く、集中して話が聞けた。私たちでも分かるように話して下さってたのでとて
も分かりやすかった。

高校生です(保護者枠で参加させて頂きました)。授業で原子とかを習っていたので、今回の講演は
非常に面白かったです。

お弁当が美味しかったです。2 度も質問したのに、ていねいに答えてくれたのが嬉しかったです。
70
高校生コース

8 月 14 日活動
日時:平成 23 年 8 月 14 日(日)
場所:慶應義塾大学信濃町キャンパス・リサーチパーク1F ラウンジ
(〒160-8582 東京都新宿区信濃町 35 番地)
プログラム
9:00 受付開始
9:30 開会の挨拶、諸注意
9:35 平成 22 年度受講生研究報告会
*1 人発表 7 分討論 3 分
12:20 昼食(先生方と交流しましょう)
13:00
講演:メダカやゼブラフィッシュを使って生命現象を解き明かす(慶應義塾大学
医学部衛生学・公衆衛生学教室・谷口善仁先生)
14:00 休憩
14:10
講演:ハダカデバネズミ:社会性制御機構、癌、老化研究のための新しいモデル
動物(慶應義塾大学医学部生理学教室・三浦恭子先生)
15:10 休憩
15:20 平成 22 年度受講生表彰式
15:30 まとめ・アンケート回答
16:00 終了
個人研究発表進行表
No
1
所属
ノートルダム清心女
名前
演題
松本愛
ツツジからの野生酵母の採取と分類
子高校
2
宮崎県立宮崎北高校
落合夏子
ミドリムシの生物活性について
3
群馬県立高崎女子高
武田萌
ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットの血液生
校
化学分析
4
茗渓学園高校
四宮有紗
5
宝仙学園高校
相澤陽太
6
宮崎県立宮崎北高校
佐藤真惟子
ミドリムシの生育環境としての音楽による振動
7
神奈川県立横浜翠嵐
本田夏菜
アルコールデヒドロゲナーゼの抽出・精製と薬物
高校
ハダカデバネズミ iPS 細胞の機能解析
鉄道の消毒に使用される洗剤の人体への影響
乱用防止成分のスクリーニング
8
日本大学豊山高校
伊藤千慧子
人工酵素によるメタロチオネイン遺伝子の破壊
9
横浜雙葉高校
久永めぐみ
Rat 肝臓由来 Xanthine Oxidase の抽出・精製
71
10
和歌山信愛女子短期
島村安祐
遺伝子組み換えによる GFP の導入実験
島本優太郎
ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットにおける
大学附属高校
11
立命館高等学校
血中 Glyceraldehyde 由来 AGE 濃度の推移
12
筑波大学附属駒場高
小島原知大
メダカへの Fra1 遺伝子導入
長谷川淳美
単為生殖生物(ミステリークレイフィッシュ)の
校
13
文京学院大学女子高校
栄養成分による形質変化
14
福岡県立筑紫丘高校
藤田 真衣
食品添加物についての研究
発表会の様子
松本 愛さんの発表
伊藤
千慧子さんの発表
武田 萌さんの発表
相澤
陽太さんの発表
72
長谷川 淳美さんの発表
四宮 有紗さんの発表
落合
夏子さんの発表
松本 緑さんの発表
佐藤 真惟子さんの発表
久永
73
めぐみさんの発表
島村 安祐さんの発表
島本
優太郎さんの発表
小島原 知大さんの発表
*本田夏菜さんの発表の様子は写真を撮り損なった。
評価委員(当日は、審査員として参加)からも、高校生相手とは思えないような鋭い質問
が飛び交った。
74
御講演1(13:00‐14:00)
メダカやゼブラフィッシュを使って生命現象を解き明かす
慶應義塾大学医学部衛生学・公衆衛生学教室・谷口善仁先生
御講演要旨
メダカは古くから日本人の生活に密着している生き物であり、これを最先端科学にどう使
うのかと違和感を覚える人がいるかもしれません。しかし、メダカは脊椎動物としての基
本的な性質を備えていて、発生や進化、生態学など、生命科学の多くの研究に使用されて
きました。現在ではゲノムワイドな研究が進展し、医学や薬学、毒性学への多彩な応用が
始まっています。
当日のセミナーでは、小型魚類を利用してどんなことが可能なのかをわかりやすく解説し
て頂きました。
御講演2(14:10‐15:10)
ハダカデバネズミ:社会性制御機構、癌、老化研究のための新しいモデル動物
慶應義塾大学医学部生理学教室・三浦恭子先生
御講演要旨
ハダカデバネ ズミ(naked mole rat, Heterocephalus glaber) は、アリやハチに類似した分業
制(Queen, King:繁殖、Soldier: 巣の防衛、Worker: 巣の拡張、餌収集、子育て等)からな
るカースト社会をもつ。興味深いこと に、ハダカデバネズミのカースト決定は後成的であ
り、成体において一旦決定されたカーストは転換され得る。このカースト変化、即ち社会
行 動変化が起こる際には、成体脳において神経新生や神経回路の再編成等が生じることが
予想されるが、詳細は不明である。われわれは現在、社 会行動を制御する成体脳神経可塑
性の分子基盤の解明のため、ハダカデバネズミを簡易版社会モデルとして起用し、解析を
開始している。
75
ハダカデバネ ズミは体長 10cm ほどである が、げっ歯類に異例の長寿命(平均 28 年)、
超癌化 耐性(長寿命にもかかわらず、自発的な腫瘍発生がみられない)という非常に興味
深い特徴も併せ持つ。これらの特性から、ハダカデバネズミ は癌研究・老化研究の新規モ
デルとしても非常に有用であると考えられる。将来的に、新規抗老化因子、新規抗癌化因
子の同定が見込まれる。
我々は現在、 上記の脳神経機構・抗老化機構・癌化耐性機構に着目し、日本で初の、ハ
ダカデバネズミを用いた分子生物学的研究体制を立ち上げている。
当日のセミナーでは、ハダカデバネズミの紹介を中心に、現在の研究の進展を報告して
頂いた。
76
Ⅲ.米国視察
目的
20世紀後半からの本邦科学技術の進展は目覚ましく、近年は世界のトップレベルにあり
続けている。この技術進歩は医学分野でも同様であるが、一方で、医学研究は十分に世界
を先導する役割を果たしているとはいえない。例えば、臨床医学分野の主要学術雑誌に掲
載された論文数は、日本が世界に占める割合は 1991 年~2000 年の 10 年間を計数すると僅
か 0.6%を占めるに過ぎず、世界で 14 位である。本事業では、医学研究で本邦さらには世
界を先導することができる人材の育成を目的とする。特に、20 世紀の医学では国民医療の
充実を目的に、医療・医学者の数的な充足が求められたが、当該目的がほぼ達成された現
在では、医学分野における能力と意欲に溢れる少数の研究者による理論的・技術的ブレー
クスルーが求められており、本事業はその人材育成プログラムを開発し、広く他大学にも
利用頂き、世界の医学教育に貢献することも目的の一つとする。
今回の視察では、視察者を平成 22 年度および 23 年度受講生(途中参加者を含む)の中か
ら、本年 5 月から選考した。その結果、特に優秀で、将来を嘱望される 4 名の選考を終え、
このたびの米国視察を行ったので、ここに報告する。
慶應義塾大学未来の科学者養成講座「はばたけ、世界を先導する医学者へ」
米国大学視察スケジュール
8 月 22 日(月)
16:05 成田空港発
9:22
サンフランシスコ着
13:00 カリフォルニア科学アカデミー視察
17:00 ホテル到着
19:00 ミーティング(ホテル内)
8 月 23 日(火)
10:00 ホテル出発
11:30 カリフォルニア大学バークレイ校 Prof de Lumen 研究室訪問
15:00 バークレイ校内のローレンス科学館視察
18:00 慶應義塾大学医学部眼科学教室・教授・坪田先生と合流・坪田先生から視察者
にプレゼンテーション
19:00 Prof de Lumen と夕食を食べながらディスカッション
21:00 ミーティング(ホテル内)
8 月 24 日(水)
77
9:30
スタンフォード大学病院・クリニック施設見学
15:00 スタンフォード大学施設見学
20:00 ミーティング(ホテル内)
8 月 25 日(木)
10:00 エクスプロラトリウム視察
14:00 市内見学
20:00 まとめミーティング(ホテル内)
8 月 26 日(金)
11:32 サンフランシスコ発
8 月 27 日(土)
14:10 成田空港着
ミーティングの後、解散
8 月 22 日
訪問先:カリフォルニア科学アカデミー
世界最大の自然史博物館。1853 年にアメリカ西部初の科学機関として創立。自然史博物館、
水族館、プラネタリウム、亜熱帯温室や研究所がひとつの建物に集められている。
<成果>科学の永年の成果の集積を学ぶと共に、科学の成果が市民にどのように公開され、
それが市民の科学リテラシーとして根付いているかを知った。また、科学におけるアカウ
ンタビリティーまで思考を及ばすためのディスカッションを行った。
8 月 23 日
訪問先:カリフォルニア大学バークレイ校
カリフォルニア州バークレイ市に本部を置く、アメリカ合衆国の州立大学である。19 世紀
の中ごろ、地域にあった私立大学と工業技術系学校が合併し、1868 年に州立のカリフォル
ニア大学として設立。カリフォルニア大学の本校で、10 校のカリフォルニア大学系列の中
で最も古い歴史を持つ。300 以上の学部、大学院教育プログラムを提供し、幅広い研究・教
育で知られる。
<成果>本大学視察の大きな目的のひとつであった。生活習慣病および機能性天然成分等
を専門とする de Lumen 教授の研究室を訪問させて頂いた。研究室の在り方、研究員の態
度などを学ぶと共に、研究員および教授との交流を図った。また、当日は、慶應義塾大学
医学部眼科学教室の坪田教授および La Jolla に 3 年という長きに亘って研究滞在しておら
れる栗原医師もわざわざ来て、合流下さった。そのため、坪田教授から、研究・臨床を含
めた幅広い医療の話をして頂くと共に、栗原先生からはアメリカで日本人が研究生活をす
78
ることについて語って頂き、参加者の大きな糧となった。更には、バークレイ校の中にあ
るローレンス科学館を視察し、大学における科学の一般市民への伝え方を勉強した。
8 月 24 日
訪問先:スタンフォード大学病院・クリニックおよびスタンフォード大学
スタンフォード大学病院は特殊で複雑な治療を必要とする心臓病、がん、神経科、外科手
術、臓器移植などで高いレベルを誇り、世界中から患者が訪問する。U.S.News & World
Report が決定する全米の America’s Best Hospitals の毎年上位にランキングされている。
スタンフォード大学は、別名「西のハーバード」と呼ばれるハイレベルな私立大学である。
知的財産権の活用・運用の成功例としても世界的に知られる大学である。著名人を多数輩
出している。
79
<成果>本大学視察の大きな目的のひとつであった。スタンフォード大学病院では世界最
先端の医療および「医療サービス」を提供しており、その名声に相応しい医療現場を見学
することができた。特に、
「医療サービス」は日本にはまだ馴染の薄い分野であるので、注
目して視察を行った。本大学病院視察では、他の視察団では紹介しない病院の内側を案内
して下さることになっていたが、実際に、ICU や CCU まで見学させて頂き、医療の在り方
や医療の問題点を学ぶこともできた。日本の医療機関との比較は、まだ日本の医療機関の
環境を知らない者が多かったが、スペースが豊富であることは皆驚いていた。
また、スタンフォード大学では、新しい研究棟や臨床棟が建設されていたが、それらが、
外国人の個人の寄付によってなされているということを聴き、日本でも先進医療を行えば、
資金は世界から集められるという感想を話し合った。
8 月 25 日
訪問先:エクスプロラトリウム
名称は「探検、探求する」
(explorer)と「ホール、講義室」
(auditorium)からの合成語。
観客が触って体感できるハンズオン展示、体験型の科学と芸術の展示によって、科学を知
80
識だけでなく体験によって理解することを重視したサイエンスミュージアムである。
<成果>
22 日のカリフォルニア科学アカデミーとの違いを明確にして見学した。体験型であるため
に、他のミュージアムよりも知識が学びやすいという声が多かった。今回の視察では、合
計3つのミュージアムを見学し、それぞれのミュージアムの特徴を参加者は捉えたようで
ある。また、運営主体と館内の実際、それと入館料の関係など、展示の意義と運営にまで
話が及んでいたのは好ましいことであった。
この他、最終日は、現地高校生とも交流を行った。
この後に、それぞれの参加者がまとめた報告書を添付する。
81
参加中高大学生の報告
82
慶應大学によるサンフランシスコの大学視察について
東京慈恵会医科大学医学部医学科
1年
後藤
真依
サンフランシスコ視察の目的
海外の大学や病院を見学することによって、日本の大学、病院および教育システムを別の
対象と比較することによって、従来の視点とは異なっ
た視点から日本の制度を見ることが出来るような人材、
または海外で活躍できる人材、つまり「はばたけ!世
サンフランシスコ視察の日
界を先導する医学者へ!」を育成するためであった。
程 ( 第 一 日 目 )
成田空港
でこれか
らの 6 日
間を共に
するメン
バーと顔
合わせ
Golden
2011.08.22
Gate
14:00(日本時間)成田空港
Bridge の
集合
全景と一
本一本の
16:05 UA-838 によって成
田発
ケーブル。
2011 年から三年間かけてメインケーブルの補修工事
09:22(現地時間)サンフラ
が行われているため、写真のものは工事まで橋を吊っ
ンシスコ空港着
ていた本物。1933 年に始まり、1937 年にジョゼフ・シ
ゴールデンゲートブリッチ
を見学しながらフィッシャ
ーマンズワーフに向かう
ュトラウス (Joseph Strauss)によって完成した。 橋
は南のサンフランシスコから北のマリンカウンティ
(Marin County) 方面へ抜ける唯一の道であり、6 車線
の道路と歩道を持つ。
11:30 フィッシャーマンズ
ワーフにて昼食
13:00 カルフォルニア科学
83
フィッシャーマンズワーフにて。この周辺は
19 世紀半ばのゴールドラッシュでサンフラン
シスコが大きな町になった時期以来の漁港で
あり、様々な色に塗られた漁船やフェリーが多
数停泊し、獲れたばかりの魚やエビ・カニ類を
水揚げする場所であった。そのためここにも関
税局が存在する。また潮の流れが速いため元々
流刑地であったアルカトラス島が存在し、ここ
への船もこの港からでる。快晴、あまり高い建
物がなく、空気も澄んでいるため、日本の空と
では随分受ける印象が異なった。また、現地は
日中と朝晩の寒暖の差が激しく、一枚長袖を持ち歩くことは必須であった。このような些
細なちがいにこそ、ああ日本とは違うところであることを感じた。
科学アカデミーに向かう途中にいたバッ
ファローの群れ。アメリカでは保護対象と
して肉を食べるとことは禁止されている
が、研究用としての捕獲、そののちに食べ
ることは許可されている。
熱帯雨林を再現した 1F から 4F までの中を自分でその湿度や温度、がどのくらいなのかを
体感しながら放し飼いにされている蝶や鳥、ゲージに入れられているカエルなどを見てい
く。科学アカデミーは 150 年以上の歴史を持ち、現在の建物は、建築界のノーベル賞とい
われるプリッカー賞受賞建築家のレンゾ・ピアノが設計したもの。環境に考慮した造りに
なっており現在、
“世界で最もクリーンな施設”と言われている。例えば、建物の大部分が
窓で太陽光をふんだんに取り入れることができ、開放的になっている。この建物の最大の
特徴である丸い屋根、Living Roof。屋根が緑で覆われていて、サンフランシスコ周辺に生
息する 170 種もの植物が植えられているため、1 年中きれいな花を楽しむことができ、太陽
光を取り入れる窓や、太陽光発電のための太陽電池セルも設置されている
84
Cal の校門にて。
Benito de Lumen 教授の講義(Lunasin について)
カリフォルニア大学には 21 のノーベル賞受賞者がいて内 7 人(経済 3 物理 3 化学 1)が在
籍している。
Lunasin とは新しく Lumen 教授が発表した 43 のアミノ酸
によって構成されるたんぱく質の物質名である。MRP
2 日目
(methionine rich protein)と大豆を比較して大豆を研究
対象に選んだことによって発見された。
Lunasin は大豆やブラジルナッツ、ヒマワリ、小麦、大麦、
コショウ、トマトなどに含まれていて、癌のリスクを減ら
すことと関係がある。
10:00~12:00 カリフォル
ニア大学バークレー校の視
察。ルーデン教授によるルナ
シンの講義
15:00 ローレンス科学館視
察
18:00 眼科の坪田教授によ
る講演
85
←Lunasin のアミノ酸配列
癌の患部に直接塗った場合
癌化している最中の細胞、癌化した直後の細胞をだけ選択し、ヒストンをアセトン化する
ことによって、働きを変えて、細胞自死させることによって癌化を抑える。また、Lunasin
は 15 日以上塗り続けても、効果に大きな変化はない。
経口投与の場合
分解されてしまうのではないか?→BBIC のなかの BBI という物質によって、Lunasin は
消化酵素から守られているため、分解されずに、体の各部位にまで運ばれる。これはトリ
チウムによる蛍光発色によって確認されている。また BBI 単独では癌細胞自死の働きはな
い。
Lunasin の RNA が発見されている。
これには、化学発癌物質、癌遺伝子の抑
制能力があることがわかっている。
Lunasin の今後の展望
Lunasin が多い大豆を作るために、多く
の Lunasin を含んだ水をやれば、その大
豆は多くの Lunasin を含むことが確認
されている。
遺伝子組み換え大豆を作る研究はいま
のところされていない。
Lunasin の講演を聞いて。
まず初めに、Lunasin が癌化途中の細胞
と、なりたての細胞にのみしか作用しないのならば、Lunasin を日常的に摂取することが
必要だとおもわれた。もし癌になったのが発覚して、早期発見できたとしても、そこから
86
Lunasin を摂取、投与していては、新しい細胞が癌細胞になることを抑えることはできた
としても、既に癌化した細胞の排除はできないためである。ゆえにあまり劇的な効果は望
めないのではないかと思っていたが、現在の抗癌治療について少し調べてみたが、現在の
治療には抗がん剤を大量に投与し、奏効率(癌腫瘍をどれだけ小さくできたか)を重視す
るため、副作用に耐えられる限度まで大量に抗がん剤が投与されるケースが多く、腫瘍は
小さくなっても,その抗がん剤によるダメージのためにかえって寿命を縮めてしまう、あ
るいは大量の抗がん剤のつらい副作用に耐えても,延命効果は2,3ヶ月というケースが
多々見られていた。また,画像診断上腫瘍が消失し、その状態が4週間以上続くことを完
全寛解(CR=Complete
Response)と言うが、たとえ完全寛解となり、がん細胞が目に
は見えなくなったとしても、ミクロのレベルでがん細胞は存在し、その細胞の増殖,すな
わち再発してしまい、増殖スピードが上がり最終的に、抗がん剤も効かなくなり死に至る
というケースが多いと聞く。これは,大量の抗がん剤により,免疫細胞などの正常細胞が
ダメージを受けてしまったり,生き残ったがん細胞が薬剤に対する耐性を獲得してしまっ
たためである。しかし最近になって、ごく少量の抗がん剤を投与すれば,正常細胞にダメ
ージを与えず,延命効果が期待できるのではないかという考えから,抗がん剤投与量を最
小限に抑える「共存療法」もしくは「がん休眠療法」と呼ばれている方法が行われつつあ
る。この方法では、がん細胞に対する殺傷効果は弱く,当然腫瘍縮小効果は少なく,した
がって奏効率も低い値となるが、免疫細胞や正常細胞のダメージは少なく,腫瘍も縮小し
ない代わりに増殖もしないという状態で,長期の延命が可能になっていると報告されてい
るらしい。Lunasin は癌化している細胞とした直後の細胞にのみさようするので、この共
存療法と Lunasin を組み合わせて用いれば、より QOL を高めた治療ができるのではない
かと思った。
眼科の坪田教授による講演
加齢による緑内障、
白内障、ドライアイ
などの眼の病気にた
いするアプローチの
方法は二つあり、ひ
と つ が
oxidative
stress、もうひとつが
calorie reduction で
ある。まずカロリー
コントロールのほうから見ていく、カロリーコントロールしたサルとしなかったサルとで
は、他の条件は同じ環境下で生育させると、カロリーコントロールしたサルのほうが、長
87
寿であり、また見た目の毛艶もよく、若々しく見えた。よってカロリーを自身の最も多い
量の 80%に抑えることが若さを保つには重要であることが分かった。また、これに関して
は、坪田教授も自身でためしており、毎日の適度な運動、カロリーコントロ-ル、あとは
なによりも自分が毎日幸せであると感じることが重要だとおっしゃっていた。そして、カ
ロリーコントロールによって眼の病気を治そうとする試みを始めようとしているとのこと
を耳にした。
次に、oxidative stress について、これは井上教授が研究しているラクトフェリンを用いた
研究である。
SOD ノックアウトマウスは涙の量が減少する。これは酸化ストレスから守る酵素が減少す
るためである。しかしラクトフェリンを用いることによって SOD ノックアウトマウスは、
鉄をキレートすることによって活性化酸素が 1/2 に減少する。またセレンをキレートするラ
クトフェリンによって活性化酸素は 1/4 となる。よって涙の量の減少を抑えることが出来る。
というような説明であった。坪田教授は、Lunasin を将来的にこの活性酸素ストレスを抑
えるために用いていけば、良い結果がでるのではないかと考えていらっしゃるようだった。
特にこれはコンタクトレンズを使用している人に
とって朗報である。これがどこまでコンタクトによ
る渇きを抑えられるかはまだわからないが、コンタ
クトを使用している私としては是非実用化してい
4 日目
ただきたいものである。
カロリーコントロールによって寿命が延びるとい
うのは聞いたことがあった、明治天皇もカロリー制
限を行っていたため、あの時代の人にしては長寿だ
ったと聞いたことがあるからだ。しかし、カロリー
コントロールによって眼の病気を治そうという試
みはすごく画期的だと感じた。
スタンフォード大学病院・大学の見学
大学病院のモットーは病院に来る人で明るい気分、
8:00 ホテル発
楽しい気分で来る人はいないから、沢山のアートを
飾ったり、内装を明るいものにしたりすることで、
09:30~ スタンフォード大
学病院・大学の見学
すこしでも気持ちを軽く、明るくするし、病は気か
ら、という言葉の逆で、気持ちのセラピーからする
ことを重要視している。
その言葉通り窓も非常に大きく、自然光の採光がよ
88
く行われていた。
スタンフォード大学の有名なのは、アメリ
カで心臓と肺の移植を最も初めに行った
ことで有名だが実は義足や義手も有名で
ある。また、2002 年には全米「ベスト・
ホスピタル」にも選ばれている。7000 人
ほどのスタッフがいてうち 600 人が医師。
病院の屋上にはヘリポートがあって、救急
ヘリコプターが 24 時間待機をしている。
ベッド数は約 600 床。癌、神経科、外科、
臓器移植などの専門医を抱え、多くの世界中からの患者を診ている。更に新しい病院建設
を企画中だとか。
病院内に図書館があり、患者や家族が自分で病気について調べることが出来るように利用
は自由であった。
また余談だがアメリカで救急車を呼ぶと 10 万円くらいかかるらしい。
非常に広い敷地をもつ、医学大学。
少数人数制教室
感想
病院の運営にも大学にも非常にお金と土地がかけられていると思いました。アメリカでは
大学に寄付をするとその分の税金がとられずに済み、かつ自分の名前は寄付した人として
きちんと記されるため、寄付する人がとても多いこと。いうまでもなく広大な国土、それ
らによって、病院がここまで大きくなるのだろうと思いました。そして基本的に医療は高
所得者のものであるがゆえに、高度な医療を提供されて、命を救われると寄付も大きくな
るのではないだろうか、また日本の医学大学は医師として診療しつつ、授業も行うので、
授業に休校が出ることが多いが、こちらでは、教育に力を注いでいるという印象を受けた。
89
エクルプロラトリウム
ここは、子供だけでなく、科学の知識があるなしにかかわらず、付き添いできた大人も楽
しめる場所であった。ここの展示は身近にある科学を体感させてくれる場所であった。日
本の市川にある科学センターや毛利未来技術館が
近いと思われる。
このように”面白い”科学に小さいうちから触れる
ことによって、子供が科学に興味を持ち、ひいては
4 日目
日本の理系を引っ張って行ってくれるのではない
だろうか。
私自身も幼いころから科学教室などに参加してい
たため、科学って面白いものなんだと思えていたか
ら、理科の科目も楽しく学べたし、理系に進んだ。
日本ももっとこのような場所、チャンスを増やして
いけば理科離れなどと言われることも少なくなる
のではないかと思う。
またこの日は山田エミさんのご友人でロサンゼル
9 : 30 ~
エクスプロラトリ
ウムの視察
5 日目
ス在住の母娘の方と交流を深めることができた。
教授などの説明とまた異なり、ちょっとした日常会
話をスムーズに行うのは非常に難しかった。
総括
今回のサンフランシスコ視察は私にとって初めて
のもの海外であった。恥ずかしながら私は今まで日
本から出たことがなく、勿論英語の勉強などはして
いたが、それを会話のなかで生かせたかと尋ねられ
ると正直、首を捻らざるを得ない。いくら reading
や writing の勉強をしていたところで、口をついて
くるのは中学校 1 年生くらいのレベルのものでし
かない。やはり言語の壁は厚いと思った。それが日
本人がなかなか世界にでていかない大きな理由の
11:32
帰国
UA-837 にて日本に
一つであるとも感じた。近年国外への留学者は年々
減ってきているという。見知らぬ環境、言語の壁、
景気悪化に伴う就職難によって、国外留学している
と、就活に不利に働くのではないかと思ってしまう
90
こと。など理由は様々なものがあると思う。
しかし、なにも、国内にのみ留まって折角のアイディアを世界で試してみないのはもった
いない、と感じた。日本にはまだまだ世界に誇れる技術やアイディアがたくさんあるはず
だ。
言語の壁は確かに厚いが、逆に言えばそれさえを乗り越えれば、次のステップに進めると
いうことだ。
そして、私が今回アメリカで会った人々誰もみな、こちらの言っていることを、理解しよ
うと一生懸命に意思の疎通をしようとしてくれていたし、気軽に話しかけてもくれていた。
その相互理解をしようという気持ちさえあれば大体のコミュニケーションは成り立つ。
しかし、聞き取っていることがあいまいなままの理解しかできなかったため、私は悔しい
と思ったことが何回かあった。なのでこれからは一層英語の会話に重点を置いて取り組ん
でいきたいと思う。
病院の見学のこと。
今回参加した中で唯一の医学生であるということで、貧弱ではあるが、これまで日本で見
た病院との違いについて最も強く感じたことを述べようと思う。それは、サービスの充実
さである。今日本も徐々に移行してきているが、患者がお客様であるという意識が強いよ
うに見受けられた。それは、患者のためのアートだったり、図書館、職員の対応だったり
に表れていた。訴訟大国のアメリカであるから、一概にそれが善意からどうかはわからな
いが、それは日本も見習わなくてはならないと思った。特にこれは象牙の塔に閉じこもっ
ている大学病院に言えることである。日本では、いまだに自分が患者を導いてやっている
んだという意識の医者や、患者との信頼関係もつくれないような医者が多いと思うし、ま
だ患者への情報開示も十分でないように見受けられる。
「患者中心の医療を!」と叫ばれて
はいるが、それがどの程度実現しているのかは疑わしい。もっと、根本的な教育が必要な
のではないだろうかと考える。
大学生への教育も少数人数制で、教員がひとりひとりに気を配りやすい環境が実現してい
るように思えた。日本ではいまだに教授から生徒に対しての一方的な講義が最も多い。日
本の大学の教員とその一人当たりの学生数を鑑みると、まだまだ難しいことではあるが、
いずれは講義ではなく、ディスカッションを取り入れた授業がもっと増えてもいいのでは
ないかと思う。
今回の視察は非常に貴重な経験をさせていただけたと思っている。普通、大学病院の見学
などを一般の人になどできることではないし、それに、教授が様々なことを説明しながら
回ってくれることもないと思われる、それによって、将来自分がどのような医者になれた
らいいのか、その理想像がすこしはっきりしてきた気がする。また自分の英語力を見直し
奮起させる良い機会にもなった。
91
また最後になってしまいましたが、この場をお借りして忙しいなか引率してくださった井
上教授、講演してくださった坪田教授、山田さんそしてこの企画の後押しをしてくださっ
た科学技術振興機構の皆様にお礼申しあげます。
参考文献
http://www.gan-kenkou.biz/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88
92
米国視察報告書
筑波大学附属駒場高校 2 年 小島原 知大
私たち慶應義塾大学 未来の科学者養成講座の受講者 4 名は実施責任者井上浩義教授に引
率していただいて、8 月 22 日(月)から 5 泊 6 日の米国視察旅行に参加しました。米国の
医学を中心とした科学教育を間近に体感し、将来について考える機会を与えていただいた
プログラムに感謝するとともに視察旅行で印象に残ったことについてここに報告します。
1.カリフォルニア科学アカデミー
日本を午後 16 時頃出発し、サンフランシスコには
現地時間で 9 時頃に着きました。昼食にクラムチ
ャウダーを食べてから、まず、カリフォルニア科
学アカデミー(California Academy of Science)へ
視察に行きました。正直言うと、時差の関係で行
きの車内は大分眠かったのですが、その眠気が吹
き飛ぶほどに興味深い展示内容となっていました。
カリフォルニア科学アカデミーは研究施設が併設
されており、はく製をリアルタイムで作っている
のを見て、大変興味深く思いました。また、爬虫類の見ている世界を疑似体験できる展示
や、熱帯雨林の環境、生態系を体験できるドームがありました。地下には大型の水族館が
あり、そちらにも体験型の展示であったので、カリフォルニア科学アカデミーは『感じる』
ことを通して科学と触れ合うことの出来る施設であると実感しました。視察後は、ホテル
に戻り、早めの就寝としました。
2.BENITO DE LUMEN 教授のプレゼンテーション
二日目は慶應義塾大学眼科学教室坪田教授と、現在サンディエゴに留学中の栗原先生とと
も に カ リ フ ォ ル ニ ア 大 学 バ ー ク レ ー 校 (University of
California, Berkeley)栄養学教室の BENITO DE LUMEN
教授にプレゼンテーションをしていただきました。発表内
容はルナシンというがんの進行を抑えるタンパクについて
でした。さまざまな植物の種子に含まれるメチオニンを豊
富に含むタンパクについて LUMEN 教授が調べようと思っ
たところ、偶然大豆を選び、ルナシンという物質を発見し
たそうです。そして、そのルナシンにはがん細胞が分裂す
る時、細胞自殺に追い込むという性質があり、これからの
がん研究において非常に有用なタンパクだと思いました。
このような、世界の最先端の研究に直接触れることができるというのは非常に貴重な体験
93
であるので、自分のこれからの生活の中で活かしていきたいです。
3.ローレンス科学館
LUMEN 教授の発表後、バークレー校に
付属するローレンス科学館へと向かいま
した。科学館へ向かう途中、山道の中に
研究施設が散在し、また、フットボール
コートなど運動施設も充実していたので、
日本の大学よりも大変恵まれた環境であ
るという印象でした。科学館に到着する
と、なんといっても、サンフランシスコ
の町を一望できたことに感動しました。
こちらの科学館は、カリフォルニア科学
アカデミーが生物系の展示が多かったのに対して、物理、地学、数学系の展示が多かった
です。例えば、レールの上に球を転がし、力学的エネルギーを体験したり、実際に動く地
層の模型に乗って、縦ずれ断層、横ずれ断層、しゅう曲を体験したり、恐竜が実際に動く
展示などもありました。さらに地下には、数学的な展示(ハノイの塔など)興味深い展示が数
多くありました。
4.坪田一男教授のプレゼンテーション
ローレンス科学館視察後、坪田教
授にプレゼンテーションをしてい
ただきました。テーマは加齢によ
って引き起こる様々な病気への対
処でした。ドライアイ、緑内障、
白内障などは加齢によって引き起
こされる病気の一部でこれらの病
気を加齢後に一つ一つ対処するの
ではなく加齢前の段階で対処すれ
ば、前述の病気以外でも何かしら
の効果を発揮するのではないかと
いう発表でした。この発表で一番印象的だったのが、坪田教授ご自身がさまざまな治療法(食
事制限、サプリメント摂取など)を試しており、マウスなどの客観的データに比べてはるか
に信憑性が高いと感じました。そして、ディナーがとてもおいしかったのを覚えています。
LUMEN 教授も、坪田教授も発表の仕方がオーディエンスを引き込むような圧倒感があり、
私自身今後の発表の参考にしたいと思っています。
5.スタンフォード大学病院
94
3 日目の午前中はスタンフォード大
学病院の見学でした。やはり、ここ
でも日本との差を見ることが出来
ました。スタンフォード大学病院で
は、『患者のために尽くす姿勢』が
違っていました。病院に来るのは、
具合が悪いからであって、決して楽
しい気分ではありません。花壇、絵
画、音楽を惜しむことなく設置し、
患者さんの気分を少しでも和らげ
ようとしているのがわかりました。
また、世界中から患者さんが訪れるので、多言語に対応しており、患者さんがメインの病
院作りを目指しているのが伝わってきました。スタンフォード大学病院を見ていると、日
本の病院は何か暗いというか、何か物足りない気がしてなりませんでした。いくら設備が
良くても、最後に重要なのは医師、看護師の態度であると感じました。医学部の校舎も見
学し、アメリカの授業スタイルのアクティブさにびっくりするとともに、自分も将来留学
したいという意志が確固たるものになりました。
6.スタンフォード大学
病院の視察後、スタンフォードの校舎を
視察しました。とにかく広いです。まず
目に飛び込んできたのは、大きなアスレ
チック施設です。プール、ジム、ゴルフ
コートがあり、スタンフォード大学が文
武両道を目指しているのだと思いまし
た。次に、ビルゲイツや、hp 社のウィ
リアムヒューレット、デビットパッカー
ドの寄付した建物があり、米国には寄付
という文化があり、学校と企業が連携出
来ていて、日本にはない仕組みだなと思いました。日本にももっと寄付が普及すればよく
なるのではないかと思います。
7.エクスポロラトリウム
4 日目は Exploratorium に行きました。Exploratorium は Explorer と Auditorium の造語
で、意味は探究者のホールという意味です。ここは、今までになかったタイプの博物館で、
身近な現象を体験するという施設でした。身を以て科学を理解するとはまさにこの施設の
ことで、自分自身で熱い、寒いを体験できるので、説明のみの博物館よりも理解を深める
ことが出来ました。ここでは、現地の方との交流もありました。名前はクリスタル(一番左)
95
とアシュリーン(左から 2 番目)です。今ま
では、会話の主が日本語だったのに対して、
今度は英語に切り替えるのが大変でした。
アシュリーンは同じ十六歳とは思えない
ほど大人っぽく、自分よりも身長が高かっ
たので、びっくりしました。
8.現地の方との交流
夕食もクリスタル達と一緒にご飯を食べ
ました。なかなか食事中に英語を使う機
会もなかったので、自分の日常会話の力
が僅かながら磨かれた気がします。なか
でも、福島の原発問題には大変な興味を
示していました。
9.感想
科学的な側面からアメリカを見ることができ大変いい機会になりました。このような機会
を与えてくださった井上先生には感謝申し上げます。ありがとうございました。
96
カリフォルニア大学視察旅行
立松 聖悟
~旅程~
第 1 日目
都市名
成田空港
成田発
サンフランシスコ着
サンフランシスコ
現地時間
14:00
16:05
9:22
11:30
13:00
17:00
内容
ユナイテッド航空チェックインカウンター前集合。搭乗手続き、出国審査後に
空路サンフランシスコへ
サンフランシスコ到着、入国手続き
専用車でゴールデンブリッジを見学後、サンフランシスコを代表する漁港・
フィッシャーマンズ・ワーフへ
専用車でゴールデンゲートパーク内にある世界最大の自然博物館を視察
◎カリフォルニア科学アカデミー
・プラネタリウム・水族館・自然史博物館・植物園
ホテル到着 チェックイン
第 2 日目
都市名
サンフランシスコ
現地時間
内容
9:50
ホテル出発
バークレー市に本部を置くアメリカの大学、
◎カリフォルニア大学バークレー校
10:30-11:00 BENITO DE LUMEN教授の事務所訪問
11:00-12:00 MORGAN HALLにてプレゼンテーション
15:00
バークレー校内の科学実験館
◎ローレンス科学館視察
・恐竜展示場
・発明家の研究室
17:00
ホテルに戻る
18:00
THE RIZ CARLTONのダイニングルームにてプレゼンテーション・夕食
第 3 日目
都市名
サンフランシスコ
現地時間
8:00
9:30
~
11:30
内容
ホテル出発
スタンフォード大学の西側に位置し、医療サービスのコーディネイターとして
国際的に知られている
◎スタンフォード大学病院&クリニック施設見学
15:00
~
16:20
コンピューター博物館やスタンフォードに本部を置くアメリカ合衆国の有名市
立大学で西のハーバードと呼ばれる、
◎スタンフォード大学施設見学
VISTOR CENTERで案内人と合流、70分かけ
・MAINQUAD
・MEMORIAL CHARCH
・SCIENCE&ENGINEERINGQUAD
・WHITE PLAZAを見学
ホテル到着
18:00
97
第 4 日目
都市名
サンフランシスコ
現地時間
9:30
ホテル出発
10:00~
12:30
午後
内容
プレシディオ国立公園の一角にあり、世界的に有名な参加・体験型の科学
館
◎エクスプロラトリウム視察 体験型科学館
自由視察
第 5 日目
都市名
サンフランシスコ
サンフランシスコ発
現地時間
8:00
専用車で空港へ
11:32
内容
サンフランシスコ空港にて出国・搭乗手続き後、一路帰国の途につく
第 6 日目
都市名
成田着
現地時間
14:10
成田到着
内容
BENITO DE LUMEN 教授のルナシンについての話
○ノーベル賞のバークレーの伝説
カリフォルニア大学バークレー校では 21 個のノーベル賞をいただいています。その中で
現在のところキャンパスでは 7 つのノーベル賞をいただいています。
・3 つ・・・経済学
・3 つ・・・薬学(オバマ政府のエネルギー省のスティーブン・チュ大臣)
・1つ・・・化学
○がんと食事

大豆を食べることは乳がん、前立腺がん、子宮がんのリスクを減少させることに確
かに関連しています。
~生物の活動分子の調査~
・イソフラボン
・BBI(Bowman-BirkProtease inhibitor)
・Lunasin

ルナシンは全ての種類の大豆に含まれており、商業的な大豆を使った生産物にも入
っています。
・アメリカで栽培されている 144 種類の大豆のタンパク質から見つかっています。
・ルナシンは営業用の大豆のタンパク質に存在することを分析した結果見つかりま
98
した。
○ルナシンの化学技術
目標は生物工学を使って 大豆のタンパク質の栄養上の本質を高めることです(=※メチ
オニンをふやすこと)
~2 つの方法~
①大豆以外のブラジルナットの木の実
②小量の大豆を MRP して抽出する方法
やヒマワリの種を MRP して抽出す
る方法
※メチオニンはタンパク質の多い物質
○ルナシンを含む植物

ルナシンは、大麦・小麦・コショウ・トマト・ナス科の種子から見つかりました。

ルナシンは経口でそのまま吸収されて、がん細胞の核のヒストンに結合してアセチ
ル化を阻害するメカニズムによって、発がん予防効果があることが分かりました。
○概略
ルナシンは化学的な発がん物質と発がん遺伝子に対してのガンを予防する新しい作用物
質です。また、ルナシンは口から摂取するときに生物が利用できます。
ルナシンは BBIC と他のプロテアーゼによって阻害から守られている。
ルナシンは正常細胞には影響せず、がん細胞を選択的に細胞死させることができます。
○将来の課題

前立腺がん・乳がん・肺がんなどに対しての妨げる効果について証明すること。

種子の発育の中で、いつルナシンができるか証明すること。
スタンフォード大学病院
○特徴

スタンフォード大学病院は世界で初めて同時に心臓移植と肺移植を成功したことが
あり、主に移植で有名な大学病院です。また、生存率が比較的高いことでも有名で
す。その他にも、義足や義手の手術などもしています。この大学病院では1日に約
45 件もの手術をしています。

スタンフォード大学病院では、病院の環境に一番気をつかってあります。具体的に
は絵や部屋の明るさ、音楽、医師と患者さんとのコミュニケーションなどです。
99
○日本の病院との違い

日本の病院との大きな違いは匂いです。日本の病院のほとんどはおそらくエタノー
ルの消毒したような匂いがします。しかし、スタンフォード大学病院はほとんど水
で除染しているので匂いはしません。他にも、この大学病院の特徴である絵や部屋
の明るさなども日本とは違います。

スタンフォード大学病院は非常に大きな敷地の中にあるので、草花がたくさん育て
られていて患者さんのことを良く考えて建てられているように感じました。
坪田一男教授のお話
○ドライアイ

ドライアイとは涙の分泌量が不足し、眼球の表面が乾いて、痛みや充血が生じる症
状です。ドライアイの患者さんは約 73%はお年寄りで、その内 80~90%の人が老
化です。

28 歳のさるを2匹使った実験では、一匹に普通の食事をあたえ、もう一匹には、70%
の食事をあたえました。そうすると、70%の食事を食べた猿は毛なみや顔などが若
いころとあまり変わっていません。また、70%の食事のサルはドライアイになって
いませんでした。普通よりカロリーをひかえた食事の方が年をとっても若く病気に
なりにくいということが分かりました。
~感想~
行く前は全然どんなことをするのか分からず、どんなことを体験したり、聞いたり、見
たりできるか楽しみでした。
一番今でも心によく残っているのは、ルーメン教授の話です。
「ルナシンがタンパク質の
中にある」ということしか聞き取れなかったけど、すごく自分もこのようなことを研究し
て世界の医学を発展させることに関わりたいと思いました。
今回のような世界の医学や研究していることについて、知ったり、学んだりできて将来
への すごく価値のある経験をさせてもらって本当にうれしく思います。
100
101
102
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Ⅳ.その他の活動
 原子力・放射線に関するディベート活動
主題:原子力のあり方に関する緊急ディベート会開催
目的:3 月 11 日に発生しました東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で被災された皆様
にお見舞いを申し上げますと共に、被災地域の 1 日も早い復興をお祈り申し上げます。さ
て、上記地震の影響で福島第一原発に事故が発生し、原子力への国民の不信がこれまでに
ない程度まで高まってきております。一方で、そのような中でも国内では多くの原発が日々
稼働し、更には世界のエネルギー情勢は悪化の一途をたどっております。現在、国内は非
常に混乱しておりますが、このような時期にこそ、将来、日本のリーダーとなる皆さんと
原子力エネルギーについて考えてみたいと思い、ディベート会および今回の事故の解説会
を実施いたします。
対象:平成 22 年度当講座受講生(小中学生コースおよび高校生コース)
日時:平成 23 年 5 月 7 日(土)10:15~14:00
*昼食付
場所:慶應義塾大学日吉キャンパス協生館・多目的教室③
プログラム:
9:45-10:15 受付
10:15-10:30 活動に関する注意
10:30-12:00 ディベート会 *小中学生コースと高校生コースに分かれてディベート。
12:00-13:00 昼食
13:00-14:00 福島第一原発事故に関する解説・質疑応答(事業責任者・井上が担当)
14:00
解散
申込:〒223-8521 横浜市港北区日吉 4-1-1 慶應義塾大学医学部化学教室・菱沼千晶まで
郵便、FAX、e-mail で申込。FAX:045-566-1305、e-mail: [email protected]
小中学生コースのディベートの様子
高校生コースのディベートの様子
次頁掲載
104
福島第一原発事故に関する解説
結果:
レフェリーによるジャッジは行わず、コメントのみを頂いた。なお、結果評価の方法とし
て、原子力・放射線の利用を肯定するグループと否定するグループの意見提出時間を計時
し、その合計時間を測定した。また、書記(これは教員が行った)が、討論の内容をフロ
ーチャートとして、討議の内容が分かるようにした。最後に、参加者アンケートを取った。
意見時間結果
小中学生コース
原子力・放射線利
用肯定グループ
原子力・放射線利
用否定グループ
105
高校生コース
原子力・放射線利
用肯定グループ
原子力・放射線利
用否定グループ
福島第一原発事故直後ということで、昨年 12 月の結果とは異なり、原子力・放射線利用否
定グループの意見提出時間が、肯定グループの意見提出時間を、小中学生コースおよび高
校生コース共に、上回った。特に、小中学生コースでは、その変移が非常に大きかった。
参加者アンケートの結果(抜粋)
<小中高校生>
 1 つの出来事にも色々な捉え方があって、それらはやはりより多くの人の言葉を聞くこ
とで知ることが出来るのだと思う。同年代の人たちがどのような考え方をしているの
か、あまり話す機会がないので今回(前回も含む)は良い経験になった。
 福島の原発がどのようなものなのか、よくわかった。皆がどのような思いを持ってい
るのか、知識がよく伝わった。日本のエネルギーについて興味がすごくわいた。
 今日はディベートの手助けやお話をしていただき有難うございました。前回より意見
が言えたと思います。質疑応答の時間はいろいろなお話があって面白かった。
 ディベートを機会にいろいろ考えることができるため良い機会だと思う。
 自分とは違う意見を聞けて面白かったです。今日はありがとうございました。
 前回 12 月に私は”原子力発電には反対”という立場でディベートを行ったので今回の
原発事故にはとても興味がありました。そのうえでもう一度、今度は”原子力推進”
の立場でディベートが出来たことは私にとって原発についてより深く考えるという機
会になりました。これからも、沢山の知識を身につけ、発信していきたいと思います。
ありがとうございました。
 とても楽しかったです。今後ともよろしくお願いします。
 中学生、高校生、大学生のみなさんの発言の難しさにびっくりしました。でも勉強に
なりました。ありがとうございました。
 自分の考えとは違う考えを聞くことが出来とても有意義なディベートだと思います。
自分の考えとは違う考えを聞くことが出来とても有意義なディベートだと思います。
 まだまだ知識が乏しく、ディベートではあまり十分な発言ができなかったけれど、ま
た他の事(臓器移植など)についてもディベートをしてみたいと思います。今後とも
よろしくお願いいたします。
 ディベートは自分がしゃべることによって元々持っていた自分の意見も深まり、他の
人の話を聞くことによって違う意見も聞くことが出来るのでもっと行ってほしいと思
う。
106

今度またこのような機会があったら、もっと調べてたくさん発言したいです。
<高校生>
 日本の問題点が非常に位多く、このディベートの声が少しでも周りの人を変えられた
らいいと思いました。
 これからの考え方について、大変影響するものがありました。
 井上先生のお話しがすごくためになりました。
 ていねいな説明や本当の事がたくさん聞けてよかったです。
 話し合いの力が養成されていくよい機会になりました。また、普段は考えることの出
来ないことを同年代で話し合えてよかったです。
 原発は、はじめ完璧反対だったけど、賛成ということを考えるようになって完璧賛成
ではないけれど少しはやっぱり必要だということも考えるようになりました。今回こ
ういうことを考えて詳しく原発のことを知れてよかったです。
 一人一人意見をじっくり聞くことが出来て、その後先生からのお話しもあり、自分の
考えを深く考え直すことができました。また宜しくお願いします。
<保護者・教諭>
 小中学生のディベートはここに準備してきた資料と意見をたたかわせ、大変貴重な時間で
あったと思います。学校の授業では学べない体験ができたと思います。
 子供たちにとって、とても重要な活動だと思います。この様な機会を活用させていた
だき、ありがとうございます。
 事前に資料もあり、家で考えをまとめる準備が出来た分、小中学生でも内容のある有
意義なものとなっていました。意見の表明の仕方のトレーニングにもなり、良い取り
組みだと思います。
 大変有意義な講座に参加させていただきまして有難うございました。今日学んだこと
を理解すると共にこれからも勉強を続けたいと思います。
 福島原発の話はとても分かりやすくもっと拝聴したいと思いました。ありがとうござ
いました。
 先生のような推進派の方のお話しだけでなく、反対派の方の意見も聞いてみたいと感
じました。本日はどうもありがとうございました。
 中高校生からディベートに参加することは彼らが大学に入った時に大いに役立つと思い
ました。自分たちで文献調査を行い、理解してきた上でディベートを行う事は素晴ら
しいと思いました。
 自分の意見をたくさんの情報からつくりあげることが改めて大切だと感じました。慶
應の奥の深さを知る 1 日になりました。
 参加者の皆さんが、しっかりと下調べをしているようで感心しました。
 自分の意向をはっきりと伝えること、他の意見を受け付けることは、多くの場面で必
要となることから、もっと機会を増やしてほしい。できれば 5 人程度で 2or3 ぐらいで
あると意見を伝えることがもっと活発になると思いました。
 本日を楽しみにしていました。とても有意義で”今後のエネルギー”について考えま
した。子供たちのこれから!日本の未来!私たちがこの手で作っていきたいと思いま
した。
 ニュースとかなどではよく見かける事はありましたが、しっかり調べてディベートを
やったのは大いに意味があることだと思いました。
107


学校生活でも滅多に経験できないので今後も継続してほしい。科学教室を半々の割合
で。
さまざまな意見が、とても新鮮で、新しい方向に向かっていく原点となっていくと思
います。
 高校への医師の派遣
本事業の成果を多くの高校へ伝播するために、高校への医師の派遣活動を実施した。平成
23 年 7 月 21 日(木)に和歌山信愛女子短期大学付属高校、平成 24 年 3 月 10 日(土)に
福岡県立山門高校へ、胃潰瘍・胃がん治療の世界的権威である慶應義塾大学医学部消化器
内科学教室・鈴木秀和准教授を派遣し、医療に関する講義と交流、ならびに本事業の紹介
を行った。
和歌山信愛女子短期大学付属高校での様子
福岡県立山門高校での様子
 平成 23 年 8 月 6 日(土)13:00-19:00
慶應義塾大学医学部オープンキャンパスにて活動を紹介させて頂きました。
対象:横浜サイエンスフロンティア高等学校・西武文理学園高等学校
人数:60 名程度
108
 最終報告会・講演会(本報告書作成時点は実施前)
<目的>独立行政法人科学技術
振興機構事業・未来の科学者養
成講座において、慶應義塾大学
では「はばたけ、世界を先導す
る医学者へ」と題して、医学研
究で本邦さらには世界を先導す
ることができる人材の育成を目
的に活動を続けて参りました。
慶應義塾大学では、本事業とし
て平成 21-23 年度に、これらを
実行し得る能力と意欲を持ちう
る小中高校生の人材の育成に努
め、学会発表や論文発表などの
成果を得てきました。本企画で
は、この 3 年間を総括し、講演
会および事業報告会を開催し、
これまでの成果をまとめると共
に、次年度以降の教育活動につ
なげることを目的とします。
<事業内容>
日時:平成 24 年 3 月 20 日
(火)
9:30-15:30
場所:慶應義塾大学信濃町キャ
ンパス・リサーチパーク1F ラ
ウンジ(東京都新宿区信濃町)
対象:全国の小・中・高校生お
よび保護者・教諭
参加者:80 名
参加費:無料
<プログラム>
時間
活動内容
9:00
9:30
10:00
11:00~11:10
11:10
12:10
12:10~13:00
開場
開会挨拶・参加者自己紹介・事業報告:
井上浩義先生(医学部教授;事業代表者)
御講演:小柴昌俊先生
演題「やれば、できる。
」
*2002 年度ノーベル物理学賞受賞者
休憩
御講演:岡野栄之先生(医学部教授)
演題「本当にすごい、iPS 細胞!」
*再生医療の応用に関する世界の第一人者です。
閉会挨拶:医学部役職者
参加者昼食
109
場所
ラウンジ
ラウンジ
ラウンジ
ラウンジ
ラウンジ
ラウンジ
13:00
14:00~14:00
14:00~14:50
14:50~15:30
15:30
御講演:齋藤英胤先生(薬学部教授)
演題:
「かんじん、かなめ」
*肝臓の病気の我が国第一人者です。
休憩
受講生による米国大学視察報告
後藤真依(東京慈恵会医科大学医学部 1 年生)
辻耶矢子、立松聖悟(共に、中学 3 年生)
その他事業総括・次年度からの活動紹介
井上浩義先生(医学部教授;事業代表者)
アンケート調査・まとめ等
解散
当日は、別途、本事業外部評価委員会の先生方にも参加して頂きます。
110
ラウンジ
ラウンジ
ラウンジ
ラウンジ
高校生コース個人研究
<平成 21-22 年度>
111
十味敗毒湯の分子量分画に於ける腸管収縮への影響
慶應義塾大学1年 武井敦史
1.今回の目的
昨今、食の安全などに人々は気を配るようになり、それに伴い、有機農法や自然農法、
化学物質を使わないなどの広告が多々見られる。そしてその流れは薬学の世界にまで波及
し、自然由来の薬品、ということで漢方薬が脚光を浴びている。だが、それは本当に正し
いのだろうか。自然由来の製品だといわれていても、危険なものは危険であるし、合成で
作られたものとなんら遜色はない。また、漢方薬はなぜ効くのかというメカニズムがブラ
ックボックスなものが多く、そのため西洋医学的な判断から処方するというのは非常に難
が有る。そこで今回は漢方薬、
「十味敗毒湯」に対する西洋学的アプローチを行い、その薬
理作用が本当に「肌に効く」という本来の作用であるか、また、副作用があるかというこ
とを主に腸管収縮という観点から調べた。
2.実験方法
今回の実験は、十味敗毒湯をオープンカラムと遠心分離機の二通りの方法で分画を行い、
その分画を行ったそれぞれの成分をクレブス溶液に溶かし、マウスの腸管にかけ、その振
動感知器により収縮を調べた。また、遠心分離機による分画は非常に残念なことだが正確
性が取れなかったため、下の結果においてはオープンカラムのもののみを表示する。
遠心分離に
ージ
逆相カラムによって分画された十味敗毒
よる分画イメ
湯
3.実験結果
下図の通り反応を見たところ、22 番分画目に大きな反応が見られた。つまりこの点におい
て腸管は反応した、つまり消化管への影響があったと思われる。
112
オオイタサンショウウオの共食い個体について
清心女子高等学校 鈴木美有紀
1.はじめに
自然環境の人為的変化やツボカビ病などの伝染病により、近年、世界的規模で両生類が
激減している。本校生物部は特に有尾類の保護に役立てるために、1989 年から飼育下での
繁殖方法の開発に取り組んでいる。環境省レッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定され
ているオオイタサンショウウオについて 1997 年から研究に着手し、すでに人工繁殖に成功
している。飼育下での繁殖には性成熟した個体を多く得る必要がある。そのためには、受
精後、水中で生活し、変態して上陸するまでの幼生(特に個体数が激減する)期の管理が
重要になっている。
2.目的
効率的(死亡率が低い)飼育条件を探すために、密度や餌の与え方などの条件を変えて、
個体数の変化や四肢欠損個体の出現率を調べた。その結果、効率的に育てるためのおおよ
その餌量及び最適密度を突き止めることができた。しかしながら、これまでの観察で、共
食い個体(共食いをして巨大化した個体)が出現することが観察されており、巨大個体の
他個体への影響(死亡率を上げること)を考えなければならないことが判った。本研究で
は、巨大個体が出現する原因の解明を目指した。
3.研究方法
① 行動面で調べる
密度・餌を与える時間の条件を変えて、幼生の行動を赤外
線投光機と高感度カメラを使って一ヶ月間継続して記録し、
共食いが発生した日と発生しなかった日について行動を解析
した。
② 巨大化する原因になる栄養成分を調べる
栄養成分に巨大化の原因があると考え、それを確認するた
めに体液を注射して、その影響を調べた。孵化後餌を食べて
いない個体の体腔に、頭部の体液を注射器(1ml のシリンジに
33G のナノパスニードルを接着したもの)を使って注入し、そ
の影響を調べた。幼生があまりにも小さいので、体液にナイ
ルブルーで着色し、
体腔への注入を目視で確認した。
1 日 1 回、
2 日連続で行い、体長を比較した。
4.結果と考察
① 共食い発生の時間はエサを与える時刻の影響を受ける傾向があり、共食いが発生する
日は全体として活動的であることが判明した。密度による行動の差は見られなかった。
② 2 回の注射では身体的変化は確認できなかったので、さらに長期的に継続した注射が必
要である。
③ 注射後、翌日には鰓や全身が青色に染まったことから、体腔への注射で体内に取り込
ませることができることを確認できた。
113
日焼け止めのメカニズムと皮膚への影響
福岡県立筑紫丘高等学校 2 年 鬼木 玲奈
【研究の目的と背景】 日焼け止めを塗ることで、日焼けするはずのところをしないというの
は、本当は怖いことなのかもしれないという不安が私にはある。だから、日焼け止めの安
全性を調べたいと思い、このテーマを設定した。
【研究結果】
Ⅰ細胞が紫外線に当たることでどのくらい減少するのか調べる
細胞を①紫外線を直接当てるもの(UV(+)) ②紫外線を当てな
クリーム
いように覆いをするもの(UV(-)) ③日焼け止めを塗るもの
生
(クリーム(+)) に分け、紫外線を照射し、1時間おきに生き
き
て
UV(-)
ている細胞数を数えた。
い
る
〈結果〉右のグラフのようになり、クリーム(+)は UV(+)より
細
UV(+) 4
0
2
も長生きするが、UV(-)には及ばないことが分かった。
胞
紫外線ランプ照射時間(hr)
〈考察〉この結果から、紫外線対策においては、日焼け止めを
数
塗るよりも、衣服や帽子などで紫外線に当たらないようにする
ほうがいいのではないかと考えた。
Ⅱ化粧品毒性判定事典を用いて日焼け止めの毒性を調べる
〈結果・考察〉7 社計 11 種類の日焼け止めを調べ、毒性の合計が 6
会社
毒性
SPF
PA
より大きいものを毒性ありと判定したところ、P 社以外がそうなっ
C 社(米)
+++
50
34
た。右に、毒性が強い順に、特に結果の悪かった 3 種と、一番よか
50+ +++
22
った P 社を示す。 この結果を受け、P 社以外の日焼け止めの成分 S 社
+++
19
を詳しく見ていったところ、いわゆる違法で危険な成分は含まれて C 社(仏) 50
++
30
6
おらず、界面活性剤と合成ポリマーが何種類も使われているせいで P 社
評価が低くなっていることが分かった。そこで、この 2 つについて
※C 社は区別のため()内に国名を示した
調べ、以下のようなことが分かった。
米…アメリカ、仏…フランス
*界面活性剤 …皮膚のバリア機能を壊して化粧品を皮膚に浸透させると誤解されている
そうだが、実際は化粧品を浸透しやすくし、皮膚内部構造の隙間を縫って入り込ませる。
また、化粧品中の油剤が多いほど毒性は低下する。
(日焼け止めには油剤が含まれる)
*合成ポリマー …ポリマーの中にはビニールのように空気も水も通さない皮膜を形成す
るものがあるため、ポリマーは皮膚呼吸の妨げになると誤解されているそうだが、日焼け
止めに使われるポリマーは網目状の穴だらけの皮膜を作るので、そのようなことはない。
【結論】Ⅱの毒性判定の結果だけを見ると、日焼け止めは安全とは言えないが、界面活性
剤と合成ポリマーの性質を踏まえると、安全と言ってもいいと思う。しかし、Ⅰからも分
かるように、やはり紫外線に当たらないことが一番である。帽子をかぶれない、長袖を着
られないと言った特別な時に、最後の手段して日焼け止めを使用するのがいいだろう。
114
Viscosity of Enteral Nutrient and Effect of Enzymes for Stomach Emptying
Gifu prefectural Kamo high school Jinki Hadano
Background
Facing an aging society, the cases where people have trouble having oral intakes has
increased. Though PEG is used as a way to
intake nutrition, patients’ lying position and
the decline of the function of the digestive
tract cause the reflux of nutrients (picture).
This may result in esophageal reflux and
Reflux aspiration pneumonia and has been a
problem of not only in the field of medicine but
also of welfare.
Aim
The aim of this study is to discover the way to
control the viscosity (for prevention of the
reflux by increasing it), and, by thinking the opposite, to choose an external digestive
enzymes which increases the efficiency of digestion.
Methods
We used nutrients of Elental (component aliment, AJINOMOTO) and RACOL
(half-digested nutrient, Otsuka Pharmaceutical Co.). To increase the viscosity, we used
sticky food disintegrated, centrifuged at 3000rpm, and pectin, that is a polysaccharide.
The enzymes (Calf, Kid goat, Kid lamb stomach enzyme extracts, New Zealand) were
inserted in mice’s stomach (6weeks, male) and evaluated by measuring the weight of
stomachs and their contents after a while.
Results
To increase the viscosity of enteral nutrient, naturally extracted substances were not
valuable enough to do so. By using pectin, large amount of it was needed to have an
increase of viscosity. The experiment of using enzymes however, showed an ability of
increased efficiency in stomach emptying with 2 out of 3 enzymes we evaluated.
Discussion
This study suggests that external digestive enzymes could be useful for esophageal
reflux events. I am looking forward to a further study to consider a toxicity of enzymes,
for instance, by having a long-term administration.
References
Karie J, Suzuki Y, Akatsu H, Kuzuya M, Iguchi A: Prevention of late complications by
half-solid enteral nutrients in percutaneous endoscopic gastrostomy tube feeding.
Gerontology 50(6), 417-9, 2004.
115
終末糖化産物(AGEs)を吸着除去する新規イオン交換樹脂の開発
立教新座高等学校 矢口 翔一
1.背景
高齢化社会の到来と共に、生活習慣病の罹患患者が増え続けている。その中でも糖尿病患
者は予備軍(境界型)を含めると全国で 2000 万人を超えるまでに増え続けている。この糖
尿病において、近年、血管合併症(例えば、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症)の原因のひ
とつと言われているのが生体内で生成される糖とタンパク質の複合体、終末糖化産物
(Advanced Glycation End-products; AGEs)である。
2.目的
本研究では、終末糖化産物を対外血液透析と除去するために、終末糖化産物を吸着除去で
きる物質の開発を目的とした。終末糖化産物はその代謝物を含めると数千種類存在するが、
その中で、今回は特に、最も高い毒性を有している Glyceraldehyde 由来 AGE に注目し、
この AGE の吸着除去を目的とした。
3.実験方法
樹脂としてはすべて陰イオン交換樹脂を準備した。準備した樹脂は、強塩基性陰イオン交
換樹脂 SA-10(三菱化学)
、高リン血症治療薬として用いられている Renagel(中外製薬)
、
その他に、井上研究室で作られて弱塩基性陰イオン交換樹脂 2 種類、No.1および No.2で
あった。Glyceraldehyde 由来 AGE は PBS あるいはラット血漿に溶解され、樹脂を充填し
たカラムにポンプで送り込んだ。カラム通過前後の Glyceraldehyde 由来 AGE 濃度を
ELISA キット(株式会社アップウェル)で測定し、除去率を計算した。
4.実験結果
強塩基性陰イオン交換樹脂は、水および血漿共に、Glyceraldehyde 由来 AGE を吸着除去
効 果 は 弱 か っ た 。 一 方 で 、 リ ン 酸 除 去 で 高 い 陰 イ オ ン 吸 着 性 を 示 す Renagel は
Alyceraldehyde 由来 AGE の除去効果にも優れていた。また、弱塩基性陰イオン交換樹脂
の No.1 および No.2 も相対的に粒子径が小さな Renagel ほどではないが、Glyceraldehyde
由来 AGE を吸着した。
5.考察および展望
今回の実験では、陰イオン交換樹脂を用いて、糖尿病血管合併症の原因のひとつである
Glyceraldehyde 由来 AGE を除去できる可能性が示唆された。その中で、静電的作用の大
きな SA-10 およびイオンイオン交換能がずば抜けて高い Renagel に比して静電的作用が弱
く、樹脂の膨潤もない No.1 および No.2 にも高い除去効果を有したこと、特に、イオン交
換基をほとんど持たない No.2 においても除去効果が見られたことから、Glyceraldehyde
由来 AGE の吸着には必ずしも静電的作用が必要ないことが判明した。
116
117
キサンチンオキシダーゼ活性を抑制する天然素材の探索
福岡県立山門高等学校3年
遠藤友子
【研究の背景と目的】
痛風の基礎病態である高尿酸血症を有している人は現在約 500 万人で、年々増加傾向に
ある。近年、特に高尿酸血症は動脈硬化症や高血圧との関連も指摘されているが、その有
効な治療薬は 30 年以上も前に開発されたアロプリノールの 1 種類しかない。アロプリノー
ルはキサンチンオキシダーゼ(XOD)に対してヒポキサンチン及びキサンチンに拮抗するこ
とによって尿酸の生合成を抑制し、血中及び尿中尿酸値を低下させることが知られている
(下図)
。
XOD 活性を抑制する食用植物として、プロポリスなどが報告されているが、顕著な
阻害活性を示すものは食品中には見出されていない。そこで本研究では、XOD 阻害作用を
有する天然素材の探索を目的として、種々のフラボノイドに着目し、その酵素阻害効果に
ついて検討した。
【研究の結果と考察】
各種フラボノイド存在下で XOD
活性を測定し、尿酸生成量を比較し
た。阻害剤なしの時の XOD 活性を
100%としたとき、ケルセチンとルテ
オリンを添加すると、XOD 活性が
30%以下にまで低下することがわか
った(右図)。XOD はその酵素反応の
副産物として、生体に有毒な活性酸
素を生成することが知られている。
そこで、ケルセチンとルテオリンの
活性酸素の生成抑制効果について調
べた。阻害剤なしの時の XOD 反応に
よる活性酸素生成量を 100%とした場
合、ルテオリンが存在すると、その
各種化合物による XOD 活性阻害作用
生成量は 13%にまで抑制されることがわかった。
(各種化合物の濃度は全て 50μmol/L)
さらにオキソニン酸誘発高尿酸血症モデルラッ
トを作製し、各種フラボノイドの血漿尿酸値低下作用についても検討を行った。その結果、
オキソニン酸を投与することによって上昇した血漿尿酸値は、ケルセチンを投与すること
によって、無処置群と同程度まで改善することが明らかになった。
ルテオリンはブロッコリーやシソ、エゴマ等に、ケルセチンは玉ねぎ等に多く含まれるこ
とが知られている。ルテオリンやケルセチンを含む食品は、高尿酸血症や XOD が関与して
いる虚血−再灌流における酸化障害を予防する予防食品となることが期待される。
118
新規陰イオン交換濾紙膜を介してのイオン移動に関する熱力学的解析
沖縄県立沖縄開邦高等学校
国吉 萌
1.背景
近年、省エネルギーあるいは省資源の観点から、膜分離技術が注目されている。その中で、
膜設計デザインが行いやすく、廃棄が容易な“紙”を使った機能性膜の開発が進んでいる。
特に、海水から真水を作るための脱塩工程、あるいは雑多な食品成分から有用なアミノ酸
だけを取り出す工程などに使用される陰イオン交換膜は、陽イオン交換膜では対応できな
い分野への応用が期待されている。
2.目的
本研究では、陰イオン交換基を従来開発品よりも膜内に多く漉き込んだ新規陰イオン交換
濾紙膜の基本的特性を明らかにすることを目的とした。そのため、NaCl 濃淡系(膜を介し
て左右の相の濃度を違えた測定系)を用いて、膜電位および膜電導度を測定することによ
って、塩化物イオンの膜内外での挙動を明らかにする。このために、非平衡熱力学に基づ
く現象論係数・導電性膜透過係数を導入して評価を行った。
3.実験方法
実験は、強塩基性陰イオン交換基をセルロース内にできるだけ多く導入した繊維を用いて、
濾紙膜を成型した。本濾紙膜の成型は、株式会社中村製紙所(福岡県八女市)にて実施し
て頂いた。新規陰イオン交換濾紙膜をアクリル製セルに挟み込み、膜両側の相に、Ⅰ相側
は1×10-3M~1×10-1M まで変化させた NaCl を、Ⅱ相側は、1×10-2M の NaCl に固定し
て実験を行った。測定は両水溶液相に塩橋を入れ、それを対照電極に接続し、電位計で膜
電位の測定を行った。また、膜電位測定後、両相へ水銀を導入し、更に白金線を介して膜
抵抗を測定し、そこから膜電導度を計算した。これらの結果を現象論方程式に導入し、導
電性膜透過係数を導いた。
4.実験結果
膜電位は、10 倍濃度差でも 20mV 程度の電位差しか生じず、陰イオン選択性が必ずしも高
くないことが明らかとなった(ネルンスト膜電位の約半分)
。また、膜電導度は、外部水溶
液の濃度に従って上昇することが明らかとなった。更に、計算された導電性膜透過係数は
濃度の増加と共に減少することが明らかとなった。
5.考察および展望
今回の結果では、従来のどのものよりも多くの陰イオン交換基を膜内に入れた濾紙膜は、
残念ながら石油系の陰イオン交換膜ほどの陰イオン選択性がないことが分かった。今後は、
濾紙膜の特性を生かして、タンパク質やアミノ酸の分離、あるいは濾紙膜で容易に焼却で
きることから原子力分野などでの使用が検討できる。
119
活性炭・フラーレン・樹脂による窒素源の吸着除去に関する研究
雙葉高等学校卒業 後藤 真依
1.目的
生活習慣の変化および高齢化社会の到来によって、腎臓疾患が増大している。腎臓疾患で
は、透析に至る前の慢性腎不全において十分な治療を心掛けることが重要である。この慢
性腎不全において初期より生じるのが、高窒素血症である。この高窒素血症の治療には、
活性炭が用いられるが、その服用量が多いことから、新たな食物性窒素源を吸着除去する
物質の開発が待たれている。本研究においては、活性炭より、より粒子径が小さなフラー
レン(C60)および分子デザインを自由に行うことができる陰イオン交換樹脂を用いて、尿
素およびクレアチニンに対する吸着能力を比較した。
2.実験方法
500mg/L の尿素水溶液および 50mg/L のクレアチニン水溶液を準備した。各溶液 50mL ず
つ計り取り、これに下記の被験物質を 100mg 入れた。次に、溶液を恒温槽(37℃)に入れ、
1 時間攪拌しながら浸漬した。1 時間後、ディスポフィルターを通した濾液を測定溶液とし
た。測定は、尿素については尿素・窒素測定キットを、クレアチニンはクレアチニン測定
キットを用いた。被験物質は、①活性炭、②フラーレン一般品(GE)、③フラーレンスペ
シャル(SP)
、④市販樹脂(SA-10;三菱化学製;陰イオン交換樹脂)、および⑤新規樹脂
(井上研究室で合成;陰イオン交換樹脂)を用いた。なお、各実験は duplicate で行った。
3.結果
残念ながら、今回用いた被験物質は、尿素を吸着することができなかった。一方で、クレ
アチニンについては、活性炭が最も良い結果を示し、活性炭 1g あたり約 25mg のクレアチ
ニンを吸着した。一方で、粒子径の細かく、構造が明確なフラーレンは活性炭ほど大きな
吸着力はなく、活性炭の約 3 分の1のクレアチニン結合能力であった。また、陰イオン交
換樹脂は市販の強塩基型陰イオン交換樹脂はまったくクレアチニン吸着能力がなく、研究
室で作られた弱塩基型陰イオン交換樹脂はフラーレンと同等の吸着力を示した。
4.考察
今回の結果より、分子量の小さな尿素は物質による吸着除去に適していないことが明らか
となった。また、残念な結果だが、クレアチニン除去において、現行の活性炭を上回る能
力を有するものは見つからなかった。但し、イオン交換樹脂において、クレアチニン吸着
について静電的な作用よりも樹脂骨格が重要であることが判明し、今後の研究の基盤とな
った。
120
メラトニン合成酵素の SNP による酵素活性への影響
福岡県立修猷館高等学校 3年 清水 翔
【研究の背景と目的】
睡眠障害の一種である睡眠相後退症候群 (DSPS) は、睡眠時間が一般社会の時間からズ
レてしまう慨日リズムの障害であり、家族性の傾向などから遺伝的疾患であることが指摘
されはじめているが、原因は未解明である。慨日リズムの調整に関わる代表的なホルモン
としてメラトニンが知られているが、近年、DSPS 患者のメラトニン合成の律速酵素である
アリルアルキルアミン-N-アセチル転移酵素 (AANAT; 図 1) に SNP が確認された。そこで
本研究ではこの SNP の酵素活性への影響を調べることを目的として、野生型 AANAT、およ
び SNP により 129 番目の Ala が Thr に置換された変異体 (AANAT A129T) を調製し、酵素
活性を詳細に検討した。
図 1. AANAT によるメラトニン前駆体の生成過程
【研究の結果と考察】
野生型 AANAT および AANAT A129T の cDNA を pET21b にサブクローニングして、発現
用プラスミドを調製した。大腸菌 BL21 (DE3) 株をこれらのプラスミドで形質転換して培養
し、イソプロピル--D-チオガラクトピラノシドを加えて目的タンパク質の発現を誘導した。
目的タンパク質の精製は His-tag によるアフィニティークロマトグラフィーにより行った。
酵素活性は基質であるアセチル CoA および tryptamine
存在下で評価した。濃度一定の tryptamine 存在下、ア
セチル CoA の濃度を変化させて酵素活性を測定した
際の、野生型と変異型の酵素活性のラインウェーバ
ー・バークプロットを図 2 に示す。AANAT A129T の
酵素活性は野生型と比較して有意な低下が見られた。
また速度論解析の結果から SNP 由来の変異により、ア
セチル CoA との結合力が 3 倍以上低下することが示唆
された。以上の結果から、AANAT は SNP による変異
でアセチル CoA との結合力が低下し、酵素活性が低下
すると考察される。
図 2. 野生型と変異型 AANAT の酵素活性のライ
ンウェーバー・バークプロット. (▲) 野生型
AANAT; (○) AANAT A129T.
121
ラクトフェリンの亜鉛に対する効果
学校法人松韻学園福島高等学校 五十嵐悠
1. 研究の目的
ラクトフェリン及びアポラクトフェリンの、亜鉛に対する吸着能の検討
2. 背景
ラクトフェリンは、天然由来のたんぱく質であり、鉄を吸着する能力がある。
アポラクトフェリンは、ラクトフェリンよりさらに鉄を除いたもので、ラクトフ
ェリンより
鉄を吸着する。
しかし、鉄以外の金属に対する吸着能に関しては、疑問がもたれていた。
3. 実験
鉄、亜鉛の各溶液に、ラクトフェリン、アポラクトフェリン、陽イオン交換樹脂を
入れ、透析を行い、透析後の溶液の吸光度を比較した。
4. 結果
表 1.ラクトフェリン、アポラクトフェリンと陽イオン交換樹脂の金属吸着量
溶質
陽イオン交換樹脂
ラクトフェリン
亜鉛吸着量(樹脂1g当たり)
65.3㎎/ℊ
鉄吸着量(樹脂1g当たり)
55.9㎎/ℊ
10.3㎍/ℊ
48.5 ㎍/ℊ
アポラクトフェリン
13.2㎍/ℊ
60.1 ㎍/ℊ
ラクトフェリン、アポラクトフェリン共に、亜鉛を吸着する事が確認された。
5. 考察
亜鉛が吸着されることが確認されたが、これは予想より大変多いもので、本当にた
んぱく質の内部に吸着されたものなのか、単に外側にくっついていただけなのかを
明らかにする必要がある。
そこで、金属を吸着する能力のない、他のたんぱく質と比較する必要がある。
122
The Effect of Xanthine Oxidase Inhibitor on Ultraviolet-Induced Oxidative Stress
Keio Shonan Fujisawa Sr. High School 3rd Grade Toko Kikuchi
◇ Introduction and Objective
It becomes necessary to elucidate the impact of ultraviolet rays on human as ozone depletion
and its effect becomes one of the most pressing environmental issues, or human progress the
beneficial use of outer space. It is expected to develop the detailed study on the effect of
ultraviolet rays not only on skin surface but also on systemic oxidative stress.
The objective of this paper is to study the xanthine oxidoreductase (XOD) system, which
play central roles in free radical production caused by ultraviolet-induced systemic oxidative
stress in biological system.
◇ Materials and Methods
Animal experiments were conducted on adult male Wistar rats (6 months old) that were bred
for a week in order to domesticate. Rats were deprived food 12 h before the experiment starts.
Rats were divided into two groups of at least 7 rats: group A, controls (untreated); group B,
rats treated with xanthine oxidase (XO) inhibitor, allopurinol. 1 mL of phosphate buffered saline
was administered to rats in group A, and 10 mg/kg of allopurinol was administrated to rats in
group B by doing intragastric injection.
Ultraviolet C was irradiated to whole body of rats for 30 min, and blood samples were
obtained after briefly 10 min rest and after a lapse of 1 h. Subsequently, the antioxidant capacity
in the blood (BAP test) and the oxidation index of DNA, the amount of 8-OHdG were assayed.
◇ Results and Discussion
The antioxidant capacity is dramatically increased by performing prior administration of
allopurinol. There is statistically-significant different between group A and B. In contrast, there
is no significant differences in the amount of 8-OHdG caused by free radicals.
Although our study has shown that the antioxidant capacity in vivo has been increased by
inhibiting XOD system, oxidation stress its self has not been inhibited. A wide variety of
oxidative stress pathways exist in vivo. Therefore, it is thought that inhibition of XO alone
cannot reduce oxidative stress caused by free radicals.
◇ Conclusion
In summary, the relevant facts reported in this paper are these: XO inhibitor, allopurinol has
role in increasing the antioxidant capacity and does not have any role in reducing the amount of
8-OHdG in vivo. It is concluded we should confirm that whether ultraviolet oxidize guanine
base directly or not in further studies.
◇ Reference
Jose Vi˜na, Mari-Carmen Gomez-Cabrera, Ana Lloret, Rafael Marquez, Juan B. Mi ˜nana,
Federico V. Pallard ´o, and Juan Sastre: Free Radicals in Exhaustive Physical Exercise:
Mechanism of Production, and Protection by Antioxidants. Life, 50: 271–277, 2000.
123
ミドリムシの抗菌作用の測定
宮崎県立宮崎北高校 3 年 中尾 莞奈
研究の動機
授業でもその名前を聞く、ミドリムシに地球温暖化や食糧問題、宇宙開発、水産飼料と
しての利用など、さまざまな面で注目されていることを知り、実際に培養してみて、自分
でミドリムシの能力を試してみたいと思い、研究を始めた。
ミドリムシについて
動物、植物のどちらにも分類される。動物では、原生動物門の鞭毛虫綱、植物鞭毛虫亜
綱、ミドリムシ目で、植物ではミドリムシ植物門、ミドリムシ藻類綱、ミドリムシ目であ
る。大きさは長さ約 50 ㎛、幅約 10 ㎛だが、生育
Cramer-Myers 培地
時期、環境、栄養条件に回路の確立に用いられた。
(NH
)
HPO
1.0
4 2
4
ミドリムシの無菌培養
KH2PO4
1.0
Cramer-Myers 培地(右)を用いて、温度 25℃一
MgSO4・7H2O
0.200
定の incubator の中で、10%継代振とう培養を行
CaCl
・2H
O
0.020
2
2
っている。
クエン酸
3Na・2H
0.800 (g/L)
2O
抗菌作用の測定
Fe2(SO4)3・7H2O
3.0
微 量 液 体希 釈 法 に よ り 最 小 発 育 阻 止 濃 度
MnCl
・4H
O
1.8
2
2
(Minimum Inhibitory Concentration 以
CoSO
・7H
1.5
4
2O
下 MIC と記す)を決定し、抗菌作用を測定す
ZnSO4・7H2O
0.40
ることにした。MIC の決定は肉眼的なので主観
Na
MoO
・2H
O
0.20
4
2
2
によって差が出ることから、今回は分光光度計
CuSO4・5H2O
0.020
を使い、濁度の測定も行い、その両方から、判
チアミン塩酸塩(ビタミンB1)
0.1
断した。
シアノコバラミン(ビタミンB
)
0.0005(㎎/L)
12
・サンプルの準備
*初発
pH
は希硫酸で
3.5~6.8
にする。
約 500ml 培養液中のミドリムシを遠心分離機
最適 pH は 5.5 である。
(4℃ 3000g 15 分)にかけ、
-80℃で凍らせて
凍結乾燥機にかけ、-50℃真空状態で乾燥させる。それをメノー製すり鉢で擂り、粉末
に水を加え 5%に調製しようとしたが、溶けなかったので、遠心分離機(9℃ 3000g
9℃)にかけその上清をサンプルとする。
ミドリム
・微量液体希釈法
1 菌液
2 菌液
3control
4control
96 穴プレートのウエル 200μl にサン シ mg
プル 50μl、2 倍濃度の培地 100ml、菌
1.25 ○
○
×
×
液か滅菌水を 50μl 入れた。滅菌水を入
0.625 ○
○
×
×
れたものを control とする。ミドリムシ
0.313 ○
○
×
×
の比較対象として、抗菌剤のソルビン酸
0.156 ○
○
×
×
カリウム、アスコルビン酸、p-ヒドロ
0.078 ○
○
×
×
キシ安息香酸メチルをそれぞれ 4%、
0.039 ○
○
×
×
8%、0.5%で調整したものを使った。
0.020 ○
○
×
×
大腸菌は 1.65cfu/µl 存在した。
0 ○
○
×
×
・結果(大腸菌が生えたところを○、そ
れ以外を×とする)
前頁の表にあるように、ミドリムシの抗菌作用を図ることが出来なかった。
・考察
124
ミドリムシのサンプルが量が少なく、濃度が低くなりすぎたため、ミドリムシの MIC
を決定することが出来なかった。次は、ミドリムシのサンプルの抽出方法を考え、MIC
の測定を試みたい。
謝辞:この研究は宮崎大学農学部 林雅弘准教授ほか多くの方々にご指導ご協力賜って
います。厚く御礼申し上げます。
125
酸化チタンを用いた光触媒による水質の向上
武庫川女子大学附属高等学校 宝珠山 美歩
1. 動機・目的
酸化チタンには、紫外線によって強力な酸化力を有するフリーラジカルを放出し,表面
に付着した細菌などの有機物を分解するという性質がある。この性質を利用して、毎日の
生活に必要不可欠な水の浄化を最終目標に、これまでメチレンブルーや衣服に付着した染
みなどの分解といった様々な実験を行ってきた。本研究ではさらに実用化に向けて、反応
効率の向上を主な目的としている。
2. 実験方法
本校から東方約1kmを流れる武庫川南部橋付近で採取した水を用いて、酸化チタンの
微生物や菌の分解効率などを確かめた。
採取した川の水を撹拌してから、6つのビーカーに 30mL ずつ取り、加える酸化チタンの量
を変えて、太陽光があたる場所及び暗闇の中で 1 週間放置した。その後マイクロピペット
を用いて上澄み 100μL を寒天培地にとり、37℃で 24 時間培養した。その後コロニーの数
を計測した。
3. 結果・考察
下図のように太陽光のもとではほぼ菌は分解されたといえる。また光の全く当たらない
暗闇では光触媒反応が起きず、逆にコロニーの数が増加した。
また太陽光のもとでの、0.50g と 1.0g の違いはあまり見られなかった。これは酸化チタン
が水に不溶で底に沈澱してしまうため、量による変化は少ないからだと思われる。
太陽光 TiO2 0.5g
TiO2 なし
太陽光
暗闇
0.50g
太陽光 TiO2 1.0g
1.0g
141
9
5
58
42
624
(コロニー数)
4. 今後の研究
今後は、温度や放置する条件を変えたり酸化チタンに金属を担持させたりするなど、反
応効率の向上に取り組む。さらに分光光度計を用いて、菌の分解能を数値化する。また、
暗闇に放置した場合に菌が増えた理由を調査する。
126
天然物由来チロシナーゼ阻害物質の抽出および特定
慶應義塾大学理工学部 1 年 滝川 登志男
1.目的
美白作用等のために近年注目を集めているチロシナーゼについて、阻害反応を示す天然物
を新たに発見することを目的とした。
2.研究の背景
メラニンを生成する酵素であるチロシナーゼを阻害して美白・美肌を目指す。そのような
中で、やさしいイメージがあり、一般に
原料を入手し易い天然物に関してその起
源を求めた。
3.実験結果
何十種類もの天然物サンプルについて、
破砕粉砕→熱水抽出→濾過
(写真右参照)
→濾液を凍結乾燥→in vitro 試験適用を
行った。その結果、ユズの実をエタノー
ル抽出したサンプルからチロシナーゼ阻
害反応が確認できた。
更に、ユズの実抽出物について用量作用
曲線を描かせると以下のようになった。
このことから、ユズの実はチロシナーゼ
阻害反応を示し、モル濃度に対して負の
相関があることが示唆された。
127
高校生コース個人研究
<平成 22-23 年度>
128
Notre Dame Seishin Educational Foundation Seishin Girls’ High School
ツツジからの野生酵母の採取と分類
Characterization of Wild Yeasts Isolated from Azaleas
松本 愛(Ai Matsumoto)
Abstract
The wild yeasts were isolated from the flowers of azaleas grown in Okayama,
Hiroshima and Yamaguchi prefectures. Based on the cell-morphology, numbers of
chromosomes and sequences of rDNA, 160 clones were characterized. The activities of
ethanol formation and degradation of cellulose were also examined.
1.目的
ツツジに生息する野生酵母を分離・採取し、その形態、染色体数、rDNA の塩基配列を
指標として分類するとともに、アルコール発酵能、セルロース分解能を調べる。
2.方法
2010 年 5~6 月に、岡山県 39・広島県 6・山口県 5 箇所でツツジの花を採取し、分離源と
した。YPG、YPM、PDA の培地で数日~10 日間培養し、野生酵母を選別した。コロニー、
細胞の大きさ・形状を指標として分離菌株をグループ化し、アルコール発酵能とセルロー
ス分解能を調べた。また、電気泳動核型を調べるとともに、18SrDNA 領域の塩基配列を既
知株のそれと比較することで、分離菌株の同定を試みた。
3.結果
菌株 160 種の細胞形態は、卵型、楕円型、円錐型、レモン型があり、大きさは短径 3~5
μm、長径 5~10μm の範囲であった。PDA 培地では、コロニーの性状が流動性を示すも
のや、ペースト状のもの、また立体的になっているものを観察した。色は、オレンジ、ピ
ンク、白、クリーム、茶など多様であった。岡山県南北方面のサンプルより、岡山から山
口に至る東西のサンプルから分離した菌株の方が、形態的な多様性が認められた。さらに、
16 株でアルコール発酵能を、また 80 株でセルロース分解能を確認できた。アルコール発酵
能とセルロース分解能を同時に保持している株は 2 株であった。その 2 株について電気泳
動核型と 18SrDNA の塩基配列を調べた結果、パン酵母からはかなり離れており、Candida
属酵母に近い種であると推定した。
5.考察
採取場所により菌株の多様性が異なることは、花に飛来する昆虫の多様性との関連があ
る可能性がある。また、アルコール発酵能とセルロース分解能を持つ菌株は、バイオエタ
ノールの生産に利用できる可能性がある。これらについて今後検討を加える。
6.参考文献
山里一英他監修、微生物の分離法(R&D プランニング:平成 13 年)
7.キーワード
野生酵母、アルコール発酵、セルロース分解、18SrDNA
129
ミドリムシの生物活性について
宮崎県立宮崎北高等学校
落合 夏子
1.動機
ミドリムシが光合成をする微生物として、食糧危機や地球温暖化の解決に向けて注目され
ているということを知り、ミドリムシを用いた研究を行いたいと考えた。ミドリムシが生
成する特有の成分にパラミロンという多糖があり、その作用は様々でその中の1つに吸着
作用がある。また、ミドリムシは数種類ものビタミンを体内に持っている。このような点
に注目して、医療や環境問題の解決に繋げたいと考えた。
2.目的
ミドリムシを用いて、以下の4つのテーマを設定し研究を行った。
① 抗酸化作用
ミドリムシが生成するビタミンCやルテインを用いて、抗酸化作用の有無や活用性を調
べる。そして、がんや老化の原因となる活性酸素を除去する働きを見つけ、病気の予防
に繋げる。
② 物質吸着作用
ミドリムシ特有のパラミロンという多糖を用いて、重金属の回収ができないか。そし
て、工業廃水を浄化し、環境保全に繋げる。
③ 電気走性
ミドリムシに電流を流し、生じる走性を調べ、ミドリムシの行動制御を行うことができ
ないか。
④ ミドリムシを用いた発電
ミドリムシの光合成の働きを利用して発電を行い、環境問題の解決に繋げる。
3.仮説
① ミドリムシは体内に複数のビタミンを保持しており、ビタミンCに抗酸化作用があ
ることがわかっているので、ミドリムシにも抗酸化作用があると考えられる。
② ミドリムシ特有のパラミロンという多糖には吸着作用があるので、重金属を回収す
ることができると考えられる。
③ ミドリムシの光に対する働きがあるので、電流についても何らかの動きをすると考
えられる。
④ 微生物を用いた発電はいくつか発表されており、ミドリムシでも応用できないかと
考えられる。
4.方法
① 分光光度計を用いて、吸光度のピークの違いにより抗酸化作用の有無を調べる。
② ミドリムシに硫酸銅(Ⅱ)・硫酸亜鉛・鉛などを加え、吸着するかを調べる。
③ タンパク質の電気泳動を参考にして、ミドリムシに電流を流し、+と-のどちらに
移動するかを調べる。
④ 微生物を用いた発電の仕組みを応用して、電気を回収できるかを調べる。
5.考察
①について
ミドリムシ溶液にヘキシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウムを加えると、青い沈澱を確認することが
できた。鉄(Ⅲ)イオンがミドリムシの活性によって鉄(Ⅱ)イオンに還元されたことがわ
かる。次に、分光光度計を用いて、抗酸化作用を示す鉄(Ⅲ)イオンの測定を試みたが装
130
置の故障により、確認することができなかった。
②について
硫酸銅(Ⅱ)を加えたことでタンパク質の変性を起こしてミドリムシが白くなってしま
った。硫酸銅(Ⅱ)の濃度が高かったことが原因と考えられるので、濃度を薄くして再度、
実験を行う。
6.参考文献
北岡正三郎,1989 ユーグレナ 生理と生化学.学会出版センター,東京.
宇賀神範久・武田穣・佐々木亮太・鈴木市朗・小泉淳一,有鞘細菌の金属イオン吸着特
性
宮崎北高等学校 平成 20 年度 SSH 課題研究論文集 「鉄(Ⅲ)イオンに対する黒豆ポリ
フェノールの還元作用について」
131
ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットの血液生化学分析
群馬県立高崎女子高校 武田
萌
Ⅰ.実験方法
60mg/kg の STZ を腹腔内注射し、4匹の STZ ラットをつくる
Normal ラットと STZ ラット4匹ずつの平均体重増加量・水分摂取量・リン,尿素窒素,鉄,
亜鉛,グルコースの血液分析を duplicate で行う。
Ⅱ.結果
平均体重増加量 STZ
34.675g Normal 42.5g
水分摂取量
STZ
246.8g Normal 157.2g
左図:検量線(縦軸 吸光度 横軸 mg/dL) 右図:平均密度(縦軸 mg/dL)
上から順に、リン,尿素窒素,鉄,亜鉛,グルコース
y = 12.661x - 0.8649
R² = 0.832
y = 12.661x - 0.8649
R² = 0.832
y = 95.524x - 5.4584
R² = 0.9954
y = 95.524x - 5.4584
R² = 0.9954
y = 17.647x + 0.6147
R² = 0.3176
y = 17.647x + 0.6147
R² = 0.3176
132
y = 0.6582x - 0.0856
R² = 0.9986
y = 0.6582x - 0.0856
R² = 0.9986
y = 395.02x + 4.267
R² = 1
y = 395.02x + 4.267
R² = 1
133
ハダカデバネズミ iPS 細胞の機能解析
茗渓学園高等学校3年
四宮有紗
・研究内容の背景
ハダカデバネズミは、アリやハチに類似した分業制からなるカースト社会をもつ真社会性
げっ歯類である。ハダカデバネズミは体長 10cm 程であるが、げっ歯類に異例の長寿命,超
癌化耐性という非常に興味深い特徴を合わせもつ。マウス/ヒトと異なり,ハダカデバネ
ズミには現在のところ自発的な腫瘍形成は一切確認されていない。このことから、ハダカ
デバネズミは,未知の新規ガン化耐性機構を備えていると考えられ,新たなガン抑制機構
を同定し,将来的にヒトに応用するための新規モデル動物として,極めて有用性が高い。
・デバ iPS 細胞をつくる
人工多能性幹(iPS)細胞は、体細胞に Oct3/4, Sox2, cMyc, Klf4 を導入することにより得
られる,胚性幹(ES)細胞様の細胞である。iPS 細胞樹立過程においては、癌遺伝子や癌抑制
遺伝子が重要な役割を持つことが知られている。癌化耐性であるハダカデバネズミから iPS
細胞が樹立出来れば、癌化過程と iPS 細胞誘導過程の共通点・違いについて、新たな観点
から理解を深めることができる。また、ハダカデバネズミの特異な生態(女王のみが繁殖
に携わる)ゆえに、ハダカデバネズミ ES 細胞の樹立は極めて困難である。そのため、ハダ
カデバネズミ iPS 細胞は、種々解析のためのマテリアルとして今後重要な役割をもつと考
えられる。
近年慶應義塾大学生理学教室の三浦らにより、「癌化耐性である」ハダカデバネズミか
ら iPS 細胞が樹立された。本研究では、このハダカデバネズミ iPS 細胞の性質を解析する
ための実験を行った。
―行った実験内容
実験1:未分化マーカーの発現確認
方 法 : 免 疫 染 色 に よ り , ハ ダ カ デ バ ネ ズ ミ iPS 細 胞 に お け る 未 分 化 マ ー カ ー
(Oct3/4,E-cadherin)の発現を確認する。
実験2:多能性の確認(分化誘導)
方法:胚葉体(Embryoid body: EB)形成法を用いた分化誘導を行う。その後免疫染色により,
ハダカデバネズミ iPS 細胞は種々体細胞への分化能力をもつかどうか、確認する。
―実験結果
免 疫 染 色 の 結 果 、 ハ ダ カ デ バ ネ ズ ミ iPS 細 胞 に お い て , 一 部 の 未 分 化 マ ー カ ー
(Oct3/4,E-cadherin)が発現していた。
EB 形成後の免疫染色により、ハダカデバネズミ iPS 細胞は、外胚葉系・中胚葉系の細胞に
分化することがわかった。
-考察および今後の課題
ハダカデバネズミ iPS 細胞は,未分化状態にあり,ある程度の多能性を持つと考えられる。
今後,さらに他の未分化マーカーの発現の有無について、検討が必要である。
また、現在のところ内胚葉系への分化が確認されていないため、ハダカデバネズミ iPS 細
胞が内胚葉系に分化する能力をもつかどうか,EB 形成後、免疫染色による内胚葉マーカー
の発現確認を行う。
未分化なハダカデバネズミ iPS 細胞を免疫不全マウスに移植することによりテラトーマを
形成させて、In vivo における三胚葉への分化能の確認を行う。
134
鉄道の消毒に使用される洗剤の人体への影響
宝仙学園高等学校共学部理数インター2 年 相澤 陽太
1. 研究の背景と目的
電車に乗るとアレルギーのような症状を示す人がいる。こうした症状は、電車の消毒に使
用されている洗剤によって引き起こされると考えられている。本研究では、新幹線の消毒
に使用されている洗剤(セイクリーン 800)が本当に免疫反応を引き起こすかどうかを調べる
ことを主な目的とした。
2. 実験方法
① 経口投与実験
マウスを 7 匹ずつ 3 つのグループに分け、1 つのグループに洗剤を 1.0mL、もう 1 つのグ
ループに 0.2mL 経口投与し、洗剤を投与しないマウスと様子を比較する。
② 吸入暴露実験
マウスを 7 匹ずつ 3 つのグループに分け、密閉した箱に入れ、1 つのグループに洗剤を 10
回、もう 1 つのグループに 1 回噴射し、30 分暴露させる。その後 30 分換気をする。暴露
を 4 回繰り返した後、採血して免疫物質を測定する。
3. 実験結果
① 経口投与実験
投与後の時間
1.0mL 投与
0.2mL 投与
投与なし
5分
元気がない
変化なし
変化なし
10 分
失禁・痙攣
変化なし
変化なし
15 分
7 匹中 3 匹死亡
変化なし
変化なし
② 吸入暴露実験
インターロイキン全般を測定した結
0.8
果、IL4 と IL13 が増加していたが、
0.6
IL4 は後の追加実験で詳細な測定を行
噴霧なし
った結果、値の上昇が見られなかった。 0.4
1回
0.2
また、10 回噴射したグループのマウ
0
10回
スは、暴露実験の後半には目を開ける
ことができなくなっていた。
4. 考察と今後の研究
経口投与実験の結果から洗剤に毒性
があるのは明らかであるが、残念ながら洗剤に反応している免疫物質を特定できなかった。
しかし、吸入暴露実験で 10 回噴射したグループのマウスの様子から、何らかの免疫反応が
起こっている可能性が高いので、今後は別の免疫物質(IL13 など)の測定を行い、免疫物質
の特定をするとともに、免疫反応の抑制方法も考えていきたい。
135
ミドリムシの生育環境としての音楽による振動
宮崎県立宮崎北高等学校2年
佐藤 真惟子
1. 研究の動機
ミドリムシから食品やバイオ燃料が作られ、未来のエネルギーとして注目されているが、
いかに短期間に効率よく増殖させるかが課題となっている。そこで、どのような生育環境
を整えれば、ミドリムシがより増殖しやすいかについて研究を行った。
2. 研究の目的
ミドリムシの生育環境因子として、培地、温度、pH、酸素、光が主にあげられる。この
他に増殖効果のある因子を見つけることを目的として実験を行った。今回は、高等学校の
実験室でも実験可能な「音楽による振動」を取り入れた。
3. 仮説
家畜の飼育や農作物の栽培に音楽を用いると成長が促進されたという話題を耳にしたこ
とがある。しかし、ミドリムシは、体長が 50μm と小さく、音による振動を感知できる
かという疑問があったが、アルコールの醸造において酵母菌に音楽を与えることにより発
酵期間が短縮され、味がよくなったという資料を読み、酵母菌よりも大きいミドリムシに
も応用できるのではないかと仮定した。
4. 研究の方法
①環境
・培地
培地には栄養豊富な KH 培地を用いた。
・温度
室温は 31 度から 34 度の間で行った。
・pH
カビなどの発生しにくい pH2(培地 A,B)とカビなどが発生することがあるが通
常の培地として用いている pH3(培地 A’、B’)との 2 種類を用意した。
・酸素
通常の実験室の状態で行った。
・光
窓がある通常の実験室の状態で行い、18 時 30 分以降は消灯した。直射日光の当
たらない場所に器具は設置した。実験した時期は 7 月初めで宮崎の日の出は 5
時 16 分頃、日の入りは 19 時 23 分頃である。
・音楽
モーツアルト作曲「アイネ・クライネ・ナハトム
ジーク第 1 楽章」を毎日 18 時 30 分より翌日の 6
時 30 分まで約 12 時間与えたもの(A、 A’)とそう
でないもの(B、B’)を用意した。(図 1)
②計測と観察
・ミドリムシの入っている培養液 0.02mL に何匹生息してい
るかを毎日 17 時 30 分に計測する。
図1
5. 結果と考察
4 日間計測した結果、図 2 のようになった。このことから、かびの発生しにくい pH2 の培
地では、通常、ミドリムシは増殖しにくいが、音楽による振動を与えることにより、増殖
を促すことができるかもしれないということがわかった。
136
6. 今後の課題
今回は、4 日間という短期間であったが、さら
に定常期になるまでの変化の様子や、計測回数
を増やしてより精度の高い結果を求め
たい。また、振動を培地に直接与えた場合は
どのようになるかについても継続して調べた
い。
図2
137
アルコールデヒドロゲナーゼの抽出・精製と薬物乱用防止成分のスクリーニング
県立横浜翠嵐高等学校2年
本田 夏菜
1.目的
人類とアルコールの付き合いは長い。従来より、アルコールは、百薬の長と言われる一
方で、命を削る鉋とも言われている。アルコールの生体内代謝において、アルコールデヒ
ドロゲナーゼは不可欠で、現在ではアルコールデヒドロゲナーゼはアルコール依存からの
脳症や末梢神経障害への進展に関与する重要な酵素として研究されている。 一方で、ここ
数年、非合法ドラッグとして 1.4-ブタンジオールが注目されている。これは合法試薬である
当該試薬を服用すると生体内のアルコールデヒドロゲナーゼによって違法ドラッグへと構
造変換されるものである。本研究ではラット肝臓よりアルコールデヒドロゲナーゼを抽
出・精製し、天然物から当該酵素の阻害作用を持ち、その結果、薬物乱用防止となる成分
を見出すことを目的とする。
2.実験方法
ラット肝臓をホモジナイズし、遠心分離後、上清に硫安添加した。更に遠心分離によって
分画された成分に硫安添加し、遠心分離した。これによって得られた成分を緩衝液に対し
て透析を行い、アルコールデヒドロゲナーゼ粗抽出物とした。
一方で、9 種類の天然物成分を熱水抽出により取り出し(一部は、単一物質)、凍結乾燥す
ることにより試料とした。ポジティブコントロールとしては、アルコール依存症治療薬シ
アナミドを用いた。試料の阻害活性は、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を 25℃で 15 分測
定することによって測定した。
3.結果
今回用いた 9 種類の天然物成分の中では、バナナ由来成分と単一物質である牛乳由来のア
ポラクトフェリンにわずかであるがアルコールデヒドロゲナーゼの阻害活性があることが
明らかになった。
4.今後の研究展開
今後は、目的に示した合法試薬の服用
による薬物汚染(右図を参照)を防ぐ
ような物質の選択を行っていきたい。
そのためにも、1,4-butanediol あるい
は Gamma-Hydroxybutyric acid
(GHB)の定量測定法の開発が不可欠
となる。現在利用されている HPLC
以外の方法で検出する分析法を検討
中である。今後も、阻害成分のスクリ
ーニングと併せて研究を実施する。
138
人工酵素によるメタロチオネイン遺伝子の破壊
日本大学豊山高等学校 2 年
伊藤 千慧子
【研究の背景と目的】
Cd2+などの重金属イオンは、生体に有害である。メタロチオネインは生体が重金属イオン
に暴露されると速やかに誘導され、重金属をキレートすることにより解毒作用を発揮する。
メタロチオネインを欠損した個体は重金属に対して高感受性になるために、生体影響を観
察しやすいと考えられる。一般に、魚類の遺伝子破壊は困難と考えられていたが、近年人
工酵素 zinc finger ヌクレアーゼ(以下 ZFN)法が新しく開発され、遺伝子改変魚作製への
道が開かれた。本研究では、水生動物でのメタロチオネインの機能を解析し、水環境評価
へ応用するために、人工酵素 ZFN によるメダカのメタロチオネイン遺伝子破壊を試みた。
【実験方法】
メダカにメタロチオネイン遺伝子は1つしか存在せず、3つのエキソンから構成されてい
る。第2エキソン以下が欠損するように、ZFN を設計した(図)
。mRNA を合成し、メダ
カの1細胞期の受精卵に顕微注入した。インジェクション後の胚を7日間培養した後、DNA
を回収してメタロチオネイン遺伝子に変異が起きているかどうかをシーケンスにより確認
した。コントロールとして GFP 蛍光タンパクに対する ZFN を使用した。
【結果・考察】
メタロチオネインに対する ZFN mRNA を顕微注入したところ、用量依存性に胚発生異常
を認めた。生殖系列に変異が導入された個体を選別するために、亜致死量を注入した個体
を生育させ、各ペアから次世代の受精卵を採取し、ゲノム DNA を抽出した。同様に、GFP
トランスジェニックメダカに GFP に対する ZFN mRNA を顕微注入したところ、6個体中
2個体で蛍光が消失した。蛍光が消失した個体の GFP 遺伝子には、さまざまな変異が確認
できた。このことは、メダカで ZFN 法による遺伝子破壊が有効であることを示している。
第1エキソン
アミノ末端
ATGGACCCCTGCGACTGCTCCAAAAgtaagtgatatcttaatgcg
βドメイン
Ctctgaggtttagggtatgtttttatgttattgttggctctttaa
MT2L
MT2R
attatttattattcttctgctcagCTGGAAAATGCAACTGCGGCG
GCTCTTGCACCTGCACAAACTGCTCCTGCACCAGCTGCAAGAAAA
第2エキソン
(左) メタロチオネインタンパクの結晶構造
球体はキレートされた重金属イオンを表す。
αドメイン
カルボキシ末端
(上) メダカメタロチオネイン遺伝子の第1、2エキソン
楕円:人工酵素結合部位
三角:遺伝子切断部位
かぎ括弧:重金属の結合に関与している部位
139
Rat 肝臓由来 Xanthine Oxidase の抽出・精製
横浜雙葉高等学校1年
久永 めぐみ
1.目的
生体内で、活性酸素を作り出し、また尿酸を作り出すことにより、痛風などを起こすx
anthine oxidase を、Rat 肝臓から抽出し、その酵素の反応様式を調べることを目的とし
た。
反応様式は基質濃度と反応生成物濃度の関係から Lineweaver-Burk のプロットから
Vmax(最大速度)と Km(Michaelis 定数)を求めることで、特徴を表した。
2.実験方法
ラットの肝臓をホモジナイズ(均質
化)して、遠心分離機を2回した後、
透析をした。
抽出、精製した肝臓抽出物に
hypoxanthine 、 allopurinol 、
TrisHCl を加えて、吸光光度計で尿
酸を測定した。また、一方を
allopurinol な し で 、 他 方 を
allopurinol ありで測定した。
Xanthine oxidase の反応様式は基
質として xanthine を用い、37℃
で反応させ、生成した uric acid を
299nm の吸光光度測定で定量した。
3.結果
今 回 、 Rat 肝 臓 由 来 xanthine
oxidase を抽出し、粗精製すること
ができた。粗精製 xanthine oxidase
は、xanthine から uric acid への反
応を促進することが明らかになり、
そ の 反 応 は よ く し ら れ た
allopurinol によって阻害された。ま
た、基質濃度を変えて反応生成物を
測定して、Lineweaver-Burk のプロ
ッ ト を 行 う と Km=7.26 × 10-6 、
Vmax=2.5×10-7 となった。
140
遺伝子組み換えによる GFP の導入実験
和歌山信愛女子短期大学附属高等学校
島村 安祐
1. 背景,及び目的
がんとは上皮性悪性腫瘍のことである.がんは生体細胞のコントロールを奪って無制限に
増殖し,転移や浸潤を繰り返して次々に正常な生体機能を異常な内分泌で妨げ,多くの臓
器を機能不全にして生命を脅かす.国際がん研究機関 ( International Agency for Research
on Cancer : IARC ) が 2008 年に発表した「 Word Cancer Report 2008 」にはがんによ
る死亡者は年々増加していると書かれており,2030 年にはがんによる死亡者数が 1100 万
人以上に上昇するのではないかと予測されている.
がんがどこに転移・浸潤するか分かれば,転移したがんの早期治療が可能となり,がんに
よる死亡者数を減らすことができる.がん細胞の目視化に向け,緑色蛍光タンパク質( Green
Fluorescent Protein : GFP )に着目した.GFP とは 2008 年にノーベル化学賞を授与した下
村脩氏がオワンクラゲから発見した蛍光タンパク質である(Shimomura, et al., 1962).この
GFP を用いて,がんの転移や浸潤を可視化するのが最終的な目的であるが,そのための第
一段階として,より簡単な実験系による GFP 遺伝子の導入実験を行おう考えた.
2. 対象と手法
山口大学工学部応用化学科で開発された「パン酵母と GFP を利用した組換え DNA 実験キ
ット」を用いる。酵母菌(BY4700 株,Saccharomyces cerevisiae MATa ura3Δ)培養 YPD
プレートから酵母菌を取り,遺伝子導入液(ベクターDNA としては,pVT100-mtGFT プ
ラスミドを用いる。ベクターとして用いるプラスミドには GFP 遺伝子とともにウラシル合
成遺伝子が含まれるので,最少培地での生育によって組換え酵母を選択できる)の中に入
れて懸濁した.
それらが入ったチューブを 42℃で 20 分間静置した後,
最少培地に塗布した.
3-7 日静置すると遺伝子が導入された酵母菌コロニーが確認できた.これらのコロニーには
GFP 遺伝子も同時に導入されている.確認できたコロニーを青色ムードランプで照射し,
オレンジフィルターを通して観察し,GFP 遺伝子の導入を確認する.
3. 結果,及び考察
結果図を右に載せる.
以上の結果から,パン酵母に GFP 遺伝子が導入されてい
ることが確認できた.
4. 展望
今後は人間に最も近い哺乳類動物に GFP 遺伝子の導入
を試みたいと考えている.GFP ラベルは細胞の生体機能
を損なうことはなく,動物の体内で起こっている異常を生きたままの状態で観察できると
考えられる.将来的には,がんが新生血管を誘導する機序や,転移や浸潤の様子を可視化
の可能性や,アルツハイマー病による脳神経細胞の死滅過程や HIV 感染細胞のウイルス産
生などを観察する技法を目指していきたいと考えている.
5. 参考文献
Shimomura, O., Johnson, FH., and Saiga, Y., (1962) Extraction, purification and
141
properties of aequorin, a bioluminescent protein from the luminous hydromedusan,
Aequorea. J. Cell. Comp. Physiol., 59, 223-239.
142
ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットにおける血中 Glyceraldehyde 由来 AGE 濃度の推移
立命館高等学校卒業
島本 優太郎
1.目的
近年、糖尿病を中心とする生活習慣病あるいは、アンチエージングに関連の深い物質とし
て、AGEs(終末糖化物)が注目を集めている。 今日、AGEs の中でも最も細胞毒性の強
い Glyceraldehyde 由来 AGE についてラット/マウス用モノクローナル抗体を作成した。本
抗体を用いてストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルラットの血中 Glyceraldehyde 由来
AGE を測定した。
2.実験方法
①ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルラット
6週齢の Wister ラット(♂)を購入し、1 週間訓化飼育した。ストレプトゾトシンを腹腔
内に体重1kg 当たり 60 ㎎となるよう投与した。そのまま 1 週間飼育し、Ⅰ型糖尿病モデ
ルラットとした。
②血中 Glyceraldehyde 由来 AGE 測定
1 週間後に麻酔下で、心臓から採血した。空腹時血糖が有意に高くなっていること(1.8 倍)
を確認した。血中 Glyceraldehyde 由来 AGE を、モノクローナル抗体を用いた ELISA 法
で測定した。
3.実験結果
ストレプトゾトシン誘導糖尿病モデルラ
ッ ト で は 、 血 中 Glyceraldehyde 由 来
AGE が統計的有意に増加していた(右図
参照)
。
4.まとめと今後の展開
□ 糖尿病のモデル動物であるストレプ
トゾトシン誘発ラットを作り、有
意に空腹時血糖値が上がった。
□ 1 週間飼育という短い期間であったが、血中 Glyceraldehyde 由来 AGE 濃度は統計的
有意に上昇していることがわかった。
■ 今後、他の糖尿病モデルを使って、同様の結果が出るか検定したい。
■ その他、糖尿病以外の疾患モデルでも同様に、AGE 濃度が上昇しているか調べたい。
143
メダカへの Fra1 遺伝子導入
筑波大学附属駒場高校 2 年
小島原知大
研究の背景
Fra1 遺伝子産物をマウスに導入すると、骨を増やす働きがあることが知られている。遺伝
子導入はマウスで行われることが一般的であるが、今回私は“視覚的効果”を重視した実
験を進めたく、体が透けており、解剖を行わずして遺伝子の発現を確認できるというメダ
カを用いた実験を行った。
仮説
哺乳類と魚類という種を超えても Fra1 遺伝子産物は骨を増やすという働きがある。
手順
◆Fra1 をメダカに導入する
Fra1 遺伝子をメダカに導入するために、プラスミドの設計、T2A の導入を中村貴先生にし
ていただいた。まず、Fra1 を PCR にかけて増やした。次に、①Fra1PCR 産物と Vector
を Sal1 と Mlu1 でそれぞれ制限酵素処理を行った。70%Et-OH を用いて DNA の精製をし
た。②続いて Ligation、Transformation を行った。使用した培地はカラマイシン培地であ
る。マスタープレート方式で植菌をし、ミニプレップ、③ダイジェスト行った。シークエ
ン ス で 使 用 し た プ ラ イ マ ー は そ れ ぞ れ
F-5’-CGACTTCTTCCAAACTGTCCC-3’,R-5’-TCGCCCTTGCTCACCAT-3’である。シーク
エンス後、
④塩基配列の確認を行った。続いて⑤制限酵素処理を pTIS10-mOIBMP4 は Xho1、
Not1、
EcoR1、3_OsxFra1_T2A_EGFP は Xho1、Not1 で行った。
Ligation、
Transformation、
植菌、ミニプレップ、⑥ダイジェストをし、プラスミドが完成した。出来たプラスミドを
メダカに導入するための⑦インジェクションは清水厚志先生による。
◆メダカの飼育
インジェクション後、Fra1 遺伝子導入メダカ第一世代(以下 TgF1)が誕生した。そして、解
析を進めるために TgF1 を育て、野生型メダカ(以下 Wt)と交配させた。そして Fra1 遺伝子
導入メダカ第二世代(以下 TgF2)が誕生し、解析を進める段階に入った。採卵は高田康成先
生、清水晃允さんによる。飼育は、高田康成先生、清水晃允さん、小島原による。
◆RNA を用いた解析
RNA は一般的に DNA を転写する働きがあることが知られている。今回は転写の逆である
逆転写をして cDNA を合成した。そして PCR を行い、①Fra1 の発現の有無を調べた。ま
た、βアクチンについても調べた。
結果
◆Fra1 遺伝子をメダカに導入する
①電気泳動の結果、適切な位置にバンドが出、制限酵素処理が成功した。
②培地のコロニーの数が Test:NC=1657:26 であり、Ligation、Transformation、ともに成
功した。
③電気泳動の結果、サンプル番号 1、3、4 において適切な位置にバンドが出た。
④一部に Mutation が見られた(1 番目の Leu が Phe になっていた)が、#3-5 では 9 番目の
144
Val、#3-3 では 3 番目の His まで確認できた。
⑤電気泳動の結果、適切な位置にバンドが出、制限酵素処理が成功した。
⑥電気泳動の結果、サンプル番号 1、3 において適切な位置にバンドが出た。
⑦インジェクション後採卵し、稚魚が誕生し、UV をあてて GFP の有無を調べたところ、
下の写真のように発現していた。
20110630(7dpf)
20110524
◆RNA を用いた解析
①電気泳動の結果、βアクチンのバンドはサンプル番号の 1~6 のすべてに適切な位置に出
た。また、Fra1 のバンドは GFP+で出ていたが GFP-にもバンドが薄く出てしまった。
考察
マウスの Fra1 は哺乳類と魚類という種を超えて発現する。が、これから先の実験で骨を増
やす働きがあるのかどうかを調べて行きたい。
145
単為生殖生物(ミステリークレイフィッシュ)の栄養成分による形質変化
文京学院大学女子高等学校
長谷川 淳美
<実験の主旨>
本実験は単為生殖するザリガニ(ミステリークレイフィッシュ)の DNA を最新の解析技術であ
る PCR 法を使ってその同一性を鑑定し、その結果、ミステリークレイフィッシュがDNAレベ
ルで同一のコピー生物であると証明した。しかし、同一の遺伝子を持つにも関わらず、コピー生
物は、その生活環境が違うだけでその形質に大きな違いが生じることもしばしばあり、今回の実
験においても餌の種類の違いだけで体色に大きな差異が生じる事例を発見した。更に、その事例
において死亡例が急増するケースもあり、餌による比較対象実験に必要性が生まれた。そこで形
質に変化を与える物質の特定をするために、以下のような実験・観察を行った。
【摂取栄養に差をつけた飼育環境での対比実験】
<実験1> 栄養素であるアスタキサンチンの有無を条件とする対比実験
ミステリークレイフィッシュの体色の違いは、甲殻類の外殻成分の構成の違いで生まれると考え
られるので、その構成のために摂取する栄養素として必要とされると予想されるカロテノイド類
の「アスタキサンチン」に着目した。実験条件として、与える栄養素中のアスタキサンチンの有
無という差を作り、その生育観察を行った。
このアスタキサンチンは、鮭やエビなどの海の生物たちに多く含まれている天然の赤い色素であ
る。これまでの実験で健康なミステリークレイフィッシュは茶色に変化し、病死例の多いミステ
リークレイフィッシュは青色に変化した。また、通常の飼育環境として、オオカナダモを餌とし
てこれまで飼育していたサンプルは茶色に生育した実例がある。
実験条件 → 水槽1 オオカナダモのみの水槽
水槽2 人工の餌のみの水槽
水槽3 オオカナダモとアスタキサンチンの水槽
水槽4 オオカナダモと人工の餌の水槽
<実験1の結果>
アスタキサンチンを摂取した青系のミステリークレイフィッシュの体色が茶色に変化したこ
とにより、体色の変化
は摂取する栄養素に影響されていることが判明した。
また、オオカナダモを摂取したミステリークレイフィッシュも同様の体色に変化した。
<参考>
【生活環境に関する実験】
<実験2> (補足実験) 水質環境検査 (大腸菌測定シート)
今回実験では、夏季期間に限り、外殻の色が薄いミステリークレイフィッシュが脱皮途中で変
死するケースが多発した。このことから、餌の種類によって、雑菌が多数繁殖して水質悪化させ、
ミステリークレイフィッシュの生育に影響している可能性が高いと考え、その水質環境検査を実
施した。検査方法は市販の大腸菌測定シートを使用した。
<実験2の結果>
146
人工の餌のみの水槽では雑菌の繁殖量が多く、大腸菌シートにたくさんのコロニーが現われた。
このことから、人工の餌のみだと水質を悪化させた。
餌:オオカナダモ
45コロニー
147
餌:人工の餌
81コロニー
食品添加物についての研究
福岡県立筑紫丘高等学校 3 年 藤田 真衣
1、研究の目的
最近、メディアでも食の安全性が取り上げられることが多くなった。その中に、食品添
加物がある。私は食品添加物について「危険だ」という認識しかなく、実際のところはよ
く知らない。この疑問を解決できればと思い、このテーマを設定した。
2、研究結果
Ⅰ、食品添加物の実態を調べる
〈結果〉食品添加物の使用基準は WTO、FAO、JACFA などの国際的な機関により規定
されている。また、さまざまな毒性試験(催奇形性試験、発がん性試験など)が動物を用
いて行われている。予想以上に厳しく管理されていることがわかった。
Ⅱ、食品添加物の環境ホルモンとしての可能性を調べる
8種類の食品添加物について調べる。Estrogen receptorα(ERα)はアゴニストと結合
することで立体構造が変化し、コアクチベーター(SRC1)と結合して複合体を形成する。
8種類のサンプルと実際の環境ホルモン(β‐Estradiol)の吸光度を 450 ㎚で測定する。
Dimethyl Sulfoxide を control として利用する。
〈結果・考察〉
今回は実際の食品に使用されているよりも高い
濃度で実験を行ったが、それにもかかわらず、高い
吸光度を示したのは 3 種類であり、環境ホルモンの
吸光度の値には全く及ばなかった。
このことから環境ホルモンとしての作用がほぼな
いものも多く、私達が日々の食事の中で摂取してい
る食品添加物くらいの量ならば、私達の体にはほと
んど影響はないと思われる。
3、結論
私はこの研究をするまで、食品添加物は危険なも
のだという認識しかなかったが、これらの結果から
私たちの先入観が大きく影響していることがわかった。今回の実験だけで食品添加物が安
全だと断言することはできないが、日常生活の範囲ではそれほど心配する必要はないと思
われる。何事においても、大切なのは適量を守ることである。医薬品も少量ならば病気を
治すのに役立つが、大量に摂取すると死に至る。バランスのとれた食事を心がけ、全て出
来合いのものを買うのではなく、自炊をするとなおよいのではないだろうか。
148
事業成果のまとめ
全体として
本「はばたけ、世界を先導する医学者へ」事業では、全国に募集を行い、高校生コース
24 都府県および小中学生コース 10 都県という広域から多彩な人材が募ることができた。こ
れを可能としたのは、久留米大学医学部や NPO 法人新世紀教育研究会をはじめとする多く
の機関の協力のお蔭である。厚く感謝したい。また、選抜においては、旧来法であり、効
率は芳しくないが、必ず大学教員や大学院生などによる対面型の選抜を行ってきた。この
ため、学力だけでなく非常に高い意欲を持った児童・生徒の選抜が可能となった。一方で、
本事業の募集人員が毎年高校生コース 15 名、小中学生コース 15 名と少なく、多くの有為
な応募者の要望に応えきれていなかった。最終年に本事業で開発した教育プログラムの一
部を持って、高校へ医師等を派遣したが、今回作成した教育プログラムに、如何に汎用性
を持たせるかは今後の課題である。
本事業年度であるこの 3 年間に、世界に打って出るような能力および意欲の高い優秀な
人材が育成できた。高校生の中には大学院生レベルの者も多数輩出することができた。一
方で、1 年では研究・指導期間がとしては短く、更に伸びる人材の育成には不十分であり、
継続した指導が必要であり、本事業の展開・継続事業で改善することを決意した。
慶應義塾大学に、未来の科学者養成講座事業により根付いたこと
 本講座に参加した教員・事務関係者に、
「次世代の研究者を早期に育てる」という意識
が芽生え、その考え方が醸成してきた。また、その意義を同僚等へ伝播する姿勢も芽
生えてきた。
 本講座に参加した若手教員や大学院生の教育力が向上してきた。また、当該教員等が、
児童・生徒をはじめ、一般の方々に自らの研究を易しく説明することの重要性を理解
した。
 慶應義塾大学内で本講座を例として、多種なオフキャンパス教育活動が開始された。
 慶應義塾大学環境情報学部内に平成 23 年 9 月にヘルスサイエンスラボ(講座)が開設
され、AO 入試等の使用も可能となり、受講高校生の受け入れ体ができた。また、H25
年度からは大学院のコースも新設する(下図参照)
。
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評価委員会のご意見と対応(抜粋)
<小中学生コース>
【御意見】高い志の付与が必要である。
【対応】平成 22 年度より高校生コースの募集枠に「小中学生コース継続枠」を設け、本年
度も 2 名が移行した。
【御意見】目に見える成果を出させることがやる気につながる
【対応】高校生と共に勉強会を行っていた中学生を中心として、
「放射線取扱主任者」受験
講座を昨年度に引き続き開講した。
<高校生コース>
【御意見】個人研究としては、1 年は短すぎる。
【対応】未来の科学者養成講座を超えて、本学として、既受講生の継続支援を始めた。
【御意見】世界を本当に見据えているのか。世界、世界と言うだけではいけない。
【対応】米国大学視察や世界的研究者の講演会開催などの事業を実施した。
【御意見】参加高校への成果の波及
【対応】個人研究に継続性を持たせて(継続研究のための募集枠の新設)、高校への成果の
波及を行っている。また、医療関係者の高校への派遣を 2 件行った。
受講生による学会発表リスト
 菊池憧子,井上浩義:高校生による高校生のための原子力放射線教育~実践の利点と
問題点~,第47回アイソトープ・放射線研究発表会,2010 年 7 月,東京.
 菊池憧子,井上浩義:高校生が中高校生に行う放射線・原子力教育,2010 年度 Hiyoshi
Research Portfolio,2010 年 10 月,横浜.
 遠藤友子,東元祐一郎,井上浩義:Screening of natural sources inhibiting xanthine
oxidase ? Quercetin and Luteolin (キサンチンオキシダーゼ活性を抑制する天然素材
の探索-ケルセチンとルテオニンの効果),第 84 回日本薬理学会総会(The 11 th
Southeast Asia Western Pacific Regional Meeting for Pharmacologists 共同開催),2011 年
3 月,横浜.
 矢口翔一,井上浩義:Development of novel ion-exchange resin specifically binding to
advanced glycation end-products (AGEs) (終末糖化産物(AGEs)を吸着除去する新
規イオン交換樹脂の開発)
,第 84 回日本薬理学会総会(The 11 th Southeast Asia Western
Pacific Regional Meeting for Pharmacologists 共同開催),2011 年 3 月,横浜.
 菊池憧子,井上浩義:小中高校生から始まる原子力・放射線教育-個人から家族へ-,
日本原子力学会「2011 年春の年会」,2011 年 3 月,福井.
 清水翔,井上浩義,東元祐一郎:アリルアルキルアミン-N-アセチル転移酵素の SNP に
よる活性への影響,第 48 回化学関連支部合同九州大会,2011 年 7 月,北九州
受講生による投稿論文
 Yaguchi S, Inoue H: Development of novel ion-exchange resin specifically binding to
advanced glycation end-products (AGEs), Int J Artific Organs, submission.
 Hadano J, Ando S, Hishinuma C, Inoue H: Viscosity of Enteral Nutrient and Effect of
Enzymes for Stomach Emptying, Gerontology, submission.
 Kuniyoshi M, Takagi K, Inoue H: Ion transport through the high ion-exchange capacity
anion-exchange paper membrane. Desalination, submission.
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慶應義塾大学未来の科学者養成講座「はばたけ、世界を先導する医学者へ」評価委員会
外部評価委員会
委員長:飯利雄一先生(元信州大学大学院教授;元文部省初等中等教育局視学官)
委 員:清原洋一先生(国立教育政策研究所教育課程調査官;文部科学省教科調査官)
委 員:大久保昇先生(株式会社内田洋行取締役専務執行役員)
委 員:古賀俊一先生(前福岡県立明善高等学校校長)
内部評価委員会
委員長:末松誠先生(慶應義塾大学医学部長;医化学教室教授)
委 員:坂元亨宇先生(同上病理学教室教授)
委 員:福田恵一先生(同上内科学教室教授)
委 員:松尾光一先生(同上共同利用研究室教授)
委 員:安井正人先生(同上薬理学教室教授)
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事務局
慶應義塾大学医学部(日吉キャンパス)化学教室
〒223-8521 横浜市港北区日吉4-1-1
事務担当者所在:来往舎203室
TEL(代表)045-566-1000 内線33103
事業責任者(井上)所在:第二校舎109室
TEL 045-566-1305
FAX 045-566-1305
e-mail [email protected]
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