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摩擦の研究(特別寄稿)
Author(s)
新上, 和正; 平野, 元久
Citation
Issue Date
URL
物性研究 (1991), 55(6): 577-602
1991-03-20
http://hdl.handle.net/2433/94493
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
物性研究 5
5-6(
1
9
91-3)
摩
擦
の 研
究
*
"・・
・・
mo
delaft
ermo
del・・・
・
・
'
YhatMa
dPu
rs
ui
t(
Basi
cBo
oks
.
Ne
wYork
,1
9
88
)より
F
.Cri
ckの 自伝 ●
(
Yats
onと共にDN
Aの三重螺旋構造 を発見)
AT
R光電波通信研究所 )(a)
新 上和正 (
平野元久 (
NT
T電子応用研究所 )(b)
(1
991
年1
月 24日受 理 )
摩擦の研究 の歴 史
イgf
J
アのルネサン
ス
・
1
5
0
0レ
けルド タ■・
t
'ンチ(
Le
ona
r
d
odaVi
nci
.1
442
-1
519
) 摩擦 の凹凸説 く
最初 の科学 的研究 )
ア
モント
ン(
Guill
au
meAmont
o
ns
.1
63
3
-1
7
05
)
摩擦 の実額 的研究
1
7
00㌢サ
ーキ'ユT
J
エ(
∫.T
.
Des
aguli
ers
,1
6
83
-1
7
4
4)
産業革命 摩擦 の分子説/凝着説
オイラー(
Le
onh
ar
dEul
er.1
7
07
-1
7
83
)
動摩擦係数 の理論
クー
ロン(
C
ha
rl
esAugusti
ndeC
oul
o
mb.1
73
6
-1
8
06
) 摩擦 法則の集大成
1
800
(
凹凸説 の実験 的否定)
1
900 ハイ
ィ
卿(
Y.
Har
d
y,1
864
-1
93
4)
分子説/凝着説 の実験 的確認
ユー
イげ (∫.A.Eyi
ng,1
85
5
-1
9
35
)
分子説 に拠 る摩擦の起源の提案
ト
ムリン
ソン(
G.
A.
T
omli
ns
on)
その理論化
2
000
*本稿 は、 編 集 部 の方 か ら特 に お願 い して執筆 して いた だ い た記事 で あ る0
-5
7
7-
新上和正 ・乎野元久
O
.【内容 の構成 】 この寄稿 は摩擦 に対す る新 しい起源 を説 明す る.本文 中で述 べ る内容 は.機 械
工 学や摩擦 学 (
"t
ri
boph
ysi
cs"と呼ん でいる).力学系や統 計力学 (
エ
紬キ
'散逸,肘ス,
エルコ'イ 問題
を含めた).また ,
CD
Y(
chargedensi
t
yyave)や (
普通 は一次元系 だが特 に高次元系 の一誰 も研究 し
Aubry転移 の物 理 の領域 と関 連 す る.
た人はいな いと思 う-)
内容の構成 は :
1.摩擦 の事始 め :凹凸説 と分子鋭/凝着説.
乙 導入部 .
リ
〃ン
)
の描像 :先ず .ト
ムリ
パンの機構 の物理 的本 質 を与 え,
(
2.
A)分子現 (ト
ム
(
2.
ち) ト
ム1
)
'
J
t
r
/の機構が起 こる条件 に ト
未●吋 仙 な記述 を与 え る.そ して ,
ト
ムリパンの描像が正 しくな
い という理論 的結果 を述 べ る.
3. 新 しい描像.
(
3.
A)摩擦 の力学系,
(
3.
B)静摩擦 : 静摩擦 の起 源 は凹凸説 の機械的噛み合 いの機構 に似 て いる,
紬
(
3.
C)動摩擦 : 動摩擦 に於 けるエ キ`-の散逸が どう して起 こるか を税 明す る.動摩擦 の起源 は
与 え られ た並進運動工紬キ■-か どの様 に内部運動 に散逸 して行 くか とい う問題 と して定式化す る
.並進運動 と内部運動 を位相 空 間を合 わせた体概か並進運動工紬 キ一一が 内部運動 のエ帥キ`一に行 くこ
とで増大す ることか らエ紬キ■-の散逸 は並進運動か ら内部運動 に非可逆 的 に起 こると結論 す る.
(
4) 新 しい描像 の三 つ根拠 .
リ
バンの機構が起 こる判 定条 件 を調べ ることによ って実 際 に起 こ り難 い とい う結 論.
(
4
.
A
)トム
(
4.
B)静摩擦力 : 新 しい機構 に基 づ き計算 した静摩擦 力 の大 きさ と実故測定値 とを比 べた結 果
は我 々の描像 の正 しさを示 めす .
(
4.
C)超 潤滑状 態 : 三 つ の固体が全 く抵抗 もな く加スル滑 る超潤滑状 態 (
s
uperl
u
bri
c st
at
e)の
存在.その実坂 的確認 .その工 学 的意義 .
(
5) 終わ りに.
1.度韓 の事始 め
【は じめ に】 車が うま く走 るため にはタイヤが地面 を滑 らない ことか必要 であ る.
スキーで速 く滑 る
に はスキー板 と雪 の摩擦 か小 さい方が よい.また,
綱引 きに勝 つ には靴 と地面 の摩擦が大 きい方が よ
い.他 に摩擦 を巧 く利 用 して い る例 は沢山あ る.
私達 は摩擦 を巧 く利 用 して生活 してい る.
私達 は
経験を通 して摩擦 をよ く知 って いる に も関わ らず.
摩擦か どう して現 れ るのか を知 って いる人 は
いない.
-5
7
8-
摩擦の研究
【摩擦の法則 】 摩擦力 は二 つの固体 を接触 させ一方 を他方 に対 して動かそ うとするときその動
きに抗する力 であ る.
摩擦力 は二つの固体か静止 しているか 動 いて いるかに従 って静摩擦力 を動
摩擦力に分類 され る.
以下,簡単 のため静摩擦及.
び動摩擦 を一括 して摩擦 と呼ぶ ことにす る.混乱
の恐れがあ るときのみ静摩擦 または動摩擦 と区別す ることにす る.
摩擦 について三つの法則 (
7モ
).2),3)がある)
ント
ン・
クー
ロン
の三法則 と呼ばれ る)が知 られている.(
教科書 と して文献 1
摩擦の三法則 (
注1):
(I
)
静摩擦力 は摩擦面 に働 く垂直力 に比例する.(
見かけの接触面積 の大小 に関係 しない)
(日)
動摩擦力 は滑 り速度 の大小 に関係 しない.
(日 日静摩擦力 は動摩擦力 よ り大 きい.
(
注1
)(
一
日Ⅰ
)は当然 の ようで当然 でない.滑 りが原因で滑 り面 の焼付 けが起 こる場合があ る.アモン
ト
ン・
トロンの摩擦法則 は私達 の 日常生活す るレへ
■ルでは良 く成 L
J立 って いるように見える(
滑 り速度
が1
ml
e
n
/
砂以下 の ように小 さ くな ると成 L
J
.
立 たな くなる).一方 .
現在 の工業技術では非常 に微
細 な領域での摩擦が重要 とな っている.
例えば,計算機 のプロyt
'-・
デL
スケと(
数十か ら数千書け スト
ロ
ー
ムのすげ の ものか考 え られて いる)磁気へサr間の摩擦かあ る.更 に,
A
F
M(
at
o
mi
cf
or
c
eⅦi
c
r
os
c
o
pe)は原子レ
ヘールの摩擦力を測定す る.この様な微細な領域 でア
モント
ン・
トロンの摩擦法則 は必ず しも成
立 しない.一体.
摩擦法則を どの様 に考えはよいのであろ う?この問 いは随分筆者連を悩 ませた.
摩擦 は.
研究者の興味か どこにあ るかに応 じて見え方か変わ る,従来 のス如 トと した割 り切 り方 で
は処 しようのない蔓陀尾の よ うな対象であると思 うことに して いる.
・
摩擦の最初 の科学的な研究 を行 な ったのはイ
タリ
アのルネ
サン
ス期 のレけルド タ
'・
ヒ
'ンチである.(
摩擦 の歴史
),5)
.6
))彼 は 日常で手 に触れ る石や木 を対象 に精微 な摩擦研究を行ない†
摩擦
に触れた文献 は4
係数-の概念 を導入 した.その後十七世紀か ら十八世紀前半 にか けて摩擦研究が一気 に咲 いた.
十
ラン
スに渡 り工作機械 の性 能向上 ・
耐久性向上 とい った機 械
八世紀のイキ◆リ
スに起 こ った産業革命 はフ
フ
ラン
ス科学アカデ ミーは摩擦 の論文の懸賞募 集を行
技術の信頼性 を確保す る 目的で摩擦研究を促 した.
い,今 日静電気学 で長 く知 られ ているトロン
か摩擦の法則 を纏 めた.
摩擦法 則 の成
【摩擦の起源】 7モンけ・
卜t
l
ンの摩擦 法則 は5)・6)十八世紀 中葉迄 にほぼ確 立された.
-5
7
9-
新上和正 ・乎野元久
立の原理について当時の研究者 はどう考えていただろう?一二つの税があ った.
」 つは凹凸税で
あ りもう一つは分子悦 または凝着現 と呼ばれるものである.
ー図 1
凹凸税 :レオナ
い
'
・
タ̀・
ヒ
'
ン
チを含め殆 ど人 々が摩
擦抵抗の発生する理 由と して考えていた税で
ある.これはトロンの言葉か らも知 ることか出来
る.「互 いに滑 り合 う二つ の面 の摩擦抵抗の物
upperbody
.
.
二 .
理的要因は表面凹凸の引 っかか りによる以外
に考えられない.そ こでは凹凸部 に曲げも破壊
も凸部の乗 り越え も.また.接触部が接近する
t
owerbody
ために潰れる事 もあるだろ う.(
図1
)ともか く
これ らの引 っかか りを克服せねばならない.これ らの内何物か起源であるか これを決定するのは
実験であ る」.この様 に表面 の凹凸の引 っかか りが摩擦力の発生す る基本原理である■
と考えた.
十七世紀の終わ L
Jか ら十八世紀の中頃蓮論議が重ね られ.凹凸悦 は次第に固まって行 った.
分子説または凝着鋭 :分子説 は,凹凸説か支配的な十八世紀 中頃は極めて過激的で,寧 ろ,
異端 で
J
エは.7)
鉛の球か ら直径四分のあ った.この説 は個人的な桂台か ら現われた.
物理学者デサ'キ●ユl
イン
チ
程の破片(
け メ州)を切取 L
J同 じように切 L
Jとったもう一つの鉛の球に手で少 し捻 L
Jなが ら強
-2
0
如ケ'ラ
ムで引 っ張
く押 しつけたらこつの球 は くっつ いて しまった.その付蕎力か予想外 に強 く7
ってようや く離す ことが 出来 た.この事実か ら凹凸説 に不信 を抱 いた.「表面が平で滑 らかなほ
ど摩擦面 は互いに接近 し表面 の分子力の干渉は増す.
摩擦力 の起源を分子の干渉である」 と信 じ
た.そ して.「平面 を どこまで もなめらかに磨いて行 けばいず れは摩擦は増大する筈だ」 と予言
した(
分子税).この考えはその後.接触弧 こ於て凝井 を生 じその部分のせん断の力が摩擦力の本
質的なものだとす る (
凝清規 と呼ばれる)考えに引 き継がれた.この税は接触部で凝着現象が起 こ
ることか一つの前提 にな っている.
二つの税の反駁す る予言 :
(
l
)
滑 らかな表面 :
凹凸税 に基づき当時の多 くの実額者 は滑 らかな面 は粗い面 よ り摩擦が小 さい
と言 っている.反対 に.分子説/凝着税は滑 らかな面同士の接触 は凝着面積か大 き くな り強 くせん
断力を生 じて摩擦力 も大 きいと結論する.
(
2)材箕依存性 :
凹凸説で は表面 の凹凸のみに摩擦力 は関係す るので摩擦力 はあま り材質に依 ら
- 580-
摩擦の研究
ないと結論するれ 反対 に分子悦/凝着税 は由子力または凝井力 は分子種 に依 るので材算に強 く
依存すると結論す る.
トロンの時代には稚 もか凹凸説 を信 じなが ら其の根拠には積極的なものか欠けていた.デサ
■キ'
ユ
リ
工
の分子税は予言的な性格 を持 っていたが積極的支持は少なか った.デサ
■
キ'ユr
J
エの後百年の間彼の
'
ン
ス(
S
.
Vi
n
c
e
,1
7
4
9
-1
8
2
1
)ぐらいである.摩韓力 は荷重に比例す る
見解に味方 したの は物理学者 ヒ
のに大 して付着力 は面棚 に比例す る.だから分子税に基づ く付井力 は摩擦力 とは無線の力であ る
と考えられていた.
二十世紀以前では.凝井 による物性 的性賞か ら.また.凹凸の形状か らそれぞ
れ摩擦係数 を数式化 し.その計算値 を比べて も数字だけからは二者択一 の結論 は得 られなか った
.また 「表面の凸凹を小 さ くして行 けば何れ二面の表面分子 は互 いの分子間力の引力圏内に入 り
両者の間に強い凝着が起 こ り其れが摩擦力だ」 と子■
サ■
キ'ユT
JI
は予言 しなが ら実証出来なか った.
しか し,ようや く期 は熟す.十九世紀 は摩擦の論争は摩擦法則の確立のために行なわれたのに対
して二十世紀 は摩擦法則の解釈を巡 って行なわれ ようと していた.この予言は二十世紀 にな って
モント
ンまで凹凸悦の道 の りは二百年.その完成期トロン
の
ハイ ィ
卿 に依 って証 明され る.レ
けい'か ら7
デサ
'
キ
●ユ
l
J
lの分子説 もまた,次の分子論者 (
明治期外人雇われ教師で 日
時代まで三百年を要 した.
∫
.
A
.
E
yi
n
g
.1
85
5
-1
9
3
5
).1
1
イ ィ
卿(
Y
.
H
a
r
d
y
,1
86
4
11
9
3
4
)まで百五十年
本に来たこともあ る)
ユーイげ (
.その発展的変身である凝清規の完成 したと見られる現在 まで二百年 を要 している.それは技術
上の理 由があ った.
表面 の仕上げ技術 と他方 は固体表面の清浄化技術.電子工学管による真空技
術.清浄環境考作 る技術 も一応の段階に連 していた.
表面の仕上げ技術 ・
接触測定技術の進歩が両
1
0-13T
n
mHg
以上
者の決着の準備 した.(
最近 の宇宙技術の中には其の機械の可動部分か高い真空 (
)にさらされるものかあ りこう した真空中の摩擦の研究は新 しい応用技術の分野 ともな っている
)
凹凸説 に実態的否定 :
・ハイ ィの実態
8):
デサ■
キ■ユリ
工に発患 された摩擦の分子税 に山ほどの実巌 的データで揺 るぎない基
盤を与えたのは細胞学者 ハイ ィ
である.1
9
1
9
年,
1
9
2
0
年の論文で八一㌢ Lは十分 に洗浄 したが ラス
面の
ス
`と粗 く磨 いたレン1'では輯琵なレン
ス●の方か摩擦
摩擦実額か ら重事 な発言を した.稀麓 に磨いたレン
力が大 き くなることを実験で兄い出 した.この実駿は摩擦 は凹凸に拠 さとする税を否定 した.
・他の凹凸悦を否定す る実態 :
-
581 -
新上和正 ・乎野元久
(
i
)
わずか な汚れ で も摩擦係数 に大 きな変化かあ る.凹凸の形 に全 く影響 しない分子膜程度 の汚
れが摩擦 力に大 き く影 響 す る という事実 は凝着悦 の強 い支 え とな っている.
(
ii
)凹凸税では,接触 す る面 は凹凸を持 ちこれ らか機械 的 に噛み合 う.
動 かす ためには上下 の固
体 の凹凸 を解 くため に上 の固体 を持 ち上げ るために力が 必要 とな る.これが摩擦力の発 生源理 で
あ ると説 明す る.凹凸税 は静摩擦力 の起源 を主張す ることは出来 る.しか し.凹凸説 の最大 の弱 点
はそれが動摩擦 に於 け るエ紬キ'-の散逸 (
注 2)を説 明出来 な い ことであ る.何故 な ら上 の固体 を持
9)
スト
ラげ は実 際 1
9
4
9
年 に摩擦 中の固体 の上下運動
ち上げ る力 (
重力 )は保 存力であ るか らであ る.
-7
ハ●セント
程度 で上下運動 か
を測 って上下運 動 の仕事 と摩擦 の全体 の仕事 を調 べ ると.その比 は 3
らの仕事 の撮尖 は殆 ど無視出来 ることか分か った.この結 果 は凹凸税 に如何 なる修正 を加 え よ う
とも摩擦 の発 生原 因 に成 らな い ことを意味す る.
一方.
凝着 説 に於 け る間鹿 は面 に垂直な凝着力 その ものが 実 際に出現す るか どうかが 問題 であ る
.二面 を押 しつ けた とき もも しも接触面 に凝潜 とい う分子 間力 ・
分子間力 による村井現象 が生 じ
其 の結果 と して横 に引 いた ときその部分のせん断抵抗 と して摩擦 力か現われ る ものだ とすれ ば
押 しつ けたこ面 を再 び垂 直 に撫 して も当然摩擦力 に相 当す る力,凝兼力か現 われ る筈 であ る.し
か し,日常 の常 輔 であ るように横 にすべ らせれば万物 なん らかの摩擦力 を示す のに上 に持 ち上 げ
るときには ものが離 れ ないで居 ると言 うことはな いのであ る.これ は凝井税 の開祖 であ る八一デ ィ
自身か早 くか ら取 り上 げてい る難 問であ った.同時 に凹凸説論者か ら反撃 され ている論 拠 で もあ
2
1
った.この凝着 力 の存在 はその後実験 的に確認 され た.
(
注2)摩擦 の起 源 :静摩擦力 は動 かすのに必要 な力 であ る.
一方 ,
動摩擦力 は一定の速 度 で動 か
し続 けるのに外 か ら加 え る力 であ る.
従 って.この動摩 擦力 は仕事 をす る.
動摩擦 は絶 えずエ紬ヰ一
一を放 出 (
散逸 )す る過程 であ る.クーロンは.
実験 的で動摩擦力 は滑 り速度 にあ ま り依存 しな い こ とを
知 った.摩擦 の起源 はそのエ紬キ■か何か原 因で/どの様 に散逸 す るかか核心問題であ る.静摩擦 の
ほ うは何 とか な る.
J
L(
分子説 による摩 擦 力 の起源 :凝着力 の重要性 に初 めて気 づ いたのは英 国の物理学者デサ'キーユT
D
e
s
a
g
u
l
i
e
r
s
)であ る.しか し.二つの面 間で働 く凝斉力 と面 問 に沿 って現われ る摩擦力 とは違 っ
ている.分子説 にせ よ凝港税 にせ よ摩擦仕事 か必要 にな るには摩擦方 向 に出現す る力か な くて は
-5
8
2-
摩擦の研究
な らない.摩擦力 と凝着力 はどの様 に関係 して いるのであろ う ?此 の問 いに対 してユーイげ は初 め
て摩擦 によ るエ紬キ■一視矢 は凹凸の上下 で はな く固体表面 の分子 の鳩 の相 互干 渉 に拠 る ものだ と
ム'
)
n ン(
G.A.
T
o
ml
i
r
L
S
On)
が " )定式化 した.ト
ムT
J
州 ンは摩擦力 の現 れ を分子 ・
原子 の引力
説 明 し.後 に ト
の場 に於 け るそれ らの相対 的運動 の中 に現われ る力 の中に求 めた.
彼 は個 々の原子 の非断熱的運
動 を仮定 した.非断熱 的運動 に依 って個 々の原子 の弾性工紬キ一一
か振動工紬キ■一に変化 す る.
振動エi
ルr -は周囲 の原子 を振勤 し自分 のエ紬キ■-を失 って行 く.
つま L
J.熟 と してエ紬r -か拡散す る.(
級
で詳 しく説 明す る)ト
ムT
JH ン
は,エ帥キ'-の散逸か起 こるためには この様 な機構が 必要 で る主張 して
いる.一 口で言 えば原子の運動方 向 の変位 に合理 的に非可逆過程 を持 ち込 ん だ.しか し,
彼 はその
よ うな機構 か起 こるか どうか につ いて尋 ね なか った.
一方 ,著者連 は 日
)・12)清浄で平滑 な (
理想 的 な)固体表面 間の摩擦 を研究
した.構成原子かモー
ス(
M
ors
e
)またはシ′け ソン(
J
oh
ns
on
)・ホ
●テンシルで相互作 用す る多粒子系 を考 えた.これ らの相互作用 未
弓
ン
シャ
ルを選択 した理 由は実際の ものを十 分 にシミュト トしてお り.
得 られ た結果が現 実 の ものに対 して
意味 を持つ ように したか ったか らであ る.そ う して ,ト
ムリ
州ンの機構が起 こる条 件 を導 いた.
此の.
条
件式 を色 々な摩擦 系 に適用 した結 果 ト
ムT
J〃 ン
の機構 は実 際の系 で は起 こ t
J難 い とい う結論 を得 た
2
.*^S
A
. 【トムリンソンの描像 】
・物理 的本 質 : ト
ムT
J
H ンは 18)
動摩 擦 のエ紬r 一散逸 の原子論 的な機構 を与 え た.以下 .彼の機構 の
物理 的な本 貨を述 べ る.
相互作 用 して いる四つ の原子か らなる (
それ らは 1
,1
'
.2
●
.3
■と番号 を打
●.2■3●は下 の固体 を形成 してい
つ)摩擦系 を考え よ う.
原子 1は上 の固体 の一部 を構成 して いる.1
る.
図2
(
図 2)上 の固体が (
固定 した)
下 の固体 を滑 る と
きの原子 1の振舞 い に注 目す る.原子 1
か原子 2
'
'か ら強 い引 力 を
の上 にあ る とき原子 1は原子 2
撃 、
∫\
受 けて いる (
と思 う).滑 りで,
原子 1は右方 向 に
動 く.動 く距離が小 さいと此 の運動 は原子 1
が弾
性工紬キ■-を蓄積す る.原子 1
かあ る拒撫以上 に動
くと原子 3●か らの引力か原子 2●か らの引力 と競
ー5
8
3-
。
l
-
i
2`
\
\
、
。
3
`
\
\
新上和正 ・乎野元久
合 し打ち勝つ.もはや,原子 1は原子 3●の上か好 ま しい位置 となる.ト
ムリ
パン
は.原子 1
が 非断熱的に
(
急 に)その位置を変化 させ ると仮定 した.急 な位置変化 はそれまで蓄えていた弾性 工
紬キ'-を原子
1の振動 または運動工紬キーーに変換す る.原子 1
の運動工紬キ'か更に周 りの原子 の運動工紬キ'-に散逸
して行 くであ ろ う.
此 の描像 はエ紬キ'-散逸 の非可逆過程 を 自然に税明 している.反対 に.
原子 1
か
の弾性工紬キ'が振動工
紬キ■一に変化 す ることはな
ゆ っくL
Jとその位置を変化 させ る場合 には原子 1
い.これ は断熱定理 (
注3
)か らの結論 され る.
(
注 3)摩擦系 を特徴づ けるタイ
ム・
ストルを挙 げて置 く.滑 り速度 は秒速 1mm-l
m程度 であ ろ う.原子 の
原子一 回の振動 時間で上 の固体 は 10 17110 14m滑 る.この臣鞍 は
振動数は一秒 当 り1014回程度.
原子間隔 10IlaT
n
に比べ非常 に小 さい.従 って.滑 りによ .
?て生 じる原子の感 じるホ
●テンシ沖の変化 (
宅1
)は非常に小 さい.この ことは原子 1か く
急 にその位置を変え るよ うな機構
変化率は 10-7-10 4く
●
テン
シ川の変化 を十分 にフォロ
ー出来 ることを示 して いる (
断熱定理
か なければ)
滑t
Jで もた らされ る未
).その時.弾性工紬キ一一
が振動 ・
運動工紬キ'-に変換す る過程 は起 こらない,
・モデルに拠 る鋭 明 : 上記の過程 を簡単 なモデーを使 って鋭 明する.原子 1
は,上 の固体 の一蔀を成
下 の固体 と相互作 用す る.原子
すが他の原子 (
簡単 にその位置を Qで表 わす)と相互作 用 し.且つ,
ホ
シャ
ル
1の平衡位置 に注 目す る.平衡位置 は ●テン
V(
∫,
Q
)
;
vl
(
∫
Q
)
+
V
2(
r
)
(2 . 1)
の極小点で与 え られ る.v
l
(
r
Q
)は原子 1と座棟Qとの相互作用.
V
2(r)は原子 1と下 の固体 との相互
作 用であ る .
Qは固定 した下 の固体 に対 す る上 の固体 の滑 り距離 を与える.原子 1の平衡位 置はQの
Q
),チ ;
(
Q
).
r;
(
Q
)
のような記号 を使 用す る.
関数 であ る.以下 で.この こと隈に表わすためにr(
ト
AT
)H ン
の描像 はホ
●
テン
シ川の変化 で現わす ことが 出来 る.ホ
●テンシャルV(
r
,Q)の形 はQに依存す る.
適 当な
条件下で ホ
●テンシャ
ルは色 々な形 を取 る.図 3(
a)で左 の極小 点は図1
で原子 1
が原子 2
'の上 にあ る平衡
●の上 にあ る平衡位 置を表わす`原子 1
か右 に変位 す る と左 の極
位 置を表 わ し.右 の極小点は原子 3
●の
小 点は上昇 し右 の極小点は下が る.これ は原子 1
の好 ま しい平衡位置は原子 2-の上 か ら原子 3
のあ る値以上 の変位 では原子 1の平衡位 置 は原子 3
'の
上 に移 って きている ことを意味す る.原子 1
ー5
84-
摩擦 の研究
上 に移 る.図3(
b)ではエ
i
小一一差 AEが,原子 1の平衡位 置を非断熱的 (
急激)に左 の極小点か ら右の
運
極小点に移す変化 を通 して.
原子 1の運動エiけ 一に変換す る・
図3(
a)
勤王紬キ■-は更 に周 りの原子 の振動 を励起す ることに消費される
.
つ ま り,熟工紬キ
`一に変換 され る.(
最後 の過程 はそのように想像
エ
す るのであ る)ト
ムl
J
Hンの機構の ヴ
セン
スは原子 の平衡位置変化 に現
栄
われ る不連続性 であ る.同 じ機構か他 の人 々 (
阪大 の森 ら,13)
国のゾコ
ロ
ブ(
∫
.
B
.
S
o
k
ol
o
f
f
)
1
4
)
に依 って捷案 され ている.
ト
ムリン
川 ま可 能な機構 を提案 したか実際に現 われ るか どうかにつ
く
b)
いて疑問を持 っていなか った.
以下 で.その現われ る条件を実際
に導 き.ト
ムリ
州ンの機構 は現実の系で は現われ に くい と結論する
ち
. 【判定条件 】
・ は じめに : 原子 の平衡位置の不連続性 の現れ は原子が任意
の平衡位置を取れないことを意味す る.これ はV(r.Q)の rに関 し
て2
回微分が 負 と・
なる条件 と等価 であ る.
例えばd
2
V
2(
∫
)
/
d
r
2
の最 も大 きな負債 を取 る場所で (
そ
の位置 は図 3(
b)に矢印で示 してあ る).ト
ムリ州ンの現われる条件 は
d2 V(r,Q)/ d
r
2
=2
vl ∫
-Q
d
(
)/ d r 2+d
22(∫)/
V
d r
2
く O
for
a
cr t
e
a
in
Q
.
(
22)
.
ここで ,
ト
ムT
J
ンルの機構が現れない場合があ ることに気づ く,例えば,
vl
(
r
Q
)
=
kl(
Q
r
-9)
2(
k
l
:
弾
性定数 ・
.9・
.
Qとr
の平均臣脊)とV
2(
r
)
三
k
2
S
i
n(
r
)を仮定 して (
2
.
2
)
に代入すれば,
条件 k
l
く
k
2
を得 る
.
k
l
=
1
.
k
2
く1
で.
ト
ムT
J
Hンの機構 は現われない.つ ま L
J.ト
ムl
J
ン竹の機構 は上下 の固体か (
1
1
●
ラトクー
k
2
で指
定 され る)結合か強 いときのみ現われ る ことを示唆す る.この示唆は,
一般 的に正 しい.
何故な ら
ば結合か弱 いときには上 の固体の原子位置 は下 の固体原子か ら影隼 をほんの少 ししか受けない
か らであ る.
・t
i'ロリ
ー仙 な記述 : t
i
'ロ
ン
`-を使 う理 由は判定条件 の直感理解 を助 けるか らであ る.ll
)
且つ,
判定条件 の高次元化 に指針を与え るか らであ る.平衡位置r(
Q
)はホ
●テンシ†*面 Ⅴ(
Q
,r)のr
に関する極
ムサ〃ンの機構か起 こるか起 こ
小点に対応す る.Qか色 々な値を取 るときr(Q)の集合 Dを定義す る.ト
-
585 -
新上和正 ・乎野元久
のト●吋 '
帥な性算か ら以下のように理解 出来 る.
V
2(
r
)
が結晶のような周
らないかの問題は集合 D
ホ
図4
期性 を持つ とす る.この
時.
o≦r(
Q)く9(
9:
結晶
の周期長)内の単位領域
Dを繰 り返 して敷 き詰め
ることで全体のDは得 ら
のト
ホ
●ロシ■-か
れ る.集合 D
,ト
ムt
J
'
Jl
Jン
の機構が生 じる
か どうか否かに応 じて
「︰
∵
1
「
/
・
.どのように変化す るか
図4
に示 してある.v2(
∫
)は細 い曲線で示 してあ
る.ト
ムリ
パン
の機構か生 じるないときの領域 は連結 した太線で,また生 じるときは途切れ途切れに
の中段では)
滑 りによって.
原子 は連続 的にその位置を変えな
な った(
非連結な)太線 になる.図 4
の下段では)
原子 は二つの非連結 な単位領域 をシ■† ●して
が ら動 くことが可能である.他方.(
図4
〃
(
つま り非連続的に)
動 けるのみであ る.こうように.ト
ムr
)
Hy
の機構が生 じるか どうかは領域 Dの ト
ホ●t
l
y
'
加・
な性質を深 く関わ っている(
注4
)
.
同様の鵠論は.
上下の固体の接触す るような接触面か
2次元 になる実際の摩擦系に適用出来 る.
(
注 4)ここで.
A
u
b
r
y
転移 との関係を話す.
A
u
b
r
yは 15)・16)l
t
'i
で最近接原子間が相互作用 し.且つ
.下 か ら三角 関数で与え られ る*
●テンシャ
ルく
その周期長を1
.また.その強 さが 八 ●
ラメート k
2
で与えられる
F
r
e
n
k
e卜Ⅹ
o
nt
r
o
v
a(
F
K
)
モデル)17)の基底及び準妻 定な粒子配置を求めた
)を持つ一次元多粒子系 (
.特 に,
粒子間の平均距離 Bか無理数値であ る時.基底の配置はk
2
の小 さい場合 には,
k
2
=
0の配置
,つま り,
粒子が等間隔 Bに並んだ配置を連続的に変形させて得 られ る.
更 に.
k
2
を少 しずつ大 き
=
0の配置 を非連続的に変形させて得 られ る配置になる.連続性か ら
くさせると,基底 の配置はk2
非連続性 への転移 をA
u
b
r
y
転移 または解析性の破れ と呼んでいる.数学的に表現す ると.i
番 目の
粒子位置 はr
i
=i
19+中+
f(
i
IB+中) (
○:
任意の位相)で一般に与え られ る.fは被覆関数 (
hul
lf
u
n
ct
i
o
n
)と呼ぶ.∫(
x
+1
)
≡
f(
Ⅹ
)
の周期関数である.このf
はk
2
に依存 し.
k
2
が小 さいときf
は連続関
数,
k
2
かある値を越えると非連続 関数 になる.
連続関数か ら非連続関数への転移 はは●ロ
y
'
変化 と
して捉え られる.
ー5
8
6-
摩擦の研究
・ 高次元化 : 領域Dが図5に上下の面の結合が増大するするときの様子が与えてあ る.
下の固体
の接触面 は長方形になる場合であ る.
一次元の場合 と違 った点は原子か連続 的にその位置を変え
て行 ける経路か滑 り方向に依存す ることであ る.
例えば,図 5
を考える.原子 は図 5(
aト (
b)では佳
ムl
J
Hンの機構が現われない.図 5(
C)では原子 はx方向では ト
ムl
J
Hンの橡横
意の方向に滑ることとき ト
が現われるか y方向には滑るときは 帖 t
r
J
l
rJ
の機構か現われ る.図 5(
d)では
任意の方向に滑ると
きト
ムリパンの機構か現われる(
注5
)
.
図 5(
a)
(
b)
.
:
.
:
.
:
,
:
.
:
.
:
.
:
.
:
.
:
.
:
.
:
.
:
.
:
.
:
∨ノー
y
▲ー
「-I-
「- -
T- -
「
暮「
1
-1
yー
y▲
ー
-「一一一一」
_____」
ー
>
-×
×
(
注5
)
摩擦系では固体の接触面 は二次元であ る.一次元系でのAu
br
y
転移 に類似 した現象が二次元
系 で も起 こる.領域 D
のl
i
'ロン
■が変化す るときに対応 している.この時,
摩擦がセ't
]
か ら有限にな
-5
8
7-
新上和正 ・乎野元久
るので一摩擦転移-と我 々は呼んだ .1日摩擦転移 は滑 L
J方向依存性を持つ.また.
摩擦転移 は二次
元あるいはよ り高次元では非常 に起 こり難 い現象であ る.
何故な ら.高次元 であればあるほど領
域 Dは非連結領域 に分割 され難 くなる.
のような形の
さて.
蓑 眼なる読者 は次の疑問に気づ く.図 6
図6
領域の場合 には.
上 のように簡単 にいかないだろう.図 6
のカ -
′ ei
スフ●付近 の原子 は領域の境界を通 って連続的に位置は変化 し
ない.この甥合 は.原子の運動 は滑 り方向に依存 して多種多
様 である.
幸 い.金属結合のような二体の相互作用では,この
形 の領域 になる場合 は(
計算機シミュトリ3ンの結果)ない.
二次元
以上で完全な理論 を展開す るのは大変である.
・ 判定条件の色 々な摩擦系への応用 : 相互作用する多粒系か らな.
る三次元摩擦系を考察 した
.摩擦系 は
V(t
ri
(
Q)I,Q);1
/2∑it
∑j
Vl(
rj(
Q)-rj(
Q))+V2(
ri(
Q))).
2
( .3)
Qは上の固体の重心座棟を与え るへ
'ク川で
;
㌔:ri(Q)/N
Q
(
2
.
4
)
u
で与えられる.ri(
Q)は上の固体 の i
番 目の原子 の平衡位置座棟であ りN
Uは上 の固体の原子の総数
臨界点 と呼ぶ)
,つま L
J,下の固体表面 隣あ った二つの原子を結ぶ稜線 の
である.領域 Dはあ る点 (
a)の矢印の点)判定条件 はホ
●テンシ†
帖紬キ■かその結界点で稜
中点で連結するか否かであ る.(
図 5(
線 に垂直な方向で上 に凸になる条件で与え られる.
此 の方向を S:(sx.sy)で与えると.
vc
=
v xxs 2
+ vX
c
x
vQ β=
君
2
リ
sx
s
リ
+V
州
S
リ2
く
0.
,.a β (S - rj(
Q)).V2 Q β
2 5)
(
.
2
(
( .6)
S).
-5
8
8-
摩擦の研究
Qa
(
s)は各 々 q.βに関す る 2回の微分 であ る.
VIQ a
(
S-rJ(
Q))とV2
ト
ホ●ロン■仙 な性 算を fccや bcc金属か らな る摩擦 系 で調 べた.
原子 間 ホ
●
テ
ン
シルl
Zvl(
r),V2(
r)はモース(
N
・
orse) ホ●テ
ン
y†
ル Ⅴ(
r)-D (exp-2Q・【
r-r8]-2exp-a 【
r-r匂】) によ って与えた.これ らのハ
●ラメ
ダーはTa
bl
eI
に挙げ てある .18)上 の固体の原子 はその位 置 を積和 す るが下 の固体 の原子 は固定 してあ る
面 であ り
.此 の仮定 は最密原子 表面 を下 の固体表面 に取 る ことで満 たされ る.fcc金属 では (111)
bce金属では (
11
0)
面 であ る.
はモー
ス・
ホ
●
テ
ン
シ川の再 メ
トDの関数 と し
計算 では上 の固体 の原子か三次元 的に緩 和 させ て いる.図 7
TQbl
e I Morse pol
enli
olconsI
Qnl
s.
・mel
ol
ro (A;
●)
・D (eV )
-
N
2.
780
0.
4205
2.
866
・3.
253
0.
3429
0.
2703
2.
976
3.
032
2.
754
0.
8032
0.
9906
0.
441
4
i
CU
Af
Mo
W
Cr
J
0.
2348
0.
3323
H!Un .qD)3'
3
n
Ag
3.
733
3.日 5
.
PP
0.
25
0.
5
0.
75
L
OO
Pol
e
n
l
i
Qipo
r
o
me
i
e
rD
て vCCを示 してあ る.vCCは詞 べ た全金属 に対 して正 の値 を取 る.この ことは ト
ムT
J
ン
t
J
ンの機構 は現 わ
れ に くい ことを示 す.vccの符号 は負 のvlと正 のv2の競合 で決 まる.これ らの値 を調 べ る と結界 点
か小 さな負債 とな るためであ る.この ことは ト
ムl
J
yt
J
yの機構が何故起 こ L
J難 いか を示す .
で特 にvl
ト
ムリンソンの機構 は金属結 合 の様 に強 い相互作 用で も起 こらな い.弱 い相互作用 の時 は既 に嫌論 され
て いる.27)こう して,我 々の結論 は色 々な強 さの凝蕎力 の場合 も成立す る.
3. 新 しい描像
A. 【摩擦 の力 学系 】
-
589 -
新上和正 ・平野元久
原子 は連 続的に平 衡位 置 を変 えて滑 る ことか 出来 る.こう してエ帥キ◆-の散逸 は ト
ムT
J
州ンの機構 で起
こらない.それで は.
エ紬キ'-の散逸 .
摩擦 の起源 をどの様 に考 えた らよいであろ う ? 次 の式 で与
え られる摩擦系 を考え よ う.
H(t
p;
I.t
ri
l):∑i
pi
2
/2
+1
/2∑it∑j
Vl(
ri
-rj
)+Y2(
r;
)I.
(
3.1
)
これ は (2.3)に与 え たモデルに各原子 の運動 工紬キ
`-を加 えて得 られ た.
右辺 の初項 .第二項 .
第三 項
はi
原子 の運動工紬キ
●-.上 の 固体 の原子 間の相互作用,上 の原子が下 の固体 の原子 か ら感 じる凝着
工紬キ`-であ る.
V2(
r)- ≡j
Va(
r-rj
)(
va(
r):上下 の原子 間の相互作 用であ る).
摩擦す る過程 では.
並進 の 自由度.つ ま り.
上 の固体 の重心座棟 と内部運動 を吉
己述 す る残 りの 自由
度 を区別 す るのか便利 であ る.
次 の記号 を導入す る.(
P,Q=∑;
rJNu)と (
事;
≡pi
-P,
fi
=ri
-Q).
此処
で PとQは各 々並進運動 を与 え る運動量 と座標 であ る.またFiとfi
は各 々内部運動 を与 え る運動丑
と座棟であ る.これ らの記号 を使 うと.
摩擦系 は
汁
H
(
(
5i
l.t
fi
). Q)
: U 2/2+≡
P.
O(は り.t
f iI
)
-∑
N
ふ
P
2/2
+ 1/
iV
2( +Q)
+恥
F i
2∑ i∑ jYl(テ
(
i
I).
t声 iI.t f
i
fj
)
.
(
3
.
2
.
a)
(
3.2.b)
上 の固体 の 内部運動 のみ の 自由度か らなるH8(作り.t
fi
l)は第二項 つ ま L
J凝着項 を通 して並進 運
3.2.a)か ら
動 と結合 (
相互作 用)す る.重心 の運動方程式 は (
dP
/dt=F(i
fi
I.Q). dQ
/dt=P.
(
3.3.a)
F
(
(
〒
i
l,
Q
)
は重心 に働 く力 で あ り
(
3.3.b)
F(i
fi
I.Q)≡-(
1
/NU) ≡i∂V2(
fi
+Q)
/∂Q,
で定義 され る.
B
. 【静 摩擦】
簡単 のため一次元摩擦 系 で静摩擦 の描像を述 べよ う.
上 の固体 は簡単 に鎖 で現 わ され て いる.原
-5
9
0-
摩擦の研究
子が下の団体 の原子 か ら相互作用す る.
ここで,
-次元鎖 に外力 を加 えて右方向に動かそ う想像 しよう.各原子 は相互作用の ホ
●テ
ン
シャ
ルを萱
だろう.その時原子 間の距鞍 は適時変化 して最適 の臣廿 を保 とうとす る.
抵抗力が摩擦力であ り
これは全ホ●テン
シ†
k・
エ紬キ■-を求めこれをQで微分す ることで得 ることか出来 る.
あ るいは摩擦力 は
各原子が下 の固体 の原子 か ら感 じる力のx
方 向に沿 った力の総和であ る.
上の固体 の原子 間の力
は摩擦力には寄与 しない.
何故な らばこれ らは内力 であ り総和 は正確 にセ'ロになるか らであ る,磨
擦力 と して
(
3.4.a)
Fs(
Q)=∑ i∂V2(
Fi(
Q)+Q)/∂Q,
(
3.3.b)を使 って
(
3.4.b)
・
-NUF(I
fi(
Q)I.Q).
このFs(
Q)の正部分か静摩擦力を与える.正部分 を とる理 由は抵抗す る力か摩擦力 に対応す るか
らであ る.この描像 は簡単 であ り凹凸税 による機械 的噛 み合 いの機構 と似ている.凹凸⇔平 でな
い未●テ
ンシ†
hv2(
r)と重力⇔凝井力の対応かつ く.この描像 は簡単 であるので これ以上 深 い入 りしな
い.
C
.【動摩擦 】
・エ紬キ`一
散逸 :次 に動摩擦 の起源を考え よう.
エ紬ヰ`散 逸 を どの様に考えた ら良 いのであ ろ うか ?
ト
ムl
J
Hン
の機構 では原 子 は非断熱的な過程 を通 じて弾性工紬キ`-を運動 (
振動)
エ
紬キ
'
-に変 えて いた
上 の固体 を初速度 P(
0)=一定,
且つ .pi(
0)=0で押 した と患像 しよ う.
並進運動量 P(t)が滑 る と共 に
減少 して行 くな ら一 定速度 にす るため外 か ら力 を加え てや る必要があ る,この加え た力か動摩擦
力である.こう して動摩擦 の起源の開溝は並進運動工紬キーーが どう して減少 してゆ くかの開溝 と し
紬
J
て考えることが出来 る.時間 tでのエ紬キ■-散逸率R(t)は並進運動工 キ`-の減少率 と等 しい.つ ま L
R(
t
)
≡
N
u
d
P
_
(
t
)
2
/
dt
-5
9
1-
新上和正 ・平野元久
・-NUP(
t)岬 (t
fi
I
,Q),
(
3
.5
.a)
(
3.3
.
ち)か ら
R(
t);P(
t)‡∑
/∂Q.
(
3
.5
.b)
i∂ V2(
fi+Q)
記号‡は二つ のへ■ケルの 内積 であ る.
動摩擦力 Fd(t)はR(t
):Fd(t
)*P(
t)の関係式 か ら
F
・
d(
t
);≡
;
/∂Q.
∂V2(
Fi+
Q)
(
3. 6)
を得 る.これ は下 の原子 か ら上 の原子 に働 く力 の総和 であ る.
も し∑ v2(
Fi
+Q)が Q依存性 を持つ とき,つ ま り.F(i
Fi
l
,Q)≠0な らば,
並進運動工紬キ●-は内部運動
の運動工紬キ●一に変 換 され る.ここで.
動摩擦 ではfi≠ Fi(
Q)と必ず しも粒子 は平衡位 置 を取 らな い
ことに注意せ よ.更 にその変換 され た運動工紬キ`-が再 び並進運動工紬キ`一に頻 る ことが な けれ ば,
エ紬キ■変換 は非可 逆 的 に起 こる.この非可逆性が 起 こる確率 を調べ る為 に.利用 され る位相空 間
の体積 を比較 す る.先ず ,
並進運動 に関す る位相空 間の体積 は JdPxdPy
dQx
dQリ8(aP2/
2)
∼ Jd
Qx
dQリ∼NU*a2 (è:
粒子一 個 の並進運動 の平均 工
紬キ
ーp
2
/2;
a:
粒子 の平均拒離)に比例 す る.位相
一方 ,
残 りのエ紬ヰ'-(
Nue o-NUe) (e8:
初期 に
空 間の体積 は並進 運動工紬キー-NUeに依存 しない.
持 って いた一粒子 当 りの平均並進運動 工
紬キ`-)が 内部運動 にあ る.(
つまL
J,
粒子一個 当 りの平 均
エ享
け -は (e8-e)であ る). このエ紬キ'-が 内部 の相 対運動 に分配 され る仕方 はいろ いろであ る.
これ は自由度 の いろ いろな組合せ方法 と同様 に内部 自由度 の指数 関数 で増大 す る.つ ま り.内部
の運動 の位相 空 間の体積 はexp[Y (e8-e)(
Nu-1)]の依存性 を持つ .指数 関数 の中の Y (e) (
〉0
)は内部 の運 動 を規定す るHg(t
p.
I.1
ri
))のモデルに依存 す るが .
一般甘引こ個 々の 自由度 のエ紬キ■-e
か単調増加 関数 であ る.例 え ば.
独 立 な振動子 の H
o
(
(
p
-i
l
.(
fi
I
)
で は Y (e):3ln(a/v)(∨:
振動
u*a2*
子 の振動数 )であ る.
全体 の位相空 間の体積 は並 進運動 と内部運動 の ものの積 で与 え られ N
ex
p【Y (e8-a)(
Nu
.
-1)
]とな る.全体 の位相空間 の体積 は指数 関数部 め Y (e8-a)の引 き数 (e8
-eR
)a)
増加 関数 とな るため に,'
e8-eは増加す る方 が位相空 間の体積が増大す る.換言 すれば,
並
進運動工紬キ■-NUeが減少 す る方 向 に運動 は進 むL
.特 に .ⅣUか 非常 に大 きい とき く
つ ま り∵
系 の si
ze
が
ル
紬ヰ
■
`
への
大 きい とき)は この位相空 間の増大 は急 であ る.よ って,並進 運動i
iキ
一一か ら内部運動工
エ享
け 遷移 は非可 逆 的 に起 こると結論 され る.今 考 え て いる摩擦系 は全工紬キ'-を保 存 す る力学系
であ る.非可逆 的エi吋 一散逸 は内部運動状 態が励起 されて いる.この ことは内 部運動 に関 して断
-
5
92-
摩擦 の研究
熱性 は成 り立 た な い こ とを意 味す る.
エ
Ho(作り,t
fi
))で与 え た系 が 紬キ'-を吸収 す る吸収 体 (
ホス
上 で述 べ た アイデアが 巧 く機 能 す るには,
ト・
システム)と して の役 割 を演 じることか 必要 であ る.他 の言 葉 で言 えば,上 で考 え た摩操系 は ergod
i
cな性 質を持 つ必 要 が あ る.系 のエ紬r-が十 分低 い とき系 の位相 空 間 は コ
∼
打.
ロブ・
アール ト
ー・
モイ (
RAM)の安定性 を持 つ 非エkr イ 的な軌道 で満 た され る .19)-23)ェ
紬キ一一が増大 す る と系 はエルコ■イ
性 質を 回復 す る.多 くの計算 機 によ る研究 は この様 な描 像 を示 唆 して い る.エi
け 一面が KAM軌 道 で
-は全 系 に広が らず に減少 した り増 大 した りの
満 たされ て い る とき系 はあ る一部 に与え たエ紬キ'
再帰 (
recurrence)現 象 を示 す .21)この ときエ紬キ'-の拡 散 は起 こらない.多 くの研 究 は系 が 非エルコ
I-r的か らエルコ■-ト
ー的 にな る境界
工
紬キ■-を与 え るため に行 なわれ た.
我 々の行 な ったyミュト シ7ンの結果 で は ,12)ェ
紬キ'-か十 分 弱 い上下 の固体 の凝着 が あ る時で さえ 多
くの 自由度 に分 配 され て い る ことを示 して い る.Frenke1-Xontorova(
FK)trMこ運動 工紬キ'-の項
を加 え た摩擦 系 の研 究 を行 な 1
3た.上 の固体 の原子 間相 互作 用 (
スフ
●I
)汁 )
の強\
さ klと凝 着 の強 さ
k2が各 々kl
=1で k2=0.1の場 合が 図 8に与 え てあ る.
P(0)を与 えて 時間 と ともに どの よ うな P(
t)と
Q(t)を取 るかが 図 8(a)に与 えてあ る.また 内部 の運動 を与 え る亨i(t)とfi(t)を 図 8(
b)に与 え てあ
a)は初 期 の P(
0)が次 第 に減少 して い る こ と.つ ま り,エ紬キ一一の散逸が起 こ って い る こ と,
る.図 8(
また図8(
b)は各原 子 の 内部 運動 の部 分 はエル)'-r的 に運 動 して い ることが分 か る.そ してホストシス
テムは良 いエ紬キ■-吸収 体 と して役 目を果 た して い る ことが 分 か る.図 8(
b)か ら.動摩擦 で は テi≠でi
(
Q
)と必 ず しも粒子 は平 衡位 置を取 って いな い こ とが分 か る.
(
b)
244 245 246
247
248
0
,
2
0 0
.
40
24
9 250
0.
6
0
FH)
Q H)
-
593 -
0.
8
0
新上和正 ・平野元久
上述の機構を前 で述 べた一次元の摩擦系 に適用す る.外力を与えて上 の固体 をゆ っくりと滑 るす
と患像 しよう.
Q
つまL
J重心の位置 はゆ っくりとホ
●テン
シルの山を登 り始める.山の頂上 に登 る.
Q
か
紬キ'-を増大させ る.これ は並進運動工紬キ■-杏
更 に右に滑る と重心運動 は位置工紬キ一一を低 め運動 工
増大させる過程 であ る.この過剰 な運動工紬キ■-は上述 の機構 を通 して内部運動 に散逸す る.
・ エ紬キ
ー散逸率 : 弱い凝井 に対 して.
エ享け 一散逸 率 R(t)を計算す ることが 出来 る,その散逸 率
は内部の運動 のエ紬キナ一
増加率で もあ る.内部運動 の運動方程式 は (
3.2.a)か ら
dp
-
J
d
t+ ≡
∂
テ
i
vl(
テ・
.
f j)/∂
=
f
i(f i
+
Q
(
t)),
(
3
.7)
dF
Jdt:
i
5
i
,
fi(
Fi
+Q(
t))は内部運動 に働 く力であ り.fi(
Fi
+Q(
t))≡-∂V2(
亨i
+Q(
t
))
/∂テi
で定義 され る.Qの時
次の仮定 を設 けるとR(t)を閉 じた形 で計算 で きる.(
3
.7)で
間依存性を記号 Q(t)で陣に表わ した.
fi(
fi
+Q(
t))のFi
の平衡位置か らのずれを無視す る,つ ま りfi
を上 の固体 の格子 位置を仮定す る
Oで表 わす.
通常の方法 を使 って.(
あ る時間に渡 って平均化 した)
散逸 率 くR(
t
)〉は
.これをテj
t
くR(
t)〉=-(
1
/t)Jdtl
R(
tl),
0
t
・-
( 1/
t ≡ J d tld
ij 0
)
t
2(
f i
ラ
;
)l
8+Q( t
)
G
(F
i
0
-チ
,
・8
.
t l-
t
2
)
f
jrrjO +
Q
(
t
)).
(3
.8)
G(
テi
句-テj
8,tl
-t2)は (
3.7)のGreen関数.関係す るエ紬ト が低 いときGreen関数 を独立 した調和振
独立振動子 にDebyeのモデルを仮定 し.更 にV2(
r):k2Si
n(
r)と置 くと.R
動子のGreen関数 で近似 し.
(
t)∝P(
0)d/2 (
d:
Debyeモデルの次元性).この式 は電荷密度波 (
CD
Y)の不純物 に よ る散乱 で失 うエネ
)
.
式 は並進運動量 P(t)はあ ま り大 き く減少 しな い とき正 しい.
ルキ■一
散逸 と同 じであ る(
注6
(
注 6)電荷密度 波 (
C
・
hargedensit
y Wave)は,い くつかの物質中に形成 され るこ とが知 られて いる
.実態 では.CDYはあ る有 限な外力 (
電界)
以上 で動 く.Sok
ol
offらはAubr
y転移 (
この用語 を使 って
いないが)の発 生 で系内に外力 に抗す る機構が 自発 的に生 じているとす る説 を提 案 して いる.
換
fi
+Q(
t
))のfi
の平衡位置か らのずれ をち ゃん と考慮す る.
計算機 シミュトシ3ンをお こな
言すれば .fi(
-
594 -
摩擦 の研究
って いる.彼 のバ ユレ
ーシ7ンは,一 見す ると二次元系 だが ,一方 向のみ三角 関数 の ホ○テンシルが入 って い
Yは一つ の波数へ`ケト
ルで指 定 で き本 質的 に一次元系であ る.
一 次元 系 で
るので一次 元 系 に近 い.CD
はC
D
Yは外部 ホ
●
テ桝 ル(i
mpT
ri
t
y)
があ るとその ホ
●テ桝 ルと直接 に相互作用す る・この為 に ・C
DYは i
m
pu
Tit
yに容 易に捕 まる.
摩擦 系では接 触面 は二次元 であ る.
接触面 に i
mpuri
t
yかあ って も原子 は直接 相互作 用す るのを避
mpuri
t
yの横 を通 り抜 け る自由度を持 つ.実 隙.ト
ホ
●吋 -の記述 で述べた ように.ト
ムl
J
'
J'
)ン
の機構
けi
は(
Au
br
y
転 移 に相 当す る)が起 こ り難 いの は この事情があ るか らであ る.
後 で述 べ るのだが 「i
m
c
D
Yの高次元版 に相 当す
puri
t
yの存在 の下 で も二 つの固体か何 の抵抗 な く別けル滑 る超潤滑状態 (
mpu
rit
yに捕 ま らないか ?
」は将来 の問題 であ る.
る)が安定 に存在 す るか?.つ ま り,そ う簡単 に i
著者 の感触 は yes-であ る.
4
.三 つの根 拠
順 に述 べ る.
上記 の摩擦 の起源 に対 す る新 しい考え は三 つ の頼拠/主 張 を持 つ .
図9
A
. 【根拠 1】
+
+
+
+
+
1
1 1
j
-4
I
+
I
l
LJ
.
_
_
a
.1
_
_
A_
,
I
弾性工紬キ'-が急激 に振動 工紬キ'-に変化す る過程が起
・-
Lt
l
Hン
は非可逆過程 の現われ る
こる条件式 を導 いた.t
描像 を与え ただ けでその条件 を導 出 して いない.この
条件 を色 々な系で計 算機 シミュト ジョンで調 べ.非可逆過程
は現実的には極 めて起 こ りに くい とい う結果 を得 た
章 で述 べた ので以下 省略す る.
.この ことは 2
B
.【根拠 2
】
新 しい説 に従 って.摩擦 力 を計算す ると実態 で得 られ
0
の金属同士 の (
異 な る)表面 を接触 させ る.その上 で.
0
I
る.二つ の清 浄表面 を持 つ金屑固体 を用意 す る.同種
91
∨
ノー
た摩擦力 の大 きさ と同 じ程度 であ るとい う結論 を得
1
」
.
一
一
一
一
一
×
(
b)
上 の固体 を固定 した下 の 固体 に対 して滑 らせ る.この滑 りの変位 をQとす る.
静摩擦力 は全相互 作
-5
95
-
新上和正 ・乎野元久
紬
用工 キ■-を計 算 し,Qで微分 す る ことで得 られ る.静摩擦力 は鉄
.
タ
げステン,鉛 に対 して計 算 す る.二
a)(
0
01)-(
0
01)と (
b)(
I
l
o
)
-(
0
01)(
図9
)で x方 向 に滑 る.
つ の場合 の接 触 を考 え た.(
同種 の金属 の接触 を考 え た理 由は.異種 原 子 で は適 当な相 互作 用 ‡
'テ
ン
シ川の形 を決 めた例か 見あ
Jy(
J
oh
ns
on)・
ホ
●テンソル 24)を使 い
た らないか らであ る.相互作 用 嘩鉄 につ いて は,シ■7ンt
.
タ
げステン.鉛
はモース・
ホ
●テンシャルを使 った.ト ス・‡●
テ
ンソルの八●ラ
メ
ト はT
a
bl
eI
で既 に与 え られ て い る.相互 作 用 ホ
●テンソ
'
-を再現す るよ うに決 め てあ る.
ルは金属 の凝 集工紬キ一一や欠 陥を作 る生成 工紬キ
計算 され た静 摩擦 力 は,
鉄 の場合
(
a)
. 7
.6G
Pa
,
(
b). 3
.6G
Pa
.
げボ ンの場 合
タ
(
a), 21.8G
Pa
,
鉛 の場合
(
a), 3
.9G
Pa
.
であ る.
1
01
7-1
0 6 Ne
yt
onの)摩擦力 を測定 で き る技 術 が発達 して いる
最近 の実験 で は非常 に精度 良 く (
ア
25)・26)多結 晶 ク
◆ラ
フ7
ハ また はス八●卜 で得 られ た炭 素膿 とタ
■イ モ
ント
ソ タげ ステンの針 を操 る ときの摩
擦力か測定 され て いる.
接触 面 はH
ert
zの弾性接 触 (注 7
)
を仮定 し.単位 接触 面 で規格 化 した値 は
0
.1
か ら数 p
aであ る.この値 は直接 比較 しうるデ ータでな い に して も (
物 が違 う),摩擦 力 のトタ一一は
上 の理論 値 と同 じであ る.この比較 は新 しい摩擦 の描像 の正 しさを示 唆す る.
)
H
er
t
zの弾性接 触 :H
ert
zは物理 で 出 て来 るあ の拝e
rt
zであ る.彼 は表面 と球 の接 触面積 を計
(
注7
算 した.表面 と球 は弾性 的 に接 触 す る と仮 定 した.つ ま り.表面 に球 を押 しつ け る力 を無 くせ ば接
∝ Y2/3に
触面 もセ'ロに戻 るよ うな塑性 を伴 わ な い接 触 であ る.
接触 面積 Sは球 の重 さをYとす る とS
な る.平 均垂 直荷 重圧 pはpS:
Yの関係 か らp∝Yl'3とな る.5
章 で言 及 す る凝 着 税 で はS∝Yを仮 定 し
摩擦 法則 (I
)の 「静摩 擦 力 Fsは摩擦面 に働 く垂 直力 に比例 す る,つ ま り,
摩 擦 係数 (
=Fs/Yg)は見か
けの接触面 積 によ らな い」 を導 く.弾性 接 触 で の SのY依存性 は摩擦 法則 (I
)
'
に反 す る結 果 を与 え
る.
-5
9
6-
摩擦 の研究
C
. 【根拠 3
】
新 しい説 に拠 る と超 潤滑性 を予言 す る.超潤滑 とは二つの 固体が何 の抵抗 もな くブル帥滑 る状 態 を
言 う.上下 の固体 か接 触 して相対運動す る ときに個 々の原子 の凝着力 の変化か全原子 に渡 って打
ち消 し合 う様 になる と超潤滑状 態か現われ る.
ト
ム]
J
Hン
の機構 で は.原子 はその位 置 を非断熱的に変 え る.非 断熱性 は弾性工紬キ'-を運動工紬キ■一に
ムT
Jンソ
変化 させ る.ト
ムリパ ンの描 像 では摩擦 は常 にエ紬キ一一を散逸 し動摩 擦力 は有 限であ る.これ迄 ,t
ンの機構 は現 実 には起 こらな い ことを述べ た.この理論的結果 を基 に.摩擦 の新 しい描像 を与 え た
fi
+Q)か Q依存性 を持つ こと.つ ま L
J.F((
亨iI,Q)≠0が条件 であ った.
.この括像 は.しか し.∑ V2(
r
-i
+Q)が Q依 存性 を持 た無 いとき,つ ま t
J,F(t
fil,Q)=0な らば,並進運動 は内部運動 は
他方,∑ va(
独立 にな る.重心運動 工紬キ■-は運動 の定数 であ り.もはやエ紬キ◆-の散逸 は起 こらない.この状 態 を
超潤滑状 態 とい う.我 々は,(
1)各原子が ほぼ平衡位置 にあ り (
2)二つ の固体 の面が i
ncommensura
teに接 触 す る条 件 の下 に超潤滑状 態か現 われ ることを証 明す る ことが 出来 る.lHcDYとの類推 で
.超潤滑状態 は他 の人連 によ って弱 い凝責 の場合 ,14)・27)
例 え ば ,vanderYaals力で相互作 用す
章 の結論 は.金属結合 の強 い相互作 用 (
弱 い相互作 用を含 む
る二つ の固体接触 で謙諭 され た.第 2
)の場合 で も超潤滑状 態が現 われ ることを示す.エ紬ヰ'-散逸 を伴 わ ない超潤滑状態の概念 は ト
ム1
)
ン
ソン
の描像 と最 も矛盾す る点であ る.一次元 の CDYと違 い,
超 潤滑状 態 は i
npurit
yに捕 ま りに くい し
,恐 ら く,滑 i
J速 度か 固体 の音速 (
鉄 で秒速数千 ト ル)
程度 まで安定 に存在す る と思われ る.後者 は
.二つの固体 が相対速 度が秒速数千 ト ルになるまで何 等抵 抗 もな く叩ブル滑 る状 態が現 われ る こ と
を意味す る.これ は計 算機 シミュトン7ンか らの感触であ る.何故 滑 り速度か超潤滑状態 と関係す るか
と言 うと,あ ま り滑 り速度が速 い と各原子 は常 に平衡位置 にい る とは限 らないか らであ る.
・超潤 滑状 態の実験 的確認 28)・29) : 超潤滑性が現われ るか摩擦力が現われ るかの条件 は上 の
と下 の面 の原子 間 隔b
の比 率 a
/
b
が無理数 か有理 数か であ る.
理鰍 こよる と上下 の
面 の原 子 間隔 a
固体が 接触 して相対運 動す る ときに個 々の原子 のエ紬キ■-変動が 全系 に渡 って打 ち消 し合 う様 に
なると超潤滑状 態か現 われ る.清浄かつ平坦 な措 晶表面 を用 いて無理数 的な接触面 を作れ ば摩擦
力 は小 さ くな り.逆 に有理数 的 な接触界面 では摩擦力 は大 き くな る ことが予憩 され る.この様 な
接触界面 の (
無理数 か有理数か の)比率 と摩擦力 との関係 を検証 す るために.白雲母 (
muscovit
e
mi
ca)の壁界面 の摩擦 力 の滑 り方 向依存性 を測定 した.(
図 10)
ー
59 7
-
新上和正 ・乎野元久
先 ず mi
c
aの斌簸片A及 び Bを接触 させ.次 に試験
図1
0
駆動方
片A及 びBを圧電素子 に拠 って駆動す る.
向には板八一i
か上 の試戟片 Aだけに接触す るよう
に設置 してあ る.引 き続 く駆動 に依 って試験 片
・喜
Aに与え られるハ`ネカが拭襲 片AとBの摩擦力 に打
ち勝つ ようになると拭壊片 は滑 る.この時のハ■
雪
/㌔
.
i\
.
i
の変位量 (
八
一i
力)か ら摩擦力を求める.
摩擦係
It
}!
)
10 IJ13t>)
O
L
!
l
I
n
J
J
・
C
z
I
,
i
"
"
"
"
i
.
,
_
iL
-'
数 Hの実額結果 を図に示す.
通常 の雰囲気中 (
温
.
.
.▲
皮:
室温.畢点 :
15
C(
6
0
%R.H.))では.pは滑 り方
▼
t
o
t
o Ai
r
向 Qに依存 しない.これ は通常 の雰囲気中では
I A
1
0
n
n)
か存在す ることに拠 ると考
表面 に水の層 (
0
爪
一
30
60
Sl
ui
什tJi
.
t
cl
i
.
9
0
雰囲気中 (
温度 :
1
00
えている.これに対 して.Ar
摩擦係数のすべり方向依存性
25
C(
水分濃度 :
6
00
pp
m).
酸 素濃度 :
l
oo
p
C.要点 :
0
度の周期 で変
p
m)では,Hは滑 り方向に対 して 6
ca
の壁界面 の対称性 (
6
0度)に一致す る.
超微小軽荷 重表面粗 さ計 に依 る と
動 する.この周期 はmi
壁界面の表面 の租 さは2
n
Ⅶ以下であ L
Jかつ 1
0umの測定範 囲では表面 の粗 さ方 向性 は認 められな
か った.以上の結果か ら滑 り方向が 30
度 と9
0
度で摩擦力か大 きいのは有理数 的な接触 に拠 るもの
度 と6
0
度で摩擦力か小 さいのは無理数的な接触 に拠 るもの と考え られ る.
今後 ,
無理数的な接
で0
触面を用 いて表面 を更 に清浄化すれば摩擦力か さらに小 さ くなる超潤滑状態への傾向を観測出
)に載 っ
来 るもの と考えている.
実額結果 (
接触表面や測定の信頼性)のよ り詳細 な情報 は文献 29
ている.
_
・
"
_
_
_
超潤滑状態q)
工学的意義 : どの様 な工学的意義 を持つだろ う?
(I
) H.Pet
erJ
ost
.工業局 ト
ライホ■t
)
シ
`委員会委員長 (
1
9
66
-1
9
7
4).国際 ト
ライホ't
]
シ
ー協議会会長 の言
イ
葉 :「ト
ラ 未'ロ
ン■(
摩擦学)を除外 して,換言すれば.
互い に転が り,滑 L
J.
擦I
J合 う等の相対運動 をす
る相互 に作用 し合 う表面 な しでは.
我 々の生活 は不可能であろ う.この 自明の理 は.重機械.精密
・
y
'の主要 な
機械,
7'卜もロケ小.機械 の継 ぎ手や人 間の関節 について全 て同様 に当てはまる.ト
ライホ
■n
要 素であ る摩擦 と摩耗 は.
太古 の音か ら人類 とともにあ り,
摩擦 を制御 し摩耗 を減 らす ことに人
類 は努力 してきた.しか し.英 国にお いて これが ト
ラ佃'ロ
シ`という新 しい学隙的概念 と して認 め ら
れ たのは,ほんの9
年前 であ り,それ以来.産業界に野火のように広が って進歩 して きた.この発展
の理 由の主 なるもの は.
一方 ではト
ライrD
シ
■設計理論 と実用面 との.また他方 ではその経済 的な効
-
5
98-
摩擦の研究
用との密接な関係 についての認紙であ って.これはまた本書か重要 である所以でもある.早- の
専門技術による設計や.試行錯誤的設計の時代 は過 ぎ去 った.現代の製品は,その設計段階で,磨
擦を巧 く制御 し.摩耗を防止す るための全ての措置を取 り入れ なければならない.・・-・・
」
摩擦力は現れる場合 も消失す る甥合 もある.
物理条件を変え ることに依 って摩擦力 を最大 に大 き
くする事 も出来 る し全 く無 くす る事 もできる.(
ト
ム1
)バ ン
の税で は摩擦 は必ず存在する)言 い替え
ると,
「摩擦が制御可能/設計可能な対象 となった」 ことであ る.
(‖) 超潤滑状態は電気工学での電気抵抗がセ■ロ
'
tなる超伝導状態 と同 じく機械工学に於 ける第
二種永久機関と言えるものであ り応用上の効果は大きい.工学的効果 は
一般的には,
・
省工紬キ'-(
摩擦 に依 って消費 されるエ紬キ′-を無 くする),
・
環境問題 (
省工紬キ'故 にエ紬キ`-消費による環境汚染を低減できる).
クな故障を防止する),
・
信頼性 (
軸受けの焼付け等 によ って起 こる機械のカタスト叩 小y
・
安全性 (
摩擦帯電による放電 を防 ぐ.例えばが ス・タン
クの煉発の防止).
潤滑かk
e
yになっているテク/叫 ■
.
・
精密位置決め機構 (
摩擦 による不正確 さを少な くする).
・
人工臓器,人工関節の潤滑部分 (
心臓の弁.肘の関節),
・
真空機器.宇宙開発での潤滑 (
潤滑材の使用は真空状態を劣化 させる,または潤滑材 は高真空で
は真
空中に飛散 し潤滑材 の役 目を しない).
・
大審皇磁気記録密度の集積化 (
現在の磁気へサドの小型化 を行 な うと記録密度が上が る.
小型化磁
磁気へサト
`とdiskの摩擦接触を和 らげ る
気ヘ ッドとdiskの拒鹿が狭 くな って,いま使用 している(
)潤滑材 は用を足さな くな って来 る)
な どか考え られる.
5. 終わ りに
摩擦か どう して発生す るか を説明 した.静摩擦の発生機構 は凹凸税の表面の凸凹の機械的な噛み
合 いの機構 に似ていた.また,動摩擦の間児は与えられた並進運動工紬キ■が内部運動 にどの散逸
して行 くかの開港 と して定式化 した.並進運動の位相空間の体棟が 内部運動の位相空間の体積 に
比べ十分小 さ くなることか らエ紬キ一一の散逸 は並進運動か ら内部運動 に非可逆的に起 こると結輪
す る.そのとき.
散逸 の起 こる過程での肘スが重要な役割 を果たす ことを譲論 した.この描像 に基
-5
9
9-
新上和正 ・乎野元久
づ いて計算 した静 摩擦 力 大 きさは実壌 的に測定 され た値 とほぼ合 うことは上 の描像 の正 しさを
示 唆する.更 に.理 論 的 は二 つ の固体か全 く何等抵抗 もな く別けか滑 る超潤滑状 態 (
su
perl
u
bri
cs
t
ate)を予言す る.この状 態 の実態 的確認 を述べた.
最後 に,次のこ 点 につ いて コメントしたい.
.
y†
語 )には.削る・
引 っか く
摩擦学(t
ri
b
ophysi
cs,ち なみ に tri
b
os
'は 「擦 る」 とい う意 味 のヰ■T
J
・
掘 起 こす とい った (
摩耗 を含 めて)
現象 も取 り扱 う.更 に,
普通 に 凝着税-という ときは次 の中身
を意味す る.
「二 つ の固体 か接触 す るとき真 に接触 して いる部分 は (
見かけの)
接触面株全体 では
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程 度の場合があ る)であ る.これを見
な く極めて一部 分 (
か けの接触面 と区別 して真実接触面 とい う.
真実接触面 では上 の固体全体 の荷重 を支 えなけれ ば
な らない.このた め.真実接触面 で は非常 に大 きい圧力が作 用す る結果,
二 つ の固体 はこの部 分 で
塑性変形 を起 こ し■
凝井 'す る.
摩擦力 は固体 を横 に引 いた ときのせん断抵抗 であ る」 これか ら出
発 して摩擦 法則 の現象論 を展 開出来 る.この説 のke
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dは 塑性変形 "であ る.しか し,塑性 変形
を伴わな い摩擦が 実 隙 に存在 す る.(
微細 な領域 の摩擦 で確認 され て いる) また,摩擦 の発 生 に
堀起 こ しや摩耗が 直接 の原 因 とな って いる場合 も容 易 に想像 で きる.
摩擦 は塑性 を伴 う場合 も塑
性 を伴わ ない場 合 もあ る.(
注1
)で.「摩韓 は,研究者 の興 味が どこにあ るか に応 じて見え方が変
わ り従来 のス
加 トと した割 り切 り方 では処 しようのな い蔓陀羅 の よ うな対象 であ る」 と言 った.こ
の よ うな側面 を持 つ摩擦 に,筆者連 は悩み且 つ魅力 を感 じた ところで もあ る.この寄稿 の摩擦 は
弾性接触 してい る場 合 の話 であ る.
二 番 目は.断熱定理 につ いてであ る.(
注3
)
で,
摩擦系 を特徴づ けるタイム・
ストルを挙 げた.断熱定理 か
ら,原子 は滑 I
Jに拠 って もた らされ る‡
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ルの変化 を十分 に7川一出来 る.その時,弾性工帥キ
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か
振動 ・
運動工紬キ'-に変換 す る過程 は起 こらない ことを述 べた.断熱定理 はゆ っ くりと変化 す る外
場 に対 して注 目す る系が 十 分 にフ川-す ることを意味す るが ,注 目す る系 自身 のエ紬キ■-の絶対値 は
増大 ・
減少 して よい.このエ紬キ一一は どこに行 ったん だろ う? そ して.断熱定理 は (
古典,
量子 )力 学
で習 いなか ら,
全 工紬キ一一か運動 の定数 となる力学系 の枠 にな い (
当然 の)ことに初 めて気がつ いた
.「断熱定理 で忘 れ去 られ た (或 は.仮定 され た)ゆ .)くりと変 化す る外鳩 とは何 を表わ して いる
ん だろ う? 外甥 を 自分 自身 で 内包す る力学系で は断熱定理 は どの様 な物理 的実体 を内在 して い
」 とい う疑 問.単 純 に言 えば 「力学系 の枠 で断熱定理 は どの ようになるか?」 とい う疑問
るのか?
に興味かわ く.
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摩擦 の研究
謝辞
筆者 (
【
.
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.)と刺 激 的 な討 論 を頂 き ま した佐 々田友平 氏 (
湘 南 工 科 大 学 )と池 田研介 氏 (
京都大学 )
に ,また.ニヤニヤと遠 くか ら励 ま しを送 って下 さ る中村勝 弘 氏 (
福 岡工 業 大 学 )に感 謝 致 します .ま た
,も う一人 の筆者 (
M.冗.)に有 益 な御 討論 ,御教 示 を頂 き ま した金 子 礼 三 氏 (
Ⅳ
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T電子 応 用研 究所 金
別 室 )に感謝 致 します .最 後 に な りま したが .筆 者 らの 一摩 擦 の研 究 "に多大 の興 味 と●超 潤 滑 状 態
の実境 に惜 しみ な い御 教 示 と御 助 言 を頂 いた村 田好 正 氏 (
東 大 物 性 研 究所 )に深 く感謝 致 します
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