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コーチング・マニュアル Vol.Ⅱ
ARS Coaching Manual 阿倍野ラグビースクール 2009 年 7 月 12 日 Vol.Ⅱ ≪はじめに≫ ARS を発足して2年余りが経過しました。昨年コーチングマニュアル(初版)を手探りで作成 しましたが、不十分なところや反省を込め原点に戻り再考しました。 コーチングの対象は小学生であり、幼児も含まれます。また、週に一度の練習であるため、 まず子供たちが 楽しく 感じることが大切であると考えます。どの子どもたちもボールを持っ てフィールドを走り回りトライすることが大事ではないでしょうか。そして、自由に走り回り動け なくなった時、そばに仲間がいてくれる。このプレーがわかり、そのときに仲間にボールを渡 せばチームは前へ進む、そして最後にトライをする。ラグビーの持っている自由さの中から 生まれる責任が感じられれば素晴らしいと考えます。また、子どもたちが接触プレーで生じる ケガなどの安全面に対するコーチングは何を差し置きされなければなりません。 性格も体力も差のある子どもたちの集団です。ひとりひとりのことを考えコーチングをしたい と考えます。 小学生・幼児がプレーする 自 由 安全面のコーチング 楽しさのコーチング ① 誰もがボールを持って自由に走る、トライする 責 特に低学年から必要 ② 個々の体力、スキルをコーチング 任 低学年も必要ですが、主に中・高学年 ③ チームとしてのゲーム 高学年が中心 1 安 全 安 全 に対してのコーチングが最重要 低・中・高学年を通して ○ストレッチの重要性 ・ 特に固いグランドでは練習後のクールダウンが最低15分は必要 ・ 膝や足首に張りを訴える時は、アイシングを指示する ○コンタクト・タックルでの安全 ・ 試合中、コンタクトプレーでのケガが一番多発している ※安全なプレーのチェックポイントは、後出の〔§5〕を参照 §1 ラダー、ミニハードルを使った練習法 ・ ラダーを使う場合、同じパターンの繰り返しでなく、低学年⇒高学年にかけて練 習パターンを増やす ・ 中∼高学年は、ミニハードルの使用、またラダー、ミニハードルの混合も有効 ・ ボールを持ってまっすぐ走る (低学年に必要) ・ ワンダッシュ (中学年で徹底的に) ・ ステップ (高学年で) 能力差があるので、できない時は ストップ&ゴー をコーチング 2 §2 ①低・中・高 W=5m L=5m DがAにパスしたところでプレー開始 D ※学年によりコーチがAにパスも可 横、縦の距離を狭めても可 ※Aは必ずトライまで持って行き 大きな声 を出す A Bは新ルールに基づき、Dがパスをした瞬間にスタート ②低・中・高 W=5m L=5m D Aは中央を目がけ走る Dをスピードでかわすか、自分の目の前で スペースがない時は内に切れ込む ※前項に同じ A ③低・中・高 AはDの両サイドを狙ってどちらかを抜く W=5m L=5m D ※前項に同じ A ④低・中・高 Aは目の前の相手だけでなく、その背後を抜ける W=5m L=5m D ※前項に同じ A 3 ★コーチングのポイント ①∼④ ・ スピードの変化と方向の変化を覚えさせる ・ AはDとのある程度の距離を覚えさせ、相手にぶつかるまで接近し過ぎない間 隔を覚えさせる ⑤中・高 W=5m L=7∼10m Dの掛け声で、Aはトライゾーンに向け走り DはAと並行にトライゾーンまでの中間まで走り、そこからDはAを 捕まえにいく Aは、スピードを変えてDをかわす A D ★コーチングのポイント ・ Aは相手に追いつかれそうになったら内側を抜く ・ スピードを変えるタイミング、内側に入るタイミングをつかませる ⑥低・中・高 W=5m L=5m D ●ボール ボールはダウンボールされた状態から始める Aがボールを拾い上げ、Dに当って押す Aが前進できない状態になった時に、スピンしDをかわす A ★コーチングのポイント ・ AがDに当るときは低い姿勢 ・ ボールは相手から遠い位置で持つ ※学年により、 A∼D間の距離は変える D(受け側)はコーチが行う(コンタクトバック使用可) 4 §3 2on1 ⑦中・高 DからA1 へのパスで開始 W=5m L=5m A2 は必ず パス の声を出す D A1 は、スペースを突くか、A2 にパスをするか決める オフサイドライ A1 キック A2 ★コーチングのポイント ・ 人数が多いことを頭においてプレーすることを覚えさせる ・ 各ポジションをチェンジさせる ・ Dにコーチが入ることは可 ・ 最初、Dはコンタクトバックを使う ⑧高 A1 が走りDはA1 を詰める 大きいエリア D A1 はプレッシャーを受けながら 大きなエリア へキックする A2 は、オフサイドラインに気をつけてスタートする オフサイドライ キック A1 A2 ★コーチングのポイント ・ オフサイドの確認をおこなう 5 ⑨低・中・高 狭いエリアでの2on1 W=3m D A1 A1・A2 はタッチラインの意識と狭いスペースの取り方を覚える A2 ★コーチングのポイント ・ §4 低学年はコーチが D を行っても可 エリア幅は学年により変える 2on2 ⑩中・高 D2 D2 D1 D1 パス A1 A2 A1 A2 A1 がボールを持ってスタートし D に絡む D1 を抜いて D2 とコンタクトする A2 がサポートする A2 がサポートする 慣れたら、SH を入れ3on2にしプレーさせる ★コーチングのポイント ・ 人数が多いことを頭においてプレーすることを覚えさせる ・ 各ポジションをチェンジさせる ・ Dにコーチが入ることは可 ・ 最初、Dはコンタクトバックを使う 6 ⑪中・高 W=10m ダウンボールの上体で A1 がボールを取りスタート D2 D1 A1 は D1 にあたり D1 がボールを奪いにいく ●ボール A2・D2 が双方からサポートしトライゾーンへ進む A1 A2 ★コーチングのポイント ・A2 がモギリしたところからスタートも可 ⑫中・高 W=10m D1 A2 はパスをもらってスペースのあるところへいく D2 自分の判断で内か外を考え切れ込む A1 は、最後まで A2 のサポートを行う パス A1 A2 7 §5 安全なプレー のチェックポイント (1) 肩をすくめる体勢 コンタクト・タックル 肩をすくめる体勢 = シュラッグ シュラッグが首を固定し頭を守る (2) パワーフットを踏む パワーフット = 背中、首に力が入る 人間の足の裏は重心より前が地面についている時は背筋群が働き、後ろがついて いる時は腹筋郡が働く (3) 相手に手のひらを見せない = 手にひらを上に向けると肩が外れ易い タックルで、自分の手のひらを地面の方に向け、脇を締めて身体の中央(肩と首の 付け根)で相手を捕らえる(タックルする)のが理想 実際は、 ① ステップを踏み、タックル方向の逆に身体をかわすので、首の付け根で相手に コンタクトできない (肩でコンタクトする) ↓ ② 首の付け根から外れるほど肩に掛かる衝撃が大きく(肩鎖脱臼)、また上腕を外 側へ 持っていかれる 状態になり(肩脱臼)ケガにつながる ↓ ③手のひらを下に向けることにより、肩が上がった状態で固定されるので安全 (4) 最後の最後まで相手を見る ⅰ)身体の構造上、肩が外れにくく力が入り易い ⅱ)上目使いは正しい姿勢を助け、背中が丸くならない ⅲ)コンタクトした後も視線は相手に向け目をつぶらない ⅳ)視線、顔の方向と体の向きは同じ方向を向くので相手を正面に見る ⅴ)頭部正面は、相手の肘、膝が当っても側面に比べ安全 8