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ギリシャOR列伝(12)決断に悩むクセルクセス
川 11111111111111111111111111 ギリシヤ OR 列伝 (12) 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 決断に悩むクセノレクセス 渡辺 A: 新年おめでとうございます.この列伝もいよいよ 2 年目に入りますね. 浩 仮したミルテイアデスだった. ダレイオスは L 、よいよギリシャ征服に情熱を燃やし, 9:;おめでとう.乙こ 2 同ばかりベノレシャに関する話 支配下の諸港市には艦船の建造を,諸国には人員,馬山 がつづいたが,今日もベノレシャの大王クセノレクセスをと の動員準備を命じた.ベルシャには追放されたアテナイ り上げることにしよう.なにしろ当時のベルシャはそれ の前独裁者ヒッピアスが前から亡命してきていたが までの世界史上最大の帝国で,メソポタミア,エジプト 人七制のスパルタでクレオメネスとならぶもう l 人の F. の両古代文明の遺産を支配していたのだから,こういう だったデーマラトスも,内紛によって王位を追われ,こ あっかいになるだけの理由はあるといえるだろう. の頃ベルシャに亡命してきた. アテナイの援助を受けたイオニア人の反乱によってサ 2 ダレイオスが第 3 次遠征の準備に熱中しているとき, ノレテF イスが炎上した,との報告をきいた夕、レイオスは, エジプトが離反した.タレイオスはその鎮圧に自ら出陣 アテナイへの報復を誓ったが,イオニアの反乱が鎮定さ しようとした.こう L 、うときには後継ー者を指名しておく れた翌年,その娘婿のマノレドニオスを軍 11] 令'(1'に任命 のがベノレシャの慣習だった.ダレイオスには H立につく し,陸海軍部隊を与えてギリシャに I(村、わせた.際軍部隊 lìíj とついた後と 2 人の会があり,後者は大征服者キュロ はダーダネノレス海峡を渡り,すでにベノレシャに服属して スの娘だった いたトラキヤを平定しつつ通過し,マケドニアを攻撃, クセノレクセスとの聞の後継争いになった.デーマラトス níï 会の長子アルトパザ不スと後妻の長 f 征服した.海軍部隊はタソス応を占領したが,ここは il の入れ智恵で,スノ 4 ノレタて、は継承権は王位についた後の フェニキア人タソスが発見・開発したといわれる金鉱で 最初j の子に,の論法でクセルクセスが指名を得た.まも 富み栄えていた.般隊はさらにエーゲ海北岸を四進した なくダレイオスはエジプト遠征の準備中に死に,クセル が,カノレキデイケ半島から東南ーに伸びるアトス岬を l 口l る クセスが E 伎を継いだ. ところで、暴風に襲われ,多数の艦船を失なった.こうし て第 l 次遠征軍は帰泣した. ととなったクセルクセスにとって第 l の課題は,父二上 の泣,ILl て、あるエジプト遠征を実施する〈二とだった.それ 夕、レイオスはさらに本格的な遠征の準備として,まだ は帝国の Ii. 解を防ぐために不可欠だったが,それに対し ベルシャにIf日属していないギリシャ本しの主要都市に使 ギリシャを紅I!~して'市国をこれ以土拡大することは,と を送り,“大 l二に土と水とを献じよ"と要求した.スパノレ くに必妥なこととは思えなかった.しかし五位について タやアテナイはこれを拒否したが,エーゲ海の島々の諸 見ると 市のほとんど全部,本土でも少なからぬ諸市がこの要求 て“エジプ卜征服はもちろん必要ですが,その後にはギリ にしたがった. シャ遠征をお d忘れになりませんように"と説くものが少 市T 490 年グレイオスはダテイスとアノレタプレネスの 2 人を軍司令官とし, 1: 慨を取り閉む権臣たちの中には,王に I"j かっ 諸民族から動員した陸軍部隊を 600 なくなかった. a'~ 1I 日|遠征の司令 'f\ アノレドニオスは,将 来ギリシャ総督に任命されることを期待しつつ,ギリシ 隻の 3 段榛船に乗せて,エーゲ海中部をキュクラテス諸 ャの国土の県かさ,美しさを七のヰに入れて,その征 Hbi 烏沿 L 、に西進させた.ナクソス向,エウボイア 11;}j のカリ 欲をかきたてた.またギリシャから亡命の前述のヒッビ ュトスとエレトリアは炎上し,または征服された.つい アス,デーマラトスはいうにおよばず,その他にもテッ でベルシャ軍はアッテイカに上陸したが,ここで有名な サリヤのと家やその他の亡命者があって,地理や内情に マラトンの戦いがおこり,ベノレシャ軍の企図はわずか l ついて報告し 万のアテナイの重装歩兵部隊によって阻 JI ーされた. この “大王のご親征をお待ちします" とか, “ムーサイオスの託宣によれば,ダーダ、ネノレス海峡はへ アテナイ軍の指揮をとったのは,かつてダレイオスのス ルシャ人の手によって架橋される定めになっています" キュテイア遠征に従軍し,イストロス河からの撤収を主 などと追従を交えた進誌をする者が多かった. 11111111111111111111111111111" フォーラム 5 2 111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず. オベレーションズ・リサーチ 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 担レイオスのタピの翌年, クセルクセスはエジプトの反 百しを鎮圧し,アカイメネスをその総督に任命し,以前よ A: 倫註 Jì二のごとし,ですか.しかしとうとう夢の話 まで出てきましたね. りも J可酷な条件で統治させた.アカイメネスをライバノレ !J: フセノレグセスのつぎのアルタクセノレクセスの時代 と考えていた)','1..、マルドニオスは,ますます自分に相応 に旅行者としてと都を訪問したギリシャ人へロドトス した地位はギリシャ総督しかないと考え,王に対し遠征 が, 1..ぺら話のきき上手だったからと言って,先王の決 をすすめた. 定的瞬間の内心の動きを刻明に伝えてくれる人があった クセノL クセスはついにギリシャ遠征の版づもりを闘 め重|冗たちを集めて会議を開き,その冒頭で演説した. とも思えない.当然ここのところは,歴史としてよりは 物語として読むことになる.それを承知で‘つづけよう. まず,体大な征服者であった諸先王の体業を継承してい 仮が明けるとクセノレクセスは昨日の重臣たちを集め, こうとする自分の意図を述べ,ダーダネノレス海峡に架橋 昨日のアルタパノスへの叱責の汗葉を取り消し,自分の してギリシャに進攻しアテナイに報復する決怠を語 未熟と不明を認め,遠征の取りやめの決意を表明した. り,ギリシャの征服は全ヨーロッパ征服の足がかりにな Ji1:医たちの顔には喜びの表情が浮び,一同平伏した. ることを説き,重臣たちの奮起を要望するとともに,な んなりと怠見があれば申し述べよ,とつけ加えた. éE の市葉を受けてマノレドニオスは,王の決;怠を称揚 し,ギリシャ人は恐れるにたりない弱小民族であり,勝 不IJ はまったく疑いないもので,ただあえて試みることが 必要なだけである,と結んだ.こうなると他の軍医たち この後にもう少し奇怪な夢の話がつづき,結局アルタ パノスにかわってその渡所に眠ると|司じ人物の夢を見 る結果になり 2 人は遠征は神霊の意志であるとの判断 に合意したというミステリーになっている. クセノレグセスはあらためてギリシャ遠征を告示し,重 はたちは各領国に帰って出兵の準備にあたった. リピ は発 rl を控えてしまったが,ただ l 人ダレイオスの弟の ア,エチオピアからインダス河流域,中央アジアにいた アルタパノスは,勇気をふるっていを聞いた.自分は光 る各民族の徴募可能人民が調査され,歩兵,騎兵,補給 jミのスキュテイア遠征に対しても諌止したが,結果はそ 部隊の動員数が割りあてられ,補給物資の調達,蓄積が のとおりであったこと,ギリシャ人はスキュテイア人よ なされた.地中海沿岸の諸港市は軍艦,架橋用の長船, りもはるかに優秀で強力な民族であること,もし海軍部 馬匹運搬船の建造を割りあてられた.エジプト人とフェ 隊がギリシャて、破れた場合を想、像すれば,イストロス河 ニキア人にはダーダネルス海峡に各 1 本の船橋の架橋が の渡河点で先王と帝国の命運が l 人のイオニア人の掌中 命ぜられ,他の部隊にはストリュモン河その他の大中小 に梶られたのと同じことが,ダーダ不ルス海峡で再現し れlJ )11 の架橋,修復,広幅が命ぜられた.第 1 次遠征軍の うること,計画は情なるがよく,動物の中でも神の常撃 遭難し士一アトス岬には,平野と丘陵からなる岬のつけ根 を受けるのは大型のものだけであり,大軍も騒慢の心に を横断する,長さ 2km の運河の搬さくが検討された. よって寡兵に破れることがありうること,を説き,アノL 船を引し、て越すようにすることもできたが, ドニオスの態度を叱責したうえで,本日の案件は陛下[J スは 2 !主の 3 段榛船が機を使いながら校進できる脳の運 らよくご思案のうえ,あらためて適当なときにおきかせ ì"f を掘るように命じ各民族に各区間を分担させた.そ クセノレクセ くだいますように,と結んだ.クセルクセスはこれをき の両側の出入口は防波堤で守られた.各地で調達された くと立Jlli:し,遠征への強い決志;を語り,アノレタパノスの 補給物資は,運ー河掘さく地点や架橋工事の現場に供給さ 地位を考えて処罰することは差し隆えたが,伴の前で彼 れるとともに, をののしり辱めた しかしその伎になると, トラキヤからマケドニアにいたる遠征路 との要所々々の補給基地に輸送され,苔積された. クセノレグセスにはアノレタパノ スの ft 葉が気になりはじめ,一夜中 l 人で思いめぐらし A: ものものしいて、すね.まさか PERT も使われた とおっ L ゃるのじゃないでしょうね. て,やはりギリシャ遠征はすべきではないとの判断にか 。 :PERT が使われたとはどこにも書いてないよう たむき,他方それを明~()J蚤 l立たちに告げる場合の自分の だね.しかしそれまでの史上最大の動員がなされ,その I ( r i1I のなさ,しかし llij題のいろいろな側面を考呈したう 準備の計画,実施,フォローアップの作業も最大規模だ えで到達した理性的な判断の電み,などと忠いまどろむ ったことは間違いない.こうして準備に 4 年聞が費さ 彼の夢の中に 1 人の件丈夫があらわれて,昨日人々の前 '111111111111111\1\1111'1'11111111111111 川川口川け M い 1111111111111'1'1' 川川川川 1111 1977 年 1 月号 © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず. 5 3